説明

基材成形装置及び基材の製造方法

【課題】基材を吊り下げた状態で搬送する際に、基材を所定の位置にて精度良く停止させることができる基材成形装置及び基材の製造方法を提供する。
【解決手段】植物性繊維と熱可塑性樹脂を含む材料からなる板状体を吊り下げた状態で搬送し、所定の形状に成形する基材成形装置であって、板状体を吊り下げることにより該板状体を保持するハンガー30と、板状体の搬送方向に沿って延設された第1スライドレール58aと、を備えている。ハンガー30には、第1スライドレール58aに載置されることでハンガー30を移動可能に支持するローラ36が設けられている。第1スライドレール58aには、ローラ36と係合することにより、ハンガー30の第1スライドレール58aに沿った移動を規制する係合面61a、61bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物性繊維と熱可塑性樹脂を含む材料からなる板状体を吊り下げた状態で搬送し、所定の形状に成形する基材成形装置及び基材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂の繊維と植物性繊維とをほぼ同量配合したものをブレンダー工程、フォーマー工程を経てマット状に形成した後、プレス機により板状に形成した熱成形繊維板が知られている。植物性繊維としては、ケナフ繊維、ジュート繊維等が使用される。特に、ケナフ繊維を使用した場合には、ケナフは光合成により多くのCOを吸収するという性質をもち、成長が早いことから、地球環境保全にとって有効である。このような熱成形繊維板の製造方法が、例えば特許文献1に開示されている。なお、この熱成形繊維板のように、熱可塑性樹脂と植物性繊維とを混合したものを加熱した後に、冷間プレス用の成形型にて所定の形状に成形して得られる成形体のことを、以下、基材と称する。
【0003】
基材の成形工程において、基材を構成する板状体を搬送するに際し、板状体Wを吊り下げた状態で搬送する方法が知られている。図18、図19は、板状体Wを吊り下げたハンガー230をスライドレール258に載置して、このスライドレール258に沿ってハンガー230を搬送する従来の基材成形装置300の一例を示したものである。図18は、従来の基材成形装置の一部である予備加熱装置250と本加熱装置240の一部とを側面から視た側面図である。図19は、図18の本加熱装置240の一部とハンガー230を拡大した側面図である。
【0004】
ハンガー230は、図19に示すように、シャフト232を備えている。シャフト232の下部には、板状体Wの上縁部を挟むための2つのクランプ234が取り付けられている。シャフト232の上部には、2つのローラ236が取り付けられている。ローラ236は、スライドレール258に回転可能に載置されている。また、スライドレール258の近傍には、スライドレール258に沿って駆動チェーン256が配置されている。駆動チェーン256は、一対のスプロケット254に掛け回されており、この一対のスプロケット254が回転することにより駆動可能となっている。駆動チェーン256には、各ローラ236に対応して各ローラ236の搬送方向両側に配置された一対のストッパ257が取り付けられている。ローラ236がスライドレール258に載置されたハンガー30は、両ストッパ257間にローラ236が配置された状態で、駆動チェーン256が駆動することにより、スライドレール258に沿って水平方向左向き(図18の矢印A方向)に搬送される。
【0005】
スライドレール258は、図18に示すように、予備加熱装置250から本加熱装置240の搬入部に亘って水平方向に延設されている。予備加熱装置250は、第1加熱炉250Aと第2加熱炉250Bとにより構成されている。板状体Wを吊り下げた状態のハンガー230は、予備加熱装置250の第1加熱炉250Aに投入され、第1加熱炉250Aから本加熱装置240の搬入部までスライドレール258に沿って水平方向に搬送される。スライドレール258に沿って搬送されるハンガー230は、まず、第1加熱炉250Aの所定の位置まで搬送され、その位置で停止して所定時間加熱される。次いで、第2加熱炉250Bの所定の位置まで搬送され、その位置で停止して所定時間加熱される。その後、ハンガー230は、本加熱装置240の搬入部まで搬送され、停止する。そして、ハンガー230は、本加熱装置240の図示しない搬送装置に載せ換えられて本加熱装置内で搬送されながら板状体Wが加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−262431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来の基材成形装置300では、ハンガー230のローラ236を駆動チェーン256に円滑に係止させ、且つ本加熱装置240の搬入部では円滑に解除できるように両ストッパ257とローラ236との間に所定のクリアランスを設けておく必要がある。そのため、ハンガー230に取り付けられたローラ236がスライドレール258に回転可能に載置されており、本加熱装置240の搬入部において搬送時の慣性力や振動などによりハンガー230を所定の位置に精度良く停止させることができない。この結果、ハンガー230の停止位置がずれてしまい、本加熱装置240内の移動装置(図示しない)にハンガー230の載せ換えをする際、所定位置からずれて載せ換えられてその状態で搬送されるため、搬送異常が発生し、基材成形装置300の稼働率が低下する虞がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みて創作されたものである。本発明は、基材を吊り下げた状態で搬送する際に、基材を所定の位置にて精度良く停止させることができる基材成形装置及び基材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で開示される技術は、植物性繊維と熱可塑性樹脂を含む材料からなる板状体を吊り下げた状態で搬送し、所定の形状に成形する基材成形装置であって、前記板状体を吊り下げることにより該板状体を保持する保持装置と、前記板状体の搬送方向に沿って延設された搬送レールと、を備え、前記保持装置は、前記搬送レールに載置されることで前記保持装置を移動可能に支持するローラを有し、前記搬送レールは、前記ローラと係合することにより、前記保持装置の前記搬送レールに沿った移動を規制する係合面を有している基材成形装置に関する。
【0010】
上記の基材成形装置によると、所定の位置に保持装置を停止させる際に搬送レールの係合面にローラを係合させることにより、保持装置の搬送レールに沿った移動が規制される。このため、保持装置を所定の位置にて精度良く停止させることができる。
【0011】
上記の基材成形装置では、前記搬送レール上に切り欠き部が設けられていると共に、この切り欠き部を構成する少なくとも一対の傾斜面によって前記係合面が構成されており、前記搬送レールにおける搬送方向の最下流に位置する一の前記傾斜面は、他の前記傾斜面に比して前記搬送レールの移動面に平行な面からの立ち上がり角度が大きくてもよい。
【0012】
搬送レールにおける搬送方向の最下流では、保持装置を確実に停止させて保持装置の載せ換え作業を行う必要がある。上記の構成によると、傾斜面における搬送レールの移動面に平行な面からの立ち上がり角度が大きいほどローラが傾斜面を通過し難くなるため、搬送方向の最下流に位置する一の傾斜面では、他の傾斜面に比して立ち上がり角度を大きく設定することで、保持装置の移動を効果的に規制することができる。このため、搬送方向の最下流において保持装置を所定の位置に確実に停止させることができる。
【0013】
上記の基材成形装置では、前記保持装置は、複数の前記ローラを有し、前記搬送レールは、複数の前記ローラに対応してこれらの前記ローラが個別に嵌り込む複数の前記切り欠き部を有していてもよい。
【0014】
上記の構成によると、保持装置の各ローラが複数の切り欠き部に個別に嵌り込むことで、保持装置の移動が効果的に規制される。このため、保持装置を所定の位置に確実に停止させることができる。
【0015】
上記の基材成形装置は、前記板状体を予備加熱する予備加熱装置と、前記予備加熱装置により予備加熱された前記板状体をさらに加熱する本加熱装置と、を備え、前記搬送レールは、前記予備加熱装置から前記本加熱装置の搬入部へ前記板状体を搬送するものであってもよい。
【0016】
上記の構成によると、板状体を予備加熱装置から本加熱装置の搬入部へ搬送する際に、保持装置を所定の位置に効果的に停止させることができる。
【0017】
本明細書で開示される技術の他の態様は、植物性繊維と熱可塑性樹脂を含む材料からなる板状体を保持装置に吊り下げ、該保持装置を搬送装置に載置した状態で、前記板状体を移送レールに沿って移送しながら加熱する加熱工程と、前記加熱工程で加熱された前記板状体を基材に成形する成形工程と、を備えた基材の製造方法であって、前記加熱工程の搬入部に向けて延設されている搬送レールに、前記保持装置に設けられたローラを載置し、該搬送レールに沿って前記保持装置を前記加熱工程の搬入部に搬送し、該搬送レールにおける搬送方向の最下流に設けられた係合面に前記ローラを係合させることにより、前記保持装置の前記搬送レールに沿った移動を規制し、該保持装置を前記搬送装置に載せ換える搬入工程を備える基材の製造方法に関する。
【0018】
上記の基材の製造方法によると、搬入工程の搬送レールから加熱工程の移送レールに保持装置を載せ換えるに際して、保持装置を搬送レールの最下流における所定の位置に精度良く停止させることができる。
【0019】
上記の製造方法は、前記搬入工程と前記加熱工程との間に、前記板状体を前記搬送レールに沿って搬送しながら予備加熱する予備加熱工程を備えていてもよい。
【0020】
この方法によると、予備加熱工程において板状体を内部まで加熱することにより加熱ムラをなくすことができ、加熱工程における板状体の加熱時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本明細書で開示される技術によると、基材を吊り下げた状態で搬送する際に、基材を所定の位置にて精度良く停止させることができる基材成形装置及び基材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1に係る基材Kの製造方法のフローチャートを示す。
【図2】板状体Wを予備成形するための予備成形型10の断面図であり、予備成形型10が閉じる前の状態を示す。
【図3】板状体Wを予備成形するための予備成形型10の断面図であり、予備成形型10が閉じた後の状態を示す。
【図4】予備成形体W1を本成形するための本成形型20の断面図であり、本成形型20が閉じる前の状態でかつ予備成形型がセット中心に導入された状態を示す。
【図5】予備成形体W1を本成形するための本成形型20の断面図であり、本成形型20が閉じる前の状態でかつ予備成形型が成形中心側に配置された状態を示す。
【図6】予備成形体W1を本成形するための本成形型20の断面図であり、本成形型20が閉じた後の状態を示す。
【図7】板状体Wがハンガー30に吊り下げられた状態を斜め前方から視た斜視図を示す。
【図8】板状体Wがハンガー30に吊り下げられた状態を側方から視た側面図を示す。
【図9】基材成形装置100の全体斜視図を示す。
【図10】基材成形装置100の略後半部を表した平面図を示す。
【図11】基材成形装置100の略前半部を表した平面図を示す。
【図12】基材成形装置100の略前半部を表した側面図を示す。
【図13】第1スライドレール58aに載置されたハンガー30の平面図を示す。
【図14】第1スライドレール58aに載置されたハンガー30の側面図を示す。
【図15】本加熱装置40内に位置する第1スライドレール58aを拡大した側面図を示す。
【図16】実施形態2に係る第1スライドレール158aに載置されたハンガー130の側面図を示す。
【図17】本加熱装置140内に位置する第1スライドレール158aを拡大した側面図を示す。
【図18】従来の基材成形装置300の略前半部を表した側面図を示す。
【図19】従来のスライドレール258に載置されたハンガー230の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
図面を参照して実施形態1を説明する。図1は、基材Kの製造方法を示すフローチャートである。図1に示すように、基材Kを製造するためには、植物性繊維と熱可塑性樹脂を混合した材料からなる板状体Wを加熱した後に(予備加熱工程)、加熱した板状体Wをさらに加熱し(本加熱工程)、加熱した板状体Wを予備成形体W1に予備成形し(予備成形工程)、予備成形体W1を基材Kに本成形する(本成形工程)。これにより、所定の形状に成形された基材Kを得ることができる。
【0024】
板状体Wに含まれる植物性繊維とは、植物由来の繊維材料のことである。このような繊維材料は、例えば、綿、麻、サイザル、ジュート、ケナフなどから採取することが可能である。この中では、特にケナフが好ましい。ケナフは、成長が早くしかもCOを多く吸収することから、地球環境保全にとって有効だからである。また、ケナフの靭皮からは比較的長くて丈夫な繊維を採取することが可能だからである。
【0025】
板状体Wに含まれる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)等を用いることができる。この中では、特にポリプロピレンが好ましい。
【0026】
板状体Wを製造するためには、植物性繊維と熱可塑性樹脂を混合した材料を混綿させることでマット状とした後に、得られたマット体を熱圧プレスによって板状に成形する。これにより、所定の厚みを有する板状体Wを製造することができる。このような板状体Wの製造方法は、例えば、特開2001−179716号公報、特開2002−371455号公報等に開示されている。なお、板状体Wは、「熱成形用繊維板」、「プレボード」などの別の名称で呼ばれる場合がある。
【0027】
板状体Wを加熱することによって、当該板状体Wに含まれる熱可塑性樹脂を溶融させることができる。例えば、板状体Wに含まれる熱可塑性樹脂がポリプロピレンである場合には、ポリプロピレンの融点は160℃〜170℃であるため、板状体Wをこれ以上の温度(例えば200℃)に加熱することで当該板状体Wに含まれる熱可塑性樹脂を溶融させることができる。
【0028】
図2、図3は、板状体Wを予備成形するための予備成形型10の断面図である。図2に示すように、予備成形型10は、一対の金型12、14を有している。このうち一方の金型12は、中央部分が凹んだ形状を有しており、他方の金型14は、中央部分が突出した形状を有している。一対の金型12、14は、型面同士が互いに対向するようにして左右に配置されている。そして、金型12、14の型面間に板状体Wが上下方向に吊り下げられた状態で配置される。図3に示すように、予備成形型10を構成するこれら一対の金型12、14は、例えば金型12を金型14側に移動させ型閉じすることで上下方向に吊り下げられた状態の板状体Wを表裏両面からプレスすることが可能となっている。これにより、板状体Wは、予備成形体W1に成形される。
【0029】
図4、図5、図6は、板状体Wを本成形するための本成形型20の断面図である。図4に示すように、本成形型20は、一対の金型22、24を有している。このうち一方の金型22は、中央部分が凹んだ形状を有しており、他方の金型24は、中央部分が突出した形状を有している。一対の金型22、24は、型面22a、24a同士が互いに対向するようにして左右に配置されている。図4において両型面22a、24aの中心に配置された予備成形体W1の位置を以下「セット中心」という。
【0030】
図5に示すように、予備成形体W1は、両金型22、24によって行われるプレス加工に先立って、予め他方の金型24の型面24a側(成形中心側)に配置される。次に図6に示すように、本成形型20を構成するこれら一対の金型22、24は、例えば金型22を金型24側に移動させ型閉じすることで上下方向に吊り下げられた状態の板状体Wを表裏両面からプレスすることが可能となっている。
【0031】
予備成形体W1を本成形するための本成形型20は、冷間プレス用の成形型が用いられる。ここでいう「冷間プレス」とは、本成形型20の型面を積極的に加熱しないで行うプレス成形のことを意味するが、加工熱や摩擦熱などによって本成形型20の型面22a、24aがある程度加熱される場合も含まれる。加熱した板状体Wを本成形型20(冷間プレス型)でプレスすることによって、板状体Wに含まれている熱可塑性樹脂が冷却されて固化する。これにより、所定形状に成形された基材Kを得ることができる(図6参照)。図6において両型面22a、24aの中心に配置された基材Kの位置を以下「成形中心」という。
【0032】
このようにして得られた基材Kは、軽量でかつ強度が高いことから、車両用内装材の基材として用いることができる。例えば、基材Kは、ドアトリム、インストルメントパネル、シートバックボード、パーティションボード、コンソールボックス、ピラーガーニッシュ、クォータトリムなどに用いることができる。
【0033】
図2と図4を比較すればわかるように、予備成形型10を構成する一対の金型12、14のクリアランスCL1は、本成形型20を構成する一対の金型22、24のクリアランスCL2よりも大きく設定されている。例えば、CL2が5mmである場合には、クリアランスCL1がそれよりも大きい10mmに設定されている。したがって、板状体Wを一回で基材Kに成形するのではなく、まず、板状体Wを予備成形体W1に成形し、次に、この予備成形体W1を基材Kに成形することにより、段階的に(2段階で)成形することが可能となっている。
【0034】
さらに、本成形工程でセット中心に導入された予備成形体W1を成形中心側に移動させて本成形することにより、両金型22、24を型閉じする途中で予備成形体W1がロックされることを回避し、プレス加工後に基材Kの中央部分が引き延ばされて薄肉となることを規制できる。
【0035】
図7は、板状体Wを吊り下げた状態で保持するためのハンガー30の斜視図である。図8は、ハンガー30の側面図である。
【0036】
図7に示すように、ハンガー30には、鉄やアルミニウムなどの金属製のパイプ状部材からなるシャフト32が設けられている。シャフト32の長さは、板状体Wの横幅よりも大きく形成されている。シャフト32の下部には、板状体Wの上縁部を挟むための2つのクランプ34が取り付けられている。シャフト32の上部には、後述するスライドレール62に載置されるローラ36が取り付けられている。シャフト32の両端には一対の取付部材38,38が設けられており、ローラ36は、この取付部材38を介してシャフト32の上部にそれぞれ取り付けられている。なお、ローラ36は、取付部材38の表面と裏面にそれぞれ取り付けられている。従って、ハンガー30には、4つのローラ36が取り付けられている。クランプ34および取付部材38は、シャフト32を上下に貫通するボルト(図示しない)によって連結されている。
【0037】
図8に示すように、クランプ34は、鉄やアルミニウムなどの金属製の板状部材からなる一対の挟持部材を有している。両挟持部材は、ヒンジ35を支点としてその下端部を開閉させることで板状体Wの上縁部を挟むことができるように構成されている。すなわち、両挟持部材の一方は、同他方に対して板状体Wの上縁部を保持する閉じ位置と板状体Wの上縁部を解除する開き位置との間を開閉可能とされている。両挟持部材の上端部間には、ばね部材37が取り付けられており、このばね部材37によって両挟持部材の下端部がヒンジ35を支点として閉じる方向に付勢されている。両挟持部材の下端部の内面側には、板状体Wが下方に落ちることを規制するための滑り止め用の溝部34aが形成されている。
【0038】
図9は、基材Kを成形するための基材成形装置100の全体斜視図であり、図10は、基材成形装置100の上面図である。図9および図10に示すように、基材成形装置100は、板状体Wを加熱する加熱装置を備えている。この加熱装置は、予備加熱装置50と本加熱装置40とから構成されている。予備加熱装置50と本加熱装置40は、基材成形装置100の入口側からこの順に配置されており、本加熱装置40は、予備加熱装置50と平面視略垂直かつ略水平に配置されている。すなわち、予備加熱装置50と本加熱装置40は、平面視略L字状に直交する配置で連結されている。板状体Wは、予備加熱装置50で約170℃に加熱され、加熱状態のまま本加熱装置40に投入される。
【0039】
本加熱装置40は、板状体Wをその内部に通過させることで均一に加熱することのできる熱風循環式の加熱炉42と、その加熱炉42の内部において板状体Wを搬送することのできる搬送装置44とを備えている。加熱炉42の内部温度は例えば200℃(本発明の「所定の温度」の一例)に設定されており、予め170℃付近に加熱された板状体Wを200℃に加熱し保持することにより、当該板状体Wに含まれる熱可塑性樹脂の溶融状態を維持させることが可能となっている。
【0040】
搬送装置44は、並列に配置された2台のチェーンコンベヤ46a、46bによって構成されており、この2台のチェーンコンベヤ46a、46bは同期して駆動されている。この2台のチェーンコンベヤ46a、46bの上面には、前述したハンガー30を構成するシャフト32の両端部が載置される。これにより、搬送装置44は、ハンガー30によって吊り下げられた状態で保持される板状体Wを加熱炉42の内部で搬送することができるようになっている。
【0041】
加熱炉42の内部には、板状体Wを予備成形するための予備成形型10が設置されている。搬送装置44と予備成形型10は、加熱炉42の内部においてオフセット位置に設置されている。ここでいう「オフセット位置」とは、「互いの中心軸が離れた位置」という意味であり、具体的には、搬送装置44の中心軸P1と、予備成形型10の中心軸P2が水平方向に離れた位置という意味である。
【0042】
予備成形型10の下方には、本成形型20が設置されている。予備成形型10と本成形型20は、オフセット位置に配置されている。ここでいう「オフセット位置」とは、「互いの中心軸が離れた位置」という意味であり、具体的には、予備成形型10の中心軸P2と、本成形型20の中心軸P3が上下方向に離れた位置という意味である。
【0043】
なお、加熱炉42の略後半部は、平面視において略L字形(図10参照)に形成されており、オフセット位置に配置された搬送装置44と予備成形型10をともに収容できるようになっている。本成形型20は、予備成形型10の下方であって、かつ、加熱炉42の外部に設置されている。
【0044】
図10および図11に示すように、基材成形装置100は、第1スライドレール58aから搬送装置44にハンガー30を受け渡すための第1ハンガー受け渡し機構80aと、搬送装置44から第2スライドレール58bにハンガー30を受け渡すための第2ハンガー受け渡し機構80bとを備えている。第1ハンガー受け渡し機構80aおよび第2ハンガー受け渡し機構80bは、それぞれ2つのアーム81を備えており、この2つのアーム81によってハンガー30を構成するシャフト32の両端部を下方から持ち上げることが可能となっている。
【0045】
さらに、基材成形装置100は、板状体Wを予備加熱装置50の入口側から本加熱装置40へ移送するための第1板状体移送機構60aと、板状体Wを搬送装置44から予備成形型10へ移送するための第2板状体移送機構60bとを備えている。第2板状体移送機構60bは、搬送装置44の後方に搬送装置44と平面視略垂直かつ略水平に配置された第2スライドレール58bと、その第2スライドレール58bに載置されたハンガー30を水平方向に移動させることのできる第2水平方向移動機構64bによって構成されている。なお、第1板状体移送機構60aについては後で詳細に説明する。
【0046】
第2水平方向移動機構64bは、第2スライドレール58bに載置されているハンガー30を水平方向に移動させることが可能である。ローラ36が第2スライドレール58bに載置される際には、取付部材38の一方面側に取り付けられている2つのローラ36のみが載置される。したがって、第2スライドレール58b及び第2水平方向移動機構64bによって構成される第2板状体移送機構60bは、第2スライドレール58bに載置されているハンガー30を水平方向に移動させることによって、ハンガー30によって保持されている板状体Wを搬送装置44から予備成形型10へ移送することが可能となっている。
【0047】
第2水平方向移動機構64bによって予備成形型10に搬送されたハンガー30は、ハンガー移送機構66に受け取られる。ハンガー移送機構66は、図9に示すように、一対のアーム67を有し、シャフト32の両端部を両アーム67に支持した状態で、板状体Wないし予備成形体W1を移送可能である。予備成形体W1は、ハンガー移送機構66によって予備成形型10から本成形型20へ移送される。
【0048】
次に、予備加熱装置50の構成について図11、図12の図面を参照しながら説明する。図11は、予備加熱装置50を上方から見た平面図である。図12は、予備加熱装置50を側面から見た側面図である。
【0049】
図11および図12に示すように、予備加熱装置50は、第1加熱炉50Aと第2加熱炉50Bとから構成されており、上述した第1板状体移送機構60aを備えている。各加熱炉50A,50Bには、過熱水蒸気を噴出する複数の噴出部51が設けられている。これらの噴出部51は噴出部配管52に配設されており、この噴出部配管52は、板状体Wの表裏両側に対向配置されている。ハンガー30に保持された板状体Wは、予備加熱装置50内を搬送方向に移動しながら各加熱炉50A,50B内の所定の位置でそれぞれ停止し、対向配置された両噴出部配管52の間で表裏両側からムラなく加熱される。このため、本加熱工程における板状体Wの加熱時間を短縮することができる。
【0050】
第1板状体移送機構60aは、搬送装置44の前方に搬送装置44と平面視略垂直かつ略水平に配置された第1スライドレール58aと、その第1スライドレール58aに載置されたハンガー30を水平方向に移動させるための第1水平方向移動機構64a(図12参照)とによって構成されている。ローラ36が第1スライドレール58aに載置される際には、取付部材38の他方面側に取り付けられている2つのローラ36のみが載置される。スライドレールに載置されたローラ36はスライドレールの溝(図示しない)に深く嵌り込むため、スライドレールから外れにくい。このため、このように2つのローラ36のみが載置された状態でも、ハンガー30を第1スライドレール58aや第2スライドレール58bに沿って安定して搬送させることができる。
【0051】
第1水平方向移動機構64aは、図12に示すように、一対のスプロケット54と、駆動チェーン56とから構成されている。一対のスプロケット54は、第1水平方向移動機構64aの両端に設けられている。この一対のスプロケット54には、駆動チェーン56が掛け回されている。図示しない電動モータによって一対のスプロケット54を時計回りあるいは反時計回りに回転させることにより、両スプロケット54の下側を通る駆動チェーン56を左方向あるいは右方向に駆動させることができる。
【0052】
図13は、第1スライドレール58aに載置され、本加熱装置40の搬入部40A内の所定の位置に停止したハンガー30を拡大した上面図である。図14は、第1スライドレール58aに載置され、本加熱装置40の搬入部40A内の所定の位置に停止したハンガー30を拡大した側面図である。また、図15は、本加熱装置40の搬入部40A内に位置する第1スライドレール58aを拡大した側面図である。
【0053】
図13および図14に示すように、駆動チェーン56の一部には、一対のストッパ57が設けられている。両ストッパ57は、ハンガー30の取付部材38を搬送方向両側から当接可能な構成となっている。図12に示すように、予備加熱装置50に投入されたハンガー30は、その取付部材38がストッパ57に当接可能な状態で、第1スライドレール58aに載置される。第1スライドレール58aに載置されたハンガー30は、取付部材38がストッパ57に当接した状態で、駆動チェーン56の駆動に伴い、第1スライドレール58aに沿って水平方向へ搬送される。
【0054】
第1スライドレール58aには、図12に示すように、複数の切り欠き部59a〜59fが設けられている。各切り欠き部59a〜59fは、係合面を有している。例えば図14に示すように、本加熱装置40の搬入部40A内に位置する第1スライドレール58aにおいて、切り欠き部59eは係合面61aを有し、切り欠き部59fは係合面61bを有している。図15に示すように、係合面61aは、複数の傾斜面63a〜63dによって構成されており、係合面61bは、複数の傾斜面63e〜63gによって構成されている。なお、第1スライドレール58aの最も左側に位置する傾斜面(板状体Wの搬送方向の最下流に位置する傾斜面)63gは、第1スライドレール58aの移動面58a1に平行な面Pとの成す角度sが、他の傾斜面と第1スライドレール58aの移動面58a1に平行な面Pとの成す角度(例えば、傾斜面63dと成す角度t1や傾斜面63eと成す角度t2など)より大きい。
【0055】
各切り欠き部59a〜59fは、ハンガー30に取り付けられたローラ36が個別に嵌り込む大きさに形成されている。このため、各切り欠き部59a〜59fまで移動したローラ36は、板状体Wを吊り下げたハンガー30の重みによりその切り込み部59a〜59fに嵌り込む。切り込み部59a〜59eに嵌り込んだローラ36は、切り込み部59a〜59eから搬送方向に移動するために各係合面61aを乗り超える必要がある。このため、各ローラ36が各切り込み部59a〜59fに嵌り込むことにより、ハンガー30の第1スライドレール58aに沿った移動が効果的に規制され、ハンガー30を所定の位置で精度良く停止させることができる。
【0056】
また、各切り欠き部59a〜59fは、図12に示すように、予備加熱装置50の第1加熱炉50A内と第2加熱炉50B内と本加熱装置40の搬入部40A内との所定の位置に、それぞれ2つずつ形成されている。以下では、各加熱炉50A、50B内又は本加熱装置40の搬入部40A内の第1スライドレール58aにそれぞれ形成されている2つの切り欠き部を、一対の切り欠き部と称することとする。一対の切り欠き部59a〜59fは、ハンガー30に設けられた一対の取付部材38,38の間隔と略等しい間隔で形成されている。例えば図14に示すように、本加熱装置40の搬入部40A内に位置する第1スライドレール58aに設けられた一対の切り欠き部59e、59fは、ハンガー30に設けられた一対の取付部材38,38の間隔と等しい間隔で形成されている。このため、一対の取付部材38,38にそれぞれ取り付けられたローラ36は、一対の切り欠き部59e、59fに同時に嵌り込んでいる。
【0057】
さて、搬入工程において、板状体Wを吊り下げた状態で予備加熱装置50の入口側に投入されたハンガー30は、予備加熱工程において、第1スライドレール58aに沿って水平方向左向き(図12の矢印A方向)に搬送される。この予備加熱工程では、ハンガー30が第1加熱炉50A内の一対の切り欠き部59a、59bまで搬送されると、この一対の切り欠き部59a、59bに各ローラ36が同時に嵌り込む。これと同時に第1水平方向移動機構64aの駆動が停止する。その結果、切り欠き部59a、59bにローラ36が嵌り込んだ状態でハンガー30が停止する。各ローラ36が一対の切り欠き部59a、59bに嵌り込むことにより各ローラ36と各係合面61aとが係合するため、ハンガー30の搬送方向に沿った移動が規制される。そして、第1加熱炉50A内の所定の位置にハンガー30が停止した状態で、板状体Wの第1予備加熱が行われる。
【0058】
板状体Wの第1予備加熱が終了すると、第1水平方向移動機構64aが再び駆動し、水平方向左側に向かう力がハンガー30に加わる。これにより、一対の切り欠き部59a、59bに嵌り込んだ各ローラ36が各係合面61aを乗り超え、各ローラ36と各係合面61aとの係合が外れる。そして、ハンガー30は、第1スライドレール58aに沿って再び水平方向左側に搬送される。ハンガー30が第2加熱炉50B内の一対の切り欠き部59c、59dまで搬送されると、この一対の切り欠き部59c、59dに各ローラ36が同時に嵌り込む。これと同時に第1水平方向移動機構64aの駆動が停止する。その結果、一対の切り欠き部59a、59bに各ローラ36が嵌り込んだ状態でハンガー30が停止する。各ローラ36が一対の切り欠き部59a、59bに嵌り込むことにより各ローラ36と各係合面61aとが係合するため、ハンガー30の搬送方向に沿った移動が規制される。そして、第2加熱炉50B内の所定の位置にハンガー30が停止した状態で、板状体Wの第2予備加熱が行われる。
【0059】
板状体Wの第2予備加熱が終了すると、第1水平方向移動機構64aが再び駆動し、各ローラ36と各係合面61aとの係合が外れ、ハンガー30は、第1スライドレール58aに沿って再び水平方向左側に搬送される。ハンガー30が本加熱装置40の搬入部40A内の一対の切り欠き部59e、59fまで搬送されると、この一対の切り欠き部59e、59fに各ローラ36が同時に嵌り込む。これと同時に第1水平方向移動機構64aの駆動が停止する。その結果、一対の切り欠き部59e、59fに各ローラ36が嵌り込んだ状態でハンガー30が停止する。各ローラ36が一対の切り欠き部59e、59fに嵌り込むことにより各ローラ36と各係合面61a、61bとが係合するため、ハンガー30の搬送方向に沿った移動が規制される。一対の切り欠き部59e、59fに各ローラ36が嵌り込んだ状態でハンガー30が停止すると、ハンガー30は、第1ハンガー受け渡し機構80aによって、第1スライドレール58aから搬送装置44に載せ換えされる。搬送装置44でハンガー30を搬送することにより、板状体Wは、本加熱装置40内においてさらに加熱される。
【0060】
上述したように、本実施形態に係る基材成形装置100では、第1スライドレール58aの各切り欠き部59a〜59fにハンガー30の各ローラ36が嵌り込むことにより、ハンガー30の移動が規制され、ハンガー30を所定の位置に精度良く停止させることができる。これにより、ハンガー30を搬送装置44の所定位置に精度よく載せ換えられ搬送されるため、板状体Wの搬送異常を抑制することができ、基板成形装置100の稼働率を向上させることができる。
【0061】
また、第1スライドレール58aにおける搬送方向の最下流では、ハンガー30を搬送機構44に載せ換えるため、第1スライドレール58aに沿ってハンガー30をそれ以上搬送する必要がなく、ハンガー30を確実に停止させる必要がある。本実施形態に係る基材成形装置100では、切り欠き部59a〜59fが複数の傾斜面によって構成されており、かつ、第1スライドレール58a上の搬送方向の最下流に位置する傾斜面63gと第1スライドレール58aの移動面58a1に平行な面Pから立ち上がる角度sが、他の傾斜面と第1スライドレール58aの移動面58a1に平行な面Pから立ち上がる角度t1,t2より大きい。これにより、搬送方向の最下流に位置する傾斜面63gでは、他の傾斜面63a〜63fに比してローラ36が傾斜面63gを乗り超え難くなり、ハンガー30の移動が効果的に規制される。このため、搬送方向の最下流においてハンガー30を所定の位置に確実に停止させることができる。
【0062】
また、本実施形態に係る基材成形装置100では、ハンガー30は、複数のローラ36を有し、第1スライドレール58aは、複数のローラ36に対応してこれらのローラ36が個別に嵌り込む複数の切り欠き部59a〜59fを有している。これにより、ハンガー30の各ローラ36が複数の切り欠き部59a〜59fに個別に嵌り込み、ハンガー30の移動が効果的に規制される。このため、ハンガー30を所定の位置に確実に停止させることができる。
【0063】
また、基材の製造工程において、本加熱工程は最も時間のかかる工程であり、本加熱装置50内に配置される板状体Wの枚数も多いことから、搬送異常があった場合に、大量の板状体Wが不良品になってしまう。このため、予備加熱装置50から本加熱装置40に移送する際に搬送異常が発生することを極力抑制することが要求される。本実施形態に係る基材成形装置100では、基材成形装置100が、板状体を予備加熱する予備加熱装置50と、該板状体Wをさらに加熱する本加熱装置40と、を備えており、第1スライドレール58aは、予備加熱装置50から本加熱装置40の搬入部40Aへ板状体Wを搬送するように構成されている。このため、予備加熱装置50から本加熱装置40の搬入部40Aに移送する際に搬送異常が発生することを抑制することができる。
【0064】
<実施形態2>
図16に、実施形態2に係る基材成形装置200において、第1スライドレール158aに載置され、本加熱装置内の所定の位置に停止したハンガー130を拡大した上面図を示す。また、図17に、第1スライドレール158aに載置され、本加熱装置内の所定の位置に停止したハンガー130を拡大した側面図を示す。実施形態2は、切り欠き部の係合面の大きさが、実施形態1のものと異なっている。その他の構成については上記の実施形態1と同じであるため、構造、作用、および効果の説明は省略する。なお、図16、図17において、図14、図15の参照符号に数字100を加えた部材は、実施形態1で説明した部材と同一である。
【0065】
実施形態2に係る基材成形装置200では、図14および図15に示すように、1つの切り欠き部159の係合面161が、ハンガー130に設けられた一対の取付部材38,38の間隔と略等しい大きさで形成されている。即ち、一対の取付部材38,38にそれぞれ取り付けられた2つのローラ136が、1つの切り欠き部159に同時に嵌り込むことが可能な構成となっている。このような構成であっても、1つの切り欠き部159に2つのローラ136が嵌り込むことによりローラ136と係合面161とが係合されるため、ハンガー130の搬送方向に沿った移動が効果的に規制される。
【0066】
実施形態の構成と本発明の構成との対応関係を記載しておく。ハンガー30、130が「保持装置」の一例である。また、第1スライドレール58a、158a、第2スライドレール58bが「搬送レール」の一例である。
【0067】
上記の各実施形態の変形例を以下に列挙する。
(1)上記の各実施形態では、第1スライドレールに切り欠き部が設けられている構成を例示しているが、第2スライドレールに切り欠き部が設けられている構成としてもよい。
【0068】
(2)切り欠き部は、切り欠き部にローラが嵌り込むことによりハンガーの第1スライドレールに沿った移動が規制される大きさであればよく、切り欠き部の大きさは限定されない。
【0069】
(3)上記の各実施形態では、熱媒体として過熱水蒸気を例示しているが、水蒸気や空気を熱媒体をしてもよい。
【0070】
(4)上記の各実施形態では、予備成形工程と本成形工程とによって板状体を基材に成形しているが、板状体を一度で基材に成形してもよい。
【0071】
(5)上記の各実施形態では、予備加熱工程と本加熱工程に分けて板状体Wを加熱しているが、一つの加熱工程において熱媒体(過熱水蒸気)と熱風の双方を用いて板状体Wを加熱してもよい。
【0072】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0073】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0074】
10:予備成形型、12、14、22、24:金型、20:本成形型、22a、24a:型面、30、130、230:ハンガー、32、132、232:シャフト、34、134、234:クランプ、34a:溝部、35:ヒンジ、36、136、236:ローラ、37:ばね部材、38、138、238:取付部材、40、240:本加熱装置、42:加熱炉、44:搬送装置、46a、46b:チェーンコンベヤ、50、250:予備加熱装置、50A、250A:第1加熱炉、50B、250B:第2加熱炉、51:噴出部、52:噴出部配管、54:スプロケット、56:駆動チェーン、58a、158a:第1スライドレール、58a1、158a1:移動面、58b:第2スライドレール、59a〜59f、159:切り欠き部、61a、61b、161:係合面、63a〜63g、163a〜163c:傾斜面、60a:第1板状体移送機構、60b:第2板状体移送機構、64a:第1水平方向移動機構、64b:第2水平方向移動機構、66:ハンガー移送機構、67:アーム、80a:第1ハンガー受け渡し機構、80b:第2ハンガー受け渡し機構、100、200、300:基材成形装置、258:スライドレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性繊維と熱可塑性樹脂を含む材料からなる板状体を吊り下げた状態で搬送し、所定の形状に成形する基材成形装置であって、
前記板状体を吊り下げることにより該板状体を保持する保持装置と、
前記板状体の搬送方向に沿って延設された搬送レールと、を備え、
前記保持装置は、前記搬送レールに載置されることで前記保持装置を移動可能に支持するローラを有し、
前記搬送レールは、前記ローラと係合することにより、前記保持装置の前記搬送レールに沿った移動を規制する係合面を有していることを特徴とする基材成形装置。
【請求項2】
前記搬送レール上に切り欠き部が設けられていると共に、この切り欠き部を構成する少なくとも一対の傾斜面によって前記係合面が構成されており、
前記搬送レールにおける搬送方向の最下流に位置する一の前記傾斜面は、他の前記傾斜面に比して前記搬送レールの移動面に平行な面からの立ち上がり角度が大きいことを特徴とする請求項1に記載の基材成形装置。
【請求項3】
前記保持装置は、複数の前記ローラを有し、
前記搬送レールは、複数の前記ローラに対応してこれらの前記ローラが個別に嵌り込む複数の前記切り欠き部を有していることを特徴とする請求項2に記載の記載成形装置。
【請求項4】
前記板状体を予備加熱する予備加熱装置と、
前記予備加熱装置により予備加熱された前記板状体をさらに加熱する本加熱装置と、を備え、
前記搬送レールは、前記予備加熱装置から前記本加熱装置の搬入部へ前記板状体を搬送するものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基材成形装置。
【請求項5】
植物性繊維と熱可塑性樹脂を含む材料からなる板状体を保持装置に吊り下げ、該保持装置を搬送装置に載置した状態で、前記板状体を搬送しながら加熱する加熱工程と、
前記加熱工程で加熱された前記板状体を基材に成形する成形工程と、を備えた基材の製造方法であって、
前記加熱工程の搬入部に向けて延設されている搬送レールに、前記保持装置に設けられたローラを載置し、該搬送レールに沿って前記保持装置を前記加熱工程の搬入部に搬送し、該搬送レールにおける搬送方向の最下流に設けられた係合面に前記ローラを係合させることにより、前記保持装置の前記搬送レールに沿った移動を規制し、該保持装置を前記搬送装置に載せ換える搬入工程を備えたことを特徴とする基材の製造方法。
【請求項6】
前記搬入工程と前記加熱工程との間に、前記板状体を予備加熱する予備加熱工程を備えたことを特徴とする請求項5に記載の基材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−183602(P2011−183602A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49204(P2010−49204)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】