説明

基材およびポリ−アルファオレフィンを含む潤滑油ブレンド

本開示は、プロピレン、1−ブテンまたは1−ペンテンの少なくとも一種の実質的アタクチックポリマー、これらのポリマーを製造するための方法およびこれらのポリマーを含む組成物に関する。ポリマーは、潤滑油として用いられてもよいか、または低粘度基材と組み合わされて潤滑油が形成されてもよい。ポリマーは、メタロセン触媒の存在下に、非配位アニオン活性化剤および任意の水素を用いて作製されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、選択された低級アルファ−オレフィンから作製されるポリ−アルファ−オレフィン(PAO)、潤滑油基材およびこれらのPAOを含む潤滑油ブレンド、並びにメタロセン触媒の存在下に、非配位アニオン活性化剤および任意の水素を用いてそれらを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
天然鉱油ベース潤滑油の性能に関して、オリゴマー炭化水素流体を合成することによって向上する試みは、少なくとも50年間、石油産業における重要な研究開発の課題であった。これらの試みは、比較的近年に、多数の合成潤滑油の市場への導入をもたらした。潤滑油特性の向上に関して、合成潤滑油を含む産業における研究努力の狙いは、広い温度範囲に亘って有用な粘性(例えば、向上された粘度指数(VI))を示し、一方また、鉱油に対するものに同等であるか、またはそれより良好である潤滑性、熱安定性、酸化安定性、流動点および低温粘度特性を示す流体に向けられてきた。
【0003】
潤滑油の温度−粘度関係は、潤滑油を特定の用途に対して選択する場合に考慮される主要な基準の一つである。シングルグレードおよびマルチグレードの潤滑油の基材として、通常に用いられる鉱油は、温度変化による比較的大きな粘度変化を表す。温度によるこれらの比較的大きな粘度変化を示す流体は、低い粘度指数(VI)を有するとされている。VIは、経験的な無単位数であり、温度変化による油粘度の変化率を示す。高VI油は、例えば、高温で、低VI油より薄められないであろう。通常、高VI油は、それが高温でより高い粘度を有することから、より望ましい。これは、特に高温および/または広範囲の温度で接触する機械要素に対する、良好な潤滑性および良好な保護に換言される。VIは、ASTM法D2270に従って計算される。
【0004】
潤滑油の良好な低温特性はまた、潤滑油が低温環境で潤滑性を示すことを期待される場合に、重要である。これらの低温特性は、ASTM D97による純流体の流動点によって、ASTM D2983による純またはブレンド流体の低温ブルックフィールド粘度または低温クランキングシミュレーター(CCS)などの他の適切な方法によって、測定されることができる。潤滑油の良好なせん断安定性はまた、より新規な装置またはエンジンが、しばしば、より過酷な条件下に運転されることから、より重要になりつつある。純流体または潤滑油ブレンドのせん断安定性は、多くの方法によって測定されることができる。ASTM D2603による音波せん断試験、またはCEC L−45−T/A〜D法によるテーパー転がり軸受け(TRB)せん断試験等などである。
【0005】
これまで知られるPAOは、線形α−オレフィン(LAO)モノマーの接触オリゴメリゼーション(低分子量生成物への重合)によって製造される炭化水素の種類を含む。これらは、典型的には、1−オクテンから1−ドデセンまでの範囲であり、1−デセンは、好ましい物質である。ただし、より低級オレフィン(エチレンおよびプロピレンなど)のオリゴマーコポリマーがまた、用いられてもよい。これには、エチレンとより高級オレフィンとのコポリマーが含まれる。これは、特許文献1およびそれに引用される特許に記載される。いくつかのPAO生成物は、潤滑油市場で重要になっている。典型的には、線形α−オレフィンから製造される合成炭化水素流体(SHF)には、二種類が存在する。これは、PAOおよびHVI−PAO(高粘度指数PAO)として表される。異なる粘度グレードのPAOは、典型的には、助触BFまたはAlCl触媒を用いて製造される。
【0006】
特に、PAOは、オレフィン原料を、AlCl、BF、または助触AlCl、BFなどの触媒の存在下に重合することによって製造されてもよい。PAOを製造するためのプロセスは、例えば、次の特許に開示される。即ち、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献1であり、これらは、引用して含まれる。PAOはまた、非特許文献1で論じられている。重合の後、PAO潤滑油範囲生成物は、典型的には水素添加されて、残留不飽和が、一般的には、水素添加90%超のレベルへ低減される。PAOは、好都合には、アルファ−オレフィンを、フリーデル−クラフツ触媒などの重合触媒の存在下に重合することによって作製されてもよい。これらには、例えば、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、若しくは水、アルコール(エタノール、プロパノール、またはブタノールなど)、カルボン酸、エステル(酢酸エチルまたはプロピオン酸エチルなど)、またはエーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等など)による助触三フッ化ホウ素が含まれる(例えば、特許文献8または特許文献3によって開示される方法を参照されたい)。PAO合成の他の説明は、次の米国特許に見出される。即ち、特許文献4(Brennan)、特許文献5(Brennan)、特許文献9(Heilman)、特許文献10(Allphin)、特許文献11(Watts)、特許文献12(Watts)、特許文献13(Larkin)、特許文献14(Shubkin)、特許文献1(Watts)、特許文献15(Theriot)である。
【0007】
HVI−PAOの他の種類は、担持還元クロム触媒をアルファ−オレフィンモノマーと作用させることによって調製されてもよい。これらのPAOは、特許文献16(Wu)、特許文献17(Wu)、特許文献18(Hoら)、特許文献19(Pelrineら)、特許文献20(Pelrine)に記載される。商業的に入手可能なPAOには、SpectraSyn(商標)2、4、5、6、8、10、40、100、およびSpectraSyn Ultra(商標)150、SpectraSyn Ultra(商標)300、SpectraSyn Ultra(商標)1000等(ExxonMobil Chemical Company、Houston、Texas)が含まれる。
【0008】
合成PAOは、鉱油ベース潤滑油に勝るそれらの優位性のために、潤滑油分野において広く是認され、商業的成功を見出している。潤滑油特性の向上に関して、合成潤滑油に関する工業研究の試みは、広い温度範囲に亘って有用な粘性(即ち、向上されたVI)を示し、一方鉱油に同等か、またはそれより良好な潤滑性、熱安定性、酸化安定性、および流動点を示すPAO流体をもたらしている。これらの比較的新規な合成潤滑油は、機械摩擦を低下し、機械負荷の全範囲に亘って機械効率を高め、鉱油潤滑油より広い範囲の運転条件に亘ってそのようにする。
【0009】
潤滑油の性能要求は、次第に厳しくなっている。向上された特性(高粘度指数(VI)、低流動点、低減された揮発性、高いせん断安定性、向上された磨耗性能、向上された熱安定性、酸化安定性、および/またはより広い粘度範囲など)を有する新規PAOは、潤滑油の新規性能要求を満足することが望まれる。特性が向上されたこれらの新規PAOを提供するための新規な方法がまた、望まれる。
【0010】
種々のPAOを、メタロセン触媒系を用いて調製する試みがなされている。例には、特許文献21(特許文献22に相当する)が含まれる。これは、PAOを、あるメタロセン触媒のメソ型の存在下に、高水素圧下で、メチルアルモキサンを活性化剤として用いて製造することについて論じている。特許文献23および特許文献24は、類似の課題について論じている。
【0011】
他は、ポリデセンなどの種々のPAOを、いかなる特定の立体規則性をも有するポリマーまたはオリゴマーを製造するのに典型的には知られていない種々のメタロセン触媒を用いて作製している。例には、特許文献25、特許文献26、特許文献27、特許文献28、特許文献29(特許文献30に相当する)、特許文献31、特許文献32、特許文献33、特許文献34、特許文献35および特許文献36が含まれる。
【0012】
最近、高粘度ブレンド材に対する需要が、より増大している。これは、多数の要因によって引き起されていると考えられる。これには、多くの潤滑油基材の製造業者よる製造の制約、または低粘度の4〜6センチストークス(cSt)基材を製造する新規のハイドロ−プロセスの能力を稼動する計画の発表が含まれる。低粘度の基材には、従来のスラックワックスからのグループIII基材、またはガスツーリキッドプロセスから誘導されるワックスからのグループIII基材(GTL潤滑油)が含まれる。これらのハイドロ−プロセスは、8cS超のものなどのより高粘度の基材を製造するのに適切でないと考えられる。また、低粘度ハイドロ−プロセス基材のための余剰能力(特に、大容量のGTL潤滑油の出現)は、高粘度ブライトストック(35〜40cS)を共製造するグループI基材設備の閉鎖を引き起こし得る。これは、ブライトストックの供給の減少をもたらす。従って、低粘度基材(グループI〜VI基材を含む)、特に低粘度のグループII、IIIおよびGTL潤滑油流体とブレンドするための高粘度基材を供給する必要性が増大している。
【0013】
現在、三つの主なタイプの高粘度基材が、低粘度基材とブレンドして、低粘度基材の粘度を増大し、依然として良好な特性を維持するのに利用可能である。三つの高粘度基材は、グループI設備から誘導されるブライトストック、C〜C12線形アルファ−オレフィン(LAO)から製造されるポリ−アルファ−オレフィン(PAO)、およびポリイソブチレン(PIB)である。これらの高粘度基材はそれぞれ、欠点を有する。ブライトストックは、通常、不十分な品質を有する。PAOは、高価なLAO素材物質およびLAOの限定された入手可能性の理由から、通常、より高価である。PIBは、十分に良好なブレンド特性を有さず、得られるブレンドは、必ずしも常に、性能基準を満たさない。
【0014】
数種の文献は、種々のアルファ−オレフィンを、少なくともある場合にはメタロセン触媒系の存在下に重合して、種々の有用性を有するポリマー(潤滑油成分など)が提供されることを提案する。例えば、特許文献37は、高粘度指数を有するポリ−アルファ−オレフィン(PAO)、即ち(HVI)−PAOを製造するためのプロセスについて論じている。これには、LAOの混合物を含む原料を活性化メタロセン触媒と接触させて、潤滑油成分に、または機能性流体として用いるための液体ポリマーが製造される工程が含まれる。コポリマー組成物は、C〜C30範囲の少なくとも二種の異なるアルファ−オレフィンから作製されてもよく、モノマーは、無作為に、ポリマー中に分布される。実施形態においては、モノマーの一種は、より高級なアルファ−オレフィン(C12〜C18アルファ−オレフィンから選ばれるものなど)であり、第二の一種以上のアルファ−オレフィンは、例えば、C〜Cアルファ−オレフィンから選ばれる。他の実施形態においては、プロピレンまたは1−ブテンが、原料成分の一種として用いられる。何故なら、それらは、容易に、製油所または石油化学プラントから入手可能であるからである。得られるコポリマーは、有用な潤滑油特性を有するとされている。これには、優れたVI、流動点、低温粘度が、それ自体によるかまたは他の潤滑油またはポリマーとのブレンド流体として、含まれる。
【0015】
特許文献38は、非エチレン、アルファ−オレフィンホモポリマー、およびコポリマーを、メタロセン触媒系の存在下に重合するための希釈プロセスに関する。プロセスで用いられるアルファ−オレフィン原料ストリームは、少なくとも一種のアルファ−オレフィン(プロピレン、1−ブテン、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、へキセン−1、オクテン−1、およびナノデセン−1以下のより高級なアルファ−オレフィンなど)を含む。例えば、プロピレンおよびブテン−1の混合物である。殆どの例のポリマーは、アイソタクチック指数少なくとも80%を有する。生成物は、潤滑油、または油分散剤および粘度調整剤を製造するための骨格として用いられることができる。
【0016】
特許文献39は、低粘度ポリ−アルファ−オレフィンを製造するためのプロセスに関する。これは、炭素原子3〜24個を有する一種以上のアルファ−オレフィンモノマーを、メタロセン触媒化合物を含んでもよい触媒と接触させる工程を含む。プロセスで用いられるPAOは、典型的には、二量体、三量体、四量体、または重量平均分子量100,000以下を有するより高級なオリゴマーである。
【0017】
特許文献30は、非異性化オリゴマーに関する。これは、オレフィンモノマーの繰返し単位を含み、しかもオリゴマーは、分子量約10,000以下を有し、一部位触媒(メタロセン触媒など)の存在下に調製される。オレフィンモノマーは、脂肪族オレフィン、芳香族オレフィン、または環状オレフィンから選ばれてもよい。適切なアルファ−オレフィンには、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−デセン、および1−テトラデセンが含まれてもよい。少なくともいくつかの実施形態のPAOは、水素添加されて、潤滑油が処方されてもよい。1−デセンおよび1−テトラデセンのいくつかの例示のオリゴマーは、動粘度(Kv)(100℃)1.8〜9.2、Kv(40℃)5.3〜50.3、およびVI約130〜166を有すると報告された。
【0018】
非特許文献2は、安価なオレフィンモノマー(エチレン、プロピレン、およびブテンなど)を重合して、エチレン−アルファ−オレフィンポリマー(EOP)が、明らかにエチレン、並びにプロピレンおよびブテンの少なくとも一種から製造されることに関する。一部位触媒は、重合反応で用いられて、合成流体が製造される。これは、市販PAOと同様に性能を発揮しており、プレミアム潤滑油を要求する用途における合成基材として用いられることができるとされている。EOPは、Kv(100℃)1.9〜11.4およびKv(40℃)5.5〜66.1cSt、並びにM/M1.04〜1.34を有した。
【0019】
特許文献40(2006年6月2日出願)は、特許文献41(2005年7月19日出願)の恩典を要求するものであるが、これは、液体を、炭素原子5〜24個を有するモノマーから、ラセミメタロセンおよび非配位アニオン活性化剤を用いて製造することを記載する。
【0020】
現在まで、しかし、メタロセンで作製されるPAOは、多用な要因(不適切な製造プロセス、高コストおよび/またはそれらの特性の問題など)から、市場(特に潤滑油市場)での広い用途を見出していない。本開示においては、本発明者らは、優れた特性の組み合わせを有する新規のPAOを提供することによって、あれやこれやの必要性に対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第4,956,122号明細書
【特許文献2】米国特許第3,149,178号明細書
【特許文献3】米国特許第3,382,291号明細書
【特許文献4】米国特許第3,742,082号明細書
【特許文献5】米国特許第3,769,363号明細書
【特許文献6】米国特許第3,780,128号明細書
【特許文献7】米国特許第4,172,855号明細書
【特許文献8】米国特許第4,149,178号明細書
【特許文献9】米国特許第3,876,720号明細書
【特許文献10】米国特許第4,239,930号明細書
【特許文献11】米国特許第4,367,352号明細書
【特許文献12】米国特許第4,413,156号明細書
【特許文献13】米国特許第4,434,408号明細書
【特許文献14】米国特許第4,910,355号明細書
【特許文献15】米国特許第5,068,487号明細書
【特許文献16】米国特許第4,827,073号明細書
【特許文献17】米国特許第4,827,064号明細書
【特許文献18】米国特許第4,967,032号明細書
【特許文献19】米国特許第4,926,004号明細書
【特許文献20】米国特許第4,914,254号明細書
【特許文献21】米国特許第6,706,828号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2004/0147693号明細書
【特許文献23】国際公開第02/14384号パンフレット
【特許文献24】国際公開第99/67347号パンフレット
【特許文献25】国際公開第96/23751号パンフレット
【特許文献26】欧州特許第0613873号明細書
【特許文献27】米国特許第5,688,887号明細書
【特許文献28】米国特許第6,043,401号明細書
【特許文献29】国際公開第03/020856号パンフレット
【特許文献30】米国特許出願公開第2003/0055184号明細書
【特許文献31】米国特許第5,087,788号明細書
【特許文献32】米国特許第6,414,090号明細書
【特許文献33】米国特許第6,414,091号明細書
【特許文献34】米国特許第4,704,491号明細書
【特許文献35】米国特許第6,133,209号明細書
【特許文献36】米国特許第6,713,438号明細書
【特許文献37】国際公開第2007/011462号パンフレット
【特許文献38】米国特許第5,859,159号明細書
【特許文献39】米国特許出願公開第2007/0043248号明細書
【特許文献40】PCT/US06/21231号明細書
【特許文献41】米国仮特許出願第60/700,600号明細書
【特許文献42】米国特許第5,286,823号明細書
【特許文献43】米国特許6,043,401号明細書
【特許文献44】米国特許出願第11/789,871号明細書
【特許文献45】国際公開第98/43983号パンフレット
【特許文献46】米国特許第5,942,459号明細書
【特許文献47】欧州特許出願第A−0570982号明細書
【特許文献48】欧州特許出願第A−0520732号明細書
【特許文献49】欧州特許出願第A−0495375号明細書
【特許文献50】欧州特許第B1−0500944号明細書
【特許文献51】欧州特許出願第A−0277003号明細書
【特許文献52】欧州特許出願第A−0277004号明細書
【特許文献53】米国特許第5,153,157号明細書
【特許文献54】米国特許第5,198,401号明細書
【特許文献55】米国特許第5,066,741号明細書
【特許文献56】米国特許第5,206,197号明細書
【特許文献57】米国特許第5,241,025号明細書
【特許文献58】米国特許第5,384,299号明細書
【特許文献59】米国特許第5,502,124号明細書
【特許文献60】米国特許出願第08/285,380号明細書
【特許文献61】欧州特許第277003号明細書
【特許文献62】欧州特許第277004号明細書
【特許文献63】米国特許第5,447,895号明細書
【特許文献64】米国特許公開第2002/0058765A1号明細書
【特許文献65】欧州特許出願第A−0427697号明細書
【特許文献66】米国特許第5,624,878号明細書
【特許文献67】米国特許第5,486,632号明細書
【特許文献68】米国特許第5,527,929号明細書
【特許文献69】米国特許第5,264,203号明細書
【特許文献70】国際公開第95/15815号パンフレット
【特許文献71】米国特許第5,427,991号明細書
【特許文献72】米国特許第5,057,475号明細書
【特許文献73】米国特許第5,227,440号明細書
【特許文献74】国際公開第94/03506号パンフレット
【特許文献75】米国特許第5,643,847号明細書
【特許文献76】国際公開第96/04319A号パンフレット
【特許文献77】米国特許第5,422,325号明細書
【特許文献78】米国特許第5,498,582号明細書
【特許文献79】米国特許第5,466,649号明細書
【特許文献80】国際公開第93/11172号パンフレット
【特許文献81】国際公開第94/07928号パンフレット
【特許文献82】PCT/US2006/027591号明細書
【特許文献83】米国特許第5,858,159A号明細書
【特許文献84】米国特許第6,987,152号明細書
【特許文献85】国際公開第91/09882号パンフレット
【特許文献86】国際公開第93/14132号パンフレット
【特許文献87】国際公開第95/07941号パンフレット
【特許文献88】米国特許第5,705,577号明細書
【特許文献89】米国特許第5,573,657号明細書
【特許文献90】米国特許第6,420,618号明細書
【特許文献91】米国特許第7,132,042号明細書
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Will,J.G.著「Lubrication Fundamentals」(Marcel Dekker、New York、1980年)
【非特許文献2】Songら著「New High Performance Synthetic Hydrocarbon Base Stocks」(Lubrication Engineering、第58/6巻、第29〜33頁、2002年6月)
【非特許文献3】「Chemical and Engineering News」(第63(5)巻、第27頁、1985年)
【非特許文献4】L.R.Rudnick編「Synthetics,Mineral Oils,and Bio−Based Lubricants Chemistry and Technology」(第18および19章、CRC Press、Taylor & Francis Group、Boca Raton、FL.22487−2742)
【非特許文献5】L.R.Rudnick編「Synthetics,Mineral Oils,and Bio−Based Lubricants Chemistry and Technology」(CRC Press、Taylor & Francis Group、Boca Raton、FL)
【非特許文献6】L.R.Ludnick編「Lubricant Additives:Chemistry and Applications」(Marcel Dekker,Inc.、New York、2003年)
【非特許文献7】「Syntheses of Multi−stereoblock Polybuntene-1 Using Novel Monocyclopentadienyl Titanium and Modified Methylaluminoxane Catalysts」(Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry、第37巻、第4497〜4501頁、1999年)
【非特許文献8】Kim,I、Zhou,J.−M、およびChung,H著(Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry 2000、第38巻、第1687〜1697頁)
【非特許文献9】James C.Randall著「Polymer Sequence Determination」(Academic Press.、New York、1977年)
【非特許文献10】L.R.RudnickおよびR.L.Shubkin編「Synthetic Lubricants and High Performance Functional Fluids」(第二版、Marcel Dekker,Inc.、N.Y.、1999年)
【非特許文献11】L.S.Baugh & J.A.M.Canich編「Stereoselective Polymerization with Single−Site Catalysts」(CRC Press、第38頁、第2.1.2節、Taylor & Francis Group、Boca Raton、FL.、2008年)
【非特許文献12】E.Y.−X.ChenおよびT.J.Marks著「Cocatalysts for Metal−Catalized Olefin Polymerization:Activators,Activation Processes,and Structure−Activity Relationships」(Chem.Rev.、第100巻、第1391〜1434頁、2000年)
【非特許文献13】G.R.LappinおよびJ.D.Sauer編 Chapter3「Routes to Alpha−Olefins」(Alpha Olefins Applications Handbook、Marcel Dekker,Inc.、N.Y.、1989年)
【非特許文献14】Leslie L.R.Ludnick編「Lubricant Additives:Chemistry and Applications」(Marcel Dekker,Inc.、New York、2003年、第1143〜170頁)
【非特許文献15】Avilino Sequeira,Jr.著「Lubricant Base Oil and Wax Processing」(Marcel Dekker Inc.、第119〜152頁、NY、1994年)
【非特許文献16】L.R.Rudnick編「Synthetic Lubricants,Mineral Oils,and Bio−Based Lubricants」(CRC Press、Taylor & Francis Group、2006年)
【非特許文献17】T.MangおよびW.Dresel編「Lubricants and Lubrications」(Wiley−VCH GmbH、Weinheim、2001年)
【非特許文献18】「Syntheses of Multi−stereoblock Polybuntene-1 Using Novel Monocyclopentadienyl Titanium and Modified Methylaluminoxane Catalysts」(4500頁、論文の図2c)(Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry、第37巻、第4497〜4501頁、1999年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
本開示は、プロピレン、1−ブテン、または1−ペンテンのモノマーの少なくとも一種から作製される実質的アタクチックポリ−アルファ−オレフィンポリマー、および/または好ましくはより低粘度の他の基材とのその潤滑油ブレンド組成物に関する。ポリマーは、潤滑油基材として用いられてもよく、およびそれは、粘度指数(VI)約50〜約250、Kv100約8〜約5,000cSt、Kv40約60〜約80,000cSt、および流動点約10℃未満を有する。
【0024】
本開示はまた、プロピレン、1−ブテン、または1−ペンテンのモノマーの少なくとも一種から作製される実質的アタクチックポリ−アルファ−オレフィンポリマーを含むブレンド組成物に関する。ポリマーは、粘度指数(VI)約50〜約250、Kv100約8〜約5,000cSt、Kv40約60〜約80,000cSt、および流動点約10℃未満を有する。組成物には、第二の潤滑油基材が含まれてもよい。この第二の潤滑油基材は、通常、100℃動粘度約20以下(約15cSt以下など)を有し、APIグループI〜VI基材、およびガスツーリキッド転化プロセスから製造される潤滑油基材(GTL潤滑油)の少なくとも一種、またはこれらのより低粘度の基材の混合物を含むことができる。本ブレンド組成物は、実質的アタクチックポリマー約0.1〜約90wt%を含み、粘度指数約100超、Kv100約3〜約1,000cSt、Kv40約6〜約30,000cSt、および比較の100℃動粘度を有する単一基材より実質的に向上された低温特性(例えば、ブルックフィールド粘度)を有する。
【0025】
実質的アタクチックポリマーは、M(重量平均分子量)300,000未満(約300〜約300,000など)、およびM(数平均分子量)100,000未満(約280〜約100,000など)を有する。本ポリマーの分子量分布(M/M)は、1超5未満である。
【0026】
実施的アタクチックポリマーは、動粘度(Kv)(100℃)約8、または約8超〜約5,000cSt、動粘度(Kv)(40℃)約60〜約80,000cSt、および粘度指数(VI)約50超を有する。
【0027】
本明細書の物質の作製およびその使用に関して、当業者の理解を助けるために、添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】4cSGTL潤滑油基材中本開示のポリ−1−ブテン(POB)のブレンド/4cSGTL潤滑油基材中ポリ−イソブチレン(PIB)H300のブレンドについて、100℃動粘度(Kv)の関数として粘度指数(VI)の比較を示す。PIB H300は、商業的に、Eneos Chemical Co.から入手可能である。
【図2】4cSGTL潤滑油中本開示のPOBのブレンド/4cSGTL潤滑油中PIB H300のブレンドについて、40℃Kvの関数としてVIの比較を示す。630POBは、100℃Kv630cStの本開示に記載されるポリ−1−ブテン(POB)の略語である。
【図3】4cSGTL潤滑油中本開示の630POBのブレンド/4cSGTL潤滑油中PIB H300のブレンドについて、100℃Kvの関数としてTGA測定から予測されるノアック揮発性の比較を示す。
【図4】4cSGTL潤滑油中本開示の630POBのブレンド/4cSGTL潤滑油中PIB H300のブレンドについて、40℃Kvの関数としてTGA測定から予測されるノアック揮発性の比較を示す。
【図5−a】実質的アタクチックポリ−1−ブテンのC13NMRスペクトルを示す。
【図5−b】実質量のアイソタクチシティを有するポリ−1−ブテンのC13NMRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書で用いられるように、元素周期律表の新しい付番方式が用いられる。これは、非特許文献3に記載される。特段に述べられない限り、全ての圧力(psi)は、psigである。本開示における全ての数値は、「約」によって修飾される数値として理解される。本明細書に記載されるモノマー、ポリマー、または他の成分の全ての単数形(限定することなく、組成物の成分を含む)は、その複数形を含むことが理解される。逆もまた同様である。
【0030】
本開示および請求の目的のために、ポリマーまたはオリゴマーが、オレフィンを含むものとして引用される場合には、ポリマーまたはオリゴマー中に存在するオレフィンは、それぞれ、オレフィンの重合またはオリゴマー形態である。同様に、用語「ポリマー」を用いることは、ホモポリマーおよびコポリマーを包含することを意味し、その際コポリマーには、二種以上の化学的に相違するモノマーを有する任意のポリマーが含まれる。同様に、用語「オリゴマー」を用いることは、ホモオリゴマーおよびコオリゴマーを包含することを意味し、その際コオリゴマーには、二種以上の化学的に相違するモノマーを有する任意のオリゴマーが含まれる。
【0031】
本開示および請求の目的のために、用語「ポリアルファ−オレフィン」、「ポリアルファオレフィン」、または「PAO」は、同義語であり、これには、C〜Cアルファ−オレフィンモノマー(即ち、プロピレン、1−ブテン、または1−ペンテンの少なくとも一種)のホモオリゴマー、コオリゴマー、ホモポリマー、およびコポリマーが含まれる。従って、本開示で用いられる用語「C〜Cアルファ−オレフィンモノマー」は、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、またはそれらの混合物を意味する。
【0032】
本開示のPAOには、オリゴマー、ポリマー、または両者の組み合わせが含まれることができる。本明細書に記載される本開示のPAO組成物(オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせかを問わず)は、液体であり、M300,000以下を有する。
【0033】
本開示および請求の目的のために、触媒サイクルにおける活性種は、触媒の中性またはイオン性型を含んでもよい。
【0034】
用語「触媒系」は、触媒前駆体/活性化剤の対(メタロセン/活性化剤の対など)を意味するものと定義される。「触媒系」が、活性化前のこれらの対を記載するのに用いられる場合には、それは、活性化剤、および任意に共活性化剤(トリアルキルアルミニウム化合物など)を有する非活性化触媒(前触媒)を意味する。それが、活性化後のこれらの対を記載するのに用いられる場合には、それは、活性化触媒、および活性化剤または他の電荷平衡化部分を意味する。加えて、活性化触媒系は、任意に、共活性化剤および/または他の電荷平衡化部分を含んでもよい。
【0035】
「触媒前駆体」はまた、しばしば、前触媒、触媒、触媒化合物、前駆体、メタロセン、遷移金属化合物、非活性化触媒、または遷移金属錯体として引用される。これらの用語は、同義的に用いられる。活性化剤および共触媒はまた、同義的に用いられる。スカベンジャーは、オリゴメリゼーションまたは重合を、不純物を除去することによって促進するのに、典型的に添加される化合物である。いくつかのスカベンジャーはまた、活性化剤として機能してもよく、共活性化剤として引用されてもよい。スカベンジャーではない共活性化剤はまた、遷移金属化合物を有する活性触媒を形成するために、活性化剤と組み合わせて用いられてもよい。いくつかの実施形態においては、共活性化剤は、遷移金属化合物と予混合されて、アルキル化遷移金属化合物が形成されることができる。これはまた、アルキル化触媒化合物またはアルキル化メタロセンとして引用される。
【0036】
本開示および請求の目的のために、非配位アニオン(NCA)が、触媒金属カチオンに配位しないか、または金属カチオンとほんの弱く配位するかのいずれかであるアニオンを意味すると定義される。NCAは、中性ルイス塩基(オレフィン性またはアセチレン性不飽和モノマーなど)が、それを触媒中心から転位することができるのに十分に弱く配位する。触媒金属カチオンとの親和性の弱配位錯体を形成することができる任意の金属またはメタロイドが、非配位アニオンとして用いられるか、またはそれに含まれてもよい。適切な金属には、限定されることなく、アルミニウム、金、および白金が含まれる。適切なメタロイドには、限定されることなく、ホウ素、アルミニウム、リン、およびケイ素が含まれる。非配位アニオンの亜類は、化学量論的活性化剤を含む。これは、中性またはイオン性のいずれかであることができる。用語「イオン性活性化剤」、および「化学量論的イオン性活性化剤」は、同義的に用いられることができる。同様に、用語「中性化学量論的活性化剤」および「ルイス酸活性化剤」は、同義的に用いられることができる。
【0037】
加えて、反応器は、化学反応が起こる任意の容器である。
【0038】
「イソアルキル」は、少なくとも一種の第三級または第四級炭素原子を有する分枝アルキル基またはラジカルであり、これは、各鎖の少なくとも一部に沿って、少なくとも一種のC〜C18アルキル分枝を有する。
【0039】
本出願においては、組成物または元素の群が、接続句「〜を含む」で先行される場合はいつでも、本発明者らはまた、組成物または元素の列挙に先行する接続句;「実質的に〜からなる」、「〜からなる」、「〜からなる群から選択される」、または「である」と同じ組成物または元素の群を予想することが理解される。逆もまた同様である。
【0040】
ポリアルファ−オレフィン
実質的アタクチックポリ−アルファオレフィンポリマー(これはまた、本明細書に、「実質的アタクチックポリマー」として引用されてもよい)は、比較的低コストのアルファ−オレフィン、即ちプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、またはそれらの混合物から、若しくはこれらの低コストアルファ−オレフィンを含む任意の原料ストリーム、またはそれらの混合物から作製される。
【0041】
商業的製造施設(油精製所など)は、アルファ−オレフィンを含むプロセスストリームを有する。これは、本明細書に記載される実質的アタクチックポリマーを製造するための出発物質として用いられることができる。例えば、混合脂肪族Cストリーム(通常、製油所に存在する)は、1−ブテンを重合するための原料ストリームとして用いられて、本明細書に記載される実質的アタクチックポリマーが得られることができる。混合Cストリームには、混合n−ブタン、イソブテン、1−ブテン、シスおよびトランス2−ブテン、並びにイソ−ブチレンが含まれてもよい。本プロセスは、本明細書に記載される触媒を用いるが、これは、実質的に、これらの混合脂肪族Cストリームからの1−ブテンを選択的に重合する。
【0042】
実質的アタクチックポリマーは、低粘度基材とブレンドされて、ポリ−イソブチレンまたはブライトストックからのブレンドより特性が向上された潤滑ブレンドが製造されてもよい。粘度および粘度指数を含む粘性、熱/酸化/せん断安定性、および揮発性などである。本開示のブレンドの特性は、実質的に高価なポリ−アルファ−オレフィン(PAO)(C〜C12線形アルファ−オレフィン(LAO)から製造される)から作製されるブレンドのものに匹敵するか、またはそれより更に良好である。
【0043】
本明細書に記載される全てのプロセスは、本開示の実質的アタクチックポリマーの全てを製造するのに用いられることができる。
【0044】
本明細書に記載されるポリマー(これはまた、本開示のポリ−アルファ−オレフィン(PAO)として引用されてもよい)は、KV100約8または約8cSt超〜約5,000cSt、および本開示のPAOの全ての他の特性を有するポリアルファ−オレフィンを製造するプロセスで作製される。このプロセスは、
炭素原子3〜5個を有する一種以上のアルファ−オレフィンモノマーを、次式によって表される非架橋置換ビス(シクロペンタジエニル)遷移金属化合物、
(Cp)(Cp)MX
[式中、Mは金属中心であり、第4族金属であり、
CpおよびCpは、1)互いにMへ結合される同じかまたは異なるシクロペンタジエニル環であり、CpおよびCpはいずれも、少なくとも一種の非−水素置換R基と置換されるか、または2)Cpは、2〜5個の置換R基と置換され、各置換基Rは、独立に、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビル、またはゲルミルカルビルであるラジカル基であるか、またはCpおよびCpは、いかなる二種の隣接するR基も、任意に結合されて、置換または非置換の飽和、部分不飽和、または芳香族環状、または多環置換基が形成される同じかまたは異なるシクロペンタジエニル環であり、
およびXは、独立に、水素、ハロゲン、ハイドライドラジカル、ヒドロカルビルラジカル、置換ヒドロカルビルラジカル、ハロカルビルラジカル、置換ハロカルビルラジカル、シリルカルビルラジカル、置換シリルカルビルラジカル、ゲルミルカルビルラジカル、または置換ゲルミルカルビルラジカルであるか、または両Xは、金属原子と結合されて、炭素原子約3〜約20個を含むメタラサイクル環が形成されるか、或いは両者は、オレフィン、ジオレフィン、またはアライン配位子であることができる]
並びに非配位アニオン活性化剤および任意のアルキルアルミニウム化合物と、次のi)およびii)の重合条件下で接触させ、その際遷移金属化合物/活性化剤のモル比は、10:1〜0.1:1であり、アルキルアルミニウム化合物が存在する場合には、アルキルアルミニウム/遷移金属化合物のモル比は、1:4〜4000:1である工程を含む。
i)任意に、水素は、反応器の全圧に基づいて分圧0.1〜300psiで存在するか、または水素濃度は、1〜30,000wppm以下である。
ii)炭素原子3〜5個を有するアルファ−オレフィンモノマーは、触媒/活性化剤/アルキルアルミニウム化合物溶液、モノマー、および反応時に存在する任意の希釈剤または溶剤の全重量に基づいて、10wt%以上で存在する。
【0045】
一実施形態においては、本開示は、液体ポリアルファ−オレフィン(PAO)に関する。これは、ポリアルファ−オレフィン中に存在するモノマーの全モルを基準として、一種以上のC〜Cアルファ−オレフィンモノマー50モル%超(例えば、55モル%以上)を含む。好ましくは60モル%以上(65モル%以上など)、70モル%以上(75モル%以上など)、80モル%以上、85モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、または100モル%である。これは、C13NMRおよび/またはHNMR法によって測定される。
【0046】
本開示および請求の目的のために、液体は、室温で流動し、流動点25℃未満を有する物質であると定義される。
【0047】
更なる実施形態においては、本明細書に記載されるポリアルファ−オレフィンはいずれも、M(重量平均分子量)約300,000未満を有する。約300〜約300,000、約300〜約250,000、約400〜約200,000、約600〜約150,000、約800〜約100,000、または約1,000〜約8,000g/モルなどである。
【0048】
他の実施形態においては、本明細書に記載されるポリアルファ−オレフィンはいずれも、M(数平均分子量)約200,000未満(約100,000未満、約280〜約100,000、約250〜約100,000、約500〜約5,000、または約280〜約4,000g/モルなど)を有する。
【0049】
他の実施形態においては、本明細書に記載されるポリアルファ−オレフィンはいずれも、M/M約1超〜約5未満を有する。約4未満、約3未満、約2.5未満、または約2.3未満などである。或いは、本明細書に記載されるポリアルファ−オレフィンはいずれも、M/M約1〜約3.5を有する。約1〜約2.5、約1.1〜約2.5、または約1.2〜約2.3などである。
【0050】
本開示および本明細書の請求の目的のために、分子量分布(MWD)は、M/Mに等しい。
【0051】
優れたせん断安定性、熱安定性、または熱/酸化安定性が所望される多くの用途について、本開示の(即ち、本明細書に記載される)最も狭い可能なMWDで作製されるポリアルファ−オレフィンを有することが好都合である。異なる粘度を有するPAO流体は、同じ原料または触媒から作製されるが、通常、異なるMWDを有する。換言すれば、PAO流体のMWDは、流体の粘度に左右される。通常、より低粘度の流体は、より狭いMWD(より小さなMWD値)を有し、より高粘度の流体は、より広いMWD(より大きなMWD値)を有する。100℃Kv1000cSt未満を有する殆どの流体については、MWDは、通常2.5未満を有する。典型的には約1.6〜約2.2である。100℃粘度1000cSt超を有する流体は、通常、より広いMWDを有する。通常2.5超である。通常、流体のMWDがより狭いほど、そのせん断安定性はより良好である。これらの狭いMWDの流体は、TRB(テーパー転がり軸受け)試験において、高い応力またはせん断により、より少ない粘度損失を示し、より過酷な条件下では、より高い高温高せん断速度(HTHSR)粘度を有し、より厚い潤滑油膜、および同時により良好な潤滑性および摩耗防止がもたらされるであろう。ある用途においては、運転条件が、あまり過酷ではない場合(例えば、低せん断応力または低負荷下)には、またはせん断安定性またはHTHSR粘度があまり重要ではない場合には、より広いMWDを有する流体は、より良好なブレンド特性または他の利点を示してもよい。
【0052】
、M、およびMWDは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定される。これはまた、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法として知られ、溶剤としてのテトラヒドロフランおよび較正標準としてのポリスチレンと共に、中〜低分子量ポリマー用のカラムを用いる。特段に示されない限り、本明細書に報告されるMおよびM値は、測定されたGPC値であり、動粘度(100℃)からは計算されない。
【0053】
一実施形態においては、本明細書に記載されるいかなるPAOも、流動点約10℃未満(ASTM D97により測定される)を有してもよい。約0℃未満、約−10℃未満、約−20℃未満、約−25℃未満、約−30℃未満、約−35℃未満、約−40℃未満、約−55℃未満、約−10〜約−80℃、約−15℃〜約−70℃、または約−5〜約−50℃などである。
【0054】
一実施形態においては、本明細書に記載されるいかなるポリアルファオレフィンも、動粘度(100℃)約8以上〜約5,000、約8以上〜約10,000(約20〜約10,000、約30〜約7,500、約40〜約5,000、約8〜約1,000など)、約8超〜約5,000cSt(約20超〜約4,800cSt、約20cSt超〜約1,600cStなど)を有してもよい。他の実施形態においては、本明細書に記載されるいかなるPAOも、動粘度(40℃)(ASTM D445によって測定される)約60〜約80,000cStを有してもよい。約80cSt〜約70,000cStまたは約90〜約47,000cStである。
【0055】
他の実施形態においては、本明細書に記載されるポリアルファ−オレフィン流体は、粘度指数(VI)50超を有してもよい。VIは、ASTM法D2270−93[1998]に従って決定される。流体のVIは、通常、粘度および原料組成による。より高いVIが、より望ましい。高粘度を有する流体は、通常、同じ原料組成およびより低粘度の流体より高いVIを有する。本明細書に記載されるように、CまたはCまたはC線形アルファ−オレフィン(LAO)、若しくはそれらの組み合わせから作製される流体の典型的なVI範囲は、流体の粘度および原料オレフィンの組成によって、約50〜約250である。約60〜約220または約50〜約200などである。
【0056】
他の実施形態においては、本開示のPAO流体は、あまり軽質な留分を含まないことが好ましい。これらの軽質留分は、高い揮発性、不安定な粘度、不十分な酸化および熱安定性の一因となる。それらは、通常、最終生成物において除去される。一般に、炭素数C20以下(即ち、生成物オリゴマー分子中に20個未満またはそれよりも少ない炭素単位)を有する流体1wt%未満を有することが好ましい。炭素数C24以下を有する流体1wt%未満、または炭素数C26以下を有する流体1wt%未満などである。炭素数C20以下を有する流体0.5wt%未満を有することが望ましい。炭素数C24以下を有する流体0.5wt%未満、または炭素数C26以下を有する流体0.5wt%未満などである。炭素原子C20以下、炭素原子C24以下等はまた、本明細書において、「炭素C20以下、炭素C24以下」等として同義的に引用されることができる。しばしば、これらの留分はまた、ライトエンドとして引用される。また、これらの軽質炭化水素のいずれかの量が少ないほど、ノアック揮発性試験によって決定されることができる流体特性はより良好である。通常、流体の揮発性は、流体の粘度または流体の分子量に強く左右される。より高粘度またはより高分子量の流体は、より低い揮発性を有し、より低粘度またはより低分子量の流体は、より高い揮発性を有するであろう。殆どの粘度グレードについては、例えば、PAO流体は、ノアック揮発性15wt%未満を有する。10wt%未満および/または5wt%未満などである。
【0057】
他の実施形態においては、本明細書に記載されるいかなるポリアルファオレフィンも、引火点150℃以上を有してもよい。これは、ASTM D56によって測定される。
【0058】
別の実施形態においては、本明細書に記載されるいかなるポリアルファオレフィンも、比重0.75g/cm〜0.9g/cmを有してもよい。0.78〜0.85g/cmなどである。
【0059】
本明細書で調製されるPAO、特には、中〜高粘度のもの(Kv100約8cSt超を有するものなど)は、特に、高性能自動車エンジン油、一般工業潤滑油、グリース、種々のタイプの自動車または工業ギア油、航空潤滑油、作動油または潤滑油、伝熱流体等を処方する際に用いるのに適切である。それらは、それら自体で、またはPAO 0.1〜95wt%を、他の流体とブレンドすることによって、用いられることができる。グループI、II、グループII、グループIII、グループIII基材、またはCO/Hシンガスからのフィッシャー−トロプシュ炭化水素合成によるワックス留分の水素異性化から誘導される潤滑基材(GTL潤滑油基材)、若しくは他のグループIVまたはグループVまたはグループVI基材などである。これらの基材の一般的な説明は、非特許文献4に見出されることができる。これは、本明細書に引用して含まれる。これらのブレンド材は、当該技術分野で知られる添加剤と組み合わされた場合には、完全合成潤滑油、部分合成物に処方するのに用いられるか、または特別な添加剤成分として他の基材と共に用いられる。これらの添加剤には、限定されることなく、無灰分散剤、金属または過塩基金属清浄剤、耐摩耗剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、防錆剤、流動点降下剤、摩擦低減剤などが含まれる。
【0060】
本説明の実施形態に従って得られるPAOは、水素添加されて、潤滑油が、約0.1wt%〜約90wt%の量で処方されてもよい。
【0061】
流体について本明細書に報告される全ての動粘度の値は、特段に示されない限り、100℃で測定される。絶対粘度は、次いで、測定された動粘度×液体の密度によって得られることができる。動粘度の単位は、m/秒であり、通常、cStまたはセンチストークスへ換算される(1cSt=10−6/秒、または1cSt=1mo/秒)。
【0062】
本明細書に記載されるPAOは、典型的には、二量体、三量体、四量体、または一種以上のC〜Cアルファ−オレフィンモノマーのより高級オリゴマーである。典型的には、本明細書に記載されるPAOは、通常、多くの異なるオリゴマーの混合物である。一実施形態においては、これらのアルファ−オレフィンからの最小のオリゴマーは、炭素数C10〜C20を有する。これらの小さいオリゴマーは、通常、炭素数C20超(例えば、C24以上)を有するより高級なオリゴマー(高性能流体として典型的に用いられる)から分離される。これらの分離されたC10〜C20オリゴマーオレフィン、または水素添加後の対応するパラフィンは、特殊な用途で用いられることができる。優れた生分解性、毒性、粘性等を有する掘穿流体、溶剤、塗料用シンナー等などである。しばしば、C40以下のより小さなオリゴマーは、残留潤滑油留分から分離されて、最も望ましい特性を有する生成物が得られる。C20、またはC30以上の留分中の高性能流体留分は、不飽和を除去するための水素添加の後、典型的には、より低粘度を有する。これは、それらを、いくつかの用途に好都合にする。より良好な燃料経済性、より良好な生分解性、より良好な低温流動特性、またはより低い揮発性などである。C10〜C30またはC40留分からのこれらのより小さいオリゴマー留分は、水素添加されない場合には、高度の不飽和を有する。それらは、芳香族、ヒドロキシ芳香族、無水マレイン酸による更なる官能基化の出発物質として用いられるか、または化学合成の出発物質として用いられることができる。より高級なオリゴメリゼーション留分、C20以上、またはC24以上、またはC28以上、またはC30以上の留分は、水素添加の後、それ自体による潤滑油基材として、またはブレンド成分として用いられることができる。これらのより高級なオリゴメリゼーション留分は、水素添加されない場合には、芳香族、ヒドロキシ芳香族、無水マレイン酸による更なる官能基化の出発物質として用いられるか、または化学合成の出発物質として用いられることができる。
【0063】
本明細書に記載されるオリゴメリゼーションまたは重合プロセスは、典型的には、100℃Kv約8cSt超を有する最終生成物を製造する方法で行われる。これらの流体を製造するのに用いられるプロセスおよび触媒は、実質的にアタクチックであり、かつ分子量分布(M/M)約1〜約5(約1.1〜約2.5など)を有するポリマーを製造する点で独特である。この特徴から、重合プロセスは、原料タイプに従って、比較的少量の軽質留分(C20またはC24またはC28またはC30以下の留分)を有する潤滑油留分生成物に対して、非常に高い選択性をもたらす。更に、この分子量分布から、最終潤滑油留分は、過度に高分子量の留分を含まない。これは、せん断、熱、および酸化環境下で、不安定性の一因となり得る。
【0064】
本明細書に記載されるPAOは、潤滑油として用いられることができる。或いは、PAOは、他の基材(グループI〜VI)とブレンドされ、潤滑油として用いられてもよい。潤滑油として用いられるためには、PAO単独、または他の基材とブレンドされたPAOは、好ましくは、適切な添加剤と組み合わされる。これには、酸化防止剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤、分散剤、清浄剤、腐食防止剤、消泡剤、極圧剤、シール膨潤剤、任意の粘度調整剤等が含まれる。典型的な添加剤、処方および用途の説明は、非特許文献5および非特許文献6に見出されることができる。これらは、本明細書に、引用して含まれる。
【0065】
他の実施形態においては、本明細書に記載されるPAOは、ノアック揮発性試験(ASTM D5800)によって測定される揮発性20wt%以下を有する。15wt%以下、10wt%以下、5wt%以下、2wt%以下、または1wt%以下などである。しばしば、PAOは、ノアック揮発性5wt%未満を有する。
【0066】
他の実施形態においては、オリゴメリゼーションまたは重合プロセスから直接製造されるPAOは、不飽和オレフィンである。不飽和の量は、ASTM D1159にしたがった臭素価測定によって、またはプロトンまたはC13NMRによって定量測定されることができる。プロトンNMR分光分析はまた、オレフィン不飽和のタイプ(即ち、ビニリデン、1,2−二置換、三置換、またはビニル)を識別および定量することができる。C13NMR分光法は、プロトンスペクトルから計算されたオレフィン分布を確認することができる。
【0067】
プロトンおよびC13NMR分光法はいずれも、C13NMRが、分枝長に関して、より大きな特性を示すことができるものの、オレフィンオリゴマー中の短鎖分枝(SCB)の程度を定量することができる。プロトンスペクトルにおいては、SCB分枝メチル共鳴は、1.05〜0.7ppm範囲に入る。十分に異なる長さのSCBは、分枝長分布を提供するために、別々に積分されるかまたはデコンボリュートションされるのに十分に異なるメチルピークを示すであろう。残りのメチレンおよびメチン信号は、3.0〜1.05ppm範囲で共鳴する。積分をCH、CH、およびCH濃度に関連付けるために、各積分は、プロトン多重度に対して補正されなければならない。メチル積分は、3で割って、メチル基の数が誘導され、残りの脂肪族積分は、各メチル基に対して一つのCH信号を含み、残りの積分はCH信号として含むと仮定される。CH/(CH+CH+CH)比は、メチル基濃度を示す。
【0068】
類似の論理は、プロトン多重度の補正が全く不要であることを除いて、C13NMR分析へ適用される。更に、H NMRに対して、13CNMRの高められたスペクトル/構造分解能は、分枝長によるイオンの区別を可能にする。典型的には、メチル共鳴は、別々に積分されて、メチル(20.5〜15ppm)、プロピル(15〜14.3ppm)、ブチルおよびより長い分枝(14.3〜13.9ppm)、およびエチル(13.9〜7ppm)の分枝濃度が得られることができる。
【0069】
オレフィン分析は、容易に、プロトンNMRによって行われ、オレフィン信号5.9〜4.7ppmは、オレフィンのアルキル置換パターンによって細分される。ビニル基CHプロトンは、5.9〜5.7ppmで共鳴し、ビニルCHプロトンは、5.3〜4.85ppmで共鳴する。1,2−二置換オレフィン性プロトンは、5.5〜5.3ppmで共鳴する。三置換オレフィンピークは、5.3〜4.85ppm領域のビニルCHピークに重なる。この領域へのビニルの寄与は、二倍のビニルCH信号に基づいて、引き算によって除去される。1,1−二置換−またはビニリデン−オレフィンは、4.85〜4.6ppmで共鳴する。オレフィン共鳴は、プロトン多重度に対して補正されると、標準化されて、モル%オレフィン分布が示されるか、または多重度−補正された脂肪族領域(メチル分析に関して上記される)と比較して、分画濃度(例えば、オレフィン/炭素100個)が得られることができる。
【0070】
一般に、不飽和の量は、流体の粘度または流体の分子量に強く左右される。より低粘度の流体は、より高度の不飽和およびより高い臭素価を有する。より高粘度の流体は、より低度の不飽和およびより低い臭素価を有する。大量の水素または高い水素圧が、重合工程中に適用される場合には、臭素価は、水素の存在がない場合より低くてもよい。典型的には、本発明のプロセスで製造される20超〜5000cStポリアルファ−オレフィンについては、合成されたままのPAOは、流体の粘度によって、臭素価50〜1未満を有するであろう。
【0071】
本発明のプロセスによって製造されるPAO流体中のオレフィン性不飽和のタイプは、Hおよび13C−NMRによって確認されるように、独特である。それらは、非常に大量のビニリデンオレフィン、CH=CR、およびはるかにより少ない他のタイプの不飽和(三置換または二置換オレフィンを含む)を含む。ビニリデン含有量はまた、好ましくは、MAO助触媒と共に用いられるメタロセンに基づく先行技術の場合に製造されるポリアルファ−オレフィンのビニリデン含有量よりはるかに多い。本発明においては、ビニリデン含有量は、65モル%超、または70%超、または80%超である。より大量のビニリデン不飽和は、通常、より望ましい。何故なら、これらのタイプのオレフィンは、更なる水素添加または更なる官能基化に対してはるかにより反応性であるからである。ビニリデンオレフィンの量を最大にするのに、多くの方法が記載される。特許文献42に開示されるものなどである。これは、本明細書に、引用して含まれる。
【0072】
ビニリデンオレフィンは、通常、エン反応において、無水マレイン酸と、より早く反応する。それらは、はるかにより容易に水素添加されて、高性能基材のための完全飽和された炭化水素が得られる。通常、水素添加の程度は、流体の酸化安定性に影響を及ぼす。より高度の水素添加、同時により低い臭素価を有する流体は、通常、より良好な酸化安定性を有する。本開示のPAOは、高いビニリデン含有量を有し、従って、水素添加により敏感に反応して、低臭素価流体の形成がもたらされる。水素添加後の臭素価は、好ましくは5未満、より好ましくは3未満、より好ましくは2未満、より好ましくは1未満、より好ましくは0.5未満、より好ましくは0.1未満である。一般に、臭素化がより低いほど、酸化安定性はより良好である。
【0073】
一実施形態においては、本明細書に記載されるPAOは、実質量のアタクチックポリマー構造を含む。換言すれば、PAOは、殆どアタクチック配列のモノマー単位を有する。このアタクチックポリマーは、潤滑油用途に好都合である。アタクチック成分は、非特許文献7に記載されるように、C13NMR法によって決定されるmrトリアドの量によって定義されることができる。本特許出願においては、本発明者らは、実質的アタクチックPAOを、C13NMR分析によるmrトリアド少なくとも約30%(約30モル%超など)を含むポリマーとして定義する。一実施形態においては、所望のアタクチックPAOは、mrトリアド少なくとも約50(約50モル%など)を有する。実施形態においては、PAOは、mrトリアド少なくとも約30モル%のmrトリアド量によって決定されるアタクチックポリマー構造を有する。少なくとも約50モル%、少なくとも約60モル%、少なくとも約70モル%、または少なくとも約75モル%などであり、これは、次に記載されるC13NMRによって決定される。
【0074】
他の実施形態においては、本開示は、更に、mmトリアド70モル%以下、60モル%以下、50モル%以下、40モル%以下、30モル%以下、20モル%以下を含むPAOに関する。これは、次の手順に従って、C13核磁気共鳴(NMR)分光法によって決定される。
【0075】
他の実施形態においては、本明細書に記載されるPAOには、rrトリアドが、約80モル%以下で含まれる。約70モル%以下、約60モル%以下、約50モル%以下、約40モル%以下、約30モル%以下、約20モル%以下、約10モル%以下、または約5モル%以下などである。これは、次の手順に従って、C13核磁気共鳴(NMR)分光法によって決定される。
【0076】
他の実施形態においては、本開示は、更に、mm/mr比約5未満を有するPAOに関する。約4未満、約3未満、約2未満、約1未満などである。これは、次の手順に従って、C13核磁気共鳴(NMR)分光法によって決定される。
【0077】
上記されるように、C13NMRは、本開示のポリアルファオレフィンの立体規則性を、いくつかの場合には定量的に、および他の場合には定性的に、決定するのに用いられる。C13NMRは、mm(メソ、メソ)、mr(メソ、ラセミ)、およびrr(ラセミ、ラセミ)を示すトリアドの濃度、並びに試料のモル組成を決定するのに用いられることができる。これらのトリアドの濃度は、ポリマーが、アイソタクチックか、アタクチックか、またはシンジオタクチックかを定義する。PAO試料のスペクトルは、次の方法で得られる。PAO試料凡そ100〜1000mgを、C13分析用クロロホルム−dの2〜3ml中に溶解する。クロムアセチルアセトネート緩和剤(Cr(acac))凡そ10mg/ml(溶剤ベース)を、試料へ添加して、データ収集速度が高められる。スペクトルの分析は、非特許文献8に従って行われる。これは、末端基の共鳴の同定および積分、並びに分析で用いられるピークへの寄与の除去によって増大される。デコンボリューションは、85/15ローレンツ型/ガウス型線形を用いて、Acorn NMR Inc.のNutsPro NMRデータ分析ソフトウエアにより行われる。成分のピークは、mm、mrおよびrrトリアドの帰属に従って、クラスターにまとめられ、ベルヌーイ分布で適合される。これらの適合のための調整可能なパラメーターは、Prであり、ラセミ立体化学で添加されるモノマーの画分である。一連のトリアド測定(上記のKimによって記載されるものなど)から統計モデル(ベルヌーイなど)へ進む詳細については、非特許文献9を参照されたい。ポリデセンおよびポリドデセンの立体規則性の測定例については、特許文献40(2006年6月2日出願)の実施例の節を参照されたい。
【0078】
実施形態においては、本明細書に記載される生成物は、C20以上の炭化水素に対して、70%以上、好ましくは80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、好ましくは98%以上、好ましくは99%以上の選択性で製造される。
【0079】
一実施形態においては、プロセスの生産性は、遷移金属化合物1gあたり全生成物少なくとも1.5kgである。遷移金属化合物1gあたり全生成物少なくとも2kg、遷移金属化合物1gあたり全生成物少なくとも3kg、遷移金属化合物1gあたり全生成物少なくとも5kg、遷移金属化合物1gあたり全生成物少なくとも7kg、遷移金属化合物1gあたり全生成物少なくとも10kg、または遷移金属化合物1gあたり全生成物少なくとも20kgなどである。
【0080】
他の実施形態においては、プロセスの生産性は、非配位アニオン活性化剤化合物1gあたり全生成物少なくとも1.5kgである。非配位アニオン活性化剤化合物1gあたり全生成物少なくとも2kg、非配位アニオン活性化剤化合物1gあたり全生成物少なくとも3kg、非配位アニオン活性化剤化合物1gあたり全生成物少なくとも5kg、非配位アニオン活性化剤化合物1gあたり全生成物少なくとも7kg、好ましくは非配位アニオン活性化剤化合物1gあたり全生成物少なくとも10kg、または非配位アニオン活性化剤化合物1gあたり全生成物少なくとも20kgである。
【0081】
メタロセンまたは非配位アニオン活性化剤に対して高い生産性を有することは、これらの成分が、通常、触媒系における他の成分より高価な成分であることから、関心事である。経済的運転については、遷移金属化合物または非配位アニオン活性化剤1gあたり少なくとも1.5kgの生産性を有することが重要である。
【0082】
一実施形態においては、本明細書で製造される生成物は、C24以下の炭化水素に対して、60%以下の選択性を有する。50%以下、40%以下、20%以下、好ましくは10%以下、5%以下、1%以下の炭化水素である(特段に示されない限り、wt%である)。
【0083】
一実施形態においては、本明細書で製造される潤滑油または高性能流体は、10%以上、好ましくは20%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、好ましくは70%以上、好ましくは80%以下、好ましくは90%以上、または好ましくは95%以上の選択性を有する(特段に示されない限り、wt%である)。
【0084】
プロセス
ポリ−アルファ−オレフィンを製造するのに、本明細書に記載されるプロセスは、メタロセン触媒を、一種以上の非配位アニオン活性化剤、および任意の一種以上の共活性化剤または毒物スカベンジャーと共に用いる。メタロセン触媒は、非架橋の置換ビス(シクロペンタジエニル)遷移金属化合物である。触媒の一種類は、高度に置換されたメタロセンを含む。これは、高い触媒生産性を示し、動粘度8cSt超(100℃で測定される)を有する生成物を製造する。メタロセンの他の種類は、非架橋の置換シクロペンタジエンである。これには、非架橋の置換または非置換インデンおよびまたはフルオレンが含まれる。本明細書に記載されるプロセスの一態様にはまた、原料オレフィンおよび溶剤(用いられる場合)、またはパージ用窒素ガスストリームの処理が含まれて、触媒毒(過酸化物、酸素−、硫黄−、および窒素−含有有機化合物、および/またはアセチレン化合物など)が除去される。この処理は、触媒生産性を増大すると考えられる。典型的には触媒生産性の増大30%超である。触媒生産性の増大50%超、触媒生産性の増大100%超、触媒生産性の増大200%超、触媒生産性の増大500%超、触媒生産性の増大1000%超、または触媒生産性の増大2000%超などである。多くの場合(原料オレフィン、用いられる場合は溶剤、またはパージ用ガスストリームを精製しない)には、転化が全く得られないか、または非常に低い転化(例えば、5%未満)が得られてもよい。
【0085】
本明細書に記載されるポリアルファ−オレフィン、または本明細書に記載される任意の他のPAOを製造する一プロセス(好ましくは、連続または準連続、若しくはバッチプロセス)は、次の工程を含む。その際、そのポリアルファ−オレフィンは、KV(100℃)約8cSt〜約10,000を有する。約20〜約10,000cSt、約30〜約7,500cSt、約40〜約5,000cSt、または約8〜約1,000cStなどである。即ち、
炭素原子3〜5個を有する一種以上のアルファ−オレフィンモノマーを、次の構造を有する非架橋置換ビスシクロペンタジエニル遷移金属化合物、
【化1】

[式中、Mは、第4族金属であり、
各Xは、独立に、水素、ハロゲン、ハイドライドラジカル、ヒドロカルビルラジカル、置換ヒドロカルビルラジカル、ハロカルビルラジカル、置換ハロカルビルラジカル、シリルカルビルラジカル、置換シリルカルビルラジカル、ゲルミルカルビルラジカル、または置換ゲルミルカルビルラジカルであるか、両Xは、金属原子に結合されて、炭素原子約3〜約20個を含むメタラサイクル環が形成されるか、または両Xは、一緒に、オレフィン、ジオレフィン、またはアライン配位子であることができ、
〜R10は、それぞれ独立に、水素、ヘテロ原子、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビル、またはゲルミルカルビルであるラジカル基であり、ただし、R〜Rの少なくとも一種は、水素でなく、R〜R10の少なくとも一種は、水素でなく、その際いかなる二種の隣接するR基も、任意に、結合されて、置換または非置換の飽和、部分飽和、または芳香族環状または多環置換基が形成される]
並びに非配位アニオン活性化剤および任意のアルキルアルミニウム化合物と、次のi)およびii)の重合条件下で接触させ、その際遷移金属化合物/活性化剤のモル比は、10:1〜0.1:1であり、アルキルアルミニウム化合物が存在する場合には、アルキルアルミニウム/遷移金属化合物のモル比は、1:4〜4000:1である工程を含む。
i)水素は、反応器の全圧に基づいて、分圧0.1〜100psiで存在するか、または水素濃度は、1〜30,000wppm以下である。
ii)炭素原子3〜5個を有するアルファ−オレフィンモノマーは、触媒/活性化剤/アルキルアルミニウム化合物溶液、モノマー、および反応時に存在するいかなる希釈剤または溶剤もの全容積に基づいて、10vol%以上で存在する。
【0086】
一実施形態においては、KV100約8cSt以上を有する液体ポリ−アルファ−オレフィンを製造するプロセスは、
a)反応域において、水素(好ましくは、水素10〜10,000wppm)の存在下に、一種以上のC〜Cアルファ−オレフィンモノマーを、非配位アニオン活性化剤、および次式で表される遷移金属化合物、
【化2】

[式中、Mは、第4族金属であり、
各Xは、独立に、水素、ハロゲン、ハイドライドラジカル、ヒドロカルビルラジカル、置換ヒドロカルビルラジカル、ハロカルビルラジカル、置換ハロカルビルラジカル、シリルカルビルラジカル、置換シリルカルビルラジカル、ゲルミルカルビルラジカル、または置換ゲルミルカルビルラジカルであるか、両Xは、金属原子に結合されて、炭素原子約3〜約20個を含むメタラサイクル環が形成されるか、または両者は、一緒に、オレフィン、ジオレフィン、またはアライン配位子であることができ、
〜R10は、それぞれ独立に、水素、ヘテロ原子、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビル、またはゲルミルカルビルであるラジカル基であり、ただし、1)R〜Rの少なくとも一種は、水素またはイソ−アルキル基でなく、R〜R10の少なくとも一種は、水素またはイソアルキルでないか、2)R〜Rの少なくとも二種は、水素でないか、3)R〜Rの少なくとも二種は、水素でなく、R〜R10の少なくとも二種は、水素でなく、その際いかなる二種の隣接するR〜R基も、C〜C20環状または多環状部分を形成してもよく、しかもいかなる二種の隣接するR〜R10基も、C〜C20環状または多環状部分を形成してもよい]
並びに任意の共活性化剤RMと接触させる工程を含む。式中、Mは、アルミニウムまたはホウ素であり、R、R、およびRは、同じかまたは異なるC〜C24ヒドロカルビルラジカルであることができる。これには、テトラアルキルアルミニウム、トリアルキルボロン化合物、または異なる化合物の混合物が含まれる。
【0087】
連続とは、中断または停止することなく運転する(または作動するものである)システムを意味する。例えば、ポリマーを製造する連続プロセスは、反応体(モノマーおよび触媒成分、および/または毒物スカベンジャーなど)が、連続的に一つ以上の反応器に導入され、ポリマー生成物が連続的に排出されるものであろう。準連続とは、定期的な中断を有して運転する(または作動するものである)系を意味する。例えば、ポリマーを製造するための準連続プロセスは、反応体(モノマーおよび触媒成分、および/またはスカベンジャーなど)が、連続的に一つ以上の反応器中に導入され、ポリマー生成物が断続的に排出されるものであろう。
【0088】
バッチプロセスは、連続または準連続でない。
【0089】
一実施形態においては、オリゴメリゼーションの反応温度は、いくつかの手段(連続または準連続運転など)で、熱除去、触媒または原料若しくは溶剤の添加速度によって制御される。触媒溶液、原料オレフィン、および/または溶剤および/またはスカベンジャーは、通常、室温または周囲温度で添加されるか、若しくは所望温度へ予冷されることができることから、反応器へのそれらの添加は、反応熱を軽減し、一定の反応温度を維持するのに資することができる。この方式の運転は、温度を、所望反応温度の20℃以内(通常は所望温度の10℃以内、所望温度の5℃以内、所望温度の3℃以内、または所望温度の1℃以内)に、30分間に亘って(通常は全反応に対して)制御することができる。
【0090】
通常、反応器(少量の出発液体を含む)は、準連続運転で、所望反応温度の10℃以内へ予熱される。この出発液体は、前の運転からの原料オレフィン、触媒成分、溶剤またはポリアルファ−オレフィン残であるか、または前の運転からのポリアルファ−オレフィン生成物、若しくは任意の他の適切な液体であることができる。通常、前の運転からの原料オレフィンの一部、溶剤またはPAO残、または前の運転からのPAO生成物は、より好ましい出発液体である。反応器が所望温度にある場合には、原料オレフィン、触媒成分、選択された量の水素、溶剤、および他の成分は、連続的に、選択された速度で添加されることができる。共活性化剤またはスカベンジャー(所定量の一部または全て)は、出発液体へ添加されることができる。任意に、共活性化剤またはスカベンジャーの一部または全てが、原料オレフィンまたは溶剤ストリームへ添加されて、反応の効率が、最大にされることができる。重合反応が、反応温度で始った際には、熱が放出される。反応温度を可能な限り一定に維持するために、熱は、本明細書に記載されるか、または当該技術分野で一般に知られるいくつかの方法の一つ以上によって除去される。熱を除去するための一つの可能な方法は、反応器の内容物のストリームを、熱交換器を通して連続的に循環することであり、これは、この側流を、熱交換器を通して圧送して、側流を僅かに冷却し、次いでそれを反応域に圧送して戻すことによる。この循環の速度およびこの側流の冷却の程度は、反応域温度を効果的に制御するのに用いられることができる。或いは、反応速度が、反応温度を維持するのに十分に高くない場合には、外部加熱が、反応器へ供給されて、所望温度が維持される。一定の反応温度を維持する他の方法は、原料オレフィンまたは溶剤の添加速度、および原料オレフィンまたは溶剤の温度を制御することによる。或いは、反応の熱が、除去されて、一定の反応温度が維持されることができる。これは、反応器中の溶剤または他の不活性物質の一部を沸騰させて、蒸気を冷却コンデンサー(典型的には沸騰する反応器中にある)を用いて凝縮することによる。この方式の運転は、しばしば、原料の一種が他の非反応性C留分(n−ブタン、イソ−ブタン、シス−およびトランス−2−ブテン、およびイソブテンなど)を含む混合ブテンストリームである場合に好ましい。反応体の添加が完了した後、反応は、所望の時間量継続することが可能にされて、最高の原料オレフィン転化が得られる。
【0091】
連続方式の運転においては、運転は、準連続運転と類似の方法で開始される。ただし、反応器が、所定レベルまで充填されている場合には、反応生成物混合物の所定量が、反応器から排出され、一方全成分の添加が継続される。原料の添加の速度および反応器から排出される反応生成物の量は、反応時間または滞留時間を決定する。これは、経済的な運転のための高い原料オレフィン転化および高い反応器処理量を得るのに、予め決定されることができる。
【0092】
本プロセスにおいては、いくつかの要因が、最適な結果のために考量される。第一は、触媒成分の選択である。共活性化剤および毒物スカベンジャーとしての少量のトリアルキルアルミニウムを有する非配位アニオン(NCA)によって活性化される非架橋の置換メタロセンは、効果的な触媒である。メタロセン成分は、ジハライドまたはジアルキルであることができる。しかし、通常、ジアルキル形態のメタロセンは、NCA活性化剤と相互作用して、活性触媒を得るための活性化学成分である。メタロセンジハライドが用いられる場合には、それは、典型的には、ジハライド型をジアルキル型に転化するのに、トリ−アルキルアルミニウムまたは他のアルキル化試薬の添加を必要とする。この場合には、トリ−アルキルアルミニウム/メタロセンのモル比は、凡そ4〜4000、好ましくは8〜500である。メタロセンジアルキル(ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、またはビス(メチル−3−n−ブチシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、若しくは多くの他のジアルキルメタロセン等など)が用いられる場合には、少量のトリ−アルキルアルミニウムが、最適の触媒生産性を与えるのに用いられる。この場合には、トリアルキルアルミニウム/メタロセンのモル比は、典型的には、2〜500、好ましくは3〜200、より好ましくは3〜100、または3〜10である。用いられるNCAの量がまた、重要である。メタロセン/NCAのモル比は、10〜0.1の範囲であることができる。1〜1または0.5〜2などである。
【0093】
加えて、メタロセン濃度の量は、重要である。最高の触媒生産性、潤滑油範囲生成物に対する最高い選択性、および最良の温度制御および運転性を達成するために、オレフィン原料1gあたりのメタロセンの有利な量は、オレフィン1gあたり1マイクログラム(または0.001ミリグラム)〜オレフィン1gあたり1ミリグラムの範囲である。用いられる触媒成分の量が高すぎる場合には、温度制御は、困難になり、生成物選択性は、悪化し、触媒コストは経済的でなくなる場合がある。
【0094】
反応器中に存在する水素量はまた、重要である。通常、より少量の水素が用いられることができる。水素の頭圧は、通常、300psi以下で維持される。50psi未満、30psi未満、20psi未満、または10psi未満などである。或いは、原料組成物中の水素量は、濃度1ppm〜30,000ppmで存在する。10〜10,000ppmまたは10〜1,000ppmなどである。通常、より低い水素圧が、活性を増強するのに維持される。驚くべきことには、反応媒体中に存在する水素は、低レベルの水素圧または水素濃度で、容易には、出発アルファ−オレフィン原料を、対応するアルカンに水素添加しないことが見出されている。実際に、水素が反応混合物中に存在する場合には、触媒生産性は、実質的に、増大することが見出されている。これはまた、低レベルの水素の存在が、高いビニリデン含有量を有するオレフィン性ポリマーをもたらすという点で望ましい。これは、後に、既知の方法によって、官能基化されることができる。特許文献43に開示されるものなどである。従って、反応器の水素圧を、300psi未満(100psi未満、50psi未満、25psi未満、10psi未満など)に維持することが好ましい。低圧の水素は、不飽和ポリマーを製造するのに好都合であるだけでなく、それはまた、低価値アルカンへの原料材の水素添加を最小にするのに重要である。同様に、最少量の水素が望ましい。例えば、水素は、少なくとも1psi、または少なくとも5psiのレベルで存在する。通常、水素5〜100psiを反応器へ添加することが実用的である。
【0095】
反応時間または滞留時間はまた、原料オレフィンの転化の程度に影響する。通常、より長い反応時間または滞留時間は、より高い原料オレフィン転化に好都合である。しかし、高い転化および高い反応器処理量を考量するためには、反応時間または滞留時間は、通常、1分〜30時間である。5分〜16時間または10分〜10時間などである。この全滞留時間は、単一の反応器若しくは一連のカスケード型または並行型反応器を用いることによって、若しくは反応体原料速度を制御することによって達成されることができる。
【0096】
NCAおよび/または共活性化剤を用いて活性化されたメタロセンの選択的に選ぶことによって、および反応運転条件(用いられる触媒量を含む)の選択的に選ぶことによって、並びに共活性化剤またはスカベンジャーとしてのトリアルキルアルミニウム、滞留時間または反応時間、および水素量の適正量を用いて、ポリアルファ−オレフィンは、用いられるメタロセン1gあたり全生成物1.5キログラム超の高い触媒生産性で製造される。この高い生産性は、プロセスを、経済的かつ商業的に魅力的なものにする。
【0097】
反応が、準連続運転またはバッチ運転で完了するか、または生成物が連続運転から排出された後、原料生成物は、次によって、作製されることができる。即ち、触媒を、少量の酸素、二酸化炭素、空気、水、アルコール、酸、またはいかなる他の触媒毒物を添加することによって不活性化し、生成物を、希水酸化ナトリウム水溶液または塩酸溶液、および水で洗浄し、有機層を分離することによる。有機層は、典型的には、未反応オレフィン、オレフィンオリゴマー、および溶剤を含む。生成物留分は、蒸留または当該技術分野で知られる他の方法によって、溶剤および未反応の出発オレフィンから分離されることができる。生成物留分は、更に、軽質留分および残油留分に分留されることができる。これらの留分は、典型的には、水素が反応器に全く添加されないか、または非常に少量の水素(H10psi未満またはH10ppm未満など)が反応器に添加される場合に、不飽和二重結合1個/分子を有する。二重結合は、殆どビニリデンであり、オレフィンの残りいくらかは、1,2−二置換オレフィンまたは三置換オレフィンである。これらのオレフィンは、周知のオレフィン官能基化反応(芳香族含有化合物、無水マレイン酸、ヒドロホルミル化反応によるCO/Hなどを用いるアルキル化など)に従って、他の機能性流体または性能添加剤に更に官能基化するのに適切である。残油留分(通常、炭素24個未満を有する軽質炭化水素を殆ど有さないか、または全く有さない)は、それらの臭素価が2未満である場合には、潤滑油基材または高性能流体として用いられることができる。臭素価が2超である場合には、それは、従来の潤滑油水素仕上げプロセスによって、容易に水素添加され、臭素価2未満(通常、実質的に2未満)の十分に飽和されたパラフィン流体に転化されることができる。通常、より低い臭素価が、より好ましい。何故なら、それが、より良好な酸化安定性を示すからである。これらの水素添加され、飽和された炭化水素パラフィンは、高性能潤滑油基材として用いられるか、または処方後に、高性能機能性流体として用いられる。典型的な潤滑油または機能性流体の処方に関する説明は、非特許文献10およびその引用に見出されることができる。
【0098】
或いは、重合反応器からの原料生成物は、触媒成分およびスカベンジャー成分、およびいかなる他のヘテロ原子−含有成分をも、固体収着剤を用いて吸収することによって、作製されることができる。これは、好都合な方法であり、次の実施例で用いられる。この方法においては、上記される触媒不活性化剤は、原料反応へ添加され、引続いて固体収着剤が添加される。または別に、固体収着剤(アルミナ、酸性白土、Celite(登録商標)、または任意の知られたろ過助剤など)が、原料生成物へ添加される。スラリーは、所定の時間量(通常、5分超)撹拌される。次いで、固体はろ過され、ろ過液は、更なる蒸留または分留に使用可能となる。この方法は、特許文献44(2007年4月26日出願)に、より完全に記載される。これは、本明細書に、引用して含まれる。
【0099】
他の実施形態においては、プロセスは、更に、本明細書で製造されるPAOを、典型的な水素添加条件下に、殆ど飽和されたパラフィン質PAOをもたらす水素添加触媒を用いて、水素と接触させる工程を含む。
【0100】
メタロセン触媒化合物
本開示および請求の目的のために、用語「ヒドロカルビルラジカル」、「ヒドロカルビル」および「ヒドロカルビル基」は、本明細書を通して同義的に用いられる。同様に、用語「基」、「ラジカル」、および「置換基」はまた、本明細書を通して交換的に用いられる。本開示の目的のために、「ヒドロカルビルラジカル」は、C〜C100ラジカルであると定義され、線形、分枝、または環状であってもよい。環状の場合には、炭化水素ラジカルは、芳香族または非芳香族であってもよい。「炭化水素ラジカル」は、置換ヒドロカルビルラジカル、ハロカルビルラジカル、置換ハロカルビルラジカル、シリルカルビルラジカル、およびゲルミルカルビルラジカルを含むと定義され、これらの用語は、次に定義される。置換ヒドロカルビルラジカルは、少なくとも一種の水素原子が、少なくとも一種の官能基(NR、OR、SeR、TeR、PR、AsR、SbR、SR、BR、SiR、GeR、SnR、PbRなど)と置換されているか、または少なくとも一種の非炭化水素原子または基(−O−、−S−、−Se−、−Te−、−N(R)−、=N−、−P(R)−、=P−、As(R)−、=As−、−Sb(R)−、=Sb−、−B(R)−、=B−、−Si(R−、−Ge(R−、−Sn(R−、−Pb(R−など)が、ヒドロカルビルラジカル内に挿入されているラジカルである。式中、Rは、独立に、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであり、二つ以上のRが、一緒に結合されて、置換または非置換の飽和、部分不飽和、または芳香族環状または多環式環構造が形成されてもよい。
【0101】
ハロカルビルラジカルは、一種以上のヒドロカルビル水素原子が、少なくとも一種のハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)またはハロゲン−含有基(例えば、CF)と置換されているラジカルである。
【0102】
置換ヒドロカルビルラジカルは、少なくとも一種のハロカルビル水素またはハロゲン原子が、少なくとも一種の官能基(NR、OR、SeR、TeR、PR、AsR、SbR、SR、BR、SiR、GeR、SnR、PbRなど)と置換されているか、または少なくとも一種の非炭素原子または基(−O−、−S−、−Se−、−Te−、−N(R)−、=N−、−P(R)、=P−、−As(R)−、=As−、−Sb(R)−、=Sb−、−B(R)−、=B−、−Si(R−、−Ge(R−、−Sn(R−、−Pb(R−など)が、ハロカルビルラジカル内に挿入されているラジカルである。式中、Rは、独立に、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルである。ただし、少なくとも一種のハロゲン原子は、原ハロカルビルラジカル上に残留している。更に、二つ以上のRが、一緒に結合されて、置換または非置換の飽和、部分不飽和、若しくは芳香族環状または多環式環構造が形成されてもよい。
【0103】
シリルカルビルラジカル(これはまた、シリルカルビルと呼ばれる)は、シリル官能基が表示の原子へ直接結合される基である。例には、SiH、SiH、SiHR、SiR、SiH(OR)、SiH(OR、Si(OR、SiH(NR)、SiH(NR、Si(NRなどが含まれる。式中、Rは、独立に、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであり、二つ以上のRが、一緒に結合されて、置換または非置換の飽和、部分不飽和、若しくは芳香族環状または多環式環構造が形成されてもよい。
【0104】
ゲルミルカルビルラジカル(これはまた、ゲルミルカルビルと呼ばれる)は、ゲルミル官能基が、表示の原子へ直接結合される基である。例には、GeH、GeH、GeHR、GeR、GeH(OR)、GeH(OR、Ge(OR、GeH(NR)、GeH(NR、Ge(NRなどが含まれる。式中、Rは、独立に、ヒドロカルビルまたはハロカルビルラジカルであり、二つ以上のRが、一緒に結合されて、置換または非置換の飽和、部分不飽和、若しくは芳香族環状または多環式環構造が形成されてもよい。
【0105】
極性ラジカルまたは極性基は、ヘテロ原子官能基が表示の原子へ直接結合された基である。それらには、周期律表のグループ1〜17のヘテロ原子(炭素および水素を除く)が、単独か、または共有結合または他の相互作用(イオン結合、ファンデルワールス力、または水素結合など)によって他の元素に接続されるかのいずれかで含まれる。官能基ヘテロ原子含有基の例には、カルボン酸、酸ハライド、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、カルボン酸無水物、アルデヒドおよびそれらのカルコゲン(第14族)類似体、アルコールおよびフェノール、エーテル、ペルオキシドおよびヒドロペルオキシド、カルボン酸アミド、ヒドラジドおよびイミド、アミジンおよび他の窒素類似体(アミド、ニトリル、アミンおよびイミン、アゾ、ニトロ、他の窒素化合物)、硫黄酸、セレン酸、チオール、スルフィド、スルホキシド、スルホン、ホスフィン、ホスフェート、他のリン化合物、シラン、ボラン、ボレート、アラン、アルミネートが含まれる。官能基はまた、広範に解釈されて、有機ポリマー担体または無機担体物質(アルミナおよびシリカなど)が含まれてもよい。極性基の好ましい例には、NR、OR、SeR、TeR、PR、AsR、SbR、SR、BR、SnR、PbRなどが含まれる。式中、Rは、独立に、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、または置換ハロカルビルラジカルであり、これは、上記に定義される。二つのRが、一緒に結合されて、置換または非置換の飽和、部分不飽和、若しくは芳香族環状または多環式環構造が形成されてもよい。
【0106】
用語「置換または非置換シクロペンタジエニル配位子」、「置換または非置換インデニル配位子」、「置換または非置換フルオロレニル配位子」、および「置換または非置換テトラヒドロインデニル配位子」を用いるに際して、前述の配位子への置換は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビル、またはゲルミルカルビルであってもよい。置換基はまた、ヘテロシクロペンタジエニル配位子、ヘテロインデニル配位子、ヘテロフルオレニル配位子、またはヘテロテトラヒドロインデニル配位子を与える環内にあってもよく、そのそれぞれは、加えて、置換または非置換されることができる。
【0107】
いくつかの実施形態においては、ヒドロカルビルラジカルは、独立に、メチル、エチル、エテニル、および次の異性体から選択される。即ち、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘネイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘネイコセニル、ドコセニル、トリコセニル、テトラコセニル、ペンタコセニル、ヘキサコセニル、ヘプタコセニル、オクタコセニル、ノナコセニル、トリアコンテニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニル、ノナデシニル、エイコシニル、ヘネイコシニル、ドコシニル、トリコシニル、テトラコシニル、ペンタコシニル、ヘキサコシニル、ヘプタコシニル、オクタコシニル、ノナコシニル、トリアコンチニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、ヘプタジエニル、オクタジエニル、ノナジエニル、およびデカジエニルである。また、飽和、部分不飽和、並びに芳香族環状および多環式構造の異性体が含まれる。その際、ラジカルは、加えて、上記されるタイプの置換に付されてもよい。例には、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、プロピルフェニル、ジプロピルフェニル、ベンジル、メチルベンジル、ナフチル、アントラセニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、ノルボルニル、ノルボルネニル、アダマンチルなどが含まれる。本開示については、ラジカルが列挙される場合には、それは、ラジカルタイプおよび全ての他のラジカルが、そのラジカルタイプが、上記に定義される置換基に付される場合に形成されることを示す。列挙されるアルキル、アルケニル、およびアルキニルラジカルには、適切な環状異性体を含む全ての異性体が含まれる。例えば、ブチルには、n−ブチル、2−メチルプロピル、1−メチルプロピル、t−ブチル、およびシクロブチル(並びに類似置換シクロプロピル)が含まれ、ペンチルには、n−ペンチル、シクロペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−エチルプロピル、およびネオペンチル(並びに類似置換シクロブチルおよびシクロプロピル)が含まれ、ブテニルには、EおよびZ型の1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、および2−メチル−2−プロペニル(並びにシクロブテニルおよびシクロプロペニル)が含まれる。置換基を有する環状化合物には、全ての異性体形型が含まれる。例えば、メチルフェニルには、オルト−メチルフェニル、メタ−メチルフェニル、およびパラ−メチルフェニルが含まれるであろうし、ジメチルフェニルには、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジフェニルメチル、3,4−ジメチルフェニル、および3,5−ジメチルフェニルが含まれるであろう。
【0108】
シクロペンタジエニルおよびインデニル配位子の例は、配位子の一部として、次に示される。
【0109】
「環炭素原子」は、環状環構造の一部である炭素原子である。この定義によって、インデニル配位子は、9個の環炭素原子を有し、シクロペンタジエニル配位子は、5個の環炭素原子を有し、およびフルオレニル配位子は、13個の炭素原子を有する。従って、インデンは、二種のアルキルラジカル置換基を有するCp環に同等であり、フルオレンは、4個のアルキルラジカル置換基を有するCp環に同等である。加えて、環状環はまた、水素添加されることができる。例えば、ジ−ヒドロ−またはテトラ−ヒドロ−インデニル配位子、ジ−ヒドロ、テトラ−ヒドロ、またはオクタ−ヒドロ−フルオレニル配位子が適切である。
【0110】
本明細書で有用なメタロセン化合物(前触媒)は、好ましくは、チタン、ジルコニウム、およびハフニウムのシクロペンタジエニル誘導体である。一般に、有用なチタノセン、ジルコノセン、およびハフノセンは、次式によって表すことができる。
(CpCp)MX (2)
式中、Mは、金属中心であり、第4族金属である。好ましくは、チタン、ジルコニウム、またはハフニウム(例えば、ジルコニウムまたはハフニウム)である。
CpおよびCpは、同じかまたは異なるシクロペンタジエニル環(それぞれ、Mへ結合される)であり、1)CpおよびCpはいずれも、少なくとも一種の非−イソアルキル置換基と置換されるか、または2)Cpは、2〜5個の置換基「R」と置換される。好ましくは、CpおよびCpはいずれも、2〜5個の置換基「R」と置換され、各置換基Rは、独立に、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビル、またはゲルミルカルビルであるラジカルであるか、またはCpおよびCpは、同じかまたは異なるシクロペンタジエニル環であり、いかなる二種の隣接するR基も、任意に結合されて、置換または非置換の飽和、部分不飽和、または芳香族環状または多環式置換基が形成される。
およびXは、独立に、水素、ハロゲン、ハイドライドラジカル、ヒドロカルビルラジカル、置換ヒドロカルビルラジカル、ハロカルビルラジカル、置換ハロカルビルラジカル、シリルカルビルラジカル、置換シリルカルビルラジカル、ゲルミルカルビルラジカル、または置換ゲルミルカルビルラジカルであるか、またはいずれのXも、金属原子へ結合されて、約3〜約20個の炭素原子を含むメタラサイクル環が形成されるか、若しくはどちらも、オレフィン、ジオレフィン、またはアライン配位子であることができる。
【0111】
表Aは、式2のメタロセン成分の典型的な構成部分を示す。表は、説明目的のためだけのものであり、いかなる方法でも限定すると解釈されるべきでない。多数の最終成分は、構成部分を互いに全て可能に組み合わせることを、変更することによって形成されてもよい。アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、および芳香族ラジカルを含むヒドロカルビルラジカルが、本出願に開示される場合には、用語には、全ての異性体が含まれる。例えば、ブチルには、n−ブチル、2−メチルプロピル、t−ブチル、およびシクロブチルが含まれ;ペンチルには、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−エチルプロピル、ネオペンチル、シクロペンチル、およびメチルシクロブチルが含まれ;ブテニルには、EおよびZ型の1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、および2−メチル−2−プロペニルが含まれる。これには、ラジカルが他の基へ結合される場合が含まれる。例えば、プロピルシクロペンタジエニルには、n−プロピルシクロペンタジエニル、イソプロピルシクロペンタジエニル、およびシクロプロピルシクロペンタジエニルが含まれる。
【0112】
一般に、表Aに示される配位子および基には、全ての異性体型が含まれる。例えば、ジメチルシクロペンタジエニルには、1,2−ジメチルシクロペンタジエニルおよび1,3−ジメチルシクロペンタジエニルが含まれ、メチルインデニルには、1−メチルインデニル、2−メチルインデニル、3−メチルインデニル、4−メチルインデニル、5−メチルインデニル、6−メチルインデニル、および7−メチルインデニルが含まれ、メチルエチルフェニルには、オルソ−メチルエチルフェニル、メタ−メチルエチルフェニル、およびパラ−メチルエチルフェニルが含まれる。遷移金属成分の夫々を示すために、表Aに列記される種のいかなる組み合わせをも選択されたい。
【0113】
【表1−a】

【0114】
【表1−b】

【0115】
【表1−c】

【0116】
【表1−d】

【0117】
【表1−e】

【0118】
【表1−f】

【0119】
【表1−g】

【0120】
本開示の実施形態においては、NCAと共に用いられる場合には、Cは、Cと同じであり、置換シクロペンタジエニル、インデニル、またはテトラヒドロインデニル配位子である。
【0121】
好ましいメタロセン化合物(前触媒)は、本発明に従って、8cSt超のPAOを製造するのに固有の触媒系を提供する。これには、次が含まれる。即ち、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(イソ−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(イソ−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(第三−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(n−ペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(n−ドデシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1−メチル−2−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1−メチル−2−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1−メチル−2−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1−メチル−3−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1−メチル−3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1−メチル−3−n−ペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1,2−ジメチル−4−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1,2−ジメチル−4−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1,2−ジメチル−4−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1,2−ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1,3−ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1,2−ジ−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1,2−ジ−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1−メチル−2,4−ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1,2−ジエチル−4−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1,2−ジエチル−4−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1−メチル−3−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1−エチル−3−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)(1,2−ジ−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(1,3−ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(1−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド
ビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド
(シクロペンタジエニル)(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド
である。
【0122】
触媒にはまた、ジルコニウムジハライド、上記化合物のジメチル、ジイソブチル、ジ−n−オクチル、または他のジアルキル類似体、並びにハフニウムジクロライド、ジハライド、または上記化合物のハフニウムジメチルまたはジアルキル類似体が含まれる。
【0123】
有利な触媒化合物には、次が含まれる。即ち、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドおよび
ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1−メチル−2−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1−メチル−3−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1−メチル−3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルおよび
ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(1−メチル−2−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(1−メチル−3−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(1−メチル−3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、
またはそれらのジイソブチル類似体
である。これらのメタロセンジアルキル化合物は、触媒系中に、予成形メタロセンを出発物質として用いることによって存在してもよい。しばしば、それらは、トリアルキルアルミニウム化合物と共に、メタロセンハロゲン化物からの反応生成物として存在する(共活性化剤/スカベンジャー)。
【0124】
別の実施形態においては、メタロセン化合物は、ラセミ体でない。別の実施形態においては、本発明のアタクチックポリアルファ−オレフィンをまた製造することができる広範囲のフルオレニル含有種には、次の群が含まれる。非架橋フルオレニル/シクロペンタジエニル種((Cp、フルオレニル)ZrClなど)、非架橋フルオレニル/インデニル種((In、フルオレニル)ZrClなど)、非架橋フルオレニル/フルオレニル種((フルオレニル)2ZrClなど)、若しくは架橋ブルオレニル/フルオレニルCv−対称種(Me2Si(フルオレニル)ZrClなど)、または一種のフルオレニル配位子および他の嵩だか配位子を含む架橋C−対称種、等である。これは、非特許文献11に記載される。
【0125】
活性化剤および触媒の活性化
触媒前駆体は、非配位アニオン活性化剤などの活性化剤によって活性化されるが、オレフィンの重合またはオリゴメリゼーションのための活性触媒を形成する。用いられてもよい活性化剤には、トリフェニルボロン、トリス−パーフルオロフェニルボロン、トリス−パーフルオロフェニルアルミニウムなどのルイス酸活性化剤、および/またはジメチルアニリニウム、テトラキスパーフルオロフェニルボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキスパーフルオロフェニルボレート、ジメチルアニリニウムテトラキスパーフルオロフェニルアルミネートなどのイオン活性化剤が含まれる。
【0126】
共活性化剤は、遷移金属錯体をアルキル化することが可能な化合物である。活性化剤と組み合わせて用いられた場合には、活性触媒が形成される。共活性化剤には、メチルアルミノキサン、修飾メチルアルミノキサンなどの修飾アルミノキサン、およびトリメチルアルミニウム、トリ−イソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−イソプロピルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウム、またはトリ−n−ドデシルアルミニウムなどのアルミニウムアルキルが含まれる。共活性化剤は、前触媒がジヒドロカルビルまたはジヒドリド錯体でない場合には、典型的には、ルイス酸活性化剤およびイオン活性化剤と組み合わせて用いられる。しばしば、共活性化剤がまた、用いられ、これは、スカベンジャーとして、原料ストリームへ、または触媒ストリームへ、または単一または多重ストリームで反応器へ添加されて、原料または反応器中の不純物が、不活性化される。多くの場合には、メタロセン成分のジアルキル型が用いられる場合でさえ、少量の共活性化剤がまた、触媒系または反応器系へ添加されて、効果が更に促進されるか、または反応器系の不純物が除去される。
【0127】
特に有用な共活性化剤には、式:RAlによって表されるアルキルアルミニウムが含まれる。式中、各Rは、独立に、C〜C18アルキル基であり、好ましくは、各Rは、独立に、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、イソ−ブチル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソ−ヘキシル、n−ヘプチル、イソ−ヘプチル、n−オクチル、イソ−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、およびそれらのイソ類似体から選択される。
【0128】
イオン活性化剤(しばしば、共活性化剤と組み合わせて用いられる)は、本発明を実施する際に用いられてもよい。好ましくは、別個のイオン活性化剤が、用いられることができる。[MePhNH][B(C]、[PhC][B(C]、[MePhNH][B((C−3,5−(CF))]、[PhC][B((C−3,5−(CF))]、[NH][B(C]など)またはルイス酸活性化剤(B(C、またはB(Cなど)である。式中、Phはフェニルであり、Meはメチルである。好ましい共活性化剤は、用いられる場合には、アルミノキサンである。メチルアルミノキサン、修飾メチルアルミノキサンなどの修飾アルミノキサン、およびトリ−イソブチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−イソプロピルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウム、またはトリ−n−ドデシルアルミニウムなどのアルミニウムアルキルなどである。
【0129】
イオン化または化学量論的活性化剤、中性、またはイオン性を用いることは本発明の範囲内である。トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリスパーフルオロフェニルボロンメタロイド前駆体またはトリスパーフルオロナフチルボロンメタロイド前駆体、ポリハロゲン化へテロボランアニオン(特許文献45)、ホウ酸(特許文献46)、またはそれらの組み合わせなどである。特許文献45および特許文献46は、本発明に、引用して含まれる。
【0130】
中性化学量論的活性化剤の例には、トリ−置換ボロン、テルル、アルミニウム、ガリウム、およびインジウム、またはそれらの組み合わせが含まれる。三つの置換基は、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、ハロゲン、置換アルキル、アリール、アリールハライド、アルコキシ、およびハライドから選択される。好ましくは、三つの置換基は、独立に、ハロゲン、モノまたは多環(ハロ置換を含む)アリール、アルキル、およびアルケニル化合物、並びにそれらの混合物から選択される。好ましくは、炭素原子1〜20個を有するアルケニル基、炭素原子1〜20個を有するアルキル基、炭素原子1〜20個を有するアルコキシ基、および炭素原子3〜20個を有するアリール基(置換アリールを含む)である。より好ましくは、三つの基は、炭素原子1〜4を有する個を有するアルキル、フェニル、ナフチル、またはそれらの混合物である。更により好ましくは、三つの基は、ハロゲン化される。好ましくはフッ素化アリール基である。最も好ましくは、中性化学量論的活性化剤は、トリスパーフルオロフェニルボロン、またはトリスパーフルオロナフチルボロンである。
【0131】
イオン性化学量論的活性化剤化合物は、活性プロトン、若しくはイオン化化合物の残りのイオンに付随される(配位されない)か、または緩く配位される他のカチオンを含んでもよい。これらの化合物などは、特許文献48、特許文献49、特許文献50、特許文献51、特許文献52、特許文献53、特許文献54、特許文献55、特許文献56、特許文献57、特許文献58、特許文献59、特許文献60(1994年8月3日出願)に記載される。これらはすべて、本明細書に、引用して完全に含まれる。
【0132】
イオン性触媒は、遷移金属化合物を、B(Cなどの活性化剤と反応させることによって調製されることができる。これは、遷移金属化合物の加水分解可能配位子(X’)との反応に際して、([B(C(X’)])などのアニオンを形成する。これは、反応によって生成されたカチオン性遷移金属種を安定化する。触媒は、イオン性化合物または組成物である活性化剤または組成物である活性化剤成分を用いて調製されることができ、好ましくは調製される。しかし、中性化合物を用いる活性化剤の調製はまた本発明によって予期される。
【0133】
本発明のプロセスで用いられるイオン性触媒系を調製する際に活性化剤として有用な化合物は、カチオン(好ましくは、プロトンを供与することができるブレンステッド酸である)、およびアニオンが比較的大きい(嵩だかな)適合性の非配位アニオンを含む。これは、二つの化合物が組み合わされる際に形成される活性触媒を安定化することができ、そのアニオンは、オレフィン性の、ジオレフィン性の、およびアセチレン性の不飽和置体、またはエーテル、ニトリルなどの他のルイス塩基によって置換されるのに、十分に不安定であろう。非配位アニオンの二つの種類は、1988年に公開された特許文献61および特許文献62に記載されている。即ち、1)中央電荷金属またはメタロイド核に共有結合的に配位され、かつそれを遮蔽する多数の親油性ラジカルを含むアニオン性配位錯体、2)カルボラン、メタラカルボラン、およびボランなどのホウ素原子の多数を含むアニオンである。これらの非配位アニオンはいずれも、本明細書に記載されるプロセスで用いられてもよい。特許文献61および特許文献62の開示は、本明細書に、引用して含まれる。好ましい実施形態においては、化学量論的活性化剤には、カチオンおよびアニオン成分が含まれる。これは、次式によって表すことができる。
(L**−H)d+(Ad−
式中、L**は、中性ルイス塩基であり、Hは水素であり、(L**−H)d+はブレンステッド酸であり、Ad−は電荷d−を有する非配位アニオンであり、dは整数1〜3である。
【0134】
カチオン性分((L**−H)d+)には、プロトンまたはプロトン化ルイス塩基、若しくはアルキルまたはアリールなどの部分をプロトン化するか、若しくはそれらをアルキル化後の前触媒から抜出すことができる還元性ルイス酸が含まれてもよい。
【0135】
活性化カチオン((L**−H)d+)は、プロトンを、遷移金属カチオンをもたらすアルキル化遷移金属触媒前駆体へ供与することができるブレンステッド酸であってもよい。これには、アンモニウム、オキソニウム、ホスホニウム、シリリウム、およびそれらの混合物が含まれる。好ましくは、メチルアミン、アニリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、メチルジフェニルアミン、ピリジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリンのアンモニウム;トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、およびジフェニルホスフィンからのホスホニウム;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、およびジオキサンなどのエーテルからのオキソニウム;ジエチルチオエーテル、およびテトラヒドロチオフェンなどのチオエーテルからのスルホニウム;およびそれらの混合物である。活性化剤((L**−H)d+)はまた、銀、トロピリウム、カルベニウム、フェロセニウム、および混合物などの部分であってもよい。好ましくは、カルボニウム、フェロセニウムであり、最も好ましくは、トリフェニルカルボニウムである。
【0136】
アニオン成分(Ad−)には、[Mk+d−を有するものが含まれる。式中、kは整数1〜3であり、nは整数2〜6であり、n−k=dであり、Mは、元素周期律表の第13族から選択される元素であり、好ましくはホウ素またはアルミニウムであり、Qは、独立に、ハイドライド、架橋または非架橋ジアルキルアミノ、ハライド、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、およびハロ置換ヒドロカルビルラジカルであり、前記Qは、一出現未満の場合に、Qはハライドである条件で、炭素原子20個以下を有する。好ましくは、各Qは、炭素原子1〜20個を有するフッ化ヒドロカルビル基であり、より好ましくは、各Qは、フッ化アリール基であり、最も好ましくは、各Qは、ペンタフルオリルアリール基である。適切な(Ad−)にはまた、ジボロン化合物が含まれる。これは、特許文献63(本明細書に、引用して含まれる)に記載される。
【0137】
本明細書で用いられる触媒を調製する際に、共活性化剤と組み合わせて活性化共触媒として用いられてもよいホウ素化合物について、例示の限定しない例は、トリ置換アンモニウム塩:
トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、
トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、
トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、
トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、
トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、
N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、
N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラフェニルボレート、
トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(sec−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリメチルアンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
トリエチルアンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
ジメチル(t−ブチル)アンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
トリメチルアンモニウムテトラキス−(パーフルオロナフチル)ボレート、
トリエチルアンモニウムテトラキス−(パーフルオロナフチル)ボレート、
トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス−(パーフルオロナフチル)ボレート、
トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラキス−(パーフルオロナフチル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス−(パーフルオロナフチル)ボレート、
N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス−(パーフルオロナフチル)ボレート、
N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス−(パーフルオロナフチル)ボレート、
トリメチルアンモニウムテトラキス−(パーフルオロビフェニル)ボレート、
トリエチルアンモニウムテトラキス−(パーフルオロビフェニル)ボレート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス−(パーフルオロビフェニル)ボレート、
トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス−(パーフルオロビフェニル)ボレート、
トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラキス−(パーフルオロビフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス−(パーフルオロビフェニル)ボレート、
N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス−(パーフルオロビフェニル)ボレート、
N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス−(パーフルオロビフェニル)ボレート、
トリメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、
トリエチルアンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、
トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、
トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、
N,N―ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、
N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートなど、
およびジアルキルアンモニウム塩:
ジ−(イソ−プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、および
ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなど、
並びに他の塩:
トリ(o−トリル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(2,6−ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トロピリウムテトラフェニルボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、
トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、
トリエチルシリリウムテトラフェニルボレート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラフェニルボレート、
トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリエチルシリリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トロピリウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
トリエチルシリリウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
トロピリウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、
トリエチルシリリウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、
トロピリウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、
トリエチルシリリウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、
トロピリウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、
トリエチルシリリウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、および
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート
などである。
【0138】
適切なイオン性化学量論的活性化剤((L**−H)(Ad−))には、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、または
トリフェニルカルベニウムテトラ(パーフルオロフェニル)ボレート
が含まれる。
【0139】
触媒前駆体はまた、メタロイドを含まないシクロペンタジエナイドイオンを含む非配位アニオンを含む共活性化剤または活性化剤により、活性化されることができる。これらは、特許文献64(2002年5月16日公開)(本明細書に、引用して含まれる)に記載され、本明細書に記載されるプロセスについては、共活性化剤を触媒前駆体へ添加することを必要とする。「適合する」非配位アニオンは、初期に形成された錯体が分解する際に、中性へ低下しないものである。更に、アニオンは、アニオン置換体またはフラグメントを、カチオンへ移行しないであろうし、そのためにそれが、中性遷移金属化合物および中性副生物を、アニオンから形成させる。本開示に従って有用な好ましい非配位アニオンは、そのイオン電荷を+1で平衡させるという意味で、適合し、かつ遷移金属錯体カチオンを安定化するものであり、依然として、重合中のエチレン性またはアセチレン性不飽和モノマーによる置換を許容するのに、十分に不安定で留まる。これらのタイプの共触媒は、しばしば、スカベンジャーと共に用いられる。限定されることなく、トリ−イソ−ブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、またはトリメチルアルミニウムなどである。
【0140】
本明細書に記載されるプロセスはまた、初期には中性ルイス酸であるが、カチオン金属錯体および非配位アニオンを形成する共触媒化合物または活性化剤、若しくはアルキル化遷移金属化合物と反応する際に両性イオン錯体を用いることができる。アルキルメタロセン化合物は、触媒前駆体および共活性化剤の反応から形成される。例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロンまたはアルミニウムは、ヒドロカルビル配位子を、引抜くように作用して、カチオン遷移金属錯体が、形成され、非配位アニオンが安定化される。類似の第4族メタロセン化合物を例示する特許文献65および特許文献48を参照されたい。また、特許文献49の方法および化合物を参照されたい。類似の第4族化合物を用いる両性イオン化合物の形成については、特許文献66、特許文献61および特許文献68を参照されたい。これは、特許文献65および特許文献49と共に、本明細書に、引用して含まれる。
【0141】
更なる中性ルイス酸は、当該技術分野で知られ、正規のアニオン配位子を引抜くのに適切である。特に、非特許文献12を参照されたい。
【0142】
非配位アニオン前駆体のカチオンが、ブレンステッド酸(プロトンまたはプロトン化ルイス塩基(水を除く)など)、または還元可能なルイス酸(フェロセニウムまたは銀カチオン、またはナトリウム、マグネシウム、またはリチウムのものなどのアルカリまたはアルカリ土類金属カチオンなど)である場合には、触媒前駆体/活性化剤のモル比は、いかなる比率であってもよい。記載される活性化剤化合物の組み合わせはまた、活性化に用いられてもよい。
【0143】
イオン性または中性化学量論的活性化剤(NCAなど)が、用いられる場合には、触媒前駆体/活性化剤のモル比は、1:10〜1:1、1:10〜10:1、1:10〜2:1、1:10〜3:1、1:10〜5:1、1:2〜1.2:1、1:2〜10:1、1:2〜2:1、1:2〜3:1、1:2〜5:1、1:3〜1.2:1、1:3〜10:1、1:3〜2:1、1:3〜3:1、1:3〜5:1、1:5〜1:1、1:5〜10:1、1:5〜2:1、1:5〜3:1、1:5〜5:1、1:1〜1:1.2である。触媒前駆体/活性化剤のモル比は、1:500〜1:1、1:100〜100:1、1:75〜75:1、1:50〜50:1、1:25〜25:1、1:15〜15:1、1:10〜10:1、1:5〜5:1、1:2〜2:1、1:100〜1:1、1:75〜1:1、1:50〜1:1、1:25〜1:1、1:15〜1:1、1:10〜1:1、1:5〜1:1、1:2〜1:1、1:10〜2:1である。
【0144】
好都合な活性化剤および活性化剤/共活性化剤の組み合わせには、トリメチル、トリエチル、トリ−n−プロピル、トリ−n−ヘキシル、トリ−n−ブチル、トリ−n−オクチル、トリ−n−ドデシル、トリ−イソプロピル、トリ−イソブチル、またはトリ−イソペンチル等を含むトリアルキルアルミニウムが、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートまたはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、およびトリメチルアルミニウムと、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートまたはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロンとの混合物と共に含まれる。
【0145】
いくつかの実施形態においては、メチルアルモキサン、修飾メチルアルモキサン、またはアルキルアルモキサンの混合物がまた、それら自体で、または多くの共活性化剤成分の一つとして用いられる。しかし、アルモキサン化合物は、一般に、トリアルキルアルミニウムまたはトリアルキルボロン化合物より高価であることから、アルモキサンを用いることは必ずしも多くはなく、またあまり望ましくない。
【0146】
いくつかの実施形態においては、スカベンジャー化合物が、化学量論的活性化剤と共に用いられる。スカベンジャーとして典型的に有用なアルミニウムまたはボロンアルキル化合物は、一般式 RJZ によって表される。式中、Jは、アルミニウムまたはボロンであり、Rは、C〜C20アルキルラジカルから選択され、同じかまたは異なることができ、各Zは、独立に、Rまたは異なる一価のアニオン配位子(ハロゲン(Cl、Br、I)アルコキシド(OR)など)である。望ましいアルミニウムアルキルには、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、トリ−イソ−ブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウムなどが含まれる。望ましいボロンアルキルには、トリエチルボロンが含まれる。スカベンジャー化合物はまた、アルモキサンおよび修飾アルモキサンであってもよい。これには、メチルアルモキサンおよび修飾メチルアルモキサンが含まれる。
【0147】
別の実施形態においては、アルキルアルモキサン化合物(メチルアルモキサンおよび修飾メチルアルモキサンなど)は、反応域に、オレフィン原料1gあたりアルモキサン3mg未満、好ましくはオレフィン原料1gあたりアルモキサン1mg未満、好ましくはオレフィン原料1gあたりアルモキサン0.5mg未満で存在する。
【0148】
担持触媒
担持触媒および/または担持触媒系が、PAOを調製するのに用いられてもよい。均質な担持触媒を調製するために、触媒前駆体が、好ましくは、選択された溶媒に溶解される。用語「均質な担持触媒」とは、触媒前駆体、活性化剤、および/または活性化触媒が、担体の接近可能な表面積に関して、均質な分布に近いことを意味する。担持触媒のいくつかの実施形態には、均質担持触媒が含まれ、他の実施形態は、担持または非担持触媒を用いることができる。
【0149】
有用な担持触媒系は、他の配位触媒系を担持するのに効果的ないかなる方法によっても調製されてもよく、「効果的な」とは、そのように調製された触媒が、異種プロセスにおいても、オレフィンをオリゴメリゼーションまたは重合するのに用いられることができることを意味する。触媒前駆体、活性化剤、共活性化剤(存在する場合)、適切な溶剤、および担体は、いかなる順序でも、または同時に添加されてもよい。
【0150】
一方法によって、活性化剤(トルエンなどの適切な溶剤に溶解される)は、担体物質と、1分〜10時間撹拌されて、担持触媒が調製されてもよい。全溶液容積(触媒溶液、活性化剤溶液、またはその両方)は、担体の細孔容積より大きくてもよいが、いくつかの実施形態は、全溶液容積を、ゲルまたはスラリーを形成するのに必要とされるもの未満(細孔容積の約90%〜400%、好ましくは約100〜200%)に限定する。混合物は、任意に、この時間中に30〜200℃へ加熱される。触媒前駆体は、この混合物へ固体として添加され、適切な溶剤が初期工程で用いられる場合には、溶液として添加されてもよい。或いは、混合物は、ろ過されることができ、得られた個体は、触媒前駆体溶液と混合される。同様に、混合物は、減圧乾燥され、触媒前駆体溶液と混合されてもよい。得られた触媒混合物は、次いで、1分〜10時間撹拌され、担持触媒が、溶液からろ過されて減圧乾燥されるか、または溶剤を除去するのに気化に付される。
【0151】
或いは、触媒前駆体および活性化剤は、溶剤中に組み合わされて、溶液が形成される。担体が、次いで、溶液へ添加され、得られた混合物は、典型的には1分〜10時間撹拌される。全活性化剤/触媒前駆体溶液の容積は、担体の細孔容積より大きくてもよいが、いくつかの実施形態は、全溶液の容積を、ゲルまたはスラリーを形成するのに必要とされるもの未満(細孔容積の約90%〜400%、好ましくは約100〜200%)に限定する。撹拌後、残りの溶剤は、減圧下に、典型的には室温で、および典型的には10〜16時間除去される。しかし、より大きなまたはより小さな時間および温度が、用いられてもよい。
【0152】
触媒前駆体はまた、活性化剤なしに担持されてもよい。この場合には、活性化剤(および任意の共活性化剤)は、スラリープロセスの液相へ添加される。例えば、触媒前駆体の溶液は、担体物質と、約1分〜10時間混合されてもよい。得られた前触媒混合物は、液体からろ過され、減圧下に乾燥されるか、または気化により処理されて、溶剤が除去されてもよい。全触媒前駆体溶液の容積は、担体の細孔容積より大きくてもよいが、いくつかの実施形態は、全溶液の容積を、ゲルまたはスラリーを形成するのに必要とされるもの未満(細孔容積の約90%〜400%、好ましくは約100〜200%)で限定する。
【0153】
加えて、二種以上の異なる触媒前駆体が、上記される担持方法のいかなるものをも用いて、同じ担体に置かれてもよい。同様に、二種以上の活性化剤、または活性化剤および共活性化剤が、同じ担体上に置かれてもよい。
【0154】
適切な固体粒子担体は、典型的には、高分子性の、または耐火性酸化物の物質から構成される。夫々は、好ましくは多孔質である。平均粒子サイズ10μm超を有するいかなる担体物質も、本発明で用いられてもよい。種々の実施形態は、多孔質担体物質を選択する。例えば、タルク、無機酸化物、無機塩化物(例えば、塩化マグネシウムなど)、およびレジン質担体物質(ポリスチレン、ポリオレフィン、また重合物質、若しくはいかなる他の有機担体物質など)などである。いくつかの実施形態は、無機酸化物物質を担体物質として選択する。これには、第2、3、4、5、13、または14族金属またはメタロイド酸化物が含まれる。いくつかの実施形態は、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、およびそれらの混合物を含むように触媒担体物質を選択する。他の無機酸化物は、単独で、またはシリカ、アルミナ、またはシリカ−アルミナとの組み合わせで供してもよい。これらは、マグネシア、チタニア、ジルコニアなどである。モンモリロナイト、および類似クレーなどのルイス酸物質はまた、担体として供してもよい。この場合には、担体は、任意に、活性化剤成分として重複することができる。しかし、更なる活性化剤がまた、用いられてもよい。いくつかの場合には、MCM−41として一般に知られる固体担体の特別族がまた、用いられることができる。MCM−41は、新規な種類の独特の結晶質担体であり、第二の成分により修正される場合に、調整可能な細孔サイズおよび調整可能な酸性度を有して調製されることができる。この種類の物質およびそれらの修正について、詳細な説明は、特許文献69に見出されることができる。
【0155】
担体物質は、かなり多数の方法によって調製されてもよい。例えば、無機酸化物が、焼成され、アルミニウムアルキルなどのデヒドロキシル化剤、またはアルモキサン(メチルアルモキサンなど)など、またはその両者により化学処理されてもよい。
【0156】
上述されるように、ポリマーキャリアはまた、本開示に従って適切であろう。例えば、特許文献70および特許文献71の説明を参照されたい。開示される方法は、本開示の触媒化合物、活性化剤、または触媒系と共に用いられて、それらが、特に多孔質粒子から作製される場合には、ポリマー担体上に吸着または吸収されるか、若しくはポリマー鎖に結合されるか、またはそこに結合される官能基により、化学結合されてもよい。
【0157】
有用な触媒キャリアは、表面積10〜700m/g、および/または細孔容積0.1〜4.0cc/g、および/または平均細孔サイズ10〜500μmを有してもよい。いくつかの実施形態は、表面積50〜500m/g、および/または細孔容積0.5〜3.5cc/g、および/または平均細孔サイズ20〜200μmを選択する。他の実施形態は、表面積100〜400m/g、および/または細孔容積0.8〜3.0cc/g、および/または平均細孔サイズ30〜100μmを選択する。有用なキャリアは、典型的には、細孔サイズ10〜1000オングストローム、或いは50〜500オングストローム、または75〜350オングストロームを有する。メタロセンおよび/またはメタロセン/活性化剤の組み合わせは、一般に、担体上に、固体担体1gあたり触媒前駆体10〜100ミリモル、または固体担体1gあたり触媒前駆体40〜60ミリモルの充填レベルで沈積される。しかし、より大きいか、またはより小さい値は、固体触媒前駆体の全量が、担体の細孔容積を超えない限り、用いられてもよい。
【0158】
メタロセンおよび/またはメタロセン/活性化剤の組み合わせは、バルクまたはスラリー重合のために、または別様には、必要に応じて担持されることができる。多数の担持法方法は、オレフィンの重合分野の触媒に対して知られる。例えば、特許文献72および特許文献73を参照されたい。担持イオン触媒の例は、特許文献74に現れる。特許文献75および特許文献76は、特に効果的な方法を記載する。ポリマーおよび無機酸化物はいずれも、担体として資してもよい。特許文献77、特許文献71、特許文献78、特許文献79並びに特許文献80および特許文献81を参照されたい。これらの特許文献は全て、本明細書に、引用して含まれる。
【0159】
他の実施形態においては、メタロセンおよび/または活性化剤(担体と共に、またはそれなしに)は、反応器に入る前に、アルキルアルミニウム化合物、好ましくはトリアルキルアルミニウム化合物と組み合わされる。好ましくは、アルキルアルミニウム化合物は、次式 BAl によって表される。式中、各Rは、独立に、C〜C20アルキル基であり、好ましくは、R基は、独立に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、n−ブチル、ペンチル、イソペンチル、n−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、n−オクチル、ノニル、イソノニル、n−ノニル、デシル、イソデシル、n−デシル、ウンデシル、イソウンデシル、n−ウンデシル、ドデシル、イソドデシル、およびn−ドデシル、好ましくはイソブチル、n−オクチル、n−ヘキシル、およびn−ドデシルからなる群から選択される。好ましくは、アルキルアルミニウム化合物は、トリ−イソブチルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム、およびトリn−ドデシルアルミニウムから選択される。
【0160】
モノマー
一実施形態においては、本明細書に記載される触媒化合物は、プロピレン、1−ブテン、または1−ペンテン、若しくはそれらの任意の組み合わせを重合またはオリゴマー化するのに用いられる。
【0161】
実施形態においては、ポリマーおよびポリマーを含む化合物には、ホモオリゴマーまたはコオリゴマー(本開示および請求の目的に対して、コオリゴマーは、二種または三種の異なるモノマー単位を含んでもよい)、ホモポリマー、若しくはコポリマーが含まれてもよい。本明細書で製造される好ましいオリゴマーには、C〜Cアルファ−オレフィンのいずれかのホモオリゴマーまたはコオリゴマーが含まれる。一実施形態においては、オリゴマーは、プロピレン、1−ブテン、または1−ペンテンのホモオリゴマーである。他の実施形態においては、オリゴマーは、C〜Cアルファ−オレフィンから選択される二種または三種のモノマーを含むコオリゴマーである。PAOを調製するのに混合原料を用いることに関する多くの情報については、特許文献82(特に、第8頁(段落[0029])〜第16頁(段落[044]))を参照されたい。これは、本明細書に、引用して含まれる。
【0162】
PAOを作製するのに用いられるアルファ−オレフィンには、C〜Cアルファ−オレフィンが含まれる。
【0163】
有用なPAOは、C20以上から始まる炭素数を有するオリゴマーまたはポリマーであり、C〜Cアルファ−オレフィンから作製される。これらの有用なPAOのための適切なオレフィンには、プロピレン、1−ブテン、および/または1−ペンテンが含まれる。一実施形態においては、オレフィンは、プロピレンであり、ポリマー生成物は、プロピレンの5量体以上のオリゴマーまたはポリマーの混合物である。他の実施形態においては、オレフィンは、1−ブテンであり、PAOは、1−ブテンの5量体以上のオリゴマーオリゴマーの混合物である。更に他の実施形態においては、オレフィンは、1−ペンテンであり、PAOは、1−ペンテンの4量体、5量体、およびそれを超える混合物である。
【0164】
他の実施形態においては、モノマーは、プロピレンンおよび/または1−ブテン、若しくはプロピレンおよび/または1−ブテンと1−ペンテンとの組み合わせを含む。コポリマーは、通常、優れた粘度範囲、低温流動性(低流動点を含む)、高VI、優れた揮発性、優れた熱および酸化安定性をそれ自体で、並びに他の良好な潤滑特性(音波せん断試験またはTRB試験による高いせん断安定性)を有する。これらの流体はまた、優秀なブレンド材である。それらが、他の低粘度基材(グループI〜VI基材またはGTL基材など)とのブレンド材として用いられる場合には、本開示のPAOは、他の低粘度流体の粘度を増大するのに、はるかにより良好な増粘効果を有する。この増粘効果は、既知の基材のものよりはるかに良好である。例えば、本開示に従って製造されるポリ−1−ブテン(POB)は、ブレンドの粘度を増大する点において、およびブレンドのVIを増大する点において、比較の粘度のPIBより、はるかに良好な増粘効果を有する。POBブレンドはまた、類似のPIBブレンドに比較して、はるかにより良好な低温粘度、特にブルックフィールド粘度(−40℃または−55℃で測定される)、および良好な揮発性(ノアック揮発性によって測定される)を有する。多くの場合には、POBブレンドはまた、音波せん断試験またはTRB試験による良好なせん断安定性を有する。これらの向上は、実施例で示される。
【0165】
一実施形態においては、PAOは、二種または三種のモノマーを含む、即ちそれから作製される。例えば、プロピレンおよび1−ブテン、プロピレンおよび1−ペンテン、1−ブテンおよび1−ペンテン、またはプロピレン、1−ブテン、および1−ペンテン、若しくはそれらのいかなる混合物でもある。
【0166】
本明細書で用いられるC〜Cアルファ−オレフィンは、いかなる適切な素材からも得られることができる。ポリマー級または化学級のプロピレンまたは1−ブテンまたは1−ペンテンが、間違いなく適切である。これらのオレフィン5モル%以上を含む他の不純原料ストリームはまた、適切である。製油所ストリームからの原料ストリームの例は、Cラフィネート1またはラフィネート2ストリームである。これは、混合n−ブタン、イソ−ブタン、1−ブテン、シス−およびトランス−2−ブテン、およびイソブテンを含む。他の製油所ストリームは、プロピレンおよび1−ペンテンを含むことが知られる。例えば、典型的な製油所のPPストリーム(プロピレンおよびプロパン、またはを含む)、または分解ガソリンストリーム(1−ブテンおよび1−ペンテンを含むCおよびC成分の混合物を含む)である。或いは、オレフィン(本発明のポリマーを製造するための出発物質である)は、CO/Hシンガスからのフィッシャー−トロプシュ炭化水素合成から、または内部オレフィンとエチレンとのメタシスから、または石油またはフィッシャー−トロプシュ合成ワックスの高温分解から、または任意の他のアルファ−オレフィンの合成経路からも製造されることができる。一実施形態においては、本開示の原料には、アルファ−オレフィン少なくとも10wt%が含まれる。アルファ−オレフィン少なくとも20wt%、アルファ−オレフィン少なくとも50wt%、アルファ−オレフィン少なくとも70wt%、アルファ−オレフィン(線状アルファ−オレフィンなど)少なくとも80wt%、アルファ−オレフィン(例えば、線状アルファ−オレフィン)少なくとも90wt%、またはアルファ−オレフィン(線状アルファ−オレフィンなど)100%などである。
【0167】
原料のためのオレフィンは、十分に希釈されることができる。例えば、ワックス分解反応からの原料は、アルファ−オレフィン10〜90wt%の範囲を含んで、本明細書に記載されるPAOが作製される。加えて、フィッシャー−トロプシュ合成プロセスからの原料ストリームは、2〜50wt%の範囲であってもよいアルファ−オレフィン含有量をもたらす。これらは全て、原料オレフィンとして適切である。しかし、アルファ−オレフィン含有混合物はまた、たとえ他の成分が、内部オレフィン、分枝オレフィン、パラフィン、シクロパラフィン、芳香族(トルエンおよび/またはキシレンなど)であっても、本発明の原料として用いられることができる。これらの成分は、希釈効果を有し、アルファ−オレフィンの重合に関して、実質的な有害効果を有さないと思われる。換言すれば、本明細書に記載されるプロセスは、実質的に、混合物中のC〜Cアルファ−オレフィンを選択転化することができ、他の成分を未反応で残す。混合オレフィンストリームまたは希釈オレフィンストリームが原料として用いられる場合には、反応条件の調整が必要とされる。主な変化は、通常、重合工程で生じる。例えば、反応温度、滞留時間、および触媒濃度は、純アルファ−オレフィン原料に比較して、所望の生成物粘度を得るのに再調整される必要がある。通常、僅かにより低い反応温度、または長い滞留時間、若しくは僅かにより高い触媒濃度が、純原料と類似の生成物を製造するか、または類似の転化率をもたらすのに用いられる。しばしば、一種または二種または数種の変数が、同時に変化されて、所望の生成物が、最も経済的な運転で製造される。本明細書に記載される所望の結果を達成するための適切な調整は、当業者には明らかであろう。本技術は、アルファ−オレフィンを、それらを重合またはオリゴメリゼーションにより選択的に反応させルことによって、混合物から分離するのに用いられることができる。それにより、アルファ−オレフィンを、混合原料ストリーム中の残り成分から分離する必要性が、完全に排除される。これは、例えばラフィネートストリームまたはフィッシャー−トロプシュ合成オレフィン生成物ストリーム(アルファ−オレフィン、内部オレフィン、分枝オレフィン、および対応するアルカンを含む)を用いるプロセスにおいて、経済的に好都合である。これらの混合物は、本明細書に記載されるオリゴメリゼーション技術に従って用いられることができ、アルファ−オレフィンと選択的に反応させることができる。アルファ−オレフィンを単離する分離工程は、全く必要とされない。
【0168】
本プロセスの有用性について、他の例は、内部オレフィンをエチレンでメタセシスすることによって製造されるアルファオレフィンを含む。これは、いくつかの内部オレフィンを含んでもよい。この混合オレフィン原料は、本開示の重合/オリゴメリゼーションプロセスにおけるように、反応されることができる。これは、アルファ−オレフィンを、潤滑油生成物に選択的に転化する。従って、アルファ−オレフィンは、アルファ−オレフィンを、内部オレフィンまたは他のタイプの炭化水素から分離されることなく、基材合成に用いられることができる。これは、プロセスの経済性に実質的な向上をもたらすことができる。原料オレフィンは、他の線状アルファ−オレフィンプロセスから製造されるオレフィンの混合物(C〜C20アルファ−オレフィンを含む)であることができる。これは、非特許文献13に記載される。
【0169】
一実施形態においては、1−ブテンが、原料、または他のアルファ−オレフィンを有する原料オレフィンの一つとして用いられる場合には、1−ブテンは、商業プロセスのいかなるものからも調製される純1−ブテンであることができる。或いは、1−ブテンは、石油化学コンプレックスまたは油製油所の運転から容易に入手可能である混合Cストリーム中の成分の一つとして存在することができる。特許文献83(本明細書に、引用して含まれる)は、これらのCストリームについて、より詳細に論じている。BBストリーム(ブタン−ブテンストリーム)、またはラフィネート1またはラフィネート2ストリームなどである。これらの混合Cストリームは、エチレン/プロピレン製造プロセスにおける軽質ナフサのスチーム分解、殆どのイソブテンが除去されるMTBEプロセス、Cストリームを製造するFCC運転、および/または他の石油精製プロセスから入手可能である。これらの混合Cストリームが原料として用いられる場合には、1−ブテンのみが、触媒系によって反応されるであろう。他のC成分(シス−,トランス−2−ブテン、イソ−ブテン、n−ブテン、およびイソ−ブタン)は、希釈材として単に作用するであろう。しかし、これは、重合触媒と反応しないかまたはそれを妨害しないであろう。これらの混合Cストリームは、興味の対象であり、1−ブテンが、ポリ1−ブテン、または1−ブテンとプロピレンまたは1−ペンタンとのコポリマーを製造するための経済的な素材である。
【0170】
他の実施形態においては、プロピレンが原料として、または他のアルファ−オレフィンを有する原料オレフィンの一つとして用いられる場合には、化学プラントからの純プロピレンンが、用いられることができる。或いは、混合プロピレンおよびプロパンストリーム(PPストリーム)が、同様に用いられることができる。プロピレンは、選択的に重合し、プロパンは、希釈材として作用するであろうし、反応には関与しないであろう。このPPストリームは、プロピレンを、10wt%〜95wt%のいかなる量でも含んでもよい。他の実施形態においては、PPおよびCストリームの混合物は、出発オレフィンまたは出発オレフィンの一つの原料として用いられることができる。
【0171】
重合/オリゴメリゼーションプロセス
多くの重合/オリゴメリゼーションプロセス、およびメタロセン触媒重合またはオリゴメリゼーション(スラリー、バルク重合またはオリゴメリゼーションプロセスなど)に用いられる反応器タイプが、本開示で用いられることができる。いくつかの実施形態においては、固体または担持触媒が用いられる場合には、スラリーまたは連続固定床またはプラグフロープロセスが適切である。一実施形態においては、モノマーは、メタロセン化合物並びに活性化剤および/または共活性化剤/スカベンジャーと、溶液相、バルク相、またはスラリー相で好ましくは連続撹拌反応器または連続管状反応器内で接触される。一実施形態においては、本明細書で用いられるいかなる反応器における温度も、−10〜250℃である。10℃〜220℃、10℃〜180℃、または10℃〜170℃などである。実施形態においては、本明細書で用いられるいかなる反応器における圧力も、0.1〜100気圧である。0.5〜75気圧、または1〜50気圧などである。他の実施形態においては、モノマー、メタロセン、および活性化剤は、滞留時間1分〜30時間で接触される。5分〜16時間、または10分〜10時間などである。
【0172】
他の実施形態においては、溶剤または希釈剤は、反応器中に存在し、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、およびn−ブチルベンゼン;トルエンおよび/またはキシレンおよび/またはエチルベンゼン、ノルマルパラフィン(ExxonMobil Chemical Company(テキサス州、ヒューストン)から入手可能なNorpar(商標)溶剤など)、またはイソパラフィン溶剤(ExxonMobil Chemical Company(テキサス州、ヒューストン)から入手可能なIsopar(商標)溶剤など)からなる群から選択される。これらの溶剤または希釈剤は、通常、原料オレフィンと同じ方法で(例えば、極性不純物を除去するのに)前処理される。これらの溶剤は、一般に、重合反応に、活性には関与しない。しかし、それらは、重合反応において希釈効果を示す。高濃度の溶剤は、通常、生成物の粘度を低減する効果を有する。溶剤の濃度は、通常、0wt%〜80wt%、或いは10wt%〜60wt%、更に他の選択肢においては20wt%〜40wt%の範囲である。商業生産については、できるだけ少量の溶剤を用いることが好ましい。しかし、希釈剤が原料材由来である場合には、原料材中の希釈剤のいかなる事前分離もなしに、ポリマーを製造することがより経済的である。
【0173】
典型的には、本発明のプロセスにおいては、遷移金属化合物を含む一触媒、一種以上の活性化剤(本明細書に記載される)、共活性剤またはスカベンジャー、並びに一種以上のモノマーが接触されて、ポリマーまたはオリゴマーが製造される。これらの触媒は、担持されていてもよく、それ自体、既知のスラリー、溶液、またはバルク運転方式(単一、連続、または並行反応器で行われる)において特に有用であろう。触媒、活性化剤、または共活性剤が、可溶性化合物である場合には、反応は、溶液方式で行われることができる。たとえ、成分の一種が、反応媒体または原料溶液中に完全には溶解しないとしても、反応の開始時または反応の後段中または後段のいずれかにおいて、溶液またはスラリータイプの運転が、依然として適用可能である。いかなる場合においても、触媒成分(溶剤(トルエンまたは他の好都合に入手可能な芳香族溶剤など)中、または脂肪族溶剤中、若しくは原料アルファ−オレフィンストリーム中に溶解または懸濁される)は、不活性雰囲気(通常、窒素またはアルゴンでおおわれた雰囲気)下に反応器に送られて、重合またはオリゴメリゼーションが開始されることが可能となる。
【0174】
重合またはオリゴメリゼーションは、バッチ方式で運転されることができる。その際、全成分が、反応器に添加され、予め設定された程度の転化(部分転化または完全転化のいずれか)まで反応することを可能にされる。その後、触媒は、いかなる可能な手段(空気または水への暴露など)にもよって、または不活性化剤を含むアルコールまたは溶剤を添加することによって、若しくは固体収着剤を添加することによって不活性化される。触媒成分は、次いで、固体収着剤が用いられる場合におけるように、従来の水性洗浄によってまたはろ過によって、分離されることができる。
【0175】
重合またはオリゴメリゼーションはまた、準連続運転で行われることができる。その際、原料および触媒系成分は、連続的かつ同時に反応器へ添加され、そのために触媒系成分/原料オレフィンの一定比率が維持される。全ての原料および触媒成分が添加されると、反応は、所定の段階へ進むことが可能とされる。反応は、次いで、バッチ運転に関して記載されるのと同じ方法で、触媒を不活性化することによって停止される。
【0176】
重合またはオリゴメリゼーションはまた、連続運転で行われることができる。その際、原料および触媒系成分は、連続的かつ同時に反応器へ添加され、触媒系および原料オレフィンの一定比率が維持される。反応生成物は、典型的な連続式撹拌槽型反応器(CSTR)運転におけるように、連続的に反応器から排出される。反応体の滞留時間は、所定の程度の転化および触媒濃度によって制御される。排出された生成物は、次いで、典型的には、例えば別々の反応器において急冷され、触媒は、他の運転におけるのと類似の方法で除去される。即ち、バッチまたは準連続運転であり、これは、本明細書に記載される。例えば、段落[0097]、[0098]、および[0099]である。
【0177】
一実施形態においては、本明細書に記載されるPAOを調製するプロセスはいずれも、連続プロセスである。好ましくは、連続プロセスは、a)一種以上のC〜Cアルファ−オレフィン少なくとも10モル%を含む原料ストリームを、反応器に連続的に導入する工程、b)メタロセン化合物および活性化剤を、反応器に連続的に導入する工程、およびc)ポリアルファ−オレフィンを、反応器から連続的に排出する工程を含む。
【0178】
他の実施形態においては、連続プロセスは、反応器の全圧を基準として、反応器の水素分圧0.1〜300psi(2068kPa)を維持する工程を含む。0.5〜200psi(1379kPa)、1.0〜150psi(1034kPa)、2.0〜100psi(690kPa)、3〜50psi(345kPa)以下、5〜25psi(173kPa)、または1〜10psi(69kPa)などである。或いは、水素は、存在する場合には、反応器中に1〜30,000wppmで存在する。3,000ppm以下、150wppm以下、750ppm以下、500ppm以下、250ppm以下、100ppm以下、50ppm以下、25ppm以下、10ppm以下、または5ppm以下などである。オリゴメリゼーションまたは重合反応においては、水素は、殆どまたは全く消費されない。従って、過剰な水素ガスは、反応が完了された後、リサイクルされることができる。
【0179】
他の実施形態においては、ポリピレン、PPストリーム、Cストリーム、1−ブテン、または1−ペンテンが、反応器中に存在する場合には、これらの成分の全分圧は、通常、1000psi未満で維持される。500psi未満、200psi未満、50psi未満、30psi未満、または好ましくは10psi未満などである。上述のように、全反応器圧力は、他の不活性ガス(窒素またはアルゴンなど)の存在により、ガス状原料の全分圧よりも高くてもよい。
【0180】
反応器は、サイズ2ml以上の範囲である。通常、商業生産用の容積1リットル超の反応器を用いることが好ましい。生産設備は、単一反応器を有してもよく、またはいくつかの反応器が、連続または並列、若しくはその両方で配置されて、生産性、生成物特性、および一般的プロセス効率が最大にされる。反応器および付随する装置は、通常、良好な反応速度および触媒性能が確実にされるように前処理される。反応は、通常、不活性雰囲気下で行われ、その際触媒系および原料成分は、いかなる触媒不活性化剤または毒物(通常、極性酸素、窒素、硫黄、またはアセチレン性化合物である)とも接触しないであろう。
【0181】
連続または並列の一つ以上の反応器が、本発明で用いられてもよい。遷移金属化合物、活性化剤、および(必要とされる場合には)共活性化剤は、溶剤またはアルファ−オレフィン原料ストリーム中の溶液またはスラリーとして、別々に反応器へ運ばれるか、反応器の直前でインラインで活性化されるか、または予め活性化されて、活性化溶液またはスラリーとして反応器へ圧送されるかのいずれであってもよい。重合/オリゴメリゼーションは、単一の反応器運転(その際、モノマーまたはいくつかのモノマー、触媒/活性化剤/共活性化剤、任意のスカベンジャー、および任意の改質剤は、連続的に単一の反応器へ添加される)、または連続反応器運転(その際、上記の成分は、連続して接続された二つ以上の反応器のそれぞれへ添加される)のいずれかで行われる。触媒成分は、連続して第一の反応器に添加されることができる。触媒成分はまた、二つまたは全ての反応器へ添加され、一つの成分は第一の反応器または反応へ、および他の成分は他の反応器へ添加されてもよい。
【0182】
一実施形態においては、前触媒は、反応器中で、オレフィンの存在下に活性化される。他の実施形態においては、前触媒(メタロセンの二塩化物型など)は、アルキルアルミニウム試薬、特にトリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、および/またはトリ−n−オクチルアルミニウム等を用いて前処理され、引続いて他の触媒成分および原料オレフィンを含む反応器に充填されるか、または引続いて他の触媒成分を用いて予活性化されて、完全活性化された触媒が与えられる。これは、次いで、原料オレフィンを含む反応器中に送られる。
【0183】
他の選択肢においては、前触媒メタロセンは、活性化剤および/または共活性化剤と混合され、この活性化触媒は、次いで、いくつかのスカベンジャーまたは共活性化剤を含む原料オレフィンストリームと共に反応器に充填される。他の選択肢においては、共活性化剤の全てまたは一部は、原料オレフィンと予混合され、メタロセンおよび活性化剤および/または共活性化剤を含む他の触媒溶液として同時に反応器に充填される。
【0184】
いくつかの実施形態においては、少量の毒物スカベンジャー(トリアルキルアルミニウム(トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム)、またはメチルアルモキサンなど)は、原料オレフィンストリームへ添加されて、触媒活性が更に向上される。一実施形態においては、モノマーは、反応器に導入される前に、アルキルアルミニウム化合物、好ましくはトリアルキルアルミニウム化合物と接触される。他の好ましい実施形態においては、メタロセンおよび/または活性化剤は、反応器に入る前に、アルキルアルミニウム化合物、好ましくはトリアルキルアルミニウム化合物と組み合わされる。一実施形態においては、アルキルアルミニウム化合物は、式:RAlによって表される。式中、各Rは、独立に、C〜C20アルキル基であり、好ましくはR基は、独立に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、n−ブチル、ペンチル、イソペンチル、n−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、n−オクチル、ノニル、イソノニル、n−ノニル、デシル、イソデシル、n−デシル、ウンデシル、イソウンデシル、n−ウンデシル、ドデシル、イソドデシル、およびn−ドデシル、好ましくはイソブチル、n−オクチル、n−ヘキシル、およびn−ドデシルからなる群から選択される。他の実施形態においては、アルキルアルミニウム化合物は、トリ−イソブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、およびトリ−n−ドデシルアルミニウムから選択される。
【0185】
本明細書に記載されるプロセスのいかなるものの一実施形態においては、原料オレフィンおよび/または溶剤は、触媒毒(過酸化物、酸素−または窒素−含有有機化合物、またはアセチレン性化合物など)を除去するのに処理される。原料オレフィン、溶剤(用いられる場合)、またはパージガス(通常は、窒素)は、典型的な原料精製技術によって精製される。液体原料の場合においては、液体は、通常、真空下で、1〜60分間脱ガスされて、いかなる溶解ガスも除去される。或いは、原料オレフィン、溶剤、またはパージガスは、活性化モレキュラーシーブ(3A、4A、5A、または13Xモレキュラーシーブ)、または活性化アルミナ、シリカ、または精製固体から作製される商業収着床を通して送ることによって精製される。これらの精製固体は、微量の水、アルコール、窒素化合物、またはいかなる他の極性不純物をも除去することができる。或いは、原料オレフィン、溶剤、またはパージガスは、活性化含酸素化合物−除去固体触媒(脱含酸素化合物触媒)を通して送ることによって精製される。これは、通常、銅、クロム、および/または他の金属酸化物を、低減された酸化状態で含む。特許文献84は、原料精製の実施例を記載する。原料の品質および所望の原料純度によって、上記される一つ、または二つ、または全ての方法が、最良の結果を得るのに組み合わせて用いられることができる。
【0186】
典型的には、本開示の実施形態においては、これらの処理は、これらの処理をしない系と比較して、触媒生産性を少なくとも20%〜1000%以上増大するであろう。向上されたプロセスにはまた、オレフィンの特別の処理が、触媒毒(過酸化物、酸素−、硫黄−または窒素−含有有機化合物、または他の微量不純物など)を除去するのに含まれる。この処理は、触媒生産性を、実質的に増大させることができる(典型的には、10倍超である)。一実施形態においては、原料オレフィンは、モレキュラーシーブ、活性化アルミナ、シリカゲル、酸素−除去触媒、および/または精製クレーと接触されて、原料中のヘテロ原子−含有化合物が、50ppm未満(10ppm未満など)に低減される。
【0187】
触媒組成物は、独立に用いられるか、または他の既知の重合触媒と混合されて、ポリマーまたはオリゴマーブレンドが調製されることができる。モノマーおよび触媒の選択は、ポリマーまたはオリゴマーブレンドの調製を、個々の触媒を用いるものと類似の条件下で可能にする。向上されたMWDを有するポリマーは、混合触媒系を用いて作製されることができる。しばしば、増大されたMWDを有する流体を製造することが好都合である。これは、流体のブレンディング特性を向上させることができる。混合触媒は、二種以上の触媒前駆体および二種以上の活性化剤を含むことができる。狭いMWDが必要とされる場合には、単一の触媒成分、特に単一タイプのメタロセンを用いることが好都合である。
【0188】
一般に、メタロセン触媒を用いる場合には、原料オレフィン、溶剤、希釈剤の前処理の後に、並びに不純物を含まない触媒成分ストリームおよび反応器を維持するための予防措置の後に、反応は、良好に進行するであろう。いくつかの実施形態においては、メタロセン触媒を用いる場合には、特にそれらが、担体上に固定化される場合には、完全触媒系は、加えて、一種以上のスカベンジング化合物を含むであろう。ここで、用語「スカベンジング化合物」とは、極性不純物を、反応環境から除去する化合物を意味する。これらの不純物は、触媒の活性および安定性に有害な影響を及ぼす。典型的には、精製工程は、通常、反応成分を反応槽へ導入する前に用いられる。しかし、これらの工程は、まれに、重合またはオリゴメリゼーションを、いくつかのスカベンジング化合物を用いることなく可能にするであろう。標準的には、重合プロセスは、依然として、少なくとも少量のスカベンジング化合物(上記に記載されるものなど)を用いるであろう。
【0189】
典型的には、スカベンジング化合物は、有機金属化合物であろう。特許文献53、特許文献57、特許文献85、特許文献74、特許文献86並びに特許文献87の第13族有機金属化合物などである。全ては、本明細書に、引用して含まれる。典型的な化合物には、トリエチルアルミニウム、トリエチルボラン、トリ−イソ−ブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、メチルアルモキサン、イソ−ブチルアルモキサン、およびトリ−n−オクチルアルミニウムが含まれる。金属またはメタロイド中心に接続された、かさ高のまたはC〜C20線形ヒドロカルビル置換基を有するそれらのスカベンジング化合物は、通常、活性触媒との有害な相互作用を最小にする。例には、トリエチルアルミニウムが含まれる。しかし、より好ましくは、トリ−イソ−ブチルアルミニウム、トリ−イソ−プレニルアルミニウム、および長鎖線形アルキル−置換アルミニウム化合物(トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、またはトリ−n−ドデシルアルミニウムなど)などの嵩高の化合物である。アルモキサンはまた、他の活性化剤と共にスカベンジ量で添加されてもよい。例えば、メチルアルモキサン、[MeHNPh][B(pfp)]、またはB(pfp)である。式中、pfpは、パーフルオロフェニル(C)であり、Meはメチルであり、Phはフェニルである。
【0190】
本明細書に記載されるPAOはまた、均質溶液プロセスにおいて製造されることができる。一般に、これには、連続反応器における重合またはオリゴメリゼーションが含まれる。その際、形成されるポリマー、並びに供給される出発モノマーおよび触媒物質は、撹拌されて、濃度または温度勾配が低減されるか、または回避される。反応器中の温度制御は、一般に、重合熱を、反応器のジャケットまたは冷却コイル若しくは反応体の冷却された側流によって冷却して反応器の内容物が冷却される反応器、自動冷却、予冷原料、液体媒体(希釈剤、モノマー、または溶剤)の気化、または上記のものの組み合わせを用いて調整することによって得られる。予冷原料を用いる断熱反応器がまた、用いられてもよい。反応器の温度は、用いられる触媒および所望の生成物に左右される。より高い温度は、より低い分子量をもたらす傾向があり、より低い温度は、より高い分子量をもたらす傾向がある。一般に、反応器の温度は、−10℃〜250℃で異なることができる。10℃〜220℃、10℃〜180℃、または10℃〜170℃などである。
【0191】
一般に、所定の帯域内で、できるだけ厳密に反応温度を制御することが関心事である。狭い分子量分布を有する流体を製造するために(最高に可能なせん断安定性を促進するためなど)、反応温度を制御して、反応器全体を通して最小の温度変動が、反応時間に亘って最小のばらつきで得られることが有用である。多重反応器が、連続または並列で用いられる場合には、温度を、所定値の帯域内で一定に維持して、分子量分布のいかなる広がりも、最小にされることが有用である。広い分子量分布を有する流体を製造するためには、あるものは、反応温度、変動プロフィル、または変動を調整することができるか、または連続運転におけるように、第二の反応器温度は、好ましくは、第一の反応器温度よりも高い。並列反応器運転においては、二つの反応器の温度は、独立である。或いは、MWDはまた、多重タイプのメタロセン触媒を用いることによって、意図的に広げられることができる。
【0192】
本明細書で用いられるいかなる反応器の圧力も、約0.1気圧〜100気圧(1.5psi〜1500psi)で異なることができる。0.5バール(気圧)〜75気圧(8psi〜1125psi)、または1.0〜50気圧(15psi〜750psi)などである。反応は、窒素の雰囲気下で、若しくはいくらかの水素を有して、またはしばしば他の揮発性成分(プロピレン、PPストリーム、1−ブテン、Cストリーム、1−ペンテン等など)からの分圧を有して行われることができる。しばしば、少量の水素が、反応器に添加されて、触媒生産性が向上される。水素の量は、好ましくは、触媒生産性を向上させるのに十分なレベルで、しかし、オレフィン、特に原料アルファ−オレフィンのいかなる水素添加をももたらすのに十分に高くはないレベルで維持される。何故なら、飽和パラフィンへのアルファ−オレフィンの転化は、プロセスの効率に非常に有害であるためである。水素分圧の量は、好都合には、低く維持される。300psi未満、100psi未満、50psi未満、25psi未満、または10psi未満などである。一実施形態においては、本明細書に記載されるプロセスのいかなるものにおいても、反応器中の水素濃度は、30,000ppm未満である。5,000ppm未満、1,000ppm未満、500ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、または10ppm未満などである。
【0193】
反応時間または反応器滞留時間は、通常、用いられる触媒のタイプ、用いられる触媒の量、および所望の転化レベルによる。異なるメタロセンは、異なる活性を有する。通常、シクロペンタジエニル環上のアルキル置換基のより高い程度は、触媒生産性を向上する。次の典型的な触媒またはそれらのジアルキル類似体は、非置換メタロセンに比較して、所望の高い生産性および安定性を有する。即ち、
ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1−メチル−3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1−エチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1−メチル−3−n−ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1,2−ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1,3−ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、または
ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、または
ビス(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、または
(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、またはビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、または
ビス(1−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、またはビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、またはビス(1,2−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、または
ビス(4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、またはビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、またはビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(2−メチル−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、または
ビス(1,2−ジメチル−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、または
ビス(1−メチル−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、または
ビス(4−メチル−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(4,7−ジメチル−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド
である。
【0194】
通常、用いられる触媒成分の量は、限定的なものである。多量の触媒充填は、短い反応時間で高い転化をもたらす傾向がある。しかし、多量の触媒を用いることは、製造プロセスを不経済にし、および反応熱を管理し、かつ反応温度を制御することを困難にする。従って、最大の触媒生産性を有する触媒を選択して、必要とされるメタロセンの量および活性化剤の量を最小にすることが有用である。触媒系が、メタロセン+ルイス酸またはNCA成分を有するイオン性助触媒である場合には、用いられるメタロセンは、典型的には、メタロセン成分0.01マイクログラム〜500マイクログラム(または0.5ミリグラム)/アルファ−オレフィン原料gにある。通常、好ましい範囲は、メタロセン成分0.1マイクログラム〜100マイクログラム/アルファ−オレフィン原料gである。更に、NCA活性化剤/メタロセンのモル比は、0.1〜10の範囲にある。0.5〜5、または0.5〜3などである。アルキルアルミニウム化合物の共活性化剤が用いられる場合には、Al/メタロセンのモル比は、1〜1000の範囲にある。2〜500、または4〜400などである。
【0195】
典型的には、あるものは、原料アルファ−オレフィンの最高に可能な転化(ほぼ100%)を、最短に可能な反応時間で有することが好ましい。しかし、CSTR運転においては、しばしば、反応を、最適の転化(転化100%未満)で行うことが有利である。また、部分転化がより望ましい場合、または生成物の最も狭く可能なMWDが望まれる場合がある。何故なら、部分転化は、MWDの広がりを回避することができるからである。反応が、アルファ−オレフィンの転化100%未満まで行われる場合には、未反応出発物質は、他の生成物および溶剤/希釈剤から分離された後、全プロセス効率を増大するためにリサイクルされることができる。
【0196】
本明細書に記載されるいかなるプロセスにも対する所望の滞留時間は、1分〜30時間の範囲にある。5分〜16時間または10分〜10時間などである。
【0197】
これらのプロセスのそれぞれはまた、単一反応器、並列または連続の反応器形態で用いられてもよい。液体プロセスは、オレフィンモノマーを、適切な希釈剤または溶剤中で、上記される触媒系と接触させ、該モノマーを、所望のポリマーまたはオリゴマーを製造するのに十分な時間反応させる工程を含む。脂肪族および芳香族の両炭化水素溶剤が適切である。トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、およびt−ブチルベンゼンなどの芳香族が適切である。ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、イソペンタン、およびオクタンなどのアルカン、NorparまたはIsopar溶剤(ExxonMobil Chemical Company(テキサス州、ヒューストン))はまた、適切である。一般に、トルエンは、触媒成分を溶解するのに最良に適する。Norpar、Isopar、またはヘキサンは、反応希釈剤として好ましい。しばしば、トルエンおよびNorpar、またはトルエンおよびIsoparの混合物は、希釈剤または溶剤として用いられる。プロセスの単純化および高い反応器効率のために、できるだけ少ない溶剤または希釈剤を、反応器に添加することが好ましい。しばしば、低温で高粘度流体を製造するために、溶剤または希釈剤が、反応熱の伝達、撹拌、生成物の処理、ろ過等を促進するのに添加される。通常、余分の溶剤または希釈剤50wt%未満が、反応器に添加される。30wt%未満、20wt%未満、または10wt%未満などである。一実施形態においては、溶剤は、反応器系へ全く添加されない。反応系は、通常、少量の溶剤または希釈剤を、触媒、活性化剤、または共活性化剤/スカベンジャー溶液から持越されて有する。
【0198】
プロセスは、連続式撹拌槽型反応器またはプラグフロー型反応器、または連続または並行に運転される一つ以上の反応器において行われることができる。これらの反応器は、内部冷却を有しても、有さなくてもよく、モノマー原料は冷却されても、冷却されなくてもよい。一般的なプロセス条件については、特許文献88の一般的な記載を参照されたい。
【0199】
固体−担持触媒が、転化に用いられる場合には、スラリー重合/オリゴメリゼーションプロセスは、一般に、先に記載されるのと類似の温度、圧力、および滞留時間範囲で作動する。スラリー重合またはオリゴメリゼーションにおいては、固体触媒、助触媒、モノマー、およびコモノマーの懸濁液が添加される。希釈剤を含む懸濁液は、断続的または連続的に、反応器から除去される。触媒は、次いで、生成物から、ろ過、遠心分離、または沈殿によって分離される。流体は、次いでその後、蒸留されて、溶剤、いかなる未反応成分、および軽質生成物が除去される。溶剤、および未反応成分または軽質成分の一部、またはその全ては、再使用のためにリサイクルされることができる。
【0200】
非−担持溶液触媒が用いられる場合には、反応の完了時、または生成物が反応器(CSTRなど)から排出される場合に、生成物は、依然として、可溶性、懸濁、または混合触媒成分を含んでもよい。これらの成分は、好ましくは不活性化または除去される。通常の触媒不活性化方法または水性洗浄方法はいずれも、触媒成分を除去するのに用いられることができる。典型的には、反応は、化学量論量または過剰の空気、湿分、アルコール、イソプロパノール等を添加することによって不活性化される。混合物は、次いで、希水酸化ナトリウムまたは水で洗浄されて、触媒成分が除去される。残りの有機層は、次いで、蒸留に付されて、溶剤が除去される。これは、再使用のためにリサイクルされることができる。蒸留は、更に、C18以下のいかなる軽質反応生成物をも除去することができる。これらの軽質成分は、更なる反応のための希釈剤として用いられることができる。或いは、それらは、これらの軽質オレフィン生成物が、更なる官能基化および高性能流体への転化に最も適切なビニリデン不飽和を有することから、他の化学的合成のためのオレフィン質素材物質として用いられることができる。或いは、これらの軽質オレフィン生成物は、高品質パラフィン質溶剤として用いるのに、水素添加されることができる。
【0201】
非常に少量の水素の存在下での重合またはオリゴメリゼーションはまた、高度の不飽和二重結合を有するポリマーまたはオリゴマーを提供するのに有利である。これらの二重結合は、多数の性能特性を有する機能化流体に、容易に転化されることができる。MW300超を有するこれらのポリマーを転化する例には、無灰分散剤の調製が含まれる。その際、ポリマーは、無水マレイン酸と反応されて、PAO−無水コハク酸が与えられる。これは、次いで、アミン、アルコール、ポリエーテルアルコールと反応されて、分散剤に転化されることができる。これらの転化の例は、非特許文献14に見出されることができる。これは、本明細書に、引用して含まれる。
【0202】
他の実施形態においては、本明細書で製造されるポリアルファオレフィンはいずれも、水素添加されることができる。特に、ポリアルファ−オレフィンは、好ましくは、上記されるように処理されて、ヘテロ原子含有化合物が、600ppm未満へ低減され、次いで、水素および水素添加触媒と接触されて、臭素価2未満を有するポリアルファ−オレフィンが製造される。一実施形態においては、処理されたポリアルファ−オレフィンは、ヘテロ原子含有化合物100ppm以下(ヘテロ原子含有化合物10ppm以下など)を含む。(ヘテロ原子含有化合物は、炭素および水素以外の少なくとも一種の原子を含む化合物である。)好ましくは、水素添加触媒は、担持された第7、8、9、および10族金属からなる群から選択される。Ni、Pd、Pt、Co、Rh、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、およびWの一種以上からなる群から選択される水素添加触媒などであり、シリカ、アルミナ、クレー、チタニア、ジルコニア、または混合金属酸化物担体、または中間細孔物質(典型的には、MCM−41物質または関連物質(特許文献69に記載される)として知られる)上に担持される。好ましい水素添加触媒は、珪藻土に担持されたニッケル、またはアルミナまたはMCM−41に担持された白金またはパラジウム、若しくはアルミナに担持されたコバルト−モリブデンである。通常、高ニッケル含有量触媒(珪藻土上Ni60%触媒など)、または多量のCo−Mo充填を有する担持触媒が用いられる。或いは、水素添加触媒は、珪藻土、シリカ、アルミナ、クレー、またはシリカ−アルミナに担持されたニッケルである。或いは、触媒は、MCM−41または関連物質に担持されたPdまたはPtである。
【0203】
一実施形態においては、ポリアルファ−オレフィンは、水素および水素添加触媒と、温度25℃〜350℃、好ましくは100℃〜300℃で接触される。他の実施形態においては、ポリアルファ−オレフィンは、水素および水素添加触媒と、5分〜100時間、好ましくは5分〜24時間接触される。更に他の実施形態においては、ポリアルファ−オレフィンは、水素および水素添加触媒と、水素圧25psi〜2500psi、好ましくは100〜2000psiで接触される。他の実施形態においては、水素添加プロセスは、ポリアルファ−オレフィン中のmmトリアドグループの数を1〜80%低減する。PAOの水素添加に関する更なる情報については、特許文献89および非特許文献15を参照されたい。これは、本明細書に、引用して含まれる。これらは、PAOの水素添加に関する更なる情報を開示する。
【0204】
この水素添加プロセスは、バッチ運転のスラリー反応器、または連続式撹拌槽型反応器(CSTR)において達成されることができる。その際、水素添加触媒は、PAO原料の0.001wt%〜20wt%、好ましくはPAO原料の0.01wt%〜10wt%のレベルである。水素およびポリアルファ−オレフィンは、連続的に反応器へ添加されて、ある選択された滞留時間(通常、5分〜10時間)が、不飽和オレフィンの完全な水素添加に見込まれる。添加される触媒の量は、通常は非常に少ないが、触媒不活性化を補うのには十分に多い。触媒および水素添加PAOは、連続的に反応器から排出される。生成物混合物は、次いで、ろ過され、遠心分離され、または沈殿されて、固体水素添加触媒が除去される。触媒は、再生され、再利用されることができる。水素添加PAOは、そのままで用いられるか、または更に蒸留されるか、または必要な場合に、特定成分の組成物へ分留されることができる。いくつかの場合においては、水素添加触媒が、長時間運転に亘って、触媒不活性化を全く示さない場合には、撹拌槽水素添加プロセスは、反応器中に、固定量の触媒(通常、全反応体の0.1wt〜10%)を維持し、水素およびPAO原料のみが、適切な原料速度で連続的に添加される必要があり、および水素添加PAOのみが、反応器から排出される方法で行われることができる。
【0205】
水素添加プロセスはまた、固定床プロセスによって達成されることができる。その際、固体触媒は、管状反応器内部に充填され、反応器温度へ加熱される。水素およびPAO原料は、頂部または底部から同時に、または向流に、反応器を通して供給されて、水素、PAO、および触媒の間の接触が最大にされ、最良の熱管理が可能にされる。PAOおよび水素の原料速度は、原料中の不飽和オレフィンの完全な水素添加を可能にするか、および/またはmmトリアドの所望される転化をプロセスで可能にするのに適切な滞留を与えるように調整される。水素添加PAO流体は、そのままで用いられるか、または更に蒸留されるか、または必要な場合には、蒸留または分留されて、適正な成分が得られることができる。通常、仕上げ炭化水素PAO流体は、臭素価2未満を有する。
【0206】
本開示の新規のポリ−アルファ−オレフィンは、単独で用いられるか、または他の流体とブレンドされる場合には、独特の潤滑特性を有する。
【0207】
他の実施形態においては、本開示の新規の潤滑油は、潤滑油ブレンド組成物を含む。これには、本明細書に記載されるように製造されたPAOが、一種以上の他の基材(これはまた、「第二の基材」とも呼ばれてもよい)と共に含まれる。他の基材には、グループI〜グループVI基材、ガスツーリキッド転化プロセスから製造された潤滑油基材(GTL潤滑油)、または任意のそれらの組み合わせが含まれる。これらの他の基材の適切な組み合わせには、限定することなく、グループIIIおよびグループIV基材、グループIVおよびグループV基材、グループIIおよびグループIII基材、グループIIIおよびグループV基材、グループIおよびグループII基材、グループIおよびグループIII基材、並びにグループI〜VI基材の少なくとも一種およびGTL潤滑油が含まれる。潤滑油ブレンド組成物は、本開示のポリ−アルファオレフィン(実質的アタクチックPAOであってもよい)約0.1〜約90wt%、および第二の基材約10〜約99.9wt%を含む。潤滑油ブレンド組成物は、独特の潤滑特性を有する。これには、Kv100約3cSt〜約1000cSt、Kv40約6cSt〜約30,000cSt、VI約100〜約400(約100または約100超など)が含まれる。潤滑油ブレンド組成物は、流動点約0℃未満を有する。約−10℃未満、約−20℃未満、約−30℃未満、または約−40℃未満などである。潤滑油ブレンド組成物のノアック揮発性は、約30wt%未満である。約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、または約1%未満などである。一実施形態においては、第二の基材は、Kv100約15cSt以下を有する。或いは、第二の基材は、Kv100約4cS以下を有する。これは、グループI、II、III、IV(PAO)基材またはGTL潤滑油に有効である。しばしば、最低粘度の基材とブレンドして、最終ブレンド生成物について、VIの最大の増大および/または流動点の最大低減が、達成されることが望ましい。非常に高い粘度が必要とされる特別な用途(重質ギア潤滑油またはシリンダー油など)においては、本発明で作製される高粘度PAOを、15〜100cS(100℃で測定される)の他の油(従来の重質ニュートラル基材またはブライトストックまたはPAO(SpectraSyn20、SpectraSyn40、またはSpectraSyn100など)など)とブレンドして、最適仕上げ潤滑油が得られることが有利である。加えて、増粘剤、VI向上剤、酸化防止剤、耐摩耗剤、清浄剤/分散剤/抑制剤(DDI)パッケージ、および/または防錆剤の一種以上の添加剤が、添加されてもよい。一実施形態においては、本明細書で製造されるPAOは、分散剤、清浄剤、摩擦調整剤、トラクション向上剤、解乳化剤、消泡剤、発色団(染料)、および/またはヘーズ抑制剤の一種以上と組み合わされる。これらの完全処方潤滑油は、自動車用クランクケース油(エンジン油)、工業用油、グリース、油圧油、ギア油、伝熱流体、またはガスタービンエンジン油で用いられることができる。これらは、仕上げ潤滑油処方で用いられる添加剤の限定しない例である。完全合成、半合成、または部分合成潤滑油または機能性流体の処方において、本開示のPAOおよびグループI〜VIおよびGTL基材を使用することに関する更なる情報は、非特許文献16に見出されることができる。これは、本明細書に、引用して含まれる。GTL潤滑油の更なる情報は、特許文献89および特許文献90に見出される。これはいずれも、本明細書に、引用して含まれる。生成物処方で用いられる添加剤に関する更なる情報は、非特許文献17に見出されることができる。これは、本明細書に、引用して含まれる。
【実施例】
【0208】
試験方法:
流体特性を、特段に記載される場合を除いて、標準法およびそれらの一般に認められた同等法にしたがうことよって測定した。ASTM D445法による動粘度(40℃および100℃)cSt、ASTM D97法による流動点、およびASTM D2270法による粘度指数(VI)である。
【0209】
TGAノアック揮発性は、次に要約される次の手順に従って測定された。
【0210】
HTE揮発性試験は、熱重量分析(TGA)装置を用いて開発された。試験手順は、数段階の加熱、並びに250℃およびその近傍での最終等温期間を含んで、ノアック揮発性試験(ASTM D5800)が模擬された。試料毎の実際のTGA試験時間は、15分以下で保持された。急速冷却および平衡により、試料毎の全試験運転時間は、33分未満である。オートサンプラー(多試料(例えば、16〜64試料)を取扱う回転ラック)の使用は、極めて望ましい。TGAは、ASTM法D6375に記載されるノアック揮発性測定値に相関があることが知られる。この方法を用いて、TGAの揮発重量減を、参照油を運転することによって決定される特定時間で決定することによってノアック値が計算される。本開示においては、異なる手法が、TGAデータの組を作成して、ノアック揮発性と相関付けられるのに用いられた。これは、次の手順に記載される。
【0211】
試験装置は、他のTGA装置(例えば、TAのモデルQ−500および2950、Netzsch209Cおよび209F1等)が、オートサンプラーが付属される場合に用いられてもよいものの、TA Instruments、USAから入手可能なモデルQ−5000である。ガス流速は、装置内部で制御されて、十分量のキャリヤガス(空気、酸素、窒素、アルゴン、または不活性ガス)が確保される。これは、それぞれ、加熱炉および微量天秤が汚染されないように保護するのに、並びに揮発速度を適切に制御するために一定流量を保持するのに用いられる。
【0212】
較正:
標準的な較正手順(製造業者から推奨される)が用いられる。適切な加熱炉温度制御を確保するための温度較正に加えて、内部標準が、運転−運転間の繰返し性および再現性を検証するのに規定されることができる。各15試料あたりに少なくとも1試料が、内部標準として用いられる。内部標準の繰返し性は、定期的に監視および記録される。
【0213】
手順:
温度の行過ぎを避けるために、多段昇温が等温期間と組み合わせて用いられる。これは、次の例に記載される。
a.ステージ1:室温から220℃まで100℃/分の昇温
b.ステージ2:220℃から249℃まで10℃/分の昇温
c.ステージ3:等温方式を10分間保持する
d.ステージ4:温度<40℃へ冷却する
他の昇温プロフィルがまた用いられてもよい。
【0214】
オートサンプラー:
オートサンプラーは、データを、高処理量実験方式で作製するのに用いられる。一般的な手順は、(a)25個の受皿の風袋を、順次計ること、(b)25個の試料を、各試料皿に注入し、秤量すること、(c)25個の試料を、順次運転することを必要とする。
【0215】
試料サイズは、100μリットルの試料皿が用いられる場合には、10mg〜50mgの範囲であることができる。比較のために、できるだけ一定試料サイズ近くに保持し、また空気流量を一定に保持することが重要である。試料は、ピペットを通して、試料皿に注入されることができる。自動計量分配方式がまた、計量分配速度を加速するのに用いられてもよい。しかし、特定形状の試料皿(頂部にV−形フックを有する)は、自動方式の設計を困難にする。利用可能な多数の試料皿が存在する。白金またはアルミニウム皿は、それらの不活性性および洗浄の容易性から用いられることができる。
【0216】
データ分析:
データは、試料の重量(減または保持)を温度または時間に対して測定することによって、プロットされることができる。多段の加熱および等温が含まれることから、%重量減(各5wt%増分による)、または5%重量保持(各5wt%減分による)のプロットが、グラフ化されることができる。換言すれば、5個以上のデータ点(X、Y)に基づくデータの組の作成が十分である。その際、Xは、原重量に対する%重量保持(例えば、95%、90%、85%、80%、75%・・・)、およびYは、時間(分)である。%重量:時間のプロットが得られた後は、可能な相関は、試料データの組を、実際のノアック測定値(ASTM D5800−B法)に対して分析することによって確立されることができる。単純な線形方程式が、類似の処方化学の油の群に基づいて誘導されることができる。wt%ノアック揮発性は、次式により、TGAデータから計算されることができる。
wt%ノアック揮発性=
(6.815−15wt%重量減におけるTGA時間(分))/0.1621
【0217】
浄化
頻繁な清浄化が、系を清浄に保持し、凝縮/試料から試料へ運ばれる汚染を回避するのに必要とされる。吊下げワイヤおよび周囲の空間の目視検査は、浄化が必要かとされるか否かを決定する効果的な方法である。一般的な浄化手順には、700または750℃への急速昇温し、その温度で30〜45分間保持して全ての残渣を焼滅することが含まれる。
【0218】
次の限定しない例は、本開示の種々の実施形態を説明するのに含まれる。
【0219】
全ての実験に用いられた1−ブテンまたはC混合物(実施例に要約される)は、液化ガスを、(1ml〜10ml/酸素除去触媒およびモレキュラーシーブg/時間)の液体速度で、活性化酸素除去触媒および5Aモレキュラーシーブ(いずれも、Supelco Chromatograph Co.から入手可能である)を通して送ることによって清浄にされる。
【0220】
1−ブテンからの>20cStポリ−アルファ−オレフィンの調製
純1−ブテンまたは混合ブテン中の1−ブテン100gを、600mlのオートクレーブに室温で充填し、引続いて水素が存在する場合には水素充填した。反応器を、次いで、反応温度へ加熱した。反応温度で、全触媒成分(メタロセン、活性化剤、およびトリイソブチルアルミニウムスカベンジャ)を含む触媒溶液を、反応器温度が可能な限り一定に保持されるように2〜3工程で反応器へ加えた。反応器を、16時間後に急冷した。原料生成物を、次いで、痕跡量の水で処理して触媒が不活性化された。触媒残渣を、少量の固体収着アルミナを添加し、固体アルミナをろ過により除去することによって、除去した。
【0221】
既知量のn−へキサデカンを内部標準として有する原料生成物を、次いで、30mのDBIカラムで装備されたガスクロマトグラフHP5890によって分析した。これは、炭化水素を、それらの沸点に従って分離する。カラム条件;初期温度70℃/0分、300℃まで10℃/分のプログラム制御、および30分間の保持時間。1−ブテン転化のwt%、並びに軽質留分(<C28留分)およびC28以上の炭化水素の潤滑油留分に対するwt%選択性を、次いで、ガスクロマトグラフのデータから、内部標準法を用いて計算した。
【0222】
原料生成物を、次いで、減圧下に分留して、トルエン、ヘキサン、および軽質留分などの軽質溶媒を除去し、更に0.1ミリトル以下の高減圧下に、150℃で分留して、いかなる軽質留分をも除去した。潤滑油留分に対する転化率および選択性を報告した。潤滑油留分の動粘度(40℃および100℃)、VI、流動点、およびGPCを、前に記載される標準法に従って測定した。触媒の生産性を、用いられたメタロセンおよび触媒の1gあたり、全生成物または潤滑油生成物の重量に基づいて計算した。
【0223】
分析方法:
ポリ−1−ブテン(POB)合成の結果を、表1に要約する。データは、触媒活性が、触媒1gあたり1,200g生成物よりはるかに多いことを示す。
【0224】
【表2】

【0225】
類似の方法で、混合ブテンストリームを、原料として用いた。これは、Cラフィネート1またはラフィネート2ストリームなどの混合Cラフィネートストリームの組成物を模擬し、1−ブテン、シスおよびトランス−2−ブテン、イソブテンを含む。合成、および生成物の特性を、表2に要約する。
【0226】
【表3】

【0227】
実施例13〜19からの試料を、4〜6cSの低粘度GTL流体または他の低粘度グループI〜グループV基材とブレンドするのに用いた。ブレンドの特性、および競合流体、ブライトストック、ポリ−イソ−ブチレン(PIB)、または他の基材との比較を、要約し、以下に記載する。PIB試料は、Ineos Companyから商業的に入手可能である。
【0228】
表4は、ブレンドの組成および特性を要約する。ポリ−1−ブテン(POB)と、低粘度PAOおよびエステル流体とのブレンド(ブレンド実施例20〜24)からのブレンドを、PIBからのブレンド(ブレンド実施例25〜29)と比較する。重要な点は次のようである。
1.ブレンド実施例20および21は、粘度>1000cSのPOBから作製され、VI殆ど200か、それ以上を有する。流体のこれらのタイプは、真に高性能な流体であり、これらの高VI特性は、これらのブレンド組成からは予想外である。
2.ブレンド実施例22およびブレンド実施例29は、それぞれ、比較の粘度(100℃)(623.5cS:634.3cS)を有するPOBおよびPIBから作製される。これらの二つのブレンドの比較から、次の結論が導かれる。
a.POBからの作製されたブレンドは、PIBより良好なVIを有する。ブレンド実施例22は、VI 187を有する。これは、比較のブレンド実施例29の165VIより実質的に高い。より高いVIは、より良好な磨耗特性およびより良好なエネルギー効率に換言することができる。
b.POBから作製されたブレンドは、比較のPIBから作製されたブレンドより、良好な低温ブルックフィールド粘度(BV)を有する。ブレンド実施例22の低温ブルックフィールド粘度(BV)(−40℃および−55℃)は、ブレンド実施例29のものよりはるかに低い。低温におけるより低いBVは、より良好なポンパビリティ、より良好な低温保護、並びに粘性抵抗に打ち克つのに必要とされるより低いエネルギー、従って潜在的により良好なエネルギー効率に換言される。
c.POBは、PIBより高い粘度押し上げ効率を有する。PIBより低い量のPOBが、低粘度基材の粘度を押し上げるのに必要とされる。ブレンド実施例22においては、POB36.8wt%が、8.7cSのブレンドにブレンドするのに必要とされ、一方比較粘度のPIB41.1wt%が、実施例29におけるように、粘度を8.5cSへ押し上げるのに必要とされる。これらのデータ(比較の実施例22および29)は、POBが流体粘度を増大するに際して、PIBより11.7%効果的であることを示す。従って、POBは、流体粘度を増大するのに、より経済的な基材の選択肢である。
3.類似の結論が、POBから作製されたブレンド実施例23とPIBからのブレンド実施例26、27、28を比較することから引き出される。ブレンド実施例23は、より高いVI(169:137〜148)、比較のブレンド粘度(100℃)におけるより低いBV(−40および−55℃)、およびより良好な粘度押し上げ効果(粘度を8.24cSへ押し上げるのに必要なPOB43%:同じ粘度を達成するのに必要とされるPIB49.6wt%)を有する。
4.類似の結果は、実施例20のブレンド(POBより調製される)の粘度特性を、実施例27のもの(PIBより調製される)に対して比較することによって観察される。両ブレンドは、実質的に、同じ動粘度(100℃)を有する(それぞれ、10.67および10.29)。それにもかかわらず、実施例20のブレンドは、比較の実施例27のそれより実質的に低いブルックフィールド粘度を有する。即ち、−40℃では、実施例20のブレンドのブルックフィールド粘度は、実施例27のブレンドのブルックフィールド粘度51,789cPに比較して、11,977cPであり、−55℃では、実施例20のブレンドのブルックフィールド粘度は、実施例27のそれの545,884cP対して、102,178cPである。当業者に知られるように、潤滑油が、これらの顕著に低い温度でより低い粘度を有して、低温における効果的な潤滑性を提供することが可能にされることが重要である。また、実施例20のブレンドのVIは、実施例27のVI 137に比較して、207であることが注目に値する。
【0229】
【表4】

【0230】
表4は、4cSのGTL潤滑油中の異なる量の630cSPOBのブレンドの組成および特性、並びにPIB H300と4cSGTL潤滑油との比較ブレンド組成を要約する。基材GTL4は、比較的低粘度およびVI 138を有した。この表に示されるように、POBおよびPIBは、比較の粘度(100℃)を有する。この表のデータは、POBについて次の予想外の利点を、PIBに対して示す。
1.同量のPOBまたはPIBが、GTL4とブレンドされた場合に、POBブレンド(ブレンド実施例30および33)は、一貫して、PIBブレンド(ブレンド実施例34〜37)より高い動粘度(100℃および40℃)を有する。
2.図1および2は、POBおよびPIBブレンドについて、粘度(100℃)および粘度(40℃)のそれぞれに対ししてVIを比較する。これらのグラフは、POBブレンド(100℃粘度35cS以下、または40℃粘度300cS以下)のVI値が、PIBブレンドのVI値より高いことを示す。例えば、POBで作製され、Kv(100℃)10cStを有するブレンドは、PIBで作製され、同じKv(100℃)を有するブレンドのVI 160未満に比較して、VI 165を有する。これは、純PIBのVI 171が、比較の100℃粘度の純POBのVI 117より実質的に高いことから、極めて予想外のことである。
3.図3および4は、ブレンドの100℃動粘度に対して、ノアック揮発性を比較する。これは、POBおよびPIBのブレンドのTGA揮発性測定値から予測される。これらの二つのグラフは、同じ粘度のブレンドに対して、POBブレンドの揮発性が、粘度範囲に亘って、PIBブレンドより低かったことを示す。より低い揮発性は、より良好な性能に対してより望ましい。
【0231】
【表5】

【0232】
表5は、高品質4cSグループIII基材と、比較に粘度(100℃)を有するPOBおよびPIBともブレンドの特性を要約する。前に実施例に一貫して、POBとのブレンドは、より高いブレンド粘度を有する。これは、PIBとのブレンドより、高い粘度押し上げ効果または稠密効果、僅かに高いVI、および良好な流動点を有する。これらの二つのブレンドが、音波せん断試験(ASTM D2603法)に、異なる試験時間で付される場合には、POBとのブレンドは、100℃および40℃の両粘度について、および30または120分間の試験で、PIBとのブレンドより低い粘度減を有した。この試験データは、Cオレフィンから作成された両流体について、比較粘度のPOBをPIBとして含むブレンドが、より良好なせん断安定性を有することを示した。
【0233】
【表6】

【0234】
実施例1〜19で調製された試料は全て、ポリマー分市中に、実質量のアタクチック立体配列を有する。これは、試料のC13NMRをアイソタクチックポリ−1−ブテンに比較することによって確認される。試料番号11の典型的なC13NMRを、図5−aに示す。このスペクトルは、アイソタクチックポリ−1−ブテンの図5−bのC13NMRと実質的に異なる。これは、次に報告される比較実施例Aで調製される。アイソタクチックポリ−1−ブテンのこのC13NMRはまた、非特許文献18に報告されるスペクトルに類似している。図5−bの鋭いピークは、アイソタクチシティの高い程度による。図5−aの広いピーク、特にCピークは、明らかに、それらが、ステレオ配列の%が高く(>30%)、mmおよびrr配列が低いことを示す。
【0235】
特に、図5−aのCの広いピークは、ポリマーにおけるアタクチック組成の高い程度を示す。アイソタクチックポリ−1−ブテン、または立体規則性のいかなる高い程度をも有するポリ−1−ブテンについては、このCピークは、図5−bに示されるように、非常に鋭くかつ狭いピークである。
【0236】
比較実施例A
この実施例においては、実質量のアイソタクチック立体配列を有するポリ1ブテンを、純1−ブテン270gと、メチルアルミノキサン(MAO)溶液(トルエン中10wt%MAO)5.274g、トルエン20gおよびメタロセンラセミ−ジメチルシリル(テトラヒドロインデニル))ジルコニウムジクロリド0.00834gを含む触媒溶液とを重合することによって調製した。触媒系は、先行技術で用いられる触媒系に類似であった。反応を、35℃で16時間行った。生成物を、溶剤をストリッピングして除くことによって単離した。室温へ冷却された際に、固体ポリ−1−ブテンを得た。このポリ−1−ブテンは、分子構造中に、実質量のmmジアドを含んだ。それは、潤滑油基材用途には適切でない。この実施例は、明らかに、実質量のアイソタクチック立体配列を有するポリ−1−ブテンが、潤滑油基材として適切でないことを示した。
【0237】
出願人らは、適度に予見されることができるであろう開示の主題について、全ての実施形態および適用を開示することを試みた。しかし、均等物として留まる、予見できない微細な修正が存在する。本発明は、それらの特定の例示の実施形態と組み合わせて記載されているものの、多くの変更、修正および変型が、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、前述の説明に照らして、当業者に明白であろうことが明らかである。従って、本開示は、上記の詳細な説明の全てのこれらの変更、修正および変型を包含するものである。
【0238】
本明細書に述べられる全ての特許、試験手順および他の文献は、先行文献を含めて、これらの開示が本発明と矛盾しない程度に、かつこれらの包含が許される全ての管轄に対して引用して完全に含まれる。
【0239】
数値の下限および数値の上限が、本明細書に列記される場合には、任意の下限値〜任意の上限値の範囲が、予期される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン、1−ブテンまたは1−ペンテンのモノマーの少なくとも一種から作製されるポリ−アルファ−オレフィンからなる実質的にアタクチックなポリマーであって、粘度指数(VI)50〜250、Kv1008〜5,000cSt、Kv4060〜80,000cStおよび流動点10℃未満を有することを特徴とする実質的にアタクチックなポリマー。
【請求項2】
mrトリアドのアタクチック成分を少なくとも30モル%含むことを特徴とする請求項1に記載の実質的にアタクチックなポリマー。
【請求項3】
1−ブテンのポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の実質的にアタクチックなポリマー。
【請求項4】
mrトリアドを少なくとも50モル%含むことを特徴とする請求項1に記載の実質的にアタクチックなポリマー。
【請求項5】
mrトリアドを少なくとも70モル%含むことを特徴とする請求項1に記載の実質的にアタクチックなポリマー。
【請求項6】
プロピレンのポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の実質的にアタクチックなポリマー。
【請求項7】
1−ペンテンのポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の実質的にアタクチックなポリマー。
【請求項8】
プロピレンと1−ブテンのコポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の実質的にアタクチックなポリマー。
【請求項9】
プロピレンと1−ペンテンのコポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の実質的にアタクチックなポリマー。
【請求項10】
1−ブテンと1−ペンテンのコポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の実質的にアタクチックなポリマー。
【請求項11】
プロピレン、1−ブテンおよび1−ペンテンのコポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の実質的にアタクチックなポリマー。
【請求項12】
(a)プロピレン、1−ブテンまたは1−ペンテンのモノマーの少なくとも一種から作製され、粘度指数(VI)50〜250、Kv1008〜5,000cStおよびKv4060〜80,000cSt、流動点10℃未満を有するポリ−アルファ−オレフィンからなる実質的にアタクチックなポリマー;および
(b)Kv10020cSt未満を有する第二の基材
を含むことを特徴とするブレンド組成物。
【請求項13】
前記実質的にアタクチックなポリマーは、mrトリアドのアタクチック成分を少なくとも30モル%含むことを特徴とする請求項12に記載のブレンド組成物。
【請求項14】
前記実質的にアタクチックなポリマーは、mrトリアドのアタクチック成分を少なくとも50モル%含むことを特徴とする請求項12に記載のブレンド組成物。
【請求項15】
前記実質的にアタクチックなポリマーは、mrトリアドのアタクチック成分を少なくとも70モル%有することを特徴とする請求項12に記載のブレンド組成物。
【請求項16】
前記実質的にアタクチックなポリマーは、1−ブテンのポリマーであることを特徴とする請求項12に記載のブレンド組成物。
【請求項17】
前記潤滑油基材は、Kv10020cSt以下を有することを特徴とする請求項12に記載のブレンド組成物。
【請求項18】
前記実質的にアタクチックなポリマーを0.1〜90wt%含むことを特徴とする請求項12に記載のブレンド組成物。
【請求項19】
ノアック揮発性30wt%未満を有することを特徴とする請求項12に記載のブレンド組成物。
【請求項20】
前記実質的にアタクチックなポリマーは、プロピレンのポリマーであることを特徴とする請求項12に記載のブレンド組成物。
【請求項21】
前記実質的にアタクチックなポリマーは、1−ペンテンのポリマーであることを特徴とする請求項12に記載のブレンド組成物。
【請求項22】
前記実質的にアタクチックなポリマーは、プロピレンと1−ブテンのコポリマーであることを特徴とする請求項12に記載のブレンド組成物。
【請求項23】
前記実質的にアタクチックなポリマーは、プロピレンと1−ペンテンのコポリマーであることを特徴とする請求項12に記載のブレンド組成物。
【請求項24】
前記実質的にアタクチックなポリマーは、1−ブテンと1−ペンテンのコポリマーであることを特徴とする請求項12に記載のブレンド組成物。
【請求項25】
前記実質的にアタクチックなポリマーは、プロピレン、1−ブテンおよび1−ペンテンのコポリマーであることを特徴とする請求項12に記載のブレンド組成物。
【請求項26】
請求項1に記載の実質的にアタクチックなポリマーを0.1〜90wt%含むことを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項27】
前記第二の基材を10〜99.9wt%含むことを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項28】
Kv1003cSt〜1000cStを有することを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項29】
Kv406cSt〜30,000cStを有することを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項30】
VI 100〜400を有することを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項31】
VI 100以上を有することを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項32】
流動点0℃未満を有することを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項33】
流動点−10℃未満を有することを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項34】
流動点−20℃未満を有することを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項35】
流動点−30℃未満を有することを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項36】
流動点−40℃未満を有することを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項37】
ノアック揮発性30wt%未満を有することを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項38】
ノアック揮発性20wt%未満を有することを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項39】
ノアック揮発性15wt%未満を有することを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項40】
ノアック揮発性10wt%未満を有することを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項41】
ノアック揮発性5wt%未満を有することを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項42】
ノアック揮発性1wt%未満を有することを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項43】
前記第二の基材は、Kv10015cSt以下を有することを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。
【請求項44】
前記第二の基材は、グループI〜VI基材、ガスツーリキッド転化プロセスから製造される潤滑油基材(GTL潤滑油)の少なくとも一種またはそれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする請求項12に記載の潤滑油ブレンド組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−a】
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【図5−b】
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【公表番号】特表2011−523423(P2011−523423A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544348(P2010−544348)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/000449
【国際公開番号】WO2009/094192
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】