説明

塗布装置

本発明は、流れている面にペースト状の塗布媒体である少なくとも2つの液体を片面又は両面に塗布するための装置(10)に関する。前記装置は、塗布媒体を塗布するのに使用されるカーテン塗布システム(13)を有する。カーテン塗布システム(13)は、基本的に重力によって動くカーテン(11、12)として、塗布媒体を流れている面に供給し、この面は、直接塗布中は、材料のウェブ(102)、特に紙又はボール紙の面である。この面は、間接塗布中は、塗布媒体が材料のウェブ(102)の面に転写する、転写要素、好ましくは塗布シリンダーの面である。先行技術より知られているカーテン塗布システム(13)によれば、すべての塗布媒体は、共通のトレイに収集されて、別の被覆には使用され得ない。本発明の目的は、さらに、塗布媒体が塗布後にも再使用され得るように前記装置を改良することである。前記装置によれば、収集された塗布媒体(22、23)を分離するのに使用される収集装置(16)が、カーテン塗布システム(13)と材料のウェブ(102)との間に配置される。カーテン塗布システム(13)及び収集装置(16)は、互いに移動し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布媒体を塗布するためのカーテンアプリケータを備えた、動いている面の片側又は両側にペースト状の塗布媒体である少なくとも2つの液体を塗布する装置に関し、このカーテンアプリケータは、実質的に重力によって動くカーテンとして動いている面に塗布媒体を排出し、この面とは、直接塗布の場合には、材料ウェブの、特に紙又は厚紙の面であり、間接塗布の場合には、材料ウェブの面に塗布媒体を転写する、転写要素の面、たとえばアプリケータロールである。
【背景技術】
【0002】
複数の塗布媒体が塗布され得る、このようなカーテンアプリケータが、一般に、先行技術より知られている。これらの知られているカーテンアプリケータにおいては、塗布媒体は、トレイによりまとめて収集される。トレイは、カーテンアプリケータと動いている面との間に配置され、したがって、カーテンアプリケータを始動する又は停止する場合に、或いは動いている面に被覆されない縁を作るために使用される。塗布媒体は、トレイによりまとめて収集されるために、トレイ内で混合する。したがって、さらに被覆するための高価な塗布媒体は使用され得ない。塗布媒体を互いに分離するには、非常に複雑な方法で実施するしかなく、したがって高価なものとなる。したがって、混合された塗布媒体を処分しなければならなくなり、費用がさらに高いものとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、塗布媒体をそれぞれ収集した後にも将来再び使用でき、かつもはや処分する必要がないという点において、冒頭で説明した種類の装置を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、冒頭で説明した種類のカーテンアプリケータにより上記目的を達成するものであり、本発明によれば、それぞれの塗布媒体を別々に収集するための収集装置が、カーテンアプリケータと材料ウェブとの間に設けられ、カーテンアプリケータ及び収集装置は互いに動くことができる。収集装置が様々な塗布媒体を別々に収集するので、塗布媒体はもはや混合し得ない。したがって、さらなる被覆操作に再び使用でき、もはや処分する必要がない。この結果、塗布媒体の高い調達費用が減少し、処分費用が不要となる。
【0005】
排出装置が、収集装置上に配置され得る。次いで、収集された塗布媒体は、被覆操作で再び利用するために収集装置から取り出され得る。
【0006】
収集装置から排出装置に塗布媒体を送ることができるようにするために、収集装置には、排出装置に塗布媒体を送るための排出開口部が付けられ得る。
【0007】
収集装置が排出開口部の上に配置された斜面を有する場合、塗布媒体は、斜面を介して排出開口部に導かれ得る。
【0008】
収集装置により塗布媒体を別々に収集し得るために、収集装置は、複数の互いに隣接した区画に細分でき、その区画のそれぞれが、1つの塗布媒体のみを保持する。
【0009】
収集装置の互いに隣接した区画は、分離要素により互いに分離され得る。このことにより、様々な塗布媒体が確実に混合しなくなる。
【0010】
1つの区画内の排出開口部は、隣接区画の斜面に隣接している。次いで、区画の1つによって取り込まれた塗布媒体は、この区画の排出開口部内に流れ込み、排出装置に送られるよう、排出開口部に隣接している隣接区画の斜面の下を流れ得る。このようにして、斜面は、交差している塗布媒体が互いに混合することなく、様々な塗布媒体が交差し得るというさらなる機能を果たす。
【0011】
収集装置から来た塗布媒体を互いに別々に取り出すために、排出装置は、排出板を備え得る。その端部に、それぞれの塗布媒体用の別個の排水路が配置される。
【0012】
様々な塗布媒体を排出板上で混合させないために、排出板は、それぞれの塗布媒体用に少なくとも1つの別個の水路を備え得る。
【0013】
排出板の水路は、排出板の端部に横に並んで置かれた排水路の少なくとも1つに橋絡し得る。次いで、排出板の橋絡水路内を運ばれる塗布媒体の1つが、排出板から排水路への移行部で他の塗布媒体の少なくとも1つと交差する。このような交差により、2つの塗布媒体が混合する可能性が確実に排除される。
【0014】
排出板上で塗布媒体が混合する可能性を確実に排除するためには、水路が金属板により互いに分離されることが好ましい。
【0015】
排出板は、塗布媒体をできる限り素早く運び去ることができるようにするために、勾配を有し得る。少なくとも5度の勾配で、十分な排出の流れが達成される。
【0016】
塗布媒体は、駆動装置が置かれた側に運び去られ得ることが好ましい。次いで、装置は、オペレータの机のある他方の側から、オペレータの机にいる操作者により自由に監視され得る。しかし、基本的に、塗布媒体は、装置の両側に運び去られ得る。
【0017】
収集装置及び排出装置は、一体に形成され得る。この結果、収集装置と排出装置とを有するユニット全体が寸法的に非常に安定し、したがって塗布媒体の確実な排出が実現される。
【0018】
しかし、別の実施形態においては、収集装置と排出装置とは別個の構成要素であり得る。この場合、被覆操作を始める又は終了するために、収集装置のみを取り外せば良い。したがって、排出装置及び排出装置に接続された排出ホースが定位置に留まっていることができるので、全体的に、より小さい質量しか動かさずに済む。この場合、収集装置には、比較的小さい駆動装置しか必要でない。その上、収集装置をカーテンの下でより素早く動かし得る、又は動かすべき質量がより小さい場合にはカーテンの下から離し得る。
【0019】
収集装置は、材料ウェブの長手方向において反対方向に動かされ得る2つの区画を有し得る。次いで、被覆操作が開始した又は終了した時に塗布媒体がわずかに混合する可能性が、完全に排除される。しかし、被覆操作の開始時又は終了時にこれらの区画が同じ方向に動かされた場合、塗布媒体がわずかに混合する。
【0020】
特定の実施形態においては、これらの区画の間に配置された分離要素は、様々な区画に塗布媒体を偏向するための偏向装置を備え得る。次いで、被覆操作の開始時又は終了時に、塗布媒体がわずかに混合する可能性が確実に排除される。何故なら、偏向装置は、収集装置が動かされる時に、このために設けられた区画へと各塗布媒体を偏向するからである。偏向装置は、枢転し得ることが好ましく、したがってこのために設けられた区画へと塗布媒体を最適な形で伝えるために、移動方向及び移動距離全体に適切に枢転し得る。
【0021】
下部の収集装置が材料ウェブの下に設けられた場合、塗布媒体はまた、材料ウェブが破れた時にも収集され得る。材料ウェブが破れた時には、可動収集装置はカーテンの下で十分に素早く動されし得ないので、下部の収集装置は特に好ましいものである。
【0022】
本発明の発展形態においても同様に、下部の収集装置により、塗布媒体が別々に収集され得る。
【0023】
1つの好ましい実施形態においては、下部の収集装置は、塗布媒体を別々に収集できるようにするために、それぞれの塗布媒体用に別個の水路を備える。
【0024】
塗布媒体の望ましくない混合を確実に排除するために、水路は、たとえば分離要素により、互いに分離され得る。
【0025】
以下、添付図面を使用して、本発明による装置の例示的実施形態についてより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、カーテン11及び12を形成する、2つの塗布媒体を塗布する装置10を示している。塗布媒体は、被覆される材料ウェブ102全体を横切る方向に延在するカーテンアプリケータ13により、材料ウェブ102に(本明細書においては直接)塗布される。カーテン11及び12の下に、アプリケータ13と同様に、横切る方向Qに延在する、2つの区画14及び15を有する収集装置16が配置される。収集装置16はカーテン11及び12をそれぞれ区画14及び15に形成する塗布媒体を収集する。収集装置16がそれぞれの塗布媒体を別々に収集するので、塗布媒体は混合し得ない。収集された塗布媒体は、収集装置16から材料ウェブ102の長手方向に延在する排出装置17へと通過する。排出装置17は、さらなる被覆操作に再び使用できるようにするために、収集された塗布媒体を運び去る。排出装置17は、排出板18を備え、この端部に、それぞれの塗布媒体用の別個の排水路19及び100が配置される。塗布媒体をできる限り素早く運び去ることができるようにするために、排出板18は勾配を有する。
【0027】
被覆操作の開始時又は終了時に、材料ウェブ102の上に配置された収集装置16は、材料ウェブ102の長手方向に動かされ得る。さらなる実施形態においては、収集装置16及び排出装置17は一体に形成され得る。次いで、収集装置16及び排出装置17は、共に動かされ得る。別の実施形態においては、カーテンアプリケータ13は、材料ウェブ102に沿って動かされ得るので、被覆操作の開始時又は終了時に収集装置16及び排出装置17を動かす必要がない。
【0028】
材料ウェブ102の下に、下部の収集装置101が配置される。下部の収集装置101は、材料ウェブ102が破れた後に、塗布媒体を収集する。下部の収集装置101を使用して、複数の塗布媒体が同様に別々に収集され得ることが好ましい。このため、下部の収集装置101には、それぞれの塗布媒体用の別個の水路が装備され得る。
【0029】
図2は、収集装置20及び排出装置21の特有の実施形態を示している。点線で示されている塗布媒体22及び鎖線で示されている塗布媒体23が、カーテンアプリケータ204から、材料ウェブの走る方向に順に配置された2つの区画24及び25を有する収集装置20内に降下する。区画24及び25は、塗布媒体22及び23が混合するのを防止するための分離要素28を備える。その上、区画24及び25には、排出開口部26が設けられる。排出開口部26により、塗布媒体22及び23は排出装置21に送られ得る。区画24及び25には斜面27が付けられる。斜面27は、排出開口部26に塗布媒体22及び23を送る。その上、区画24に降下する塗布媒体22は、隣接区画25の斜面27の下を排出装置21を通って流れ得る。したがって、斜面27は、塗布媒体22及び23が交差することは可能であるが、交差している塗布媒体22及び23が互いに混合することはないという点において、さらなる機能を果たす。勿論、斜面の代わりに、湾曲した形状でも良い。
【0030】
排出装置21は排出板201を備える。排出板201には、塗布媒体22が逃げる水路29と、塗布媒体23が逃げる水路200とが設けられる。したがって、塗布媒体22及び23のそれぞれが別々に運び去られ得る。排出板201の端部に、排水路202及び203が設けられ、ここから、塗布媒体22及び23が別々に運び去られる。
【0031】
材料ウェブ102の走る方向Lに走る水路200は、横切る方向Qに延在する排水路202に橋絡する。したがって、塗布媒体23は、排出板201から排水路203への移行部で塗布媒体22と交差する。このような交差により、2つの塗布媒体が混合する可能性が確実に排除される。
【0032】
排水路202及び203は、材料ウェブ102の長手方向を横切る方向に塗布媒体22及び23を運び去る。塗布媒体22及び23がここを通って貯蔵容器に供給される排出ホース205(本明細書では図3にのみ示されている)が、排水路202及び203に接続され得る。
【0033】
さらに、図3は、装置10を横切る方向から見て、排水路19、100、202、203が横に並んで配置された装置10を示している。これらの排水路19、100、202、203のそれぞれが、互いに別々に、収集装置16、20の各区画14、15、24、25によって収集されて、それぞれ排出板18及び201に送られた塗布媒体22、23を取り込み、媒体は、ここから装置10の外部に排出される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による装置を示す概略図である。
【図2】排出装置を備えたカーテンアプリケータを示す透視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布媒体(22、23)を塗布するためのカーテンアプリケータ(13、204)を備えた、動いている面の片側又は両側にペースト状の前記塗布媒体(22、23)である少なくとも2つの液体を塗布する装置(10)であり、
前記カーテンアプリケータ(13、204)が、実質的に重力により動くカーテン(11、12)として、前記動いている面に前記塗布媒体(22、23)を排出し、前記面が、直接塗布の場合には、材料ウェブ(102)の、特に紙又は厚紙の面であり、間接塗布の場合には、前記材料ウェブ(102)の面に前記塗布媒体を転写する、転写要素の面、たとえばアプリケータロールである装置(10)であって、
それぞれの塗布媒体(22、23)を別個に収集するための収集装置(16、20)が、前記カーテンアプリケータ(13、204)と前記材料ウェブ(102)との間に設けられ、前記カーテンアプリケータ(13、204)及び前記収集装置(16、20)が、互いに動かされ得ることを特徴とする装置(10)。
【請求項2】
前記収集装置(16、20)に、排出装置(17、21)が割り当てられることを特徴とする請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記収集装置(16、20)が、前記排出装置(17、21)に前記塗布媒体(22、23)を送るための排出開口部(26)を有することを特徴とする請求項2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記収集装置(16、20)に、前記塗布媒体(22、23)を前記排出開口部(26)に導くために、前記排出開口部(26)の上に配置された斜面(27)が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記収集装置(16、20)が、複数の互いに隣接した区画(14、15、24、25)に細分され、前記区画(14、15、24、25)のそれぞれが、1つの塗布媒体(22、23)のみを保持することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記互いに隣接する区画(14、15、24、25)が、分離要素(28)により互いに分離されることを特徴とする請求項5に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記互いに隣接する区画(14、15、24、25)が、流れ方向を横切る方向において互いに接触する、湾曲した長手方向の壁面を有する水路の形で構築され、したがって前記分離要素(28)を形成することを特徴とする請求項5に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記1つの区画(14、15、24、25)の前記排出開口部(26)が、前記隣接区画(14、15、24、25)の排出開口部(26)からずれていることを特徴とする請求項5又は6に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記排出装置(17、21)が排出板(18、201)を備え、その端部に、それぞれの塗布媒体(22、23)用の別個の排水路(19、100、202、203)が配置されることを特徴とする請求項2〜8のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記排出板(18、201)が、それぞれの塗布媒体(22、23)用の少なくとも1つの別個の水路(29、200)を備えることを特徴とする請求項8に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記排出板(201)の少なくとも1つの水路(200)が、前記排水路(19、202)の少なくとも1つに橋絡することを特徴とする請求項10に記載の装置(10)。
【請求項12】
前記排水路(19、100、202、203)が、前記装置(10)を横切る方向に見て、横に並んで配置され、該排水路(19、100、202、203)のそれぞれが、互いに別々に、前記収集装置(16、20)の前記各区画(14、15、24、25)から前記塗布媒体(22、23)を取り込み、前記装置(10)の外部に排出することを特徴とする請求項10に記載の装置(10)。
【請求項13】
前記水路(29、200)が、互いに別々に製作される、又は1列に並んだ所望の水路断面形状を有することを特徴とする請求項10又は11に記載の装置(10)。
【請求項14】
前記排出板(18、201)又は前記水路(29、200)及び少なくとも前記排水路(100)が、勾配を有することを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項15】
前記塗布媒体(22、23)が、駆動装置(駆動装置側)が置かれた側に運び去られ得ることを特徴とする請求項2〜14のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項16】
前記収集装置(16、20)及び前記排出装置(17、21)が、一体に形成されることを特徴とする請求項2〜15のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項17】
前記収集装置(16、20)及び前記排出装置(17、21)が、別個の構成要素であることを特徴とする請求項2〜16のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項18】
前記収集装置(16、20)が、前記材料ウェブ(102)の長手方向の反対方向に動かされ得る2つの区画(14、15、24、25)を有することを特徴とする請求項5〜17のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項19】
下部の収集装置(101)が、前記材料ウェブ(102)の下に配置されることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項20】
前記塗布媒体(22、23)が、前記下部の収集装置(101)により別々に収集され得ることを特徴とする請求項19に記載の装置(10)。
【請求項21】
前記下部の収集装置(101)が、それぞれの塗布媒体(22、23)用の別個の水路を有することを特徴とする請求項20に記載の装置(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−514530(P2007−514530A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544435(P2006−544435)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053490
【国際公開番号】WO2005/058511
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(300080412)ボイス ペ−パ− パテント ゲ−エムベ−ハ− (25)
【Fターム(参考)】