説明

圧電共振子

【課題】厚みすべりモードを利用した圧電共振子において、高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現する。
【解決手段】圧電共振子1は、圧電基板10と、第1の電極11と、第2の電極12とを備えている。圧電基板10は、第1の方向に厚みすべり振動を励振する。圧電基板10の第1の非励振部10Bは、第1の溝形成部10eを有する。第1の溝形成部10eには、第1の溝10cが第1の主面10aに第2の方向yに沿って延びるように形成されている。第1の溝10cは、第1の溝形成部10eの第1の方向xにおける両端において、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第1の溝形成部10eの振動の第3の方向に沿った変位量が実質的にゼロとなる形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電共振子に関する。特には、本発明は、すべりモードを利用したエネルギー閉じ込め型の圧電共振子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電共振子は、例えば、各種電子機器などにおける基準周波数信号源等として広く用いられている。図17は、下記の特許文献1に記載の圧電共振子の略図的斜視図である。図17に示すように、圧電共振子100は、圧電セラミックからなる圧電基板101を備えている。圧電基板101は、主面と平行な方向Pに沿って分極されている。圧電基板101の両主面上には、第1及び第2の電極102,103が形成されている。第1及び第2の電極102,103は、圧電基板101の分極方向Pにおける中央部において、圧電基板101を介して対向している。
【0003】
圧電共振子100では、第1及び第2の電極102,103間に電圧が印加されると厚みすべりモードの振動が励振される。この振動は、第1及び第2の電極102,103が厚み方向に対向している共振部100aに閉じ込められ、分極方向Pにおける圧電共振子100の両端部には、それほど漏洩しない。また、圧電共振子100では、分極方向Pにおける共振部100aの両側に、分極方向Pに垂直な方向に延びる溝104,105が形成されている。これにより、振動エネルギーのより高い閉じ込め効率が実現されている。従って、圧電共振子100は、分極方向Pにおける両端部をケースや配線基板などに固定した場合であっても、振動が阻害されにくく、所望の共振特性が得やすかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−147527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、溝104,105が形成されている圧電共振子100においても、振動の閉じ込めが必ずしも十分とはいえず、分極方向Pにおける両端部がケース等に固定されることにより、振動が阻害され、所望の共振特性が得られない場合があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、厚みすべりモードを利用した圧電共振子において、高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る圧電共振子は、圧電基板と、第1の電極と、第2の電極とを備えている。圧電基板は、第1及び第2の主面を有する。第1及び第2の主面は、第1の方向と、第2の方向とに沿って延びている。第2の方向は、第1の方向に垂直である。圧電基板は、第1の方向に厚みすべり振動を励振する。第1の電極は、第1の主面上に設けられている。第2の電極は、第2の主面上に設けられている。第2の電極は、第1の方向における圧電基板の中央部において、第1の電極と対向している。圧電基板は、励振部と、第1の非励振部とを有する。励振部は、第3の方向において第1及び第2の電極に挟持されている部分である。第3の方向は、第1及び第2の方向のそれぞれに対して垂直である。第1の非励振部は、第1の方向において励振部の一方側に位置している。第1の非励振部は、第1の溝形成部を有する。第1の溝形成部には、第1の溝が第1または第2の主面に第2の方向に沿って延びるように形成されている。第1の溝は、第1の溝形成部の第1の方向における両端において、励振部の厚みすべり振動に伴う第1の溝形成部の振動の第3の方向に沿った変位量が実質的にゼロとなる形状に形成されている。
【0008】
なお、本発明において、「変位量が実質的にゼロ」であるとは、変位量が、励振部のうちの最も変位量が大きな部分の変位量の10%以下であることをいう。
【0009】
本発明に係る圧電共振子のある特定の局面では、第1の溝の第1の方向に沿った幅は、励振部の厚みすべり振動に伴う第1の溝形成部の振動の第1の方向成分の波長の自然数倍とされている。この構成では、第1の溝形成部の第1の方向における両端において、励振部の厚みすべり振動に伴う第1の溝形成部の振動の第3の方向に沿った変位量をより小さくできる。従って、より高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現することができる。
【0010】
本発明に係る圧電共振子の他の特定の局面では、圧電基板は、第2の非励振部をさらに有する。第2の非励振部は、第1の方向において励振部の他方側に位置している。すなわち、第2の非励振部は、第1の方向において、励振部の第1の非励振部とは反対側に位置している。第2の非励振部は、第2の溝形成部を有する。第2の溝形成部には、第2の溝が第2の方向に沿って延びるように第1または第2の主面に形成されている。第2の溝は、第2の溝形成部の第1の方向における両端において、励振部の厚みすべり振動に伴う第2の溝形成部の振動の、第3の方向に沿った変位量が実質的にゼロとなる形状に形成されている。この構成によれば、さらに高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現することができる。
【0011】
本発明に係る圧電共振子の別の特定の局面では、第2の溝の第1の方向に沿った幅は、励振部の厚みすべり振動に伴う第2の溝形成部の振動の第1の方向成分の波長の自然数倍とされている。この構成によれば、さらに高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現することができる。
【0012】
本発明に係る圧電共振子のさらに他の特定の局面では、第1の溝形成部は、第3の溝を有する。第3の溝は、第1及び第2の主面のうち、第1の溝が形成されていない側の主面に形成されている。第2の溝形成部は、第4の溝を有する。第4の溝は、第1及び第2の主面のうち、第2の溝が形成されていない側の主面に形成されている。この構成によれば、さらに高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現することができる。
【0013】
本発明に係る圧電共振子のさらに別の特定の局面では、第3の溝の第1の方向に沿った幅は、励振部の厚みすべり振動に伴う第1の溝形成部の振動の第1の方向成分の波長の自然数倍とされている。第4の溝の第1の方向に沿った幅は、励振部の厚みすべり振動に伴う第2の溝形成部の振動の第1の方向成分の波長の自然数倍とされている。この構成によれば、さらに高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現することができる。
【0014】
本発明に係る圧電共振子のまた他の特定の局面では、圧電基板が、水晶基板により構成されている。第1の溝の第1の方向に沿った幅をWとし、第1の溝形成部の第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内にある。第2の溝の第1の方向に沿った幅をWとし、第2の溝形成部の第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内にある。
【0015】
本発明に係る圧電共振子のまた別の特定の局面では、圧電基板が、水晶基板により構成されている。第1の溝の第1の方向に沿った幅をWとし、第1の溝形成部の第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内にある。第2の溝の第1の方向に沿った幅をWとし、第2の溝形成部の第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内にある。第3の溝の第1の方向に沿った幅をWとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内にある。第4の溝の第1の方向に沿った幅をWとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内にある。
【0016】
本発明に係る圧電共振子のさらにまた他の特定の局面では、圧電基板が、水晶基板により構成されている。第1の溝形成部の第3の方向に沿った厚みをTとし、励振部の第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、T/Tが(0.82n−0.09)以上(0.82n+0.1)以下の範囲内にある。第2の溝形成部の第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、T/Tが(0.82n−0.09)以上(0.82n+0.1)以下の範囲内にある。
【0017】
本発明に係る圧電共振子のさらにまた別の特定の局面では、圧電基板は、ATカット水晶基板である。
【0018】
本発明に係る圧電共振子のまたさらに他の特定の局面では、圧電基板が、圧電セラミック基板により構成されている。第1の溝の第1の方向に沿った幅をWとし、第1の溝形成部の第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.6n−0.4)以上(1.6n+0.6)以下の範囲内にある。第2の溝の第1の方向に沿った幅をWとし、第2の溝形成部の第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.6n−0.4)以上(1.6n+0.6)以下の範囲内にある。
【0019】
本発明に係る圧電共振子のまたさらに別の特定の局面では、圧電基板が、圧電セラミック基板により構成されている。第1の溝の第1の方向に沿った幅をWとし、第1の溝形成部の第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.6n−0.4)以上(1.6n+0.6)以下の範囲内にある。第2の溝の第1の方向に沿った幅をWとし、第2の溝形成部の第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.6n−0.4)以上(1.6n+0.6)以下の範囲内にある。第3の溝の第1の方向に沿った幅をWとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.6n−0.4)以上(1.6n+0.6)以下の範囲内にある。第4の溝の第1の方向に沿った幅をWとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.6n−0.4)以上(1.6n+0.6)以下の範囲内にある。
【0020】
本発明に係る圧電共振子のさらに異なる他の特定の局面では、圧電基板が、圧電セラミック基板により構成されている。第1の溝形成部の第3の方向に沿った厚みをTとし、励振部の第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、T/Tが(0.82n−0.1)以上(0.82n+0.09)以下の範囲内にある。第2の溝形成部の第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、T/Tが(0.82n−0.1)以上(0.82n+0.09)以下の範囲内にある。
【0021】
本発明に係る圧電共振子のさらに異なる別の特定の局面では、圧電共振子は、錘をさらに備えている。錘は、第1の非励振部の第1の溝形成部よりも第1の方向における外側の部分と、第2の非励振部の第2の溝形成部よりも第1の方向における外側に部分とのうちの少なくとも一方に取り付けられている。錘は、圧電基板よりも比重が大きい。この構成によれば、溝形成部における音響反射効果をさらに高めることができる。従って、さらに高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現することができる。
【0022】
本発明に係る圧電共振子のまたさらに異なる他の特定の局面では、錘は、第1及び第2の主面のうちの少なくとも一方の上に第1及び第2の電極と隔離して設けられており、かつ、第1及び第2の電極と同一材料からなる。この構成では、錘を第1,第2の電極と同一工程で作製できる。従って、圧電共振子の製造容易性を高めることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、第1の溝は、第1の溝形成部の第1の方向における両端において、励振部の厚みすべり振動に伴う第1の溝形成部の振動の第3の方向に沿った変位量が実質的にゼロとなる形状に形成されている。このため、高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態に係る圧電共振子の略図的斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る圧電共振子の略図的側面図である。
【図3】図1における線III−III部分の略図的断面図である。
【図4】圧電基板が水晶基板により構成されている場合の、W/T(W/T)とΔd2/Δd1(Δd3/Δd1)との関係を表すグラフである。
【図5】圧電基板が水晶基板により構成されており、W/T、W/T=1.7であるときの圧電基板の変位分布図である。
【図6】図6(a)は、圧電基板が水晶基板により構成されており、W/T、W/T=1.7であるときの第1の溝形成部の変位分布図である。図6(b)は、第1の溝形成部の第3の方向zに沿った変位量を表すグラフである。
【図7】圧電基板が水晶基板により構成されており、W/T、W/T=2.5であるときの圧電基板の変位分布図である。
【図8】図8(a)は、圧電基板が水晶基板により構成されており、W/T、W/T=2.5であるときの第1の溝形成部の変位分布図である。図8(b)は、第1の溝形成部の第3の方向zに沿った変位量を表すグラフである。
【図9】圧電基板が水晶基板により構成されている場合の、T/T(T/T)と、Δd2/Δd1(Δd3/Δd1)との関係を表すグラフである。
【図10】第2の実施形態に係る圧電共振子の略図的側面図である。
【図11】第2の実施形態に係る圧電共振子の変位分布図である。
【図12】第3の実施形態に係る圧電共振子の略図的側面図である。
【図13】圧電基板が圧電セラミック基板により構成されている場合の、W/T(W/T)とΔd2/Δd1(Δd3/Δd1)との関係を表すグラフである。
【図14】圧電基板が圧電セラミック基板により構成されており、W/T、W/T=1.6であるときの圧電基板の変位分布図である。
【図15】図15(a)は、圧電基板が圧電セラミック基板により構成されており、W/T、W/T=1.6であるときの第1の溝形成部の変位分布図である。図15(b)は、第1の溝形成部の第3の方向zに沿った変位量を表すグラフである。
【図16】圧電基板が圧電セラミック基板により構成されている場合の、T/T(T/T)と、Δd2/Δd1(Δd3/Δd1)との関係を表すグラフである。
【図17】特許文献1に記載の圧電共振子の略図的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、本発明を実施した好ましい形態について、図1に示す圧電共振子1を例に挙げて説明する。但し、圧電共振子1は、単なる例示である。本発明は、圧電共振子1に何ら限定されない。
【0026】
図1は、第1の実施形態に係る圧電共振子の略図的斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る圧電共振子の略図的側面図である。図3は、図1における線III−III部分の略図的断面図である。
【0027】
まず、図1〜図3を参照しながら、圧電共振子1の概略構成について説明する。圧電共振子1は、圧電基板10を備えている。圧電基板10の種類は特に限定されない。圧電基板10は、例えば、圧電セラミックからなる圧電セラミック基板により構成されていてもよい。圧電セラミックの例としては、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系セラミックやSBN系セラミックスすなわちビスマス層状構造強誘電体セラミックスが挙げられる。また、圧電基板10は、例えば、水晶基板などの圧電単結晶基板により構成されていてもよい。なかでも、周波数特性の温度依存性を低くでき、高い耐久性が得やすいため、水晶基板により圧電基板10を構成することが好ましく、ATカット水晶基板により構成することがより好ましい。以下、本実施形態では、圧電基板10がATカット水晶基板により構成されている例について説明する。
【0028】
圧電基板10は、第1及び第2の主面10a、10bを備えている。第1及び第2の主面10a、10bのそれぞれは、第1及び第2の方向x、yに沿って延びている。第1の方向xと第2の方向yとは、垂直である。圧電基板10は、第1の方向xに沿って分極されている。すなわち、本実施形態では、第1の方向xが分極方向とされている。
【0029】
図2及び図3に示すように、第1の主面10aの上には、第1の電極11が形成されている。一方、第2の主面10bの上には、第2の電極12が形成されている。第1及び第2の電極11,12の材質は、導電性材料である限りにおいて特に限定されない。第1及び第2の電極11,12は、例えば、Pt,Au,Ag,Cu,Ni,Cr,Al等の金属や、これらの金属のうちの一種以上を含む合金により形成することができる。
【0030】
第1の電極11と第2の電極12とは、第1の方向xにおける圧電基板10の中央部において、第1及び第2の方向x、yに垂直な第3の方向(厚み方向)zにおいて圧電基板10を介して対向している。具体的には、第1及び第2の電極11,12のそれぞれは、互いに対向している対向部11a、12aと、対向部11a、12aから第1の方向xのx1側に延びている端子部11b、12bとを備えている。
【0031】
圧電基板10のうち、第3の方向zにおいて第1及び第2の電極11,12に挟持されている部分は、励振部10Aを構成している。上述のように、圧電基板10は、第1の方向xに沿って分極されており、第1及び第2の電極11,12により第3の方向zの電圧が印加されるため、励振部10Aでは、厚みすべりモードの振動が励起される。
【0032】
圧電基板10の励振部10Aの第1の方向xのx1側の部分は、第1の非励振部10Bを構成している。一方、圧電基板10の励振部10Aの第1の方向xのx2側の部分は、第2の非励振部10Cを構成している。これら第1及び第2の非励振部10B,10Cは、第1及び第2の電極11,12により挟持されていないため、第1及び第2の電極11,12により電圧が印加された際に、励振されない部分である。但し、励振部10Aの振動に起因して第1及び第2の非励振部10B,10Cも振動し得る。
【0033】
第1の非励振部10Bは、第1の溝形成部10eを備えている。第1の溝形成部10eは、第2の方向yに沿って設けられている。第1の溝形成部10eには、横断面矩形状の第1の溝10cが形成されている。第1の溝10cは、第2の方向yの一方側の端部から他方側の端部にわたって、第2の方向yに沿って延びている。第1の溝形成部10eの第1の方向xに沿った幅と、第1の溝10cの第1の方向xに沿った幅Wとは等しい。
【0034】
第2の非励振部10Cは、第2の溝形成部10fを備えている。第2の溝形成部10fは、第2の方向yに沿って設けられている。第2の溝形成部10fには、横断面矩形状の第2の溝10dが形成されている。第2の溝10dは、第2の方向yの一方側の端部から他方側の端部にわたって、第2の方向yに沿って延びている。第2の溝形成部10fの第1の方向xに沿った幅と、第2の溝10dの第1の方向xに沿った幅Wとは等しい。
【0035】
ここで、本実施形態では、第1の溝10cは、第1の溝形成部10eの第1の方向xにおける両端において、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第1の溝形成部10eの振動の第3の方向zに沿った変位量が実質的にゼロとなる形状に形成されている。すなわち、第1の溝10cの第1の方向xに沿った幅Wは、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第1の溝形成部10eの振動の第1の方向x成分の波長のほぼ自然数倍とされている。
【0036】
また、第2の溝10dは、第2の溝形成部10fの第1の方向xにおける両端において、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第2の溝形成部10fの振動の第3の方向zに沿った変位量が実質的にゼロとなる形状に形成されている。すなわち、第2の溝10dの第1の方向xに沿った幅Wは、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第2の溝形成部10fの振動の第1の方向x成分の波長のほぼ自然数倍とされている。
【0037】
このため、本実施形態では、高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現することができる。以下、この理由を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【0038】
実施例として、幅W,Wを種々変化させて圧電共振子を作製し、下記の条件1)及び2)を満たす条件を検討した。
【0039】
1)第1の溝形成部10eの第1の方向xにおける両端において、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第1の溝形成部10eの振動の第3の方向zに沿った変位量が実質的にゼロとなる。
【0040】
2)第2の溝形成部10fの第1の方向xにおける両端において、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第2の溝形成部10fの振動の第3の方向zに沿った変位量が実質的にゼロとなる。
【0041】
また、幅W,Wを種々変化させて作製した圧電共振子のそれぞれについて、図3に示す点d1における変位量(Δd1)に対する点d2,d3における変位量(Δd2、Δd3)の比(Δd2/Δd1(Δd3/Δd1))を求めた。その結果を、図4に示す。なお、図4に示すグラフにおいて、横軸は、W/T(W/T)であり、縦軸は、Δd2/Δd1(Δd3/Δd1)である。また、図3に示す点d1は、励振部10Aのなかで変位量が最大となる点である。
【0042】
また、W/T、W/T=1.7であるときの圧電基板の変位分布図を図5に示し、図6にW/T、W/T=1.7であるときの第1の溝形成部の変位分布図(図6(a))及び第1の溝形成部の第3の方向zに沿った変位量のグラフを示す(図6(b))。なお、図6(b)に示すグラフの横軸は、第1の溝形成部の第1の方向xに沿った座標であり、図6(a)のと対応している。図6(b)に示すグラフの縦軸は、第3の方向zに沿った変位量である。
【0043】
また、W/T、W/T=2.5であるときの圧電基板の変位分布図を図7に示し、図8にW/T、W/T=2.5であるときの第1の溝形成部の変位分布図(図8(a))及び第1の溝形成部の第3の方向zに沿った変位量のグラフを示す(図8(b))。なお、図8(b)に示すグラフの横軸は、第1の溝形成部の第1の方向xに沿った座標であり、図8(a)のと対応している。図8(b)に示すグラフの縦軸は、第3の方向zに沿った変位量である。
【0044】
なお、図4〜図8に示す結果は、励振部10Aの第3の方向zに沿った厚み(T)に対する第1,第2の溝形成部10e、10fの第3の方向zに沿った厚み(T,T)の比(T/T、T/T)は、0.82としたときの結果である。
【0045】
図6に示す結果から、W/T、W/T=1.7としたときに、第1、第2の溝形成部10e、10fの第1の方向xにおける両端において、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第1、第2の溝形成部10e、10fの振動の第3の方向zに沿った変位量が実質的にゼロとなることが分かる。一方、図8に示す結果から、W/T、W/Tが1.7の自然数倍ではないときは、第1、第2の溝形成部10e、10fの第1の方向xにおける両端において、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第1、第2の溝形成部10e、10fの振動の第3の方向zに沿った変位量が実質的にゼロとならないことが分かる。これらの結果から、W/T、W/Tを1.7の自然数倍とすることにより、第1、第2の溝形成部10e、10fの第1の方向xにおける両端における、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第1、第2の溝形成部10e、10fの振動の第3の方向zに沿った変位量を実質的にゼロとすることができることが分かる。
【0046】
また、図4、図5及び図7に示す結果から、第1、第2の溝形成部10e、10fの第1の方向xにおける両端における、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第1、第2の溝形成部10e、10fの振動の第3の方向zに沿った変位量が実質的にゼロとなる条件:W/T、W/T=1.7が満たされるときに、Δd2/Δd1(Δd3/Δd1)が最小となり、W/T、W/Tが1.7から離れるに従ってΔd2/Δd1(Δd3/Δd1)が大きくなることが分かる。W/Tを(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内とし、W/Tを(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内とすることにより、Δd2/Δd1(Δd3/Δd1)を10%以下とすることができる。
【0047】
ここで、Δd2/Δd1(Δd3/Δd1)は、振動エネルギー閉じ込め効率を表す指標となり、Δd2/Δd1(Δd3/Δd1)が低いほど、振動エネルギー閉じ込め効率が高いということになる。従って、以上の結果より、第1、第2の溝形成部10e、10fの第1の方向xにおける両端において、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第1、第2の溝形成部10e、10fの振動の第3の方向zに沿った変位量を実質的にゼロとすることにより、高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現できることが分かる。具体的には、本実施形態のように、圧電基板10が水晶基板である場合には、W/Tを(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内とし(但し、nは自然数)、W/Tを(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内とすることにより(但し、nは自然数。nは、nと等しくてもよいし、n異なっていてもよい。)、高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現できることが分かる。より高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現する観点からは、W/Tを1.7nとし、W/Tを1.7nとすることがより好ましいことが分かる。
【0048】
なお、nとnとは、自然数である限りにおいて特に限定されないが、1,2または3であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
【0049】
次に、励振部10Aの第3の方向zに沿った厚み(T)に対する第1,第2の溝形成部10e、10fの第3の方向zに沿った厚み(T,T)のT/T、T/Tを種々変更して圧電共振子を作製し、T/T(T/T)と、Δd2/Δd1(Δd3/Δd1)との関係を調べた。結果を図9に示す。なお、図9に示す結果は、W/T=1.7、W/T=1.7であるときの結果である。
【0050】
図9に示すように、T/T(T/T)が0.82のときにΔd2/Δd1(Δd3/Δd1)が最小となり、T/T(T/T)が0.82から離れるに従ってΔd2/Δd1(Δd3/Δd1)が大きくなることが分かる。T/T(T/T)が(0.82−0.09)以上(0.82+0.1)以下の範囲内にあるときに、Δd2/Δd1(Δd3/Δd1)を10%以下とすることができることが分かる。従って、T/Tを(0.82n−0.09)以上(0.82n+0.1)以下の範囲内にあり(但し、nは自然数である。)、T/Tを(0.82n−0.09)以上(0.82n+0.1)以下の範囲内とする(但し、nは自然数である。nは、nと等しくてもよいし、異なっていてもよい。)とすることにより、高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現できることが分かる。
【0051】
なお、nとnとは、自然数である限りにおいて特に限定されないが、1,2または3であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
【0052】
さらに、本実施形態では、第1、第2の非励振部10B,10Cの第1,第2の溝形成部10e、10fよりも第1の方向xにおける外側に位置する部分には、圧電基板10よりも比重が大きい錘13a、13bが取り付けられている。これにより、第1、第2の非励振部10B,10Cの第1,第2の溝形成部10e、10fよりも第1の方向xにおける外側に位置する部分が重くされている。よって、第1,第2の溝形成部10e、10fにおける音響反射効果をより高めることができる。従って、さらに高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現することができる。
【0053】
また、本実施形態では、錘13a、13bは、第1の電極11と同一の材料からなる。従って、錘13a、13bを第1の電極11と同一工程で作製することができる。従って、容易に圧電共振子1を作製することができる。
【0054】
以下、上記第1の実施形態の変形例及び他の実施形態について説明する。以下の説明において、上記第1の実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参酌し、説明を省略する。
【0055】
上記第1の実施形態では、第1及び第2の溝10c、10dのそれぞれが所定の条件を満たすように形成されている例について、説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、第1及び第2の溝10c、10dのうちの一方のみが上記所定の条件を満たすように形成されていてもよい。
【0056】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態に係る圧電共振子の略図的側面図である。
【0057】
図10に示すように、本実施形態では、第1の溝形成部10eは、第1の溝10cと共に、第2の主面10b上に第2の方向yに沿って形成されている横断面矩形状の第3の溝10gを有する。また、第2の溝形成部10fは、第2の溝10dと共に、第2の主面10b上に第2の方向yに沿って形成されている横断面矩形状の第4の溝10hを有する。本実施形態では、第1及び第2の溝10c、10dに加えて、第3及び第4の溝10g、10hが形成されているため、より高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現することができる。
【0058】
さらに、本実施形態では、第3の溝10gの第1の方向xに沿った幅Wは、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第1の溝形成部10eの振動の第1の方向x成分の波長の実質的に自然数倍とされている。また、第4の溝10hの第1の方向xに沿った幅Wは、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第2の溝形成部10fの振動の第1の方向x成分の波長の自然数倍とされている。具体的には、W/Tが(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内とされており、W/Tが(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内とされている(但し、n、nのそれぞれは自然数である。また、nとnとは、等しくてもよいし、異なっていてもよい。)。従って、さらに高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現することができる。
【0059】
なお、n〜nは、自然数である限りにおいて特に限定されないが、1,2または3であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
【0060】
また、幅Wと幅Wとは必ずしも等しい必要はない。幅Wと幅Wとは必ずしも等しい必要はない。
【0061】
図11は、本実施形態の圧電共振子の変位分布図である。なお、図11に示す結果は、W/T、W/T、W/T、W/T=1.7かつT/T、T/T=0.82のときの結果である。
【0062】
図11と、図5との比較により、第1及び第2の溝10c、10dに加えて、第3及び第4の溝10g、10hを形成することにより、点d2,d3における変位量をより小さくでき、より高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現することができることが分かる。
【0063】
なお、本実施形態では、第1〜第4の溝10c、10d、10g、10hのそれぞれが所定の条件を満たすように形成されている例について、説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。第1〜第4の溝10c、10d、10g、10hのうちの少なくともひとつが上記条件を満たすように形成されていればよい。
【0064】
(第3の実施形態)
図12は、第3の実施形態に係る圧電共振子の略図的側面図である。
【0065】
上記第1の実施形態では、第1及び第2の溝10c、10dの両方が第1の主面10aに形成されている例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、図12に示すように、第1の溝形成部10eには、第2の主面10b上に第3の溝10gを形成し、第2の溝形成部10fには、第1の主面10a上に第2の溝10dを形成してもよい。
【0066】
(第4の実施形態)
上記第1〜第3の実施形態では、圧電基板10が水晶基板からなる例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。圧電基板10は、例えば、圧電セラミックからなる圧電セラミック基板により構成されていてもよい。その場合においても、第1、第2の溝形成部10e、10fの第1の方向xにおける両端において、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第1、第2の溝形成部10e、10fの振動の第3の方向zに沿った変位量を実質的にゼロとすることにより、高い振動エネルギー閉じ込め効率を実現することができる。
【0067】
但し、圧電基板10が圧電セラミック基板により構成されている場合は、第1、第2の溝形成部10e、10fの第1の方向xにおける両端における、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第1、第2の溝形成部10e、10fの振動の第3の方向zに沿った変位量が実質的にゼロとなる条件、すなわち、W/T、W/T及びT/T、T/Tの好ましい範囲が、圧電基板10が水晶基板により構成されている場合と異なる。
【0068】
図13は、圧電基板が圧電セラミック基板により構成されている場合の、W/T(W/T)とΔd2/Δd1(Δd3/Δd1)との関係を表すグラフである。図14は、圧電基板が圧電セラミック基板により構成されており、W/T、W/T=1.6であるときの圧電基板の変位分布図である。図15(a)は、圧電基板が圧電セラミック基板により構成されており、W/T、W/T=1.6であるときの第1の溝形成部の変位分布図である。図15(b)は、第1の溝形成部の第3の方向zに沿った変位量を表すグラフである。なお、図13〜図15及び下記図16に示す結果は、詳細には、圧電基板10がSBN系セラミックス、すなわちビスマス層状構造強誘電体セラミックスからなる場合の結果である。
【0069】
図13〜図15に示す結果から、圧電基板10が圧電セラミック基板である場合は、第1、第2の溝形成部10e、10fの第1の方向xにおける両端における、励振部10Aの厚みすべり振動に伴う第1、第2の溝形成部10e、10fの振動の第3の方向zに沿った変位量が実質的にゼロとなるのは、W/T、W/Tが1.6であるときであり、W/Tが(1.6n−0.4)以上(1.6n+0.6)以下の範囲内にあり、W/Tが(1.6n−0.4)以上(1.6n+0.6)以下の範囲内にあるときに、高い振動エネルギー閉じ込め効率が得られることが分かる。
【0070】
また、圧電基板10が圧電セラミック基板により構成されており、かつ、上記第2の実施形態のように、第1及び第2の溝10c、10dに加えて、第3及び第4の溝10g、10hが形成されている場合は、さらに、W/Tが(1.6n−0.4)以上(1.6n+0.6)以下の範囲内にあり、W/Tが(1.6n−0.4)以上(1.6n+0.6)以下の範囲内にあることが好ましい。
【0071】
図16は、圧電基板が圧電セラミック基板により構成されている場合の、T/T(T/T)と、Δd2/Δd1(Δd3/Δd1)との関係を表すグラフである。
【0072】
図16に示す結果から、圧電基板10が圧電セラミック基板により構成されている場合は、T/Tが(0.82n−0.1)以上(0.82n+0.09)以下の範囲内にあり、T/Tが(0.82n−0.1)以上(0.82n+0.09)以下の範囲内にあることが好ましいことが分かる。
【符号の説明】
【0073】
1…圧電共振子
10…圧電基板
10A…励振部
10B…第1の非励振部
10C…第2の非励振部
10a…圧電基板の第1の主面
10b…圧電基板の第2の主面
10c…第1の溝
10d…第2の溝
10e…第1の溝形成部
10f…第2の溝形成部
10g…第3の溝
10h…第4の溝
11…第1の電極
12…第2の電極
11a、12a…対向部
11b、12b…端子部
13a、13b…錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向と、前記第1の方向に垂直な第2の方向とに沿って延びる第1及び第2の主面を有し、前記第1の方向に厚みすべり振動を励振する圧電基板と、前記第1の主面上に設けられている第1の電極と、
前記第2の主面上に設けられており、前記第1の方向における前記圧電基板の中央部において、前記第1の電極と対向している第2の電極とを備える圧電共振子であって、
前記圧電基板は、第1及び第2の方向のそれぞれに対して垂直な第3の方向において前記第1及び第2の電極に挟持されている励振部と、前記第1の方向において前記励振部の一方側に位置している第1の非励振部とを有し、
前記第1の非励振部は、第1の溝が第1または第2の主面に前記第2の方向に沿って延びるように形成されている第1の溝形成部を有し、
前記第1の溝は、前記第1の溝形成部の前記第1の方向における両端において、前記励振部の厚みすべり振動に伴う前記第1の溝形成部の振動の、前記第3の方向に沿った変位量が実質的にゼロとなる形状に形成されている、圧電共振子。
【請求項2】
前記第1の溝の前記第1の方向に沿った幅は、前記励振部の厚みすべり振動に伴う前記第1の溝形成部の振動の前記第1の方向成分の波長の自然数倍とされている、請求項1に記載の圧電共振子。
【請求項3】
前記圧電基板は、前記第1の方向において前記励振部の他方側に位置している第2の非励振部をさらに有し、
前記第2の非励振部は、第2の溝が第1または第2の主面に前記第2の方向に沿って延びるように形成されている第2の溝形成部を有し、
前記第2の溝は、前記第2の溝形成部の前記第1の方向における両端において、前記励振部の厚みすべり振動に伴う前記第2の溝形成部の振動の、前記第3の方向に沿った変位量が実質的にゼロとなる形状に形成されている、請求項1または2に記載の圧電共振子。
【請求項4】
前記第2の溝の前記第1の方向に沿った幅は、前記励振部の厚みすべり振動に伴う前記第2の溝形成部の振動の前記第1の方向成分の波長の自然数倍とされている、請求項3に記載の圧電共振子。
【請求項5】
前記第1の溝形成部は、前記第1及び第2の主面のうち、前記第1の溝が形成されていない側の主面に形成されている第3の溝を有し、
前記第2の溝形成部は、前記第1及び第2の主面のうち、前記第2の溝が形成されていない側の主面に形成されている第4の溝を有する、請求項3または4に記載の圧電共振子。
【請求項6】
前記第3の溝の前記第1の方向に沿った幅は、前記励振部の厚みすべり振動に伴う前記第1の溝形成部の振動の前記第1の方向成分の波長の自然数倍とされており、
前記第4の溝の前記第1の方向に沿った幅は、前記励振部の厚みすべり振動に伴う前記第2の溝形成部の振動の前記第1の方向成分の波長の自然数倍とされている、請求項5に記載の圧電共振子。
【請求項7】
前記圧電基板が、水晶基板により構成されており、
前記第1の溝の前記第1の方向に沿った幅をWとし、前記第1の溝形成部の前記第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内にあり、
前記第2の溝の前記第1の方向に沿った幅をWとし、前記第2の溝形成部の前記第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内にある、請求項3〜6のいずれか一項に記載の圧電共振子。
【請求項8】
前記圧電基板が、水晶基板により構成されており、
前記第1の溝の前記第1の方向に沿った幅をWとし、前記第1の溝形成部の前記第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内にあり、
前記第2の溝の前記第1の方向に沿った幅をWとし、前記第2の溝形成部の前記第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内にあり、
前記第3の溝の前記第1の方向に沿った幅をWとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内にあり、
前記第4の溝の前記第1の方向に沿った幅をWとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.7n−0.4)以上(1.7n+0.6)以下の範囲内にある、請求項5または6に記載の圧電共振子。
【請求項9】
前記圧電基板が、水晶基板により構成されており、
前記第1の溝形成部の前記第3の方向に沿った厚みをTとし、前記励振部の前記第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、T/Tが(0.82n−0.09)以上(0.82n+0.1)以下の範囲内にあり、
前記第2の溝形成部の前記第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、T/Tが(0.82n−0.09)以上(0.82n+0.1)以下の範囲内にある、請求項3〜8のいずれか一項に記載の圧電共振子。
【請求項10】
前記圧電基板は、ATカット水晶基板である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の圧電共振子。
【請求項11】
前記圧電基板が、圧電セラミック基板により構成されており、
前記第1の溝の前記第1の方向に沿った幅をWとし、前記第1の溝形成部の前記第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.6n−0.4)以上(1.6n+0.6)以下の範囲内にあり、
前記第2の溝の前記第1の方向に沿った幅をWとし、前記第2の溝形成部の前記第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.6n−0.4)以上(1.6n+0.6)以下の範囲内にある、請求項3〜6のいずれか一項に記載の圧電共振子。
【請求項12】
前記圧電基板が、圧電セラミック基板により構成されており、
前記第1の溝の前記第1の方向に沿った幅をWとし、前記第1の溝形成部の前記第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.6n−0.4)以上(1.6n+0.6)以下の範囲内にあり、
前記第2の溝の前記第1の方向に沿った幅をWとし、前記第2の溝形成部の前記第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.6n−0.4)以上(1.6n+0.6)以下の範囲内にあり、
前記第3の溝の前記第1の方向に沿った幅をWとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.6n−0.4)以上(1.6n+0.6)以下の範囲内にあり、
前記第4の溝の前記第1の方向に沿った幅をWとし、nを自然数としたときに、W/Tが(1.6n−0.4)以上(1.6n+0.6)以下の範囲内にある請求項5または6に記載の圧電共振子。
【請求項13】
前記圧電基板が、圧電セラミック基板により構成されており、
前記第1の溝形成部の前記第3の方向に沿った厚みをTとし、前記励振部の前記第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、T/Tが(0.82n−0.1)以上(0.82n+0.09)以下の範囲内にあり、
前記第2の溝形成部の前記第3の方向に沿った厚みをTとし、nを自然数としたときに、T/Tが(0.82n−0.1)以上(0.82n+0.09)以下の範囲内にある、請求項3〜6,11及び12のいずれか一項に記載の圧電共振子。
【請求項14】
前記第1の非励振部の前記第1の溝形成部よりも前記第1の方向における外側の部分と、前記第2の非励振部の前記第2の溝形成部よりも前記第1の方向における外側に部分とのうちの少なくとも一方に取り付けられており、前記圧電基板よりも比重が大きい錘をさらに備える、請求項1〜13のいずれか一項に記載の圧電共振子。
【請求項15】
前記錘は、前記第1及び第2の主面のうちの少なくとも一方の上に前記第1及び第2の電極と隔離して設けられており、かつ、第1及び第2の電極と同一材料からなる、請求項14に記載の圧電共振子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−151667(P2011−151667A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12224(P2010−12224)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】