説明

基礎構造の施工方法、及び基礎換気構造

【課題】基礎断熱を採用する建物であっても、施工時に建材からの水分の除去を基礎側から可能とする。
【解決手段】窓形成工程において上側断熱材60及び外装材42を不存在とすることで窓部110を設け、排気工程において窓部110を覆って換気装置100を取り付ける。これにより、換気装置100の設置と、上側断熱材60の鋼材基礎2への設置とを、同時または前後して行うことができる。また、鋼材基礎2の上に建物Aを建て込む前に梁30に換気装置100を設置することができ、換気装置100の設置が簡便となるのみならず、建物Aの建て込み当初から当該建物Aの建材の水分除去を行うことができる。更には、基礎スラブ1や床下空間Uの水分除去も行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建物の上部構造を支持する基礎構造の施工方法、及び基礎換気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅建物等に使用される建材のなかで、例えば、工場成型されるコンクリートパネルやサイディングパネル等は吸水性を有する。これらの建材は、施工現場においてモルタル等の水分を含有する材料と接触すると、その水分を吸収して水分を含んだ状態となる。また、これらの建材は、建物の建設方法によっては、建材の現場搬入後、降雨等にさらされることによって吸水してしまう。特に、陸屋根などのフラットな屋根面やベランダのフラットな床面など排水勾配の小さい建物の部位では、屋根床面の水はけが悪く、防水工事の施工完了前の降雨により、屋根床面として用いたコンクリートパネル等の建材が吸水することがある。
【0003】
更に、技術革新により住宅等の建物の建設工事の期間が短縮される傾向にあり、吸水した建材が自然乾燥によって水分を放出することができる期間も短くなってきている。また、省エネルギー化や居住性向上の観点から特に気密性が高く設計された建物の建設も増えており、工事中の室内の自然換気量が十分ではなく、建材からの水分の放出が妨げられる傾向がある。
【0004】
上記のような理由から建材が工事中に吸水し、その水分の放出が十分になされなかった場合、建物の完成後、建材が乾くまでの間に建物の内部に結露が生じたり、建物の居住者に高湿感をもたらしたりする原因となり兼ねない。また建材中に余剰水分が存在していると、建材の耐久性に影響を与える可能性も考えられる。かかる問題を解決すべく、例えば特許文献1には、上部躯体構造を基礎構造の上に構築する躯体工事が完了した後に、有圧型換気装置を一階床下点検口に設置し、この換気装置を作動させることで、上部躯体構造の内部空間に導入される外気を一階床下点検口から1階床下空間に導き、更に一階床下空間から基礎構造の換気口を介して外部に排気することで、建材の余剰水分を除去することが記載されている。
【0005】
ところで、近年、建物の更なる高気密化及び高断熱化を図るべく、建物の基礎に断熱材を取り付ける構成が知られている。例えば特許文献2や特許文献3には、基礎の側方に断熱板を取り付ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−255727号公報
【特許文献2】特開2004−107974号公報
【特許文献3】特開2002−322653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2や特許文献3に記載された基礎断熱構造においては、断熱材により基礎を包囲する構成であるため、基礎構造に包囲される床下空間と外気との間が断熱材により遮断されることとなる。このため、上記特許文献1に記載されているように上部躯体構造の建材の水分除去を目的として換気装置を設置したとしても、断熱材が設けられていることによって床下空間の外方に排出空気を逃がすことができないという問題がある。この問題を解決すべく、上部躯体構造の外壁等に開口を設けてそこから換気を行うことが考えられるが、上部躯体構造に換気装置を設けることは、上部躯体構造の施工の邪魔となるのみならず、換気装置の設置位置周囲の施工を進めることができず、建物の施工性が著しく悪化するという新たな問題を生じる。
【0008】
そこで本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、基礎断熱を採用する建物であっても、施工時に建材からの水分の除去を基礎側から可能とする基礎構造の施工方法、及び基礎換気構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明に係る基礎構造の施工方法は、建物の外通り及び中通りに形成される基礎と、外通りの基礎を包囲する基礎断熱体と、を含んで基礎構造が構成され、基礎構造上に建てられる上部躯体構造の下側、かつ外通りの基礎の内側に床下空間が形成される基礎構造の施工方法であって、外通りの基礎として、当該外通りの基礎の内側と外側とを繋ぐ開口部が少なくとも一箇所設けられた基礎を形成する基礎形成工程と、外通りの基礎の外側面に基礎断熱体を設置する断熱工程と、を備え、断熱工程は、開口部と対向する位置に基礎断熱体を不存在とすることで形成される窓部を設ける窓形成工程を含み、窓形成工程の後に、窓部を覆う状態で換気装置を取り付けると共に、換気装置を作動させて床下空間側から外気側に向けて排気を行う排気工程を更に備える、ことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、窓形成工程において基礎断熱体に窓部を設け、排気工程において窓部を覆って換気装置を取り付けるものとしたので、換気装置の設置と基礎構造の形成とを、同時または前後して行うことができることとなる。なお、建物の施工は、通常、基礎の施工、上部躯体構造の施工の順で行われる。従来の基礎構造の開口部に換気装置を取り付ける工程を採用すると、基礎に断熱体を取り付けることができないため、基礎の施工、換気装置の取り付け、上部躯体構造の施工、換気装置の取り外し、基礎の全面にわたる断熱体の設置、の施工順を辿る必要がある。この場合には、基礎の施工の後、上部躯体構造の施工を行い、その後再び基礎周りの施工を行うこととなり、著しく施工性が悪い。これに対し、本願発明によれば、基礎と基礎断熱体の施工、換気装置の設置及び換気装置の作動、上部躯体構造の設置、の施工順となり、従来から行われている通常どおりの施工順で施工を進めることができる。
【0011】
また、上部躯体構造を建て込む前に基礎に換気装置を設置することができ、換気装置の設置が簡便となるのみならず、上部躯体構造の建て込み当初から当該上部躯体構造の建材の水分除去を行うことができるものとなる。更には、基礎や床下空間の水分除去も行うことができる。このように、基礎断熱を採用する建物であっても、施工時に建材からの水分の除去を基礎側から行うことができる。
【0012】
また、外通りの基礎は、鉄筋コンクリートにより形成されるベース部と、該ベース部上に設置される鋼材基礎とを備え、鋼材基礎は、少なくとも長手方向に亘って複数の孔部を有する梁部材を備え、基礎断熱体は、ベース部の側面を覆うベース断熱部と、該ベース断熱部に連結されると共に鋼材基礎の外側面を覆う鋼材断熱部と、を備え、基礎形成工程では、ベース部の形成、及び鋼材基礎のベース部上への設置を行い、梁部材の孔部を開口部とする外通りの基礎を形成し、断熱工程では、ベース断熱部を設置し、窓形成工程では、鋼材断熱部を鋼材基礎の外側面に沿ってベース断熱部に当接させつつ設置すると共に、梁部材の一の孔部と対向する位置の鋼材断熱部を不存在とすることで窓部を形成する、ことが好ましい。
【0013】
この場合には、鋼材断熱部を、ベース部の施工が完了し、鋼材基礎を組み上げた後の適宜のタイミングで取り付けることができるので、鋼材断熱部が鋼材基礎の施工の妨げになることもない。また、鋼材基礎の孔部を基礎構造の開口部として用いることができ、窓形成工程において、開口部に対向する位置の鋼材断熱部を不存在として窓部を形成するだけで換気経路を形成することが可能となり、施工が簡便となる。
【0014】
また、上部躯体構造の建て込みを完了させた後、換気装置を外すと共に窓部を塞ぐ断熱板を着脱自在として窓部に設置する閉鎖工程を更に備える、ことが好ましい。
【0015】
この場合には、換気装置を取り外して断熱板により窓部を塞ぐという簡便な工程によって、上部躯体構造の形成後に床下空間を基礎断熱体及び断熱板により包囲することができる。また、断熱板で窓部が閉鎖されることで、開口部及び窓部により形成される、基礎内外を繋ぐ換気経路が塞がれ、床下空間は基礎断熱体及び断熱板に包囲されることとなる。これによって、床下空間ひいては建物全体の断熱気密性能を向上させることができる。
【0016】
また、本発明に係る基礎換気構造は、建物の外通り及び中通りに形成される基礎と、外通りの基礎を包囲する基礎断熱体と、を含んで基礎構造が構成され、基礎構造上に建てられる上部躯体構造の下側、かつ外通りの基礎の内側に形成される床下空間の換気を行う基礎換気構造であって、外通りの基礎には、当該外通りの基礎の内側と外側とを繋ぐ開口部が少なくとも一箇所設けられ、基礎断熱体には、開口部と対向する位置に窓部が設けられ、窓部には、当該窓部を覆うと共に、床下空間側から外気側に向けて排気を行う換気装置が設けられている、ことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、上部躯体構造を建て込む前に基礎に換気装置を設置することができ、換気装置の設置が簡便となるのみならず、上部躯体構造の建て込み当初から上部躯体構造の建材の水分除去を行うことができるものとなる。更には、基礎や床下空間の水分除去も行うことができる。このように、基礎断熱を採用する建物であっても、施工時に建材からの水分の除去を基礎側から行うことができる。
【0018】
また、基礎断熱体は、ベース部の側面を覆うベース断熱部と、該ベース断熱部に連結されると共に鋼材基礎の外側面を覆う鋼材断熱部と、を備え、鋼材基礎は、長手方向に亘って複数の孔部を有する梁部材を備え、孔部が、開口部を構成し、鋼材断熱部には、梁部材の一の孔部と対向する位置に窓部が設けられ、窓部には、少なくとも開口部を覆って換気装置が設けられている、ことが好ましい。
【0019】
この場合には、ベース部のコンクリート打設前にベース断熱部を設置することができ、ベース部とベース断熱部との間の隙間を無くしてこれらを密着させることができる。また、鋼材基礎の孔部を基礎構造の開口部として用いることで、開口部に対向する位置の鋼材断熱部を不存在として窓部を形成するだけで換気経路を形成することが可能となり、施工が簡便となる。
【0020】
また、ベース部の上面は平坦状に形成され、鋼材基礎は、ベース部の上面に立設される支柱部と、該支柱部間に架設される梁部材と、を備え、梁部材は、ベース部との間に間隔を有した状態で架設されている、ことが好ましい。
【0021】
この場合には、梁部材の下方がベース部から浮いており、さらには、梁部材自体に多数の孔部が形成されているため、床下空間が全体に亘って一つの空間となり、当該空間全体に隅々まで空気を対流させることができる。このため、換気装置として小型のものを用いた場合であっても、床下空間の隅々まで換気装置の効力が及ぶものとなる。
【0022】
また、換気装置は、建物の外方から着脱可能に設置され、窓部を閉塞可能な断熱板と、換気装置とが互いに取替え設置可能とされている、ことが好ましい。
【0023】
この場合には、断熱板で窓部が閉鎖されることで、開口部及び窓部により形成される基礎内外を繋ぐ換気経路が塞がれ、床下空間は基礎断熱体及び断熱板に包囲されることとなる。これによって、床下空間ひいては建物全体の断熱気密性能を向上させることができる。また、窓部に対し換気装置と断熱板とを互いに取替え設置可能とされているため、例えば床下空間に雨水等が流入することで高湿度となった場合でも、断熱板に換えて換気装置を設置することで湿気を除去することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、基礎断熱を採用する建物であっても、施工時に建材からの水分の除去を基礎側から行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る基礎構造を示す断面図である。
【図2】図1の建物の梁の接続構造を示す横方向の断面図である。
【図3】図1の建物の梁を設置する様子を示す斜視図である。
【図4】図1の建物の梁が設置された様子を示す斜視図である。
【図5】図1の建物の梁に柱を取り付ける様子を示す斜視図である。
【図6】図1の建物の外装材を保持する上側取付金具及び下側取付金具の取り付け構造を示す斜視図である。
【図7】図1の建物の鋼材基礎に取り付けられる換気装置の取り付け構造を示す分解斜視図である。
【図8】図1の建物の鋼材基礎に取り付けられる断熱板の取り付け構造を示す分解斜視図である。
【図9】換気装置を取り付けて排気を行う手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る基礎構造の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
図1〜図8に本発明の実施形態を示す。まず、図1〜図6を用いて、建物Aの全体構成と、基礎スラブ1及び鋼材基礎2が断熱材60,63で覆われる構成とを中心に説明する。図1に示すように、本実施形態の基礎構造は、鉄筋コンクリート製の支持体として形成される基礎スラブ(ベース部)1と、基礎スラブ1の上部にて組み上げられた鋼材基礎2と、鋼材基礎2及び基礎スラブ1の外側面を覆う上側断熱材(基礎断熱体、鋼材断熱部)60及び下側断熱材(基礎断熱体、ベース断熱部)63とを備えている。
【0028】
鋼材基礎2は、上部躯体構造としての建物Aを受けるものである。この建物Aは、305mmの平面モジュールを有する梁勝ち工法による2階建ての鉄骨造の工業化住宅である。但し、この建物Aの構造は、好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではない。
【0029】
図1に示すように、基礎スラブ1は、全面的にベタ基礎形式となっている。なお、基礎スラブ1は、直交する基準線(X方向基準線、Y方向基準線)の中からそれぞれ複数選択されると共にモジュールの整数倍の間隔となるように設定された通りに対応する所定の幅の範囲について、当該範囲を地反力に対し耐力を発揮しうる基礎梁とみなして鉄筋12の量が算定されている(図3、図4参照)。基礎スラブ1のうち、これ以外の範囲については、地反力を受ける4辺固定のスラブとみなして鉄筋12の量が算定されている。
【0030】
なお、本実施形態ではベタ基礎形式の基礎スラブ1を例示しているが、このようなベタ基礎形式に限定されることはなく、例えば、通りに沿って地耐力に応じた所望の幅を有するフーチング形式とする構成も採用可能である。
【0031】
また、基礎スラブ1は、敷き詰められた砕石17上に形成され、その上端面1aが地盤Yの上面の地盤面Xより高くなるように形成されている。これによって、地盤面X上の雨水等が、基礎スラブ1の上面(建物Aの1階床下空間U)へ浸入することが抑制される。
【0032】
鋼材基礎2は、基礎スラブ1の上端面1a上に載置される鋼製の束(支柱部)20と、束20に架設される鋼製の梁(梁部材)30とを備えている。
【0033】
梁30として、例えばH形鋼(I形鋼と呼ばれるような形鋼を含む)が用いられる。梁30の長手方向の両端部には、先端部が折り曲げられてL字状に形成されると共にボルト穴が穿設されたガセットプレート34が溶接により接合されている(図2、図3等参照)。
【0034】
なお、本実施形態において梁30とは、通り上に配置されるいわゆる大梁(1階大梁)30Aのみならず、建物Aの1階床を形成する床パネルを支持するために大梁間に架け渡される小梁30Bも含まれる(図3〜図5参照)。なお、小梁30Bは大梁30Aと他の小梁30Bとの間に架け渡される場合もある。また、梁30のうち、建物Aの外通りに配置される梁が、外通りの基礎を構成し、建物Aの中通りに配置される梁が、中通りの基礎を構成する。
【0035】
また、図1に示すように、梁30は、互いに平行に配置された平板状の上フランジ30a及び下フランジ30bと、上フランジ30a及び下フランジ30bを連結するウェブ30cとより構成されている。また、図3に示すように、梁30の上フランジ30a及び下フランジ30bには、建物Aの1階の柱50(図5参照)等を接合するためのボルトを挿通するボルト穴30dがモジュールに基づくピッチで等間隔に穿設されている。ボルト穴30dは、平面視で、X方向基準線及びY方向基準線の交点上に位置するよう穿設されている。また、ウェブ30cにも、他の梁30を接合するためのボルトを挿通するボルト穴30dがモジュールに基づくピッチで等間隔に穿設されている。更に、梁30のウェブ30cには所定の間隔で大径の孔部(開口部:一例として、直径125mmの孔)30eが穿設されている。
【0036】
図2〜図4に示すように、梁30の端部同士を接合する場合、本実施形態ではジョイントボックス31を用いている。図2に示すように、ジョイントボックス31は、平面視十字状のウェブ31cの上下端に、正方形の上フランジ31a(図3参照)及び下フランジ31bをそれぞれ溶接することによって形成されている。このジョイントボックス31に梁30を接合する場合、梁30のガセットプレート34のL字状の外側の2面を、ウェブ31cの直交する2面に当接させ、ガセットプレート34の屈曲部分周囲のボルト穴及びこれに対応するジョイントボックス31のウェブ31cに設けられたボルト穴にボルトを挿通してボルト接合する。
【0037】
梁30を支持する束20は、基礎スラブ1の上端面1aから突出するアンカーボルト19(図1参照)の上端部に接合固定されている。なお、基礎スラブ1には、束20を設ける位置に、予めアンカーボルト19が埋設されている。このアンカーボルト19は、基礎スラブ1を形成する際に倒れこむことがないように、砕石17上に載置されたPC板18に取り付けられている。束20は、建物Aの1階の柱50(図5参照)から伝達される荷重を基礎スラブ1に効率よく伝達する役割を有し、少なくとも梁30上(通り上)に立設される柱50の直下、及び柱50が立設されるジョイントボックス31の直下に設置される。
【0038】
また、束20は、特に図1に示すように、互いに平行に配置された上フランジ20a及び下フランジ20bと、上フランジ20a及び下フランジ20bを連結するウェブ20cとより構成されている。ウェブ20cは、横断面が十字状に形成されている。束20の上フランジ20a及び下フランジ20bには、それぞれボルト穴が穿設されている。束20の下フランジ20bのボルト穴にアンカーボルト19の上端部が挿通され、ナット等によって下フランジ20bとアンカーボルト19とがボルト接合されている。また、束20及び梁30は、束20の上フランジ20aのボルト穴と梁30の下フランジ30bのボルト穴30dとに挿通されたボルトによってボルト接合される。同様に、束20及びジョイントボックス31は、束20の上フランジ20aのボルト穴とジョイントボックス31の下フランジ31bのボルト穴とに挿通されたボルトによってボルト接合される。
【0039】
また、束20は、図3に示すように、建物Aの外周部(即ち、外壁寄りの部分)と内側部(即ち、建物Aの内部)とに適宜配置される。これらのうち、外周部(外通り)に配置される束20は、建物Aの外側においては上フランジ20aと下フランジ20bの上下方向の端縁位置が一致し、建物Aの内側においては下フランジ20bが上フランジ20aよりも建物内側に向けて延伸している。即ち、この束20は、図1に示すように、建物Aの内側においては、ウェブ20cが上フランジ20aの端縁から、延伸する下フランジ20bの端縁にかけて末広がり状に形成された形状(オフセット形状)となっている。また、建物Aの入隅部及び出隅部においては、外壁に沿った2方向について、下フランジ20bが上フランジ20aよりも延伸し、ウェブ20cが上フランジ20aの端縁から、延伸する下フランジ20bの端縁にかけて末広がり状に形成された束20が採用されている(図3参照)。
【0040】
このようなオフセット形状の束20を用いることにより、基礎スラブ1のより広い範囲に荷重が分散して伝達され、基礎スラブ1にて構造計算上の基礎梁とみなせる幅を大きくとることができる。
【0041】
建物Aは、基礎スラブ1及び鋼材基礎2からなる基礎躯体構造上に設けられており、鋼材基礎2上に立設固定された1階の柱50(図5参照)と、1階の柱50の上端を連結するように配置された2階梁と、2階梁上に配置された2階の柱と、R階大梁と、隣接する2本の柱50間に設置された耐力要素51等の部材とが、通りに対応して配置されて基本架構が構成されている。更に、建物Aにおいては、小梁が適宜架け渡され、各階の梁で支持されるALC(Autoclaved Light-weight Concrete;軽量気泡コンクリート)からなる床パネルにより各階床が構成され、更に、外周部の梁を利用してALC等からなる外壁パネルや開口パネルが取り付けられて外壁が構成されている。特に、図1に示すように、建物Aの1階の外壁70は、梁30の上フランジ30aの上面に取り付けられた支持金具85上に載置され、ボルト等によって支持金具85に固定される。これにより、建物Aの1階の外壁70の最下端の高さ位置は、梁30の上フランジ30aの高さ位置と略一致することとなる。また、梁30の上フランジ30aの上面には、1階の床を構成する床パネル90が載置されている。
【0042】
図5に示すように、柱50は、通りと、通りに直交する基準線との交点に配置され、下端部がジョイントボックス31又は梁30の中間部に接合される。これにより、本実施形態の鋼材基礎2の梁30と柱50との接合は、各層(本実施形態においては基礎層)で梁同士を連結して平面視にて閉じたフレーム枠体を構成し、当該梁により形成されるフレーム枠体に柱を接合してなる梁勝ち構法が採用されるものとなっている。なお、柱50及びジョイントボックス31は、ジョイントボックス31の上フランジ31aのボルト穴と柱50の下端部に設けられたボルト穴とに挿通されたボルトを用いてボルト接合される。同様に、柱50及び梁30は、梁30の上フランジ30aのボルト穴30dと柱50の下端部に設けられたボルト穴とに挿通されたボルトを用いてボルト接合される。
【0043】
また、耐力要素51は、所定の間隔(例示すれば、610mm、915mm等)で配置された2本の柱50の内側面にボルト接合される。耐力要素51は例えば筋交い(クロスフレーム)等で構成される。
【0044】
図1に示すように、基礎スラブ1の側部には下側断熱材63が設けられている。下側断熱材63は、押出法発泡ポリスチレンフォームやフェノールフォーム等のプラスチック系断熱材から形成されている。また、下側断熱材63の上端は基礎スラブ1の上端面1aから所定長さ突出し、下側断熱材63の下端は基礎スラブ1の下端部まで延びている。
【0045】
防水構造4は、基礎スラブ1の側部に設けられた基台11と、束20及び梁30の側部に設けられる外装材42と、外装材42と基台11との間、及び外装材42同士の間を埋めるシール材43とより構成される。
【0046】
基台11は、コンクリートによって形成され、基礎スラブ1とによって下側断熱材63を挟み込む。また、基台11は、その上端面11aが地盤面Xより高くなるように形成されている。また、コンクリートによって基礎スラブ1及び基台11を形成するときに、下側断熱材63よりも基礎スラブ1の外側(基台11が形成される位置)に流し込まれたコンクリートの一部が、下側断熱材63の下端から基礎スラブ1側に回り込む、又は、下側断熱材63よりも基礎スラブ1の内側(基礎スラブ1が形成される位置)に流し込まれたコンクリートの一部が、下側断熱材63の下端から基台11側に回り込むことにより、基台11の下端と基礎スラブ1の下端とが接続された状態となる。このように、下側断熱材63の下端がコンクリートで覆われていることにより、基礎スラブ1の周囲の地盤Yからの水が、基台11及び基礎スラブ1の下側から、下側断熱材63と基台11の間や下側断熱材63と基礎スラブ1の間に浸入することがない。即ち、防水構造4よりも建物Aの内側に、基台11及び基礎スラブ1の下方から水が浸入することを防止でき、鋼材基礎2の耐久性を向上させることができる。
【0047】
外装材42は、不燃板等からなり、特に、図1及び図6に示すように、梁30の上フランジ30aに固定された上側取付金具81と、梁30の下フランジ30bに固定された下側取付金具82とによって保持される。また、外装材42は、外装材42の外面と外壁70の外面とが略一致するように、上側取付金具81及び下側取付金具82によって保持されている。なお、図6は、上側取付金具81及び下側取付金具82を図示するために、外装材42等を省略してある。
【0048】
上側取付金具81は、L字状に形成されると共に、梁30の上フランジ30aの下面に固定される固定部81aと、外装材42が取り付けられる外装材取付部81bとによって構成されている。なお、上側取付金具81の固定部81a及び梁30の上フランジ30aは、固定部81aに設けられたボルト穴と梁30の上フランジ30aに設けられたボルト穴30dとに挿通されたボルトによってボルト接合される。上側取付金具81の外装材取付部81b及び外装材42は、外装材42の上側部分の外側面から、外装材取付部81bのビス穴81tに向けて差し込まれたビス83によって接合される。
【0049】
下側取付金具82は、梁30の下フランジ30bの下面に固定される固定部82a(図1参照)と、固定部82aにおける建物Aの外側端部から下方に延びる第一連結部82bと、第一連結部82bの下端から建物Aの外側に向けて水平方向に延びる第一載置部82cと、第一載置部82cにおける建物Aの外側端部から下方に延びる第二連結部82dと、第二連結部82dの下端から建物Aの外側に向けて水平方向に延びる第二載置部82eとより構成されている。下側取付金具82が梁30に取り付けられた状態において、下側取付金具82の第一載置部82cの高さ位置は、下側断熱材63の上端部の高さ位置と一致している。下側取付金具82の第二載置部82e上に外装材42の下端が載置される。また、下側取付金具82と外装材42とは、外装材42の下側部分の外側面から、下側取付金具82の第二連結部82dのビス穴82tに向けて差し込まれたビス84によって接合される。なお、第二連結部82dの下端から延びる第二載置部82eの突出量は、外装材42の厚みより少ない長さ(例えば、厚みの半分程度)となっている。これにより、下側取付金具82の第二載置部82e上に外装材42を載置したときに、外装材42の外側面から第二載置部82eが突出することがない。
【0050】
外装材42と、束20及び梁30との間には、図1に示すように、上側第一断熱材61及び上側第二断熱材62によって構成される上側断熱材60が配置されている。上側第二断熱材62は、上側第一断熱材61よりも建物Aの内側に配置されている。上側断熱材60は、下端部が下側取付金具82の第一載置部82c上に載置され、上端部が上側取付金具81の固定部81aの位置まで延びている。なお、下側取付金具82の第一載置部82cの長さ(第一連結部82bの下端から第二連結部82dの上端までの長さ)は、上側断熱材60の厚みと同じとなっている。上側断熱材60は、建物Aの内側の面が束20の上フランジ20a及びウェブ20cと、梁30の下フランジ30bとに当接し、建物Aの外側の面が外装材42に当接している。このように、上側断熱材60は、外装材42と、束20及び梁30とに挟み込まれることによって位置が保持されている。
【0051】
また、上側第一断熱材61と上側第二断熱材62とは、それぞれ、梁30の長手方向に沿って敷き並べられ、断熱構造が形成されている。ここで、上側第一断熱材61同士の継ぎ目と、上側第二断熱材62同士の継ぎ目とは互いにずれた位置に設けられている。これにより、上側第一断熱材61の継ぎ目の奥側には上側第二断熱材62の外側面が位置することとなり、気密性の向上が図られている。なお、上側第一断熱材61及び上側第二断熱材62は、それぞれ、押出法発泡ポリスチレンフォームやフェノールフォーム等のプラスチック系断熱材から形成されている。
【0052】
基台11の上端面11aと、外装材42の下端部との間には、第二載置部82eの先端部を覆うようにしてシール材43が充填されている。また、外装材42の上端部と外壁70の下端部との間にもシール材44が充填されている。更に、外装材42の継ぎ目にもシール材44が充填される。これにより、外装材42と基台11との継ぎ目や、外装材42と外壁70との継ぎ目、外装材42同士の繋ぎ目から建物Aの内側に雨水等が浸入することが防止される。
【0053】
次に、図7を用いて、換気装置100の梁30への取り付け構造について説明する。換気装置100は、建物Aの下側に形成される床下空間Uの空気を外部に排出し、床下空間U及び建物Aの換気を行うものである。図7に示すように、換気装置100は、換気を行うためのファン101と、ファン101を覆うフード102とを含んで構成されている。なお、図7では、フード102の一部を破断して図示し、フード102内に設けられたファン101を露出させている。また、図7では、換気装置100を鋼材基礎2に取り付ける前の状態を示している。
【0054】
また、フード102は、梁30に取り付けられる側が開口しており、該開口の反対側に排気口103が設けられている。これにより、換気装置100は、ファン101を作動させることにより、梁30に取り付けられる側の端部の開口から空気を吸い込み、吸い込んだ空気を排気口103から排出する。また、フード102は、梁30に取り付けられる側の端部に取り付けフランジ105が設けられている。
【0055】
換気装置100を鋼材基礎2に取り付けるために、梁30の一の孔部30eと対向する位置の上側断熱材60(上側第一断熱材61及び上側第二断熱材62)及び外装材42を不存在とすることで、窓部110が形成される。孔部30e及び窓部110により、床下空間Uと外気とをつなぐ換気経路が形成される。なお、窓部110の大きさは、換気装置100によって塞がれる大きさとする。
【0056】
梁30における窓部110と対応する位置には、外装材42の固定等で用いた上側取付金具81及び下側取付金具82が取り付けられる。換気装置100は、窓部110に対応する位置に設けられた上側取付金具81及び下側取付金具82に着脱可能に取り付けられる。この取り付けは、上側取付金具81のビス穴81t及び下側取付金具82のビス穴82tを用いて、換気装置100の取り付けフランジ105を上側取付金具81及び下側取付金具82にビス止めすること等によって行われる。なお、換気装置100の鋼材基礎2への取り付け方法は、上側取付金具81及び下側取付金具82を用いた取り付け方法に限られず、適宜の方法を用いることができる。
【0057】
このようにして梁30に取り付けられた換気装置100を作動させて床下空間U内の空気を排出することで、建物Aの建材の水分除去や、基礎スラブ1等の余剰水分を除去することができる。この余剰水分の除去が完了した後、換気装置100を梁30から取り外し、図8に示すように、換気装置100に換えて断熱板120を窓部110に着脱可能に取り付ける。断熱板120の取り付けは、換気装置100の取り付けに用いた上側取付金具81及び下側取付金具82を用いることができる。断熱板120を梁30に取り付けた後、断熱板120と外壁70との間、及び断熱板120と基台11の間にシール材を充填する。更に、断熱板120と外装材42との継ぎ目にもシール材を充填する。
【0058】
次に、換気装置100を梁30に取り付けて排気を行う施工手順ついて説明する。ここでは、鋼材基礎2の形成工程、上側断熱材60、換気装置100、及び断熱板120の取り付け工程、換気装置100を作動させて排気を行う工程についてのみ説明する。図9に示すように、基礎スラブ1上に束20を取り付け、束20間に梁30を架設して鋼材基礎2を形成する(ステップS101:基礎形成工程)。続いて、上側断熱材60を、鋼材基礎2の外側面に沿って下側断熱材63の上端部に当接させつつ設置し、更に、上側断熱材60を覆う外装材42を設置する(ステップS102:断熱工程)。この工程には、梁30の孔部30eと対向する位置の上側断熱材60及び外装材42を不存在とすることで形成される窓部110を設ける窓形成工程を含んでいる。そして、窓部110を覆う状態で換気装置100を梁30に取り付けると共に、換気装置100を作動させて床下空間U側から外気側に向けて排気を行う(ステップS103:排気工程)。余剰水分の除去の完了後、換気装置100を取り外し、窓部110を覆う断熱板120を取り付けて窓部110を閉鎖する(ステップS104:閉鎖工程)。
【0059】
ここでは、上側断熱材60等を鋼材基礎2に設置して窓部110を形成した後に、換気装置100を取り付ける場合を例に説明したが、換気装置100を梁30に取り付けた後、上側断熱材60等を梁30に設置したり、換気装置100と上側断熱材60等とを同時に梁30に設置したりすることもできる。このように、上側断熱材60等の設置の前後、或いは同時等、適宜のタイミングで換気装置100を梁30に取り付けることができる。
【0060】
本実施形態は以上のように構成され、窓形成工程において上側断熱材60及び外装材42を不存在とすることで窓部110を設け、排気工程において窓部110を覆って換気装置100を取り付けるものとしたので、換気装置100の設置と、上側断熱材60の鋼材基礎2への設置とを、同時または前後して行うことができる。なお、建物の施工は、通常、基礎の施工、上部躯体構造の施工の順で行われる。従来の基礎構造の開口部に換気装置を取り付ける工程を採用すると、基礎に断熱体を取り付けることができないため、基礎の施工、換気装置の取り付け、上部躯体構造の施工、換気装置の取り外し、基礎の全面にわたる断熱体の設置、の施工順を辿る必要がある。この場合には、基礎の施工の後、上部躯体構造の施工を行い、その後再び基礎周りの施工を行うこととなり、著しく施工性が悪い。これに対し、本実施形態によれば、基礎スラブ1及び鋼材基礎2と上側断熱材60及び下側断熱材63の施工、換気装置100の設置及び換気装置100の作動、上部躯体構造としての建物Aの施工、の施工順となり、従来から行われている通常どおりの施工順で施工を進めることができる。
【0061】
また、鋼材基礎2の上に建物Aを建て込む前に梁30に換気装置100を設置することができ、換気装置100の設置が簡便となるのみならず、建物Aの建て込み当初から当該建物Aの建材の水分除去を行うことができる。更には、基礎スラブ1や床下空間Uの水分除去も行うことができる。このように、上側断熱材60を用いた基礎断熱を採用する建物Aであっても、施工時に建材等からの水分の除去を基礎側から行うことができる。
【0062】
また、基礎スラブ1のコンクリート打設前に下側断熱材63を設置することで、基礎スラブ1と下側断熱材63との間の隙間を無くしてこれらを密着させることができる。更に、基礎スラブ1の上に鋼材基礎2を設置する構成としたので、基礎スラブ1を打設する際に用いる型枠を、下側断熱材63と同程度の高さで済ませることができる。このため、型枠が作業中の作業者の移動、或いは他の部材や道具の移動を妨げることもなく、基礎スラブ1の打設についての施工性の向上を図ることができる。
【0063】
また、上側断熱材60は、基礎スラブ1の施工が完了し、鋼材基礎2を組み上げた後の適宜のタイミングで取り付けることができるので、上側断熱材60が鋼材基礎2の施工の妨げになることもない。また、梁30の孔部30eを、鋼材基礎2の内側と外側とを繋ぐ開口部として用いることで、窓形成工程において、孔部30eに対向する位置の上側断熱材60及び外装材42を不存在として窓部110を形成するだけで換気経路を形成することが可能となり、施工が簡便となる。
【0064】
また、換気装置100を取り外して断熱板120により窓部110を塞ぐという簡便な工程によって、建物Aの形成後に床下空間Uを断熱体(上側断熱材60及び断熱板120)により包囲することができる。また、断熱板120で窓部110が閉鎖されることで、梁30の孔部30e及び窓部110により形成される、鋼材基礎2の内外を繋ぐ換気経路が塞がれ、床下空間Uは断熱体(上側断熱材60及び断熱板120)に包囲されることとなる。これによって、床下空間Uひいては建物A全体の断熱気密性能を向上させることができる。
【0065】
また、窓部110に換気装置100と断熱板120とを互いに取替え設置可能とされているため、例えば床下空間Uに雨水等が流入することで高湿度となった場合でも、断熱板120に換えて換気装置100を設置することで湿気を除去することができる。
【0066】
また、梁30の下方が基礎スラブ1から浮いており、さらには、梁30自体に多数の孔部30eが形成されているため、床下空間Uが全体に亘って一つの空間となり、当該空間全体に隅々まで空気を対流させることができる。このため、換気装置100として小型のものを用いた場合であっても、床下空間Uの隅々まで換気装置100の効力が及ぶものとなる。
【0067】
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、建物Aの建材等の余剰水分除去の完了後、換気装置100を取り外して断熱板120を取り付けるものとしたが、換気装置100を取り付けた状態のままであってもよい。また、換気装置100を鋼材基礎2の外側面に取り付けるものとしたが、鋼材基礎2の床下空間U側に取り付けてもよい。また、上側断熱材60や外装材42を梁30に取り付ける構成は、上記実施形態で説明した構成に限定されず、適宜の構成を採用することができる。
【0068】
また、上記実施形態では、基礎スラブ1上に鋼材基礎2を設置することで建物Aの基礎を形成するものとしたが、鋼材基礎2を用いるものに限定されず、鋼材基礎2を用いることなく鉄筋コンクリートによって基礎を形成することもできる。この場合であっても、上記実施形態と同様に、床下空間Uと外気とを繋ぐ開口部を基礎に設け、該開口部に換気装置100を設置することで、建材等からの水分の除去を基礎側から可能となる。また、換気装置100は、適宜の台数を設置することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…基礎スラブ(ベース部)、2…鋼材基礎、20…束(支柱部)、30…梁(梁部材)、30e…孔部(開口部)、100…換気装置、110…窓部、120…断熱板、60…上側断熱材(基礎断熱体、鋼材断熱部)、63…下側断熱材(基礎断熱体、ベース断熱部)、U…床下空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外通り及び中通りに形成される基礎と、前記外通りの基礎を包囲する基礎断熱体と、を含んで基礎構造が構成され、前記基礎構造上に建てられる上部躯体構造の下側、かつ前記外通りの基礎の内側に床下空間が形成される基礎構造の施工方法であって、
前記外通りの基礎として、当該外通りの基礎の内側と外側とを繋ぐ開口部が少なくとも一箇所設けられた基礎を形成する基礎形成工程と、
前記外通りの基礎の外側面に前記基礎断熱体を設置する断熱工程と、を備え、
前記断熱工程は、前記開口部と対向する位置に前記基礎断熱体を不存在とすることで形成される窓部を設ける窓形成工程を含み、
前記窓形成工程の後に、前記窓部を覆う状態で換気装置を取り付けると共に、前記換気装置を作動させて前記床下空間側から外気側に向けて排気を行う排気工程を更に備える、
ことを特徴とする基礎構造の施工方法。
【請求項2】
前記外通りの基礎は、鉄筋コンクリートにより形成されるベース部と、該ベース部上に設置される鋼材基礎とを備え、
前記鋼材基礎は、少なくとも長手方向に亘って複数の孔部を有する梁部材を備え、
前記基礎断熱体は、前記ベース部の側面を覆うベース断熱部と、該ベース断熱部に連結されると共に前記鋼材基礎の外側面を覆う鋼材断熱部と、を備え、
前記基礎形成工程では、前記ベース部の形成、及び前記鋼材基礎の前記ベース部上への設置を行い、前記梁部材の孔部を前記開口部とする前記外通りの基礎を形成し、
前記断熱工程では、前記ベース断熱部を設置し、
前記窓形成工程では、前記鋼材断熱部を前記鋼材基礎の外側面に沿って前記ベース断熱部に当接させつつ設置すると共に、前記梁部材の一の孔部と対向する位置の前記鋼材断熱部を不存在とすることで前記窓部を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の基礎構造の施工方法。
【請求項3】
前記上部躯体構造の建て込みを完了させた後、前記換気装置を外すと共に前記窓部を塞ぐ断熱板を着脱自在として前記窓部に設置する閉鎖工程を更に備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基礎構造の施工方法。
【請求項4】
建物の外通り及び中通りに形成される基礎と、前記外通りの基礎を包囲する基礎断熱体と、を含んで基礎構造が構成され、前記基礎構造上に建てられる上部躯体構造の下側、かつ前記外通りの基礎の内側に形成される床下空間の換気を行う基礎換気構造であって、
前記外通りの基礎には、当該外通りの基礎の内側と外側とを繋ぐ開口部が少なくとも一箇所設けられ、
前記基礎断熱体には、前記開口部と対向する位置に窓部が設けられ、
前記窓部には、当該窓部を覆うと共に、前記床下空間側から外気側に向けて排気を行う換気装置が設けられている、
ことを特徴とする基礎換気構造。
【請求項5】
前記外通りの基礎は、鉄筋コンクリートにより形成されるベース部と、該ベース部上に設置される鋼材基礎と、を備え、
前記基礎断熱体は、前記ベース部の側面を覆うベース断熱部と、該ベース断熱部に連結されると共に前記鋼材基礎の外側面を覆う鋼材断熱部と、を備え、
前記鋼材基礎は、長手方向に亘って複数の孔部を有する梁部材を備え、
前記孔部が、前記開口部を構成し、
前記鋼材断熱部には、前記梁部材の一の孔部と対向する位置に前記窓部が設けられ、
前記窓部には、少なくとも前記開口部を覆って前記換気装置が設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載の基礎換気構造。
【請求項6】
前記ベース部の上面は平坦状に形成され、
前記鋼材基礎は、前記ベース部の上面に立設される支柱部と、該支柱部間に架設される前記梁部材と、を備え、
前記梁部材は、前記ベース部との間に間隔を有した状態で架設されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の基礎換気構造。
【請求項7】
前記換気装置は、前記建物の外方から着脱可能に設置され、
前記窓部を閉塞可能な断熱板と、前記換気装置とが互いに取替え設置可能とされている、
ことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の基礎換気構造。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−246622(P2012−246622A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117009(P2011−117009)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】