垂直磁気記録媒体及びその製造方法
【課題】垂直磁気記録媒体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板と、基板上に形成される軟磁性層と、軟磁性層上に形成される底層と、底層上に形成される複数のCo合金酸化物層を有する記録層と、を備え、複数のCo合金酸化物層の各層は、底層側に位置した下部層から上部層へ行くほど磁気異方性エネルギーが次第に低くなるように形成されたことを特徴とする垂直磁気記録媒体である。前記第1Co合金酸化物層のPt含量は、前記第2Co合金酸化物層のPt含量より多い。
【解決手段】基板と、基板上に形成される軟磁性層と、軟磁性層上に形成される底層と、底層上に形成される複数のCo合金酸化物層を有する記録層と、を備え、複数のCo合金酸化物層の各層は、底層側に位置した下部層から上部層へ行くほど磁気異方性エネルギーが次第に低くなるように形成されたことを特徴とする垂直磁気記録媒体である。前記第1Co合金酸化物層のPt含量は、前記第2Co合金酸化物層のPt含量より多い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直磁気記録媒体及びその製造方法に係り、特にさらに小さい磁性粒子を有しつつも熱的に安定した記録層を備えた垂直磁気記録媒体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、情報量の急増により、さらに高密度でデータを記録/再生可能な情報記憶装置が要請されている。特に、記録媒体を利用する磁気記録装置は、大容量であり、かつ高速のアクセスが可能であるという特性により、コンピュータだけでなく、各種のデジタル機器の情報記憶装置として注目されている。
【0003】
かかる磁気記録装置の磁気記録は、記録方式によって水平磁気記録方式と垂直磁気記録方式とに大別される。水平磁気記録方式は、磁性層の磁化方向が磁性層の表面に平行に整列されることを利用して情報を記録する方式であり、垂直磁気記録方式は、磁性層の磁化方向が磁性層の表面に垂直方向に整列されることを利用して情報を記録する方式である。記録密度側面で見るとき、垂直磁気記録方式は、水平磁気記録方式よりはるかに有利である。
【0004】
垂直磁気記録媒体の構造は、記録磁場の磁化経路を作る軟磁性底層と、記録磁場によりアップ/ダウンの垂直方向に磁化されて記録される記録層との二重構造からなる。
【0005】
垂直磁気記録方式により高密度記録を達成するためには、記録されたデータの安定性の確保のための記録層の高い保磁力及び垂直磁気異方性エネルギー、小さいグレインサイズ及びグレイン間の小さい交換結合力による小さい磁区などの特徴を有する垂直磁気記録媒体が要求される。前記交換結合力は、記録層内でグレイン間の磁気的相互作用の程度を表す定数であって、交換結合力は、小さい値であるほどグレイン間の分離が容易になる。かかる高密度の垂直磁気記録媒体を製造するためには、記録層の磁気異方性エネルギーKuと垂直方向への結晶配向性とを極大化できる技術が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、記録層の磁気異方性エネルギーKuを高め、かつ記録層の微細に形成したグレインを互いに明確に分離して結晶配向性を向上させる垂直磁気記録媒体及びその製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明による垂直磁気記録媒体は、基板と、前記基板上に形成される軟磁性層と、前記軟磁性層上に形成される底層と、前記底層上に形成される複数の強磁性層を有する記録層と、を備え、前記複数の強磁性層の各層は、前記底層側に位置した下部の強磁性層から上部の強磁性層へ行くほど磁気異方性エネルギーが次第に低くなるように形成されたことを特徴とする。
【0008】
また、前記目的を達成するために、本発明による垂直磁気記録媒体の製造方法は、基板上に軟磁性層を形成するステップと、前記軟磁性層上にバッファ層を形成するステップと、前記バッファ層上に酸素が含有されたRuで底層を形成するステップと、前記底層上に複数のCo合金酸化物層を形成するステップと、を含み、前記複数のCo合金酸化物層の各層は、前記底層側に位置した下部層から上部層へ行くほど磁気異方性エネルギーが次第に低くなるように形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱的に安定しており、磁気異方性エネルギーが高い高記録密度の垂直磁気記録媒体を具現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。しかし、後述する実施形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を当業者に十分に説明するために提供されるものである。以下の図面で、同じ参照符号は同じ構成要素を指し、図面上で、各構成要素のサイズは、説明の明瞭性及び便宜上誇張されうる。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体の概略的な構造を示す断面図である。
【0012】
図1に示すように、前記垂直磁気記録媒体40は、下部から基板10、軟磁性底層12、バッファ層14、底層16、記録層22、保護層30及び潤滑層32が順次に積層されて形成される。
【0013】
前記基板10は、主にガラスやAlMg合金で形成され、円盤状に製造される。
【0014】
前記軟磁性底層12は、磁気記録時に記録ヘッドから発生する垂直磁気フィールドの磁路を形成して記録層に情報を記録させ、CoZrNb合金、CoFeZrNb合金、CoFeB合金またはNiFe合金などで形成される。
【0015】
前記バッファ層14は、軟磁性底層12と記録層22との磁気的相互作用を抑制する役割を行い、例えばTiまたはTaで形成される。
【0016】
前記底層16は、記録層22の結晶配向性及び磁気的特性を向上させる役割を行う層であって、Ruからなる第1底層18と、酸素及びRuからなる第2底層20とからなる二重層構造である。前記第2底層20は、Ruグレインの間に酸化物成分に分離される境界をなす。かかる分離のために、前記第2底層であるRu酸化物層は、O2/(Ar+O2)=0.1%ないし5%の範囲の酸素含量条件を満足するスパッタ雰囲気ガスで酸素反応性スパッタリング方式で形成する。前記第1底層18は、記録層22の結晶配向性を改善し、前記第2底層20は、グレインサイズを小さくて均一にして記録層22のグレインサイズを調節する役割を行う。図2は、酸素含量が1%であるスパッタ雰囲気ガスで形成された第2底層20のTEM(Transmission Electron Microscopy)画像を示す。図2を参照すれば、第2底層20のグレインが微細に形成され、グレインのエッジに酸素が含まれてグレインの間が明確に分離されたということが分かる。このときのRuグレインサイズは、平均5.4nmである。
【0017】
本実施形態は、第1底層18がRuで形成された場合を説明しているが、これに限定されず、前記第1底層も酸素及びRuからなりうる。さらに、本実施形態は、底層16が二重層構造を有する場合を例として説明しているが、これに限定されるものではない。ただし、記録層22のグレインサイズを小さくて均一にするために、少なくとも底層16の上部は、Ruの蒸着時に酸素を含有させることが望ましい。
【0018】
前記記録層22は、前記底層16上に第1Co合金酸化物層24、第2Co合金酸化物層26及びキャッピング層28が順次に積層された多層構造を有する。
【0019】
本実施形態は、前記第1Co合金酸化物層24の磁気異方性エネルギーは、前記第2Co合金酸化物層26の磁気異方性エネルギーより高く形成されている。前記第1Co合金酸化物層24は、磁気異方性エネルギーの高いCoPt−SiO2またはCoPt−TiO2のようなCoPt酸化物で形成され、第1Co合金酸化物層24の磁気異方性エネルギーは、5×106erg/ccないし5×107erg/ccとなる。第1Co合金酸化物層24は、前記CoPt酸化物のPt含量が10at%ないし50at%である。一方、第2Co合金酸化物層26は、磁気異方性エネルギーの低いCoCrPt−SiO2のようなCoCrPt酸化物で形成され、第2Co合金酸化物層26の磁気異方性エネルギーは、1×106erg/ccないし5×106erg/ccであり、Pt含量は、1at%ないし30at%である。前記第1及び第2Co合金酸化物層24,26は、結晶内のグレインが酸化物質により互いに分離された構造を有するが、グレインは、Co合金物質からなり、グレインの間は酸化物質からなる。
【0020】
CoCrPt磁性体において、Pt含量が増加すれば、磁気異方性エネルギーが増大することが知られている。CoCrPt磁性体において、Cr組成をなくし、Pt含量を10at%ないし50at%、望ましくは、20at%ないし30at%にすれば、磁性体の垂直磁気異方性エネルギーを5×107erg/ccほどまで向上させられる。ただし、Cr組成をなくすれば、グレインの分離が多少悪化するので、結晶配向性を向上させる底層20として酸素を含むRuを形成し、上部にCoPt酸化物からなる第1Co合金酸化物層24とCoCrPt酸化物からなる第2Co合金酸化物層26とを順次に形成して、グレインの分離を容易にする。
【0021】
本実施形態では、Co合金酸化物層が二重層である場合を例として説明しているが、これに限定されず、2層以上の複数層で形成されることもある。2層以上の複数層でCo合金酸化物層が形成される場合、複数のCo合金酸化物層の各層は、底層20側に位置した下部層からキャッピング層28側に位置した上部層へ行くほど磁気異方性エネルギーが次第に低くなるように形成される。
【0022】
前記第1及び第2Co合金酸化物層24,26の上部には、記録特性を改善するためのキャッピング層28が形成される。キャッピング層は、CoCrPtBのように酸素のないCo合金で形成される。したがって、キャッピング層は、酸化物によりグレインの分離なしに連続薄膜形態に形成され、記録層22を熱的に安定させ、記録層22の磁化飽和磁界Hsを減少させて記録特性を改善させる。
【0023】
前記保護層30は、前記記録層22を外部から保護するためのものであって、DLC(Diamond like Carbon)で形成され、前記保護層30上には、磁気ヘッドとの衝突及び摺動によるヘッド及び保護層の磨耗を低下させるために、テトラオール潤滑剤などで備えられる潤滑層32が形成される。
【0024】
図3Aないし図3Cは、Co合金酸化物層の積層順序による磁気的特性を示すグラフである。実線は、下部からCoPt−TiO2/CoCrPt−SiO2/CoCrPtBで記録層を形成した本実施形態の磁気的特性を表し、点線は、積層順序を変えて下部からCoCrPt−SiO2/CoPt−TiO2/CoCrPtBで記録層を形成した比較例の磁気的特性を表す。図3Aは、本実施形態の記録層及び比較例の記録層における磁気履歴曲線を示し、図3Bは、本実施形態の記録層及び比較例の記録層をX線回折分析器で分析した結果を示し、図3Cは、本実施形態の記録層及び比較例の記録層におけるTAA(Track Average Amplitude)の経時的な変化を示す。図3Aを参照すれば、本実施形態の記録層の保磁力が比較例の記録層の保磁力よりはるかに高いということが分かる。また、図3Bを参照すれば、本実施形態の記録層の磁気異方性エネルギーKuが比較例の記録層の磁気異方性エネルギーKuよりさらに高いという点が分かるところ、これは、基板と平行な結晶面内の原子間の距離がさらに広いCoPt−TiO2を下部に置き、基板に水平な結晶面内の原子間の距離がさらに狭いCoCrPt−SiO2を積層させることによって、結晶性の改善を通じた記録層の全体の磁気異方性エネルギーKuが向上すると理解されるであろう。かかる点を考慮すれば、記録層を構成する強磁性層が2層以上の複数層を有する場合にも、結晶性の改善を通じた記録層の全体の磁気異方性エネルギーを向上させるということが分かる。複数層を有する記録層においても、下部層を上部層より基板に水平な結晶面内の原子間の距離がさらに広い層で形成させることによって、結晶性の改善を通じた記録層の全体の磁気異方性エネルギーを向上させる。また、Pt組成の増加と共に磁気異方性エネルギーが増加するところ、下部のCo合金酸化物層のPt組成を上部のCo合金酸化物層のPt組成よりさらに大きくすることによって、下部のCo合金酸化物層が上部のCo合金酸化物層より高い磁気異方性エネルギーを有するように構成できる。FePt合金、FePt合金酸化物、CoPt合金及びCoPt合金酸化物は、本実施形態で提示しているhcp構造のCoPt−TiO2層と同様に、基板面に平行な結晶面間の間隔がさらに広く形成されるので、FePt合金、FePt合金酸化物、CoPt合金及びCoPt合金酸化物をCoCrPt酸化物層の下部層として使用できるであろう。また、図3Cを参照すれば、本実施形態の記録層が比較例の記録層に比べて熱的にはるかに安定的であるということが分かる。
【0025】
図4は、本実施形態による記録層のTEM画像である。
【0026】
図4を参照すれば、Ru層と酸素とを含むRu層からなる二重構造の底層上にCoPt−TiO2/CoCrPt−SiO2/CoCrPtB構造の記録層を形成した場合、記録層のグレインサイズが平均5.7nmであり、グレインの間が明確に分離されるということが分かる。これは、底層でよく分離されたグレインが記録層の下部に影響を及ぼして記録層の粒状構造を向上させたものと解釈される。
【0027】
図5は、キャッピング層の有無による記録層の磁気履歴曲線の変化を示すグラフである。
【0028】
図5を参照すれば、キャッピング層を第1及び第2Co合金酸化物層上に形成することによって、磁化飽和磁界値を大幅に低めて、高い垂直磁気異方性エネルギーにもかかわらず容易に磁化させられるということが分かる。
【0029】
図6A及び図6Bは、記録層の蒸着工程で工程条件によって粗度が変わることを示す記録層のAFM(Atomic Force Microscopy)画像であって、図6Aは、記録層の蒸着において、蒸着条件に変化を与えない場合であり、図6Bは、記録層の蒸着において、下部層から上部層に行くほど次第にスパッタに加えられる電力を高め、ガス圧力を低く変化を与える場合である。本実施形態は、第1Co合金酸化物層を蒸着させる時に比べて、第2Co合金酸化物層を蒸着させてスパッタに加えられる電力を高め、ガス圧力を低くすることによって、図6Bに示したように記録層の表面粗度を低く制御してヘッドのフライング条件を向上させる。
【0030】
図7Aないし図7Eは、本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体の製造工程を示す断面図である。
【0031】
図7A及び図7Bに示すように、前記基板50上にCoZrNbからなる軟磁性底層52とTaからなるバッファ層54とを形成した後、Ruからなる第1底層56と酸素を含むRuからなる第2底層58とからなる底層を形成する。前記第1底層56は、スパッタリング法でRuターゲットを使用して常温で10mTorr以下の圧力で形成する。前記底層56の厚さは、約10nmであって、結晶性に優れ、表面は平坦になる。前記第2底層58は、前記第1底層56上に反応性スパッタリング法を利用してアルゴンガスと酸素ガスとを注入し、40mTorr圧力で形成する。このとき、酸素ガスは、全体の注入ガスのうち1%を注入する。第2底層58は、Ruからなるグレイン60と、グレイン60を磁気的に分離させる境界62とからなる粒状構造を有する。第2底層58の厚さは、約8nmであって、第1底層56より表面粗度を適正レベルに増大させ、酸素を利用してグレインの間を分離させる。
【0032】
図7C及び図7Dに示すように、前記第2底層58上にスパッタリング法で記録層78をCoPt−TiO2/CoCrPt−SiO2/CoCrPtB構造で形成する。前記CoPt−TiO2層64は、第1Co合金酸化物層であって、CoPt−TiO2ターゲットを使用して40mTorr以上の高い圧力でPtが豊富な雰囲気で約10nmの厚さに形成する。CoPt−TiO2層64は、CoPtでグレイン66が形成され、TiO2でグレイン66を取り囲む境界68が形成された構造を有する。前記CoCrPt−SiO2層70は、第2Co合金酸化物層であって、CoCrPt−SiO2ターゲットを使用して常温でアルゴンガスと酸素ガスとを注入して反応性スパッタリング法で形成する。前記酸素ガスは、全体の注入ガスのうち0.1%ないし10%注入する。このとき、CoCrPt−SiO2層70は、下部のCoPt−TiO2層64の表面粗度を緩和させるようにスパッタリング電力を高め、圧力を低めて20mTorrの圧力で約10nmの厚さに形成する。CoCrPt−SiO2層70は、CoCrPtでグレイン72が形成され、SiO2でグレイン72を取り囲む境界74が形成された構造を有する。前記CoCrPtB層74は、キャッピング層であって、連続薄膜形態で10mTorrの圧力で約5nmの厚さに形成する。
【0033】
図7Eに示すように、前記記録層78上にDLCからなる保護層80とテトラオール潤滑剤を利用した潤滑層82とを形成して、垂直磁気記録媒体90を形成する。
【0034】
前述した実施形態において、キャッピング層を除いた記録層は、第1及び第2強磁性層の二重層構造である場合を例として説明しているが、これに限定されない。本発明のキャッピング層を除いた記録層は、3層以上の複数の強磁性層を有する場合にも適用される。3層以上の複数層で強磁性層が形成される場合、複数の強磁性層の各層は、底層150側に位置した下部層からキャッピング層169側に位置した上部層へ行くほど磁気異方性エネルギーKuが次第に低くなるように形成される。
【0035】
かかる本発明の垂直磁気記録媒体及びその製造方法は、理解を助けるために図面に示した実施形態を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲により決まらねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、記録媒体関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体の概略的な構造を示す断面図である。
【図2】図1の垂直磁気記録媒体の底層のTEM画像である。
【図3A】本発明の一実施形態による多層構造の記録層で積層順序による特性を示すグラフである。
【図3B】本発明の一実施形態による多層構造の記録層で積層順序による特性を示すグラフである。
【図3C】本発明の一実施形態による多層構造の記録層で積層順序による特性を示すグラフである。
【図4】図1の記録層のTEM画像である。
【図5】キャッピング層の有無による記録層の磁気履歴曲線の変化を示すグラフである。
【図6A】記録層の蒸着工程で工程条件によって粗度が変わることを示す記録層のAFM画像である。
【図6B】記録層の蒸着工程で工程条件によって粗度が変わることを示す記録層のAFM画像である。
【図7A】本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体の製造工程を示す断面図である。
【図7B】本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体の製造工程を示す断面図である。
【図7C】本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体の製造工程を示す断面図である。
【図7D】本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体の製造工程を示す断面図である。
【図7E】本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体の製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 基板
12 軟磁性底層
14 バッファ層
16 底層
18 第1底層
20 第2底層
22 記録層
24 第1Co合金酸化物層
26 第2Co合金酸化物層
28 キャッピング層
30 保護層
32 潤滑層
40 垂直磁気記録媒体
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直磁気記録媒体及びその製造方法に係り、特にさらに小さい磁性粒子を有しつつも熱的に安定した記録層を備えた垂直磁気記録媒体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、情報量の急増により、さらに高密度でデータを記録/再生可能な情報記憶装置が要請されている。特に、記録媒体を利用する磁気記録装置は、大容量であり、かつ高速のアクセスが可能であるという特性により、コンピュータだけでなく、各種のデジタル機器の情報記憶装置として注目されている。
【0003】
かかる磁気記録装置の磁気記録は、記録方式によって水平磁気記録方式と垂直磁気記録方式とに大別される。水平磁気記録方式は、磁性層の磁化方向が磁性層の表面に平行に整列されることを利用して情報を記録する方式であり、垂直磁気記録方式は、磁性層の磁化方向が磁性層の表面に垂直方向に整列されることを利用して情報を記録する方式である。記録密度側面で見るとき、垂直磁気記録方式は、水平磁気記録方式よりはるかに有利である。
【0004】
垂直磁気記録媒体の構造は、記録磁場の磁化経路を作る軟磁性底層と、記録磁場によりアップ/ダウンの垂直方向に磁化されて記録される記録層との二重構造からなる。
【0005】
垂直磁気記録方式により高密度記録を達成するためには、記録されたデータの安定性の確保のための記録層の高い保磁力及び垂直磁気異方性エネルギー、小さいグレインサイズ及びグレイン間の小さい交換結合力による小さい磁区などの特徴を有する垂直磁気記録媒体が要求される。前記交換結合力は、記録層内でグレイン間の磁気的相互作用の程度を表す定数であって、交換結合力は、小さい値であるほどグレイン間の分離が容易になる。かかる高密度の垂直磁気記録媒体を製造するためには、記録層の磁気異方性エネルギーKuと垂直方向への結晶配向性とを極大化できる技術が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、記録層の磁気異方性エネルギーKuを高め、かつ記録層の微細に形成したグレインを互いに明確に分離して結晶配向性を向上させる垂直磁気記録媒体及びその製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明による垂直磁気記録媒体は、基板と、前記基板上に形成される軟磁性層と、前記軟磁性層上に形成される底層と、前記底層上に形成される複数の強磁性層を有する記録層と、を備え、前記複数の強磁性層の各層は、前記底層側に位置した下部の強磁性層から上部の強磁性層へ行くほど磁気異方性エネルギーが次第に低くなるように形成されたことを特徴とする。
【0008】
また、前記目的を達成するために、本発明による垂直磁気記録媒体の製造方法は、基板上に軟磁性層を形成するステップと、前記軟磁性層上にバッファ層を形成するステップと、前記バッファ層上に酸素が含有されたRuで底層を形成するステップと、前記底層上に複数のCo合金酸化物層を形成するステップと、を含み、前記複数のCo合金酸化物層の各層は、前記底層側に位置した下部層から上部層へ行くほど磁気異方性エネルギーが次第に低くなるように形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱的に安定しており、磁気異方性エネルギーが高い高記録密度の垂直磁気記録媒体を具現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。しかし、後述する実施形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を当業者に十分に説明するために提供されるものである。以下の図面で、同じ参照符号は同じ構成要素を指し、図面上で、各構成要素のサイズは、説明の明瞭性及び便宜上誇張されうる。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体の概略的な構造を示す断面図である。
【0012】
図1に示すように、前記垂直磁気記録媒体40は、下部から基板10、軟磁性底層12、バッファ層14、底層16、記録層22、保護層30及び潤滑層32が順次に積層されて形成される。
【0013】
前記基板10は、主にガラスやAlMg合金で形成され、円盤状に製造される。
【0014】
前記軟磁性底層12は、磁気記録時に記録ヘッドから発生する垂直磁気フィールドの磁路を形成して記録層に情報を記録させ、CoZrNb合金、CoFeZrNb合金、CoFeB合金またはNiFe合金などで形成される。
【0015】
前記バッファ層14は、軟磁性底層12と記録層22との磁気的相互作用を抑制する役割を行い、例えばTiまたはTaで形成される。
【0016】
前記底層16は、記録層22の結晶配向性及び磁気的特性を向上させる役割を行う層であって、Ruからなる第1底層18と、酸素及びRuからなる第2底層20とからなる二重層構造である。前記第2底層20は、Ruグレインの間に酸化物成分に分離される境界をなす。かかる分離のために、前記第2底層であるRu酸化物層は、O2/(Ar+O2)=0.1%ないし5%の範囲の酸素含量条件を満足するスパッタ雰囲気ガスで酸素反応性スパッタリング方式で形成する。前記第1底層18は、記録層22の結晶配向性を改善し、前記第2底層20は、グレインサイズを小さくて均一にして記録層22のグレインサイズを調節する役割を行う。図2は、酸素含量が1%であるスパッタ雰囲気ガスで形成された第2底層20のTEM(Transmission Electron Microscopy)画像を示す。図2を参照すれば、第2底層20のグレインが微細に形成され、グレインのエッジに酸素が含まれてグレインの間が明確に分離されたということが分かる。このときのRuグレインサイズは、平均5.4nmである。
【0017】
本実施形態は、第1底層18がRuで形成された場合を説明しているが、これに限定されず、前記第1底層も酸素及びRuからなりうる。さらに、本実施形態は、底層16が二重層構造を有する場合を例として説明しているが、これに限定されるものではない。ただし、記録層22のグレインサイズを小さくて均一にするために、少なくとも底層16の上部は、Ruの蒸着時に酸素を含有させることが望ましい。
【0018】
前記記録層22は、前記底層16上に第1Co合金酸化物層24、第2Co合金酸化物層26及びキャッピング層28が順次に積層された多層構造を有する。
【0019】
本実施形態は、前記第1Co合金酸化物層24の磁気異方性エネルギーは、前記第2Co合金酸化物層26の磁気異方性エネルギーより高く形成されている。前記第1Co合金酸化物層24は、磁気異方性エネルギーの高いCoPt−SiO2またはCoPt−TiO2のようなCoPt酸化物で形成され、第1Co合金酸化物層24の磁気異方性エネルギーは、5×106erg/ccないし5×107erg/ccとなる。第1Co合金酸化物層24は、前記CoPt酸化物のPt含量が10at%ないし50at%である。一方、第2Co合金酸化物層26は、磁気異方性エネルギーの低いCoCrPt−SiO2のようなCoCrPt酸化物で形成され、第2Co合金酸化物層26の磁気異方性エネルギーは、1×106erg/ccないし5×106erg/ccであり、Pt含量は、1at%ないし30at%である。前記第1及び第2Co合金酸化物層24,26は、結晶内のグレインが酸化物質により互いに分離された構造を有するが、グレインは、Co合金物質からなり、グレインの間は酸化物質からなる。
【0020】
CoCrPt磁性体において、Pt含量が増加すれば、磁気異方性エネルギーが増大することが知られている。CoCrPt磁性体において、Cr組成をなくし、Pt含量を10at%ないし50at%、望ましくは、20at%ないし30at%にすれば、磁性体の垂直磁気異方性エネルギーを5×107erg/ccほどまで向上させられる。ただし、Cr組成をなくすれば、グレインの分離が多少悪化するので、結晶配向性を向上させる底層20として酸素を含むRuを形成し、上部にCoPt酸化物からなる第1Co合金酸化物層24とCoCrPt酸化物からなる第2Co合金酸化物層26とを順次に形成して、グレインの分離を容易にする。
【0021】
本実施形態では、Co合金酸化物層が二重層である場合を例として説明しているが、これに限定されず、2層以上の複数層で形成されることもある。2層以上の複数層でCo合金酸化物層が形成される場合、複数のCo合金酸化物層の各層は、底層20側に位置した下部層からキャッピング層28側に位置した上部層へ行くほど磁気異方性エネルギーが次第に低くなるように形成される。
【0022】
前記第1及び第2Co合金酸化物層24,26の上部には、記録特性を改善するためのキャッピング層28が形成される。キャッピング層は、CoCrPtBのように酸素のないCo合金で形成される。したがって、キャッピング層は、酸化物によりグレインの分離なしに連続薄膜形態に形成され、記録層22を熱的に安定させ、記録層22の磁化飽和磁界Hsを減少させて記録特性を改善させる。
【0023】
前記保護層30は、前記記録層22を外部から保護するためのものであって、DLC(Diamond like Carbon)で形成され、前記保護層30上には、磁気ヘッドとの衝突及び摺動によるヘッド及び保護層の磨耗を低下させるために、テトラオール潤滑剤などで備えられる潤滑層32が形成される。
【0024】
図3Aないし図3Cは、Co合金酸化物層の積層順序による磁気的特性を示すグラフである。実線は、下部からCoPt−TiO2/CoCrPt−SiO2/CoCrPtBで記録層を形成した本実施形態の磁気的特性を表し、点線は、積層順序を変えて下部からCoCrPt−SiO2/CoPt−TiO2/CoCrPtBで記録層を形成した比較例の磁気的特性を表す。図3Aは、本実施形態の記録層及び比較例の記録層における磁気履歴曲線を示し、図3Bは、本実施形態の記録層及び比較例の記録層をX線回折分析器で分析した結果を示し、図3Cは、本実施形態の記録層及び比較例の記録層におけるTAA(Track Average Amplitude)の経時的な変化を示す。図3Aを参照すれば、本実施形態の記録層の保磁力が比較例の記録層の保磁力よりはるかに高いということが分かる。また、図3Bを参照すれば、本実施形態の記録層の磁気異方性エネルギーKuが比較例の記録層の磁気異方性エネルギーKuよりさらに高いという点が分かるところ、これは、基板と平行な結晶面内の原子間の距離がさらに広いCoPt−TiO2を下部に置き、基板に水平な結晶面内の原子間の距離がさらに狭いCoCrPt−SiO2を積層させることによって、結晶性の改善を通じた記録層の全体の磁気異方性エネルギーKuが向上すると理解されるであろう。かかる点を考慮すれば、記録層を構成する強磁性層が2層以上の複数層を有する場合にも、結晶性の改善を通じた記録層の全体の磁気異方性エネルギーを向上させるということが分かる。複数層を有する記録層においても、下部層を上部層より基板に水平な結晶面内の原子間の距離がさらに広い層で形成させることによって、結晶性の改善を通じた記録層の全体の磁気異方性エネルギーを向上させる。また、Pt組成の増加と共に磁気異方性エネルギーが増加するところ、下部のCo合金酸化物層のPt組成を上部のCo合金酸化物層のPt組成よりさらに大きくすることによって、下部のCo合金酸化物層が上部のCo合金酸化物層より高い磁気異方性エネルギーを有するように構成できる。FePt合金、FePt合金酸化物、CoPt合金及びCoPt合金酸化物は、本実施形態で提示しているhcp構造のCoPt−TiO2層と同様に、基板面に平行な結晶面間の間隔がさらに広く形成されるので、FePt合金、FePt合金酸化物、CoPt合金及びCoPt合金酸化物をCoCrPt酸化物層の下部層として使用できるであろう。また、図3Cを参照すれば、本実施形態の記録層が比較例の記録層に比べて熱的にはるかに安定的であるということが分かる。
【0025】
図4は、本実施形態による記録層のTEM画像である。
【0026】
図4を参照すれば、Ru層と酸素とを含むRu層からなる二重構造の底層上にCoPt−TiO2/CoCrPt−SiO2/CoCrPtB構造の記録層を形成した場合、記録層のグレインサイズが平均5.7nmであり、グレインの間が明確に分離されるということが分かる。これは、底層でよく分離されたグレインが記録層の下部に影響を及ぼして記録層の粒状構造を向上させたものと解釈される。
【0027】
図5は、キャッピング層の有無による記録層の磁気履歴曲線の変化を示すグラフである。
【0028】
図5を参照すれば、キャッピング層を第1及び第2Co合金酸化物層上に形成することによって、磁化飽和磁界値を大幅に低めて、高い垂直磁気異方性エネルギーにもかかわらず容易に磁化させられるということが分かる。
【0029】
図6A及び図6Bは、記録層の蒸着工程で工程条件によって粗度が変わることを示す記録層のAFM(Atomic Force Microscopy)画像であって、図6Aは、記録層の蒸着において、蒸着条件に変化を与えない場合であり、図6Bは、記録層の蒸着において、下部層から上部層に行くほど次第にスパッタに加えられる電力を高め、ガス圧力を低く変化を与える場合である。本実施形態は、第1Co合金酸化物層を蒸着させる時に比べて、第2Co合金酸化物層を蒸着させてスパッタに加えられる電力を高め、ガス圧力を低くすることによって、図6Bに示したように記録層の表面粗度を低く制御してヘッドのフライング条件を向上させる。
【0030】
図7Aないし図7Eは、本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体の製造工程を示す断面図である。
【0031】
図7A及び図7Bに示すように、前記基板50上にCoZrNbからなる軟磁性底層52とTaからなるバッファ層54とを形成した後、Ruからなる第1底層56と酸素を含むRuからなる第2底層58とからなる底層を形成する。前記第1底層56は、スパッタリング法でRuターゲットを使用して常温で10mTorr以下の圧力で形成する。前記底層56の厚さは、約10nmであって、結晶性に優れ、表面は平坦になる。前記第2底層58は、前記第1底層56上に反応性スパッタリング法を利用してアルゴンガスと酸素ガスとを注入し、40mTorr圧力で形成する。このとき、酸素ガスは、全体の注入ガスのうち1%を注入する。第2底層58は、Ruからなるグレイン60と、グレイン60を磁気的に分離させる境界62とからなる粒状構造を有する。第2底層58の厚さは、約8nmであって、第1底層56より表面粗度を適正レベルに増大させ、酸素を利用してグレインの間を分離させる。
【0032】
図7C及び図7Dに示すように、前記第2底層58上にスパッタリング法で記録層78をCoPt−TiO2/CoCrPt−SiO2/CoCrPtB構造で形成する。前記CoPt−TiO2層64は、第1Co合金酸化物層であって、CoPt−TiO2ターゲットを使用して40mTorr以上の高い圧力でPtが豊富な雰囲気で約10nmの厚さに形成する。CoPt−TiO2層64は、CoPtでグレイン66が形成され、TiO2でグレイン66を取り囲む境界68が形成された構造を有する。前記CoCrPt−SiO2層70は、第2Co合金酸化物層であって、CoCrPt−SiO2ターゲットを使用して常温でアルゴンガスと酸素ガスとを注入して反応性スパッタリング法で形成する。前記酸素ガスは、全体の注入ガスのうち0.1%ないし10%注入する。このとき、CoCrPt−SiO2層70は、下部のCoPt−TiO2層64の表面粗度を緩和させるようにスパッタリング電力を高め、圧力を低めて20mTorrの圧力で約10nmの厚さに形成する。CoCrPt−SiO2層70は、CoCrPtでグレイン72が形成され、SiO2でグレイン72を取り囲む境界74が形成された構造を有する。前記CoCrPtB層74は、キャッピング層であって、連続薄膜形態で10mTorrの圧力で約5nmの厚さに形成する。
【0033】
図7Eに示すように、前記記録層78上にDLCからなる保護層80とテトラオール潤滑剤を利用した潤滑層82とを形成して、垂直磁気記録媒体90を形成する。
【0034】
前述した実施形態において、キャッピング層を除いた記録層は、第1及び第2強磁性層の二重層構造である場合を例として説明しているが、これに限定されない。本発明のキャッピング層を除いた記録層は、3層以上の複数の強磁性層を有する場合にも適用される。3層以上の複数層で強磁性層が形成される場合、複数の強磁性層の各層は、底層150側に位置した下部層からキャッピング層169側に位置した上部層へ行くほど磁気異方性エネルギーKuが次第に低くなるように形成される。
【0035】
かかる本発明の垂直磁気記録媒体及びその製造方法は、理解を助けるために図面に示した実施形態を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲により決まらねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、記録媒体関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体の概略的な構造を示す断面図である。
【図2】図1の垂直磁気記録媒体の底層のTEM画像である。
【図3A】本発明の一実施形態による多層構造の記録層で積層順序による特性を示すグラフである。
【図3B】本発明の一実施形態による多層構造の記録層で積層順序による特性を示すグラフである。
【図3C】本発明の一実施形態による多層構造の記録層で積層順序による特性を示すグラフである。
【図4】図1の記録層のTEM画像である。
【図5】キャッピング層の有無による記録層の磁気履歴曲線の変化を示すグラフである。
【図6A】記録層の蒸着工程で工程条件によって粗度が変わることを示す記録層のAFM画像である。
【図6B】記録層の蒸着工程で工程条件によって粗度が変わることを示す記録層のAFM画像である。
【図7A】本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体の製造工程を示す断面図である。
【図7B】本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体の製造工程を示す断面図である。
【図7C】本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体の製造工程を示す断面図である。
【図7D】本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体の製造工程を示す断面図である。
【図7E】本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体の製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 基板
12 軟磁性底層
14 バッファ層
16 底層
18 第1底層
20 第2底層
22 記録層
24 第1Co合金酸化物層
26 第2Co合金酸化物層
28 キャッピング層
30 保護層
32 潤滑層
40 垂直磁気記録媒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成される軟磁性層と、
前記軟磁性層上に形成される底層と、
前記底層上に形成される複数の強磁性層を有する記録層と、を備え、
前記複数の強磁性層の各層は、前記底層側に位置した下部の強磁性層から上部の強磁性層へ行くほど磁気異方性エネルギーが次第に低くなるように形成されたことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
【請求項2】
前記複数の強磁性層の各層は、下部の強磁性層から上部の強磁性層へ行くほどPt含量が少なくなることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項3】
前記複数の強磁性層は、前記中間層から順次に積層される第1及び第2強磁性層を備え、
前記第1強磁性層は、FePt合金、FePt合金酸化物、CoPt合金及びCoPt合金酸化物のうちいずれか一つで形成され、
前記第2強磁性層は、CoCrPt合金酸化物で形成されることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項4】
前記第1強磁性層は、CoPt酸化物で形成され、
前記第2強磁性層は、CoCrPt酸化物で形成されることを特徴とする請求項3に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項5】
前記第1強磁性層のPt含量は、10at%ないし50at%であることを特徴とする請求項4に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項6】
前記第2強磁性層のPt含量は、1at%ないし30at%であることを特徴とする請求項4に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項7】
前記第1強磁性層の磁気異方性エネルギーは、5×106erg/ccないし5×107erg/ccであることを特徴とする請求項3に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項8】
前記第2強磁性層の磁気異方性エネルギーは、1×106erg/ccないし5×106erg/ccであることを特徴とする請求項3に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項9】
前記複数の強磁性層は、粒状構造で形成されることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項10】
前記複数の強磁性層の各層は、前記底層側に位置した下部の強磁性層から上部の強磁性層へ行くほど表面粗度が緩和されることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項11】
前記記録層は、前記複数の強磁性層上に形成されるキャッピング層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項12】
前記キャッピング層は、グレインに分離されずに連続的に形成されるCo合金で形成されることを特徴とする請求項11に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項13】
前記キャッピング層は、CoCrPtBで形成されることを特徴とする請求項12に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項14】
前記底層は、酸素が含有されたRuで形成されることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項15】
前記底層は、Ruで形成された第1底層と、前記第1底層上にRu及び酸化物で形成された第2底層と、を備え、
前記第2底層は、Ruがグレインをなし、酸化物がグレインの間に介在されたことを特徴とする請求項14に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項16】
前記軟磁性層と底層との間に介在されて、前記軟磁性層と記録層との磁気的相互作用を抑制するバッファ層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項17】
基板上に軟磁性層を形成するステップと、
前記軟磁性層上にバッファ層を形成するステップと、
前記バッファ層上に酸素が含有されたRuで底層を形成するステップと、
前記底層上に複数のCo合金酸化物層を形成するステップと、
前記複数のCo合金酸化物層上にCoCrPtB層を蒸着してキャッピング層を形成するステップと、を含み、
前記複数のCo合金酸化物層の各層は、前記底層側に位置した下部層から上部層へ行くほど磁気異方性エネルギーが次第に低くなるように形成することを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項18】
前記底層上に複数のCo合金酸化物層を形成するステップは、
前記底層上にCoPt酸化物で第1Co合金酸化物層を形成するステップと、
前記第1Co合金酸化物層上にCoCrPt酸化物で第2Co合金酸化物層を形成するステップと、を含むことを特徴とする請求項17に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項19】
前記第1Co合金酸化物層は、CoPt−TiO2、CoPt−SiO2及びCoPt−CrOからなる群から選択したいずれか一つで形成し、前記第2Co合金酸化物層は、CoCrPt−SiO2、CoCrPt−TiO2及びCoCrPt−CrOからなる群から選択したいずれか一つで形成することを特徴とする請求項18に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項20】
前記第2Co合金酸化物層は、反応性スパッタリング法でCoCrPt−SiO2ターゲットを使用して常温で酸素ガスを、注入される全体のガスに対して0.1%ないし10%注入して形成することを特徴とする請求項19に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項21】
前記第1Co合金酸化物層のPt含量は、10at%ないし50at%であり、前記第2Co合金酸化物層のPt含量は、1at%ないし30at%であることを特徴とする請求項18に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項22】
前記第1及び第2Co合金酸化物層は、スパッタリング法で形成し、
前記第1Co合金酸化物層を形成する時のスパッタリング電力及び圧力より、前記第2Co合金酸化物層を形成する時のスパッタリング電力をさらに高め、圧力をさらに低めることを特徴とする請求項18に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項23】
前記底層は、Ruからなる第1底層と、Ru及び酸素からなる第2底層とを順次に積層して形成することを特徴とする請求項18に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項24】
前記第2底層は、反応性スパッタリング法でRuターゲットを使用して、常温で酸素ガスを0.1%ないし5%注入して形成することを特徴とする請求項23に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成される軟磁性層と、
前記軟磁性層上に形成される底層と、
前記底層上に形成される複数の強磁性層を有する記録層と、を備え、
前記複数の強磁性層の各層は、前記底層側に位置した下部の強磁性層から上部の強磁性層へ行くほど磁気異方性エネルギーが次第に低くなるように形成されたことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
【請求項2】
前記複数の強磁性層の各層は、下部の強磁性層から上部の強磁性層へ行くほどPt含量が少なくなることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項3】
前記複数の強磁性層は、前記中間層から順次に積層される第1及び第2強磁性層を備え、
前記第1強磁性層は、FePt合金、FePt合金酸化物、CoPt合金及びCoPt合金酸化物のうちいずれか一つで形成され、
前記第2強磁性層は、CoCrPt合金酸化物で形成されることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項4】
前記第1強磁性層は、CoPt酸化物で形成され、
前記第2強磁性層は、CoCrPt酸化物で形成されることを特徴とする請求項3に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項5】
前記第1強磁性層のPt含量は、10at%ないし50at%であることを特徴とする請求項4に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項6】
前記第2強磁性層のPt含量は、1at%ないし30at%であることを特徴とする請求項4に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項7】
前記第1強磁性層の磁気異方性エネルギーは、5×106erg/ccないし5×107erg/ccであることを特徴とする請求項3に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項8】
前記第2強磁性層の磁気異方性エネルギーは、1×106erg/ccないし5×106erg/ccであることを特徴とする請求項3に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項9】
前記複数の強磁性層は、粒状構造で形成されることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項10】
前記複数の強磁性層の各層は、前記底層側に位置した下部の強磁性層から上部の強磁性層へ行くほど表面粗度が緩和されることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項11】
前記記録層は、前記複数の強磁性層上に形成されるキャッピング層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項12】
前記キャッピング層は、グレインに分離されずに連続的に形成されるCo合金で形成されることを特徴とする請求項11に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項13】
前記キャッピング層は、CoCrPtBで形成されることを特徴とする請求項12に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項14】
前記底層は、酸素が含有されたRuで形成されることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項15】
前記底層は、Ruで形成された第1底層と、前記第1底層上にRu及び酸化物で形成された第2底層と、を備え、
前記第2底層は、Ruがグレインをなし、酸化物がグレインの間に介在されたことを特徴とする請求項14に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項16】
前記軟磁性層と底層との間に介在されて、前記軟磁性層と記録層との磁気的相互作用を抑制するバッファ層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項17】
基板上に軟磁性層を形成するステップと、
前記軟磁性層上にバッファ層を形成するステップと、
前記バッファ層上に酸素が含有されたRuで底層を形成するステップと、
前記底層上に複数のCo合金酸化物層を形成するステップと、
前記複数のCo合金酸化物層上にCoCrPtB層を蒸着してキャッピング層を形成するステップと、を含み、
前記複数のCo合金酸化物層の各層は、前記底層側に位置した下部層から上部層へ行くほど磁気異方性エネルギーが次第に低くなるように形成することを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項18】
前記底層上に複数のCo合金酸化物層を形成するステップは、
前記底層上にCoPt酸化物で第1Co合金酸化物層を形成するステップと、
前記第1Co合金酸化物層上にCoCrPt酸化物で第2Co合金酸化物層を形成するステップと、を含むことを特徴とする請求項17に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項19】
前記第1Co合金酸化物層は、CoPt−TiO2、CoPt−SiO2及びCoPt−CrOからなる群から選択したいずれか一つで形成し、前記第2Co合金酸化物層は、CoCrPt−SiO2、CoCrPt−TiO2及びCoCrPt−CrOからなる群から選択したいずれか一つで形成することを特徴とする請求項18に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項20】
前記第2Co合金酸化物層は、反応性スパッタリング法でCoCrPt−SiO2ターゲットを使用して常温で酸素ガスを、注入される全体のガスに対して0.1%ないし10%注入して形成することを特徴とする請求項19に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項21】
前記第1Co合金酸化物層のPt含量は、10at%ないし50at%であり、前記第2Co合金酸化物層のPt含量は、1at%ないし30at%であることを特徴とする請求項18に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項22】
前記第1及び第2Co合金酸化物層は、スパッタリング法で形成し、
前記第1Co合金酸化物層を形成する時のスパッタリング電力及び圧力より、前記第2Co合金酸化物層を形成する時のスパッタリング電力をさらに高め、圧力をさらに低めることを特徴とする請求項18に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項23】
前記底層は、Ruからなる第1底層と、Ru及び酸素からなる第2底層とを順次に積層して形成することを特徴とする請求項18に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項24】
前記第2底層は、反応性スパッタリング法でRuターゲットを使用して、常温で酸素ガスを0.1%ないし5%注入して形成することを特徴とする請求項23に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【図1】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図5】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図2】
【図4】
【図6A】
【図6B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図5】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図2】
【図4】
【図6A】
【図6B】
【公開番号】特開2009−70540(P2009−70540A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55486(P2008−55486)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】
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