説明

基板支持体

【課題】 本発明は、基板またはウェーハーの収容のための、および、プロセス設備内への、またはこれらプロセス設備を通っての移送のための、基板支持体に関する。本発明でもって、可能な限り広範に使用可能な、もしくは、簡単に、実際的な役目のために容易に適合可能な、および、材料を節約する基板支持体が、提供されるべきである。
【解決手段】 上記の課題は、長手方向支持体および横方向支持体2、3から形成された、フレーム1の内側で、多数の長手方向ウェブおよび横方向ウェブ4、5は、基板の直接的または間接的な収容のための基礎格子が形成されるように、互いに格子体状に交差して設けられており、且つ、互いに結合されていることによって達成される。長手方向支持体および横方向支持体2、3と同様に、長手方向ウェブおよび横方向ウェブ4、5は、形状的に係合して、互いに結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板またはウェーハーの収容のための、および、プロセス設備内への、またはこれらプロセス設備を通っての移送のための、基板支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス、シリコン、または他の材料から成る基板またはウェーハーの、プロセス設備内への、またはこれらプロセス設備を通っての移送のために、半導体工業、または光起電力工業内において、基板支持体が使用され、
これら基板支持体は、同様に、キャリアー(Carrier)またはボート(Boot)、もしくは、プラズマボート(Plasmaboot)としても称される。この様式の基板支持体またはキャリアーは、特に、基板またはウェーハーが特別に傷付き易く、もしくは、特別に薄く、且つ大きな面積である場合に必要であり、従って、これら基板またはウェーハー自体の直接的な移送、即ち補助手段の利用無しの直接的な移送は、損傷の危険に基づいて可能ではない。
【0003】
基板支持体、またはキャリアーは、大抵の場合、板から成り、これら板が、基板またはウェーハーの収容、固定、または載置のための付加的な手段を備えている。
【0004】
特許文献1は、ウェーハー支持体/キャリアーを記載しており、
このウェーハー支持体/キャリアーが、それぞれに1つの基板を横たえて収容するための、互いに並列して設けられている、多数の窪み部を備えている、1枚の板からなり、その際、これら窪み部が、これら基板よりもほんの僅かにだけ大きい寸法を有している。
これら窪み部内において、3つの載置ピンが設けられており、これら載置ピンの上に、基板が載置され得る。この3点支持によって、そのことがプラズマプロセス、例えばPECVDプロセスのために必要であるような、可能な限りの電気的な接触信頼性が達成される。これら板自体は、耐温度性および必要な導電性のために、グラファイトから成っている。
【0005】
その場合に正方形の基板の固定は、平面内において、これら基板が、少なくとも部分的に、窪み部内へと入り込み、且つ従って、x方向およびy方向内において固定されることによって行われる。これら窪み部は、中実の板内へとフライス加工され、且つ、基板またはウェーハーの自動的な装着を許容する。
【0006】
実際上、この様式の中実のプラズマボートの製造は、必要な機械的な加工の理由で、かなり手間暇がかかる。
【0007】
類似の構造は、特許文献2から見て取れる。
同様にここで、基板の平らに置かれた状態の移送のために、可能な限り、ぴったりとはめ込まれた窪み部を有する基板支持体が使用され、この基板支持体は、同様にかなり質量が大きい。この基板支持体は、この基板支持体の上に位置決めされた基板と共に、ローラーの上で、プロセス設備のマストンネル(Massetunnel)を通って移送され、このマストンネル内において、HV/VHF電極が設けられている。
【0008】
もちろん、同様に、CFC(炭素繊維強化炭素)/CFK(炭素繊維強化された合成物質)、または、炭素繊維−セラミックマトリックス(CF/Keramik Matrix)のような、基板支持体のための他の材料も可能であり、従って、いわゆる高温マトリックス、または同様に金属も使用され得る。
【0009】
全く未加工板の使用は、著しい材料使用を、および、同様に加工費用、並びに、比較的に多くのごみをも誘起する。更に、堅牢な基板支持体は、極めて非可撓性に使用可能であり、即ち、これら基板支持体が、大抵の場合、単に所定のプロセスのために使用され得る。
このことは、多数の基板支持体が備蓄されねばならないことを意味する。
【0010】
従って、可能な限り広範に使用可能な、もしくは、簡単に、実際的な役目のために容易に適合可能な、基板支持体が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際出願公開第2002/20871 A1号パンフレット
【特許文献2】国際出願公開第2002/056338 A2号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の根底をなす課題は、材料を節約する基板支持体を提案することであり、この基板支持体でもって、従来技術の欠点が回避され得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この本発明の根底をなす課題は、
長手方向支持体および横方向支持体から形成された、フレームの内側で、
多数の長手方向ウェブおよび横方向ウェブが、
基板の直接的または間接的な収容のための基礎格子が形成されるように、互いに格子体状に交差して設けられており、且つ、互いに結合されていることによって解決される。
【発明の効果】
【0014】
このような様式で構成された基板支持体は、特別に質量が小さい構造によって特徴付けられ、且つ、完全に個々に組み立て可能であり、且つ、適宜の使用状況に適合可能である。
従って、僅かの経費を有する、本発明に従う基板支持体でもって、適宜の基板が、プロセス設備を通って、移送され得る。何故ならば、適当な適合が特別のアダプターを用いて容易に可能であるからである。
【0015】
本発明の第1の実施形態において、長手方向支持体および横方向支持体と同様に、長手方向ウェブおよび横方向ウェブは、形状的に係合して、互いに結合されている。このことによって、一方では、高い形状安定性が達成され、他方では、この基板支持体の簡単な組み立て、もしくは解体が保証される。
【0016】
長手方向支持体および横方向支持体、並びに、長手方向ウェブおよび横方向ウェブの互いの形状的に係合する結合は、簡単に、ほぞ穴−ほぞ結合、及び/または、はめ継ぎ結合(9)によって行われ、その際、上記ほぞが、少なくとも非円形、もしくは角形の外側輪郭を、および、上記ほぞ穴が、形状的に一致した内側輪郭を有している。
【0017】
本発明の更なる構成において、
外側の長手方向支持体は、それぞれに、上側帯状体および下側帯状体から成り、これらが、強固に、しかしながら解離可能に、互いに結合されており、このことは、ねじ止めによって、特別に簡単に行われ得る。
【0018】
更に、その目的のために形状的に係合した固定が、ほぞ穴−ほぞ結合を用いて行われるというやり方で、横方向ウェブは、上側帯状体と下側帯状体との間で、並びに、長手方向支持体において、形状的に係合して固定されている。
【0019】
本発明の更に別の実施形態において、長手方向ウェブおよび横方向ウェブは、一部材から成る、または多部材から成る収容装置を、基板またはウェーハーの載置および固定のために備えている。この様式の収容装置は、基板の寸法および形状に依存して、完全に適宜に構成されていることは可能である。
【0020】
収容装置の容易な固定可能性のために、これら収容装置は、長手方向ウェブおよび横方向ウェブの上で、ピン、クランプ、またはねじによって固定されている。
【0021】
更に、基板支持体からの収容装置の熱的及び/または電気的な分離を行うために、収容装置が、差し込まれたまたはねじ止めされた、セラミック、グラファイトまたは金属から成る分離部片を介して、基板支持体の上で固定されていることは可能である。
【0022】
本発明の更なる発展形において、基板支持体の個別部材が、
PyC(熱分解炭素)−、SiC(炭化ケイ素)−CVD被覆(化学蒸着被覆)、または、セラミック−プラズマ照射被覆を備えており、及び/または、
使用領域に依存して、CFC、CFK、イソ−グラファイト(合成グラファイト)、または他の適当な材料から成っている。
この被覆は、微粒子の発生の回避のため、および、電気的な絶縁のための役目を果たす。
【0023】
次に、本発明を、1つの実施例において詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による基板支持体の概略図である。
【図2】図1の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明による基板支持体は、フレーム1から成り、このフレームが、長手方向支持体および横方向支持体2、3によって、周囲を境界されており、且つ、これらの内側で、多数の長手方向ウェブおよび横方向ウェブ4、5が、互いに、格子体状に交差して設けられている。
【0026】
外側の長手方向支持体は、それぞれに、上側帯状体および下側帯状体6、7から成り、これらが、互いに結合されている。
これら上側帯状体6および下側帯状体7の間で、横方向支持体3および横方向ウェブ5が、ほぞ穴−ほぞ結合(Loch-/Zapfen-Verbindungen)8を用いて、形状的に係合して固定されている。必要な安定性は、これらほぞが、少なくとも非円形、もしくは角形の外側輪郭を、および、ほぞ穴が、形状的に一致した内側輪郭を有していることによって達成される。
このことによって、基板支持体の必要な安定性を形成するために、単に上側帯状体および下側帯状体を互いにねじ止めすることだけで十分である。
【0027】
更に、長手方向支持体および横方向支持体2、3と同様に、長手方向ウェブおよび横方向ウェブ4、5は、形状的に係合して、ほぞ穴−ほぞ結合8、及び/または、はめ継ぎ結合9によって、適当な方法で、互いに結合されている。このことによって、一方では、高い形状安定性が達成され、他方では、この基板支持体の簡単な組み立て、もしくは解体が保証される。
【0028】
長手方向ウェブおよび横方向ウェブ4、5の上に、一部材から成る、または多部材から成る収容装置が、適宜の基板またはウェーハーの載置および固定のために設けられている。
この様式の収容装置は、基板の寸法および形状に依存して、完全に適宜に構成されていることは可能である。
図2内において、例えば、横方向ウェブ5の上に、桁10が固定されている。
【0029】
収容装置は、長手方向ウェブおよび横方向ウェブ4、5の上で、ピン、クランプ、またはねじを用いて、簡単に固定され得る。
【0030】
付加的に、収容装置は、これら収容装置の間に差し込まれた、またはねじ止めされた、セラミック、グラファイトまたは金属から成る分離部片によって、基板支持体、もしくは長手方向支持体の上で、固定され得る。
【0031】
基板支持体の個別部材は、CFC、CFK、またはイソ−グラファイト(Iso-Graphit)から製造され得、微粒子の発生の回避のために、PyC−、SiC−CVD被覆、または、セラミック−プラズマ照射被覆を備えている。
【0032】
このように構成された基板支持体は、特別に質量が小さい構造によって特徴付けられ、且つ、完全に個々に、適宜の使用状況に適合可能である。
【0033】
ガラス、シリコン、または他の材料から成る基板またはウェーハーの、プロセス設備内への、またはこれらプロセス設備を通っての移送のための、本発明による基板支持体でもって、半導体工業、または光起電力工業内において、基板支持体が使用され、
これら基板支持体は、同様に、キャリアーまたはボート、もしくは、プラズマボートとしても称される。この様式の基板支持体またはキャリアーは、特に、基板またはウェーハーが特別に傷付き易く、もしくは、特別に薄く、且つ大きな面積である場合に必要である。
【符号の説明】
【0034】
1 フレーム
2 長手方向支持体
3 横方向支持体
4 長手方向ウェブ
5 横方向ウェブ
6 上側帯状体
7 下側帯状体
8 ほぞ穴−ほぞ結合
9 はめ継ぎ結合
10 桁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板またはウェーハーの収容のための、および、プロセス設備内への、またはこれらプロセス設備を通っての移送のための、基板支持体において、
長手方向支持体および横方向支持体(2、3)から形成された、フレーム(1)の内側で、
多数の長手方向ウェブおよび横方向ウェブ(4、5)は、
基板の直接的または間接的な収容のための基礎格子が形成されるように、互いに格子体状に交差して設けられており、且つ、互いに結合されていることを特徴とする基板支持体。
【請求項2】
長手方向支持体および横方向支持体(2、3)と同様に、長手方向ウェブおよび横方向ウェブ(4、5)は、形状的に係合して、互いに結合されていることを特徴とする請求項1に記載の基板支持体。
【請求項3】
形状的に係合する結合は、
ほぞ穴−ほぞ結合(8)、及び/または、はめ継ぎ結合(9)によって行われ、その際、
上記ほぞが、少なくとも非円形、もしくは角形の外側輪郭を、および、上記ほぞ穴が、形状的に一致した内側輪郭を有していることを特徴とする請求項2に記載の基板支持体。
【請求項4】
外側の長手方向支持体(2)は、それぞれに、上側帯状体および下側帯状体(6、7)から成り、これらが、強固に、しかしながら解離可能に、互いに結合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の基板支持体。
【請求項5】
横方向ウェブ(5)は、上側帯状体と下側帯状体(6、7)との間で、並びに、長手方向支持体(2)において、形状的に係合して固定されていることを特徴とする請求項4に記載の基板支持体。
【請求項6】
横方向ウェブ(5)の形状的に係合する固定のために、ほぞ穴−ほぞ結合(8)が行われることを特徴とする請求項5に記載の基板支持体。
【請求項7】
長手方向ウェブおよび横方向ウェブ(4、5)は、一部材から成る、または多部材から成る収容装置を、基板またはウェーハーの載置および固定のために備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の基板支持体。
【請求項8】
収容装置は、長手方向ウェブおよび横方向ウェブ(4、5)の上で、ピン、クランプ、またはねじを用いて固定されていることを特徴とする請求項7に記載の基板支持体。
【請求項9】
収容装置は、差し込まれたまたはねじ止めされた、セラミック、グラファイトまたは金属から成る分離部片を備えていることを特徴とする請求項7または8に記載の基板支持体。
【請求項10】
基板支持体の個別部材が、PyC−、SiC−CVD被覆、または、セラミック−プラズマ照射被覆を備えている、及び/または、
CFC、CFK、またはイソ−グラファイトから成っていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の基板支持体。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−513933(P2013−513933A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542406(P2012−542406)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053516
【国際公開番号】WO2011/069687
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(511293490)カーゲーテー・グラフィート・テヒノロギー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (2)
【Fターム(参考)】