説明

地盤強化方法

【課題】 特定の可塑状ゲル注入材を地盤中に圧入して時間の経過とともに、あるいは加圧脱水により可塑状ゲルからなる塊状体を地盤中に形成しながら土粒子を周辺に押しやり、地盤中に可塑状ゲル注入材そのものの塊状体を形成し、地盤強化を図る。
【解決手段】 圧入した可塑状ゲル注入材が時間とともに、又は脱水によって流動性を失って地盤中に塊状体を形成する。可塑状ゲル注入材は、スラグと水とアルカリ性硬化発現材(C材)、又はさらにゲル化調整材(B材)を有効成分として含む。硬化発現材比=C/(S+C+B)×100(%)を0.1重量%以上1重量%未満、水粉体比=W/(S+C+B)×100(%)を30〜200重量パーセントとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラグとアルカリ性硬化発現材を有効成分とする可塑状ゲル注入材を地盤中に圧入して時間の経過と共に、或は加圧脱水により可塑状ゲルからなる塊状体を形成しながら土粒子を周辺に押しやり、地盤中に可塑状ゲル注入材そのものの塊状体を形成し、地盤強化を図る地盤強化方法に関わる。
【0002】
本発明は、特にスラグに極僅かなアルカリ性硬化発現材を加えた自硬化性粉状体からなる可塑状ゲルを所定の流動性が得られるように配合し、これを軟弱地盤に静的に圧入して地盤中に注入材そのものによる塊状体を形成しながら、周辺土砂を圧縮して密度の増大を図ることで地盤強化方法である。
【背景技術】
【0003】
地盤中に固結材を静的に圧入して土砂を周辺に押しやって密度を増大して地盤を強化する方法として、従来、非流動性の低スランプ或は殆んどスランプゼロの注入材(モルタル)を地盤中に圧入することにより、地盤中に固結体を造成し、地盤を圧密強化する工法が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
しかし、上述公知の工法は大きな装置を必要とし、液状化防止工等が行われる建築物のたてこんだ施工条件や建造物直下の基礎の補強は不可能であった。
【0005】
また、流動可能なセメントを主成分とするモルタルと水ガラスやアルミニウム塩等の可塑材をポンプでそれぞれ移送して注入口付近で合流混合してスランプが5cm以下の低流動性の可塑状グラウトを形成して注入する空洞充填工法もあるが、これを軟弱地盤中で加圧注入すると地盤中で脱水によって急速に流動性を失い、拡大する塊状ゲルを形成する事は難しく注入不能になるか地盤中の範囲外に割裂注入して脈状に逸脱してしまい地盤改良は困難である。
【0006】
本出願人は、先に、可塑状ゲルを地盤に圧入して地盤強化を図る地盤強化方法を開発しているが、さらに地盤中において大きな塊状体を形成するための種々の実験を重ね、研究開発を進めた結果、スラグを主成分とする可塑状ゲルが地盤中で拡大するための条件を見出した(特許文献2、特許文献3参照)。
【0007】
本発明者等は注入工法という簡便な手法を用い、スラグとアルカリ性硬化発現材を有効成分とする可塑状ゲル注入材の配合後、経時的に変動する流動特性と強度発現を検討し、上記目的を達する事が出来るかの研究を行い、ある条件下で、拡大する塊状固結体を形成出来る事を確認し、上記発明を完成した。
【0008】
地盤に懸濁型グラウトや瞬結グラウトを注入した場合、地盤を割裂して脈状に注入されるため所定領域に塊状硬化物を形成する事は困難である。本発明者はその問題を地盤中にスラグに硬化発現材を加え或は更に保水材を加えて形成される可塑状ゲル注入材を圧入して地盤中で可塑状ゲルの塊状体を形成する事によって解決せんとしたものであって、注入工程中には流動性がありながら地盤中において脱水を伴って形成された可塑状ゲルの塊状体を拡大させて周辺地盤の密度増加を図る事を可能にしたものである。
【0009】
本工程はこれらの可塑状ゲル注入材を近年のレベルアップした注入手法と注入管理システムで制御することによって、地盤中に割裂を生じさせる事なく注入孔の単位受け持ち体積に所定量の塊状ゲルの硬化体を形成せしめる手法を見出し、軟弱地盤の密度増加を図る事に成功したものである。
【0010】
従来、セメントを主材とするモルタル注入液はスラリー状で流動性を有し、水和反応により固化に到るものであった。このような流動性モルタルは地盤中に注入した場合、地盤を割裂して注入され逸脱しやすく又大きなブリージングを生じ、地盤中に材料分離して沈殿して脈状に固化する。
【0011】
一方、ブリージングを小さくするためにはセメントの含有量を大きくすればよいが、このようにするとセメントの硬化発現が早くなり広範囲を充填する事が出来なくなるか、地盤を割裂して逸脱するという問題がある。又セメントを主材とする流動性モルタルにアルミニウムや水ガラス等を可塑材として用いる方法が提案されたが、このような可塑状グラウトは空洞填充には適しているが、これを地盤に圧入した場合、粘性が大きく地盤中で急速に硬化して注入不能になるか或は割裂して逸脱しやすい。
【0012】
又セメント系懸濁液と可塑材を別々にポンプで送り、注入管の手前で合流して形成されたスランプが5未満3cm程度の可塑性グラウトを、地盤中に圧入して周辺の土粒子を圧縮する地盤強化方法も提案されている。
【0013】
しかしスランプが5cm未満とは、シリンダーによるフローでほぼ8cmであり、グラウトを構成する材料によって多少異なるが、テーブルフローでおおよそ10cm程度となり、この場合ゲル化物は落下による振動を加えても殆ど動かない状態であり、このような低スランプの可塑性グラウトを地盤中に注入すると地盤中で水分と紛体が分離し脱水によってさらに流動性を失い急速に硬化してしまい、可塑性保持時間を得られない。この結果、注入圧が上って注入不能になるか脈状に地盤を割裂して不特定の方向に逸出してしまい地盤強化効果が得られない。
【0014】
そこで本発明者は種々の研究を重ねた結果、可塑状グラウトは経時的のみならず脱水によってその流動性が変化していく事に着目し、地盤中に圧入される前迄は、流動性がありながら地盤中に圧入されてから経時的に或は加圧脱水によって流動性を失って可塑状ゲルを形成し、それが塊状体となりながらも長い流動保持時間を保ちながら土粒子を周辺に押しやり、地盤中に大きな塊状体を形成し、地盤強化を図る事を可能にする地盤強化方法を実現したものである。
【0015】
【特許文献1】特開平06−108449号公報
【特許文献2】特開2007−009194号公報
【特許文献3】特開2007−077794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述した目的のためには、地盤強化用地盤注入材並びに地盤強化方法は数十mもの長いホース中の送液流動性が必要な一方、地盤中に圧入されたら土粒子間に浸透せず、かつ、地盤中においても流動性を保ちながら所定の改良受け持ち範囲以外に割裂により逸脱する事なく所定の位置に塊状体を形成し、かつ、注入液自体によるできるだけ大きな塊状体に成長せしめ、しかも固化に到る迄の間に周辺の土粒子を押しやってその分周辺の土砂の密度を高くする、という、相反する特徴を同時に満たす事が要求される。
【0017】
そこで、本発明は産業副生品であるスラグを有効成分としこれを所定の流動特性が得られるように配合して、又これに、極めて少量のアルカリ性硬化発現材、つまりセメント、石灰、石膏や重炭酸塩、炭酸塩、縮合リン酸系を含むリン酸塩、アルミン酸塩、苛性アルカリ等、広範囲のアルカリ性を呈する材料と、水を所定比率で配合し、或は保水性や流動性をよくすることにより脱水を低減して地盤中において固化する迄に塊状体を拡大するために、ベントナイト、粘土、シルト、高分子剤、吸水性センイ等を配合し、或はさらにゲル化促進剤、ゲル化遅延剤、増粘剤、解膠剤、気泡剤を加え、所定の条件下で地盤中に圧入し、地盤中に塊状体或は可塑状ゲルによる塊状固結体を造成することを可能にする流動特性、固結特性を明らかにして、地盤強化を図ることに成功したもので、上述の公知技術に存する問題を解決し、或は発展させた地盤注入材および地盤強化方法を提供することにある。勿論、本工法は軟弱地盤中に塊状体を形成させて密度増加を図るだけでなく、圧縮杭又は引張杭としての効果もある杭体を形成して構造物基礎に用いることもでき、さらに斜面、切法面の安定化にも適用可能な地盤強化方法である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、可塑状ゲル注入材が地盤中で塊状体を形成し、さらに塊状体を拡大させて地盤強化を図るため、単なる可塑状ゲルの空隙充填と異なって、以下の要件を満たす施工上の手法が課題となることに着目し、これらの課題を注入材料と注入方法やその管理方法を開発する事により解決したものである。
【0019】
1)可塑状ゲルが土粒子間浸透する事なく、又注入範囲外へ逸脱する事なく、所定の受け持ち領域内に塊状に形成され、かつ塊状体が塊状を保ったまま拡大する注入材の条件。
【0020】
2)側方向に拡大して周辺土砂を圧縮する手法。
【0021】
3)土の密度が可塑状ゲルそのもので圧入されるには高く、しかし地盤のためには低すぎるような地盤条件で注入という簡便な手法で改良する手法。
【0022】
4)垂直方向への固結体の移向を極力抑える手法。
【0023】
5)地表面に近い領域での地上への逸脱や地盤隆起を極力抑え、確実な強度増加が得られる手法。
【0024】
6)注入工法の施工法を生かし、かつ長距離の送液性が可能な手法。
【0025】
7)上記を可能にする注入管理システムの開発。
【0026】
本発明者は、注入液が地盤に注入される迄の流動性と地盤中における流動性の保持と土粒子間浸透や割裂注入する事なく塊状体を形成し、大径への成長という、相反する問題を解決するためにスラグと水の混合物が、或はスラグと少量のアルカリ性硬化発現材の混合物が地盤中における脱水という工程で流動性が低減して、地盤中で塊状体を形成する事に着目した。そして地盤中における注入液の以上の流動特性を示す指標として、1)流動性を示すフローとスランプ値、2)可塑状ゲルによるゲル化時間と、3)可塑状保持時間、4)非可塑状になる固化時間に着目した。
【0027】
このうち、ゲル化時間とは配合後テーブルフローが20cmになる時間とし、可塑状保持時間とはゲル化後外力を加えても流動しなくなる時間即ち貫入抵抗値が0.01MN/m2を超えた時点迄の時間としてそれを硬化時間とした。そしてこれらが地盤中における圧入脱水という現象による水粉体比の変化によって大きな影響を受ける事に着目した。
【0028】
また、さらにアルカリ性硬化発現材の量が少なければ強度発現が遅くなるため、土中で流動性を保ちながら割裂注入される事なく塊状に大きく拡大して注入材自体による固結体を形成することが出来ることを見出した。この場合、固結体の拡大とともに周辺地盤を締固めることにより相対密度の増加や静止土圧係数の増加を図る。これにより固結体に加わる水平応力が増加し、周辺土砂との高い周面摩擦力を発揮し、周辺地盤と一体化を保つことが出来ることに着目した。
【0029】
本発明者は、上記課題を解決するために種々の研究を行った結果、以下のことが判った。
【0030】
(1)スラグは、潜在水硬性材料であり水和反応により水和物を形成して硬化しうるが、通常の条件下では水和反応を開始しないため、アルカリ材により刺激を与え潜在水硬性を顕在化させる。よって、アルカリ性硬化発現材により水和反応を開始した注入材は時間の経過とともに流動性の低下を生じ、また地盤中で脱水を伴なって水粉体比が小さくなると可塑状ゲルを形成し、更に非可塑状ゲル化物を経て固化する。このような現象は、地盤中で脱水によって加速し形成された塊状体が周辺地盤より強度が高ければ十分本発明の効果を得る。
【0031】
(2)テーブルフロー、スランプ、シリンダーによるフローはスラグ或はそれに硬化発現材を加えた注入液の流動性を示し、テーブルフローが14cm〜28cmの範囲でスランプは10cm〜28cmの範囲、シリンダーによるフローが約9〜26cmの範囲にあり、テーブルフローが20cm付近、スランプが21cm付近、シリンダーによるフローが15cm付近で可塑状ゲルになり経時的に或は脱水による水粉体比の低下と共にフローとスランプは低下する。スラグと粉状のアルカリ性硬化発現材からなる粉状体の水紛体比、全紛体中の硬化発現材比を調制する事により、上記地盤注入材の地盤中における可塑状流動特性や地盤中における可塑状ゲル化物の拡大を調整して、更にこの可塑状ゲルに到る迄のゲル化時間や可塑状ゲル保持間を促進剤又は遅延剤や流動化剤、解膠剤、気泡材等の添加剤を用いる事によって調整して、作業性や可塑状ゲルの大きさを調整できる。水粉体比が小さすぎたり、硬化発現材比が大きすぎると脱水によって地盤中で柱状改良体の拡大が阻害されるため、その比率が重要である。
【0032】
特に硬化発現材比が大きいと強度発現が早期に現れるため、可塑状からすぐに固化してしまい、地盤中にてゲルの拡大を防ぐのみならず、周辺土に対して大きなコンクリート体が出来たと同様になり、地盤全体の一体化が妨げられ、地震時に局部的な大きな応力を生じ破壊するため改良地盤の耐震性が低下する。又、地盤中で脱水により塊状体を形成するからなる流動性注入材は、スラグのみならず現場発生土や珪砂等を含むことも可能で、それに粘土や増粘材や保水材を添加して流動化土として所定の流動特性即ちフローやスランプ値とし、かつ所定の水粉体比を示すように調整し、かつ脱水してフローが20cm以下になれば可塑状ゲルとなり土粒子間浸透せず亀裂逸脱しないように注入する事により周辺地盤がより密になるようにすることにより所定の地盤改良する事が出来る。上記素材として更に硬化発現材を加えれば強度は増加する。
【0033】
(3)該地盤注入材は送液過程、地盤への圧入過程で時間と共に流動性が変動していく。その流動特性の変化を効果的に利用する事により地盤中に固結体を形成できる一方、これが注入液の配合調整や注入管理を難しくさせるため、配合範囲の設定のみならず配合管理システム、圧入管理システムが重要になる。
【0034】
(4)該地盤注入材の混練や圧送並びに地盤中への圧入に適したワーカビリティは、テーブルフローで12cm以上好ましくは14cm以上28cm以内、スランプ5cmより大きく好ましくはスランプは10cm以上28cm以内、シリンダーによるフローで8cmより大きく好ましくは9cm以上26cm以内である。スランプやフローを支配する水粉体比の決定が、ワーカビリティや土中における柱状改良体の造成と拡大に大きく影響する。時間と共に逐次変化するこれらの流動性を的確に判断し、スランプやフローによって水粉体比と硬化発現材比を管理して迅速に配合並びに水紛体比を調整することが地盤中に可塑状ゲルによる柱状改良体を造成するために重要である。
【0035】
(5)添加材を添加すると添加量に応じた可塑状ゲルを形成するゲルタイムの調整ができる。増粘材としてベントナイトや、或は促進材として硫酸アルミニウム塩を添加することにより容易にフローを小さくしたりゲル化時間を短縮する事が出来る。又スランプを20cm付近から10cm程度に減少させる事が出来る。又地盤中における脱水と共に可塑性ゲルを形成させかつそのゲルが可塑状を保持する時間を長くして圧入を継続する事により可塑状ゲルが成長し地盤中に大きな可塑状改良体を造成し更に非可塑状ゲルを経て硬化体に変化させる事が出来る。
【0036】
(6)骨材として粘土、土砂、等の現場発生土、珪砂、石炭灰等を加えることが出来る。骨材は増量材として役立つのみならず固結強度や流動性の調整にも役立つ。一般に粉体中の骨材の比率が多くなれば強度は小さくなり、骨材の粒径が大きくなればその流動性は低下する。
【0037】
ベントナイト等の粘土や現場発生土におけるシルトやローム等細粒分や高分子剤等は保水性や増粘剤としてすぐれ地盤中に圧入された圧入材の脱水を遅らせ粉状体に対するバインダーとして作用して擬似的結合性のある流動体として作用し分離分散することなく可塑状ゲル塊状体を形成しその拡大に役立つ。
【0038】
(7)セメント系懸濁型グラウトはただでさえ粘性が大きいのにそれを可塑状にすれば地盤中に開口する注入管の注入口からの圧入抵抗並びに注入口に到る迄の送液管の送液抵抗が極めて大きく、かつ送液管やポンプの中でつまりやすいという問題がある。このため送液を容易にするために薄い配合を用いると地盤中で脈状になる。このため従来技術では裏込め注入と同じように流動性の良いセメント系懸濁液と可塑材を注入管に送液される前の時点で合液して瞬時に可塑状にして地盤中にスランプ5cm未満の可塑状グラウトを圧入する方法が提案された。しかし、注入管の前で可塑状になったセメント系可塑状グラウトが地盤中で脱水によって直ちに高強度になるため大きな塊状ゲルに成長するのは困難であり又、大きな注入圧力を必要として注入不能になるか、地盤を破壊して逸脱する。
【0039】
本発明者は裏込め注入や空隙充填のための可塑状グラウトの注入に比べて、地盤中に圧入して大きなゲルを形成して周辺土砂を圧縮する地盤改良の注入は全く異なる事に着目した。
【0040】
本発明者は研究の結果、地盤中で可塑状ゲル注入材が割裂によって逸脱せずかつ大きな塊状体に形成するための以下の必要条件並びに可塑状ゲル改良体の生成とその拡大のメカニズムを見出した。
【0041】
1.該地盤注入材は、地盤中に注入される迄は流動性があるが、地盤中に注入された後は、地盤を割裂して逸脱しないこと。
【0042】
2.該地盤注入材は、地盤中に注入される前の段階で可塑状ゲルに到っているか、地盤中に注入されて加圧脱水によって流動性が低減して可塑状ゲルの改良体を形成すること。
【0043】
3.改良体は地盤中で可塑状を保持し、その改良体はその内部に後続して圧入される可塑状ゲルによって押し拡げられて、拡大する。改良体の外周部では押し拡げられる結果、更に脱水されて非可塑状となり流動性を失い、時間と共に外周部から固化帯を形成して大きな改良固結体が形成されると共に、その周辺部の土砂の空隙を減少させて押し拡げて、静的に締固めること。
【0044】
4.可塑状改良体の内部は可塑状を保持していることにより、更に該注入材の圧入があれば塊状体の外周部の固化ゾーンがいくつか破れ、可塑状ゲルがその周辺部に押し出されて脱水して非可塑状となり、可塑状ゲル塊状体が拡大する。塊状体が或る程度以上に硬くなると通常のポンプ圧ではそれをつき破ることが困難になり圧入不能になる。その時点が改良固結物の大きさとなること。
【0045】
本発明者は研究の結果、送液中の送液管中の抵抗圧やポンプ中における詰まりが生ずる事なく地盤中に設置された注入管の先端部から地盤中に圧入された後でも流動性を有し、脱水されても可塑状を呈する該注入材を圧入する事によって、地盤中で可塑状保持時間(加圧されれば流動状態になる時間)を有する可塑状ゲルを形成し、更に改良体が成長する事を見出し、本発明を完成したものである。
【0046】
このような特性は従来知られていなかった。即ち、流動性注入材は地盤中に圧入される時点では流動性があり、圧入が続くにつれグラウトが脱水されて水粉体比が70%から60%、さらに50%になって、3分後に可塑状ゲルを形成し、ゲル状のまま大きく生成し更に脱水或は硬化現象の進行にともない非流動性ゲルとなり固化する事を物語っている。
【0047】
従って、このように注入時点で可塑状を呈していなくても地盤中の脱水によって可塑状になりうる。このような流動性注入液の注入においては配合液を一液のまま注入しても紛状体注入液をA液としアルミニウム水ガラス等のゲル化促進材をB液とし合流注入しようと、或はA液を可塑状ゲルとし、B液を水ガラス等のアルカリ材をゲル化促進剤としようとその手段は問わないで施工する事が出来る。
【0048】
以上の本発明者による研究の結果、以下のようにして可塑状ゲル注入材を圧入して地盤中に大きな塊状体を形成し密度増加による設計可能な信頼性のある地盤強化方法が可能になった。
【0049】
1.注入液そのものはポンプによる流動性があるが地盤中に注入したものが脈状に割裂を生じて不特定に浸透して固結しないようにする。なぜならばそれぞれの注入孔の受け持ち範囲内でゲル化物による塊状固結体が形成されてはじめて、その受け持ち範囲における土粒子間隙が減少して塊状固結体周辺の注入孔の間の地盤の密度増加が確実に期待できるからである。
【0050】
2.地盤中に注入したものが土粒子間浸透しないようにして複数の注入孔の間の地盤の土粒子を塊状体で押しのけるようにする。なぜならば、土粒子間に注入液が浸透したのでは複数の注入孔の間の地盤を圧縮することが出来ず、注入孔の受け持ち範囲における地盤の圧縮による密度増加が確実に期待できないからである。
【0051】
3.地盤中に圧入されたゲルが塊状に固結体を形成し、なおかつ大径の固結塊に成長するようにする。このためには、
【0052】
(1)該注入材としてスラグと水の混合物をスランプが5cmより大きく又は/並びにテーブルフローが12cm以上又は/並びにシリンダーによるフローが8cmよりも大きく、或は更にスランプ28cm以内又は/並びにテーブルフローが30cm未満又は/並びにシリンダーによるフローが28cm未満である流動性地盤注入材、又はこれにアルカリ性硬化発現材とを混合した地盤注入材とを用い、これを地盤中に圧入して脱水して形成される注入材そのものからなる塊状体の拡大によって土粒子を周辺に押しやり、地盤中に塊状体を形成し、地盤強化を図る。
【0053】
(2)該地盤注入材は脱水によってテーブルフローが20cm以下に達しうる。ここでテーブルフローが20cmになった時点を可塑状ゲルになった時点とみなす。
【0054】
(3)該地盤注入材は脱水が進むにつれ可塑状ゲルを経て非可塑状となって固化する。
【0055】
(4)該地盤注入材は硬化性流動化土又は非硬化性流動化土であって脱水によって流動性を失いテーブルフローが20cm以下に達し周辺地盤と同等又はそれ以上の強度を発現する配合とする。
【0056】
(5)該地盤注入材は水粉体比が約20重量%未満で可塑状ゲルになる配合とすれば、地盤中に圧入し続ければ可塑状ゲルとなって塊状固結体が形成される。
【0057】
可塑状ゲルによる塊状体が地中で大きく成長して固結体を形成するには以下の条件が好ましい。
【0058】
【表1】

【0059】
4.地表面近くは地盤隆起しやすく、又注入液が地表面に逸脱しやすいのでそのような現象を防止する手法も併用する。
【0060】
5.長距離の送液パイプ中で分離する事なく流動性を保持しうる事が、建造物が密集した地盤の耐震補強に本技術を適用するための作業性を可能にする。
【0061】
6.砂地盤だけでなく粘性土地盤にも適用出来るようにする。
注入液の配合システムから送液管と注入管管路を経て地盤中に注入される経路において、流動性を保持しながら(上記要件5)地盤に注入されてから以上の1、2、3、4のいずれか又は複数の要件を満足するようにする。
【0062】
可塑状ゲルを呈する迄の時間を短縮するには、アルカリ硬化発現材を加える事により調整出来る。即ちこれらは水和反応を刺激して開始させるゲル化促進剤として作用する。
【0063】
本発明の地盤注入材において、懸濁液を構成する主材となるスラグに加えるアルカリ性硬化発現材は使用する粉状素材中の0.01重量%以上1重量%未満とする。また水粉対比は30〜200重量%、好ましくは40〜150重量%であり、テーブルフロー12cm以上30cm未満、好ましくは14〜28cm、可塑状保持時間が10時間程度以上、ブリージング率が10%以内、好ましくは5%以内、スランプが5cmより大きく、好ましくは10〜28cm、シリンダーによるフローが8cmより大きく28cm未満好ましくは約9〜26cmの注入材となる。
【0064】
なお、本発明者に係る特許文献2、3において、スラグとともにアルカリ性硬化発現材を併用する場合の硬化発現材比は、1〜40重量%、好ましくは1〜20重量%としたが、その後の研究の中で従前の予想に反する0.01重量%以上1重量%未満の極めて少量の配合でも、スラグの潜在水硬性を顕在化させつつ、アルカリ性硬化発現材の量が少ないことで強度発現が遅くなり、このような所定の流動性を有する可塑状ゲルを地盤に静的に圧入して地盤中に注入材そのものによる塊状体を形成させ、周辺土砂を圧縮して密度の増大を図るという使用目的やその取扱いにおいて、極めて優れた効果があることを見出した。
【発明の効果】
【0065】
本発明は上述のとおり、スラグに極少量のアルカリ性硬化発現材を加えた懸濁液を用いるが、使用する粉粒素材の種類と組合せ、および特定の配合比率で配合するようにしたから、目的に応じた流動特性、固結特性を呈する所望の注入材を地盤中に圧入して、地盤中に塊状体を形成することにより注入孔に囲まれた地盤の土粒子を周辺に押しやり地盤を締固め、さらに地盤と密接し一体化した固結体による地盤強化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
地盤中で塊状に固結するには、加圧することにより流動できるものの、土粒子間には浸透せず、かつ脈状に割裂しない程度の可塑状ゲルを形成する地盤注入材であって、テーブルフローで現すと12cm以上30cm未満、好ましくは14〜28cm、スランプでは5cmより大きく、好ましくは10〜28cm、シリンダーによるフローでは8cmより大きく28cm未満、好ましくは約9〜26cmの範囲を示す地盤圧入材であることが好ましい。又、地盤中にて加圧脱水による可塑状ゲルの形成を考慮して注入前に可塑状ゲルになっているもの或は水粉体比が約20%以内減少で可塑状ゲル(テーブルフローでほぼ20cm)になる場合である事が好ましい。
【0067】
フロー値やスランプがこれ以下になると、地盤中で可塑状ゲルの塊状固結体の成長が困難になり、これ以上だと脱水しきるまえに脈状や亀裂状に割裂注入され塊状体を形成されにくい。
【0068】
本発明で使用されるスラグとしては高炉スラグが好ましく、通常の4000(cm2/g)のブレーン等の一般品でもよいし、それ以上6000〜15000(cm2/g)のブレーン等の超微粒子スラグでもよい。
【0069】
本発明は上述の通り、スラグ(S材)に極少量のアルカリ性硬化発現材および水を特定比率で配合するが、アルカリ性硬化発現材としてはセメント、石灰、石膏や炭酸水素ナトリウムの等の炭酸水素アルカリ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸アルカリ、苛性アルカリ等のいずれか又は複数の一群(C材)と、水(W材)と混合する。また更に所定の流動性が得られるように流動性調整材(B材)を配合する。
【0070】
この場合の配合や水粉体比の選定は上下にポーラスストーン又はろ紙を敷いたモールド中に注入材を填充し、想定した注入圧力に相当する圧力で、シリンダーで加圧して脱水させて得られた供試体の強度を測定して注入した後の、周辺土の平均的な土の密度に対応した強度と同程度又はそれよりも大きな強度になるように設定する事が出来る。水粉体比は30〜200%、好ましくは40〜150%の配合である。ここで、硬化発現材比とはC/(S+C+B)×100であり、また、水粉体比とはW/(S+C+B)×100であり、S、C、B、Wはそれぞれ重量である。
【0071】
このような配合液は混合すれば、水粉体比が小さければそのままで、水粉体比が大きい場合は地盤中で脱水することにより遅かれ早かれ可塑状となる。可塑状ゲルは力を加えれば流動するが静止すれば流動を停止する。可塑状ゲルとなるゲルタイムはテーブルフローがほぼ20cmになった時点とする。上記水粉体比、フロー、スランプを呈する流動性注入材はそのままで或は添加材を加えて地盤中で加圧脱水する事により水粉体比が大きい場合でも可塑性ゲルとなり地盤中に可塑状ゲル塊状体を形成することが出来る。
【0072】
地盤中において形成された塊状体は流動性が少ない状態でありながら出来るだけ広範囲に拡大されて大きな塊状固結体を形成する必要がある。このためにはフローやスランプや水粉体比が重要であるし、更に硬化発現材比や添加材も重要である。
【0073】
硬化発現材比が過大であると、強度発現が早急に起こり、流動性ある可塑状ゲルから短時間で固結してしまい地盤中に塊状体を拡大させることが困難となることは、特許文献2,3においても認識されていたことではあるが、本発明ではアルカリ性硬化発現材比が1重量%未満であるため、当然、強度発現が早急に起こり、流動性ある可塑状ゲルから短時間で固結してしまうという問題はない。
【0074】
一方、硬化発現材を全く含まない場合は、スラグの潜在水硬性が十分発揮されない恐れがあるが、アルカリ性硬化発現材0.01重量%でも混入されることで、スラグの潜在水硬性を刺激することができる。また、水の配合量が多い場合は水が分離してブリージングが大きくなり可塑状ゲルになりにくく、割裂して逸脱するか固化して注入不能になる。このようなことから本発明における硬化発現材比は、0.01重量%以上1重量%未満であって、地盤中で可塑性ゲルを経て大きく成長した塊状固化物が形成される。
【0075】
硬化発現材比を1重量%以下とすることで強度発現を遅らせることができ、地中での可塑状ゲル保持時間が長いため拡大しやすく、又改良された地盤も均等な強度になり密度が上昇した周辺地盤と一体化して耐震性にすぐれる。
【0076】
さらに、本発明はスラグ、アルカリ性硬化発現材と水からなる硬性懸濁液を所定の流動性となるように添加材を加える。添加材としては、ベントナイトや粘土、現場発生土や石炭灰、焼却灰等の骨材により流動性を調整することが出来る。
【0077】
また、スラグ、アルカリ性硬化発現材、水からなる硬性懸濁液に、可塑性を発現する時間を調整することが出来る硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウム等のアルミニウム塩を添加することもできる。この場合、アルミニウム比を2.0重量%以下、好ましくは0.1〜1.0重量%、Al2O3換算で0.01〜0.35重量%である配合グラウトとする。ここで、アルミニウム比とはアルミニウム材/(S+C+B)×100である。アルミニウム材は重量を表す。
【0078】
また、本発明の地盤注入材は発泡剤や起泡剤を加えて流動性をよくし、軽量化を図ることが出来るし、粘土、ベントナイトや、高分子系増粘剤すなわちポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルローズ(CMC)やメチルセルローズ等を添加することにより水に対する分散性を抑制し、沈殿を少なくし、ワーカビリティの改善効果或は保水材として又主材となるスラグのバインダーとしての役をし、擬似ゲル状にして流動性を保持しながら分散しにくい構造をもつ流動体を形成する。この結果地盤中における脱水を低減し、塊状性の拡大を促進する。
【0079】
本発明は静的可塑状ゲル圧入工法というべき工法であって、サンドコンパクション工法のように大きな機械で振動等を生じず、又低スランプのモルタル圧入工法のように流動性のないモルタルを特殊な装置で圧入する工法のように大きな設備を必要としない。このため本発明工法は通常の注入工法に用いる簡便な装置を用いて静的にかつ騒音がなく作業場所の狭い領域でも簡単に施工出来るため、きわめて公害のない作業性に優れた工法といえる。又曲線状にボーリングして設置出来る注入管を通して注入出来るので建造物下の斜め注入、水平注入は勿論、曲線と水平を組合せた建造物直下の耐震補強注入も出来る。以下に本発明の施工法について説明する。
【0080】
上述の本発明にかかる地盤注入材は地盤中に挿入した注入管を通して、地盤中に圧入し土粒子を周辺に押しやって塊状に固結しながら周辺土砂を押しやって地盤強化を図ったり、同じ原理で沈下した建造物の復元注入工法に適している。また塊状体を柱状に拡大させ杭としての効果を図り、場所打ち杭や、鉄筋、鋼管を用いることで合成杭としても適用可能であり、さらにアンカーとして斜面、切法面の安定化に適用することもできる。
【0081】
さらに、本発明に係る可塑状ゲル注入材は複数の注入ポイントから注入して注入ポイント間の地盤を拘束し、注入管間の地盤密度を増大して地盤を固結することもできる。このような効果を期待出来るのは複数の注入管を0.5m以上3m以内の間隔で地盤に設置するのが望ましい。これ以上だと密度上昇による圧入地盤全体の一体化した地盤改良効果が得られず、局部的な地盤改良となってしまう。なお、本発明注入材の地盤への圧入に際し、地盤が粘性土の場合或は粘性土層を介在した地盤の場合、地盤中にドレーン材を設置して該可塑状ゲル注入材の脱水あるいは地盤の脱水を促進しながら圧入を行えばより効果的である。
【0082】
上述の注入は例えば次の(a)、(b)に示す注入管を用いて行われる。
(a)先端部に削孔部又は吐出口がある注入管。
(b)軸方向に複数の吐出口を有する注入管を用いて注入する。
(c)外管に少なくとも一つの袋体パッカを備えた注入管。
(d)管路に吐出口と透水材で被われた吸水口を設けた注入管。
【0083】
軟弱地盤等の強度を大幅に向上させるために、多量の可塑状ゲルを一度に過大の量を地盤中に形成すると、地盤表面に隆起が生じたり、側方向に地盤を破壊し、逸脱して当該地盤の強度が設定通りに向上しない事態が生じやすい。このため本地盤注入材の特性を生かし、注入初期には低吐出量で注入し徐々に注入圧力を上げて所定の注入圧の範囲で圧入しつづけて注入量の増大を図るのが望ましい。注入前の地盤の強度(N値等)注入深度(上載圧)注入圧力、注入量、1本当りの受け持ち面積から注入後の改良強度を把握出来る。或は更に地盤変位を加味すれば更に正確となる。
【0084】
又注入中は流動性があり、注入を停止すると、流動性が停止してゲル化或は加圧脱水して擬固状態が現出することから、対象注入土層に少量ずつインターバル方式(時間の間隔をあけて注入する)で反復注入して擬固せしめ、注入された地盤を破壊することなく、圧密し、排除された水分は周辺の土粒子間に分散させ、地盤側方に対する圧密と脱水を行い、ゲル化物による固結径を大きくし或はこれらのグラウトを一定のタイムラグ(時間差)をもって注入する事も効果的である。
【0085】
例えば縦方向の注入にあっては、インターバル方式により回を重ねて、注入を行い、先行して注入された地盤注入材に対し、重ねて、該地盤注入材を圧入して、当該地盤を割裂する事なく、地盤注入材を反復的に圧入することにより、当該地盤の側方に対する圧密脱水を行い、地盤強化が行わる。或は当該地盤の所定エリアに所定数の削孔を形成し、各削孔に対し、地盤注入材を所定タイムラグを介し、一か所で設計量を一挙に地盤注入材の注入が行われないように、設計注入量をいくつかに分割して注入することも出来る。
【0086】
このようにして各削孔の可塑性グラウトを相互に所定タイムラグで各土層、又は、各ステージ毎にインターバル方式により注入し、先行して注入した可塑性グラウトが周辺地盤を圧密し、又は、自ら、又は、注入液が脱水することをもって、追い討ち的に重ね注入をすることにより、当該所定数の多数の削孔内に注入する地盤注入材が各削孔の地盤に対し土層又は各ステージ毎に、同様に側方に圧密脱水作用を行い、強度をアップし、全体的に変位を抑制し、当該所定エリアの地盤の強度を増強する事が出来る。
【0087】
例えば所定深度まで先端に吐出口のある注入管を挿入し、注入管の引き上げステップを非可塑状ゲルになる前の可塑状ゲルの範囲内に吐出口が位置するようにステップアップしながら可塑状ゲルの塊状体を拡大せしめて圧入する。更には、削孔に挿入する注入管に袋体を地表面近くの領域にセットし、内部に懸濁型グラウトを圧入して袋を周辺に膨張させて周辺地盤を圧密することにより、地表面に可塑状ゲル注入材を逸脱する事なく地表面を改良し、かつ該袋体より下方から本地盤注入材を圧入する事により、該袋体硬化体に対する可塑性ゲルの乗り越えがなく、該袋体による拘束効果により地盤の隆起等の変位がなく、地盤脱水作用による強度が全体に及び、強度向上が全領域的に図れるようにする事が出来る。
【0088】
この場合、袋体の設置領域は地表面に近い深度、例えば3m範囲(特に1.5m範囲)内にあるようにするのが好ましい。なぜならこの領域は可塑状ゲルといえども地表面に逸脱しやすいからである。又、同じ理由でこの地表面に近い領域には注入孔を密に設置することにより地表面の圧縮の均等化を図り、かつ地表面隆起を防ぐ事が出来る。なぜならば地表面に近い深度例えば3m以内(特に1.5m以内)の領域では一本の注入孔から多量の注入を行うと土被りが少ないために地表面に逸脱しやすく、かつ地盤隆起を起こしやすいからである。従って、この領域は注入孔を深度の大きい領域よりも密にして一本当りの注入量を少なくする事によって地表面付近を均等に強化出来る。
【0089】
又、地表面の地盤改良は上載圧が少ないために地盤隆起を起こしやすく、地盤隆起は地表面数m径に及ぶ。従って、注入する注入孔を隣接する注入孔へ移行するのではなく地盤隆起の影響範囲外の注入孔に移行して注入し、地盤隆起が治まった時点で隣接する注入孔の注入を行うのが望ましい。又、地表面に近い領域においては上部から下方に注入ステップを移行して本地盤注入材を圧入して地表面付近の地盤を圧縮してから改良地盤の最下部まで注入管を挿入し、下部から上方に注入ステップを移行して注入することにより地表面の地盤隆起を低減して、或は上部の拘束効果によりそれより下の確実な改良が可能になる。
【0090】
更に、本可塑状ゲル注入材の当該地盤に対する注入において、土中水分が排除されるように、排水用のドレーン材を併設して、間欠的(時間をあけて注入する)な排水効果(注入を中断している間に脱水する)による地盤の側方圧密脱水効果を促進させ、或は可塑状ゲル注入材の脱水を促進する事が出来る(このドレーン材の適用は粘性土層の地盤強化に適している)。或は排水管を設置して地下水を排除し、当該圧密による速度を向上させるようにする。なお注管側面に吐出口の他に吸水口を設ける事によって吐出口から注入材を圧入しながら吸水口から注入材の過剰水や土中水を注入圧で吸い上げてドレーン効果を可能にする。
【0091】
更に地盤の隆起等の変化を計測するためにレーザー等のセンサーにより、リアルタイムで当該変化を測定し、地盤の圧縮量を把握し、或は、当該変化が設計的に異常を生じた時には、即応的に可塑性グラウトの注入を調整したり、或は、注入装置の制御装置を介し、注入量や注入深度の変更を行い、或は注入液の比重や注入量やインターバル時間等を自動的に切り換え的に調整して、所定変位を超えないうちに他のステージに移行し、設計通りの圧密脱水による地盤強度の向上が確実に行うことが出来る。
【0092】
上記地盤の変位測定は地表面における地盤隆起の測定の他、ストレンゲージを張った計測棒を地盤中にセットして測定方向への地盤の部位の変化を知ることが出来、又、地盤中に間隙水圧計を設けて、圧密脱水状況を把握することが出来る。
【0093】
図1は注入配置を示す。この発明は、本地盤注入材を注入管から軟弱地盤に低速で圧入すると、注入圧力を加えている間は流動性を呈する可塑状ゲルが塊状ゲルの範囲を拡げるが、地盤中の注入材の先進部では注入圧力による周辺土粒子への脱水によってグラウトの含水量が低減して流動性が失われ可塑状ゲルから非可塑状ゲルになる。このようにして注入孔の間の土の密度が増大して地盤の強度が増加し、地盤を強化する。注入孔間隔は上質や目標改良度や土かぶりの大きさに応じ0.5〜3.0mが有効である。
【0094】
次に、本発明が実施しようとする形態を実施例の態様として図2に従って説明すれば以下の通りである。この場合の注入は図2(a)のようにロッド注入管を用いて下から上、又は上から下に順次注入する。或は二重管ダブルパッカ注入外管を設置し内管から複数の吐出口を経て注入してもよい。この場合は地盤における可塑状ゲルが非可塑状ゲルになる前の状態になっている範囲にその吐出口が位置するようにステージが移動するようにするのがゲル化物を拡大する上に好ましい。
【0095】
図2(b)の実施形態はインターバル方式の基本的実施例の態様を示すものであり、所定の軟弱地盤3、同様に在来態様同様の形式により所定ピッチの横方向に介して削孔4を所定深度に形成し、図示しない注入管9を該削孔4に挿入し、地上の図示しない注入装置から懸濁型の可塑性グラウトを所定のタイムラグでインターバル方式により当該注入管9の所定ステージに変換しながら連ねながら注入し、又、所定ステップアップ、或はステップダウンを介し、反復して、注入を地盤3のゾーンごとに反復して追い討ち式に行っていく。この場合、注入管は注入管ロッドを用いてもよいし、注入外管内に注入内管を挿入して注入ステージを移向して注入してもよい。
【0096】
この場合、各サイクルに於ける注入は注入初期にあっては逸脱しないように低圧で注入し、地盤3内の排水を行いながら、或は注入液の脱水を行いながら注入し所定タイミングの後、圧送を停止すると、前述の如く流動性を失って経時的に固化し、後注入する地盤注入材は先行して形成されている可塑状ゲルを内側から側方向に押しやり、上側の地上方向には逸脱せず、追い討ち的に横方向に重合する方式で注入され、側方地盤の圧密脱水を図り、注入部位の外用部に於ける脱水が図られて可塑状ゲルの硬化物による硬化帯が形成され、後注入の地盤注入材による可塑状ゲル化物が重なって大きな塊に増大していく。
【0097】
この場合、当該地盤3の所定エリアに対し、削孔を横方向所定間隔を介し、設定数多数の削孔4を形成させ、各削孔に対し、各別個に注入管9を挿入し、所定タイムラグでバルブ5、ポンプpを介し而して注入装置に接続し、本地盤注入材をコンピューターを有するコントローラー6により所定のプログラムを介して、削孔4に対する注入タイミングをコンピューターを介してずらして、横方向に並列的に形成された該削孔4に対し、バルブ5、コントローラー6を介して所定タイムラグで、インターバル方式により、本地盤注入材を注入して地盤の相隣る削孔4の側方地盤の全領域的な圧密脱水を行って結果的に全領域的な地盤の強度の向上を図ることが出来る。
【0098】
すなわち、改良地盤は注入孔を介し注入を、又、所定の領域に一度に多量の本地盤注入材を圧入すると周辺土が充分な範囲を圧密する前に破壊したり、地盤隆起したりしてしまうが、全注入量を分割してインターバルで圧入すると可塑性であるがために注入の中断により流動が停止し、その位置に保持され、その周辺土は圧密脱水されている時間と、可塑性グラウトの脱水の時間が与えられ順次塊状可塑性ゲルによる固結体の大きさが成長し柱状固結体とその柱状固結体に挟まれた密度の増加した複合地盤となる。
【0099】
もちろん、当該態様にあっては、所定のインターバル方式をとることにより、所定タイミングで全削孔4を一巡した後は、初期の削孔4に戻ることが可能であり、該管のインターバルの本地盤注入材の注入において、形成された可塑状ゲルの塊状体は固化し、地盤3に対する圧密状態を維持する。即ち、改良地盤は注入孔を介し注入を、又、所定の領域に一度に多量の本地盤注入材を圧入すると周辺土が充分の範囲を圧密する前に破壊してしまうが、全注入量を分割してインターバルで圧入すると可塑性であるがため注入の中断により流動が停止し、その位置に保持され、その周辺土は圧密脱水される時間と、可塑状ゲルの脱水の時間が与えられ順次塊状可塑状ゲルによる固結体の大きさが成長し柱状固結体とその柱状固結体にはさまれた密度の増加した領域の複合地盤となる。
【0100】
このため、注入圧力は地盤隆起に作用するよりも側方向への圧密作用が生ずる。
【0101】
尚、削孔4の軸方向上方向には所定タイムラグで注入する可塑状ゲルの機能により、変位が垂直方向よりも水平方向に起こり易く、従って、地盤3の上方への隆起は避けられる。
【0102】
図2(c)は引張強度を有する注入管を有する注入管9(或は、注入管に引張材を抱き合わせた補強材でもよい)を地盤に設置して可塑性グラウトを圧入した場合の地盤の強化モデルを図示する。図2(c)に示す様に、地盤を削孔して注入管9を埋設して所定の位置で可塑性注入材を圧入して周辺地盤に固結体形成することにより、周辺の土が圧縮して固結による大きな土中アンカーが形成される。該土中アンカーによって引張強度を有する注入管9が地盤に定着される。この状態だけでも地盤が変位しようと、引張体に伸びが生じ地盤に引張強度が付与される。
【0103】
なお、図2(a),(b)において注入外管から注入内管を通して注入する場合、軸方向に複数の吐出口を有する注入外管には吐出口にゴムスリーブをかぶせて逆止弁の役をする。この注入外管内にシングルパッカ或はダブルパッカを有する注入内管を挿入して最下部の外管吐出口から本地盤注入材を圧入しては上方へステップアップし圧入して地盤強化を行う。
【0104】
この場合注入外管の設置のためのボーリング作業と注入作業は別々に行うことが出来る。又、注入外管内を再ボーリングして再注入することも出来るし、注入深度毎に確実な注入が出来、かつ注入外管の引張力を地盤に付与でき杭効果をうることが出来る。
【0105】
また、本発明注入材と溶液型注入材を併用する事によって砂質土と粘性土の互層からなる地盤を改良することが出来る。本粘性土は溶液型グラウトによる浸透注入が不可能なためゲル強度の大きい懸濁型グラウトの脈状注入が行われていたが、所定範囲に注入する事が不可能なためその効果は不確実だった。しかるに上記注入管を用いて浸透不能な土層に可塑状ゲル注入材による圧密注入を行い、浸透注入可能な土層は溶液型グラウトで改良する事が可能になる。例えば溶液型グラウトを注入した上で本地盤注入材を圧入すれば全体の地盤改良が可能になる。
【0106】
而して、上述の如く、この出願の発明においては、各削孔4に注入された本地盤注入材は地盤3の側方の加圧脱水作用を行って上方への逸脱は阻止される。従って、地盤の隆起等は生じ難いが、地盤表面の隆起や各相隣る削孔相互間の変形量を測定するために図3に示すようにレベルセンサーによるレベル検出方式を用いる。図3に示すようにレーザービーム発生装置11に対し、地上部の地表面或は建造物注入の影響をうける位置に設けたレーザー受信装置12を介し、レーザービームセンサー15を設ける。
【0107】
そして、受信装置およびコンピューター17を介し、適宜注入制御装置18により、図に示す様に注入管9に対する注入ステージの移向、本地盤注入材の注入の注入量やインターバル時間や比重等を調整的に制御するようにする。このときレーザービーム装置11から発生するレーザービームが精密に作製されたレーザービームセンサー15に対し、受信装置12が上下に変位し、地盤3の隆起等が正確に検出される。そして、コンピューター17を介し、図示しない注入制御装置を発停し、間欠的に注入する本地盤注入材の側方地盤の圧密脱水に最適なタイミングと量で注入を行い、地盤の隆起等を測定しながら、注入の中止、注入量の調整、他の注入地点への移向等最適に注入を行う。
【0108】
なお、当該図3に示す様に、注入の圧密体の側方変位や地盤の隆起等の計測検知はレーザー光線を用い、又、光学的に検知する為に、mm単位の精密な計測が必要である。
【0109】
従って、当該削孔4の変位や地盤3の隆起は広範囲に亘って精密な計測が可能であり、該地盤3の変位等の微少な変位を正確に、検出して設計通りの地盤3の強度向上が行える。
【0110】
而して、上述実施例において、側方地盤3に対する圧密脱水作用を介し、該地盤3の強度を向上することが基本的には可能であるが、本地盤注入材の該地盤3に対する注入部位に地盤3中の水分が他方に逸走して他の地盤3部分の流動性を高めたりする虞れがあるが為に、液状化現象等の潜在的な原因を除くべく、本地盤注入材の注入に伴って排除される地盤3中の水分を強制的に配設するべくペーパードレーンやサンドドレーン等のドレーン材(排水性や土性の異なる地層を貫通して)を併設し、圧密作用と脱水作用を両方に亘って積極的に行うことが出来る。
【0111】
図4は改良すべき地盤に屈曲して、また屈曲と直線を任意に組み合わせボーリングし、或はたて杭から建造物の基礎下に水平ボーリングして得られたボーリング孔中に、複数の外管吐出口を有する外管を設置し、この外管内に、内管を移動自在に挿入し、これにより内管と出口から外管吐出口を経て本地盤注入材を地盤中に注入するようにした態様を示すものであり、これにより地盤注入を施し難い既設構造物下方の支持地盤を急速かつ確実に、かつ経済的に地盤注入し、地盤沈下や、地震時における地盤の液状化を未然に防止する事が出来る。
【0112】
図4(a)は構造物直下の改良すべき地盤処理の基本模式図である。図4(a)に示されるように、ビル、廃棄物処理場、溜め池、貯水池等、移動不可能な構造物の直下の改良すべき地盤の近傍地表面から地盤中に屈曲して、または屈曲と直線を組み合わせて、ボーリング孔を形成する。次にこのボーリング孔中に設けた注入管から可塑性注入材を圧入する。
【0113】
図4(b)は構造物下方の地盤注入例であり、構造物下方の深さ方向に複数層積層して処理することも出来る。
【0114】
次にこの出願の発明を実施しようとする他の実施例の態様を図5に示す。図5(a)は地盤中にケーシング等管体を設けた上で鉄筋等の引張材を挿入した上で、地盤注入材に圧入しながらケーシングを引き抜き、地盤中に塊状固結体を形成し周辺地盤を圧縮して強化するのみならず、圧縮杭又は引張杭としての効果もある杭体との複合的地盤強化を図る態様であり、図5(b)は可塑性注入材の圧入による杭基礎の地盤の強化モデルであり、図5(c)は土留め壁における可塑性注入材によるアンカー形成の態様を示す。図5(b)、図5(c)とも図5(a)の手法を用いてもよいし、引張力を有する外管を用いて内管から注入する事により外管の引張材としての効果を付与してもよい。
【0115】
本発明の注入管理方法としては、地盤注入材の配合から注入材送液系統を通して地盤中の複数の注入ポイントに注入するまでの注入状況を画面表示し、一括監視を行って注入管理を行う。
【0116】
図6は、本発明の実施に供される注入管理方法の一具体例を示すフローシートであって、集中管理装置X1により注入状況の一括監視、管理を行い、常にその状況が注入監視盤X2に画面表示される。
【0117】
図7に集中管理装置X1の操作フローチャートを示しながら、図6について説明する。まず注入目的、注入条件に応じて注入仕様ファイルを集中管理システムX1に予め設定しておき(システム仕様設定登録)、次いで集中管理装置X1の開始スイッチをONにしてデータ記録を開始する。このとき、注入監視盤X2にもランプでON表示がなされており、注入データを画面に表示される。なお、ここで云う注入仕様ファイルとは材料の配合量、グラウトの流動規定値(適正流動範囲)、また圧力規定値(適正圧力範囲)、規定注入量(適正積算注入量範囲)、すなわち、所望のグラウトの流動特性、注入圧力、流量(単位時間当たり流量および/または積算流量)等である。又、上記において地盤隆起の適正範囲を加えても良い。
【0118】
集中管理装置X1の指示により、水、粉粒素材が、それぞれ計量器23を備えた水タンク4、および粉粒素材を貯蔵するホッパ25からミキサー27へ定量供給され、攪拌混合される。またこの時点でゲル化促進剤を添加する場合は、ゲル化促進剤を貯蔵するホッパ26より計量器23を介して添加される。
【0119】
ミキサー27内で充分に混合されたグラウトはミキサー27に取り付けられた或は別に備えられた流動特性計測装置28により流動測定が行われ、結果は集中管理装置X1を介して注入監視盤に表示される。ここで示す流動特性とはグラウトのフロー、或はスランプ、ゲルタイム、或は粘度、或はせん断強度(コーンによる貫入測定等が用いられる)等により判断されるものである。所定の流動性が得られると配合完了となり、グラウトはミキサー27より導管29を介して、さらにグラウトポンプ30へと送液される。また所定の流動性が得られていない場合、集中管理装置X1の指示により再度、材料(水、或は粉粒素材、或はゲル化促進剤)の添加が行なわれ、これは所定の流動特性が得られるまで繰り返される。
【0120】
ここではミキサー27内から直接グラウトを取り出すことも可能であり、流動特性計測装置28および集中管理装置X1を介さなくても、実際に手動で流動性を確認することも出来る。
【0121】
グラウトポンプ30へと送られグラウトは注入過程へと移向する。集中管理装置X1からの指示により、バルブ5が開けられ、グラウトポンプ30は所望の圧力でグラウトを加圧する。加圧されたグラウトは、導管29´、注入ホース31、注入管9を介して地盤3に注入、圧入される。
【0122】
導管29´には、圧力計p0、流量計f0が取り付けられ、測定された注入圧力、流量(単位時間当たり流量および/または積算流量)は流量圧力制御装置32に送信されるとともに、集中管理装置X1により管理される。
【0123】
注入圧力および流量が、予め設定された圧力規定値(適正圧力範囲)、規定注入量(適正積算注入量範囲)でない場合、或は地盤隆起量が適正範囲より大きくなった場合、注入は中断されるか、もしくは集中管理装置により調整、および制御の指示が送信される。また常時データは注入監視盤に画面表示されるので注入状況に応じて、注入条件の変更が可能であり、または注入緊急停止が行える。
【0124】
なお、流量計f0としては、回転流量計、電磁流量計等、任意の流量計を使用でき、パルスで出力された電気信号が流量は流量圧力制御装置32を介して集中管理装置X1に入力され、カウントされる。流量計f0および/または圧力計p0からの情報に基づく集中管理装置X1からの指示によりグラウトポンプ30の回転数を調整して毎分流量や注入圧力を制御する。
【0125】
また、集中管理装置X1により、インバータによってポンプの回転数を調節して流量を制御する。
【0126】
グラウトポンプ30はインバータ又は無断変速機を有するポンプ、或はリターン装置を有するポンプであってもよい。インバータや無断変速機は集中管理装置X1の指示を受けなくても、直接流量を調整して所定の圧力値にセットすることもできる。またリターン装置も直接調整して導管29´の圧力が所望の圧力を保つようにリターンさせることも可能である。なお、上述の調整は手動で行ってもよい。
【0127】
またグラウトポンプ30に代えて、コンプレッサを用いることも出来る。ミキサー7からグラウトをまず、加圧容器を設けて、これに充填し、次いでコンプレッサの作動により加圧容器中のグラウトを加圧して加圧注入グラウトとする。
【0128】
注入管9にはバルブ5が取り付けられ、このバルブ5は集中管理装置X1からの電気信号によって自動的に開閉される。複数本の注入管9を用いて、地盤3中の複数の注入ポイント22からの同時注入、連続注入、インターバル注入、またはこれらを組み合せて注入を行なう。またバルブ5は注入が完了した時点で手動により閉束することも出来る。
【0129】
全ての注入が完了の後、集中管理装置X1の開始スイッチをOFFにすることにより集中管理装置X1によるデータの記録が終了する。
【0130】
配合から注入までのデータを集中管理装置X1に送信し、注入監視盤X2に画面表示することにより注入状況の一括監視を行なって、グラウトの流動特性、送液系統の注入圧力、流量を所定の範囲に維持しながら注入するとともに、注入の完了、中止、継続、また再注入を行なう。
【0131】
また集中管理装置X1の指示により自動開閉されるゲル化促進材分岐バルブ34を設置することにより、ゲル化促進剤の配合時を管理する。予めシステム仕様設定にゲル化促進剤の添加時を登録し、ミキサー27内での混合、グラウトポンプ30への送液前の添加、およびゲル化促進剤ポンプ35を介することでグラウトポンプ30から圧送されたグラウトにゲル化促進剤を添加することも可能である。
【0132】
本発明に使用される注入工法は図6において、流動特性計測装置28、流量圧力制御装置32や地盤(或は構造物)変位計測器或は更に自動開閉可能なバルブ5を設け、これを集中管理装置X1に接続し、かつデータを注入監視盤X2に画面表示したことに特徴を有する。注入監視盤X2には注入年月日、注入時間等の「時データ」、材料の配合量、グラウト性状等の「グラウトデータ」、注入ブロックNo.、注入孔の孔番、注入ポイント等の「場所データ」、注入圧力、流量(単位時間流量や積算流量)等の「注入データ」が表示される。その他、注入液識別データや地盤(或は構造物)変位データを表示することも出来る。
【0133】
図8に例えば10本の送液系統を有する注入をおこなった際の送液系統のデータ(流量、圧力、積算流量、最大圧力の合計40データ)を注入監視盤X2上に一つの画面で表示した画面を示す。図8の画面を詳述すると、以下の通りである。
【0134】
上半分の2画面:
グループ1:1号〜5号の積算流量、最大圧力デジタル表示
グループ2:6号〜10号の積算流量、最大圧力デジタル表示
積算流量は20分間の注入量である。また最大圧力は30秒毎に表示され、19分30秒から20分までの間の最大値を表示した。最大圧力が設定圧力以上になり続けたら、その送液系統の注入は終了することの判断になる。また、積算流量が設定積算流量に達した場合も、この送液系統の注入は終了することの判断になる。
【0135】
下半分の2画面:
グループ3:1号〜5号の流量、圧力 トレンド表示
グループ4:6号〜10号の流量、圧力 トレンド表示
2画面のそれぞれの左側は各送液系統における時間(t)の経過に対応した瞬時流量と瞬時圧力のチャートを示し、右側は19分30秒から20分までの平均瞬時流量(l/分)と平均瞬時圧力(MPa)を示す。
【0136】
このようにして、図8の画面に示されるように、注入監視盤X2には送液系統No.1〜10の送液状態が同時に表示されるが、一つの送液系統毎に画面を切り換えながら表示することもできる。なお、流量圧力制御装置32における設定圧力、実際圧力、送液流量、積算送液流量を同一画面または別の画面に表示してもよい。これにより、圧力、流量との関係をリアルタイムで把握でき、注入を所定の設定範囲内に納まるように管理できる。また、図8において最大圧力の代わりに、圧力や流量を表示してもよい。さらに、集中管理装置X1は注入仕様ファイル、注入結果一覧表、注入チャート、日計表、週計表、月計表等の帳票作成ならびに解析データの作成をも行うことができる。
【0137】
注入仕様ファイルは集中管理装置X1の動作設定ファイルであり、注入液送液系統の注入完了条件の規定圧力値、規定注入量の設定を行う。各帳票ファイルは登録された流量、圧力、積算流量あるいは最大圧力の各データと、孔番等の手動入力、または自動入力によるデータとから変換作成される。さらに解析データは各帳票から変換作成される。
【0138】
図8の注入監視盤X2の画面において、各送液系統の1本毎に一枚ずつ、例えば図9に示される注入孔における注入ポイント毎に、ブロックNo.、注入孔No.、及びステージNo.とともに、圧力、流量、チャートを表示することもできる。
【0139】
さらに、これらのデータから注入孔毎に、例えば、図9のブロックNo.1、注入孔No.3について表示すれば、図10に示されるように、各ステージ毎に、時間tに対する注入圧力P、流量Q、および積算流量を表示することもできる。又、これらを図11に示すように三次元的に表示する事によって、各ステージでのN値と土被り圧から想定した許容注入圧力、範囲、目標N値から想定した許容注入量を基準に設定した。各注入ステージにおける注入量から注入前のN値のデータから注入後の目的N値に対応した地盤改良効果の予測がリアルタイムで可能になる。流量を制御する。
【0140】
このようにして、加圧注入グラウトの所定設定の流量ないしは設定圧力をもって、或は限界範囲内の流量ないしは圧力をもって、送液圧入する。この結果、確実にかつ改良効果の予測迄可能になる。又、上記の設定圧力、設定注入量は試験注入のデータを加味して補正する事が出来る。
【0141】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に記述するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
【0142】
使用材料
(1)スラグ
高炉スラグ4000ブレーン値
(2)セメント
ポルトランドセメント、アルカリ性硬化発現材
(3)ベントナイト
膨潤度2.5g/g以上、増粘材および保水材
(4)硫酸バンド
硫酸アルミニウム、Al2O3=17.2%、ゲル化促進剤
(5)起泡剤
特殊蛋白質、事前発泡型エア発生剤、ゲル化調整剤
【0143】
配合例1〜9
スラグ、セメント、水を練混ぜ、さらにベントナイトを加えて、配合直後に可塑状となるよう配合した。このようにして得られた配合例1〜9の地盤注入材の調整条件および物性値を下記の表2に示す。なお、配合例5、6、7が本発明の実施例であり、配合例1〜4、8、9は比較例である。
【0144】
【表2】

【0145】
表2において、可塑性保持時間とは静止しておけばゲル状を保持するが、力を加えると流動する状態を呈している時間を言う。この表2の配合例では、スラグとセメントの懸濁液にベントナイトを投入することにより、配合直後に可塑状となる。よってブリージングは殆どない。
【0146】
また、硬化発現材比が大きいと可塑状保持時間が短くなり、このような注入材は地盤中でさらに脱水されて早急に固結してしまい大きな塊状体を形成することが出来ない。硬化発現材は少量でも十分に効果があり、強度発現は遅くなるが経時的に強度は大きくなるため、硬化発現材比は上述のように0.01%以上1重量%未満である。
【0147】
[可塑状ゲルとしての要因と条件]
(1)硬化発現材比
グラウトに含まれる粉体、つまりスラグとセメント、さらにベントナイト等の粉状体の含有量に対するアルカリ性硬化発現材、つまりセメントの含有量:セメント(硬化発現材)重量/{スラグ重量+セメント重量+ベントナイト重量}×100[%]
【0148】
硬化発現材比を大きくすると、強度発現が早急に起こって可塑状保持時間が短くなり、または沈殿してブリージングが大きくなり沈殿したものは流動しにくく可塑状ゲルになりにくい。即ち硬化発現材比が大きいと、地盤中で脈状に逸脱したり、或は塊状体の拡大に影響を及ぼす。硬化発現材比は、本発明において、0.1重量%以上〜1重量%未満である。
【0149】
(2)水粉体比
グラウト中の粉体に対する水の含有量:水重量/{スラグ重量+セメント重量+ベントナイト重量}×100[%]
【0150】
この値が小さいと可塑状になりやすい。即ち配合後可塑状ゲルになる時間が短くなり、かつフロー値が小さくなる。しかし水粉体比が小さすぎると作業性を損なうため、その範囲は30〜200%、好ましくは40〜150%(重量比)とする。増粘剤やゲル化促進剤を用いることにより水粉体比は大きくとることができる。その他、混合条件、環境、また材料により、グラウトの性状は異なってくるため、後に示すブリージング率、フロー値、強度の測定が重要となる。
【0151】
(3)ベントナイト添加量
グラウト中の粉体に対するベントナイトの含有量:ベントナイト重量/{スラグ重量+セメント重量+ベントナイト重量}×100[%]
【0152】
スラグ、セメントの懸濁液にベントナイトを添加することによりグラウト中の粘性が大きくなって可塑状となる。ベントナイトを使用することにより容易に流動性が調節できる。またベントナイトによりグラウトが増粘され水への分散も抑制することができる。ベントナイト添加量は30%以下、好ましくは1〜20%(重量比)である。
【0153】
また膨潤度20g/g以上の膨潤性に優れたベントナイトを使用することにより添加量を少なくすることができる。
【0154】
(4)硫酸バンド添加量
グラウト中の粉体に対する硫酸バンドの添加量:硫酸バンド重量/{スラグ重量+セメント重量}×100[%]
【0155】
硫酸バンドはゲル化促進剤であり、スラグとセメントの流動性ある状態の中に添加すると、ゲル化を促進させ、可塑状ゲルになる時間を早める。ただし、硫酸バンドには固結強度を低下させる作用もあるので、その添加量は2.0%以下、好ましくは0.1〜1.0%とする。
【0156】
(5)起泡剤添加量
グラウト中の粉体に対する起泡剤の添加量:起泡剤重量/{スラグ重量+セメント重量}×100[%]
【0157】
起泡剤はグラウトの軽量化を図るゲル化調整剤であり、起泡剤添加量が大きいとグラウト中に発生するエアの量が多くなるため、グラウトが地盤中で土粒子をおしやって塊状体を形成することができなくなる。よって起泡剤添加量は0.1〜2.0%が好ましい。
【0158】
(6)ゲルタイム
ここでは一般的な水ガラス系グラウトにみられるような固化状となる化学的ゲル化を意味するのではなく、配合後、自重による流動性がなくなり、力を加えると流動する可塑状ゲルとなるまでの物理的ゲル化時間をゲルタイムと表現する。一般の水ガラスを主材とするグラウトと違って、明確なゲル化時間を示すことはできない。よってテーブルフローによるフロー値を用いてその値が20cm以下になった時をゲル化とみなし、これをゲルタイムとした。
【0159】
(7)可塑状保持時間
アスファルト針入度試験方法JIS K 2530-1961に準じて総質量230g、先端角度15度、36mmの貫入コーンを用いて静的貫入抵抗を測定し、貫入抵抗値が0.01MN/m2を越えた時非可塑状ゲルとなって固結または硬化とみなし、ゲル化から固結に至るまでの時間を可塑状保持時間とした。
【0160】
(8)ブリージング率
配合後、グラウトを充分に混合させ、次いで、200mlメスシリンダにグラウトを入れて静止密閉し、1時間経過後にブリージング水量(上ずみ液)を測定し、次式よりブリージング率を求める。(ブリージング水量/メスシリンダ容量)×100[%]
【0161】
ここでは1時間経過後のブリージング率を示す。1時間経過後のブリージング率が10%以上の配合では、注入液が分離しやすく脈状または亀裂状に注入されやすい。その後、時間が経過すると更にブリージング率が増大するので、従って1時間経過のブリージング率は10%以下、好ましくは5%以内の配合が好ましい。
【0162】
(9)フロー値
フロー試験(JIS R 5201テーブルフロー)に基づき、グラウトに15秒間に15回の落下運動を与え、その広がりを測定した。可塑状グラウトとしては約18〜19cmが適しているとされているが、本発明ではフロー値が20cm以下になる時点で自重による流動性がなくなったものとして、ゲルタイムとした。本発明における流動性注入材は地盤中に注入して加圧脱水によって水粉体比が低下してフローが20cm以下に至る配合が用いられる。
【0163】
またシリンダーによるフローは、高さ8cm、直径8cmの円筒にグラウトを詰め、円筒を取り除いたときのグラウトの広がりを測定するものである。上述のテーブルフローよりも簡易に測定できるため現場などで用いられることが多いが、簡易であるため人為的な誤差が生じる可能性がある。図12に、テーブルフローとシリンダーによるフローのおおよその関係を示す。
【0164】
(10)一軸圧縮強度
配合後、充分に混合したグラウトを直径5cm、高さ10cmのモールドに詰め、静止した状態で養生し、1日或は7日後に一軸圧縮強度を測定した。
【実施例2】
【0165】
可塑状ゲル注入材による塊状体の形成による効果を確認するため、内型150cm、高さ150cmの上載圧、側圧載荷装置、および変位計が設けられた円柱土槽を使用して、土槽実験を行った。土槽は、N値が20程度の砂質地盤において深度3mで可塑状ゲルの圧入を行ったと想定して、山砂を相対密度50%になるように土槽に詰め、60kPaの上載圧を載荷した。可塑状ゲル注入材は配合例5を使用した。注入速度を5l/minとして2分圧入し、その後3分間中断し、再度圧入をくり返すインターバル方式で40リットルの可塑状ゲルの圧入を行った。
【0166】
図13、図14に圧入時の圧入速度と注入量の変化、変位と上載圧・側圧の変化を示す。圧入に伴い注入速度は低減し、側圧が増加した。地表面の変位は、圧入初期は進化する傾向を示したが、注入量が約20リットル越えた時点から隆起する傾向となった。これは圧入によって可塑状ゲルの体積が増加したことや、ダイレタンシーによるものである。側圧は圧入に伴い、可塑状ゲルが土粒子を押しやることで増加していくが、圧入を中断するインターバル中に低下する傾向を示した。これはインターバル中に土圧の再分配などによると考えられる。
【0167】
次に図15に上記測定結果よりもとめた注入量と間隙比及び土圧係数の関係を示す。間隙比、土圧係数は次式より求めた。
【0168】
間隙比={土粒子密度×(圧入後の土槽内体積−可塑状ゲル圧入体積)/使用した砂の質量}−1
土圧係数=側圧/上載圧
【0169】
間隙比は圧入に伴い減少していくが、地表面変位が表れだした注入量30リットルを越えた時点から若干増加した。また土圧係数は圧入に伴い上昇し、最終的には初期値の約1.7倍となった。
【0170】
このように地盤中に可塑状ゲルからなる塊状体を形成し、さらに柱状改良体へと拡大させることにより周辺地盤の密度増加を図り、締固め、さらに地盤との高い周面摩擦力を付与した杭体を造成して強固な地盤改良を行う。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】可塑状ゲルの圧入による地盤強化モデル図であり、(イ)は改良対象領域に対する可塑性グラウトによる固結体の配置を示す柱取り合い断面図であり、(ロ)、(ハ)は平面図および可塑性注入材の注入配置図である。(ロ)は正方形配置図であり、(ハ)は三角形配置図である。
【図2】(a)は所定エリアの地盤に相隣って削孔した可塑状ゲルのロッド注入管による下から上への引上げ注入の態様の断面図であり、(b)は所定エリアの地盤に相隣って注入外管を設置し、注入内管から可塑状ゲルを圧入する例を示した断面図であって、1つのポンプからバルブ5をきりかえながらインターバル方式による圧入態様の断面図であり、(c)は引張強度のある注入管の所定設置に間隔をあけて可塑状ゲルによる固結体を形成し、又注入管の引張強度を固体による地盤の高密度体による補強効果を示す断面図である。
【図3】地盤の施工中途における、変位計測態様の模式図である。
【図4】(a)、(b)は構造物直下の耐震補強注入の基本模式図であって断面図である。
【図5】(a)は削孔したケーシング内に鉄筋を挿入しケーシング引き抜きによる可塑状ゲルの圧入の模式図であり、可塑状ゲルは逸脱しないため周辺地盤を圧密して大きな強度を有するグラウトパイルを形成する。(b)は可塑性グラウトによる杭基礎の地盤強化の断面図であり、(c)は土留め壁における可塑性グラウトの圧入によるアンカー形成の断面図である。
【図6】本発明における材料の混合およびグラウトの注入までの注入管理方法の一具体例を示すフローシートである。
【図7】集中管理装置の操作、および集中管理システムが管理する配合と注入のフローチャートである。
【図8】集中管理装置を用い、送液系統10本についての積算流量と最大圧、および流量と圧力を注入監視盤に表した画面表示の例である。
【図9】注入領域の4つの注入ブロック区分No.1〜4を注入監視盤に表した画面表示の例である。
【図10】地盤のステージNo.1〜3における流量と注入圧力を注入監視盤に表したグラフ(チャート)である。
【図11】注入量、または注入圧の三次元的表示例である。
【図12】テーブルフローとシリンダーによるフローの関係を表したグラフである。
【図13】圧入時の経過と圧入速度及び注入量の関係を表したグラフである。
【図14】圧入時の経過と地表面変位及び上載圧、側圧の関係を表したグラフである。
【図15】注入量と間隙比及び土圧係数の関係を表したグラフである。
【符号の説明】
【0172】
3 地盤
4 削孔
5 バルブ
6 コントローラー
7 コンピューター
8 ケーシング
9 注入管
10 鉄筋
11 レーザービーム発生装置
12 レーザー受信装置
14 フーチング
15 レーザービームセンサー
16 鋼管注入管
17 コンピューター
18 注入制御装置
19 補強支持杭
20 杭基礎
21 土留め壁
22 注入ポイント
23 計量器
24 水タンク
25 ホッパ
26 ゲル化促進剤ホッパ
27 ミキサー
28 流動特性計測装置
29 導管
29´導管
30 グラウトポンプ
31 注入ホース
32 流量圧力制御装置
34 ゲル化促進剤分岐バルブ
35 ゲル化促進剤ポンプ
36 レベルセンサー
X1 集中管理装置
X2 注入監視盤
f0 流量計
p0 圧力計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤中に設けられた注入孔を介して可塑状ゲル注入材を圧入し、該可塑状ゲル注入材が時間とともに、又は脱水によって流動性を失って地盤中に注入材そのものの塊状体を形成する地盤改良方法であって、前記可塑状ゲル注入材が下記の(1)と(2)と(3)、又はさらに(4)を有効成分として含み、硬化発現材比が0.1重量%以上1重量%未満であって、水粉体比が30重量%以上200重量%以下であることを特徴とする地盤強化方法。
(1) スラグ(S材)
(2) アルカリ性硬化発現材(C材)
(3) 水(W材)
(4) ゲル化調整材(B材)
ただし、硬化発現材比=C/(S+C+B)×100(%)、水粉体比=W/(S+C+B)×100(%)であり、S、C、B、Wはそれぞれ重量を表す。
【請求項2】
請求項1において、可塑状ゲル注入材は圧入時のテーブルフローが12cm以上30cm未満及び/又はスランプが5cmより大きく、及び/又はシリンダーによるフローが8cmより大きく28cm未満であり、地盤中への圧入前又は圧入中に可塑状ゲルに至る注入材であることを特徴とする地盤強化方法。
【請求項3】
請求項1または2において、アルカリ性硬化発現材は、セメント、石灰、石膏や炭酸水素ナトリウムの等の炭酸水素アルカリ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸アルカリ、苛性アルカリのいずれか又はその複数からなることを特徴とする地盤強化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−303586(P2008−303586A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150579(P2007−150579)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000162652)強化土エンジニヤリング株式会社 (116)
【Fターム(参考)】