基板処理技術
本明細書には、改良された基板処理技術が記載されている。ある特定の例示的な実施形態において、上記の技術は、基板処理用のマスクを用いて実現されてよい。上記のマスクは、例えば、イオン注入システムのような基板処理システムに組み込まれてもよい。上記のマスクは、第1のベース部と、互いに離間して配され、1以上の隙間を形成する複数のフィンガー部を備えてよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板を処理する技術に関連する。特に、基板に、ドーパントまたは不純物を導入する技術に関連する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの製造において、基板本来の機械的、光学的または電気的な特性を変化させる目的で、基板にドーパントまたは不純物が導入(introduce)される。メモリデバイスの製造においては、シリコン基板にホウ素イオンが導入される。ホウ素イオンおよびシリコン原子は、結晶格子中において異なる電気的特性を有するので、十分な量のホウ素イオンを導入することで、シリコン基板の電気的特性を変化させることができる。
【0003】
ドーパントの導入には、イオン注入技術(ion implantation technique)が用いられてよい。この技術においては、目的とする(特定の)種(species)を含む供給原料がイオン化される。その後、供給原料のイオンが、十分なエネルギーを有するイオンビームの形態で、基板に向けられ、注入される。異なる種のイオンを含む場合には、それぞれのイオンが、基板の特性を変化させることができる。
【0004】
シリコン基板にイオンまたはドーパントを導入することで、太陽電池のほか、シリコン基板を利用したデバイスを製造することができる。従来、ドーパントは、拡散プロセスを用いて導入されていた。つまり、ガラスまたは鉛ガラス(paste)を含むドーパントがシリコン基板上に配置される。その後、基板が加熱され、熱拡散により、ガラスまたは鉛ガラス中のドーパントが基板中に拡散する。
【0005】
拡散プロセスはコスト的に有利であるが、多くの欠点を有する。例えば、太陽電池に関して、選択的にドーピングして、基板の選択された領域にだけドーパントを導入することが求められる場合がある。しかしながら、拡散プロセスは制御が難しく、拡散による選択的ドーピングは、実現が困難な場合がある。結果として、不明確なドーピング(imprecise doping)をもたらすことになる、または不均一なドーピング領域を形成することになる場合がある。さらに、拡散プロセスの間に、ドーパントに加えて、空洞(void)もしくは気泡またはその他の物質が基板中に混入する可能性がある。
【0006】
このような欠点に対処することを目的として、イオン注入プロセスを利用したドーピングが提案されている。提案されているプロセスによれば、基板が、フォトレジスト層で覆われ、リソグラフィープロセスが実施されて、基板の一部が露出させられる。その後、イオン注入が実施され、ドーパントが基板の露出した部分に注入される。このプロセスを用いることで、正確な選択的ドーピングを実施することができるが、当該プロセスは安価なプロセスではない。フォトレジストの塗布、パターニングおよび除去のための追加的な工程および時間が必要であり、追加的な工程のそれぞれは、製造工程のコストを増加させる。露出させられるべき領域が極めて小さい場合には、これらの工程はより複雑になる可能性がある。
【0007】
太陽電池の製造工程における付加費用は、いかなるものであっても、太陽電池が低コストのエネルギーを発生させる能力を減退させるであろう。一方、高効率で高性能な太陽電池の製造工程においてコストを削減することができれば、どのようなものであれ、世界的な太陽電池の推進にプラスの効果を与えるであろう。これにより、より幅広く利用することができるようになり、クリーンエネルギー技術を採用することができるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、新しい技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
改良された基板処理技術が開示される。ある特定の一実施形態において、上記技術は、基板を処理するためのマスクを用いることで実現されてよい。マスクは、第1のベース部と、複数のフィンガー部とを含んでよい。複数のフィンガー部は、互いに離間して配され、1以上の隙間を形成する。
【0010】
上記の実施形態の他の側面によれば、複数のフィンガー部のそれぞれは、第1の端部(end)と、第2の端部とを有し、第1の端部は、第1のベース部上に配される。
【0011】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、複数のフィンガー部の第2の端部は、支持されていなくてよい。
【0012】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、マスクは、石英(quartz)、グラファイト、サファイア、シリコン、炭かシリコンおよび窒化シリコンから選択される少なくとも1つの材料を含んでよい。
【0013】
他の例示的な実施形態において、本技術は、基板処理装置を用いて実現されてよい。 上記の装置は、目的とする種のイオンを含むイオンビームを発生させるイオン源と、基板を収容するエンドステーションと、イオン源および基板の間に配されるマスクとを備えてよい。上記の装置において、基板およびマスクの一方は、基板およびマスクの他方に対して移動するように構成されてよい。
【0014】
この特定の例示的な実施形態の他の側面に関して、マスクは、イオンビームに対して特定の位置に位置決めされてよい。
【0015】
この特定の例示的な実施形態の他の側面に関して、マスクは、基板の全高より短い距離だけ延伸していてよい。
【0016】
この特定の例示的な実施形態の他の側面に関して、マスクの少なくとも一部は、イオンビームの全高より短い距離だけ延伸していてよい。
【0017】
この特定の例示的な実施形態の他の側面に関して、イオンビームは、第1の部分および第2の部分を含んでよく、マスクは、互いに離間して配され、1以上の隙間を形成する複数のフィンガー部を有してよく、複数のフィンガー部は、イオンビームの第1の部分の軌道中に配されてよい。
【0018】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、複数のフィンガー部は、前記イオンビームの前記第2の部分の軌道中に配されなくてよい。
【0019】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、イオンビームの第1の部分の高さは、イオンビームの第2の部分の高さと実質的に等しくてよい。
【0020】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、イオンビームの第1の部分の高さは、イオンビームの第2の部分の高さより大きくてよい。
【0021】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、イオンビームの第1の高さと、イオンビームの第2の高さとの比は、おおよそ3:2であってよい。
【0022】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、イオンビームの第1の高さは、イオンビームの第2の部分の高さより小さくてよい。
【0023】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、イオンビームの第1の高さと、イオンビームの第2の高さとの比は、おおよそ2:3であってよい。
【0024】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、選択的なイオン注入を実施すべく、イオンビームの第1の部分からのイオンの一部が、1以上の隙間を通過して基板に注入されてよい。
【0025】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、ブランケット・イオン注入を実施すべく、イオンビームの第2の部分からのイオンが、基板に注入されてよい。
【0026】
他の例示的な実施形態において、本技術は、基板処理装置を用いて実現されてよい。上記の装置は、目的とする種のイオンを含むイオンビームを発生させるイオン源と、基板を収容するエンドステーションと、イオン源および基板の間に配されるマスクとを備えてよい。上記の装置において、マスクは、互いに離間して配され、1以上の隙間を形成する複数のフィンガー部を有してよい。上記の装置において、複数のフィンガー部は、イオンビームの全高より短い距離だけ、イオンビームの高さ方向に沿って延伸していてよい。
【0027】
この特定の例示的な実施形態の他の側面に関して、マスクおよび基板の少なくとも一方が、マスクおよび基板の他方に対して移動するよう構成されてよい。
【0028】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、イオンビームは、イオンビームの対辺に配される第1の部分および第2の部分を含んでよく、イオンビームの第1の部分からのイオンが、基板上でブランケット・イオン注入を実施し、イオンビームの第2の部分からのイオンが、基板上で選択的なイオン注入を実施するように構成されてよい。
【0029】
以下において、添付図面に示されるような本開示の例示的な実施形態を参照して、本開示の詳細が説明される。以下において、例示的な実施形態を参照して本開示が説明されるが、本開示は当該実施形態に限定されないと理解されるべきである。当業者は、本明細書で説明される本開示の範囲内における、本開示の利用が功を奏する他の分野への応用だけでなく、追加的な実施例、変更例、および実施形態に想到することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本開示において説明された技術を用いて得られた基板の一例を示す。
【図2】本開示の一実施形態に係る基板処理に用いられるビームライン・イオン注入システムの一例を示す。
【図3】本開示の一実施形態に係る基板処理に用いられるマスクの一例を示す。
【図4】本開示の他の実施形態に係る基板処理に用いられるマスクの他の例を示す。
【図5a】本開示の一実施形態に係る基板処理技術の一例を示す。
【図5b】本開示の一実施形態に係る基板処理技術の一例を示す。
【図6】本開示の一例に係る基板処理技術の他の例を示す。
【図7】本開示の他の実施形態に係る基板処理に用いられるマスクの他の例を示す。
【図8a】本開示の他の実施形態に係る基板処理技術の他の例を示す。
【図8b】本開示の他の実施形態に係る基板処理技術の他の例を示す。
【図9】本開示の他の実施形態に係る基板処理に用いられるマスクの他の例を示す。
【図10】本開示の他の実施形態に係る基板処理に用いられるマスクの他の例を示す。
【図11】本開示の他の実施形態に係る基板処理技術の他の例を示す。
【図12】本開示の他の実施形態に係る基板処理に用いられるマスクの他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、基板処理技術に関するいくつかの実施形態が説明される。説明を明確かつ簡潔にする目的で、実施形態は、ドーパントまたは不純物を基板に導入する技術に焦点をあてて説明される場合がある。例えば、本明細書に記載された技術は、不純物の注入量(dose)もしくはレベルが異なる領域、および/または、不純物またはドーパントの種類が異なる領域を形成するのに用いられる場合がある。本開示は、特定の技術に焦点をあてるけれども、本開示はそれらに限定されない。
【0032】
本開示においては、リボンビーム、ビームライン・イオン注入システムに関する実施形態について説明される。詳細には記載されていないが、その他の種類のイオン注入システム(スポットまたは集中的な(focused)イオンビームを用いたスキャンビーム・イオン注入システムを含む。)が利用されてもよい。加えて、その他の種類の基板処理システム(例えば、プラズマ支援ドーピング(PLAD)またはプラズマ浸入イオン注入(PIII)システムを含む。)も、同様に適用することができる。
【0033】
これらの実施形態において開示される基板は、シリコンを用いた基板(silicon based substrate)であってよく、太陽電池の製造に用いられてよい。主にシリコンを用いた基板について説明するが、本開示は、その他の材料を含む基板についても、同様に適用することができる。例えば、テルル化カドミウム(CdTe)、銅のインジウムガリウムセレン化物(CIGS)またはその他の材料もまた適用可能である。加えて、その他、太陽電池用以外の基板もまた、本開示に適用することができる。機械デバイス、電子デバイス(例えば、メモリデバイス)もしくは光学デバイス(例えば、発光ダイオード)またはその他のデバイスを製造するために用いられる、金属基板その他の半導体基板および絶縁基板も、同様に適用することができる。
【0034】
図1は、一実施形態に係る基板100を示す。基板100は、本開示の技術を用いて製造される。本実施形態において、太陽電池基板100が示される。一方の側において、基板100は、1以上のコンタクト領域102を含む。コンタクト領域のそれぞれの上には、金属コンタクト(図示されていない。)が形成されてもよい。コンタクト領域102は、予め定められた量の目的ドーパントを領域102に導入することで形成されてよい。基板100が2以上のコンタクト領域102を含む場合には、コンタクト領域102は、スペーサ領域104によって、互いに離間して配されてよい。いくつかの実施形態において、基板100は、1以上のスペーサ領域104を含んでよく、それぞれのスペーサ領域104に、ドーパントまたは不純物が導入されてもよい。本実施形態において、コンタクト領域102およびスペーサ領域104に導入されるドーパント種は、同一である。しかしながら、コンタクト領域102のドーパント注入量(dopant dose)は、スペーサ領域104のドーパント注入量よりも大きくてよい。基板が太陽電池である場合、基板の表面(front side)上における、高濃度にドープされた(heavily doped)コンタクト領域102と、低濃度にドープされた(lightly doped)スペーサ領域104とを含むこのパターンは、選択的なエミッタデザイン(selective emitter design)と称される場合がある。コンタクト領域102を高濃度にドープすることにより、コンタクト領域102と金属コンタクトとの間の接点を良好にすることができる。加えて、コンタクト領域102を高濃度にドープすることにより、コンタクト領域102の導電率を大きくすることができる。好ましくはないかもしれないが、他の実施形態において、コンタクト領域102およびスペーサ領域104に、ドーパント種の異なるドーパントが導入されてもよい。例えば、特定のコンタクト領域102およびスペーサ領域104に、p型ドーパントが導入されてよく、他のコンタクト領域102およびスペーサ領域104に、n型ドーパントが導入されてもよい。他の実施形態において、コンタクト領域102およびスペーサ領域104に、型が同一で、種の異なるドーパントが導入されてよい。加えて、コンタクト領域102中のドーパント注入量は、スペーサ領域104中のドーパント注入量より大きくてもよい。あるいは、コンタクト領域102中のドーパント注入量は、スペーサ領域104中のドーパント注入量以下であってもよい。
【0035】
図2は、一実施形態に係るシステム200を示す。システム200は、本開示の一実施形態に係る基板を処理する。本実施形態において、システム200は、図2に示される選択的なエミッタデザインを有する太陽電池基板の製造に利用されてよい。図2に示されるように、システム200は、ビームライン・イオン注入システムであってよい。ビームライン・イオン注入システムにより、イオン形態のドーパントが、基板100に導入されてよい。
【0036】
本実施形態において、イオン注入システム200は、目的とするドーパント種の原料ガスを収容するガスボックス230と結合されたイオン源202を備えてよい。原料ガスは、ガスボックス230からイオン源202に供給され、その後イオン化される。原料ガスは、I族および3A−8A族の1以上の元素を有するドーパント種を含んでよい。例えば、原料ガスは、水素(H)、ヘリウム(He)もしくはその他の希ガス、酸素(O)、窒素(N)、砒素(As)、ホウ素(B)、リン(P)、アンチモン、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、または、その他のガスを含んでよい。加えて、原料ガスは、カルボラン(carborane)C2B10H12または他の分子化合物を含んでもよい。原料ガスがイオン化された後、イオン源202中のイオン20は、引き出し電極201によって引き出される。引き出し電極201は、抑制電極(suppression electrode)201aと、接地電極(ground electrode)201bとを含む。電力供給装置(図示していない。)は、引き出し電極201と結合され、調整可能な伝夏を供給してよい。
【0037】
イオン注入システム200は、オプションで、ビームライン要素(beam-line component)を備えてもよい。一実施形態において、ビームライン要素は、システムにとって任意的な構成要素であってよく、ビームライン要素を備えなくてもよい。システムがビームライン要素を備える場合、任意のビームライン要素は、少なくとも1つの質量分析計203と、角度補正磁石(angle corrector magnet)207と、第1および第2の加速/減速ステージ205および209とを有してよい。
【0038】
質量分析計203は、当該イオンの質量に基づいて、イオンを偏向させてよい。目的とする質量を有するイオンは、十分に偏向されて、質量分析計203の出射孔を通過して、システム200のさらに下流(downstream)へと進んでよい。一方、目的としない質量を有するイオンは、十分に偏向されない、または、過剰に偏向される。当該イオンは、質量分析計203の壁の方向へと方向付けられてよい。一方、角度補正磁石207は、発散する軌道上を進んでいる(複数の)イオン20を平行にして、実質的に平行な軌道上を進むようにする。本実施形態において、発散するイオンビーム20は平行にされて、実質的に平行なリボン状の(ribbon shaped)イオンビーム20を形成してよい。システムが、第1および第2の加速/減速ステージ205および209を備える場合、第1および第2の加速/減速ステージ205および209は、イオンビーム軌道に沿って進むイオンビーム20中のイオンを加速または減速させてよい。
【0039】
イオンビーム軌道に沿って進むイオンビーム20は、エンドステーション206に向かって方向付けられてよい。エンドステーション206において、1以上の基板100がイオンビーム軌道中に配されてよい。その結果、イオンビーム20中のイオンが基板100に注入されてよい。エンドステーション206は、注入プロセスを制御するための様々な構成要素を有してよい。例えば、エンドステーション206は、プラテン214を有してよい。プラテン214は、1以上の基板100を支持する。プラテン214は、基板100を支持することに加えて、例えば、基板100の温度を制御して、ホットイオン注入またはコールドイオン注入を提供してよい。コールドイオン注入を提供するために、プラテン214は、基板100を、室温より低い温度(好ましくは、273K未満の温度)に維持してよい。ホットイオン注入を提供するために、プラテン214は、基板を、室温より高い温度(好ましくは、293Kより高い温度)に維持してよい。プラテン214に加えて、本開示に係るイオン注入システム200は、冷却および/または加熱ステーション(図示されていない。)を備えてよい。冷却および/または加熱ステーションにおいて、基板100は、イオン注入前またはイオン注入後に、冷却または加熱される。
【0040】
エンドステーション206は、スキャナ(図示されていない。)、ロプラット(roplat)などを有してよく、基板100をイオンビーム20の軌道中に配置することができる。スキャナは、目的とする位置およびイオンビーム20に対する向き(orientation)にまで、基板100を移動(並進)/回転させてもよい。一実施形態において、基板100は、イオンが実質的に0°の入射角または注入角で注入されるように、イオンビームの軌道に対して実質的に垂直の向きに配されてよい。他の実施形態において、基板は、イオンビーム20に対して垂直に配されなくてもよく、入射角または注入角が0°でなくてもよい。一実施形態において、注入角は、注入プロセスを通じて一定値に維持されてよい。他の実施形態において、注入角が、注入プロセス中に変化させられてもよい。本開示において、注入されるイオンの注入量を制御する目的で、基板100を特定の速度で移動させてもよい。注入量を適正にする目的で、エンドステーション206は、注入量測定システムを有してもよい。
【0041】
イオン源206と基板100との間に、1以上のマスク250が配されてよい。本開示において、マスク250は、1以上のフィンガー部を有してよい。フィンガー部は、イオン20が基板100に到達することを妨げる。マスク250は、1以上の開口を有してもよい。イオン20は、上記の開口を通過して、基板100中に注入されてよい。マスク250は、エンドステーション206の壁を含む、システム200の様々な構成要素によって支持されてよい。マスク250を支持する様々な構成要素によって、マスク250が、イオンビーム20および/または基板100に対して適切な向きまたは位置に配されてよい。例えば、アクチュエータ(図示されていない。)がマスク250に結合され、マスク250を、基板100および/またはイオンビーム20に対して、並進、回転または傾転させてもよい。マスク250の温度が過度に上昇することを抑制する目的で、マスク250が冷却されてもよい。
【0042】
図3は、本開示の一実施形態に係るマスク350の一例を示す。本実施形態において、マスク350は、少なくとも1つのフィンガー部352を有する。マスク350は、オプションでベース部354を有してもよく、フィンガー部352は、ベース部354に支持されてもよい。マスク350がベース部354を有しない場合、マスク350が、互いに支持および/または保持される1以上のフィンガー部352であってもよい。マスク350が2以上のフィンガー部352を有する場合、フィンガー部352が、互いに離間して配され、隙間または開口356を形成してもよい。一実施形態において、マスク350は、複数のフィンガー部352を有し、1以上の隙間または開口を形成してもよい。複数のフィンガー部352は、均一な形状および大きさを有してよい。加えて、フィンガー部352は、隙間または開口356の形状および大きさが均一になるように構成されてよい。他の実施形態において、マスク350は、61個のフィンガー部352を有して、60個の開口356を形成してよい。開口356は、均一な長方形の形状を有してよい。しかしながら、当業者は、マスク350は、任意の数のフィンガー部352および開口356を有してよいことを理解することができるであろう。加えて、開口356は、様々な形状および大きさを有してよく、それらは、均一であっても、均一でなくてもよい。
【0043】
マスク350は、様々な材料を用いて形成されてよい。マスクは、イオン注入の反応条件に耐えることができる不活性物質(inert material)を用いて形成されることが好ましい。マスク350に含まれる材料の一例として、石英、グラファイト、サファイア、シリコン(Si)、炭化シリコンおよび窒化シリコンを例示することができる。マスク350には、他の材料が含まれてもよい。他の材料の例として、ドーパント種を含む材料を例示することができる。
【0044】
図4は、本開示の他の実施形態に係るマスク450の一例を示す。本実施形態において、マスク450は、少なくとも1つのフィンガー部452を有してよい。マスク450は、マスク450の対辺に配され、フィンガー部452を支持する第1のベース部454aおよび第2のベース部454bを有してよい。必要に応じて、マスク450は、フィンガー部に隣接して配され、マスク450の対辺に配された第3のベース部454cおよび第4のベース部454dを有してもよい。そうではなく、第3のベース部454cおよび第4のベース部454dの代わりに、付加的なフィンガー部452が配されてもよい。マスク450が2以上のフィンガー部452を有する場合、フィンガー部452は、互いに離間して配され、1以上の隙間または開口456を形成してよい。一実施形態において、マスク450は、複数のフィンガー部452を有してよく、複数のフィンガー部452は、均一な形状および大きさを有してよい。加えて、フィンガー部452は、開口456の形状および大きさが均一になるように構成されてよい。しかしながら、当業者は、任意の数のフィンガー部452および開口456を有してよいことを理解することができるであろう。加えて、開口456は、様々な形状および大きさを有してよく、それらは、均一であっても、均一でなくてもよい。
【0045】
図3に示された実施形態に係るマスク350の場合と同様に、マスク450は、様々な材料を含んでよい。説明を明確かつ簡潔にする目的で、材質に関する説明は省略する。
【0046】
図5aおよび図5bは、本開示の一実施形態に係る基板処理技術の一例を示す。なお、図面は必ずしも尺図通りには作図されていない。説明を明確かつ簡潔にする目的で、図2に関連して説明されたビームライン・イオン注入システム200と、図3に関連して説明されたマスク350とを用いて、当該技術について説明する。しかしながら、スポットまたは集中的なイオンビームを用いるスキャンビーム・イオン注入システムを含む、他の様々なシステムを使用することができる。加えて、図4に関連して説明されたマスク450を含む、他の様々なマスクを使用することができる。説明を明確かつ簡潔にする目的で、本技術は、ビームの高さ(図中における垂直方向の長さを示す。)に関連して説明される。当業者は、リボンビーム・イオン注入において、ビームの高さ(長さ)とは、リボンビームの実際の高さ(長さ)を示すことを理解することができるであろう。スポットまたは集中的なイオンビームを用いるスキャンビーム・イオン注入において、上記の用語は、スポットビームによってスキャンされ、リボンビーム・イオン注入のビーム高さと同様の効果が得られる領域の高さ(長さ)を示す。
【0047】
本実施形態において、基板500および30は、イオン注入システム200の内部に配されてよい。図5aおよび図5bに示されるように、マスク350のフィンガー部352の大きさまたは位置は、矢印510で示される高さ方向にそって、基板500の全高(全長)にわたって延伸することがないように決定される。また、フィンガー部352の大きさまたは位置は、イオンビーム20の全高(全長)にわたって延伸することがないように決定されてよい。本実施形態において、マスク350のフィンガー部352は、イオンビーム20の高さの約50%にわたって延伸してよい。全高の最初から最後までは延伸していないフィンガー部352を有することで、基板500に方向付けられたイオンビーム20を、複数の軌道に分割することができる。例えば、イオンビーム20は、イオンビーム20の第1の端部20iから仮想的な参照線20iiiにわたる第1の部分20aを含んでよい。また、イオンビーム20は、イオンビーム20の第2の端部20iiから参照線20iiiにわたる第2の部分20bを含んでよい。参照線20iiiは、フィンガー部352iの端部によって規定されてよい。
【0048】
フィンガー部352が、イオンビーム20の高さの約50%にわたって延伸している場合、イオンビーム20の第1の部分20aおよび第2の部分20bは、実質的に等しくてよい。イオンビームの第1の部分20a中のイオンが、基板500に直接注入されて、ブランケット・イオン注入(blanket ion implantation)が実施されてよい。一方、第2の部分中のイオンの一部が、開口356を通って基板500に注入されて、選択的なイオン注入が実施されてよい。
【0049】
イオンビーム20、マスク350および基板500のそれぞれは、独立に、回転および並進の自由度を有してよい。イオンビーム20、マスク350および基板500は、連携してまたは独立に、傾転、回転および/または並進してよい。本実施形態において、マスク350は、イオンビーム20に対して特定の位置に(fixedly)位置決めされてよい。一方、基板500は、矢印510によって示される高さ方向に沿って、イオンビーム20および/またはマスク350に対して移動してよい。詳細には説明されていないけれども、他の実施形態において、基板500は、矢印512によって示される方向に沿って、イオンビーム20および/またはマスク350に対して移動してよい。基板500が高さ方向510に移動するので、ドーパントを含む第1の領域502および第2の領域504が形成される。イオンビームの第1の部分20aおよび第2の部分20bからのドーパントが注入されるので、第1の領域502は、高濃度にドープされた領域であってよい。一方、イオンビームの第1の部分20aからのドーパントが注入されるので、第2の領域504は、低濃度にドープされた領域であってよい。本実施形態に係る基板500と、図1に関連して説明された基板100とを比較すると、高濃度にドープされた領域502は、コンタクト領域102に対応してよい。一方、低濃度にドープされた領域504は、スペーサ領域104に対応してよい。その他の実施形態において、コンタクト領域102におけるドーパントの注入量は、スペーサ領域104におけるドーパントの注入量よりも少なくてもよく、その場合、高濃度にドープされた第1の領域502は、スペーサ領域104に対応してよく、低濃度にドープされた領域504は、コンタクト領域102に対応してよい。
【0050】
フィンガー部352およびイオンビーム20の高さに応じて、第1の領域502および第2の領域504におけるドーパントの注入量またはレベルが調整されてよい。本実施形態において、フィンガー部352の高さは、イオンビーム20の高さの約50%であってよい。これにより、フィンガー部352によって生じたイオンビームの第1の部分20aおよび第2の部分20bの高さが同程度になる。高さ方向510におけるイオンビーム20中のイオンの量が実質的に均一であり、基板500の移動速度が一定である場合には、第1の領域502におけるドーパントの注入量は、第2の領域504におけるドーパントの注入量の約2倍であってよい。例えば、第1の領域502におけるドーパントの注入量は、約2×1015(※15は上付き)cm−2(※ー2は上付き)であってよく、第2の領域504におけるドーパントの注入量は、約1×1015(※15は上付き)cm−2(※ー2は上付き)であってよい。別の実施形態において、フィンガー部352の高さは、イオンビーム20の高さの約33%(1/3)であってよい。この実施形態において、イオンビーム20の第1の部分20aの高さは、第2の部分20bの高さよりも約50%長くなる。イオン注入後において、第1の領域502におけるドーパントの量は、第2の領域504におけるドーパントの量よりも約50%大きくなってよい。同様にして、第1の領域502と第2の領域504におけるドーパントの注入量の比が、約3:2となってもよい。
【0051】
ドーパントの注入量を制御することに加えて、フィンガー部352の高さが調整されて、イオンビームの均一性が調整されてよい。例えば、マスク350のフィンガー部352の高さを調整して、ドーパントを2倍均一に注入してもよい。
【0052】
本開示に係る技術を用いることで、ドーパント注入量の異なる2つの領域を有する基板を製造することができる。従来技術とは異なり、本開示に係る技術は、それが用いられた場合に、単一のイオンビームまたはイオンビームの単一の経路(pass)を用いて選択的なブランケット注入を実施することができ、2つの領域を同時に、または、実質的に同時に形成することができる。加えて、上記の技術は、2つの異なるマスクを必要としない。さらに、異なるマスクを配置する工程、異なるマスクを用いて処理する工程およびマスクを取り外す工程といった追加的な工程の手間を省くことができる。本開示に記載された技術は、はるかに簡単で効率的である。
【0053】
図6は、本開示の一実施形態に係る基板処理技術の他の例を示す。なお、図面は必ずしも尺図通りには作図されていない。当業者は、本実施形態が、上述した実施形態において説明された特徴に類似する多くの特徴を備えることを理解するであろう。説明を明確かつ簡潔にする目的で、類似する特徴については、繰り返しの説明を省略する。なお、図面は必ずしも尺図通りには作図されていない。
【0054】
本実施形態において、基板500およびマスク650が、イオン注入システムの中に配置される。その後、イオンビーム30が、基板500に向かって方向付けられてよい。本実施形態において、矢印510に示された方向におけるイオンビーム30の高さは、基板500がイオンビーム30に対して移動しなくてもよいように、十分に大きくてよい。言い換えれば、イオンビーム30の高さは、注入されるべき基板500内の特定の領域が、イオンビーム30の高さによって覆われる程度に十分に大きく、基板500またはイオンビーム30が、互いに相対移動する必要がない。
【0055】
一方、本実施形態に係るマスク650は、マスク350と同様の構成を有してもよい。上述した実施形態と同様に、本実施形態のイオンビーム30、マスク650および基板500のそれぞれは、独立した回転および並進の自由度を有してよい。しかしながら、基板500およびイオンビーム30は、基板500およびイオンビーム30が、一緒に、傾転、回転および/または並進することができるように、お互いの相対位置が固定されていてもよい。一方、マスク650は、イオンビームイオンビーム30および基板500に対して移動してよい。マスク650が高さ方向に沿って移動するにつれて、高濃度にドープされた第1の領域502と、低濃度にドープされた第2の領域504とが形成されてよい。第1の領域502および第2の領域504に、付加的なドーパントが注入されることを抑制する目的で、本実施形態のマスク650は、オプションで、より大きな高さを有するベース部654を備えてよい。本実施形態に係る技術を実施して、マスク650をイオンビーム30に対して移動させることで、高濃度にドープされた第1の領域502と、低濃度にドープされた第2の領域504とが得られる。
【0056】
図7は、本開示の他の実施形態に係るマスク750の他の例を示す。本実施形態において、マスク750は、マスク750の対辺に配される上方部分702および下方部分704を備えてよい。当業者は、上方部分702および下方部分704のそれぞれが、図3に関連して説明された実施形態に係るマスク350と同様の構成を有してよいことを理解できるであろう。上方部分702および下方部分704のそれぞれにおいて、マスク750は、1以上の第1のフィンガー部752aと、1以上の第2のフィンガー部752bとを有してよい。マスク750は、オプションで、第1のフィンガー部752aおよび第2のフィンガー部752bを支持する、第1のベース部754aおよび第2のベース部754bを備えてよい。加えて、マスク750は、オプションで、フィンガー部に隣接し、対辺に配される第3のベース部754cおよび第4のベース部754dを備えてもよい。
【0057】
マスク750の上方部分702および下方部分704のそれぞれが、2以上の第1のフィンガー部752aおよび第2のフィンガー部752bを有する場合、第1のフィンガー部752aおよび第2のフィンガー部752bは、幅方向712に互いに離間して配されてよい。これにより、1以上の第1の開口756aを形成することができる。マスク750は、高さ方向710に互いに離間して配された上方部分702および下方部分704によって形成される第2の開口756bを備えてもよい。
【0058】
上述した実施形態に係るマスク350およびマスク450の場合と同様に、本実施形態に係るマスク750は、様々な材料を含んでよい。
【0059】
図8aおよび図8bは、本開示の他の実施形態に係る基板処理技術の他の例を示す。なお、図面は必ずしも尺図通りには作図されていない。説明を明確かつ簡潔にする目的で、本実施形態に係る技術は、図7に関連して説明したマスク750を用いて説明される。当業者は、本技術が、他のマスクを用いて実施されてもよいことを理解することができるであろう。加えて、説明を明確かつ簡潔にする目的で、オプションの第3のベース部754cおよび第4のベース部754dは図示されていない。
【0060】
本実施形態に係る技術は、複数の工程を有する技術(multi-part technique)であってよい。本実施形態に係る技術の第1の工程は、図5aおよび図5bを用いて説明された技術と同様の構成を有してよい。本実施形態に係る技術は、そういうものとして、図5aおよび図5bを用いて説明された上述の実施形態を参照して理解されるべきである。
【0061】
本実施形態において、マスク750は、イオン源(図示されていない。)と基板500との間に配されてよい。その後、イオンビーム軌道(ion beam path)に沿って、イオンビーム20が基板500に向かって方向付けられてよい。本技術の第1の工程の間、イオンビーム20は、マスク750の上方部分702に向かって方向付けられてよい。マスク750の上方部分702は、イオンビーム軌道中に配されてよい。図8aに記載されているように、第1のフィンガー部752aの大きさまたは位置は、第1のフィンガー部752aがイオンビーム20の全高にわたって延伸しないように決定されてよい。上記の工程において、イオンビーム20は、第1の部分20aと第2の部分20bとに分割されてよい。イオンビーム20の第1の部分20aに含まれるイオンは、第2の開口756bを通って、基板に直接的に注入されてよい。これにより、ブランケット・イオン注入が実施される。一方、イオンビーム20の第2の部分20bからのイオンの一部は、1以上の第1の開口756aを通過して、選択的なイオン注入が実施されてよい。図5aおよび図5bに関連して説明された技術の場合と同様に、基板500は、高さ方向710に移動してよい。一方、マスク750の上方部分702は、イオンビーム20に対して固定して配されてよい。結果として、基板500上に、高濃度にドープされた領域(図示されていない。)と、低濃度にドープされた領域(図示されていない。)とが形成されてよい。
【0062】
本技術の第2の工程の間、イオンビーム20は、マスク750の下方部分704に向かって方向付けられてよい。第2の工程は、第1の工程の後で、または、第1の工程に先立って実施されてよい。本技術の第1の工程の場合と同様に、第2のフィンガー部752bの大きさまたは位置は、第2のフィンガー部752bがイオンビーム20の全高にわたって延伸しないように決定されてよい。上記の工程において、イオンビーム20は、第1の部分20aと第2の部分20bとに分割されてよい。本技術の第1の工程の場合とは異なり、イオンビームの第1の部分20aは、マスク750の下方部分704における第1の開口756aを通過して、選択的なイオン注入の実施に用いられてよい。一方、ブランケット・イオン注入は、イオンビーム20の第2の部分20bを用いて実施されてよい。
【0063】
本実施形態に係る技術は、いくつかの利点を提供する。中でも、イオンビーム20の高さ方向710の不均一性に対処するのに用いられる。多くのイオン注入装置において、高さ方向に不均一性(例えば、イオン注入量の変動)が存在する場合がある。この変動は、中でも、空間電荷効果によってもたらされうる。イオンビームの第1の部分および第2の部分の両方を用いて、高濃度にドープされた領域と、低濃度にドープされた領域とを精製することで、不均一性が軽減される。
【0064】
加えて、基板に対するマスク750の位置が決定されてよい。例えば、基板500およびイオンビーム20に対する第1のフィンガー部752aおよび第2のフィンガー部752bの相対位置を測定することなく、基板500の上流側にマスク750が配置されてよい。イオンビーム20がマスク750に向かって方向付けられてよく、フィンガー部752aおよびフィンガー部752bによるイオンビーム電流(ion beam current)の損失に基づいて、「ウエハーマップ(wafer map)」が生成されてよい。加えて、高さ方向710におけるイオンビームまたは基板スキャンの速度が調整され、不均整(asymmetry)を補正する。例えば、基板500にイオンが注入されていない場合、基板500が方向転換(turn around)させられている間に、マスク750が、イオンビームに対して移動させられてよい。これにより、基板のブランケット・イオン注入が実施された部分におけるイオンビームの不均一性(non-uniformity)を相殺することができる。マスク750は、基板が方向転換させられるたびに移動させられる必要はないが、イオンビーム変動(ion beam fluctuation)とのオーバーラップが小さくなるような間隔で移動させられてよい。例えば、これにより、50Hzおよび60Hzの高調波(harmonic)を抑制することができる。
【0065】
図9は、本開示の他の実施形態に係る基板処理に用いられるマスク950の他の例を示す。説明を明確かつ簡潔にする目的で、マスク950は、開口に関連して説明される。マスク950は、高さ方向910に沿って配された、開口956a−956cの複数の列(row)955a−955cを備えてよい。本実施形態において、マスク950は、955a−955cという3つの横列を備えてよい。横列955a−955cのそれぞれには、1以上の開口956a−956cが配されてよい。本実施形態において、開口956a−956cの形状は、方形であってよい。図9に示されるように、本実施形態に係る開口956a−956cのそれぞれは、高さ方向910に沿って、距離lだけ延伸する第1の辺(side)967aおよび第2の辺967bと、幅方向912に沿って、距離Wだけ延伸する第1の幅(width)969aおよび第2の幅969bとを有してよい。一実施形態において、開口956a−956cは、その他の形状を有してよい。
【0066】
本実施形態において、隣接する横列955a−955cに含まれる開口956a−956cは、不均一であってよい。本実施形態において、開口956a−956cの位置または配置(alignment )について、不均一であってよい。例えば、第1の横列955aに含まれる(複数の)第1の開口956aと、第2の横列955bに含まれる(複数の)第2の開口956bとは、高さ方向に位置あわせされていなくてよい。この工程において、開口956aおよび開口956bの中心は、幅方向912に沿って、距離xだけずれた状態で配されてよい。
【0067】
さらに、隣接する横列955a−955cに含まれる開口956a−956cは、横列955a−955cのうちの特定の一列に含まれる開口956a−956cの第1の辺967aと、隣接する横列955a−955cに含まれる開口956a−956cの第1の辺967aとが一列に並ばないようにずらして配されるように、配置されてよい。本実施形態において、隣接する横列に含まれる開口956a−956cは、第1の開口956aの第1の辺967aと、第2の開口956bの第2の辺967bとが一列に並ぶように、ずらして配されてよい。他の実施形態において、第1の開口956aの第1の辺967aは、第2の開口956bの第2の辺967bと一列に並ばないように、距離d(図示されていない。)だけずらして配されてよい。本開示において、第1の開口956aは、第3の横列955cに含まれる第3の開口956cと一列に並ぶように配されてもよく、一列に並ばないように配されてもよい。
【0068】
上述された実施形態に係るマスクと同様に、本実施形態に係るマスク950は、様々な材料を含んでよい。
【0069】
図10は、本開示の他の実施形態に係るマスク1050の他の例を示す。本実施形態において、マスク1050は、図9に関連して説明したマスク950と同様の構成を有してよい。しかしながら、隣接する横列955a−955cに含まれる開口956a−956cが、幅方向912に沿って、距離yだけオーバーラップしてよい。
【0070】
図11は、本開示の他の実施形態に係る基板処理技術の他の例を示す。なお、図面は必ずしも尺図通りには作図されていない。説明を明確かつ簡潔にする目的で、本実施形態に係る技術は、図9に関連して説明されたマスク950を用いて説明される。当業者は、本技術が、その他のマスクを用いて実施されてもよいことを理解できるであろう。
【0071】
本実施形態に係る技術は、複数の工程を有する技術であってよい。本実施形態に係る技術の第1の工程は、図5a、図5b、8aおよび図8bを用いて説明された技術と同様の構成を有してよい。本実施形態に係る技術は、そういうものとして、図5a、図5b、8aおよび図8bを用いて説明された上述の実施形態を参照して理解されるべきである。
【0072】
本実施形態において、マスク950は、イオン源(図示されていない。)と基板(図示されていない。)との間に配されてよい。その後、イオンビーム軌道に沿って、イオンビーム20が基板に向かって方向付けられてよい。本技術の第1の工程の間、イオンビーム20は、マスク950の上方部分に向かって方向付けられてよい。例えば、イオンビーム20およびマスク950は、イオンビームの第1の部分20aが、第2の横列955bに含まれる第2の開口956bの少なくとも一部とオーバーラップするように、配置される。一方、イオンビームの第2の部分20bは、第1の横列955aに含まれる第1の開口956aの少なくとも一部とオーバーラップしてよい。基板が高さ方向910に移動するにつれて、イオン注入領域が形成されてよい。
【0073】
第1の開口966aの第1の辺967aと、第2の開口966bの第2の辺967bとが、高さ方向910に沿って一列に並んでいる場合には、第1の開口956aおよび第2の開口956bの幅と等しい幅を有するイオン注入領域が形成されてよい。第1の開口966aの第1の辺967aと、第2の開口966bの第2の辺967bとが、距離dだけずらして配されている場合には、離間して配された2つのイオン注入領域の間に、幅dを有するイオン非注入領域が形成さてよい。
【0074】
本技術の第2の工程の間、イオンビーム20は、イオンビーム20がマスク950の下方部分に向かって方向付けられるように、マスク950に対して移動させられてよい。第2の工程は、第1の工程の後で、または、第1の工程に先立って実施されてよい。例えば、イオンビーム20およびマスク950は、イオンビームの第1の部分20aが、第3の横列955cに含まれる第3の開口956cの少なくとも一部とオーバーラップするように、配置されてよい。一方、イオンビームの第2の部分20bは、第2の開口956bの一部とオーバーラップしてよい。基板が移動するにつれて、イオンビームの高さ方向910における不均一性が軽減されてよい。
【0075】
図10に関連して説明されたマスク1050が用いられた場合には、第1の開口956aと第2の開口956bとのオーバーラップ、または、第2の開口956bと第3の開口956cとのオーバーラップにより、(複数の)低濃度にドープされた領域の間に、幅yを有する高濃度にドープされた領域が形成されてよい。オーバーラップしている領域を通過するイオンによって、高濃度にドープされた領域が形成されてよく、オーバーラップしていない領域を通過するイオンによって、低濃度にドープされた領域が形成されてよい。さらに、本技術が複数の工程を有する場合、ビーム(図示されていない。)の高さ方向の不均一性が軽減されてよい。
【0076】
図12は、本開示の他の実施形態に係る基板処理に用いられるマスクの他の例を示す。マスク1250は、複数の列を有する。複数の列のそれぞれは、1以上の開口を含んでよい。本実施形態において、マスク1250は、5つの横列1255a−1255eを備え、横列のそれぞれには、1以上の開口1256a−1256eが配されてよい。図10に関連して説明したように、隣接する列に含まれる開口1256a−1256eは、不均一であってよい。例えば、隣接する列に含まれる開口1256a−1256cの大きさおよび配置が異なってよい。
【0077】
上述した実施形態に係るマスクと同様に、本実施形態に係るマスク1250は、様々な材料を含んでよい。
【0078】
本開示は、本明細書に記載された特定の実施形態の範囲に限定されるものではない。実際、当業者にとって、本明細書に記載された実施形態に加えて、上述の詳細な説明および添付の図面に基づいて、本開示の他の様々な実施形態および本開示に対する修正を実施できることは明らかであろう。したがって、そのような他の実施形態および修正は、本開示の範囲に含まれる。さらに、本開示は、特定の目的のための特定の環境における特定の実施形態について説明されている。当業者は、その有用性は、当該特定の実施形態に限定されないこと、また、本開示は、様々な目的のために、様々な環境において、有利に実施されうることを理解することができるであろう。したがって、以下の特許請求の範囲の記載は、詳細な説明において説明された本開示の全容および精神を考慮して理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板を処理する技術に関連する。特に、基板に、ドーパントまたは不純物を導入する技術に関連する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの製造において、基板本来の機械的、光学的または電気的な特性を変化させる目的で、基板にドーパントまたは不純物が導入(introduce)される。メモリデバイスの製造においては、シリコン基板にホウ素イオンが導入される。ホウ素イオンおよびシリコン原子は、結晶格子中において異なる電気的特性を有するので、十分な量のホウ素イオンを導入することで、シリコン基板の電気的特性を変化させることができる。
【0003】
ドーパントの導入には、イオン注入技術(ion implantation technique)が用いられてよい。この技術においては、目的とする(特定の)種(species)を含む供給原料がイオン化される。その後、供給原料のイオンが、十分なエネルギーを有するイオンビームの形態で、基板に向けられ、注入される。異なる種のイオンを含む場合には、それぞれのイオンが、基板の特性を変化させることができる。
【0004】
シリコン基板にイオンまたはドーパントを導入することで、太陽電池のほか、シリコン基板を利用したデバイスを製造することができる。従来、ドーパントは、拡散プロセスを用いて導入されていた。つまり、ガラスまたは鉛ガラス(paste)を含むドーパントがシリコン基板上に配置される。その後、基板が加熱され、熱拡散により、ガラスまたは鉛ガラス中のドーパントが基板中に拡散する。
【0005】
拡散プロセスはコスト的に有利であるが、多くの欠点を有する。例えば、太陽電池に関して、選択的にドーピングして、基板の選択された領域にだけドーパントを導入することが求められる場合がある。しかしながら、拡散プロセスは制御が難しく、拡散による選択的ドーピングは、実現が困難な場合がある。結果として、不明確なドーピング(imprecise doping)をもたらすことになる、または不均一なドーピング領域を形成することになる場合がある。さらに、拡散プロセスの間に、ドーパントに加えて、空洞(void)もしくは気泡またはその他の物質が基板中に混入する可能性がある。
【0006】
このような欠点に対処することを目的として、イオン注入プロセスを利用したドーピングが提案されている。提案されているプロセスによれば、基板が、フォトレジスト層で覆われ、リソグラフィープロセスが実施されて、基板の一部が露出させられる。その後、イオン注入が実施され、ドーパントが基板の露出した部分に注入される。このプロセスを用いることで、正確な選択的ドーピングを実施することができるが、当該プロセスは安価なプロセスではない。フォトレジストの塗布、パターニングおよび除去のための追加的な工程および時間が必要であり、追加的な工程のそれぞれは、製造工程のコストを増加させる。露出させられるべき領域が極めて小さい場合には、これらの工程はより複雑になる可能性がある。
【0007】
太陽電池の製造工程における付加費用は、いかなるものであっても、太陽電池が低コストのエネルギーを発生させる能力を減退させるであろう。一方、高効率で高性能な太陽電池の製造工程においてコストを削減することができれば、どのようなものであれ、世界的な太陽電池の推進にプラスの効果を与えるであろう。これにより、より幅広く利用することができるようになり、クリーンエネルギー技術を採用することができるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、新しい技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
改良された基板処理技術が開示される。ある特定の一実施形態において、上記技術は、基板を処理するためのマスクを用いることで実現されてよい。マスクは、第1のベース部と、複数のフィンガー部とを含んでよい。複数のフィンガー部は、互いに離間して配され、1以上の隙間を形成する。
【0010】
上記の実施形態の他の側面によれば、複数のフィンガー部のそれぞれは、第1の端部(end)と、第2の端部とを有し、第1の端部は、第1のベース部上に配される。
【0011】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、複数のフィンガー部の第2の端部は、支持されていなくてよい。
【0012】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、マスクは、石英(quartz)、グラファイト、サファイア、シリコン、炭かシリコンおよび窒化シリコンから選択される少なくとも1つの材料を含んでよい。
【0013】
他の例示的な実施形態において、本技術は、基板処理装置を用いて実現されてよい。 上記の装置は、目的とする種のイオンを含むイオンビームを発生させるイオン源と、基板を収容するエンドステーションと、イオン源および基板の間に配されるマスクとを備えてよい。上記の装置において、基板およびマスクの一方は、基板およびマスクの他方に対して移動するように構成されてよい。
【0014】
この特定の例示的な実施形態の他の側面に関して、マスクは、イオンビームに対して特定の位置に位置決めされてよい。
【0015】
この特定の例示的な実施形態の他の側面に関して、マスクは、基板の全高より短い距離だけ延伸していてよい。
【0016】
この特定の例示的な実施形態の他の側面に関して、マスクの少なくとも一部は、イオンビームの全高より短い距離だけ延伸していてよい。
【0017】
この特定の例示的な実施形態の他の側面に関して、イオンビームは、第1の部分および第2の部分を含んでよく、マスクは、互いに離間して配され、1以上の隙間を形成する複数のフィンガー部を有してよく、複数のフィンガー部は、イオンビームの第1の部分の軌道中に配されてよい。
【0018】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、複数のフィンガー部は、前記イオンビームの前記第2の部分の軌道中に配されなくてよい。
【0019】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、イオンビームの第1の部分の高さは、イオンビームの第2の部分の高さと実質的に等しくてよい。
【0020】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、イオンビームの第1の部分の高さは、イオンビームの第2の部分の高さより大きくてよい。
【0021】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、イオンビームの第1の高さと、イオンビームの第2の高さとの比は、おおよそ3:2であってよい。
【0022】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、イオンビームの第1の高さは、イオンビームの第2の部分の高さより小さくてよい。
【0023】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、イオンビームの第1の高さと、イオンビームの第2の高さとの比は、おおよそ2:3であってよい。
【0024】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、選択的なイオン注入を実施すべく、イオンビームの第1の部分からのイオンの一部が、1以上の隙間を通過して基板に注入されてよい。
【0025】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、ブランケット・イオン注入を実施すべく、イオンビームの第2の部分からのイオンが、基板に注入されてよい。
【0026】
他の例示的な実施形態において、本技術は、基板処理装置を用いて実現されてよい。上記の装置は、目的とする種のイオンを含むイオンビームを発生させるイオン源と、基板を収容するエンドステーションと、イオン源および基板の間に配されるマスクとを備えてよい。上記の装置において、マスクは、互いに離間して配され、1以上の隙間を形成する複数のフィンガー部を有してよい。上記の装置において、複数のフィンガー部は、イオンビームの全高より短い距離だけ、イオンビームの高さ方向に沿って延伸していてよい。
【0027】
この特定の例示的な実施形態の他の側面に関して、マスクおよび基板の少なくとも一方が、マスクおよび基板の他方に対して移動するよう構成されてよい。
【0028】
この特定の例示的な実施形態のさらなる側面に関して、イオンビームは、イオンビームの対辺に配される第1の部分および第2の部分を含んでよく、イオンビームの第1の部分からのイオンが、基板上でブランケット・イオン注入を実施し、イオンビームの第2の部分からのイオンが、基板上で選択的なイオン注入を実施するように構成されてよい。
【0029】
以下において、添付図面に示されるような本開示の例示的な実施形態を参照して、本開示の詳細が説明される。以下において、例示的な実施形態を参照して本開示が説明されるが、本開示は当該実施形態に限定されないと理解されるべきである。当業者は、本明細書で説明される本開示の範囲内における、本開示の利用が功を奏する他の分野への応用だけでなく、追加的な実施例、変更例、および実施形態に想到することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本開示において説明された技術を用いて得られた基板の一例を示す。
【図2】本開示の一実施形態に係る基板処理に用いられるビームライン・イオン注入システムの一例を示す。
【図3】本開示の一実施形態に係る基板処理に用いられるマスクの一例を示す。
【図4】本開示の他の実施形態に係る基板処理に用いられるマスクの他の例を示す。
【図5a】本開示の一実施形態に係る基板処理技術の一例を示す。
【図5b】本開示の一実施形態に係る基板処理技術の一例を示す。
【図6】本開示の一例に係る基板処理技術の他の例を示す。
【図7】本開示の他の実施形態に係る基板処理に用いられるマスクの他の例を示す。
【図8a】本開示の他の実施形態に係る基板処理技術の他の例を示す。
【図8b】本開示の他の実施形態に係る基板処理技術の他の例を示す。
【図9】本開示の他の実施形態に係る基板処理に用いられるマスクの他の例を示す。
【図10】本開示の他の実施形態に係る基板処理に用いられるマスクの他の例を示す。
【図11】本開示の他の実施形態に係る基板処理技術の他の例を示す。
【図12】本開示の他の実施形態に係る基板処理に用いられるマスクの他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、基板処理技術に関するいくつかの実施形態が説明される。説明を明確かつ簡潔にする目的で、実施形態は、ドーパントまたは不純物を基板に導入する技術に焦点をあてて説明される場合がある。例えば、本明細書に記載された技術は、不純物の注入量(dose)もしくはレベルが異なる領域、および/または、不純物またはドーパントの種類が異なる領域を形成するのに用いられる場合がある。本開示は、特定の技術に焦点をあてるけれども、本開示はそれらに限定されない。
【0032】
本開示においては、リボンビーム、ビームライン・イオン注入システムに関する実施形態について説明される。詳細には記載されていないが、その他の種類のイオン注入システム(スポットまたは集中的な(focused)イオンビームを用いたスキャンビーム・イオン注入システムを含む。)が利用されてもよい。加えて、その他の種類の基板処理システム(例えば、プラズマ支援ドーピング(PLAD)またはプラズマ浸入イオン注入(PIII)システムを含む。)も、同様に適用することができる。
【0033】
これらの実施形態において開示される基板は、シリコンを用いた基板(silicon based substrate)であってよく、太陽電池の製造に用いられてよい。主にシリコンを用いた基板について説明するが、本開示は、その他の材料を含む基板についても、同様に適用することができる。例えば、テルル化カドミウム(CdTe)、銅のインジウムガリウムセレン化物(CIGS)またはその他の材料もまた適用可能である。加えて、その他、太陽電池用以外の基板もまた、本開示に適用することができる。機械デバイス、電子デバイス(例えば、メモリデバイス)もしくは光学デバイス(例えば、発光ダイオード)またはその他のデバイスを製造するために用いられる、金属基板その他の半導体基板および絶縁基板も、同様に適用することができる。
【0034】
図1は、一実施形態に係る基板100を示す。基板100は、本開示の技術を用いて製造される。本実施形態において、太陽電池基板100が示される。一方の側において、基板100は、1以上のコンタクト領域102を含む。コンタクト領域のそれぞれの上には、金属コンタクト(図示されていない。)が形成されてもよい。コンタクト領域102は、予め定められた量の目的ドーパントを領域102に導入することで形成されてよい。基板100が2以上のコンタクト領域102を含む場合には、コンタクト領域102は、スペーサ領域104によって、互いに離間して配されてよい。いくつかの実施形態において、基板100は、1以上のスペーサ領域104を含んでよく、それぞれのスペーサ領域104に、ドーパントまたは不純物が導入されてもよい。本実施形態において、コンタクト領域102およびスペーサ領域104に導入されるドーパント種は、同一である。しかしながら、コンタクト領域102のドーパント注入量(dopant dose)は、スペーサ領域104のドーパント注入量よりも大きくてよい。基板が太陽電池である場合、基板の表面(front side)上における、高濃度にドープされた(heavily doped)コンタクト領域102と、低濃度にドープされた(lightly doped)スペーサ領域104とを含むこのパターンは、選択的なエミッタデザイン(selective emitter design)と称される場合がある。コンタクト領域102を高濃度にドープすることにより、コンタクト領域102と金属コンタクトとの間の接点を良好にすることができる。加えて、コンタクト領域102を高濃度にドープすることにより、コンタクト領域102の導電率を大きくすることができる。好ましくはないかもしれないが、他の実施形態において、コンタクト領域102およびスペーサ領域104に、ドーパント種の異なるドーパントが導入されてもよい。例えば、特定のコンタクト領域102およびスペーサ領域104に、p型ドーパントが導入されてよく、他のコンタクト領域102およびスペーサ領域104に、n型ドーパントが導入されてもよい。他の実施形態において、コンタクト領域102およびスペーサ領域104に、型が同一で、種の異なるドーパントが導入されてよい。加えて、コンタクト領域102中のドーパント注入量は、スペーサ領域104中のドーパント注入量より大きくてもよい。あるいは、コンタクト領域102中のドーパント注入量は、スペーサ領域104中のドーパント注入量以下であってもよい。
【0035】
図2は、一実施形態に係るシステム200を示す。システム200は、本開示の一実施形態に係る基板を処理する。本実施形態において、システム200は、図2に示される選択的なエミッタデザインを有する太陽電池基板の製造に利用されてよい。図2に示されるように、システム200は、ビームライン・イオン注入システムであってよい。ビームライン・イオン注入システムにより、イオン形態のドーパントが、基板100に導入されてよい。
【0036】
本実施形態において、イオン注入システム200は、目的とするドーパント種の原料ガスを収容するガスボックス230と結合されたイオン源202を備えてよい。原料ガスは、ガスボックス230からイオン源202に供給され、その後イオン化される。原料ガスは、I族および3A−8A族の1以上の元素を有するドーパント種を含んでよい。例えば、原料ガスは、水素(H)、ヘリウム(He)もしくはその他の希ガス、酸素(O)、窒素(N)、砒素(As)、ホウ素(B)、リン(P)、アンチモン、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、または、その他のガスを含んでよい。加えて、原料ガスは、カルボラン(carborane)C2B10H12または他の分子化合物を含んでもよい。原料ガスがイオン化された後、イオン源202中のイオン20は、引き出し電極201によって引き出される。引き出し電極201は、抑制電極(suppression electrode)201aと、接地電極(ground electrode)201bとを含む。電力供給装置(図示していない。)は、引き出し電極201と結合され、調整可能な伝夏を供給してよい。
【0037】
イオン注入システム200は、オプションで、ビームライン要素(beam-line component)を備えてもよい。一実施形態において、ビームライン要素は、システムにとって任意的な構成要素であってよく、ビームライン要素を備えなくてもよい。システムがビームライン要素を備える場合、任意のビームライン要素は、少なくとも1つの質量分析計203と、角度補正磁石(angle corrector magnet)207と、第1および第2の加速/減速ステージ205および209とを有してよい。
【0038】
質量分析計203は、当該イオンの質量に基づいて、イオンを偏向させてよい。目的とする質量を有するイオンは、十分に偏向されて、質量分析計203の出射孔を通過して、システム200のさらに下流(downstream)へと進んでよい。一方、目的としない質量を有するイオンは、十分に偏向されない、または、過剰に偏向される。当該イオンは、質量分析計203の壁の方向へと方向付けられてよい。一方、角度補正磁石207は、発散する軌道上を進んでいる(複数の)イオン20を平行にして、実質的に平行な軌道上を進むようにする。本実施形態において、発散するイオンビーム20は平行にされて、実質的に平行なリボン状の(ribbon shaped)イオンビーム20を形成してよい。システムが、第1および第2の加速/減速ステージ205および209を備える場合、第1および第2の加速/減速ステージ205および209は、イオンビーム軌道に沿って進むイオンビーム20中のイオンを加速または減速させてよい。
【0039】
イオンビーム軌道に沿って進むイオンビーム20は、エンドステーション206に向かって方向付けられてよい。エンドステーション206において、1以上の基板100がイオンビーム軌道中に配されてよい。その結果、イオンビーム20中のイオンが基板100に注入されてよい。エンドステーション206は、注入プロセスを制御するための様々な構成要素を有してよい。例えば、エンドステーション206は、プラテン214を有してよい。プラテン214は、1以上の基板100を支持する。プラテン214は、基板100を支持することに加えて、例えば、基板100の温度を制御して、ホットイオン注入またはコールドイオン注入を提供してよい。コールドイオン注入を提供するために、プラテン214は、基板100を、室温より低い温度(好ましくは、273K未満の温度)に維持してよい。ホットイオン注入を提供するために、プラテン214は、基板を、室温より高い温度(好ましくは、293Kより高い温度)に維持してよい。プラテン214に加えて、本開示に係るイオン注入システム200は、冷却および/または加熱ステーション(図示されていない。)を備えてよい。冷却および/または加熱ステーションにおいて、基板100は、イオン注入前またはイオン注入後に、冷却または加熱される。
【0040】
エンドステーション206は、スキャナ(図示されていない。)、ロプラット(roplat)などを有してよく、基板100をイオンビーム20の軌道中に配置することができる。スキャナは、目的とする位置およびイオンビーム20に対する向き(orientation)にまで、基板100を移動(並進)/回転させてもよい。一実施形態において、基板100は、イオンが実質的に0°の入射角または注入角で注入されるように、イオンビームの軌道に対して実質的に垂直の向きに配されてよい。他の実施形態において、基板は、イオンビーム20に対して垂直に配されなくてもよく、入射角または注入角が0°でなくてもよい。一実施形態において、注入角は、注入プロセスを通じて一定値に維持されてよい。他の実施形態において、注入角が、注入プロセス中に変化させられてもよい。本開示において、注入されるイオンの注入量を制御する目的で、基板100を特定の速度で移動させてもよい。注入量を適正にする目的で、エンドステーション206は、注入量測定システムを有してもよい。
【0041】
イオン源206と基板100との間に、1以上のマスク250が配されてよい。本開示において、マスク250は、1以上のフィンガー部を有してよい。フィンガー部は、イオン20が基板100に到達することを妨げる。マスク250は、1以上の開口を有してもよい。イオン20は、上記の開口を通過して、基板100中に注入されてよい。マスク250は、エンドステーション206の壁を含む、システム200の様々な構成要素によって支持されてよい。マスク250を支持する様々な構成要素によって、マスク250が、イオンビーム20および/または基板100に対して適切な向きまたは位置に配されてよい。例えば、アクチュエータ(図示されていない。)がマスク250に結合され、マスク250を、基板100および/またはイオンビーム20に対して、並進、回転または傾転させてもよい。マスク250の温度が過度に上昇することを抑制する目的で、マスク250が冷却されてもよい。
【0042】
図3は、本開示の一実施形態に係るマスク350の一例を示す。本実施形態において、マスク350は、少なくとも1つのフィンガー部352を有する。マスク350は、オプションでベース部354を有してもよく、フィンガー部352は、ベース部354に支持されてもよい。マスク350がベース部354を有しない場合、マスク350が、互いに支持および/または保持される1以上のフィンガー部352であってもよい。マスク350が2以上のフィンガー部352を有する場合、フィンガー部352が、互いに離間して配され、隙間または開口356を形成してもよい。一実施形態において、マスク350は、複数のフィンガー部352を有し、1以上の隙間または開口を形成してもよい。複数のフィンガー部352は、均一な形状および大きさを有してよい。加えて、フィンガー部352は、隙間または開口356の形状および大きさが均一になるように構成されてよい。他の実施形態において、マスク350は、61個のフィンガー部352を有して、60個の開口356を形成してよい。開口356は、均一な長方形の形状を有してよい。しかしながら、当業者は、マスク350は、任意の数のフィンガー部352および開口356を有してよいことを理解することができるであろう。加えて、開口356は、様々な形状および大きさを有してよく、それらは、均一であっても、均一でなくてもよい。
【0043】
マスク350は、様々な材料を用いて形成されてよい。マスクは、イオン注入の反応条件に耐えることができる不活性物質(inert material)を用いて形成されることが好ましい。マスク350に含まれる材料の一例として、石英、グラファイト、サファイア、シリコン(Si)、炭化シリコンおよび窒化シリコンを例示することができる。マスク350には、他の材料が含まれてもよい。他の材料の例として、ドーパント種を含む材料を例示することができる。
【0044】
図4は、本開示の他の実施形態に係るマスク450の一例を示す。本実施形態において、マスク450は、少なくとも1つのフィンガー部452を有してよい。マスク450は、マスク450の対辺に配され、フィンガー部452を支持する第1のベース部454aおよび第2のベース部454bを有してよい。必要に応じて、マスク450は、フィンガー部に隣接して配され、マスク450の対辺に配された第3のベース部454cおよび第4のベース部454dを有してもよい。そうではなく、第3のベース部454cおよび第4のベース部454dの代わりに、付加的なフィンガー部452が配されてもよい。マスク450が2以上のフィンガー部452を有する場合、フィンガー部452は、互いに離間して配され、1以上の隙間または開口456を形成してよい。一実施形態において、マスク450は、複数のフィンガー部452を有してよく、複数のフィンガー部452は、均一な形状および大きさを有してよい。加えて、フィンガー部452は、開口456の形状および大きさが均一になるように構成されてよい。しかしながら、当業者は、任意の数のフィンガー部452および開口456を有してよいことを理解することができるであろう。加えて、開口456は、様々な形状および大きさを有してよく、それらは、均一であっても、均一でなくてもよい。
【0045】
図3に示された実施形態に係るマスク350の場合と同様に、マスク450は、様々な材料を含んでよい。説明を明確かつ簡潔にする目的で、材質に関する説明は省略する。
【0046】
図5aおよび図5bは、本開示の一実施形態に係る基板処理技術の一例を示す。なお、図面は必ずしも尺図通りには作図されていない。説明を明確かつ簡潔にする目的で、図2に関連して説明されたビームライン・イオン注入システム200と、図3に関連して説明されたマスク350とを用いて、当該技術について説明する。しかしながら、スポットまたは集中的なイオンビームを用いるスキャンビーム・イオン注入システムを含む、他の様々なシステムを使用することができる。加えて、図4に関連して説明されたマスク450を含む、他の様々なマスクを使用することができる。説明を明確かつ簡潔にする目的で、本技術は、ビームの高さ(図中における垂直方向の長さを示す。)に関連して説明される。当業者は、リボンビーム・イオン注入において、ビームの高さ(長さ)とは、リボンビームの実際の高さ(長さ)を示すことを理解することができるであろう。スポットまたは集中的なイオンビームを用いるスキャンビーム・イオン注入において、上記の用語は、スポットビームによってスキャンされ、リボンビーム・イオン注入のビーム高さと同様の効果が得られる領域の高さ(長さ)を示す。
【0047】
本実施形態において、基板500および30は、イオン注入システム200の内部に配されてよい。図5aおよび図5bに示されるように、マスク350のフィンガー部352の大きさまたは位置は、矢印510で示される高さ方向にそって、基板500の全高(全長)にわたって延伸することがないように決定される。また、フィンガー部352の大きさまたは位置は、イオンビーム20の全高(全長)にわたって延伸することがないように決定されてよい。本実施形態において、マスク350のフィンガー部352は、イオンビーム20の高さの約50%にわたって延伸してよい。全高の最初から最後までは延伸していないフィンガー部352を有することで、基板500に方向付けられたイオンビーム20を、複数の軌道に分割することができる。例えば、イオンビーム20は、イオンビーム20の第1の端部20iから仮想的な参照線20iiiにわたる第1の部分20aを含んでよい。また、イオンビーム20は、イオンビーム20の第2の端部20iiから参照線20iiiにわたる第2の部分20bを含んでよい。参照線20iiiは、フィンガー部352iの端部によって規定されてよい。
【0048】
フィンガー部352が、イオンビーム20の高さの約50%にわたって延伸している場合、イオンビーム20の第1の部分20aおよび第2の部分20bは、実質的に等しくてよい。イオンビームの第1の部分20a中のイオンが、基板500に直接注入されて、ブランケット・イオン注入(blanket ion implantation)が実施されてよい。一方、第2の部分中のイオンの一部が、開口356を通って基板500に注入されて、選択的なイオン注入が実施されてよい。
【0049】
イオンビーム20、マスク350および基板500のそれぞれは、独立に、回転および並進の自由度を有してよい。イオンビーム20、マスク350および基板500は、連携してまたは独立に、傾転、回転および/または並進してよい。本実施形態において、マスク350は、イオンビーム20に対して特定の位置に(fixedly)位置決めされてよい。一方、基板500は、矢印510によって示される高さ方向に沿って、イオンビーム20および/またはマスク350に対して移動してよい。詳細には説明されていないけれども、他の実施形態において、基板500は、矢印512によって示される方向に沿って、イオンビーム20および/またはマスク350に対して移動してよい。基板500が高さ方向510に移動するので、ドーパントを含む第1の領域502および第2の領域504が形成される。イオンビームの第1の部分20aおよび第2の部分20bからのドーパントが注入されるので、第1の領域502は、高濃度にドープされた領域であってよい。一方、イオンビームの第1の部分20aからのドーパントが注入されるので、第2の領域504は、低濃度にドープされた領域であってよい。本実施形態に係る基板500と、図1に関連して説明された基板100とを比較すると、高濃度にドープされた領域502は、コンタクト領域102に対応してよい。一方、低濃度にドープされた領域504は、スペーサ領域104に対応してよい。その他の実施形態において、コンタクト領域102におけるドーパントの注入量は、スペーサ領域104におけるドーパントの注入量よりも少なくてもよく、その場合、高濃度にドープされた第1の領域502は、スペーサ領域104に対応してよく、低濃度にドープされた領域504は、コンタクト領域102に対応してよい。
【0050】
フィンガー部352およびイオンビーム20の高さに応じて、第1の領域502および第2の領域504におけるドーパントの注入量またはレベルが調整されてよい。本実施形態において、フィンガー部352の高さは、イオンビーム20の高さの約50%であってよい。これにより、フィンガー部352によって生じたイオンビームの第1の部分20aおよび第2の部分20bの高さが同程度になる。高さ方向510におけるイオンビーム20中のイオンの量が実質的に均一であり、基板500の移動速度が一定である場合には、第1の領域502におけるドーパントの注入量は、第2の領域504におけるドーパントの注入量の約2倍であってよい。例えば、第1の領域502におけるドーパントの注入量は、約2×1015(※15は上付き)cm−2(※ー2は上付き)であってよく、第2の領域504におけるドーパントの注入量は、約1×1015(※15は上付き)cm−2(※ー2は上付き)であってよい。別の実施形態において、フィンガー部352の高さは、イオンビーム20の高さの約33%(1/3)であってよい。この実施形態において、イオンビーム20の第1の部分20aの高さは、第2の部分20bの高さよりも約50%長くなる。イオン注入後において、第1の領域502におけるドーパントの量は、第2の領域504におけるドーパントの量よりも約50%大きくなってよい。同様にして、第1の領域502と第2の領域504におけるドーパントの注入量の比が、約3:2となってもよい。
【0051】
ドーパントの注入量を制御することに加えて、フィンガー部352の高さが調整されて、イオンビームの均一性が調整されてよい。例えば、マスク350のフィンガー部352の高さを調整して、ドーパントを2倍均一に注入してもよい。
【0052】
本開示に係る技術を用いることで、ドーパント注入量の異なる2つの領域を有する基板を製造することができる。従来技術とは異なり、本開示に係る技術は、それが用いられた場合に、単一のイオンビームまたはイオンビームの単一の経路(pass)を用いて選択的なブランケット注入を実施することができ、2つの領域を同時に、または、実質的に同時に形成することができる。加えて、上記の技術は、2つの異なるマスクを必要としない。さらに、異なるマスクを配置する工程、異なるマスクを用いて処理する工程およびマスクを取り外す工程といった追加的な工程の手間を省くことができる。本開示に記載された技術は、はるかに簡単で効率的である。
【0053】
図6は、本開示の一実施形態に係る基板処理技術の他の例を示す。なお、図面は必ずしも尺図通りには作図されていない。当業者は、本実施形態が、上述した実施形態において説明された特徴に類似する多くの特徴を備えることを理解するであろう。説明を明確かつ簡潔にする目的で、類似する特徴については、繰り返しの説明を省略する。なお、図面は必ずしも尺図通りには作図されていない。
【0054】
本実施形態において、基板500およびマスク650が、イオン注入システムの中に配置される。その後、イオンビーム30が、基板500に向かって方向付けられてよい。本実施形態において、矢印510に示された方向におけるイオンビーム30の高さは、基板500がイオンビーム30に対して移動しなくてもよいように、十分に大きくてよい。言い換えれば、イオンビーム30の高さは、注入されるべき基板500内の特定の領域が、イオンビーム30の高さによって覆われる程度に十分に大きく、基板500またはイオンビーム30が、互いに相対移動する必要がない。
【0055】
一方、本実施形態に係るマスク650は、マスク350と同様の構成を有してもよい。上述した実施形態と同様に、本実施形態のイオンビーム30、マスク650および基板500のそれぞれは、独立した回転および並進の自由度を有してよい。しかしながら、基板500およびイオンビーム30は、基板500およびイオンビーム30が、一緒に、傾転、回転および/または並進することができるように、お互いの相対位置が固定されていてもよい。一方、マスク650は、イオンビームイオンビーム30および基板500に対して移動してよい。マスク650が高さ方向に沿って移動するにつれて、高濃度にドープされた第1の領域502と、低濃度にドープされた第2の領域504とが形成されてよい。第1の領域502および第2の領域504に、付加的なドーパントが注入されることを抑制する目的で、本実施形態のマスク650は、オプションで、より大きな高さを有するベース部654を備えてよい。本実施形態に係る技術を実施して、マスク650をイオンビーム30に対して移動させることで、高濃度にドープされた第1の領域502と、低濃度にドープされた第2の領域504とが得られる。
【0056】
図7は、本開示の他の実施形態に係るマスク750の他の例を示す。本実施形態において、マスク750は、マスク750の対辺に配される上方部分702および下方部分704を備えてよい。当業者は、上方部分702および下方部分704のそれぞれが、図3に関連して説明された実施形態に係るマスク350と同様の構成を有してよいことを理解できるであろう。上方部分702および下方部分704のそれぞれにおいて、マスク750は、1以上の第1のフィンガー部752aと、1以上の第2のフィンガー部752bとを有してよい。マスク750は、オプションで、第1のフィンガー部752aおよび第2のフィンガー部752bを支持する、第1のベース部754aおよび第2のベース部754bを備えてよい。加えて、マスク750は、オプションで、フィンガー部に隣接し、対辺に配される第3のベース部754cおよび第4のベース部754dを備えてもよい。
【0057】
マスク750の上方部分702および下方部分704のそれぞれが、2以上の第1のフィンガー部752aおよび第2のフィンガー部752bを有する場合、第1のフィンガー部752aおよび第2のフィンガー部752bは、幅方向712に互いに離間して配されてよい。これにより、1以上の第1の開口756aを形成することができる。マスク750は、高さ方向710に互いに離間して配された上方部分702および下方部分704によって形成される第2の開口756bを備えてもよい。
【0058】
上述した実施形態に係るマスク350およびマスク450の場合と同様に、本実施形態に係るマスク750は、様々な材料を含んでよい。
【0059】
図8aおよび図8bは、本開示の他の実施形態に係る基板処理技術の他の例を示す。なお、図面は必ずしも尺図通りには作図されていない。説明を明確かつ簡潔にする目的で、本実施形態に係る技術は、図7に関連して説明したマスク750を用いて説明される。当業者は、本技術が、他のマスクを用いて実施されてもよいことを理解することができるであろう。加えて、説明を明確かつ簡潔にする目的で、オプションの第3のベース部754cおよび第4のベース部754dは図示されていない。
【0060】
本実施形態に係る技術は、複数の工程を有する技術(multi-part technique)であってよい。本実施形態に係る技術の第1の工程は、図5aおよび図5bを用いて説明された技術と同様の構成を有してよい。本実施形態に係る技術は、そういうものとして、図5aおよび図5bを用いて説明された上述の実施形態を参照して理解されるべきである。
【0061】
本実施形態において、マスク750は、イオン源(図示されていない。)と基板500との間に配されてよい。その後、イオンビーム軌道(ion beam path)に沿って、イオンビーム20が基板500に向かって方向付けられてよい。本技術の第1の工程の間、イオンビーム20は、マスク750の上方部分702に向かって方向付けられてよい。マスク750の上方部分702は、イオンビーム軌道中に配されてよい。図8aに記載されているように、第1のフィンガー部752aの大きさまたは位置は、第1のフィンガー部752aがイオンビーム20の全高にわたって延伸しないように決定されてよい。上記の工程において、イオンビーム20は、第1の部分20aと第2の部分20bとに分割されてよい。イオンビーム20の第1の部分20aに含まれるイオンは、第2の開口756bを通って、基板に直接的に注入されてよい。これにより、ブランケット・イオン注入が実施される。一方、イオンビーム20の第2の部分20bからのイオンの一部は、1以上の第1の開口756aを通過して、選択的なイオン注入が実施されてよい。図5aおよび図5bに関連して説明された技術の場合と同様に、基板500は、高さ方向710に移動してよい。一方、マスク750の上方部分702は、イオンビーム20に対して固定して配されてよい。結果として、基板500上に、高濃度にドープされた領域(図示されていない。)と、低濃度にドープされた領域(図示されていない。)とが形成されてよい。
【0062】
本技術の第2の工程の間、イオンビーム20は、マスク750の下方部分704に向かって方向付けられてよい。第2の工程は、第1の工程の後で、または、第1の工程に先立って実施されてよい。本技術の第1の工程の場合と同様に、第2のフィンガー部752bの大きさまたは位置は、第2のフィンガー部752bがイオンビーム20の全高にわたって延伸しないように決定されてよい。上記の工程において、イオンビーム20は、第1の部分20aと第2の部分20bとに分割されてよい。本技術の第1の工程の場合とは異なり、イオンビームの第1の部分20aは、マスク750の下方部分704における第1の開口756aを通過して、選択的なイオン注入の実施に用いられてよい。一方、ブランケット・イオン注入は、イオンビーム20の第2の部分20bを用いて実施されてよい。
【0063】
本実施形態に係る技術は、いくつかの利点を提供する。中でも、イオンビーム20の高さ方向710の不均一性に対処するのに用いられる。多くのイオン注入装置において、高さ方向に不均一性(例えば、イオン注入量の変動)が存在する場合がある。この変動は、中でも、空間電荷効果によってもたらされうる。イオンビームの第1の部分および第2の部分の両方を用いて、高濃度にドープされた領域と、低濃度にドープされた領域とを精製することで、不均一性が軽減される。
【0064】
加えて、基板に対するマスク750の位置が決定されてよい。例えば、基板500およびイオンビーム20に対する第1のフィンガー部752aおよび第2のフィンガー部752bの相対位置を測定することなく、基板500の上流側にマスク750が配置されてよい。イオンビーム20がマスク750に向かって方向付けられてよく、フィンガー部752aおよびフィンガー部752bによるイオンビーム電流(ion beam current)の損失に基づいて、「ウエハーマップ(wafer map)」が生成されてよい。加えて、高さ方向710におけるイオンビームまたは基板スキャンの速度が調整され、不均整(asymmetry)を補正する。例えば、基板500にイオンが注入されていない場合、基板500が方向転換(turn around)させられている間に、マスク750が、イオンビームに対して移動させられてよい。これにより、基板のブランケット・イオン注入が実施された部分におけるイオンビームの不均一性(non-uniformity)を相殺することができる。マスク750は、基板が方向転換させられるたびに移動させられる必要はないが、イオンビーム変動(ion beam fluctuation)とのオーバーラップが小さくなるような間隔で移動させられてよい。例えば、これにより、50Hzおよび60Hzの高調波(harmonic)を抑制することができる。
【0065】
図9は、本開示の他の実施形態に係る基板処理に用いられるマスク950の他の例を示す。説明を明確かつ簡潔にする目的で、マスク950は、開口に関連して説明される。マスク950は、高さ方向910に沿って配された、開口956a−956cの複数の列(row)955a−955cを備えてよい。本実施形態において、マスク950は、955a−955cという3つの横列を備えてよい。横列955a−955cのそれぞれには、1以上の開口956a−956cが配されてよい。本実施形態において、開口956a−956cの形状は、方形であってよい。図9に示されるように、本実施形態に係る開口956a−956cのそれぞれは、高さ方向910に沿って、距離lだけ延伸する第1の辺(side)967aおよび第2の辺967bと、幅方向912に沿って、距離Wだけ延伸する第1の幅(width)969aおよび第2の幅969bとを有してよい。一実施形態において、開口956a−956cは、その他の形状を有してよい。
【0066】
本実施形態において、隣接する横列955a−955cに含まれる開口956a−956cは、不均一であってよい。本実施形態において、開口956a−956cの位置または配置(alignment )について、不均一であってよい。例えば、第1の横列955aに含まれる(複数の)第1の開口956aと、第2の横列955bに含まれる(複数の)第2の開口956bとは、高さ方向に位置あわせされていなくてよい。この工程において、開口956aおよび開口956bの中心は、幅方向912に沿って、距離xだけずれた状態で配されてよい。
【0067】
さらに、隣接する横列955a−955cに含まれる開口956a−956cは、横列955a−955cのうちの特定の一列に含まれる開口956a−956cの第1の辺967aと、隣接する横列955a−955cに含まれる開口956a−956cの第1の辺967aとが一列に並ばないようにずらして配されるように、配置されてよい。本実施形態において、隣接する横列に含まれる開口956a−956cは、第1の開口956aの第1の辺967aと、第2の開口956bの第2の辺967bとが一列に並ぶように、ずらして配されてよい。他の実施形態において、第1の開口956aの第1の辺967aは、第2の開口956bの第2の辺967bと一列に並ばないように、距離d(図示されていない。)だけずらして配されてよい。本開示において、第1の開口956aは、第3の横列955cに含まれる第3の開口956cと一列に並ぶように配されてもよく、一列に並ばないように配されてもよい。
【0068】
上述された実施形態に係るマスクと同様に、本実施形態に係るマスク950は、様々な材料を含んでよい。
【0069】
図10は、本開示の他の実施形態に係るマスク1050の他の例を示す。本実施形態において、マスク1050は、図9に関連して説明したマスク950と同様の構成を有してよい。しかしながら、隣接する横列955a−955cに含まれる開口956a−956cが、幅方向912に沿って、距離yだけオーバーラップしてよい。
【0070】
図11は、本開示の他の実施形態に係る基板処理技術の他の例を示す。なお、図面は必ずしも尺図通りには作図されていない。説明を明確かつ簡潔にする目的で、本実施形態に係る技術は、図9に関連して説明されたマスク950を用いて説明される。当業者は、本技術が、その他のマスクを用いて実施されてもよいことを理解できるであろう。
【0071】
本実施形態に係る技術は、複数の工程を有する技術であってよい。本実施形態に係る技術の第1の工程は、図5a、図5b、8aおよび図8bを用いて説明された技術と同様の構成を有してよい。本実施形態に係る技術は、そういうものとして、図5a、図5b、8aおよび図8bを用いて説明された上述の実施形態を参照して理解されるべきである。
【0072】
本実施形態において、マスク950は、イオン源(図示されていない。)と基板(図示されていない。)との間に配されてよい。その後、イオンビーム軌道に沿って、イオンビーム20が基板に向かって方向付けられてよい。本技術の第1の工程の間、イオンビーム20は、マスク950の上方部分に向かって方向付けられてよい。例えば、イオンビーム20およびマスク950は、イオンビームの第1の部分20aが、第2の横列955bに含まれる第2の開口956bの少なくとも一部とオーバーラップするように、配置される。一方、イオンビームの第2の部分20bは、第1の横列955aに含まれる第1の開口956aの少なくとも一部とオーバーラップしてよい。基板が高さ方向910に移動するにつれて、イオン注入領域が形成されてよい。
【0073】
第1の開口966aの第1の辺967aと、第2の開口966bの第2の辺967bとが、高さ方向910に沿って一列に並んでいる場合には、第1の開口956aおよび第2の開口956bの幅と等しい幅を有するイオン注入領域が形成されてよい。第1の開口966aの第1の辺967aと、第2の開口966bの第2の辺967bとが、距離dだけずらして配されている場合には、離間して配された2つのイオン注入領域の間に、幅dを有するイオン非注入領域が形成さてよい。
【0074】
本技術の第2の工程の間、イオンビーム20は、イオンビーム20がマスク950の下方部分に向かって方向付けられるように、マスク950に対して移動させられてよい。第2の工程は、第1の工程の後で、または、第1の工程に先立って実施されてよい。例えば、イオンビーム20およびマスク950は、イオンビームの第1の部分20aが、第3の横列955cに含まれる第3の開口956cの少なくとも一部とオーバーラップするように、配置されてよい。一方、イオンビームの第2の部分20bは、第2の開口956bの一部とオーバーラップしてよい。基板が移動するにつれて、イオンビームの高さ方向910における不均一性が軽減されてよい。
【0075】
図10に関連して説明されたマスク1050が用いられた場合には、第1の開口956aと第2の開口956bとのオーバーラップ、または、第2の開口956bと第3の開口956cとのオーバーラップにより、(複数の)低濃度にドープされた領域の間に、幅yを有する高濃度にドープされた領域が形成されてよい。オーバーラップしている領域を通過するイオンによって、高濃度にドープされた領域が形成されてよく、オーバーラップしていない領域を通過するイオンによって、低濃度にドープされた領域が形成されてよい。さらに、本技術が複数の工程を有する場合、ビーム(図示されていない。)の高さ方向の不均一性が軽減されてよい。
【0076】
図12は、本開示の他の実施形態に係る基板処理に用いられるマスクの他の例を示す。マスク1250は、複数の列を有する。複数の列のそれぞれは、1以上の開口を含んでよい。本実施形態において、マスク1250は、5つの横列1255a−1255eを備え、横列のそれぞれには、1以上の開口1256a−1256eが配されてよい。図10に関連して説明したように、隣接する列に含まれる開口1256a−1256eは、不均一であってよい。例えば、隣接する列に含まれる開口1256a−1256cの大きさおよび配置が異なってよい。
【0077】
上述した実施形態に係るマスクと同様に、本実施形態に係るマスク1250は、様々な材料を含んでよい。
【0078】
本開示は、本明細書に記載された特定の実施形態の範囲に限定されるものではない。実際、当業者にとって、本明細書に記載された実施形態に加えて、上述の詳細な説明および添付の図面に基づいて、本開示の他の様々な実施形態および本開示に対する修正を実施できることは明らかであろう。したがって、そのような他の実施形態および修正は、本開示の範囲に含まれる。さらに、本開示は、特定の目的のための特定の環境における特定の実施形態について説明されている。当業者は、その有用性は、当該特定の実施形態に限定されないこと、また、本開示は、様々な目的のために、様々な環境において、有利に実施されうることを理解することができるであろう。したがって、以下の特許請求の範囲の記載は、詳細な説明において説明された本開示の全容および精神を考慮して理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理に用いられるマスクであって、
第1のベース部と、
離間して配され、1以上の隙間を形成する複数のフィンガー部と、
を備えるマスク。
【請求項2】
前記複数のフィンガー部のそれぞれは、第1の端部および第2の端部を有し、
前記第1の端部は、前記第1のベース部上に配される、
請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記複数のフィンガー部の前記第2の端部は、支持されていない、
請求項2に記載のマスク。
【請求項4】
前記マスクは、石英、グラファイト、サファイア、シリコン、炭化シリコンおよび窒化シリコンから選択される少なくとも1つの材料を含む、
請求項1に記載のマスク。
【請求項5】
基板を処理する装置であって、
目的とする種のイオンを含むイオンビームを発生させるイオン源と、
前記基板を収容するエンドステーションと、
前記イオン源および前記基板の間に配されるマスクと、
を備え、
前記基板および前記マスクの一方は、前記基板および前記マスクの他方に対して移動するように構成される、
装置。
【請求項6】
前記マスクは、前記イオンビームに対して特定の位置に位置決めされる、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記マスクは、前記基板の全高よりも短い、
請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記マスクの少なくとも一部は、前記イオンビームの全高よりも短い、
請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記イオンビームは、第1の部分および第2の部分を含み、
前記マスクは、互いに離間して配され、1以上の隙間を形成する複数のフィンガー部を有し、
前記複数のフィンガー部は、前記イオンビームの前記第1の部分の軌道中に配される、
請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記複数のフィンガー部は、前記イオンビームの前記第2の部分の軌道中に配されない、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記イオンビームの前記第1の部分の高さは、前記イオンビームの前記第2の部分の高さと実質的に等しい、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記イオンビームの前記第1の部分の高さは、前記イオンビームの前記第2の部分の高さより大きい、
請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記イオンビームの前記第1の部分の高さと、前記イオンビームの前記第2の部分の高さとの比は、おおよそ3:2である、
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記イオンビームの前記第1の部分の高さは、前記イオンビームの前記第2の部分の高さより小さい、
請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記イオンビームの前記第1の部分の高さと、前記イオンビームの前記第2の部分の高さとの比は、おおよそ2:3である、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
選択的なイオン注入を実施すべく、前記イオンビームの前記第1の部分からのイオンの一部が、前記1以上の隙間を通過して前記基板に注入される、
請求項10に記載の装置。
【請求項17】
ブランケット・イオン注入を実施すべく、前記イオンビームの前記第2の部分からのイオンが、前記基板に注入される、
請求項10に記載の装置。
【請求項18】
基板を処理する装置であって、
目的とする種のイオンを含むイオンビームを発生させるイオン源と、
前記基板を収容するエンドステーションと、
前記イオン源および前記基板の間に配されるマスクと、
を備え、
前記マスクは、互いに離間して配され、1以上の隙間を形成する複数のフィンガー部を有し、
前記複数のフィンガー部の高さ方向の長さは、前記イオンビームの全高よりも短い、
装置。
【請求項19】
前記マスクおよび前記基板の少なくとも一方が、前記マスクおよび前記基板の他方に対して移動させられる、
請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記イオンビームは、前記イオンビームの対辺に配される第1の部分および第2の部分を含み、
前記イオンビームの前記第1の部分からのイオンが、前記基板上でブランケット・イオン注入を実施し、前記イオンビームの前記第2の部分からのイオンが、前記基板上で選択的なイオン注入を実施するように構成される、
請求項18に記載の装置。
【請求項1】
基板処理に用いられるマスクであって、
第1のベース部と、
離間して配され、1以上の隙間を形成する複数のフィンガー部と、
を備えるマスク。
【請求項2】
前記複数のフィンガー部のそれぞれは、第1の端部および第2の端部を有し、
前記第1の端部は、前記第1のベース部上に配される、
請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記複数のフィンガー部の前記第2の端部は、支持されていない、
請求項2に記載のマスク。
【請求項4】
前記マスクは、石英、グラファイト、サファイア、シリコン、炭化シリコンおよび窒化シリコンから選択される少なくとも1つの材料を含む、
請求項1に記載のマスク。
【請求項5】
基板を処理する装置であって、
目的とする種のイオンを含むイオンビームを発生させるイオン源と、
前記基板を収容するエンドステーションと、
前記イオン源および前記基板の間に配されるマスクと、
を備え、
前記基板および前記マスクの一方は、前記基板および前記マスクの他方に対して移動するように構成される、
装置。
【請求項6】
前記マスクは、前記イオンビームに対して特定の位置に位置決めされる、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記マスクは、前記基板の全高よりも短い、
請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記マスクの少なくとも一部は、前記イオンビームの全高よりも短い、
請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記イオンビームは、第1の部分および第2の部分を含み、
前記マスクは、互いに離間して配され、1以上の隙間を形成する複数のフィンガー部を有し、
前記複数のフィンガー部は、前記イオンビームの前記第1の部分の軌道中に配される、
請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記複数のフィンガー部は、前記イオンビームの前記第2の部分の軌道中に配されない、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記イオンビームの前記第1の部分の高さは、前記イオンビームの前記第2の部分の高さと実質的に等しい、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記イオンビームの前記第1の部分の高さは、前記イオンビームの前記第2の部分の高さより大きい、
請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記イオンビームの前記第1の部分の高さと、前記イオンビームの前記第2の部分の高さとの比は、おおよそ3:2である、
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記イオンビームの前記第1の部分の高さは、前記イオンビームの前記第2の部分の高さより小さい、
請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記イオンビームの前記第1の部分の高さと、前記イオンビームの前記第2の部分の高さとの比は、おおよそ2:3である、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
選択的なイオン注入を実施すべく、前記イオンビームの前記第1の部分からのイオンの一部が、前記1以上の隙間を通過して前記基板に注入される、
請求項10に記載の装置。
【請求項17】
ブランケット・イオン注入を実施すべく、前記イオンビームの前記第2の部分からのイオンが、前記基板に注入される、
請求項10に記載の装置。
【請求項18】
基板を処理する装置であって、
目的とする種のイオンを含むイオンビームを発生させるイオン源と、
前記基板を収容するエンドステーションと、
前記イオン源および前記基板の間に配されるマスクと、
を備え、
前記マスクは、互いに離間して配され、1以上の隙間を形成する複数のフィンガー部を有し、
前記複数のフィンガー部の高さ方向の長さは、前記イオンビームの全高よりも短い、
装置。
【請求項19】
前記マスクおよび前記基板の少なくとも一方が、前記マスクおよび前記基板の他方に対して移動させられる、
請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記イオンビームは、前記イオンビームの対辺に配される第1の部分および第2の部分を含み、
前記イオンビームの前記第1の部分からのイオンが、前記基板上でブランケット・イオン注入を実施し、前記イオンビームの前記第2の部分からのイオンが、前記基板上で選択的なイオン注入を実施するように構成される、
請求項18に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−523708(P2012−523708A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504867(P2012−504867)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/030400
【国際公開番号】WO2010/118237
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(500324750)バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド (88)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/030400
【国際公開番号】WO2010/118237
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(500324750)バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド (88)
【Fターム(参考)】
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