説明

基材処理装置及び方法

【課題】 基材の裏面外周部の不要膜を表側の膜に影響を与えることなく除去する。
【解決手段】 ステージ10上にウェハ90を外周部が突出するようにして支持する。輻射加熱器20から熱光線をウェハ90の裏面外周部に向かって収束するように照射し、この基材裏面外周部を局所加熱する。この局所加熱された部位の近傍の反応性ガス吹出し口30bから不要膜除去のための反応性ガスを吹出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハーや液晶表示基板などの基材の裏面の外周部に被膜された有機膜等の不要物を除去する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体ウェハーや液晶表示用のガラス基板等の基材に絶縁膜、有機レジスト、ポリイミド等を被膜する手段として、スピンコーティング法による塗布、CVD、PVDによる薄膜堆積等の方法が知られている。しかし、スピンコーティングでは、塗布物が基材の中央部より外周部に厚く塗布され、外周部が盛り上ってしまう。また、CVDとして、たとえばプラズマCVDを用いた場合、基材の外周のエッジ部分に電界が集中し、膜の異常成長が起きるため、基材の外周部の膜質が中央部と異なって来、膜厚も中央部に比べて大きくなる傾向がある。OやTEOS等を用いた熱CVDの場合には、反応性ガスの抵抗が基材の中央部と外周のエッジ部分とで違うため、同様に、材の外周部の膜質が中央部と異なり、膜厚も大きくなる。
【0003】
また、半導体ウェハーの製造工程において、異方性エッチング時に堆積するフロロカーボンがウエハーの外端面から裏面にも回り込み、そこにも堆積する。このため、ウェハーの裏面外周部に不要な有機物が付着してしまう。
【0004】
このような基材外周部の薄膜は、基材を搬送コンベアで搬送したり運搬用カセットに収容して運搬したりする際に割れやすく、これによりダストが発生するおそれがあった。このダストが原因となって、ウェハー上にパーティクルが付着し、歩留まりが低下するという問題があった。
【0005】
従来、上記異方性エッチング時にフロロカーボンがウェハー裏面に回りこんで出来た膜は、例えばドライアッシング処理によってOプラズマをウェハーの表側面から裏面へ回り込ますことで、除去していた。しかし、low−k膜の場合、ドライアッシング処理を行うとダメージを受ける。そのため低出力で処理する試みがなされているが、低出力ではウェハー裏面のフロロカーボンを除去しきれず、基材の搬送時等にパーティクルが発生し、歩留まりを低下させる主因となっている。
【0006】
半導体ウェハーの外周部を処理する先行文献として、例えば、特許文献1;特開平5−82478号公報には、半導体ウェハーの中央部を上下一対のホルダで覆う一方、外周部を突出させ、そこにプラズマを吹付けることが記載されている。しかし、ホルダのOリングをウェハーに物理接触させるものであるため、パーティクルの発生を抑えることが難しい。
また、特許文献2;特開平8−279494号公報には、基材の中央部をステージに載せて外周部にプラズマを上方から吹付けることが記載されている。特許文献3;特開平10−189515号公報には、基材の外周部にプラズマを下側から吹き付けることが記載されている。
【0007】
特許文献4;特開2003−264168号公報には、ステージの外周にヒータを埋め込むことにより、ウェハーの外周部を裏側から接触加熱しながら、上方からオゾンガスを吹付けることが記載されている。
特許文献5;特開2004−96086号公報には、ウェハーの外周部を裏側から赤外線ランプで輻射加熱しながら、上方から酸素ラジカルを吹付けることが記載されている。
【特許文献1】特開平5−82478号公報
【特許文献2】特開平8−279494号公報
【特許文献3】特開平10−189515号公報
【特許文献4】特開2003−264168号公報
【特許文献5】特開2004−96086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
オゾン等の反応性ガスを用い常圧下でフォトレジストやlow−k膜などの有機系薄膜、エッチング時の堆積フロロカーボン等の有機物を効率的に除去するには、加熱が必要である。すなわち、図33に示すように、被処理部を加熱したほうが、反応が促進され、エッチングレート(E/R)が高くなる。しかし、ウェハーの全体を高温雰囲気にさらすと、Cuの酸化が起きたり、low−kの特性が変わったりする等、配線や絶縁膜等が変質してしまい、デバイス特性に影響を与え、信頼性を低下させてしまう。
【0009】
特許文献4では、基材の外周部をヒータ加熱するものであるが、裏側から加熱し、その熱を表側まで伝達させて、表側面の外周部の膜を除去している。そのため、伝熱ロスが生じるだけでなく、熱が外周部より内側の部分へ伝わることがあり、そうすると内側の膜が変質するおそれがある。また、基材の裏面の外周部はヒータに当てられているため、そこまでガスが及ばず、裏面外周部の膜を除去するのは難しい。さらには、ヒータとの接触によりパーティクルが発生するおそれもある。
特許文献5では、基材を裏側から赤外線ランプで輻射加熱しているが、赤外線が広範囲に放射されることにより、上記特許文献4と同様に、外周部より内側の部分までもが加熱され、そこの膜が変質するおそれがある。
【0010】
本発明は、基材の裏面外周部の不要膜を、表側の膜に影響を与えることなく、効率的に除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、基材の裏面の外周部に被膜された不要物を除去する装置であって、
(a)基材を、外周部が突出するようにして支持する支持面を有するステージと、
(b)このステージに支持された基材の裏面外周部の在るべき被処理位置から離れて配置された光源と、この光源からの熱光線を発散しないようにして前記被処理位置へ向かわせる光学系とを有する輻射加熱器と、
(c)不要物除去のための反応性ガスを供給する反応性ガス供給元に連なり反応性ガスを吹出す吹出し口を有し、この吹出し口が、前記支持面若しくはその延長面より裏側又は略前記延長面上において前記被処理位置に向かって近接して配置された反応性ガス供給手段と、
を備えたことを特徴とする。
この特徴構成によれば、基材の裏面外周部に局所的に熱光線を当てて局所加熱でき、この局所加熱した部位にその近傍から反応性ガスを吹付けることができる。これによって、当該部位の不要物を効率的に除去することができる。一方、この局所的な部位以外の基材の部分までもが加熱されるのを防止ないしは抑制できる。これによって、基材の表側面の、特に外周部より内側の部分の膜にダメージが及ぶのを防止することができる。また、輻射による非接触加熱が出来るのでパーティクル発生も防止できる。
【0012】
前記輻射加熱器の光学系は、光源からの熱光線を前記被処理位置へ向けて収束照射する照射部を含むことが望ましい。これによって、熱光線を基材の裏面外周部に確実に局所的に照射・加熱できるとともに、基材の他の部分が加熱されるのを確実に防止することができる。
前記収束用の光学部材としては、パラボリック反射鏡、凸レンズ、シリンドリカルレンズ等を用いることができる。これらを組み合わせてもよい。また、前記輻射加熱器の照射部に、焦点調節機構を組み込むのが望ましい。焦点は、被処理位置にぴったり合わせてもよく、多少ずらしてもよい。これにより、基材の裏面外周部に付与する輻射エネルギの密度ひいては加熱温度や照射面積(集光径、スポット径)を適切な大きさに調節することができる。この結果、処理幅の調節を行なうことができる。また、基材の外周のノッチ部やオリフラ部が前記被処理位置に来たときは、輻射加熱器の集光径(照射面積)を大きくすることにすれば、ノッチ部やオリフラ部の縁の裏側にも熱光線を当てることができ、ひいてはノッチ部やオリフラ部についても裏側に付いた膜の除去を行なうことができる。
【0013】
前記輻射加熱器の照射部は、前記支持面又はその延長面より裏側に配置するのが好ましい。これによって、熱光線を基材の裏面外周部に直接的に(表側から入射させて反射させることなく)照射でき、照射効率を高めることができる。また、前記照射部は、前記吹出し口より前記被処理位置から離れて配置されていることが好ましい。これによって、照射部と吹出し口形成部材のレイアウトが容易になる。また、吹出し口を光源より被加熱部位の近傍に配置するものであるので、反応性ガスを未拡散、高濃度、高活性のうちに被処理部位に確実に吹き付けることができ、不要物除去の効率を確実に高めることができる。
【0014】
前記被処理位置より裏側であって被処理位置の近傍に、前記光源からの熱光線を前記被処理位置へ全反射する反射部材を設けることにしてもよい。これによって、光源を前記支持面の延長面上の近傍やそれより表側に配置することもできる。
【0015】
前記輻射加熱器の照射部と吹出し口とが、前記被処理位置に対し互いに異なる方向に配置されていることが好ましい。これによって、輻射加熱器と吹出し口形成部材のレイアウトが一層容易になる。
【0016】
前記輻射加熱器の照射部と吹出し口の何れか一方が、前記被処理位置を通り前記延長面と直交する線上に略配置されていることが好ましい。輻射加熱器の照射部を前記直交線上に略配置することによって、加熱効率を高めることができ、吹出し口を前記直交線上に略配置することによって、反応効率を高めることができる。
【0017】
前記輻射加熱器の光学系が、光源から前記被処理位置へ延びる導波管の光伝送系を含んでいてもよい。これによって、光源からの熱光線を基材の裏面外周部へ確実に伝送することができる。導波管としては、光ファイバを用いるのが好ましい。これによって、配索が容易になる。光ファイバは、複数(多数)本の束にするのが好ましい。
前記導波管が、複数の光ファイバを含み、これら光ファイバが、前記光源から分岐して延び、その先端部が、前記ステージの周方向に沿って互いに離れて配置されていてもよい。これによって、基材の外周部の周方向の複数箇所に熱光線を同時に照射することができる。
【0018】
前記光ファイバ等の光伝送系の先端部に前記収束用光学部材を含む照射部を光学的に接続するのが好ましい。
【0019】
前記光源は、点状光源であってもよく、前記ステージの周方向に沿う線状光源であってもよく、前記ステージの周方向の全周に沿う環状光源であってもよい。点状光源の場合、基材の裏面外周部の一箇所をスポット状に局所加熱できる。なお、点状光源の点状光を、凸レンズやシリンドリカルレンズ等によって基材の外周部に沿う線状光に変換して照射することにしてもよい。線状光源の場合、基材の裏面外周部の周方向に延びる範囲を局所的に線状に加熱できる。環状光源の場合、基材の裏面外周部全周を局所的に環状に加熱できる。点状光源や線状光源をステージの周方向に沿って複数配置してもよい。
同様に、前記吹出し口の形状は、点状(スポット状)であってもよく、前記ステージの周方向に沿う線状であってもよく、前記ステージの周方向の全周に沿う環状であってもよい。点状光源には点状(スポット状)吹出し口とし、線状光源には線状吹出し口とし、環状光源には環状吹出し口としてもよい。
点状吹出し口や線状吹出し口をステージの周方向に沿って複数配置してもよい。この場合、照射部と吹出し口をセットにして配置するのが望ましい。
【0020】
前記輻射加熱器の出力波長が、前記不要物の吸収波長に対応していることが望ましい。これによって、エネルギを不要物に効率的に付与でき、加熱効率を高めることができる。前記光源の発光波長が、前記不要物の吸収波長に対応していてもよく、バンドパスフィルタ等の波長抽出手段で吸収波長だけを抽出することにしてもよい。
【0021】
前記光源は、レーザ光源やランプ光源等を用いることができる。レーザ光源は、一般に点状光源であり、集光性が良く、収束照射に適しており、エネルギを高密度で被処理部位の不要物に付与することができ、瞬間的に高温に加熱することができる。処理幅の制御も容易である。レーザの種類は、LD(半導体)レーザでもよく、YAGレーザでもよく、エキシマレーザでもよく、その他の形式でもよい。例えば、LDレーザの波長は、808nm〜940nmであり、YAGレーザの波長は、1064nmであり、エキシマレーザの波長は、157nm〜351nmである。出力密度は、10W/mm程度以上が好ましい。発振形態は、CW(連続波)でもよく、パルス波でもよい。望ましくは、高周波数のスイッチングで連続処理可能なものがよい。発光波長が前記不要物の吸収波長に合ったものを用いると、より好ましい。
【0022】
ランプ光源としては、たとえばハロゲンランプ等の近赤外線ランプや遠赤外線ランプ等の赤外線ランプが挙げられる。ランプ光源の発光形態は、連続発光とする。赤外線ランプの発光波長は、例えば760nm〜10000nmであり、760nm〜2000nmが近赤外線帯となる。この波長域の中から前記不要物の吸収波長に合った波長を前記バンドパスフィルタ等の波長抽出手段を用いて抽出し、照射するのが好ましい。
前記輻射加熱器(特にランプ光源形式のもの)は、冷媒やファン等の輻射加熱器冷却手段にて冷却するのが望ましい。
【0023】
前記反応性ガス供給手段の吹出し口を形成する吹出し口形成部材(ノズル)が、透光材料にて構成されていることが望ましい。これによって、輻射加熱器の光路が吹出し口形成部材と干渉していても、光が吹出し口形成部材を透過して基材の被処理部位に確実に照射でき、該部位を確実に加熱することができる。ひいては、吹出し口形成部材を、輻射加熱器の光路に制約されることなく被処理部位の極く近傍に確実に配置することができ、該部位に反応性ガスを確実に近傍から吹付けることができる。透光材料としては、例えば、石英、アクリル、透明テフロン(登録商標)や透明塩ビ等の透明樹脂等を用いるとよい。なお、透明樹脂で耐熱性が低いものを用いる場合は、変形や溶解しない程度に輻射加熱器の出力等を調節するのが望ましい。
【0024】
前記ステージの径方向外側に、前記被処理位置を囲む囲いを設け、この囲い内に反応性ガスの吹出し口を配置する一方、囲いの外側に前記輻射加熱器の照射部を設け、囲いの少なくとも照射部を向く側の部位を透光性材料で構成してもよい。これによって、処理済みの反応性ガスが外部に漏出するのを確実に防止できるとともに、輻射加熱器の熱光線は囲いを透過でき、基材の被処理部位を確実に輻射加熱することができる。
【0025】
前記吹出し口形成部材には、反応性ガスを吹出し口の周方向に旋回させる旋回流形成部が設けられていてもよい。これによって、基材の被処理部位に反応性ガスを均一に吹付けることができる。
前記旋回流形成部は、吹出し口の略接線方向に延びて吹出し口の内周面に連なるとともに吹出し口の周方向に互いに離れて複数配された旋回導孔を有し、これら旋回導孔が、吹出し口の上流側の路部分を構成していることが望ましい。
【0026】
反応性ガスの成分は、除去すべき不要物に応じて選択される。例えば、除去すべき不要物がフロロカーボン等の有機膜である場合には、オゾン、Oプラズマ等の酸素系を用いるのが望ましい。Oにパーフルオロカーボン(PFC)を添加してプラズマ化したものでもよい。また、フッ酸ベーパ等、酸を含むガスでもよい。
【0027】
反応性ガス供給手段の反応性ガス供給元(反応性ガス生成用リアクタ)としては、例えば常圧プラズマ処理装置を用いることができる。反応性ガスがオゾンの場合には、オゾナイザを用いることにしてもよい。反応性ガスがフッ酸ベーパの場合は、フッ酸の気化器やインジェクタを用いることにしてもよい。
常圧プラズマ処理装置は、略常圧(大気圧近傍の圧力)下で電極間にグロー放電を形成し、プロセスガスをプラズマ化(ラジカル化、イオン化を含む)して反応性ガスにするものである。なお、本発明における「略常圧」とは、1.013×10〜50.663×10Paの範囲を言い、圧力調節の容易化や装置構成の簡便化を考慮すると、好ましくは、1.333×10〜10.664×10Paであり、より好ましくは、9.331×10〜10.397×10Paである。
【0028】
反応性ガス供給元は、被処理位置の近くに配置してもよく、離して配置し、吹出し路形成部材で被処理位置の近くまで導くことにしてもよい。
1つの反応性ガス供給元からの吹出し路を分岐させて、複数の吹出し口に連ねてもよい。
【0029】
前記反応性ガス供給手段が、前記反応性ガス供給元からの反応性ガスを前記吹出し口へ導く吹出し路を形成する吹出し路形成部材を有している場合、この吹出し路形成部材が、吹出し路温調手段にて温調されるようになっていることが望ましい。これによって、吹出し路を通る反応性ガスを温調して適温に維持でき、その活性度が維持されるようにすることができる。例えば、反応性ガスとしてオゾンを用いる場合には、冷却し、25℃程度に維持することにより、酸素ラジカルの寿命を長くすることができる。この結果、不要物との反応を確実に確保することができ、ひいては除去処理効率を高めることができる。
【0030】
前記吹出し路温調手段は、例えば、温調媒体を通す温調路やファンにて構成することができる。吹出し路形成部材を二重管構造にし、その内側の路を例えば吹出し路としてこれに反応性ガスを流し、外側の環状路を温調路としてこれに温調媒体を通すことにしてもよい。温調媒体としては、水、空気、ヘリウム、フロン等を用いることができる。
【0031】
前記ステージには、前記支持面から吸熱する吸熱手段が設けられていることが望ましい。これによって、基材の加熱すべき裏面外周部以外の部位、特に外周部より内側部分に裏面外周部の熱が伝わって来ても、これを吸熱手段で吸熱できる。よって、除去すべき裏面外周部の不要膜以外の、特に表側面の外周部より内側部分の膜にダメージが及ぶのを確実に防止することができる。
【0032】
前記吸熱手段は、例えば、冷媒にてステージを冷却するものである。その具体的構造としては、例えば、ステージの内部が空洞をなし、冷媒室が構成されており、この冷媒室に冷媒を送り込んで充填または流通ないしは循環させる。冷媒室の内容積を大きくすることにより、熱容量ひいては吸熱能力を十分に高めることができる。冷媒としては、例えば、水、空気、ヘリウム等の流体を用いる。冷媒を圧縮する等して冷媒室内に勢い良く供給することにしてもよい。これにより、冷媒室の隅々まで万遍なく行き渡るように流動させることができ、吸熱効率を向上させることができる。なお、冷媒供給の勢いが穏やかであっても、或いは充填したきり供給排出を停止しても、冷媒室内での自然対流により、吸熱性を確保できる。
【0033】
また、冷媒による吸熱手段として、ステージの内部や裏面に管等によって冷媒路を形成し、これに冷媒を通すことにしてもよい。
吸熱手段として、例えば、ペルチェ素子を用い、その吸熱側を前記支持面に向けて支持面の近くに埋め込んでもよい。
吸熱手段は、ステージの少なくとも外周部分に設ければよく、中央部分には設けなくてもよい。
【0034】
前記反応性ガス供給手段が、前記反応性ガス供給元からの反応性ガスを前記吹出し口へ導く吹出し路を形成する吹出し路形成部材を有し、この吹出し路形成部材が、前記ステージに沿い、前記吸熱手段にて冷却されることにしてもよい。これによって、吹出し路専用の冷却手段を設ける必要が無く、構成を簡素化でき、コストダウンを図ることができる。
この構造は、反応性ガスを冷却すべき場合、例えば反応性ガスとしてオゾンを用いる場合等において特に有効である。
【0035】
前記ステージには、支持面に置かれた基材の固定手段として、静電式や真空式等の吸着チャック機構を組み込むのが好ましい。吸着チャック機構は、ステージの支持面の全域に設けてもよく、支持面の外周領域にのみ設け、中央領域には設けないことにしてもよい。外周領域にのみ設けることにすれば、吸着に起因するパーティクルを低減することができる。
前記ステージと、前記光源及び吹出し口とは、相対移動するようになっているのが望ましい。
前記ステージが、円形ステージであり、この円形ステージが、中心軸まわりに前記光源及び吹出し口に対し相対回転するようになっているのが好ましい。これによって、光源がスポット状であっても、基材の裏面外周部の周方向に沿って不要物除去処理を行なうことができる。光源がリング状の場合でも、上記相対回転を実行することにより、処理の均一性を向上させることができる。相対回転数(相対移動速度)は、基材の裏面外周部を加熱すべき温度に応じて適宜設定する。
【0036】
前記ステージひいては前記被処理位置を周方向に囲み、前記ステージとの間に環状空間を形成するフレームを備えるのが望ましい。これによって、処理済みの反応性ガスを被処理位置の近くにしばらく留め、外部への拡散を抑制できるとともに、反応時間を十分に確保できる。前記光源と吹出し口が、この環状空間に収容され、又は臨むようにして、前記フレームに位置固定されていることが望ましい。
更に、前記ステージを前記フレームに対し中心軸まわりに相対回転させる回転駆動機構を備えるのが望ましい。フレームが固定される一方、ステージが回転してもよく、ステージが固定される一方、フレームが回転してもよい。
更に、前記ステージの支持面側(表側)とは反対の裏側部と前記フレームとの間を、相対回転を許容しつつシールするラビリンスシールを備えるのが望ましい。これによって、ステージ又はフレームを支障なく回転できるとともに、処理済み反応性ガスが、ステージの裏側とフレームの間から外に漏れるのを防止することができる。
【0037】
前記フレームの表側の部位には、ステージ側へ向けて延びて前記被処理位置の表側に被さり、単独又は前記ステージに設置された基材の外周部と協働して前記環状空間を覆うカバー部材を設けるのが望ましい。これによって、処理済みの反応性ガスが環状空間から表側へ漏れ出るのを防止することができる。
【0038】
前記カバー部材は、前記環状空間を覆う位置から退避可能であるのが望ましい。これによって、基材をステージに設置したり取り出したりする際は、カバー部材を退避させておくことにより、カバー部材が設置・取り出し操作の邪魔になるのを回避することができる。
【0039】
前記環状空間に、該環状空間を吸引する環状空間吸引手段が接続されていることが望ましい。これによって、処理済みの反応性ガスを環状空間から吸引排気できる。
前記吹出し口の近傍を吸引する吸引手段を備えることが望ましい。これによって、基材の裏面外周部の被処理部位の周辺から処理済みの反応性ガスを速やかに吸引排気することができる。
【0040】
前記ステージの支持面の外周部に、基材の外周部と協動してガス溜まりを形成すべき段差を形成するのが望ましい。これによって、吹出し口から吹出された反応性ガスをガス溜まりに一時滞留させ、基材の裏面外周部と接する時間を長くすることができ、反応時間を十分に確保することができ、反応効率を高めることができる。
【0041】
前記支持面の中央部の真向いに、不活性ガスを吹付ける不活性ガス吹付け部材を配置することが望ましい。これによって、反応性ガスが基材の表側面にまで流れて来ないようにすることができ、表側の膜にダメージが及ぶのを確実に防止することができる。不活性ガス吹付け部材は、ノズルでもよく、ファンフィルタユニットでもよい。勿論、この不活性ガス吹出し部材は、前記支持面より少なくとも基材の厚さ分以上離して配置される。また、基材の設置・取り出し操作の際は、邪魔にならないように退避される。不活性ガスとしては、純窒素ガスやクリーンドライエア(CDA)等を用いることができる。
【0042】
前記基材処理装置は、吸込み口を有する排気ノズルと、この排気ノズルを吸引する吸引手段とを備えているのが好ましい。
前記排気ノズルの吸込み口が、前記被処理位置を挟んで前記吹出し口と対向するように配置されているのが好ましい。
前記吹出し口と吸込み口は、基材の外周部の接線方向に沿って前記被処理位置を挟んで対向配置されているのが好ましい。
基材の回転方向の順方向に沿って前記吹出し口が上流側に配置され、前記吸込み口が下流側に配置されているのが好ましい。
【0043】
前記吸込み口が、前記吹出し口より大きいことが好ましい。
前記吸込み口が、前記吹出し口より2〜5倍の口径を有していることが好ましい。
前記吹出し口の内径は、例えば1〜3mm程度が好ましい。これに対し、前記吸込み口の内径は、例えば2〜15mm程度が好ましい。
これによって、処理済みのガスや反応副生成物が拡散するのを抑制でき、吸込み口に確実に吸い込んで排気することができる。
【0044】
また、本発明は、基材の裏面の外周部に被膜された不要物を除去する方法であって、基材の外周部が突出するようにして基材をステージで支持し、輻射加熱器から熱光線を前記基材の裏面の外周部又はその近傍に焦点を結ぶように照射して局所加熱するとともに、この局所加熱された部位の近傍には該部位に向かうようにして反応性ガス供給手段の吹出し口を置いてこの吹出し口から不要物除去のための反応性ガスを吹出すことを特徴とする。これによって、上記装置発明と同様に、基材の裏面外周部の不要膜を、表側の膜に影響を与えることなく、効率的に除去することができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、基材の裏面外周部を局所的に加熱でき、この局所加熱した部位にその近傍から反応性ガスを吹付けることができる。これによって、当該部位の不要物を効率的に除去することができる。一方、この局所的な部位以外の基材の部分までもが加熱されるのを防止ないしは抑制できる。これによって、基材の表側面の、特に外周部より内側の部分の膜にダメージが及ぶのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって詳述する。図1〜図3は、本発明の第1実施形態を示したものである。はじめに、処理対象の基材90について説明する。図1及び図2において仮想線で示すように、基材90は、例えば半導体ウェハーであり、円形の薄板状をなしている。図3に示すように、ウェハ90の上面すなわち表側面には、例えばフォトレジストからなる膜92が被膜されている。フォトレジストの吸収波長は、1500nm〜2000nmである。膜92は、ウェハ90の上面全体を覆うだけでなく外端面を経て裏面の外周部にまで達している。本発明の基材処理装置は、このウェハ90の裏面外周部を被処理部位とし、そこの膜92cを不要物として除去するものである。
【0047】
図1及び図2に示すように、基材処理装置は、フレーム50と、ウェハ90を支持する基材支持手段としてのステージ10と、輻射加熱器としてのレーザ加熱器20と、反応性ガス供給手段としてのプラズマノズルヘッド30と、を備えている。
【0048】
フレーム50は、有孔円盤状の底板51と、この底板51の外周から上に突出する筒状の周壁52を有して、断面L字状の環状をなし、図示しない架台に固定されている。
【0049】
フレーム50の内側には、これに囲まれるようにして、ステージ10が配置されている。ステージ10は、フレーム50と同心で周壁52より小径の平面視円形状をなし、その周側面は、下に向かって縮径するテーパ状をなしている。ステージ10は、図示しない回転駆動機構に接続され、中心軸11まわりに回転されるようになっている。なお、ステージ10を固定する一方、回転駆動機構をフレーム50に接続し、このフレーム50を回転させるようになっていてもよい。
【0050】
ステージ10の上面10a(支持面、表側面)に、処理すべきウェハ90が、中心を一致させて水平に設置されるようになっている。
ステージ10の上面すなわちウェハ90を支持する支持面10aの直径は、円形をなすウェハ90の直径より僅かに小さい。したがって、ウェハ90は、ステージ10に設置された状態においてその外周部の全周がステージ10よりも少しだけ径方向外側へ突出するようになっている。突出量は、例えば3〜5mmである。これによって、ウェハ90の裏面は、外周の狭い部分が全周にわたって露出(開放)される一方、それより内側の部分すなわち上記狭い外周部を除く裏面の大部分がステージ10の上面に当接し、覆い隠されている。
図示は省略するが、ステージ10には、真空式又は静電式の吸着チャック機構が組み込まれている。この吸着チャック機構によってウェハ90をステージ10の支持面10aに吸着し固定するようになっている。吸着チャック機構は、ステージ10の上面の全域に設けてもよく、ステージ10の外周部(ウェハ90の外周突出部のすぐ内側の部分)にのみ設け、中央部には設けないことにしてもよい。吸着チャック機構をステージ10の外周部だけに設けることにすれば、吸着に起因するパーティクルを低減することができる。
【0051】
ステージ10上に設置されたウェハ90の裏面外周部すなわち被処理部位の在る位置が、被処理位置Pとなる。この被処理位置Pは、ステージ10の上面10aを径方向外側へ延長した仮想面(延長面)上に位置する。
【0052】
ステージ10の材質には、熱伝導性が良くメタルコンタミ等の起きないものとして例えばアルミが用いられている。反応性ガスに対する耐食性確保のために、表面に陽極酸化によるアルミナ層を設け、PTFE等のフッ素系樹脂を浸透させることにしてもよい。
【0053】
ステージ10の内部は、空洞であり、そこが冷媒室41(吸熱手段)になっている。冷媒室41は、十分な内容積を有している。冷媒室41には、冷媒供給路42と冷媒排出路43が連なっている。これら路42,43は、中心軸11の内部を通ってステージ10から延出されている。冷媒供給路42の上流端は、図示しない冷媒供給源に接続されている。冷媒供給源は、冷媒として例えば水を、冷媒供給路42を介して冷媒室41に供給する。これによって、冷媒室41内は水で充填されている。水温は、常温でよい。また、適宜、冷媒排出路43から排出するとともに、新たに冷媒供給路42から供給を行なう。排出した冷媒は、冷媒供給源に戻し、再冷却する等して循環させてもよい。
冷媒として、水に代えて、空気、ヘリウム等を用いてもよい。圧縮流体にして冷媒室41に勢いを付けて送り込み、冷媒室41の内部で流動させることにしてもよい。
吸熱手段としてステージ10にペルチェ素子を埋め込んでもよい。
吸熱手段は、ステージ10の少なくとも外周部(ウェハ90の外周突出部のすぐ内側の部分)に設ければよく、中央部には設けなくてもよい。
【0054】
ステージ10は、フレーム50の底板51より上方であって周壁52の略中間の高さに位置するとともに、底板51の内周より大径をなしており、これにより、ステージ10の下側(裏側)の径方向内側に底板51の内端縁が入り込んでいる。ステージ10の下面と底板51の内端縁との間には、ラビリンスシール60が設けられている。ラビリンスシール60は、上下一対のラビリンスリング61,62を有している。上側のラビリンスリング61は、ステージ10と同心の多重環状をなす複数の垂下片61aを有して、ステージ10の下面に固定されている。下側のラビリンスリング62は、フレーム50ひいてはステージ10と同心の多重環状をなす複数の突出片62aを有して、フレーム50の底板51の上面に固定されている。上下のラビリンスリング61,62の垂下片61aと突出片62aどうしが、互い違いに噛み合っている。
フレーム50と、ステージ10と、ラビリンスシール60の間に、環状の空間50aが画成されている。
【0055】
フレーム50の底板51には、ラビリンスリング62の谷部から延びる吸引路51cが形成されている。吸引路51cは、配管を介して真空ポンプや排気処理系等からなる吸引排気装置(図示せず)に接続されている。これら吸引路51cと配管と吸引排気装置とは、「環状空間の吸引手段」を構成している。
【0056】
フレーム50の底板51のラビリンスリング62より径方向外側の部分には、ステージ10の外周縁の下側に離れて、レーザ加熱器20の照射ユニット22(照射部)が取り付けられている。
レーザ加熱器20は、点状光源であるレーザ光源21と、このレーザ光源21に光ファイバケーブル等の光伝送系23を介して光学的に接続された上記照射ユニット22を有している。レーザ光源21は、例えば、LD(半導体)レーザ光源が用いられており、発光波長808nm〜940nmのレーザ(熱光線)を出射するようになっている。発光波長は、基材90に被膜されたフォトレジスト膜92の吸収波長に対応する範囲に設定してもよい。
レーザ光源21は、LDに限られず、YAG、エキシマ等の種々の形式のものを用いてもよい。できればレーザの波長が膜92に吸収されやすい可視光以降のものを用い、より好ましくは膜92の吸収波長に合ったものを用いるとよい。
光源21をユニット22の内部に収容し、光ファイバ等の光伝送系23を省略してもよい。
【0057】
レーザ照射ユニット22は、前記被処理位置Pに対しプラズマノズルヘッド30よりも相当大きく離れている。図2に示すように、レーザ照射ユニット22は、フレーム50ひいてはステージ10の周方向に等間隔ごとに離れて複数(図では3つ)設けられている。図1に示すように、レーザ照射ユニット22は、前記被処理位置Pを通り前記延長面と直交する線L1上に配置されている。レーザ照射ユニット22のレーザ照射方向は、上記線L1に沿って真上に向けられ、被処理位置Pすなわちステージ10上に設置されたウェハ90の外周部と直交(交差)するようになっている。
【0058】
レーザ照射ユニット22には、凸レンズやシリンドリカルレンズ等の光学部材が収容されており、図3に示すように、光源21から送られて来たレーザLを前記被処理位置Pすなわちステージ10上に設置されたウェハ90の裏面外周部へ向けて収束させるようになっている。さらに、レーザ照射ユニット22には、焦点調節機構が組み込まれており、この焦点調節機構によってレーザの焦点をちょうど被処理位置Pに合わせられるだけでなく、被処理位置Pに対し若干上下にずらすこともできるようになっている。
光伝送系23と照射ユニット22によって、光源21からの熱光源を被処理位置の近傍まで発散しないように伝送し被処理位置へ向けて収束照射する「光学系」が構成されている。
【0059】
図1に示すように、フレーム50の周壁52には、プラズマノズルヘッド30が取り付けられている。プラズマノズルヘッド30は、被処理位置Pに対しステージ10の径方向外側に配されており、レーザ照射ユニット22とは被処理位置Pに対し互いに異なる方向に配置されている。図2に示すように、プラズマノズルヘッド30は、ステージ10の周方向に等間隔ごとに離れてレーザ照射ユニット22と同数(図では3つ)だけ設けられ、しかも、レーザ照射ユニット22と同じ周位置またはレーザ照射ユニット22よりウェハ回転方向の若干下流側に対をなすようにして配置されている。
【0060】
プラズマノズルヘッド30は、段々に先細になる段付き円柱状をなし、軸線をステージ10の径方向に沿うように水平に向けて配置されている。図1に示すように、プラズマノズルヘッド30には、一対の電極31,32が収容されている。これら電極31,32は、二重環状をなし、両者の間に環状をなす常圧の空間30aが形成されている。少なくとも一方の電極31,32の対向面には固体誘電体が被膜されている。
【0061】
内側の電極31に、図示しない電源(電界印加手段)が接続され、外側の電極32が接地されている。上記電源は、電極31に例えばパルス状の電圧を出力するようになっている。このパルスの立上がり時間及び/又は立下り時間は、10μs以下、電極間空間30aでの電界強度は10〜1000kV/cm、周波数は0.5kHz以上であることが望ましい。なお、パルス電圧に代えて、正弦波等の連続波状電圧等を出力するようになっていてもよい。
【0062】
電極間空間30aのステージ10側とは反対側を向く基端部(上流端)には、図示しないプロセスガス供給源が接続されている。プロセスガス供給源は、プロセスガスとして例えば酸素等を貯え、これを適量ずつ電極間空間30aに供給するようになっている。
【0063】
図3に最も良く示されているように、プラズマノズルヘッド30のステージ10側を向く先端部には、円板形状をなす樹脂製の吹出し口形成部材33が設けられている。この吹出し口形成部材33の中央部に、吹出し口30bが形成されている。吹出し口30bは、電極間空間30aのステージ10側を向く下流端と連なるとともに、軸線をステージ10の径方向に沿って水平に向けてステージ10の上面10aの延長面上ないしはそれより僅かに下の高さに位置され、プラズマノズルヘッド30の先端に開口されている。プラズマズルヘッド30の先端ひいては吹出し口30bは、被処理位置Pの近傍に配置されており、ステージ10上にウェハ90を設置すると、その外端縁に極めて近接するようになっている。この吹出し口30bの軸線に沿って、プロセスガスをプラズマ化してなる反応性ガスGが噴射されるようになっている。この噴射方向は、レーザ加熱器20のレーザLの照射方向に対し、直交し(角度をなし)ている。この噴射方向と照射方向の交差部は、ステージ10上のウェハ90の突出外周部の裏面上に略位置している。
【0064】
プラズマノズルヘッド30の先端面には、先端面形成部材34と吹出し口形成部材33の間に吸込み口30cが形成されている。吸込み口30cは、吹出し口30bと近接してこれを囲むように環状をなしている。図1に示すように、吸込み口30cは、プラズマノズルヘッド30に形成された吸引路30dを介して、上記図示しない吸引排気装置に連なっている。これら吸込み口30cと吸引路30dと吸引排気装置とは、「吹出し口近傍の吸引手段」ないしは「環状空間の吸引手段」を構成している。
プラズマノズルヘッド30と上記電源と上記プロセスガス供給源と上記吸引排気装置等によって、常圧プラズマ処理装置が構成されている。
【0065】
上記構成の基材処理装置によって、ウェハ90の裏面の外周部の膜92cを除去する方法を説明する。
処理すべきウェハ90を、搬送ロボット等によってステージ10の上面に中心が一致されるようにして置き、吸着チャックする。ウェハ90の外周部は、全周にわたってステージ10の径方向外側に突出することになる。このウェハ90の突出外周部の裏面上すなわち被処理位置Pに焦点を略合わせ、レーザ加熱器20のレーザ照射ユニット22からレーザLを出射する。これによって、ウェハ90の裏面外周部の膜92cをスポット状(局所的)に輻射加熱できる。点集光であるので、レーザエネルギーを被照射部に高密度で付与できる。レーザの波長が膜92cの吸収波長に対応していれば、レーザエネルギーの吸収効率をより高くすることができる。これによって、膜92cのスポット状の被照射部を瞬間的に数百度(例えば600℃)まで高温化できる。レーザ照射ユニット22の焦点調節機構によって焦点位置を被処理位置Pの上下に若干ずらすことにより、ウェハ90の裏面外周部上での集光径ひいては被加熱部位の面積や、輻射エネルギの密度ひいては被加熱部位の加熱温度を調節することができる。この結果、処理幅を調節することができる。また、ノッチ部やオリフラ部においては、集光径を大きくすることにより、ノッチ部やオリフラ部の縁にもレーザが当たるようにすることができ、ひいてはノッチ部やオリフラ部の縁の裏側の膜をも確実に除去することができる。
輻射加熱であるので、ウェハ90の被加熱部位を加熱源に接触させる必要がなく、パーティクルが発生することもない。
一方、ウェハ90の被加熱部位から径方向内側に熱が伝わって来ても、ステージ10内の冷媒室41に充填された水によって吸熱することができる。これによって、ウェハ90の被加熱部位より内側の部分の温度上昇を抑えることができる。したがって、膜92の変質を抑えることができるだけでなく、反応性ガスのオゾンがウェハ90の上面の中央側へ流れ込んで来たとしても、膜92との反応を抑えることができる。これによって、膜92にダメージが及ぶのを防止でき、確実に良質に維持することができる。
【0066】
併行して、プロセスガス供給源からプロセスガス(酸素等)をプラズマノズルヘッド30の電極間空間30aに供給する。また、パルス電源から電極31にパルス電圧を供給し、電極間空間30aにパルス電界を印加する。これにより、電極間空間30aで常圧グロー放電プラズマが形成され、酸素等のプロセスガスからオゾン等の反応性ガスが形成される。この反応性ガスが、吹出し口30bから吹出され、ちょうどウェハ90の裏面の局所加熱された部位に吹付けられ、反応を起こす。これによって、この部位の膜92cをエッチングし、除去することができる。この部位は、局所的に十分高温化されているので、エッチングレートを十分に高めることができる。
【0067】
更には、吸引手段によって、エッチング処理が行なわれている部位の周辺のガスを吸込み口30cに吸込み、吸引路30dを介して排気できる。この結果、エッチング処理が行なわれている部位の周辺から処理済みの反応性ガスやエッチングによる副生成物を速やかに取り除いてエッチングレートを高めることができる。また、ウェハ90の表側面へのガス流入を防止でき、表側面の膜92のダメージを一層確実に防止することができる。
更に、上記吸引手段によって、処理済みの反応性ガス等をウェハ90の外周部の周辺からラビリンスシール60方向へ誘導でき、ラビリンスシール60の隙間から吸引排気できる。ラビリンスシール60から径方向内側への反応性ガス等の流出も確実に防止することができる。
【0068】
以上の操作と併行して、回転駆動機構によってステージ10を回転させる。これによって、ウェハ90の裏面外周部の膜92cの除去範囲を周方向に進展させることができ、ひいては、裏面外周部の膜92cを全周にわたって除去することができる。
ステージ10とフレーム50の間のシールとしてラビリンスシール60を用いることによって、ステージ10の回転を、フレーム50との摩擦無く円滑に行なうことができる。
【0069】
図4は、図1と同様の装置を用い、ウェハーの外端縁をステージ10から3mm突出させ、冷媒室41内の水温が、50℃の場合、23.5℃の場合、5.2℃の場合のそれぞれについて、ウェハーの外端縁の被加熱部位の近傍から径方向内側方向への距離に対するウェハーの表面温度を測定した実験結果を示したものである。レーザ加熱器20の出力条件は以下の通りである。
レーザ発光波長:808nm
出力:30W
局所加熱部位の直径:0.6mm
出力密度:100w/mm
発振形態:連続波
図4に示す通り、水温が常温の23.5℃の場合、ウェハー外端縁の被加熱部位の近傍では被加熱部位からの熱伝導により110℃程度になるが(被加熱部位では600℃以上)、そこから僅か3mm径方向内側の部位では50℃程度まで下がり、更に径方向内側の中央部分では、50℃以下に保持され、これにより、たとえ反応性ガスのオゾンがウェハーの表側面の中央部分に流れ込んで来ても反応が起きにくく膜92のダメージを抑えることができることが確認された。
【0070】
また、図1と同様の装置を用い、ウェハーの外端縁をステージ10から3mm突出させ、レーザ出力を80Wにした場合と100Wにした場合とについて、ウェハーの外端縁の被加熱部位の近傍から径方向内側方向への距離に対するウェハーの表面温度をサーモグラフィで測定した。その他の条件は以下の通りである。
ウェハー直径:300mm
局所加熱部位の直径:1mm
ステージ回転数:3rpm
ステージ冷媒室内の水温:23.5℃
その結果、図5に示すとおり、ウェハー外端縁の被加熱部位の近傍の表面温度は、300℃前後(被加熱部位では700〜800℃程度)であったが、そこから径方向内側へ向かってウェハー温度が急激に下がり、僅か3mm径方向内側の部位では100℃を下回った。これにより、ウェハー中央部分の膜のダメージを抑えることができることが確認された。
【0071】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の実施形態と対応する構成に関しては図面に同一符号を付して説明を適宜省略する。
図6に示す基材処理装置では、プラズマノズルヘッド30が、被処理部位から離され、レーザ加熱器20のレーザ照射ユニット22と並ぶようにして、フレーム50の底板51に固定されている。プラズマノズルヘッド30の先端面は、真上に向けられている。フレーム50の周壁52には、プラズマノズルヘッド30の先端開口30b’から延びる反応性ガス路52bが形成されている。反応性ガス路52bの先端は、周壁52の内周面に達し、そこに小さな円筒状の吹出しノズル36が連ねられている。図6の装置においては、この吹出しノズル36が、吹出し口形成部材を構成し、その内部が吹出し口36aを構成している。吹出しノズル36は、透明で透光性を有する材料、例えばテトラフルオロエチレン−パープルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等で構成されている。
【0072】
吹出しノズル36は、周壁52の内周から突出するように斜め上に延び、その先端部が、被処理位置Pすなわちステージ10上に設置されたウェハ90の突出外周部の裏側に極めて近接するようになっている。これによって、垂直上方を向くレーザ加熱器20の照射方向に対し、吹出しノズル36からの吹出し方向が、鋭角をなしてウェハ90の突出外周部の裏面上で交差するようになっている。(輻射加熱器と吹出し口が、支持面10aの延長面より裏側において被処理位置Pに対し互いに異なる方向(鋭角をなす方向)に配置されている。)
反応性ガス路52bを有するフレーム50と、吹出しノズル36は、プラズマノズルヘッド30と共に「反応性ガス供給手段」の構成要素となっている。
【0073】
この構成によれば、吹出しノズル36がウェハ90の被処理部位の極めて近傍に配置されているので、そこから吹出されたオゾン等の反応性ガスを高活性なうちに、かつ拡散せず高濃度なうちに被処理部位に確実に到達させることができ、膜92cとの反応効率を向上でき、エッチングレートを高めることができる。また、反応性ガスの吹出し方向がウェハ90の裏面に対し平行ではなく角度が付いているので、膜92cとの反応効率を一層向上でき、エッチングレートを一層高めることができる。
一方、レーザ加熱器20からのレーザLの光路内に吹出しノズル36が進入するように配置されることになるが、吹出しノズル36は透光性を有しているためレーザLを遮ることがない。よって、被処理部位を確実に加熱することができ、高エッチングレートを確保できる。
なお、吹出しノズル36をレーザLの光路上から外して配置することにしてもよい。その場合、吹出しノズル36を透過性材料にする必要はなく、例えば、ステンレス等を用いてもよい。しかし、レーザの反射で高温化し、オゾン濃度が熱反応で低下するおそれを考慮すると、輻射熱吸収性が小さく耐オゾン性も高いテフロン(登録商標)等にて構成するのが好ましい。
【0074】
図6において、ベースプレートの周壁52の上面には、段差が形成されており、この段差に断面逆L字状をなす環状の上部周壁53が被せられている。上部周壁53の内端縁は、吹出しノズル36の近傍、ひいてはステージ10上のウェハ90の外端縁の近傍に配置されている。この上部周壁53の内端縁には、該内端縁に向かって拡開するように開口するとともに周方向の全周にわたる環状溝53c(吸引口)が形成されている。この環状溝53cにおける吹出しノズル36と同じ周方向位置の溝底から、吸引路53dが、上部周壁53の外周へ延びて吸引コネクタ57に連なり、更には、図示しない吸引排気装置に接続されている。これによって、ウェハ90の外周部の周辺から処理済み反応性ガスを吸引し排気することができる。
溝53c、吸引路53d、吸引排気装置は、「吹出し口近傍の吸引手段」ないしは「環状空間の吸引手段」を構成している。
【0075】
図7に示す基材処理装置では、プラズマノズルヘッドの構造が既述のものと異なっている。すなわち、図7のプラズマノズルヘッド30Xは、ステージ10ないしはフレーム50に対応する大きさの環状をなし、ステージ10及びフレーム50の上側にそれらと同心をなすように配置されている。プラズマノズルヘッド30Xは、図示しない昇降機構によってステージ10及びフレーム50の上方に大きく離間した退避位置(この状態は図示せず)と、フレーム50の周壁52上に載ったセット位置(この状態を図7に示す)との間で昇降可能になっている。プラズマノズルヘッド30Xを退避位置へ上昇させたうえで、ウェハ90をステージ10に設置し、その後、プラズマノズルヘッド30Xを降ろしてセット位置にし、処理を行なうようになっている。
【0076】
プラズマノズルヘッド30Xの内部には、その全周にわたって二重円環状をなす電極31X,32Xが収容されている。内側の電極31Xに図示しないパルス電源が接続され、外側の電極32Xが接地されている。これら電極31X,32Xの対向面どうしによって、プラズマノズルヘッド30Xの全周にわたる環状をなす狭い空間30axが形成されている。この電極間空間30axの上端部(上流端)の周方向の全周にわたって均等に、図示しないプロセスガス供給源からの酸素等のプロセスガスが導入され、電極間空間30ax内の常圧グロー放電によってプラズマ化され、オゾン等の反応性ガスが生成されるようになっている。電極31X,32Xの少なくとも一方の対向面には固体誘電体層が被膜されていることは、既述のプラズマノズルヘッド30と同様である。
【0077】
プラズマノズルヘッド30Xの底部には、電極間空間30axの下端部(下流端)から斜めに延びる反応性ガス路30bx’が形成されている。一方、フレーム50の周壁52にも縦に延びる反応性ガス路52bが形成されており、プラズマノズルヘッド30Xをセット位置にすると、両反応性ガス路30bx’,52bが連続するようになっている。
【0078】
フレーム50の反応性ガス路52bの下端部(下流端)には、透光性材料ならなる吹出しノズル36の基端部が連ねられている。吹出しノズル36は、フレーム50の径方向に沿って水平をなすようにして周壁52に埋め込まれ、先端部が、周壁52の内端面から突出されている。これにより、被処理位置Pすなわちステージ10上に設置されたウェハ90の外周部の裏側直近に位置するようになっている。吹出しノズル36は、レーザ加熱器20のレーザ照射ユニット22と同じ周方向位置に一対一に対応するように、周方向に互いに離間してレーザ照射ユニット22と同数だけ配置されている。これによって、電極間空間30axで生成された反応性ガスが、反応性ガス路30bx’,52bを通って吹出しノズル36から吹出され、レーザ加熱器20で局所加熱された膜92c部分に当たり、これをエッチングし除去するようになっている。レーザLの光路と吹出しノズル36が干渉していても、図6の実施形態と同様に、吹出しノズル36が透光性を有しているので、レーザLが遮られることはない。
【0079】
プラズマノズルヘッド30Xの底部の径方向内側の部分には、カバーリング37が設けられている。プラズマノズルヘッド30Xがセット位置にあるとき、このカバーリング37のテーパ状をなす外端面と、フレーム50の周壁52の内周面の上側部分との間に、吸込み口30cxが形成されるようになっている。吸込み口30cxは、ステージ10上のウェハ90の外端縁のちょうど上方に位置されている。吸込み口30cxは、その奥に連なる吸込み路30dx等を介して、図示しない吸引排気装置に接続されている。これによって、ウェハ90の外周部の周辺から処理済み反応性ガスを吸引し排気することができる。
吸込み口30cx、吸込み路30dx、吸引排気装置は、「吹出し口近傍の吸引手段」ないしは「環状空間の吸引手段」を構成している。
カバーリング37は、吸込み口形成部材を構成している。
【0080】
図8に示す基材処理装置は、図6の基材処理装置の全体と、図7の環状プラズマノズルヘッド30Xとを組み合わせたものである。したがって、図8の装置においては、下側と上側に2種類のプラズマノズルヘッド30,30Xが設けられている。下側のプラズマノズルヘッド30は、既述の実施形態と同様、ウェハ90の裏面外周部の膜92cを除去するためのものである。これに対し、上側のプラズマノズルヘッド30Xは、ウェハ90の表側面の外周部及び外端面の膜92(図3参照)を除去するためのものである。このため、図8の基材処理装置のプラズマノズルヘッド30Xの底部には、図7のものとは異なり、電極間空間30axから真っ直ぐ下に延びて底面に開口する吹出し口30bxが形成されている。吹出し口30bxは、プラズマノズルヘッド30Xの周方向の全周にわたる環状をなしている。プラズマノズルヘッド30Xをセット位置にすると、吹出し口30bxが、ステージ10上の基材のちょうど外周部の直ぐ上に配置されるようになっている。電極間空間30axからの反応性ガスは、吹出し口30bxから真っ直ぐ下に吹出され、ウェハ90の表側面の外周部に吹き付けられるとともに、一部はウェハ90の外端面に回り込む。これによって、ウェハ90の表側面の外周部及び外端面の膜92についても、エッチングし除去することができる。吹出し口30bxは、環状をなしてウェハ90の外周の全周にわたっているので、反応性ガスをウェハ90の外周の全周に一度に吹付けることができ、効率的にエッチングすることができる。また、ウェハ90の表側面と裏面の膜種に応じて上下のプラズマノズルヘッド30X,30用のプロセスガス成分を異ならせることもできる。
【0081】
吹出し口30bxは、吸込み口30cxの幅方向の中央に配置されている。吸込み口30cxは、この吹出し口30bxを挟んで内周側と外周側とに分かれており、この内周側の吸込み口部分と外周側の吸込み口部分からそれぞれ吸込み路30dxが延び、図示しない吸引排気装置に連なっている。
【0082】
図9に示す基材処理装置は、プラズマノズルヘッド30とレーザ加熱器20のレーザ照射ユニット22との配置関係が、図1のものと異なっている。すなわち、図9の装置では、プラズマノズルヘッド30が、先端面ひいては吹出し口30bを真上に向け、フレーム50の底板51に固定されている。吹出し口30bは、ステージ10上に設置されたウェハ90の外周縁の下側に近接して配置され、反応性ガスをウェハ90の裏面外周部と直交する方向に吹出すようになっている(被処理位置Pを通り支持面10aの延長面と直交する線上に配置されている)。
【0083】
図10に拡大して示すように、プラズマノズルヘッド30の先端面の吹出し口30bよりステージ10側の部位には、板状の全反射部材25が設けられている。全反射部材25のステージ10側とは逆側の面は、上に向かってステージ10側へ傾く斜面になっている。この斜面が、レーザ等の光を全反射する全反射面25aとなっている。
【0084】
一方、レーザ照射ユニット22は、プラズマノズルヘッド30の径方向外側に離れ、レーザ照射方向を径方向内側へ向けるように軸線を横にして、フレーム50の周壁52に固定されている。レーザ照射ユニット22から照射されたレーザLは、反射面25aに当たって斜め上へ反射され、ウェハ90の裏面の外周部に当たるようになっている。これにより、ウェハ90の裏面外周部を局所的に加熱することができる。
【0085】
なお、プラズマノズルヘッド30の上端部の部材34等は、レーザLを透過するように透光性材料にて構成してもよい。
レーザ照射ユニット22からのレーザが線状でなく、反射面25aに向かって収光する円錐状の場合、プラズマノズルヘッド30を下げてウェハ90から離すとともにその分だけ全反射部材25を厚くし、レーザがプラズマノズルヘッド30に干渉しないようにしてもよい。
【0086】
図9に示すように、フレーム50の周壁52の上端部には、その内周の全周に沿うリング状をなすカバー部材80が設けられている。カバー部材80は、水平な円板形状をなして周壁52から径方向内側へ延びる水平部81と、この水平部81の内端縁の全周から垂下された筒形状の垂下部82を有し、断面L字状をなしている。カバー部材80は、図示しない昇降機構によって周壁52の上方に大きく離間した退避位置(この状態は図示せず)と、水平部81の外周面が周壁52の内周面に当接するセット位置(この状態を図9に示す)との間で昇降可能になっている。ウェハ90をステージ10に載せたり取り出したりするときは、カバー部材80が退避位置に位置され、ウェハ90の処理時は、カバー部材80がセット位置に位置される。
【0087】
セット位置において、カバー部材80の水平部81の内端縁及び垂下部82は、被処理位置Pすなわちステージ10上のウェハ90の外周部の上方に配置され、ウェハ90の外周部と協働して環状空間50aの上方を覆っている。カバー部材80と周壁52との間には、環状空間50aに一体に連なる空間50bが形成されている。垂下部82の下端部は、ウェハ90の僅かに上に配置され、垂下部82とウェハ90の間の隙間82a(図10)が非常に狭くなるようになっている。これによって、ウェハ90の外周部に当たった後の処理済みの反応性ガスを、空間50a,50b内に確実に閉じ込めることができ、ウェハ90の上面の中央部側へ流れていくのを防ぐことができる。ひいては、この上面の膜92がダメージを受けるのを防止することができる。カバー部材80と周壁52との間の空間50bは、カバー部材80の吸引コネクタ55等を介して図示しない吸引排気装置に接続されている。これによって、空間50a,空間50b内の処理済みガスを吸引排気することができる。
吸引コネクタ55や吸引排気装置は、「環状空間の吸引手段」を構成している。
【0088】
図11に示す基材処理装置は、反応性ガス供給手段の反応性ガス供給元として、既述実施形態の常圧グロー放電式のプラズマノズルヘッド30,30Xに代えて、オゾナイザー70が用いられている。オゾナイザー70のオゾン生成方式は、無声放電、沿面放電等、種類を問わない。オゾナイザー70は、フレーム50から離間して設置されている。このオゾナイザー70からオゾン供給管71が延び、このオゾン供給管71が、フレーム50のレーザ照射ユニット22より径方向外側の底板51に設けられた供給コネクタ72を介して、フレーム50の周壁52の反応性ガス路52bに連なっている。なお、供給コネクタ72は、レーザ照射ユニット22と同じ周方向位置に一対一に対応するように、周方向に等間隔ごとにレーザ照射ユニット22と同数(例えば5つ)だけ配置されており、オゾン供給管71が分岐して各供給コネクタ72に接続されている。各供給コネクタ72から反応性ガス路52bが延びている。
【0089】
反応性ガス路52bが周壁52の内周面に達し、そこから透光性の吹出しノズル36が斜め上に突出し、この吹出しノズル36の先端部が、ステージ10上に設置されたウェハ90の突出外周部の裏側に極めて近接するようになっていることは、図6のものと同様である。
オゾナイザー70、オゾン供給管71、供給コネクタ72、反応性ガス路52bを有するフレーム50、及び吹出しノズル36は、それぞれ「反応性ガス供給手段」の構成要素となっている。
【0090】
オゾナイザー70で生成された反応性ガスとしてのオゾンは、オゾン供給管71、供給コネクタ72、反応性ガス路52bを順次経て、吹出しノズル36から吹出される。吹出しノズル36がウェハ90の裏面外周部の極めて近傍に配置されているので、オゾンが拡散も失活もしないうちにこのウェハ90の裏面外周部に確実に当てて膜92cを効率的に除去できること、及び、吹出しノズル36がレーザ加熱器20からのレーザLの光路と干渉していても、レーザLは吹出しノズル36を透過でき、ウェハ90の被処理部位を確実に加熱できることは、図6のものと同様である。また、処理済みのオゾンは、吸引手段すなわち吹出しノズル36の近傍の吸引路53d、吸引コネクタ57等の排気経路か、或いは、空間50a、ラビリンスシール60の隙間、吸引路51c等の排気経路を経て、図示しない吸引排気装置にて吸引排気されることは、図1及び図6のものと同様である。
【0091】
上部周壁53の上方には、カバー部材80が設けられている。このカバー部材80は、図9のものと同様に、図示しない昇降機構によって上方への退避位置(図11において仮想線で示す)とセット位置(同図において実線で示す)との間で昇降可能になっている。セット位置のカバー部材80は、上部周壁53の上面に当接されるとともに径方向内側へ延出し、その内端部の垂下部82が、ステージ10の外周縁の上方に位置されている。これによって、カバー部材80は、それ単独で環状空間50aを覆っている。これによって、図9のものと同様に、処理済みのオゾンが、ウェハ90の上面の中央部側へ流れていくのが防止されている。
【0092】
図12に示す基材処理装置は、輻射加熱器として、既述実施形態のレーザ加熱器20に代えて、赤外線加熱器120が用いられている。図12及び図13に示すように、赤外線加熱器120は、ハロゲンランプ等の赤外線ランプ121からなる光源と、収束照射用の光学系122を有し、フレーム50の周方向の全周にわたる環状をなしている。すなわち、赤外線ランプ121は、フレーム50の周方向の全周にわたる環状光源であり、光学系122もフレーム50の周方向の全周にわたって配置されている。光学系122は、パラボリック反射鏡、凸レンズ、シリンドリカルレンズ等の集光系やバンドパスフィルタ等の波長抽出部等にて構成され、更に焦点調節機構が組み込まれている。光学系122は、赤外線ランプ121からの赤外線をバンドパスフィルタに通すとともにパラボリック反射鏡やレンズ等の集光系で集光し、ウェハ90の裏面の外周の全周に収束させるようになっている。これによって、裏面外周部の膜92cを局所的に、しかも全周にわたって一度に加熱することができる。赤外線ランプ121としては、遠赤外線ランプを用いてもよく、近赤外線ランプを用いてもよい。発光波長は、例えば760nm〜10000nmであり、この中から膜92cの吸収波長に合った光をバンドパスフィルタで抽出する。これによって、膜92cの加熱効率を一層高めることができる。
【0093】
赤外線加熱器120の内部には、全周にわたってランプ冷却路125が形成されており、このランプ冷却路125に冷媒往路126及び復路127を介して図示しない冷媒供給源が接続され、冷媒が循環されるようになっている。これによって、赤外線加熱器120を冷却することができる。冷媒として例えば水、空気、ヘリウムガス等が用いられている。空気や水を用いる場合は、復路127から冷媒供給源に戻さずに排出することにしてもよい。この加熱器冷却用の冷媒供給源は、基材吸熱用の冷媒供給源と共用してもよい。
ランプ冷却路125と往路126と復路127と加熱器冷却用冷媒供給源は、「輻射加熱器冷却手段」を構成している。
【0094】
反応性ガス供給手段の反応性ガス供給元としては、図11の装置と同様にオゾナイザー70が用いられている。オゾナイザー70は、オゾン供給管71を介してフレーム50の複数の供給コネクタ72に連なっている。供給コネクタ72の数は、比較的多く、例えば8つである。これら供給コネクタ72が、周壁52の外周面の上側部分の周方向に等間隔ごとに離れて配置されている。
【0095】
周壁52の上側部は、吹出し路及び吹出し口形成部材として提供されている。すなわち、周壁52の上側部には、これら供給コネクタ72に連なる反応性ガス路73が、径方向内側へ向かって水平に、しかも周方向の全周にわたって環状に形成されている。反応性ガス路73は、周壁52の内周の全周に開口し、そこが環状の吹出し口74となっている。この吹出し口74の高さは、ステージ10の上面ひいてはその上に設置されるべきウェハ90の裏面より僅かに下に位置し、しかも当該ウェハ90の外周縁に近接してその全周を囲むように配置されている。
【0096】
オゾナイザー70からのオゾンは、反応性ガス路73の各供給コネクタ72接続位置に導入され、反応性ガス路73の周方向の全体に拡がりながら吹出し口74の全周から径方向内側に吹出される。これによって、オゾンをウェハ90の裏面外周部の全周に一度に吹付けることができ、全周の膜92cを効率的に除去することができる。
なお、この図12の装置においては、上記のようにウェハ90全周を一度に処理できるので、ステージ10の回転は必ずしも必要でないが、処理を周方向に均一化させるために回転させるのが好ましい。
【0097】
図12の装置では、カバー部材80をセット位置に位置させると、周壁52の上面との間の全周にわたって吸引路53dが形成されるようになっている。この吸引路53dが、カバー部材80に設けられた吸引コネクタ57等を介し、図示しない吸引排気装置に連なっており、これによって、ウェハ90の外周部の周辺から処理済み反応性ガスを吸引し排気することができる。
【0098】
図14は、図12と同様の装置を用い、ウェハーの外端縁をステージ10から3mm突出させ、冷媒室41内の水温が5℃の場合、20℃の場合、50℃の場合のそれぞれについて、ウェハーの外端縁の被加熱部位の近傍から径方向内側方向への距離に対するウェハーの表面温度を測定した実験結果を示したものである。赤外線加熱器120の出力条件は以下の通りである。
光源:環状ハロゲンランプ
収束用光学系:パラボリック反射鏡
発光波長:800〜2000nm
出力:200W
局所加熱部位の幅:2mm
図14に示す通り、水温が常温の20℃の場合、ウェハーの外端縁の被加熱部位の近傍では被加熱部位からの熱伝導により80℃程度になるが(被加熱部位では400℃以上)、そこから9mm以上径方向内側の部位では50℃以下の低温に保持され、膜のダメージを抑えることができることが確認された。
【0099】
ところで、図15に示すように、オゾンが分解して得られる酸素原子ラジカルの寿命は、温度に依存し、25℃付近では十分に長いが、50℃付近では半減してしまう。一方、膜92cとの反応確保のために加熱を行なっているため、オゾンの吹出し路の温度が上昇するおそれがある。
【0100】
そこで、図16に示す基材処理装置には、吹出し路冷却(温調)手段が設けられている。すなわち、吹出し路形成部材としてのフレーム50の周壁52の内部に反応性ガス冷却路130が設けられ、この反応性ガス冷却路130に冷媒往路131及び復路132を介して図示しない冷媒供給源が接続され、冷媒が循環されるようになっている。冷媒として例えば水、空気、ヘリウムガス等が用いられている。空気や水を用いる場合は、復路132から上記冷媒供給源に戻さずに排出することにしてもよい。この吹出し路冷却用の冷媒供給源は、基材吸熱用の冷媒供給源と共用してもよい。これによって、反応性ガス路52b内を通るオゾンを冷却することができ、酸素原子ラジカル量の減少を抑え、活性を維持することができる。ひいては、膜92cの除去処理効率を向上させることができる。
この図16の基材処理装置では、反応性ガス供給元として図11等と同じオゾナイザーを用いているが、図6等のプラズマノズルヘッド30を用いた装置に反応性ガス冷却路130を設け、反応性ガス路52bの冷却を行なうことにしてもよい。
【0101】
ステージ10ひいてはその上に設置されたウェハ90の中心の上方には、不活性ガス吹付け部材として不活性ガスノズル140が、吹出し口を真下に向けて設けられている。不活性ガスノズル140の上流端は、図示しない不活性ガス供給源に連なっている。この不活性ガス供給源から不活性ガスとして例えば窒素ガスが不活性ガスノズル140に導入され、その吹出し口から吹出されるようになっている。吹出された窒素ガスは、ウェハ90の上面に沿って中心から径方向外側へ放射状に拡散していく。やがて、窒素ガスは、ウェハ90の上面の外周部付近とカバー部材80との間の隙間82aに達し、一部は、そこを通ってウェハ90の裏側に回り込もうとする。この窒素ガスの流れによって、ウェハ90の外周部の裏側周辺の処理済み反応性ガスが、基材の表側へ回り込むのを防止でき、ひいては、隙間82aから外に漏れ出るのを確実に防止することができる。
なお、不活性ガスノズル140は、ウェハ90をステージ10に設置したり取り出したりするときは、邪魔にならないように退避されるようになっている。
【0102】
図16の基材処理装置では、輻射加熱器としてレーザ加熱器20を用いているが、これに代えて、図17に示すように、赤外線加熱器120を用いてもよい。なお、この赤外線加熱器120は、図12のものと同様に、環状をなしてフレーム50の全周にわっている。
【0103】
図18に示す基材処理装置は、オゾナイザー70からの供給コネクタ72が、フレーム50の底板51のレーザ照射ユニット22とラビリンスシール60との間に配置されている。この供給コネクタ72に吹出し路形成部材としての管状の吹出しノズル75が連なっている。吹出しノズル75は、供給コネクタ72から真っ直ぐ上へ延びてステージ10の周側面の底部付近に突き当たるとともに折曲し、ステージ10の周側面のテーパに沿って斜め上方へ延びている。吹出しノズル75の先端の開口は、吹出し口となり、ステージ10の周側面の上縁近傍に位置されている。この吹出し口が、ステージ10上に設置されたウェハ90の裏面外周部に臨み、膜92cへオゾンを吹出すようになっている。
【0104】
この構成によれば、ステージ10内部の冷媒室41に冷媒を通されることにより、ウェハ90が吸熱冷却されるだけでなく、吹出しノズル75をも冷却することができる。これによって、基材吸熱手段が、吹出し路冷却(温調)手段を兼ねている。したがって、図16における反応性ガス冷却路130等を形成する必要がなく、コストダウンを図ることができる。
なお、ステージ10の周側面又は吹出しノズル75の外周面には、ステージ10の回転による摩擦を低減するためのグリース等の摩擦低減材を塗るのが好ましい。
【0105】
図19に示す基材処理装置では、ステージ10の上面の外周部の全周に段差12が形成されている。これによって、ウェハ90を設置すると、段差12とウェハ90との間に凹部(ガス溜まり)12aが形成される。この凹部12aは、ステージ10の全周にわたるとともに径方向外側へ開口している。凹部12aの径方向に沿う深さは、例えば3〜5mm程度である。
【0106】
吹出しノズル36から吹出されたオゾンは、この凹部すなわちガス溜まり12a内に入り込んで、一時滞留することになる。これによって、オゾンとウェハ90の裏面外周部の膜92cとの反応時間を十分に確保することができ、処理効率を高めることができる。
【0107】
図20に示す基材処理装置では、ステージ10の外周部の径方向外側に、囲い150が設けられている。囲い150のステージ10側を向く内周側壁には、基材挿入孔10aが形成されている。ステージ10上に設置したウェハ90の突出外周部が、この基材挿入孔10aを通して、囲い150の内部に挿入されている。囲い150の外周側壁には、プラズマノズルヘッド30の先端部が貫通されており、これにより、反応性ガスの吹出し口が囲い150の内部に配置されている。一方、輻射加熱器として、例えばレーザ加熱器20のレーザ照射ユニット22が、囲い150の下側に離れて、すなわち囲い150の外部に配置されている。
【0108】
囲い150は、例えば石英、ホウケイ酸ガラス、透明樹脂等の透光性材料にて構成されている。これによって、レーザ照射ユニット22からのレーザ光線Lは、囲い150の底板を透過して、ウェハ90の裏面外周部に局所的に照射される。これによって、このウェハ90の裏面外周部を局所輻射加熱することができる。一方、プラズマノズルヘッド30で生成された酸素ラジカルやオゾン等の反応性ガスは、囲い150の内部に吹出され、上記局所加熱された部位に当たり、そこの膜92cを確実に除去することができる。処理済みの反応性ガスは、囲い150によって外部へ漏出するのが防止される。そして、プラズマノズルヘッド30の吸込み口から吸引排気される。
なお、囲い150は、少なくともレーザ照射ユニット22と面する底板を透光性材料にて構成されていればよい。
【0109】
図21は、輻射加熱器の光学系の他の態様を示したものである。レーザ加熱器20の光源21には、その出射光をウェハ90の外周部へ有線伝送する光学系として光ファイバケーブル23(導波管)が光学的に接続されている。光ファイバケーブル23は、多数の光ファイバの束にて構成されている。これら光ファイバの束が、レーザ光源21から延び出るとともに、複数方向に分岐し、複数の分岐ケーブル23aとなっている。各分岐ケーブル23aは、1本の光ファイバで構成されていてもよく、複数の光ファイバの束で構成されていてもよい。これら分岐ケーブル23aの先端部は、ステージ10の外周部へ延び、ステージ10の周方向に沿って互いに等間隔ごとに離れて配置されている。各分岐ケーブル23aの先端部は、被処理位置Pすなわちステージ10上に設置されたウェハ90の裏面外周部の近傍の真下においてウェハ90と直交して対峙するように上向きで配置されている。各分岐ケーブル23aの先端部と一対一に対応するようにしてプラズマノズルヘッド30が横向きに設けられている。図示は省略するが、各分岐ケーブル23aの先端部にレーザ照射ユニット22を設けるのが好ましい。
【0110】
この構成によれば、光源21からのレーザは、光ファイバケーブル23によってウェハ90の裏面外周部へ向けて発散されることなく伝送される。しかも、分岐ケーブル23aによって周方向の異なる位置に分配伝送される。そして、各分岐ケーブル23aの先端面から上へ出射される。これによって、ウェハ90の裏面外周部に、その近傍からレーザ照射を行なうことができる。また、1つの点状光源21からの点状レーザ光をウェハ90の周方向の複数箇所に分配照射できる。これによって、これら複数箇所を同時に加熱して膜除去することができる。
さらに、光源21の配置場所を自由に設定することができる。光ファイバの配索も容易である。
なお、分岐ケーブル23aの先端にシリンドリカルレンズ等の収束用の光学部材を設け、出射光が収束されるようにしてもよい。光源21を複数設け、各光源21からの光ファイバケーブル23ごとに所定の周方向位置へ向けて延出させることにしてもよい。ウェハ90に対し、光ファイバの先端部を斜めにし、プラズマノズルヘッド30の吹出し口を真下に置くなど、光ファイバの先端部と吹出し口との配置関係は種々のアレンジが可能である。勿論、プラズマノズルヘッド30に代えてオゾナイザー70を用いてもよく、レーザ光源21に代えて赤外線ランプを用いてもよい。
【0111】
図22は、図6等に示す装置の吹出しノズル36等の吹出し口形成部材の改変態様を示したものである。図22(a)に示すように、この吹出しノズル36Xの周壁には、旋回流形成部として、細孔状をなす旋回導孔36bが、周方向に互いに等間隔ごとに離れて複数(例えば4つ)形成されている。旋回導孔36bは、ノズル36Xの内周すなわち吹出し口36aの内周面の略接線方向に延びるようにして、ノズル36Xの周壁を外周面から内周面へ貫通している。しかも同図(b)に示すように、ノズル36Xの周壁の外周面から内周面へ(すなわち径方向内側へ)向かうにしたがって、ノズル36Xの先端方向に傾いている。各旋回導孔36bの外周側の端部は、吹出し路52bに連なり、内周側の端部は、吹出し口36aに連なっている。したがって、旋回導孔36bは、吹出し路52bと吹出し口36aの連通路ないしは吹出し口の上流側の路部分を構成している。
【0112】
この吹出しノズル36Xによれば、吹出し路52bからの反応性ガスを吹出し口36a内に斜めに吹出し、吹出し口36aの内周面沿うに旋回流を形成することができる。これによって、反応性ガスを均一化できる。しかも、反応性ガスは、細孔状の旋回導孔36bを通過した後、相対的に広い吹出し口36aに吹出されるため、圧損により一層均一化できる。この均一化された反応性ガスの旋回流が、ノズル36Xから勢い良く吹出され、ウェハ90の裏面外周部に当たることにより、良好な膜除去処理を行なうことができる。
【0113】
図23は、基材吸熱手段の改変態様を示したものである。ステージ10の内部の冷媒室は、水平な仕切板45によって上側(支持面側)の第1室部分41Uと、下側(支持面とは反対側)の第2室部分41Lとに仕切られている。仕切板45は、ステージ10の周壁の内径より小径であり、上下の第1、第2室部分41U,41Lが仕切板45より外周側で連なっている。仕切板45の中央部に冷媒供給路42を構成する管の端部が接続され、冷媒供給路42が、上側の第1室部分41Uに連なっている。また、ステージ10の底板の中央部に冷媒排出路43を構成する管の端部が接続され、冷媒排出路43が、下側の第2室部分41Lに連なっている。
【0114】
冷媒は、冷媒供給路42から上側(支持面側)の第1室部分41Uの中央部に導入され、径方向外側へ放射状に拡がるように流れる。そして、仕切板45の外端縁を回り込み、下側(支持面とは反対側)の第2室部分41Lに入って径方向内側へ流れ、中央の冷媒排出路43から排出される。
これによって、ステージ10の全体を確実に冷却でき、ひいてはウェハ90を万遍なく確実に冷却でき、上面の膜92を確実に保護することができる。先に支持面10aひいてはウェハ90に近い側の第1室部分41Uに冷媒が導入されるので、吸熱効率を一層高めることができる。
【0115】
図23の態様では、冷媒供給路42と冷媒排出路43が並行して配置されているが、図24に示すように、冷媒排出路43の内部に冷媒供給路42を通し、二重管状に構成してもよい。
【0116】
図25は、基材吸熱手段の他の改変態様を示したものである。ステージ10の内部には、渦巻き状をなす冷媒通路46が設けられている。この渦巻き状冷媒通路46の外周側の端部に冷媒供給路42が連なり、中心側の端部に冷媒排出路43が連なっている。これによって、冷媒が、冷媒通路46の外周側から内周側へ渦巻き状に流れるようになっている。よって、ウェハ90の外周部に近い側を十分に冷却することができる。この結果、ウェハ90の外周部から伝わって来た熱を確実に吸熱でき、上面の膜92を確実に保護することができる。
【0117】
なお、詳細な図示は省略するが、中心側の冷媒排出路43は勿論、外周側の冷媒供給路42もステージ10の中心軸11の内部に通されている。冷媒供給路42は、例えば、ステージ10の底板と冷媒通路46の間を中心軸11側から径方向外側へ延び、冷媒通路46の外周側端部に連なっている。
ステージ10が固定される一方、フレーム50が回転される場合には、冷媒供給路42を中心軸11内に通す必要はない。
【0118】
冷媒をステージ10の外周側から中心へ向けて流す仕組みは、図25の渦巻き構造に限られるものではない。例えば、図26に示すステージ10内の冷媒通路は、同心円状をなす複数の環状路47と、これら環状路47どうしを連ねる連通路48とを有している。連通路48は、隣り合う環状路47の間の周方向に等間隔ごとに複数設けられている。1つの環状路47を隔てて径方向外側の連通路48と径方向内側の連通路48どうしは、互いに周方向にずれて配置されている。最も外側の環状路47には、その周方向に等間隔で離間した複数位置に、冷媒供給路42が分岐して連なっている。中心の環状路47に冷媒排出路43の基端部が連なっている。
これによって、図26の矢印に示すように、冷媒は、外側の環状路47に沿って周方向に分岐して流れた後、連通路48で合流して1つ内側の環状路47へ流入し、そこで再び周方向に分流し、これを繰り返しながらステージ10の外周側から中心へ向けて流れて行く。
【0119】
図27(a)及び(b)に示すステージ10は、図1等のものと同様に内部が空洞状の冷媒室41になっている。冷媒供給路42が複数に分岐してこの冷媒室41の外周部の周方向に等間隔ごとに離間した位置に連なっている。冷媒室41の中央部から冷媒排出路が延びている。これによって、冷媒は、冷媒室41の外周部に導入され、中心へ向けて流れていく。冷媒室41は、求心状の冷媒通路を構成している。
なお、図23及び図24において、冷媒供給路42と冷媒排出路43を互いに逆にしてもよく、そうすると、上側冷媒室41Uでの冷媒の流れが外周側から中心へ向かうことになる。
【0120】
図28は、冷媒方式以外の基材吸熱手段を示したものである。すなわち、ステージ10には、基材吸熱手段としてペルチェ素子160が内蔵されている。ペルチェ素子160は、吸熱側を上側(ステージ10の上面10a側)へ向け、しかも、ステージ10の上面10aの近くに配置されている。これによって、ステージ10の上板を介してウェハ90を吸熱することができる。なお、ステージ10のペルチェ素子160より下側には、ペルチェ素子160の放熱側からの放熱を促すべくファンやフィン等を設けるとよい。
【0121】
図29(a)及び(b)は、基材固定手段として真空チャック機構を組み込んだステージ10を示したものである。アルミ等の良熱伝導性金属からなるステージ10の上板には、多数の吸着孔13が分散して形成され、これら吸着孔13が、吸引路14を介して、図示しない真空ポンプ等の吸引手段に連なっている。吸着孔13は、可及的に小径になっている。これによって、ステージ10とウェハ90の接触面積を十分に確保できるようになっている。ひいては、ウェハ90の吸熱効率を十分に確保することができる。
【0122】
図30(a)及び(b)は、真空チャック機構の変形態様を示したものである。ステージ10の上面には、スポット状の吸着孔13に代えて、吸着溝15が形成されている。吸着溝15は、同心円状をなす複数の環状溝16と、これら環状溝16どうしを連ねる連通溝17とを有している。連通溝17は、隣り合う環状溝16の間の周方向に等間隔ごとに複数設けられている。1つの環状溝16を隔てて径方向外側の連通溝17と径方向内側の連通溝17どうしは、互いに周方向にずれて配置されている。これら環状溝16と連通溝17は、可及的に細幅になっている。これによって、ステージ10とウェハ90の接触面積ひいてはウェハ90の吸熱効率を十分に確保することができる。
【0123】
図31及び図32に示す実施形態に係る基材処理装置では、ステージ10の側部に処理ヘッドHが設けられている。処理ヘッドHは、ステージ10の上面より下側に配置されている。処理ヘッドHには、吹出しノズル75と排気ノズル76が設けられている。
反応性ガス供給源としてのオゾナイザー70からオゾン供給管71が延び、このオゾン供給管71が処理ヘッドHのコネクタ72を介して吹出しノズル75の基端部に連なっている。吹出しノズル75は、被処理位置(ステージ10上のウェハ90の外周部)より下側に配置されている。吹出しノズル75の先端部分は、図31に示すように、平面視でウェハ90の外周の接線方向に略沿うとともにステージ10の側すなわちウェハ90の半径方向内側へ向けて僅かに傾けられ、かつ、図32に示すように、正面視でウェハ90に向けて上へ傾けられている。そして、吹出しノズル75の先端の吹出し口が、被処理位置P(ウェハ90の外周部の裏面)の近傍に臨んでいる。
【0124】
処理ヘッドの吹出し側コネクタ72とは反対の側部には排気ノズル76に連なるコネクタ77が設けられている。このコネクタ77から排気管78が延び、この排気管78が排気ポンプ等を含む排気手段79に連なっている。
排気ノズル76は、被処理位置P(ステージ10上のウェハ90の外周部)より下側に配置されている。排気ノズル76の先端部分は、図31に示すように、平面視でウェハ90の外周の接線方向にまっすぐ向けられるとともに、図32に示すように、正面視でウェハ90に向けて上へ傾けられている。排気ノズル76の先端の吸込み口が、吹出しノズル75の吹出し口と略同じ高さ(ウェハ90の裏面のすぐ下)に位置されている。
【0125】
図31に示すように、吹出しノズル75と排気ノズル76の先端部分どうしは、平面視でウェハ90の外周の1つの接線方向に沿って被処理位置Pを挟んで互いに向き合うように配置されている。吹出しノズル75の先端の吹出し口と排気ノズル76の先端の吸込み口の間に被処理位置Pが配置されている。ステージ10ひいてはウェハ90の回転方向(例えば平面視時計周り)に沿って吹出しノズル75は上流側に配置され、排気ノズル76は下流側に配置されている。吹出しノズル75の吹出し口と排気ノズル76の吸込み口の間の距離は、除去すべき膜92cの反応温度、ステージ10の回転数、レーザ加熱器20の加熱能力等を考慮し、例えば数mm〜数十mmの範囲で適宜設定されている。
【0126】
排気ノズル76の吸込み口径は、吹出しノズル75の吹出し口径より大きく、例えば約2〜5倍になっている。例えば、吹出し口径は1〜3mm程度であるのに対し、吸込み口径は2〜15mm程度である。
【0127】
図32に示すように、処理ヘッドHの下側部には、輻射加熱器としてレーザ加熱器20のレーザ照射ユニット22が設けられている。レーザ照射ユニット22は、ノズル75,76より下側に配置されるとともに、図31に示すように、平面視で吹出しノズル75と排気ノズル76の先端部どうしの間に配置されている。レーザ照射ユニット22の真上に被処理位置Pが位置されている。
【0128】
上記構成において、レーザ光源21からのレーザ光が、光ファイバケーブル23を経て、レーザ照射ユニット22から真上に収束照射される。これにより、ウェハ90の外周部の裏面が局所加熱される。この局所加熱された部分は、その後しばらく高温を維持しながらステージ10の回転によって回転方向の下流側へ移動していく。したがって、ウェハ90の外周部は、レーザ照射ユニット22の真上の被照射部分(被処理位置P)だけでなく、そこより回転方向の下流側の部分においても高温になっている。勿論、レーザ照射ユニット22の真上の被照射部分Pが最も高温であり、そこから回転方向の下流側に向かうにしたがって温度が下がっていく。図31の二点鎖線で示す分布曲線Tは、ウェハ90の温度分布を示したものであり、被照射部分Pを中心にして高温領域の分布が回転方向の下流側に偏っている。
【0129】
上記レーザ加熱及びステージ回転と併行して、オゾナイザー70のオゾンガスが、供給管71、コネクタ72、吹出しノズル75を順次経て、吹出しノズル75の吹出し口から吹出される。このオゾンは、ウェハ90の外周部の裏面の被照射部分(被処理位置P)の周辺に吹き付けられるとともに、この被照射部分のウェハ90の外周の接線にほぼ沿って排気ノズル76の側へ流れる。このガス流れは、ウェハ90の温度分布の偏り方向に沿っている。したがって、吹出し直後の被照射部分Pでは勿論、被照射部分Pより下流の排気ノズル76側の部分においても膜92cとの反応を起こすことができる。これによって、処理効率を向上させることができる。
【0130】
同時に、吸引手段79を駆動する。これによって、処理済みのオゾンガスや反応副生成物を排気ノズル76の吸込み口に誘導して吸引し排気することができる。吸込み口は吹出し口より大きいため、処理済みのオゾンガス等を確実に捕捉し吸込むことができ、処理済みオゾンガス等が拡散するのを抑制することができる。
【0131】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の改変をなすことができる。
除去対象の不要物の成分は、フロロカーボン等の有機物に限られず、無機物であってもよい。
プロセスガスひいては反応性ガスは、酸素系以外にもフッ素系等、対象とする膜の成分に応じて、適宜選択することができる。ガス種に応じて活性を維持できるように、反応性ガス供給元から吹出し口までの吹出し路を温調(冷却または加温)するとよい。
レーザ加熱器20等の点状光源の点状光を、凸レンズやシリンドリカルレンズ等の光学系で線状光にし、ウェハ90の周方向に沿って一定の範囲に照射されるようにしてもよい。
赤外線加熱器120の赤外線ランプ121が、環状光源に代えて点状光源や線状光源であってもよい。
輻射加熱器をステージの支持面若しくはその延長面より表側に配置するとともに、支持面若しくはその延長面より裏側に反射鏡を設置し、輻射加熱器からの熱光線を、反射鏡で反射させ、基材の裏面外周部に当てることにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0132】
この発明は、例えば半導体ウェハーの製造工程や液晶表示基板の製造工程における外周の不要膜除去に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基材処理装置を示し、図2のI-I線に沿う正面断面図である。
【図2】上記装置の平面図である。
【図3】上記装置の膜除去処理部分を拡大して示す正面断面図である。
【図4】図1と同様の装置により、ウェハーの外端縁の被加熱部位の近傍から径方向内側方向への距離に対するウェハー温度を測定した実験結果を示すグラフである。
【図5】図1と同様の装置により、ウェハーの外端縁の被加熱部位の近傍から径方向内側方向への距離に対するウェハー温度を測定した他の実験結果を示すグラフである。
【図6】反応性ガス供給手段等の改変実施形態に係る基材処理装置を示す正面断面図である。
【図7】反応性ガス供給手段等の改変実施形態に係る基材処理装置を示す正面断面図である。
【図8】反応性ガス供給手段等の改変実施形態に係る基材処理装置を示す正面断面図である。
【図9】輻射加熱器と反応性ガス供給手段の配置関係等の改変実施形態に係る基材処理装置を示す正面断面図である。
【図10】図9の装置の膜除去処理部分を拡大して示す正面断面図である。
【図11】反応性ガス供給手段の反応性ガス供給元等の改変実施形態に係る基材処理装置を示す正面断面図である。
【図12】輻射加熱器と反応性ガス供給手段等の改変実施形態に係る基材処理装置を示す正面断面図である。
【図13】図12のXIII-XIII線に沿う上記装置の平面断面図である。
【図14】図12と同様の装置により、ウェハーの外端縁の被加熱部位の近傍から径方向内側方向への距離に対するウェハー温度を測定した実験結果を示すグラフである。
【図15】温度に対するオゾン分解半減期を示すグラフである。
【図16】ノズル冷却部と不活性ガス供給部等を付加した改変実施形態に係る基材処理装置を示す正面断面図である。
【図17】図16において輻射加熱器を改変した実施形態に係る基材処理装置を示す正面断面図である。
【図18】ノズル冷却部等の改変実施形態に係る基材処理装置を示す正面断面図である。
【図19】ガス溜まりを付加した改変実施形態に係る基材処理装置を示す正面断面図である。
【図20】透光性囲いを付加した実施形態を示す解説正面図である。
【図21】輻射加熱器の光学系として複数の光ファイバケーブルを用いた実施形態を示す解説正面図である。
【図22(a)】旋回流形成部を有する吹出し口形成部材の正面断面図である。
【図22(b)】上記旋回流形成部を有する吹出し口形成部材の側面断面図である。
【図23】基材吸熱手段の改変態様に係るステージの解説正面図である。
【図24】基材吸熱手段の改変態様に係るステージの解説正面図である。
【図25】基材吸熱手段の改変態様に係るステージの解説平面図である。
【図26】ステージの基材吸熱手段の改変態様を示す解説平面図である。
【図27(a)】基材吸熱手段の改変態様に係るステージの解説平面図である。
【図27(b)】図27(a)のステージの解説正面図である。
【図28】基材吸熱手段としてペルチェ素子を用いた改変態様に係るステージの解説正面図である。
【図29(a)】基材固定手段としての真空チャック機構を組み込んだステージの平面図である。
【図29(b)】図29(a)のステージの解説正面断面図である。
【図30(a)】真空チャック機構の改変態様に係るステージの平面図である。
【図30(b)】図30(a)のステージの解説正面断面図である。
【図31】吹出し及び排気のノズル構成の他の実施形態に係る基材処理装置を示す平面解説図である。
【図32】図31の基材処理装置の正面解説図である。
【図33】オゾンによる有機膜のエッチングレートと温度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0134】
10 ステージ
10a 支持面
12 段差
12a 凹部(ガス溜まり)
20 レーザ加熱器(輻射加熱器)
21 レーザ光源
22 レーザ照射ユニット(照射部)
23 光ファイバケーブル(導波管、伝送光学系)
25 全反射部材
30 プラズマノズルヘッド(反応性ガス供給元)
33,36 吹出し口形成部材
41 冷媒室(吸熱手段の構成要素)
50 フレーム
50a 環状空間
52 周壁(吹出し路形成部材)
52b 吹出し路
60 ラビリンスシール
70 オゾナイザー(反応性ガス供給元)
75 吹出しノズル(吹出し路形成部材)
76 排気ノズル(吸引排気路形成部材)
80 カバー部材
90 基材
92c 基材の裏面外周部の膜(不要物)
120 赤外線加熱器(輻射加熱器)
121 赤外線ランプ(光源)
122 光学系
140 不活性ガス吹付けノズル(不活性ガス吹付け部材)
P 被処理位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の裏面の外周部に被膜された不要物を除去する装置であって、
(a)基材を、外周部が突出するようにして支持する支持面を有するステージと、
(b)このステージに支持された基材の裏面外周部の在るべき被処理位置から離れて配置された光源と、この光源からの熱光線を前記被処理位置へ発散しないようにして向かわせる光学系とを有する輻射加熱器と、
(c)不要物除去のための反応性ガスを供給する反応性ガス供給元に連なり反応性ガスを吹出す吹出し口を有し、この吹出し口が、前記支持面(若しくはその延長面)より裏側又は略前記延長面上において前記被処理位置に向かって近接して配置された反応性ガス供給手段と、
を備えたことを特徴とする基材処理装置。
【請求項2】
前記輻射加熱器の光学系が、光源からの熱光線を前記被処理位置へ向けて収束照射する照射部を含むことを特徴とする請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項3】
前記輻射加熱器の照射部が、前記支持面又はその延長面より裏側において、前記吹出し口より前記被処理位置から離れて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の基材処理装置。
【請求項4】
前記照射部と吹出し口とが、前記被処理位置に対し互いに異なる方向に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の基材処理装置。
【請求項5】
前記照射部と吹出し口の何れか一方が、前記被処理位置を通り前記延長面と直交する線上に略配置されていることを特徴とする請求項4に記載の基材処理装置。
【請求項6】
前記輻射加熱器の光学系が、光源から前記被処理位置へ延びる導波管を含むことを特徴とする請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項7】
前記導波管が、複数の光ファイバを含み、これら光ファイバが、前記光源から分岐して延び、その先端部が、前記ステージの周方向に沿って互いに離れて配置されていることを特徴とする請求項6に記載の基材処理装置。
【請求項8】
前記光源が、点状光源であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項9】
前記光源が、前記ステージの周方向の全周に沿う環状光源であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項10】
前記輻射加熱器を冷却する輻射加熱器冷却手段を備えたことを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項11】
前記被処理位置より裏側であって被処理位置の近傍に、前記光源からの熱光線を前記被処理位置へ全反射する全反射部材を設けたことを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項12】
前記輻射加熱器の出力波長が、前記不要物の吸収波長に対応していることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項13】
前記反応性ガス供給手段の吹出し口を形成する吹出し口形成部材が、透光材料にて構成されていることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項14】
前記反応性ガス供給手段が、前記反応性ガス供給元からの反応性ガスを前記吹出し口へ導く吹出し路を形成する吹出し路形成部材を有しており、この吹出し路形成部材が、吹出し路温調手段にて温調されることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項15】
前記ステージには、前記支持面から吸熱する吸熱手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項16】
前記反応性ガス供給手段が、前記反応性ガス供給元からの反応性ガスを前記吹出し口へ導く吹出し路を形成する吹出し路形成部材を有し、この吹出し路形成部材が、前記ステージに沿い、前記吸熱手段にて冷却されることを特徴とする請求項15に記載の基材処理装置。
【請求項17】
前記ステージひいては前記被処理位置を周方向に囲み、前記ステージとの間に環状空間を形成するフレームと、
前記ステージを前記フレームに対し中心軸まわりに相対回転させる回転駆動機構と、
前記ステージの支持面側とは反対の裏側部と前記フレームとの間を、相対回転を許容しつつシールするラビリンスシールと、
を備えたことを特徴とする請求項1〜16の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項18】
前記フレームの表側の部位には、ステージ側へ向けて延びて前記被処理位置の表側に被さり、単独又は前記ステージに設置された基材の外周部と協働して前記環状空間を覆うカバー部材を設けたことを特徴とする請求項17に記載の基材処理装置。
【請求項19】
前記カバー部材は、前記環状空間を覆う位置から退避可能であることを特徴とする請求項18に記載の基材処理装置。
【請求項20】
前記環状空間に、該環状空間を吸引する吸引手段が接続されていることを特徴とする請求項17〜19の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項21】
前記ステージの支持面の外周部に、基材の外周部と協動してガス溜まりを形成すべき段差を形成したことを特徴とする請求項1〜20の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項22】
吸込み口を有する排気ノズルと、この排気ノズルを吸引する吸引手段とを備え、
前記排気ノズルの吸込み口が、前記吹出し口と前記被処理位置を挟んで対向するように配置されており、
前記吸込み口が、前記吹出し口より大きいことを特徴とする請求項1〜21の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項23】
前記吸込み口が、前記吹出し口より2〜5倍の口径を有していることを特徴とする請求項22に記載の基材処理装置。
【請求項24】
基材の裏面の外周部に被膜された不要物を除去する方法であって、
基材の外周部が突出するようにして基材をステージで支持し、
輻射加熱器から熱光線を前記基材の裏面の外周部又はその近傍に焦点を結ぶように照射して局所加熱するとともに、この局所加熱された部位の近傍には該部位に向かうようにして反応性ガス供給手段の吹出し口を置いてこの吹出し口から不要物除去のための反応性ガスを吹出すことを特徴とする基材処理方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の外周部に被膜された不要物を除去する装置であって、
(a)基材を支持する支持面を有するステージと、
(b)熱光線を、前記支持面に支持された基材の外周部の在るべき被処理位置に局所的に照射し、該被処理位置を局所加熱する輻射加熱器と、
(c)不要物除去のための反応性ガス供給元に連なり、前記被処理位置の近傍に配置され、反応性ガスを、局所加熱された前記被処理位置に向けて吹出す吹出し口を形成する吹出し口形成部材と、
を備え、前記吹出し口形成部材が、透光材料にて構成されていることを特徴とする基材処理装置。
【請求項2】
前記透光材料が、石英、アクリル、透明な樹脂の何れか1つであることを特徴とする請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項3】
前記透明な樹脂が、透明なポリテトラフルオロエチレンまたは透明な塩化ビニールであることを特徴とする請求項2に記載の基材処理装置。
【請求項4】
前記透光材料が、テトラフルオロエチレン−パープルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)であることを特徴とする請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項5】
前記輻射加熱器の前記熱光線の照射部と吹出し口の何れか一方が、前記被処理位置を通り前記支持面と直交する線上に略配置されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項6】
前記輻射加熱器の前記熱光線の照射部が、前記被処理位置を通り前記支持面と直交する直交線上に略配置され、前記吹出し口が、前記被処理位置を通り前記直交線に対し斜めをなす線上に配置されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項7】
前記吹出し口からの前記反応性ガスの吹き出し方向が、前記支持面と直交する方向から見て、前記基材の被処理位置における接線にほぼ沿うことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項8】
前記支持面と直交する方向から見て、前記吹出し口と前記基材の被処理位置を挟んで対向する吸込み口を有する排気ノズルを備えたことを特徴とする請求項に記載の基材処理装置。
【請求項9】
前記吸込み口が、前記吹出し口より大きいことを特徴とする請求項に記載の基材処理装置。
【請求項10】
前記吸込み口が、前記吹出し口より2〜5倍の口径を有していることを特徴とする請求項に記載の基材処理装置。
【請求項11】
前記支持面と直交する方向から見て、前記吹出し口と前記吸込み口との間に前記照射部が配置されていることを特徴とする請求項8〜10の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項12】
前記ステージを中心軸まわりに回転させる回転駆動機構を備え、この回転駆動機構の回転方向が、前記吹出し方向に沿っていることを特徴とする請求項7〜11の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項13】
前記輻射加熱器からの熱光線を前記被処理位置へ全反射する全反射部材を設けたことを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項14】
前記反応性ガスを前記吹出し口へ導く吹出し路を形成する吹出し路形成部材を有し、この吹出し路形成部材が、吹出し路温調手段にて温調されることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項15】
前記ステージには、前記支持面から吸熱する吸熱手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項16】
前記反応性ガスを前記吹出し口へ導く吹出し路を形成する吹出し路形成部材を有し、この吹出し路形成部材が、前記ステージに沿い、前記吸熱手段にて冷却されることを特徴とする請求項15に記載の基材処理装置。
【請求項17】
前記ステージを周方向に囲み、前記ステージとの間に環状空間を形成するフレームと、
前記ステージを前記フレームに対し中心軸まわりに相対回転させる回転駆動機構と、
前記ステージの支持面側とは反対の裏側部と前記フレームとの間を、相対回転を許容しつつシールするラビリンスシールと、
を備えたことを特徴とする請求項1〜16の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項18】
前記フレームには、ステージ側へ向けて延びて前記被処理位置に被さり、単独又は前記ステージに設置された基材の外周部と協働して前記環状空間を覆うカバー部材を設けたことを特徴とする請求項17に記載の基材処理装置。
【請求項19】
前記カバー部材は、前記環状空間を覆う位置から退避可能であることを特徴とする請求項18に記載の基材処理装置。
【請求項20】
前記環状空間に、該環状空間を吸引する吸引手段が接続されていることを特徴とする請求項17〜19の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項21】
前記ステージの支持面の外周部に、基材の外周部と協動してガス溜まりを形成すべき段差を形成したことを特徴とする請求項1〜20の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項22】
前記輻射加熱器の出力波長が、前記不要物の吸収波長に対応していることを特徴とする請求項1〜21の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項23】
基材の外周部に被膜された不要物を除去する方法であって、
基材をステージで支持し、
輻射加熱器から熱光線を前記基材の外周部の被処理位置に局所的に照射して前記被処理位置を局所加熱するとともに、この局所加熱された前記被処理位置の近傍に置いた透光材料からなる吹出し口形成部材の吹出し口から不要物除去のための反応性ガスを前記被処理位置に向けて吹出すことを特徴とする基材処理方法。
【請求項24】
前記基材と直交する方向から見て、前記吹出し口からの反応性ガスの吹出し方向を、前記基材の前記被処理位置における接線にほぼ沿わせるとともに、前記吹出し方向の前記被処理位置より下流側に前記吹出し口と対向するように配置した排気ノズルの吸い込み口から吸引を行なうことを特徴とする請求項23に記載の基材処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22(a)】
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【図22(b)】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27(a)】
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【図27(b)】
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【図28】
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【図29(a)】
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【図29(b)】
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【図30(a)】
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【図30(b)】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2006−49869(P2006−49869A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195961(P2005−195961)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】