基板を保持するための装置及び方法
プロセス(例えば液体メニスカスプロセス)中に第一の面と第二の面を有する基板(例えば半導体ウェーハ)を保持するための装置及び方法。本装置は、基板の第一の面に顕著に接触することなく基板の第二の面に接触するように構成された一つ以上の保持用構成要素(例えばフィンガ)を含む。保持用構成要素の少なくとも一つは、この少なくとも一つの保持用構成要素がプロセスに影響を与えること(例えば液体メニスカスに接触する)を防止するように、プロセス中に動かされるように構成され得る。このような構成は、基板が、その上に少なくとも一つの構造体または特徴部を有する上面を含む場合に用いられ得るものであり、保持用構成要素が、プロセス中に構造体または特徴部に接触することを避けることが望ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を保持するための装置及び方法に係り、特に最低限の機械的接触で(例えば上方から)基板を保持する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られているチャックには多種多様なものがあり、所謂“非接触”チャックが挙げられる。一般的に、非接触チャックは、保持されるべき基板の第一の(例えば非処理)表面と僅かに機械的に接触し、または、機械的に接触しない。非接触チャックとして有名なのは、所謂ベルヌーイ型である。
【0003】
こうしたチャックは、下部にガス流を導入することによって、基板(例えば、ウェーハが挙げられ、本願では基板のことをウェーハとも称する)を表面上に持ち上げるように動作する。また、同時にウェーハを回転させることも多々ある。こうしたチャックは、第二の(例えば、処理)面を上に向けて動作する。処理されるべき面が下を向いたウェーハを保持することが必要とされる下向きの応用においては、この構成はよくない。
【0004】
下向きで動作可能な他の従来の非接触チャックも存在するが、不安定性の問題があり、基板の第二面のまたは背面(例えば、非処理面)上に化学物質及び/又は汚染物質がもたらされることも多い。
【0005】
【特許文献1】米国特許第7122126号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
その多様な実施形態による本発明は、最低限の機械的接触で上方から基板を保持するために装置に関する。本装置は、上面と機械的に接触せず底面と最低限接触して基板を保持できることが有利である。更に、本装置は、基板を保持するための保持用構成要素(“フィンガ”とも称される)を含み、フィンガは、基板の底面に多様なプロセスを行えるようにするため所定の方法で待避可能である。このフィンガは、基板の側面及び底面と接触するようにもでき、また、側面のみ、底面のみ、及び/またはこれらの組み合わせと接触するようにもできる。また、一部の実施形態では、第二の面(背面)の一部と最低限接触することもできる。
【0007】
その多様な実施形態による本発明は、上方から基板を保持するように用いられ得る。本装置は、基板の“非処理”面に接触しないかまたは最低限しか接触せずに、単独でまたは処理装置と関連して上方から基板を保持し、また、ウェーハの底面が特にプロセス、媒体、液体、気体、スプレーに接触または晒されるように設定される。
【0008】
一実施形態では、本装置は、(あらゆる種類の)半導体、ガラスまたはデバイスウェーハを保持して、非処理面との実質的な接触を避けながら(例えば、非接触)、(あらゆる適切な種類の)プロセスにその底面を晒すようにする。本装置が、それ単独で役に立つ場合でも、多様なシステム、機器、装置に組み込まれている場合でも、本装置は、本願でその全文が参照される“WET PROCESSING USING A FLUID MENISCUS, APPARATUS AND METHOD”というタイトルの特許文献1(米国特許出願第09/675029号)に開示されている装置に関連して、特に役に立つ。
【0009】
一実施形態では、本発明は、プロセス(例えば、液体メニスカスプロセス)中に基板(例えば、半導体ウェーハ)を保持するための装置及び方法に関する。基板は第一の面と第二の面とを有する。本装置は、基板の第一の面と接触せずまたは最低限しか接触せずに、基板の第二の面に接触するように構成された保持用構成要素(例えば、フィンガ)を一つ以上含む。一実施形態では、保持用構成要素の少なくとも一つが、プロセス中に動かされるように構成されていて、その少なくとも一つの保持用構成要素がプロセスに影響を与えること(例えば、上述の応用に開示されている構成の場合における液体メニスカスとの接触)を防止する。このような構成は、基板がその上に少なくも一つの構造体または特徴部を備えた上面を含む場合に用いることができ、保持用構成要素が、プロセス中に構造体または特徴部に接触することを避けるか、または単純に、上面(例えば、非処理面)がプロセスに晒されることを防止することが望ましい。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、第一の面と第二の面とを有する基板を処理するための方法に関する。本方法は、基板の第一の面と接触せずに基板の第二の面と接触するように構成された一つ以上の保持用構成要素を介して基板を保持する段階と、基板及びプロセス要素が互いに相対的に移動するように基板及びプロセス要素の少なくとも一つを移動させる段階とを備える。一実施形態では、本方法は更に、少なくとも一つの保持用構成要素がプロセス要素に接触しないようにプロセス中に少なくとも一つの保持用構成要素を動かす段階を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上述のように、本発明は、例えば基板を保持するための装置に関する。本発明の一実施形態は、上述のように、湿式処理中に基板を保持するためのチャックを含む。この特定の応用では、本発明の装置は、この湿式処理装置の動作に適合した動作パターンで、一つ以上のフィンガを待避させることができる。例えば、本発明の装置によって保持されている基板を流体容器上に走査させると、流体上または流体の近傍を通過するフィンガを、流体と接触しないような方法で流体から待避させることができる。このようなプロセスの一つでは、流体上にチャックが移動すると任意の形状及び周期の“波”が前後に伝播するハーモニックドライブが用いられて、流体の真上にある時に待避させられる(完全な待避位置は、例えば、駆動波の頂に対応可能である)。また、これに加えてまたはこれに代えて、特定の応用及び所望の効果に応じて、プロセスが進行する際にまたは異なるプロセス中にチャックのフィンガが他の位置または動きをとることもある。このような位置または動きの一つは、“オン”の位置にある(例えば、基板に接触して保持している)複数のフィンガを、“オフ”の位置にある(例えば、待避されていて基板に接触せず保持していない)他のフィンガと順に交代させることである。このような位置及び動きは、状態または駆動モードとも称され、多数の可能な位置及び動き(全てのフィンガが“オン”の位置にある(例えば、完全に掴んでいる)状態や、全てのフィンガが“オフ”の位置にある(例えば、掴んでいない)状態が含まれる)の単に一部であり、このような可能な位置及び動きの全てが本発明の対象である。
【0012】
保持用構成要素(例えば、フィンガ)を、ウェーハの側面で、ウェーハの底面(例えば、処理面)で、上面の僅かな部分で、またはこれらの組み合わせでウェーハと接触するように作製または配置することができる。チャック表面、フィンガまたは装置の他の構成要素がウェーハの上面(例えば非処理面)と顕著に接触しないようにすることが有利である。従って、本発明の多様な実施形態による保持装置は、上面(例えば、非処理面)、その特徴部、またはその上に堆積または製造された他の構造体に損傷を与える危険無く、下向きで基板を保持することができる。一実施形態では、上面(例えば非処理面)を、チャック自体の表面から、数マイクロメートルから数ミリメートルまでの幅広い範囲の間隔で離して保つことが可能である。また、これよりも大きいまたは小さい間隔も可能であり、本発明において意図されるものである。更に、本発明は、あらゆる形状、厚さまたは物質の基板に適用することを意図している。
【0013】
図1aは、本発明の一実施形態による保持装置の上面図であり、図1bは、図1aに示される保持装置の一部の拡大図である。図1a及び図1bは、移動可能に構成されたフィンガ2用の取り付けベースを提供するチャックプレート1を示す。ここで、フィンガ2は、例えば、プレート1の縁のスリット3の内側と外側にわたって振れるように構成されている。プレート1、フィンガ2及び他のチャックの構成要素は、用いられる用途及び用いられる環境に応じた適切な物質から作製可能である。
【0014】
図2a及び図2bは、保持装置の部分的な側断面図であり、図2aは、第一の位置または保持位置(例えば、基板20を保持または支持する)にあるフィンガ10を示し、図2bは、第二の位置または待避位置(例えば、基板20を保持または支持しないように間隔が空けられている)にあるフィンガ10を示す。フィンガ10はどのような形状でもよいが、図2aに示されるように保持位置にある際に保持されるべき基板の下部の平面内にあり、図2bに示されるように待避位置にある際に保持されるべき基板20の真下の平面の外にあることができるような形状であることが有利である。フィンガ10の移動はアクチュエータ40によって操作される。基板20は第一の(例えば、非処理)面35及び第二の(例えば処理)面37を有し得る。第一の(例えば非処理)面35は、機械的接触によって乱されることが望ましくない繊細な構造体または特徴部36を有し得る。このような構造体または特徴部36は、本発明の多様な実施系において、チャックプレート15と基板の第一の(例えば非処理)面35との間のギャップ30によって、保持装置の如何なる部分とも接触しないようにすることができる。図示されている実施形態においては、フィンガ10と基板20の第二の(例えば処理)面37との間の接触が、フィンガ10の端の鋭い先端部25によって成され、これによって、接触部分が最小化され、また、プロセス流体の毛細管現象による取り込み(プロセス流体とフィンガ10との間の偶発的な接触の際に生じ得る)も最小化される。基板の上面(例えば非処理面)を更に保護するため、気体または流体を、ギャップ内に、周辺に、または適切な経路の組み合わせで循環させてもよい。
【0015】
一実施形態では、例えば、“WET PROCESSING USING A FLUID MENISCUS, APPARATUS AND METHOD”というタイトルの特許文献1(米国特許出願第09/675029号)に開示されているような流体メニスカス(fluid meniscus)上を走査させるように基板20を移動させる際に、フィンガ10が、基板20の第一の(例えば、処理)面から離れることが可能である。図3a及び図3bは、保持装置のフィンガが動作中に動かされる例示的なプロセスを示す。図3aを参照すると、基板20は、チャックプレート15の多様なフィンガ110、120、130、140、150によって保持される。基板20及び液体メニスカス105を互いに相対的に移動させると(基板20と液体メニスカス105のどちらか一方及び/又は両方が移動していてもよいことは認識されたい)、基板20の特定の領域が液体メニスカス105に近づく。結果として、適切なフィンガの一つまたは複数(この場合、フィンガ120)が待避されて、このフィンガが液体メニスカス105に接触せず、液体メニスカス105に影響を与えない。他のフィンガ110、130、140、150は基板20を支持したままである。図3bを参照すると、基板20及び液体メニスカス105を互いに相対的に移動させ続けると(ここでも、基板20と液体メニスカス105のどちらか一方及び/又は両方が移動してもよいことは認識されたい)、基板20の異なる領域が液体メニスカス105に近づく。結果として、別のフィンガの一つまたは複数(この場合、フィンガ140)が待避されて、このフィンガが液体メニスカス105に接触せず、液体メニスカス105に影響を与えない。フィンガ120は保持位置に戻されている。また、他のフィンガ110、130、150は、基板20を支持する保持位置のままである。勿論、多様なフィンガの個別の待避位置の内外への移動が、多くの異なる因子(例えば、メニスカスのサイズ及び形状、基板のサイズ及び形状、基板及び/又は液体メニスカスの互いの相対的な移動、プロセスが行われる速度等)に依存する多くの想定可能なパターンに従うものであり、これら全ても本発明の一部であると考えられるものであることは認識されたい。
【0016】
例えば、本発明の一実施形態では、複数のフィンガを、個別の待避位置の内外に連続的に移動させることができ、波状(例えば、流体チャネルの上または近傍に位置するノード、頂、谷間を有する)に動く。このような動きに従う場合、フィンガは、基板が液体チャネルに近づく際に待避し始め、液体チャネルの大体上で完全に待避位置に達し、フィンガが液体チャネルを通過した後に、基板の第一の(例えば処理)面に接触するように戻る。このような実施形態では、波状の動きの波長及び周期は、プロセスの要求並びにその形状の詳細に応じて変更可能である。また、採用される動きに制限はなく(例えばプロセスパラメータ以外)、あらゆる種類の動作パターンが本発明の一部であると考えられる。
【0017】
図4は、本発明の一実施形態による保持装置の側面図である。本実施形態では、チャック取り付けプレート340は、これに取り付けられたフィンガ取り付け部360を有する。フィンガ350は、フィンガ取り付け部360に取り付けられている。フィンガ350及び/又はフィンガ取り付け部360は個別のアクチュエータ300に取り付けまたは結合されている。アクチュエータ300はハブ330に結合されている。ハブ330は、採用されたアクチュエータ300の種類に応じて、フィンガ350を移動させるためアクチュエータ300を作動させるために用いられる空気圧、真空、電力、信号、または他の入力及び出力を提供し得る。ハブ330はシャフトまたはモータ320に取り付けられるか、または、“ヘッド”370に対して適切な他の配置で取り付けられる。“ヘッド”370は、プロセスまたは応用に適した機器または装置に取り付けられる。ハブ330が回転するような特徴を有する場合には、ハブ330が回転する際にハブ330に電力または信号を供給する回転フィードスルー310を、ハブ330に取り付けることができる。プロセスに応じて、保持装置の一つ以上の構成要素(例えばフィンガ)を動かすのに適した種類のアクチュエータを採用することができ、空気式、圧電式、電気拘束式、電磁式、モータ、形状記憶合金等のものが挙げられる。内部パーツの設計に関する他の多くの機械的構成も想定可能であり、その全てが本発明の対象であると考えられ、いずれかの種類の適切なアクチュエータによるフィンガの直接駆動が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0018】
図5は、本発明の一実施形態による保持装置の部分的な断面図である。本実施形態では、形状記憶合金(“マッスルワイヤ”としても他の商品名によっても知られている)がアクチュエータとして採用されている。形状記録合金を採用し得るのは、その高い力対体積比、小型性、単純性、応答時間による。本実施形態では、形状記憶合金400(この場合、ワイヤ形状を有するが、例えばロッド等の他の形状を代わりに有してもよい)が、その一方の端430はフィンガに取り付けられ、その他方の端440がハブ420に取り付けられている。フィンガを動かすため、形状記憶合金ワイヤ400の一部に取り付けられた導線410を介して、形状記憶合金ワイヤ400に電流が印加される。電流がワイヤ400を加熱し、寸法を変化させるので、フィンガが動く。所望の範囲の動きは、フィンガ及びアクチュエータを接続するフィンガ取り付け部430(例えばレバーアーム)を変更することによって達成可能である。同様に、上述の構成のために、適切な種類のアクチュエータを追加的にまたは代替的に使用することが可能であり、特に、空気式、電気式、圧電式、ピエゾ抵抗式、磁気式のものが挙げられる。
【0019】
多様な因子(特に、接触の所望の位置、接触の所望の領域、所望の接触点の数、基板の形状、基板の剛性、基板の厚さ等)に依存して、フィンガが様々な形状のものになり得ることは認識されたい。このような形状のいくつかを図6aから図6cに示す。例えば、図6aに示される本発明の一実施形態による側面接触フィンガ510は、基板500の側面(側面とは、基板500の最も外側の円周表面を称す)上で主にまたは排他的に基板500と接触し、基板500の下方に位置する部分511を含む。図6bに示される本発明の他の実施形態による側面及び底面接触フィンガ520は、基板の側面及び底面(例えば非処理面)の両方において基板500と接触する。他方、図6cに示される本発明の更に他の実施形態による側面のみ接触フィンガ530は、基板の他の点と接触することなく側面において基板500と接触する。他の多くの構成、形状、接触方式及びこれらの組み合わせも想定可能であり、その全てが本発明の一部であると考えられる。
【0020】
本発明の多様な実施形態による基板を保持するための装置及び方法は、多数の異なる応用を有し得る。多数の応用が想定可能ではあるが、本発明の特定の実施形態においては、従来の基板保持装置とのあからさまな比較において、基板の処理面を下向きで基板を保持する有効な装置及び方法が提供される。これは特に、第二の(例えば、処理)面が液体(腐食性であることが多い)に晒される一方で第一の(例えば、非処理)面が液体に晒されることが望ましくない湿式処理応用において有利である。
【0021】
本願で開示される装置及び方法は、現在採用されている当該分野の応用の多様な状態に対して特に有益である。例えば、“WET PROCESSING USING A FLUID MENISCUS, APPARATUS AND METHOD”というタイトルの特許文献1(米国特許出願第09/675029号)に開示される湿式処理装置及び方法は、本発明から大いに恩恵を受け得る。同様に、下向きの構成を採用する他のプロセスも恩恵を受け得る。
【0022】
また、本発明の装置及び方法は、特定の表面(例えば、基板の前面または非処理面)上の特徴部の壊れ易い性質によりこの特徴部との機械的な接触を避けるべきである基板を、処理するのに用いるのにも有利である。このような基板には、MEMS、オプトエレクトロニクス、メモリ、太陽電池、CMOS等の成長し続けている分野の装置が含まれる。このような基板の処理は、従来の装置の基板取り扱い性能では困難を伴った。何故ならば、このような従来の装置を用いたのでは、汚染、破損、低い歩留まり、または、このような装置の製造における特定の重大な段階を実施することが単純に不可能であるということに繋がることが多々あったからである。
【0023】
また、本発明の装置及び方法は、基板の前面(例えば、非処理面)上に異様に大きな特徴部を備えた基板を処理するのに用いるのにも有利である。このような異様に大きな特徴部によって、従来の非接触チャックで特定の基板を取り扱うことが妨げられてきた。バンプウェーハはこのような成長している分野の基板の一つである。更に、本発明の装置及び方法によって、基板の前面(例えば、非処理面)上に異様に繊細な特徴部を備えた基板を処理することができるようになる。その処理は、従来の非接触チャックには適さないものである。MEMS基板はこのような成長している分野の一つである。
【0024】
本発明の装置を採用して、あらゆる種類の物質(例えば全ての固体及び半固体)、他のあらゆる物質、合成物、凝集物、または、本発明の構成によって保持可能な形状の物質を処理または取り扱うことができる。
【0025】
その多様な実施形態による本発明は、用いられるどのような目的に対しても、上述の装置及び方法の一つ以上を含み得て、更に、上述の組み合わせ、拡張または適合に起因する他の応用も含む。多くの実施形態、変形例及び組み合わせが想定可能であり、本発明の一部であると考えられる。例えば、適切な物質または物質の組み合わせを用いて、本発明の装置及び方法を使用できる。更に、適切な製造プロセスまたはプロセスのシーケンスを用いて、本発明の装置及び方法を使用できる。また、例えば、異なる形状、方法、物質、幾何学的形状または形体の構成要素を、このような構成要素が実質的に同一の目的を有するかどうか、及び/又は、実質的に同一の動作原理を用いて装置が動作するかどうかにかかわりなく用いて、本発明の装置及び方法を使用できる。また、本願で開示されるのとは異なるパターンまたは方法(全く動かない場合を含む)で動かされるフィンガまたは保持装置を用いて、本発明の装置及び方法を使用できる。例えば、装置の全体または一部が、回転、並進移動、上昇及び又は下降してもよく、または、これらの動きの一部または全てを含む組み合わせの動きを行ってもよい。更に、本発明の装置及び方法を、その発明の対象が基板を保持するものである他のプロセスを実施するためのより巨大なサブシステムまたは装置に組み込んでもよく、または、単独型装置として用いてもよい。また、本発明の装置及び方法を、本願で明確に開示していない他の応用に用いてもよい。フィンガの動き自体が基板の動き(例えば、回転、並進移動またはこれらの組み合わせ)を生じさせる一般的な場合も、本発明の対象であると考えられる。
【0026】
特定の好ましい実施形態に関連して、本発明を特に開示してきたが、多くの代替例、改変例、変形例が、上述の記載を踏まえて当業者に明らかであるということは自明である。従って、本願特許請求の範囲は、本発明の真の範囲及び精神に落とし込まれるあらゆる代替例、改変例、変形例を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1a】本発明の一実施形態による保持装置の上面図である。
【図1b】図1aに示される保持装置の一部の拡大図である。
【図2a】本発明の一実施形態による第一の位置または保持位置にあるフィンガを示す保持装置の部分的な側断面図である。
【図2b】本発明の一実施形態による第二の位置または待避位置にあるフィンガを示す保持装置の部分的な側断面図である。
【図3a】本発明の一実施形態による保持装置のフィンガが動作中に動かされる例示的なプロセスを示す。
【図3b】本発明の一実施形態による保持装置のフィンガが動作中に動かされる例示的なプロセスを示す。
【図4】本発明の一実施形態による保持装置の側面図である。
【図5】本発明の一実施形態による保持装置の部分的な側面図である。
【図6a】本発明の一実施形態による側面接触フィンガを示す。
【図6b】本発明の他の実施形態による側面及び底面接触フィンガを示す。
【図6c】本発明の更に他の実施形態による側面のみ接触フィンガを示す。
【符号の説明】
【0028】
1 チャックプレート
2 フィンガ
3 スリット
10 フィンガ
15 チャックプレート
20 基板
25 先端部
30 ギャップ
35 第一の面(非処理面)
36 構造体または特徴部
37 第二の面(処理面)
40 アクチュエータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を保持するための装置及び方法に係り、特に最低限の機械的接触で(例えば上方から)基板を保持する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られているチャックには多種多様なものがあり、所謂“非接触”チャックが挙げられる。一般的に、非接触チャックは、保持されるべき基板の第一の(例えば非処理)表面と僅かに機械的に接触し、または、機械的に接触しない。非接触チャックとして有名なのは、所謂ベルヌーイ型である。
【0003】
こうしたチャックは、下部にガス流を導入することによって、基板(例えば、ウェーハが挙げられ、本願では基板のことをウェーハとも称する)を表面上に持ち上げるように動作する。また、同時にウェーハを回転させることも多々ある。こうしたチャックは、第二の(例えば、処理)面を上に向けて動作する。処理されるべき面が下を向いたウェーハを保持することが必要とされる下向きの応用においては、この構成はよくない。
【0004】
下向きで動作可能な他の従来の非接触チャックも存在するが、不安定性の問題があり、基板の第二面のまたは背面(例えば、非処理面)上に化学物質及び/又は汚染物質がもたらされることも多い。
【0005】
【特許文献1】米国特許第7122126号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
その多様な実施形態による本発明は、最低限の機械的接触で上方から基板を保持するために装置に関する。本装置は、上面と機械的に接触せず底面と最低限接触して基板を保持できることが有利である。更に、本装置は、基板を保持するための保持用構成要素(“フィンガ”とも称される)を含み、フィンガは、基板の底面に多様なプロセスを行えるようにするため所定の方法で待避可能である。このフィンガは、基板の側面及び底面と接触するようにもでき、また、側面のみ、底面のみ、及び/またはこれらの組み合わせと接触するようにもできる。また、一部の実施形態では、第二の面(背面)の一部と最低限接触することもできる。
【0007】
その多様な実施形態による本発明は、上方から基板を保持するように用いられ得る。本装置は、基板の“非処理”面に接触しないかまたは最低限しか接触せずに、単独でまたは処理装置と関連して上方から基板を保持し、また、ウェーハの底面が特にプロセス、媒体、液体、気体、スプレーに接触または晒されるように設定される。
【0008】
一実施形態では、本装置は、(あらゆる種類の)半導体、ガラスまたはデバイスウェーハを保持して、非処理面との実質的な接触を避けながら(例えば、非接触)、(あらゆる適切な種類の)プロセスにその底面を晒すようにする。本装置が、それ単独で役に立つ場合でも、多様なシステム、機器、装置に組み込まれている場合でも、本装置は、本願でその全文が参照される“WET PROCESSING USING A FLUID MENISCUS, APPARATUS AND METHOD”というタイトルの特許文献1(米国特許出願第09/675029号)に開示されている装置に関連して、特に役に立つ。
【0009】
一実施形態では、本発明は、プロセス(例えば、液体メニスカスプロセス)中に基板(例えば、半導体ウェーハ)を保持するための装置及び方法に関する。基板は第一の面と第二の面とを有する。本装置は、基板の第一の面と接触せずまたは最低限しか接触せずに、基板の第二の面に接触するように構成された保持用構成要素(例えば、フィンガ)を一つ以上含む。一実施形態では、保持用構成要素の少なくとも一つが、プロセス中に動かされるように構成されていて、その少なくとも一つの保持用構成要素がプロセスに影響を与えること(例えば、上述の応用に開示されている構成の場合における液体メニスカスとの接触)を防止する。このような構成は、基板がその上に少なくも一つの構造体または特徴部を備えた上面を含む場合に用いることができ、保持用構成要素が、プロセス中に構造体または特徴部に接触することを避けるか、または単純に、上面(例えば、非処理面)がプロセスに晒されることを防止することが望ましい。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、第一の面と第二の面とを有する基板を処理するための方法に関する。本方法は、基板の第一の面と接触せずに基板の第二の面と接触するように構成された一つ以上の保持用構成要素を介して基板を保持する段階と、基板及びプロセス要素が互いに相対的に移動するように基板及びプロセス要素の少なくとも一つを移動させる段階とを備える。一実施形態では、本方法は更に、少なくとも一つの保持用構成要素がプロセス要素に接触しないようにプロセス中に少なくとも一つの保持用構成要素を動かす段階を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上述のように、本発明は、例えば基板を保持するための装置に関する。本発明の一実施形態は、上述のように、湿式処理中に基板を保持するためのチャックを含む。この特定の応用では、本発明の装置は、この湿式処理装置の動作に適合した動作パターンで、一つ以上のフィンガを待避させることができる。例えば、本発明の装置によって保持されている基板を流体容器上に走査させると、流体上または流体の近傍を通過するフィンガを、流体と接触しないような方法で流体から待避させることができる。このようなプロセスの一つでは、流体上にチャックが移動すると任意の形状及び周期の“波”が前後に伝播するハーモニックドライブが用いられて、流体の真上にある時に待避させられる(完全な待避位置は、例えば、駆動波の頂に対応可能である)。また、これに加えてまたはこれに代えて、特定の応用及び所望の効果に応じて、プロセスが進行する際にまたは異なるプロセス中にチャックのフィンガが他の位置または動きをとることもある。このような位置または動きの一つは、“オン”の位置にある(例えば、基板に接触して保持している)複数のフィンガを、“オフ”の位置にある(例えば、待避されていて基板に接触せず保持していない)他のフィンガと順に交代させることである。このような位置及び動きは、状態または駆動モードとも称され、多数の可能な位置及び動き(全てのフィンガが“オン”の位置にある(例えば、完全に掴んでいる)状態や、全てのフィンガが“オフ”の位置にある(例えば、掴んでいない)状態が含まれる)の単に一部であり、このような可能な位置及び動きの全てが本発明の対象である。
【0012】
保持用構成要素(例えば、フィンガ)を、ウェーハの側面で、ウェーハの底面(例えば、処理面)で、上面の僅かな部分で、またはこれらの組み合わせでウェーハと接触するように作製または配置することができる。チャック表面、フィンガまたは装置の他の構成要素がウェーハの上面(例えば非処理面)と顕著に接触しないようにすることが有利である。従って、本発明の多様な実施形態による保持装置は、上面(例えば、非処理面)、その特徴部、またはその上に堆積または製造された他の構造体に損傷を与える危険無く、下向きで基板を保持することができる。一実施形態では、上面(例えば非処理面)を、チャック自体の表面から、数マイクロメートルから数ミリメートルまでの幅広い範囲の間隔で離して保つことが可能である。また、これよりも大きいまたは小さい間隔も可能であり、本発明において意図されるものである。更に、本発明は、あらゆる形状、厚さまたは物質の基板に適用することを意図している。
【0013】
図1aは、本発明の一実施形態による保持装置の上面図であり、図1bは、図1aに示される保持装置の一部の拡大図である。図1a及び図1bは、移動可能に構成されたフィンガ2用の取り付けベースを提供するチャックプレート1を示す。ここで、フィンガ2は、例えば、プレート1の縁のスリット3の内側と外側にわたって振れるように構成されている。プレート1、フィンガ2及び他のチャックの構成要素は、用いられる用途及び用いられる環境に応じた適切な物質から作製可能である。
【0014】
図2a及び図2bは、保持装置の部分的な側断面図であり、図2aは、第一の位置または保持位置(例えば、基板20を保持または支持する)にあるフィンガ10を示し、図2bは、第二の位置または待避位置(例えば、基板20を保持または支持しないように間隔が空けられている)にあるフィンガ10を示す。フィンガ10はどのような形状でもよいが、図2aに示されるように保持位置にある際に保持されるべき基板の下部の平面内にあり、図2bに示されるように待避位置にある際に保持されるべき基板20の真下の平面の外にあることができるような形状であることが有利である。フィンガ10の移動はアクチュエータ40によって操作される。基板20は第一の(例えば、非処理)面35及び第二の(例えば処理)面37を有し得る。第一の(例えば非処理)面35は、機械的接触によって乱されることが望ましくない繊細な構造体または特徴部36を有し得る。このような構造体または特徴部36は、本発明の多様な実施系において、チャックプレート15と基板の第一の(例えば非処理)面35との間のギャップ30によって、保持装置の如何なる部分とも接触しないようにすることができる。図示されている実施形態においては、フィンガ10と基板20の第二の(例えば処理)面37との間の接触が、フィンガ10の端の鋭い先端部25によって成され、これによって、接触部分が最小化され、また、プロセス流体の毛細管現象による取り込み(プロセス流体とフィンガ10との間の偶発的な接触の際に生じ得る)も最小化される。基板の上面(例えば非処理面)を更に保護するため、気体または流体を、ギャップ内に、周辺に、または適切な経路の組み合わせで循環させてもよい。
【0015】
一実施形態では、例えば、“WET PROCESSING USING A FLUID MENISCUS, APPARATUS AND METHOD”というタイトルの特許文献1(米国特許出願第09/675029号)に開示されているような流体メニスカス(fluid meniscus)上を走査させるように基板20を移動させる際に、フィンガ10が、基板20の第一の(例えば、処理)面から離れることが可能である。図3a及び図3bは、保持装置のフィンガが動作中に動かされる例示的なプロセスを示す。図3aを参照すると、基板20は、チャックプレート15の多様なフィンガ110、120、130、140、150によって保持される。基板20及び液体メニスカス105を互いに相対的に移動させると(基板20と液体メニスカス105のどちらか一方及び/又は両方が移動していてもよいことは認識されたい)、基板20の特定の領域が液体メニスカス105に近づく。結果として、適切なフィンガの一つまたは複数(この場合、フィンガ120)が待避されて、このフィンガが液体メニスカス105に接触せず、液体メニスカス105に影響を与えない。他のフィンガ110、130、140、150は基板20を支持したままである。図3bを参照すると、基板20及び液体メニスカス105を互いに相対的に移動させ続けると(ここでも、基板20と液体メニスカス105のどちらか一方及び/又は両方が移動してもよいことは認識されたい)、基板20の異なる領域が液体メニスカス105に近づく。結果として、別のフィンガの一つまたは複数(この場合、フィンガ140)が待避されて、このフィンガが液体メニスカス105に接触せず、液体メニスカス105に影響を与えない。フィンガ120は保持位置に戻されている。また、他のフィンガ110、130、150は、基板20を支持する保持位置のままである。勿論、多様なフィンガの個別の待避位置の内外への移動が、多くの異なる因子(例えば、メニスカスのサイズ及び形状、基板のサイズ及び形状、基板及び/又は液体メニスカスの互いの相対的な移動、プロセスが行われる速度等)に依存する多くの想定可能なパターンに従うものであり、これら全ても本発明の一部であると考えられるものであることは認識されたい。
【0016】
例えば、本発明の一実施形態では、複数のフィンガを、個別の待避位置の内外に連続的に移動させることができ、波状(例えば、流体チャネルの上または近傍に位置するノード、頂、谷間を有する)に動く。このような動きに従う場合、フィンガは、基板が液体チャネルに近づく際に待避し始め、液体チャネルの大体上で完全に待避位置に達し、フィンガが液体チャネルを通過した後に、基板の第一の(例えば処理)面に接触するように戻る。このような実施形態では、波状の動きの波長及び周期は、プロセスの要求並びにその形状の詳細に応じて変更可能である。また、採用される動きに制限はなく(例えばプロセスパラメータ以外)、あらゆる種類の動作パターンが本発明の一部であると考えられる。
【0017】
図4は、本発明の一実施形態による保持装置の側面図である。本実施形態では、チャック取り付けプレート340は、これに取り付けられたフィンガ取り付け部360を有する。フィンガ350は、フィンガ取り付け部360に取り付けられている。フィンガ350及び/又はフィンガ取り付け部360は個別のアクチュエータ300に取り付けまたは結合されている。アクチュエータ300はハブ330に結合されている。ハブ330は、採用されたアクチュエータ300の種類に応じて、フィンガ350を移動させるためアクチュエータ300を作動させるために用いられる空気圧、真空、電力、信号、または他の入力及び出力を提供し得る。ハブ330はシャフトまたはモータ320に取り付けられるか、または、“ヘッド”370に対して適切な他の配置で取り付けられる。“ヘッド”370は、プロセスまたは応用に適した機器または装置に取り付けられる。ハブ330が回転するような特徴を有する場合には、ハブ330が回転する際にハブ330に電力または信号を供給する回転フィードスルー310を、ハブ330に取り付けることができる。プロセスに応じて、保持装置の一つ以上の構成要素(例えばフィンガ)を動かすのに適した種類のアクチュエータを採用することができ、空気式、圧電式、電気拘束式、電磁式、モータ、形状記憶合金等のものが挙げられる。内部パーツの設計に関する他の多くの機械的構成も想定可能であり、その全てが本発明の対象であると考えられ、いずれかの種類の適切なアクチュエータによるフィンガの直接駆動が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0018】
図5は、本発明の一実施形態による保持装置の部分的な断面図である。本実施形態では、形状記憶合金(“マッスルワイヤ”としても他の商品名によっても知られている)がアクチュエータとして採用されている。形状記録合金を採用し得るのは、その高い力対体積比、小型性、単純性、応答時間による。本実施形態では、形状記憶合金400(この場合、ワイヤ形状を有するが、例えばロッド等の他の形状を代わりに有してもよい)が、その一方の端430はフィンガに取り付けられ、その他方の端440がハブ420に取り付けられている。フィンガを動かすため、形状記憶合金ワイヤ400の一部に取り付けられた導線410を介して、形状記憶合金ワイヤ400に電流が印加される。電流がワイヤ400を加熱し、寸法を変化させるので、フィンガが動く。所望の範囲の動きは、フィンガ及びアクチュエータを接続するフィンガ取り付け部430(例えばレバーアーム)を変更することによって達成可能である。同様に、上述の構成のために、適切な種類のアクチュエータを追加的にまたは代替的に使用することが可能であり、特に、空気式、電気式、圧電式、ピエゾ抵抗式、磁気式のものが挙げられる。
【0019】
多様な因子(特に、接触の所望の位置、接触の所望の領域、所望の接触点の数、基板の形状、基板の剛性、基板の厚さ等)に依存して、フィンガが様々な形状のものになり得ることは認識されたい。このような形状のいくつかを図6aから図6cに示す。例えば、図6aに示される本発明の一実施形態による側面接触フィンガ510は、基板500の側面(側面とは、基板500の最も外側の円周表面を称す)上で主にまたは排他的に基板500と接触し、基板500の下方に位置する部分511を含む。図6bに示される本発明の他の実施形態による側面及び底面接触フィンガ520は、基板の側面及び底面(例えば非処理面)の両方において基板500と接触する。他方、図6cに示される本発明の更に他の実施形態による側面のみ接触フィンガ530は、基板の他の点と接触することなく側面において基板500と接触する。他の多くの構成、形状、接触方式及びこれらの組み合わせも想定可能であり、その全てが本発明の一部であると考えられる。
【0020】
本発明の多様な実施形態による基板を保持するための装置及び方法は、多数の異なる応用を有し得る。多数の応用が想定可能ではあるが、本発明の特定の実施形態においては、従来の基板保持装置とのあからさまな比較において、基板の処理面を下向きで基板を保持する有効な装置及び方法が提供される。これは特に、第二の(例えば、処理)面が液体(腐食性であることが多い)に晒される一方で第一の(例えば、非処理)面が液体に晒されることが望ましくない湿式処理応用において有利である。
【0021】
本願で開示される装置及び方法は、現在採用されている当該分野の応用の多様な状態に対して特に有益である。例えば、“WET PROCESSING USING A FLUID MENISCUS, APPARATUS AND METHOD”というタイトルの特許文献1(米国特許出願第09/675029号)に開示される湿式処理装置及び方法は、本発明から大いに恩恵を受け得る。同様に、下向きの構成を採用する他のプロセスも恩恵を受け得る。
【0022】
また、本発明の装置及び方法は、特定の表面(例えば、基板の前面または非処理面)上の特徴部の壊れ易い性質によりこの特徴部との機械的な接触を避けるべきである基板を、処理するのに用いるのにも有利である。このような基板には、MEMS、オプトエレクトロニクス、メモリ、太陽電池、CMOS等の成長し続けている分野の装置が含まれる。このような基板の処理は、従来の装置の基板取り扱い性能では困難を伴った。何故ならば、このような従来の装置を用いたのでは、汚染、破損、低い歩留まり、または、このような装置の製造における特定の重大な段階を実施することが単純に不可能であるということに繋がることが多々あったからである。
【0023】
また、本発明の装置及び方法は、基板の前面(例えば、非処理面)上に異様に大きな特徴部を備えた基板を処理するのに用いるのにも有利である。このような異様に大きな特徴部によって、従来の非接触チャックで特定の基板を取り扱うことが妨げられてきた。バンプウェーハはこのような成長している分野の基板の一つである。更に、本発明の装置及び方法によって、基板の前面(例えば、非処理面)上に異様に繊細な特徴部を備えた基板を処理することができるようになる。その処理は、従来の非接触チャックには適さないものである。MEMS基板はこのような成長している分野の一つである。
【0024】
本発明の装置を採用して、あらゆる種類の物質(例えば全ての固体及び半固体)、他のあらゆる物質、合成物、凝集物、または、本発明の構成によって保持可能な形状の物質を処理または取り扱うことができる。
【0025】
その多様な実施形態による本発明は、用いられるどのような目的に対しても、上述の装置及び方法の一つ以上を含み得て、更に、上述の組み合わせ、拡張または適合に起因する他の応用も含む。多くの実施形態、変形例及び組み合わせが想定可能であり、本発明の一部であると考えられる。例えば、適切な物質または物質の組み合わせを用いて、本発明の装置及び方法を使用できる。更に、適切な製造プロセスまたはプロセスのシーケンスを用いて、本発明の装置及び方法を使用できる。また、例えば、異なる形状、方法、物質、幾何学的形状または形体の構成要素を、このような構成要素が実質的に同一の目的を有するかどうか、及び/又は、実質的に同一の動作原理を用いて装置が動作するかどうかにかかわりなく用いて、本発明の装置及び方法を使用できる。また、本願で開示されるのとは異なるパターンまたは方法(全く動かない場合を含む)で動かされるフィンガまたは保持装置を用いて、本発明の装置及び方法を使用できる。例えば、装置の全体または一部が、回転、並進移動、上昇及び又は下降してもよく、または、これらの動きの一部または全てを含む組み合わせの動きを行ってもよい。更に、本発明の装置及び方法を、その発明の対象が基板を保持するものである他のプロセスを実施するためのより巨大なサブシステムまたは装置に組み込んでもよく、または、単独型装置として用いてもよい。また、本発明の装置及び方法を、本願で明確に開示していない他の応用に用いてもよい。フィンガの動き自体が基板の動き(例えば、回転、並進移動またはこれらの組み合わせ)を生じさせる一般的な場合も、本発明の対象であると考えられる。
【0026】
特定の好ましい実施形態に関連して、本発明を特に開示してきたが、多くの代替例、改変例、変形例が、上述の記載を踏まえて当業者に明らかであるということは自明である。従って、本願特許請求の範囲は、本発明の真の範囲及び精神に落とし込まれるあらゆる代替例、改変例、変形例を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1a】本発明の一実施形態による保持装置の上面図である。
【図1b】図1aに示される保持装置の一部の拡大図である。
【図2a】本発明の一実施形態による第一の位置または保持位置にあるフィンガを示す保持装置の部分的な側断面図である。
【図2b】本発明の一実施形態による第二の位置または待避位置にあるフィンガを示す保持装置の部分的な側断面図である。
【図3a】本発明の一実施形態による保持装置のフィンガが動作中に動かされる例示的なプロセスを示す。
【図3b】本発明の一実施形態による保持装置のフィンガが動作中に動かされる例示的なプロセスを示す。
【図4】本発明の一実施形態による保持装置の側面図である。
【図5】本発明の一実施形態による保持装置の部分的な側面図である。
【図6a】本発明の一実施形態による側面接触フィンガを示す。
【図6b】本発明の他の実施形態による側面及び底面接触フィンガを示す。
【図6c】本発明の更に他の実施形態による側面のみ接触フィンガを示す。
【符号の説明】
【0028】
1 チャックプレート
2 フィンガ
3 スリット
10 フィンガ
15 チャックプレート
20 基板
25 先端部
30 ギャップ
35 第一の面(非処理面)
36 構造体または特徴部
37 第二の面(処理面)
40 アクチュエータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の面と第二の面とを有する基板をプロセス中に保持するための装置であって、
前記基板の前記第一の面に顕著に接触することなく前記基板の前記第二の面に接触するように構成された一つ以上の保持用構成要素を備え、
少なくとも一つの前記保持用構成要素が、該少なくとも一つの保持用構成要素が前記プロセスに影響を与えないように、前記プロセス中に動かされるように構成されている、装置。
【請求項2】
前記基板がウェーハである請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ウェーハが半導体ウェーハである請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第一の面が上面である請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記上面が、該上面の上に少なくとも一つの構造体または特徴部を有し、前記一つ以上の保持用構成要素が前記プロセス中に前記構造体または特徴部と接触することを避ける請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第二の面が底面であり、該底面が前記プロセスに晒される請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記プロセスが、液体メニスカスが前記基板の底面に接触するメニスカスプロセスであり、前記液体メニスカス及び前記基板が互いに相対的に動かされて、前記液体メニスカスが前記基板の底面の連続的な部分に接触する請求項1に記載の装置。
【請求項8】
メニスカスプロセス中に動かされるように構成された少なくとも一つの前記保持用構成要素が、該少なくとも一つの保持用構成要素が液体メニスカスに接触しないように動かされる請求項1に記載の装置。
【請求項9】
二つ以上の前記保持用構成要素が、該二つ以上の保持用構成要素のそれぞれが前記液体メニスカスに接触しないように連続的に動かされる請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記保持用構成要素を動かすためのアクチュエータを更に備えた請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記アクチュエータは、空気式、圧電式、電気拘束式、電磁式、モータ及び形状記憶合金のうちの少なくとも一つである請求項10に記載の装置。
【請求項12】
第一の面と第二の面とを有する基板を処理する方法であって、
前記基板の前記第一の面に顕著に接触することなく前記基板の前記第二の面に接触するように構成された一つ以上の保持用構成要素を介して基板を保持する段階と、
前記基板及びプロセス要素が互いに相対的に移動するように前記基板及びプロセス要素の少なくとも一つを移動させる段階と、
少なくとも一つの前記保持用構成要素が前記プロセス素子と接触しないようにプロセス中に該少なくとも一つの保持用構成要素を動かす段階とを備えた方法。
【請求項13】
前記基板がウェーハである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ウェーハが半導体ウェーハである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第一の面が上面である請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記上面が、該上面の上に少なくとも一つの構造体または特徴部を有し、前記一つ以上の保持用構成要素がプロセス中に前記構造体または特徴部と接触することを避ける請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第二の面が底面であり、該底面が前記プロセス要素に晒される請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記プロセス要素が、前記基板の底面に接触する液体メニスカスであり、前記移動させる段階が、前記液体メニスカス及び前記基板が互いに相対的に移動するように前記液体メニスカス及び前記基板を移動させる段階を含み、前記液体メニスカスが前記基板の底面の連続的な部分に接触する請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記一つ以上の保持用構成要素が第一の保持用構成要素及び第二の保持用構成要素を含み、
前記第一の保持用構成要素が前記プロセス要素に接触しないように、前記第一の保持用構成要素を保持位置から待避位置に動かす段階と、
前記プロセス要素が前記第一の保持用構成要素に近接した前記基板の領域に接触しなくなった後に、前記第一の保持用構成要素を前記待避位置から前記保持位置に戻す段階と、
前記第二の保持用構成要素が前記プロセス要素に接触しないように、前記第二の保持用構成要素を保持位置から待避位置に動かす段階と、
前記プロセス要素が前記第二の保持用構成要素に近接した前記基板の領域に接触しなくなった後に、前記第二の保持用構成要素を前記待避位置から前記保持位置に戻す段階とを備えた請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記保持用構成要素を動かす段階が、アクチュエータで前記保持用構成要素を動かす段階を含む請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記アクチュエータで前記保持用構成要素を動かす段階が、空気式、圧電式、電気拘束式、電磁式、モータ及び形状記憶合金のアクチュエータのうちの少なくとも一つで前記保持用構成要素を動かす段階を含む請求項20に記載の方法。
【請求項1】
第一の面と第二の面とを有する基板をプロセス中に保持するための装置であって、
前記基板の前記第一の面に顕著に接触することなく前記基板の前記第二の面に接触するように構成された一つ以上の保持用構成要素を備え、
少なくとも一つの前記保持用構成要素が、該少なくとも一つの保持用構成要素が前記プロセスに影響を与えないように、前記プロセス中に動かされるように構成されている、装置。
【請求項2】
前記基板がウェーハである請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ウェーハが半導体ウェーハである請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第一の面が上面である請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記上面が、該上面の上に少なくとも一つの構造体または特徴部を有し、前記一つ以上の保持用構成要素が前記プロセス中に前記構造体または特徴部と接触することを避ける請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第二の面が底面であり、該底面が前記プロセスに晒される請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記プロセスが、液体メニスカスが前記基板の底面に接触するメニスカスプロセスであり、前記液体メニスカス及び前記基板が互いに相対的に動かされて、前記液体メニスカスが前記基板の底面の連続的な部分に接触する請求項1に記載の装置。
【請求項8】
メニスカスプロセス中に動かされるように構成された少なくとも一つの前記保持用構成要素が、該少なくとも一つの保持用構成要素が液体メニスカスに接触しないように動かされる請求項1に記載の装置。
【請求項9】
二つ以上の前記保持用構成要素が、該二つ以上の保持用構成要素のそれぞれが前記液体メニスカスに接触しないように連続的に動かされる請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記保持用構成要素を動かすためのアクチュエータを更に備えた請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記アクチュエータは、空気式、圧電式、電気拘束式、電磁式、モータ及び形状記憶合金のうちの少なくとも一つである請求項10に記載の装置。
【請求項12】
第一の面と第二の面とを有する基板を処理する方法であって、
前記基板の前記第一の面に顕著に接触することなく前記基板の前記第二の面に接触するように構成された一つ以上の保持用構成要素を介して基板を保持する段階と、
前記基板及びプロセス要素が互いに相対的に移動するように前記基板及びプロセス要素の少なくとも一つを移動させる段階と、
少なくとも一つの前記保持用構成要素が前記プロセス素子と接触しないようにプロセス中に該少なくとも一つの保持用構成要素を動かす段階とを備えた方法。
【請求項13】
前記基板がウェーハである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ウェーハが半導体ウェーハである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第一の面が上面である請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記上面が、該上面の上に少なくとも一つの構造体または特徴部を有し、前記一つ以上の保持用構成要素がプロセス中に前記構造体または特徴部と接触することを避ける請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第二の面が底面であり、該底面が前記プロセス要素に晒される請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記プロセス要素が、前記基板の底面に接触する液体メニスカスであり、前記移動させる段階が、前記液体メニスカス及び前記基板が互いに相対的に移動するように前記液体メニスカス及び前記基板を移動させる段階を含み、前記液体メニスカスが前記基板の底面の連続的な部分に接触する請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記一つ以上の保持用構成要素が第一の保持用構成要素及び第二の保持用構成要素を含み、
前記第一の保持用構成要素が前記プロセス要素に接触しないように、前記第一の保持用構成要素を保持位置から待避位置に動かす段階と、
前記プロセス要素が前記第一の保持用構成要素に近接した前記基板の領域に接触しなくなった後に、前記第一の保持用構成要素を前記待避位置から前記保持位置に戻す段階と、
前記第二の保持用構成要素が前記プロセス要素に接触しないように、前記第二の保持用構成要素を保持位置から待避位置に動かす段階と、
前記プロセス要素が前記第二の保持用構成要素に近接した前記基板の領域に接触しなくなった後に、前記第二の保持用構成要素を前記待避位置から前記保持位置に戻す段階とを備えた請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記保持用構成要素を動かす段階が、アクチュエータで前記保持用構成要素を動かす段階を含む請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記アクチュエータで前記保持用構成要素を動かす段階が、空気式、圧電式、電気拘束式、電磁式、モータ及び形状記憶合金のアクチュエータのうちの少なくとも一つで前記保持用構成要素を動かす段階を含む請求項20に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【公表番号】特表2009−517866(P2009−517866A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542468(P2008−542468)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/045353
【国際公開番号】WO2007/062199
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ハーモニックドライブ
【出願人】(508153659)マテリアルズ・アンド・テクノロジーズ・コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/045353
【国際公開番号】WO2007/062199
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ハーモニックドライブ
【出願人】(508153659)マテリアルズ・アンド・テクノロジーズ・コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】
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