説明

基板製造用装置

【課題】作業用ヘッドによる作業を効率的に行い、さらにその信頼性を高めること。
【解決手段】ディスペンサ装置は、基板Pに対して相対的に移動可能なディスペンスヘッド30を備え、このヘッド30により基板P上に塗布液を塗布する。ディスペンスヘッド30は、塗布液を塗布するためのヘッド本体31と、塗布ポイントの高さを測定するためのレーザー変位計40とを備える。レーザー変位計40は、照射部42a及び受光部42bを有し、塗布ポイントに照射した光の反射光を受光することにより塗布ポイントの高さを測定可能に構成されるもので、塗布ポイントの直上にヘッド本体31が位置するようにディスペンスヘッド30を配置した状態で、塗布ポイントの高さを測定可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路板等の部品実装基板の製造用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント回路板(PCB;Printed Circuit Board)の製造用装置として、電子部品の実装に先立ちプリント配線板(PWB;Printed wiring board)上に半田や接着剤等の塗布液を塗布するディスペンス装置や、基板上の塗布液の位置や塗布状態、あるいはその塗布液を介して基板上に実装(搭載)された電子部品の位置や実装状態を画像認識に基づき検査する基板検査装置等が広く知られている。また、ディスペンス装置に基板検査機能を組み込んだ装置も広く知られている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開平5−337421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ディスペンス装置では、ヘッドユニットに搭載されたディスペンスヘッドを昇降させることによって基板上に塗布液を塗布するが、このように基板上に直接塗布液を塗布する以外に、例えば多重実装の為に、実装部品上に塗布液を塗布する場合もあり、従って、ディスペンスヘッドの下降端高さ位置を必要に応じて切り換えることが求められる。この場合、塗布液を精度良く塗布するには被塗布面の高さを検知した上でディスペンスヘッドを制御するのが確実であり、例えばヘッドユニットに光学式(レーザー式)変位センサを搭載して被塗布面の高さを計測することが行われている。
【0004】
ところが、この種のセンサは、通常ディスペンスヘッド対して横並びに配置されるため、作業時には、まずセンサで被塗布面の高さ測定を行った後、当該被塗布面上にディスペンスヘッドが位置するようにヘッドユニットを移動させて塗布液を塗布するというように、基板に沿ってその面内でヘッドユニットを移動させながら各作業を行う必要がある。そのため、塗布ポイントが多い場合には、効率が悪いという問題がある。また、測定時と作業時のヘッドユニットの位置が異なるため、測定結果を、塗布作業のヘッド昇降駆動制御にそのまま反映させるのでは、作業の信頼性の上でも問題がある。
【0005】
他方、基板検査装置では、一般に、ヘッドユニットに搭載されたカメラで実装部品の平面画像を撮像して当該画像に基づき実装状態を検査するが、部品やリード浮き等の検出が求められるものではヘッドユニットに光学式変位センサを搭載して部品やリードの高さを測定することが行われる。この場合も、通常は部品認識用のカメラとセンサとが横並びに配置され、基板に沿ってヘッドユニットを移動させながら実装部品の撮像と高さ測定とが行われており、上記ディスペンス装置と同様の問題がある。従って、この点を解決する事が望まれる。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みて成されたものであり、プリント回路板等の製造装置において、作業効率を高めると共に当該作業の信頼性を高めることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、位置決めされた基板に対して相対的に移動可能な作業用ヘッドを備え、この作業用ヘッドにより所定の作業を行うことにより部品実装基板の製造工程の一部を負担する基板製造用装置であって、前記作業用ヘッドは、前記所定の作業として第1の作業を行うためのヘッド本体と、同所定の作業として第2の作業を行うための光学式変位センサとを備え、前記第1の作業は、前記基板に対して行うものであり、第2の作業は、前記第1の作業を行う基板対象部分の高さを測定するものであり、前記光学式変位センサは、光の照射部及び受光部を有し、前記照射部から前記基板対象部分に照射した光の反射光を前記受光部で受光することによって所定の測定基準面より前記基板対象部分の高さを測定可能に構成されると共に、前記基板対象部分の直上に前記ヘッド本体が位置するように前記作業用ヘッドを配置した状態で、前記測定基準面より前記基板対象部分の高さを測定可能に設けられているものである。
【0008】
このような構成によれば、基板対象部分の直上にヘッド本体を配置した状態で、光学式変位センサにより所定の測定基準面に基づき当該基板対象部分の高さを測定することができる。そのため、光学式変位センサによる基板対象部分の高さ測定(第2の作業)と当該基板対象部分に対するヘッド本体による第1の作業とを、基板の面内の同じ位置に作業用ヘッドを配置した状態で実施することが可能となる。
【0009】
この構成において、光学式変位センサは、照射部から受光部に至る光路上に光路制御のために補助ミラー等を介在させたものであってもよいが、より精度よく高さ測定を行う上では、前記照射部及び受光部を、前記ヘッド本体の両側の位置であって、前記照射部から基板対象部分に対して光を直接照射し、その反射光を前記受光部で直接受光するように配置した構成とするのが好適である。
【0010】
なお、具体的な構成として、前記第1の作業は、前記基板に塗布液を塗布するものであり、前記ヘッド本体は、前記塗布液を基板上に塗布するためのノズル部材を含み、このノズル部材と一体に昇降することにより基板上に塗布液を塗布するように構成される。
【0011】
つまりこれは、基板製造用装置がいわゆるディスペンス装置である場合の構成である。この構成によれば、光学式変位センサによる被塗布面(基板対象部分)の高さ測定(第2の作業)と当該被塗布面に対するノズル部材による塗布液の塗布作業(第1の作業)とを、基板の面内の同じ位置に作業用ヘッドを配置した状態で実施することが可能となる。
【0012】
この場合、光学式変位センサは、前記被塗布面(基板対象部分)であってノズル部材の略中心軸上の位置に前記照射部により光を照射してその反射光を前記受光部により受光し得るように構成されているのが好適である。
【0013】
この構成によれば、ノズル部材による塗布液の塗布ポイントの高さを正確に測定することが可能となる。従って、ヘッド本体の昇降駆動に反映させる上で、測定結果の信頼性が高いものとなる。
【0014】
また、他の具体的な構成として、前記第1の作業は、前記基板対象部分を撮像してその状態を検査するものであり、前記ヘッド本体は、前記基板対象部分を撮像するための撮像手段として構成される。
【0015】
これは、基板製造用装置がいわゆる基板検査装置である場合の構成である。この構成によれば、光学式変位センサによる部品等の高さ測定(第2の作業)と当該部品等の撮像手段による撮像作業(第1の作業)とを、基板面内の同じ位置に作業用ヘッドを配置した状態で実施することが可能となる。
【0016】
この場合、光学式変位センサは、前記基板対象部分であって撮像手段の略光軸上の位置に前記照射部により光を照射してその反射光を前記受光部により受光し得るように構成されているのが好適である。
【0017】
この構成によれば、撮像される部品等の高さを測定することが可能となるため、測定結果の信頼性がより高いものになると共に、目視検査等の際の利便性も向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、光学式変位センサによる基板対象部分の高さ測定(第2の作業)と当該基板対象部分に対するヘッド本体による第1の作業とを、基板面内の同じ位置に作業用ヘッドを配置した状態で実施することが可能となる。従って、基板面内で作業用ヘッドを移動させながら高さ測定と所定の作業とを実施する必要がある従来構成に比べると、プリント回路板等を製造するための作業を効率的に行うことが可能になる。また、前記測定結果を用いてヘッド本体により第1の作業を行う場合の信頼性を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の好ましい実施の形態について図面を用いて説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る基板製造用装置であるディスペンス装置の概略を平面図で示している。なお、この図を含め本説明で使用する図面には、方向関係を明確にするためにXYZ直角座標軸が示してある。
【0021】
同図に示すように、ディスペンス装置の基台1上には、基板搬送機構として一対のベルトコンベアからなるコンベア対2が配置されており、これらコンベア対2によりプリント配線板(PWB;以下、単に基板Pという)がX軸方向右側から左側に搬送されて所定の固定位置(同図に示す基板Pの位置)に搬入されるようになっている。
【0022】
コンベア対2は、同図に示すように、搬入部2A、作業部2B及び搬出部2Cからなる三分割構造を有しており、真ん中の作業部2Bが上記固定位置とされている。この作業部2Bには、上記ベルトコンベアと共に、基板Pをバックアップピンにより持ち上げて支持する基板支持装置等(図示省略)が装備されている。
【0023】
作業部2Bは、所定領域内でY軸方向(コンベア対2による基板Pの搬送方向と直交する方法)に移動可能に構成されている。すなわち、基台1上には、Y軸方向に延びる固定レール3が設けられ、前記作業部2Bがこの固定レール3に移動可能に支持されている。そして、Y軸サーボモータ4により駆動されるボールねじ軸5が固定レール3に沿って設けられ、このボールねじ軸5が作業部2Bの図外のナット部分に螺合挿入されている。この構成により、作業部2Bが、搬入部2A及び搬出部2Cと一列に並んで基板Pの搬送路を形成する位置(図示の位置)と、後記ヘッドユニット10の可動領域下方の位置とに亘ってY軸方向に移動可能となっている。
【0024】
前記コンベア対2の側方(同図では上側)であって基台1の上方にはヘッドユニット10が設けられている。このヘッドユニット10は、基板P上に所定の塗布液を塗布するものであり、所定領域内でX軸方向(コンベア対2による基板Pの搬送方向)に移動可能に構成されている。すなわち、基台1の上方には、X軸方向に延びる高架の支持ビーム11が設けられ、ヘッドユニット10が、この支持ビーム11に固定された固定レール13に移動可能に支持されている。そして、X軸サーボモータ14により駆動されるボールねじ軸15が固定レール13に沿って設けられ、このボールねじ軸15が前記ヘッドユニット10の図外のナット部分に螺合挿入されている。この構成によりヘッドユニット10がX軸方向に移動可能となっている。
【0025】
図2及び図3は、ヘッドユニット10の構成を示しており、図2は正面図で、図3は縦断面図でそれぞれヘッドユニット10の構成を示している。
【0026】
これらの図に示すように、ヘッドユニット10には、ディスペンスヘッド30(本発明に係る作業用ヘッドに相当する)、このディスペンスヘッド30の移動機構、及び基板P上の所定位置の高さを測定するためのレーザー変位計40(本発明に係る光学式変位センサに相当する)等が搭載されている。
【0027】
ディスペンスヘッド30は、塗布液を吐出させるためのノズル31a(本発明に係るノズル部材に相当する)を有するヘッド本体31と、塗布液を貯留するタンクであるシリンジ32と、シリンジ32内の塗布液をヘッド本体31に送液する送液管(図示省略)等を含んでおり、図外のエア供給源から開閉バルブ及びレギュレータ等を介して前記シリンジ32内に供給されるエアの圧力により当該シリンジ32内の塗布液を前記圧力に応じた所定量だけ前記ヘッド本体31のノズル31aの先端に押し出す(吐出させる)ように構成されている。
【0028】
なお、塗布液は、当例では半田パウダとフラックスとからなる半田ペーストが用いられている。但し、塗布液の種類は、半田ペーストに限定されるものではなく、銀パウダとエポキシ樹脂からなる銀ペーストや接着剤等、各種塗布液が適用可能である。
【0029】
ディスペンスヘッド30は、前記ヘッドユニット10において所定範囲内でZ軸方向(上下方向)及びY軸方向に移動可能に設けられている。すなわち、ヘッドユニット10は、支持ビーム11(固定レール13)に沿って移動するメインフレーム20aと、このメインフレーム20aに対してY軸方向に変位可能に支持されるサブフレーム20bとを有しており、このサブフレーム20bがボールねじ軸23及びナット部材24を介してサーボモータ22によりY軸方向に駆動される構成となっている。また、このサブフレーム20bに固定レール34が設けられ、可動フレーム33がこの固定レール34に沿ってZ軸方向に移動可能に支持されると共に、この可動フレーム33がボールねじ軸36及びナット部材37を介してZ軸サーボモータ35により駆動される構成となっている。そして、この可動フレーム33に対して前記ディスペンスヘッド30が一体に組み付けられることにより、前記サーボモータ22,35の作動によりディスペンスヘッド30が、ヘッドユニット10においてZ軸方向及びY軸方向に移動可能となっている。
【0030】
レーザー変位計40は、基板P上の被塗布面(基板対象部分)の高さを測定し、また、必要に応じて基板P上に塗布された塗布液の高さを測定するものである。
【0031】
このレーザー変位計40は、レーザー光Lの発光素子を有する照射部42aと光位置検出素子(PSD;Position Sensitive Detector)を有する受光部42bとを有し、照射部42aから照射され、被塗布面で反射されたレーザー光Lを受光部42bで受光することにより、前記光位置検出素子における受光位置に対応した信号を出力するように構成されている。
【0032】
照射部42a及び受光部42bは、図2に示すように、ディスペンスヘッド30に一体に組付けられている。具体的には、照射部42a及び受光部42bは、図4に概略的に示すように、ヘッド本体31を挟んでその両側に固定されており、被塗布面直上の所定の高さ位置(つまり測定高さ位置)にヘッド本体31(ディスペンスヘッド30)を配置することで、予め定められた測定基準面上であって、かつノズル31aの中心を通るZ軸線上にレーザー光Lを照射するように配置されている。この測定基準面は、前記基板支持装置に支持された基板Pの設計上(理論上)の表面とされている。つまり、図5に示すように、この測定基準面上においてレーザー光の入射角θと等しい角度の反射角θ(光の反射の法則)で反射したレーザー光Lの光位置検出素子上における受光位置を基準位置として、この基準位置と被測定面B(基板対象部分)上で反射した同光位置検出素子上における受光位置との差λに基づき被測定面Bの高さhを三角測量の計算式を応用して、
(式)h=λ/2÷tanθ
により求めることで、前記被測定面Bの高さが検出されるようになっている。
【0033】
ここで、前記被測定面B上は、前記測定基準面上を照射するレーザー光Lと同じレーザー光Lで照射されるため、前記被測定面B上を反射するレーザー光Lの反射角θは前記測定基準面上の反射角θと同一となる。
【0034】
以上の説明において前記測定基準面は、基板Pの設計上(理論上)の表面とされたが、その他に測定基準面を、基台1の何れかの部位における設計上(理論上)の上面としてもよい。
【0035】
なお、照射部42a及び受光部42bは、図4に概略的に示すように、ホルダ43に固定されており、これによって互いに一定の位置関係を保った状態でヘッド本体31に一体的に組付けられている。
【0036】
上記のようなディスペンス装置において、基板Pへの塗布液の塗布作業は次のようにして実施される。
【0037】
まず、図1に示すようにコンベア対2(作業部2B)が配置された状態で、基板Pが作業部2Bの位置まで搬送され、前記基板支持装置によって当該作業部2Bの所定位置に基板Pが位置決め固定される。
【0038】
位置決め後、Y軸サーボモータ4の作動により作業部2Bがヘッドユニット10の可動領域内に配置され、当該作業部2BのY軸方向の移動、及びヘッドユニット10のX軸方向の移動により、ディスペンスヘッド30が、基板Pの塗布ポイント直上に配置される。詳しくは、ノズル31aの中心と塗布ポイント中心とが同一軸(Z軸)線上に位置するように基板P及びディスペンスヘッド30が互いに位置決めされる。この際、ディスペンスヘッド30は、Z軸サーボモータ35の駆動により予め前記測定高さ位置にされている。また、必要に応じてサーボモータ22によりサブフレーム20bが駆動されることによって、ディスペンスヘッド30の位置がY軸方向に微調整される。
【0039】
塗布ポイント直上にディスペンスヘッド30が配置されると、レーザー変位計40の前記照射部42aから塗布ポイントにレーザー光Lが照射され、その反射光が受光部42bで受光されることにより当該塗布ポイントの高さ位置が測定される。
【0040】
そして、塗布ポイントの高さ測定が終了すると、Z軸サーボモータ35の駆動によりディスペンスヘッド30が下降し、所定の塗布高さ位置に配置される。この際、上述した塗布ポイントの高さ位置測定結果に基づきZ軸サーボモータ35が駆動制御されることにより、ノズル31aの先端と塗布ポイント(塗布面)との間隔が最適値に保たれる。つまり、基板Pの反りや変形等の個体差、あるいは基板支持装置による基板Pの支持状態によって実際の塗布ポイントの高さ位置と設計値(理論値)との間に誤差が生じる場合があるが、レーザー変位計40による測定結果に基づいてディスペンスヘッド30の高さ位置(下降端高さ位置)が制御されることで、ノズル31aの先端と基板Pとの干渉等を伴うことなく、塗布作業に最適な隙間がノズル先端と塗布ポイント(塗布面)との間に確保される。
【0041】
そして、このディスペンスヘッド30の昇降動作に同期して前記シリンジ32からヘッド本体31に塗布液が圧送されることにより、ノズル31aの先端に押し出された塗布液が塗布ポイント上に塗布される。
【0042】
こうして塗布液が塗布ポイントに塗布されると、再度照射部42aから塗布ポイントにレーザー光Lが照射され、その反射光が受光部42bで受光されることにより、当該塗布ポイントに塗布された塗布液の表面高さが測定される。これによって塗布状態の検査が行われる。つまり、塗布液表面の高さとその塗布量にはある程度相関関係があり、塗布液の塗布後、上記のように塗布液の表面高さを測定することにより塗布量の検査が行われる。なおこの場合、必要に応じてサブフレーム20bがY軸方向に駆動されることにより、レーザー光Lにより塗布液表面が走査され、複数地点の高さが求められる。このように複数地点の高さを求めることにより塗布量の他、塗布状態を検査することも可能となる。
【0043】
こうして一つの塗布ポイントについて塗布液が塗布されると、作業部2B及びヘッドユニット10の駆動に応じてディスペンスヘッド30が次の塗布ポイント直上に位置決めされ、同様に当該塗布ポイントに塗布液が塗布される。そして、全ての塗布ポイントに対して塗布液が塗布されると、作業部2Bが図1に示す状態にリセットされ、基板Pの固定状態が解除された後、コンベア対2の作動により当該基板Pが搬出されることとなる。
【0044】
以上のように、このディスペンス装置では、照射部42a及び受光部42bをディスペンスヘッド30のヘッド本体31の両側に振り分けて各々配置した状態でレーザー変位計40をディスペンスヘッド30に組込み、塗布ポイント直上にヘッド本体31(ノズル31a)を配置した状態で、当該塗布ポイントの高さを測定し得るように構成したので、上記の通り、塗布ポイントの高さ測定と当該ポイントに対する塗布液の塗布作業を、基板Pの面内の同じ位置にディスペンスヘッド30を配置した状態で(つまり、ディスペンスヘッド30をX軸方向及びY軸方向に移動させることなく)実施することができる。
【0045】
従って、従来のこの種の装置、すなわち基板の面内でディスペンスヘッドを移動させながら塗布ポイントの高さ測定と塗布液の塗布作業とを行う必要がある従来装置に比べると、ディスペンスヘッド30の移動が不要となる分、効率的に作業を進めることが可能となる。特に、このディスペンス装置では、塗布作業後、塗布液の塗布量等を検査するために塗布液表面の高さをレーザー変位計40により測定するが、当該測定についても、塗布作業後、基板Pの面内でディスペンスヘッド30を移動させることなく実施することができる。従って、塗布前の塗布ポイントの高さ測定、塗布作業、及び塗布状態の検査といった一連の作業を効率良く行うことができる。
【0046】
また、このようにディスペンスヘッド30を移動させることなく高さ測定と塗布作業を行うことができる結果、塗布作業の信頼性が向上するという利点もある。つまり、ディスペンスヘッド30の位置が異なると、レーザー変位計40の配置(高さ)にも多少の誤差が生じることが考えられ、塗布ポイントの高さ測定後、ディスペンスヘッドを移動させて塗布作業を行う従来装置では、塗布作業時、測定結果をそのまま用いてディスペンスヘッドの昇降動作を制御すると、上記誤差分だけ昇降動作に誤差が生じることとなる。この点、上記実施形態のディスペンス装置では、ディスペンスヘッド30を移動させることなく高さ測定と塗布作業を行うため、測定結果をそのまま用いても、上記のような誤差を伴うことなくディスペンスヘッド30を昇降させることができる。従って、塗布作業時には、塗布ポイント(塗布面)とノズル31aの先端との間に適切な隙間をより確実に確保することが可能になり、塗布作業の信頼性が向上するという利点がある。
【0047】
なお、以上説明したディスペンス装置は、本発明に係る基板製造用装置であるディスペンス装置の一実施形態であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0048】
例えば、上記のディスペンス装置では、コンベア対2の作業部2BをY軸方向に、ヘッドユニット10をX軸方向にそれぞれ移動させることにより、基板P上に対してヘッドユニット10をX−Y平面内で二次元的に移動させる構成となっているが、勿論、コンベア対2上に基板Pを固定的に配置しておき、ヘッドユニット10のみをX軸及びY軸の両方向に移動させるように構成してもよい。
【0049】
また、実施形態では、ヘッドユニット10は、単一のディスペンスヘッド30を搭載した構成となっているが、勿論、複数のディスペンスヘッド30を搭載した構成であっても構わない。この場合には、複数のディスペンスヘッド30のノズル31a毎にレーザー変位計40を組付けるように構成すればよい。
【0050】
また、ディスペンスヘッド30は、液切り性能を高めるために、ヘッド本体31がノズル軸回りに回転駆動される構成のものであってもよい。この場合には、ヘッド本体31を回転可能に支持する支持部分に、前記ホルダ43を介してレーザー変位計40を固定することによりヘッド本体31を挟んでその両側に照射部42a及び受光部42bを配置する構成とすればよい。
【0051】
また、実施形態では、レーザー変位計40は、ディスペンスヘッド30を挟んでその両側に照射部42a及び受光部42bを配置した構成となっているが、例えば光路上に補助ミラー等を介在させて、上記以外の配置で照射部42a及び受光部42bをディスペンスヘッド30に組付けるようにしてもよい。
【0052】
また、実施形態では、本発明の適用例としてディスペンス装置について説明したが、これ以外の基板製造用装置についても本発明は適用可能である。
【0053】
例えば図5は、基板Pに実装された部品Cの実装状態を画像認識に基づき検査する基板検査装置に本発明を適用した例を示している。この装置は、ヘッドユニットの構成が異なる以外、基本的には上述したディスペンス装置と共通の構成を有している。従って、同図では、主にヘッドユニット10の部分のみを示しており、また、ディスペンス装置と共通する部分には同一符合が付してある。この図に示す装置は、ヘッドユニット10に、部品撮像用カメラ50(撮像手段)とレーザー変位計40とが搭載されており、同図に示すように、カメラ50で部品Cの平面画像を撮像し、その画像に基づき部品Cの位置ずれ等を検査すると共に、レーザー変位計40により部品Cの表面高さを測定することで部品Cの浮きを検査する構成となっている。レーザー変位計40の照射部42a及び受光部42bは、カメラ50を挟んでその両側に固定されており、部品C直上の所定の部品撮像位置にカメラ50を配置することで、予め定められた測定基準面上であってカメラ50の光軸上(つまり、視野の中心位置)にレーザー光Lを照射するように配置されている。
【0054】
このような基板検査装置によれば、部品Cの高さ測定(浮き検査)と部品Cの位置認識(位置ずれ検査)を、基板面内の同じ位置にヘッドユニット10(この例では、ヘッドユニット10が本発明に係る作業用ヘッドに相当する)を配置した状態で実施することができる。従って、両検査を効率的に行うことができるという利点がある。
【0055】
また、このような基板検査装置以外にも、電子部品を吸着して基板上に実装する実装装置についても本発明は適用可能である。図示を省略するが、例えば、部品吸着用のノズルを先端(下端)に備えた実装用ヘッドをヘッドユニットに対して昇降及び回転可能に搭載し、基板に対して前記ヘッドユニットを相対的に移動させながら前記実装用ヘッドにより部品を吸着して基板上に実装する実装装置において、ヘッドユニットのうち実装用ヘッドを昇降及び回転可能に支持する部分にレーザー変位計を組付けることにより、当該レーザー変位計の照射部及び受光部を、前記実装用ヘッドを挟んでその両側に配置した構成とする。このような実装装置によれば、部品吸着後、実装ポイント直上に実装用ヘッドを配置して実装ポイントの高さ位置を測定した後、この測定結果に基づき実装用ヘッドを昇降駆動制御することで、部品と基板との衝突を回避しつつ実装作業を進めることが可能となる。そしてこの場合にも、実装ポイントの高さ測定と部品の実装作業とを、基板面内の同じ位置にヘッドユニットを配置した状態で実施することができ、従って、両作業を効率的に行うことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係るディスペンス装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】ヘッドユニットの概略構成を示す正面図である。
【図3】ヘッドユニットの概略構成を示す縦断面図である。
【図4】レーザー変位計の取付け構造を示す平面模式図である。
【図5】基板上の塗布状態を示す拡大正面図である。
【図6】本発明を基板検査装置に適用した例を示す同装置のヘッドユニットの正面図である。
【符号の説明】
【0057】
10 ヘッドユニット
30 ディスペンスヘッド(作業用ヘッド)
31 ヘッド本体
31a ノズル(ノズル部材)
32 シリンジ
40 レーザー変位計(光学式変位センサ)
42a 照射部
42b 受光部
L レーザー光
P 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決めされた基板に対して相対的に移動可能な作業用ヘッドを備え、この作業用ヘッドにより所定の作業を行うことにより部品実装基板の製造工程の一部を負担する基板製造用装置であって、
前記作業用ヘッドは、前記所定の作業として第1の作業を行うためのヘッド本体と、同所定の作業として第2の作業を行うための光学式変位センサとを備え、
前記第1の作業は、前記基板に対して行うものであり、前記第2の作業は、前記第1の作業を行う基板対象部分の高さを測定するものであり、
前記光学式変位センサは、光の照射部及び受光部を有し、前記照射部から前記基板対象部分に照射した光の反射光を前記受光部で受光することによって所定の測定基準面より前記基板対象部分の高さを測定可能に構成されると共に、前記基板対象部分の直上に前記ヘッド本体が位置するように前記作業用ヘッドを配置した状態で、前記測定基準面より前記基板対象部分の高さを測定可能に設けられていることを特徴とする基板製造用装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板製造用装置において、
前記照射部及び受光部は、前記ヘッド本体の両側の位置にそれぞれ振り分け配置され、前記照射部から前記基板対象部分に対して光を直接照射し、その反射光を前記受光部で直接受光するように配置されていることを特徴とする基板製造用装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の基板製造用装置において、
前記第1の作業は、前記基板対象部分に塗布液を塗布するものであり、前記ヘッド本体は、前記塗布液を基板上に塗布するためのノズル部材を含み、このノズル部材と一体に昇降することにより基板上に塗布液を塗布することを特徴とする基板製造用装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板製造用装置において、
前記光学式変位センサは、前記基板対象部分であって前記ノズル部材の略中心軸上の位置に前記照射部により光を照射してその反射光を前記受光部により受光し得るように構成されていることを特徴とする基板製造用装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の基板製造用装置において、
前記第1の作業は、前記基板対象部分を撮像してその状態を検査するものであり、前記ヘッド本体は、前記基板対象部分を撮像するための撮像手段であることを特徴とする基板製造用装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の基板製造用装置において、
前記光学式変位センサは、前記基板対象部分であって撮像手段の略光軸上の位置に前記照射部により光を照射してその反射光を前記受光部により受光し得るように構成されていることを特徴とする基板製造用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−16090(P2010−16090A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173317(P2008−173317)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(500220186)アイパルス株式会社 (86)
【Fターム(参考)】