地盤の破壊・崩壊予測方法
【課題】地盤破壊・崩壊予測の信頼性を高めるため、地盤の電位差データから外的要因による電位変化を除去して、内的要因による電位変化を的確に把握するための方法を提供する。
【解決手段】地盤に設置した電極ER0と電極ER1〜ERn間を接続した複数の測線で電位差を計測し、各測線個別の電位差データを、各測線からの電位差データの和で除算することによって、電位分担率を求め、この電位分担率の変化を地盤破壊・崩壊に係る内的要因による前兆変化として評価する。電位分担率は、個別の電位差データを、各測線からの電位差データの総和で除算することによって外的要因をキャンセルしたものとなるので、内的要因の変化指標として捉えることができる。
【解決手段】地盤に設置した電極ER0と電極ER1〜ERn間を接続した複数の測線で電位差を計測し、各測線個別の電位差データを、各測線からの電位差データの和で除算することによって、電位分担率を求め、この電位分担率の変化を地盤破壊・崩壊に係る内的要因による前兆変化として評価する。電位分担率は、個別の電位差データを、各測線からの電位差データの総和で除算することによって外的要因をキャンセルしたものとなるので、内的要因の変化指標として捉えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の破壊や崩壊現象の発生を予測するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
盛土や切土等による斜面や、風化等により成層が不安定になっていると予想される地域での地盤の破壊や崩壊(地すべり、岩盤崩落、斜面崩壊、落石など)による危険を回避するためには、地盤破壊や崩壊につながる前兆現象が発生しているか否かを、実際に地盤の破壊や崩壊の発生する前に的確にとらえることが重要である。従来、このような地盤破壊・崩壊予測には、地盤の微小な電気的変化を観測することによって地盤破壊・崩壊の前兆現象を把握しようとする試みがなされて来た。
【0003】
このうち、例えば不安定な斜面などにおいて地盤の変位や歪を計測し、崩壊を予測しようとする手法は、変動が緩慢な地すべり等の予測には適しているが、岩盤崩落等は非常に小さな変位や歪で瞬時に崩落が発生することから、地盤の変位や歪の計測によって崩壊を予測することはきわめて困難である。
【0004】
また、地盤が破壊される時に発生する音響信号であるAE(Acoustic Emission)による破壊・崩壊予測は、元来、AEが金属材料の疲労破壊等の予測に用いられてきたことから、均一材料の破壊予測には有効であるが、地盤のような自然かつ複合材料に対する適用性は低い。また、AEは地盤振動のうちかなりの高周波成分を計測するために、地盤内での振動の伝播減衰が非常に大きく、広範囲の領域における計測は不可能である。したがって、AEは破壊・崩壊位置が高精度に推定されたジャストポイントの計測には有効であるが、現状では地盤内の破壊・崩壊位置を推定することは困難である。しかも破壊・崩壊位置が推定できれば有効な対策を施すことが可能となるのであるから、災害発生のリスクを勘案すれば、破壊・崩壊を予測するより、事前に対策を講じた方が賢明である。このため、地盤の破壊・崩壊予測技術としては、その位置と規模を推定できる手法の開発が望まれていると言える。
【0005】
また、地盤の電位変化を計測して地震予知に活用するギリシャで開発されたVAN法では、地盤内での減衰が小さい電磁波が広範囲の計測に有利であるといった特性を活かして、発生する地震の位置と規模を同定する試みがなされている。よって、地盤の微小な電位変化を観測することによって地盤崩壊の位置と規模を同定することが可能となることが示唆される。
【0006】
一方、地盤の電位観測では絶対電位を測定することは困難であるため、ある地点に配置した共通陰極(基準電極)との差(電位差)を観測することになる。地下深部の金属鉱床や地熱地帯における熱源探査に活用されている調査法である自然電位法(SP法、電気探査の一種)でも、同様に基準電極に基づく地盤の電位分布を広範囲に計測し、その分布形状から地下の状態を把握している。
【0007】
地盤の電位観測において観測値から降雨等の外的要因によるノイズを除去する手法としては、対象地点から遠方あるいは異なる条件の箇所に電極を配置して、この測線をノイズ測線として活用しノイズを除去する試みがなされてきたが(例えば下記の特許文献1参照)、地盤の電位観測では、上述のように共通陰極を配置する必要があり、例えば観測目的区域から数km離れた遠方に電極を設置することは実務的に難しいのが現状である。一方、複数の異なる観測地点のデータから個々の観測地点の固有のノイズを除去しようとする手法も考えられるが、個々の地点で受ける個別の外的要因が同一であることが保証されていないことから、この手法も現実性に乏しい。
【特許文献1】特許第3803470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、地盤破壊・崩壊予測の信頼性を高めるため、地盤の電位差データから外的要因による電位変化を除去して、内的要因による電位変化を的確に把握するための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の技術的課題を有効に解決するための手段として、本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法は、地盤に設置した電極間を接続した複数の測線で電位差を計測し、各測線個別の電位差データを、各測線からの電位差データの和で除算することによって電位分担率を求め、この電位分担率の変化を地盤破壊・崩壊に係る内的要因による前兆変化として評価することを特徴とするものである。
【0010】
上記構成において好ましくは、各測線が、安定領域の地盤に設置した電極を共通陰極として、不安定又は不安定になると予想される地盤に設置した複数の電極との間をそれぞれ接続したものである。
【0011】
本発明は、地盤の微小な電気的な変化によって破壊現象(岩盤崩落、地すべり、落石、斜面崩壊など)の前兆を捉えようとするものであり、この種の手法では、降雨、降雪、温度、湿度などの気象変化や、地中の水分の凍結、融解などの外的要因による電位変化を除去しなければ、地盤の破壊・崩壊(内的要因)による電位変化を的確に評価することができない。これは、地盤の破壊に伴い発生する電位変化は非常に小さく数mV〜数百mV程度にすぎないのに対し、降雨時の電位変化は大きなものであるため、仮に降雨時に地盤の破壊が発生した場合、それによる電位変化が、降雨に起因する電位変化に埋もれてしまい、しかも内的要因による電位変化のパターンも、長期間に亘ってほぼ一定の勾配で変化するパターンや、周期的に変化するパターンや、急激に変化するパターンなどさまざまであるため、計測された電位差データだけでは地盤の微小破壊などの前兆現象を把握することができないからである。
【0012】
また、地盤試料を用いた室内実験でも、付近を通過する電車や、工場や家庭内の電気機器など、電気を動力源とする機器から発生する多くの電磁波による影響を受けて、本来、地盤試料の破壊とは無関係の外的要因による電位変化も一緒に観測されてしまう。
【0013】
しかしながら、上述のような外的要因は、観測対象領域内の個別の地点(測線)に等しくその影響が作用するために、各測線で計測された電位差データに乗算としてその影響が含まれている。したがって、本発明はこの点に着目し、個別の電位差データを、各測線からの電位差データの総和で除算することによって外的要因をキャンセルした電位分担率を算出し、内的要因の変化指標として捉えるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法によれば、計測された複数の電位差データから外的要因に伴う電位変動を除去し、地盤の破壊・崩壊の前兆現象による電位分担率のみを取り出すことができるので、地盤破壊・崩壊の予測精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法について、図面を参照しながら説明する。まず図1は、本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法における好ましい実施の形態を、電極の平面配置例と共に概略的に示す説明図、図2は、電極の鉛直配置例と共に概略的に示す説明図である。
【0016】
図1において、上側が地盤斜面の上部、下側が地盤斜面の下部であり、参照符号G1は安定領域、G2は太矢印で示される地すべりなどが発生しやすい不安定又は不安定になると予想される領域(以下、不安定領域という)である。この形態では、安定領域G1の任意の一箇所に電極ER0を埋設し、不安定領域G2における複数の地点に電極ER1〜ERnを埋設しており、電極ER0は、多チャンネルの電圧計測器(例えばデータロガー)1の各陰極入力端子111〜11nに並列に接続し、電極ER1〜ERnは、それぞれ前記電圧計測器1の各陽極入力端子121〜12nに接続している。
【0017】
不安定領域G2に埋設された電極ER1〜ERnは、安定領域G1に埋設された一つの電極ER0を共通陰極とする複数の測線を形成するものであり、電圧計測器1は、陽極側の各電極ER1〜ERnと陰極側の電極ER0との間の電位差を、一定のサンプリング周期(例えば10秒)で計測して記録するものである。
【0018】
図2において、参照符号GWLは地下水位、参照符号SFは地すべりの発生しやすい面(以下、すべり面という)であって、安定領域G1と不安定領域G2との境界面に相当する。そしてこの図2の参照符号Bhは、電極P1U,P1L,P2U,P2Lを埋設するためのボーリング孔である。このうち上側の電極P1U,P2Uは、すべり面SFより上側の不安定領域G2に位置し、下側の電極P1L,P2Lは、すべり面SFより下層の安定領域G1に位置している。また、電極P1U,P2U,P1L,P2Lは、雨の影響を排除するために地下水位GWL以下に設置した。
【0019】
そして、安定領域G1に埋設した電極ER0を共通陰極として、多チャンネルの電圧計測器(例えばデータロガー)2の各陰極入力端子211〜214に並列に接続し、電極P1U,P1L,P2U,P2Lを、それぞれ前記電圧計測器2の各陽極入力端子221〜224に接続している。
【0020】
ここで、ある測線で計測される電位差をPsiとし、このうち地盤の破壊などの内的要因による電位変化をPti、電極の状態などに起因する不明確な未知のノイズをPni、気象変化などの外的要因による電位変化をPcとすると、発明者らの研究の結果、おおよそ次のような式が成り立つことがわかった。
Psi≒(Pti+Pni)×Pc
【0021】
また、各測線(電極ER0とER1の間、電極ER0とER2の間、電極ER0とER3の間、・・・)で計測された電位差の和(又は総和)をΣPs、各測線で計測された電位差のうち、内的要因による電位変化をPt、個々の電極の状態などに起因する不明確な未知のノイズをPnとすると、
ΣPs≒Σ(Pt+Pn)×Pc
であるから、個別の電位差PsiをΣPsで除算することによって、次式のように、外的要因による電位変化Pcをキャンセルした電位分担率Riを個別に得ることができる。
Ri=Psi/ΣPs=(Pti+Pni)×Pc/Σ(Pt+Pn)×Pc
=(Pti+Pni)/Σ(Pt+Pn)
【0022】
すなわち、電位分担率Riは、気象変化などの外的要因による電位変化Pcが除去されているものであり、地盤崩壊・破壊を起こす箇所の電位は変位に先行して変化するため、地盤の破壊現象に起因する内的要因の変化を把握するための指標とすることができる。また、電位差の和ΣPsは、観測対象領域に及ぼす外的要因の影響が強調されたデータとなっているため、外的要因の程度の差を表す指標として活用することができる。また、発明者らが野外で観測した種々の電位差データを分析した結果、電位差の変化は降水の有無には敏感だが、降水量には比例しないことが分かった。
【0023】
なお、ΣPsは2箇所以上の計測値の和であり、必ずしも観測対象領域内における各測線での計測値の総和である必要はなく、同じ外的要因を受ける箇所に設置された最低2箇所(1組)の観測データがあれば算出することが可能であり、移動土塊内、不動土塊内あるいは不動土塊と移動土塊を跨いだ領域での内的変化に伴う電位差の比を算出し、破壊前兆現象を把握することができる。
【0024】
仮に2箇所の電極において、電極の設置状況や形状・材質などが同一で、等しい外的要因をうける理想的な状況と考えられる場合、各々の電極における電位分担率は、共に等しく電位を分担するので0.5となる。同様に、4箇所の場合0.25となる。よって、地盤破壊等による内的要因による電位変化がある電極位置で観測された場合、その地点の電位分担率が正側あるいは負側に変化することになる。よって、地盤の破壊に伴う前兆現象を把握するためにはこの電位分担率の変化に注目することが有効である。
【0025】
なお、現況では破壊に伴い発生する電位差を一概に確定することが困難なため、その変化量は多様であり,変化の極性は正側,負側の双方があり得る。
【実施例】
【0026】
次に図3は、本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法を検証するために実施した室内試験を示す説明図である。この試験では、一軸圧縮試験機100における上下に互いに対向した一対の押圧子101,101間に円柱状の岩石からなる供試体TPを設置し、この供試体TPの上下両端に電極ER11,ER12を設け、押圧子101,101と電極ER11,ER12の間はそれぞれ絶縁体102によって電気的に絶縁した。また、一方の電極ER11は、サンプリング周期が0.1秒のデータロガー3における陽極入力端子321,322に接続し、他方の電極ER12は、データロガー3における陰極入力端子311と陽極入力端子323に接続し、陰極入力端子312,313はアースし、供試体TPを押圧子101,101間で圧縮荷重を加えていくことにより破壊させるまでの過程で、上部電極ER11と下部電極ER12間に生じてch1に入力される電位差PU−PL、上部電極ER11とアースGND間に生じてch2に入力される電位差PU−G、及び下部電極ER12とアースGND間に生じてch3に入力される電位差PL−Gの変化を計測した。
【0027】
図4は、試験結果を示す線図である。この図4において、RU,RLは電位差データPU−G及びPL−Gをその和で除算した電位分担率であって、すなわち次のようにして求められたものである。
RU=PU−G/Σ(PU−G+PL−G)
RL=PL−G/Σ(PU−G+PL−G)
【0028】
供試体TPへの圧縮荷重を増大させていくと、やがて図4に破線で示される時刻で供試体TPの破壊に到るが、それより以前の時点(時間0:35〜0:42付近)では、電位分担率が0.5を基準として正の値であったRUと負の値であったRLの関係が逆転し、それまでの均衡が崩れていることがわかる。この変化は、供試体TPの内部組織の微小破壊が始まったことに伴う電位変化によるものであると考えられる。
【0029】
次に図5は、本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法をトンネル掘削現場での観測に用いた実施例を示す電極の平面配置図、図6は、図5におけるVI−VI断面図である。これら図5及び図6において、参照符号TNは掘削されるトンネル、参照符号G3はひん岩などによる基盤からなる領域、G4は、トンネルTNの掘削によって不安定になりやすい領域で、粘土や砂、崖錐などの未固結堆積物からなる。この実施例では、トンネル掘削によるゆるみの影響範囲外に位置する電極ER20を埋設してこれを不図示のデータロガーの陰極側の入力端子に接続し、トンネルTNの掘進方向の真上及びこれと直交する方向へ並ぶようにそれぞれ電極ER21〜ER28を埋設してこれらを前記データロガーの陽極側の入力端子にそれぞれ接続した。
【0030】
図7は、図5及び図6に示されるトンネル掘削現場での電極ER20を共通陰極とする電極ER21〜ER23の電位計測データ及びこの計測データに基づいて算出された電位分担率の経時変化と降雨との関係を示す線図である。この事例では、電極ER21〜ER23の電位計測データには、降雨時にその影響が負側への変化として表れているが、下段の電位分担率では降雨のよる変化はほとんどキャンセルされており、図中に楕円で囲んで示されるように、内的要因であるトンネル掘削の影響による電位変化が強調されていることがわかる。
【0031】
また図8は、図5及び図6に示されるトンネル掘削現場での電極ER20を共通陰極とする電極ER21〜ER28の電位計測データの総和と、各電位計測データに基づいて算出された各電極の電位分担率の経時変化を示す線図である。この事例では、電位差の総和(ΣER21〜ER28)は降雨の影響が誇張されているが、各電極における電位分担率には降雨の影響がほとんどキャンセルされていることがわかる。
【0032】
次に図9は、本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法を地すべり地の観測に用いた実施例を示す電極の平面配置図である。この図9において、参照符号G5は地山の安定領域、G6(太線で囲んだ範囲)は、不安定領域である地すべり地、Aは河川、Bは道路である。この実施例では、安定領域G5に電極ER30を埋設してこれを不図示のデータロガーの陰極側の入力端子に接続し、安定領域G5に複数の電極ER31,ER32,ER36、地すべり地G6に複数の電極ER33〜ER35を埋設してこれらを前記データロガーの陽極側の入力端子にそれぞれ接続した。また、P31,P32は金属線の電気抵抗の変化から地すべりを深さ方向で検出するパイプ歪計である。
【0033】
図10は、図9に示される電極ER30を共通陰極とする電極ER31〜ER36の電位計測データに基づいて個別に算出された電位分担率及びパイプ歪計P31,P32の歪計測データの経時変化と降雨量、積雪量との関係を示す線図である。この図10によれば、積雪及び降雨の後の歪データの変化(地すべり変状の発生)に先行して、電位分担率に変化が表れていることがわかる。
【0034】
図11は、図9に示される電極ER30を共通陰極として、安定領域G5に設置した電極ER31及び地すべり地G6に設置した電極ER33の電位計測データに基づいて算出された電位分担率と、前記電極ER31,ER33に隣接して設置したボーリング孔内パイプ歪計P31,P32の歪計測データの経時変化を示す線図である。この図11によれば、地すべり地G6と安定領域G5の電位分担率は、歪データの変化(地すべり変状の発生)に先行して逆転していることがわかる。
【0035】
図12は、図9に示される電極ER30を共通陰極として、安定領域G5に設置した電極ER31,ER32の電位計測データに基づいて算出された電位分担率と、前記電極ER31に隣接して設置したボーリング孔内パイプ歪計P32の歪計測データの経時変化を示す線図である。この図12によれば、安定領域G5に設置した電極ER31,ER32間では、電位分担率の変動がほとんどみられないことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法の好ましい実施の形態を、電極の平面配置例と共に概略的に示す説明図である。
【図2】本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法の好ましい実施の形態を、電極の鉛直配置例と共に概略的に示す説明図である。
【図3】本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法を検証するために実施した室内試験を示す説明図である。
【図4】室内試験の結果を示す線図である。
【図5】本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法をトンネル掘削現場での観測に用いた実施例を示す電極の平面配置図である。
【図6】図5におけるVI−VI断面図である。
【図7】図5及び図6のトンネル掘削現場での電位計測データ及びこの計測データに基づいて算出された電位分担率の経時変化と降雨との関係を示す線図である。
【図8】図5及び図6のトンネル掘削現場での電位計測データの総和と、各電位計測データに基づいて算出された各電極の電位分担率の経時変化を示す線図である。
【図9】本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法を地すべり地の観測に用いた実施例を示す電極の平面配置図である。
【図10】図9の地すべり地の観測において個別に算出された電位分担率及び歪計測データの経時変化と降雨量、積雪量との関係を示す線図である。
【図11】図9における安定領域と地すべり地の2箇所の電極による電位計測値に基づいて算出された電位分担率及び前記電極と隣接する位置の歪計測データの経時変化を示す線図である。
【図12】図9における安定領域の2箇所の電極による電位計測値に基づいて算出された電位分担率及び前記電極と隣接する位置の歪計測データの経時変化を示す線図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の破壊や崩壊現象の発生を予測するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
盛土や切土等による斜面や、風化等により成層が不安定になっていると予想される地域での地盤の破壊や崩壊(地すべり、岩盤崩落、斜面崩壊、落石など)による危険を回避するためには、地盤破壊や崩壊につながる前兆現象が発生しているか否かを、実際に地盤の破壊や崩壊の発生する前に的確にとらえることが重要である。従来、このような地盤破壊・崩壊予測には、地盤の微小な電気的変化を観測することによって地盤破壊・崩壊の前兆現象を把握しようとする試みがなされて来た。
【0003】
このうち、例えば不安定な斜面などにおいて地盤の変位や歪を計測し、崩壊を予測しようとする手法は、変動が緩慢な地すべり等の予測には適しているが、岩盤崩落等は非常に小さな変位や歪で瞬時に崩落が発生することから、地盤の変位や歪の計測によって崩壊を予測することはきわめて困難である。
【0004】
また、地盤が破壊される時に発生する音響信号であるAE(Acoustic Emission)による破壊・崩壊予測は、元来、AEが金属材料の疲労破壊等の予測に用いられてきたことから、均一材料の破壊予測には有効であるが、地盤のような自然かつ複合材料に対する適用性は低い。また、AEは地盤振動のうちかなりの高周波成分を計測するために、地盤内での振動の伝播減衰が非常に大きく、広範囲の領域における計測は不可能である。したがって、AEは破壊・崩壊位置が高精度に推定されたジャストポイントの計測には有効であるが、現状では地盤内の破壊・崩壊位置を推定することは困難である。しかも破壊・崩壊位置が推定できれば有効な対策を施すことが可能となるのであるから、災害発生のリスクを勘案すれば、破壊・崩壊を予測するより、事前に対策を講じた方が賢明である。このため、地盤の破壊・崩壊予測技術としては、その位置と規模を推定できる手法の開発が望まれていると言える。
【0005】
また、地盤の電位変化を計測して地震予知に活用するギリシャで開発されたVAN法では、地盤内での減衰が小さい電磁波が広範囲の計測に有利であるといった特性を活かして、発生する地震の位置と規模を同定する試みがなされている。よって、地盤の微小な電位変化を観測することによって地盤崩壊の位置と規模を同定することが可能となることが示唆される。
【0006】
一方、地盤の電位観測では絶対電位を測定することは困難であるため、ある地点に配置した共通陰極(基準電極)との差(電位差)を観測することになる。地下深部の金属鉱床や地熱地帯における熱源探査に活用されている調査法である自然電位法(SP法、電気探査の一種)でも、同様に基準電極に基づく地盤の電位分布を広範囲に計測し、その分布形状から地下の状態を把握している。
【0007】
地盤の電位観測において観測値から降雨等の外的要因によるノイズを除去する手法としては、対象地点から遠方あるいは異なる条件の箇所に電極を配置して、この測線をノイズ測線として活用しノイズを除去する試みがなされてきたが(例えば下記の特許文献1参照)、地盤の電位観測では、上述のように共通陰極を配置する必要があり、例えば観測目的区域から数km離れた遠方に電極を設置することは実務的に難しいのが現状である。一方、複数の異なる観測地点のデータから個々の観測地点の固有のノイズを除去しようとする手法も考えられるが、個々の地点で受ける個別の外的要因が同一であることが保証されていないことから、この手法も現実性に乏しい。
【特許文献1】特許第3803470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、地盤破壊・崩壊予測の信頼性を高めるため、地盤の電位差データから外的要因による電位変化を除去して、内的要因による電位変化を的確に把握するための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の技術的課題を有効に解決するための手段として、本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法は、地盤に設置した電極間を接続した複数の測線で電位差を計測し、各測線個別の電位差データを、各測線からの電位差データの和で除算することによって電位分担率を求め、この電位分担率の変化を地盤破壊・崩壊に係る内的要因による前兆変化として評価することを特徴とするものである。
【0010】
上記構成において好ましくは、各測線が、安定領域の地盤に設置した電極を共通陰極として、不安定又は不安定になると予想される地盤に設置した複数の電極との間をそれぞれ接続したものである。
【0011】
本発明は、地盤の微小な電気的な変化によって破壊現象(岩盤崩落、地すべり、落石、斜面崩壊など)の前兆を捉えようとするものであり、この種の手法では、降雨、降雪、温度、湿度などの気象変化や、地中の水分の凍結、融解などの外的要因による電位変化を除去しなければ、地盤の破壊・崩壊(内的要因)による電位変化を的確に評価することができない。これは、地盤の破壊に伴い発生する電位変化は非常に小さく数mV〜数百mV程度にすぎないのに対し、降雨時の電位変化は大きなものであるため、仮に降雨時に地盤の破壊が発生した場合、それによる電位変化が、降雨に起因する電位変化に埋もれてしまい、しかも内的要因による電位変化のパターンも、長期間に亘ってほぼ一定の勾配で変化するパターンや、周期的に変化するパターンや、急激に変化するパターンなどさまざまであるため、計測された電位差データだけでは地盤の微小破壊などの前兆現象を把握することができないからである。
【0012】
また、地盤試料を用いた室内実験でも、付近を通過する電車や、工場や家庭内の電気機器など、電気を動力源とする機器から発生する多くの電磁波による影響を受けて、本来、地盤試料の破壊とは無関係の外的要因による電位変化も一緒に観測されてしまう。
【0013】
しかしながら、上述のような外的要因は、観測対象領域内の個別の地点(測線)に等しくその影響が作用するために、各測線で計測された電位差データに乗算としてその影響が含まれている。したがって、本発明はこの点に着目し、個別の電位差データを、各測線からの電位差データの総和で除算することによって外的要因をキャンセルした電位分担率を算出し、内的要因の変化指標として捉えるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法によれば、計測された複数の電位差データから外的要因に伴う電位変動を除去し、地盤の破壊・崩壊の前兆現象による電位分担率のみを取り出すことができるので、地盤破壊・崩壊の予測精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法について、図面を参照しながら説明する。まず図1は、本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法における好ましい実施の形態を、電極の平面配置例と共に概略的に示す説明図、図2は、電極の鉛直配置例と共に概略的に示す説明図である。
【0016】
図1において、上側が地盤斜面の上部、下側が地盤斜面の下部であり、参照符号G1は安定領域、G2は太矢印で示される地すべりなどが発生しやすい不安定又は不安定になると予想される領域(以下、不安定領域という)である。この形態では、安定領域G1の任意の一箇所に電極ER0を埋設し、不安定領域G2における複数の地点に電極ER1〜ERnを埋設しており、電極ER0は、多チャンネルの電圧計測器(例えばデータロガー)1の各陰極入力端子111〜11nに並列に接続し、電極ER1〜ERnは、それぞれ前記電圧計測器1の各陽極入力端子121〜12nに接続している。
【0017】
不安定領域G2に埋設された電極ER1〜ERnは、安定領域G1に埋設された一つの電極ER0を共通陰極とする複数の測線を形成するものであり、電圧計測器1は、陽極側の各電極ER1〜ERnと陰極側の電極ER0との間の電位差を、一定のサンプリング周期(例えば10秒)で計測して記録するものである。
【0018】
図2において、参照符号GWLは地下水位、参照符号SFは地すべりの発生しやすい面(以下、すべり面という)であって、安定領域G1と不安定領域G2との境界面に相当する。そしてこの図2の参照符号Bhは、電極P1U,P1L,P2U,P2Lを埋設するためのボーリング孔である。このうち上側の電極P1U,P2Uは、すべり面SFより上側の不安定領域G2に位置し、下側の電極P1L,P2Lは、すべり面SFより下層の安定領域G1に位置している。また、電極P1U,P2U,P1L,P2Lは、雨の影響を排除するために地下水位GWL以下に設置した。
【0019】
そして、安定領域G1に埋設した電極ER0を共通陰極として、多チャンネルの電圧計測器(例えばデータロガー)2の各陰極入力端子211〜214に並列に接続し、電極P1U,P1L,P2U,P2Lを、それぞれ前記電圧計測器2の各陽極入力端子221〜224に接続している。
【0020】
ここで、ある測線で計測される電位差をPsiとし、このうち地盤の破壊などの内的要因による電位変化をPti、電極の状態などに起因する不明確な未知のノイズをPni、気象変化などの外的要因による電位変化をPcとすると、発明者らの研究の結果、おおよそ次のような式が成り立つことがわかった。
Psi≒(Pti+Pni)×Pc
【0021】
また、各測線(電極ER0とER1の間、電極ER0とER2の間、電極ER0とER3の間、・・・)で計測された電位差の和(又は総和)をΣPs、各測線で計測された電位差のうち、内的要因による電位変化をPt、個々の電極の状態などに起因する不明確な未知のノイズをPnとすると、
ΣPs≒Σ(Pt+Pn)×Pc
であるから、個別の電位差PsiをΣPsで除算することによって、次式のように、外的要因による電位変化Pcをキャンセルした電位分担率Riを個別に得ることができる。
Ri=Psi/ΣPs=(Pti+Pni)×Pc/Σ(Pt+Pn)×Pc
=(Pti+Pni)/Σ(Pt+Pn)
【0022】
すなわち、電位分担率Riは、気象変化などの外的要因による電位変化Pcが除去されているものであり、地盤崩壊・破壊を起こす箇所の電位は変位に先行して変化するため、地盤の破壊現象に起因する内的要因の変化を把握するための指標とすることができる。また、電位差の和ΣPsは、観測対象領域に及ぼす外的要因の影響が強調されたデータとなっているため、外的要因の程度の差を表す指標として活用することができる。また、発明者らが野外で観測した種々の電位差データを分析した結果、電位差の変化は降水の有無には敏感だが、降水量には比例しないことが分かった。
【0023】
なお、ΣPsは2箇所以上の計測値の和であり、必ずしも観測対象領域内における各測線での計測値の総和である必要はなく、同じ外的要因を受ける箇所に設置された最低2箇所(1組)の観測データがあれば算出することが可能であり、移動土塊内、不動土塊内あるいは不動土塊と移動土塊を跨いだ領域での内的変化に伴う電位差の比を算出し、破壊前兆現象を把握することができる。
【0024】
仮に2箇所の電極において、電極の設置状況や形状・材質などが同一で、等しい外的要因をうける理想的な状況と考えられる場合、各々の電極における電位分担率は、共に等しく電位を分担するので0.5となる。同様に、4箇所の場合0.25となる。よって、地盤破壊等による内的要因による電位変化がある電極位置で観測された場合、その地点の電位分担率が正側あるいは負側に変化することになる。よって、地盤の破壊に伴う前兆現象を把握するためにはこの電位分担率の変化に注目することが有効である。
【0025】
なお、現況では破壊に伴い発生する電位差を一概に確定することが困難なため、その変化量は多様であり,変化の極性は正側,負側の双方があり得る。
【実施例】
【0026】
次に図3は、本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法を検証するために実施した室内試験を示す説明図である。この試験では、一軸圧縮試験機100における上下に互いに対向した一対の押圧子101,101間に円柱状の岩石からなる供試体TPを設置し、この供試体TPの上下両端に電極ER11,ER12を設け、押圧子101,101と電極ER11,ER12の間はそれぞれ絶縁体102によって電気的に絶縁した。また、一方の電極ER11は、サンプリング周期が0.1秒のデータロガー3における陽極入力端子321,322に接続し、他方の電極ER12は、データロガー3における陰極入力端子311と陽極入力端子323に接続し、陰極入力端子312,313はアースし、供試体TPを押圧子101,101間で圧縮荷重を加えていくことにより破壊させるまでの過程で、上部電極ER11と下部電極ER12間に生じてch1に入力される電位差PU−PL、上部電極ER11とアースGND間に生じてch2に入力される電位差PU−G、及び下部電極ER12とアースGND間に生じてch3に入力される電位差PL−Gの変化を計測した。
【0027】
図4は、試験結果を示す線図である。この図4において、RU,RLは電位差データPU−G及びPL−Gをその和で除算した電位分担率であって、すなわち次のようにして求められたものである。
RU=PU−G/Σ(PU−G+PL−G)
RL=PL−G/Σ(PU−G+PL−G)
【0028】
供試体TPへの圧縮荷重を増大させていくと、やがて図4に破線で示される時刻で供試体TPの破壊に到るが、それより以前の時点(時間0:35〜0:42付近)では、電位分担率が0.5を基準として正の値であったRUと負の値であったRLの関係が逆転し、それまでの均衡が崩れていることがわかる。この変化は、供試体TPの内部組織の微小破壊が始まったことに伴う電位変化によるものであると考えられる。
【0029】
次に図5は、本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法をトンネル掘削現場での観測に用いた実施例を示す電極の平面配置図、図6は、図5におけるVI−VI断面図である。これら図5及び図6において、参照符号TNは掘削されるトンネル、参照符号G3はひん岩などによる基盤からなる領域、G4は、トンネルTNの掘削によって不安定になりやすい領域で、粘土や砂、崖錐などの未固結堆積物からなる。この実施例では、トンネル掘削によるゆるみの影響範囲外に位置する電極ER20を埋設してこれを不図示のデータロガーの陰極側の入力端子に接続し、トンネルTNの掘進方向の真上及びこれと直交する方向へ並ぶようにそれぞれ電極ER21〜ER28を埋設してこれらを前記データロガーの陽極側の入力端子にそれぞれ接続した。
【0030】
図7は、図5及び図6に示されるトンネル掘削現場での電極ER20を共通陰極とする電極ER21〜ER23の電位計測データ及びこの計測データに基づいて算出された電位分担率の経時変化と降雨との関係を示す線図である。この事例では、電極ER21〜ER23の電位計測データには、降雨時にその影響が負側への変化として表れているが、下段の電位分担率では降雨のよる変化はほとんどキャンセルされており、図中に楕円で囲んで示されるように、内的要因であるトンネル掘削の影響による電位変化が強調されていることがわかる。
【0031】
また図8は、図5及び図6に示されるトンネル掘削現場での電極ER20を共通陰極とする電極ER21〜ER28の電位計測データの総和と、各電位計測データに基づいて算出された各電極の電位分担率の経時変化を示す線図である。この事例では、電位差の総和(ΣER21〜ER28)は降雨の影響が誇張されているが、各電極における電位分担率には降雨の影響がほとんどキャンセルされていることがわかる。
【0032】
次に図9は、本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法を地すべり地の観測に用いた実施例を示す電極の平面配置図である。この図9において、参照符号G5は地山の安定領域、G6(太線で囲んだ範囲)は、不安定領域である地すべり地、Aは河川、Bは道路である。この実施例では、安定領域G5に電極ER30を埋設してこれを不図示のデータロガーの陰極側の入力端子に接続し、安定領域G5に複数の電極ER31,ER32,ER36、地すべり地G6に複数の電極ER33〜ER35を埋設してこれらを前記データロガーの陽極側の入力端子にそれぞれ接続した。また、P31,P32は金属線の電気抵抗の変化から地すべりを深さ方向で検出するパイプ歪計である。
【0033】
図10は、図9に示される電極ER30を共通陰極とする電極ER31〜ER36の電位計測データに基づいて個別に算出された電位分担率及びパイプ歪計P31,P32の歪計測データの経時変化と降雨量、積雪量との関係を示す線図である。この図10によれば、積雪及び降雨の後の歪データの変化(地すべり変状の発生)に先行して、電位分担率に変化が表れていることがわかる。
【0034】
図11は、図9に示される電極ER30を共通陰極として、安定領域G5に設置した電極ER31及び地すべり地G6に設置した電極ER33の電位計測データに基づいて算出された電位分担率と、前記電極ER31,ER33に隣接して設置したボーリング孔内パイプ歪計P31,P32の歪計測データの経時変化を示す線図である。この図11によれば、地すべり地G6と安定領域G5の電位分担率は、歪データの変化(地すべり変状の発生)に先行して逆転していることがわかる。
【0035】
図12は、図9に示される電極ER30を共通陰極として、安定領域G5に設置した電極ER31,ER32の電位計測データに基づいて算出された電位分担率と、前記電極ER31に隣接して設置したボーリング孔内パイプ歪計P32の歪計測データの経時変化を示す線図である。この図12によれば、安定領域G5に設置した電極ER31,ER32間では、電位分担率の変動がほとんどみられないことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法の好ましい実施の形態を、電極の平面配置例と共に概略的に示す説明図である。
【図2】本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法の好ましい実施の形態を、電極の鉛直配置例と共に概略的に示す説明図である。
【図3】本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法を検証するために実施した室内試験を示す説明図である。
【図4】室内試験の結果を示す線図である。
【図5】本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法をトンネル掘削現場での観測に用いた実施例を示す電極の平面配置図である。
【図6】図5におけるVI−VI断面図である。
【図7】図5及び図6のトンネル掘削現場での電位計測データ及びこの計測データに基づいて算出された電位分担率の経時変化と降雨との関係を示す線図である。
【図8】図5及び図6のトンネル掘削現場での電位計測データの総和と、各電位計測データに基づいて算出された各電極の電位分担率の経時変化を示す線図である。
【図9】本発明に係る地盤の破壊・崩壊予測方法を地すべり地の観測に用いた実施例を示す電極の平面配置図である。
【図10】図9の地すべり地の観測において個別に算出された電位分担率及び歪計測データの経時変化と降雨量、積雪量との関係を示す線図である。
【図11】図9における安定領域と地すべり地の2箇所の電極による電位計測値に基づいて算出された電位分担率及び前記電極と隣接する位置の歪計測データの経時変化を示す線図である。
【図12】図9における安定領域の2箇所の電極による電位計測値に基づいて算出された電位分担率及び前記電極と隣接する位置の歪計測データの経時変化を示す線図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に設置した電極間を接続した複数の測線で電位差を計測し、各測線個別の電位差データを、各測線からの電位差データの和で除算することによって電位分担率を求め、この電位分担率の変化を地盤破壊・崩壊に係る内的要因による前兆変化として評価することを特徴とする、地盤の破壊・崩壊予測方法。
【請求項2】
各測線が、安定領域の地盤に設置した電極を共通陰極として、不安定又は不安定になると予想される地盤に設置した複数の電極との間をそれぞれ接続したものであることを特徴とする、請求項1に記載の地盤の破壊・崩壊予測方法。
【請求項1】
地盤に設置した電極間を接続した複数の測線で電位差を計測し、各測線個別の電位差データを、各測線からの電位差データの和で除算することによって電位分担率を求め、この電位分担率の変化を地盤破壊・崩壊に係る内的要因による前兆変化として評価することを特徴とする、地盤の破壊・崩壊予測方法。
【請求項2】
各測線が、安定領域の地盤に設置した電極を共通陰極として、不安定又は不安定になると予想される地盤に設置した複数の電極との間をそれぞれ接続したものであることを特徴とする、請求項1に記載の地盤の破壊・崩壊予測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−151701(P2010−151701A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331788(P2008−331788)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(301031392)独立行政法人土木研究所 (107)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(301031392)独立行政法人土木研究所 (107)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【Fターム(参考)】
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