説明

基板上のLTCC感光性テープの適用例で使用される導体組成物

【課題】感光性テープオン基板(PTOS)の適用例で有用な、厚膜導体組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、厚膜組成物全体に対し、(a)1種または複数の電気的機能性粉末を70から98重量%、(b)ガラスフリットを0.5から10重量%、(c)無機ホウ化物を0.5から6重量%、およびこれらを分散させた(d)有機媒体を含む、厚膜導体組成物を対象とする。この組成物は、PTOS適用例において、ビア充填剤および/または内層導体組成物として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上の感光性テープ(PTOS)の適用例で有用な、厚膜導体組成物に関する。詳細には、本発明の一実施形態は、PTOS法によるセラミック多層回路の形成に使用される、ビアフィルとしての、前記導体組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、電子回路全般、多層セラミック相互接続回路基板、圧力センサ、燃料電池、セラミック製品のカスタム化、および焼成パターン入り工芸品の創作など、数多くの適用例に役立てることができるが、多層相互接続回路基板の製造に特に有用である。本発明の背景を、セラミック相互接続回路基板について、従来技術の特定の例として、以下に述べる。
【0003】
相互接続回路基板は、電気的および機械的に相互接続されたいくつかの小さい回路素子で作製された、電子回路またはサブシステムを、物理的に具現化したものである。これらの多様なタイプの電子部品は、単一のコンパクトなパッケージ内で物理的に分離しかつ互いに隣接して取り付けることができるように、さらに互いにおよび/またはパッケージから延びる共通の結線に電気的に接続できるように、1つの配置構成に組み合わせることがしばしば望ましい。
【0004】
複合電子回路は、一般にその回路を、絶縁誘電体層により分離されたいくつかの導体層で構成する必要がある。導電層は、誘電体層内を通るビアと呼ばれる導電性経路によって、各レベル間で相互に接続される。そのような多層構造は、回路をよりコンパクトにし、かつより稠密な回路機能を有することができる。
【0005】
多層相互接続回路を構成するための、1つの周知の方法は、剛性のセラミック絶縁基板上に、パターン入りスクリーンメッシュを通して厚膜導体および絶縁誘電体を順次印刷し焼成するものである。剛性基板は、機械的な支持、寸法安定性をもたらし、パターン入り厚膜導体および誘電体層の位置合わせを容易にする。しかし厚膜プロセスは、スクリーンメッシュを通した印刷が、誘電体層にピンホールまたはボイドをもたらす可能性があり、それが導体層間で短絡を引き起こす可能性がある点で、不利である。印刷操作中に十分なペースト流動が可能になるように、したがってピンホールを形成する傾向が最小限に抑えられるように厚膜誘電体を配合する場合、ビアホールへの誘電体ペーストの流動によって、小さいビアを維持することが危うくなる。また、各層ごとに印刷ステップと焼成ステップとを繰り返すことは、時間がかかり費用もかかる。
【0006】
多層相互接続回路を構成するための別の方法では、厚膜導体と、有機ポリマー結合剤中に分散させた無機誘電体粉末を含むグリーン誘電体シートとを用いる。ビアは、機械穿孔またはレーザドリル加工によって、個々のシートに形成する。ビアを含む誘電体シートを、表面に導体パターンが形成されている寸法安定性のある絶縁基板に位置合わせして積層し、その誘電体を焼成する。次に、ビアを金属化し、ビアに位置合わせした状態で、誘電体層の露出表面に第2の導体層を形成する。誘電体テープ層を付加し、金属化し、焼成する(すなわち、次の層を付着させる前に各層を焼成する)という一連のステップを、所望の回路が得られるまで繰り返す。寸法安定性のある基板に従来のプレス積層法によって順次積層された、グリーン誘電体シートを利用するプロセスについては、文献にさらに記載されている(例えば、特許文献1および2参照)。シート形態の誘電体を使用することによって、厚膜ペースト誘電体の印刷および流動に関する欠点が回避される。しかし、機械式およびレーザ手段によるビアの形成は、時間がかかると共に費用もかかる。また、異なるシートにおけるビアアレイの位置合わせは難しく、機械穿孔によって、ビア周囲のシートに応力がかかり、当該シートが変形する。
【0007】
Suessによる文献は(例えば、特許文献3参照)、感光性セラミック誘電体シート組成物と、前記シートを使用した多層相互接続回路の製造について開示している。このシートは、自立形であり、NaCOの希釈水溶液で現像可能である。Suessによる組成物は、「結合剤ポリマーに対して少量の可塑剤が、結合剤ポリマーのより低いガラス転移温度(Tg)に役立つこと、さらに、そのような材料の使用は、そこから流延された膜を焼成するときに除去しなければならない有機材料の量を低減させるために、最小限に抑えるべきこと」を教示している。Suessは、多層相互接続回路で使用される感光性テープ組成物を提供するが、高速製造のための方法は提供していない。
【0008】
さらに当技術分野は、文献に記載されるように(例えば、Steinbergの特許文献4、Mikeskaの特許文献5、Fasanoの特許文献6、およびShepherdの特許文献7参照)、多層回路の形成中にxy収縮を制御するための、様々な方法を教示している。しかし、これら方法のそれぞれは、従来のプレス積層(一軸、アイソスタティックを含む)法を利用し、高速製造をもたらすことができない。したがって、なおx,y収縮を制御しながら新規な高速製造方法で使用することのできる、セラミック誘電体シート組成物の必要性が存在する。
【0009】
最近、ある文献では(例えば、"Method of Application of a Dielectric Sheet and Photosensitive Dielectric Composition(s) and Tape(s) used Therein"という名称の、Bidwell他の米国特許出願第10/910126号明細書参照)、多層相互接続回路の製造方法および関連する組成物が開発され、「基板上の感光性テープ(PTOS)」と呼んでいるが、これは下記の進展を組み合わせたもので、すなわち(1)(a)積層後のビアおよび/または回路アレイの素早いパターニング、(b)速い現像および露光時間での、優れた感光性誘電体組成物シート(またはテープ)、(c)高温積層処理、(d)優れた接着特性、および(e)従来の炉内焼成による高速製造法、同時に行われる(2)x,y収縮の0または0付近への制御、(3)鉛フリーおよび/またはカドミウムフリーのシート組成物の提供、(4)ミスを犯した場合の、機能層を交換する能力の提供、および(5)優れた誘電特性を持つ誘電体組成物の提供が含まれる。
【0010】
その他のLTCC誘電体テープおよび電子回路製造方法とは異なって、PTOS適用例において開発されたビアは「アンダーカット」を示し、ビアのキャビティサイズは、焼成によって20%まで増大する傾向がある。従来技術のLTCCビアを満たす導体組成物は、典型的な場合、焼結されて稠密になり、焼成中に、ビアの導体体積の減少がもたらされる。その結果、従来技術の導体組成物は、PTOS適用例でのビア充填組成物として使用する場合、ビア導体とその周囲のセラミックスとの間の接続性を失う傾向があり、およびかつ/または表面および/または内層の導体ラインとの接続性を失う傾向がある。
【0011】
【特許文献1】米国特許第4655864号明細書
【特許文献2】米国特許第4654552号明細書
【特許文献3】欧州特許第0589241号明細書
【特許文献4】米国特許第4654095号明細書
【特許文献5】米国特許第5085720号明細書
【特許文献6】米国特許第6139666号明細書
【特許文献7】米国特許第6205032号明細書
【特許文献8】米国特許第5210057号明細書
【特許文献9】米国特許第2760863号明細書
【特許文献10】米国特許第2850445号明細書
【特許文献11】米国特許第2875047号明細書
【特許文献12】米国特許第3097096号明細書
【特許文献13】米国特許第3074974号明細書
【特許文献14】米国特許第3097097号明細書
【特許文献15】米国特許第3145104号明細書
【特許文献16】米国特許第3427161号明細書
【特許文献17】米国特許第3479186号明細書
【特許文献18】米国特許第3549367号明細書
【特許文献19】米国特許第4162162号明細書
【特許文献20】米国特許第3380381号明細書
【特許文献21】米国特許第2927022号明細書
【特許文献22】米国特許第5049480号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の発明者等は、従来技術の導体組成物に関連したこれら接続性の問題を克服することができる、ビア充填組成物として使用してよい優れた導体厚膜ペースト組成物と、焼成後にビア充填組成物とその周囲のセラミックスとの結合を維持し、かつ表面および内層の導体ラインの結合も維持することによる、そのPTOS適用例での使用を提供した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、厚膜組成物全体に対し、(a)1種または複数の電気的機能性粉末を70から98重量%、(b)ガラスフリットを0.5から10重量%、(c)無機ホウ化物を0.5から6重量%、およびこれらを分散させた(d)有機媒体とを含む、厚膜導体組成物を対象とする。この組成物は、PTOS適用例で、ビア充填および/または内層導体組成物として有用である。
【0014】
本発明はさらに、前記組成物が、有機媒体を揮発させかつガラスフリットが焼成されるように焼成された、前記組成物を含む、電子回路も含めたこれらの形成方法および構造を対象とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
I.厚膜導体組成物
本発明の厚膜導体組成物は、無機成分および有機媒体からなる。導体組成物は、厚膜ビア充填組成物として特に有用であるが、いくつかの適用例では、内層導体組成物として役立てることもできる。さらにこの組成物は、いくつかの適用例で、ビア充填および内層組成物として利用することができる。
【0016】
本発明の厚膜導体組成物の主成分は、(1)電気機能性粉末、(2)ガラスフリット(ガラス組成物)、(3)無機ホウ化物、およびこれらが分散された(4)有機媒体である。本発明の無機成分は、(1)電気機能性粉末、ガラスフリット(ガラス組成物)、および(3)無機ホウ化物を含む。無機結合剤は、さらに、耐火性無機酸化物などの追加の無機酸化物結合剤を含むことができる。これらの成分について、以下に論じる。
【0017】
A.電気機能性粉末
一般に、厚膜組成物は、適切な電気機能特性を組成物に与える機能相を含む。機能相は、組成物を形成する機能相の担体として働く有機媒体中に分散された、電気機能性粉末を含む。組成物を焼成して有機相を焼却し、無機結合剤相を活性化して、電気機能特性を与える。焼成前に、印刷部分を乾燥して揮発性溶媒を除去する。「有機(物)」は、厚膜組成物のポリマーまたは樹脂成分、ならびに溶媒、および界面活性剤など少量の追加の有機成分を表すのに使用される用語である。
【0018】
本発明の厚膜組成物中の電気機能性粉末は、導電性粉末であり、単一タイプの金属粉末、金属粉末の混合物、合金、またはいくつかの元素の化合物を含むことができる。金属粉末の粒径および形状は、付着方法に適したものである限り、特に重要ではない。そのような粉末の例には、金、銀、白金、パラジウム、およびこれらの組合せが含まれる。本発明の電気機能性粉末は、D50が約10ミクロン未満という典型的なサイズを有する。典型的な場合、電気機能性粉末は、厚膜組成物全体の70から98重量%の量で存在する。
【0019】
B.ガラスフリット(ガラス組成物)
本発明のビア充填組成物に有用なガラスフリットは、Ca、Mg、Ti、Na、K、およびFeなどの陽イオンを含有するアルミノホウケイ酸ガラスである。一実施形態では、ガラスフリットは、日本電気硝子(株)製の、EF/F005などの商品番号Eガラスである。
【0020】
フリットおよび酸化物の粒径は、厳密に重要なものではなく、本発明で有用な材料は、典型的な場合、約0.5から約15.0μm、好ましくは約1から8μm、最も好ましくは1から約4μmの平均粒径を有することになる。
【0021】
ガラスフリットは、基板、特にLTCC基板に対して、適正な焼結、濡れ、および接着が行われるよう、組成物を所望の温度(典型的な場合、750〜900℃、特に850℃)で焼成できるようにするために、約350℃から840℃の間の軟化点を有することが好ましい。一実施形態では、ガラスフリットの軟化点は、820℃から840℃の範囲内にあり(log粘度7.6)、910℃から925℃の範囲内にある(log粘度6)。高融点フリットおよび低融点フリットの混合物は、導電性粒子の焼結特性を制御するのに使用できることが、わかっている。1種または複数の異なるガラスフリット組成物を、本発明で使用することができる。ガラスフリットは、厚膜組成物全体の0.5から10重量%の量で、厚膜組成物中に存在する。一実施形態では、ガラスフリットは、厚膜組成物全体の1から5重量%の量で存在する。
【0022】
本明細書で使用する「軟化点」という用語は、ASTM C338−57の繊維伸張法によって得られた軟化温度を指す。
【0023】
ガラス結合剤(ガラスフリット)は、所望の成分(またはその前駆体、例えばBの場合にはHBO)を所望の割合で混合し、その混合物を加熱して溶融物を形成することによる、従来のガラス作製技法によって調製する。当技術分野で周知のように、加熱は、ピーク温度になるまで、かつ溶融物が完全に液体になってもなお気体発生が停止しているような時間だけ、実施する。ピーク温度は、一般に1100℃から1500℃の範囲内であり、通常は1200℃から1400℃である。次いで溶融物を急冷するが、これは、典型的な場合には低温ベルト上に注ぐことにより、または低温流水中に注ぐことにより、この溶融物を冷却することによって行う。次いで粒径の減少は、望む通りにミリングによって実現することができる。
【0024】
その他の遷移金属酸化物を、無機結合剤の全てまたは一部として用いてもよい。亜鉛、コバルト、銅、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、チタン、マンガン、および鉄の酸化物または酸化物前駆体が、本発明では有用である。これらの添加剤は、接着性を改善する。
【0025】
C.無機ホウ化物
本発明の厚膜組成物は、さらに、1種または複数の無機ホウ化物を、全組成物の0.5から6重量%の量で含む。そのような無機ホウ化物の例には、チタンのホウ化物、ジルコニウムのホウ化物、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定するものではない。ホウ化物は、焼成によって酸素と反応し、酸ホウ化物および/または酸化ホウ素に密着している金属酸化物を形成し、その結果、親である金属ホウ化物よりも大きい分子体積/単位格子体積になることが考えられる。
【0026】
D.有機媒体
無機成分は、典型的な場合、印刷に適切なコンシステンシーおよびレオロジーを有する「ペースト」と呼ばれる粘性組成物が形成されるよう、機械混合によって有機媒体と混合する。広く様々な不活性液体を、有機媒体として使用することができる。有機媒体は、適切な安定度で無機成分が分散可能であるものでなければならない。媒体の流動学的性質は、組成物に良好な付着特性を与えるものでなければならず、これには、固形分の安定な分散、スクリーン印刷に適切な粘度およびチキソトロピー、許容可能な未焼成の「グリーン」強度、基板およびペースト固形分の適切な濡れ性、良好な乾燥速度、および良好な焼成特性が含まれる。有機媒体は、典型的な場合、ポリマーを溶媒に溶かした溶液である。さらに、界面活性剤など少量の添加剤を、有機媒体の一部にすることができる。この目的で、最も頻繁に使用されるポリマーは、エチルセルロースである。エチルヒドロキシエチルセルロース、ウッドロジン、エチルセルロースとフェノール樹脂との混合物、低級アルコールのポリメタクリレート、およびエチレングリコールモノアセテートのモノブチルエーテルを含む、ポリマーのその他の例を使用することもできる。厚膜組成物中に見出される、最も広く使用される溶媒は、エステルアルコール、α−またはβ−テルピノールなどのテルペン、あるいはこれらと、ケロシン、ジブチルフタレート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ヘキシレングリコール、および高沸点アルコールおよびアルコールエステルなどのその他の溶媒との混合物である。さらに、基板に付着した後の素早い硬化を促進させる揮発性液体を、ビヒクルに含めることができる。これらおよびその他の溶媒の様々な組合せは、所望の粘度および揮発性要件が得られるように、配合される。
【0027】
厚膜組成物中の有機媒体と、分散体中の無機成分との比は、ペーストを付着させる方法および使用する有機媒体の種類に依存し、様々に変えることができる。通常、分散体は、無機成分を70〜98重量%、および有機媒体(ビヒクル)を2〜30重量%含有することになる。
【0028】
E.任意選択の無機成分
本発明のビア充填組成物は、耐火性無機酸化物などの任意選択の無機成分を、さらに含むことができる。可能な任意選択の無機耐火性酸化物の例には、Al、ZrO、TiOなど、およびこれらの混合物が含まれる。これらの耐火性酸化物は、「焼結抑制剤」として働く。
【0029】
図1は、本発明の厚膜導体組成物(85Bとされるビア充填導体として)およびその他の市販の導体組成物(E.I.du Pont de Nemours and Companyから市販されている製品番号QM18およびQS300、Delphi Electronicsから市販されている製品番号1198)を利用するPTOS部品に関し、その抵抗率特性に対する、繰り返される焼成の効果と熱サイクルインターバルの効果との両方について詳述する。
【0030】
II.基板上の感光性テープ−誘電体テープ組成物
以下に述べる誘電体厚膜テープ組成物およびその適用例は、参照により本明細書に援用される文献(例えば、Bidwellの米国特許出願第10/910126号明細書参照)に詳述されている。本発明のビア充填厚膜導体組成物は、以下に特定される誘電体テープ組成物を利用したPTOS適用例に、特に有用である。
【0031】
(無機結合剤)
無機結合剤は、理想的な場合、非反応性であるべきだが、実際には系内の他の材料に対して反応することができる。この結合剤は、所望の電気絶縁特性を有するように、かつ本体内のいかなるセラミック固形分(充填剤)に対しても適切な物理的性質を有するように選択される。
【0032】
無機結合剤および任意のセラミック固形分の粒径および粒度分布は、厳密に重要ではなく、これらの粒子は、そのサイズが通常は0.5から20μmの間になる。フリットのD50(中央粒径)は、好ましくは1から10μmの範囲であり、より好ましくは1.5から5.0μmの範囲であるが、これに限定するものではない。
【0033】
無機結合剤に好ましい基本的な物理的性質は、(1)本体内のどのセラミック固形分よりも低い焼結温度を有すること、および(2)使用する焼成温度で粘性相が焼結されることである。
【0034】
本発明の組成物のガラスは、非晶質で一部結晶化可能なアルカリ土類ケイ酸亜鉛ガラス組成物の系統である。これらの組成物は、本明細書に援用する文献(例えば、Haun他の特許文献8参照)に開示されている。
【0035】
Haun他は、本質的に、図面の図2の重量点g〜lで画定される領域内に包含される組成物からなる、非晶質の一部結晶化可能なアルカリ土類ケイ酸亜鉛ガラスを開示しているが、この図において、(1)αは、組成物が少なくとも0.5%のZrOを含有することを前提に、3%以下のAl、6%以下のHfO、4%以下のP、10%以下のTiO、6%以下のZrO、およびこれらの混合物からなる群から選択された、ガラス形成剤または条件付きガラス形成剤に混合されたSiOであり、(2)βは、組成物が15%以下のMgOおよび6%以下のBaOを含有することを前提に、CaO、SrO、MgO、BaO、およびこれらの混合物から選択されたアルカリ土類であり、(3)γは、ZnOであり、このときの点g〜lの軌跡は、下記の通りである:点g−α 48.0、β 32.0、γ 20.0;点h−α 46.0、β 34.0、γ 20.0;点i−α 40.0、β 34.0、γ 26.0;点j−α 40.0、β 24.0、γ 36.0;点k−α 46.0、β 18.0、γ 36.0;点k−α 46.0、β 18.0、γ 36.0;点l−α 48.0、β 19.0、γ 33.0。
【0036】
Haun他は、上記段落で記述したガラスについてさらに開示しており、すなわちαは、Alを3%、BaOが存在する場合にはその%の2/3を加えた割合まで含有し、ガラス組成物全体に対して48%およびBaOの%を加えた割合以下を構成し;βは、BaOを6%まで含有し、ガラス組成物全体に対して33%およびBaOが存在する場合にはその%の1/2を加えた割合以下を構成し;γは、36%、およびBaOが存在する場合にはその%の1/3を差し引いた割合以下を構成する。
【0037】
Haun他は、AlPOまたはAlPとして添加された、AlおよびPの両方をさらに含有する、上述のガラスについてさらに開示する。
【0038】
本発明の、Pbフリー、Cdフリーのある実施形態で利用されたガラスは、モル%でSiOを46〜66%、Alを3〜9%、Bを5〜9%、MgOを0〜8%、SrOを1〜6%、CaOを11〜22%、アルカリ元素の群の酸化物およびこれらの混合物から選択されたMを2〜8%含む、アルカリ−アルカリ土類−アルミノ−ホウケイ酸ガラス組成物に関する。アルカリ元素は、周期表のIA族に見られる。例えばアルカリ元素の酸化物は、LiO、NaO、KO、およびこれらの混合物から選択することができる。SrO/(Ca+MgO)のモル比は、約0.06から約0.45の間である。この比の範囲は、本発明のLTCCテープと併せて使用される導体材料に適合する性質が、確実である必要がある。
【0039】
このPbフリーおよびCdフリーの実施形態では、ガラス中のアルカリおよびアルカリ土類改質剤の含量が、LTCCテープ材料の処理に極めて重要なガラス粘度の低下をもたらしながら、ガラスの熱膨張係数を増大させることが考えられる。アルカリ土類酸化物、BaOは、LTCCテープの作製に使用することができるが、低pH溶液中に浸出し易いことが原因で、耐薬品性を低下させることがわかっている。このような理由で、優れた耐薬品性は、アルカリ土類改質剤の場合、上記定義した比の限度内およびモル%内で見出される。酸化ストロンチウムは、テープの外層に付着される導体材料系に、優れたハンダ性および低い導体抵抗率を与える。ガラス中の酸化ストロンチウムの含量は、1モル%以上のレベルでガラス中に存在する場合に、この改善された導体性能を提供する。データは、1から6モル%のレベルが、改善された導体性能を提供することを示している。酸化ストロンチウムの好ましいレベルは、1.8〜3.0モル%である。グリーンテープに使用する場合、ガラス中にアルカリ酸化物を存在させることにより、熱処理条件に対するガラスの感受性は、テープの稠密化および結晶化の振舞いを制御することによって改善される。アルカリ添加の極めて重要な役割は、必要とされる流動および稠密化特性を、所望の焼成温度でテープに提供することである。必要とされるテープの物理的および電気的性質に影響を及ぼすことなく、ガラス粘度低下という機能が発揮される。ガラスの粘度特性を改質するのに使用されるアルカリイオンのタイプおよび量も、ガラス製のテープの電気損失特性に影響を及ぼす。
【0040】
本明細書に記述されるガラスは、いくつかのその他の酸化物成分を含有することができる。例えば、ZrO、GeO、およびPは、下記のように、すなわちガラス組成物全体に対するモル%でZrOが0〜4モル%、Pが0〜2%、およびGeOが0〜1.5モル%になるように、部分的にガラス中のSiOの代わりに使用することができる。さらに、ガラス組成物全体の0〜2.5モル%のCuOを、アルカリおよび/またはアルカリ土類成分の代わりに部分的に使用することができる。構成成分としてガラスを利用する、LTCCテープ配合物の適切性に関する要因は、導体と、テープの内部および表面の回路構成要素として利用される受動材料とに対して必要とされる適合性である。これには、テープの適切な熱膨張、適切なレベルの密度および強度の実現など、物理的な制約を含むが、この後者は、必要とされる熱処理温度範囲内でテープに提供されるガラス粘度の適切性によって、可能である。
【0041】
本明細書で記述するガラスは、従来のガラス作製技法によって製造される。より具体的には、ガラスは、下記の通り調製することができる。ガラスは、典型的な場合、500〜1000グラムの量で調製する。典型的な場合、複数の成分を計量し、次いで所望の割合で混合し、底部投入炉内で加熱して、白金合金坩堝内で溶融物を形成する。加熱は典型的な場合、ピーク温度(1500〜1550℃)で、かつ溶融物が完全に液体になり均質になるような時間で実施する。次いでガラス溶融物を、厚さ10〜20ミルのガラス小板が形成されるように、逆回転しているステンレス鋼ローラの表面に注ぐことによって急冷し、または水タンクに注ぐことによって急冷する。得られたガラス小板または水で急冷したフリットを、ミリング処理にかけることによって、その体積の50%が1〜5ミクロンの間に設定された粉末を形成する。得られたガラス粉末を、充填剤および媒体と配合して、厚膜ペーストまたは流延可能な誘電体組成物にする。
【0042】
ガラスは、テープに組み込まれた場合、同時焼成した厚膜導体材料に対して適合性がある。テープ中のガラスは、焼成によって過剰に流動しない。これは、セラミック充填剤、典型的にはAlと、ガラスとの間の反応によって開始される、ガラスの部分的な結晶化に起因する。部分結晶化に従ったままのガラスは、より耐火性あるガラスに変化する。このため、導体材料を有するテープの汚れがなくなり、厚膜導体材料に対するハンダの濡れまたは化学メッキが可能になる。ハンダの濡れ性は、セラミック回路とプリント回路基板上にあるような外部配線との接続を可能にするための、重要な特徴である。厚膜導体の化学メッキをテープの表層に付着させる場合、低pHメッキ浴であると、テープの表面からイオンが放出されて、メッキ浴を汚染する可能性がある。このため、テープ内に見られるガラスが、低pH溶液中での化学腐食によるガラス成分の放出を最小限に抑える。さらに、テープ内に見られるガラスは、強塩基溶液中での化学腐食によるガラス成分の放出も、最小限に抑える。
【0043】
(任意選択のセラミック固形分)
セラミック固形分は、本発明の誘電体組成物において任意選択のものである。添加する場合、セラミック固形分は、系内の他の材料に対して化学的に不活性になるように、かつ所望の電気絶縁性を有するように、かつこれら成分中の無機結合剤および感光性成分に対して適切な物理的性質を有するように、選択される。基本的に、固形分は、熱膨張および誘電定数などの性質を調節する充填剤である。
【0044】
誘電体中のセラミック固形分の最も望ましい物理的性質は、(1)無機結合剤の焼結温度よりも高い焼結温度を有すること、および(2)本発明の焼成ステップ中に焼結しないことである。したがって本発明の文脈において、「セラミック固形分」という用語は、本発明の実施に際して受けることになる焼成の条件下、本質的に焼結せずに、かつ無機結合剤に溶解する傾向が限られている、無機材料を指し、通常は酸化物を指す。
【0045】
上記基準に従うと、事実上任意の高融点無機固体を、誘電体テープのセラミック固形分成分として使用して、焼成後の誘電体の誘電性能(例えばK、DF、TCC)ならびに物理特性を変化させることができる。可能なセラミック充填剤添加物の例には、Al、ZrO、TiO、BaTiO、CaTiO、SrTiO、CaZrO、SrZrO、BaZrO、CaSnO、BaSnO、PbTiO、炭化ケイ素などの金属炭化物、窒化アルミニウムなどの金属窒化物、ムライトおよびカイアナイトなどの鉱物、キン青石、ジルコニア、苦土カンラン石、灰長石、ならびに様々な形態のシリカ、またはこれらの混合物が含まれる。
【0046】
セラミック固形分は、固形分に対して0〜50%の量で、誘電体組成物に添加することができる。充填剤のタイプに応じて、種々の結晶質相が焼成後に形成されると予測される。充填剤は、誘電定数および熱膨張特性を制御することができる。例えば、BaTiOを添加することにより、誘電定数を著しく高めることができる。
【0047】
Alは、ガラスと反応してAl含有結晶質相を形成するので、好ましいセラミック充填剤である。Alは、高い機械的強度、および有害な化学反応に対する不活性度をもたらすのに、非常に有効である。セラミック充填剤の別の機能は、焼成中の系全体の、流動学的制御である。セラミック粒子は、物理的障壁として動作することによって、ガラスの流動を限定する。このような粒子はガラスの焼結も抑制し、したがって、有機物のより良好な燃焼を促進させる。その他の充填剤、α石英、CaZrO、ムライト、キン青石、苦土カンラン石、ジルコン、ジルコニア、BaTiO、CaTiO、MgTiO、SiO、非晶質シリカ、またはこれらの混合物を、テープの性能および特性を変更するのに使用することができる。
【0048】
テープ組成物の配合において、セラミック(充填剤)材料の量に対するガラスフリット(ガラス組成物)の量は、重要である。10〜40重量%の充填剤の範囲は、十分な稠密化が実現されるという点で望ましいと考えられる。充填剤濃度が50重量%を超えた場合、焼成後の構造は十分に稠密化しておらず、非常に多孔質である。望ましいガラス/充填剤の比の範囲内では、焼成中に液体ガラス相が充填剤材料で飽和されることが、明らかになるであろう。
【0049】
焼成によって、組成物をより高度に稠密化するために、無機固形分が小さい粒径を有することが重要である。具体的には、粒子の実質的に全てが15μmを超えるべきではなく、好ましくは10μmを超えるべきではない。これら最大限のサイズの限定に従うと、ガラスとセラミック充填剤との両方の粒子の少なくとも50%は、1.0μmよりも大きくかつ6μm未満であることが好ましい。
【0050】
特定のタイプのガラスの化学的性質は、本発明の実施形態にそれほど重要ではなく、感光性テープが使用されることになる特定の適用例に応じて、広範な可能性ある成分を含有することができる。いくつかのガラス組成物について、下記の表1に詳述する。例えば、鉛ベースのガラスが許容される状況では、ガラスAなどのガラスを組み込むことができる。鉛含有ガラスは許容されないが、テープ組成物を850℃で焼成した後に高信頼性の誘電特性が依然として必要とされる適用例では、タイプ「B」のガラスを組み込むことができる。実施形態を適用することができる、広く可能性ある適用例にさらに関連して、ガラスCは、その使用される基板のタイプのため、すなわちソーダ石灰ガラス基板などのため、低焼成温度が必要な適用例に使用することができる化学的性質を示す。
【0051】
【表1】

【0052】
表2および3は、表1のガラス粉末「A」および「B」に関する、典型的な粒度分布(PSD)(単位:ミクロン)について詳述する。
【0053】
表2:ガラスA PSD、ミクロン(典型)
D(10) D(50) D(90) D(100)
0.774 2.118 4.034 9.25
0.832 2.598 5.035 11.00
【0054】
表3:ガラスB PSD、ミクロン(典型)D10 0.95〜1.05
D(10) 0.95〜1.05ミクロン
D(50) 2.4〜3.0ミクロン
D(90) 5.0〜6.5ミクロン
【0055】
(有機成分)
(ポリマー結合剤)
非晶質ガラス粉末および任意選択のセラミック無機固体粉末が分散している有機成分は、1種または複数のアクリルベースのポリマー結合剤、架橋しかつUV作用光での露光後に差異をもたらすことになる1種または複数の感光性アクリルベースのモノマー、光処理を促進させる1種または複数の開始剤、および1種または複数の可塑剤からなり、これら全ては、揮発性有機溶媒中に溶解するものである。「スラリ」、または全有機成分と、非晶質ガラス粉末および任意選択の無機「充填剤」添加物からなる無機粉末との組合せは、一般に当業者に「スリップ」と呼ばれ、任意選択で、離型剤、分散剤、剥離剤、消泡剤、安定剤、および湿潤剤など、その他の溶解した材料が含まれる。
【0056】
湿潤「スリップ」を、所望の厚さで適切な基材上に被覆し、かつ乾燥させて全ての低沸点溶媒を除去すると、感光性「テープ」が得られる。
【0057】
ポリマー結合剤は、本発明の組成物に極めて重要である。さらに、本発明のポリマー結合剤は、0.4%〜2.0重量%塩基(NaCOまたはKCO)の塩基水溶液中でテープを現像可能にし、UV化学線で露光したフィーチャを高解像度にし、さらに、流延テープの良好なグリーン強度、柔軟性、および積層特性をもたらす。ポリマー結合剤は、コポリマー、インターポリマー、またはこれらの混合物で作製され、コポリマーまたはインターポリマーのそれぞれは、(1)C1〜10アルキルアクリレート、C1〜10アルキルメタクリレート、スチレン、置換スチレン、またはこれらの組合せを含む非酸性コモノマーと、(2)エチレン系不飽和カルボン酸含有部分を含む酸性コモノマーとを含んでおり、このコポリマー、インターポリマーの混合物は、少なくとも15重量%の酸含量を有している。混合物は、コポリマー、インターポリマー、またはこの両方を含むことができる。酸性ポリマー結合剤は、塩基成分を含有する溶液によって現像しなければならない。
【0058】
組成物中に酸性コモノマー成分が存在することは、この技法では重要である。酸性官能基は、0.4〜2.0重量%の炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムの水溶液などの塩基水溶液中で、現像される能力を提供する。酸性コモノマーが10%未満の濃度で存在する場合、組成物は、塩基水溶液で完全に洗浄されない。酸性コモノマーが30%よりも高い濃度で存在する場合、組成物は、現像条件下での耐性が低く、部分的な現像が画像形成部分で生じる。適切な酸性コモノマーには、アクリル酸、メタクリル酸、またはクロトン酸などのエチレン系不飽和モノカルボン酸、およびフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ビニルコハク酸、およびマレイン酸などのエチレン系不飽和ジカルボン酸、ならびにそれらの半エステルと、場合によってはそれらの無水物、およびそれらの混合物が含まれる。
【0059】
非酸性コモノマーは、結合剤ポリマーの少なくとも50重量%を構成することが好ましい。好ましくはないが、ポリマー結合剤の非酸性部分は、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、スチレン、またはポリマーの置換スチレン部分の代わりとして、他の非酸性コモノマーを約50重量%まで含有することができる。その例には、アクリロニトリル、酢酸ビニル、およびアクリルアミドが含まれる。しかし、これらを完全に燃焼することはより難しいので、そのようなモノマーは、全ポリマー結合剤中、約25重量%未満で使用することが好ましい。
【0060】
結合剤として、単一のコポリマーまたはコポリマーの組合せを使用することは、これらが上記様々な基準を満足させる限り、認められる。上記コポリマーの他、その他のポリマー結合剤を少量添加することが、可能である。その例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびエチレン−プロピレンコポリマーなどのポリオレフィン、ポリビニルアルコールポリマー(PVA)、ポリビニルピロリドンポリマー(PVP)、ビニルアルコールとビニルピロリドンとのコポリマー、ならびにポリエチレンオキシドなどの低級アルキレンオキシドポリマーであるポリエーテルを挙げることができる。
【0061】
本明細書で述べるポリマーは、一般に使用される溶液重合技法によって、アクリレート重合の当業者により生成することができる。典型的な場合、そのような酸性アクリレートポリマーは、α−またはβ−エチレン系不飽和酸(酸性コモノマー)と、1種または複数の共重合性ビニルモノマー(非酸性コモノマー)とを、比較的低い沸点(75〜150℃)の有機溶媒中で混合して、10〜60%のモノマー混合物溶液を得、次いで重合触媒を添加し、かつその混合物を、標準圧下で溶媒の還流温度まで加熱することによってモノマーを重合することにより、生成される。重合反応が本質的に終了した後、生成された酸性ポリマー溶液を室温に冷却する。
【0062】
反応性分子、遊離基重合抑制剤、および触媒を、上述の冷却したポリマー溶液に添加する。この溶液を、反応が終了するまで撹拌する。任意選択で、反応を速めるために、溶液を加熱することができる。反応が終了し、反応性分子がポリマー主鎖に化学結合した後、ポリマー溶液を室温まで冷却し、サンプルを回収し、ポリマー粘度、分子量、および酸当量を測定する。
【0063】
(可塑剤)
可塑剤は、本発明のPTOS適用例で利用される誘電体厚膜テープに必要不可欠である。テープ中での可塑剤の使用は、柔軟な馴染み易いテープ組成物を提供することによって、熱間圧延積層が可能になるように、熱間圧延積層プロセスを引き起こす前、そのプロセスの間、およびそのプロセスを引き起こした後のいずれにおいても、テープのいくつかの性質を満足するよう最適化される。使用する可塑剤が多過ぎる場合、テープは一緒に粘着することになる。使用する可塑剤が少な過ぎる場合、テープは、処理中に剥がれる可能性がある。可塑剤は、組成物のポリマー結合剤と一緒になって、テープの所望の接着性をもたらすのに寄与し、したがって、テープフィルムが熱間積層によって基板に接着するのを可能にする。
【0064】
さらに、可塑剤は、結合剤ポリマーのガラス転移温度を低下させる役割をする。可塑剤とポリマー結合剤との比は、4:23から7:9の範囲内である。可塑剤は、乾燥したテープ組成物全体の1〜12重量%、より好ましくは2〜10重量%、最も好ましくは4〜8重量%の量で、全組成物中に存在する。
【0065】
可塑剤の選択は、当然ながら、改質する必要があるポリマーによって、主に決定される。様々な結合剤系で使用されてきた可塑剤の中には、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル、アルキルホスフェート、ポリアルキレングリコール、グリセロール、ポリ(エチレンオキシド)、ヒドロキシエチル化アルキルフェノール、ジアルキルジチオホスホネート、およびポリ(イソブチレン)がある。これらの中で、フタル酸ブチルベンジルは、比較的低い濃度で有効に使用することができるので、アクリルポリマー系で最も頻繁に使用される。好ましい可塑剤は、それぞれがポリプロピレングリコールジベンゾエートおよびポリエチレングリコールジベンゾエートであるVelsicol Company製のBENZOFLEX(登録商標)400ならびにBENZOFLEX(登録商標)P200である。
【0066】
(光開始系(光開始剤))
適切な光開始系は、熱的に不活性であるが、185℃以下の化学線で露光されると遊離基を発生するものである。「化学線」は、光線、紫線および紫外線、X線、またはその他の化学変化をもたらす放射線を意味する。ある光開始剤は、熱的に不活性であっても、化学線での露光によって、185℃以下の温度で遊離基を発生することができる。その例には、置換または非置換多核キノン、すなわち共役炭素環系内に2個の内部分子環を有する化合物、例えば9,10−アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、ベンズ(a)アントラセン−7,12−ジオン、2,3−ナフタセン−5,12−ジオン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、レテンキノン、7,8,9,10−テトラヒドロナフタセン−5−12−ジオン、および1,2,3,4−テトラヒドロベンズ(a)アントラセン−7,12−ジオンなどが含まれる。ある文献(例えば、特許文献9参照)では、85℃程度に低い温度であっても熱的に活性な、いくつかのその他の有用な光開始剤が開示された。それらは、ビシナル(ビシナル)ケタルドニルアルコール、例えばベンゾイン、ピバロイン、アシロインエーテルであって、例えばベンゾインメチルおよびエチルエーテルなど、ならびにα−メチルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、α−フェニルベンゾインなどのα炭化水素置換芳香族アシロインである。
【0067】
文献(例えば、特許文献10、11、12、13、14、15、16、17、および18参照)に開示されている光還元色素および還元剤、例えばフェナチン、オキサチン、およびキノンクラスのミヒラーのケトン(ミヒラーのケトン)、ベンゾフェノン、および水素供給剤を有する2,4,5−トリフェニルイミダゾールダイマーを、開始剤として使用することができる。また、文献(例えば、特許文献19参照)に開示されている増感剤も、光開始剤および光重合抑制剤と一緒に使用することができる。光開始剤の含量は、様々である。ある実施形態では、光開始剤の含量が、乾燥後の光重合テープフィルム層の全重量に対して0.02〜12重量%の範囲内である。他の実施形態では、光開始剤が0.1〜3重量%の範囲内で存在し、さらに別の実施形態では、光開始剤が0.2〜2重量%の範囲内で存在する。この実施形態の実施に際して、1つの特に有用な光開始剤は、Ciba Specialty Chemicals製のIrgacure(登録商標)369である。
【0068】
(光硬化性モノマー)
誘電体テープに使用される光硬化性モノマー成分は、少なくとも1つの重合性エチレン基を有する少なくとも1つの付加重合エチレンタイプの不飽和化合物で形成される。
【0069】
この化合物は、遊離基で作製され、次いで鎖に成長するが、これはポリマーが形成されるように付加重合にかけられるものである。モノマー化合物は、気状ではない。換言すれば、この化合物は100℃以上の沸点を有し、有機重合結合剤上で可塑化することができる。
【0070】
単独でまたは他のモノマーと組み合わせて使用することができる、適切なモノマーの例には、t−ブチルアクリレートおよびメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレートおよびジメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートおよびメタクリレート、エチレングリコールジアクリレートおよびジメタクリレート、1,4−ブタンジオールアクリレートおよびメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレートおよびジメタクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレートおよびメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレートおよびジメタクリレート、デカメチレングリコールジアクリレートおよびメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレートおよびジメタクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレートおよびジメタクリレート、グリセロールジアクリレートおよびジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートおよびジメタクリレート、グリセロールトリアクリレートおよびトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびメタクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリメタクリレートと、文献(例えば、特許文献20参照)に開示されているものと同じ化合物、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートおよびテトラメタクリレート、2,2−ジ−(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートおよびテトラメタクリレート、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシエチル−1,2−ジ−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、ビスフェノールAのジ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、ビスフェノールAのジ−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、ビスフェノールAのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、ビスフェノールAのジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、1,4−ブタンジオールのジ−(3−メタルキロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレートおよびジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレートおよびトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジアクリレートおよびジメタクリレート、1−フェニルエチレン−1,2−ジメタクリレート、ジアリルフマレート、スチレン、1,4−ベンゼンジオールジメタクリレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、および1,3,5−トリイソプロペニルベンゼンが含まれる。
【0071】
また、1〜10個のエーテル結合を有するC2〜15アルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールから製造されたアルキレンまたはポリアルキレングリコールジアクリレートなど、少なくとも300の分子量を有するエチレンタイプの不飽和化合物、ならびに文献(例えば、特許文献21参照)に開示されている化合物、特に末端結合として存在する場合に多数の付加重合エチレン結合を有するような化合物も、使用することが可能である。
【0072】
モノマーの好ましい例には、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリメタクリレート、エチル化ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、および1,10−デカンジオールジメチルアクリレートが含まれる。
【0073】
その他の好ましいモノマーには、モノヒドロキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量:約200)、およびポリエチレングリコール400ジメタクリレート(分子量:約400)が含まれる。不飽和モノマー成分の含量は、好ましくは乾燥した光重合テープフィルム層の全重量の2〜20重量%の範囲内であり、より好ましくは2〜12重量%であり、最も好ましくは乾燥テープフィルム層の2〜7%である。この実施形態の実施に際し、1つの特に有用なモノマーは、Sartomer Company製のアルコキシル化シクロヘキサンジアクリレートとしても知られるCD582である。
【0074】
(有機溶媒)
流延溶液の溶媒成分は、大気圧で比較的低いレベルの熱を加えることによって、分散体からの溶媒の蒸発を可能にするために、ポリマーの完全な溶解および十分に高い揮発性が得られるように選択する。さらに溶媒は、有機媒体中に含有される任意のその他の添加剤の沸点または分解温度よりも、十分低い温度で沸騰しなければならない。したがって、150℃よりも低い大気圧沸点を有する溶媒が、最も頻繁に使用される。そのような溶媒には、アセトン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、酢酸アミル、2,2,4−トリエチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート、トルエン、塩化メチレン、およびフルオロカーボンが含まれる。上述の個々の溶媒は、結合剤ポリマーに完全に溶解することができない。それでも、他の溶媒とブレンドすると、申し分なく機能する。これは、当業者の範囲内に十分含まれる。特に好ましい溶媒は、環境に有害なクロロカーボンの使用が避けられることから、酢酸エチルである。
【0075】
当技術分野で知られる追加の成分は、懸濁剤、安定剤、剥離剤、分散剤、剥離剤、消泡剤、および湿潤剤も含め、組成物中に存在させることができる。適切な材料の全般的な開示は、本明細書に援用される文献(例えば、特許文献22参照)に記載されている。
【0076】
(適用例)
(テープの調製)
本発明の組成物は、適切な基材上の湿潤スラリまたは「スリップ」として、フィルムを形成するのに使用する。この基材にしばしば使用される材料は、「マイラー」である。その他の可能な基材は、ポリプロピレン、ナイロンでよく、本発明の適用例に厳密には重要ではないが、本発明の満足のいく実施が可能になるように適切な性質を有するべきである。例えば、乾燥後の基材上のテープ(溶媒が除去されるよう乾燥したときのフィルムを、「テープ」と呼ぶ)は、一緒に粘着するようにかつ熱間圧延積層ステップによって「層割れ」しないように、基材に対して十分な接着性を有するべきであるが、熱間圧延積層ステップが終了した後は、容易に離れるようにすべきである。
【0077】
馴染み易い物体は、熱間圧延積層を可能にする本発明の組成物を含んだ任意の構造と定義する。本発明者等は、テープ形成の一般的観点から、馴染み易い物体について論じる。テープを形成するには、スリップを調製し、テープ流延に使用する。スリップは、テープ作製において組成物に使用される一般用語であり、有機媒体中に分散された無機粉末の、適正に分散された混合物である。
【0078】
本発明の実施には、厳密には重要ではないが、有機媒体中での無機粉末の良好な分散を実現するための一般的な方法は、従来のボールミル処理を使用することによる。ボールミリングは、セラミックミリングジャーと、ミリング媒体(球形または円筒形のアルミナまたはジルコニアペレット)とからなる。全混合物を、ミリング媒体が入っているミリングジャーに入れる。耐漏れ性の蓋でジャーを閉じた後、混合効率が最適化される回転速度で、ジャー内のミリング媒体のミリング動作が生成されるように回転させる。回転の長さは、性能仕様に適合するよう十分分散した無機粒子を得るのに必要とされる時間である。一般に、1〜20時間というミリングまたは混合時間が、所望のレベルの分散をもたらすのに十分である。スリップを、ブレードまたはバーコーティング法によって基材に塗布し、その後、外気または熱乾燥することができる。乾燥後のコーティングの厚さは、テープが使用される最終用途に応じて、数ミクロンから数十ミクロンに及んでよい。
【0079】
本発明で使用される、馴染み易い感光性誘電体「グリーン」(すなわち「未焼成」)テープは、上述のような、無機結合剤、任意選択のセラミック固形分、ポリマー結合剤、可塑剤、光開始剤、光硬化性モノマー、および溶媒の、スラリ分散体の所望の厚さの層を、柔軟な基材上に流延し、流延された層を空気乾燥しまたは加熱して揮発性溶媒を除去することによって、形成する。基材は、多数の柔軟な材料で作製することができるが、典型的な場合はマイラーで作製する。次いでテープ(コーティング+例えばマイラー基材)をシート状に形成し、またはロールの形に収集し、テープの使用が目的とされる最終用途の指示に従って、寸法決めをすることができる(注記:熱間圧延積層によってテープを剛性基板に付着させた後は、一般に基材を除去し、廃棄する)。
【0080】
本発明の方法では、基材は通常、熱間圧延積層段階中は感光性セラミック含有テープと一緒に残ることになり、感光性テープの露光前に除去される。基材が明澄透明なマイラーであり、またはUV化学線での露光を可能にするその他の適切な材料である場合、その基材は、例えばその表面を望ましくない汚染から保護するために、化学UV光での露光中でもテープ表面に残すことができる。この場合、透明な基材は、現像ステップの直前に除去されることになる。
【0081】
65〜75ミル(約1.65〜1.9mm)を超えない乾燥テープが好ましい。より厚いテープでは、全焼成サイクル時間が30〜60分(100℃よりも高い温度での全時間と定義される)である従来のベルト炉を使用した場合、焼成ステップ中にしばしば問題が生ずることになる。適用例が、より厚いフィルムを必要とする場合、多くのハイブリッド回路製造業者にとって事実上可能ではない長い焼成プロフィルを使用することによって、焼成感度を回避することが可能と考えられる。
【0082】
さらに、「ワイドストック」(マスター)ロールとして巻き付ける前に、テープにカバーシートを付着させることができる。典型的なカバーシートの例には、マイラー、シリコーンで被覆したマイラー(テレフタレートPET)、ポリプロピレン、およびポリエチレン、またはナイロンが含まれる。典型的な場合、カバーシートは、最終の剛性基板への熱間圧延積層の直前に、除去される。
【0083】
(適切な、寸法上安定な基板)
本発明で述べる「寸法上安定な基板」とは、本発明のフィルム材料を焼結しかつ基板に結合させるのに必要とされる焼成条件下で、形状またはサイズが著しく変化しないセラミック、ガラス、および金属を含んだ固体材料を含む、任意の固体材料である。適切な、寸法上安定な基板には、アルミナ、α石英、CaZrO、ムライト、キン青石、苦土カンラン石、ジルコン、ジルコニア、BaTiO、CaTiO、MgTiO、SiO、ガラス−セラミックス、およびガラス(非晶質構造、例えばソーダ石灰ガラスからなるもの、またはより高い融点の非晶質構造)などの従来のセラミックス、非晶質シリカ、またはこれらの混合物を含めることができるが、これらに限定されない。その他の適切な、寸法上安定な基板材料は、ステンレス鋼、鉄およびその様々な合金、磁器状の鋼、ニッケル、モリブデン、タングステン、銅などその他の卑金属、ならびに白金、銀、パラジウム、金、およびそれらの合金、またはその他の貴金属およびそれらの合金、およびその最終用途に基づいて適切であると決定されるその他の金属基板でよい。特に、適切な基板である1つの鉄合金は、Kovar(登録商標)(Ni−Fe合金)基板である。テープは、電気回路の機能をさらにカスタム化するために、すでに形成された(焼成された)その他の電気基板アセンブリに積層することもできる。そのような基板は、アルミナ上にすでに焼成されたセラミックハイブリッド超小型電子回路、あるいは951「Green Tape(商標)」、943「Green Tape(商標)」(どちらもE.I.du Pont de Nemours and Company製)、または現在市販されているその他のLTCC回路からなる回路でよい。
【0084】
(多層回路形成)
多層電気回路は、基板材料上で焼成された後に、馴染み易い感光性誘電体テープの熱膨張率(TCE)に適合した任意の基板でよい寸法上安定な基板を供給することによって、形成される。寸法上安定な基板の例には、アルミナ、ガラス、セラミック、α石英、CaZrO、ムライト、キン青石、苦土カンラン石、ジルコン、ジルコニア、BaTiO、CaTiO、MgTiO、SiO、非晶質シリカ、またはこれらの混合物が含まれるが、これらに限定するものではない。その他の適切な基板材料は、ステンレス鋼、鉄およびその様々な合金、磁器状の鋼、ニッケル、モリブデン、タングステン、銅などその他の卑金属、ならびに白金、銀、パラジウム、金、およびそれらの合金、またはその他の貴金属およびそれらの合金、およびその最終用途に基づいて適切であると決定されるその他の金属基板でよい。テープは、電気回路の機能をさらにカスタム化するために、すでに形成された(焼成された)その他の電気基板アセンブリに積層することもできる。そのような基板は、アルミナ上にすでに焼成されたセラミックハイブリッド超小型電子回路、あるいは951「Green Tape(商標)」、943「Green Tape(商標)」(E.I.du Pont de Nemours and Companyから入手可能)、または現在市販されているその他のLTCC回路からなる回路でよい。
【0085】
次いで寸法上安定な基板に、従来のスクリーン印刷によって、または商業的に利用可能な光解像技法によって(例えば、Fodel(登録商標)銀ペースト、E.I.du Pont de Nemours and Companyの製品番号6453)所望のパターンで付着された機能層または導電層を、任意選択で被覆する。導電性ペーストは、典型的な場合、処理前に全ての溶媒が除去されるよう、適切な温度で乾燥させる。剛性基板上の第1のメタライゼーション層では、機能性導電フィルムを、感光性誘電体テープ層を付着させる前に焼成しなければならない。
【0086】
次に、感光性誘電体「グリーン」テープを、寸法上安定な基板に熱間圧延積層する。次いで感光性テープを所望のパターンに露光し、したがって、化学線が当てられた架橋または重合領域と、光が当てられなかった非架橋または非重合領域とを生成する。次いで非架橋(非重合)領域を、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムの0.4〜2.0重量%の希釈溶液を使用して洗い落とし、それによって、ビアまたはその他の所望の構造(例えばキャビティ、ステップ、壁)の所望のパターンを形成する。次いで、例えばビアに、導電性メタライゼーション(すなわち本発明のビア充填組成物)を充填することができる。次に、パターニングされた機能性導電層(追加のメタライゼーション層)を、ビア充填済みテープ層上に被覆して、回路アセンブリを形成することができる。第1の誘電体アセンブル層を焼成した後、必要に応じてまたは望む通りに、これらのプロセスステップを繰り返すことができ、すなわち感光性テープ熱間圧延積層から機能層の被覆まで繰り返し、次の層に進む前に、アセンブル誘電体テープ層のそれぞれを焼成する。
【0087】
層間の相互接続は、ビアホールに厚膜導電性インクを充填することによって形成する。このインクは、通常、標準のスクリーン印刷技法によって付着される。回路の各層は、スクリーン印刷導体トラックによって完成する。また、レジスタインクまたは高誘電定数インクを、選択された層上に印刷して、抵抗性または容量性回路素子を形成することもできる。
【0088】
本明細書で使用する「焼成」という用語は、層内の任意のガラス、金属、または誘電体材料を焼結するために、したがってアセンブリ全体を稠密化するために、空気などの酸化雰囲気中で、組み立てた集合体の層内の有機物質全てを揮発(燃焼)させるのに十分な温度および時間で、アセンブリを加熱することを意味する。焼成は、典型的な場合、とりわけSierra Therm、BTU、およびLindbergにより製造されたようなベルト炉内で行う。
【0089】
「機能層」という用語は、スクリーン印刷、ステンシルインクジェット、またはその他の方法によってテープに付着させた導電性組成物を指し、これは、寸法上安定な基板に、すでに熱間積層したものである。機能相は、導電、抵抗、または容量機能性を有することができる。したがって上述のように、典型的な非焼成テープ層のそれぞれは、その上部に、抵抗、キャパシタ、および/または導電性回路素子の1種または複数の組合せを印刷することができ、これは、アセンブリが一旦焼成されると、機能的になるものである。
【実施例】
【0090】
実施例1〜13は、PTOS技法を総体的に実証するために記載し、これらについては、文献(例えば、Bidwell他の特許文献8参照)に最初に提示された。実施例14および15は、PTOS技法で利用されるような、本発明のビア充填組成物の有効性について実証する。
【0091】
実施例1〜10および実施例12では、乾燥した感光性フィルムのテープ厚が、典型的には65〜85ミクロンであった。表4〜7および表9は、各実施例で使用した組成物について詳述する。表8および10は、実施例の結果について詳述する。
【0092】
【表2】

【0093】
【表3】

【0094】
【表4】

【0095】
【表5】

【0096】
【表6】

【0097】
【表7】

【0098】
【表8】

【0099】
[実施例1]
上記実施例1および表4〜7に記載されている組成物(テープ調製においてすでに述べたように調製したもの)から形成された感光性テープの接着層を、積層温度85〜120℃でかつ処理速度0.2〜0.4m/分で、エアアシストを非活動化した状態で(DuPont LC−2400 Hot Roll Lamination machine)、基板(COORS Corporationから市販されている、3”×3”(約7.6cm×約7.6cm)96%アルミナ基板)に熱間圧延積層した。この接着層には露光せず、第2の層の「接着剤」として使用する。次に、1ミル(約0.0254mm)のマイラーカバーシート(柔軟な基材)で被覆された、上記実施例1のテープ組成物の第2の層(65ミクロン)を、第1の接着層上に熱間圧延積層した。テープの第2の層を、約8〜9秒間、パターニングされた画像(ガラスフォトツール)を通して化学線で露光した(OAI Mask Aligner、Model J500、500WのUV水銀ショートアークバルブを使用する)(バルブ出力=7〜10mW/cm。XRL140A光検出器を備えたInternational Light、Model IL1400A放射計により測定されたもの。UVA帯域315〜400nmで測定する。)。次いで露光した基板を、約150℃の空気中で2分間、ポスト露光ベークにかけた。ポスト露光ベークの後、マイラーカバーシートを除去した。次いでテープを、1%の炭酸ナトリウムの塩基水溶液中、約85°F(約29℃)でかつ現像速度3.7〜4.0ft(約113〜122cm)/分で現像した。これは、ファンスプレー構成を備えたノズル圧が25p.s.i.(約170KPa)のAdvanced Systes Incorporated(ASI)Model 757/857 Developer/Rinse Systemを使用して、実現した。観察されたテープ特性を、表8に詳述する。この実施例は、高モノマーレベルおよび低可塑剤レベルに起因する、過剰な自己積層と極めて乏しい焼成感度が原因で、適切な性能能力を実現できないことを示している。
注記:必要とされる露光時間(エネルギー)は、露光されるフィーチャサイズおよび使用されるフォトツールの光吸収特性(例えば、ガラスのタイプ、マイラーの等級など)に左右される。
【0100】
[実施例2]
実施例2(表4〜7)の組成物から形成したテープの層を、エアアシストを活動化した状態で、基板に熱間圧延積層した(実施例1で述べたように)。注記:エアアシストは、残りの実施例全てで「活動化」した(基板は、実施例1と同様に96%アルミナであった)。この場合の感光性テープは、カバーシートを含んでいないが、実施例1と同様にマイラー基材上にあるものであった。次いで感光性テープを、約4〜10秒間、マイラー上で、パターニングされた画像を通して化学線で露光した(この場合、および他の実施例全てにおいて、露光ユニットは、1000Wの水銀−キセノンランプを使用するORIEL Model 82430であり、このときの出力は、上述のように測定した場合、14.5mW/cmに設定した)。次いでアルミナ基板上の露光済みテープを、1%の炭酸ナトリウムの塩基水溶液中、約85°F(約29℃)でかつ現像速度1.0ft(約30cm)/分で現像した。観察されたテープ特性を、表8に詳述する。この組成物は、熱間圧延積層に関して優れた性能を有しており、良好な焼成能力をもたらしたが、光解像フィーチャの現像速度が不十分であり、かつ光解像フィーチャの洗い落としが不十分であった。
【0101】
[実施例3]
(表4〜8)
実施例3の組成物から形成したテープの層を、基板(実施例1および2で述べたような96%アルミナ。このタイプのアルミナ基板を、実施例4〜10でも使用した)に熱間圧延積層した。感光性テープは、カバーシートを含んでいなかった。残りの実施例でも、カバーシートを使用しなかった。次いでテープを、約3〜5秒間、マイラー上でパターニングされた画像を通して化学線で露光した。次いで露光した基板/テープを、1%の炭酸ナトリウムの塩基水溶液中、約85°F(約29℃)でかつ現像速度2〜3ft(約61〜91cm)/分で現像した。観察されたテープ特性を、表8に詳述する。この実施例は、全体的な性能の中で最良のバランスの1つを示しているが、自己積層の傾向は、改善することができる。1つの問題点として自己積層を取り除くことができる1つの方法は、有機カバーシートを使用することである。これは、実際的な見地から技術的には実現可能であるが、製造全体のコストを増大させるため、それほど有利なものではない。
【0102】
[実施例4]
(表4〜8)
実施例4の組成物から形成したテープの層を、96%アルミナ基板に熱間圧延積層した。次いでテープを、約4〜5秒間、マイラー上でパターニングされた画像を通して化学線で露光した。次いで露光された基板上のテープを、1%の炭酸ナトリウムの塩基水溶液中、約85°F(約29℃)でかつ現像速度2ft(約61cm)/分で現像した。観察されたテープ特性を、表8に詳述する。この組成物は、不十分な可塑剤レベルが原因で(2.3%)、極端な脆性を有していた。
【0103】
[実施例5]
(表4〜8)
実施例5の組成物から形成したテープの層を、アルミナ基板に熱間圧延積層した。次いでテープを、3〜5秒間、マイラー上でパターニングされた画像を通して化学線で露光した。次いで露光されたアルミナ基板上のテープを、1%の炭酸ナトリウムの塩基水溶液中、約85°F(約29℃)でかつ1.8ft(約55cm)/分で現像した。観察されたテープ特性を、表8に詳述する。実施例4および5は、付加されたより長い鎖のポリマーの化学的性質が異なるだけであるにもかかわらず、この実施例は、脆性、現像、および焼成能力が不十分であると評価され、ポリマー混合物の化学的性質が、全性能に対して著しい影響を及ぼす可能性があることを示している。
【0104】
[実施例6]
(表4〜8)
実施例6の組成物から形成したテープの層を、アルミナ基板に熱間圧延積層した。次いでテープを、約3〜5秒間、マイラー上でパターニングされた画像を通して化学線で露光した。次いで露光した基板/テープを、約150℃で2分間、ポスト露光ベークにかけた。次に、露光した基板/テープを、1%の炭酸ナトリウムの水溶液中、約85°F(約29℃)でかつ現像速度2.3〜2.5ft(約70〜76cm)/分で現像した。
【0105】
この組成物では、長鎖ポリマーを含有しているために、テープフィルムが優れた柔軟性を有するが、現像ステップ中の表面損傷をなくすために、ポスト露光ベークが必要であった。ポスト露光ベークは、一般に、付加されたプロセスステップと見なされ、これは、消費者の処理および製造コストに悪影響を及ぼすことになる。
【0106】
[実施例7]
(表4〜6、9、10)
実施例7の組成物から形成したテープの層を、アルミナ基板に熱間圧延積層した。次いでテープを、約3〜5秒間、マイラー上でパターニングされた画像を通して化学線で露光した。次いで露光したアルミナ基板上のテープを、1%の炭酸ナトリウムの水溶液中、約85°F(約29℃)でかつ現像速度2〜3ft(約61〜91cm)/分で現像した。観察されたテープ特性を、表10に詳述する。この組成物は、実施例3よりも高い可塑剤レベルを有し、許容されないレベルまで自己積層する傾向が増大した。その他の性能特性は、許容されるものであった。
【0107】
[実施例8]
(表4〜6、9、10)
実施例7の組成物から形成したテープの層を、アルミナ基板に熱間圧延積層した。次いでテープを、約3〜5秒間、マイラー上でパターニングされた画像を通して化学線で露光した。次いで露光したアルミナ基板上のテープを、1%の炭酸ナトリウムの水溶液中、約85°F(約29℃)でかつ現像速度2〜3ft(約61〜91cm)/分で現像した。観察されたテープ特性を、表10に詳述する。実施例8の組成物は、実施例7とは異なるポリマーを使用し、溶媒としてアセトンを使用している。わずかに良好な柔軟性と、わずかに少ない脆性が得られた。その他の性能特性の全ては、許容されるものであった。
【0108】
[実施例9]
(表4〜6、9、10)
実施例9の組成物は、マイラー基材フィルム上に流延し乾燥した後に、極めて脆性が高かった。マイラー基材フィルムに対する接着性が失われ、さらに処理することができなかった。実施例9の組成物は、実施例8のポリマーとは異なる化学的性質を有しかつわずかに高い分子量を有する、表4〜6および9に記載された別のポリマーを使用したが、テープフィルム特性全体は、実施例8よりも非常に悪かった。
【0109】
[実施例10]
(表4〜6、9、10)
実施例10の組成物から形成したテープの層を、アルミナ基板に熱間圧延積層した。次いでテープを、約1.5〜2.5秒間、マイラー上でパターニングされた画像を通して化学線で露光した。次いで露光したアルミナ基板上のテープを、1%の炭酸ナトリウムの水溶液中、約85°F(約29℃)でかつ現像速度約3ft(約91cm)/分で現像した。観察されたテープ特性を、表10に詳述する。実施例10の組成物は、実施例9の組成物と同一であるが、異なる可塑剤を使用した。この組成物におけるテープフィルムの全性能は、最良の1つと評価され、可塑剤の選択、特にポリマーの選択と併せた可塑剤の選択が重要であることを示している。
【0110】
[実施例11]
(表4〜6、9、10)
実施例11の目的は、本発明の開示のプロセスおよび配合物を、他のガラスの化学的性質に首尾良く適用できること、したがって、他の最終用途の適用例に使用できることを示すことである。実施例11では、実施例11の組成物(表4〜6、9、および10参照)から形成されたテープの層(乾燥したテープ厚=12ミクロン)を、ガラス基板(ソーダ石灰ガラスからなる顕微鏡用スライド)に熱間圧延積層した。次いでテープを、約2〜4秒間、マイラー上でパターニングされた画像を通して化学線で露光した。次いで露光したソーダ石灰ガラス基板上のテープを、1%の炭酸ナトリウムの水溶液中、約85°F(約29℃)でかつ現像速度約4〜6ft(約122〜183cm)/分で現像した。観察されたテープ特性を表10に詳述する。
【0111】
実施例11の組成物は、この光画像形成技術を、他のテープ固形分およびガラスの化学的性質、例えばプラズマディスプレイパネルおよび電界放出ディスプレイなどの適用例に用いられ、また必要とされるようなものに、広く適用できることを示している。
【0112】
[実施例12]
(Suess、EP−0589241、実施例13からの比較例)
実施例12の組成物の個々の成分を、Suess特許、EP0589241、実施例13に詳述されるように、ジルコニアミル媒体が入っているミリング装置に添加し、2.5時間ミリング処理した(低速回転時間は50分であった)。組成物をミリング装置から取り出し、流延し、フード下で一晩乾燥した。テープは非常に粘着性があり、許容することのできない包装、取扱い、および加工上の問題を引き起こした(すなわちテープは、スタック、ロール、フォトツールなどでそれ自体に粘着する)。また、熱間圧延積層(HRL)性能も不十分である。実施例12の組成物から形成されたテープの層を、85〜110℃でかつ0.2〜0.3m/分で、アルミナ基板に熱間積層した。過度な自己積層傾向が観察されたにもかかわらず、コーティングの縁部の層間剥離も観察された。部品を2回処理したが、正常なHRLプロセスは依然として、露光し現像したときに不十分な積層であることの兆候を示した。次いでテープを、約4秒間、パターニングされた画像を通して化学線で露光した。次いで露光したアルミナ基板上のテープを、約85°F(約29℃)である1%の炭酸ナトリウムの水溶液中で、現像速度約5ft(約152cm)/分で現像した。ポスト露光ベークは、現像後に見られる亀裂/引裂きを減少させるのに必要であった。焼成後に見られるエッジカールは、不十分な積層特性と、この有機系が加熱されたときにカールされる傾向とが一緒になったものと考えられる。
【0113】
[実施例13]
PTOS技術の容易さ、速度、および多様性を実証するために、実施例3の組成物(表4〜7)から形成されたテープの層を、エアアシストを活動化した状態で、4”×6”(約10×15cm)の96%アルミナ基板に熱間圧延積層した。次いで感光性テープを、オーバーヘッド媒体(「マイラー」)にデジタル写真を直接フォトコピーすることによって形成されたパターニング画像を通して、化学線で露光した。画像は、約4〜10秒間露光した。次いで露光したアルミナ基板上のテープを、1%の炭酸ナトリウムの塩基水溶液中、約85°F(約29℃)でかつ現像速度2.0〜3.0ft(約61〜91cm)/分で現像した。次いで基板を、従来のベルト炉内で、標準的な60分の焼成プロフィルで焼成した。焼成した基板は、当初の版下パターンの優れた再現性を示した。
【0114】
この技術を使用することにより、既存パターン(写真、デジタル化された対象、テキスト、パターン、デザインなど)の焼成画像を2〜3時間で生成することが可能になる。唯一の制約は、パターンが、所望領域でのテープの露光を限定しなければならないことである。例えば画像は、インクで直接テープにマークを付けるだけで、すなわちそのマークした領域での露光を阻止するのに十分なインクでマークするだけで、形成することができる。本発明で記述される感光性テープフィルム組成物の、容易さ、速度、および多様性をもたらす既存の技術は無い。
【0115】
[実施例14]
ペースト配合物I:
ガラス 4.3%
無機酸化物(酸化アルミニウム)*** 3.5%
二ホウ化チタン 1.5%
ルテニウム酸銅ビスマス 0.8%
パラジウム粉末 3.5%
銀粉末** 71.1%
残部:樹脂、溶媒、湿潤剤を含有する有機媒体
ガラス特性:
Ca、Mg、Ti、Na、K、Feなどの陽イオンを含有し、軟化点約820〜840℃(log粘度7.6)および910〜925℃(log粘度6)をもたらす、日本電気硝子社から提供されたアルミノホウケイ酸ガラス(EF/F005などのEガラス)。
**金属粉末は、球状、薄片、不揃い、またはそれらの組合せである。
***無機酸化物特性
Al、ZrOなどの耐火性酸化物は、「焼結抑制剤」として働く。
厚膜組成物「ペースト」の作製:ペースト(実施例13と14との両方に関する)を、標準的な厚膜技法を使用して形成した。全ての成分を、適切な分散を実現するために、ミキサ内でまたは3本ロールミル上で、あるいはその両方により、完全に混合した。金属および酸化物を適切に分散させることにより、ペーストは、溶媒および樹脂含有有機ビヒクルを添加することによって、適正な固形分および粘度レベルに配合された。固形分レベルは、良好なスクリーン印刷適性のみならず、最適な機能性能(接着性、抵抗性、電気接触など)に対しても選択した。最初に無機成分を、(a)テキサノール、テルピネオール、フタレートに溶解したエチルセルロースおよび/またはヒドロキシエチルセルロースなどのポリマー、大豆レシチンなどの湿潤剤を含有する、有機媒体中に分散させた。次に厚膜組成物を、(b)厚膜配合技法を使用し、10RPMで、粘度計2xHA UC&SPにより測定したときに、80〜250Pas以上の粘度になるまで、ロールミルにかけた。
【0116】
[実施例15]
ペースト配合物II:
ガラス 1.2%
二ホウ化チタン 1.2%
パラジウム粉末 4%
銀粉末** 82.7%
残部:樹脂、溶媒、湿潤剤を含有する有機媒体
ガラス特性:
Ca、Mg、Ti、Na、K、Feなどの陽イオンを含有し、軟化点約820〜840℃(log粘度7.6)および910〜925℃(log粘度6)をもたらす、日本電気硝子社から提供されたアルミノホウケイ酸ガラス(EF/F005などのEガラス)。
**金属粉末は、球状、薄片、不揃い、またはそれらの組合せである。
***無機酸化物特性
Al、ZrOなどの耐火性酸化物は、「焼結抑制剤」として働く。
【0117】
厚膜ビア充填剤組成物を、PTOS膜(上記実施例で特定された)上に印刷し、焼成した。実施例13および14の結果を以下に詳述する。さらに図1は、本発明の厚膜ビア充填剤組成物およびその他の市販されている導体組成物(E.I.du Pont de Nemours and Companyから市販されている製品番号QM18およびQS300、Delphi Electronicsから市販されている製品番号1198)を利用するPTOS部品に関し、その抵抗率特性に対する、繰り返される焼成の効果と熱サイクルインターバルの効果との両方について詳述する。
【0118】
種々の線導体と組み合わせた焼成済みビア充填剤組成物のミクロ構造は、(1)線導体とビア充填剤導体との間の良好な結合、(2)ごく僅か、または全く存在しない多孔性、(3)セラミックおよびビア充填剤導体との優れた「サイド結合」を示した。
【0119】
2〜3の場合では、極めて小さいボイドがビア充填剤とセラミックとの界面に、より近付いていることに気付いたが、通常はセラミック膜にある。焼成した部品を、(1)15回まで繰り返して再焼成にかけ、焼成が終わるたびに抵抗率を測定し、(2)次いで回路を熱サイクル信頼性試験に1000サイクルまでかけたが、各サイクルは、−40℃から+125℃の温度の間が2時間からなるものであり、断続的に抵抗率を測定した。
【0120】
図1の85B/QM18では、QM18導体を、内層として、かつ底部導体としても使用した。図1の85B/QM18/1198では、QM18を内層導体として使用し、1198は底部導体であった。図1の85B/QS300では、QQ300導体を、内層として、かつ底部導体としても使用した。図1の85B/QS300/1198では、QS300を内層導体として使用し、1198は底部導体であった。
【0121】
図1の結果は、いくつかの線導体と併せて、抵抗率測定を使用して評価したときに、特性の低下がほとんどまたは全くないことを示していた。試験パターンは、約300を超えるビアと、正方形約5100個分の連続した導体ラインを含む。再焼成中または熱サイクル中の、1つのビアとライン導体とのどのような分離も、無限の抵抗をもたらす可能性があるが、これは観察されなかった。組合せ試験(15回の再焼成&1000回の熱サイクル)は、試験中および試験後の回路の信頼性を証明した。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】厚膜ライン導体(E.I.du Pont de Nemours and Companyから入手可能なQM18およびQS300と、Delphi Electronics製造番号1198)と併せてビア充填組成物として使用される、本発明の導体組成物(85B)を利用する部品の、抵抗に対する多重焼成効果および熱サイクルインターバルを詳述する抵抗のグラフである。
【図2】本発明の一実施形態の基板に含有されるガラスの組成範囲であって、この基板が、アルカリ土類改質剤としてCaO、MgO、および/またはSrOを含有する誘電体ペーストまたはテープを含有している状態を示す、3相ダイアグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚膜組成物全体に対し、
(a)1種または複数の電気的機能性粉末を70から98重量%、
(b)ガラスフリットを0.5から10重量%、
(c)無機ホウ化物を0.5から6重量%、およびこれらを分散させた
(d)有機媒体
を含むことを特徴とする厚膜導体組成物。
【請求項2】
1種または複数の耐火性無機酸化物をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
基板上の感光性テープの適用例で使用されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ビア充填剤導体組成物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
内層導体組成物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
有機媒体を揮発させ、ガラスフリットを焼結するために焼成された、請求項1に記載の組成物を含むことを特徴とする電子回路。
【請求項7】
(a)寸法上安定な基板を提供するステップと、
(b)馴染み易い感光性グリーン誘電体テープを提供するステップと、
(c)(a)の基板に(b)の感光性グリーンテープを熱間圧延積層するステップと、
(d)(c)の感光性グリーンテープを所望のパターンに露光し、それによって重合領域および非重合領域を生成するステップと、
(e)(d)の非露光フィルムを現像し、それによって非重合領域を除去し、ビアおよび重合領域の所望のパターンを含むパターニングされたフィルムを形成するステップと、
(f)請求項1に記載の組成物を、前記パターニングされたフィルムの所望の領域上に堆積するステップと
を含むことを特徴とする電子回路の形成方法。
【請求項8】
前記パターニングされたフィルムの前記所望の領域は、前記ビアの1つまたは複数であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法によって形成されたことを特徴とする電子回路。
【請求項10】
寸法上安定な基板と、流延可能な感光性誘電体組成物から形成された少なくとも1つの層と、請求項1に記載の組成物とを含み、前記流延可能な感光性誘電体組成物および請求項1に記載の組成物は、有機媒体が揮発しガラスフリットが焼結するように処理されていることを特徴とする構造。
【請求項11】
寸法上安定な基板と、少なくとも1層の馴染み易いグリーン誘電体テープと、請求項1に記載の組成物とを含み、請求項1に記載の前記組成物および前記テープは、有機媒体が揮発しガラスフリットが焼結するように処理されていることを特徴とする構造。
【請求項12】
1つまたは複数のメタライゼーション層をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−59390(P2007−59390A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−206904(P2006−206904)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】