説明

型内フィルム

【課題】製品部材の精巧化、鮮明化および識別性の効果を高める型内フィルムを提供する。
【解決手段】基材層1、図案層2、保護層3および接着層4を備え、基材層1の内表面に鏡像に現れる二次元図案を予め印刷し、または基材層1にフォトグリッド材を採用して三次元図案を印刷し、更に二次元または三次元の図案層2に耐高温、耐酸アルカリ等特性を備える保護層3を印刷し、かつ保護層3の上に接着層4を塗布し、または必要に応じて保護層3と接着層4との間に電磁波の遮蔽効果を備える一層のEMI防止材6を予め塗布することを特徴とする。本型内フィルムは特に射出成形と合わせて製品部材層5との直接複合に用いられ、製品部材は一体成形された二次元、三次元等の各種選定図案を備えることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型内フィルムに関し、特に二次元または三次元の図案を備えた図案層に保護層を印刷し、射出または押し出し成形に合わせて選定製品の部材層と一体の複合構成を形成し、部材層に一体成形される二次元または三次元の図案を備える型内フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の型内フィルムに関する技術として、型内フィルム注入成形(IMF)または型内ラベル(label)貼り付け(IML)等技術があり、前者はノートブック(notebook)型コンピュータ(computer)、携帯型コンピュータのほか、無線通信、消費製電子、通信電信システム(system)、インターネット(internet)家電、自動車部品および家電等各種製品のケーシング(casing)への応用が見られる。型内ラベル貼り付けの製造技術も関連産業に普及し、製品も携帯電話、キーボード(keyboard)、IT製品、食品容器等に広く応用されている。上記技術は造形の精巧化および色彩の鮮明化のために適用され、突出した独特な識別性等各種特徴を製品に付与する。特に製品の外部または内部の部品層に二次元、三次元等各種選定図案と一体成形の結合が可能であれば、現代産業に於いて発展の潜在能力を確実に備え、かつ必要性をも備えるものとなる。
【0003】
従来の製品部材は、二次元または三次元の図案に使用されるフォトグリッドパネル材自身または図案インクがIMFまたはIML製造過程中の高温環境に耐えられなかった。すなわち、製造過程に於いてフォトグリッドパネル材またはインクの熱熔融変形が発生し、図案のもとの様相を維持することができず、図案がぼけてしまった。そのため従来は貼り付けまたは嵌め付け方式を採用し、二次元または三次元図案の単体シート(sheet)を製品部材に複合させていた。しかし、二次元または三次元図案と製品部材の本当の一体複合は得られず、かつ全体の様相および品質がともによくないので、量産および高品質のニーズ(needs)を満足することができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、射出成形または押出成形に供されて製品の部材層と直接複合し、製品の部材層に高品質の一体成形された二次元または三次元の各種選定図案を備えさせ、製品部材の精巧化および鮮明化を満足し、かつ識別性の効果が明らかに現れる型内フィルムを提供することにある。
【0005】
本発明のもう一つの目的は、高分子材料の一種または多種を選択使用して保護層を構成し、保護層は耐高温性、耐酸アルカリ性等の特性があるようにし、製品の機械性、物性強度を増して良好な密着性を生じ、三次元図案層の立体的映像効果を強化する型内フィルムを提供することにある。
本発明のもう一つ別の目的は、一体に複合される製品部材にもEMI(electromagnetic interference)防止機能を備えさせるため、電磁波を遮蔽する効果を備える型内フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による型内フィルムは、基材層、図案層、保護層および接着層を備えて構成され、基材層は高分子材料からなり表面は視覚パネルとし、基材層の内表面に鏡像に現れる二次元図案または三次元図案を印刷し、かつ特に二次元または三次元図案層の上に更に耐高温性、耐酸アルカリ性等の特性を備える保護層を印刷形成し、更に保護層の上に接着層を塗布して保護層および二次元または三次元図案を備える。それは、射出または押し出し成形に供されて製品の部材層と直接複合し、製品の部材層に高品質の一体成形された二次元または三次元の各種選定図案を備えさせ、製品部材の精巧化および鮮明化を満足し、かつ識別性の効果が明らかに現れる。
ここで、基材層の表面の視覚パネルとは、図案層に印刷される図案が二次元図案のときは視覚パネルであり、図案層に印刷される図案が三次元図案のときはフォトグリッドパネルである。
【0007】
型内フィルムは、ポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリブチレン、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂等の高分子材料の一種または多種を選択使用して保護層を構成し、保護層に耐高温、耐酸アルカリ等特性があるようにし、並びに製品の機械性、物性強度を増強して良好な密着性を生じ、三次元図案層の立体的映像効果を強化する。
【0008】
本発明の型内フィルムは、保護層と接着層との間に予め一層のEMI防止材を塗布してもよく、EMI防止材を塗布された型内フィルムは電磁波を遮蔽する効果を備えるようになり、一体複合の製品部材にもEMI防止の機能を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による型内フィルムは、図1または図2に示すように、基材層1、図案層2、保護層3および接着層4を備える。
基材層1は、例えばポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリブチレン、アクリロニトリルブタジェンスチレン、ポリアミド樹脂等の高分子材料の単一または複合材料を採用して作られ、基材層1の表面は視覚パネル(panel)である。
【0010】
ここでいう基材層1の表面の視覚パネルとは、次に述べる図案層の図案が二次元図案のときは図1に示すように視覚パネルであり、図案層の図案が三次元図案のときは図2に示すフォトグリッドパネルである。視覚パネルを採用すれば鏡像の二次元図案の印刷に適合し、フォトグリッドパネルを採用すれば鏡像の三次元図案の印刷に適合する。
以下、図3および図4では、フォトグリッドパネルを用いた実施形態を説明する。
【0011】
図案層2は、例えばポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリブチレン、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂等の高分子材料を採用し、基材層1の視覚パネルの内表面に鏡像に現れる二次元図案を印刷し、または基材層1のフォトグリッドパネルの内表面に三次元図案を印刷し、前記二次元または三次元図案の印刷はともに各種印刷設備により行うことができ、例えば凹凸版印刷、網印、移し印刷等印刷設備を用いて印刷を行い、それは鏡像印刷であるため、基材層1の外表面(フォトグリッドパネルまたは視覚パネル)から見ると、正常な正相図案を表すことができる。
【0012】
保護層3は、図案層2に印刷され、ポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリブチレン、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂等の高分子材料を採用した単一または複合材料から作られ、保護層は耐高温、耐酸アルカリ等特性を備え、並びに製品の機械性、物性強度を増強して良好な密着性を生じ、かつ二次元または三次元図案層2の立体的映像効果を強化することができる。
【0013】
接着層4は、保護層3に塗布され、ポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリブチレン、アクリロニトリルブタジェンスチレン、ポリアミド樹脂等の高分子材料を選択使用する。
【0014】
上述のように構成された型内フィルムを用い、図3に示すように型内フィルムを特に射出または押し出し成形に合わせて選定された製品部材層5と直接複合すれば、製品部材層5は一体成形した二次元、三次元等各種選定図案層2を備えることができる。
【0015】
上述のように、基材層1は二次元図案を印刷した視覚パネルとして実施され、または三次元図案を印刷したフォトグリッドパネルとして実施されてもよい。三次元図案に用いられるフォトグリッドパネルは、圧縮された複数個の円柱型すじで、内表面は完全な平面であり、かつ円柱型すじの間隔はいわゆる「フォトグリッド面」の実施図案の印刷に等しく、フォトグリッド視覚の合成図を使用してフォトグリッド板に直接印刷すれば、視覚移動の変化効果、またはその他三次元動画の効果を得ることができる。
上記ように、本実施形態の図案層2は単層または多層印刷方式を採用して構成し、図案層2が一層または多層の積み重ね成形であってもよい。
【0016】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による型内フィルムを図4に示す。本実施形態の型内フィルムは、更に保護層3と接着層4との間に予め一層のEMI防止材6が塗布される。EMI防止材6はマグネシウム、アルミニウム、銅、ニッケル、クローム等の抗電磁波材の金属または合金を選択使用し、型内フィルムに電磁波遮蔽の効果を備えるようにし、それが各選定製品の部材に一体複合された場合、EMI防止の機能を備えることができる。
【0017】
前述の第1実施形態の場合、型内フィルムの厚みに対する基材層1の厚みが占める割合は50%−80%が適当であり、図案層2の厚みが占める割合は3%−10%が適当であり、保護層3の厚みが占める割合は5%−10%が適当であり、接着層4の厚みが占める割合は3%−10%が適当であり、更にEMI防止材6を加えた第2実施形態では、EMI防止材6の厚みが占める割合は9%−20%が適当である。
【0018】
なお、本発明による型内フィルムに用いられるフォトグリッドパネルは、上記実施例の円柱型すじの形状に限られない。
上記実施形態に掲げたものは本発明の主要技術の一例を取り上げた説明のみであり、それは本発明の技術範囲を限定するものではなく、その技術範囲はおよそ同等効果の応用におよび、前記技術手段に基づいて行った簡易な変更または入れ替えは、すべて本発明の技術範囲に含まれると見なすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態による型内フィルムにおいて、二次元図案を印刷する場合の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態による型内フィルムにおいて、三次元図案を印刷する場合の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態による型内フィルムと製品部材が一体複合された状態を示す模式図である。
【図4】本発明の第2実施形態による型内フィルムの構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0020】
1: 基材層、2:図案層、3:保護層、4:接着層、5:製品部材層、6:EMI防止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子材料からなり、表面は視覚パネルである基材層と、
高分子材料からなり、前記基材層に図案を印刷した図案層と、
前記図案層に印刷され、高分子材料からなり、耐高温性および耐酸アルカリ性のうちいずれかの特性を備える保護層と、
保護層に塗布され、高分子材料からなる接着層と、
を備え、
射出成形に供されて製品の部材層と直接複合し、製品の部材層に一体成形され製品に図案を備えることを特徴とする型内フィルム。
【請求項2】
前記基材層は、ポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリブチレン、アクリロニトリルブタジェンスチレン、およびポリアミド樹脂のうちいずれかの高分子材料の単一または複合材料であることを特徴とする請求項1記載の型内フィルム。
【請求項3】
前記図案層は、ポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリブチレン、ポリアミド樹脂、およびシリコン樹脂のうちいずれかの高分子材料であることを特徴とする請求項1記載の型内フィルム。
【請求項4】
前記保護層は、ポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリブチレン、ポリアミド樹脂、およびシリコン樹脂のうちいずれかの高分子材料の単一または複合材料であることを特徴とする請求項1記載の型内フィルム。
【請求項5】
前記接着層は、ポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリブチレン、アクリロニトリルブタジェンスチレン、およびポリアミド樹脂のうちいずれかの高分子材料を選択使用することを特徴とする請求項1記載の型内フィルム。
【請求項6】
前記図案層は単層または多層印刷方式を採用して構成され、図案層が一層または多層の積み重ねにより形成されることを特徴とする請求項1記載の型内フィルム。
【請求項7】
前記保護層と前記接着層との間にはEMI防止材が塗布されていることを特徴とする請求項1記載の型内フィルム。
【請求項8】
前記EMI防止材は、マグネシウム、アルミニウム、銅、ニッケルおよびクロームのうちいずれかの抗電磁波材の金属または合金を選択使用することを特徴とする請求項7記載の型内フィルム。
【請求項9】
型内フィルムの厚みに対する前記基材層の厚みが占める割合は50%から80%であり、図案層の厚みが占める割合は3%から10%であり、保護層の厚みが占める割合は5%から10%であり、接着層の厚みが占める割合は3%から10%であることを特徴とする請求項1記載の型内フィルム。
【請求項10】
型内フィルムの厚みに対する前記EMI防止材の厚みが占める割合は9%から20%であることを特徴とする請求項7記載の型内フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−107136(P2009−107136A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278951(P2007−278951)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(507034137)優利科技股▲分▼有限公司 (4)
【Fターム(参考)】