説明

圧電振動デバイスおよびその製造方法

【課題】並列容量の大小に関係なく多種の圧電振動片に対して用いられるベースを設けた圧電振動デバイスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】水晶発振器1では、複数の電極パターン8が形成された多層の基板2a〜2dからなるベース2上に、水晶振動片4およびICチップ5が配されている。また、基板2bには、当該水晶発振器1の容量を可変させるための付加容量部83を含む電極パターン8が形成されている。この付加容量部83は、基板2bの両面に対向して形成した電極対83a,83bからなる。そして、基板2bの両面に対向して形成された電極パターン対83a,83bからなる付加容量部83を構成する工程と、水晶振動片4の並列容量に応じて、付加容量部83に対する電気的接続の有無を設定する工程とを有し、水晶発振器1の容量を可変させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動デバイスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、OA機器、通信機器などの各種電子機器に使用される水晶発振器などの圧電振動デバイスの小型化が進められている。ここでいう圧電振動デバイスには、圧電振動片を含む複数の電子部品素子と、複数の電子部品素子を配置するベースと、ベースと接合してベースに配置した複数の電子部品素子を気密封止する蓋とが設けられている。そして、ベースと蓋との接合により圧電振動デバイスの本体筐体が成形される。また、圧電振動デバイスの本体筐体の内部には、複数の電子部品素子を配するためのキャビティが形成されている。具体的に、キャビティ内において、圧電振動片(水晶振動片)とICチップなどの電子部品素子とが配された圧電振動デバイスが従来の技術として開示されている(例えば、下記する特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−297737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、水晶発振器に設けられた水晶振動片では種類により並列容量が大きいものと小さいものとがあり、その並列容量(C0)が小さいときに異常発振(自励発振)を起こす可能性がある。
【0004】
しかしながら、現在用いられているベースは、並列容量の大小に関係なく多種の水晶振動片に対して用いられており、並列容量が小さい水晶振動片を用いる場合、その異常発振を抑制するための対策が必要となる。
【0005】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、並列容量の大小に関係なく多種の圧電振動片に対して用いられるベースを設けた圧電振動デバイスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスは、少なくとも圧電振動片および集積回路素子を含む複数の電子部品を保持する複数の電極パターンが形成されたベースと、前記ベースに保持した前記複数の電子部品を気密封止するためにベースと接合する蓋とが設けられた圧電振動デバイスにおいて、前記ベースは、複数の電極パターンが形成された多層の基板からなり、前記多層の基板のうち任意の基板に、当該圧電振動デバイスの容量を可変させる付加容量部を含む電極パターンが形成され、前記付加容量部を含む電極パターンが切断されたことを特徴とする。
【0007】
または、上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスは、少なくとも圧電振動片および集積回路素子を含む複数の電子部品を保持する複数の電極パターンが形成されたベースと、前記ベースに保持した前記複数の電子部品を気密封止するためにベースと接合する蓋とが設けられた圧電振動デバイスにおいて、前記ベースは、複数の電極パターンが形成された多層の基板からなり、前記多層の基板のうち任意の基板に、当該圧電振動デバイスの容量を付加させるための付加容量部を含む電極パターンが形成され、前記付加容量部を含む電極パターンに対する他の電極パターンへの電気的接続の有無により当該圧電振動デバイスの容量を可変させるように構成されたこと特徴とする。
【0008】
具体的に、上記構成において、前記付加容量部は、前記多層の基板のうちいずれかの前記基板の両面に対向して形成された電極パターン対からなってもよい。
【0009】
上記した本発明によれば、並列容量の大小に関係なく多種の圧電振動片に対して用いることが可能となる。その結果、並列容量が小さい圧電振動片を用いた場合であっても異常発振(自励発振)を起こすのを抑制することが可能となる。特に本発明は高周波帯で使用される集積回路素子に好適である。また、本発明によれば、異常発振を抑制するために新たに専用の電子部品素子(コンデンサなどのチップ部材)を設ける必要がなく、その結果前記ベース上に異常発振を抑制するための電子部品素子(例えばコンデンサを構成するチップ部品)を配する領域を確保しなくてもよく、当該圧電振動デバイスの小型化を図ることが可能となる。また、前記ベースや前記蓋の材料などによって、前記ベースに保持した前記複数の電子部品の気密封止前もしくは後に、当該圧電振動デバイスのアセンブリ工程において周波数のシフト等によって生じる周波数のずれを、当該圧電振動デバイスの容量を変化させて調整することが難しい場合がある。しかしながら、本発明によれば、前記ベースや前記蓋の材料などに関係なく、当該圧電振動デバイスのアセンブリ工程における周波数のずれを、当該圧電振動デバイスの容量を変化させて調整することが可能となり、その結果、当該圧電振動デバイスのアセンブリ工程における歩留まりを良くすることが可能となる。
【0010】
上記構成において、前記電極パターンは前記ベースの外周面に引回され、外周面に引回された前記付加容量部を含む電極パターンが切断されてもよい。
【0011】
この場合、当該圧電振動デバイスの成形後に容量調整を行うことが可能となり、当該圧電振動デバイスの成形後に異常発振を抑えることが可能となる。また、当該圧電振動デバイスの成形後に当該圧電振動デバイスの周波数調整を行うことも可能となる。
【0012】
また、上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスの製造方法は、複数の電極パターンが形成された多層の基板からなるベース上に、少なくとも圧電振動片および集積回路素子を含む複数の電子部品を配置する圧電振動デバイスの製造方法において、前記多層の基板のうちいずれかの前記基板の両面に対向して形成された電極パターン対からなる付加容量部を構成する工程と、前記圧電振動片の並列容量に応じて、前記付加容量部に対する電気的接続の有無を設定する工程とを有し、圧電振動デバイスの容量を可変させること特徴とする。
【0013】
本発明によれば、並列容量の大小に関係なく多種の圧電振動片に対して用いることが可能となる。その結果、並列容量が小さい圧電振動片を用いた場合であっても異常発振(自励発振)を起こすのを抑制することが可能となる。特に本発明は高周波帯で使用される集積回路素子に好適である。また、本発明によれば、異常発振を抑制するために新たに専用の電子部品素子(コンデンサなどのチップ部材)を設ける必要がなく、その結果前記ベース上に異常発振を抑制するための電子部品素子(例えばコンデンサを構成するチップ部品)を配する領域を確保しなくてもよく、当該圧電振動デバイスの小型化を図ることが可能となる。また、本発明によれば、当該圧電振動デバイスの製造工程中に容易に当該圧電振動デバイスの容量を可変させることが可能となる。また、前記ベースや前記蓋の材料などによって、前記ベースに保持した前記複数の電子部品の気密封止前もしくは後に、当該圧電振動デバイスのアセンブリ工程において周波数のシフト等によって生じる周波数のずれを、当該圧電振動デバイスの容量を変化させて調整することが難しい場合がある。しかしながら、本発明によれば、前記ベースや前記蓋の材料などに関係なく、当該圧電振動デバイスのアセンブリ工程における周波数のずれを、当該圧電振動デバイスの容量を変化させて調整することが可能となり、その結果、当該圧電振動デバイスのアセンブリ工程における歩留まりを良くすることが可能となる。
【0014】
前記方法において、前記付加容量部に対する電気的接続の有無は、前記付加容量部を含む電極パターンを変更することで実施してもよい。
【0015】
この場合、当該圧電振動デバイスの並列容量の増減を図ることが可能となる。
【0016】
前記方法において、前記付加容量部に対する電気的接続の有無は、前記付加容量部を含む電極パターンと他の電極パターンとを付加用ワイヤを用いて導通状態とするか、導通状態としないかにより実施してもよい。
【0017】
この場合、当該圧電振動デバイスの並列容量を多くすることが可能となる。
【0018】
前記方法において、前記圧電振動片と前記集積回路素子とを、前記ベース上の平面視重ならない位置に配してもよい。
【0019】
この場合、当該圧電振動デバイスの低背化を行うのに好ましい。また、ワイヤを用いた前記集積回路の前記ベースへの電気的接続を、前記圧電振動片を前記ベースに電気的接続する前か否かを問わずに行うことが可能となる。その結果、前記圧電振動片の特性調整(周波数調整など)や前記集積回路素子を用いた当該圧電振動デバイスの特性調整(容量調整など)を各電子部品素子個別もしくは各電子部品素子に関連付けて行うことを選択することが可能となる。
【0020】
前記方法において、前記付加容量部を形成した基板の厚みが、他の基板の厚みより薄くてもよい。特に、前記付加容量部を形成した基板の厚みが、当該基板に隣接する他の基板の厚みより薄いことが好適である。
【0021】
この場合、当該付加容量部の容量を多くするとともに、前記他の基板に形成された電極パターンによる電気的影響が前記付加容量部に及ぶのを抑制することが可能となる。
【0022】
前記方法において、前記電極パターン対からなる付加容量部を構成する工程では、前記電極パターン対のみを前記ベースの平面視同一位置に形成してもよい。
【0023】
この場合、前記電極パターンのうち他の電極パターンによる電気的影響が前記付加容量部に及ぶのを抑制することが可能となる。
【0024】
前記方法において、前記圧電振動片を前記ベースに電気的に接続する接続工程と、前記接続工程の後に当該圧電振動デバイスの周波数調整を行う調整工程と、を有してもよい。
【0025】
この場合、前記接続工程と前記調整工程とを有するので、当該圧電振動デバイスの異常発振(自励発振)を抑えるだけでなく、さらに、当該圧電振動デバイス(前記圧電振動片)の周波数調整を行うことも可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、並列容量の大小に関係なく多種の水晶振動片に対して用いられるベースを設けた圧電振動デバイスおよびその製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例では、圧電振動デバイスとして表面実装型水晶発振器(以下、水晶発振器という)に本発明を適用した場合を示す。
【実施例1】
【0028】
本実施例にかかる水晶発振器1は、図1〜5に示すように、2つの電子部品素子と、これら電子部品素子を配置して保持するベース2と、ベース2と接合してベース2に配置保持した電子部品素子を気密封止するための蓋3とを、含む構成とする。なお、本実施例では、電子部品素子として、水晶振動片4(本発明でいう圧電振動片)と、ICチップ5(本発明でいう集積回路素子)とを用いる。
【0029】
この水晶発振器1では、ベース2と蓋3とが接合されて本体筐体11が成形され、本体筐体11の内部のベース2上に水晶振動片4とICチップ5とが配される。また、本体筐体11の内部とは、水晶振動片4とICチップ5とを配するための配置領域であるキャビティ12(内部空間)のことをいう。このキャビティ12は、蓋3とベース2により気密封止されたベース2の内部空間である。また、キャビティ12には、底面部13とこの底面部13より上層となる段部14が設けられ、水晶振動片4は段部14上に配され、ICチップ5は底面部13(実質は底面部13に形成された凹部内底面)上に配されている。
【0030】
次に、この水晶発振器1の各構成について説明する。
【0031】
水晶振動片4は、図1に示すように、ATカットの水晶片40からなり、平面視矩形上の一枚板の直方体に成形されている。この水晶振動片4の両主面41,42には、それぞれ励振電極43と、これらの励振電極43を外部電極(本実施例では図1,3に示す電極パッド81)と電気的に接続するために励振電極43から引き出された引出電極44とが形成されている。そして、水晶振動片4は、導電性接合材61を用いてベース2(キャビティ12の段部14)に形成された複数の電極パッド81に電気機械的に接合されている。なお、励振電極43および引出電極44は、真空蒸着法やスパッタリング法により形成され、例えば、水晶振動板側からクロム、金の順に、あるいはクロム、金、クロムの順に、あるいはクロム、銀、クロムの順に積層して形成されている。
【0032】
なお、本実施例では、導電性接合材61として導電性シリコーン系樹脂が用いられているが、しかしながら、導電性シリコーン系樹脂に限定されるものではなく、導電性ウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの他の樹脂であってもよい。また、導電性接合材61としては、前記導電性樹脂に限定されるものではなく、金などの金属バンプが用いられてもよい。この場合は水晶発振器1の小型化に適している。
【0033】
ICチップ5は、図1に示すように、水晶振動片4とともに発振回路を構成する1チップ集積回路素子であり、接続端子51が複数形成されている。本実施例では、ICチップ5にベアチップを採用している。ICチップ5は、接合材(図示省略)によりベース2(キャビティ12)に機械的に接合される。なお、接合材としてポリイミド系樹脂や、エポキシ系樹脂(銀ペースト)、シリコン系樹脂を用いることができる。そして、ICチップ5の複数の接続端子51は、ワイヤ62を用いて電極パッド81に電気的に接続されている。また、複数のワイヤ62は、図1に示すように、キャビティ12内のベース2の平面視上において露出されている。
【0034】
ベース2は、アルミナ等のセラミックとタングステン等の導電材料を適宜積層した4層の基板2a〜2dからなる。このベース2は、図1〜5に示すように、箱状体に形成され、セラミック材料からなる平面視矩形状の一枚板の基板2a上に、所定形状からなる中空を有するセラミック材料からなる3枚の基板2b〜2dを積層して断面視略凹状に一体的に焼成されている。また、中空を有するセラミック材料は、平面視矩形状の一枚板のセラミック材料の表面外周に沿って成形されている。この中空を有するセラミック材料の上面は、蓋3との接合領域21であり、この接合領域21には、蓋3と接合するためのメタライズ領域26(タングステンメタライズからなる領域であり、図1,3に示す金属リング63も含む領域)が設けられている。
【0035】
また、図1〜5に示すように、ベース2を構成する各層2a〜2dにはタングステンメタライズされた電極パターン8が形成されている。なお、図1,3に示すように、キャビティ12に露出する電極パターン8のうち、水晶振動片4と導電性接合材61を用いて接合する電極パッド81は、他の電極パッド81と比べて高く形成されている(図1,3に示すハッチング参照)。
【0036】
ところで、このベース2には、図4,5に示すように、水晶発振器1の容量を可変させる付加容量部83が形成されている。この付加容量部83は、基板2bの両面である表裏面(もしくは基板2aの表面と基板2bの表面)に対向して形成された電極パターン8の一部であり、図6(b)に示すように水晶発振器1の並列容量となる。この付加容量部83は、図4,5に示すように、2つの異なる面積からなる2つの電極パターン対(面積が大きい符号83a、および面積が小さい符号83b)がそれぞれ対向して形成され、その間をセラミックの基板2bが誘電体として介在してなる。また、表裏面に付加容量部83を形成した基板2bの厚みは、図2に示すように、他の基板の厚みより薄い。特に、基板2bの厚みは、基板2bの上下方向(積層方向)に隣接する他の基板2a,2cの厚みより薄く、具体的に基板2a,2cは基板2bに対して1.5倍以上の厚みを有する。また、図1〜5に示すように電極パターン8のうち付加容量部83のみがベース2の平面視同一位置に形成され、他の電極パターン8はベース2の平面視異なる位置に形成されている。
【0037】
また、図1,3〜5に示すように、ベース2の平面視外周には、その一つの長辺22に3つのキャスタレーション7が形成され、その一つの短辺23に2つのキャスタレーション7が形成され、及びその四隅にキャスタレーション7が形成されている。また、本実施例では、ベース2の長辺22および短辺23に、それぞれキャスタレーション7がキャビティ12を挟んで対向して形成されている。また、キャスタレーション7は、ベース2の半円弧状の切り欠き(半円弧状の凹部)が本体筐体11の表面から裏面にかけて形成されている。なお、このキャスタレーション7には電極パターン8が形成されている。
【0038】
また、図1,3に示すように、ベース2の表面24(キャビティ12の底面部13)には、ICチップ5の接続端子51と、外部(外部部品や外部機器)の電極とを電気的に接続するための複数の電極パターン8が形成されている。また、ベース2の表面24(キャビティ12の段部14)には、水晶振動片4の引出電極44と、外部(外部部品や外部機器)の電極と電気的に接続するための複数の電極パターン8が形成されている。また、ベース2の裏面25には、外部(外部部品や外部機器)の電極との接続(接合)の外部端子となる複数の端子電極(図示省略)が形成されている。
【0039】
電極パターン8は、水晶振動片4およびICチップ5と少なくとも電気的に接続するための電極パッド81と、これら電極パッド81をそれぞれに対応したベース2の裏面25に形成される端子電極に引き出すための引回電極82と、上記した水晶発振器1の容量を可変させる付加容量部83とから構成されている。複数の電極パターン8は、キャビティ12内からキャスタレーション7を介してベース2の裏面25に引き出され、水晶振動片4およびICチップ5(主にICチップ5)は端子電極から外部(外部部品や外部機器)と接続(接合)される。なお、本実施例でいう電極パターン8には、少なくとも、Gnd用電極パターンと、出力用電極パターンと、OE(Output Enable)用電極パターンと、VDD用電極パターンと、水晶測定端子用電極パターン(水晶検査端子用電極パターンも含む)等があり、それぞれ対応した端子電極に接続されている。なお、端子電極のうち水晶測定端子についてはキャスタレーション7において外部機器(検査機器)と接続されるように設定してもよい。
【0040】
蓋3は、金属材料からなり、平面視矩形状の一枚板に成形されている。この蓋3は、下面にろう材(図示省略)が形成されており、直接的シーム溶接やビーム溶接等の手法によりコバールからなる金属リング63を介してベース2に接合されて、蓋3とベース2とによる水晶発振器1の本体筐体11が成形される。蓋3の平面視外形はベース2の外形に対して若干小さい構成となっている。
【0041】
上記した構成要件を含んだ水晶発振器1では、ベース2のキャビティ12にICチップ5および水晶振動片4を配してそれぞれ上記したように電気機械的に接合し、これらICチップ5および水晶振動片4を蓋3にて被覆し、ベース2のメタライズ層と蓋3の銀ろう層の一部とを金属リング63を介して接合させ、キャビティ12内のICチップ5および水晶振動片4の気密封止を行う。また、この水晶発振器1では、図1に示すように、キャビティ12内のベース2の平面視重ならない位置に、水晶振動片4とICチップ5とが並べて配されている。
【0042】
この水晶発振器1では、ベース2にICチップ5を接合材により機械的接合を行なっているので、ベース2の電極パッド81にICチップ5をより安定した状態でワイヤボンディングすることができる。
【0043】
また、本体筐体11の内部に水晶振動片4とICチップ5とを配するためのキャビティ12が形成され、キャビティ12には、底面部13とこの底面部13より上層となる段部14が設けられ、水晶振動片4は段部14上に配され、ICチップ5は底面部13上に配されるので、キャビティ12の同一高さの位置(例えば底面部13のみ)に水晶振動片4とICチップ5とが配された場合と比較して、水晶振動片4とICチップ5とはそれぞれ互いに他の位相ノイズ(輻射ノイズ)を考慮しないで電極パターン8の設計を行うことが可能となり、電極パターン8の設計の簡略化を図ることができる。
【0044】
また、水晶振動片4とICチップ5とは、導電性接着材を介してベース2に電気機械的に接合、あるいはバンプを介してベース2に少なくとも機械的に接合されている。バンプを介した接続の場合、水晶振動片4およびICチップ5とベース2との接合領域を狭くすることができ、水晶発振器1の小型化に好適である
次に、上記した水晶発振器1の製造について、図1〜6を用いて説明する。
【0045】
まず、4層の基板2a〜2dに、水晶振動片4とICチップ5との電気的接続を行うための電極パッド81を含む電極パターン8と、電極パッド81とともに水晶発振器1の容量を可変させるための付加容量部83を含む電極パターン8を形成し(形成工程)、これら4層の基板2a〜2dを一体的に焼成してベース2を成形する。なお、この工程では、基板2bの両面に対向して形成された電極パターン対83a,83bからなる付加容量部83を構成する。また、この工程段階では、図4〜6(a)に示すように、付加容量部83のうち電極パターン対83aは導通状態となり、電極パターン対83bは非導通状態となっている。そのため、この状態では図4に示す付加用ワイヤ64による電極パターン8の電気的接続はない。
【0046】
ベース2を成形した後もしくは事前に、当該水晶発振器1に備える水晶振動片4の容量を測定する。そして、水晶振動片4の並列容量に応じて、付加容量部83における電気的接続(電極パターン対83a、83bの導通状態)の有無を設定し、この付加容量部83における電気的接続の有無により当該水晶発振器1の容量を可変させるか否かを選択する(選択工程)。
【0047】
選択工程において当該水晶発振器1の容量を可変させないと判断した場合、付加容量部83の導通状態を電極パターン対83aだけとし電極パターン対83bを非導通状態のままでベース2のキャビティ12内にICチップ5を配し、ICチップ5を接合材によりキャビティ12に機械的に接合する。この時の付加容量部83の概略回路は図6(a)に示す通りである。
【0048】
また、選択工程において当該水晶発振器1の容量を可変させる場合、図4,6(b)に示すように、電極パターン対83bを導通状態とするために付加用ワイヤ64により電極パターン8を他の電極パターン8に電気的接続する(導通状態とする)。そして、ベース2のキャビティ12内にICチップ5を配し、ICチップ5を接合材によりキャビティ12に機械的に接合する。
【0049】
上記したように、選択工程における付加容量部83に対する電気的接続の有無は、付加容量部83を含む電極パターン8と他の電極パターン8とを付加用ワイヤ64を用いて導通状態とするか、導通状態としないかにより実施する。
【0050】
ICチップ5の機械的接合を終えた後に、ベース2のキャビティ12内の段部14上に水晶振動片4を配する。段部14に配した水晶振動片4を導電性接合材61を用いて段部14に形成された複数の電極パッド81に電気機械的に接合する(接続工程)。そして、ベース2の電極パッド81とICチップ5の接続端子51とをワイヤ62を用いて電気的に接続(ワイヤボンディングする)する。すなわち、ベース2の電極パッド81とICチップ5の接続端子51とをワイヤ62を用いて電気的に接続して導通状態とする。なお、ワイヤ62によるベース2の電極パッド81とICチップ5の接続端子51との接続は、水晶振動片4の前記段部14上への導電性接合材61による接合前に行ってもよい。
【0051】
水晶振動片4とICチップ5とのベース2のキャビティ12への電気機械的接合を終えた後に、水晶振動片4をミーリングして水晶振動片4の周波数調整を行う(調整工程)。
【0052】
水晶振動片4へのミーリングによる周波数調整を終えた後に、水晶振動片4をアニールして加熱成形による歪みを除去する。
【0053】
水晶振動片4のアニールを終えた後に、ベース2の開口に蓋3を配して水晶振動片4とICチップ5とを蓋3にて被覆する。そして、金属リング63を用いてベース2と蓋3との接合を行い、キャビティ12内のICチップ5および水晶振動片4の気密封止を行う。
【0054】
金属リング63を用いたベース2と蓋3との接合により水晶振動片4とICチップ5との気密封止を行なった後に、当該水晶発振器1の特性を測定して水晶発振器1を製造する。
【0055】
上記した水晶発振器1の製造方法では、接合材を先に接合(硬化)させ、後工程で接合する導電性接合材61の温度もしくはベース2の電極パッド81に水晶振動片4を接合する際のキャビティ12内の接合雰囲気は、接合材の温度に対して略同じ温度以下の温度に設定されるので、本実施例にかかる水晶発振器1の製造において発生する不要なガスを極力抑えて水晶振動片4やICチップ5への不具合をなくすとともに、水晶振動片4の接合の信頼性を確保することができる。
【0056】
上記したように、本実施例1にかかる水晶発振器1によれば、ベース2は、多層の基板2a〜2dからなり、多層の基板2a〜2dのうち任意の基板に、当該水晶発振器1の容量を可変させる付加容量部83を含む電極パターン8が形成され、付加容量部83を含む電極パターン8が切断されるので、並列容量の大小に関係なく多種の水晶振動片4に対して用いることができる。その結果、並列容量が小さい水晶振動片4を用いた場合であっても異常発振(自励発振)を起こすのを抑制することができる。特に本実施例は高周波帯で使用されるICチップ5に好適である。また、本実施例によれば、異常発振を抑制するために新たに専用の電子部品素子(コンデンサなどのチップ部材)を設ける必要がなく、その結果ベース2上に異常発振を抑制するための電子部品素子(例えばコンデンサを構成するチップ部品)を配する領域を確保しなくてもよく、当該水晶発振器1の小型化を図ることができる。
【0057】
また、電極パターン8はベース2の外周面に引回され、外周面(短辺23側)に引回された付加容量部83を含む電極パターン8が切断されるので、当該水晶発振器1の成形後に容量調整を行うことができ、当該水晶発振器1の成形後に異常発振を抑えることができる。また、当該水晶発振器1の成形後に当該水晶発振器1の周波数調整を行うこともできる。
【0058】
また、上記したように、本実施例1にかかる水晶発振器1の製造方法によれば、並列容量の大小に関係なく多種の水晶振動片4に対して用いることができる。その結果、並列容量が小さい水晶振動片4を用いた場合であっても異常発振(自励発振)を起こすのを抑制することができる。特に本実施例は高周波帯で使用されるICチップ5に好適である。また、本実施例によれば、異常発振を抑制するために新たに専用の電子部品素子(コンデンサなどのチップ部材)を設ける必要がなく、その結果ベース2上に異常発振を抑制するための電子部品素子(例えばコンデンサを構成するチップ部品)を配する領域を確保しなくてもよく、当該水晶発振器1の小型化を図ることができる。また、本実施例1によれば、当該水晶発振器1の製造工程中に容易に当該水晶発振器1の容量を可変させることができる。
【0059】
また、ベース2や蓋3の材料などによって、水晶振動片4やICチップなどの電子部品の気密封止前もしくは後に、水晶発振器1のアセンブリ工程において周波数のシフト等によって生じる周波数のずれを、水晶発振器1の容量を変化させて調整することが難しい場合がある。しかしながら、本実施例1によれば、ベース2や蓋3の材料などに関係なく、水晶発振器1のアセンブリ工程における周波数のずれを、水晶発振器1の容量を変化させて調整することができ、その結果、水晶発振器1のアセンブリ工程における歩留まりを良くすることができる。
【0060】
また、付加容量部83に対する電気的接続の有無は、付加容量部83を含む電極パターン8と他の電極パターン8とを付加用ワイヤ64を用いて導通状態とするか、導通状態としないかにより実施するので、当該水晶発振器1の並列容量を多くすることができる。
【0061】
また、水晶振動片4とICチップ5とを、ベース2上の平面視重ならない位置に配するので、当該水晶発振器1の低背化を行うのに好ましい。また、ワイヤ62を用いたICチップ5のベース2への電気的接続を、水晶振動片4をベース2に電気的接続する前か否かを問わずに行うことができる。その結果、水晶振動片4の特性調整(周波数調整など)やICチップ5を用いた当該水晶発振器1の特性調整(容量調整など)を各電子部品素子個別もしくは各電子部品素子に関連付けて行うことを選択することができる。
【0062】
また、付加容量部83を形成した基板2bの厚みが、他の基板の厚みより薄い。具体的には、付加容量部83を形成した基板2a,2cの厚みが、基板2bに隣接する他の基板2a,2cの厚みより薄いので、付加容量部83の容量を多くするとともに、他の基板2a,2cに形成された電極パターン8による電気的影響が付加容量部83に及ぶのを抑制することができる。
【0063】
また、電極パターン対83a,83bからなる付加容量部83を構成する工程では、電極パターン対3a,83bのみをベース2の平面視同一位置に形成するので、電極パターン8のうち他の電極パターン8による電気的影響が付加容量部83に及ぶのを抑制することができる。
【0064】
また、接続工程と調整工程とを有するので、当該水晶発振器1の異常発振(自励発振)を抑えるだけでなく、さらに、当該水晶発振器1(水晶振動片4)の周波数調整を行うこともできる。
【0065】
なお、上記した本実施例では、圧電振動デバイスとして表面実装型水晶発振器1を用いたが、これに限定されるものではなく、水晶振動子や水晶振動片フィルタなどの他の圧電振動する他の圧電振動デバイスであってもよい。また、圧電材料の好適な例として水晶を用いているが、これに限定されるものではない。
【0066】
また、本実施例では、ベース2を4層の基板2a〜2dから構成しているが、これに限定されるものではなく、複数層(多層)であればベース2を任意の層の基板から構成してもよい。
【0067】
また、本実施例では、封止用の金属リング63を用いてベース2と蓋3との接合を行っているが、これに限定されるものではない。例えば、封止用の金属リングを用いずに直接的シーム溶接による気密封止(直接的シーム封止)を行ってもよい。この場合、蓋3の長辺31と短辺32に沿ってシームローラ(図示省略)を走査させることで、蓋3に形成された銀ろう層の一部とベース2のメタライズ層を接合して水晶発振器1を製造する。
【0068】
また、上記した実施例では、水晶振動片4とICチップ5とのベース2のキャビティ12への電気機械的接合を終えた後に、水晶振動片4をミーリングして水晶振動片4の周波数調整を行なっているが、これに限定されるものではなく、水晶振動片4の周波数に基づいて他の周波数調整工程を行なってもよく、例えば水晶振動片4をパーシャル蒸着して水晶振動片4の周波数調整を行なってもよい。
【0069】
また、上記した本実施例では、2つの電子部品素子を用いているが、電子部品素子の数は限定されるものではなく任意に設定可能である。
【0070】
また、上記した本実施例では、水晶振動片4は、ベース2に片保持されているが、これに限定されるものではなく、ベース2に両保持する水晶振動片4を用いてもよい。そのため、本実施例にかかるベース2によれば、水晶振動片4の保持形態を限定せずに多種の水晶振動片に用いることができる。
【0071】
また、本実施例にかかるベース2は、上記した構成に限定されるものではなく、ベース2の基板2bの上下層に絶縁材料からなる層を設けることで、他の基板2a,2cに形成された電極パターン8による電気的影響が付加容量部83に及ぶのを抑制することができる。
【0072】
また、上記したベース2と蓋3との接合に関して、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えばビーム封止する構成を採用することができる。
【0073】
また、本実施例では、ベース2の形状を箱型形状(断面視凹状)とし、蓋3の形状を平面視矩形状の一枚板としているが、これに限定されるものではなく、例えば、ベース2の形状を平面視矩形状の一枚板とし、蓋3の形状を箱型形状(断面視凹状)としてもよい。この場合、蓋3の側面にキャスタレーション7が形成されてもよい。すなわち、本実施例では、キャスタレーション7は、本体筐体11の側面に形成されていればよい。
【0074】
また、本実施例では、図1に示すように、キャビティ12内のベース2の平面視上において、ワイヤ62を露出した状態で水晶振動片4とICチップ5とが並べて配されているが、キャビティ12内のベース2の平面視上においてワイヤ62を露出した状態で水晶振動片4とICチップ5とを重ね合わせた状態であれば本実施例の作用効果を有する。
【0075】
また、本実施例では、当該水晶発振器1の容量を可変させるために、付加用ワイヤ64により付加容量部83の電極パターン8を他の電極パターン8に接続しているが、これに限定されるものではなく、付加容量部83を含む電極パターン8に対する他の電極パターン8への電気的接続の有無により当該水晶発振器1の並列容量を可変させるように構成されたものであればよく、例えばスイッチング回路であってもよい。または、以下に示す実施例2に示すような他の形態であってもよい。
【実施例2】
【0076】
次に、本実施例2にかかる水晶発振器1を図面を用いて説明する。なお、本実施例2にかかる水晶発振器1は、上記した実施例1に対して、電極パターン8のパターン形状および選択工程が異なる。そこで、本実施例2では、上記した実施例1と異なる構成について説明し、同一の構成についての説明を省略する。そのため、同一構成による作用効果及び変形例は、上記した実施例1と同様の作用効果及び変形例を有する。
【0077】
本実施例にかかる水晶発振器1は、図7〜11に示すように、ベース2と蓋3と水晶振動片4とICチップ5とを含む構成とし、水晶振動片4とベース2とのそれぞれ長手方向を同一向きになるように水晶振動片4がベース2に配されている。また、図7に示すように、ICチップ5をベース2に電気的接続するために用いたワイヤ62の一部が水晶振動片4によってベース2の平面視上覆われて配されている。
【0078】
このベース2には、水晶発振器1の容量を可変させる付加容量部83が形成されている。この付加容量部83は、基板2bの両面である表裏面(もしくは基板2aの表面と基板2bの表面)に対向して形成された電極パターン8の一部であり、図13に示すように水晶発振器1の並列容量となる。この付加容量部83は、図10,11に示すように、3つの略同一面積からなる3つの電極パターン対83a〜83cがそれぞれ面を対向して形成され、その間をセラミックの基板2bが誘電体として介在してなる。また、表裏面に付加容量部83を形成した基板2bの厚みは、他の基板の厚みより薄い。特に、基板2bの厚みは、図8に示すように、基板2bの上下方向(積層方向)に隣接する他の基板2a,2cの厚みより薄く、具体的に基板2a,2cは基板2bに対して1.5倍以上の厚みを有する。また、図7〜11に示すように電極パターン8のうち付加容量部83のみがベース2の平面視同一位置に形成され、他の電極パターンはベース2の平面視異なる位置に形成されている。
【0079】
電極パターン8は、水晶振動片4およびICチップ5と少なくとも電気的に接続するための電極パッド81と、これら電極パッド81をそれぞれに対応したベース2の裏面25に形成される端子電極に引き出すための引回電極82と、上記した水晶発振器1の容量を可変させる付加容量部83とから構成されている。複数の電極パターン8は、キャビティ12内からキャスタレーション7を介してベース2の裏面25に引き出され、水晶振動片4およびICチップ5(主にICチップ5)は端子電極から外部(外部部品や外部機器)と接続(接合)される。
【0080】
上記した構成要件を含んだ水晶発振器1では、ベース2のキャビティ12にICチップ5および水晶振動片4を配してそれぞれ上記したように電気機械的に接合し、これらICチップ5および水晶振動片4を蓋3にて被覆し、ベース2のメタライズ層と蓋3の銀ろう層の一部とを金属リング63を介して接合させ、キャビティ12内のICチップ5および水晶振動片4の気密封止を行う。また、この水晶発振器1では、図7〜11に示すように、キャビティ12内のベース2の平面視重ならない位置に、水晶振動片4とICチップ5とが並べて配されている。
【0081】
次に、上記した水晶発振器1の製造について、図7〜13を用いて説明する。
【0082】
まず、4層の基板2a〜2dに、水晶振動片4とICチップ5との電気的接続を行うための電極パッド81を含む電極パターン8と、電極パッド81とともに水晶発振器1の容量を可変させるための付加容量部83を含む電極パターン8を形成し(形成工程)、これら4層の基板2a〜2dを一体的に焼成してベース2を成形する。なお、この工程では、基板2bの両面に対向して形成された電極パターン対83a〜83cからなる付加容量部83を構成する。また、この工程段階では、図10,11,12(a),13(a)に示すように、付加容量部83のうち電極パターン対83a〜83cは導通状態となっている。
【0083】
ベース2を成形した後もしくは事前に、当該水晶発振器1に備える水晶振動片4の容量を測定する。そして、水晶振動片4の並列容量に応じて、付加容量部83における電気的接続(電極パターン対83a、83bの導通状態)の有無を設定し、この付加容量部83における電気的接続の有無により当該水晶発振器1の容量を可変させるか否かを選択する(選択工程)。
【0084】
選択工程において当該水晶発振器1の容量を可変させないと判断した場合、付加容量部83の導通状態を電極パターン対83a〜83cとしたままでベース2のキャビティ12内にICチップ5を配し、ICチップ5を接合材によりキャビティ12に機械的に接合する。その後、ワイヤ62を用いてICチップ5の接続端子51と電極パッド81と電気的に接続する(ワイヤボンディングする)。すなわち、ベース2の電極パッド81とICチップ5の接続端子51とをワイヤ62を用いて電気的に接続して導通状態とする。この時の付加容量部83の概略回路は図13(a)に示す通りである。
【0085】
また、選択工程において当該水晶発振器1の容量を可変させる場合、付加容量部83を含む電極パターン8を変更する。具体的に、図12(b)もしくは図12(c)に示すように、ベース2の短辺23に形成されたキャスタレーション7に引回された付加容量部83を含む電極パターン8をレーザエッチング法を用いて切断し、切断した付加容量部83を含む電極パターン8の非導通状態とする(図13(b),図13(c)参照)。そして、ベース2のキャビティ12内にICチップ5を配し、ICチップ5を接合材によりキャビティ12に機械的に接合する。その後、ワイヤ62を用いてICチップ5の接続端子51と電極パッド81と電気的に接続する(ワイヤボンディングする)。すなわち、ベース2の電極パッド81とICチップ5の接続端子51とをワイヤ62を用いて電気的に接続して導通状態とする。なお、レーザエッチング法による付加容量部83を含む電極パターンの切断は図13(b),図13(c)に示すような1ヶ所だけに限定されず、2箇所が切断されていてもよい。
【0086】
上記したように、選択工程における付加容量部83に対する電気的接続の有無は、付加容量部83を含む電極パターンを変更することで実施する。
【0087】
ICチップ5の電気機械的接合を終えた後に、ベース2のキャビティ12内の段部14上に水晶振動片4を配する。段部14に配した水晶振動片4を導電性接合材61を用いて段部14に形成された複数の電極パッド81に電気機械的に接合する(接続工程)。
【0088】
水晶振動片4とICチップ5とのベース2のキャビティ12への電気機械的接合を終えた後に、水晶振動片4をミーリングして水晶振動片4の周波数調整を行う(調整工程)。
【0089】
水晶振動片4へのミーリングによる周波数調整を終えた後に、水晶振動片4をアニールして加熱成形による歪みを除去する。
【0090】
水晶振動片4のアニールを終えた後に、ベース2の開口に蓋3を配して水晶振動片4とICチップ5とを蓋3にて被覆する。そして、金属リング63を用いてベース2と蓋3との接合を行い、キャビティ12内のICチップ5および水晶振動片4の気密封止を行う。
【0091】
金属リング63を用いたベース2と蓋3との接合により水晶振動片4とICチップ5との気密封止を行なった後に、当該水晶発振器1の特性を測定して水晶発振器1を製造する。
【0092】
上記した本実施例2にかかる水晶発振器1およびその製造方法によれば、並列容量の大小に関係なく多種の水晶振動片4に対して用いることが可能となる。その結果、並列容量が小さい水晶振動片4を用いた場合であっても異常発振(自励発振)を起こすのを抑制することができる。特に本実施例は高周波帯で使用されるICチップ5に好適である。また、本実施例2によれば、異常発振を抑制するために新たに専用の電子部品素子(コンデンサなどのチップ部材)を設ける必要がなく、その結果ベース2上に異常発振を抑制するための電子部品素子(例えばコンデンサを構成するチップ部品)を配する領域を確保しなくてもよく、当該水晶発振器1の小型化を図ることができる。また、本実施例によれば、当該水晶発振器1の製造工程中に容易に当該水晶発振器1の容量を可変させることができる。
【0093】
また、ベース2や蓋3の材料などによって、水晶振動片4やICチップなどの電子部品の気密封止前もしくは後に、水晶発振器1のアセンブリ工程において周波数のシフト等によって生じる周波数のずれを、水晶発振器1の容量を変化させて調整することが難しい場合がある。しかしながら、本実施例1によれば、ベース2や蓋3の材料などに関係なく、水晶発振器1のアセンブリ工程における周波数のずれを、水晶発振器1の容量を変化させて調整することができ、その結果、水晶発振器1のアセンブリ工程における歩留まりを良くすることができる。
【0094】
また、本実施例2によれば、上記した実施例1と同一構成に関して上記した実施例1及び変形例による作用効果を有する。
【0095】
また、付加容量部83に対する電気的接続の有無は、付加容量部83を含む電極パターン8を変更することで実施するので、当該水晶発振器1の並列容量の増減を図ることができる。
【0096】
なお、本実施例では上記した実施例1と同様のサイズの水晶振動片4を用いているが、これに限定されるものではなく、キャビティ12の平面視サイズと同様のサイズの水晶振動片4を用いて、ベース2の平面視上ICチップ5が水晶振動片4によって覆われるように構成してもよい。すなわち、本実施例では、ベース2(キャビティ12)の平面視長手方向両端に配された水晶振動片4用の電極パッド81が設けられているので、様々な寸法の水晶振動片4を用いることができる。
【0097】
また、本実施例では、付加容量部83を含む電極パターン8の変更を接続工程の前に行っているが、これに限定されるものではなく、接続工程の後に行ってもよい。
【0098】
具体的には周波数の調整をする為に付加容量部83を含む電極パターン8の変更を気密封止後(電気的特性検査前等)に行ってもよい。
【0099】
また、本実施例では、付加容量部83を含む電極パターン8を変更するために、ベース2の短辺23に形成されたキャスタレーション7に引回された付加容量部83を含む電極パターン8をレーザエッチング法を用いて切断しているが、これは好適な例であり、これに限定されるものではなく、付加容量部83を含む電極パターン8の他の位置を切断してもよい。また、エッチングはレーザに限定されるものではなく他のエッチング法により行ってもよい。
【0100】
また、上記した実施例1,2では、それぞれ異なる手段により当該水晶発振器1の容量を可変させているが、これに限定されるものではない。すなわち、これら実施例1,2の手段を併用した以下に示す実施例3に示すような他の形態であってもよい。
【実施例3】
【0101】
次に、本実施例3にかかる水晶発振器1を図面を用いて説明する。なお、本実施例3にかかる水晶発振器1は、上記した実施例2に対して、電極パターン8のパターン形状および選択工程が異なる。そこで、本実施例3では、上記した実施例1,2と異なる構成について説明し、同一の構成についての説明を省略する。そのため、同一構成による作用効果及び変形例は、上記した実施例1,2と同様の作用効果及び変形例を有する。
【0102】
本実施例にかかる水晶発振器1は、図14〜18に示すように、ベース2と蓋3と水晶振動片4とICチップ5とを含む構成とする。
【0103】
このベース2には、水晶発振器1の容量を可変させる付加容量部83が形成されている。この付加容量部83は、基板2bの両面である表裏面(もしくは基板2aの表面と基板2bの表面)に対向して形成された電極パターン8の一部であり、図20に示すように水晶発振器1の並列容量となる。この付加容量部83は、図17,18に示すように、3つの略同一面積からなる3つの電極パターン対83a〜83cがそれぞれ面を対向して形成され、その間をセラミックの基板2bが誘電体として介在してなる。また、表裏面に付加容量部83を形成した基板2bの厚みは、他の基板の厚みより薄い。特に、基板2bの厚みは、基板2bの上下方向(積層方向)に隣接する他の基板2a,2cの厚みより薄く、具体的に基板2a,2cは基板2bに対して1.5倍以上の厚みを有する。また、図14〜18に示すように電極パターン8のうち付加容量部83のみがベース2の平面視同一位置に形成され、他の電極パターンはベース2の平面視異なる位置に形成されている。
【0104】
電極パターン8は、水晶振動片4およびICチップ5と少なくとも電気的に接続するための電極パッド81と、これら電極パッド81をそれぞれに対応したベース2の裏面25に形成される端子電極に引き出すための引回電極82と、上記した水晶発振器1の容量を可変させる付加容量部83とから構成されている。複数の電極パターン8は、キャビティ12内からキャスタレーション7を介してベース2の裏面25に引き出され、水晶振動片4およびICチップ5(主にICチップ5)は端子電極から外部(外部部品や外部機器)と接続(接合)される。
【0105】
上記した構成要件を含んだ水晶発振器1では、ベース2のキャビティ12にICチップ5および水晶振動片4を配してそれぞれ上記したように電気機械的に接合し、これらICチップ5および水晶振動片4を蓋3にて被覆し、ベース2のメタライズ層と蓋3の銀ろう層の一部とを金属リング63を介して接合させ、キャビティ12内のICチップ5および水晶振動片4の気密封止を行う。また、この水晶発振器1では、図14〜18に示すように、キャビティ12内のベース2の平面視重ならない位置に、水晶振動片4とICチップ5とが並べて配されている。
【0106】
次に、上記した水晶発振器1の製造について、図14〜20を用いて説明する。
【0107】
まず、4層の基板2a〜2dに、水晶振動片4とICチップ5との電気的接続を行うための電極パッド81を含む電極パターン8と、電極パッド81とともに水晶発振器1の容量を可変させるための付加容量部83を含む電極パターン8を形成し(形成工程)、これら4層の基板2a〜2dを一体的に焼成してベース2を成形する。なお、この工程では、基板2bの両面に対向して形成された電極パターン対83a〜83cからなる付加容量部83を構成する。また、この工程段階では、図14〜18,19(a),20(a)に示すように、付加容量部83のうち電極パターン対83a〜83bは導通状態となり、電極パターン対83cは非導通状態となっている。そのため、図17に示す付加用ワイヤ64による電極パターン8の電気的接続はない。
【0108】
ベース2を成形した後もしくは事前に、当該水晶発振器1に備える水晶振動片4の容量を測定する。そして、水晶振動片4の並列容量に応じて、付加容量部83における電気的接続(電極パターン対83a、83bの導通状態)の有無を設定し、この付加容量部83における電気的接続の有無により当該水晶発振器1の容量を可変させるか否かを選択する(選択工程)。
【0109】
選択工程において当該水晶発振器1の容量を可変させないと判断した場合、付加容量部83の導通状態を電極パターン対83a,83bだけとし電極パターン対83cを非導通状態のままでベース2のキャビティ12内にICチップ5を配し、ICチップ5を接合材によりキャビティ12に機械的に接合する。この時の付加容量部83の概略回路は図20(a)に示す通りである。その後、ワイヤ62を用いてICチップ5の接続端子51と電極パッド81と電気的に接続する(ワイヤボンディングする)。すなわち、ベース2の電極パッド81とICチップ5の接続端子51とをワイヤ62を用いて電気的に接続して導通状態とする。
【0110】
また、選択工程において当該水晶発振器1の容量を可変させる場合、以下の3つの工程の少なくとも1つを選択する。
【0111】
1つ目の工程では、付加容量部83を含む電極パターン8を変更する。具体的に、図19(b),19(c)に示すように、ベース2の短辺23に形成されたキャスタレーション7に引回された付加容量部83を含む電極パターン8をレーザエッチング法を用いて切断し、切断した付加容量部83を含む電極パターン8を非導通状態とする(図20(c)参照)。
【0112】
2つ目の工程では、図17,20(b)に示すように、電極パターン対83cを導通状態とするために付加用ワイヤ64により電極パターン8を他の電極パターン対83bを含む電極パターン8に電気的接続する(導通状態とする)。
【0113】
3つ目の工程では、上記した2つの工程を併用する。すなわち、図17,19(b),19(c),20(d)に示すように、ベース2の短辺23に形成されたキャスタレーション7に引回された付加容量部83を含む電極パターン8をレーザエッチング法を用いて切断し、切断した付加容量部83を含む電極パターン8を非導通状態とするとともに、電極パターン対83cを導通状態とするために付加用ワイヤ64により電極パターン8を他の電極パターン対83bを含む電極パターン8に電気的接続する(導通状態とする)。
【0114】
上記したように、選択工程における付加容量部83に対する電気的接続の有無は、上記した実施例1,2それぞれに示す工程を単独もしくは併用する。
【0115】
上記した3つの当該水晶発振器1の容量を可変させる工程の後に、ベース2のキャビティ12内にICチップ5を配し、ICチップ5を接合材によりキャビティ12に機械的に接合する。その後、ワイヤ62を用いてICチップ5の接続端子51と電極パッド81と電気的に接続する(ワイヤボンディングする)。すなわち、ベース2の電極パッド81とICチップ5の接続端子51とをワイヤ62を用いて電気的に接続して導通状態とする。
【0116】
ICチップ5の電気機械的接合を終えた後に、ベース2のキャビティ12内の段部14上に水晶振動片4を配する。段部14に配した水晶振動片4を導電性接合材61を用いて段部14に形成された複数の電極パッド81に電気機械的に接合する(接続工程)。
【0117】
水晶振動片4とICチップ5とのベース2のキャビティ12への電気機械的接合を終えた後に、水晶振動片4をミーリングして水晶振動片4の周波数調整を行う(調整工程)。
【0118】
水晶振動片4へのミーリングによる周波数調整を終えた後に、水晶振動片4をアニールして加熱成形による歪みを除去する。
【0119】
水晶振動片4のアニールを終えた後に、ベース2の開口に蓋3を配して水晶振動片4とICチップ5とを蓋3にて被覆する。そして、金属リング63を用いてベース2と蓋3との接合を行い、キャビティ12内のICチップ5および水晶振動片4の気密封止を行う。
【0120】
金属リング63を用いたベース2と蓋3との接合により水晶振動片4とICチップ5との気密封止を行なった後に、当該水晶発振器1の特性を測定して水晶発振器1を製造する。
【0121】
本実施例3にかかる水晶発振器1およびその製造方法によれば、上記した実施例1,2の手段を併用しているので、上記した実施例1,2及びこれらの変形例による作用効果を有する。
【0122】
また、上記した本実施例1〜3では、上記した実施例1で述べたように、水晶振動片4はベース2に片保持されているが、これに限定されるものではない。すなわち、ベース2に両保持する水晶振動片4を用いてもよく、その実施形態を以下の実施例4に示す。
【実施例4】
【0123】
次に、本実施例4にかかる水晶発振器1を図面を用いて説明する。なお、本実施例4にかかる水晶発振器1は、上記した実施例1に対して、電極パターン8のパターン形状が異なる。そこで、本実施例4では、上記した実施例1〜3と異なる構成について説明し、同一の構成についての説明を省略する。また、上記した実施例1〜3と同一構成による作用効果及び変形例は、上記した実施例1〜3と同様の作用効果及び変形例を有する。なお、本実施例4の水晶発振器1の製造方法は上記した実施例1〜3の製造方法を適用するものであり、この実施例4の製造方法の記載を省略する。
【0124】
本実施例にかかる水晶発振器4にかかるベース2には、図21〜23に示すように、水晶発振器1の容量を可変させる付加容量部83が形成されている。この付加容量部83は、基板2bの両面である表裏面(もしくは基板2aの表面と基板2bの表面)に対向して形成された電極パターン8の一部であり、水晶発振器1の並列容量となる。この付加容量部83は、図22,23に示すように、2つの異なる面積からなる2つの電極パターン対(面積が大きい符号83a、および面積が小さい符号83b)がそれぞれ対向して形成され、その間をセラミックの基板2bが誘電体として介在してなる。また、図21〜23に示すように電極パターン8のうち付加容量部83のみがベース2の平面視同一位置に形成され、他の電極パターン8はベース2の平面視異なる位置に形成されている。
【0125】
電極パターン8は、水晶振動片4およびICチップ5と少なくとも電気的に接続するための電極パッド81(81a,81bを含む)と、これら電極パッド81をそれぞれに対応したベース2の裏面25に形成される端子電極に引き出すための引回電極82と、上記した水晶発振器1の容量を可変させる付加容量部83とから構成されている。複数の電極パターン8は、キャビティ12内からキャスタレーション7を介してベース2の裏面25に引き出され、水晶振動片4およびICチップ5(主にICチップ5)は端子電極から外部(外部部品や外部機器)と接続(接合)される。なお、本実施例4では、図21に示すように、水晶振動片4用に電極パッド81a,81bが合計4つ形成されている。そして、図21の下方側に形成された2つの電極パッド81aを用いることで付加容量83を用いた容量可変を行うことができる。また、図21の上方側に形成された2つの電極パッド81bを用いることで付加容量83を用いない容量可変を行なわない構成とすることができる。そのため、水晶振動片4のベース2への搭載方向によっても付加容量83を用いるか否かを選択することができる。
【0126】
上記した構成要件を含んだ水晶発振器1では、ベース2のキャビティ12にICチップ5および水晶振動片4を配してそれぞれ上記したように電気機械的に接合し、これらICチップ5および水晶振動片4を蓋3にて被覆し、ベース2のメタライズ層と蓋3の銀ろう層の一部とを金属リング63を介して接合させ、キャビティ12内のICチップ5および水晶振動片4の気密封止を行う。また、この水晶発振器1では、図21〜23に示すように、キャビティ12内のベース2の平面視重ならない位置に、水晶振動片4とICチップ5とが並べて配されるように設計されている。
【0127】
本実施例4にかかる水晶発振器1およびその製造方法によれば、上記した実施例1〜3の手段を併用しているので、上記した実施例1〜3及びこれらの変形例による作用効果を有する。
【0128】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、圧電振動デバイスのうち特に圧電発振器に好適であるが、他に圧電振動子であっても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】図1は、本実施例1にかかる水晶発振器の図2に示すA−A線から見た概略平面図である。
【図2】図2は、本実施例1にかかるベースの図1に示すB−B線概略断面図である。
【図3】図3は、本実施例1にかかるベースの図2に示すA−A線から見た概略平面図である。
【図4】図4は、本実施例1にかかるベースの図2に示すC−C線から見た概略平面図である。
【図5】図5は、本実施例1にかかるベースの図2に示すD−D線から見た概略平面図である。
【図6】図6は、本実施例1にかかる付加容量部の概略回路図である。図6(a)は、付加用ワイヤによる電極パターンの電気的接続を行っていない時の概略回路図である。図6(b)は、付加用ワイヤによる電極パターンの電気的接続を行った時の概略回路図である。
【図7】図7は、本実施例2にかかる水晶発振器の図8に示すA’−A’線から見た概略平面図である。
【図8】図8は、本実施例2にかかるベースの図7に示すB’−B’線概略断面図である。
【図9】図9は、本実施例2にかかるベースの図8に示すA’−A’線から見た概略平面図である。
【図10】図10は、本実施例2にかかるベースの図8に示すC’−C’線から見た概略平面図である。
【図11】図11は、本実施例2にかかるベースの図8に示すD’−D’線から見た概略平面図である。
【図12】図12は、図7に示すベースの短辺側側面の概略側面図である。図12(a)は、レーザエッチング法による電極エッチングを行っていない時の概略側面図である。図12(b),12(c)は、レーザエッチング法による電極エッチングを行った時の概略側面図である。
【図13】図13は、本実施例2にかかる付加容量部の概略回路図である。図13(a)は、レーザエッチング法による電極エッチングを行っていない時の概略回路図である。図13(b),13(c)は、レーザエッチング法による電極エッチングを行った時の概略回路図である。なお、これら図13(a)は図12(a)に、図13(b)は図12(b)に、図13(c)は図12(c)に、図13(d)は図12(d)にそれぞれ対応している。
【図14】図14は、本実施例3にかかる水晶発振器の図15に示すA’’−A’’線から見た概略平面図である。
【図15】図15は、本実施例3にかかるベースの図14に示すB’’−B’’線概略断面図である。
【図16】図16は、本実施例3にかかるベースの図15に示すA’’−A’’線から見た概略平面図である。
【図17】図17は、本実施例3にかかるベースの図15に示すC’’−C’’線から見た概略平面図である。
【図18】図18は、本実施例3にかかるベースの図15に示すD’’−D’’線から見た概略平面図である。
【図19】図19は、図14に示すベースの短辺側側面の概略側面図である。図19(a)は、レーザエッチング法による電極エッチングを行っていない時の概略側面図である。図19(b),19(c)は、レーザエッチング法による電極エッチングを行った時の概略側面図である。
【図20】図20は、本実施例3にかかる付加容量部の概略回路図である。図20(a)は、レーザエッチング法による電極エッチングを行わないとともに、付加用ワイヤによる電極パターンの電気的接続を行っていない時の概略回路図である。図20(b)は、レーザエッチング法による電極エッチングを行わないとともに、付加用ワイヤによる電極パターンの電気的接続を行った時の概略回路図である。図20(c)は、レーザエッチング法による電極エッチングを行うとともに、付加用ワイヤによる電極パターンの電気的接続を行っていない時の概略回路図である。図20(d)は、レーザエッチング法による電極エッチングを行うとともに、付加用ワイヤによる電極パターンの電気的接続を行った時の概略回路図である。
【図21】図21は、本実施例4にかかるベースの基板2dの概略平面図である。
【図22】図22は、本実施例4にかかるベースの基板2bの概略平面図である。
【図23】図23は、本実施例4にかかるベースの基板2aの概略平面図である。
【符号の説明】
【0131】
1 水晶発振器(圧電振動デバイス)
2 ベース
2a〜2d 基板
3 蓋
4 水晶振動片(圧電振動片)
5 ICチップ(集積回路素子)
64 付加用ワイヤ
8 電極パターン
83 付加容量部
83a〜83c 電極パターン対

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも圧電振動片および集積回路素子を含む複数の電子部品を保持する複数の電極パターンが形成されたベースと、前記ベースに保持した前記複数の電子部品を気密封止するためにベースと接合する蓋とが設けられた圧電振動デバイスにおいて、
前記ベースは、複数の電極パターンが形成された多層の基板からなり、前記多層の基板のうち任意の基板に、当該圧電振動デバイスの容量を可変させる付加容量部を含む電極パターンが形成され、
前記付加容量部を含む電極パターンが切断されたことを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項2】
少なくとも圧電振動片および集積回路素子を含む複数の電子部品を保持する複数の電極パターンが形成されたベースと、前記ベースに保持した前記複数の電子部品を気密封止するためにベースと接合する蓋とが設けられた圧電振動デバイスにおいて、
前記ベースは、複数の電極パターンが形成された多層の基板からなり、前記多層の基板のうち任意の基板に、当該圧電振動デバイスの容量を付加させるための付加容量部を含む電極パターンが形成され、
前記付加容量部を含む電極パターンに対する他の電極パターンへの電気的接続の有無により当該圧電振動デバイスの容量を可変させるように構成されたこと特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項3】
前記付加容量部は、前記多層の基板のうちいずれかの前記基板の両面に対向して形成された電極パターン対からなることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電振動デバイス。
【請求項4】
複数の電極パターンが形成された多層の基板からなるベース上に、少なくとも圧電振動片および集積回路素子を含む複数の電子部品を配置する圧電振動デバイスの製造方法において、
前記多層の基板のうちいずれかの前記基板の両面に対向して形成された電極パターン対からなる付加容量部を構成する工程と、
前記圧電振動片の並列容量に応じて、前記付加容量部に対する電気的接続の有無を設定する工程とを有し、圧電振動デバイスの容量を可変させること特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記付加容量部に対する電気的接続の有無は、前記付加容量部を含む電極パターンを変更することで実施することを特徴とする請求項4に記載の圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記付加容量部に対する電気的接続の有無は、前記付加容量部を含む電極パターンと他の電極パターンとを付加用ワイヤを用いて導通状態とするか、導通状態としないかにより実施することを特徴とする請求項4または5に記載の圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記圧電振動片と前記集積回路素子とを、前記ベース上の平面視重ならない位置に配することを特徴とする請求項4乃至6のうちいずれか1つに記載の圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記付加容量部を形成した基板の厚みが、他の基板の厚みより薄いことを特徴とする請求項4乃至7のうちいずれか1つに記載の圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記付加容量部を形成した基板の厚みが、当該基板に隣接する他の基板の厚みより薄いことを特徴とする請求項4乃至7のうちいずれか1つに記載の圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記電極パターン対からなる付加容量部を構成する工程では、前記電極パターン対のみを前記ベースの平面視同一位置に形成することを特徴とする請求項4乃至9のうちいずれか1つに記載の圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項11】
前記圧電振動片を前記ベースに電気的に接続する接続工程と、
前記接続工程の後に当該圧電振動デバイスの周波数調整を行う調整工程と、を有することを特徴とする請求項4乃至10のうちいずれか1つに記載の圧電振動デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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