説明

基材ベースのスキンケアデバイス

(1)皮膚科学的に許容可能な予備成形基材及び(2)フラボノイド化合物を含むスキンケアデバイスが開示され、前記デバイスは前記フラボノイド化合物を送達するための液体媒体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚美白及び老化防止のような種々の改善されたスキンケア効果を提供する基材ベースのスキンケアデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の過剰な色素沈着(加齢斑、そばかす、しみ、黒ずみ、黄ばみ、不均一な色調など)、しわ、及び通常は皮膚の老化又はヒトの皮膚に対する環境による損傷に関連する他の慢性的変化を遅延させ、最小限に抑え、又はなくすことまでもする、皮膚のための様々な処置が提案される。そのような処置は、パック及びマスクのような特殊な化粧品の適用やビタミン類の経口摂取から、ケミカルピーリング、レーザー手術、光美顔術、及び他の処置にまでわたる。一般に、有効な処置には、より多くの時間的、身体的、及び経済的投資が必要と考えられている。有効であるが、消費者が日常的に使用できるような、安全且つ手ごろな価格の処置が、強く要望されている。
【0003】
種々の皮膚美白剤及び老化防止剤が当該技術分野において既知である。また、活性物質の組み合わせが相乗効果を提供する場合があることも知られている。ヘスペリジンのようなフラボノイド類は、例えば日本特許公報A11−346792、A2002−255827、A2003−137734及び米国特許出願公開2002/13481にて、皮膚に使用するためのものが当該技術分野において既知である。
【0004】
基材ベースのスキンケアデバイス、例えばマスク及び貼付剤は、消費者の自宅で特別な処置を施せる少々複雑であるが、有効な手段であるため、ますます人気が高まっている。一般に、消費者はこれらの製品からの比較的高い効力を期待する。基材ベースのスキンケアデバイスは、通常、飽和量を超える水性液体組成物を含有する。こうした基材ベースのスキンケアデバイスが皮膚の特定領域に適用される場合、特定の皮膚表面の温度は、こうした多量の水のために大幅に低下する。こうした温度の低下は、消費者に好ましい冷却感を与えることもあるが、皮膚活性剤の浸透という点からは負の作用を及ぼす場合がある。すなわち、活性剤の皮膚浸透は皮膚表面の温度が低下するにつれて減速する。基材ベースのスキンケアデバイスによる皮膚浸透の観点から、皮膚表面の温度低下を緩和する皮膚活性剤が所望されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上から、改善された皮膚コンディショニング効果を提供し、皮膚に適用された時に皮膚表面の温度低下を緩和もする基材ベースのスキンケアデバイスが必要とされている。具体的には、皮膚美白効果及び/又は老化防止効果を与える基材ベースのスキンケアデバイスが必要とされている。
【0006】
既存の技術には、本発明の利点及び効果の全てを提供するものは存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(1)皮膚科学的に許容可能な予備成形基材と、
(2)約0.001%〜約10%のフラボノイド化合物と
を含むスキンケアデバイスを対象とし、このデバイスは前記フラボノイド化合物を送達するための液体媒体とを含む。
【0008】
本発明はまた、前述のデバイスを皮膚に適用する工程を含む皮膚美白効果を提供する方法を対象とする。
【0009】
本発明はまた、前述のデバイスを皮膚に適用する工程を含む老化防止効果を皮膚に提供する方法を対象とする。
【0010】
本発明のこれら及びその他の特徴、態様、並びに利点は、添付の特許請求の範囲と共に本開示を読めば、当業者には明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書は、本発明を特に指摘し明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、以下の説明からよりよく理解されるものと考えられる。
【0012】
百分率、部及び比率は全て、特に明記しない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。提示された成分に関する全てのこのような重量は活性物質の濃度に基づき、したがって市販材料に含まれる可能性があるキャリア又は副生成物を含まない。
【0013】
本明細書に有用な活性物質及び他の成分のような成分は全て、美容及び/若しくは治療的な効果、又はそれらの自明であると見なされている作用様式によって分類又は記載されてもよい。ただし、本明細書に有用な活性物質及び他の成分が、場合によっては美容的及び/若しくは治療的な複数の効果をもたらすこと、又は複数の作用様式で作用することもあることを理解すべきである。それゆえ、本明細書での分類は便宜上のことであって、成分を特定の適用又は列記された適用に限定しようとするものではない。
【0014】
本明細書で使用する時、用語「予備成形」は、物品が予め定められた形状及び大きさを有する形態に製造されていることを意味しており、ユーザーは、その物品をいずれかの付属パッケージから取り出し、更なる準備工程を実施することなく、指により標的表面上に配置するか又は覆うことができる。また、用語「予備成形」は、製造の完了時、その物品が所望の通常保管温度で平らな表面上に配置された時に、その形状をほぼ保持することを意味する。しかし、その物品は、平らでない表面に適用された時又は押しつけられた時に、たわむ又は変形することがあってもよい。
【0015】
フラボノイド化合物
本発明のデバイスは、フラボノイド化合物を含む。フラボノイド化合物は、以下で記載されるように、本発明のデバイスの液体組成物、ゲルシート又はコーティング組成物の約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.01重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約1重量%の濃度で使用される。フラボノイド化合物は、酸化防止効果、UV吸収効果、及びラジカル捕捉効果を提供することが知られている。フラボノイド化合物はまた、コラーゲン構造を強化するのに有効であることも知られている。
【0016】
本明細書で有用なフラボノイド化合物は、次のような2−フェニルベンゾピロン(I)又は3−フェニルベンゾピロン(II)骨格構造のいずれかから誘導される。(マグローヒル科学技術百科事典(McGraw-Hill encyclopedia of Science and technology))
【0017】
【化1】

【0018】
フラボノイド化合物はさらに、それらの複素環(環C)の酸化レベル又は置換パターンに応じて、さらに異なる群に分類できる。本明細書で有用なフラボノイド化合物としては、非置換フラバノン類、置換フラバノン類、非置換フラボン類、置換フラボン類、非置換カルコン類、置換カルコン類、非置換イソフラボン類、及び置換イソフラボン類が挙げられる。本明細書で使用する時、用語「置換」は、上述の骨格構造の1つ以上の水素原子が独立して、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、C1〜C4アルコキシル、O−グリコシドなど、又はこれら置換基の混合物と置換されたフラボノイド化合物を意味する。本明細書で特に有用なフラボノイド化合物は、置換フラバノン類、置換フラボン類、置換カルコン類、置換イソフラボン類、及びそれらの混合物から成る群から選択される。
【0019】
フラボノイド化合物は、植物のような天然供給源からの抽出物として得ることができる。好適なフラボノイド化合物の例としては、フラバノン(非置換)、フラバノノール(3’−ヒドロキシフラバノン)、ピノセンブリン(5,7−ジヒドロキシフラバノン)、ピノストロビン(5−ヒドロキシル−7−メトキシフラバノン)、リキリチゲニン(7,4’−ジヒドロキシフラバノン)、リキリチン(4’−グルコシド−7,4’−ジヒドロキシフラバノン)、ブチン(butin)(7,3’,4’−トリヒドロキシフラバノン)、サクラネチン(sakuranetin)(5,4’−ジヒドロキシ−7−メトキシフラバノン)、サクラニン(5−グルコシド−5,4’−ジヒドロキシ−7−メトキシフラバノン)、イソサクラネチン(5,7−ジヒドロキシ−4’−メトキシフラバノン)、ポンシリン(7−ラムノグルコシド−5,7−ジヒドロキシ−4’−メトキシフラバノン)、ナリンゲニン(5,7,4’−トリヒドロキシフラバノン)、ナリンギン(7−ラムノグルコシド−5,7,4’−トリヒドロキシフラバノン)、ヘスペリチン(5,7,3’−トリヒドロキシ−4’−メトキシフラバノン)、ヘスペリジン(7−ラムノグルコシド−5,7,3’−トリヒドロキシ−4’−メトキシフラバノン)、フラボン(非置換)、クリシン(5,7−ヒドロキシフラボン)、トリンジン(toringin)(5−グルコシド−5,7−ヒドロキシフラボン)、アピゲニン(5,7,4’−トリヒドロキシフラボン)、アピイン(7−アピオ−グルコシド−5,7,4’−トリヒドロキシフラボン)、コスモシイン(7−グルコシド−5,7,4’−トリヒドロキシフラボン)、アカセチン(5,7,−ジヒドロキシ−4’−メトキシフラボン)、フォーチュネリン(7−ラムノグルコシド−5,7,−ジヒドロキシ−4’−メトキシフラボン)、バイカレイン(5,6,7−トリヒドロキシフラボン)、バイカリン(7−グルクロニド−5,6,7−トリヒドロキシフラボン)、スクテラーリン(scutellarin)(7−グルクロニド−5,6,7,4’−テトラヒドロキシフラボン)、ジオスメチン(5,7,3’−トリヒドロキシ−4’−メトキシフラボン)、ジオスミン(7−ラムノグルコシド−5,7,3’−トリヒドロキシ−4’−メトキシフラボン)、ガランギン(3,5,7−トリヒドロキシフラボン)、ケルセチン(3,5,7,3’,4’−ペンタヒドロキシフラボン)、クエルシトリン(3−ラムノシド−3,5,7,3’,4’−ペンタヒドロキシフラボン)、ルチン(3−ラムノグルコシド−3,5,7,3’,4’−ペンタヒドロキシフラボン)、ラムネチン(3,5,3’,4’−テトラヒドロキシ−7−メトキシフラボン)、キサントラムニン(3−ラムノシド−3,5,3’,4’−テトラヒドロキシ−7−メトキシフラボン)、ミリセチン(5,7,3’,4’,5’−ペンタヒドロキシフラボノール)、ミリシトリン(3−ラムノシド−5,7,3’,4’,5’−ペンタヒドロキシフラボノール)、フクゲチン(fukugetin)のようなビフラボン類;ギンゲチン及びビロベチン、イソフラボン、カルコン、上記置換フラボン類の全ての異性体、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で有用なフラボノイド化合物は、天然供給源から誘導又は変性される合成材料であってもよい。これらの化学変性を行うことにより、フラボノイド化合物は、他の組成物成分に対する溶解性又は相溶性が改善されてスキンケア組成物により適用可能となり得る。好ましい変性フラボノイド化合物は、天然供給材料からのグリコシル化、アルキル化又はアシル化である。
【0021】
本明細書で特に有用な群のグリコシドフラボノイド類は、次の一般構造式(III)から選択されるものである
【0022】
【化2】

(式中、R1〜R6は独立して、H、OH、アルコキシ、及びヒドロキシアルコキシから成る群から選択され、ここで前記アルコキシ又はヒドロキシアルコキシ基は、分枝状又は非分枝状であり、1〜18個の炭素原子を有し、Z1は、モノ−及びオリゴグリコシドラジカル類から成る群から選択される。Z1は、好ましくはヘキソシルラジカル類、より好ましくはラムノシルラジカル類、及びグルコシルラジカル類から成る群から選択される。また他のヘキソシルラジカル類、例えばアロシル(allosyl)、アルトロシル(altrosyl)、ガラクトシル、グロシル、イドシル、マンノシル及びタローシルを使用するのが有利である。本発明によれば、ペントシルラジカル(pentosyl radical)類を使用するのが有利な場合もある。)
本明細書で特に有用な別の群のグリコシドフラボノイド類は、次の一般構造式(IV)から選択されるものである
【0023】
【化3】

(式中、R11〜R17は独立して、H、OH、アルコキシ、及びヒドロキシアルコキシから成る群から選択され、ここで前記アルコキシ又はヒドロキシアルコキシ基は、分枝状又は非分枝状であり、1〜18個の炭素原子を有し、Z2は、モノ−及びオリゴグリコシドラジカル類から成る群から選択される。Z2は、好ましくはヘキソシルラジカル類、より好ましくはラムノシルラジカル及びグルコシルラジカルから成る群から選択される。また他のヘキソシルラジカル類、例えばアロシル(allosyl)、アルトロシル(altrosyl)、ガラクトシル、グロシル、イドシル、マンノシル及びタローシルを使用するのが有利である。本発明によれば、ペントシルラジカル(pentosyl radical)類を使用するのが有利な場合もある。)
本発明の特に好ましい1つの実施形態では、グリコシドフラボノイドは、グルコシルヘスペリジン、グルコシルルチン、グルコシルミリシトリン、グルコシルイソクエルシトリン、グルコシルクエルシトリン、メチルヘスペリジン、及びそれらの混合物から成る群から選択される。これらのグルコシドフラボノイド化合物は、関連する天然フラボノイド化合物からの生化学方法によって得ることができる。グルコシル基(類)は、元々の物質の1つ以上の水酸化物に連結できる。
【0024】
グルコシルルチンの代表的な式は次の通りである:
【化4】

【0025】
グルコシルヘスペリジンの代表的な式は次の通りである:
【化5】

【0026】
本明細書で有用なアルキル化フラボノイド化合物は、一般の天然フラボノイド類の化学変性から通常誘導されるアルコキシ又はヒドロキシアルコキシフラボノイド類である。本明細書で有用なアルキル化フラボノイド化合物の例は次の通りである。これらの式は単に代表的なものであり、アルキル又はヒドロキシアルキル基が他の存在するヒドロキシル基に連結することも可能である。
【0027】
トロキセルチン(troxerutin)(3’,4’,7−トリ−ヒドロキシエトキシル−ルチン)の代表的な式は次の通りである:
【化6】

【0028】
モノキセルチン(monoxerutin)(7−ヒドロキシエトキシルルチン)の代表的な式は次の通りである:
【化7】

【0029】
別の有用なアルキル化フラボノイド化合物、メチルヘスペリジンは次の一般構造式(V)を有する
【化8】

(式中、R21〜R28は独立して、H又はメチルから成る群から選択され、ここでR21〜R28の少なくとも1つはメチルである。)
【0030】
グリコシドフラボノイド類の本明細書で有用な別の群は、いずれかのフラバノンからの異性化によって得ることができるカルコンである。カルコン類は、スキンケア組成物に容易に配合できる改善された溶解性のために、本発明において極めて有用である。
【0031】
ヘスペリジンから誘導される代表的なカルコンは次の通りである:
【化9】

【0032】
ヘスペリチンから誘導される別の代表的なカルコンは次の通りである:
【化10】

【0033】
市販のフラボノイド化合物としては、アルプス・ファーマシューティカル・インダストリー(Alps Pharmaceutical Industry Co. Ltd.)(日本)から市販されているヘスペリジン、メチルヘスペリジン、及びルチン;及びハヤシバラ・バイオケミカル・ラボラトリーズ(Hayashibara Biochemical Laboratories, Inc.)(日本)及び東洋精糖株式会社(Toyo Sugar Refining Co. Ltd.)(日本)から市販されているグルコシルヘスペリジン及びグルコシルルチンが挙げられる。
【0034】
ビタミンB3化合物
本発明のデバイスは、好ましくはさらにビタミンB3化合物を含む。ビタミンB3化合物は、以下で記載されるように、本発明のデバイスの液体組成物、ゲルシート又はコーティング組成物の約0.01重量%〜約15重量%、好ましくは約0.1重量%〜約15重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約10重量%の濃度で使用される。ビタミンB3化合物は、単独で、皮膚での多くの代謝酵素反応を向上させる補酵素のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)群及びその還元型(NADPH)群の前駆体を提供することが知られている。ビタミンB3化合物はまた、皮膚バリア特性の指標である経皮水分損失及び過剰の皮膚グリコサミノグリカン類を減少させることが知られている。
【0035】
意外にも、フラボノイド化合物とビタミンB3化合物とを組み合わせて使用することにより、それぞれの活性剤を単独で使用するよりも相乗的な皮膚処置効果を提供する組成物が得られることが見出されている。皮膚処置効果は特に、皮膚美白効果及び老化防止効果に見られる。
【0036】
理論に束縛されないが、フラボノイド化合物は、ビタミンB3化合物の輸送を向上させると考えられている。フラボノイド化合物は、細胞膜脂質二分子膜との相対的な親和性が良好である一方で、ビタミンB3化合物はその一般的に親水性の構造によって親和性が低い。皮膚細胞に2種類の活性物質を有効に輸送することによって、2種類の活性物質が、真皮に異なる機構を介して皮膚処置効果を提供し、それによって皮膚に相乗的な効果をもたらすと考えられている。
【0037】
本明細書で有用なビタミンB3化合物としては、例えば、次の式を有するもの:
【化11】

(式中、Rは−CONH2(例えば、ナイアシンアミド)、又は−CH2OH(例えば、ニコチニルアルコール)、それらの誘導体、及びそれらの塩類が挙げられる。)前出のビタミンB3化合物の代表的な誘導体としては、ニコチン酸の非血管拡張性エステル類、ニコチニルアミノ酸類、カルボン酸類のニコチニルアルコールエステル類、ニコチン酸N−オキシド、及びナイアシンアミドN−オキシドを包含する、ニコチン酸エステル類が挙げられる。好ましいビタミンB3化合物は、ナイアシンアミド及びニコチン酸トコフェロール、より好ましいものはナイアシンアミドである。好ましい一実施形態では、ビタミンB3化合物は、限られた量の塩の形態を含有し、より好ましくは実質的にビタミンB3化合物の塩を含まない。好ましくはビタミンB3化合物は約50%未満のそのような塩を含有し、さらに好ましくは本質的には塩の形態を含まない。本明細書で極めて有用な市販のビタミンB3化合物としては、ライリー(Reilly)から入手可能なナイアシンアミドUSPが挙げられる。
【0038】
ビタミンB6化合物
本発明のデバイスは、好ましくはさらにビタミンB6化合物を含む。ビタミンB6化合物は、以下で記載されるように、組成物の約0.001重量%〜約15重量%、好ましくは約0.01重量%〜約10重量%、より好ましくは本発明のデバイスの液体組成物、ゲルシート又はコーティング組成物の約0.01重量%〜約5重量%の濃度で使用される。ビタミンB6化合物は、単独で、アミノ酸類及び核酸類の合成のための補酵素を提供し、それによって皮膚細胞のコラーゲン合成のような同化活性を向上させることが知られている。改善されたコラーゲン構造は、皮膚の色調を良好にし、皮膚外観を明るくすることが知られている。
【0039】
意外にも、フラボノイド化合物及びビタミンB3化合物に加えてビタミンB6化合物を組み合わせて使用することにより、顕著な皮膚処置効果をもたらす組成物が得られることが見出されている。皮膚処置効果は特に、皮膚美白効果及び老化防止効果に見られる。
【0040】
理論に束縛されないが、3種類の活性物質が、真皮に異なる機構を介して皮膚に総合的な作用を提供し、それによって皮膚に相乗的な効果をもたらすと考えられている。
【0041】
本明細書で有用なビタミンB6化合物としては、ピリドキシン;ピリドキシンのエステル類、例えばピリドキシントリパニテート(tripahnitate)、ピリドキシンジパルミテート、ピリドキシンジオクタノエート;ピリドキシンのアミン類、例えばピリドキサミン;ピリドキシンの塩類、例えばピリドキシンHCl;及びそれらの誘導体、例えばピリドキサミン、ピリドキサル、ピリドキサルホスフェート、及びピリドキシン酸が挙げられる。特に有用なビタミンB6化合物は、ピリドキシン、ピリドキシンのエステル類、及びピリドキシンの塩類から成る群から選択される。ビタミンB6化合物は、起源が合成又は天然であることができ、本質的に純粋な化合物又は化合物の混合物(例えば、自然源の抽出物又は合成材料の混合物)として用いることができる。本明細書で使用する時、「ビタミンB6」はこのようなものの異性体及び6個の互変異性体を包含する。本明細書で有用な市販のビタミンB6化合物としては、例えばDSMから入手可能なピリドキシンHCl、日光ケミカルズ(Nikko Chemicals Co. Ltd.)から入手可能な商標名NIKKOL DPのピリドキシンジパルミテート及び商標名NIKKOL DKのピリドキシンジオクタノエートが挙げられる。
【0042】
デバイスの予備成形基材及び形態
本発明のデバイスは、皮膚表面にて、少なくともその製品が皮膚を処置するために設定された時間はその構造及び特性を保持できる予備成形基材をベースとする。一般的に言えば、基材ベースのスキンケアデバイスは、少なくとも5分間皮膚にそのままにしておく。本発明による基材ベースのスキンケアデバイスは、一般に各表面が約0.25cm2〜約1,000cm2、好ましくは約1cm2〜約300cm2の面積を有するような大きさである。表面積とは、表面と同一の境界を有する平らな平面、すなわち表面の質の存在を無視した平面の表面積を指す。本明細書の基材ベースのスキンケアデバイスは、目の周りの領域、瞼、鼻、口の周りの領域、額、顎、顔の輪郭全体、首又はそれらの組み合わせのような領域を覆う、例えば、正方形、円形、半円形、長方形、楕円形、環状、三日月形、涙形、又はそれらの複合形状でもありうる、さらに複雑な他の形状であってもよい。
【0043】
予備成形基材は、種々の形態及び組成にて提供されてもよい。
【0044】
1つの好ましい実施形態において、デバイスは、通常トリートメントマスクと呼ばれる形態であり、ここでこの基材は非水溶性であり、このデバイスの残りは液体組成物を形成し、この液体組成物は前記非水溶性基材の100重量%〜2000重量%である。この実施形態において、液体組成物及び基材は、実質的に互いに不活性である。便宜上、この実施形態は、以降、「マスク」と呼ばれ、本明細書の「非水溶性基材」及び「液体組成物」という用語は、マスク実施形態を特に対象とする。
【0045】
別の好ましい実施形態において、デバイスは、通常貼付剤又はゲルと呼ばれるものの形態であり、基材はゲル化剤及びゲル化剤の親水性溶媒を含むゲルシートであり、前記ゲルシートは、フラボノイド化合物を含む。便宜上、この実施形態は、以降、「ゲルシート」と呼ばれ、本明細書の「コーティング組成物」及び「ゲル化剤」という用語は、ゲルシート実施形態を特に対象とする。
【0046】
ゲルシート実施形態において、皮膚と接触する場合、基材自体がフラボノイド化合物を放出する。特に好ましい実施形態において、デバイスは、ゲルシートに加えて別個のコーティング組成物を含み、コーティング組成物もフラボノイド化合物をさらに含む。包装内で平衡状態に達するように、コーティング組成物をゲルシートと同一の包装内に含んでもよい。「別個の」コーティング組成物とは、明確に異なる組成物としてゲルシートに適用される組成物を意味し、特に、異なる化学構造を有し、ゲルシートとは別個に調製され、ゲルシートの形成前、形成後、又は形成と同時に、別個の層として置かれる組成物を意味する。コーティング組成物は、フラボノイド化合物及びその他の皮膚活性剤の皮膚への送達効率を上げることができ、配合柔軟性を高める。コーティング組成物は、好ましくはフラボノイド化合物、すなわち共通の少なくとも1つの皮膚活性剤を含む。こうすることで、コーティング組成物が標的領域に皮膚活性剤を迅速に提供できると同時に、ゲルシートが皮膚活性剤のための器として作用することができ、又はゲルシートがコーティング組成物からフラボノイド化合物及びその他の皮膚活性剤を吸収するのを防ぐことができる。
【0047】
ゲルシート実施形態は、強度又は閉鎖性を加えるために、例えばフィルムの形態にて非水溶性基材をさらに含んでいてもよい。
【0048】
液体媒体
本発明のデバイスは、組成物の形態に拘わらず、基材を介して皮膚にフラボノイド化合物及びその他の任意の皮膚活性剤を送達するために25℃で液体の液体媒体を含む。液体媒体は、通常水又は水溶液である。水を含む好ましい本発明のデバイスが皮膚の特定領域に適用される場合、特定の皮膚表面の温度は、水のために大幅に低下する。本発明では、しかしながら、組成物中にフラボノイド化合物が存在することにより、皮膚表面の温度低下を緩和する。理論に束縛されるわけではないが、こうした温度低下の緩和は、フラボノイド化合物の循環向上能によると考えられている。活性剤の皮膚浸透が皮膚表面の温度が減速するにつれて悪化するという点において、温度低下の緩和は有利である。
【0049】
マスク実施形態に関して、液体媒体は液体組成物のキャリアとして使用される。ゲルシート実施形態に関して、液体媒体は、ゲル化剤の親水性溶媒として、さらにはコーティング組成物のキャリアとして使用される。
【0050】
この液体媒体の濃度と種類は、他の成分との相溶性及び製品の他の所望の特性により選択される。本発明で有用な液体媒体には、水及び低級アルキルアルコール類の水溶液が挙げられる。本明細書において有用な低級アルキルアルコール類は、1〜6個の炭素を有する一価アルコール、より好ましくはエタノールである。脱イオン水を使用するのが好ましい。ミネラルカチオン類を含む自然源からの水も、製品の所望の特性に応じて使用することができる。
【0051】
液体媒体は、好ましくは水溶性保湿剤を含有し、皮膚に潤いを与える効果を提供する。本明細書で有用な水溶性保湿剤には、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ソルビトール、エトキシル化グルコース、1,2−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、エリスリトール、トレハロース、キシリトール、マルチトール、マルトース、グルコース、フルクトース、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アデノシンリン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ピロリドンカーボネート、グルコサミン、シクロデキストリン及びそれらの混合物のような多価アルコール類が挙げられる。
【0052】
本明細書で有用な水溶性保湿剤にはまた、CTFA名称PEG−200、PEG−400、PEG−600、PEG−1000、及びそれらの混合物などの約1000までの分子量を有するポリエチレングリコール類及びポリプロピレングリコール類のような水溶性アルコキシル化非イオン性ポリマー類が挙げられる。
【0053】
ゲルシートのゲル化剤の親水性溶媒として使用される場合、液体媒体は、ゲル相が室温でゲル化剤で作られるように選択される。溶媒の量及び種類は、所望の機械的特性、特にゲル強度及び可撓性の観点から、また得られる製品の所望の特徴の観点から、ゲル化剤と共に安定なゲル相を提供するように決定される。好ましくは、溶媒は、さらにゲルシートのための可塑剤又は軟化剤として作用する。ゲルシートは、好ましくは約10%〜約99.5%の水を含み、より好ましくは約20%〜約95%、なおより好ましくは約30%〜約90%の水を含む。なお好ましくは、ゲルシートは、さらに、約1.0%〜約50%、好ましくは約5%〜約45%、より好ましくは約10%〜約40%の多価アルコールを含む。
【0054】
非水溶性基材
本明細書で使用されてもよい、非水溶性基材は、本発明のマスク実施形態に関して液体組成物を皮膚に送達するための手段又はビヒクルである。「非水溶性」とは、基材を水に浸した時に、溶解もせず、容易に分解もしないことを意味する。
【0055】
種々広範な材料が非水溶性基材として使用できる。次の、(i)十分な使用湿潤強度、(ii)十分な厚さ、及び(iii)適切な大きさ、の非限定特性が望ましい。
【0056】
上記の基準を満たす好適な非水溶性基材の例には、不織布基材、織布基材、水流交絡基材、空気交絡基材、天然の海綿、合成スポンジ、ポリマーでできた網状メッシュ、及び類似のものが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態は、経済的であり、様々な材料で容易に入手できることから、不織布基材を用いる。「不織布」とは、布地に織り上げられるのではなく、シート、マット、又はパッド層に形成されるような繊維で、層が構成されていることを意味する。
【0057】
非水溶性基材は、天然及び合成両方の種々の材料を含んでいてもよい。本発明で有用な天然材料の非限定例としては、絹繊維;羊毛繊維及びラクダ被毛繊維などのケラチン繊維等;並びに木材パルプ繊維、綿繊維、麻繊維、黄麻繊維、及び亜麻繊維のようなセルロース繊維が挙げられる。本発明において有用な合成材料の非限定的な例としては、アセテート繊維;アクリル繊維;セルロースエステル繊維;ポリアミド繊維;ポリエチレンテレフタレート繊維のようなポリエステル繊維;ポリプロピレン繊維及びポリエチレン繊維のようなポリオレフィン繊維;ポリビニルアルコール繊維;レーヨン繊維;並びにポリウレタン発泡体が挙げられる。
【0058】
本発明で有用な非水溶性基材はまた、多種多様な市販品から入手することができる。本明細書で有用で好適な不織布基材の非限定例としては:ウォルキィソフト(Walkisoft U.S.A.)から入手可能なセルロース基材であるウォルキィソフト(WALKISOFT)(登録商標);ヴェラテック(Veratec, Inc)(マサチューセッツ州ウォルポール(Walpole, MA))から入手可能な、約69%のレーヨン、約25%のポリプロピレン及び約6%の綿を含有する基材であるノボネット(NOVONET)(登録商標)149−801及び149−191;PGI/チコピー(PGI/Chicopee)(ニュージャージー州デイトン(Dayton, NJ))から入手可能な約75%のレーヨン及び約25%のアクリル繊維を含有する基材であるキーバック(KEYBAK)(登録商標)951V及び1368;全てダイワボー(Daiwabo K.K.)から入手可能な、内層としてパルプ層、レーヨン及びポリエステルの組み合わせからそれぞれ製造された外層を有する3層基材RMT−90、及び内層としてPP層、レーヨンの外層の組み合わせを有する3層基材RFP−90、100%レーヨンを含有する単一層基材R−80が挙げられる。
【0059】
非水溶性基材は、顔の形状に対応するデバイスを提供するのに有利である。1つの極めて好ましい実施形態では、非水溶性基材は目と鼻孔の領域を開けた、顔の皮膚の実質的に全体の領域を覆うように形成されている。別の極めて好ましい実施形態では、非水溶性基材は顔の皮膚の実質的に全体領域を覆うように形成され、2つの部分から作製され、第一の部分は顔の上部領域、すなわち鼻とその上を覆い、第二の部分は顔の下部領域、すなわち上唇、頬とその下を覆っている。別の好ましい実施形態では、非水溶性基材は顔の特別な部分の領域、例えば、鼻、頬骨、あご、前額部、首、又はそれらの組み合わせに適合するように形成されている。別の極めて好ましい実施形態において、非水溶性基材は、皮膚上に組成物を配置及び/又は除去するのを容易にするための耳、引き手又はリングを有するように形成される。
【0060】
非水溶性基材は、液体組成物に浸した場合に、容易に皮膚に沿って適合するのに十分なほど柔軟であるが、使用時に容易に裂けたり、崩れたりしない程なお十分に強い。好ましくは、非水溶性基材は、非水溶性基材を製造する材料、並びに製品の用途及び特性により、約100μm〜約1cm、より好ましくは約300μm〜約3mmの厚さを有する。
【0061】
本明細書で特に有用な非水溶性基材の材料には、親水性の特性を有するものが挙げられ、それにより液体組成物をより多量に吸収することができる。非水溶性基材は、親水性材料単独で、又は親水性材料及び疎水性材料の混合物から製造することができる。本発明の非水溶性基材は、単層又は多層から成ることができる。1つの好ましい実施形態では、非水溶性基材は、綿、パルプ、レーヨン、及びそれらの混合物から選択される親水性の材料により少なくとも部分的に製造される。部分的にとは、親水性材料の一層を単一層基材用に使用する場合、親水性材料の少なくとも一層を多層基材用に使用する場合、親水性材料及び別の材料の混合物の一層を単一層基材用に使用する場合、並びに親水性材料及び別の材料の混合物の少なくとも一層を多層基材用に使用する場合の状態を含むことを意味する。
【0062】
非水溶性基材が多層からなる場合、少なくとも皮膚に面した層は親水性の特性を有する層であり、それによってより多量の液体組成物を吸収できることが好ましい。非水溶性基材が多層からなる場合、基材はフィルム及び他の非繊維性材料を含むことができる。1つの実施形態において、非水溶性基材はまた、基材上にポリマーフィルムで積層されてもよいし、基材をコーティングしてもよいし、又は基材をヒートシールしてもよい。ポリマーフィルムによる積層、コーティング、又はヒートシールの結果として生じる基材は、基材の一方の側面に閉塞側面を含み、これは皮膚及び皮膚表面上に配置される皮膚に面する側面とは反対方向を向いている。基材に閉塞側面をもたせることにより、基材は低空気透過性を得る。「低空気透過性」とは、フィルム、コーティング、又はヒートシールした基材の側面が、基材の中へほとんど空気を通さず、また基材からもほとんど蒸気を排出させないことを意味する。好ましくは、空気透過率は約5mg/cm2/分未満である。
【0063】
閉塞側面を含む非水溶性基材は、閉塞側面のない非水溶性基材と比較して、皮膚活性剤の皮膚への浸透を大幅に高める。さらに、本発明の基材ベースのスキンケアデバイスは、皮膚に面する側面上の強い接着性より、むしろ水の張力を利用して皮膚表面に接着する。本発明で利用されているように、基材と皮膚表面との間に強い接着性が存在しないことは、強い接着性の結果として生じる物理的障壁を取り除き、油性成分及び他の皮膚活性剤の浸透を促進する。結果として生じる皮膚と非水溶性基材との間の環境は、皮膚活性剤の皮膚への浸透を促進する。
【0064】
好適なポリマーフィルムには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド類、ポリエステル類、ナイロン類、それらのブレンド、又はその他の化粧品として許容可能なポリマーフィルムのいずれかが挙げられる。好適なコーティングには、低空気透過率を非水溶性基材に付与し、化粧品として許容可能な当該技術分野において既知の材料のいずれかが挙げられる。非水溶性基材をヒートシールすることは、低空気透過率を基材に付与する、当該技術分野において既知のいずれかの方法により達成されてよい。
【0065】
1つの実施形態では、非水溶性基材は、親水性特性の勾配を有する層、すなわち疎水性材料及び親水性材料の分布の勾配を有する層を含む。このような非水溶性基材では、基材が、皮膚に面する側に親水性材料の分布が高く、反対側では疎水性材料の分布が高いことが好ましい。この構造により、水分は基材の疎水性の側から、基材の親水性の皮膚に面する側へ、そして皮膚表面へと移動することができる。この非水溶性基材は、単一層基材であってもよく、他の層をさらに含むことができ、又はポリマーフィルムで積層されてもよい。
【0066】
液体組成物
本発明のマスク実施形態の液体組成物は、前述の非水溶性基材に含浸、コーティング又は接触させる。
【0067】
本明細書の液体組成物は、
(a)約10mPas〜約600,000mPasの粘度を液体組成物に与える水溶性増粘剤と、
(b)水とを含む。
【0068】
いずれかの組成物と関連する液体組成物の量は、最終のマスク実施形態デバイスの所望の特性に応じて変化するが、少なくとも、結果として皮膚表面にフラボノイド化合物を送達するのに十分な量であるべきである。好ましくは、非水溶性基材は、液体組成物による非水溶性基材の飽和と適用の間、液体組成物で飽和されたままになる。故にその所望する結果のために、液体組成物は、好ましくは非水溶性基材の約100重量%〜約2000重量%、より好ましくは約200重量%〜約1500重量%に相当する。用いられる液体組成物の量は、非水溶性基材の吸収能力及び組成物の所望の特性によって決まる。
【0069】
本発明のマスクのために使用される液体組成物は、マニュアル番号M/92−161−H895に記載される操作説明書に応じて、ブルックフィールドデジタル粘度計(Brookfield Digital Viscometer)モデルDV−II+バージョン3.2によって測定される場合、約1000mPas〜約600,000mPas、好ましくは約2000mPas〜約300,000mPas、より好ましくは約3000mPas〜約100,000mPasの範囲の粘度を有する。こうした粘度は、有効な様式で液体組成物中に皮膚色調変更剤(skin tone changing agent)を懸濁させ、皮膚色調変更剤及びその他の有益剤を皮膚に有効に付着させるのに好適であると考えられている。
【0070】
ゲル化剤
本発明のゲルシート実施形態は、通常の保存温度にて安定な固体構造を提供するゲル化剤を含む。ゲル化剤の混合物は使用可能である。ゲルシートに含まれるべきゲル化剤の種類及び量は、ゲル化剤の特性に応じて、製品の所望の特徴及び目的によって選択される。一般に、ゲル化剤が多いほど、より硬いゲルシートが提供される。多くの種類のゲル化剤が当該技術分野において既知であり、それにはポリマー系ゲル化剤、及び様々な種類の粘土類又は他のケイ酸塩に基づく材料のような微粒子系ゲル化剤が挙げられる。本明細書に極めて好ましいものは、水と組み合わされて三次元ゲル網状構造を形成するポリマー系ゲル化剤である。ゲルシートは、好ましくは約0.5%〜約20%、より好ましくは約1%〜約10%のゲル化剤を含む。
【0071】
本明細書のゲル化剤は、水溶性又は非水溶性であってよく、溶媒に応じて選択される。溶媒が水又は水に基づくものである時には、ゲル化剤は、好ましくは水溶性である。シリコーン材料、例えば、オルガノポリシロキサン樹脂又はブロックコポリマー熱可塑性エラストマー類のような非水溶性ポリマー系ゲル化剤を、適切な溶媒中で使用してもよい。
【0072】
本発明で使用する水溶性ポリマー系ゲル化剤は、合成又は天然ポリマー類、及びそれらの混合物から選択される。本明細書に用いるのに好ましいポリマー類は、ゼラチン、多糖類、及びそれらの混合物を含む天然ポリマー類である。好ましくは多糖類である。本明細書では用語「多糖類」は、天然型又は合成的に製造された、単糖類単位の直鎖、分枝状、又は架橋ポリマーを意味しており、これを低濃度で水に分散させると膨張して、水相を密にする。 本明細書のゲルシートに使用される多糖類は、好ましくは、紅藻多糖類、グルコマンナン類、ガラクトマンナン類、発酵多糖類若しくはその誘導体、褐藻多糖類、海生無脊椎動物抽出物、デンプン若しくはその誘導体、天然果実抽出物、植物繊維誘導体、ケルプ、天然植物滲出物、及び樹脂性ゴム類、又はそれらの混合物から選択される。多糖類の総濃度は、ゲルシートのフラボノイド化合物を包含する皮膚活性剤がゲルネットワーク内に強く結合されず、分散に利用可能であるように制御される。
【0073】
本明細書のゲルシートにゼラチンが使用される時には、高分子量のゼラチンを低分子量のものと組み合わせて溶解度が制御される。20,000以下の低い分子量を有するゼラチンは、単独のゲル化剤として使用する時にはゲル化能力が弱い。
【0074】
褐藻多糖類は、様々な種の褐藻綱(Phaebophyceae)からの抽出によって単離される。本明細書に用いるのに好適な褐藻多糖類には、アルギン、アルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸ナトリウム、プロピレングリコールアルギン酸エステル、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0075】
紅藻多糖類は、紅藻綱に属する海生植物種から単離される。紅藻多糖類は、ゲルシートに機械的強度を与える。本発明に用いるのに好適な紅藻多糖類としては、産業界で(CTFA)通称寒天フレーク(agaragar flake)として既知であり、TICゴム社(TIC Gums)(米国メリーランド州ベルキャンプ(Belcamp))から「寒天(Agar Agar)100」若しくは「寒天150」として、又はガミックス・インターナショナル社(Gumix International Inc.)(米国ニュージャージー州フォートリー(Fort Lee))から「寒天K−100」として市販されている種々のテングサ種若しくは近縁種である紅藻由来の寒天;FMC社(米国ペンシルバニア州フィラデルフィア)から「シー・プラーク(Sea Plaque)(登録商標)」として、及びシグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Co.Ltd.)(英国プール(Poole))から「アガロース・タイプ(Agarose Type)1−b」として市販されているアガロース;産業界で(CTFA)通称ツノマタ属(chondrus)として既知であり、全てFMC社(米国ペンシルバニア州フィラデルフィア)から「ゲルカリン(Gelcarin)(登録商標)LA」、「シーケム(Seakem)(登録商標)3/LCM」、又は「ビスカリン(Viscarin)(登録商標)XLV」として市販されており、スギノリ科又はミリン科の種々のメンバーから得られる水抽出物である、λ型、ι型、及びκ型の分留を含むカラギーナン;並びに、ガム・テクノロジー社(Gum Technology Corporation)(米国アリゾナ州トゥーソン(Tucson))及びコンチネンタル・コロイド社(Continental Colloids Inc.)(米国イリノイ州シカゴ(Chicago)))から市販されているファーセレラン、あるいはそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、本明細書で使用される紅藻多糖類は、寒天、アガロース、κ−カラギーナン、及びファーセレラン、又はそれらの混合物から選択される。
【0076】
グルコマンナン類は、グルコース及びマンノース残基の実質的に直鎖状の主鎖を含む多糖類である。グルコマンナン類は、直鎖状の主鎖に結合している短い側鎖を有し、アセチル基が糖単位のC−6位にランダムに存在している。このアセチル基は、一般に、糖単位6個当たり1つから糖単位20個当たり1つで見られる。本明細書で用いるのに好適なグルコマンナン類又はその誘導体では、マンノースとグルコースの比率が約0.2〜約3である。本明細書に用いるのに好ましいグルコマンナン類としては、サトイモ科コンニャク属(Amorphophallus konjac)植物(ゾウヤムイモ)の塊茎根を挽いて作った粉末の総称で、FMC社(米国ペンシルバニア州フィラデルフィア)から商標名「ニュートリコール(Nutricol)(登録商標)コンニャク粉末(konjac flour)」として市販されているコンニャクマンナン、及び脱アセチル化したコンニャクマンナン、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0077】
ガラクトマンナン類は、マメ科の多くの種子の胚乳細胞中に存在する植物貯蔵多糖類である。「ガラクトマンナン」という総称には、ガラクトース及びマンノース残基で形成された全ての多糖類が含まれる。ガラクトマンナン類は、(1→4)結合した、β−D−マンノピラノシル単位の直鎖状の主鎖を含む。これらの環には、分枝として、α−(1,6)−グルコシド結合により単離ガラクトピラノース残基が結合している。加えてガラクトマンナン類には、また、微量の他の糖残基が含有されることもある。本明細書に用いるのに好適なガラクトマンナン類は、フェヌグリークガム;アルファルファ;クローバー;例えば、産業界で(CTFA)通称イナゴマメ(carob bean)ゴムとして既知であり、FMC社(米国ペンシルバニア州フィラデルフィア)から「シーガル(Seagul)L」として市販されているイナゴマメゴム;スターライト・プロダクツ社(Starlight Products)(フランス、ルーアン(Rouen))又はブンゲ・フーズ社(Bunge Foods)(米国ジョージア州アトランタ)から市販されているタラゴム;TICゴム社(TIC Gums)(米国メリーランド州ベルキャンプ(Belcamp))から「バートナイト(Burtonite)V7E」として、ローヌ・プーラン社(Rhone-Poulenc)(米国ジョージア州マリエッタ(Marietta))から「ジャガー(Jaguar)C」として、又はアクアロン社(Aqualon)(米国デラウエア州ウィルミントン(Wilmington))から「スーパーコル(Supercol)」として市販されている、マメ科グアー種子(Cyamopsis tetragonolobus)の粉砕された胚乳由来のグアーガム;及びスターライト・プロダクツ社(フランス、ルーアン)から市販されているカッシアゴム、あるいはそれらの混合物である。好ましくは、本明細書で使用されるガラクトマンナン類は、平均して1〜約5個のマンノシル単位のうちの1個が(1→6)結合−α−D−ガラクトピラノシル単位で置換されおり、グアーガム、イナゴマメゴム、及びカッシアゴム、又はそれらの混合物から選択される。
【0078】
発酵多糖類とは、炭素及び窒素源、緩衝剤、及び微量元素を含有する培地中で、微生物発酵により商業的に生産される多糖類である。本発明に用いるのに好適な発酵多糖類又はその誘導体としては、産業界で(CTFA)通称ガム・ジェラン(gum gellan)として既知であり、シュードモナス・エロデア(Pseudomonas elodea)による炭水化物の純粋培養発酵によって産生される高分子量のヘテロ多糖類ゴムである、ケルコ社(Kelco)(米国カリフォルニア州サンディエゴ)から「ケルコゲル(Kelcogel)」として市販されているジェランガム;産業界で(CTFA)通称キサンタンとして既知であり、キサントモナス・カムペストリス(Xanthomonas campestris)による炭水化物の純粋培養発酵により産生される高分子量のヘテロ多糖類ゴムである、例えば、カルゴン社(Calgon)(米国ペンシルバニア州ピッツバーグ)から「ケルトロール(Keltrol)CG1000/BT/F/GM/RD/SF/T/TF」として、又はケルコ社(米国カリフォルニア州サンディエゴ)から「ケルザン(Kelzan)」として市販されている、キサンタンガム;納豆ゴム;プルラン;ラムサンガム;カードラン;サクシノグリカン;ウェランガム;ファルマシア・ファイン・ケミカルズ社(Pharmacia Fine Chemicals)(米国ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway))から「セファデクス(Sephadex)G−25」として市販されているデキストラン及びその誘導体;並びにアルバン・ミュラー・インターナショナル社(Alban Muller International)(フランス、モントレイユ(Montreil))から「アミゲル(Amigel)」として市販されているスクレロチウムゴム、又はそれらの混合物が挙げられる。好ましい発酵多糖類又はその誘導体は、ジェランガム及びキサンタンガム、又はそれらの混合物から選択される。より好ましい発酵多糖類又はその誘導体は、キサンタンガムである。
【0079】
また、海生無脊椎動物の抽出物も使用することができる。海生無脊椎動物、特にこのような無脊椎動物の外骨格由来の多糖類は、主にN−アセチル−D−グルコサミン残基からなる。本明細書に用いるのに好適なそのような多糖類の例としては、例えば、味の素(Ajinomoto)(米国ニュージャージー州ティークネック(Teakneck))から「マリン・デュー(Marine Dew)」として市販されているキトサン;例えば、一丸ファルコス(Ichimaru Pharcos)(日本、岐阜県山県郡(Yamagata Gun Gifu-Pref))から「HPCH液(HPCH Liquid)」として市販されているヒドロキシプロピルキトサン及びその誘導体;又はそれらの混合物が挙げられる。
【0080】
デンプン類は、種々の比率の2つのグルコースポリマー類、アミロース、及びアミロペクチンからなる多糖類である。本明細書に用いるのに好適な材料としては、ナショナル・スターチ社(National Starch)(米国ニュージャージー州ブリッジウォーター(Bridgewater))から「ナデックス(Nadex)360」として市販されている、デンプン、アミロペクチン、及びデキストリン、並びにそれらの誘導体又は混合物が挙げられる。本明細書に用いるのに好適な天然果実抽出物の例としては、ペクチン、アラビアン(arabian)、及びそれらの混合物が挙げられる。本明細書に用いるのに好適な植物繊維誘導体の好適な一例は、セルロースである。本明細書に用いるのに好適な天然植物滲出物から得られる多糖類としては、カラヤゴム、トラガカントゴム、アラビアゴム、タマリンドゴム、ガッチゴム類(ghatty gums)、又はそれらの混合物が挙げられる。本明細書に用いるのに好適な樹脂性ゴムの例としては、昆虫のラックカイガラムシ(Laccifer(Tachardia)lacca)の樹脂状分泌物から得られるシェラックゴム、ダマールゴム;コーパルゴム及びロジンゴム;又はそれらの混合物が挙げられる。
【0081】
また、他の物質と組み合わせるとゲルを形成する天然及び合成ポリマー系ゲル化剤も、ゲル相の形成を同期させることができるのであれば、他の熱成形ゲル化剤と併せてゲル化剤として使用してもよい。これらは、化学的に架橋されていてよい。ゲル化剤には、糖、アルコール、又は一価若しくは多価塩類のような物質と組み合わせるとゲルを形成するものがある。加えて一価又は多価の塩類は、本明細書のゲルシートに追加的な強度を付与するゲル強化剤として作用することもある。このような塩類に好適なカチオン類は、カリウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、又はそれらの混合物から選択することができる。上記カチオン類と組み合わせるのに好適なアニオン類は、塩素アニオン、クエン酸アニオン、硫酸アニオン、炭酸アニオン、ホウ酸アニオン、リン酸アニオン、又はそれらの混合物から選択してよい。
【0082】
物理的架橋とは、化学的な共有結合ではなく、高い結晶化度を有する領域又は高いガラス転移温度を有する領域があるような物理的性質の架橋を有するポリマー類を意味する。そのような架橋ポリマーを使用してもよい。好ましくは、ポリマーは熱的に化学架橋されている。加えて、この系で化学架橋が形成される時には、プレミックス中に多官能架橋剤及び/又はフリーラジカル反応開始剤が存在して、照射によって架橋が開始されてもよい。
【0083】
好ましくは、本明細書のゲルシートは、天然源由来の水溶性ポリマー系ゲル化剤の混合物を含む。本明細書で好ましい水溶性ポリマー系ゲル化剤混合物は、多糖類及び非イオン性の水溶性ポリマーを含んでもよく、又は代替的に2個の多糖類を含んでもよい。より好ましくは、この水溶性ポリマー系ゲル形成剤は多糖類混合物であり、この多糖類混合物が(1)少なくとも1つの紅藻多糖類、褐藻多糖類、又はそれらの混合物と、(2)少なくとも1つの発酵多糖類;ガラクトマンナン、グルコマンナン、天然植物滲出物、又は天然果実抽出物と、及びそれらの誘導体又は混合物を含む。さらにより好ましくは、本発明のゲルシートの水溶性ポリマー系ゲル形成剤は(1)少なくとも1つの紅藻多糖類と、(2)少なくとも1つの発酵多糖類、グルコマンナン、又はガラクトマンナンと、それらの誘導体又は混合物を含む、多糖類混合物である。
【0084】
好ましい実施形態では、本発明の水溶性ポリマー系ゲル形成剤は多糖類混合物であり、紅藻多糖類及びグルコマンナン又はガラクトマンナンを含む。この多糖類混合物中の、紅藻多糖類と、グルコマンナン又はガラクトマンナンとの比率は、好ましくは約20:1〜約1:5、より好ましくは約10:1〜約1:2である。理論によって制限されることなく、本明細書のゲル組成物が、三次元的網状構造又はマトリックスを形成し、それが組成物の他の成分に結合するか又は他の成分を包み込むと考えられている。
【0085】
水溶性増粘剤
マスク実施形態の液体組成物は、水溶性増粘剤を含む。水溶性増粘剤はまた、ゲルシート及び/又はコーティング組成物に使用されてもよい。本明細書の水溶性増粘剤は、水溶性又は水混和性ポリマー類であり、組成物の粘度を高める能力を有し、組成物に使用される他の成分と適合性である。水溶性増粘剤は、本発明の組成物の液体組成物が約10mPas〜約600,000mPas、好ましくは約10mPas〜約100,000mPas、より好ましくは約100mPas〜約30,000mPasの所望の粘度を有するように選択される。水溶性増粘剤は、液体組成物の、好ましくは約0.01重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約2重量%の濃度で含まれる。
【0086】
本明細書で有用な水溶性増粘剤には、陰イオン性ポリマー類及び非イオン性ポリマー類が含まれる。本明細書で有用な水溶性増粘剤としては、例えば、アクリルポリマー類、約10000を超える分子量を有するポリアルキレングリコールポリマー類、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース類及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、グアーガム及びキサンタンガムのようなガム、カラゲーナン、ペクチン、寒天、マルメロ種子(シドニア・アブロンガ・ミル(Cydonia oblonga Mill))、デンプン(米、トウモロコシ、ジャガイモ、小麦)、藻類コロイド(藻類抽出物)、デキストラン、スクシノグルカン、プレラン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン、アルギン酸ナトリウム、及びアルギン酸プロピレングリコールエステル類が挙げられる。中和剤は、上記の陰イオン性増粘剤を中和するために含まれてもよい。このような中和剤の非限定例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム(potssium hydroxide)、水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン(monethanolamine)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、トロメタミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0087】
上記ポリマー類のうち、極めて好ましいのは、乳化液体組成物が皮膚上で乾燥した場合に所望でないポリマーフレークが少ないものである。このような極めて好ましいポリマー類としては、例えば、アクリルポリマー類が挙げられる。本明細書で有用なアクリルポリマー類としては、アクリル酸、アクリル酸の塩類、アクリル酸の誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸の塩類、メタクリル酸の誘導体、及びそれらの混合物から成る群から選択されるモノマー類を含むものが挙げられる。誘導体としては、例えば、アルキルアクリレート、アクリルアミド、アルキルメタクリレート、及びメタクリルアミドが挙げられる。このようなアクリルポリマー類としては、例えば、カルボマーというCTFA名称を有する架橋アクリル酸ポリマー類、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、及びアクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーというCTFA名称を有するアクリル酸/アルキルアクリレートコポリマー類が挙げられる。本明細書に極めて有用な市販のアクリルポリマー類としては、例えば、セピック(SEPPIC Inc.)から商品名セピゲル(Sepigel)305として入手可能なポリアクリルアミド、及び全てB.F.グッドリッチカンパニー(B.F.Goodrich Company)から商品名ペミュレン(Pemulen)TR−1、ペミュレン(Pemulen)TR−2、カーボポール(Carbopol)1342、カーボポール(Carbopol)1382、及びカーボポール(Carbopol)ETD2020として入手可能なアクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーが挙げられる。
【0088】
油性成分
本発明の液体組成物、ゲルシート又はコーティング組成物はさらに油性成分を含んでいてもよい。本明細書で有用な油性成分は、皮膚に滑らかさ及び柔らかさのような皮膚コンディショニング効果を与えることができる。本明細書で有用な油性成分としては、例えば、脂肪族アルコール類、シリコーンオイル類、鉱油、ワセリン、C7〜40直鎖及び分枝炭化水素類、例えばイソヘキサデカン、C130アルコールエステル類、例えばイソステアリン酸イソプロピル、グリセリド類、アルキレングリコールエステル類、プロポキシル化及びエトキシル化誘導体、糖エステル類、例えばポリ綿実脂肪酸スクロース、植物油、例えばココヤシ油、硬化植物油類、動物油脂類、及びポリプロピレングリコール類のC4〜20アルキルエーテル類、ポリプロピレングリコール類のC1〜20カルボン酸エステル類、及びジ−C8〜30アルキルエーテル類が挙げられる。非水溶性であり、10未満のHLB値を有する疎水性の非イオン性界面活性剤は、油性成分として使用することができる。本明細書で有用な疎水性の非イオン性界面活性剤としては、例えば、セテアリルグルコシド、ステアレス−2、ラウレス−4、スクロースココエート(cocate)、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンジオレエート、ソルビタンセスキオレエート、グリセリルモノイソステアレート、グリセリルジイソステアレート、グリセリルセスキイソステアレート、グリセリルモノオレエート、グリセリルジオレエート、グリセリルセシキオレエート、ジグリセリルジイソステアレート、ジグリセリルジオレエート、ジグリセリンモノイソステアリルエーテル、ジグリセリンジイソステアリルエーテル、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0089】
上記油性成分のうち、極めて好ましいものは、皮膚コンディショニング効果を与え、且つ界面活性剤と共にゲル網状組織を形成でき、それによって粘度、相安定性、及びつるつるした感触のようなコンディショニング効果を増大させる脂肪族アルコール類である。本明細書で有用な脂肪族アルコール類は、飽和の直鎖又は分枝鎖C12〜30の脂肪族アルコール類、飽和の直鎖又は分枝鎖C12〜30のジオール類及びそれらの混合物から成る群から選択される飽和の直鎖又は分枝鎖脂肪族アルコールである。好ましい脂肪族アルコール類は、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びそれらの混合物である。
【0090】
親水性界面活性剤
本発明の液体組成物、ゲルシート又はコーティング組成物はさらに、油性成分を分散又は乳化するために親水性界面活性剤を含んでいてもよい。本明細書に有用な親水性界面活性剤は、水溶性であり、好ましくは10を超えるHLB値を有するものである。本明細書で有用な親水性界面活性剤としては、例えば、化粧品として許容可能ないずれかの界面活性剤、すなわち、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、両性イオン系界面活性剤、及びそれらの混合物が挙げられる。それらのうち、本明細書で好ましいものは、皮膚への刺激が少ないコンディショニング効果という観点から、化粧品として許容可能な非イオン性界面活性剤である。
【0091】
本明細書で有用な親水性の非イオン性界面活性剤としては、例えば、PEG−100ステアレート、ポリソルベート−20、ポリソルベート−60、セテアレス−21、イソセテス−20及びオレス−20、ラウレス−23、セテアレス−12、ステアレス−100、PEG40硬化ヒマシ油、PEG−60硬化ヒマシ油、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0092】
追加の皮膚活性剤
本発明の液体組成物、ゲルシート又はコーティング組成物はさらに、安全且つ有効な量の追加の皮膚活性剤を含んでいてもよい。本明細書に有用な皮膚活性剤には、皮膚美白剤、抗ニキビ剤、皮膚軟化剤、非ステロイド系抗炎症剤、局所麻酔薬、人工日焼け剤、防腐剤、抗菌及び抗真菌活性物質、皮膚鎮静剤、日焼け止め剤、皮膚バリア修復剤、しわ防止剤、皮膚萎縮防止剤、脂質、皮脂阻害物質、皮脂阻害物質、皮膚感覚剤、タンパク質分解酵素阻害物質、皮膚引き締め剤、痒み止め剤、発毛阻害物質、落屑酵素強化剤、グリケーション防止剤、及びそれらの混合物が挙げられる。含まれる場合、本発明の組成物は、液体組成物、ゲルシート又はコーティング組成物の約0.001重量%〜約30重量%、好ましくは約0.001重量%〜約10重量%の追加の皮膚活性剤を含む。
【0093】
皮膚活性剤の種類及び量は、特定薬剤が含まれても組成物の安定性に影響しないように選択される。
【0094】
本明細書で有用な皮膚美白剤とは、処理前と比較した場合に過剰な色素沈着を改善する活性成分のことをいう。本明細書において有用な皮膚美白剤には、アスコルビン酸化合物、アゼライン酸、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸及びその誘導体、グリチルリチン酸、ヒドロキノン、コウジ酸、アルブチン、クワ抽出物、並びにそれらの混合物が挙げられる。皮膚美白剤の組み合わせの使用は、それらが異なる機構により皮膚美白の効果をもたらす可能性があるという点で、有利であると考えられている。
【0095】
本明細書で有用なアスコルビン酸化合物としては、本質的にL型のアスコルビン酸、アスコルビン酸塩、及びそれらの誘導体が挙げられる。本明細書で有用なアスコルビン酸塩類としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アンモニウム及びプロタミン塩類が挙げられる。本明細書で有用なアスコルビン酸誘導体としては、例えば、アスコルビン酸のエステル類、及びアスコルビン酸のエステル塩類が挙げられる。特に好ましいアスコルビン酸化合物としては、2−o−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸(アスコルビン酸及びグルコースのエステルであり、普通はL−アスコルビン酸2−グルコシド又はアスコルビルグルコシドと称される)及びその金属塩類、並びにL−アスコルビン酸ホスフェートエステル塩類、例えばリン酸アスコルビルナトリウム、リン酸アスコルビルカリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、及びリン酸アスコルビルカルシウムが挙げられる。市販のアスコルビン酸化合物としては、昭和電工(Showa Denko)から入手可能なリン酸アスコルビルマグネシウム、ハヤシバラ(Hayashibara)から入手可能な2−o−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、及びDSMから入手可能な商標名ステイ(STAY)C50のリン酸L−アスコルビルナトリウムが挙げられる。
【0096】
本明細書で有用なその他の疎水性皮膚美白剤としては、アスコルビン酸誘導体、例えばテトライソパルミチン酸アスコルビル(例えば、日光ケミカル(Nikko Chemical)から入手可能なVC−IP)、パルミチン酸アスコルビル(例えば、DSMから入手可能)、ジパルミチン酸アスコルビル(例えば、日光ケミカル(Nikko Chemical)から入手可能なNIKKOL CP);ウンデシレノイルフェニルアラニン(例えば、セピック(Seppic)から入手可能なセピホワイト(SEPIWHITE)MSH;オクタデセン二酸(例えば、ユニケマ(Uniquema)から入手可能なアーラトンジオイック(ARLATONE DIOIC)DCA;メマツヨイグサ種子(oenothera biennis sead)抽出物、及びピーラス・マルス(pyrus malus)(リンゴ)果実抽出物、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0097】
本明細書で有用なその他の皮膚活性剤としては、パンテノール、過酸化ベンゾイル、3−ヒドロキシ安息香酸、ファルネソール、フィタントリオール、グリコール酸、乳酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アセチルサリチル酸、2−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシペンタン酸、2−ヒドロキシヘキサン酸、シス−レチノイン酸、トランス−レチノイン酸、レチノール、レチニルエステル類(例えば、レチニルプロピオネート)、フィチン酸、N−アセチル−L−システイン、リポ酸、トコフェロール及びそのエステル類(例えば、トコフェリルアセテート)、アゼライン酸、アラキドン酸、テトラサイクリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ヒドロコルチゾン、アセトミノフェン、レゾルシノール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシイソプロパノール、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’−トリクロロカルバニリド、オクトピロックス、塩酸リドカイン、クロトリマゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、ネオマイシンサルフェート、テオフィリン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0098】
追加の成分
本明細書のデバイスはさらに、局所適用製品に従来使用されるもののような追加の成分を含有していてもよく、例えば、組成物又は皮膚に審美的又は機能的効果を与えるためのもの、例えば外観、匂い又は感触に関連する知覚上の効果、治療的効果、あるいは予防的効果を与えるためのものである。上述の必要とされる材料自体がこうした効果を提供してもよいことを理解すべきである。
【0099】
好適な局所適用成分分類の例としては、抗セルライト剤、酸化防止剤、ラジカルスカベンジャー、キレート剤、ビタミン類及びそれらの誘導体、研磨材、その他の油吸収剤、収れん剤、染料、精油、芳香剤、構造剤、乳化剤、可溶化剤、固化防止剤、消泡剤、結合剤、緩衝剤、充填剤、変性剤、pH調整剤、噴射剤、還元剤、隔離剤、化粧品用殺生物剤、及び防腐剤が挙げられる。
【0100】
使用方法
本発明のスキンケアデバイスは、人体の皮膚、特に顔の皮膚への局所適用に好適である。本発明のデバイスの使用は、特にデバイスに含まれる特定皮膚活性剤によって、デバイスに含まれる成分の浸透を向上させる。本発明のデバイスは、フラボノイド化合物及びその他の皮膚活性剤を送達する上で、皮膚が十分な量のこうした薬剤に長期間にわたって曝されるという点から特に有利である。送達手段として予備成形基材を長期間使用することによって、経皮的に送達可能なこうした薬剤の良好な分配及び付着、並びにこうした薬剤の良好な浸透を提供すると考えられている。さらに、本発明のデバイスはまた、使用時にユーザーに、爽快感、及びリラックス感のような感情的効果をもたらすと考えられている。本明細書のデバイスは、約5〜約45分間、好ましくは約15〜約45分間皮膚に適用される。
【0101】
本発明のデバイスは、通常の大気条件ヘの暴露により容易に乾燥するため、デバイスは保存の間、密封された包装の中に収容されていなければならない。
【実施例】
【0102】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態をさらに説明し実証する。それらの実施例は、説明の目的で提示されているに過ぎず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多くの変形が可能であるため、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。成分は、適用できる場合は、化学名又はCTFA名称で識別され、そうでない場合には以下で定義される。
【0103】
実施例1〜12
実施例1〜12は、非水溶性基材として切断及び成形されたダイワボー(Daiwabo)から入手可能な基材RFP−90を3.0gを用い、表1及び表2にて以下で特定される液体組成物それぞれ20〜30gに浸されるマスク実施形態である。
【0104】
【表1】

【0105】
成分の定義
*1 グルコシルヘスペリジン:東洋精糖(Toyo Sugar Refining)から入手可能なα−GヘスペリジンPS−CC。
*2 グルコシルルチン:東洋精糖(Toyo Sugar Refining)から入手可能なα−Gルチン
*3 ナイアシンアミド:DSMから入手可能なナイアシンアミドUSP
*4 ピリドキシンジパルミテート:日光ケミカルズ(Nikko Chemicals)から入手可能なニッコール(Nikkol)DP
*5 イソステアリン酸イソプロピル:スケア・ケミカルズ(Scher Chemicals Inc.)から入手可能なスケルセモル(Schercemol)318
*6 ポリ綿実脂肪酸スクロース:コボ・プロダクツ(Kobo Products Inc.)から入手可能
*7 イソヘキサデカン:バイエル(Bayer Corp)から入手可能なパーメチル(Permethyl)101A
*8 ジメチコン及びジメチコノール:ダウ・ケミカルズ(Dow Chemicals)から入手可能なダウ・コーニング(Dow corning)Q2−1503液
*9 PEG−100ステアレート:ユニケマ(Uniqema)から入手可能なMyrj59P
*10 セテアリルグルコシド:コグニス(Cognis)から入手可能なエムールゲイド(Emulgade)PL−68/50
*11 ポリアクリルアミド:セピック(SEPPIC Inc.)から入手可能なセピゲル(Sepigel)305
*12 アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー:B.F.グッドリッチ(B. F. Goodrich)から入手可能なペミュレン(Pemulen)TR−2
*13 ポリメチルシルセスキオキサン:GE−東芝(GE-Toshiba)からのトスパール(Tospearl)145A
*14 リン酸アスコルビルナトリウム:DSMから入手可能なステイ(Stay)−C50
*15 パンテノール:ロッシェ(Roche)から入手可能なDL−パンテノール
*16 トコフェロールアセテート:エーザイ(Eisai Co. Ltd.)から入手可能
*17 クワ抽出物:丸善製薬(Maruzen Pharmaceuticals)から入手可能なクワ抽出物BG
【0106】
実施例1〜6の調製方法
上記の組成物は、当業者に既知のいかなる方法でも製造することができる。組成物は次のように好適に製造される:
(1)全ての油性成分及び界面活性剤を容器にて混合し、固体の油性成分が含まれる場合はそれが溶融するまで75℃以上で加熱する。
(2)水溶性増粘化ポリマー類以外の水溶性及び熱安定性成分を別の容器にて水に溶解させ、75℃以上まで加熱する。
(3)工程(1)及び(2)の生成物を均一になるまで混合する。
(4)水溶性増粘化ポリマー類を、工程(3)の生成物に添加し、均一になるまで混合する。
(5)工程(4)の生成物を40℃以下まで冷却する。
(6)ヘスペリジン及びナイアシンアミド、抽出物などのようなその他の水溶性成分を、水に溶解し、上記工程(5)混合物に添加する。
(7)含まれる場合、その他の残存成分、例えば香料を工程(5)の生成物に添加する。
(8)非水溶性基材を折り畳み、一構成単位ごとにアルミニウムの小袋の中に設置する。
(9)工程(7)にてこうして得られた乳化液体組成物を、非水溶性基材又は予備成形ゲル貼付剤を含有するアルミニウム小袋に注ぎ、密封する。
【0107】
【表2】

【0108】
成分の定義
*1 グルコシルヘスペリジン:東洋精糖(Toyo Sugar Refining)から入手可能なα−GヘスペリジンPS−CC。
*2 ナイアシンアミド:DSMから入手可能なナイアシンアミドUSP(niacinamide USP)
*3 ピリドキシン塩酸塩:DSMから入手可能
*4 キサンタンガム:ケルコ(Kelco)から入手可能なケルトロール(Keltrol)
*5 ポリアクリルアミド:セピック(SEPPIC Inc.)から入手可能なセピゲル(Sepigel)305
*6 アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー:B.F.グッドリッチ(B. F. Goodrich)から入手可能なペミュレン(Pemulen)TR−2
*7 ジプロピレングリコール
*8 リン酸アスコルビルナトリウム:DSMから入手可能なステイ(Stay)−C50
*9 二酸化チタン:コボ・プロダクツ(Kobo Products Inc.)から入手可能なコボ(Kobo)GLW75CAP−MP
*10 ポリソルベート20:ICIサーファクタンツ(ICI Surfactants)から入手可能なツイーン(Tween)20
*11 サッカロミコプシス発酵濾液:カシワヤマ(Kashiwayama)から入手可能なSKIIピテラ(Pitera)
【0109】
実施例7〜12の調製方法
上記の組成物は、当業者に既知のいかなる方法でも製造することができる。組成物は次のように好適に製造される:
(1)香料のようないずれかの油性成分が存在する場合、界面活性剤及び少量の水に予め溶解させる。
(2)水溶性増粘剤が存在する場合、水及び/又は水溶性保湿剤に予め分散させる。
(3)残存成分の全てを水及び/又は水溶性保湿剤に溶解し、必要に応じてpH調節剤によりpHを調節する。必要に応じて加熱してもよい。防腐剤のような相対的に油性の成分が存在する場合、水溶性保湿剤に予め溶解してもよい。
(4)工程(1)及び(3)の生成物を均一になるまで混合する。
(5)工程(2)及び(4)の生成物を、必要に応じて高速ミキサーを用いて均質になるまで混合する。
(6)非水溶性基材を折り畳み、一構成単位ごとにアルミニウム小袋の中に設置する。
(7)工程(5)にてこうして得られた液体組成物を、非水溶性基材小袋又は予備成形ゲル貼付剤を含有するアルミニウム小袋に注ぎ、密封する。
【0110】
実施例13〜16
実施例13〜16は、表3に特定されるゲルシート組成物、並びに表1及び表2に特定される液体組成物のいずれかと同じ組成を有するコーティング組成物を用いたゲルシートの実施形態である。
【0111】
【表3】

【0112】
成分の定義
*1 アガロース:FMCバイオプロダクツ(FMC Bioproducts)から入手可能なリテックスアガロース(Litex Agarose)HSB−LV2500
*2 寒天:グリーンテック(Greentech)から入手可能。
*3 1:1のキサンタンガム及びイナゴマメゴムの混合物:ケルコ(Kelco)から入手可能なケルガム(Kelgum)
*4 キサンタン:ケルコ(Kelco)から入手可能なケルトロール(Keltrol)T
*5 イナゴマメゴム:ペンタファーム(Pentapharm)から入手可能なフィタルロネート(Phytaluronate)
*6 ナイアシンアミド:DSMから入手可能なナイアシンアミドUSP
*7 グルコシルヘスペリジン:東洋精糖(Toyo Sugar Refining)から入手可能なα−GヘスペリジンPS−CC。
*8 D−パンテノール:DSMから入手可能なD−パンテノールUSP
【0113】
予備成形シートは、次の工程を含む連続ラインプロセスによって製造される:
(1)水に全ての成分を溶解し、混合し、約80℃(ゾル−ゲル転移点よりも少なくとも5℃高い)まで加熱し、ゾル相を形成する。
(2)ゾル相組成物を、ゾル−ゲル転移点よりも0℃〜5℃高い温度まで予め冷却する;
(3)金型に注ぐか、又は冷却システムを備えたローラーシート形成機によって圧力ををかけることによってゲルシートを形成し、20℃以下の温度にてゾル相をゲル相に冷却する;
(4)前記ゲルシート組成物をダイカッターにより切断する。
【0114】
コーティング組成物及び予備成形ゲルシートを同じ容器に配置し、密封する。
【0115】
前記実施例で示されるような実施形態は、スキンケア製品として有用である。顔の皮膚に適用する場合、それらは多くの利点を提供する。例えば、それらは皮膚の色調、皮膚美白、皮膚のしみの軽減、皮膚の黄ばみの減少、及び小じわの減少の分野において改善できる。上記効果の顕著な改善は、実施例を少なくとも4週間日常的に使用した場合に見られる。
【0116】
「発明を実施するための最良の形態」の説明で引用したすべての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれ、いかなる文献の引用も、それが本発明に対する従来技術であることを認めるものと解釈すべきではない。この文書における用語のあらゆる意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のあらゆる意味又は定義と対立する範囲内においては、本文書における用語に与えられた意味又は定義が適用される。
【0117】
本発明の特定の実施形態を説明及び記述してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるこのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲内で扱うことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)皮膚科学的に許容可能な予備成形基材と、
(2)フラボノイド化合物と
を含むスキンケアデバイスであって、前記デバイスが前記フラボノイド化合物を送達するための液体媒体を含むデバイス。
【請求項2】
前記液体媒体が水を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記フラボノイド化合物が、置換フラバノン類、置換フラボン類、置換カルコン類、置換イソフラボン類、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記フラボノイド化合物が、グルコシルヘスペリジン、グルコシルルチン、グルコシルミリシトリン、グルコシルイソクエルシトリン、グルコシルクエルシトリン、メチルヘスペリジン、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記基材が非水溶性であり、前記デバイスの残りが液体組成物を形成し、前記液体組成物が前記液体媒体を含み、
前記液体組成物が、前記液体組成物に対して、
(a)約0.001重量%〜約10重量%の前記フラボノイド化合物と、
(b)約10mPas〜約600,000mPasの粘度を前記液体組成物に提供する水溶性増粘剤と、
(c)水と
を含み、
前記液体組成物が、前記非水溶性基材の100重量%〜2000重量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記液体組成物の約0.01重量%〜約15重量%のビタミンB3化合物をさらに含む、請求項5に記載の液体組成物。
【請求項7】
前記液体組成物の0.001重量%〜約15重量%のビタミンB6化合物をさらに含む、請求項6に記載の液体組成物。
【請求項8】
前記基材が、ゲル化剤及び親水性溶媒を含むゲルシートであり、前記親水性溶媒が前記液体媒体であり、
前記ゲルシートが、前記ゲルシートの約0.001重量%〜約10重量%の前記フラボノイド化合物を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記デバイスがコーティング組成物をさらに含み、前記コーティング組成物が、前記コーティング組成物の約0.001重量%〜約10重量%の前記フラボノイド化合物を含む、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ゲルシート及びコーティング組成物がそれぞれ約0.01%〜約15%のビタミンB3化合物をさらに含む、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記ゲルシート及びコーティング組成物がそれぞれ0.001%〜約15%のビタミンB6化合物をさらに含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
請求項1、5又は8のいずれか一項に記載のデバイスを皮膚に適用する工程を含む、皮膚を美白する方法。
【請求項13】
請求項1、5又は8のいずれか一項に記載のデバイスを皮膚に適用する工程を含む、皮膚に老化防止効果を提供する方法。
【請求項14】
前記デバイスを前記皮膚に少なくとも5分間適用する、請求項12又は13に記載の方法。

【公表番号】特表2008−507525(P2008−507525A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522611(P2007−522611)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/025348
【国際公開番号】WO2006/020166
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】