説明

塗装方法

【課題】多量のシェーピングエアーを用いなくても良好なメタリック感を呈する塗膜を得ることができる塗装方法を提供する。
【解決手段】鱗片状光輝性顔料1を含有する塗料を被塗物4に霧化塗装する塗装方法であって、被塗物に塗着するときの塗料3の平均粒径が鱗片状光輝性顔料の平均粒径以下となるように、塗料を霧化して塗装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ボディや自動車部品などの被塗物に鱗片状光輝性顔料を含む塗料を吹き付ける塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミフレークやマイカ箔などの鱗片状光輝性顔料を含む塗料の外観仕上がり性、特にメタリック感と称されるフリップフロップ性を高めるために、塗料粒子の飛行速度を高くする塗装方法が提案されている(特許文献1,2)。
【0003】
塗料粒子の飛行速度を高めるには、エアー霧化式塗装ガンにあっては霧化エアーまたはパターンエアーの流量を大きくし、回転霧化式塗装ガンにあってはシェーピングエアーの流量を大きくすることで、被塗物に向かう多量の空気流れを形成して塗料粒子に速度を付与する方法が一般的に用いられている。
【0004】
これは塗料粒子の衝突速度が大きいほど鱗片状光輝性顔料が基材に対して平行に配向し易くなり、これによりフリップフロップ性に優れた塗膜を得やすいという知見に基づいた塗装方法である。
【0005】
しかしながら、多量のエアーを使用する従来の塗装方法では、被塗物表面に余剰の空気流れが形成され、比較的微細で軽量の塗料粒子が運び去られることにより、塗着効率が低下するといった問題があった。
【0006】
たとえば、エアー霧化式塗装ガンの塗着効率は約30〜45%であり、塗着効率が高いといわれている回転霧化式塗装ガンにあってもメタリックベース塗料を塗装する場合は約60%であり、鱗片状光輝性顔料を含まないクリヤ塗料やソリッド塗料を塗装する場合の約80%の塗着効率に比べると、未だ改善の余地がある。
【0007】
このため、メタリックベース塗料を塗装する工程では、1ステージ目で塗着効率を重視した塗装条件で比較的厚膜に塗装したのち、2ステージ目で比較的薄い塗膜を上述した多量のエアーとともに塗装することで仕上がり性を確保するといった2ステージ塗装方法が採用されている。
【0008】
この場合の1ステージ目には塗着効率に優れた回転霧化式塗装ガンが用いられるが、その塗装条件は塗着効率が高くなるようにシェーピングエアー流量を少なくし、これにより塗着効率を70〜80%にまで高める。2ステージ目にはエアー霧化式塗装ガンや多量のシェーピングエアー流量に設定した回転霧化式塗装ガンが用いられるが、多量のエアー流れが生じる結果、その塗着効率は約60%に留まることとなる。
【0009】
また、2ステージ塗装法を採用すると、塗装装置(塗装ガン)の台数が必然的に増加するので設備費用増加の問題があるが、これ以外にも、塗装装置(塗装ガン)が増加すればするほど、色替え時に廃棄する塗料量や洗浄液も増加するといった問題がある。
【0010】
さらに、多量のエアーを用いる塗装方法では、必然的に有効パターン幅が狭くなるので、塗り重ね回数を増やさざるを得ず、限られた塗装時間内に所定面積を塗装するには塗装ガンの移動速度をアップせざるを得なかった。これにより、塗装ガンが装着されたロボットの故障率が高くなるといった問題もあった。
【特許文献1】特開2003−93965号公報
【特許文献2】特許第2560421号公報
【発明の開示】
【0011】
本発明は、多量のシェーピングエアーを用いなくても良好なメタリック感を呈する塗膜を得ることができる塗装方法を提供することを目的とする。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の塗装方法は、鱗片状光輝性顔料を含有する塗料を被塗物に霧化塗装する塗装方法であって、前記被塗物に塗着するときの前記塗料の平均粒径が前記鱗片状光輝性顔料の平均粒径以下となるように、前記塗料を霧化して塗装することを特徴とする。
【0013】
本発明では、鱗片状光輝性顔料を含有する塗料を霧化塗装するにあたり、塗着時の平均粒径を、鱗片状光輝性顔料の平均粒径以下にしたので、シェーピングエアー流量に関係なく、被塗物表面において鱗片状光輝性顔料がほぼ平行に配向することになる。これにより、多量のシェーピングエアーを用いなくても良好なメタリック感を呈する塗膜を得ることができる。
【発明の実施の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
最初に自動車ボディの塗装ラインの概要を説明すると、車体ラインで組み立てられたホワイトボディは、まず下塗り塗装工程に搬入される。この下塗り塗装工程では、ホワイトボディに付着した油分や鉄粉などを洗浄したのち表面調整およびリン酸亜鉛などの化成皮膜処理が施され(以上が洗浄・前処理工程)、さらに下塗り塗膜を構成する電着塗装が行われる。ポリアミン樹脂などのエポキシ系樹脂を基体樹脂とする電着塗料が塗布されたボディは、電着乾燥炉に搬入されて、たとえば160〜180℃で15分〜30分焼き付けられ、これによりボディの内外板および袋構造部に、膜厚10μm〜35μmの電着塗膜が形成される(電着工程)。
【0015】
電着塗膜が形成されたボディは、シーリング工程(アンダーコート工程、ストーンガードコート工程を含む。)に送られて、鋼板合わせ目や鋼板エッジ部に防錆または目止めを目的とした塩化ビニル系樹脂製シーリング材が塗布される。また、アンダーコート工程では、タイヤハウスや床裏に塩化ビニル樹脂系の耐チッピング材が塗布され、ストーンガードコート工程では、シルやフェンダなどのボディ外板下部にポリエステル系又はポリウレタン系樹脂製耐チッピング材が塗布される。なお、これらシーリング材や耐チッピング材は専用の乾燥炉または次に述べる中塗り乾燥炉にて硬化することになる。
【0016】
シーリング材や耐チッピング材が塗布され、内外板に電着塗膜が形成されたボディは、次に中塗り工程に搬入される。中塗り工程は中塗りブースと中塗り乾燥炉とを有し、中塗りブースでは、ボディの内板部に、その車両の外板色に対応した内板塗装用塗料が塗布されたのち、ウェットオンウェットで外板部に中塗り塗料が塗布される。このボディは中塗り乾燥炉に搬送され、中塗り乾燥炉をたとえば130〜150℃で15分〜30分通過することにより外板部に、膜厚15μm〜35μmの中塗り塗膜が形成され、内板部に膜厚15μm〜30μmの内板塗装用塗膜が形成される。なお、内板塗装用塗料および中塗り塗料は、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂などを基体樹脂とする塗料である。
【0017】
中塗り塗装を終えたボディは、必要に応じてサンディングを行ったのち上塗り工程に搬送され、上塗りブースにてメタリック系外板色の場合は、上塗りベース塗料とクリヤ塗料とがウェットオンウェットで塗布される。また、ソリッド系外板色の場合は、クリヤ塗装の工程にて上塗りソリッド塗料が塗布される。上塗りベース塗料、クリヤ塗料、上塗りソリッド塗料は、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂などを基体樹脂とする塗料である。
【0018】
そして、上塗り塗料が塗布されたボディは上塗り乾燥炉へ搬送され、ここでたとえば130〜150℃で15分〜30分焼き付けられ、これにより上塗り塗膜が形成される。なお、上塗りベース塗膜の膜厚は、たとえば10μm〜20μm、クリヤ塗膜の膜厚は、たとえば15μm〜30μm、上塗りソリッド塗膜の膜厚は、たとえば15μm〜35μmである。最後にこの塗完ボディは、検査および手直し工程を経たのち、自動車部品が組み付けられる組立ラインへ搬送される。
【0019】
以上が自動車ボディの塗装ラインの概要であるが、このうちの上塗り工程の上塗りベース塗装工程に本発明の塗装方法が好適に用いられる。
【0020】
本例の塗装方法は、鱗片状光輝性顔料を含有する塗料としてアルミフレークを含有したメタリックベース塗料やマイカ箔を含有したパールベース塗料を中塗り塗膜の表面に塗装する方法であって、中塗り塗膜表面に塗着するときの塗料の平均粒径が鱗片状光輝性顔料の平均粒径以下となるように、塗料を霧化して塗装するものである。
【0021】
この場合、塗料を霧化するための塗装ガンとして回転霧化式塗装ガンやエアー霧化式塗装ガンの何れも用いることができるが、塗着効率の観点からは回転霧化式塗装ガンを用いることが好ましい。
【0022】
また、中塗り塗膜表面に塗着するときのベース塗料の粒径が鱗片状光輝性顔料の平均粒径とほぼ等しいかそれ以下であれば塗料の飛行速度は特に限定されないが、塗着効率の観点からは塗料の塗着時の飛行速度を5m/秒未満とすることが好ましい。
【0023】
また、中塗り塗膜表面に上述した所定膜厚10μm〜20μmを形成する場合、2ステージ以上の塗り重ね法で塗装しても良いが、塗着効率の観点からはベース塗料を1ステージで塗装することが好ましい。
【0024】
なお、メタリック塗料およびパールベース塗料は、有機溶剤系塗料であっても良いが、水系塗料であるときは特に本発明の効果が大きい。有機溶剤系塗料は飛行中に溶剤分が蒸発して塗着直前の粒径がやや小さくなるが、水系塗料はあまり変化しないからである。
【0025】
ところで、本例に係るベース塗料中に含まれる光輝性顔料1は、図1に示すように鱗片状をなすものであり、平面視における実質面積を円2に換算したときの半径Rを本発明にいう平均粒径と定義する。すなわち、本発明にいう鱗片状光輝性顔料の平均粒径とは、同図に示す厚さtではなく、主面の平均直径Rを意味するものとする。本例に係るベース塗料中に含まれる光輝性顔料の平均粒径Rは一般的には10〜30μm程度であり、厚みは0.2〜1μm程度である。したがって、含有する鱗片状光輝性顔料の主面の平均直径が20μmであるときは、塗料の塗着時の粒径を20μm以下に微粒化して塗装する。
【0026】
ここで、塗料粒子の平均粒径は、塗料の吐出量と回転霧化塗装ガン(霧化頭)の回転数および霧化頭の直径によって制御することができる。
【0027】
なお、塗着時の粒径は、レーザー光散乱方式の粒子径測定装置を用いて測定することができる。またこの測定と校正をとった画像処理計測システムを用いることもできる。後者の方法では、ガラス板にフッ素系界面活性剤を薄膜に塗布し、その板を1秒くらいの時間、被塗物表面に暴露する。このようにして捕集した塗料粒子を顕微鏡で拡大してその粒子径を測定することによって容易に測定することができる。本発明においては、このようにして測定した塗料粒子径の重量平均粒径D43を塗料粒子の平均粒径として用いている。
【0028】
本例によれば、アルミフレークやマイカ箔のような鱗片状光輝性顔料を含むベース塗料を塗装するにあたり、塗着時(もしくは塗着直前)の塗料粒子の平均粒径が光輝性顔料の平均粒径よりも小さくすることにより、多量もしくは高速のエアー流れを形成することなく、光輝性顔料の配向を良好にでき、もって塗膜仕上がり外観を良好にできるとともに、塗着効率を高めることができる。
【0029】
このように、高速のエアー流れがない場合の、塗料の粒子径と光輝性顔料の配向との関係はこれまで知られていなかったが、塗料粒子径が小さく、特に光輝性顔料の平均粒径と同等もしくはそれ以下の粒子径になった場合に、顕著な効果を発揮することから、本発明者らは、塗料粒子径が小さい場合の光輝性顔料の配向には特別な作用があるとの結論に至った。
【0030】
すなわち、塗料粒子が塗着したときの表面張力が、光輝性顔料の配向を支配する要因であるとの結論である。つまり、微粒化されて飛行途中にある塗料粒子の内部では、光輝性顔料の方向性は定まらず被塗物に対してランダムになっていると予想される。ところが、塗料粒子が塗着した場合には、既に塗着して被塗物表面を覆っている塗料と融合する際に、表面張力によって表面を平滑にする効果があるが、本例の塗装方法によれば、降着した塗料粒子にほぼ同程度の大きさの鱗片状光輝性顔料が含まれているため、光輝性顔料は表面張力によって塗料表面と平行に引っ張られると推察される。この表面張力による配向では、塗料粒子の衝突速度を高めることで塗料粒子を被塗物表面で押し潰すのと同程度の力が作用していると考えられる。
【0031】
これに対し、光輝性顔料の平均粒径よりも大きな平均粒径の塗料粒子で塗装した場合には、塗料粒子が表面張力で平滑になるように流動しても、その塗料粒子の内部で光輝性顔料が配向の自由度をある程度有しているため、被塗物の表面と完全には平行にならないと考えられ、これにより光輝性顔料の配向が不十分になると推察される。
【0032】
また、塗料粒子の平均粒径が光輝性顔料の平均粒径よりもはるかに小さくなった場合には、光輝材が単独で塗着するのと同視できることから、やはり配向が良好になると考えられる。すなわち光輝性顔料が単独で被塗物に塗着する場合には、光輝性顔料は最も広い面、すなわち鱗片状光輝性顔料の主面(平面部)で被塗物に塗着することが最も安定であると考えられ、これにより鱗片の主面が被塗物と平行に配向することになり、良好なメタリック感を呈する塗膜仕上がり外観を得ることができる。
【0033】
この様子を図2(A)〜(C)に示す。同図において、符号1が鱗片状光輝性顔料、符号3が塗料粒子、符号4が被塗物であり、同図(A)はそれぞれ鱗片状光輝性顔料1を含有する2つの塗料粒子3が被塗物4に向かって飛行している状態を示す。同図(A)の下側の塗料粒子3が被塗物4の表面に到着すると、同図(B)に示すように塗料粒子3が被塗物4の表面に沿ってその表面張力により平滑になろうと流動して放射状に広がる。このとき、塗料粒子3に含まれた光輝性顔料1は、塗料粒子3の粒径が自分の粒径より小さいので塗料粒子3の内部で自由度をもつことができず、光輝性顔料1の主面が被塗物4の表面に沿って動くことになる。そして、同図(C)に示すように、塗料粒子3が被塗物4の表面に広がると光輝性顔料1も被塗物4の表面に平行に配向した状態で塗料粒子3の内部に包含されることになる。このような塗着メカニズムによって、各塗料粒子3が被塗物4の表面に堆積し塗膜を形成するので、光輝性顔料1が被塗物4の表面に平行に配向した塗膜を得ることができる。
【0034】
図3は、回転霧化式塗装ガンを用いて平均粒径が22μmの鱗片状光輝性顔料を含むベース塗料を塗装したときの塗料粒子の平均粒径とメタリック感(IV値)との関係を検証したグラフであり、回転霧化式塗装ガンのシェーピングエアー流量を100〜500NL/分としたものである。これによれば、シェーピングエアー流量が200NL/分であっても塗料粒子の平均粒径を22μm以下にすれば、メタリック感IV値を200以上に高められることが理解される。
【0035】
勿論、シェーピングエアー流量を400NL/分以上にすれば、塗料粒子の平均粒径が30μmと大きくても200以上のメタリック感IV値を得ることができるが、シェーピングエアー流量を大きくすると塗着効率が低下するという問題がある。
【0036】
図4は、回転霧化式塗装ガンを用いて平均粒径が22μmの鱗片状光輝性顔料を含むベース塗料を塗装したときのシェーピングエアー流量と塗着効率との関係を検証したグラフであり、塗料の吐出量を50〜200cc/分としたものである。これによれば、シェーピングエアー流量を200NL/分に抑えれば吐出量100〜200cc/分において塗着効率を80%以上に高めることができる。これに対して、上述したシェーピングエアー流量が400NL/分であると吐出量が200cc/分であっても80%未満となる。
【0037】
このように本例によれば、シェーピングエアー流量に依存しなくても、メクリック感を容易に現出させることができるため、シェーピングエアー流量を抑制することで高い塗着効率を得ることが容易になり、クリヤ塗装や中塗り塗装とほぼ同等の塗着効率を実現することができる。
【0038】
さらに、回転霧化静電塗装機で塗装する場合には、光輝性顔料を含む塗料の塗装でありながら任意のシェーピングエアー流量を選択することができ、塗装パターン幅を自由に設定できるという付随効果がある。
【0039】
さらに、本例の付随的な効果として、回転霧化式塗装ガンのシェーピングエアー流量を少なくすることにより、パターン分布を比較的フラットにすることができる。ここでいうパターン分布とは、塗装ガンを被塗物表面に沿って動かした場合の、塗装ガンの進行方向と直交する方向の膜厚分布のことであるが、通常の回転霧化式塗装ガンでは、図5に点線で示すように膜厚のピークが2つ現れる、いわゆる2コブラクダ型の膜厚分布になることが一般的であり、多量のシェーピングエアー流量を使用するメクリックベース塗装ではその傾向が顕著に現れる。
【0040】
しかし、本例によれば、同図に実線で示すように、シェーピングエアー流量を抑制することでパターン分布がほぼ平坦な台形型にすることができるため、部位による膜厚の差異(ムラと称する)に起因するいわゆるメクリックムラの発生がほぼなくなるという効果が得られる。
【0041】
さらに、本例の別の効果として、メタリックベース塗料を用いた場合には下地隠蔽膜厚が薄くできる。これはアルミフレークのような不透明な光輝性顔料の場合には、微粒化が進んで平均粒径が小さくなるにつれて光輝性顔料の配向性が良くなるだけでなく、被塗物表面に均一に塗着する傾向があるからである。
【0042】
このことは、塗料粒子の平均粒径が小さくなるほど粒子の個数が増え、塗着回数が増える結果、被塗物表面の部位による塗着量の不均一性がなくなること、すなわち膜厚の均一性が図れることを意味している。この効果を利用すればメタリックベース塗料の吐出量そのものを少なくすることができ、塗装コストを引き下げることができるという効果がある。
【0043】
これらの効果を複合的に使用することにより、従来2ステージにわけて塗装していたメクリックベース塗料を1ステージで塗装することができ、色替え回数を少なくすることができる。
【0044】
図6は、回転霧化式塗装ガンを用いて平均粒径が22μmの鱗片状光輝性顔料を含むベース塗料を塗装したときの塗料粒子の平均粒径と白黒隠蔽膜厚との関係を検証したグラフおよび顕微鏡写真であり、塗料粒子の平均粒径を20μmまで小さくすると、塗料粒子の平均粒径が56μmである場合に比べて、白黒隠蔽膜厚が半分近くまで低減される。
【0045】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の塗装方法に係る鱗片状光輝性顔料の一例を示す正面図および側面図である。
【図2】本発明の塗装方法に係る塗着メカニズムを説明するための模式図である。
【図3】回転霧化式塗装ガンを用いて鱗片状光輝性顔料を含むベース塗料を塗装したときの塗料粒子の平均粒径とメタリック感(IV値)との関係を示すグラフである。
【図4】回転霧化式塗装ガンを用いて鱗片状光輝性顔料を含むベース塗料を塗装したときのシェーピングエアー流量と塗着効率との関係を示すグラフである。
【図5】回転霧化式塗装ガンを用いて塗装したときの膜厚分布を示す図である。
【図6】回転霧化式塗装ガンを用いて鱗片状光輝性顔料を含むベース塗料を塗装したときの塗料粒子の平均粒径と白黒隠蔽膜厚との関係を示すグラフおよび顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0047】
1…鱗片状光輝性顔料
3…塗料粒子
4…被塗物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鱗片状光輝性顔料を含有する塗料を被塗物に霧化塗装する塗装方法であって、前記被塗物に塗着するときの前記塗料の平均粒径が前記鱗片状光輝性顔料の平均粒径以下となるように、前記塗料を霧化して塗装することを特徴とする塗装方法。
【請求項2】
前記塗料の塗着時の飛行速度が5m/秒未満であることを特徴とする請求項1記載の塗装方法。
【請求項3】
前記塗料がメタリックベース塗料またはパールベース塗料であり、当該塗料を塗装したのち、クリヤ塗料を塗装することを特徴とする請求項1または2記載の塗装方法。
【請求項4】
前記メタリック塗料または前記パールベース塗料が水系塗料であることを特徴とする請求項3記載の塗装方法。
【請求項5】
前記塗料を1ステージで塗装することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の塗装方法。
【請求項6】
回転霧化式塗装ガンを用いて前記塗料を霧化塗装することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の塗装方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−196110(P2007−196110A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16267(P2006−16267)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】