説明

地図表示装置および地図表示方法

【課題】二条線道路の道路名称を地図画像に表示する処理にかかる時間を短くできるようにすることが可能な「地図表示装置および地図表示方法」を提供する。
【解決手段】二条線道路の道路名称を構成道路に沿って表示する場合、構成道路の通行可能方向の角度に基づいて、当該通行可能方向に対して左右の何れに表示するべきか判定する。そして、右側に表示するべきと判定し、かつ、二条線道路の通行区分が右側通行である場合、または、左側に表示するべきと判定し、かつ、当該通行区分が左側通行である場合に限って、二条線道路の道路名称を表示することにより、一方の構成道路の通行可能方向に対して左右のどちらに道路名称を表示するべきかという方向と二条線道路の通行区分とから道路名称を表示すべきか否かを判定するという少ない処理だけで、二条線道路の道路名称を構成道路と重ならない場合に限って表示できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図表示装置および地図表示方法に関し、特に、道路名称を含む地図画像を表示する地図表示装置および地図表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ナビゲーション装置は、現在地周辺の地図を表示する際、道路名称を地図画像上に表示する。道路名称を表示する際には、地図上の道路および道路名称の視認性向上のため、道路名称は道路に重ならないように表示することが好ましい。
【0003】
従来、地図上の文字表示の視認性向上を目的とした技術として、地図上の文字が自己の位置付近の道路の表示と重なる状況を回避できるようにする技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の技術では、地図上の文字とその文字表示位置を示すデータとの組を複数保持した上で、その複数の組のうち自己の位置付近の道路と文字とが重ならない組を1つ選択し、その選択した組に対応する文字表示位置に地図上の文字を表示している。
【0004】
また、地図中の各部の名称同士の重なりを防止し、地図を縮小して表示する時においても各部の名称を容易に判読できるようにする技術も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2に記載の技術では、表示縮尺率に関係なく地図中の各部の名称を一定の大きさで表示するとともに、地図を縮小して表示する時において、主要な名称のみを表示するように各部に対して表示可否条件を設定している。
【0005】
さらに、道路名称を所定の定義に従って道路に沿って左側または右側に表示するようにした技術も存在する。図4は、道路名称を道路の左側または右側の何れに表示するべきかの定義例を示す図である。図4に示すように、道路名称は、対応する道路リンクの通行可能方向(矢印で示す)の角度(基準方向である北から時計方向に測った角度)に応じて、当該道路リンクの通行可能方向に対して左側または右側の何れかに表示する。例えば、道路リンクの通行可能方向の角度が0°以上かつ180°未満である場合、道路名称は通行可能方向に対して左側に表示する。また、道路リンクの通行可能方向の角度が180°以上かつ360°未満である場合、道路名称は通行可能方向に対して右側に表示する。
【0006】
ところで、地図画像上において表示される道路には、例えば高速道路のように、通行可能方向が対向する2つの並行した道路から構成される二条線道路がある。図4に示した従来技術において、二条線道路の道路名称は、その二条線道路を構成する2つの構成道路の何れかに沿って表示される。
【0007】
図5は、二条線道路の道路名称を表示する例を示す図である。図5(a)は、二条線道路を構成する2つの構成道路1,2を表示する際、二条線道路の道路名称(図5の例では、「Road」)を構成道路1に沿って表示した例を示している。構成道路1の通行可能方向の角度は0°以上かつ180°未満であるため、二条線道路の道路名称は、図4で説明したように、構成道路1の通行可能方向に対して左側に表示される。
【0008】
図5(b)は、車両の走行に伴い、図5(a)に示す構成道路1,2および道路名称を含む地図画像全体が180°回転したときに、図4で説明した定義に従って構成道路1に沿って二条線道路の道路名称が表示される位置を示している。構成道路1の通行可能方向の角度は180°以上かつ360°未満であるため、二条線道路の道路名称は、構成道路1の通行可能方向に対して右側に表示されることになる。
【0009】
すると、二条線道路の道路名称は、構成道路2と重なってしまう。そこで、この場合は図5(c)に示すように、構成道路1に沿って道路名称は表示せず、構成道路2に沿って道路名称を表示するようにする。
【0010】
すなわち、二条線道路の道路名称を表示する際、その二条線道路を構成する各構成道路について次のような処理を行う。まず、二条線道路の道路名称を表示する場合、図4で説明した定義に従い、構成道路の通行可能方向から見て左側または右側の何れに表示するべきかを特定する。次に、表示するべきと特定した側に二条線道路の道路名称を表示すると仮定した場合、当該道路名称を囲む矩形枠が、地図画像に含まれる全ての道路との間で重なるか否かについて判定する。
【0011】
もし、重なると判定した場合、二条線道路の道路名称は構成道路に沿って表示しない。一方、重ならないと判定した場合、二条線道路の道路名称は構成道路に沿って表示する。以上の処理を、二条線道路を構成する各構成道路について行うことにより、二条線道路の道路名称は、図5(c)に示すように、その二条線道路を構成する一方の構成道路2に沿って他方の構成道路1とは重ならないように表示されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平5−181414号公報
【特許文献2】特開平5−61405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述したように、二条線道路の道路名称を表示する際には、二条線道路を構成する各構成道路について、その道路名称を囲む矩形枠が地図画像に含まれる全ての道路との間で重なるか否かについて判定する必要があり、処理負荷が大きい。したがって、二条線道路の道路名称を地図画像に表示するまでに時間がかかってしまうという問題があった。特に、地図画像に含まれる道路の数が多い場合に、処理負荷がより一層大きくなるため、表示レスポンスの悪さは深刻となる。
【0014】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、道路の左側または右側に道路名称を表示する技術において、二条線道路の道路名称を表示する処理にかかる時間を短くできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した課題を解決するために、本発明では、二条線道路の道路名称を構成道路に沿って表示する場合、通行可能方向の角度に応じて道路名称を当該通行可能方向に対して左側または右側の何れに表示するべきかを示す表示定義情報に基づいて、構成道路の通行可能方向に対して左側または右側の何れに道路名称を表示するべきか判定する。そして、一方の構成道路の通行可能方向に対して何れの側に他方の構成道路が存在しない(つまり、道路名称を表示しても重ならない)かが二条線道路の通行区分から分かることを利用して、表示するべきと判定した側が右側であり、かつ、二条線道路の通行区分が右側通行である場合、または、表示するべきと判定した側が左側であり、かつ、二条線道路の通行区分が左側通行である場合に限って、二条線道路の道路名称を表示するようにしている。
【発明の効果】
【0016】
上記のように構成した本発明によれば、一方の構成道路の通行可能方向に対して左右のどちらに道路名称を表示するべきかという方向と、二条線道路の通行区分とから道路名称を表示すべきか否かを判定するという少ない処理だけで、二条線道路の道路名称を構成道路と重ならない場合に限って表示させるようにすることができる。よって、二条線道路の道路名称を地図画像に表示する処理にかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態による地図表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による二条線道路の道路名称の表示例を示す図である。
【図3】本実施形態による地図表示装置の動作例を示すフローチャートである。
【図4】道路名称を道路の左側または右側の何れに表示するべきかを定義した例を示す図である。
【図5】従来の二条線道路の道路名称の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による地図表示装置100の構成例を示す図である。地図表示装置100は、地図表示装置100を搭載した車両の現在地周辺の地図を表示する。なお、本実施形態では車両に搭載される地図表示装置100を例にとって説明するが、地図表示装置100は、携帯情報端末、携帯電話等に一機能として搭載されても良い。
【0019】
図1において、11はDVD−ROM等の記録媒体であり、地図表示に必要な各種の地図データを記憶している。地図データには、地図表示処理に必要な道路ユニットのデータが含まれている。道路ユニットは、交差点や分岐など、複数の道路が交わる点に対応するノードに関するノードレコードと、道路上のあるノードとこれに隣接する他のノードとの間を接続する道路に対応する道路リンクに関するリンクレコードとを含んでいる。なお、ここでは地図データを記憶する記録媒体としてDVD−ROM11を用いているが、CD−ROM、ハードディスク、半導体メモリ等の他の記録媒体を用いても良い。
【0020】
ノードレコードは、ノードの識別情報であるノード番号と、当該ノードの座標(経度及び緯度)と、当該ノードに接続された道路リンクの識別情報であるリンク番号とを含む。リンクレコードは、道路リンクの識別情報であるリンク番号と、当該道路リンクの属性と、当該道路リンクの始点ノードの識別情報である始点ノード番号と、当該道路リンクの終点ノードの識別情報である終点ノード番号とを含む。本実施形態では、例えば高速道路のように、通行可能方向が対向する2つの並行した道路(本発明の構成道路に相当する)から構成される二条線道路については、一方の構成道路と他方の構成道路とのそれぞれについて道路リンクが設けられている。
【0021】
リンクレコードに含まれるリンク属性は、一般道/高速道識別フラグ、二条線道路識別フラグ、道路名称、通行可能方向および通行区分を含む。一般道/高速道識別フラグは、道路リンクが一般道または高速道の何れに該当するかを示す情報である。二条線道路識別フラグは、道路リンクが二条線道路を構成している構成道路に対応するか否かを示す情報である。道路名称は、道路リンクに対応する道路の名称である。本実施形態では、道路名称の値として「道路名称(道路名称ありの場合)」または「−(道路名称なしの場合)」の何れかが記憶されている。通行可能方向は、道路リンクに対応する道路について許容された通行方向(道路リンクの両端のノードについて、どちらのノードからどちらのノードへ通行可能かを表した方向)を示す情報である。通行区分は、道路リンクが二条線道路を構成している構成道路に対応する場合、その道路リンクが左側通行または右側通行の何れに該当するかを示す情報(本発明の通行区分情報に相当する)である。
【0022】
12は地図表示装置100を搭載した車両の現在位置を所定間隔毎に検出する車両位置検出部であり、自立航法センサ、GPS受信機、位置計算用CPU等で構成されている。自立航法センサは、所定走行距離毎に1個のパルスを出力して車両の移動距離を検出する車速センサ(距離センサ)と、車両の回転角度(移動方位)を検出する振動ジャイロ等の角速度センサ(相対方位センサ)とを含む。自立航法センサは、これらの車速センサおよび角速度センサによって車両の相対位置および方位を検出する。
【0023】
位置計算用CPUは、自立航法センサから出力される自車両の相対的な位置および方位のデータに基づいて、絶対的な自車位置(推定車両位置)および車両方位を計算する。また、GPS受信機は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算する(車両方位は、現時点における自車位置と1サンプリング時間ΔT前の自車位置とに基づいて計算する)。
【0024】
13はDVD−ROM制御部であり、DVD−ROM11からの地図データの読み出しを制御する。14は地図データ記憶部(本発明の通行区分情報記憶部に相当する)であり、DVD−ROM制御部13の制御によってDVD−ROM11から読み出された地図データを一時的に格納する。すなわち、DVD−ROM制御部13は、車両位置検出部12から車両現在位置の情報を入力し、その車両現在位置を含む所定範囲の地図データの読み出し指示を出力することにより、地図表示等に必要な地図データをDVD−ROM11から読み出して地図データ記憶部14に格納する。
【0025】
15は地図表示制御部であり、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データとに基づいて自車位置周辺の地図画像データを生成する。そして、地図表示制御部15は、生成した地図画像データをディスプレイ16に出力することにより、自車位置周辺の地図画像をディスプレイ16に表示させる。
【0026】
17は表示定義情報記憶部であり、地図表示制御部15により生成された地図画像データに基づく地図画像をディスプレイ16に表示する場合、当該地図画像に含まれる道路に対応した道路リンクの道路名称を、道路リンクの通行可能方向に対して左側または右側の何れに表示するべきかを示す表示定義情報を記憶する。この表示定義情報には、道路リンクの通行可能方向のディスプレイ画面における角度(基準方向であるディスプレイ画面の上方向から時計方向に測った角度)が0°以上かつ180°未満である場合、道路リンクの道路名称を通行可能方向に対して左側に表示するべき内容、および、道路リンクの通行可能方向の角度が180°以上かつ360°未満である場合、道路リンクの道路名称を通行可能方向に対して右側に表示するべき内容が記憶されている。
【0027】
角度特定部18は、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と地図データ記憶部14に記憶されている地図データとに基づいて特定される自車位置周辺の道路に対応する道路リンクについて以下の処理を行う。すなわち、角度特定部18は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データ(リンクレコードの二条線道路識別フラグ)に基づいて、道路リンクが、二条線道路を構成している構成道路に対応するか否かについて判定する。もし、二条線道路を構成している構成道路に対応すると判定した場合、角度特定部18は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データ(リンクレコードの道路名称)に基づいて、道路リンクが道路名称を有しているか否かについて判定する。
【0028】
もし、道路名称を有していると判定した場合、角度特定部18は、車両位置検出部12により検出された車両方位と地図データ記憶部14に記憶されている地図データ(リンクレコードの通行可能方向、ノードレコードの座標(経度及び緯度))とに基づいて、道路リンクに対応する道路の通行可能方向のディスプレイ画面における角度を特定し、特定した角度を示す角度情報を判定部19に出力する。具体的には、角度特定部18は、道路リンクの両端のノードの座標と通行可能方向とから当該道路リンクに対応する道路の方位を求める。そして、ノースアップで地図表示している場合には、画面の上方向を基準として、その求めた道路の方位の角度を、道路リンクに対応する道路の通行可能方向のディスプレイ画面における角度として特定する。また、ヘディングアップで地図表示している場合には、車両方位を基準として、その求めた道路の方位の角度を、道路リンクに対応する道路の通行可能方向のディスプレイ画面における角度として特定する。
【0029】
判定部19は、角度特定部18から出力された角度情報と表示定義情報記憶部17に記憶されている表示定義情報とに基づいて、道路リンクの道路名称を当該道路リンクの通行可能方向に対して左側または右側の何れに表示するべきか判定する。具体的には、判定部19は、角度特定部18から出力された角度情報により示される角度が0°以上かつ180°未満である場合、道路リンクの道路名称を当該道路リンクの通行可能方向に対して左側に表示するべきと判定する。また、判定部19は、角度特定部18から出力された角度情報により示される角度が180°以上かつ360°未満である場合、道路リンクの道路名称を当該道路リンクの通行可能方向に対して右側に表示するべきと判定する。判定部19は、道路リンクの通行可能方向に対して道路名称を表示するべきと判定した側を示す表示方向情報を道路名称表示制御部20に出力する。
【0030】
道路名称表示制御部20は、判定部19から出力された表示方向情報と地図データ記憶部14に記憶されている地図データ(リンクレコードの通行区分)とに基づいて、判定部19により表示するべきと判定された側が右側であり、かつ、道路リンクの通行区分が右側通行である場合、または、判定部19により表示するべきと判定された側が左側であり、かつ、通行区分が左側通行である場合に限って、当該道路リンクの道路名称を示す道路名称データをディスプレイ16に出力する。これによって、地図表示制御部15によりディスプレイ16に表示された地図画像において、道路リンクの道路名称が、判定部19により表示するべきと判定された側に当該道路リンクに沿って表示される。
【0031】
図2は、本実施形態による二条線道路の道路名称の表示例を示す図である。図2(a)は、通行区分が左側通行である二条線道路を構成する2つの構成道路を表示する際、二条線道路の道路名称(図2の例では、「Road」)を道路リンク30に沿って表示した例を示している。この場合、判定部19は、道路リンク30の通行可能方向の角度が0°以上かつ180°未満であるため、二条線道路の道路名称を道路リンク30の通行可能方向に対して左側に表示するべきと判定する。道路名称表示制御部20は、判定部19により表示するべきと判定された側が左側であり、かつ、道路リンク30の通行区分が左側通行であるため、道路名称を表示しても道路リンク40と重ならないと判断し、二条線道路の道路名称を示す道路名称データをディスプレイ16に出力する。これによって、図2(a)に示すように、二条線道路の道路名称が道路リンク30の通行可能方向に対して左側に表示される。
【0032】
また、判定部19は、道路リンク40の通行可能方向の角度が180°以上かつ360°未満であるため、二条線道路の道路名称を道路リンク40の通行可能方向に対して右側に表示するべきと判定する。道路名称表示制御部20は、判定部19により表示するべきと判定された側が右側であり、かつ、道路リンク40の通行区分が左側通行であるため、道路名称を表示すると道路リンク30と重なると判断し、二条線道路の道路名称を示す道路名称データをディスプレイ16に出力しない。これによって、図2(a)に示すように、二条線道路の道路名称が道路リンク40の通行可能方向に対して右側に表示されることはない。
【0033】
図2(b)は、通行区分が右側通行である二条線道路を表示する際、二条線道路の道路名称を道路リンク50に沿って表示した例を示している。この場合、判定部19は、道路リンク50の通行可能方向の角度が180°以上かつ360°未満であるため、二条線道路の道路名称を道路リンク50の通行可能方向に対して右側に表示するべきと判定する。道路名称表示制御部20は、判定部19により表示するべきと判定された側が右側であり、かつ、道路リンク50の通行区分が右側通行であるため、道路名称を表示しても道路リンク60と重ならないと判断し、二条線道路の道路名称を示す道路名称データをディスプレイ16に出力する。これによって、図2(b)に示すように、二条線道路の道路名称が道路リンク50の通行可能方向に対して右側に表示される。
【0034】
また、判定部19は、道路リンク60の通行可能方向の角度が0°以上かつ180°未満であるため、二条線道路の道路名称を道路リンク60の通行可能方向に対して左側に表示するべきと判定する。道路名称表示制御部20は、判定部19により表示するべきと判定された側が左側であり、かつ、道路リンク60の通行区分が右側通行であるため、道路名称を表示すると道路リンク30と重なると判断し、二条線道路の道路名称を示す道路名称データをディスプレイ16に出力しない。これによって、図2(b)に示すように、二条線道路の道路名称が道路リンク60の通行可能方向に対して左側に表示されることはない。
【0035】
次に、本実施形態における地図表示装置100の動作を説明する。図3は、地図表示装置100の動作例を示すフローチャートである。図3における各ステップの処理は、地図表示制御部15が、生成した地図画像データをディスプレイ16に出力する際に行われる。
【0036】
まず、角度特定部18は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データ(リンクレコードの二条線道路識別フラグ)に基づいて、自車位置周辺の道路に対応する1つの道路リンクに着目し、その道路リンクが二条線道路の構成道路に対応するか否かについて判定する(ステップS100)。もし、二条線道路の構成道路に対応しないと角度特定部18にて判定した場合(ステップS100にてNO)、処理はステップS260に遷移する。
【0037】
一方、二条線道路の構成道路に対応すると角度特定部18にて判定した場合(ステップS100にてYES)、角度特定部18は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データ(リンクレコードの道路名称)に基づいて、着目している道路リンクが道路名称を有しているか否かについて判定する(ステップS120)。もし、道路名称を有していないと角度特定部18にて判定した場合(ステップS120にてNO)、処理はステップS260に遷移する。
【0038】
一方、道路名称を有していると角度特定部18にて判定した場合(ステップS120にてYES)、角度特定部18は、車両位置検出部12により検出された車両方位と地図データ記憶部14に記憶されている地図データ(リンクレコードの通行可能方向、ノードレコードの座標(経度及び緯度))とに基づいて、着目している道路リンクに対応する道路の通行可能方向のディスプレイ画面における角度を特定する(ステップS140)。そして、角度特定部18は、特定した角度を示す角度情報を判定部19に出力する。
【0039】
次に、判定部19は、角度特定部18から出力された角度情報と表示定義情報記憶部17に記憶されている表示定義情報とに基づいて、道路リンクの道路名称を当該道路リンクの通行可能方向に対して左側または右側の何れに表示するべきか判定する(ステップS160)。そして、判定部19は、道路リンクの通行可能方向に対して道路名称を表示するべきと判定した側を示す表示方向情報を道路名称表示制御部20に出力する。
【0040】
次に、道路名称表示制御部20は、判定部19から出力された表示方向情報と地図データ記憶部14に記憶されている地図データ(リンクレコードの通行区分)とに基づいて、判定部19により表示するべきと判定された側が右側であり、かつ、道路リンクの通行区分が右側通行であるという条件に該当するか否かについて判定する(ステップS180)。もし、上記条件に該当すると道路名称表示制御部20にて判定した場合(ステップS180にてYES)、道路名称表示制御部20は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データ(リンクレコードの道路名称)に基づき道路リンクの道路名称を示す道路名称データをディスプレイ16に出力することによって、地図表示制御部15によりディスプレイ16に表示された地図画像において、当該道路リンクの道路名称を通行可能方向に対して右側に表示させる(ステップS200)。その後、処理はステップS260に遷移する。
【0041】
一方、上記条件に該当しないと道路名称表示制御部20にて判定した場合(ステップS180にてNO)、道路名称表示制御部20は、判定部19から出力された表示方向情報と地図データ記憶部14に記憶されている地図データ(リンクレコードの通行区分)とに基づいて、判定部19により表示するべきと判定された側が左側であり、かつ、道路リンクの通行区分が左側通行であるという条件に該当するか否かについて判定する(ステップS220)。
【0042】
もし、上記条件に該当すると道路名称表示制御部20にて判定した場合(ステップS220にてYES)、道路名称表示制御部20は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データ(リンクレコードの道路名称)に基づき道路リンクの道路名称を示す道路名称データをディスプレイ16に出力することによって、地図表示制御部15によりディスプレイ16に表示された地図画像において、当該道路リンクの道路名称を通行可能方向に対して左側に表示させる(ステップS240)。その後、処理はステップS260に遷移する。一方、上記条件に該当しないと道路名称表示制御部20にて判定した場合(ステップS220にてNO)、処理はステップS260に遷移する。
【0043】
ステップS260では、角度特定部18は、自車位置周辺の道路に対応する他の道路リンクが存在するか否かについて判定する。もし、他の道路リンクが存在すると角度特定部18にて判定した場合(ステップS260にてYES)、処理はステップS100に遷移する。一方、他の道路リンクが存在しないと角度特定部18にて判定した場合(ステップS260にてNO)、地図表示装置100は、図3における処理を終了する。
【0044】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、二条線道路の道路名称を構成道路に沿って表示する場合、構成道路に対応する道路リンクの通行可能方向の角度と表示定義情報記憶部22に記憶されている表示定義情報とに基づいて、当該道路リンクの通行可能方向に対して左側または右側の何れに表示するべきか判定する。そして、判定部19にて表示するべきと判定した側が右側であり、かつ、二条線道路の通行区分が右側通行である場合、または、判定部19にて表示するべきと判定した側が左側であり、かつ、二条線道路の通行区分が左側通行である場合に限って、道路名称表示制御部20にて、地図表示制御部15によりディスプレイ16に表示された地図画像に二条線道路の道路名称を表示するようにしている。
【0045】
このように構成した本実施形態によれば、一方の構成道路(道路リンク)の通行可能方向に対して左右のどちらに道路名称を表示するべきかという方向と二条線道路の通行区分とから道路名称を表示すべきか否かを判定するという少ない処理だけで、二条線道路の道路名称を構成道路と重ならない場合に限って表示させるようにすることができる。よって、二条線道路の道路名称を地図画像に表示する処理にかかる時間を短縮することができる。
【0046】
なお、上記実施形態では、道路リンクの道路名称が道路ユニットにおいて定義されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、道路名称は、市町村名や道路名等を表示するために必要な文字レイヤのデータ等を含む描画ユニットにおいて定義されていても良い。この場合、描画ユニットにおいて定義されている道路リンクの道路名称と、道路ユニットにおいて定義されている当該道路リンクのリンクレコードとが関連づけられている。
【0047】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0048】
14 地図データ記憶部(通行区分情報記憶部)
17 表示定義情報記憶部
18 角度特定部
19 判定部
20 道路名称表示制御部
100 地図表示装置




【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図画像における道路の通行可能方向の角度に応じて、当該道路の道路名称を、当該通行可能方向に対して左側または右側の何れに表示するべきかを示す表示定義情報を記憶する表示定義情報記憶部と、
前記地図画像に含まれる二条線道路が左側通行または右側通行の何れに該当するかを示す通行区分情報を記憶する通行区分情報記憶部と、
前記二条線道路を構成する構成道路の通行可能方向の角度を特定する角度特定部と、
前記角度特定部により特定された角度と前記表示定義情報とに基づいて、前記二条線道路の道路名称を前記構成道路の通行可能方向に対して左側または右側の何れに表示するべきか判定する判定部と、
前記判定部により表示するべきと判定された側が右側であり、かつ、前記通行区分情報により示される通行区分が右側通行である場合、または、前記判定部により表示するべきと判定された側が左側であり、かつ、前記通行区分情報により示される通行区分が左側通行である場合に限って、前記二条線道路の道路名称を前記構成道路に沿って、前記判定部により表示するべきと判定された側に表示するように制御する道路名称表示制御部とを備えたことを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
地図画像に含まれる二条線道路を構成する構成道路の通行可能方向の角度を特定する第1のステップと、
前記地図画像における道路の通行可能方向の角度に応じて、当該道路の道路名称を、当該通行可能方向に対して左側または右側の何れに表示するべきかを示す表示定義情報と前記第1のステップにより特定された角度とに基づいて、前記二条線道路の道路名称を前記構成道路の通行可能方向に対して左側または右側の何れに表示するべきか判定する第2のステップと、
前記第2のステップにより表示するべきと判定された側が右側であり、かつ、前記二条線道路が左側通行または右側通行の何れに該当するかを示す通行区分情報により示される通行区分が右側通行である場合、または、前記第2のステップにより表示するべきと判定された側が左側であり、かつ、前記通行区分情報により示される通行区分が左側通行である場合に限って、前記二条線道路の道路名称を前記構成道路に沿って、前記第2のステップにより表示するべきと判定された側に表示するように制御する第3のステップとを有することを特徴とする地図表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−145498(P2011−145498A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6475(P2010−6475)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】