説明

基板洗浄装置及びその方法

【課題】基板を高速に洗浄する。
【解決手段】基板1の側縁部の表側の第1の洗浄面と裏側の第2の洗浄面とを、洗浄テープによって洗浄する基板洗浄装置であって、洗浄テープを第1の洗浄面に押し付ける第1の押圧部材11aと、洗浄テープを第2の洗浄面に押し付ける第2の押圧部材11bと、洗浄テープを供給する供給リール16と、洗浄テープを回収する回収リール20と、供給リールから第1および第2の洗浄面上を通過して回収リールに至るテープ経路に沿って洗浄テープを送るテープ送り機構15とを含む洗浄ユニット21と、着脱可能に装着した洗浄ユニットを基板の側縁部の長手方向に移動させる洗浄ユニット移動装置50とを有する。洗浄ユニットにおいて供給リールと回収リールとが並列に配置され、供給リールからテープ経路に洗浄テープを供給する駆動装置のテープ供給動作と回収リールによる洗浄テープ回収動作とを連動させる連動装置を洗浄ユニットが備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶ディスプレイ装置およびプラズマディスプレイ装置に使用されるガラス基板などの基板の側縁部の表側および裏側にそれぞれ位置する洗浄面を洗浄する基板洗浄装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガラス基板の製造において、図13に示すように、ガラス基板51の側縁部に形成された複数の電極52に各種部品54が実装されることがある。まず、図13(a)に示すように、電極52が配置されているガラス基板51の側縁部の表側と裏側とにそれぞれ位置する洗浄面(洗浄される必要がある面)が洗浄される。次に、図13(b)に示すように、電極52上に異方性導電膜(ACF)53が貼り付けられる。そして、図13(c)に示すように、異方性導電膜53を介して電極52に部品54が熱圧着される。
【0003】
基板の側縁部の洗浄面を洗浄する基板洗浄装置が、特許文献1に開示されている。この開示されている基板洗浄装置は、押圧部材によって布製の洗浄テープを基板の側縁部に押し付けた状態で、基板をその側縁部の長手方向に移動させる。これにより、基板の側縁部の洗浄面が洗浄テープによって洗浄される。
【0004】
この開示されている基板洗浄装置の構成を、図14を参照しながら説明する。この基板洗浄装置は、基板61を移動させる基板移動装置62と、基板61の洗浄を行う洗浄装置63とを有する。基板移動装置62は、基板61の中央部分を下から支持している。また、基板移動装置62は、基板61を、その側縁部の長手方向に移動させるように構成されている。基板61は、基板移動装置62により、洗浄装置63の洗浄部64に対し、その基板61の側縁部の長手方向と直交する方向に位置決めされている。洗浄装置63は、その洗浄部64に、基板61の側縁部の表側と裏側とにそれぞれ配置される押圧部材65a,65bを有する。これらの押圧部材65a,65bは、基板61の側縁部の表側と裏側とに洗浄テープ66を押し付けるように構成されている。洗浄テープ66は、基板61の側縁部の洗浄前に、供給リール67a(67b)から、ガイドローラ68によってガイドされ、押圧部材65a(65b)と基板61の側縁部との間に向かって所定の送り量移動される。洗浄テープ66が移動する前に、洗浄剤が、洗浄テープ66の移動によって押圧部材65a(65b)と基板61の側縁部との間に移動される洗浄テープ66の部分に吐出される。洗浄を完了した洗浄テープ66の部分は、ガイドローラ68によってガイドされ、最終的には回収ローラ69a(69b)に巻き取られる。さらに、基板洗浄装置は、センサ70が検出する洗浄テープ66の表面の色に基づいて、洗浄テープ66に適正量の洗浄剤が吐出されたことを確認するように構成されている。
【0005】
ところが、この基板洗浄装置は、基板61の側縁部の表側と裏側それぞれの洗浄面に対し、1つずつ洗浄テープ66を使用する。そのため、洗浄テープのテープ経路が2つ設けられ、基板洗浄装置が大型化する。また、洗浄テープ66の一方の払拭面しか洗浄に使用されない。そのために、基板の側縁部の洗浄コストが高い。
【0006】
この問題を解決することができる基板洗浄装置が、特許文献2に開示されている。この基板洗浄装置は、洗浄テープの一方の払拭面によって基板の側縁部の表側の洗浄面を洗浄し、他方の払拭面によって該側縁部の裏側の洗浄面を洗浄するように構成されている。これを可能とするために、表側の洗浄面から裏側の洗浄面に至る途中において、洗浄テープが180度捻られている。
【0007】
これとは別に、洗浄テープを180度捻る基板洗浄装置が、特許文献3に開示されている。この基板洗浄装置は、基板の表側または裏側のいずれか一方の洗浄面を2回洗浄するように構成されている。一回目の洗浄は、洗浄テープの一方の払拭面によって実行され、2回目の洗浄は、他方の払拭面によって実行される。そのために、洗浄テープが180度捻られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3503512号公報
【特許文献2】特許第4114416号公報
【特許文献3】国際公開2006/106803号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2や特許文献3に開示された基板洗浄装置は、洗浄テープが180度捻られている。そのために、洗浄テープに捻り癖がつき、捻れた状態の洗浄テープが洗浄面を不適切に洗浄するという問題が生じる可能性がある。すなわち、洗浄不良が発生する可能性がある。洗浄不良が発生すると、基板の側縁部の洗浄コストは、当然ながら高くなる。
【0010】
そこで、本発明は、上記の問題を解決するために、洗浄テープを180度捻ることなく該洗浄テープを洗浄に使用することにより、基板の側縁部の表側と裏側とにそれぞれ位置する洗浄面を適切に洗浄し、且つその洗浄コストを抑制することを目的とする。
【0011】
また、近年、液晶ディスプレイ装置およびプラズマディスプレイ装置が大型化し、それによりガラス基板が大型化している。大型のガラス基板の場合、ガラス基板をその側縁部の長手方向に移動させる大型の装置が必要になるので、洗浄テープを移動させる方が、洗浄コストを低くすることができるため好ましい。
【0012】
そのためには、洗浄テープ、洗浄テープを基板に押し付ける押圧部材、および洗浄テープの送り装置などを1つのユニットとして構成し、このユニットを基板の側縁部の長手方向に移動させる装置を用意する必要がある。この場合、ユニットは、特に洗浄コストを低くするために、具体的には洗浄時間を短くするために、例えば300〜500mm/sの速度で移動させるために、コンパクトに構成するのが好ましい。ユニットのサイズが大きいと、ユニットの始動、加速、減速、および停止に大きなエネルギを必要とするからである。
【0013】
そこで、本発明はまた、洗浄テープを含む、基板の側縁部の長手方向に高速に移動可能なコンパクトなユニットを構成し、該ユニットにより、洗浄時間を短くし、基板の側縁部の洗浄コストを抑制することを目的とする。特に大型基板の洗浄コストを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0015】
本発明の第1の態様によれば、
基板の側縁部の表側に位置する第1の洗浄面と裏側に位置する第2の洗浄面とを布製の洗浄テープによって洗浄する基板洗浄装置であって、
洗浄テープを第1の洗浄面に押し付ける第1の押圧部材と、洗浄テープを第2の洗浄面に押し付ける第2の押圧部材と、洗浄テープを供給する供給リールと、洗浄テープを回収する回収リールと、供給リールから第1および第2の洗浄面上を通過して回収リールに至るテープ経路に沿って洗浄テープを送るテープ送り機構とを含む洗浄ユニットと、
着脱可能に装着した洗浄ユニットを基板の側縁部の長手方向に移動させる洗浄ユニット移動装置とを有し、
洗浄ユニットにおいて供給リールと回収リールとが並列して配置され、
テープ送り機構における供給リールからテープ経路に洗浄テープを供給するテープ駆動装置のテープ供給動作と回収リールによる洗浄テープ回収動作と、を連動させる連動装置を、洗浄ユニットがさらに備える、基板洗浄装置を提供する。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、
洗浄ユニットの外部に設けられ、連動装置と解除可能に連結して該連動装置に動力を供給する単一の動力源を有し、
連動装置が、単一の動力源から動力の供給を受けてテープ供給動作とテープ回収動作とを連動する、第1の態様に記載の基板洗浄装置を提供する。
【0017】
本発明の第3の態様によれば、
連動装置が、単一の動力源から供給された動力をテープ駆動装置とテープ回収リールとに分けて伝達するリンク機構を有する、第2の態様に記載の基板洗浄装置を提供する。
【0018】
本発明の第4の態様によれば、
基板の側縁部の表側に位置する第1の洗浄面と裏側に位置する第2の洗浄面とを布製の洗浄テープによって洗浄する基板洗浄方法であって、
第1の押圧部材によって洗浄テープを第1の洗浄面に押し付けた状態、且つ第2の押圧部材によって洗浄テープを第2の洗浄面に押し付けた状態を維持しつつ、洗浄テープと基板とを該基板の側縁部の長手方向に相対的に移動させることによって第1および第2の洗浄面を洗浄し、
洗浄テープを供給する供給リールから、第1および第2の洗浄面上を通過し、供給リールと並列して洗浄テープを回収する回収リールに至るテープ経路に対し、供給リールと回収リールが並設された状態にて供給リールからテープ経路に洗浄テープを供給するテープ供給と、テープ経路から回収リールに洗浄テープを回収するテープ回収とを連動して行う、基板洗浄方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、洗浄テープを180度捻ることなく該洗浄テープを洗浄に使用することにより、基板の側縁部の表側と裏側とにそれぞれ位置する洗浄面を適切に洗浄することでき、且つその洗浄コストを抑制することができる。
【0020】
また、本発明によれば、供給リールと回収リールとを並列した状態で含むことによってコンパクトに構成された高速移動可能な洗浄ユニットが提供される。この洗浄ユニットにより、洗浄時間が短くなり、基板の側縁部の洗浄コストが抑制される。また、大型基板の場合、洗浄時間が短くなるとともに、大型基板をその側縁部に移動させる大型の装置が必要なくなることにより、より洗浄コストが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明のこれらの態様と特徴は、添付された図面についての好ましい実施形態に関連した次の記述から明らかになる。
【図1】本発明の第1の実施形態に係る基板洗浄装置の概略的な斜視図
【図2】図1の一部分を拡大した図
【図3】(a)は同実施形態に係る基板洗浄装置の概略的な側面図であり、(b)は基板洗浄装置の洗浄部の側面図
【図4】同実施形態における洗浄部の斜視図
【図5】同実施形態における洗浄部の側面図
【図6】同実施形態における洗浄テープ駆動装置と回収リールとを同期させる連動機構の概略図
【図7】同実施形態における押圧部材を駆動する駆動機構の概略図
【図8】同実施形態における基板洗浄の流れを示す図
【図9】同実施形態の変形例の概略的な斜視図
【図10】本発明の第2の実施形態に係る基板洗浄装置の概略的な斜視図
【図11】本発明の第3の実施形態に係る基板洗浄装置の概略的な斜視図
【図12】(a)は本発明の第4の実施形態に係る基板洗浄装置の概略的な斜視図であり、(b)は本発明の第4の実施形態に係る基板洗浄装置の変形例の概略的な斜視図
【図13】ガラス基板に対する部品実装を説明するための図
【図14】従来例の基板洗浄装置の概略的な側面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る、液晶ディスプレイ装置のガラス基板の側縁部の表側と裏側とにそれぞれ位置する洗浄面を洗浄する基板洗浄装置について、図1〜図12を参照しながら説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る基板洗浄装置を、図1〜図8を参照しながら説明する。図1に示す基板洗浄装置は、基板1を基板洗浄装置に搬入する基板搬送装置2と、基板搬送装置2から受け取った基板1を移動させる基板移動装置3と、基板1の側縁部の表側と裏側とにそれぞれ位置する洗浄面(洗浄される必要がある面)1a,1b(図4、図5参照)を洗浄する洗浄機構4とを有する。これらは、基台5上に配設されている。なお、洗浄が完了した基板1は、ACF貼付装置(図示せず)に設けられた、基板搬送装置2と類似する基板搬送装置(図示せず)により、基板洗浄装置から搬出され、該ACF貼付装置に搬入される。
【0024】
基板搬送装置2は、基板1が載置される一対の支持アーム6a,6aを備えるフォーク6と、フォーク6を基板搬送方向(X方向)に移動させる駆動機構7とを有する。駆動機構7は、フォーク6をガイドするレール7aと、モータ7cに駆動されることによりフォーク6を移動させる送りねじ機構7bとを有する。
【0025】
基板移動装置3は、基板1の実質的な中央を保持する基板保持機構8と、基板保持機構8をX軸方向および該X軸方向に直交するY軸方向に平行移動させる、且つZ軸を中心として回転させる移動/回転テーブル9とを有する。この基板移動装置3は、洗浄の開始前、移動/回転テーブル9により、基板1の側縁部の表側と裏側とにそれぞれ位置する洗浄面の長手方向(X軸方向)一端を洗浄機構4の洗浄部10に位置決めする。洗浄中、基板移動装置3は、移動/回転テーブル9により、基板1をその側縁部の長手方向に移動させる。これにより、洗浄機構4の洗浄部10が、洗浄面の一端から他端に亘って該洗浄面を洗浄する。
【0026】
洗浄機構4の洗浄部10は、図2〜図5に示すように、押圧部材11a,11b(第1および第2の押圧部材)を有する。押圧部材11aは基板保持機構8に保持された状態の基板1の側縁部の表側の洗浄面1aに対向し、押圧部材11bは裏側の洗浄面1bに対向する。押圧部材11aは、洗浄面1aに洗浄テープ12を押し付けるように構成されている。また、押圧部材11bは、洗浄面1bに洗浄テープ12を押し付けるように構成されている。なお、基板1の電極tが、基板1の表側の洗浄面1aに配設されている(図4参照。)。押圧部材11a,11bそれぞれは、基板1に対向する対向面(洗浄テープ12と接触する面)13に、基板1の側縁部の長手方向と直交する方向(Y軸方向)に延びる、突起13aを備えている(図4参照。)。この突起13aは、基板1がその側縁部の長手方向(X軸方向)に移動するときに、基板1とともに洗浄テープ12が該長手方向に移動しないように該洗浄テープ12を係止するように構成されている。また、押圧部材11a,11bそれぞれは、対向面13に洗浄テープ12をガイドする、傾斜したガイド面14を備える。
【0027】
なお、押圧部材11a,11bは、耐薬品性および摺動性が優れたポリアセタール(POM)などの材料によって作製されるのが好ましい。
【0028】
洗浄テープ送り機構15は、押圧部材11aと洗浄面1aとの間および押圧部材11bと洗浄面1bとの間に洗浄テープ12を間欠的に移動させる機構である。また、洗浄テープ送り機構15は、洗浄テープ12を供給する装置の一部である、洗浄テープ12を巻回している供給リール16から、洗浄テープ12を回収する装置の一部である、洗浄テープ12を巻き取って回収する回収リール20に向かって洗浄テープ12を送る機構でもある。この洗浄テープ送り機構15は、基板1の側縁部の長手方向と直交する方向に、洗浄テープ12を送るように構成されている。
【0029】
洗浄テープ送り機構15は、洗浄テープ駆動装置17を有する。洗浄テープ駆動装置17は、洗浄テープ12を駆動する駆動ローラ17aと、洗浄テープ12を駆動ローラ17aに押し付けるピンチローラ17bとを有する。洗浄テープ駆動装置17は、洗浄が開始される前、供給リール16から洗浄テープ12を引き出し、洗浄テープ12を所定の移動量(送り量)移動させる。
【0030】
洗浄テープ送り機構15はまた、供給リール16から、押圧部材11aと洗浄面1aとの間と押圧部材11bと洗浄面1bとの間とを通過して、回収リール20に至る、洗浄テープ12のテープ経路を形成するテープ経路形成部材18を有する。テープ経路形成部材18は、複数のガイドローラ18a〜18hから構成されている。
【0031】
このテープ経路形成部材18は、図3の(b)に示すように、洗浄テープ12を、一方の払拭面12a(第1の払拭面)が基板1の側縁部の表側の洗浄面1aに対向した状態で、押圧部材11aと洗浄面1aとの間を、押圧部材11aの基板中央側端11aaから反基板中央側端11abに至る方向に通過させる経路(第1の経路)を形成する。また、テープ経路形成部材18は、図2に示すように、押圧部材11aと洗浄面1aとの間を通過した後の洗浄テープ12(厳密には洗浄テープ12の部分)を、他方の払拭面12bが基板1の裏側に対向するようにループ(loop)させるループ経路19(第2の経路)を形成する。さらに、テープ経路形成部材18は、ループした後の洗浄テープ12(厳密には洗浄テープ12の部分)を、払拭面12bが洗浄面1bに対向した状態で、押圧部材11bと洗浄面1bとの間を、押圧部材11bの基板中央側端11baから反基板中央側端11bbに至る方向に通過させる経路(第3の経路)を形成する。
【0032】
押圧部材11bと洗浄面1bとの間を通過した洗浄テープ12(厳密には洗浄テープ12の部分)は、最終的には回収リール20に到達する。
【0033】
なお、押圧部材11bと洗浄面1bとの間から回収リール20に至る直線上にループ経路19が存在する場合、テープ経路形成部材18は、押圧部材11bと洗浄面1bとの間からループ経路19の洗浄テープ幅方向の横を通過することによりループ経路19を迂回して回収リール20に至る経路(第4の経路)を形成する。これにより、洗浄テープ12のテープ経路の交差が回避される。
【0034】
あるいは、供給リール16から押圧部材11aと洗浄面1aとの間に至る直線上にループ経路19が存在する場合、テープ経路形成部材18は、供給リール16からループ経路19の洗浄テープ幅方向の横を通過することによりループ経路19を迂回して押圧部材11aと洗浄面1aとの間に至る経路(第5の経路)を形成する。これにより、洗浄テープ12のテープ経路の交差が回避される。
【0035】
本実施形態において、供給リール16、洗浄テープ駆動装置17、押圧部材11a,11b、テープ経路形成部材18(複数のガイドローラ18a〜18h)、および回収リール20は、ユニットフレーム22に設けられることにより、1つの洗浄ユニット21を構成する。この洗浄ユニット21は、図1または図2の矢印A方向に見た図7に示すように、基台5に設けられた洗浄機構4の本体4aに着脱可能に装着されるように構成されている(カセットのように構成されている)。そのために、図1、図2及び図7に示すように、洗浄ユニット21を本体4aの所定の位置に固定する、ユニットフレーム22を保持するユニット固定部材23が本体4aに設けられている。また、供給リール16と回収リール20は、それぞれの回転中心線が実質的に一致するように並列して設けられている。
【0036】
なお、本明細書で言う「回転中心線が実質的に一致する」という用語は、供給リール16と回収リール20それぞれの回転中心線が、同一直線上にある若しくは一方のリールの半径に比べて小さい間隔をあけて平行にあることを意味する。なお、この用語は、共通のシャフトが2つのリール16,20を支持することに限定しない。また、この用語は、2つのリール16,20の回転方向が同一であると限定しない。
【0037】
洗浄ユニット21は、図6に示すように、洗浄テープ駆動装置17と回収リール20とを同期して動作させる連動機構24を有する。この連動機構24は、洗浄機構4の本体4aに設けられている駆動シリンダ25によって駆動される。
【0038】
連動機構24は、垂直アーム26aと水平アーム26bとを備えるL字形状の揺動レバー26を含むリンク機構30を有する。揺動レバー26は、回収リール20の回転中心線を中心として自由に揺動可能にリンク機構30内に組み込まれている。この揺動レバー26は、駆動シリンダ25によって垂直アーム26aの先端が移動されることにより、揺動する。また、垂直アーム26aの先端をピストンロッドの先端25aに向かって付勢するスプリング27がリンク機構30内に組み込まれている。このスプリング27により、垂直アーム26aの先端とピストンロッドの先端25aとの接触が維持される。揺動レバー26の水平アーム26bは、その先端でリンク28を介して送りアーム29の先端に連結されている。この送りアーム29は、洗浄テープ駆動装置17の駆動ローラ17aの回転中心線を中心として自由に揺動可能にリンク機構30内に組み込まれている。
【0039】
リンク機構30はまた、回収アーム31を有する。回収アーム31は、回収リール20の回転中心線を中心として自由に揺動可能にリンク機構30内に組み込まれている。また、回収アーム31は、その先端でスプリング32を介して揺動レバー26の水平アーム26bと連結されている。さらに、回収アーム31は、ラチェット機構33を介して回収リール20に連結されている。同様に、送りアーム29は、ラチェット機構34を介して駆動ローラ17aに連結されている。
【0040】
連動機構24の動作を、図6を参照しながら説明する。
【0041】
洗浄が開始される前、駆動シリンダ25のピストンロッドを前進することにより、揺動レバー26を反時計方向に揺動させる。
【0042】
ピストンロッドの前進の完了後、ピストンロッドが後退されるまたは自由状態にされる。これにより、揺動レバー26が、スプリング27に引っ張られ、時計方向に揺動する。揺動レバー26が時計方向に揺動すると、スプリング32を介して回収アーム31が時計方向に揺動される。回収アーム31の時計方向の揺動により、ラチェット機構33を介して回収リール20が回転される。そして、回収リール20は、揺動レバー26の時計方向の揺動量に対応した量の洗浄テープ12を巻き取る。
【0043】
揺動レバー26が時計方向に揺動すると、リンク28を介して送りアーム29が反時計方向に揺動する。送りアーム29が反時計方向に揺動すると、ラチェット機構33を介して駆動ローラ17aが反時計方向に回転される。そして、駆動ローラ17aが、ピンチローラ17bと協働して挟持している洗浄テープ12を、揺動レバー26の時計方向の揺動量に対応した量移動させる。
【0044】
図7に示すように、押圧部材11a,11bは、ユニットフレーム22に設けられたガイドレール35に沿ってZ軸方向に自由に移動する可動体36a,36bに、取り付けブロック37a,37bを介して固定されている。また、スプリング38が、取り付けブロック37a,37bの間に配置されている。さらに、可動体36a,36bのガイドレール35からの脱落を防止するストッパ39a,39bが設けられている。
【0045】
可動体36a,36bは、ユニットフレーム22を貫通して延びる操作レバー40a,40bを備える。これらの可動体36a,36bは、操作レバー40a,40bの先端が洗浄機構4の本体4aに設けられている駆動シリンダ41a,41bのピストンロッドの先端42a,42bによって操作されることにより、駆動される。
【0046】
駆動シリンダ41a,41bが操作レバー40a,40bを操作することにより、押圧部材11aが洗浄テープ12を洗浄面1aに押し付ける力と、押圧部材11bが洗浄テープ12を洗浄面1bに押し付ける力とが調節される。駆動シリンダ41a,41bが同一の制御で制御されると、押圧部材11aが洗浄テープ12を介して洗浄面1aを押圧する力と、押圧部材11bが洗浄テープ12を介して洗浄面1bを押圧する力が等しくなる。このように押圧力が等しい状態を維持しつつ、基板1が基板移動装置3によってその側縁部の長手方向に移動されると、洗浄面1a,1bが洗浄テープ12によって等しく洗浄される。なお、駆動シリンダ41a,41bとスプリング38とにより、押圧部材11a,11bは、基板1のその側縁部の長手方向への移動中、洗浄テープ12を介して基板1の側縁部と好ましく接触し続けることができる。
【0047】
また、図2〜図4に示すように、押圧部材11a,11bのガイド面14(図4参照)より上流側の洗浄テープ12の部分にエタノール、イソプロピルアルコールなどの揮発性の洗浄剤を吐出する洗浄剤吐出ノズル43a,43bが設けられている。洗浄剤は、洗浄テープ12が移動される直前に、ポンプ(図示せず)により、タンク(図示せず)からパイプ(図示せず)を介して洗浄剤吐出ノズル43a,43bに送られ、洗浄剤吐出ノズル43a,43bから洗浄テープ12に向かって吐出される。洗浄剤が吐出された洗浄テープ12の部分47は、色が変化する。この洗浄テープ12の色を検出する色検出センサ44a,44bが、洗浄剤が吐出された洗浄テープ12の部分47の色を検出できる位置に設けられている。
【0048】
また、図2、図3の(a)に示すように、洗浄テープ12の汚れを検出する汚れ検出センサ45が、ループ経路19を形成するガイドローラ18dと18eとの間に配置されている。すなわち、汚れ検出センサ45は、押圧部材11aと基板1の洗浄面1aとの間を通過した後、且つ押圧部材11bと洗浄面1bとの間を通過する前の、洗浄テープ12の払拭面12bの汚れを検出する。
【0049】
制御装置46が基台5内に配置されている。制御装置46は、基板搬送装置2、基板移動装置3、洗浄機構4の駆動シリンダ25、41a、41b、及び洗浄剤のポンプ(図示せず)を制御するように構成されている。
【0050】
制御装置46は、色検出センサ44a、44bの検出信号に基づいて洗浄テープ12への洗浄剤の吐出量を確認する。そして、制御装置46は、確認結果に基づき、ポンプ(図示せず)を制御することにより、洗浄剤の吐出量を調節する。
【0051】
また、制御装置46は、汚れ検出センサ45の検出信号に基づいて、洗浄テープ12の汚れが所定以上の汚れであるか否かを判定する。所定以上の汚れである場合、制御装置46は、洗浄テープ12の払拭面12bの所定以上の汚れが検出された部分が押圧部材11bと洗浄面1bとの間をスキップするように、駆動シリンダ25を制御する。さらに、制御装置46は、スキップの実行頻度(例えば、規定時間あたりのスキップ実行回数)が規定の頻度を超えると、警告を通知するように構成されている。
【0052】
ここからは、基板洗浄装置によって基板1の側縁部の表側と裏側とにそれぞれ位置する洗浄面を洗浄する流れを、主に図8、補助的に図1〜図5を参照しながら説明する。
【0053】
まず、基板1が、基板搬送装置2により、基板洗浄装置に搬入され、基板移動装置3の基板保持機構8にセットされる。そして、基板移動装置3により、基板1の側縁部(洗浄面の長手方向一端)が、押圧部材11a、11bの間に位置決めされる(ステップS1)。なお、このとき、押圧部材11aと11bは、基板1の側縁部の厚さを超える距離をあけて離れている。
【0054】
洗浄剤吐出ノズル43a、43bから洗浄テープ12に洗浄剤が所定量吐出される。(ステップS2)。なお、洗浄剤の吐出後、洗浄剤が吐出された洗浄テープ12の部分47が色検出センサ44a,44bによって検出され、洗浄テープ12に洗浄剤が所定量吐出されたことが確認される。
【0055】
駆動シリンダ25により、洗浄テープ12が所定の送り量移動される。これにより、押圧部材11aと洗浄面1aとの間および押圧部材11bと洗浄面1bとの間に、洗浄剤が吐出された洗浄テープ12の部分が配置される(ステップS3)。
【0056】
基板1の位置決めと洗浄テープ12の移動が完了したことが確認される(ステップS4)。
【0057】
駆動シリンダ41a、41bにより、図5に示すように、押圧部材11a、11bに洗浄テープ12を基板1の側縁部に押し付けさせる。これにより、基板1の側縁部の表側の洗浄面1aに洗浄テープ12の払拭面12aが接触した状態で維持され、裏側の洗浄面1bに払拭面12bが接触した状態で維持される(ステップS5)。
【0058】
基板移動装置3により、基板1がその側縁部の長手方向に移動される。これにより、洗浄テープ12の払拭面12aが、基板1の側縁部の表側に位置する洗浄面1aの一端から他端に亘って該洗浄面1aを洗浄する。それと同時に、洗浄テープ12の払拭面12bが、基板1の側縁部の裏側に位置する洗浄面1bの一端から他端に亘って該洗浄面1bを洗浄する(ステップS6)。なお、基板1を長手方向に少なくとも1回往復させることにより、基板1の側縁部の洗浄面1a,1bを洗浄してもよい。
【0059】
洗浄の完了後、駆動シリンダ41a、41bにより、押圧部材11a、11bが基板1から離れる方向に移動される(ステップS7)。
【0060】
基板移動装置3により、基板1の側縁部が押圧部材11a,11bの間から出るように基板1が移動される。そして、ACF貼付装置の基板搬送装置(図示せず)により、基板1が基板洗浄装置から搬出される(ステップS8)。
【0061】
ACF貼付装置の基板搬送装置(図示せず)によって搬出された基板1が、ロット内の最後の基板であるか否かを判定する(ステップS16)。最後の基板である場合は終了し、そうでない場合はステップS1にリターンする。
【0062】
なお、基板1に洗浄が必要な複数の側縁部が存在する場合(例えば、基板が長方形であって、4つの側縁部の洗浄が必要な場合)、ステップS16の実行前に、全ての側縁部の洗浄が完了したか否かが判定される。完了している場合はステップS16に進む。そうでない場合は、基板移動装置3によって未洗浄の側縁部を押圧部材11a,11bとの間に位置合わせし、ステップS2にリターンする。
【0063】
洗浄テープの所定の送り量の移動の開始前または完了後(ステップS3の開始直前または完了後)に、洗浄テープ12の払拭面12bの汚れが、汚れ検出センサ45によって検出される(ステップS10)。
【0064】
汚れ検出センサ45の汚れ検出結果のデータが記憶装置(図示せず)に記憶される(ステップS11)。この記憶装置は、洗浄テープ12の複数の部分(所定の送り量間隔で区分される複数の部分)それぞれの汚れ検出結果のデータを記憶している。
【0065】
洗浄テープ12の所定の送り量の移動前(ステップS3の開始前)、洗浄テープ12の所定の送り量の移動が実行された後に押圧部材11bと洗浄面1bとの間に位置する洗浄テープ12の部分について、汚れが規定以上の汚れか否かが判定される(ステップS12)。この判定は、記憶装置に記憶されている洗浄テープ12の複数の部分それぞれの汚れ検出結果のデータに基づいて実行される。
【0066】
洗浄テープ12の所定の送り量の移動後に押圧部材11bと洗浄面1bとの間に位置する洗浄テープ12の部分の汚れが規定以上でない場合、ステップS4に進む。
【0067】
一方、洗浄テープ12の所定の送り量の移動後(ステップS3の実行後)に押圧部材11bと洗浄面1bとの間に位置する洗浄テープ12の部分の汚れが規定以上の場合、駆動シリンダ25により、洗浄テープ12が所定量移動される(ステップS13)。これにより、ステップS3の実行後、規定以上の汚れの洗浄テープ12の部分が、押圧部材11bと洗浄面1bとの間に位置しない(結果として、規定以上の汚れの洗浄テープ12の部分が、押圧部材11bと洗浄面1bとの間をスキップする)。
【0068】
スキップの実行頻度が規定の頻度(例えば、規定時間あたりのスキップ実行回数)以上か否かが判定される(ステップS14)。規定の頻度以上でない場合、ステップS12にリターンする。一方、規定の頻度以上である場合、警告が通知される(ステップS15)。この警告通知により、作業者が、洗浄テープ12のトラブルの発生を知ることができる。例えば、作業者は、洗浄剤が過剰に吐出されるトラブル(払拭面12aに吐出された過剰な洗浄剤が反対側の払拭面12bに現出し、現出した洗浄剤が汚れとして検出されるトラブル)の発生を知ることができる。また、作業者は、基板1の洗浄が開始される前の基板1の洗浄面1aが、通常より汚れているトラブルの発生を知ることができる。
【0069】
本実施形態によれば、洗浄テープ12は、押圧部材11aと洗浄面1aとの間を、払拭面12aが洗浄面1aに対向した状態で、基板1の側縁部の長手方向と直交する方向に通過する。押圧部材11aと洗浄面1aとの間を通過した洗浄テープ12はループして、その払拭面12bが基板1の裏側に対向する。ループした洗浄テープ12は、押圧部材11bと洗浄面1bとの間を、払拭面12bが洗浄面1bに対向した状態で、押圧部材11aと洗浄面1aとの間における通過方向と同一方向に通過する。この状態で、基板1がその側縁部の長手方向に移動されることにより、洗浄テープ12が払拭面12aによって洗浄面1aを洗浄し、それと同時に払拭面12bによって洗浄面1bを洗浄する。これにより、洗浄テープ12を180度捻ることなく、洗浄テープ12によって洗浄面1a,1bを適切に洗浄することができる。また、洗浄テープ12の2つの払拭面12aと12bとが使用されるため、洗浄テープ12の消費量を抑制する、言い換えると洗浄テープ12の交換頻度を少なくすることができる。その結果、基板1の洗浄コストが低くなる。
【0070】
また、図1、図2、図6および図7に示すように、供給リール16、洗浄テープ駆動装置17、押圧部材11a,11b、テープ経路形成部材18(複数のガイドローラ18a〜18h)、および回収リール20は、ユニットフレーム22に設けられることにより、1つの洗浄ユニット21を構成している。そして、この洗浄ユニット21は、図7に示すように、基台5に設けられた洗浄機構4の本体4aに着脱可能に装着される。したがって、未使用の洗浄テープ12がセットされた洗浄ユニット21と、洗浄テープを使い果たした、洗浄機構4の本体4aに装着されている洗浄ユニット21とを交換することにより、未使用の洗浄テープ12を簡単に短時間で洗浄機構4にセットすることができる。
【0071】
さらに、供給リール16と回収リール20とが、それぞれの回転中心線が実質的に一致した状態で並列するため、それぞれの回転中心線が実質的に一致しない場合に比べて基板洗浄装置、特に洗浄ユニット21がコンパクト化される。
【0072】
さらにまた、洗浄テープ12の払拭面12bの汚れが部分的に規定以上の汚れである場合、規定以上の汚れの部分が、押圧部材11bと洗浄面1bとの間をスキップする。これにより、規定以上の汚れの洗浄テープ12の部分が洗浄面1bの洗浄に使用されなくなる。その結果、洗浄不良の発生が抑制される。
【0073】
加えて、洗浄テープ12が押圧部材11bと洗浄面1bとの間をスキップする回数が、規定の頻度以上になると、警告が通知される。これにより、作業者が、洗浄テープ12のトラブルの発生を知ることができる。
【0074】
さらに加えて、押圧部材11aが洗浄面1aに洗浄テープ12を押し付け、且つ押圧部材11bが洗浄面1bに洗浄テープ12を押し付けることにより、別の観点から見れば、基板1の側縁部は2つの押圧部材11a,11bによって挟持される。そのため、基板移動装置3が、基板1の側縁部を支持する必要がなくなる。すなわち、基板1は、基板移動装置3によって実質的な中央部が支持されるとともに、側縁部が2つの押圧部材11a,11bに支持されることにより、安定した姿勢で支持される。これにより、基板移動装置3をコンパクトにすることができる。
【0075】
さらに加えて、洗浄機構4は、洗浄テープ12を基板1の移動方向と直交する方向に送るように構成されているので、すなわち2つのリール16,20の径方向が基板1の移動方向と直交するように洗浄ユニット21に設けられているので、基板1の移動方向の寸法が小さくコンパクトである。
【0076】
さらに加えて、押圧部材11a,11bそれぞれは、基板1に対向する対向面(洗浄テープ12と接触する面)13に突起13aを備えて、洗浄テープ12が基板1とともに側縁部の長手方向に移動しないように該洗浄テープ12を係止している。これにより、基板1の移動速度を上げても、洗浄テープ12は基板1の側縁部の洗浄面を確実に洗浄することができる。
【0077】
以上、本発明の第1の実施形態に係る基板洗浄装置について説明したが、本実施形態の基板洗浄装置は、後述するようにまたは後述する以外にも、様々に変形することが可能であることは当業者にとって明らかである。
【0078】
例えば、図6に示すように、回収リール20と洗浄テープ駆動装置17とを駆動する駆動シリンダ25が、モータであってもよい。この場合、モータは、ギヤまたはベルトを介して回収リール20と洗浄テープ駆動装置17とを駆動する。モータは、回転量が制御可能なステッピングモータが好ましい。
【0079】
また、上述の第1の実施形態の場合、図1や図2に示すように、洗浄テープ12が押圧部材11a,11bと洗浄面1a,1bとの間を通過するときの方向は、基板1の側縁部の長手方向(基板1の移動方向)と直交する方向であるが、これと異なる方向でも可能である。例えば、洗浄テープ12が押圧部材11a,11bと洗浄面1a,1bとの間を、基板1の側縁部の長手方向に通過するように、基板洗浄装置を構成することは可能である。
【0080】
さらに、上述の第1の実施形態の場合、図1や図2に示すように、押圧部材11aと洗浄面1aとの間を洗浄テープ12が通過する方向と、押圧部材11bと洗浄面1bとの間を通過する方向とが同一であるが、この2つの通過方向は同一でなくともよい。ただし、この2つの通過方向は、同一の方向が好ましい。理由は、例えば図2に示すように、ループ経路19によってループされる洗浄テープ12は、ループ開始時の洗浄テープ12の移動方向とループ終了時の移動方向とが略同一方向であるためである。そのため、2つの通過方向を異なるようにするためには、ループ経路19の後に洗浄テープの移動方向を略180度変える別の経路が必要になり、テープ経路全体が長くなる。その結果、基板洗浄装置、特に洗浄ユニット21が大きくなる。したがって、2つの通過方向を同一方向にするのが、ループ経路19を含むテープ経路全体を短くすることができる、すなわち洗浄ユニット21をコンパクトにすることができるので好ましい。
【0081】
さらに、上述の第1の実施形態の場合、図5に示すように、洗浄テープ12の払拭面12aによる洗浄面1aの洗浄と、払拭面12bによる洗浄面1bの洗浄とが同時に実行されるが、払拭面12aによる洗浄と払拭面12bによる洗浄は同時でなくてもよい。洗浄テープ12の一方の払拭面12aのみを使用して2つの洗浄面1a,1bを洗浄し、一方の払拭面12aを使い果たした後、他方の払拭面12bを使用して2つの洗浄面1a,1bを洗浄するようにしてもよい。
【0082】
これが可能になるように変形された基板洗浄装置が、図9に示されている。なお、以下、上記第1の実施形態に係る基板洗浄装置と異なる基板洗浄装置の説明において、上記第1の実施形態の構成要素と同一の構成要素は、同一の参照符号が付されている。また、主に、上記第1の実施形態に係る基板洗浄装置と異なる点について説明する。
【0083】
図9に示す基板洗浄装置は、洗浄テープ12が、押圧部材11aと基板1の側縁部の表側に位置する洗浄面との間を通過し、次にガイドローラ18hによって折り返し、続いて押圧部材11bと側縁部の裏側に位置する洗浄面との間を通過するように形成されたテープ経路を有する。すなわち、洗浄テープ12の一方の払拭面の異なる部分によって2つの洗浄面を同時に洗浄するように構成されている。また、この基板洗浄装置は、上述の第1の実施形態と同様に、基板1の側縁部の表側の洗浄面を洗浄した払拭面の部分が押圧部材11bと側縁部の裏側の洗浄面との間をスキップするように、洗浄テープを送る構成にされている(払拭面の同じ部分が、2つの洗浄面を洗浄しないように構成されている)。
【0084】
この基板洗浄装置はさらに、一方の払拭面のみ使用された洗浄テープ12を巻き取って回収した回収リール20を供給リール16として使用できるように、且つ一方の払拭面のみが洗浄に使用された後に他方の払拭面が洗浄に使用されるように構成されている。
【0085】
例えば、図9に示すように、洗浄機構4は、回収リール20が洗浄に使用された払拭面をリール中心に向けて洗浄テープ12を巻き取るように、回収リール20を駆動する構成にされている。また、洗浄機構4は、供給リール16を両方向に自由回転可能に支持するように構成されている。さらに、回収リール20が供給リール16として使用可能に構成されている。これにより、以下の手順にしたがい、洗浄テープ12の両方の払拭面を洗浄に使用することができる。
【0086】
まず、回収リール20が、一方の払拭面のみ洗浄に使用された洗浄テープ12を、洗浄に使用された払拭面をリール中心に向けて巻取り回収する。次に、洗浄テープ12の回収が完了した回収リール20を反転し、供給リール16として洗浄機構4にセットする。続いて、供給リール16(回収リール20)が巻回する洗浄テープ12が、未使用の払拭面が基板1の側縁部の表側と裏側とに対向するように、テープ経路形成部材18にセットされる。
【0087】
これにより、洗浄テープ12の一方の払拭面のみを使用して2つの洗浄面1a,1bを洗浄し、一方の払拭面12aを使い果たした後、他方の払拭面12bを使用して2つの洗浄面1a,1bを洗浄することができる。
【0088】
さらにまた、上述の第1の実施形態の場合、図4に示すように、洗浄中、基板1がその側縁部の長手方向に移動するが、洗浄テープ12が基板1の側縁部の長手方向に移動してもよい。
【0089】
具体的には、図9に示す基板洗浄装置のように、洗浄ユニット21を基板1の側縁部の長手方向に移動させる洗浄ユニット移動装置50が基板洗浄装置に設けられる。この洗浄ユニット移動装置50が洗浄ユニット21を基板1の側縁部の長手方向に移動させることにより、洗浄テープ12は側縁部の長手方向に移動することができる。なお、洗浄ユニット移動装置50は、洗浄ユニット21を着脱可能に装着した洗浄ユニット21を移動させるように構成されるのが好ましい。未使用の洗浄テープ12がセットされた洗浄ユニット21と、洗浄テープを使い果たした、洗浄ユニット移動装置50に装着されている洗浄ユニット21とを交換することにより、未使用の洗浄テープ12を簡単に短時間で洗浄機構4にセットすることができる。
【0090】
洗浄ユニット21が基板1の側縁部の長手方向に移動する場合、図9に示すように、供給リール16と回収リール20は、それぞれの回転中心線Cが実質的に一致した状態で並列するのがよい。
【0091】
一例として、2つのリールそれぞれの回転中心線が実質的に一致せず、回転中心線が延びる方向(洗浄ユニット21の移動方向)に見たときに、奥側のリールの一部が手前側のリールの外周から部分的に露出している場合を挙げる(手前側のリールの径は、奥側のリールの径と等しい、または大きい)。この例の場合、回転中心線が実質的に一致して奥側のリールが手前のリールに完全に隠れる場合に比べて、露出部分が存在することにより、洗浄ユニット21は相対的に大きくなり、剛性が相対的に低下する。また、洗浄ユニット21の移動中にリール及びリールを支持する部材が揺れやすくなり、例えば、振動等が発生しやすくなる。その結果、洗浄ユニット21を高速に移動することが困難になる。
【0092】
洗浄ユニット21が洗浄ユニット移動装置50によって基板1の側縁部の長手方向に移動され、且つ供給リール16と回収リール20とがそれぞれの回転中心線が実質的に一致した状態で並列に洗浄ユニット21に設けられることにより、基板1の側縁部の長手方向に高速に、例えば、300〜500mm/sの速度で移動することができるコンパクトな洗浄ユニット21が実現される。また、洗浄ユニット21は、コンパクトな構成であるため、軽量で剛性が高く、高速での移動中の振動発生を抑制してスムーズに移動することができる。また、このような構成であるため、洗浄ユニット21は、その始動、加速、減速、および停止に大きなエネルギを必要としない。すなわち、洗浄ユニット移動装置50もコンパクトな構成にすることができる。
【0093】
なお、洗浄ユニット21を基板1の側縁部の長手方向に高速に移動させて洗浄時間を短くし、その結果として洗浄コストを抑制することを考えると、洗浄テープ12のテープ経路は、テープ経路が短いシンプルな経路が好ましい。シンプルなテープ経路の場合、テープ経路形成部材18、すなわちガイドローラの数が少なくなり、洗浄ユニット21を軽量化することができる。
【0094】
一例として、洗浄ユニット21を高速に移動させることができるシンプルなテープ経路として、図9に示すテープ経路が挙げられる。図9に示すテープ経路は、洗浄テープ12が、押圧部材11aと基板1の側縁部の表側に位置する洗浄面との間を通過し、次にガイドローラ18hによって折り返し、続いて押圧部材11bと側縁部の裏側に位置する洗浄面との間を通過するように形成されている(テープ経路は、洗浄テープ12の一方の払拭面の異なる部分によって2つの洗浄面を同時に洗浄するように形成されている)。この図9に示すシンプルなテープ経路によれば、洗浄ユニット21は、軽量化され、高速に移動することができる。
【0095】
また、大型基板は、このような洗浄ユニット21により、大型基板をその側縁部の長手方向に移動させる大型の基板移動装置を使用することなく、短時間に洗浄される。その結果、大型基板の洗浄コストが抑制される。
【0096】
さらに加えて、基板1と洗浄テープ12との両方が、基板の側縁部の長手方向に相対的に移動するようにしてもよい。
【0097】
この場合、基板洗浄装置は、基板移動装置3と図9に示す洗浄ユニット移動装置50との両方を有する。基盤移動装置3が基板1をその長手方向の一方側に移動させ、洗浄ユニット移動装置50が洗浄ユニット21を該長手方向の他方側に移動させることにより、より高速に洗浄を実行することができる。
【0098】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る基板洗浄装置を、図10を参照しながら説明する。
【0099】
上記第1の実施形態の基板洗浄装置は、洗浄テープ12を回収リール20が巻き取ることによって回収する。これに対して、本実施形態の基板洗浄装置は、図10に示すように、回収リール20の代わりに、洗浄テープ12を回収する洗浄テープ回収装置48と、洗浄テープ回収装置48が回収した洗浄テープ12を収容する回収ボックス49とを有する。
【0100】
洗浄テープ回収装置48は、洗浄テープ12を引っ張る回収ローラ48aと、洗浄テープ12を回収ローラ48aに押し付けるピンチローラ48bとを有する。回収ローラ48aとピンチローラ48bは、洗浄ユニット21のユニットフレーム22に設けられている(洗浄ユニット21に組み込まれている)。また、回収ローラ48aは、駆動ローラ17aと同期して回転するように構成されている。
【0101】
回収ボックス49は、洗浄機構4の本体4aに取り外し可能に据え付けられている。
【0102】
本実施形態によれば、回収リール20を使用することなく、洗浄テープ12を回収することができる。
【0103】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る基板洗浄装置を、図11を参照しながら説明する。
【0104】
上述の第1の実施形態に係る基板洗浄装置において、洗浄テープ12は、図1または図2に示すように、テープ経路形成部材18により、押圧部材11aと洗浄面1aとの間を通過した後、基板1と供給リール16との間の空間内でループする。これに対して、本実施形態に係る基板洗浄装置は、押圧部材11aと洗浄面1aとの間を通過した洗浄テープ12を、テープ経路形成部材18(複数のガイドローラ18a〜18h)により、供給リール16の周囲(径方向外側)に沿ってループさせる。
【0105】
本実施形態によれば、図2と図11とを比較すれば明らかなように、押圧部材11aと洗浄面1aとの間からガイドローラ18dまでの距離が、第1の実施形態に比べて長くなる。これにより、払拭面12aによって洗浄面1aを洗浄した洗浄テープ12がガイドローラ18dに到達する前に、洗浄剤が洗浄テープ12から十分に揮発する。その結果、洗浄テープ12の払拭面12a上の汚れが、洗浄剤とともにガイドローラ18d〜18gに転写されることが抑制される。
【0106】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る基板洗浄装置を、図12を参照しながら説明する。なお、本実施形態は、第3の実施形態と類似する。
【0107】
上記第3の実施形態に係る基板洗浄装置において、洗浄テープ12は、図11に示すように、押圧部材11aと洗浄面1aとの間を供給リール20に接近する方向に通過し、押圧部材11bと洗浄面1bとの間も供給リール20に接近する方向に通過する。これに対し、本実施形態に係る基板洗浄装置において、洗浄テープ12は、図12に示すように、押圧部材11aと洗浄面1aとの間を供給リール20から離れる方向に通過し、押圧部材11bと洗浄面1bとの間も供給リール20から離れる方向に通過する。
【0108】
なお、図12の(a)は、供給リール16と回収リール20が、それぞれの回転中心線が実質的に一致するように並列されている例であり、図12の(b)は、供給リール16と回収リール20が実質的に同一平面上に配置されている例である。
【0109】
本実施形態によれば、図12に示すように、ループ経路19を形成するガイドローラ18c〜18fは、洗浄面1aを洗浄して汚れた払拭面12aに触れることなく、洗浄テープ12をガイドしてループさせることができる。その結果、複数のガイドローラ18c〜18fが汚れることが抑制される。
【0110】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0111】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【0112】
2008年10月31日に出願された日本国特許出願No.2008−282313号およびこの出願に基づく優先権主張出願である2009年7月31日に出願された日本国特許出願No.2009−179099号の明細書、図面、及び特許請求の範囲の開示内容は、全体として参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明が、基板の側縁部に限らず、他の部分の表側と裏側とにそれぞれ位置する洗浄面を、洗浄テープの2つの払拭面によって適切に且つ高速に洗浄することか可能であることは明らかである。したがって、基板の洗浄が必要な分野、例えば、基板に部品を実装する部品実装の分野において、本発明は好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 基板
11a 押圧部材
11b 押圧部材
15 テープ送り機構
16 供給リール
20 回収リール
21 洗浄ユニット
50 洗浄ユニット移動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の側縁部の表側に位置する第1の洗浄面と裏側に位置する第2の洗浄面とを布製の洗浄テープによって洗浄する基板洗浄装置であって、
洗浄テープを第1の洗浄面に押し付ける第1の押圧部材と、洗浄テープを第2の洗浄面に押し付ける第2の押圧部材と、洗浄テープを供給する供給リールと、洗浄テープを回収する回収リールと、供給リールから第1および第2の洗浄面上を通過して回収リールに至るテープ経路に沿って洗浄テープを送るテープ送り機構とを含む洗浄ユニットと、
着脱可能に装着した洗浄ユニットを基板の側縁部の長手方向に移動させる洗浄ユニット移動装置とを有し、
洗浄ユニットにおいて供給リールと回収リールとが並列して配置され、
テープ送り機構における供給リールからテープ経路に洗浄テープを供給するテープ駆動装置のテープ供給動作と回収リールによる洗浄テープ回収動作と、を連動させる連動装置を、洗浄ユニットがさらに備える基板洗浄装置。
【請求項2】
洗浄ユニットの外部に設けられ、連動装置と解除可能に連結して該連動装置に動力を供給する単一の動力源を有し、
連動装置が、単一の動力源から動力の供給を受けてテープ供給動作とテープ回収動作とを連動する請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
連動装置が、単一の動力源から供給された動力をテープ駆動装置とテープ回収リールとに分けて伝達するリンク機構を有する請求項2に記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
基板の側縁部の表側に位置する第1の洗浄面と裏側に位置する第2の洗浄面とを布製の洗浄テープによって洗浄する基板洗浄方法であって、
第1の押圧部材によって洗浄テープを第1の洗浄面に押し付けた状態、且つ第2の押圧部材によって洗浄テープを第2の洗浄面に押し付けた状態を維持しつつ、洗浄テープと基板とを該基板の側縁部の長手方向に相対的に移動させることによって第1および第2の洗浄面を洗浄し、
洗浄テープを供給する供給リールから、第1および第2の洗浄面上を通過し、供給リールと並列して洗浄テープを回収する回収リールに至るテープ経路に対し、供給リールと回収リールが並設された状態にて供給リールからテープ経路に洗浄テープを供給するテープ供給と、テープ経路から回収リールに洗浄テープを回収するテープ回収とを連動して行う基板洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−45868(P2011−45868A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78260(P2010−78260)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【分割の表示】特願2010−506473(P2010−506473)の分割
【原出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】