説明

塗装仕上げ方法

【課題】優れた調湿性能と、有害ガスの吸着・分解・再放出防止機能を有するとともに、吸水防止性、汚れ防止性等の性能を併せもつ内装仕上げ方法を提供する。
【解決手段】吸放湿量が50g/m以上の吸放湿層上に、少なくとも化学物質吸着剤及び光触媒物質を含み、水蒸気透過度100g/m・24h以上の塗膜を形成する透湿性塗材を塗付した後、シリコーンエマルション(A)及び前記(A)成分以外の合成樹脂エマルション(B)を含有し、(A)成分と(B)成分との固形分重量比率が95:5〜5:95である上塗塗料を塗付する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物内装面の塗装仕上げ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、快適な居住空間に対する関心が高まっている。これに関し、壁、天井等の内装面の表面仕上げにおいては、結露防止やカビ発生防止、あるいは湿度の調整による不快感抑制、等の効果が発揮可能な調湿性仕上げへの期待が高まっている。
例えば、特公昭62−15108号公報(特許文献1)には、特定粒子径の合成樹脂エマルションと珪藻土とを必須成分とする調湿性塗材を用いて、内装面を塗装することが開示されている。
【0003】
ところで、近年、室内環境においてはシックハウス問題等が社会的にクローズアップされている状況であり、各種有害ガスの拡散防止が求められている。このような有害ガスとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、トリメチルアミン等が挙げられる。上述の特許文献では、珪藻土等の吸放湿性材料が使用されている。このような吸放湿性材料は、有害ガスの吸着性能をある程度有することも知られており、室内環境の改善に有効な成分として期待できる。
しかしながら、上述の特許文献による内装仕上げでは、吸放湿性材料の吸着性能が飽和状態に達すると、それ以上有害ガスを吸着することはできず、吸着効果に限界がある。また、一旦吸着された有害ガスが、再度室内空間へ放出されるおそれもある。このような有害ガスの再放出は、室内環境向上の妨げとなる。
【0004】
このような問題に加え、上述の特許文献に記載の如き塗材による塗膜表面は、一般に、水分を吸収しやすい性質を有している。そのため、塗膜表面に水分が付着すると、早期に表面から内部へ水分が吸収拡散される。水分中に水溶性成分や分散成分等が含まれる場合は、これらの成分も塗膜内部に吸収拡散される。さらに、水分中の物質が変色性や着色性を有する場合は、水分が付着した部分の変色や、染みの発生が問題となる。
これに対し、吸放湿性塗膜の上にクリヤー塗料を塗装する方法があるが、この方法では、吸放湿性塗膜の質感が損われたり、吸放湿性が阻害されたり、あるいは塗膜の膨れが発生しやすくなる等の問題が生じる。
特許文献2では、吸放湿性基材に対して適用可能な上塗塗料が記載されている。しかしながら、該公報に記載の上塗塗料は、クレーや炭酸カルシウム等の体質顔料を多量に含むため、吸放湿性基材の色彩を隠ぺいし、意匠性を低下させるものである。また、形成された塗膜は、水分を吸収しやすく、塗膜変色を引き起こすおそれもある。
【0005】
【特許文献1】特公昭62−15108号公報
【特許文献2】特開平9−136366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたものであり、優れた調湿性能と、有害ガスの吸着・分解・再放出防止機能を有するとともに、吸水防止性、汚れ防止性等の性能を併せもつ内装仕上げ方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行なった結果、吸放湿層の上に特定の透湿層及び特定の上塗層を順に塗付することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
【0008】
1.建築物内装面の塗装仕上げ方法であって、吸放湿量が50g/m以上の吸放湿層上に、少なくとも化学物質吸着剤及び光触媒物質を含み、水蒸気透過度100g/m・24h以上の塗膜を形成する透湿性塗材を塗付した後、
シリコーンエマルション(A)及び前記(A)成分以外の合成樹脂エマルション(B)を含有し、(A)成分と(B)成分との固形分重量比率が95:5〜5:95である上塗塗料を塗付することを特徴とする塗装仕上げ方法。
2.透湿性塗材が、結合剤を固形分で100重量部、平均粒子径0.01〜5mmの骨材を100〜4000重量部、化学物質吸着剤を0.1〜100重量部、及び光触媒物質を0.1〜50重量部含むものであることを特徴とする1.記載の塗装仕上げ方法。
【発明の効果】
【0009】
上記1.の方法で得られる内装仕上げ面では、有毒ガスの大半は吸湿時に透湿性塗膜で吸着・分解される。仮に有毒ガスが透湿性塗膜を通過して吸放湿層に到達した場合であっても、これらは放湿時に透湿性塗膜で吸着・分解される。すなわち、透湿性塗膜は有害ガスのフィルターとして効果的に作用する。しかも、上記1.では、特定組成の上塗塗料によって上塗層を形成することにより、下層の質感や吸放湿性能を損うことなく、吸水防止性、汚れ防止性等の性能を付与することができる。
したがって、上記1.の発明によれば、優れた調湿性能と、有害ガスの吸着・分解・再放出防止機能を有するとともに、吸水防止性、汚れ防止性等の性能を併せもつ内装仕上げ面が得られる。
上記2.の発明では、結合剤、特定粒径の骨材、化学物質吸着剤、及び光触媒物質を特定比率で含む透湿性塗材を採用することにより、有害ガスの吸着・分解効果、再放出抑制効果をいっそう高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0011】
本発明は、建築物の内装仕上げに適用するものである。具体的には、住宅、マンション、学校、病院、店舗、事務所、工場、倉庫、食堂等における壁、間仕切り、扉、天井等の塗装仕上げに適用できる。
適用可能な基材としては、例えば、石膏ボード、合板、コンクリート、モルタル、磁器タイル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、石綿セメント板、ALC板、サイディング板、押出成形板、鋼板、プラスチック板等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー等)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたものや、既に壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。
【0012】
本発明における吸放湿層は、50g/m以上、好ましくは70g/m以上、より好ましくは100g/m以上の吸放湿量を有するものである。このような吸放湿層を設けることによって、室内空間において十分な調湿効果を得ることができる。吸放湿量の上限は特に限定されないが、通常は500g/m以下(好ましくは300g/m以下)程度である。
なお、吸放湿層の吸放湿量は、吸放湿層の裏側面をアルミニウム粘着テープでシールした後、JIS A6909:2003「建築用仕上塗材」7.32.2の手順によって測定される値である。
【0013】
本発明において、基材がこのような吸放湿性能を有する場合は、基材に対し直接後述の透湿性塗材を塗付することができる。基材が十分な吸放湿性能を有さない場合は、基材に対し吸放湿性塗材を塗付して吸放湿層を形成することが望ましい。このような吸放湿性塗材を使用することによって、室内空間において十分な調湿効果を得ることができる。
【0014】
吸放湿性塗材は、上記吸放湿性能を有する限り、その組成は特に制限されないが、結合剤100重量部(固形分)に対し、吸放湿性粉粒体を20〜2000重量部含むものが好適である。
【0015】
結合剤としては、有機質樹脂が好適である。有機質樹脂としては、例えば水溶性樹脂、水分散性樹脂、溶剤可溶形樹脂、無溶剤形樹脂、非水分散形樹脂、粉末樹脂等の各種結合剤、あるいはこれらを複合化したもの等を使用することができる。このうち、本発明では水分散性樹脂(樹脂エマルション)が好適である。水分散性樹脂としては、その平均粒子径が50μmを超え(好ましくは80μm超、より好ましくは100μm超)、かつ500μm未満(好ましくは400μm未満、より好ましくは300μm未満)であるものが、調湿性能の点で好適である。なお、水分散性樹脂の平均粒子径は、動的光散乱法により測定される値であり、具体的には、動的光散乱測定装置として、マイクロトラック粒度分析計(例えば、UPA150、日機装株式会社製)を用い、検出された散乱強度をヒストグラム解析法のMarquardt法により解析した値である(測定温度は25℃)。
結合剤として使用可能な有機質樹脂の種類としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等が挙げられ、特にアクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等が好適である。
【0016】
このような有機質樹脂は、塗膜形成後に架橋反応を生じる性質を有するものであってもよい。吸放湿性塗材における有機質樹脂が架橋反応性を有することにより、吸放湿性、耐水性、耐薬品性等の諸物性を高めることができる。具体的に架橋反応としては、例えばカルボキシル基と金属イオン、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基、等の組み合わせが挙げられる。
【0017】
結合剤として有機質樹脂を使用する場合、そのガラス転移温度は、通常−50〜80℃、好ましくは−30〜50℃、より好ましくは−20〜30℃である。ガラス転移温度がこのような範囲内であれば、塗膜に可撓性が付与され、基材への追従性を高めることができる。なお、本発明におけるガラス転移温度は、有機質樹脂を構成するモノマーの種類とその構成比率から、Foxの計算式によって求められる値である。
【0018】
吸放湿性粉粒体としては、例えば、ベーマイト、シリカゲル、ゼオライト、硫酸ナトリウム、アルミナ、アロフェン、珪藻土、珪質頁岩、セピオライト、アタバルジャイト、モンモリロナイト、ゾノライト、イモゴライト、大谷石粉、活性白土、木炭、竹炭、活性炭、木粉、貝殻粉、多孔質合成樹脂粒等が使用できる。吸放湿性粉粒体の平均粒子径は、通常0.001〜1mm、好ましくは0.01〜0.1mm、より好ましくは0.01〜0.09mmである。
このような吸放湿性粉粒体は、温度20℃・相対湿度90%における吸湿率が、通常10%以上、好ましくは20%以上の性能を有するものである。なお、温度20℃・相対湿度90%における吸湿率とは、試料を温度20℃・相対湿度45%の恒温恒湿器にて24時間乾燥した後、温度20℃・相対湿度90%の恒温恒湿器にて24時間吸湿させたときの重量変化より求められる値である。すなわち、
吸湿率(%)={(吸湿後の重量−乾燥後の重量)/乾燥後の重量}×100
【0019】
吸放湿性粉粒体の構成比率は、結合剤100重量部(固形分)に対し、通常20〜2000重量部、好ましくは100〜1500重量部、より好ましくは200〜1000重量部とする。吸放湿性粉粒体の構成比率が小さすぎる場合は、十分な調湿性能を得ることが困難となる。また、防火性の点においても不利となる。吸放湿性粉粒体の構成比率が大きすぎる場合は、塗膜の強度や可撓性が不十分となる。
【0020】
さらに、吸放湿性塗材においては骨材を含むこともできる。骨材の平均粒子径は、通常0.01〜5mm、好ましくは0.05〜2mm、より好ましくは0.1〜1mmのものが好適である。このような骨材を使用することにより、調湿性能をいっそう高めることができる。なお、骨材の平均粒子径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行い、その重量分布の平均値を算出することによって得られる値である。
骨材の種類は特に限定されず、天然品、人工品のいずれも使用することができる。具体的には、例えば、重質炭酸カルシウム、寒水石、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、バライト粉、珪砂、砂利、ガラスビーズ、樹脂ビーズ、金属粒、あるいは岩石、ガラス、陶磁器、焼結体、コンクリート、モルタル、プラスチック、ゴム、貝殻等の破砕品等が挙げられる。これらに着色を施したものも使用することができる。
【0021】
骨材の構成比率は、結合剤100重量部(固形分)に対し、通常50〜2500重量部、好ましくは100〜2000重量部、より好ましくは300〜1500重量部とする。骨材比率が小さすぎる場合は、調湿性能の向上効果が得られない。骨材比率が大きすぎる場合は、骨材が脱離しやすくなる。また、可撓性を付与することが困難となる。
なお、上述の骨材の温度20℃・相対湿度90%における吸湿率は、通常10%未満、好ましくは3%以下である。
【0022】
吸放湿性塗材は、上記成分を公知に方法によって均一に混合することで製造することができるが、必要に応じ通常塗材に使用可能なその他の成分を混合することもできる。このような成分としては、例えば、顔料、繊維、可塑剤、抗菌剤、防黴剤、防虫剤、難燃剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0023】
吸放湿性塗材の塗付方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、コテ塗り、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等が可能である。
乾燥塗膜の厚みは、本発明の効果が発揮可能である範囲内で適宜設定することができるが、通常は0.2〜5mm(好ましくは0.5〜4mm、より好ましくは0.8〜4mm)とすればよい。
塗付時には、水等で希釈することによって、塗材の粘性を適宜調製することもできる。希釈割合は、通常0〜20重量%程度である。
【0024】
本発明における透湿性塗材は、水蒸気透過度50g/m・24h以上、好ましくは70g/m・24h以上、より好ましくは100g/m・24h以上の塗膜を形成するものである。さらに、透湿性塗材は、少なくとも化学物質吸着剤及び光触媒物質を必須成分として含むものである。本発明では、上述の吸放湿層の上に、このような透湿性塗材を塗付することによって、優れた調湿性能と、有害ガスの吸着・分解性能が得られ、さらには有害ガスの再放出を十分に抑制することができる。
透湿性塗材における水蒸気透過度の上限は、通常2000g/m・24h以下、好ましくは1500g/m・24h以下、より好ましくは1000g/m・24h以下である。水蒸気透過度がこのような範囲内であれば、有毒ガスの吸着・分解性、再放出防止性等の点において好適である。
なお、本発明における水蒸気透過度は、JIS K5400:1990「塗料一般試験方法」8.17によって測定される値である。
【0025】
透湿性塗材における化学物質吸着剤は、有害ガス(例えば、ホルムアルデヒド、アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、トリメチルアミン等)の吸着、再放出防止に有効な成分である。この化学物質吸着剤は、透湿層が有害ガスのフィルターとして効果的に作用するための必須成分である。化学物質吸着剤としては、例えばアミン化合物、尿素化合物、アミド化合物、イミド化合物、ヒドラジド化合物、アゾール化合物、アジン化合物、層状リン酸化合物、アルミノ珪酸塩等が挙げられる。この中でも、層状リン酸化合物、アルミノ珪酸塩から選ばれる1種以上が好適である。このような化学物質吸着剤の平均粒子径は、通常0.5〜100μm(好ましくは1〜50μm)程度である。
【0026】
層状リン酸化合物としては、層状リン酸ジルコニウム、層状リン酸亜鉛、層状リン酸チタン、層状リン酸アルミニウム、層状リン酸マグネシウム、層状リン酸セリウム等が挙げられ、これら層状リン酸化合物にアミン化合物がインターカレートされたもの好適である。アミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、アニリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、プロピレンジアミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン等が挙げられる。
アルミノ珪酸塩としては、亜鉛、銅、銀、コバルト、ニッケル、鉄、チタン、バリウム、スズ及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の金属とアルミニウムと珪素の複合酸化物が挙げられる。
【0027】
透湿性塗材における光触媒物質は、有害ガスの分解、再放出防止に有効な成分である。さらに、塗膜に付着した汚染物質(タバコのヤニ等)を分解する性能も有する。光触媒物質としては、例えばTiO、ZnO、Bi、BiVO、SrTiO、CdS、InP、InPb、GaP、GaAs、BaTiO、BaTiO、BaTi、KNbO、Nb、Fe、Ta、Ta、KTaSi、WO、SnO、NiO、CuO、SiC、MoS、RuO、CeO等の他、これらと金属、金属酸化物、層状化合物等との複合体等が挙げられる。このような光触媒物質の平均粒子径は、通常0.001〜1μm(好ましくは0.01〜0.5μm)程度である。
なお、光触媒物質として、吸放湿性粉粒体に光触媒物質を担持したものは、吸湿によって光触媒作用が阻害されるおそれがあるため、使用しないほうがよい。
【0028】
透湿性塗材において、光触媒物質を使用せずに化学物質吸着剤のみを使用した場合は、有害ガスの吸着量に限界が生じ、吸着能を超える効果を期待することができない。
逆に、光触媒物質のみを使用した場合、有害ガスの分解効果を得るには、光触媒物質の構成比率を十分に増やして、有害ガスが光触媒物質に接触する確率を高めなければならない。しかし、光触媒物質を増量すると、結合剤の早期劣化を招いてしまう。また、透湿性塗材の色彩が制限される、あるいはコスト高となる等の問題が生じる。すなわち、光触媒増量には実用上限界がある。
本発明では、化学物質吸着剤と光触媒物質を併用することによって、有害ガスの吸着・分解・再放出防止において実用的な性能を得ることができ、透湿性塗膜の有害ガスフィルター効果を十分に発揮させることができる。
【0029】
本発明における透湿性塗材としては、結合剤、平均粒子径0.01〜5mmの骨材、化学物質吸着剤、及び光触媒物質を必須成分とするものが好適である。このような透湿性塗材を採用することにより、有害ガスの吸着・分解効果、再放出抑制効果をいっそう高めることができる。また、このような組成によれば、厚膜タイプの塗材が得られるため、形成塗膜表面に種々の凹凸模様を付与することもできる。
【0030】
透湿性塗材における結合剤としては、透明被膜が形成可能な有機質樹脂が好適である。有機質樹脂としては、吸放湿性塗材と同様のものが使用できる。透湿性塗材における有機質樹脂が架橋反応性を有する場合は、透湿性、耐水性、耐薬品性等の点で有利であり、光触媒物質に対する抵抗性を高めることもできる。
透湿性塗材における有機質樹脂として水分散性樹脂を使用する場合、その平均粒子径は、通常50μmを超え(好ましくは80μm超、より好ましくは100μm超)、かつ500μm未満(好ましくは400μm未満、より好ましくは300μm未満)であることが望ましい。平均粒子径がこのような範囲内であれば、適度な透湿性能を得ることが可能となる。
透湿性塗材における結合剤のガラス転移温度は、通常−30〜120℃、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは0〜80℃である。ガラス転移温度がこのような範囲内であれば、塗膜表面の耐汚染性を高めることができる。
さらに、透湿性塗材における結合剤のガラス転移温度は、吸放湿性塗材における結合剤のガラス転移温度よりも高く(好ましくは5℃以上高く、より好ましくは10℃以上高く)設定することが望ましい。このようなガラス転移温度の設定により、耐汚染性を確保しつつ、基材への追従性を高めることができ、塗膜の割れ発生を防止することができる。具体的には、吸放湿性塗材における結合剤のガラス転移温度が−30〜50℃、透湿性塗材における結合剤のガラス転移温度が−10〜100℃であり、かつ透湿性塗材における結合剤のガラス転移温度が、吸放湿性塗材における結合剤のガラス転移温度よりも5℃以上高くなるように設定することが望ましい。
【0031】
透湿性塗材における骨材としては、平均粒子径が0.01〜5mm、好ましくは0.05〜2mm、より好ましくは0.1〜1mmのものを使用する。骨材の粒子径が小さすぎる場合は、透湿性能が低下し、下層の吸放湿性能を阻害することとなる。また、仕上り外観が単調な色彩となってしまう。さらに、透湿性塗膜内部の光触媒成分に光が届きにくくなり、有害ガス分解効果の点で不利となる。粒子径が大きすぎる場合は、表面凹凸が大きくなり、均一な厚みの塗膜を得ることが困難となる。骨材の種類については、吸放湿性塗材の骨材と同様のものが使用可能である。
透湿性塗材における骨材の構成比率は、結合剤100重量部(固形分)に対し、通常100〜4000重量部、好ましくは300〜3000重量部、より好ましくは500〜2000重量部とする。骨材比率が小さすぎる場合は、有害ガスの吸着・分解効果が不十分となり、下層の吸放湿性能を阻害するおそれもある。また、透湿性塗膜の厚膜化が困難となり、意匠性付与の点で不利となる。骨材比率が大きすぎる場合は、骨材が脱離しやすくなる。
【0032】
化学物質吸着剤の構成比率は、結合剤100重量部(固形分)に対し、通常0.1〜100重量部、好ましくは1〜80重量部、より好ましくは5〜50重量部とする。化学物質吸着剤の構成比率が小さすぎる場合は、有害ガスの吸着効果、再放出防止効果が不十分となる。化学物質吸着剤の構成比率が大きすぎる場合は、表面意匠性や耐水性等に悪影響を与えるおそれがある。また、コスト面でも不利となる。
【0033】
光触媒物質の構成比率は、結合剤100重量部(固形分)に対し、通常0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部とする。光触媒物質の構成比率が小さすぎる場合は、有害ガスの分解効果、再放出防止効果が不十分となる。光触媒物質の構成比率が大きすぎる場合は、結合剤の早期劣化を招いてしまう。また、透湿性塗材の色彩が制限されやすくなる。
【0034】
透湿性塗材は、上記成分を公知に方法によって均一に混合することで製造することができるが、必要に応じ通常塗材に使用可能なその他の成分を混合することもできる。このような成分としては、例えば、顔料、繊維、可塑剤、抗菌剤、防黴剤、防虫剤、難燃剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、撥水剤等が挙げられる。
【0035】
以上のような透湿性塗材は、吸放湿層の上に塗付するものである。吸放湿層を吸放湿性塗材によって形成する場合、透湿性塗材の塗装は通常、吸放湿性塗材の塗膜が乾燥した後に行う。透湿性塗材の塗付方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、コテ塗り、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等が可能である。
透湿性塗材の乾燥塗膜の厚みは、調湿性能、有害ガスの吸着・分解性能等を考慮して適宜設定すればよい。通常は0.2〜5mm(好ましくは0.5〜4mm、より好ましくは0.8〜4mm)程度である。
塗付時には、水等で希釈することによって、塗材の粘性を適宜調製することもできる。希釈割合は、通常0〜20重量%程度である。
透湿性塗材として厚膜タイプの塗材を使用する場合は、塗膜の乾燥前に、刷毛、こて、ローラー等によってパターン付けを行うこともできる。このようなパターン付けによって、塗膜表面に種々の凹凸模様を付与することができる。
【0036】
本発明における上塗塗料は、シリコーンエマルション(以下「(A)成分」という)と、この(A)成分以外の合成樹脂エマルション(以下「(B)成分」という)とを含むものである。このような上塗塗料を塗付することにより、吸放湿層・透湿層による質感や吸放湿性能を損うことなく、吸水防止性、汚れ防止性、耐傷つき性等の性能に優れた内装仕上げを行うことができる。
【0037】
(A)成分としては、例えば、ジメチルポリシロキサン等のジアルキルポリシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等のポリアリールシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のポリアルキルアリールシロキサンからなるシリコーンオイルやシリコーン樹脂、あるいは、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等の変性シリコーンオイルや変性シリコーン樹脂等をエマルション化したものを使用することができる。
【0038】
(B)成分としては、上記(A)成分以外の合成樹脂エマルションを使用することができる。このような(B)成分としては、例えば、エチレン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、ポリエステル樹脂エマルション、アルキッド樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション等、あるいはこれらの複合系等が挙げられる。
【0039】
(B)成分のガラス転移温度は、5〜100℃であることが望ましい。ガラス転移温度が5℃より低い場合は、塗膜の粘着性が強くなり、汚れが付着しやすくなる。100℃より高い場合は、常温で造膜させるために多量の造膜助剤が必要となる。
【0040】
(B)成分の製造方法は特に限定されないが、例えば乳化重合法として、バッチ重合、モノマー滴下重合、乳化モノマー滴下重合等の方法により製造することができる。重合に用いる乳化剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤から選ばれる1種または2種以上を組合わせて用いることができる。このうち、不飽和二重結合を有する反応性乳化剤を使用した場合は、上塗塗料の貯蔵安定性を高めることができる点、さらには耐水性、耐湿性等に優れた塗膜が形成できる点で好適である。
【0041】
(A)成分と(B)成分との固形分重量比率は、95:5〜5:95であり、好ましくは80:20〜20:80、さらに好ましくは75:25〜25:75である。(A)成分がこの比率より少なすぎる場合は、吸放湿性が低下してしまう。また、透湿層の質感が損なわれるおそれがある。(B)成分が少なすぎる場合は、造膜性が低下し、吸水防止性や汚れ防止性が低下してしまう。
【0042】
上塗塗料としては、着色顔料や体質顔料を含まないものが好適であるが、最終的な仕上り等を勘案して、差し支えのない範囲でこれら顔料を使用することもできる。顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄(べんがら)、クロム酸鉛(モリブデートオレンジ)、黄鉛、黄色酸化鉄、群青、コバルトグリーン等の無機系着色顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンツイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機系着色顔料、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、ホワイトカーボン等の体質顔料が挙げられる。
【0043】
また上塗塗料には、ワックス成分を混合することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体の低分子量ポリオレフィン系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、重合ワックス、密ロウ、綿ロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールアセテート、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸クリセリド、硬化ヒマシ油、ワセリン、ポリオキシエチレン水素添加ラノリンアルコールエーテル等、あるいはそれらのカルボン酸変性物あるいは共重合物のカルボン酸変性物、又は高級脂肪酸あるいはその金属塩、エステル、アミド含有物等を挙げることができる。このようなワックス成分は上塗塗料の吸水防止性や汚れ防止性等をより向上させることができる。本発明では、特に、ポリエチレン系ワックスが好ましい。
【0044】
その他、通常塗料に使用可能な添加剤、例えば、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、分散剤、抗菌剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を使用することもできる。
【0045】
上塗塗料は、上述のような成分を適宜混合することにより製造することができるが、塗りムラ防止性や乾燥性等の塗装作業性を考慮すると、上塗塗料の固形分は概ね1〜40重量%(好ましくは2〜35重量%)とすることが望ましい。固形分の調整には主に水を用いればよい。
【0046】
以上のような上塗塗料は通常、透湿性塗材の塗膜が乾燥した後に塗付する。上塗塗料の塗装においては、例えば、スプレー、ローラー、刷毛等の塗装器具を用いることができる。これらの塗付量は、本発明の効果を阻害しない範囲内で適宜設定すればよいが、通常0.01〜0.5kg/m程度である。
【0047】
本発明では、目地材を使用することによって、種々の目地模様を形成することもできる。この場合、例えば図1に示すような方法によって塗装を行うことができる。図1の方法は、まず基材に目地材を貼り付け(a)、吸放湿性塗材を塗付した後(b)、目地材を除去し(c)、次いで細幅の目地材を貼り付け(d)、透湿性塗材を塗付した後(e)、細幅目地材を除去し(f)、全面に上塗塗料を塗付する(g)ものである。このような方法によれば、目地部側面を透湿性塗膜で覆うことができ、有害ガスの再放出等を確実に防止することができる。
【実施例】
【0048】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0049】
(上塗塗料の製造)
表1に示す混合比率にて、各原料を常法により均一に混合して上塗塗料を製造した。なお、原料としては下記に示すものを使用した。
・シリコーンエマルション:ジメチルポリシロキサンのポリオキシエチレンアルキルエーテル乳化物(固形分50重量%)
・合成樹脂エマルション:アクリル系樹脂エマルション(メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・メタクリル酸共重合体、固形分50重量%、ガラス転移温度25℃)
・造膜助剤:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
・消泡剤:鉱物油系消泡剤
【0050】
【表1】

【0051】
(実施例1)
結合剤A200重量部、吸放湿性粉粒体600重量部、骨材A650重量部、造膜助剤3重量部、及び水600重量部を均一に攪拌・混合することにより、吸放湿性塗材1を製造した。この吸放湿性塗材1の塗膜(乾燥厚み1.5mm)の吸放湿量を、JIS A6909:2003「建築用仕上塗材」7.32.2の手順によって測定したところ、230g/mであった。
【0052】
また、結合剤B200重量部、骨材B1150重量部、化学物質吸着剤40重量部、光触媒物質10重量部、造膜助剤8重量部、及び水800重量部を均一に攪拌・混合することにより、透湿性塗材1を製造した。この透湿性塗材1の塗膜(乾燥厚み2.0mm)水蒸気透過度を、JIS K5400:1990「塗料一般試験方法」8.17によって測定したところ、768g/m・24hであった。
【0053】
なお、吸放湿性塗材及び透湿性塗材の製造においては、以下の原料を使用した。
・結合剤A:アクリル樹脂エマルション(ガラス転移温度0℃、固形分50重量%、平均粒子径130μm)
・結合剤B:架橋反応性アクリル樹脂エマルション(ガラス転移温度15℃、固形分50重量%、架橋反応基:カルボキシル基・エポキシ基、平均粒子径120μm)
・吸放湿性粉粒体:ベーマイト(平均粒子径150μm、吸湿率35%)
・骨材A:珪砂(平均粒子径120μm)
・骨材B:着色珪砂(平均粒子径120μm)
・化学物質吸着剤:アミン複合層状リン酸ジルコニウム(平均粒子径45μm)
・光触媒物質:アナターゼ型酸化チタン(平均粒子径0.02μm)
・造膜助剤:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
【0054】
(1)調湿性能
石膏ボード(300×300mm)の表面に、吸放湿性塗材1を乾燥膜厚が1.5mmとなるようにこて塗りし、標準状態(温度23℃・相対湿度50%)で24時間乾燥後、透湿性塗材1を乾燥膜厚が2.0mmとなるようにこて塗りし標準状態で24時間乾燥した。次いで、表1に示す上塗塗料1を塗付量0.10kg/mでスプレー塗装し、標準状態で12日間養生後、裏面及び側面をエポキシ樹脂でシールし、温度23℃・相対湿度45%の恒温恒湿器に48時間静置した。
以上の方法で得られた試験板について、JIS A6909:2003「建築用仕上塗材」7.32「吸放湿性試験」によって吸放湿量を測定した。
【0055】
(2)有害ガスの吸着・分解性能
予めシーラー処理を施したアルミニウム板(150×70mm)の表面に、吸放湿性塗材1を乾燥膜厚が1.5mmとなるようにこて塗りし、標準状態で24時間乾燥後、透湿性塗材1を乾燥膜厚が2.0mmとなるようにこて塗りし標準状態で24時間乾燥した。次いで表1に示す上塗塗料1を塗付量0.10kg/mでスプレー塗装し、標準状態で14日間養生後、側面をアルミニウム粘着テープでシールした。
以上の方法で得られた試料を3リットルにおい袋に入れ、ホルムアルデヒド(20ppm)を拡散させたwet air(23℃・90%RH)を、このにおい袋中に充填して密閉した。30分後、検知管を用いて、におい袋中のホルムアルデヒド濃度を測定し、分解率を下記式によって求めた。
分解率(%)=[(初期ホルムアルデヒド濃度−試験後ホルムアルデヒド濃度)/初期ホルムアルデヒド濃度]×100
【0056】
(3)有害ガスの再放出防止性能
上記(2)で試験後の試料を新たな3リットルにおい袋中に入れ、dry air(23℃・45%RH)を充填して密閉した。このにおい袋を50℃条件下、24時間加熱後、検知管を用いて、におい袋中のホルムアルデヒド濃度を測定し、ホルムアルデヒドの再放出の有無を確認した。評価は、ホルムアルデヒドの再放出が認められなかったものを○、再放出が認められたものを×とした。
【0057】
(4)汚染物質の分解性能
予めシーラー処理を施したアルミニウム板(150×70mm)の表面に、吸放湿性塗材1を乾燥膜厚が1.5mmとなるようにこて塗りし、標準状態で24時間乾燥後、透湿性塗材1を乾燥膜厚が2.0mmとなるようにこて塗りし、標準状態で24時間乾燥した。次いで、表1に示す上塗塗料1を塗付量0.10kg/mでスプレー塗装し、標準状態で14日間養生後、側面をアルミニウム粘着テープでシールした。この試料を、通気孔が設けられた20L容器内に入れ、タバコ10本に火をつけて燃焼させた後、通気孔を閉じて24時間放置した。その後、試料を取り出し、試料表面に紫外線ランプを24時間照射し、照射後の状態を確認した。評価は、試験前後の黄変の程度(Δb)を色差計で測定することにより行った。
【0058】
(5)汚れ防止性
試験板の表面(上塗塗料側)を上向きにして水平に静置し、スポイドを用いて、試験板の中央付近に市販の飲料用コーヒーを2cc滴下した。5分放置後、試験板表面に水を流してコーヒーを除去して、乾燥したガーゼで軽く拭いた。このときの試験板表面の状態を目視にて確認した。評価は、色・艶の変化が認められなかったものを○、色・艶の軽微な変化が認められたものを△、色・艶の大きな変化が認められたものを×とした。
【0059】
以上の試験結果を表2に示す。
【0060】
(実施例2)
上塗塗料1に代えて上塗塗料2を使用した以外は、実施例1と同様にして試験を行った。結果を表2に示す。
【0061】
(実施例3)
上塗塗料1に代えて上塗塗料3を使用した以外は、実施例1と同様にして試験を行った。結果を表2に示す。
【0062】
(比較例1)
結合剤A200重量部、骨材A1200重量部、造膜助剤3重量部、及び水300重量部を均一に攪拌・混合することにより、吸放湿性塗材2を製造した。この吸放湿性塗材2の塗膜(乾燥厚み1.5mm)の吸放湿量を、JIS A6909:2003「建築用仕上塗材」7.32.2の手順によって測定したところ、30g/mであった。
吸放湿性塗材1に代えて吸放湿性塗材2を使用した以外は、実施例1と同様にして試験を行った。結果を表2に示す。
【0063】
(比較例2)
結合剤B200重量部、骨材B1200重量部、造膜助剤8重量部、及び水800重量部を均一に攪拌・混合することにより、透湿性塗材2を製造した。この透湿性塗材2の塗膜(乾燥厚み2.0mm)の水蒸気透過度を、JIS K5400:1990「塗料一般試験方法」8.17によって測定したところ、700g/m・24hであった。
透湿性塗材1に代えて透湿性塗材2を使用した以外は、実施例1と同様にして試験を行った。結果を表2に示す。
【0064】
(比較例3)
上塗塗料1に代えて上塗塗料4を使用した以外は、実施例1と同様にして試験を行った。結果を表2に示す。
【0065】
(比較例4)
上塗塗料1に代えて上塗塗料5を使用した以外は、実施例1と同様にして試験を行った。結果を表2に示す。
【0066】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】目地材を用いた塗装仕上げ方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1:基材
2:目地材
3:吸放湿性塗材
4:透湿性塗材
5:上塗塗料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物内装面の塗装仕上げ方法であって、吸放湿量が50g/m以上の吸放湿層上に、少なくとも化学物質吸着剤及び光触媒物質を含み、水蒸気透過度100g/m・24h以上の塗膜を形成する透湿性塗材を塗付した後、
シリコーンエマルション(A)及び前記(A)成分以外の合成樹脂エマルション(B)を含有し、(A)成分と(B)成分との固形分重量比率が95:5〜5:95である上塗塗料を塗付することを特徴とする塗装仕上げ方法。
【請求項2】
透湿性塗材が、結合剤を固形分で100重量部、平均粒子径0.01〜5mmの骨材を100〜4000重量部、化学物質吸着剤を0.1〜100重量部、及び光触媒物質を0.1〜50重量部含むものであることを特徴とする請求項1記載の塗装仕上げ方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−341163(P2006−341163A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167571(P2005−167571)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000180287)エスケー化研株式会社 (227)
【Fターム(参考)】