説明

地上波ディジタル放送受信機及びその受信方法

【目的】フルセグ、ワンセグの番組出力の切換を行なっても、ワンセグ番組は最初から連続して視聴することでき、フルセグ番組は連続して視聴できないが画質良好に視聴することが可能な「地上波ディジタル放送受信機及びその受信方法」を提供することである。
【構成】受信選択した弱階層サービス番組と強階層サービス番組が同じであれば、番組の出力切換が指示されたとき、それまで出力中でなかった番組の映像/音声を受信タイミングでリアルタイム出力する。異なれば、該強階層サービス番組の映像/音声を保存し、弱階層サービス番組から強階層サービス番組への出力切換が指示されれば、保存信号を用いて強階層サービス番組の映像/音声を最初から連続して出力されるよう制御し、強階層サービス番組から弱階層サービス番組への出力切換が指示されれば、該弱階層サービス番組の映像/音声を受信タイミングでリアルタイムに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地上波ディジタル放送受信機及びその受信方法に関わり、特に、同一チャンネル内で弱階層サービス番組及び強階層サービス番組が存在する地上波ディジタル放送を受信する地上波ディジタル放送受信機及びその受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内では、地上波テレビ放送のディジタル化が進められており、2011年には全国で地上波ディジタル放送が実施され、アナログ波を停波する予定となっている。かかる地上波ディジタル放送では、図9に示すように伝送方式として、高い周波数利用効率と伝送品質が得られるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交波周波数分割多重)方式が採用され、帯域幅6MHzの1つの放送チャンネル(物理チャンネル)を14個のセグメントに分割し、そのうちガードバンドを除いた13個のセグメントを複数のセグメント群(階層)のグループに分けて、各グループ単位で情報符号化方式や変調方式等の異なる番組(プログラム)を同時に放送することを可能にしている。
【0003】
すなわち、地上波ディジタル放送では、1つのチャンネルを13のセグメントに分割して放送しており、13セグメントは最大3個の階層で構成されている。階層は、受信可能なC/N比(Carrier to Noise ratio:搬送波電力対雑音電力比)の大きさにより、強階層、中階層、弱階層と呼ばれている。強階層は最も低いC/N比において受信可能な階層、中階層は中間のC/N比において受信可能な階層、弱階層は最も良好なC/N比において受信可能な階層である。実際には、地上波ディジタル放送において中階層は運用される予定がないため、強階層と弱階層のみが放送される。13セグメントのうち12セグメントが弱階層の高いC/N比において受信可能な番組(フルセグ番組)の放送に使用し、1セグメント(図9の白セグメント)が強階層の低いC/N比において受信可能な番組(ワンセグ番組)の放送に使用する。
【0004】
地上波ディジタル放送では、セグメント単位で異なる変調方式を設定でき、これにより複数の番組を同一帯域内で異なるビットレートや誤り耐性で伝送することが可能となる。従って、固定受信機向けの弱階層サービス(フルセグサービス)と移動受信機向け及び携帯受信機向けの強階層サービス(ワンセグサービス)とを同時に提供することができる。例えば、家庭向けのテレビ受信機等において高精細画質(HDTV:High Definition TV)の受信を実現するために、13セグメントのうちの12セグメントを高精細画質の送信に使用し、高速にデータを伝送することが可能な64値QAMなどの変調方式を採用している。一方、移動受信機や携帯受信機等の小型のアンテナしか装備できない受信機に対しては、安定した受信を実現するため簡易画質による放送を行い、13セグメントのうちの1セグメントを使用して、QPSK等の変調方式を採用している。ここで、12セグメントを使用して64値QAMで送信した信号を受信するためには弱階層の高いC/N比受信環境が必要であるが、1セグメントを使用してQPSKで送信した信号を受信するためには高いC/N比受信環境を必要とせず、強階層の低いC/N比受信環境でも受信可能である。
【0005】
また、地上波ディジタル放送では、1つの電波帯(チャンネル)において、高精細画質の放送を行う代わりに、標準画質(例えばSDTV:Standard Definition TV)の3つの放送をすることができ、従って。放送局は時間帯により、高精細画質の1つの番組放送と標準画質の3つの番組放送(マルチ編成)とを切り替えて放送することができ、これによりユーザーは所定のフルセグ番組放送とワンセグ番組を選択して受信することができる。なお、ストリーミング放送を行うためのプロトコルとして、MPEG-2 TS(Transport Stream)が採用されており、送信側で、情報源符号化後の画像符号化データ(ビットストリームのデータ)を伝送しやすい小さな固定長(ヘッダを含む188byte)のTSパケットにパケット化し、それらのTSパケットを並べた1つのトランスポートストリームを生成して上記のOFDM変調等を行って放送している。更に、HDTVやSDTVのTSパケットとワンセグ放送のTSパケットとを1つのトランスポートストリームに多重化し、それら複数の番組(プログラム)の多重放送を可能にしている。
【0006】
地上波ディジタル放送信号には、映像、音声情報のほかに番組配列情報SI(Service Information)が規定されている。SIには、NIT(Network Information Table)、BIT(Broadcaster Information Table)、SDT(Service Description Table)、EIT(Event Information Table)、TOT(Time Offset Table)などの各種テーブルが含まれる。NITには、チャンネル番号や変調方式、ガードインターバルなど、送信するネットワークに関する情報が記載される。BITには、放送局識別情報や系列情報、各SIテーブルの再送周期、SIの掲載期間、ロゴ情報の伝送方法など、放送局のSI送信情報が記載される。SDTには、チャンネルの名称、各チャンネルで送出されるEITの種類、デジタルコピー制御情報が記載される。EIT(Event Information Table)には、番組の名称、番組の放送開始時刻、番組の放送時間、番組内容など、番組に関する情報が記載される。EPG(Electronic Program Guide)は主にこの情報を用いて作成される。TOTには、現在の日付、時刻、およびサマータイムの情報が記載される。
【0007】
EIT(Event Information Table)には、図10に示すように、弱階層受信機(フルセグ受信機)での番組表示を目的としたH-EIT、中階層受信機(移動受信機)での番組表示を目的としたM-EIT、強階層受信機(ワンセグ受信機)での番組表示を目的としたL-EITが含まれる。H-EITにより現在放送中の番組の情報と、次に放送される番組の情報の2番組情報が少なくとも提供され、最大8日分の番組情報が提供されるようになっている。M-EITまたはL-EITにより現在放送中の番組の情報と、次に放送される番組の情報の2番組情報が少なくとも提供され、最大10番組の番組情報が提供されるようになっている。
【0008】
同一チャンネル内で弱階層サービス番組及び強階層サービス番組が存在する地上波ディジタル放送を受信する地上波ディジタル放送受信機において、図11に示すように、弱階層の番組受信中に受信状態が劣化したとき、強階層の番組に受信を切り替え、強階層の番組受信中に受信状態が良くなったとき、弱階層の元の番組に受信を切り替える。これは、 弱階層の番組受信中に受信状態が劣化すると正しく放送信号を受信できなくなるからである。また、強階層の番組受信中に受信状態が良くなると弱階層の番組を受信して大サイズで良質の画像、音楽を提供できるからである。
【0009】
ところで、2008年以降は弱階層(フルセグ)と強階層(ワンセグ)とでは、必ずしも同じ番組が放送されるとは限らない。かかる場合、単純に受信状況が良い場合にフルセグ映像を提示し、受信状況が悪い場合にワンセグ映像を提示とすると、内容の異なる番組の映像を交互に切換え表示することになり、結果的にユーザーは双方の内容を細切れに視聴することとなり、番組内容を認識できなくなる可能性がある。図12はかかる状況を説明する説明図であり、フルセグとワンセグで異なる番組を放送している場合、(1)時刻t1において受信状態が悪化してフルセグ→ワンセグ切換が行なわれ、(2)時刻t2において受信状態が良くなってワンセグ→フルセグ切換が行なわれ、同様に、(3)時刻t3においてフルセグ→ワンセグ切換が行なわれ、(4)t4においてワンセグ→フルセグ切換が行なわれる。このような切換が行なわれると、時刻t1の切り替えにおいてワンセグ番組を途中から視聴することになり、又、フルセグ番組を駒切れに視聴することになる。
そこで、切換時に番組の先頭から視聴できるようにし、あるいは、駒きれでなく連続して視聴できるようにした従来技術がある。図13はユーザーが視聴しているフルセグ番組を追っかけ再生する第1の従来技術である(特許文献1)。すなわち、最初、フルセグ番組を視聴している状態において、時刻t1においてフルセグ→ワンセグ切換が発生したとき、切換後のフルセグ番組を保存しておき、時刻t2においてワンセグ→フルセグ切換が発生したとき、記憶してあるフルセグ番組を再生する。このようにすることにより、チャンネル切換があってもフルセグ番組を連続して視聴することができる。
【0010】
図14はユーザーが視聴しているフルセグ番組を追っかけ再生すると共に、ワンセグ番組を最初から視聴する第2の従来技術である(特許文献2)。すなわち、ワンセグ番組を初めから保存しながらフルセグ番組を視聴している状態において、時刻t1においてフルセグ→ワンセグ切換が発生したとき、切換後のフルセグ番組を保存すると共に、記憶してあるワンセグ番組を初めから再生し、時刻t2においてワンセグ→フルセグ切換が発生したとき、記憶してあるフルセグ番組を再生する。このようにすることにより、チャンネル切換があってもフルセグ番組を連続して視聴することができ、しかも、ワンセグ番組を初めから視聴することができる。
【特許文献1】特開2002−152652号公報
【特許文献2】特開2007−208875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
第1従来技術では、フルセグ→ワンセグ切換時に、ワンセグ番組を最初から受信できない。また、受信品質に基づいて自動的に、フルセグ→ワンセグ切換、ワンセグ→フルセグ切換を行なう場合、ワンセグ受信時においてフルセグ番組を雑音なく高品質で受信することができず、このためワンセグ→フルセグ切換後に記憶してあるフルセグ番組を再生しても観賞に堪えうる映像を出力できず、フルセグ番組の蓄積が無駄になる問題がある。
又、第2従来技術では、ワンセグがサイマル放送を継続している場合(フルセグ番組とワンセグ番組が同じ場合)、フルセグ→ワンセグ切換時にユーザーがフルセグと同一番組を最初から視聴することになる。また、受信品質により自動的に、フルセグ→ワンセグ切換、ワンセグ→フルセグ切換を行なう場合、ワンセグ受信時においてフルセグ番組を雑音なく高品質で受信することができず、このためワンセグ→フルセグ切換後に記憶してあるフルセグ番組を再生しても観賞に堪えうる映像を出力できず、フルセグ番組の蓄積が無駄になる問題がある。
以上から、本発明の目的は、フルセグ番組とワンセグ番組が同じ場合、フルセグ→ワンセグあるいはその逆の切換を行なっても、番組を連続して視聴でき、同じ番組を最初から視聴しないようにすることである。
本発明の目的は、フルセグ番組とワンセグ番組が異なる場合、受信品質に基づいて自動的にフルセグ→ワンセグ切換を行なっても、ワンセグ番組を最初から連続して視聴でき、かつ、自動的にワンセグ→フルセグ切換を行なっても、フルセグ番組を連続して視聴できないが画質が良好なフルセグ番組を視聴できるようにすることである。
本発明の目的は、フルセグ番組とワンセグ番組が異なる場合、手動によりワンセグ→フルセグ切換を行なっても、フルセグ番組を最初から連続して視聴できるようにし、受信品質に基づいて自動的にワンセグ→フルセグ切換を行なっても連続してフルセグ番組を視聴できないが画質が良好なフルセグ番組を視聴できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
・地上波ディジタル放送受信機の受信方法
本発明は、同一チャンネル内で弱階層サービス番組及び強階層サービス番組が存在する地上波ディジタル放送を受信する地上波ディジタル放送受信機の受信方法である。
第1の受信方法は、受信選択した弱階層サービス番組と強階層サービス番組が同じであるかチェックするステップ、同じであれば、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が指示されたとき、それまで出力中であった番組の映像及び音声信号に替えて、それまで出力中でなかった番組の映像及び音声信号を受信タイミングで出力するステップ、異なれば、該強階層サービス番組の映像信号及び音声信号を保存するステップ、弱階層サービス番組から強階層サービス番組への出力切換が指示されれば、前記保存信号を用いて前記強階層サービス番組の映像信号及び音声信号が最初から連続して出力されるよう制御するステップ、強階層サービス番組から弱階層サービス番組への出力切換が指示されれば、該弱階層サービス番組の映像及び音声信号を受信タイミングで出力するステップを有している。
本発明の第2の受信方法は、受信選択した弱階層サービス番組と強階層サービス番組が同じであるかチェックするステップ、前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組が同じで、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が指示されれば、それまで出力中であった番組の映像及び音声信号に替えて、それまで出力中でなかった番組の映像及び音声信号を受信タイミングで出力するステップ、前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組が異なり、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が受信品質に基づいて自動的に指示されれば、前記強階層サービス番組のみ映像信号及び音声信号が最初から連続して出力されるように切換制御するステップ、前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組が異なり、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が手動で指示されれば、各番組の映像信号及び音声信号が最初から連続して出力されるように制御するステップを有している。
第2の受信方法は、更に、前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組が異なれば、該弱階層サービスによる番組と強階層サービスによる番組の映像信号及び音声信号を保存するステップ、前記番組の出力切換が受信品質に基づいて自動的に指示されたとき、前記保存信号を用いて前記強階層サービス番組の映像信号及び音声信号が最初から連続して出力されるよう制御し、前記弱階層サービス番組の映像信号及び音声信号は受信タイミングで出力されるよう制御するステップ、前記番組の出力切換が手動で指示されたとき、前記保存信号を用いて各番組の映像及び音声が最初から連続して出力されるように制御するステップを有している。
【0013】
・地上波ディジタル放送受信機
本発明は、同一チャンネル内で弱階層サービス番組及び強階層サービス番組が存在する地上波ディジタル放送を受信する地上波ディジタル放送受信機である。
第1の地上波ディジタル放送受信機は、受信する弱階層サービス番組を選択する番組選択部、受信選択した弱階層サービス番組と強階層サービス番組が同じであるかチェックする手段、弱階層サービス番組と強階層サービス番組を含む放送信号を受信する受信部、強階層サービス番組の映像信号及び音声信号を保存する保存部、弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換を指示する切換指示部、受信選択した弱階層サービス番組と強階層サービス番組が同じであれば、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が指示されたとき、それまで出力中であった番組の映像及び音声信号に替えて、それまで出力中でなかった番組の映像及び音声信号を受信タイミングで出力し、異なれば、弱階層サービス番組から強階層サービス番組への出力切換が指示されれば、前記保存部に保存されている保存信号を用いて該強階層サービス番組の映像信号及び音声信号が最初から連続して出力されるよう制御し、強階層サービス番組から弱階層サービス番組への出力切換が指示されれば、該弱階層サービス番組の映像及び音声信号を受信タイミングで出力するよう制御する切換制御部を有している。
第2の地上波ディジタル放送受信機は、弱階層サービス番組の受信品質を検出する受信品質検出部、受信する弱階層サービス番組を選択する番組選択部、受信選択した弱階層サービス番組と強階層サービス番組が同じであるかチェックする手段、弱階層サービス番組と強階層サービス番組を含む放送信号を受信する受信部、受信品質に基づいて自動的に弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換を指示する切換指示部、手動で弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換を指示する切換指示部、前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組が同じで、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が指示されれば、それまで出力中であった番組の映像信号及び音声信号に替えて、それまで出力中でなかった番組の映像信号及び音声信号を受信タイミングで出力し、前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組が異なり、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が受信品質に基づいて自動的に指示されれば、前記強階層サービス番組の映像信号及び音声信号が最初から連続して出力されるように制御し、かつ、前記弱階層サービス番組の映像信号及び音声信号は受信タイミングで出力されるよう制御し、前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組が異なり、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が手動で指示されれば、各番組の映像信号及び音声信号が最初から連続して出力されるように制御する切換制御部、を有している。
第2の地上波ディジタル放送受信機は、更に、前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組が異なれば、前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組の映像信号及び音声信号を保存する保存部を備え、前記切換制御部は、前記番組の出力切換が受信品質に基づいて自動的に指示されたとき、前記保存信号を用いて前記強階層サービス番組のみ映像信号及び音声信号が最初から連続して出力されるように制御し、前記番組の出力切換が手動で指示されたとき、前記保存信号を用いて各番組の映像及び音声が最初から連続して出力されるように制御する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、弱階層サービス番組と強階層サービス番組が同じで、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が指示されれば、それまで出力中であった番組の映像及び音声信号に替えて、それまで出力中でなかった番組の映像及び音声信号を受信タイミングでリアルタイムに出力するようにしたから、フルセグ番組とワンセグ番組が同じ場合、フルセグ→ワンセグあるいはその逆の切換を行なっても、番組を連続して視聴ことができ、同じ番組を最初から見ないようにできる。
本発明によれば、フルセグ番組とワンセグ番組が異なる場合であっても、切換が手動でなされたか、自動でなされたかに関係なくワンセグ番組を最初から連続して視聴することでき、また、フルセグ番組を連続して視聴することはできないが画質が良好なフルセグ番組を視聴することができる。
また、本発明によれば、フルセグ番組とワンセグ番組が異なる場合であっても、切換が手動でなされた場合には、フルセグ番組を最初から連続して視聴することでき、切換が自動でなされた場合には、フルセグ番組を連続して視聴することはできないが画質が良好なフルセグ番組を視聴することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(A)本発明の制御概略
本発明では、受信機は選局後、フルセグおよびワンセグ双方のEIT(H-EITおよびL-EIT)を取得し、番組内容(event_id)が同じかどうかを確認する。
(a)番組内容が同じ場合
番組内容が同じであれば、図1に示すように、フルセグ→ワンセグ切換、ワンセグ→フルセグ切換に際して、それまで出力中であったフルセグあるいはワンセグの番組の映像及び音声信号の出力を停止し、それまで出力中でなかったワンセグあるいはフルセグの番組の映像及び音声信号を受信タイミングでそのままリアルタイム出力する。なお、図では、白枠部が受信出力中、陰枠部が受信非出力中を意味している。
【0016】
(b)番組内容が異なる場合(第1の切換制御)
番組内容が異なる第1の切換制御は、図2に示すようにフルセグ番組の受信出力と並行して、自動的にワンセグのTSパケット(Transport Stream Packet)を最初からハードディスクHDDなどに蓄積する。ワンセグの伝送容量は430kbps程度であるため、1時間蓄積するとなると(430k/8bit)*60*60 = 193.5Mbyte程度必要とする。なお、フルセグにおいて、白枠部は受信出力中、陰枠部は受信非出力中を意味している。
かかる状態において、受信状況が悪化し(受信品質の劣化)、時刻t1においてフルセグからワンセグへ自動的に切換える場合、HDD に蓄積されているワンセグTSを読み出してワンセグ番組の最初から出力する。これにより、ワンセグ番組を最初から視聴することができる。すなわち、ワンセグTSの蓄積を継続しながら該蓄積しているワンセグTSを用いてワンセグ番組の最初から追いかけ再生を開始できる。
一方、ワンセグに切り替わった後、時刻t2において受信状態が改善し、ワンセグからフルセグへ自動的に切換える場合、ワンセグTSの再生を一時停止すると共に蓄積を継続し、また、フルセグの番組の映像及び音声信号を受信タイミングでそのままリアルタイムで出力する。これにより、連続してフルセグ番組を視聴することはできないが画質が良好なフルセグ番組を視聴することができる。
ついで、再度、時刻t3において受信状況が悪化してフルセグからワンセグへ自動的に切換える場合、HDD に蓄積されているワンセグTSを読み出してワンセグ番組の再生停止位置から再生を再開して出力する。これにより、ワンセグ番組を連続して視聴することができる。
なお、以上では自動的に切り替える場合について説明したが、手動により切り替える場合も、同様に制御する。
【0017】
(c)番組内容が異なる場合(第2の切換方法)
ワンセグ、フルセグの受信モードを手動で切り替えた状態では、フルセグとワンセグの両方を良好に受信できている可能性が高い。このため、第2の切換方法では、手動切換に際して、ワンセグ番組もフルセグ番組も最初から連続して再生(追っかけ再生)できるように制御する。一方、受信品質に基づいて自動切換する場合には、(b)と同様にワンセグ番組のみを追っかけ再生し、フルセグ番組は受信タイミングでそのままリアルタイム出力をするよう制御する。
すなわち、番組内容が異なるとき、第2の切換方法は、図3(A)に示すようにワンセグ、フルセグのTSパケット(Transport Stream Packet)の両方を最初からハードディスクHDDなどに蓄積する。
(c-1)手動切換
蓄積しながらフルセグ番組を受信出力している状態において、手動により時刻t1においてフルセグからワンセグへ切換える場合、HDD に蓄積されているワンセグTSを読み出してワンセグ番組の最初から出力すると共に蓄積を継続する。これにより、ワンセグ番組を最初から視聴することができる。一方、ワンセグに切り替わった後、時刻t2において再度、手動によりワンセグからフルセグへ切換える場合、ワンセグTSの読み出しを停止すると共に蓄積を継続し、また、HDD に蓄積されているフルセグTSを読み出してフルセグ番組の再生停止位置から再生を再開すると共に蓄積を継続する。これにより、連続してフルセグ番組を視聴することはできる。
また、再度、時刻t3において手動により、フルセグからワンセグへ切換える場合、HDD に蓄積されているワンセグTSを読み出してワンセグ番組の再生停止位置から再生を再開すると共に蓄積を継続する。これにより、ワンセグ番組を連続して視聴することができる。
【0018】
(c-2)自動切換
蓄積しながらフルセグ番組を受信出力している状態において(図3(B)参照)、受信状況が悪化し(受信品質の劣化)、時刻t1においてフルセグからワンセグへ自動的に切換える場合、HDD に蓄積されているワンセグTSを読み出してワンセグ番組の最初から出力すると共に蓄積を継続する。これにより、ワンセグ番組を最初から視聴することができる。
一方、ワンセグに切り替わった後、時刻t2において受信状態が良好になってワンセグからフルセグへ自動的に切換える場合、ワンセグTSの再生を一時停止すると共に蓄積を継続し、また、フルセグの番組の映像及び音声信号を受信タイミングでそのままリアルタイムで出力する。これにより、連続してフルセグ番組を視聴することはできないが画質が良好なフルセグ番組を視聴することができる。ついで、再度、時刻t3において受信状況が悪化してフルセグからワンセグへ自動的に切換える場合、HDD に蓄積されているワンセグTSを読み出してワンセグ番組の再生停止位置から再生を再開する。これにより、ワンセグ番組を連続して視聴することができる。
【0019】
(B)地上波ディジタル放送受信機
図4は本発明の地上波ディジタル放送受信機の構成図であり、ダイバーシチ構成になっており、指向性の異なる第1のアンテナ1、第2のアンテナ2は地上波ディジタル放送の電波を受信する。第1のチューナ3は、第1のアンテナ1に接続されており、第1のアンテナ1によって受信した地上波ディジタル放送の電波からユーザーが選局したチャンネルに合致した受信周波数の信号を選択的に抽出して出力し、第2のチューナ4は第2のアンテナ2に接続されており、第2のアンテナ2によって受信した地上波ディジタル放送の電波からユーザーが選局したチャンネルに合致した受信周波数の信号を選択的に抽出して出力する。
第1のOFDM復調部5は第1のチューナ3で受信した信号をOFDM復調してトランスポートストリームTS(Transport Stream)を出力する。第2のOFDM復調部6は、第2のチューナ4で受信した信号をOFDM復調してTSを出力する。ダイバーシチティ合成部7は、第1のOFDM復調部5から入力するTSの位相を制御する位相器7aと、位相を制御されたTSと第2のOFDM復調部6から入力するTSとを合成する合成器7bとにより構成されている。
以上のように、第1のアンテナ1、第2のアンテナ2、第1のチューナ3、第2のチューナ4、第1のOFDM復調部5、第2のOFDM復調部6を備え、第1のOFDM復調部5及び第2のOFDM復調部6から出力されたTSをダイバーシチ合成部7によりダイバーシチ合成することで、受信性能を向上させて、高精細画質の地上波ディジタル放送のコンテンツを受信することが可能となる。
【0020】
誤り訂正部8は伝送中に生じる誤りを訂正すると共に、誤り訂正率を算出して制御部15に入力する。制御部15は誤り訂正率が所定の値(例えば50%)を超えた場合に、受信状態が悪化したと判定する。デマルチプレクサ部9は、多重化されているTSパケットからユーザーにより選択された弱階層番組(フルセグ番組)のTSパケット(映像TSパケットVPf/音声TSパケットAPf)、強階層の番組(ワンセグ番組)のTSパケット(映像TSパケットVPo/音声TSパケットAPo)をそれぞれ分離してフルセグ・ワンセグ切換制御部10に入力すると共に、データストリーム(番組配列情報)DTPを分離してデータデコーダ11に入力する。データデコーダ11はデータストリームをデコードして制御部13に入力する。番組配列情報には、弱階層の番組情報(フルセグ番組情報)H-EITや強階層の番組情報(ワンセグ番組情報)L-EITが含まれている。H-EIT、L-EITには、番組の名称、放送日時、内容の説明などの番組に関する情報が含まれており、番組を識別するための情報であるevent_idにより番組を特定することが可能である。
フルセグ・ワンセグ切換制御部10は、ユーザーのフルセグ番組の選択信号およびフルセグ/ワンセグ切換信号に基づいて、フルセグ番組の音声TSパケットAPfとワンセグ番組の音声TSパケットAPoの一方を選択してオーディオ出力部12に入力し、フルセグ番組の映像TSパケットVPfとワンセグ番組の映像TSパケットVPoの一方を選択してビデオ出力部13に入力する。
操作/表示部14は図示しないが操作部と表示部を備え、操作部にはチャンネルを選択するチャネル選択キー、フルセグ番組を選択する番組選択キー、電子番組ガイド(Electric Program Guide:EPG)の表示を要求するEPG画面表示要求キー、手動によりフルセグ/ワンセグの切換を要求するフルセグ/ワンセグ切換キーなどが設けられている。なお、操作/表示部14はリモコンであってもよい。
【0021】
制御部15は、操作/表示部14の操作によって選局されたチャネルに応じた受信周波数を第1、第2チューナ3、4に設定すると共に、操作/表示部14の操作によって選択されたフルセグ番組をデマルチプレクサ部9に入力する。
また、制御部13は、誤り訂正部8から受信した誤り訂正率に基づいて受信状態の良否を判断し、該判断結果に基づいて、あるいは手動によるフルセグ/ワンセグ切換操作に基づいて、フルセグ・ワンセグ切換制御部10にフルセグ・ワンセグ切換を要求する。なお、制御部15は、受信状態が悪くなれば、フルセグ→ワンセグの自動切換を要求し、受信状態が良くなればワンセグ→フルセグの自動切換を要求する。
また、制御部13は、データデコーダ部12から番組配列情報を受信し、該番組配列情報に含まれるEITを比較して、弱階層サービス番組(フルセグ番組)のevent_idと強階層サービス番組(ワンセグ番組)のevent_idが同一であるか否かを調べ、比較結果に基づいてフルセグ・ワンセグ切換制御信号をフルセグ・ワンセグ切換制御部10に入力する。
更に、制御部15は操作/表示部14の操作によりEPG画面表示要求がなされると、EPG画像作成部16にEPG画面情報を入力し、EPG画像作成部16は該EPG画面情報を用いて全チャンネル、全番組の案内情報を含むEPG画面を作成してビデオ出力部13に入力する。ユーザーは該EPG画面を参照してチャンネル選択、番組選択を行う。
【0022】
図5はフルセグ・ワンセグ切換制御部10の構成図であり、ハードディスク(HDD)21、書き込み制御部22、読み出し制御部23、セレクタ24、オーディオデコーダ25、ビデオデコーダ26を備えている。ハードディスク(HDD)21は、フルセグ番組のTSパケット(映像TSパケットVPf/音声TSパケットAPf)およびワンセグ番組のTSパケット(映像TSパケットVPo/音声TSパケットAPo)を適宜蓄積し、書き込み制御部22は該HDDへの各番組のTSパケットの書き込みを制御し、読み出し制御部23は該HDDからの各番組のTSパケットの読み出しを制御し、セレクタ24は、フルセグ番組の音声TSパケットAPfとワンセグ番組の音声TSパケットAPoの一方を選択してオーディオデコーダ25に入力し、また、フルセグ番組の映像TSパケットVPfとワンセグ番組の映像TSパケットVPoの一方を選択してビデオデコーダ26に入力する。オーディオデコーダ25は、入力した音声TSパケットをデコードしてPCM音声信号として出力する。ビデオデコーダ26は、入力した映像TSパケットをデコードして映像信号として出力する。
【0023】
(C)フルセグ/ワンセグ出力切換制御の第1実施例
図6及び図7はフルセグ/ワンセグ出力切換制御の第1実施例の処理フローであり、図1、図2で説明した制御に対応する実施例である。なお、最初にフルセグ番組を受信するものとして説明する。
操作/表示部14の操作で受信すべきチャンネル及び該チャンネルにおけるフルセグ番組を選択して制御部15に入力する(ステップ101)。これにより、制御部15は、第1、第2チューナ3、4によりユーザーが選択したチャンネルに同調させる。また、制御部15はデマルチプレクサ9にユーザーが選択したフルセグ番組情報を入力し、デマルチプレクサ9はユーザーが選択したフルセグ番組のTSパケットとワンセグ番組のTSパケットを選択してフルセグ・ワンセグ切換制御部10に入力する。
また、制御部15は番組配列情報に含まれるH-EIT及びL-EITを参照し、フルセグ番組の内容を示すevent-IDとワンセグ番組の内容を示すevent-IDを比較し(ステップ102)、一致すれば、event-ID一致切換処理を実行する(ステップ103)。すなわち、制御部15はステップ103において(図7参照)、初期時、フルセグ・ワンセグ切換制御部10のセレクタ24にフルセグ番組のTSパケットを出力するよう指示し、セレクタ24はフルセグ番組の音声TSパケットAPfと映像TSパケットVPfを選択してそれぞれオーディオ出力部12、ビデオ出力部13に入力してフルセグ番組をリアルタイム出力する(ステップ201)。なお、event-ID一致切換処理ではハードディスクHDDには各番組のTSパケットを記憶する制御をしない。
【0024】
ついで、制御部15は手動によりあるいは自動的に切換指示があったか監視し(ステップ202)、切換指示がなければフルセグ番組受信を継続する。しかし、切換指示があれば、現在フルセグ番組の出力中であるか、ワンセグ番組の出力中であるかチェックし(ステップ203)、フルセグ番組の出力中であれば、制御部15はセレクタ24にワンセグ番組のTSパケットを出力するよう指示する。これによりセレクタ24は、受信したワンセグ番組の音声TSパケットAPoと映像TSパケットVPoを選択してそれぞれを受信タイミングでオーディオ出力部12、ビデオ出力部13に入力してワンセグ番組をリアルタイム出力する(ステップ204)。以後、制御部15は切換指示があったか監視し(ステップ205)、切換指示がなければ操作/表示部14より受信終了が指示されたか監視し(ステップ206)、受信終了が指示されるとフルセグ/ワンセグ出力切換制御処理を終了する。しかし、受信終了が指示されていなければ、ステップ204に戻り以降の処理を繰り返してワンセグ番組の受信を継続し、ステップ205において切換指示があれば、ステップ203に戻り以降の処理を繰り返す。
【0025】
一方、ステップ203において、ワンセグ番組の出力中であれば、制御部15はフルセグ・ワンセグ切換制御部10のセレクタ24にフルセグ番組のTSパケットを出力するよう指示する。これによりセレクタ24は、受信したフルセグ番組の音声TSパケットAPfと映像TSパケットVPfを選択してそれぞれを受信タイミングでオーディオ出力部12、ビデオ出力部13に入力してフルセグ番組をリアルタイム出力する(ステップ207)。以後、制御部15は切換指示があったか監視し(ステップ208)、切換指示がなければ受信終了が指示されたか監視し(ステップ209)、受信終了が指示されるとフルセグ/ワンセグ出力切換制御処理を終了する。しかし、受信終了が指示されていなければ、ステップ207に戻り以降の処理を繰り返してフルセグ番組の受信を継続し、ステップ208において切換指示があれば、ステップ203に戻り以降の処理を繰り返す。
【0026】
図6に戻り、ステップ102においてフルセグ番組の内容を示すevent-IDとワンセグ番組の内容を示すevent-IDが異なれば、制御部15は書き込み制御部22(図5)を制御してワンセグ番組の音声TSパケットAPoと映像TSパケットVPoを最初から継続してハードディスクHDD 21のアドレスAfから書き込んで蓄積する。以上と並行して制御部15は、フルセグ・ワンセグ切換制御部10のセレクタ24にフルセグ番組のTSパケットをリアルタイム出力するよう指示する。これにより、セレクタ24は受信したフルセグ番組の音声TSパケットAPfと映像TSパケットVPfを選択してそれぞれを受信タイミングでオーディオ出力部12、ビデオ出力部13に入力してフルセグ番組をリアルタイム出力する(ステップ104)。また、制御部15はハードディスクHDDから読み出すべきアドレスRAOとしてAfを保存する(RAO=Af)。すなわち、フルセグ→ワンセグ切換があったときにハードディスクHDDから読み出すべきアドレスRAO(=Af)を保存する(ステップ105)。
ついで、制御部15は切換指示があったか監視し(ステップ106)、切換指示がなければフルセグ番組の受信を継続する。しかし、切換指示があれば、現在フルセグ番組の出力中であるか、ワンセグ番組の出力中であるかチェックする(ステップ107)。フルセグ番組の出力中であれば、制御部15は、フルセグ・ワンセグ切換制御部10の読み出し制御部23にハードディスク21のアドレスRAOからワンセグ番組のTSパケットの読み出しを指示し、かつ、セレクタ24に該読み出し制御部23から読み出されたワンセグ番組のTSパケットの出力を指示する。この結果、セレクタ24は読み出し制御部23から読み出し、出力されたワンセグ番組の音声TSパケットAPoと映像TSパケットVPoを選択してそれぞれをオーディオ出力部12、ビデオ出力部13に入力してワンセグ番組を先頭から追っかけ再生する(ステップ108)。なお、ワンセグ番組の音声TSパケットAPoと映像TSパケットVPoのハードディスクHDD 21への書き込みは継続する。
【0027】
以後、制御部15は切換指示があったか監視し(ステップ109)、切換指示がなければ受信終了が指示されたか監視し(ステップ110)、受信終了が指示されるとフルセグ/ワンセグ出力切換制御処理を終了する。しかし、受信終了が指示されていなければ、ステップ108に戻り以降の処理を繰り返してワンセグ番組の受信を継続し、ステップ109において切換指示があれば、ステップ107に戻り以降の処理を繰り返す。
一方、ステップ107においてワンセグ番組の出力中であれば、ハードディスクHDDからの読み出しを停止すると共にハードディスクHDDから次に読み出すべきアドレス(読み出し完了した次のアドレス)をRAOとして保存する(ステップ111)。ついで、制御部15は、フルセグ・ワンセグ切換制御部10のセレクタ24にフルセグ番組のTSパケットをリアルタイム出力するよう指示する。これによりセレクタ24は、以後、受信したフルセグ番組の音声TSパケットAPfと映像TSパケットVPfを選択してそれぞれを受信タイミングオーディオ出力部12、ビデオ出力部13に入力してフルセグ番組をリアルタイム出力する(ステップ112)。以後、制御部15は切換指示があったか監視し(ステップ113)、切換指示がなければ受信終了が指示されたか監視し(ステップ114)、受信終了が指示されるとフルセグ/ワンセグ出力切換制御処理を終了する。しかし、受信終了が指示されていなければ、ステップ112に戻り以降の処理を繰り返してフルセグ番組の受信を継続し、ステップ113において切換指示があれば、ステップ107に戻り以降の処理を繰り返す。
以上では、最初にフルセグ番組を受信するものとして説明したが、最初にワンセグ番組を受信することも可能である。
【0028】
第1実施例によれば、フルセグ番組とワンセグ番組が同じ場合、フルセグ→ワンセグあるいはその逆の切換を行なっても、番組を連続して視聴することができる。
又、第1実施例によれば、フルセグ番組とワンセグ番組が異なる場合であっても、ワンセグ番組を最初から連続して視聴することできる。また、フルセグ番組を連続して視聴することはできないが画質が良好なフルセグ番組を視聴することができる。
【0029】
(D)フルセグ/ワンセグ出力切換制御の第2実施例
図8はフルセグ/ワンセグ出力切換制御の第2実施例の処理フローであり、図3で説明した制御に対応する実施例である。なお、最初にフルセグ番組を受信するものとして説明する。また、ステップ101〜103の処理は第1実施例と同じであり、説明を省略する。
ステップ102にフルセグ番組の内容を示すevent-IDとワンセグ番組の内容を示すevent-IDが異なれば、制御部15は書き込み制御部22(図5)を制御してフルセグ番組のTSパケット(音声TSパケットAPfと映像TSパケットVPf)及びワンセグ番組のTSパケット(音声TSパケットAPoと映像TSパケットVPo)の両方を先頭から継続してハードディスクHDD 21のアドレスAf、Aoからそれぞれ書き込んで蓄積する。以上と並行して制御部15は、フルセグ・ワンセグ切換制御部10のセレクタ24にフルセグ番組のTSパケットをリアルタイム出力するよう指示す。これにより、セレクタ24はフルセグ番組の音声TSパケットAPfと映像TSパケットVPfを選択してそれぞれをオーディオ出力部12、ビデオ出力部13に受信タイミングで入力してフルセグ番組をリアルタイム出力する(ステップ301)。また、制御部15はハードディスクHDDから読み出すべきフルセグ番組アドレスRAF としてAfを保存すると共に、ハードディスクHDDから読み出すべきワンセグ番組アドレスRAOとしてAoを保存する(ステップ302)。
【0030】
ついで、制御部15は切換指示があったか監視し(ステップ303)、切換指示がなければフルセグ番組の受信を継続する。しかし、切換指示があれば、現在フルセグ番組の出力中であるか、ワンセグ番組の出力中であるかチェックする(ステップ304)。フルセグ番組の出力中であれば、制御部15は、ハードディスクHDDから次に読み出すべきフルセグ番組アドレス(読み出し完了した次のアドレス)をRAFとして保存する(ステップ305)。ついで、制御部15は、フルセグ・ワンセグ切換制御部10の読み出し制御部23にハードディスク21のアドレスRAOからワンセグ番組のTSパケットの読み出しを指示し、かつ、セレクタ24に該読み出し制御部23から読み出し、出力されたワンセグ番組のTSパケットの出力を指示する。この結果、制御部15は読み出し制御部23から読み出されたワンセグ番組の音声TSパケットAPoと映像TSパケットVPoをそれぞれ選択してオーディオ出力部12、ビデオ出力部13に入力してワンセグ番組を先頭から追っかけ再生する(ステップ306)。なお、フルセグ番組、ワンセグ番組のTSパケットのハードディスクHDD 21への書き込みを継続する。
以後、制御部15は切換指示があったか監視し(ステップ307)、切換指示がなければ受信終了が指示されたか監視し(このステップは図示を省略)、受信終了が指示されるとフルセグ/ワンセグ出力切換制御処理を終了する。しかし、受信終了が指示されていなければ、ステップ306に戻り以降の処理を繰り返してワンセグ番組の受信を継続し、ステップ307において切換指示があれば、ステップ304に戻り以降の処理を繰り返す。
【0031】
一方、ステップ304においてワンセグ番組の出力中であれば、ハードディスクHDDからの読み出しを停止すると共にハードディスクHDDから次に読み出すべきアドレス(読み出し完了した次のアドレス)をRAOとして保存する(ステップ310)。ついで、制御部15は、切換が手動でなされたか、受信品質に基づいて自動的になされたかチェックする(ステップ311)。切換指示が手動でなされたときは、フルセグ画像の受信状態は良好であるから、制御部15は、フルセグ・ワンセグ切換制御部10の読み出し制御部23にハードディスク21のアドレスRAFからフルセグ番組のTSパケットの読み出しを指示し、かつ、セレクタ24に該読み出し制御部23から読み出されたフルセグ番組のTSパケットの出力を指示する。この結果、セレクタ24は読み出し制御部23から読み出されたフルセグ番組の音声TSパケットAPfと映像TSパケットVPfをそれぞれ選択してオーディオ出力部12、ビデオ出力部13に入力し、フルセグ番組を先頭から追っかけ再生する(ステップ312)。なお、フルセグ番組、ワンセグ番組のTSパケットのハードディスクHDD 21への書き込みを継続する。
【0032】
以後、制御部15は切換指示があったか監視し(ステップ313)、切換指示がなければ受信終了が指示されたか監視し(このステップは図示を省略)、受信終了が指示されるとフルセグ/ワンセグ出力切換制御処理を終了する。しかし、受信終了が指示されていなければ、ステップ312に戻り以降の処理を繰り返してワンセグ番組の受信を継続し、ステップ313において切換指示があれば、ステップ304に戻り以降の処理を繰り返す。
一方、ステップ311において、切換指示が自動でなされたときは、それまでのフルセグ画像の受信状態は悪いからフルセグ番組については追っかけサーチをしない。すなわち、制御部15は、フルセグ・ワンセグ切換制御部10のセレクタ24に受信したフルセグ番組のTSパケットをリアルタイム出力するよう指示する。これによりセレクタ24は、以後、受信したフルセグ番組の音声TSパケットAPfと映像TSパケットVPfを選択してそれぞれを受信タイミングでオーディオ出力部12、ビデオ出力部13に入力し、フルセグ番組をリアルタイム出力する(ステップ314)。
以後、制御部15は切換指示があったか監視し(ステップ315)、切換指示がなければ受信終了が指示されたか監視し(このステップは図示を省略)、受信終了が指示されるとフルセグ/ワンセグ出力切換制御処理を終了する。しかし、受信終了が指示されていなければ、ステップ314に戻り以降の処理を繰り返してフルセグ番組の受信を継続し、ステップ315において切換指示があれば、ステップ304に戻り以降の処理を繰り返す。
以上では、最初にフルセグ番組を受信するものとして説明したが、最初にワンセグ番組を受信することも可能である。
【0033】
第2実施例によれば、フルセグ番組とワンセグ番組が同じ場合、フルセグ→ワンセグあるいはその逆の切換を行なっても、番組を連続して市長することができる。
又、第2実施例によれば、フルセグ番組とワンセグ番組が異なる場合であっても、切換が手動でなされたか、自動でなされたかに関係なくワンセグ番組を最初から連続して視聴することできる。また、第2実施例によれば、フルセグ番組とワンセグ番組が異なる場合であっても、切換が手動でなされた場合には、フルセグ番組を最初から連続して視聴することできる。また、第2実施例によれば、フルセグ番組とワンセグ番組が異なる場合、切換が自動でなされた場合には、フルセグ番組を連続して視聴できないが画質が良好なフルセグ番組を視聴することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】フルセグ番組とワンセグ番組の内容が同じ場合における切換制御説明図である。
【図2】フルセグ番組とワンセグ番組の内容が異なる場合における第1の切換制御説明図である。
【図3】フルセグ番組とワンセグ番組の内容が異なる場合における第2の切換制御説明図である。
【図4】本発明の地上波ディジタル放送受信機の構成図である。
【図5】フルセグ・ワンセグ切換制御部の構成図である。
【図6】フルセグ/ワンセグ出力切換制御の第1実施例の処理フローである。
【図7】フルセグ/ワンセグ出力切換制御の第1実施例の処理フロー(フルセグ番組とワンセグ番組の内容が同じ場合)である。
【図8】フルセグ/ワンセグ出力切換制御の第2実施例の処理フローである。
【図9】地上波テレビ放送の伝送方式の説明図である。
【図10】EIT(Event Information Table)の説明図である。
【図11】受信状態の良否に基づいてフルセグ、ワンセグ番組の受信切換説明図である。
【図12】従来のフルセグ、ワンセグ番組の受信切換方法の第1の説明図である。
【図13】従来のフルセグ、ワンセグ番組の受信切換方法の第2の説明図である。
【図14】従来のフルセグ、ワンセグ番組の受信切換方法の第3の説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1、2 第1、第2のアンテナ
3、4 第1、第2のチューナ
5、6 第1、第2のOFDM復調部
7 ダイバーシチティ合成部
8 誤り訂正部
9 デマルチプレクサ部
10 フルセグ・ワンセグ切換制御部
11 データデコーダ
12 オーディオ出力部
13 ビデオ出力部
14 操作/表示部
15 制御部
16 EPG画像作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一チャンネル内で弱階層サービス番組及び強階層サービス番組が存在する地上波ディジタル放送を受信する地上波ディジタル放送受信機の受信方法において、
受信選択した弱階層サービス番組と強階層サービス番組が同じであるかチェックし、
同じであれば、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が指示されたとき、それまで出力中であった番組の映像及び音声信号に替えて、それまで出力中でなかった番組の映像及び音声信号を受信タイミングで出力し、
異なれば、該強階層サービス番組の映像信号及び音声信号を保存し、
弱階層サービス番組から強階層サービス番組への出力切換が指示されれば、前記保存信号を用いて前記強階層サービス番組の映像信号及び音声信号が最初から連続して出力されるよう制御し、
強階層サービス番組から弱階層サービス番組への出力切換が指示されれば、該弱階層サービス番組の映像及び音声信号を受信タイミングで出力する、
ことを特徴とする地上波ディジタル放送受信機の受信方法。
【請求項2】
同一チャンネル内で弱階層サービス番組及び強階層サービス番組が存在する地上波ディジタル放送を受信する地上波ディジタル放送受信機の受信方法において、
受信選択した弱階層サービス番組と強階層サービス番組が同じであるかチェックし、
前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組が同じで、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が指示されれば、それまで出力中であった番組の映像及び音声信号に替えて、それまで出力中でなかった番組の映像及び音声信号を受信タイミングで出力し、
前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組が異なり、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が受信品質に基づいて自動的に指示されれば、前記強階層サービス番組のみ映像信号及び音声信号が最初から連続して出力されるように切換制御し、
前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組が異なり、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が手動で指示されれば、各番組の映像信号及び音声信号が最初から連続して出力されるように制御する、
ことを特徴とする地上波ディジタル放送受信機の受信方法。
【請求項3】
前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組が異なれば、該弱階層サービスによる番組と強階層サービスによる番組の映像信号及び音声信号を保存し、
前記番組の出力切換が受信品質に基づいて自動的に指示されたとき、前記保存信号を用いて前記強階層サービス番組の映像信号及び音声信号が最初から連続して出力されるよう制御し、前記弱階層サービス番組の映像信号及び音声信号は受信タイミングで出力されるよう制御し、
前記番組の出力切換が手動で指示されたとき、前記保存信号を用いて各番組の映像及び音声が最初から連続して出力されるように制御する、
ことを特徴とする請求項2記載の地上波ディジタル放送受信機の受信方法。
【請求項4】
同一チャンネル内で弱階層サービス番組及び強階層サービス番組が存在する地上波ディジタル放送を受信する地上波ディジタル放送受信機において、
受信する弱階層サービス番組を選択する番組選択部、
受信選択した弱階層サービス番組と強階層サービス番組が同じであるかチェックする手段、
弱階層サービス番組と強階層サービス番組を含む放送信号を受信する受信部、
強階層サービス番組の映像信号及び音声信号を保存する保存部、
弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換を指示する切換指示部、
受信選択した弱階層サービス番組と強階層サービス番組が同じであれば、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が指示されたとき、それまで出力中であった番組の映像及び音声信号に替えて、それまで出力中でなかった番組の映像及び音声信号を受信タイミングで出力し、異なれば、弱階層サービス番組から強階層サービス番組への出力切換が指示されれば、前記保存部に保存されている保存信号を用いて該強階層サービス番組の映像信号及び音声信号が最初から連続して出力されるよう制御し、強階層サービス番組から弱階層サービス番組への出力切換が指示されれば、該弱階層サービス番組の映像及び音声信号を受信タイミングで出力するよう制御する切換制御部、
を有することを特徴とする地上波ディジタル放送受信機。
【請求項5】
同一チャンネル内で弱階層サービス番組及び強階層サービス番組が存在する地上波ディジタル放送を受信する地上波ディジタル放送受信機において、
弱階層サービス番組の受信品質を検出する受信品質検出部、
受信する弱階層サービス番組を選択する番組選択部、
受信選択した弱階層サービス番組と強階層サービス番組が同じであるかチェックする手段、
弱階層サービス番組と強階層サービス番組を含む放送信号を受信する受信部、
受信品質に基づいて自動的に弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換を指示する切換指示部、
手動で弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換を指示する切換指示部、
前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組が同じで、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が指示されれば、それまで出力中であった番組の映像信号及び音声信号に替えて、それまで出力中でなかった番組の映像信号及び音声信号を受信タイミングで出力し、前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組が異なり、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が受信品質に基づいて自動的に指示されれば、前記強階層サービス番組の映像信号及び音声信号が最初から連続して出力されるように制御し、かつ、前記弱階層サービス番組の映像信号及び音声信号は受信タイミングで出力されるよう制御し、前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組が異なり、該弱階層サービス番組と強階層サービス番組の出力切換が手動で指示されれば、各番組の映像信号及び音声信号が最初から連続して出力されるように制御する切換制御部、
を有することを特徴とする地上波ディジタル放送受信機。
【請求項6】
前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組が異なれば、前記弱階層サービス番組と強階層サービス番組の映像信号及び音声信号を保存する保存部を備え、
前記切換制御部は、前記番組の出力切換が受信品質に基づいて自動的に指示されたとき、前記保存信号を用いて前記強階層サービス番組のみ映像信号及び音声信号が最初から連続して出力されるように制御し、前記番組の出力切換が手動で指示されたとき、前記保存信号を用いて各番組の映像及び音声が最初から連続して出力されるように制御する、
ことを特徴とする請求項5記載の地上波ディジタル放送受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−147530(P2009−147530A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320947(P2007−320947)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】