説明

基地局装置、移動端末装置及び通信制御方法

【課題】Heterogeneous network内の干渉に適合した制御を行うことができ、次世代移動通信システムに対応する基地局装置、移動端末装置及び通信制御方法を提供すること。
【解決手段】ピコセルC1の基地局装置B1から移動端末装置UEに対する送信信号の受信電力にオフセットを加えたものが、マクロセルC2の基地局装置B2から移動端末装置UEに対する送信信号の受信電力よりも大きくなることでピコセルC1に属された移動端末装置UEのうち、当該移動端末装置UEに対する送信信号の受信電力よりも基地局装置B2から当該移動端末装置UEに対する送信信号の受信電力が大きい移動端末装置UEを特定し、この移動端末装置に対し、基地局装置B2の下り無線フレームに設定されたブランクリソースに対応させてスケジューリングを行う構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次世代移動通信システムにおける基地局装置、移動端末装置及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)ネットワークにおいては、周波数利用効率の向上、データレートの向上を目的として、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)やHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)を採用することにより、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)をベースとしたシステムの特徴を最大限に引き出すことが行われている。このUMTSネットワークについては、更なる高速データレート、低遅延などを目的としてロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)が検討されている(非特許文献1)。LTEでは、多重方式として、下り回線(下りリンク)にW−CDMAとは異なるOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)を用い、上り回線(上りリンク)にSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)を用いている。
【0003】
第3世代のシステムは、概して5MHzの固定帯域を用いて、下り回線で最大2Mbps程度の伝送レートを実現できる。一方、LTEのシステムでは、1.4MHz〜20MHzの可変帯域を用いて、下り回線で最大300Mbps及び上り回線で75Mbps程度の伝送レートを実現できる。また、UMTSネットワークにおいては、更なる広帯域化及び高速化を目的として、LTEの後継のシステムも検討されている(例えば、LTEアドバンスト(LTE−A))。
【0004】
LTE−A(LTE Release 10)では、従来のセルラ環境に加えてローカルエリア環境を重視したHeterogeneous network構成が検討されている。Heterogeneous networkとは、大規模セルと小規模セルとをオーバレイした階層型ネットワークである。このHeterogeneous networkでは、小規模セルのレンジを広げて、小規模セルに多くの移動端末装置を接続させるRange expansionにより、システム全体のスループットの向上が検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP, TR25.912 (V7.1.0), "Feasibility study for Evolved UTRA and UTRAN", Sept. 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、Heterogeneous network内の干渉に適合した制御を行うことができ、次世代移動通信システムに対応する基地局装置、移動端末装置及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基地局装置は、大規模セルをカバーする他の基地局装置と少なくとも一部の周波数帯が共用され、小規模セルをカバーする基地局装置であり、移動端末装置に対する送信信号の受信電力にオフセットが加えられたものが、前記他の基地局装置から移動端末装置に対する送信信号の受信電力よりも大きくなることで自セルに属された移動端末装置のうち、当該移動端末装置に対する送信信号の受信電力よりも前記他の基地局装置から当該移動端末装置に対する送信信号の受信電力が大きい移動端末装置を特定する特定部と、前記他の基地局装置の下り無線フレームに設定されたブランクリソースに対応させて、前記特定部によって特定された移動端末装置に対してスケジューリングを行うスケジューリング部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、Range expansionによって小規模セルの基地局装置に接続された移動端末装置に対して、大規模セルからの受ける干渉を抑制させることができる。このように、小規模セルの基地局装置および移動端末装置に、大規模セルと小規模セルとを有するHeterogeneous network内の干渉に適合した制御を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】LTEシステムのシステム帯域の説明図である。
【図2】Heterogeneous networkの概要の説明図である。
【図3】Range expansionの説明図である。
【図4】Range expansion時のマクロセルからの干渉の説明図である。
【図5】ピコセルの基地局装置における送信制御処理の一例を示す説明図である。
【図6】Range expansionされた移動端末装置の特定方法を示す説明図である。
【図7】ピコセルの基地局装置における送信制御処理の一例を示す説明図である。
【図8】無線通信システムの構成の説明図である。
【図9】基地局装置の全体構成の説明図である。
【図10】移動端末装置の全体構成の説明図である。
【図11】移動端末装置におけるRange expansionによる接続をピコセルの基地局装置に通知するための機能ブロックの説明図である。
【図12】ピコセルの基地局装置におけるスケジューリング処理のための機能ブロックの説明図である。
【図13】無線通信システムにおける通信制御の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、下りリンクで移動通信が行われる際の周波数使用状態を説明するための図である。なお、以下の説明では基本周波数ブロックをコンポーネントキャリアとして説明する。また、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0011】
図1に示す例は、複数のコンポーネントキャリアで構成される相対的に広い第1システム帯域を持つ第1通信システムであるLTE−Aシステムと、相対的に狭い(ここでは、一つのコンポーネントキャリアで構成される)第2システム帯域を持つ第2通信システムであるLTEシステムが併存する場合の周波数使用状態である。LTE−Aシステムにおいては、例えば、100MHz以下の可変のシステム帯域幅で無線通信し、LTEシステムにおいては、20MHz以下の可変のシステム帯域幅で無線通信する。LTE−Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域を一単位とする少なくとも一つの基本周波数領域(コンポーネントキャリア:CC)となっている。このように複数の基本周波数領域を一体として広帯域化することをキャリアアグリゲーションという。
【0012】
例えば、図1においては、LTE−Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域(ベース帯域:20MHz)を一つのコンポーネントキャリアとする5つのコンポーネントキャリアの帯域を含むシステム帯域(20MHz×5=100MHz)となっている。図1においては、移動端末装置UE(User Equipment)#1は、LTE−Aシステム対応(LTEシステムにも対応)の移動端末装置であり、100MHzのシステム帯域を持ち、UE#2は、LTE−Aシステム対応(LTEシステムにも対応)の移動端末装置であり、40MHz(20MHz×2=40MHz)のシステム帯域を持ち、UE#3は、LTEシステム対応(LTE−Aシステムには対応せず)の移動端末装置であり、20MHz(ベース帯域)のシステム帯域を持つ。
【0013】
ところで、LTE−Aシステムでは、ローカルエリア環境を重視したHeterogeneous network(以下、HetNetとする)構成が検討されている。HetNetとは、図2に示すように、従来のマクロセルC2(大規模セル)に加え、ピコセルC1やフェムトセル等(小規模セル)の様々な形態のセルをオーバレイした階層型ネットワークである。このHetNetにおいては、相対的に広いエリアをカバーするマクロセルC2の基地局装置B2は、相対的に狭いエリアをカバーするピコセルC1の基地局装置B1よりも下り送信電力が大きく設定されている。
【0014】
このHetNetにおいてシステム全体のスループットを向上させるには、複数の移動端末装置UEをマクロセルC2に集中させるのではなく、マクロセルC2内に点在するピコセルC1に分散させる必要がある。この場合、ピコセルC1の基地局装置B1からの受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)にオフセットを加えることで、ピコセルC1のレンジを広げるRange expansionが行われる。このRange expansionにより、多くの移動端末装置UEによってピコセルC1がセル選択され、システム全体のスループットの向上が期待される。
【0015】
具体的には、図3の紙面左側に示すように、マクロセルC2の基地局装置B2は、自セル内の移動端末装置UEに対して受信電力のオフセットを通知するようにする。このとき、移動端末装置UEは、これを受けて以下の式(1)によりピコセルC1とマクロセルC2との受信電力の大きさを比較する。
RSRP_他セル+オフセット>RSRP_サービングセル…(1)
なお、移動端末装置UEが基地局装置B2に接続される場合には、RSRP_他セルはピコセルC1における受信電力、RSRP_サービングセルはマクロセルC2における受信電力をそれぞれ示す。
【0016】
移動端末装置UEは、ピコセルC1における受信電力にオフセットを加えたものが、マクロセルC2における受信電力よりも大きい場合に、移動端末装置UEがマクロセルC2の基地局装置B2に対してその旨を通知する。そして、図3の紙面右側に示すように、式(1)を満たす移動端末装置UEは、マクロセルC2からピコセルC1にハンドオーバを行う。
【0017】
しかしながら、Range expansionによってピコセルC1にハンドオーバされた移動端末装置UEは、ピコセルC1と一部の周波数帯を共用するマクロセルC2から強い干渉を受けるという問題があった。例えば、図4(a)に示すように、Range expansionされない場合、ピコセルC1、マクロセルC2における受信電力の大きさに応じて、各移動端末装置UE−A、UE−Bによりセル選択される。そして、基地局装置B1に近い移動端末装置UE−Aは、ピコセルC1を選択し、基地局装置B1から少し離れた移動端末装置UE−Bは、マクロセルC2を選択する。
【0018】
一方、図4(b)に示すように、Range expansionされる場合、上記したように、式(1)に応じて、各移動端末装置UE−A、UE−Bによりセル選択される。このとき、ピコセルC1は、受信電力にオフセットが加えられた分だけレンジが拡張される。このため、移動端末装置UE−Aだけでなく、基地局装置B1から少し離れた移動端末装置UE−Bも、ピコセルC1を選択する。この場合、移動端末装置UE−Aは、マクロセルC2よりもピコセルC1における受信電力が大きいため、ピコセルC1を選択してもマクロセルC2からの干渉は問題とならない。しかし、移動端末装置UE−Bは、マクロセルC2よりもピコセルC1における受信電力が小さいにも関わらず、ピコセルC1を選択するため、マクロセルC2からの強い干渉を受けてしまっていた。
【0019】
上記問題を解決するため、図5に示すように、マクロセルC2の下り無線フレームに、1サブフレームおきにブランク期間(ブランクリソース)を設けることが考えられる。この構成により、ピコセルC1の下り無線フレームにおいて、マクロセルC2のブランク期間に対応するサブフレーム(Duration2)では、マクロセルC2からの干渉が抑えられる。これにより、Duration2で示されるサブフレームについては、移動端末装置UE−Bのスループットが向上される。
【0020】
しかしながら、ピコセルC1の下り無線フレームにおいて、マクロセルC2のブランク期間に対応しないサブフレーム(Duration1)では、マクロセルC2からの干渉を受けてしまう。このため、Duration1で示されるサブフレームについては、移動端末装置UE−Bのスループットが劣化されてしまっていた。なお、移動端末装置UE−Aは、マクロセルC2からの干渉が問題とならないため、マクロセルC2のブランク期間の有無に関わらず、スループットに影響が与えられることがない。
【0021】
そこで、本発明者らは、上記問題点を解決するために、本発明をするに至った。すなわち、本発明の骨子は、ピコセルの基地局装置に、Range expansionによりピコセルを選択した移動端末装置を特定させ、特定された移動端末装置に対してマクロセルからの干渉を受けるリソースを避けてユーザデータを割り当てることである。このような構成により、ピコセルの基地局装置に、Range expansionされずにピコセルを選択した移動端末装置に対しDuration1,2の両方でスケジューリングさせ、Range expansionによりピコセルを選択した移動端末装置に対しDuration2でスケジューリングさせることが可能となる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図6および図7を参照して、ピコセルの基地局装置における送信制御により、ピコセルの下り無線フレームに対する干渉抑制について説明する。図6は、本発明の実施の形態に係るピコセルの基地局装置におけるRange expansionされた移動端末装置の特定方法を示す説明図である。図7は、本実施の形態に係るピコセルの基地局装置における送信制御処理の一例を示す説明図である。なお、図6において、破線に示す部分が、Range expansionされない状態のピコセルのレンジである。
【0023】
図6(a)に示すように、Range expansionにより拡張されたピコセルC1に、移動端末装置UE−Aと移動端末装置UE−Bとが属されている。移動端末装置UE−Aは、Range expansionされずにピコセルC1の基地局装置B1に接続され、移動端末装置UE−Bは、Range expansionによりピコセルC1の基地局装置B1に接続されている。この状態で、基地局装置B1は、自セルに属する各移動端末装置UE−A、UE−Bのうち、Range expansionにより接続された移動端末装置UE−Bを特定する。このとき、基地局装置B1は、移動端末装置UEの特定用およびハンドオーバ用の2種類のオフセットを各移動端末装置UE−A、UE−Bに通知する。
【0024】
そして、各移動端末装置UE−A、UE−Bは、式(2)に示すようなハンドオーバのmeasurementに用いられる式を利用して、ピコセルC1よりもマクロセルC2の受信電力が大きいか否かを判定する。
RSRP_他セル>RSRP_サービングセル+オフセット…(2)
なお、各移動端末装置UEは、ピコセルC1に属されるため、RSRP_他セルはマクロセルC2における受信電力、RSRP_サービングセルはピコセルC1における受信電力をそれぞれ示す。オフセットは、移動端末装置の特定用の場合、0に設定されており、ハンドオーバ用の場合、0よりも大きな値に設定されている。なお、式(2)において、移動端末装置の特定用の場合、オフセット=0として説明するが、移動端末装置の特定に影響を与えない程度の大きさに設定されていれていてもよい。
【0025】
移動端末装置UEは、移動端末装置UEの特定用のオフセットを用いてRange expansionにより接続されたか否かの判定を行う。このとき、各移動端末装置UEは、オフセット無し(オフセット=0)として、マクロセルC2における受信電力とピコセルC1における受信電力とを比較する。そして、各移動端末装置UEは、マクロセルC2における受信電力が、ピコセルC1における受信電力よりも大きい場合に、式(2)が真となることをピコセルC1の基地局装置B1に通知する。このとき、移動端末装置UE−Aでは、式(2)が偽となり、移動端末装置UE−Bでは、式(2)が真となる。基地局装置B1は、各移動端末装置UEからの通知に基づいて、Range expansionにより接続された移動端末装置UE−Bを特定する。なお、各移動端末装置UEは、式(2)が真となることに代えて、マクロセルC2とピコセルC1の受信電力の差分を基地局装置B1に通知するようにしてもよい。また、Range expansionにより接続されたか否かの判定は、後述するハンドオーバの判定において偽と判定された場合に、判定する構成としてもよい。
【0026】
移動端末装置UEは、ハンドオーバ用のオフセットを用いてハンドオーバの判定を行う。このとき、各移動端末装置UEは、オフセット有り(オフセット>0)として、マクロセルC2における受信電力とピコセルC1における受信電力にオフセットを加えたものとを比較する。そして、各移動端末装置UE−A、UE−Bは、マクロセルC2における受信電力が、ピコセルC1における受信電力オフセットを加えたものよりも大きい場合に、式(2)が真となることをピコセルC1の基地局装置B1に通知する。このとき、図6(b)に示すように、移動端末装置UE−Bでは、式(2)が真となり、ピコセルC1からマクロセルC2にハンドオーバを行う。なお、ハンドオーバの判定は、Range expansionにより接続されたか否かの判定において真と判定された場合に、判定する構成としてもよい。
【0027】
このように、各移動端末装置UE−A、UE−Bでは、ピコセルC1の基地局装置B1から通知された2種類のオフセットに基づいて、Range expansionにより接続されたか否か、ハンドオーバを行うか否かが判定される。なお、上記した例では、受信電力として、RSRPが用いられたが、RS−SIR(Reference Signal Signal-to-Interference Ratio)、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)等が用いられてもよい。
【0028】
ピコセルC1の基地局装置B1は、Range expansionにより接続された移動端末装置UE−Bを特定すると、移動端末装置UE−Bに対してマクロセルC2からの干渉を避けるように下り無線リソースのスケジューリングを行う。図7に示すように、マクロセルC2の下り無線フレームには、1サブフレームおきにブランク期間が設けられている。このブランク期間は、ピコセルC1の下り無線フレームに対する干渉が抑制された期間であり、CRS(Common Reference Signal)を除いてブランクリソースが設定されている。なお、ブランク期間は、下り無線フレームにおいて、1サブフレームおきに設定される構成に限らす、適宜変更可能である。
【0029】
また、ピコセルC1の下り無線フレームでは、Duration2に示すサブフレームがマクロセルC2の下り無線フレームのブランク期間に対応している。このため、ピコセルC1の基地局装置B1は、Range expansionにより接続された移動端末装置UE−Bに対してブランク期間に対応したDuration2にスケジューリングを行う。また、基地局装置B1は、移動端末装置UE−AについてはマクロセルC2からの干渉が問題にならないとしてDuration1,2にスケジューリングする。このとき、基地局装置B1のスケジューラは、各サブフレームにおいてリソースブロック単位で各移動端末装置UEにユーザデータを割り当てる。この構成により、移動端末装置UE−Bに対するマクロセルC2からの干渉が抑制される。
【0030】
なお、本実施の形態では、マクロセルC2の基地局装置B2が、ブランク期間の全ての周波数ブロックをブランクリソースに設定した一例を示すが、この構成に限定されるものではない。基地局装置B2は、ブランク期間のうち一部の周波数ブロックをブランクリソースに設定する構成としてもよい。また、ブランクリソースは、全くデータが割り当てられないリソースとしてもよいし、ピコセルの無線フレームに対して干渉を与えない程度にデータが割り当てられるリソースとして規定されてもよい。さらに、ブランクリソースは、ピコセルの無線フレームに対して干渉を与えない程度の送信電力で送信されるリソースとして規定されてもよい。また、ブランク期間は、下り無線フレームにおいて、1サブフレームおきに設定される構成に限らす、適宜変更可能である。
【0031】
さらに、ブランクリソースは、マクロセルC2の基地局装置B2がピコセルC1の基地局装置B1に通知するようにしてもよいし、基地局装置B1、B2間で固定的に規定される場合には通知は不要である。また、基地局装置B1は、基地局装置B2のシグナリングを受けて送信タイミングを調整する構成としてもよいし、その逆でもよい。また、マクロセルC2の基地局装置B2は、周辺のピコセルC1の数が所定以上の場合や、接続した移動端末装置UEの数に応じてブランク期間を設定する構成としてもよい。
【0032】
また、ピコセルC1の基地局装置B1は、マクロセルC2からの干渉を受けるサブフレームを、Range expansionにより接続された移動端末装置UE−Bに通知する構成としてもよい。この構成により、移動端末装置UE−Bでは、マクロセルC2のブランク期間に対応しないピコセルC1のサブフレームを避けて、ユーザデータを復調できる。
【0033】
ここで、本発明の実施例に係る無線通信システムについて詳細に説明する。図8は、本実施例に係る無線通信システムのシステム構成の説明図である。なお、図8に示す無線通信システムは、例えば、LTEシステム或いは、SUPER 3Gが包含されるシステムである。また、この無線通信システムは、IMT−Advancedと呼ばれても良いし、4Gと呼ばれても良い。
【0034】
図8に示すように、無線通信システムは、HetNetであり、マクロセルC2を有する第1のシステムと、ピコセルC1を有する第2のシステムとにより、階層型ネットワークが構築されている。第1のシステムは、マクロセルC2をカバーする基地局装置B2と、この基地局装置B2と通信する移動端末装置UE(1つのみ図示)とを含んで構成されている。第2のシステムは、ピコセルC1をカバーする基地局装置B1と、この基地局装置B1と通信する移動端末装置UE(1つのみ図示)とを含んで構成されている。この基地局装置B1、B2では、スケジューラにより、ユーザ毎にリソースブロック単位で無線リソースが割り当てられている。また、基地局装置B1、B2は、それぞれ図示しない上位局装置に接続され、上位局装置を介してコアネットワーク50と接続される。なお、説明の便宜上、基地局装置B1、B2と無線通信するのは移動端末装置であるものとして説明するが、より一般的には移動端末装置も固定端末装置も含むユーザ装置(UE:User Equipment)でよい。
【0035】
無線通信システムにおいては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
【0036】
ここで、LTEシステムにおける通信チャネルについて説明する。
下りの通信チャネルは、各移動端末装置で共有される下りデータチャネルとしてのPDSCHと、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、PCFICH、PHICH)とを有する。PDSCHにより、ユーザデータ及び上位制御情報が伝送される。PDCCHにより、PDSCH及びPUSCHのスケジューリング情報等が伝送される。PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)により、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)により、PUSCHに対するHARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)のACK/NACKが伝送される。
【0037】
上りの通信チャネルは、各移動端末装置で共有される上りデータチャネルとしてのPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と、上り制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)とを有する。このPUSCHにより、ユーザデータや上位制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、ACK/NACK等が伝送される。
【0038】
図9を参照して、本実施の形態に係るピコセルをカバーする基地局装置の全体構成について説明する。なお、マクロセルをカバーする基地局装置については、ピコセルの基地局装置と同様な構成なため、ここでは説明を省略する。また、説明の便宜上、上りリンクにより移動端末装置から基地局装置に送信される信号の処理については省略する。
【0039】
基地局装置B1は、送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部203と、ベースバンド信号処理部204と、呼処理部205と、伝送路インターフェース206とを備えている。下りリンクにより基地局装置B1から移動端末装置UEに送信されるユーザデータは、上位局装置から伝送路インターフェース206を介してベースバンド信号処理部204に入力される。
【0040】
ベースバンド信号処理部204において、下りデータチャネルの信号は、PDCPレイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(radio link control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、例えば、HARQの送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理が行われる。また、下り制御チャネルの信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換等の送信処理が行われる。また、ベースバンド信号処理部204は、報知チャネルにより、同一セルC1に接続する移動端末装置UEに対して、各移動端末装置UEが基地局装置B1との無線通信するための制御情報を通知する。
【0041】
送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に周波数変換する。アンプ部202は周波数変換された送信信号を増幅して送受信アンテナ201へ出力する。
【0042】
図10を参照して、本実施の形態に係るピコセルに配置された移動端末装置の全体構成について説明する。なお、マクロセルに配置された移動端末装置については、ピコセルの移動端末装置と同様な構成なため、ここでは説明を省略する。また、説明の便宜上、上りリンクにより移動端末装置から基地局装置に送信される信号の処理については省略する。
【0043】
移動端末装置UEは、送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103と、ベースバンド信号処理部104と、アプリケーション部105とを備えている。下りリンクの送信データは、送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がアンプ部102で増幅され、送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換される。
【0044】
ベースバンド信号処理部104において、このベースバンド信号は、FFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理等が行われる。この下りリンクのデータの内、下りリンクのユーザデータは、アプリケーション部105に転送される。アプリケーション部105は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理等を行う。また、下りリンクのデータの内、報知情報も、アプリケーション部105に転送される。
【0045】
図11を参照して、移動端末装置におけるRange expansionによる接続をピコセルの基地局装置に通知するための機能ブロックについて説明する。図11は、移動端末装置におけるRange expansionによる接続をピコセルの基地局装置に通知するための機能ブロックの説明図である。なお、図11の各機能ブロックは、主にベースバンド処理部の処理内容である。
【0046】
図11に示すように、移動端末装置UEは、受信電力測定部111と、第1の判定部112と、第2の判定部113と、ハンドオーバ部114と、送受信部103とを有している。受信電力測定部111は、ピコセルC1の基地局装置B1およびマクロセルC2の基地局装置B2からリファレンス信号(RS:Reference Signal)を受信し、それぞれに対する受信電力を測定する。第1の判定部112は、上記した式(2)により基地局装置B1、B2の受信電力を比較し、Range expansionにより接続されたか否かを判定する。このとき、第1の判定部112は、式(2)のオフセットに基地局装置B1から通知されたオフセット=0を設定する。
【0047】
第1の判定部112は、マクロセルC2における受信電力が、ピコセルC1における受信電力よりも大きいか否かを判定する。そして、第1の判定部112は、マクロセルC2における受信電力が、ピコセルC1における受信電力よりも大きい場合に、式(2)が真となること、すなわちRange expansionにより接続された旨を基地局装置B1に通知する。この判定結果は、制御信号に含めて制御チャネル(PUCCH)で基地局装置B1に通知してもよいし、ユーザデータに含めてデータチャネル(PUSCH)で基地局装置B1に通知してもよい。なお、第1の判定部112は、第2の判定部113において偽と判定された場合に、判定する構成としてもよい。
【0048】
第2の判定部113は、上記した式(2)により基地局装置B1、B2の受信電力を比較し、ハンドオーバを行うか否かを判定する。このとき、第2の判定部113は、式(2)のオフセットに基地局装置B2から通知されたオフセット>0を設定する。第2の判定部113は、マクロセルC2における受信電力が、ピコセルC1における受信電力にオフセットを加えたものよりも大きいか否かを判定する。そして、第2の判定部113は、マクロセルC2における受信電力が、ピコセルC1の受信電力にオフセットを加えたものよりも大きい場合に、式(2)が真となること、すなわちハンドオーバを行う旨をハンドオーバ部114に出力する。なお、第2の判定部113は、第1の判定部112において真と判定された場合に、判定する構成としてもよい。
【0049】
ハンドオーバ部114は、第2の判定部113の判定結果が真の場合に、ピコセルC1からマクロセルC2にハンドオーバを行う旨を基地局装置B1に通知すると共に、ハンドオーバを行う。送受信部103は、移動端末装置UEと基地局装置B1との間で送受信される情報の送受信処理を行う。
【0050】
図12を参照して、ピコセルの基地局装置におけるスケジューリング処理のための機能ブロックについて説明する。図12は、ピコセルの基地局装置におけるスケジューリング処理のための機能ブロックの説明図である。なお、図12の各機能ブロックは、主にベースバンド処理部の処理内容である。
【0051】
図12に示すように、基地局装置B1は、特定部211と、スケジューラ212と、オフセット生成部213と、送受信部203とを有している。特定部211は、自セル内の各移動端末装置UEから通知された判定結果に基づいて、Range expansionにより接続された移動端末装置UEを特定する。スケジューラ212は、ユーザ毎にリソースブロック単位で無線リソースの割り当てを行う。このとき、スケジューラ212は、特定部211により特定された移動端末装置UEに対し、マクロセルC2の下り無線フレームのブランクリソースに対応したリソースブロックにユーザデータを割り当てる。
【0052】
オフセット生成部213は、自セル内の各移動端末装置UEに対し、移動端末装置UEの特定用およびハンドオーバ用の2種類のオフセットを生成する。移動端末装置UEの特定用のオフセットは0に設定され、ハンドオーバ用のオフセットは0よりも大きな値に設定されている。基地局装置B1は、この2種類のオフセットを移動端末装置UEに通知することで、ハンドオーバのmeasurementを用いて移動端末装置UEに2種類の判定を行わせている。送受信部203は、基地局装置B1と移動端末装置UEとの間で送受信される情報の送受信処理を行う。
【0053】
図13を参照して、本実施の形態に係る無線通信システムにおける通信制御の流れについて説明する。図13は、本実施の形態に係る無線通信システムにおける通信制御の流れを示す図である。なお、初期状態では、移動端末装置は、マクロセルの基地局装置に接続されているものとする。
【0054】
図13に示すように、基地局装置B2は、自セル内(マクロセルC2内)の移動端末装置UEに対してオフセットを通知する(ステップS01)。次に、移動端末装置UEは、マクロセルC2の基地局装置B2およびピコセルC1の基地局装置B1から受信したリファレンス信号の受信電力を測定し、上記した式(1)を用いて比較する(ステップS02)。移動端末装置UEは、マクロセルC2の受信電力よりも、ピコセルC1の受信電力にオフセットを加えたものが大きい場合、式(1)が真となる判定結果を基地局装置B2に通知する(ステップS03)。
【0055】
そして、移動端末装置UEは、マクロセルC2からピコセルC1にハンドオーバを行う(ステップS04)。このようにして、ピコセルC1の受信電力にオフセットが加えられた分だけ、ピコセルC1のレンジが拡張されRange expansionが行われる。一方、移動端末装置UEは、ステップS02において、マクロセルC2の受信電力よりも、ピコセルC1の受信電力にオフセットを加えたものが小さい場合、ハンドオーバを行わず基地局装置B2と通信を継続する。
【0056】
次に、基地局装置B1は、自セル内(ピコセルC1内)の移動端末装置UEに対してオフセットを通知する(ステップS05)。この場合、移動端末装置UEの特定のオフセットは0に設定され、ハンドオーバ用のオフセットは0よりも大きな値に設定されている。なお、ここでは、説明の便宜上、ピコセルC1からマクロセルC2へのハンドオーバの処理については省略する。次に、移動端末装置UEは、ピコセルC1の基地局装置B1およびマクロセルC2の基地局装置B2から受信したリファレンス信号の受信電力を測定し、上記した式(2)を用いて比較する(ステップS06)。
【0057】
移動端末装置UEは、ピコセルC1の受信電力よりもマクロセルC2の受信電力が大きい場合、式(2)が真となる判定結果を基地局装置B1に通知する(ステップS07)。次に、基地局装置B1は、判定結果からRange expansionにより接続された移動端末装置UEを特定する(ステップS08)。すなわち、移動端末装置UEが、ピコセルC1の拡張されたレンジに属されたことが基地局装置B1に特定される。次に、基地局装置B1は、マクロセルC2の下り送信フレームのブランクリソースに対応した無線リソースに、スケジューリングを行う(ステップS09)。
【0058】
一方、移動端末装置UEは、ピコセルC1の受信電力よりもマクロセルC2の受信電力が小さい場合、基地局装置B1に判定結果の通知を行わない。これにより、基地局装置B1は、Range expansionされずに接続された移動端末装置UEを特定する。この場合、基地局装置B1は、通常のスケジューリングを行う。なお、基地局装置B1は、移動端末装置UEから式(2)が偽となる判定結果を受けて、Range expansionされずに接続された移動端末装置UEを特定してもよい。
【0059】
以上のように、本実施の形態に係る基地局装置B1によれば、自セル内(ピコセルC1内)の移動端末装置UEのうち、Range expansionにより接続された移動端末装置UEと、Range expansionされずに接続された移動端末装置UEとを区別することができる。このため、基地局装置B1は、マクロセルC2からの干渉を受ける位置にある移動端末装置UE対して、マクロセルC2からの干渉を受けるリソースを避けてユーザデータを割り当てることができる。また、このような構成により、基地局装置B1は、Range expansionされずにピコセルC1を選択した移動端末装置UEに対し通常のスケジューリングを行い、Range expansionによりピコセルを選択した移動端末装置に対し干渉を抑制させたスケジューリングを行うことが可能となる。
【0060】
なお、上記した実施の形態においては、小規模セルとしてピコセルをカバーする基地局装置について説明したが、この構成に限定されるものではない。基地局装置は、マクロセルからの干渉を受けるセルをカバーするものであればよく、フェムトセルやマイクロセル等をカバーする小型基地局装置であればよい。
【0061】
また、上記した実施の形態においては、ピコセルの基地局装置から移動端末装置に対し、Range expansionされた移動端末装置の特定用のオフセットが通知される構成としたが、この構成に限定されるものではない。ピコセルの基地局装置は、移動端末装置に対して移動端末装置の特定用のオフセットを通知しない構成としてもよい。移動端末装置は、予め式(2)のオフセットに0を設定しておき、これをRange expansionにより接続されたか否かの特定用に用いるようにする。
【0062】
また、上記した実施の形態において、ピコセルにおける受信電力にオフセットを加えるとは、マクロセルの受信電力からオフセットを減らすと解釈されてもよい。
【0063】
また、上記した実施の形態においては、ピコセルおよびマクロセルの基地局装置からの受信電力を測定して、Range expansionにより接続された移動端末装置が特定される構成としたが、この構成に限定されるものではない。ピコセルの基地局装置は、移動端末装置からフィードバックされるチャネル品質に応じて、Range expansionにより接続された移動端末装置を特定する構成としてもよい。
【0064】
ピコセルの基地局装置の特定部は、移動端末装置からフィードバックされたチャネル品質が所定の閾値以下の場合に、Range expansionにより接続された移動端末装置を特定するようにする。この場合、特定部は、所定時間におけるチャネル品質の平均値を求めて、これを閾値と比較してもよい。所定の閾値は、ピコセルの受信電力よりもマクロセルの受信電力が大きいか否かを判定させることが可能な値、例えば、−5dBから−10dBに設定されている。なお、所定の閾値は、雑音等の誤差を考慮して設定されてもよい。また、移動端末装置は、受信電力測定部に加えて、ピコセルおよびマクロセルのチャネル品質を測定するチャネル品質測定部を備えるようにする。
【0065】
なお、チャネル品質は、伝搬品質を示すものであればよく、例えば、CQI(Channel Quality Indicator)でもよい。
【0066】
本発明は上記実施の形態に限定されず、様々変更して実施することが可能である。例えば、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、上記説明におけるコンポーネントキャリアの割り当て、処理部の数、処理手順、コンポーネントキャリアの数、コンポーネントキャリアの集合数については適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0067】
50 コアネットワーク
101 送受信アンテナ
102 アンプ部
103 送受信部
104 ベースバンド信号処理部
105 アプリケーション部
111 受信電力測定部
112 第1の判定部
113 第2の判定部
114 ハンドオーバ部
201 送受信アンテナ
202 アンプ部
203 送受信部
204 ベースバンド信号処理部
205 呼処理部
206 伝送路インターフェース
211 特定部
212 スケジューラ(スケジューリング部)
213 オフセット生成部
UE 移動端末装置
B1 基地局装置
B2 基地局装置(他の基地局装置)
C1 ピコセル(小規模セル)
C2 マクロセル(大規模セル)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
大規模セルをカバーする他の基地局装置と少なくとも一部の周波数帯が共用され、小規模セルをカバーする基地局装置であり、
移動端末装置に対する送信信号の受信電力にオフセットが加えられたものが、前記他の基地局装置から移動端末装置に対する送信信号の受信電力よりも大きくなることで自セルに属された移動端末装置のうち、当該移動端末装置が前記他の基地局装置から受ける干渉量が大きいものを特定する特定部と、
前記他の基地局装置の下り無線フレームに設定されたブランクリソースに対応させて、前記特定部によって特定された移動端末装置に対してスケジューリングを行うスケジューリング部とを備えたことを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記自セルに属された移動端末装置のうち、当該移動端末装置に対する送信信号の受信電力よりも前記他の基地局装置から当該移動端末装置に対する送信信号の受信電力が大きい移動端末装置を特定することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記自セルに属された移動端末装置に対する送信信号の受信電力と前記他の基地局装置から移動端末装置に対する送信信号の受信電力との比較に基づくハンドオーバに用いられるオフセットであり、前記自セルに属された移動端末装置に対する送信信号の受信電力に加えられるオフセットを生成するオフセット生成部を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基地局装置。
【請求項4】
前記オフセット生成部は、前記自セルに属された移動端末装置の特定に用いるオフセットをさらに生成し、前記移動端末装置の特定に用いるオフセットに、前記移動端末に対する送信信号の受信電力の大きさに影響のない値を設定し、前記ハンドオーバに用いるオフセットに前記移動端末装置の特定に用いるオフセットの値よりも大きな値を設定することを特徴とする請求項3に記載の基地局装置。
【請求項5】
大規模セルをカバーする他の基地局装置と少なくとも一部の周波数帯が共用され、小規模セルをカバーする基地局装置に接続可能な移動端末装置であり、
前記基地局装置からの送信信号の受信電力にオフセットを加えたものが、前記他の基地局装置からの送信信号の受信電力よりも大きくなることで前記小規模セルに属される場合に、前記基地局装置からの送信信号の受信電力よりも前記他の基地局装置からの送信信号の受信電力が大きいか否かを判定する第1の判定部を備え、
前記第1の判定部によって前記基地局装置からの送信信号の受信電力よりも前記他の基地局装置からの送信信号の受信電力が大きいと判定された判定結果を、前記基地局装置に通知して、前記基地局装置に前記他の基地局装置の下り無線フレームに設定されたブランクリソースに対応させてスケジューリングさせることを特徴とする移動端末装置。
【請求項6】
前記小規模セルに属される場合に、前記基地局装置からの送信信号の受信電力にオフセットを加えたものが、前記他の基地局装置からの送信信号の受信電力よりも大きいか否かを判定する第2の判定部を備え、
前記第2の判定部によって前記基地局装置からの送信信号の受信電力にオフセットを加えたものが、前記他の基地局装置からの送信信号の受信電力よりも小さいと判定された判定結果を、前記基地局装置に通知して前記小規模セルから前記大規模セルにハンドオーバを行うことを特徴とする請求項5に記載の移動端末装置。
【請求項7】
前記第1の判定部は、前記基地局装置から通知されたオフセットが0に設定されている場合に判定し、
前記第2の判定部は、前記基地局装置から通知されたオフセットが0よりも大きな値に設定されている場合に判定することを特徴とする請求項6に記載の移動端末装置。
【請求項8】
大規模セルをカバーする他の基地局装置と少なくとも一部の周波数帯が共用され、小規模セルをカバーする基地局装置の通信制御方法であり、
移動端末装置に対する送信信号の受信電力にオフセットが加えられたものが、前記他の基地局装置から移動端末装置に対する送信信号の受信電力よりも大きくなることで自セルに属された移動端末装置のうち、当該移動端末装置に対する送信信号の受信電力よりも前記他の基地局装置から当該移動端末装置に対する送信信号の受信電力が大きい移動端末装置を特定するステップと、
前記他の基地局装置の下り無線フレームに設定されたブランクリソースに対応させて、前記特定部によって特定された移動端末装置に対してスケジューリングするステップとを有することを特徴とする通信制御方法。
【請求項9】
大規模セルをカバーする他の基地局装置と少なくとも一部の周波数帯が共用され、小規模セルをカバーする基地局装置であり、
移動端末装置に対する送信信号の受信電力にオフセットが加えられたものが、前記他の基地局装置から移動端末装置に対する送信信号の受信電力よりも大きくなることで自セルに属された移動端末装置のうち、当該移動端末装置からフィードバックされたチャネル品質が、所定の閾値以下の移動端末装置を特定する特定部と、
前記他の基地局装置の下り無線フレームに設定されたブランクリソースに対応させて、前記特定部によって特定された移動端末装置に対してスケジューリングを行うスケジューリング部とを備えたことを特徴とする基地局装置。
【請求項10】
前記チャネル品質は、CQI(Channel Quality Indicator)であることを特徴とする請求項9に記載の基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−238981(P2011−238981A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105941(P2010−105941)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】