説明

圧電デバイス

【課題】実装の歩留まりを向上させた圧電デバイスを提供する。
【解決手段】一面に外部電極12を有しその反対面にリッド14を有する圧電振動子16と、前記圧電振動子16を駆動させる回路を有するICチップ18と、前記圧電振動子16と前記ICチップ18とを接続するリードフレーム20と、を備える圧電デバイス10であって、前記ICチップ18は前記リードフレーム20の一方の面に接続され、前記外部電極12は前記リードフレーム20の他方の面に接続されている。前記リードフレーム20には、前記リードフレーム20の前記ICチップ18との接続面と、前記リードフレーム20の前記外部電極12との接続面とが対向する方向に段差が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子とICチップとを一体成型した圧電デバイスに係り、特に圧電振動子とICチップとの接続、ICチップと二次実装機器との接続に係る実装技術に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電デバイスは主に、圧電振動片を内蔵した圧電振動子と、この圧電振動子を駆動させるICチップとから構成され、例えば特許文献1のような圧電デバイス100が開示されている。図10に示すように、特許文献1に開示されている圧電デバイス100は、基板上に圧電振動子102及びICチップ104を横並びに配設し、圧電振動子102の外部端子106を基板上の配線パターン108(断面方向のみ記載)に半田110により接続し、ICチップ104の外部端子112をワイヤ114により配線パターン108に接続して、圧電振動子102とICチップ104とを電気的に接続したのち樹脂116により全体を封止している。
【特許文献1】特開2007−173431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記構成の場合、圧電振動子102と配線パターン108とを接続する半田110が、半田付け時および、ユーザによるリフロー工程により溶け出した場合に配線パターン108を伝ってAuで形成されるワイヤボンディング用のワイヤ114に到達し、Auと共晶反応を起こしAuを溶解させ、ワイヤボンディングを切断する虞がある。またフリップチップボンディング等、ワイヤボンディングを用いずにICチップ104と配線パターン108を接続した場合であっても、前記半田110等の固着材料がICチップ104と配線パターン108の接続面に到達して、結果的に圧電デバイス100の周波数特性および温度特性等に悪影響を及ぼす虞がある。そして圧電デバイス100全体を小型化・低背化するほど配線パターンにおけるICチップ104の接続面と圧電振動子102の接続面とが近接するため上述の問題が顕著に現れる。
【0004】
そこで、本発明は上記問題点に着目し、圧電振動子と配線パターンを接続する固着材料がICチップと配線パターンの接着面に到達することを防止して、実装の歩留まりを向上させた圧電デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]一面に外部電極を有する圧電振動子と、前記圧電振動子を駆動させる回路を有するICチップと、前記圧電振動子と前記ICチップとを接続するリードフレームと、を備える圧電デバイスであって、前記ICチップは前記リードフレームの一方の面に接続部材を介して接続され、前記外部電極は前記リードフレームの他方の面に接続されたことを特徴とする圧電デバイス。
上記構成により、圧電振動子とリードフレームとを固着する半田等の固着材料が溶解してICチップ側に伝っていったとしても、ICチップとリードフレームの接続面は裏側にあるため、前記固着材料が前記接続面に到達することはない。したがって、前記固着材料が前記接続面に到達することによる周波数特性及び温度特性等に対する悪影響を防止できる圧電デバイスとなる。
【0007】
[適用例2]前記リードフレームには、前記リードフレームの前記接続部材との接続面と、前記リードフレームの前記外部電極との接続面とが対向する方向に段差が設けられていることを特徴とする適用例1に記載の圧電デバイス。
上記構成により、ICチップと圧電振動子の厚み方向の偏差が縮小され、低背化された圧電デバイスとなる。
【0008】
[適用例3]前記接続部材は、ワイヤであることを特徴とする適用例1または2に記載の圧電デバイス。
各リードフレームはICチップの能動面に配設された電極の配置を考慮せずに設計できるので圧電デバイスの作成が容易になるとともに、圧電振動子とリードフレームとを固着する固着材料が溶解しても、リードフレームとワイヤボンディング用のワイヤとの接続面には到達しないので、ワイヤボンディングを切断する虞はなく、適用例1または2に係る圧電デバイスの歩留まりを向上させることができる。
【0009】
[適用例4]前記圧電振動子、前記ICチップ、及び前記リードフレームを一体に封止する封止体を備え、前記圧電振動子は前記外部電極が形成された面と反対の面にリッドを有し、前記ICチップのデータ書き込み用端子は、第2接続部材を介して第2リードフレームに接続され、前記第2リードフレームは前記リッドに電気的に接続され、前記リッドの少なくとも一部を前記封止体から露出させたことを特徴とする適用例1または2に記載の圧電デバイス。
上記構成により、封止体による封止後においても、周波数調整データ等をICチップのメモリに書き込むことが可能であり、封止後に発生する圧電振動子の周波数変動にも対応可能となるため、信頼性の高い圧電デバイスとなる。さらにリッドは金属で形成され、大きな面積を持つ電極として利用することができる。よって容易に周波数調整データ等の書き込みリッドとして利用できる。
【0010】
[適用例5]前記接続部材及び前記第2接続部材は、ワイヤであることを特徴とする適用例4に記載の圧電デバイス。
各リードフレームはICチップの能動面に配設された電極の配置を考慮せずに設計できるので圧電デバイスの作成が容易になるとともに、圧電振動子とリードフレームとを固着する固着材料が溶解しても、リードフレームとワイヤボンディング用のワイヤとの接続面には到達しないので、ワイヤボンディングを切断する虞はなく、適用例4に係る圧電デバイスの歩留まりを向上させることができる。
【0011】
[適用例6]前記ICチップは、第3リードフレームの一端に第3接続部材を介して接続され、前記第3リードフレームの他端の一方の面を前記封止体の前記リッド側の面に露出させたことを特徴とする適用例1または2のいずれか1例に記載の圧電デバイス。
圧電デバイスはユーザにより二次実装機器に実装される。そして二次実装機器から圧電デバイスへ電源の供給、ユーザのニーズに合わせた発振周波数の調整等が行われる。よって二次実装におけるリフロー工程において、圧電振動子とリードフレームとを固着する半田等の固着材料が溶解してもICチップとリードフレームの接続面に到達することを防止するため、二次実装時における信頼性の高い圧電デバイスとなる。
また、本適用例を、適用例2に適用すると、圧電デバイスの全ての外部端子は一面に露出し、二次実装後の外部端子が外部に露出することを防止できるため、リッドの封止体からの露出部分を封止する作業を省略して、コストダウンを図ることができる。
【0012】
[適用例7]前記接続部材は、及び前記第3接続部材はワイヤであることを特徴とする適用例6に記載の圧電デバイス。
各リードフレームはICチップの能動面に配設された電極の配置を考慮せずに設計でき
るので圧電デバイスの作成が容易になるとともに、圧電振動子とリードフレームとを固着する固着材料が溶解しても、リードフレームとワイヤボンディング用のワイヤとの接続面には到達しないので、ワイヤボンディングを切断する虞はなく、適用例6に係る圧電デバイスの歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1乃至3に第1実施形態に係る圧電デバイスの概略図を示す。図1は平面図、図2は正面図、図3は底面図である。第1実施形態に係る圧電デバイス10は、一面に外部電極12を有しその反対面にリッド14を有する圧電振動子16と、前記圧電振動子を駆動させる回路を有するICチップ18と、平面視して互いに重ならないように前記圧電振動子16と前記ICチップ18とを接続するリードフレーム20と、前記圧電振動子16、前記ICチップ18、前記リードフレーム20、を一体に封止する封止体22と、を備え、前記ICチップ18は前記リードフレーム20の一方の面に接続部材を介して接続され、前記外部電極12は前記リードフレーム20の他方の面に接続され、前記リードフレーム20には、前記リードフレーム20の前記ICチップ18との接続面と、前記リードフレーム20の前記外部電極12との接続面とが対向する方向に段差が設けられた構成である。
【0014】
圧電振動子16は、圧電振動片(不図示)をセラミック等の絶縁体で形成されたパッケージ16aに実装したものである。圧電振動片(不図示)は、水晶等の圧電素板を適切な形状に形成した上で、励振電極(不図示)と引き出し電極(不図示)を前記圧電素板の表面にパターニングしたものであり、例えばATカット圧電振動片、音叉型圧電振動片、SAWチップ等が挙げられる。圧電振動片(不図示)は、引き出し電極(不図示)を接続面としてマウント電極(不図示)によりパッケージ16a内壁に固着されている。圧電振動子16を形成するパッケージ16aは下面が開放され、前記下面には金属製のリッド14がシーム溶接等により接合されている。またパッケージ16aの上面には、タングステンメタライズ上にニッケルメッキ及び金メッキで形成した外部電極12が配設され、外部電極12とパッケージ16aの接続面から内壁を通りパッケージ16a内部のマウント電極が接合する面まで電気的に導通する導通路(不図示)が配設されている。よって外部電極12と圧電振動片(不図示)は電気的に導通するため、外部電極12に交番電圧を印加することにより圧電振動片(不図示)を励振させることができる。
【0015】
ICチップ18は、少なくとも圧電振動子16を駆動させる回路構造を有する半導体素子等から形成された駆動回路素子であり、その下面に複数の電極パッド28を有している。電極パッド28には、接続部材として、Auを材料とし、後述のフリップチップボンディング用のバンプ28dが超音波により接合されている。ICチップ18の電極パッド28の数や種類は、ICチップ18の種類により図1に示す場合よりも多い場合も少ない場合もあるが、第1実施形態においては、圧電振動子16と電気的に接続されたゲート/ドレイン(G/D)端子28a、駆動回路に周波数調整データ等を書き込むためのデータ書き込み用端子28b、駆動回路の入出力端子、グランド端子などからなる二次実装端子28cとから構成されている。またICチップ18は、圧電振動子16から出力される周波数の安定度を高めるために温度補償を行う回路や、圧電振動子16出力される周波数を設定電圧に応じて制御する回路を備えることができる。
【0016】
そしてICチップ18は、低背化を可能にするため、圧電振動子16の上下方向に載置するのではなく、圧電振動子16と横並びで圧電デバイス10に実装されている。ICチップ18は二次実装端子28c接続する後述の第3リードフレーム30により保持されて
いる。また圧電振動子16はリッド14を下面として配設される。
【0017】
圧電振動子16にある外部電極12と、ICチップ18にあるゲート/ドレイン(G/D)端子28aとは、リードフレーム20による配線パターンによって接続される。リードフレーム20はAuを材料として用い、エッチングまたはプレス加工により所定の形状に形成された導通手段である。図2に示すように、リードフレーム20のICチップ18との接続面と、リードフレーム20の外部電極12との接続面とが対向する方向に段差を形成するように、リードフレーム20を2箇所で折り曲げた態様で傾斜部20a、下段部20b、上段部20cが形成されている。リードフレーム20の下段部20bの上面はゲート/ドレイン(G/D)端子28aとバンプ28dを介して接続されている、上段部20cは外部電極12の真上を通るように設計され、上段部20cの外部電極12の真上を通る部分には接続面20dが形成されている。このような段差を設けることにより、圧電振動子16とICチップ18との厚み方向(高さ方向)の偏差を縮小することができる。
【0018】
接続面20dの下面と外部電極12との接続は固着材料26により行われる。固着材料26は主に半田を用いるが、銀ペースト、銅ペースト等の導電性接着剤を用いても良い。よって傾斜部20aの長さは、傾斜部20aが形成する下段部20bの下面、上段部20cの上面との段差が、外部電極12の上に用いられる固着材料26の上面と、後述の第3リードフレーム30の上段部30cとの高さ方向の差と同一の寸法となるように設計する必要がある。
【0019】
第2リードフレーム24はリードフレーム20と同一材料、同一方法で形成された導通手段である。第2リードフレーム24はリードフレーム20と同様に2箇所を折り曲げた態様で傾斜部24a、下段部24b、上段部24cが形成され、下段部24bの上面24cはデータ書き込み用端子28bと第2接続部材であるバンプ28dを介して接続され、上段部24cは圧電振動子16の上面に載置もしくは半田付け等より固着されている。ただし、上段部24cは圧電振動子16とは電気的に接続されていない。そして、上段部24cには外部のデータ書き込み機器(不図示)と接続する接続面24dが形成され、接続面24dの上面とデータ書き込み機器(不図示)が電気的に接続可能となる。本実施形態において、第2リードフレームはICチップ18から上に伸びる方向に設計されているが、逆に下に伸びる設計にし、リッド14と同じ面側に接続面24dを配設してもよい。
【0020】
第3リードフレーム30もリードフレーム20と同一材料、同一方法で形成され、ICチップ18の二次実装端子28cと二次実装機器(不図示)とを電気的に接続する導通手段であるとともに、後述の封止体22による封止前は、ICチップ18を保持する役割を果たす。第3リードフレームも2箇所を折り曲げた態様で傾斜部30a、下段部30b、上段部30cが形成されている。上段部30cの上面は二次実装端子28cと第3接続部材であるバンプ28dを介して接続され、下段部30bは二次実装電極として二次実装機器と接続可能となる。よって第3リードフレームは下段部30bを土台とし、上段部30cを支点として、ICチップ18を保持することになる。また、いずれの第3リードフレーム30の傾斜部30aが形成する下段部30b、上段部30cとの段差は同じ高さになるように設計され、下段部30bおよび上段部30cの高さ位置も同じ高さとなるように設計されている、よってICチップ18は第3リードフレーム30により水平を維持しつつ保持される。
【0021】
フリップチップボンディングにより、リードフレーム20、第2リードフレーム24、第3リードフレーム30はICチップ18とバンプ28dを介して所定の電極パッド28と熱圧着によって固定される。このとき、第3リードフレーム30をICチップ18に対して下向きにして床面に置くと、第3リードフレーム30の下段部30bが床面に当接し、第3リードフレーム30がICチップ18から伸びた脚となり、ICチップ18は床面
に対して自立することになる。さらに第3リードフレーム30の傾斜部30aが形成する段差はいずれも同じ寸法であるため、ICチップ18は水平を保って自立することができる(図2参照)。またリードフレーム20、及び第2リードフレーム24は上述のフリップチップボンディングにより一端が固定されることにより、圧電振動子16に配設された外部電極12との固着材料26による固着を容易に行うことができる。
【0022】
封止体22は、横並びに配設された圧電振動子16とICチップ18とを、これらに接続されたリードフレーム20、第2リードフレーム24、第3リードフレーム30とともに一体に封止する樹脂等を材料とする絶縁性材料で、第3リードフレーム30の下段部30bの下面を露出させている。これにより圧電デバイス10は二次実装機器(不図示)と接続可能となる。なお、第2リードフレーム24の下段部24bは、第3リードフレームの下段部30bより高い位置にあるため、下段部24bが露出することはない。
【0023】
また第2リードフレームの接続面24dをデータ書き込み機器(不図示)に接続させるために、封止体22の接続面24dの真上に導通穴22aが形成され、接続面24dを露出させている。なお、第2リードフレーム24の上段部24cは接続面24dの両端から伸び導通穴22aの断面より大きな範囲にまで伸びているので、接続面24dが捲れあがることはない。
【0024】
以上の構成のもと、第1実施形態に係る圧電デバイス10の実装を行う。
まずICチップ18の電極パッド28に接続されたバンプ28dに所定の配置でリードフレーム20の下段部20bの上面、第2リードフレーム24の下段部24bの上面、第3リードフレーム30の上段部30cの上面を押し当て、熱圧着によりバンプ28dを溶融させ、ICチップ18とリードフレーム20、第2リードフレーム24、第3リードフレーム30とを接続する。
【0025】
次に、封止体22の型枠(不図示)の平面状の底面に、リッド14を下にした圧電振動子16と、第3リードフレーム30の下段部30bを下にしたICチップ18を適切な位置に配置する。具体的には、ICチップ18に接続された第1リードフレーム20の上段部24cにある接続面24dの真下に圧電振動子16に配設された外部電極12がくるように配置する。このとき第3リードフレームの上段部30cの高さは全て同じでありICチップ18は水平を保っている。そして半田等の固着材料26を用いて、接続面20dと外部電極12とを固着して接続する。このとき第2リードフレーム24も外部電極12と短絡しないように半田等でパッケージ16aに固着してもよい。そして型枠(不図示)に封止材を流し込み、固形化させることにより全体を一体化する。このとき、各素子が浮き上がらないように、型枠(不図示)の底面に粘着性の材料を塗布して圧電振動子16および第3リードフレームを固定してしてもよい。各素子を封止して固形化した封止体22を型枠から取り出し、研磨等によって第3リードフレームの下段部30bを露出させ、穴あけ作業等により導通穴22aを形成して第2リードフレームの接続面24dを露出させることにより圧電デバイス10の実装は終了する。
【0026】
この実装時において、半田等の固着材料26が溶けたものが、第1リードフレーム20、及び第2リードフレーム20の上段部20c、24cの下面、傾斜部20a、24aを伝って下段部20b、24bの下面に到達し得る。しかし、ICチップ18と第1リードフレーム20および第2リードフレームとの接続面は上面にあるため、固着材料26が前記接続面に到達することはない。
【0027】
またユーザによる圧電デバイス10の二次実装に係るリフロー工程において固着材料26が溶けることがあっても、すでに固着材料26の周囲は封止体22によって封止されているので、ICチップ18と第1リードフレーム20および第2リードフレームとの接続
面に到達することはない。また仮に第1リードフレーム20および第2リードフレーム24の下面に隙間があり、固着材料26の一部が溶け出し、第1リードフレーム20および第2リードフレーム24の下段部20b、24bに到達しても、ICチップ18と第1リードフレーム20および第2リードフレームとの接続面は上面にあるため、この場合においても固着材料26が前記接続面に到達することはない。
【0028】
したがって第1実施形態によれば、圧電振動子16とリードフレーム20、第2リードフレーム24とを固着する半田等の固着材料26が溶解してICチップ18側に伝っていったとしても、ICチップ18とリードフレーム20、第2リードフレーム24の接続面は裏側にあるため、固着材料26が前記接続面に到達することはない。したがって、固着材料26が接続面に到達することによる周波数特性及び温度特性等に対する悪影響を防止できる圧電デバイスとなる。また本実施形態のようにAuを用いたフリップチップボンディングにおいても、その接続面に固着材料26が到達することはないため、接続面にあるAuが溶解して接合が剥がれる虞を回避することができる。
【0029】
また、リードフレーム20には、リードフレーム20のICチップ18との接続面と、リードフレーム20の外部電極12との接続面とが対向する方向に段差が設けられているため、ICチップ18と圧電振動子16の厚み方向の偏差が縮小され、低背化された圧電デバイスとなる。
【0030】
さらに、ICチップ18のデータ書き込み用端子28bに第2リードフレーム24の一端が接続され、その他端を封止体22の外部に露出させたことにより、封止体22による封止後においても、周波数調整データ等をICチップ18のメモリに書き込むことが可能であり、封止後に発生する圧電振動子16の周波数変動にも対応可能となるため、信頼性の高い圧電デバイスとなる。
【0031】
一方、第1実施形態にかかる圧電デバイス10はユーザにより二次実装機器(不図示)に実装される。そして二次実装機器(不図示)から圧電デバイス10への入出力、ユーザのニーズに合わせた発振周波数の調整等が行われる。よって二次実装におけるリフロー工程において、圧電振動子16とリードフレーム20、第2リードフレーム24とを固着する半田等の固着材料26が溶解してもICチップ18とリードフレーム20、第2リードフレーム24の接続面に到達することを防止するため、二次実装時における信頼性の高い圧電デバイスとなる。
【0032】
また、第1実施形態において、第2リードフレーム24をリッド14側の面に露出させると、圧電デバイス10の全ての外部端子は一面に露出し、二次実装後の外部端子が外部に露出することを防止できるため、第2リードフレーム24の封止体からの露出部分である接続面24dを封止する作業を省略して、コストダウンを図ることができる。
【0033】
さらに第1実施形態において、第2リードフレーム24をリッド側の面と反対側に面に露出させると、二次実装時において第2リードフレーム24の封止体から露出した部分である接続面24dは、二次実装の接続面と何ら干渉することがないため、温度補償データ等の信頼性を維持することができる。
【0034】
図4乃至6に第2実施形態に係る圧電デバイスの概略図を示す。図4は平面図、図5は正面図、図6は底面図である。第2実施形態に係る圧電デバイス40の基本的構成は第1実施形態と同様であるが、圧電振動子50は外部電極52が形成された面と反対の面にリッド46を有し、前記ICチップ18のデータ書き込み用端子28bは、第2接続部材を介して第2リードフレーム44に接続され、前記第2リードフレーム44は前記リッド46に電気的に接続され、前記リッド46の少なくとも一部を封止体22から露出させてい
る。
【0035】
金属製のリッド46と接合する圧電振動子50のパッケージ50aの上面には、外部電極52、ガイド電極54が配設されている。外部電極52は第1実施意形態における外部電極12と同様に、パッケージ内部にある圧電振動片(不図示)と電気的に接続されている。一方、ガイド電極54はリッド46とパッケージ50aの内壁を通る導通路(不図示)を通じて電気的に接続されている。
【0036】
リードフレーム20及び第3リードフレームの構成は第1実施形態と同様である。第2リードフレーム44は、第1実施形態に係る第2リードフレーム24と同一材料、同一方法で形成され、傾斜部44a、下段部44b、上段部44cから構成される。下段部44bは、第2接続部材、すなわちバンプ28dを介して第1実施形態と同様にその上面とデータ書き込み用端子28bとが上述のフリップチップボンディングにより接続されている。一方上段部44cはガイド電極54に固着材料56により固着されている。よってデータ書き込み用端子28bとリッド46とは電気的に接続される。さらにリッド46は封止体22による封止後、研磨等により第3リードフレーム30が露出した面に露出される。よってデータ書き込み用端子28bをリッド46に接続し、リッド46を通じてICチップ18のメモリに周波数調整データ等を書き込むことが可能となる。
【0037】
したがって第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、リッドは大きな面積を有するため、第1実施形態の場合よりも容易に周波数調整データ等の書き込みが可能となる書き込みリッドとして利用できる。さらに二次実装機器(不図示)と接続する第3リードフレーム30と同じ面にリッド46が露出しているので、二次実装後はリッド46が外部に露出せず、リッド46は外部から電流が流れてくることはないため、ICチップ18に書き込まれたデータの信頼性を維持することができるとともに、リッド46の封止体からの露出部分を封止する作業を省略して、コストダウンを図ることができる。
【0038】
第3実施形態に係る圧電デバイスを図7乃至9に示す。図7は平面図、図8は正面図、図9は底面図である。第3実施形態にかかる圧電デバイス60の基本的構成は第1実施形態と同様であるが、リードフレーム62とICチップ68とを接続する接続部材、第2リードフレーム64とICチップ68とを接続する第2接続部材、第3リードフレーム66
とICチップ68とを接続する第3接続部材はそれぞれ、ワイヤ72が用いられ、ワイヤボンディングがなされている。各リードフレームは第1実施形態同様に傾斜部62a、64a、66a、下段部62b、64b、66b、上段部62c、64c、66cとから構成されている。
【0039】
ICチップ68は、その能動面を上向きにし、能動面にある電極パッド70と、リードフレーム62の下段部62b、第2リードフレーム64の下段部64b、第3リードフレーム66の上段部66cとをAuを材料とするワイヤ72により接続されている。リードフレーム62、第2リードフレーム64、第3リードフレーム66第1実施形態と同様の方法で形成されるが、フリップチップボンディングを行わないため、Au以外にも、42アロイなどのFe合金、あるいはCu−Sn、Cu−Fe、Cu−Zn、Cu−Ni等のCu合金材料を用いてもよい。また図7に示すように、実装作業を容易にするため第3リードフレーム66は、その上段部66cの末端がICチップ68の真下に来て、第3リードフレーム66がICチップ68を保持する関係となる設計とすることが望ましい。このときICチップ68の能動面にある電極パッド70以外の表面部分は絶縁体であるため、第3リードフレーム66のICチップ68と物理的に当接している部分は、ICチップ68と電気的に接続していない。また電極パッド70と各リードフレームとを接続するワイヤ72は、各リードフレームのどの位置でボンディングしてもよい。
【0040】
リードフレーム62の上段部62cは、第1実施形態と同様に、圧電振動子74に配設された外部電極76に固着材料78により固着され、第2リードフレーム64の上段部64cは圧電振動子74の上面に固着材料78により固着されている。
【0041】
第3実施形態における圧電デバイスの実装は、まず、圧電振動子74に配設された外部電極76とリードフレーム62の上段部62cを固着材料78により固着し、第2リードフレーム64の上段部64cを圧電振動子74の上面に固着材料78により固着し、圧電振動子74に配設されたリッド80を下面として封止体82用の型枠の底面の所定位置に置く。そして第3リードフレーム66の下段部66bを下にして、封止体82用の型枠(不図示)の底面の所定位置に置き、第3リードフレーム66の上段部66cを土台とし、ICチップ68の能動面を上向きにし、ICチップ68を第3リードフレーム66の上に置き、能動面にある所定の電極パッド70とリードフレーム62の下段部62bの上面、第2リードフレーム64の下段部64bの上面、第3リードフレーム66の上段部66cの上面との間でワイヤボンディングを行う。その後、封止体82を型枠(不図示)に流し込み、固化したのちに型枠から封止体82を取り除き、導通穴82aを形成して第2リードフレーム64の接続面64dを露出させることにより圧電デバイス10の実装は終了する。
【0042】
このとき、第1実施形態と同様に、固着材料78が溶解してもリードフレーム62の下段部62bの上面であるワイヤ72との接続面、第2リードフレーム64の下段部64bの上面であるワイヤ72との接続面には到達しないので、ワイヤ72が固着材料78に触れ、共晶反応を起こし、ワイヤ72が切断される虞はなく、二次実装時におけるリフロー工程においても、第1実施形態と同様に固着材料78が上述のワイヤ72との接続面には到達しないので、上述同様にワイヤ72が切断される虞はない。
【0043】
したがって第3実施形態によれば、リードフレーム62、第2リードフレーム64、第3リードフレーム66はICチップ68の能動面に配設された電極パッド70の配置を考慮せずに設計できるので圧電デバイス60の作成が容易になるとともに、圧電振動子74とリードフレーム62、第2リードフレーム64とを固着する固着材料78が溶解しても、各リードフレームとワイヤボンディング用のワイヤ72との接続面には到達しないので、ワイヤボンディングを切断する虞はなく、圧電デバイス60の歩留まりを向上させることができる。
【0044】
さらに第3実施形態は第1実施形態及び第2実施形態の構成と干渉することはないので、第1実施形態及び第2実施形態において第3実施形態を構成するワイヤボンディングを適用することが可能である。
【0045】
いずれの実施形態においても、各リードフレームに段差を形成するため、傾斜部20a等を用いているが、段差を形成するものであれば他の形態でもよく、例えば傾斜部20a等の傾斜角を垂直にし、さらに傾けてZ型にしても良く、または折り曲げずにS字状の曲線にリードフレーム20等を屈曲させても良い。またいずれの実施形態においても、接続部材、第2接続部材、第3接続部材の種類を統一して使用する形で述べてきたが、これに限定されることはなく、各接続部材は物質的に相互に異なる材料を同時に用いても良いし、フリップチップボンディングとワイヤのように形態的に相互に異なる材料を同時に用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1実施形態の圧電デバイスの平面図である。
【図2】第1実施形態の圧電デバイスの正面図である。
【図3】第1実施形態の圧電デバイスの底面図である。
【図4】第2実施形態の圧電デバイスの平面図である。
【図5】第2実施形態の圧電デバイスの正面図である。
【図6】第2実施形態の圧電デバイスの底面図である。
【図7】第3実施形態の圧電デバイスの平面図である。
【図8】第3実施形態の圧電デバイスの正面図である。
【図9】第3実施形態の圧電デバイスの底面図である。
【図10】従来技術の圧電デバイスの概略図である。
【符号の説明】
【0047】
10………圧電デバイス、12………外部電極、14………リッド、16………圧電振動子、18………ICチップ、20………リードフレーム、22………封止体、24………第2リードフレーム、26………固着材料、28………電極パッド、28b………データ書き込み用端子、30………第3リードフレーム、40………圧電デバイス、42………ICチップ、44………第2リードフレーム、46………リッド、48………封止体、50………圧電振動子、52………外部電極、54………ガイド電極、56………固着材料、60………圧電デバイス、62………リードフレーム、64………第2リードフレーム、66………第3リードフレーム、68………ICチップ、70………電極パッド、72………ワイヤ、74………圧電振動子、76………外部電極、78………固着材料、80………リッド、82………封止体、100………圧電デバイス、102………圧電振動子、104………ICチップ、106………外部端子、108………配線パターン、110………半田、112………外部端子、114………ワイヤ、116………樹脂。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に外部電極を有する圧電振動子と、
前記圧電振動子を駆動させる回路を有するICチップと、
前記圧電振動子と前記ICチップとを接続するリードフレームと、
を備える圧電デバイスであって、
前記ICチップは前記リードフレームの一方の面に接続部材を介して接続され、前記外部電極は前記リードフレームの他方の面に接続されたことを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
前記リードフレームには、前記リードフレームの前記接続部材との接続面と、前記リードフレームの前記外部電極との接続面とが対向する方向に段差が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記接続部材は、ワイヤであることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記圧電振動子、前記ICチップ、及び前記リードフレームを一体に封止する封止体を備え、
前記圧電振動子は前記外部電極が形成された面と反対の面にリッドを有し、
前記ICチップのデータ書き込み用端子は、第2接続部材を介して第2リードフレームに接続され、
前記第2リードフレームは前記リッドに電気的に接続され、
前記リッドの少なくとも一部を前記封止体から露出させたことを特徴とする請求項1または2に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記接続部材及び前記第2接続部材は、ワイヤであることを特徴とする請求項4に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記ICチップは、第3リードフレームの一端に第3接続部材を介して接続され、
前記第3リードフレームの他端の一方の面を前記封止体の前記リッド側の面に露出させたことを特徴とする請求項1または2に記載の圧電デバイス。
【請求項7】
前記接続部材、及び前記第3接続部材は、ワイヤであることを特徴とする請求項6に記載の圧電デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−200771(P2009−200771A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39746(P2008−39746)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】