説明

塗布具

【課題】第1のシリンジおよび第2のシリンジのそれぞれに充填された液体を塗布するとき、簡単な構造で、ノズルと前記各液体が塗布されるものとの距離をほぼ一定に維持することができる塗布具を提供すること。
【解決手段】塗布具1は、外筒21と、外筒21内に挿入されたガスケットと、ガスケットを外筒21の長手方向に沿って移動操作する押し子26とを備え、外筒21とガスケットとで形成された空間に液体が充填された第1のシリンジ2および第2のシリンジ3を、並列に装填して用いられるものである。この塗布具1は、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3を並列に固定する塗布具本体7と、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の押し子26同士を連結する連結部材8とを有し、塗布具本体7には、片方の手の親指を除く4本の指で握られるグリップ部75が設けられており、連結部材8には、親指の指先のみを掛ける突出部82が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、2種以上の液体を混合して患部等に噴射し、癒着防止材や生体組織接着材などを形成する方法が知られており、そのための塗布具が開発されている。
【0003】
このような塗布具としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。この塗布具は、異なる種類の液体をそれぞれ含有する2つのシリンジが並列に装填される(固定される)塗布具本体(主部材)と、塗布具本体に対して摺動可能であり、各シリンジの押し子の後端部同士を連結する連結部材(補助部材)と、各シリンジから流出した液体がそれぞれ噴出されるノズルとで構成されている。
【0004】
この塗布具を用いて液体を患部に塗布するには、以下に示す3つの操作方法が挙げられる。
【0005】
[1]一方の手を連結部材の後端面に宛がい、この状態で、他方の手で塗布具本体を把持して引き寄せる操作方法
[2]一方の手で塗布具本体を把持し(支持し)、この状態で、他方の手で連結部材の後端面を押圧する操作方法
[3]一方の手で塗布具本体を把持して引き寄せるとともに、他方の手で連結部材の後端面を押圧する操作方法
さて、これらの操作方法では、液体を患部に塗布するとき、ノズルが患部から離間する。
【0006】
換言すれば、操作方法[1]では、塗布具本体とともにノズルが引き寄せられるため、当該ノズルが患部から離間する。また、操作方法[2]では、両手で塗布具を操作するため、患部とノズルとの距離が安定しない、すなわち、ノズルが患部から離間する。また、操作方法[3]では、前記操作方法[1]とほぼ同様に塗布具本体とともにノズルが引き寄せられるため、当該ノズルが患部から離間する。
【0007】
このようにノズルが患部から離間すると、塗布の初期と後期とでノズルから噴出した各液体の広がりの程度に変化が生じて、これらの液体が十分に混合される部分と、混合が不十分な部分とが生じる。このため、混合が不十分な部分では、患部と他の部位との癒着(例えば開腹手術の場合、内臓と腹壁との癒着)を防止することができない。
【0008】
【特許文献1】実開昭62−65972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、第1のシリンジおよび第2のシリンジのそれぞれに充填された液体を塗布するとき、簡単な構造で、ノズルと前記各液体が塗布されるものとの距離をほぼ一定に維持することができる塗布具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的は、下記(1)〜(14)の本発明により達成される。
(1) 先端部に突出形成された口部と後端外周に形成されたフランジとを有するシリンジ外筒と、該シリンジ外筒内に挿入されたガスケットと、該ガスケットを前記シリンジ外筒の長手方向に沿って移動操作する押し子とを備え、前記シリンジ外筒と前記ガスケットとで形成された空間に液体が充填された第1のシリンジおよび第2のシリンジを、並列に装填して用いられる塗布具であって、
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジを並列に固定する塗布具本体と、
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジのそれぞれの前記口部から流出した液体を吐出するノズルと、
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジの前記押し子の後端部同士を連結する連結部材とを有し、
前記塗布具本体には、片方の手の親指を除く複数の指で握られるグリップ部が設けられており、前記連結部材には、前記親指の指先のみを掛ける指掛け部が設けられていることを特徴とする塗布具。
【0011】
(2) 前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジからそれぞれ液体が押し出されるとき、前記指掛け部は押圧されて先端方向に移動し、前記ノズルは移動しない上記(1)に記載の塗布具。
【0012】
(3) 前記連結部材は、その後端部が前記指掛け部として機能する上記(1)または(2)に記載の塗布具。
【0013】
(4) 前記連結部材には、前記各シリンジ外筒の長手方向に対しほぼ直角方向に突出した突出部が設けられており、該突出部が前記指掛け部として機能する上記(1)または(2)に記載の塗布具。
【0014】
(5) 前記グリップ部には、前記手の人差し指が挿入されるリング状の挿入部が設けられている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の塗布具。
【0015】
(6) 前記塗布具本体には、後端方向に延在するレール部が設けられており、
前記連結部材には、前記レール部が挿入される開口部が設けられ、該開口部の縁部が前記レール部を摺動する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の塗布具。
【0016】
(7) 前記レール部と前記開口部の縁部とは、複数の箇所で線接触している上記(6)に記載の塗布具。
【0017】
(8) 前記レール部は、その横断面がほぼT字状をなすものであり、
前記開口部は、その形状がほぼ三角形状をなし、その各角部が前記T字の各端部に線接触している上記(6)または(7)に記載の塗布具。
【0018】
(9) 前記塗布具本体は、その先端側に設けられ、前記各口部が突出可能な前板を有する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の塗布具。
【0019】
(10) 前記塗布具本体は、その後端側に設けられ、前記各フランジが係合する係合部を有する上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の塗布具。
【0020】
(11) 前記ノズルは、前記第1のシリンジの液体が吐出される第1の吐出口と、前記第2のシリンジの液体が吐出される第2の吐出口と、前記第1のシリンジから流出した液体を前記第1の吐出口へ送る第1の流路と、前記第2のシリンジから流出した液体を前記第2の吐出口へ送る第2の流路とを備える上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の塗布具。
【0021】
(12) 前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジには、それぞれ、液組成が異なる液体が充填される上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の塗布具。
【0022】
(13) 前記液組成が異なる2液体は、それらを混合することによりゲル化するものである上記(12)に記載の塗布具。
【0023】
(14) 前記液組成が異なる2液体は、それらを混合することにより生体組織の癒着防止材となるものである上記(12)または(13)に記載の塗布具。
【発明の効果】
【0024】
本発明の塗布具によれば、塗布具本体に片方の手の親指を除く複数の指で握られるグリップ部が設けられ、連結部材に親指の指先のみを掛ける指掛け部が設けられているため、第1のシリンジおよび第2のシリンジのそれぞれに充填された液体を塗布するとき、ノズルと各液体が塗布されるものとの距離をほぼ一定に維持することができる。
【0025】
また、前述したように塗布具本体にグリップ部を設け、連結部材に指掛け部を設けた構造となっているため、本発明の塗布具における構造が簡単なものとなっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の塗布具について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0027】
<第1実施形態>
図1は、本発明の塗布具の第1実施形態を示す側面図、図2は、図1に示す塗布具を正面側(前側)から見た斜視図、図3は、図1に示す塗布具の分解斜視図、図4は、図1に示す塗布具おける塗布具本体および連結部材を正面側から見た斜視図、図5は、図1に示す塗布具における塗布具本体の平面図、図6は、図1に示す塗布具における塗布具本体の側面図、図7は、図4中の一点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大図、図8は、図1に示す塗布具における連結部材付近の側面図、図9は、図1に示す塗布具の背面図、図10は、図1に示す塗布具におけるノズル付近の縦断面図、図11は、図1に示す塗布具の使用状態の一例を示す図、図14は、図1に示す塗布具に装填される第1のシリンジ(第2のシリンジも同様)の部分縦断面図である。
【0028】
なお、説明の都合上、図1、図3、図5、図6および図8中の左側を「先端」、右側を「後端(基端)」といい、図10および図14中の下側を「先端」、上側を「後端」という。また、図1〜図4、図6〜図9および図11中、上側を「上」といい、下側を「下」という。
【0029】
また、図3では、ノズルを省略して描いており、図8および図9では、第1のシリンジおよび第2のシリンジを省略して描いている。
【0030】
図1および図3に示すように、本実施形態の塗布具1は、第1のシリンジおよび第2のシリンジを並列に装填して用いられるものである。
【0031】
まず、塗布具1の構成について説明する前に、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の構成について説明する。第1のシリンジ2と第2のシリンジ3とは、ほぼ同様の構成であるため、代表的に第1のシリンジ2について説明する。
【0032】
図14に示すように、本実施形態における第1のシリンジ2は、外筒(シリンジ外筒)21と、外筒21内で摺動し得るガスケット24と、ガスケット24を外筒21の長手方向(軸方向)に沿って移動操作する押し子(プランジャロッド)26とを備えている。ガスケット24は、押し子26の先端に連結されている。
【0033】
外筒21は、有底筒状の部材で構成され、先端側底部の中央部には、外筒21の胴部に対し縮径した縮径部(口部)22が一体的に突出形成されている。
【0034】
外筒21の後端外周には、フランジ23が一体的に形成されている。
また、外筒21の外周面には、液量を示す目盛りが付されている。
【0035】
外筒21の構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられるが、その中でも、成形が容易であり、かつ水蒸気透過性が低い点で、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステルのような樹脂が好ましい。なお、外筒21の構成材料は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明であるのが好ましい。
【0036】
このような外筒21内には、弾性材料で構成されたガスケット24が収納されて(挿入されて)いる。ガスケット24の外周部には、複数(2つ)のリング状の突部が全周にわたって形成されており、これらの突部が外筒21の内周面に密着しつつ摺動することで、液密性をより確実に保持するとともに、摺動性の向上が図れる。
【0037】
また、ガスケット24には、その後端面に開放する中空部25が形成されている。この中空部25は、後述する押し子26のヘッド部28が螺入(嵌入)される。中空部25の内面には、雌ネジが形成されている。
【0038】
ガスケット24の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
【0039】
押し子26は、横断面が十文字状をなす棒状の本体部27を有している。
本体部27の先端側には、ガスケット24の中空部25内に挿入され、ガスケット24と連結されるヘッド部(連結部)28が形成されている。ヘッド部28の外周には、中空部25の内面の雌ネジと螺合し得る雄ネジが形成されている。この雄ネジを雌ネジと螺合することにより、ガスケット24と押し子26とが連結される。なお、ガスケット24と押し子26は、螺合による連結に限らず、例えば凹凸嵌合等により連結された構成、接着、融着等により固着された構成、一体成形された構成であってもよい。
【0040】
また、本体部27の後端側には、円盤状のフランジ29が形成されている。
また、押し子26の構成材料としては、前述した外筒21の構成材料として例示したものと同様のものを用いることができる。
【0041】
第1のシリンジ2は、塗布具1に装填される以前に、外筒21とガスケット24とで囲まれた空間(貯液空間)20に、後述する第1の液体が充填される。
【0042】
第2のシリンジ3も、第1のシリンジ2と同様に、外筒21と、外筒21内で摺動し得るガスケット24と、ガスケット24を移動操作する押し子26とで構成され、空間20に第2の液体が充填される。各部の構成は同様であるため、その説明は省略する。
【0043】
第1のシリンジ2に充填される第1の液体と、第2のシリンジ3に充填される第2の液体とは、それらの組成(成分)が異なるものである。
【0044】
本発明においては、第1の液体と第2の液体とは、塗布具1の用途、使用目的、症例等に応じて適宜選定される。例えば、生体組織接着材の投与に使用する場合、第1の液体および第2の液体のうちの一方は、トロンビンを含有する液体(溶液等)、他方はフィブリノーゲンを含有する液体(溶液等)とすることができる。
【0045】
また、癒着防止材の投与に使用する場合、第1の液体および第2の液体のうちの一方は、スクシンイミジル基で修飾したカルボキシメチルデキストリンを含有する液体(溶液等)、他方は、リン酸水素二ナトリウムを含有する液体(溶液等)とすることができる。
【0046】
このような組み合わせの第1の液体および第2の液体は、それらを混合すると、ゲル化(固化)する。ゲル化することにより、例えば、第1の液体と第2の液体とが混合したもの(以下、「混合物」という)が、塗布された生体組織(目的部位)に確実に留まることができる。また、混合物が目的部位に確実に留まるため、当該目的部位において、生体組織接着材や癒着防止材としての機能を確実に発揮することができる。
【0047】
なお、第1の液体および第2の液体の種類および組み合わせは、上述したものに限定されないことは、言うまでもない。
【0048】
第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の両外筒21を固定した状態で、両押し子26を先端方向(図1中の矢印で示す方向)に押圧すると、両外筒21内に貯留されている第1の液体および第2の液体が、それぞれの縮径部22から吐出(流出)する。
【0049】
第1のシリンジ2の外筒21の内径と第2のシリンジ3の外筒21の内径は、同一でも異なっていてもよい。前者の場合、両押し子26の先端方向への移動に対し、第1の液体と第2の液体をほぼ同量づつ供給する(押し出す)ことができ、ノズル4から噴出される際の第1の液体と第2の液体の混合比は、ほぼ1:1となる。後者の場合、両押し子26の先端方向への移動に対し、第1の液体と第2の液体の単位時間当たりの供給量(流量)は異なるため、ノズル4から噴出される際の第1の液体と第2の液体の混合比は、1:1以外とすることができる。この混合比は、両外筒21の内径の比に対応するため、当該内径の比を適宜設定することにより、第1の液体と第2の液体の混合比を設定することができる。例えば、第1の液体をトロンビンを含有する液体、第2の液体をフィブリノーゲンを含有する液体とした場合、混合比=第1の液体の噴出量:第2の液体の噴出量=第1のシリンジ2の外筒21の内径:第2のシリンジ3の外筒21の内径を好ましくは1:0.1〜1:10程度とすることにより、効率良く(迅速に)ゲル化させることができる。
【0050】
第1の液体が充填された第1のシリンジ2と、第2の液体が充填された第2のシリンジ3とが装填される塗布具1は、塗布具本体7と、ノズル4と、連結部材8とを有している。以下、各部の構成について説明する。
【0051】
図1および図3に示すように、塗布具本体7は、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3を並列に固定するものである。
【0052】
この塗布具本体7は、基部71と、基部71の先端に設けられた前板72と、基部71の後端に設けられた後板73と、後板73から後端方向に延在するレール部74と、基部71の下部に設けられたグリップ部75とで構成されている。
【0053】
図3〜図5に示すように、基部71は、その上部に、横断面がほぼ半円弧状をなす凹部711および712が並列に設けられている。
【0054】
基部71の先端には、前板72が設けられている。この前板72には、凹部711および712のぞれぞれに対応する位置に、U字状をなす溝721および722が形成されている。溝721および722の幅は、それぞれ、縮径部22の外径とほぼ同等またはそれより若干大きく設定されている。
【0055】
図3に示すように、溝721および722には、それぞれ、第1のシリンジ2の縮径部22および第2のシリンジ3の縮径部22が挿入され、当該各縮径部22が前板72の先端面723から突出可能となっている。
【0056】
基部71の後端には、中空の後板73が設けられている。図3に示すように、この後板73には、凹部711および712のぞれぞれに対応する位置に、U字状をなす凹部731および732が形成されている。凹部731および732の幅は、それぞれ、外筒21の外径とほぼ同等またはそれより若干大きく設定されている。
【0057】
第1のシリンジ2および第2のシリンジ3を装填するとき、各フランジ23が後板73の中空部に挿入されるとともに、各外筒21が凹部731および732にそれぞれ、挿入される。これにより、各フランジ23が後板73に係合することとなる。したがって、後板73は、各フランジ23が係合する係合部として機能している。
【0058】
塗布具本体7では、溝721および722に各縮径部22が挿入されるとともに、後板73に各フランジ23が係合することにより、第1のシリンジ2と第2のシリンジ3とを確実に並列に固定することができる。
【0059】
また、後板73には、当該後板73からレール部74が後端方向に延設されている。図9に示すように、レール部74は、その横断面がほぼT字状をなすものである。
【0060】
基部71の下部には、グリップ部75が下方に向って突出形成されている。図1に示すように、このグリップ部75は、長尺状をなしており、片方の手(図中では、右手)の親指を除く4本の(複数の)指、すなわち、人差し指、中指、薬指および小指で握られる部位である。
【0061】
また、図6(図1、図3も同様)に示すように、グリップ部75には、基部71との境界部(接合部)付近に、リング状の挿入部751が設けられている。この挿入部751は、人差し指が挿入される部位である(図1参照)。
【0062】
このような挿入部751が設けられていることにより、当該挿入部751に人差し指を引っ掛ける(係合させる)ことができ、よって、グリップ部75を4本の指で確実に握ることができる。また、誤って(不本意に)手がグリップ部75(塗布具1)から滑ったとしても、挿入部751が人差し指に挿通されているため(図1参照)、塗布具1が手から離脱するのを確実に防止することができる。
【0063】
なお、塗布具本体7の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種金属材料や各種プラスチック等を単独または組み合わせて用いることができる。
【0064】
次に、連結部材8の構成について説明する。
図1および図3に示すように、連結部材8は、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の押し子26のフランジ29(後端部)同士を連結、固定するものである。これにより、第1のシリンジ2の押し子26と第2のシリンジ3の押し子26とは、外筒21の長手方向に対し、一体となって移動することができる。
【0065】
図8(図1、図3および図9も同様)に示すように、連結部材8は、基部81と、基部81の下部に突出形成された突出部(指掛け部)82とを有している。
【0066】
図7(図3も同様)に示すように、基部81(連結部材8)には、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3のそれぞれの押し子26のフランジ29が係合する(挟持される)係合部811および812と、レール部74が挿入される開口部813とが設けられている。
【0067】
係合部811および812は、それぞれ、互いに対向する一対の凸部814で構成されており、各凸部814によって、各フランジ29がその径方向に挟持される。これにより、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の押し子26同士を確実に連結することができる。
【0068】
図9に示すように、開口部813は、その形状がほぼ三角形状をなしている。この開口部813の角部(縁部)815、816および817は、それぞれ、横断面がT字状をなすレール部74の端部741、742および743に線接触している。
【0069】
このようにレール部74と連結部材8の基部81(開口部813)とが3箇所(複数の箇所)で線接触していることにより、レール部74と連結部材8の基部81との摺動抵抗を低減することができる。
【0070】
また、レール部74が連結部材8の移動を案内するガイド部として機能するため、連結部材8が安定して移動することができる。
【0071】
連結部材8の基部81の下部には、ブロック状(長尺状)の突出部82が設けられている。この突出部82は、各外筒21の長手方向、すなわち、連結部材8の移動方向に対しほぼ直角方向に突出したものである。
【0072】
図1に示すように、突出部82には、親指の指先のみを掛けることができる。
また、図8(図1および図3も同様)に示すように、突出部82の後端面821は、円弧状に湾曲している。これにより、親指の指先を安定して掛けることができる。
【0073】
また、突出部82の後端面821には、ドーム状(半球状)の多数の凸部822が形成されている。これにより、親指の指先で突出部82を押圧するとき、当該親指の指先が突出部82(後端面821)から滑るのを防止することができる。
【0074】
このような突出部82が設けられていることにより、簡単な構造で、人差し指、中指、薬指および小指でグリップ部75を支えつつ、親指で当該突出部82をグリップ部75に向けて容易に押圧することができる。
【0075】
なお、連結部材8の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、塗布具本体7についての説明で挙げたような材料を用いることができる。
【0076】
次に、ノズル4の構成について説明する。ノズル4は、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3のそれぞれの縮径部22から流出した(供給される)第1の液体および第2の液体を吐出して(噴出して)、患部に供給するものである。
【0077】
図1、図2および図10に示すように、ノズル4は、ノズル本体41と、ノズル本体41の先端に設置されるノズルプレート42とを備えている。
【0078】
ノズルプレート42は、第1の液体を噴出(噴霧)する第1の噴出口(第1の吐出口)52と、第2の液体を噴出(噴霧)する第2の噴出口(第2の吐出口)62とが設けられている。
【0079】
ノズル本体41は、ブロック体で構成されたものである。このノズル本体41には、第1のシリンジ2から流出した第1の液体を第1の噴出口52へ送る第1の流路50と、第2のシリンジ3から流出した第2の液体を第2の噴出口62へ送る第2の流路60とが設けられている。また、第1の流路50の後端部51および第2の流路60の後端部61は、それぞれ、第1のシリンジ2の外筒21の縮径部22および第2のシリンジ3の外筒21の縮径部22に液密に嵌合して接続されている(図10参照)。
【0080】
図10に示すように、第1の噴出口52と第2の噴出口62との間隔は、第1のシリンジ2の外筒21の縮径部22と第2のシリンジ3の外筒21の縮径部22との間隔より小さく設定されている。これにより、第1の噴出口52および第2の噴出口62よりそれぞれ噴出する第1の液体および第2の液体を混合することができる。
【0081】
このような第1の噴出口52および第2の噴出口62は、好ましくはそれらのうちの少なくとも一方、より好ましくは双方が、液体を霧状にして噴出し得るものである。本実施形態では、双方共に液体を霧状にして噴出し得るものである。以下、その構造の一例について説明する。
【0082】
図2に示すように、第1の噴出口52は、ノズルプレート42を貫通する複数の小孔54で構成されている。また、第2の噴出口62もほぼ同様に、ノズルプレート42を貫通する複数の小孔64で構成されている。このような構成により、第1の噴出口52および第2の噴出口62からそれぞれ第1の液体および第2の液体が霧状に噴出(噴霧)され、混合される。
【0083】
なお、小孔54、64の形状は、図示のような円形に限られず、小孔54、64の形成数や配設密度(開口率)も特に限定されない。
【0084】
また、ノズル本体41およびノズルプレート42の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、塗布具本体7についての説明で挙げたような材料を用いることができる。また、ノズル本体41とノズルプレート42との構成材料は、同一でも異なっていてもよい。
【0085】
次に、第1の液体が充填された第1のシリンジ2と、第2の液体が充填された第2のシリンジ3とを装填した状態(図1(a)に示す状態、以下、この状態を「装填状態」という)の塗布具1の作動(作用)について説明する。
【0086】
まず、第1の液体が充填された第1のシリンジ2と、第2の液体が充填された第2のシリンジ3とを用意する。これら第1のシリンジ2および第2のシリンジ3には、それぞれ、患部に塗布するのに必要な(十分な)程度の液量の第1の液体および第2の液体が充填されている。
【0087】
塗布具1において、塗布具本体7の後板73(凹部731および732)と連結部材8の基部81(係合部811および812)との間隔が、各外筒21のフランジ23と各押し子26のフランジ29との間隔とほぼ等しくなるように、塗布具本体7に対して連結部材8を調整する(移動する)。
【0088】
この調整した状態の塗布具1に、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3をそれぞれ、装填する。換言すれば、前記調整した状態の塗布具1の塗布具本体7の溝721、凹部731および連結部材8の係合部811に、ぞれぞれ、第1のシリンジ2の縮径部22、フランジ23およびフランジ29を係合(挿入)するとともに、塗布具本体7の溝722、凹部732および連結部材8の係合部812に、ぞれぞれ、第2のシリンジ3の縮径部22、フランジ23およびフランジ29を係合(挿入)する。
【0089】
このように第1のシリンジ2および第2のシリンジ3を装填することにより、塗布具1が装填状態となる。
【0090】
次に、装填状態の塗布具1の塗布具本体7(グリップ部75)の挿入部751に人差し指を挿入するとともに、挿入部751より下方のグリップ部75の部分(部位)に中指、薬指および小指を掛ける(添える)。また、連結部材8の突出部82に親指の指先を掛ける。
【0091】
これにより、装填状態の塗布具1が把持される。
把持された塗布具1によって第1の液体および第2の液体が押し出されるとき、図1(b)に示すように、グリップ部75(塗布具本体7)は、4本の指によって後端方向に引き寄せられずに、突出部82(連結部材8)が親指の指先に押圧されて先端方向に移動する、すなわち、突出部82がグリップ部75に接近(近接)する。
【0092】
また、前述したように、ノズル4は、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の各縮径部22に接続されている。このため、ノズル4は、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3を介して塗布具本体7と連結されている。これにより、ノズル4は、第1の液体および第2の液体が押し出されるとき、塗布具本体7と同様に、後端方向に引き寄せられ(移動し)ない(図1(b)参照)。
【0093】
このような作動(構成)により、塗布具1では、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3のそれぞれに充填された第1の液体および第2の液体を患部に塗布するとき、ノズル4が移動しない、すなわち、患部に対してノズル4が離間しない。したがって、患部とノズル4との距離をほぼ一定に維持することができる。
【0094】
ここで、仮に、ノズル4が患部から離間しつつ、当該ノズル4から第1の液体および第2の液体が噴出される(塗布される)と、例えば、塗布の初期と後期とで第1の液体および第2の液体の広がりの程度に変化が生じ、これらの液体が十分に混合される部分と、混合が不十分な部分とが生じる。このため、混合が不十分な部分では、患部と他の部位との癒着(例えば開腹手術の場合、内臓と腹壁との癒着)を防止するのが困難となる場合がある。
【0095】
これに対して、塗布具1では、患部とノズル4との距離をほぼ一定に維持することができるため、前述したような不都合が生じることがない。
【0096】
また、前述したようにレール部74と連結部材8の基部81との摺動抵抗が低減されている。摺動抵抗が大きい場合、突出部82を強く押圧する必要があり、このため、例えば親指をその付け根付近にまで突出部82に掛ける。このように親指を突出部82に掛けた場合、グリップ部75が後端方向に引き寄せられるおそれがあり、よって、ノズル4も同様に後端方向に引き寄せられるおそれがある。
【0097】
これに対して、塗布具1では、摺動抵抗が低減されていることにより、親指をその付け根付近にまで突出部82に掛けるのが防止される。よって、突出部82が親指の指先に押圧されて先端方向に確実に移動し、かつ、ノズル4の移動が確実に防止される。
【0098】
また、塗布具1は、一回の握りで、すなわち、突出部82を押しきると第1のシリンジ2および第2のシリンジ3内の第1の液体および第2の液体がそれぞれほぼ全て噴出する、すなわち、第1の液体および第2の液体の残量をほぼ零と設定することができるよう構成されている。換言すれば、塗布具1は、押し子26同士の移動量(ストローク)をほぼ同等として、この状態の第1のシリンジ2および第2のシリンジ3をそれぞれ、装填することができるよう構成されている。
【0099】
このような構成により、一回の握りで、第1の液体および第2の液体を目的とする部位(例えば、患部)に広範囲に、かつ、効率よく塗布することができる。
【0100】
次に、塗布具1の使用方法の一例について、図11を参照しつつ説明する。
まず、開腹した状態において、腹壁201を上方へ持ち上げる。これにより、腹壁201と臓器202との間に、空間(腹腔200)が形成される。
【0101】
次に、腹壁201を持ち上げた状態を維持する。この状態で、塗布具1を図11中の矢印方向に移動させつつ、塗布具1から臓器202に向けて、第1の液体および第2の液体を噴霧し、塗布する。
【0102】
このとき、前述したようにノズル4と臓器202との距離hが一定に維持されるため、臓器202の表面における第1の液体および第2の液体の広がりに変化が生じるのが防止され、よって、これらの液体が十分かつ確実に混合される。
【0103】
また、距離hが大きくなると、これらの液体が塗布される領域が広がり、第1の液体および第2の液体が腹壁201の表面等の液体の塗布が不必要な部位にも塗布されてしまうが、塗布具1では、このような不具合が防止され、これらの液体の塗布が必要な部位、すなわち、臓器202にこれらの液体のほぼ全量、すなわち、必要量を確実に塗布することができる。したがって、塗布すべき第1の液体および第2の液体の液量が不足するのを確実に防止することができる。
また、後述する癒着防止材層100の厚さをほぼ一定とすることができる。
【0104】
塗布されたこれらの液体は、混合して例えば癒着防止材となり、臓器202の表面に癒着防止材層100を形成する。これにより、たとえ腹壁201と臓器202とが接近したとしても、それらの癒着を防止することができる。
【0105】
その後、切開部203を完全に縫合して閉じる。
なお、距離hは、塗布具1の用途、使用目的、症例等にもよるが、例えば、1〜10cmであるのが好ましく、4〜6cmがより好ましい。
【0106】
<第2実施形態>
図12は、本発明の塗布具の第2実施形態を示す側面図である。
【0107】
以下、この図を参照して本発明の塗布具の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0108】
本実施形態は、塗布具本体の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図12に示す塗布具本体7Aは、基部71と、基部71の先端に設けられた前板72と、基部71の後端に設けられた後板73と、基部71の下部に設けられたグリップ部75とで構成されている。すなわち、塗布具本体7Aは、前記第1実施形態の塗布具本体7からレール部74を省略したものとほぼ同等の構成となっている。
【0109】
このような構成により、前記第1実施形態で記載したような塗布具本体7(レール部74)と連結部材8との摺動抵抗が生じるのを確実に防止することができる。よって、前述したような親指をその付け根付近にまで突出部82に掛けるのが、確実に防止される。このため、突出部82が親指の指先に押圧されて先端方向に確実に移動し、かつ、ノズル4の移動が確実に防止される。
【0110】
なお、本実施形態では、前述したように塗布具本体7Aではレール部74が省略されているため、連結部材8の基部81から開口部813を省略してもよい。
【0111】
<第3実施形態>
図13は、本発明の塗布具の第3実施形態を示す側面図である。
【0112】
以下、この図を参照して本発明の塗布具の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、連結部材の構成が異なること以外は前記第2実施形態と同様である。
【0113】
図13に示す連結部材8Aは、前記第2実施形態とほぼ同様の基部81のみで構成されている。このため、連結部材8Aでは、その後端部(後端面)818に親指の指先を掛けることができる。すなわち、連結部材8Aでは、その後端部818が親指の指先のみを掛ける指掛け部として機能する。
【0114】
このような構成により、前記第2実施形態(前記第1実施形態も同様)の連結部材8のような突出部82を設けるのを省略することができ、よって、連結部材8Aを簡単な構造のものとすることができる。
【0115】
以上、本発明の塗布具を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意の構成と置換することができ、また、任意の構成が付加されていてもよい。
【0116】
例えば、2本のシリンジが装填されるよう構成されているが、3本以上のシリンジが装填されるよう構成されていてもよい。
【0117】
また、3本以上のシリンジが装填されるよう構成されている場合、各シリンジに充填される液体の液組成が異なっており、3種類以上の液体を同時に噴出(噴霧)し、混合し得るように構成されたものでもよい。
【0118】
また、グリップ部は、人差し指、中指、薬指および小指で握られるよう構成されているのに限定されず、例えば、人差し指および中指で握られるよう構成されていてもよい。
【0119】
また、グリップ部の挿入部は、人差し指に対応する位置にのみ設けられているのに限定されず、例えば、中指、薬指および小指のそれぞれに位置にも設けられていてもよい。
【0120】
また、図10に示すノズルでは、第1の流路と第2の流路とが互いに独立して形成されているが、ノズル構成は、これに限定されず、第1の流路と第2の流路とが途中で合流するよう形成されていてもよい。この場合、第1の流路と第2の流路とが合流した部位で、第1の液体と第2の液体とを混合させることができる。
【0121】
また、ノズルは、塗布具本体と別体で構成されているが、これに限定されず、例えば、塗布具本体と一体的に形成されていてもよい。
【0122】
また、本発明の塗布具は、開腹手術に用いられているが、これに限定されず、例えば、内視鏡下で用いてもよいし、腹腔鏡下で用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の塗布具の第1実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示す塗布具を正面側(前側)から見た斜視図である。
【図3】図1に示す塗布具の分解斜視図である。
【図4】図1に示す塗布具おける塗布具本体および連結部材を正面側から見た斜視図である。
【図5】図1に示す塗布具における塗布具本体の平面図である。
【図6】図1に示す塗布具における塗布具本体の側面図である。
【図7】図4中の一点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大図である。
【図8】図1に示す塗布具における連結部材付近の側面図である。
【図9】図1に示す塗布具の背面図である。
【図10】図1に示す塗布具におけるノズル付近の縦断面図である。
【図11】図1に示す塗布具の使用状態の一例を示す図である。
【図12】本発明の塗布具の第2実施形態を示す側面図である。
【図13】本発明の塗布具の第3実施形態を示す側面図である。
【図14】図1に示す塗布具に装填される第1のシリンジ(第2のシリンジも同様)の部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0124】
1 塗布具
2 第1のシリンジ
20 空間
21 外筒
22 縮径部(口部)
23 フランジ
24 ガスケット
25 中空部
26 押し子
27 本体部
28 ヘッド部
29 フランジ
3 第2のシリンジ
4 ノズル
41 ノズル本体
42 ノズルプレート
50 第1の流路
51 後端部
52 第1の噴出口
54 小孔
60 第2の流路
61 後端部
62 第2の噴出口
64 小孔
7、7A 塗布具本体
71 基部
711、712 凹部
72 前板
721、722 溝
723 先端面
73 後板
731、732 凹部
74 レール部
741、742、743 端部
75 グリップ部
751 挿入部
8、8A 連結部材
81 基部
811、812 係合部
813 開口部
814 凸部
815、816、817 角部
818 後端部(後端面)
82 突出部(指掛け部)
821 後端面
822 凸部
100 癒着防止材層
200 腹腔
201 腹壁
202 臓器
203 切開部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に突出形成された口部と後端外周に形成されたフランジとを有するシリンジ外筒と、該シリンジ外筒内に挿入されたガスケットと、該ガスケットを前記シリンジ外筒の長手方向に沿って移動操作する押し子とを備え、前記シリンジ外筒と前記ガスケットとで形成された空間に液体が充填された第1のシリンジおよび第2のシリンジを、並列に装填して用いられる塗布具であって、
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジを並列に固定する塗布具本体と、
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジのそれぞれの前記口部から流出した液体を吐出するノズルと、
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジの前記押し子の後端部同士を連結する連結部材とを有し、
前記塗布具本体には、片方の手の親指を除く複数の指で握られるグリップ部が設けられており、前記連結部材には、前記親指の指先のみを掛ける指掛け部が設けられていることを特徴とする塗布具。
【請求項2】
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジからそれぞれ液体が押し出されるとき、前記指掛け部は押圧されて先端方向に移動し、前記ノズルは移動しない請求項1に記載の塗布具。
【請求項3】
前記連結部材は、その後端部が前記指掛け部として機能する請求項1または2に記載の塗布具。
【請求項4】
前記連結部材には、前記各シリンジ外筒の長手方向に対しほぼ直角方向に突出した突出部が設けられており、該突出部が前記指掛け部として機能する請求項1または2に記載の塗布具。
【請求項5】
前記グリップ部には、前記手の人差し指が挿入されるリング状の挿入部が設けられている請求項1ないし4のいずれかに記載の塗布具。
【請求項6】
前記塗布具本体には、後端方向に延在するレール部が設けられており、
前記連結部材には、前記レール部が挿入される開口部が設けられ、該開口部の縁部が前記レール部を摺動する請求項1ないし5のいずれかに記載の塗布具。
【請求項7】
前記レール部と前記開口部の縁部とは、複数の箇所で線接触している請求項6に記載の塗布具。
【請求項8】
前記レール部は、その横断面がほぼT字状をなすものであり、
前記開口部は、その形状がほぼ三角形状をなし、その各角部が前記T字の各端部に線接触している請求項6または7に記載の塗布具。
【請求項9】
前記塗布具本体は、その先端側に設けられ、前記各口部が突出可能な前板を有する請求項1ないし8のいずれかに記載の塗布具。
【請求項10】
前記塗布具本体は、その後端側に設けられ、前記各フランジが係合する係合部を有する請求項1ないし9のいずれかに記載の塗布具。
【請求項11】
前記ノズルは、前記第1のシリンジの液体が吐出される第1の吐出口と、前記第2のシリンジの液体が吐出される第2の吐出口と、前記第1のシリンジから流出した液体を前記第1の吐出口へ送る第1の流路と、前記第2のシリンジから流出した液体を前記第2の吐出口へ送る第2の流路とを備える請求項1ないし10のいずれかに記載の塗布具。
【請求項12】
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジには、それぞれ、液組成が異なる液体が充填される請求項1ないし11のいずれかに記載の塗布具。
【請求項13】
前記液組成が異なる2液体は、それらを混合することによりゲル化するものである請求項12に記載の塗布具。
【請求項14】
前記液組成が異なる2液体は、それらを混合することにより生体組織の癒着防止材となるものである請求項12または13に記載の塗布具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−45515(P2007−45515A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235005(P2005−235005)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】