説明

基板検査装置及び基板検査方法

【課題】目視確認によらず、コネクタの端子部と基板の配線部との半田接続の良否を直ちに判定できるようにした基板検査装置及び基板検査方法を提供すること。
【解決手段】本発明の基板検査装置1は、基板上に設けられた外部接続用のコネクタ14の端子部14aと、基板11上に設けた配線部11aとの半田接続状態を確認するためのものであり、基板11の配線部に接離可能に接触される測定ピン19と、コネクタに差込まれる測定用コネクタ部17と、前記測定ピン及び前記測定用コネクタ部に対応する各ケーブルの他端側に接続されて、その導通状態を測定する測定部2と、測定結果を知らせる測定結果報知部10とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板検査装置及び該装置を用いた基板検査方法に関し、特に基板に搭載されるコネクタの端子部と基板に設けられる配線部との半田接続の良否判定を行うための基板検査装置及び該装置を用いた基板検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板の導通状態の良否判定のための手段として、従来では下記特許文献1および2に示す抵抗測定装置、基板検査装置及び基板測定検査方法がある。これら文献はいずれも、基板に形成されたランドのそれぞれに当接するプローブ間に第1、第2の測定用電流を流し、それぞれの各電流に基づく電圧値によりランド間の抵抗値を演算し、この値と基準抵抗値とを比較し、良否判定を行うものである。
【0003】
【特許文献1】特開2004−101275号公報
【特許文献2】特開2004−279270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の基板検査装置では、いずれも測定ポイントは、基板上に形成されたランド(導電パターン)間のみであり、基板上に実装された外部接続用のコネクタの端子部と、基板に設けた配線部との接続箇所における半田接続の良否の判定は、専ら目視確認のみに頼っており、この場合には、端子間のブリッジは確認可能であるものの、未半田状態を確認することは難しいため、実装最終工程での総合検査により始めて半田不良箇所があると判断される場合が多かった。また、部品実装後の検査であるため、接合不良があった場合には、その修復作業は極めて面倒であった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、その目的は、目視確認によらず、コネクタの端子部と基板の配線部との半田接続の良否を直ちに判定できるようにした基板検査装置及び基板検査方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る基板検査装置は、基板上に設けられた外部接続用のコネクタの端子部と、基板上に設けた配線部との半田状態を確認するための基板検査装置であって、前記基板の配線部に接離可能に形成された測定ピンと、前記コネクタに差込まれて前記コネクタの端子部に導通する測定用コネクタ部と、前記測定ピン及び前記測定用コネクタ部に対応する各ケーブルの他端側に接続されて、その導通状態を測定する測定部と、測定結果を知らせる測定結果報知部と、を備えたことを特徴とするものである。
本発明の第1の態様によれば、測定部の測定結果に基づいてコネクタの端子部と基板の配線部との半田状態を確認できる。
【0007】
本発明の第2の態様に係る基板検査装置は、前記第1の態様において、前記測定結果報知部は、前記測定部の測定結果と基準値を比較し、比較結果に基づき前記端子部と前記配線部との半田接続位置における半田接続の良否を判定する判定手段を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、前記第1の態様の作用効果に加え、前記測定部の測定結果と基準値を比較して判定するので、ボーダーラインを含む半田接続の良否判定を自動的に行うことができる。
【0009】
本発明の第3の態様に係る基板検査装置は、前記第1の態様または第2の態様において、前記基板には、前記コネクタの端子部に接続される配線部から分岐されて前記基板の表面の前記測定ピンと対向する位置に一括配列された検査用のチェックパッドを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、前記第1の態様または第2の態様の作用効果に加え、一括配列された検査用のチェックパッドに対応して測定ピンを配列すればよいため、基板の配線パターンに左右されることなく、測定ピンの接続位置や配列が一定であり、さらに測定のための構成が簡単となる。
【0011】
本発明の第4の態様に係る基板検査装置は、前記第1の態様乃至第3の態様のいずれかにおいて、前記基板を位置決め設置する設置台と、前記測定ピンを下面に突出するとともに、設置台の上部に昇降可能に配置され、下降位置で前記配線部に前記測定ピンを接触させる昇降プレートと、を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第4の態様によれば、前記第1の態様乃至第3の態様のいずれかの作用効果に加え、基板検査装置の構造を簡単にして上記測定を行って各接続部における半田接続の良否を判定することが可能となる。
【0013】
本発明の第5の態様に係る基板検査方法は、設置台上に基板を位置決め設置し、基板上に設けられているコネクタに測定用コネクタ部を差込んで前記コネクタの端子部に導通し、次いで昇降プレートを下降させて測定ピンを基板の配線部に接触させた後に、前記測定ピン及び前記測定用コネクタ部に対応する各ケーブルの他端側に接続されている測定部によって導通状態を順次測定することで、前記端子部と前記配線部との半田接続の良否を判定することを特徴とするものである。
【0014】
本発明の第5の態様によれば、測定部の測定結果に基づいてコネクタの端子部と基板の配線部との半田状態を確認できる。そして、コネクタの端子部の基板配線部に対する半田接続位置毎に個別にその半田接続の良否が判定でき、半田不良個所も特定できるため、後の改修作業も容易となる。
【0015】
本発明の第6の態様に係る基板検査方法は、前記第6の態様において、前記半田接続の良否を判定するための判定手段は半田接続部の電気抵抗値を測るものであり、該抵抗値が基準値を上回った状態を半田不良と判定するものであることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第6の態様によれば、前記第5の態様の作用効果に加え、前記端子部と前記配線部の半田接続の良否は抵抗値の大小(抵抗値が大であることは、半田不良であり、抵抗値が小であることは半田が良好に行われている)に代替できるため、判定が確実である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る基板検査装置の実施の形態につき、図面を参照して以下詳細に説明する。図1は本発明に係る基板検査装置の斜視図、図2は同検査装置を半ばブロック図的に示す説明図、図3は同検査装置を用いた検査手順を示すフローチャートである。
【0018】
図1、図2において、本実施例の基板検査装置1は、CPU、電源回路、複数の入出力ポートを内蔵する測定部2と、測定部2を収容した扁平四角形状のマウントベース3と、マウントベース3上に配置された基板設置台4と、マウントベース3の背面に立設された縦ガイド5と、縦ガイド5の上端にオーバハング状に配置されて前記設置台4に対面させた上部固定ブロック6と、固定ブロック6の下部において、固定ブロック6を縦通した4本のガイドポスト7により昇降可能にガイドされ、前記設置台4に対して接離可能な昇降プレート8及び図示しない昇降機構を備えている。
【0019】
前記マウントベース3の前部側には電源ボタン、及び測定スタートボタンなどの前記測定部2に接続された操作部9を構成する各種操作ボタン9a並びに前記測定部2に接続された表示部10を構成する窓部10aが形成されている。前記設置台4上には被測定物となる基板11が複数の位置決めピン12を介して位置決め設置される。
【0020】
基板11の前部中央には、その接続端側に開口した雌コネクタ14が設けられている。そして、この雌コネクタ14の後部側に突出する複数の端子部である端子ピン14aが基板11側に設けた複数の配線部11aと半田接続される。図2において、符号15は半田接続位置を示している。なお配線部11aは、基板11上に搭載される図示しない各素子に接続しているとともに、本実施例ではその一部が分岐されて、基板11の一側部に一列に配列された検査用のチェックパッド16に接続されている。図2では、端子ピン12aが合計6ピンある場合を例示しており、従ってチェックパッド16は一列に6つ配置されている。
【0021】
前記雌コネクタ14の差込位置には雄コネクタ17が差込まれる。雄コネクタ17は、前記端子ピンと14aと同一配列の導通部17aを備えている。この雄コネクタ17は、フラットケーブル18及び前記マウントベース3の後部に設けた図示しない接続用スロットを介して前記測定部2の一方の入力ポートに接続されている。
【0022】
また、前記チェックパッド16の形成位置に対応して昇降プレート8の一側部下端には6つの測定ピン19が突設されている。各測定ピン19はフラットケーブル20及びマウントベース3の後部に設けた図示しない接続用スロットを介して前記測定部2の他方の入力ポートに接続されている。
【0023】
なお、図2において、符号21はプレート8と測定ピン19間に介在された圧縮コイルバネである。該圧縮コイルバネ21は、昇降プレート9を下降させて測定ピン19をチェックパッド16に接触させた際にバネ21のたわみにより接触圧力を均一とすることで、各測定ピン19の対応するチェックパッド16への接触圧力差に伴う測定誤差を吸収するものである。
【0024】
次に、以上の検査装置1を用いて基板11における半田接続の良否判定手順を図3を用いて説明する。まず、最初に基板11を設置台4上に位置決め設置し、雄コネクタ17を雌コネクタ14に差込んで両者を接続した上で、昇降機構を駆動して昇降プレート8を下降させ、各測定ピン19をチェックパッド16に接触させる(ステップST1〜ST3)。
【0025】
接触確認後は、スタートボタンを押すことにより(ステップST4、ST5)、測定部2ではピン番号1(図2には対応する番号を数値で記載している)から順に測定動作(ステップST6)を行う。この測定動作は、一例として、電気抵抗値検出によって行われる。この抵抗値検出の手順としては、測定部2に接続された測定用電源部から第1、第2レベルの測定用電流を流し、これによって得られる第1、第2の電圧測定値の差分を第1、第2レベルの電流値間の差分で除した値を抵抗値として算出し、この算出された抵抗値と基準抵抗値とを比較し(ステップST6)、この値が基準値より大きい場合を半田不良と判定する(ステップST7)。そして、半田不良の場合には、その判定結果を表示部10に表示するとともに、ピン番号とともに一時記憶する(ステップST7、ST8)。
【0026】
これに対し、ステップST6でNo、すなわち基準値よりも小さい場合には、半田は良好に行われたと判断され、次のピン番号の測定を同様に行う(ステップST10)。図1、図2に示したごとく、6つの端子ピン14aを備えている場合には、測定開始後に同一測定動作が6回繰返されることになる。
【0027】
このようにして全数の測定が終了すると(ステップST9でYes)、半田不良に対応するエラーの有無を判定し、エラーがあった場合には、ステップST8で一時記憶されたそのピン番号を呼込み、これをラベル印刷し(ステップST12,13)、その後データをクリア(ステップST14)してから作業を終了する。またエラーがなかった場合には、そのままデータをクリア(ステップST14)してから作業を終了する。
【0028】
印刷作業は測定部2のプリントポートに接続した図示しないラベル印刷プリンタ等で行い、印刷後は、ラベルを剥がして、前記雌コネクタ14上に貼付ければ、改修時において、どの位置の半田が接続不良であるのかが一目瞭然であるため、改修作業も簡単となる。
【0029】
なお、以上の実施形態では、説明の簡略化のために6つの端子部を備えたコネクタについて説明したが、さらに多くの端子部を備えたコネクタの半田接続の良否判定も同様にして行うことができる。
【0030】
また、基板上に設置されたコネクタが例えばメモリーカードスロットなどであれば、これにはめ込まれる雄コネクタとしてメモリーカード構造を用いることができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る基板検査装置の斜視図。
【図2】同検査装置を半ばブロック図的に示す説明図。
【図3】同検査装置を用いた検査手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0032】
1 基板検査装置、2 測定部、3 マウントベース、4 設置台、5 縦ガイド、6 上部支持ブロック、7 ガイドポスト、8 昇降プレート、9 操作部、9a 押しボタン、10 表示部、10a 表示窓、11 基板、 11a 配線部、12 位置決めピン、14 コネクタ(雌コネクタ) 14a 端子ピン、15 半田、16 チェックパッド、 17 コネクタ(雄コネクタ)、17a 導電部、18、20 フラットケーブル、 19 測定ピン、21 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた外部接続用のコネクタの端子部と、基板上に設けた配線部との半田状態を確認するための基板検査装置であって、
前記基板の配線部に接離可能に形成された測定ピンと、
前記コネクタに差込まれて前記コネクタの端子部に導通する測定用コネクタ部と、
前記測定ピン及び前記測定用コネクタ部に対応する各ケーブルの他端側に接続されて、その導通状態を測定する測定部と、
測定結果を知らせる測定結果報知部と、を備えたことを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板検査装置において、前記測定結果報知部は、前記測定部の測定結果と基準値を比較し、比較結果に基づき前記端子部と前記配線部との半田接続位置における半田接続の良否を判定する判定手段を備えていることを特徴とする基板検査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板検査装置において、前記基板には、前記コネクタの端子部に接続される配線部から分岐されて前記基板の表面の前記測定ピンと対向する位置に一括配列された検査用のチェックパッドを備えていることを特徴とする基板検査装置。
【請求項4】
請求項1から3いずれか1項に記載の基板検査装置において、前記基板を位置決め設置する設置台と、前記測定ピンを下面に突出するとともに、設置台の上部に昇降可能に配置され、下降位置で前記配線部に前記測定ピンを接触させる昇降プレートと、を備えていることを特徴とする基板検査装置。
【請求項5】
設置台上に基板を位置決め設置し、基板上に設けられているコネクタに測定用コネクタ部を差込んで前記コネクタの端子部に導通し、次いで昇降プレートを下降させて測定ピンを基板の配線部に接触させた後に、前記測定ピン及び前記測定用コネクタ部に対応する各ケーブルの他端側に接続されている測定部によって導通状態を順次測定することで、前記端子部と前記配線部との半田接続の良否を判定することを特徴とする基板検査方法。
【請求項6】
請求項5に記載の基板検査方法において、前記半田接続の良否を判定するための判定手段は半田接続部の電気抵抗値を測るものであり、該抵抗値が基準値を上回った状態を半田不良と判定するものであることを特徴とする基板検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−278852(P2007−278852A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105802(P2006−105802)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】