説明

基材レス両面粘着シート

【課題】 例えば、静電容量方式のタッチパネル用のように、粘着層を厚くした基材レス両面粘着シートに好適な、取り扱い性、検査容易性が付与された両面粘着シートを提供する。
【解決手段】 粘着層の両面に離型フィルムがそれぞれ積層されてなる基材レス両面粘着シートであり、一方の離型フィルムが、二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に塗布延伸法による離型層を有し、フィルム内部ヘーズが0.8%以下であり、離型層が設けられていないフィルム表面の最大表面粗さ(Rt)が300nm以上であることを特徴とする基材レス両面粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材レス両面粘着シートに関し、例えば、静電容量方式のタッチパネルに用いられる基材レス両面粘着シートして、光学的評価を伴う検査工程において、検査容易であり、取り扱い性が良好な基材レス両面粘着シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物体間を面接着する粘着シートは種々知られており、粘着シートの1つとして基材レス両面粘着シートが知られている。基材レス両面粘着シートは、粘着層の両面に剥離力の相対的に低い軽剥離フィルムと、剥離力の相対的に高い重剥離フィルムが積層された積層体構成からなり、両面の剥離フィルムを除去した後には、支持基材を有さない粘着層のみとなる両面粘着シートである。
【0003】
基材レス両面粘着シートの使用方法として、まず軽剥離フィルムが剥がされ、露出した粘着層の一方の表面が貼り合わせる相手方の物体面に接着され、その接着後、さらに重剥離フィルムが剥がされ、露出された粘着剤層の他方の面が、異なる物体面に接着され、これにより物体間が面接着される加工工程が例示される。
【0004】
近年、基材レス両面粘着シートは、その作業性良好な点が注目され、用途が広がりつつあり、各種光学用途の部材、例えば、携帯電話等にも使用されている。特に、静電容量方式のタッチパネルは、二本の指で画面操作を行なうマルチタッチ操作により、情報端末としての用途が急速に拡大する状況にある。静電容量方式のタッチパネルは、抵抗膜方式に比べ印刷の段差が厚くなる傾向にあるため、粘着層を厚くして印刷の段差をカバーする提案がなされているが、粘着層を厚くした場合には、離型フィルムを剥す時に、粘着層の一部が離型フィルムに付着する、あるいは離型フィルムに転写した部分の粘着層に気泡が混入する等の不具合を生じる場合があった。そのため、基材レス両面粘着シートを光学用途に使用する場合には、基材レス両面粘着シートだけでなく、組み合わせる離型フィルムにおいても、従来よりも一段と厳しく、異物等の光学欠点が少ない離型フィルムが必要とされる状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2010−56884号公報
【特許文献2】特願2010−121101号公報
【特許文献3】特願2010−97765号公報
【特許文献4】特願2010−97925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、例えば、静電容量方式のタッチパネル用のように、粘着層を厚くした基材レス両面粘着シートに好適な、取り扱い性、検査容易性が付与された両面粘着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる離型フィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、粘着層の両面に離型フィルムがそれぞれ積層されてなる基材レス両面粘着シートであり、一方の離型フィルムが、二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に塗布延伸法による離型層を有し、フィルム内部ヘーズが0.8%以下であり、離型層が設けられていないフィルム表面の最大表面粗さ(Rt)が300nm以上であることを特徴とする基材レス両面粘着シートに存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は基材レス両面粘着シートに関し、離型性良好でかつ光学的評価を伴う検査工程において、検査容易性を有するため、例えば、静電容量方式のタッチパネルに用いられる基材レス両面粘着シートとして好適であり、その工業的価値は高い。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても積層構成であってもよく、例えば、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を超えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
【0011】
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
【0012】
本発明において、ポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる 一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
【0013】
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
【0014】
さらに、ポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
【0015】
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。
【0016】
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
【0017】
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
【0018】
本発明の第1および第2離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常25〜250μm、好ましくは38〜188μm、さらに好ましくは50〜125μmの範囲である。
【0019】
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
【0020】
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜 110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常 3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の 温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
【0021】
また、本発明におけるポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、公知の延伸方式を採用することができる。
【0022】
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施して塗布層を設ける。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けることにより、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
【0023】
次に本発明における離型層の形成について説明する。
【0024】
本発明における第1離型フィルムおよび第2離型フィルムを構成する離型層とは、離型性を有する層のことを指し、具体的にはアクリル系粘着テープと離型層との剥離力(F)が5〜70mN/cmが本発明の用途上好ましく、さらに好ましくは10〜60mN/cmの範囲がよい。剥離力(F)が当該範囲を外れる場合、離型フィルム剥離時にジッピング等の不具合を生じる場合がある。
【0025】
本発明における第1離型フィルムを構成する離型層は、上述の塗布延伸法(インラインコーティング)により、ポリエステルフィルム上に設けられることを必須の要件とするものである。塗布延伸法(インラインコーティング)については以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に離型層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
【0026】
また、本発明における離型フィルムを構成する離型層は離型性を良好とするために硬化型シリコーン樹脂を含有するのが好ましい。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、本発明の主旨を損なわない範囲において、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
【0027】
以下に、本発明において好適に用いることのできるエマルションタイプの硬化型シリコーン樹脂組成物の具体例を示す。Wacker Silicone社製のDehesive400E、V20架橋剤系、Dow Corning社製のX2−7720、X2−7721架橋剤系等が例示される。
【0028】
硬化型シリコーン樹脂として、付加型シリコーン樹脂を用いる場合、フィルム製造工程中における硬化皮膜の反応制御という点で塗布液中には、硬化触媒を添加することが好ましい。具体的には白金系化合物触媒が好適であり、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、四塩化白金、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸とメチルビニルシロキサンとの錯体、ロジウム化合物、パラジウム化合物等が例示される。触媒添加量は、通常、硬化型シリコーン樹脂1万重量部に対して白金系金属として0.1〜500重量部の範囲である。
【0029】
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
【0030】
本発明において、ポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。なお、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、公知の装置,エネルギー源を用いることができる。
【0031】
離型層の塗工量(乾燥後)は塗工性の面から、通常0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/m、さらに好ましくは0.01〜0.2g/m範囲である。塗工量(乾燥後)が 0.005g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、1g/mを超えて厚塗りにする場合には離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
【0032】
本発明における第1および第2離型フィルムに関して、離型層が設けられていない面には本発明の主旨を損なわない範囲において、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよい。
【0033】
また、第1および第2離型フィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
【0034】
かくして得られた第1離型フィルムのフィルム内部ヘーズは光学的評価を伴う検査工程において、検査容易性を確保するために0.8%以下である必要があり、好ましくは0.6%以下である。当該範囲が0.8%を越える場合には、得られる第1離型フィルム側より、光学的評価を伴う検査を行った場合、検査時に一端、第1離型フィルムを剥さなければならない等の不具合を生じる。
本発明において、第1離型フィルムに関して、前記フィルム内部ヘーズを所定の範囲内におさえるための具体的手法として、例えば、第1離型フィルムを構成するポリエステルフィルムにおいて、積層構成のポリエステルフィルムを使用する場合には、中間層の粒子含有量を実質的に0%に抑えると共に、表層の粒子量を表層のポリエステル層厚みを極力薄くした状態で粒子含有量を多くするのが、より高度な透明性を有する第1離型フィルムが得られる点で好ましい。
【0035】
上記範囲を満足するため、第1離型フィルムを構成する積層ポリエステルフィルムを用いた場合、最表層のポリエステル層厚みは片側5μm以下がよい。ポリエステル層厚みが前記範囲を外れる場合には、積層ポリエステルフィルム中における粒子含有量が多くなりすぎて、フィルム内部ヘーズが0.8%を越える場合がある。
【0036】
さらに本発明における第1離型フィルムにおいて、離型層が設けられていないフィルム面の最大粗さ(Rt)は基材レス粘着シートの検査容易性を確保するために300nm以上である必要があり、好ましくは400nm以上である。Rtが300nm未満の場合、取り扱い時に第1離型フィルムを巻き取る際にブロッキングする等の不具合を生じるようになる。
【0037】
次に本発明における基材レス両面粘着シートを構成する粘着層について、以下に説明する。本発明における粘着層とは粘着性を有する材料から構成される層を意味し、本発明における主旨を損なわない範囲において、従来から公知の材料を用いることができる。具体例の一つとして、アクリル系粘着剤を使用する場合について、以下に説明する。
【0038】
本発明において、アクリル系粘着剤とは、アクリル系モノマーを必須の単量体(モノマー)成分として形成されるアクリル系ポリマーをベースポリマーとして含有する粘着剤層のことを意味する。当該アクリル系ポリマーは、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/または(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを必須のモノマー成分として(さらに好ましくは、主たるモノマー成分として)形成されるアクリル系ポリマーであることが好ましい。さらに、アクリル系ポリマーは、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸アルコキシアルキルエステルを必須のモノマー成分として形成されたアクリル系ポリマーであることが特に好ましい。即ち、本発明の粘着剤層は、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸アルコキシアルキルエステルを必須のモノマー成分として形成されたアクリル系粘着剤層であることが特に好ましい。
【0039】
本発明の粘着剤層におけるベースポリマーであるアクリル系ポリマーを形成する必須のモノマー成分としてアクリル酸アルコキシアルキルエステルを含む場合には、応力緩和性に加えて、粘着剤層の耐発泡剥がれ性が向上するため好ましい。これは、アクリル酸アルコキシアルキルエステルのアルコキシル基(アルコキシ基)の効果によって、アクリル系ポリマーを架橋により高分子量化したときに適度な分子鎖同士の絡み合いが生じるため、高温下でも高い粘着力を発揮でき、かつ高温下でも粘着剤層の貯蔵弾性率が低下しないためと考えられる。即ち、粘着剤層のゲル分率および貯蔵弾性率(23℃)を比較的低くした場合であっても、高温下の粘着力や貯蔵弾性率が低下し過ぎることがなく、応力緩和性と耐発泡剥がれ性を両立できる。
【0040】
また、本発明の粘着剤層におけるベースポリマーであるアクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、さらに、極性基含有単量体、多官能性単量体やその他の共重合性単量体が共重合モノマー成分として含まれていてもよい。
【0041】
なお、上記の「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および/または「メタクリル」を表し、他も同様である。また、特に限定されないが、ベースポリマーであるアクリル系ポリマーの本発明の粘着剤層中の含有量は、粘着剤層の総重量(100重量%)に対して、60重量%以上が好ましく、さらに好ましくは80重量%以上である。
【0042】
上記アクリル系ポリマーを形成する必須のモノマー成分として、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、単に「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」と略記する場合がある)を好適に用いることができる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどのアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が例示される。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独、または2種以上を併用してもよい。中でも、アルキル基の炭素数が2〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくはアルキル基の炭素数が2〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。特に、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)が好ましい。
【0043】
また、上記のアクリル系ポリマーを形成する必須のモノマー成分(さらに好ましくは、主たるモノマー成分)としては、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル[アルコキシアルキル(メタ)アクリレート]も好適に用いることができる。特に好ましくは、アクリル酸アルコキシアルキルエステル[アルコキシアルキルアクリレート]である。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−エトキシブチルなどが挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、アクリル酸2−メトキシエチル(2MEA)が好ましい。
【0044】
なお、上記のアクリル系ポリマーを形成する必須のモノマー成分[(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/または(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル]の含有量は、粘着剤層の接着性の観点から、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、5重量%以上(例えば、5〜100重量%)が好ましく、より好ましくは5〜95重量%である。なお、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの両方が用いられている場合は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量と(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの含有量の合計量(合計含有量)が上記の範囲を満たせばよい。 上記の中でも、アクリル系ポリマーを形成する必須のモノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸アルコキシアルキルエステルの両方が用いられることが好ましい。その場合には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、5〜95重量%が好ましく、より好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは65〜80重量%、最も好ましくは65〜75重量%である。含有量が95重量%を超えると接着性が低下する場合があり、5重量%未満では粘着剤層の弾性率が高くなりすぎる場合がある。また、アクリル酸アルコキシアルキルエステルの含有量は、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、10〜45重量%が好ましく、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは20〜35重量%、最も好ましくは20〜34.5重量%である。含有量が45重量%を超えると粘着剤層の弾性率が高くなりすぎる場合があり、10重量%未満では接着性が低下する場合がある。
【0045】
上記の極性基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体またはその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルアルコール、アリルアルコールなどのヒドロキシル基(水酸基)含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有単量体;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系単量体;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体などが挙げられる。上記極性基含有単量体は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。極性基含有単量体としては、上記の中でも、カルボキシル基含有単量体またはその酸無水物、ヒドロキシル基含有単量体、アミノ基含有単量体、アミド基含有単量体、複素環含有ビニル系単量体が好ましく、特に好ましくはアクリル酸(AA)、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)である。
【0046】
上記の極性基含有単量体の含有量は、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分100重量%に対して、15重量%以下が好ましい。15重量%を超える場合、粘着剤層の凝集力が高くなりすぎ、その結果、貯蔵弾性率(23℃)が高くなりすぎて、応力緩和性が低下する場合がある。0.01重量%未満で少なすぎると、接着性が低下する場合がある。
【0047】
上記の中でも、特にヒドロキシル基含有単量体の含有量は、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分100重量%に対して、5重量%以下が好ましい。当該含有量が5重量%を超えると粘着剤層の凝集力が高くなりすぎ、貯蔵弾性率(23℃)が高くなりすぎて、応力緩和性が低下する場合がある。ヒドロキシル基含有単量体以外の極性基含有単量体(特に、カルボキシル基含有単量体、アミド基含有単量体、アミノ基含有単量体、複素環含有ビニル系単量体)の含有量は、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分100重量%に対して、15重量%以下が好ましい。当該含有量が15重量%を超えると粘着剤層の凝集力が高くなりすぎ、貯蔵弾性率(23℃)が高くなりすぎて、応力緩和性が低下する場合がある。
【0048】
上記の多官能性単量体としては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。上記多官能性単量体は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。多官能性単量体としては、上記の中でも、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)が好ましい。
【0049】
上記多官能性単量体の含有量は、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量
100重量%に対して0.5重量%以下が好ましい。当該含有量が0.5重量%を超えると、例えば、粘着剤層の凝集力が高くなりすぎ、応力緩和性が低下する場合がある。
【0050】
また、上記の極性基含有単量体や多官能性単量体以外の共重合性単量体(その他の共重合性単量体)としては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルやフェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどの前述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルや極性基含有単量体や多官能性単量体以外の(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィンまたはジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニルなどが挙げられる。
【0051】
上記アクリル系ポリマーは、上記のモノマー成分を公知あるいは慣用の重合方法により重合して調製することができる。アクリル系ポリマーの重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法や活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)などが挙げられる。上記の中でも透明性、耐水性、製造コスト等の点で、溶液重合方法、活性エネルギー線重合方法が好ましく、特に比較的厚い粘着剤層を形成する場合には、活性エネルギー線重合(光重合と称する場合がある)方法が好ましく、中でも、紫外線照射による紫外線重合方法が好ましい。
【0052】
上記の活性エネルギー線重合(光重合)に際して照射される活性エネルギー線として、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙
げられ、中でも、紫外線が本発明の用途上、好適である。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは本発明の主旨を損なわない範囲であれば、特に限定されるわけではない。
【0053】
また、前記溶液重合に際しては、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。溶剤は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0054】
上記のアクリル系ポリマーの調製に際しては、重合反応の種類に応じて、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)などの重合開始剤を用いることができる。重合開始剤は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0055】
上記光重合開始剤としては、特に制限されず、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などを用いることができる。光重合開始剤の使用量に関しては、特に限定されるわけではないが、例えば、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量100重量部に対して0.01〜0.2重量部の範囲が好ましい。
【0056】
ベンゾインエーテル系光重合開始剤の具体例として、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤の具体例としては、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾインなどが含まれる。ベンジル系光重合開始剤には、例えば、ベンジルなどが含まれる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤の具体例として、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3、3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが例示される。ケタール系光重合開始剤の具体例として、ベンジルジメチルケタールなどが含まれる。チオキサントン系光重合開始剤の具体例として、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが含まれる。
【0057】
上記熱重合開始剤の具体例として、アゾ系重合開始剤[例えば、2,2´−アゾビス
イソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなど]、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエートなど)、レドックス系重合開始剤などが挙げられる。熱重合開始剤の使用量としては、本発明の主旨を損なわない範囲特に制限されず、従来、熱重合開始剤として利用可能な範囲であればよい。
【0058】
本発明の粘着剤層には、必要に応じて、架橋剤、架橋促進剤、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤等を本発明の特性を損なわない範囲で必要に応じて用いることができる。
【0059】
上記架橋剤は、粘着剤層のベースポリマーを架橋することにより、粘着剤層のゲル分率をコントロールすることができる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられ、イソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤を好適に用いることできる。架橋剤は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
本発明における基材レス両面粘着シートにおいては、粘着剤組成の特徴として、例えば、偏光板貼り合わせ時の光漏れ防止を目的として、粘着剤層自体を硬く設計する傾向にある。具体的な指標として、例えば、動的粘弾性における貯蔵弾性率(G`)が2.0×10Pa以上であることが好ましく、さらに好ましくは4.0×10Pa以上がよい。当該範囲を外れる場合、例えば、偏光板貼り合わせ時の光漏れ防止が不十分となる場合がある。
【0061】
本発明における基材レス両面粘着シートを構成する粘着シート厚みとして、50μm〜400μm、好ましくは100μm〜400μm、さらに好ましくは150μm〜350μmの範囲がよい。50μm以下の場合、例えば、光学部材間に生じる空隙の方が大きくなりすぎて、隅々まで、粘着シ−トで充填させるのが困難な場合がある。一方、粘着シート厚みが400μmをこえる場合には、光学部材間に生じる空隙よりも粘着シートの厚みの方が厚くなりすぎて、余剰分の粘着シート成分が光学部材間からはみ出す等の不具合を生じる場合がある。
【実施例】
【0062】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
【0063】
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
【0064】
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
【0065】
(3)第1離型フィルムのフィルム内部ヘーズ測定
試料フィルムを用いて、JIS−K−7136に準拠したスガ試験株式会社製ヘーズ メーター装置(型式:HZ−2)を用いて、エタノール溶液を充填したガラス製セルの ヘーズ値を0%とし、試料フィルムの試験片を同セル中に浸漬した状態で、フィルム内部ヘーズを測定した。
【0066】
(4)離型層が設けられていないフィルム面の最大粗さ(Rt)測定
直接位相検出干渉法(所謂マイケルソンの干渉を利用した2光束干渉法)を使用した、非接触表面計測システム「マイクロマップ社製Micromap512)」により、試料フィルムの離型層がもうけられていないフィルム面の最大粗さ( Rt )を計測した。 なお、測定波長は554nmとし、倍率20倍の対物レンズを使用し、20視野計測し、その平均値を採用した。
【0067】
(5)粘着層の貯蔵弾性率(G`)測定
実施例および比較例で得られた両面粘着シートからセパレータを剥離して、アクリル系粘着剤層のみを積層して、厚さ(乾燥後)1.5mm±0.1mmのアクリル系粘着剤層の積層体を作製し、測定サンプルとした。上記測定サンプルを、Rheometric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を用いて、周波数1Hzの条件で、−70〜200℃の範囲で昇温速度5℃/分で測定して、温度23℃における貯蔵弾性率(G`)を求めた。なお、本発明における実施例および比較例で使用した粘着層の貯蔵弾性率(G`)は5.0×10Paであった。
【0068】
(6)離型フィルムの剥離力(F1・F2)測定
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
【0069】
(7)ジッピング発生状況(実用特性代用評価)
下記粘着剤組成物を第2離型フィルムに塗布し、100℃、5分間熱処理した後、厚み(乾燥後)が150μmの粘着層を得た。次に第1離型フィルムを粘着層表面に貼り合わせた基材レス両面粘着シートにおいて、第1離型フィルム剥離時に剥離状況を観察し、ジッピングの発生状況につき、下記判定基準により判定を行った。
<アクリル系粘着剤組成物>
(モノマー配合組成)
アクリル酸2−エチルヘキシル 70重量%
アクリル酸2−メトキシエチル 29重量%
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1重量%
上記モノマー組成100重量部に対して、日本ポリウレタン製コロネートLを0.1部添加し、アクリル系粘着剤層形成用組成物を得た。
(判定基準)
○:極めて円滑に剥離し、剥離スジがなく、剥離音も発生しない
△:軽微な剥離スジが見られ、剥離音がわずかに発生する、または軽微なジッピングが発生する(実用上、問題になる場合があるレベル)
×:剥離スジが見られ、剥離音が発生する。ジッピングが発生する(実用上、問題になるレベル)
【0070】
(8)第1、第2離型フィルムの剥離性評価(実用特性代用評価)
(7)項において、第1離型フィルム剥離時、第2離型層と粘着層界面の状況につき、下記判定基準により、官能評価を行った。
(判定基準)
○:第2離型層と粘着層界面に異常が見られない(実用上、問題ないレベル)
△:第2離型層と粘着層界面で、わずかに浮きが見られる(実用上問題になる場合があるレベル)
×:第2離型層と粘着層界面で、明確な浮きが見られる(実用上、問題あるレベル)
【0071】
(9)検査容易性評価(実用特性代用評価)
粘着層の両面に離型フィルムを設けた、基材レス両面粘着シートの第1離型フィルム側をHIROX社製デジタルマイクロスコープにより表面観察を行い、検査容易性につき、下記判定基準により判定を行った。
(判定基準)
○:検査容易(実用上、問題ないレベル)
×:検査困難なため、一端、離型フィルムを剥離する必要あり(実用上、問題あるレベル)
【0072】
(10)総合評価(実用特性代用評価)
実施例および比較例において製造した、基材レス両面粘着シートを用いて、ジッピング発生状況、剥離性、検査容易性の各評価項目につき、下記判定基準により総合評価を行った。
(判定基準)
○:ジッピング発生状況、剥離性、検査容易性の全てが○(実用上、問題ないレベル)
△:ジッピング発生状況、剥離性、検査容易性の内、ジッピング発生状況、剥離性の少なくとも一つが△(実用上、問題になる場合があるレベル)
×:ジッピング発生状況、剥離性、検査容易性の少なくとも一つが×(実用上、問題あるレベル)
【0073】
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエチレンテレフタレートA1)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.03部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.61のポリエチレンテレフタレートA1を得た。
【0074】
製造例2(ポリエチレンテレフタレートA2)
製造例1において、平均粒径0.035μmのアルミナシリケート粒子を0.3部添加する以外は製造例1と同様にして製造し、固有粘度0.61のポリエチレンテレフタレートA2を得た。
【0075】
製造例3(ポリエチレンテレフタレートA3)
製造例1において、平均粒径2.5μmのシリカ粒子を0.6部添加する以外は製造例1と同様にして製造し、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートA3を得た。
【0076】
<離型フィルムF1の製造>
ポリエチレンテレフタレートA1、A2、A3をそれぞれ80%、0%、20%の割合でブレンドした原料を表層原料とし、ポリエチレンテレフタレートA1=100%の原料を中間層の原料として、2台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約1500μmの無定形フィルムを得た。このフィルムを85℃で縦方向に3.3倍延伸し、フィルムの片面に、下記表1に示す塗布剤組成物および離型剤組成物を各々、厚み(乾燥後)0.06μmに塗布した後、100℃で横方向に3.6倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ125μm(厚み構成比=2.5μm/120μm/2.5μm)の離型フィルムF1を得た。
【0077】
<離型フィルムF2の製造>
ポリエチレンテレフタレートA1、A2、A3をそれぞれ80%、0%、20%の割合でブレンドした原料を表層原料とし、ポリエチレンテレフタレートA1=100%の原料を中間層の原料として、2台のベント付き押出機に供給し、ベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約1300μmの無定形フィルムを得た。このフィルムを85℃で縦方向に3.5倍延伸し、フィルムの片面に、下記表1に示す塗布剤組成物および離型剤組成物を各々、厚み(乾燥後)0.06μmに塗布した後、100℃で横方向に3.8倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ100μm(厚み構成比=2.5μm/95μm/2.5μm)の離型フィルムF2を得た。
【0078】
<離型フィルムF3の製造>
ポリエチレンテレフタレートA1、A2、A3をそれぞれ80%、0%、20%の割合でブレンドした原料を表層原料とし、ポリエチレンテレフタレートA1=100%の原料を中間層の原料として、2台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約1100μmの無定形フィルムを得た。このフィルムを85℃で縦方向に3.5倍延伸し、フィルムの片面に、下記表1に示す塗布剤組成物および離型剤組成物を各々、厚み(乾燥後)0.06μmに塗布した後、100℃で横方向に4.0倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ75μm(厚み構成比=2.5μm/70μm/2.5μm)の離型フィルムF3を得た。
【0079】
<離型フィルムF4の製造>
ポリエチレンテレフタレートA1、A2、A3をそれぞれ89%、0%、11%の割合でブレンドした原料を表層原料とし、ポリエチレンテレフタレートA1=100%の原料を中間層の原料として、2台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約1100μmの無定形フィルムを得た。このフィルムを85℃で縦方向に3.5倍延伸し、フィルムの片面に、下記表1に示す塗布剤組成物および離型剤組成物を各々、厚み(乾燥後)0.06μmに塗布した後、100℃で横方向に4.0倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ75μm(厚み構成比=2.5μm/70μm/2.5μm)の離型フィルムF4を得た。
【0080】
<離型フィルムF5の製造>
ポリエチレンテレフタレートA1、A2、A3をそれぞれ80%、0%、20%の割合でブレンドした原料を表層原料とし、ポリエチレンテレフタレートA1=100%の原料を中間層の原料として、2台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約740μmの無定形フィルムを得た。このフィルムを85℃で縦方向に3.7倍延伸し、フィルムの片面に、下記表1に示す塗布剤組成物および離型剤組成物を各々、厚み(乾燥後)0.06μmに塗布した後、100℃で横方向に4.0倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ50μm(厚み構成比=2.5μm/45μm/2.5μm)の離型フィルムF5を得た。
【0081】
<離型フィルムF6の製造>
ポリエチレンテレフタレートA1、A2、A3をそれぞれ89%、0%、11%の割合でブレンドした原料を表層原料とし、ポリエチレンテレフタレートA1=100%の原料を中間層の原料として、2台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約740μmの無定形フィルムを得た。このフィルムを85℃で縦方向に3.7倍延伸し、フィルムの片面に、下記表1に示す塗布剤組成物および離型剤組成物を各々、厚み(乾燥後)0.06μmに塗布した後、100℃で横方向に4.0倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ50μm(厚み構成比=2.5μm/45μm/2.5μm)の離型フィルムF6を得た。
【0082】
<離型フィルムF7の製造>
ポリエチレンテレフタレートA1、A2、A3をそれぞれ80%、0%、20%の割合でブレンドした原料を表層原料とし、ポリエチレンテレフタレートA1=100%の原料を中間層の原料として、2台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約550μmの無定形フィルムを得た。このフィルムを85℃で縦方向に3.7倍延伸し、フィルムの片面に、下記表1に示す塗布剤組成物および離型剤組成物を各々、厚み(乾燥後)0.06μmに塗布した後、100℃で横方向に3.9倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ38μm(厚み構成比=2.5μm/33μm/2.5μm)の離型フィルムF7を得た。
【0083】
<離型フィルムF8の製造>
ポリエチレンテレフタレートA1、A2、A3をそれぞれ89%、0%、11%の割合でブレンドした原料を表層原料とし、ポリエチレンテレフタレートA1=100%の原料を中間層の原料として、2台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約550μmの無定形フィルムを得た。このフィルムを85℃で縦方向に3.7倍延伸し、フィルムの片面に、下記表1に示す塗布剤組成物および離型剤組成物を各々、厚み(乾燥後)0.06μmに塗布した後、100℃で横方向に3.9倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ38μm(厚み構成比=2.5μm/33μm/2.5μm)の離型フィルムF8を得た。
【0084】
<離型フィルムF9の製造>
ポリエチレンテレフタレートA1、A2、A3をそれぞれ89%、0%、11%の割合でブレンドした原料を表層原料とし、ポリエチレンテレフタレートA1=100%の原料を中間層の原料として、2台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約550μmの無定形フィルムを得た。このフィルムを85℃で縦方向に3.7倍延伸し、フィルムの片面に、下記表1に示す塗布剤組成物および離型剤組成物を各々、厚み(乾燥後)0.06μmに塗布した後、100℃で横方向に3.9倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ38μm(厚み構成比=2.5μm/33μm/2.5μm)の離型フィルムF9を得た。
【0085】
<離型フィルムF10の製造>
ポリエチレンテレフタレートA1、A2、A3をそれぞれ83%、10%、7%の割合でブレンドした原料を表層原料とし、ポリエチレンテレフタレートA1=100%の原料を中間層の原料として、2台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約550μmの無定形フィルムを得た。このフィルムを85℃で縦方向に3.7倍延伸し、フィルムの片面に、下記表1に示す塗布剤組成物および離型剤組成物を各々、厚み(乾燥後)0.06μmに塗布した後、100℃で横方向に3.9倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ38μm(厚み構成比=2.5μm/33μm/2.5μm)の離型フィルムF10を得た。
【0086】
【表1】

【0087】
(離型層の化合物例)
硬化型シリコ−ン樹脂(A1):旭化成ワッカーシリコーン社製Dehesive400E
硬化型シリコ−ン樹脂(A2):東レ・ダウコーニング社製X2−7720
架橋剤(B1):旭化成ワッカーシリコーン社製V20
架橋剤(B2):東レ・ダウコーニング社製:X2−7721
剥離調整剤(C1):旭化成ワッカーシリコーン社製CRA491
《離型剤組成》
硬化型シリコ−ン樹脂(A1):90重量%
硬化型シリコ−ン樹脂(A2):0重量%
架橋剤(B1):10重量%
架橋剤(B2): 0重量%
剥離調整剤(C1):0重量%
上記塗布剤を脱イオン水にて希釈し、塗布液濃度を10重量%に調整した。
《塗布剤組成》
・ポリエステル樹脂(A1) Tg=63℃
酸成分:テレフタル酸 50モル%
イソフタル酸 48モル%
5−Naスルホイソフタル酸 2モル%
ジオール成分:エチレングリコール 50モル%
ネオペンチルグリコール 50モル%
・粒子(B):コロイダルシリカ(日産化学製:スノーテックス「YL」平均粒径70nm)
A1/B=95/5の配合比率にて、塗布液−Aを調製した。
【0088】
実施例1:
<第1離型フィルムの製造>
離型フィルムF11を使用した。得られた第1離型フィルの特性を下記表1〜3に示す。
<第2離型フィルムの製造>
離型フィルムF1を使用した。得られた第2離型フィルムの特性を表1〜3に示す。
<基材レス両面粘着シートの製造>
得られた第2離型フィルムの離型層上に、下記アクリル系粘着剤組成物から構成される塗布液をアプリケータにて塗工した後、熱風式循環炉を用いて、100℃、5分間熱処理し、塗布量(乾燥後)が150μmの粘着層を得た。
<アクリル系粘着剤層形成用組成物>
(モノマー配合組成)
アクリル酸2−エチルヘキシル 70重量%
アクリル酸2−メトキシエチル 29重量%
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1重量%
上記モノマー組成100重量部に対して、日本ポリウレタン製コロネートLを0.1部添加し、アクリル系粘着剤層形成用組成物を得た。
次に2kgのゴムローラーを用いて、第1離型フィルムの離型層と粘着層とを貼り合わせて基材レス両面粘着シートを得た。
【0089】
実施例2〜12および比較例1〜2:
実施例1において、塗布液組成、第1離型フィルム、第2離型フィルムの組み合わせを変更する以外は、実施例1と同様にして製造し、基材レス両面粘着シートを得た。上記実施例および比較例で得られた各基材レス両面粘着シートの特性を表1〜表3に示す。
【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の基材レス両面粘着シートは、離型性良好であり、光学的評価を伴う検査工程において、離型フィルムを貼り合わせたままで検査可能な、いわゆる検査容易性を有するため、例えば、静電容量方式のタッチパネル用部材として好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着層の両面に離型フィルムがそれぞれ積層されてなる基材レス両面粘着シートであり、一方の離型フィルムが、二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に塗布延伸法による離型層を有し、フィルム内部ヘーズが0.8%以下であり、離型層が設けられていないフィルム表面の最大表面粗さ(Rt)が300nm以上であることを特徴とする基材レス両面粘着シート。

【公開番号】特開2013−1817(P2013−1817A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134671(P2011−134671)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】