説明

基板移送ロボット

【課題】ガラス基板の移送時に、基板表面を損傷することなく安全に移送するための基板移送ロボットを提供すること。
【解決手段】基板(11)を移送するためのロボットアーム(10)と、当該ロボットアーム(10)から前記基板(11)を浮上させる浮上部(20)と、当該ロボットアーム(10)に装着されて前記基板(11)の重量を支持する基板支持部(30)とを含み、ガラス基板の移送時に、基板表面を損傷することなく安全に移送するための基板移送ロボットが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板移送ロボットに関し、より詳しくは、ガラス基板の移送時に、基板表面を損傷することなく安全に移送するための基板移送ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、有機発光表示装置の製造時に、有機膜または無機膜が成膜されたガラス基板が使用される。このガラス基板の移送または搬送は、ロボットアームが装着された基板移送ロボットによって行われる。
【0003】
ガラス基板は移送中にその自重によって中央部分が垂れることがあるため、従来は、これを解決するためにロボットアームのホルダー部の厚さを変化させ、ガラス基板の垂れによる損傷を防止している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ガラス基板の垂れによる損傷を防止するためにロボットアームのホルダー部の厚さを増加させると、関連部品の仕様も変化することになる。そのためにガラス基板の移動または搬送能力が低下するという問題点があった。さらに、ガラス基板の垂れ発生時に他部品との干渉によって、ガラス基板の表面が損傷する恐れがあった。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、ガラス基板の移送時に、ロボットアームでガラス基板の方向に気体を噴射させて、ガラス基板を浮上させた状態で移送する基板移送ロボットを提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、ロボットアームにガラス基板の中央部分を支持するシリンダアセンブリを装着して、ガラス基板が移送中に垂れることがないように安定的に支持できる基板移送ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、次のような基板移送ロボットが提供される。本発明の実施形態による基板移送ロボットは、基板移送のためのロボットアームと、ロボットアームから基板を浮上させる浮上部と、ロボットアームに装着されて基板を支持する基板支持部とを含む。
【0008】
上記の浮上部は、気体の噴射を利用して基板を浮上させる。また、当該浮上部は、ロボットアームから突出するブラケットと、ブラケットに装着されて気体が移送される流路と、流路から供給された気体を噴射する噴射ノズルとを含んでいてもよい。さらに、上記の噴射ノズルは、一つのブラケットに対して複数個装着するように構成されていてもよい。
【0009】
また、上記のブラケットは、ロボットアームの側面から複数個突出し、基板を複数の位置で分散支持するように構成されていてもよい。また、上記の噴射される気体は、空気(air)または窒素(N)により構成されていてもよい。
【0010】
また、上記の基板支持部は、ロボットアームに装着されたシリンダアセンブリを含んでいてもよい。さらに、当該シリンダアセンブリは、空気供給配管と連結されるシリンダボディと、シリンダボディで上昇または下降可能に装着され、基板を上昇または下降させるロッド部材とを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明によれば、ガラス基板の移送時に、ロボットアームでガラス基板方向に気体を噴射させて、ガラス基板とロボットアームが離隔した状態で移送できるようにして、ガラス基板とロボットアームの干渉による損傷を防止することができる。
【0012】
また、ガラス基板の移送中に、その中央部分の垂れを防止するシリンダアセンブリを装着することにより、ガラス基板の垂れによるロボットアームとの干渉を防止して、ガラス基板の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板移送ロボットのロボットアームの部分を概略的に示した図面である。
【図2】ロボットアームに装着された浮上部を概略的に示した側面図である。
【図3】基板支持部を概略的に示した図面である。
【図4】基板移送ロボットのロボットアームが積載装置に挿入された状態を示した図面である。
【図5】図4のロボットアームの噴射ノズルから気体が噴射されて基板を移送する動作を示した図面である。
【図6】本発明の第2実施形態による基板移送ロボットのロボットアームの部分を概略的に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態による基板移送ロボットについて、添付した図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下で開示する実施形態に限定されず、種々の多様な形態に実現される。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板移送ロボットのロボットアームの部分を概略的に示した図面である。
【0016】
図1に示したように、本発明の第1実施形態に係る基板移送ロボット100は、基板移送のためのロボットアーム10と、ロボットアーム10からガラス基板11を浮上させる浮上部20と、ロボットアーム10に装着され、ガラス基板11の重量を支持する基板支持部30とを含む。
【0017】
ロボットアーム10は、基板の移送のためのロボットのボディ部12に装着されて、上昇、下降、回転またはスライディング可能に装着され、有機発光表示装置の製造工程の中で有機膜または無機膜が成膜されたガラス基板11の移送工程で利用される。本実施形態において、ロボットアーム10には、ガラス基板11の移送時にガラス基板11の表面損傷を最少化しながら移送できるように、浮上部20及び基板支持部30が装着される。以下の説明において、ロボットアーム10の上昇、下降または回転作動のための構成は公知された構成であるため、その詳細に関する説明は省略する。
【0018】
ロボットアーム10は、ボディ部12の外側に突出するように装着される。ロボットアーム10には、突出した長さ方向の側面に傾斜面16が形成される。なお、傾斜面16は、ロボットアーム10の短手方向の外側に向かって、ロボットアーム10の厚みが薄くなるように傾斜した部分を指す。この傾斜面16は、後述するブラケット21の装着のための部分であって、ブラケット21がロボットアーム10に結合された状態で、ロボットアーム10の上側に突出した部分が発生しないようにするために設けられている。
【0019】
このような傾斜面16を設けることにより、ロボットアーム10を利用したガラス基板11の移送時に、ガラス基板11とブラケット21の干渉が防止され、ガラス基板11の表面損傷を防止できるようになる。同時に、ロボットアーム10には浮上部20(図2を参照)が装着されているため、ガラス基板11の移送時にガラス基板11がロボットアーム10の上側に一定の距離だけ離隔した状態で移送が行われる。
【0020】
図2は、ロボットアームに装着された浮上部を概略的に示した側面図である。
【0021】
図2に示すように、浮上部20は、ロボットアーム10から突出するブラケット21と、ブラケット21に装着されて気体23aが移送される気体流路23と、気体流路23から供給された気体23aを噴射する噴射ノズル25とを含む。
【0022】
図2に示すように、浮上部20は、ガラス基板11の移送時に、気体23aを噴射して気体23aの噴射圧力によりガラス基板11を支持する。そして、ガラス基板11の移送工程で有機膜または無機膜の成膜された部分の損傷を最小化する。この浮上部20について、以下でより詳細に説明する。
【0023】
ブラケット21は、図1に示すように、ロボットアーム10の側面に突出した状態で結合されている。より詳しくは、ブラケット21は、ロボットアーム10の長さ方向の両側面に複数個突出するように設けられ、ガラス基板11の背面を放射状に支持できるように構成されている。
【0024】
図1の例では、ロボットアーム10の短手方向の外側に伸びるよう、4本のブラケット21が設けられている。さらに、各ブラケット21の先端には浮上部20が設けられている。また、図1の例では、ボディ部12とは反対側のロボットアーム10の端部にも浮上部20が2個設けられている。従って、図1の例では、1本のロボットアーム10に対して6個の浮上部20が設けられている。つまり、1枚のガラス基板11を6個の浮上部20による噴射圧力により支持する構成が図1に示されている。また、4本のブラケット21の先端に設けられた浮上部20が形成する矩形の中心付近(ロボットアーム10上)に後述する基板支持部30が設けられている。従って、気体の噴射による6カ所の支持と、その中央付近の基板支持部30による支持とにより、ガラス基板11がバランス良く支持され、ガラス基板11の中央付近の垂れによる表面の損傷を防ぐことができる。
【0025】
また、ブラケット21がロボットアーム10の両側面から突出する位置は、ロボットアーム10を基準として両側にそれぞれ対向する位置に装着されるようにする。これは、ブラケット21に装着された噴射ノズル25から噴射される気体23aが、ガラス基板11の一側面に偏って噴射されず、背面に均等に分散されるようにするためである。このような構成にすることで、ガラス基板11を安定的に支持できるようになる。
【0026】
また、ブラケット21は、本発明の実施形態でプレート形状を例示するが、棒状または多角形の棒状も可能である。ブラケット21には、その長さ方向に沿って気体流路23が装着されており、ロボットアーム10とブラケット21との間で気体23aを噴射ノズル25に供給する。
【0027】
また、気体流路23は、ロボットアーム10とブラケット21の長さ方向に沿って配置される。気体流路23は、基板移送ロボットのボディ部12から延長されるメイン流路(図示せず)から分岐した複数の分岐流路(図示せず)を含むことができる。このような気体流路23は、ホース(hose)形状で、ロボットアーム10またはブラケット21の表面に沿って配置するか、あるいはロボットアーム10またはブラケット21の内部に挿入された状態で配置される。そして、気体流路23を利用して供給される気体23aは、空気または窒素とすることができる。
【0028】
また、噴射ノズル25は、ブラケット21の突出した端部位置に設けることにより、ガラス基板11の周縁に沿って気体23aが噴射されるようにする。噴射ノズル25の気体噴射方向は、ロボットアーム10の上側、つまり、ガラス基板11の背面方向に噴射されるようにする。このような構成にすることで、ガラス基板11は、有機発光表示装置の作業工程における移送作業時に、ロボットアーム10の表面から一定の距離が離隔した状態で移送される。そのため、ガラス基板11はその表面に成膜された有機膜または無機膜の損傷を最小化した状態で、工程間の移送作業が可能になる。
【0029】
一方、気体23aがガラス基板11の周縁に沿って噴射されることにより、ガラス基板11の中央部分には支持力が作用しない。そのため、ガラス基板11の中央部分が自重によって垂れが発生し得る。そこで、ロボットアーム10にはガラス基板11の中央部分の垂れを防止するための基板支持部30が装着される。
【0030】
図3は、基板支持部を概略的に示した図面である。
【0031】
図3に示すように、基板支持部30は、ロボットアーム10のブラケット21が装着された中央位置に上昇または下降可能に装着される。基板支持部30は、油圧または空圧を利用して作動するシリンダアセンブリにより実現できる。以下では、基板支持部とシリンダアセンブリには同一の符号30を使用する。
【0032】
シリンダアセンブリ30は、空気供給配管31と連結されるシリンダボディ33と、シリンダボディ33で上昇または下降可能に装着され、ガラス基板11の中央部分を支持するロッド部材35とを含む。
【0033】
シリンダボディ33は、ロボットアーム10の長さ方向の中央位置、より詳しくは、複数のブラケット21の間の中央位置に装着される。つまり、シリンダボディ33は、ロボットアーム10を利用してガラス基板11を支持する時、ガラス基板11の背面の中央部分に位置するように装着される。シリンダボディ33にはロッド部材35が上昇または下降可能に装着される。
【0034】
また、ロッド部材35は、シリンダボディ33に供給された油圧または空圧によって選択的に乗降可能に装着され、ガラス基板11の背面の中央位置を支持する。より具体的に説明すれば、作業者がガラス基板11の垂れが発生したと判断すれば、シリンダアセンブリ30を駆動してロッド部材35がガラス基板の方向に上昇するようにする。このようにロッド部材35がガラス基板11の背面の中央部分を上側に持ち上げることにより、ガラス基板11の垂れによる表面の損傷を防止することができる。
【0035】
上記構成による本発明の第1実施形態による基板移送ロボットの作用について、以下でより詳細に説明する。
【0036】
図4は、基板移送ロボットのロボットアームが積載装置に挿入された状態を示した図面であり、図5は、図4のロボットアームの噴射ノズルから気体が噴射されて基板を移送することを示した図面である。
【0037】
まず、図4に示すように、有機発光表示装置の製造工程において、ガラス基板11の移送のためにロボットアーム10が積載装置15のガラス基板11の背面に位置する。
【0038】
次に、噴射ノズル25から気体23aが噴射され、ガラス基板11がロボットアーム10の上側に一定の距離が離隔した状態で上昇する。
【0039】
ここで、ガラス基板11の中央部分に垂れが発生したと判断すれば、作業者は図3に示したように、シリンダアセンブリ30のロッド部材35を上昇させて、ガラス基板11の中央部分を支持する。
【0040】
次に、図5に示したように、ロボットアーム10を位置移動させて、ガラス基板11を移送しようとする位置に移送する。
【0041】
図6は、本発明の第2実施形態による基板移送ロボットのロボットアームの部分を概略的に示した図面である。図1〜図5において同じ参照番号は、同じ機能の同じ部材である。以下で、同じ参照番号については、その詳しい説明は省略する。
【0042】
図6に示すように、本発明の第2実施形態による基板移送ロボットのブラケット21には、複数の噴射ノズル225が装着される。
【0043】
本発明の第2実施形態において、噴射ノズル225を一つのブラケット221に複数個装着することにより、ガラス基板11を支持する気体23aの噴射量を多くして、支持力を向上させることができる。
【0044】
以上、本発明を図面に示した実施形態を参照して説明した。しかし、本発明はこれらに限定されず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって本発明と均等な範囲に属する多様な変形例または他の実施形態が可能である。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲によって決められなければならない。
【符号の説明】
【0045】
10 ロボットアーム
11 ガラス基板
12 ボディ部
20 浮上部
21 ブラケット
23 気体流路
23a 気体
25 噴射ノズル
30 シリンダアセンブリ
31 空気供給配管
33 シリンダボディ
35 ロッド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板移送のためのロボットアームと、
前記ロボットアームから前記基板を浮上させる浮上部と、
前記ロボットアームに装着されて前記基板を支持する基板支持部と、
を含む、
基板移送ロボット。
【請求項2】
前記浮上部は、気体の噴射を利用して前記基板を浮上させる、
請求項1に記載の基板移送ロボット。
【請求項3】
前記浮上部は、
前記ロボットアームから突出するブラケットと、
前記ブラケットに装着されて気体が移送される流路と、
前記流路から供給された気体を噴射する噴射ノズルと、
を含む、
請求項2に記載の基板移送ロボット。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記ロボットアームの側面から複数個突出し、前記基板を複数の位置で分散支持する、
請求項3に記載の基板移送ロボット。
【請求項5】
前記噴射ノズルは、一つの前記ブラケットに対して複数個設けられている、
請求項3に記載の基板移送ロボット。
【請求項6】
前記気体は、空気(air)または窒素(N)である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板移送ロボット。
【請求項7】
前記基板支持部は、前記ロボットアームに装着されたシリンダアセンブリを含む、
請求項1に記載の基板移送ロボット。
【請求項8】
前記シリンダアセンブリは、
空気供給配管と連結されるシリンダボディと、
前記シリンダボディで上昇または下降可能に装着され、前記基板を上昇または下降させるロッド部材と、
を含む、
請求項7に記載の基板移送ロボット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−156654(P2011−156654A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177559(P2010−177559)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】