説明

塗布容器

【課題】 注出後の内溶液を指で直接触れることなく塗布範囲を広げることを可能とする塗布容器を創出することを課題とする。
【解決手段】 内溶液が充填された容器本体(2)と、容器本体(2)の口筒部(3)に組み付けられる組付部(11)及び先端面に内溶液を注出する吐出孔(16)が穿設されたノズル部(12)を備えた中栓体(10)と、中栓体(10)の内側に設けられ且つ吐出孔(16)を閉塞する弁部(23)及び弁部(23)を閉塞方向に付勢するばね片(22)を有する弁体(20)と、ノズル部(12)の側面から側方の位置に延出される可撓性の引き伸ばし部(15)と、を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押込み型の弁体を有し、薬液などの内溶物を注出しながら皮膚等に塗布するための塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズル部状の中栓体の先端に吐出孔が穿設され、押込み形の弁体を介して吐出孔を開閉することにより、容器本体内に充填されている薬液等の内容液を所要の場所(患部等)に適量塗布するための塗布容器が開発されている。
【0003】
特許文献1は、このような従来の塗布容器の一例として、水虫などの外用薬液用の塗布容器を示すものであり、同文献に記載されているように、容器1を倒立させ、中栓2の先端に設けられた弁体3を所要の場所に押し当てて注出口2cを開くことにより、容器1内の薬液を注出口2cから所要の場所に注出して塗布することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−20674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の塗布容器では、例えば所要の場所が点在しているような場合には、注出した薬液の塗布範囲(塗布面積ともいう)を広げることが必要となるが、薬液を所要の場所に適切に導くためには、指で薬液を擦りながら広げるか、または薬液を再度注出して塗布する必要がある。前者においては指が患部に触れることから衛生上の問題や揮発性が促進されやすくなるという問題があり、後者においては非効率的で多量の薬液が必要になるという問題がある。
【0006】
他方、ヘラやテッシュペーパー等の他の部材で塗布範囲を広げることも考えられるが、このような他の部材が常に使用者の近辺にあるとは限らないし、テッシュペーパーを用いる方法では薬液が吸収されてしまって塗布範囲を広げることが難しいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、水虫用の薬液等の内溶液を注出させて塗布する塗布容器において、注出後の内溶液を指で直接触れることなく塗布範囲を広げることを可能とする塗布容器を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる構成は、
内溶液が充填された容器本体と、容器本体の口筒部に組み付けられる組付部及び先端面に内溶液を注出する吐出孔が穿設されたノズル部を備えた中栓体と、中栓体の内側に設けられ且つ吐出孔を閉塞する弁部及び弁部を閉塞方向に付勢するばね片を有する弁体と、ノズル部の側面から側方の位置に延出される可撓性の引き伸ばし部と、を備える、と云うものである。
【0009】
本発明の主たる構成の塗布容器では、容器本体のノズル部の先端を皮膚等に押し当てることによる内溶液の注出と、注出された内溶液の塗布範囲の拡大を図る引き伸ばし部を一体に備えた塗布容器の提供を達成する。また引き伸ばし部を可撓性とすることにより、患部に優しく、皮膚等に対するフィット性の向上による効率的な塗布範囲の拡張を達成する
【0010】
本発明の他の構成は、請求項1に記載の塗布容器において、二色成形法により、外層部と外層部よりも軟質な合成樹脂材料からなる内層部とで中栓体を一体に形成し、内層部の一部を引き伸ばし部とした、と云うものである。
【0011】
上記構成では、引き伸ばし部のみを可撓性とすることができるが、特に内層部と外層部とを二色成形法で成形することで、先端部が側方に伸び広がる引き伸ばし部の形状の効果的な成形を達成する。
【0012】
また本発明の他の構成は、請求項2に記載の塗布容器において、弁体のベース部が、組付部の内面を形成する内層部に密着して固定されており、弁体の弁部がノズル部先端の吐出孔を形成する内層部を付勢して吐出孔を閉塞する、と云うものである。
【0013】
上記構成では、中栓体とその内側に配置される弁体との間のシール性の向上を達成する。
【0014】
また本発明の具体的な構成は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の塗布容器において、引き伸ばし部を、先端に向かうに従って徐々に広がる拡径状とした、または引き伸ばし部を、へら状またはスキージ状とした、あるいは引き伸ばし部を、櫛歯状とした、と云うものである。
【0015】
上記構成では、内容液の用途に応じ、様々な形状の引き伸ばし部の提供を達成する。
【0016】
また本発明の他の構成は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の塗布容器において、引き伸ばし部を、中栓体の表面の色とは異なる色で着色した、と云うものである。
【0017】
上記構成では、操作者に対し、引き伸ばし部の存在を視覚的に認識させることを可能とする。
【0018】
また本発明の他の構成は、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の塗布容器において、中栓体、引き伸ばし部及び弁体を収納するキャップを設けた、と云うものである。
【0019】
上記構成では、吐出孔を覆うことによる衛生面の向上と、内溶液の不用意な液漏れ防止を達成する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明の主たる構成においては、皮膚等に注出された内溶液を、指を用いることなく引き伸ばし部のみを利用して衛生的に内溶液の塗布範囲を広げることができる。また指等が触れることによって、内溶液の揮発性が促進されることをなくすことができる。
さらに引き伸ばし部が可撓性を備えるので、引き伸ばし部の先端部と皮膚等との間のフィット性が向上され、より効率的に内溶液の塗布範囲を拡張することが可能となる。
【0021】
また請求項2に記載の、二色成形法により、外層部と外層部よりも軟質な合成樹脂材料からなる内層部とで中栓体を一体に形成し、内層部の一部を引き伸ばし部とした構成にあっては、中栓体全体が比較的硬質に形成されるので、引き伸ばし部の付根部分を強化することができる一方で、引き伸ばし部先端のみに可撓性を付与して自由な撓み変形を確保して操作性の向上を図ることができる。
【0022】
また請求項3に記載の、弁体のベース部が、組付部の内面を形成する内層部に密着して固定されており、弁体の弁部がノズル部先端の吐出孔を形成する内層部を付勢して吐出孔を閉塞する構成にあっては、内層部とその内側に配置される弁体との密着が高まりシール性を向上させることが可能となるため、内溶液の液漏れ防止効果を高めることができる。
【0023】
また請求項4乃至6に記載の、引き伸ばし部を、先端に向かうに従って徐々に広がる拡径状とした、または引き伸ばし部を、へら状またはスキージ状とした、あるいは引き伸ばし部を、櫛歯状としたとの構成にあっては、用途に応じた最適な引き伸ばし部の形状を提供することができる。しかもそれぞれ独特の形状をしているので、引き伸ばし部の形状の認知度が向上すれば、引き伸ばし部の形状を見ただけで、塗布容器の用途を把握できるようになる。
【0024】
また請求項7に記載の、引き伸ばし部を、中栓体の表面の色とは異なる色で着色した構成にあっては、一見しただけで、引き伸ばし部の存在を認識することが容易となるため、消費者の購買意欲を刺激することができる。
【0025】
また請求項8に記載の、中栓体、引き伸ばし部及び弁体を収納するキャップを設けた構成では、吐出孔が外部に露出した状態に置かれることをなくなるため、衛生面の向上と、内溶液の揮発の防止を図ることができる。さらには、弁体を保護することが可能とるため、不注意等により容器本体を落としたときに弁体が押込まれて内溶液が液漏れするという現象の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の塗布容器の第1実施例を示し、図中の左半分は正面図、右半分は半断面図である。
【図2】図1の塗布容器の頭部を拡大して示す正面図及び半断面図である。
【図3】図1の塗布容器の頭部を拡大して示し、図中の左半分は側面図、右半分は半断面図である。
【図4】キャップを外した状態を示す塗布容器の平面図である。
【図5】第1実施例の塗布容器の使用例として、内溶液注出時の様子を示す説明図である。
【図6】第1実施例の塗布容器の使用例として、図5に続いて注出後の塗布範囲を広げる様子を示す説明図である。
【図7】本発明の第2実施例として、キャップを外した状態の塗布容器を示す斜視図である。
【図8】第2実施例としての塗布容器の頭部を拡大して示すものであり、右半分は側面図、左半分は図7のVIII−VIII線矢視相当半断面図である。
【図9】本発明の第3実施例としての塗布容器の頭部を拡大して示す図8同様の側面図及び半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の塗布容器の第1実施例を示し、図中の左半分は正面図、右半分は半断面図、図2は図1の塗布容器の頭部を拡大して示す正面図及び半断面図、図3は図1の塗布容器の頭部を拡大して示し、図中の左半分は側面図、右半分は半断面図、図4はキャップを外した状態を示す塗布容器の平面図、図5は第1実施例の塗布容器の使用例として、内溶液注出時の様子を示す説明図、図6は第1実施例の塗布容器の使用例として、図5に続いて注出後の塗布範囲を広げる様子を示す説明図である。
【0028】
図1乃至図6に第1実施例として示す塗布容器1は、例えば水虫治療用の外用薬液(以下、内溶液という)を、皮膚や爪など所要の場所(患部)に適量塗布するための容器であり、有底円筒形状からなる容器本体2と、容器本体2の口筒部3内に組み付けられる中栓体10と、中栓体10が組み付けられた容器本体2の頭部に被嵌して頭部を覆い隠すように組み付けられるキャップ30と、を有して構成される。
【0029】
容器本体2は、例えばポリプロピレンなど比較的硬質で耐薬品性を有する合成樹脂材料で形成されており、上部に設けられた口筒部3の外周面には雄ねじ4が一体に周設されている。
【0030】
中栓体10は、基本的には下部側で口筒部3内に挿入される組付部11と、上部側で口筒部3の外に設けられる先細状のノズル部12とを有し、これらがその中間に設けられたリング状の中段部13を介して一体に連結されて構成されている。
【0031】
また、中栓体10は、柔軟性に優れたエラストマー、あるいは低密度ポリエチレンなどの軟質な合成樹脂材料からなる内層部10Aと、例えばポリプロピレンなどの比較的硬質な合成樹脂材料からなる外層部10Bとが二色成形法により積層されて一体に形成されている。すなわち、中栓体10は、内層部10Aが二色成形法における1次成形で形成され、外層部10Bが2次成形されることにより一体成形されている。
【0032】
ノズル部12先端の端面には内部に貫通する吐出孔16が穿設されている。またノズル部12の下端には、この下端に基部15aが形成され、先端部15bをこの基部15aから先端に向かうほど徐々に側方に広がるように延出されてなる拡径状(ラッパ状またはホーン状ともいう)の引き伸ばし部15が一体に形成されている。つまり、拡径状の引き伸ばし部15の中央にノズル部12が配置されている。
【0033】
引き伸ばし部15の軸対称となる位置には、窓部14,14が開設されている(図2及び図3参照)。上述のように、中栓体10を構成するノズル部12は二色成形法により形成されるが、窓部14,14及び引き伸ばし部15は、図示しない1次金型内に軟質な合成樹脂材料を流し込んで内層部10Aを形成する1次成形において一緒に形成される。
【0034】
そして、続く2次成形において、図示しない2次金型と内層部10Aとの間に比較的硬質な合成樹脂材料を流し込み、内層部10Aの外面に外層部10Bを一体に積層させることにより中栓体10が形成される。この2次成形においては、比較的硬質な合成樹脂材料を、例えば組付部11側から窓部14,14を通じてノズル部12側に流し込むことにより形成することができる。
なお、図3の右側の半断面図は、窓部14内が外層部10Bを構成する比較的硬質な合成樹脂材料が埋まっている状態を示している。
【0035】
このような二色成形法を用いることにより、先端部15bがノズル部12の側方おいて伸び広がる引き伸ばし部15の形状を効率的に成形することが可能である。また引き伸ばし部15は、軟質な合成樹脂材料からなる内層部10Aで形成されているため、皮膚等に対する接触に際しては容易に撓み変形することが可能となっている。
【0036】
弁体20は、上下開放の円筒状のベース部21と、螺旋状のばね片22、22と、テーパー状の弁部23、及び上端の突出部24とを有して構成され、これらは比較的高弾性を発揮する合成樹脂材料により一体で形成されている。
【0037】
キャップ30は有頂円筒形状に形成され、下部31側の内周面に容器本体2側の雄ねじ4に螺合する雌ねじ32が刻設されている。このキャップ30内の側部には、引き伸ばし部15を収容するための収納スペース33が設けられている。
なお、引き伸ばし部15は、収納スペース33内に収まる高さ方向の寸法及び径方向の寸法で形成されている。
【0038】
次に、塗布容器の組立て方法について説明する。
図2に示すように、弁体20はベース部21を中栓体10の組付部11の内側に密着させ、高さ方向にばね片22、22を圧縮させた状態で中栓体10内に内装させる。ばね片22、22によって付勢された弁部23が、これに対向する中栓体10側のノズル部12上端側の傾斜面17に当接することにより、吐出孔16が閉塞状態に設定される。また突出部24が下部側から吐出孔16に挿入されており、突出部24の先端は吐出孔16の外部に突出している。
【0039】
容器本体2の内部に内容液を充填した後、弁体20が内装された中栓体10は組付部11を容器本体2の口筒部3内に圧入し、中段部13の下面が口筒部3の上端に当接する位置まで押し入れることにより装着される。そして、キャップ30を容器本体2の頭部に螺着させることにより、容器本体2の頭部に設けられた中栓体10、引き伸ばし部15及び弁体20の突出部24が被覆される。これにより、皮膚等に直接触れるノズル部12先端の衛生面の向上を図ることができ、また内溶液の揮発を抑えることができる。さらには、ノズル部12先端の弁体20を保護することが可能となるため、誤って塗布容器1を落下させてしまったときに、弁体20が押し込まれて内溶液が液漏れすることを防止することが可能となる。
【0040】
なお、弁体20のベース部21と中栓体10側の組付部11とが環帯状に密着する部分が下部シール部S1を構成し、弁部23と中栓体10側の傾斜面17とが環状に当接部分する部分が上部シール部S2を構成している。下部シール部S1の傾斜面17及び上部シール部S2側の組付部11の内面は、共に軟質な合成樹脂材料である内層部10Aで構成されている。このため、この下部シール部S1と上部シール部S2におけるシール性を高め、液漏れを効果的に防止することが可能となっている。
【0041】
次に、第1実施例に示す塗布容器の使用方法について説明する。
図5に示すように、キャップ30を外した状態の塗布容器1を倒立姿勢に設定し、ノズル部12の先端側を皮膚や爪等の所要の場所(患部)に当接させ、図5中の白抜き矢印の方向に押し付ける。
【0042】
この操作により、突出部24がばね片22、22の付勢力に抗して容器本体2の内部方向(図5中の黒矢印方向)に押し込まれ、上部シール部S2を構成する弁体20側の弁部23がノズル部12側の傾斜面17から離れて吐出孔16の閉塞状態が解除されるため、内溶液Lを所要の場所に注出させることができる。
なお、内溶液Lは容器本体2から弁体20の内側を通り、ばね片22間の上下の隙間を介してノズル部12の内面と弁体20の外部との間の形成される隙間に流入し、さらにこの隙間から開放した吐出孔16を通じて外部に吐出されることになる。
【0043】
次に、図6に示すように、容器本体2を傾けて傾斜姿勢に設定し、引き伸ばし部15の先端部15bを前後方向または左右方向に動かしつつ注出後の内溶液Lを側方に引き伸ばす。この操作により、内溶液Lの塗布範囲を広げることができる。
【0044】
このように、第1実施例では、内溶液Lの注出後、容器本体2を傾けて前後左右にわずかに移動させるだけで、内溶液Lの塗布範囲を容易且つ衛生的に拡大させることができるようになる。しかも、引き伸ばし部15は可撓性を有することから、吐出孔16の中心方向に容易に撓んでソフトな肌触り感触を与えるため、使用者に与える痛みを緩和できる。
また引き伸ばし部15は皮膚等にフィットしやすく、内溶液Lを効率良く引き伸ばすことが可能であるため、内溶液Lの塗布面積をより広範囲とすることができる。
【0045】
図7は本発明の第2実施例として、キャップを外した状態の塗布容器を示す斜視図、図8は第2実施例としての塗布容器の頭部を拡大して示すものであり、右半分は側面図、左半分は図7のVIII−VIII線矢視相当半断面図である。
【0046】
第2実施例に示す塗布容器1が、第1実施例に示す塗布容器1と異なる点は、引き伸ばし部15の構成にあり、その他の構成は上記第1実施例と同様である。よって、以下の説明では主に第1実施例と異なる点を説明する。なお同一の部材については同一の符号を付して説明する。
【0047】
図7及び図8に示すように、第2実施例として示す塗布容器1の引き伸ばし部15は、中栓体10のノズル部12の側面側に基部15aを有し、この基部15aから先端部15bが側方に向かうへら状(スキージ状ともいう)の部位として構成される。
【0048】
第2実施例においても、中栓体10は、軟質な合成樹脂材料からなる内層部10Aとそれよりも硬質な合成樹脂材料からなる外層部10Bとが二色成形法により積層されて一体に形成されており、内層部10Aの一部がノズル部12表面の外部(外層部10Bの外部)に延出しており、この側方に延出した部分が引き伸ばし部15となっている。第2実施例における引き伸ばし部15も可撓性を有し、その先端部15bはソフトな肌触り感触を与えるもので、第1実施例同様の効果を奏するものである。
【0049】
図9は本発明の第3実施例としての塗布容器の頭部を拡大して示す図8同様の側面図及び半断面図である。
第3実施例に示す塗布容器1が、第1実施例に示す塗布容器1と異なる点も引き伸ばし部15の構成にあり、その他の構成は上記第1実施例と同様である。
【0050】
図9に示すように、第3実施例として示す塗布容器1の引き伸ばし部15は、中栓体10のノズル部12の側面側に基部15aを有し、この基部15aから先端部15bが側方に向かって延びる複数の櫛歯片15Aからなる櫛歯状の部位として構成される。
【0051】
第3実施例においても、中栓体10は、軟質な合成樹脂材料からなる内層部10Aとそれよりも硬質な合成樹脂材料からなる外層部10Bとが二色成形法により積層されて一体に形成されており、内層部10Aの一部がノズル部12表面の外部(外層部10Bの外部)に延出しており、この側方に延出した部分が引き伸ばし部15となっている。第3実施例における引き伸ばし部15も、上記同様に可撓性を有し、その先端部15bはソフトな肌触り感触を与えるもので、第1実施例同様の効果を奏するものである。
【0052】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
例えば上記実施例では、拡径状、へら状及び櫛歯状の引き伸ばし部15を示して説明したが、その他の形状であってもよい。
【0053】
また上記各実施例では、拡径状、へら状及び櫛歯状等からなる引き伸ばし部15の色については特に言及していないが、引き伸ばし部15を中栓体10のノズル部12の表面(外層部10B)の色とは異なる色で着色すると、引き伸ばし部15の存在を視覚的に使用者に認識させて知らしめることにより、消費者の購買意欲を刺激することができる点で好ましい。
このように引き伸ばし部15に着色を施す場合には、内層部10Aと外層部10Bとを同材質で形成してもよい。
【0054】
なお、内溶液Lの塗布範囲の拡張を図る上ではキャップ30は必須の構成要件ではないが、衛生面の向上、揮発及び液漏れの防止の観点からキャップ30を設けた構成が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、注出後の内溶液の塗布範囲を衛生的且つ効率的に広げるため塗布容器の分野における用途展開をさらに広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 ; 塗布容器
2 ; 容器本体
3 ; 口筒部
4 ; 雄ねじ
10 ; 中栓体
10A; 内層部
10B; 外層部
11 ; 組付部
12 ; ノズル部
13 ; 中段部
14 ; 窓部
15 ; 引き伸ばし部
15a; 基部(引き伸ばし部)
15b; 先端部(引き伸ばし部)
15A; 櫛歯片
16 ; 吐出孔
17 ; 傾斜面
20 ; 弁体
21 ; ベース部
22 ; ばね片
23 : 弁部
24 ; 突出部
30 ; キャップ
31 ; キャップ下部
32 ; 雌ねじ
33 ; 収納スペース
L ; 内溶液
S1 ; 下部シール部
S2 ; 上部シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内溶液が充填された容器本体(2)と、該容器本体(2)の口筒部(3)に組み付けられる組付部(11)及び先端面に内溶液を注出する吐出孔(16)が穿設されたノズル部(12)を備えた中栓体(10)と、前記中栓体(10)の内側に設けられ且つ前記吐出孔(16)を閉塞する弁部(23)及び該弁部(23)を閉塞方向に付勢するばね片(22)を有する弁体(20)と、前記ノズル部(12)の側面から側方の位置に延出される可撓性の引き伸ばし部(15)と、を備えることを特徴とする塗布容器。
【請求項2】
二色成形法により、外層部(10B)と前記外層部(10B)よりも軟質な合成樹脂材料からなる内層部(10A)とで中栓体(10)を一体に形成し、前記内層部(10A)の一部を引き伸ばし部(15)とした請求項1記載の塗布容器。
【請求項3】
弁体(20)のベース部(21)が、組付部(11)の内面を形成する内層部(10A)に密着して固定されており、前記弁体(20)の弁部(23)がノズル部(12)先端の吐出孔(16)を形成する内層部(10A)を付勢して前記吐出孔(16)を閉塞する請求項2記載の塗布容器。
【請求項4】
引き伸ばし部(15)を、先端に向かうに従って徐々に広がる拡径状とした請求項1乃至3のいずれか一項に記載の塗布容器。
【請求項5】
引き伸ばし部(15)を、へら状またはスキージ状とした請求項1乃至3のいずれか一項に記載の塗布容器。
【請求項6】
引き伸ばし部(15)を、櫛歯状とした請求項1乃至3のいずれか一項に記載の塗布容器。
【請求項7】
引き伸ばし部(15)を、中栓体(10)の表面の色とは異なる色で着色した請求項1乃至6のいずれか一項に記載の塗布容器。
【請求項8】
中栓体(10)、引き伸ばし部(15)及び弁体(20)を収納するキャップ(30)を設けた請求項1乃至7のいずれか一項に記載の塗布容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−95466(P2013−95466A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239175(P2011−239175)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】