説明

塩化チオニルを使用する糖類を塩素化するための新規塩素化試薬及び新規方法

【課題】部分的に保護されたスクロースから高強度甘味料であるトリクロロガラクトスクロース(TGS)の生成等の反応において使用するための塩素化試薬の生成又は塩素化反応自体は、気体の副生成物を多量に放出し、時に激しい爆発も引き起こし得るという問題がある。
【解決手段】この問題は、塩素化反応混合物の構成物質に対して不活性な固体粉末の反応への革新的な添加によって、又はDMFを酸塩化物溶液にその順番で添加することによって解決される。本発明はまた、DMF以外の溶媒中における塩素化に使用される単離された固体のビルスマイヤー試薬を使用するに至り、それによって、酸性条件だけでなくアルカリ条件下における回収不能な損失、及びTGSの結晶化の阻害等を含む、DMFの使用に起因する問題を完全に回避することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TGS(1’‐6’‐ジクロロ‐1’‐6’‐ジデオキシ‐β‐フルクトフラノシル‐4‐クロロ‐4‐デオキシ‐ガラクトピラノシド)を生成するため、糖類を塩素化するためのビルスマイヤー・ハック試薬を生成するのに有用な塩化チオニルを用いて塩素化試薬を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
4,1’,6’トリクロロガラクトスクロース(TGS)の従来の生成方法の方針は、主に、スクロース‐6‐エステルを塩素化して6アセチル4,1’,6’トリクロロガラクトスクロースを生成するため、オキシ塩化リン、塩化オキサリル、五塩化リン等の種々の塩素化剤、及び、ジメチルホルムアミド(DMF)又はジメチルアセトアミド等の第3級アミド等に由来するビルスマイヤー・ハック試薬を用いて、スクロース‐6‐エステルを塩素化することに関するものである。前記塩素化反応の後、反応マスは、カルシウム、ナトリウム等の適切なアルカリ性水酸化物を用いてpH7.0〜pH7.5に中和され、6アセチル4,1’,6’トリクロロガラクトスクロースが脱エステル化/脱アセチル化されて、4,1’,6’トリクロロガラクトスクロース(TGS)が生成される。TGSは0カロリーの高強度甘味料として既知である。
【0003】
ビルスマイヤー・ハック試薬(以下、ビルスマイヤー)は、五塩化リン又は塩化チオニル等の酸塩化物と、第3級アミド、通例ジメチルホルムアミドとの反応によって得られる。
【0004】
POCl3、PCl5等の塩素化剤、及びN,N‐ジメチルホルムアミド(DMF)等の第3級アミドを用いてビルスマイヤー試薬を生成することは既知である。しかしながら、それらは副生成物として多量のリン酸塩を生成し、これを除去及び処分することは煩わしいことである。ホスゲンは、リン酸塩の副生成物を生成するという問題を引き起こすことなく、DMFとの反応によってビルスマイヤー試薬の生成に使用され得る非常に有用な塩素化剤である。しかしながら、ホスゲンは極めて有毒なガスであり、環境の安全性に関わる。このことは、DMFとの反応によってビルスマイヤー試薬を生成するために、塩化チオニル及び塩化スルフリルを含む硫黄を含有する無機酸塩化物を使用するという可能性を残している。しかしながら、塩化チオニル又は塩化スルフリルがDMFと反応する際、硫黄酸化物の形で気体の副生成物が生成され、さらにスクロース‐6‐エステルが反応混合物に添加される際にもこの気体副生成物は生成され続ける。この気体の発生は非常に多量で、いかなる予測不可能時に突発的に急増し、反応器から反応物が放り出される状況のような暴走反応を引き起こしかねない。これは、塩素化反応のために、塩化チオニルや塩化スルフリル又は他の等価なハロゲン化物を使用する際に非常に危険な要素である。TGSの生成のため、硫黄含有無機酸塩化物を使用するために、この反応を商業規模で行う安全な方法を見出す必要がある。反応物として塩化チオニルを含む反応の粗暴な性質は、非特許文献1に非常に詳しく取り扱われている。
【0005】
本発明は、塩化チオニル又は塩化スルフリルからビルスマイヤー型の新規な塩素化試薬を生成するための新規方法、及びTGSを生成するためのスクロース‐6‐アセテートを塩素化することを含む糖類の塩素化の新規方法について記載する。
【0006】
DMFと塩化チオニル又は塩化スルフリルとの反応により生成されるビルスマイヤー試薬を用いてクロロ糖を生成するプロセスで起こる、強烈な気体の発生に対処する、改良された方法について報告されている。
【0007】
[従来技術]
Jenner(1982)等は特許文献1において、不活性溶媒における、一般式[XClC=N]Cl(II)(式中、Xは水素原子またはメチル基を表し、Rはアルキル基を表す)のビルスマイヤー試薬についてクレームしている。これは、塩化チオニル(8.5ml)を加熱されたDMF(8.4ml)に添加することにより反応させて得られた。その混合物は真空状態で50℃で蒸発させてシロップが得られた。そのような小規模の反応から発生する二酸化硫黄の量はごく僅かである。したがって、暴走につながる発熱性は見られない。しかしながら、この反応は、大規模に行われると、反応の暴走状態につながりかねない。
【0008】
Mufti等(1983)は特許文献2において、「無機酸塩化物は例えば、塩化チオニル、オキシ塩化リン、又は塩化スルフリルであってもよい」と述べている。しかしながら、さらなる記載「…しかし好ましい酸塩化物は五塩化リンである」に指摘されているように、塩化チオニル及び塩化スルフリルは彼等の選択した酸塩化物ではなかった。彼等は、ビルスマイヤー試薬の生成のための塩化チオニル又は塩化スルフリルの使用を可能にする実際の工程を報告していない。
【0009】
また、Rathbone等によって、特許文献3においても、ビルスマイヤー試薬の生成のための塩化チオニルの使用に関して言及されている。彼等は臭化チオニル(280ml)を冷却されたジメチルホルムアミド(260ml)に添加して激しく撹拌した。その混合物は70℃〜80℃で30分間撹拌された後、さらに1時間撹拌されて周辺温度まで冷却された。その混合物は濾過され、残留物はジメチルホルムアミド(2回、50ml)及びジエチルエーテル(100ml)で洗浄されて、デシケーターで乾燥され、320gの試薬が生成された。この場合、この反応は小規模であり、二酸化硫黄発生の問題は激しく撹拌することにより制御可能である。
【0010】
特許文献4において、O’Brian等(1988)は、酸化トリフェニルホスフィン/塩化チオニル、及び硫化トリフェニルホスフィン/塩化チオニルを、炭水化物及びアルコールの塩素化のための塩素化試薬として使用した。特に彼等は、1,6‐ジクロロ‐1,6‐ジデオキシ‐β‐D‐フラクトフラノシル‐4‐クロロ‐4‐デオキシ‐α‐ガラクトピラノシド(TGS)への重大な変化のために、2,3,6,3’,4’‐ペンタ‐O‐アセチルスクロースを塩素化して、4,1’,6‐トリクロロ‐4,1’,6‐トリデオキシガラクトスクロースペンタアセテートを得た。酸化/硫化トリフェニルホスフィンは、副反応を低減するための回収可能な触媒として使用され、気体の副生成物は、例えば2.5〜5時間、時にはさらに長時間、還流させるという手段をとることにより除去される。
【0011】
特許文献5において、Homer等(1990)は、非保護ヒドロキシル基と塩化チオニルとの反応により、糖類及び一部保護された糖誘導体を塩素化して、過硫酸塩を生成し、その後亜硫酸基を分解してクロロ亜硫酸塩(chlorosulphites)を生成し、クロロ亜硫酸塩基を置換して塩素原子を1箇所以上挿入する。これは、クロロ亜硫酸塩基の生成及び置換、及び塩素原子の挿入が、所与の一般式の第4級塩の存在下での不活性溶媒における塩化チオニルとの反応により達成されることに特徴がある。しかしながら、この反応は好ましい反応ではない。なぜなら、ビルスマイヤー試薬との反応と比較すると、この反応の収率が非常に低く、反応段階が多く、その吸湿性が原因で、取り扱い及びクロロ亜硫酸塩中間体の単離が困難であるためである。
【0012】
特許文献6において、Walkup等(1990)は、塩素化に塩化チオニルを使用する実際の方法について記載している。その方法にでは、アルゴン注入口を上部に設けた還流冷却器及び撹拌装置が反応に用いられ、バブリングされたアルゴンガスにより、遊離したSOを除去することを提示している。そのSOの発生は、DMFに溶解するスクロース‐6‐ベンゾアートを反応させて−30℃まで冷却するステップ、滴下添加される塩化チオニルと10分間反応させて−17℃までの温度上昇を伴うステップ、及び、その後反応混合物を69℃まで15分以上加熱するステップにおいて生じる。この場合のSOの遊離速度は、主に、塩化チオニルを添加する全時間に亘り反応混合物の温度を氷点下をかなり下回る温度まで低下させることによって制御され、塩化チオニル自体は滴下により長時間に亘り徐々に添加され、その後反応混合物の温度を69℃まで15分に亘り徐々に上昇させ、これら全ての処置はバブリングされたアルゴンガスによってさらにサポートされる。バブリングされたアルゴンガスは、反応混合物を爆発につながる危険な密度にまで発生させることなく、反応混合物から迅速に二酸化硫黄を除去するであろう。
【0013】
特許文献7において、Khan等(1992)は、スクロース又はその誘導体の塩素化方法について記載している。その方法は、適度に非反応性の極性溶媒において、遊離ヒドロキシルの全モル等量に対して、塩化チオニル約1モル等量及び塩基約1モル等量の割合で、スクロース又はその誘導体と塩化チオニル及び窒素塩基とを反応させることを含む。
【0014】
塩化チオニル及びピリジンを使用してアルコールを塩素化することは以前から知られている。Gerrard(1940)は、非特許文献2において、以下の説明をしている。第一段階で、2つのアルコール分子ROHが塩化チオニルと反応して亜硫酸塩及び2つの塩化水素分子が生成される。ピリジンは酸受容体として作用し、塩化水素分子と反応してピリジン塩酸塩を生成する、ポリ亜硫酸塩(polysulphite)の分解を防ぐ。第二段階で、亜硫酸塩は塩化チオニルとのさらなる反応により分解されて2つのクロロ亜硫酸塩分子を生成する。第三段階で、クロロ亜硫酸塩はピリジン塩酸塩と反応して、2つの塩素分子と2つの二酸化硫黄分子を生成する。しかしながら、この方法を、ポリヒドロキシ化合物である糖類に直接適用すると、生成物を複雑に混合することになる。この問題はKhan等(1992)が以下の発見によって解決することを目指した。即ち、一定の条件を満たせば、6位が保護されているスクロース又はスクロース自体を塩化チオニル、及び、ピリジン又はアルキル置換ピリジン等の塩基と反応させて、必要とされる塩素化された生成物の良好な収率を得ることができる。この場合、恐らく非常に長い還流時間はガス放出の管理に役立つ。
【0015】
非特許文献3において、Fairclough、Hough,Richardsonは、塩化スルフリルによる4‐1’‐6’‐トリオール‐ペンタアセテート及び他の部分的に保護された糖類の塩素化について記載している。この反応は−75℃の氷点下で4時間撹拌されて実施され、その後室温に上昇される。ガスの発生が、撹拌とともに非常に低い温度によって制御されることは明らかである。
【0016】
特許文献1において、Jenner等(1982)は、TGSの製造方法をクレームし、その方法では、2,3,6,3’、4’‐ペンタ‐O‐アセチルスクロースが20℃〜80℃の反応温度で塩化スルフリルによって塩素化される。この塩素化試薬は、ピリジンのような有機アミン塩基とクロロホルムやジクロロエタン等のような塩素化炭化水素との混合物において使用される。この反応は発熱反応で、温度は45〜55℃まで上昇し、さらに4時間還流され、さらに塩素化炭化水素がこのステップの最後に添加され、その結果生成される溶液は、塩酸、水、炭酸水素ナトリウムで順次洗浄される。この反応は、クロロ硫酸塩エステルの生成によって進行し、その後クロロ硫酸塩エステルは分解されてクロロ誘導体が生成される。Fairclough等は、完全な塩素化を確実にするために塩化スルフリルを少し過剰に使用し、温度を例えば−75℃の低温にして最終的に室温に上昇させた。Jenner等は、かなり過剰な塩化スルフリル(例えば、ペンタアセテート1ml当たり約1mlであるのに対して、スクロースペンタアセテート1g当たり2〜5ml)及び非常に高い反応温度(例えば20℃〜約55℃以上)では、収率が(一般的には約75%まで)向上することを見出した。しかしながら、この方法の不利な点は、有機アミン、特にピリジンは塩化スルフリルによって塩素化されやすく、不要な副生成物を分離するのが困難な形態をもたらすということである。実施例8では、トリクロロエタン及びDMFとともに、塩化チオニルと塩化スルフリルの継続的な使用について記載されている。しかしながら、記載されている反応は非常に小規模で、3〜5時間の間の数時間還流され、試薬は非常にゆっくり添加され、この全ては明らかに高温でガスの発生を制御する。
【0017】
Mufti等(1983)はまた、塩化スルフリルを使用してモノアシル化スクロース誘導体の塩素化をクレームしている。Mufti等は、DMFが、酸塩化物のリスト中で塩化スルフリルを含むとも言及される無機酸塩化物と反応すると、ビルスマイヤー試薬が生成されることが開示されている。しかしながら、Mufti等の文献又は従来の文献から、反応の実際のステップが、他の酸塩化物では知られているが、Mufti等の文献又はその後の特許にも、DMFと反応する塩化スルフリルに関して、反応の実際のステップは記載されていない。したがって、塩化スルフリルからビルスマイヤーを生成する事に関する有効な詳細な内容に関する点では、それらは本願明細書において初めて記載される。
【0018】
Mufti等はまた、塩化スルフリル自体が塩素化剤として使用し得ることに言及している。塩素化剤は初めに、反応して有効なヒドロキシ基のクロロ硫酸塩エステルを生成し、それは、その後又は同時に、構造の反転とともに分解して、対応するクロロデオキシ誘導体を生成する。クロロ硫酸塩化された中間体は、反応混合物を氷冷却された硫酸に注入して、その酸を溶媒で抽出することにより、単離することができる。その結果得られた生成物は、好適には低温で、ヨウ化ナトリウムなどのヨウ素の触媒量で処理されて非クロロ硫酸塩化され得る。しかしながら、Mufti等は、塩化スルフリルはビルスマイヤー試薬よりもより選択的でなく、それ故にビルスマイヤー試薬が好ましいと言及している。この反応では、反応温度を、この反応の限界を示す−75℃に保ちながら1.5時間に亘って塩化スルフリルを非常にゆっくりと添加させる。さらに、ピリジンは、可能であれば避けるべき有毒な溶媒である。塩化スルフリルの添加に要する時間は反応の規模とともに増加し、商業規模では、低速度の添加はプロセスを煩雑且つ非効率にしてしまうことは極めて明らかである。
【0019】
前述の記載から明らかなように、気体の副生成物の放出を制御する必要があり、通常の室温でのその既知の制御方法がなく、添加に要する時間を合理的に短い時間まで削減できる既知の方法がなく、部分的に保護されたスクロース誘導体を塩素化するための塩化スルフリル/ピリジン系の特異性が低いことで、塩素化剤としての塩化スルフリルの使用は、反応によって多量の無機リン酸塩等の煩わしい副生成物は生じないものの、依然として非実用的である。
【特許文献1】米国特許第4,362,869号
【特許文献2】米国特許第4,380,476号
【特許文献3】米国特許第4,617,269号
【特許文献4】米国特許第4,783,526号
【特許文献5】米国特許第4,977,254号
【特許文献6】米国特許第4,980,463号、実施例13
【特許文献7】米国特許第5,136,031号
【非特許文献1】Cardillo (1992) 「塩化チオニルスキームの反応性(Reactivity of thionyl chloride schemes)Chim.Ind. (Milan), 1992, 74(12), 879 Lang(ITA)」
【非特許文献2】J.Chem.Soc.1939,998,218及び1944,85
【非特許文献3】Fairclough, Hough及びRichardson, 「炭水化物研究40(Carbohydrate Research 40) (1975), p.p. 285-298
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、反応の新しいスキームに基づく新規方法について記載する。その反応では、大規模な製造バッチにおいて、反応物として、塩化チオニル及び/又は塩化スルフリル等の別の硫黄含有酸塩化物を使用することによって発生する、気体の副生成物の強烈な放出は、反応の反応物に対して不活性で、且つ、ハロゲン化チオニル、特に塩化チオニル及び塩化スルフリルを、一般にヒドロキシ基を持つ有機物、特に部分的に保護されたスクロースとその誘導体を含む化合物の塩素化のための反応スキームにおいて使用する際の反応の条件下で安定な、不活性物質の粉末を添加して使用することにより制御される。そのような粉末は、例えば、吸着剤又は不活性物質等であるが、それらに限定されない。前記吸着剤は例えば、活性炭、ゼオライト等であるが、それらに限定されない。前記不活性物質は例えば、珪藻土、シリカ、ケイ酸アルミニウムカルシウム等であってもよい。
【0022】
本発明の実施形態において、塩化チオニル及び塩化スルフリルからそれぞれ生成される、塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウムクロロ亜硫酸塩又は塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウムクロロ硫酸塩の付加物は、吸着剤の存在下で、DMFとの反応において生成される。好適な実施形態において、塩化チオニルから生成されるクロロ亜硫酸塩付加物は、室温で固化しないため、原位置生成される生成物自体として使用される。それに対応する付加物である、DMFとの塩化スルフリルの反応から生成されるクロロ硫酸塩は室温で容易に固化し、分離されて後に使用されるため、分離試薬として、又は分離せず原位置生成されたもの自体として使用することが可能である。
【0023】
本発明の他の実施形態において、気体の副生成物の放出は、添加の順番を逆にすることによっても制御することが可能である。即ち、塩化チオニル又は塩化スルフリルをDMFに添加するよりも、DMFを塩化チオニル又は塩化スルフリルに添加することにより制御できる。気体は制御下で放出され、ビルスマイヤー試薬は安全な方法で生成される。本実施形態において、反応は自発的であり、発生する二酸化硫黄は反応マスに蓄積しない。これはすぐに発生し、窒素散布は吸着剤を全く使用せずにその発生した気体を除去するのに役立つ。したがって、二酸化硫黄の除去のためには、逆添加の場合において窒素散布自体で十分である。この反応は特に吸着剤の添加を必要とせず、二酸化硫黄は穏やかに除去される。
【0024】
さらに別の実施形態において、気体の副生成物の突発を回避するための上記改善点の1つ又は両方を用いて、ビルスマイヤー試薬を完全に生成することができる。また、このように生成される試薬は分離又は塩素化のため原位置で使用され、その結果、塩素化のプロセスの間、気体の副生成物は発生しない。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態において、塩化チオニル、塩化スルフリル、及び部分的に保護された糖誘導体を含む反応物の、DMFを含む反応混合物への添加を、吸着剤を使用せず、又は0℃より高い温度で、上述のようにDMFの添加を逆にすることなく、従来技術の方法で可能であった速さよりも非常に速く実行可能である。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態において、塩化チオニル又は塩化スルフリルを30℃以上でDMFに添加すれば、ビルスマイヤー試薬の生成は非常に効果的で、反応はより速く完了する。添加後、反応マスをその温度で維持することも、ビルスマイヤー試薬の生成完了に関係する。
【0027】
本発明のさらに別の実施形態において、塩化チオニル及び塩化スルフリルのDMFとの反応によりそれぞれ生成された、クロロ亜硫酸塩試薬及びクロロ硫酸塩試薬は、DMFではない他の溶媒、例えば、DMSO(ジメチルスルホキシド)、ピリジン、ペルクロロエチレン等においても塩素化反応を実行可能である。その利点は、これらの溶媒が反応に加わらないことにある。したがって、他の形態に変化することはなく、反応完了後、容易に回収でき、いかなる損失もなく溶媒の回収を可能にし、この方法がさらに高効率で経済的になる。別の利点は、これらの溶媒のいくつかは非常に安定しており、DMFとは異なり、高温や高いpHで分解されないことである。さらに、DMFは、生成物からの完全な回収及び分離が困難であることが知られている。この問題は、DMFを使用する必要がなければ自動的に解決する。DMFを使用しないことには更なる利点がある。なぜなら、高温において、塩素化及び冷却の間、かなりの量のDMFが分解され、回収不能な損失となるためである。
【0028】
上記方法において生成されるTGSは、有機溶媒における、フィルタープレスを用いた濾過、限外濾過、逆浸透、分子濾過、疎水性及び親和性クロマトグラフィを含むカラムクロマトグラフィ、溶媒抽出、結晶化、析出等を含むがそれらに限定されない、1つ又は複数の方法を用いて精製及び単離でき、非晶質粉末又は微晶質粉末、又はいくつかの形態の粉末の混合物等を生成する。
【0029】
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
部分的に保護されたスクロース及びその誘導体の塩素化の新しいスキームが、本発明において解明される。
【0031】
ここに発明された反応のスキームにおいて、塩化チオニルと塩化スルフリルとを互いに代替的に使用して、同じ効果を得ること又は同じ目的を達成することが可能であることが分かった。
【0032】
同様に、本発明においては、TGS生成の更なる方法のための原材料として、部分的に保護されたスクロース、特にスクロース‐6‐エステルを使用することが好ましいが、本発明は、特許請求の範囲内において、塩素化のための酸塩化物又はその誘導体を含む硫黄の使用を含む、原材料としての糖との反応開始を想定するいかなる方法にも適用可能であり、その方法を含む。
【0033】
塩化チオニルが、DMF等の第3級アミドと反応すると、図1(a)に示す、塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウムクロロ亜硫酸塩(以下、「クロロ亜硫酸塩試薬」と言う)と称される試薬が生成される。
【0034】
同様に、塩化スルフリルがジメチルホルムアミドと反応すると、本質的に同様の試薬である、図1(b)に示す、塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウムクロロ硫酸塩(以下、「クロロ硫酸塩試薬」又は単に「クロロ硫酸塩」と言う)と称される試薬が生成される。
【0035】
クロロ亜硫酸塩試薬及びクロロ硫酸塩試薬自体は同様の性質を持ち、部分的に保護されたスクロース誘導体の塩素化のための方法における有用性として、同様の方策を提示する。それらはともに塩素化を行うことができる。塩化チオニルから生成されるクロロ亜硫酸試薬は非常に低い温度でのみ安定し、室温では固体として単離することができず、原位置生成された試薬として使用しなければならない。塩素化反応に必要なより高い温度では、それは不安定であり二酸化硫黄を放出する。塩化スルフリルから生成される試薬は室温で安定し、固体として単離することができ、糖誘導体を塩素化するための分離した試薬として使用することができる。この試薬はまた、塩素化反応の間に加熱されると、気体の副生成物である三酸化硫黄を放出する。三酸化硫黄は、真空吸引及び高温加熱等の適切な方法によって、当該試薬又は当該試薬を含む反応混合物から除去でき、その後、気体の副生成物の遊離後に生成されるビルスマイヤーは塩素化のため取り出される。
【0036】
それぞれ塩化チオニル及び塩化スルフリルのDMFとの反応から生成されるクロロ亜硫酸塩試薬及びクロロ硫酸塩試薬は、DMSO(ジメチルスルホキシド)、ピリジン、テトラクロロエタン、ペルクロロエチレン等の、DMF以外の溶媒において、塩素化反応を行うことができる。その利点は、これらの溶媒は反応に加わってしまうことがなく、それ故他の形態に変化せず、反応完了後に容易に回収でき、損失なく溶媒を回収でき、プロセスを非常に効率よく経済的にすることにある。さらに、DMFは回収が困難で生成物から完全に分離することが困難であると知られているが、DMFは使用する必要が無ければ、この問題は自動的に解決する。さらに、DMFを使用しないことには更なる利点がある。なぜなら、高温で塩素化を行っている間、且つ冷却を行っている間、かなりの量のDMFが分解して、回収不能な損失であり、このことはDMFを使用しないことで回避されるためである。さらにまた、DMFは高沸点溶媒であり、その回収が困難となっている。さらに、DMFは高温で且つ極端なpH範囲において分解する溶媒である。塩素化の間、反応マスは高温になり、そのpHは極めて酸性になる。さらに、反応マスの冷却の間、反応マスはアルカリ性にも晒される。これら全ての処置の間、DMFは厳しい条件下に晒され、様々な程度に分解されて永遠に失われる。このことは、より安定して反応に加わらない他の溶媒を我々が使用するケースには当てはまらない。
【0037】
このように塩化チオニル及び塩化スルフリルから生成されるビルスマイヤー試薬は、五酸化リン、オキシ塩化リン、ホスゲン等の他の酸塩化物から生成されるビルスマイヤー試薬と同じである。いかなる気体が発生しようと、それはこのビルスマイヤー試薬の生成に限られており、一旦気体の副生成物が反応混合物から除去されたら、又はビルスマイヤー試薬が分離されて使用されると、後の反応は任意の他の塩素化剤から生成されるビルスマイヤー試薬による塩素化と同様である。ここでも、単離されたビルスマイヤー試薬との反応において、DMFを使用せず、テトラクロロエタン、ペルクロロエチレン、トルエン等の他の適切な溶媒を反応媒体として使用することができる。
【0038】
したがって、反応時の突然の/予測不可能な強烈な気体急増の問題を確実に防ぐ場合には、ビルスマイヤー試薬の生成、及び部分的に保護されたスクロース誘導体の更なる塩素化のために、塩化チオニル又は塩化スルフリルを酸塩化物として使用することが、ホスゲンやオキシ塩化リン又は五塩化リン等のビルスマイヤー試薬生成のために通常使用される他の酸塩化物と比較すると、より良い選択であろう。ホスゲンは非常に毒性が強く危険であり、オキシ塩化リン又は五塩化リンは、リン酸塩の副生成物を管理するのが困難である。
【0039】
クロロ亜硫酸塩試薬の場合はSO、又はクロロ硫酸塩試薬の場合はSOを遊離した後に生成されるビルスマイヤー型試薬の想定される構造は、図1(c)に示す。
【0040】
クロロ亜硫酸塩試薬からの二酸化硫黄の遊離、又はクロロ硫酸塩からの三酸化硫黄の遊離は、塩素化の加熱サイクル時に起きると非常に危機的である。なぜなら、それは極めて強烈であり、反応混合物は反応器に衝突して飛び出す傾向があるためである。反応マスから気体が発生する割合は非常に高く、それによってより圧力が高くなり、結果的に暴走反応となってしまう。
【0041】
本発明では、反応物からの気体の発生率を、適切な吸着剤、又は反応混合物に対して不活性で反応条件下において悪影響を受けない微小固体粒子(以下、「不活性粒子」又は「不活性物質」と言う)を添加することにより制御する新規方法を開示する。この吸着剤又は不活性粒子は、クロロ亜硫酸塩又はクロロ硫酸塩から気体が放出されるとすぐに取り込むと考えられる。それは恐らく、完全に不活性な物質又は吸着剤における、物理的な引力による完全な物理吸着や付加的な引力によるものである。そして、突発的で強烈な放出は回避される。吸着剤や不活性粒子は、クロロ亜硫酸塩又はクロロ硫酸塩からそれ自体へ、その後、脱離により反応混合物へ、さらにその後、スクラバーへ気体を放出するための媒体又は相間物質として作用する。それにより、二酸化硫黄/三酸化硫黄の発生率を制御する。作用の可能なメカニズムは、吸着と脱離が同時に起こり、気体の発生率を制御するというものである。吸着剤を構成する不活性粒子又は不活性物質は、好ましくは5ミクロン〜350ミクロン、最も好ましくは50ミクロン/mm〜100ミクロン/mmである。
【0042】
通常使用される吸着剤は、活性炭及びゼオライト等を含むがそれらに限定されない。本発明の反応物に対して不活性な不活性物質は、珪藻土、シリカ、ケイ酸アルミニウム・カルシウム等を含むがそれらに限定されない。吸着剤及び/又は添加される不活性粒子物質は、二酸化硫黄/三酸化硫黄の吸着に対してのみ役割を果たし、塩素化反応に対しては比較的不活性である。
【0043】
当然、吸着剤/不活性粒子の添加は、低温で行われる反応に添加される場合でも、その目的を果たす。
【0044】
塩素化反応の後、反応マスは吸着剤とともに中和されて濾過される。吸着材は濾過ケーキにおいて分離され再生されることができる。気体発生はこのように制御されるため、従来技術で可能であった温度よりもはるかに高い温度で塩化チオニル系塩素化反応及び塩化スルフリル系塩素化反応を用いることができるようになり、試薬添加時間が比較的且つ合理的に低減され、長時間に亘る還流や活発な撹拌等の措置が不要となる。反応がおおよそ室温で行われるため、ビルスマイヤー試薬の生成もより早く完了する。
【0045】
後述する例は、本明細書においてクレームされる発明の実施の仕方について説明する機能を果たし、使用される実際の技術の範囲、又はクレームされる反応条件若しくは処理条件の範囲を制限するものではない。実施形態のさまざまな他の適用例は、当業者によって容易に想到されるであろう。また、それらは本発明の範囲に含まれる。単数形に言及することは、その複数形をも含む。したがって、「(1つの)溶媒」と言及することは、1つまたはそれ以上の溶媒を含む。反応物又は反応条件の同等な代替物もまた、本明細書における請求の範囲に含まれる。したがって、「塩化物」と言及することは、代替的な化学物質として使用する場合、同じ機能を果たし得るのであれば、臭化物等の他のハロゲン化物も含む。同様に、「スクロースエステル」と言及することは、モノエステル、ペンタエステル及びそれらの誘導体も含む。一般に、当業者に自明な、いかなる変更又は等価物も、本明細書及び請求の範囲の範囲内である。
【0046】
この試薬は、順次的に(a)DMF(7.0〜12モル)を−10℃〜35℃でフラスコに取り、(b)吸着剤又は不活性粒子、又はその両方を、投入される塩化チオニルの5%〜15%の量添加され、(c)塩化チオニル(約3.5〜5モル以上)を室温である期間に亘り、ゆっくりとフラスコに添加される。その時、反応物の温度は好ましくは30℃未満に保たれる。
【0047】
その後、6‐アシルスクロースが5℃未満で反応マスに添加され、温度は5℃未満に制御される。続いて、反応マスは35℃まで加熱されて60分保たれる。その後、反応マスは85℃まで加熱されて60分保たれ、また加熱されて100℃で6時間保たれる。最終的に、温度は115℃まで上昇されて1.5時間保ち、その後60℃まで冷却される。
【0048】
続いて、反応マスは7%のアンモニア溶液でpH7.0まで中和される。中和された反応マスは濾過されて懸濁物は分離される。吸着剤もこの段階で分離されて、活性化と再利用のために高温になるまで加熱される。
【0049】
反応時に遊離された気体の硫黄酸化物の多くは反応混合物からスクラバーへ放出され、残留物はアンモニアで無機塩類を形成する。塩素化後の中和の間に生成された無機化合物は、五塩化リン又はオキシ塩化リン等の使用された塩素化剤の使用量のいずれよりもはるかに少量である。
【0050】
別の実施形態では、DMF等の第3級アミドは、35〜50℃で、塩化チオニル又は塩化スルフリル等の酸塩化物にモル等量添加される。DMFはゆっくり添加され、すぐに酸塩化物と反応し、クロロ亜硫酸塩試薬又はクロロ硫酸塩試薬の塩を生成する。これは次に、二酸化硫黄又は三酸化硫黄の放出とともに、ビルスマイヤー試薬に転換する。ここで、二酸化硫黄又は三酸化硫黄の放出のプロセスは、DMFの反応マスへの添加によって制御されるため、制御される。本実施形態においては、吸着剤の必要はなく、ビルスマイヤーはDMFを添加することで前記温度においてゆっくりと生成され得る。前記ビルスマイヤーの生成後、反応マスは−5℃〜5℃まで冷却され、DMFに溶解したスクロース‐6‐アセテート溶液が添加される。その後、反応マスは周辺温度まで加熱され、さらに高温に加熱されて、TGS生成のための塩素化を容易にする。
【0051】
上記実施形態において、反応マスから遊離した気体を効率的な方法で除去するために窒素散布が行われる。反応における窒素散布は、反応混合物から気体を除去するのに重要な役割を果たす。これはまた反応マスへの湿気の同伴も防ぐ。しかしながら、反応マスからの気体発生の割合を独立して制御することはない。
【0052】
しかしながら、吸着剤又は不活性物質は、塩素化反応時に発生する二酸化硫黄又は三酸化硫黄に対して吸着能力/物理的親和性を持つ。そのため、これらの気体の発生を制御する。
【0053】
高温においてビルスマイヤーを生成すること及び約25℃〜35℃を維持することは、塩化チオニルが一部反応しない他の反応とは異なり、塩化チオニルがDMFと完全に反応することを達成する、本発明の一実施形態である。
【0054】
ここで言及されるのは、スクロース‐6‐エステルに加えて、6‐エーテル及び6,4‐ジエステルから、本発明によって塩素化され得る6位が保護されたスクロースも選択し得る。6‐アセテートに加えて、6‐ベンゾアート及びラフィノースから、6位置保護のスクロースを選択することもできる。TGSの生成の方法は、スクロース‐6‐エステルを生成する方法によってビルスマイヤー型試薬を使用してスクロース‐6‐エステルを塩素化し、エステル化し、ペンタエステルを脱エステル化することを含み、TGSを生成する。
【0055】
他の塩素化剤よりも塩化チオニル及び塩化スルフリルは工業規模で扱いやすく、より経済的に実行可能な方法を提供する。
【実施例1】
【0056】
[塩化チオニルを使用した塩素化]
ガラスライン反応器(Glass Lined Reactor (GLR))にDMF460Lを入れ、炭16kgを加えた。混合物を撹拌し、60分に亘り塩化チオニル344kgを投薬タンクを介して反応器に加えた。窒素スパージャラインを反応器に合わせ、反応の間、窒素の散布を継続した。
【0057】
温度は35℃〜40℃に保った。塩化チオニルの添加後、反応マスは60分間撹拌されて0℃まで冷却した。DMFに溶解した86%のスクロース‐6‐アセテート溶液80kgを、10〜15時間かけて反応マスに添加し、温度は5℃未満に制御した。
【0058】
次に、反応マスを30℃の室温にし、60分間撹拌した。その後反応マスを3時間に亘って徐々に85℃まで加熱し、60分間85℃に保ち、続いて100℃に加熱し6時間保った。次に、反応マスをさらに114℃まで加熱して1.5時間保った後、60℃まで冷却した。
【0059】
次に、反応マスを7%のアンモニア溶液でpH7.0まで中和した。中和した反応マスを6‐アセチルTGSについて分析し、投入されたスクロースの65%であることがわかった。
【0060】
次に、中和した反応マスをフィルタープレスにて濾過し、懸濁物を除去した。得られた濾液をThermax ADS 600樹脂を含む親和性クロマトグラフィカラムに通過させた。TGS‐6‐アセテートは樹脂の表面に吸着され、無機塩類とともにDMFは樹脂から排出される。
【0061】
吸着されたTGS‐6‐アセテートを、メタノールに溶解した10%のアンモニア溶液を使用して脱着した。TGS‐6‐アセテートのTGSへの原位置のアシル化が、脱着時に起こる。
【0062】
アンモニアメタノール溶液に溶解したTGS溶液を、希塩酸の添加により中和する。中和された溶液は蒸留されてメタノールが除去される。得られたシロップをエチルアセテート及びメタノールで処理して結晶化した。
【0063】
投入したスクロース‐6‐アセテートから得られた全収率は35%と判明した。
【実施例2】
【0064】
[塩化スルフリルを使用した塩素化]
[塩化スルフリルを使用したスクロース‐6‐ベンゾアートの塩素化]
DMF2100mlを丸底反応フラスコに入れ、炭80gをそれに加えて撹拌した。窒素散布をフラスコ内で開始した。温度は25℃に保ち、塩化スルフリル1100mlを、添加漏斗を介して滴下添加した。添加完了後、反応マスを60分間撹拌しながら25℃に保った。その後、反応マスを0℃に冷却し、DMFに溶解した、スクロース‐6‐ベンゾアート溶液1000ml(340g)を添加した。温度は5℃未満に制御した。スクロース‐6‐ベンゾアートの添加完了後、反応マスを3.5時間、25℃〜30℃で撹拌した。その後、反応マスを85℃まで加熱して1時間保ち、100℃まで再び加熱し6時間保ち、さらに115℃まで加熱し2.5時間保った。
【0065】
次に、反応マスを60℃まで冷却し、7%のアンモニア溶液で中和した。6‐ベンゾイルTGSを含む中和した反応マスを濾過し、懸濁物を炭とともに除去した。反応の間、三酸化硫黄の発生は非常に穏やかで、突発的な気体増加は見られなかった。投入されたスクロース‐6‐ベンゾアートからの6‐ベンゾイルTGSの全収率は、分析の結果66%となった。
【実施例3】
【0066】
[塩化スルフリルから生成される塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウムクロロ硫酸塩の単離]
二塩化メチレン1150mlを反応フラスコに取り、塩化スルフリル982gを3時間に亘り−20℃未満で滴下添加した。窒素スパージャラインをフラスコに合わせ、窒素散布を反応の間継続した。反応混合物を継続的に撹拌した。その後、DMF520gを、活発に撹拌しながら、−20℃未満に保ったまま、徐々に反応混合物に添加した。
【0067】
次に、温度を徐々に0℃まで上昇させた。付加物の塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウムクロロ硫酸塩が溶液から凝結して生成した。混合物をこの温度で活発に撹拌して冷却された条件下で濾過し、液体窒素下でさらに使用されるまで保存した。
【実施例4】
【0068】
[単離された塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウムクロロ硫酸塩を使用したスクロース‐6‐ベンゾアートの塩素化]
単離された塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウムクロロ硫酸塩付加物902.8gを反応フラスコに取り、ジメチルスルホキシド1200mlを添加した。混合物に活性化したゼオライト40gを添加し、撹拌し続けた。窒素スパージャラインをフラスコに合わせ、反応を通してずっと窒素を散布し続けた。温度は0〜5℃を保った。スクロース‐6‐ベンゾアート176gを反応混合物に添加し、60分間撹拌した。温度はスクロース‐6‐ベンゾアートを添加している間、5℃未満に制御した。
【0069】
次に、反応混合物(以下、代替的に「マス」とも言う)を室温にし、60分間保った。その後、マスを3時間に亘って徐々に85℃まで加熱し、85℃で60分間保ち、それから100℃まで加熱して6時間保った。マスをさらに114℃まで加熱し、1.5時間保った後、60℃まで冷却した。
【0070】
次に、マスを7%のアンモニア溶液でpH7.0まで中和した。得られた中和したマスは7Lで、TGS‐6‐ベンゾアートについて分析し、109.9g(投入したスクロース‐6‐ベンゾアートの64.6%の転換)であることが判明した。
【実施例5】
【0071】
[DMFの酸塩化物への逆添加]
塩化チオニル520mlを三口丸底フラスコに取った。窒素スパージャラインをフラスコに合わせた。撹拌しながら温度は35〜40℃に保った。そして、DMF550mlをマスに滴下添加し、3時間以上、必要なときはいつでも能動冷却することにより、温度を50℃未満に制御した。窒素はDMFの添加時に亘って散布し続けた。
【0072】
反応が起こっている間、反応から継続的な二酸化硫黄ガスの発生が観察された。このことは、ガスを二クロム酸カリウム溶液に浸した紙に晒すことによって検査された。黄色から緑色に色が変化することで、二酸化硫黄の発生がわかる。
【0073】
DMFの添加完了後、反応マスを3時間、45〜50℃に保ち、二酸化硫黄の完全な除去を容易にした。このことは、反応マスを二クロム酸カリウム溶液で処理することにより確認された。溶液に緑色が表れなければ、二酸化硫黄が反応マスから完全に除去されたことになる。
【0074】
次に、反応マスを0〜5℃に冷却し、DMFに溶解した22%のスクロース‐6‐アセテートを含む900mlを撹拌しながら滴下添加した。反応マスをその後室温にし、60分間保った。それからマスを徐々に3時間に亘って85℃まで加熱し、85℃で60分間保ち、100℃まで加熱して6時間保った。さらにマスを114℃まで加熱して1.5時間保ち、60℃まで冷却した。
【0075】
次に、マスを7%のアンモニア溶液でpH7.0まで中和した。得られた中和したマスが7Lで、TGS‐6‐アセテートについて分析し、90gであることが分かった。
【実施例6】
【0076】
[塩化チオニルからの塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウム塩の単離]
DMF460Lをガラスライン反応器に取り、ゼオライト吸着剤12kgを添加した。混合物を撹拌し、塩化チオニル344kgを、60分に亘り投薬タンクを介して反応器に添加した。窒素スパージャラインを反応器に合わせ、反応の間窒素の散布を継続した。温度は35〜40℃に保った。塩化チオニルの添加後、マスを5時間撹拌し、5時間に亘って徐々に温度を70℃まで上昇させて、二酸化硫黄ガスが完全に除去されたか分析された。このことは、ガスを二クロム酸カリウム溶液に浸した紙に晒すことにより検査された。黄色から緑色に色が変化することで、二酸化硫黄の発生がわかる。
【0077】
次に、反応マスを15℃まで冷却し、マスは固体を沈殿し始める。沈殿は3時間で完了できた。窒素下の閉鎖系濾過システムを用いて、この固体を吸着剤とともに濾過した。濾過された固体は慎重に洗浄されたGLRへ運ばれ、その重さは518.5kgであった。この固体の塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウム塩はスクロース‐6‐アセテートの塩素化に使用された。
【0078】
[単離された塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウム塩を使用するスクロース‐6‐アセテートの塩素化]
前記単離された塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウム塩をGLRに取り、0℃まで冷却した。DMF500Lを反応マスに添加し、撹拌し続けた。窒素スパージャラインを反応器に合わせ、窒素の散布を反応の間継続した。DMFに溶解したスクロース‐6‐アセテート82%の溶液80kgを10〜15時間に亘って反応マスに添加し、温度を5℃未満に制御した。
【0079】
次に、マスを30℃の室温にし、60分間撹拌した。その後、3時間に亘り徐々にマスを85℃まで加熱し、85℃を60分間保ち、さらに100℃まで加熱し、6時間保った。次に、マスをさらに114℃まで加熱して1.5時間保ち、60℃まで冷却した。
【0080】
次に、マスを7%のアンモニア溶液でpH7.0まで中和し、中和したマスを6‐アセチルTGSについて分析し、投入したスクロースの54%であることが分かった。反応におけるDMFの損失は投入量の20%であることが分かった。
【実施例7】
【0081】
[塩化スルフリルからの塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウム塩の単離]
DMF560Lをガラスライン反応器に取った後、炭吸着剤12kgを添加する。混合物を撹拌し、塩化スルフリル208kgを、60分間に亘り投薬タンクを介して反応器に添加し加えた。窒素スページャラインを反応器に合わせ、反応の間、窒素散布を継続した。温度は35〜40℃に保った。塩化スルフリルの添加後、マスを5時間撹拌し、徐々に温度を9時間に亘り85℃まで上昇させ、三酸化硫黄ガスが完全に除去されたか分析した。このことは、ガスを二クロム酸カリウム溶液に浸した紙に晒すことにより検査された。黄色から緑色に色が変化することで、三酸化硫黄の発生が分かる。
【0082】
次に、反応マスを15℃に冷却し、マスは固体を沈殿し始める。沈殿は3時間で完了できた。窒素下の閉鎖系濾過システムを用いて、この固体を吸着剤とともに濾過した。濾過された固体は洗浄されたGLRへ慎重に運ばれ、その重さは100kgであった。
【0083】
この固体の塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウム塩をGLRに取り、0℃まで冷却した。DMF500Lを反応マスに添加し、撹拌し続けた。DMFに溶解したスクロース‐6‐アセテート82%の溶液65kgを10〜15時間に亘り反応マスに添加し、温度は5℃未満に制御した。
【0084】
次に、マスを30℃の室温にし、60分間撹拌した。その後、3時間に亘り徐々にマスを85℃まで加熱し、85℃を60分間保ち、さらに100℃まで加熱し、6時間保った。次に、マスをさらに114℃まで加熱して1.5時間保ち、60℃まで冷却した。
【0085】
次に、マスを7%のアンモニア溶液でpH7.0まで中和し、中和したマスを6‐アセチルTGSについて分析し、投入したスクロースの60%であることが分かった。
【実施例8】
【0086】
[ペルクロロエチレンにおける単離された塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウム塩を使用するスクロース‐6‐アセテートの塩素化]
実施例5から単離された固体をGLRに取った。ペルクロロエチレン500Lを反応マスに添加し、0℃に冷却し、撹拌し続けた。窒素スパージャラインを反応器に合わせ、反応の間、窒素の散布を継続した。ペルクロロエチレンに溶解したスクロース‐6‐アセテート82%の溶液80kgを、10〜15時間に亘り反応マスに添加し、温度を5℃未満に制御した。
【0087】
次に、マスを30℃の室温にし、60分間撹拌した。その後、3時間に亘り徐々にマスを85℃まで加熱し、85℃を60分間保ち、さらに100℃まで加熱し、6時間保った。次に、マスをさらに114℃まで加熱して1.5時間保ち、60℃まで冷却した。
【0088】
次に、マスを7%のアンモニア溶液でpH7.0まで中和し、中和したマスを6‐アセチルTGSについて分析し、投入したスクロースの54%であることが分かった。中和したマスにおけるペルクロロエチレンは分析され、損失は投入量の3.5%であることが分かった。
【実施例9】
【0089】
[珪藻土の存在下における塩化チオニルを使用するスクロース‐6‐ベンゾアートの塩素化]
DMF1150mlを丸底反応フラスコに取り、珪藻土40gをそれに加えて撹拌した。フラスコ内で窒素の散布を開始した。温度は25℃に保ち、塩化チオニル520mlを、滴下漏斗を介して滴下添加した。温度は30℃以下に制御した。塩化チオニルの添加完了後、反応マスを60分間に亘り25〜30℃で撹拌し、0℃まで冷却した。DMFに溶解したスクロース‐6‐ベンゾアート(170g)溶液900mlを加えて撹拌した。温度は5℃未満に制御した。スクロース‐6‐ベンゾアート溶液の添加後、反応物は室温にされ、3時間撹拌された。その後、反応マスは85℃まで加熱して1時間保ち、再び100℃まで加熱して6時間保ち、さらに115℃まで加熱して2.5時間保った。
【0090】
その後、反応マスを60℃まで冷却し、7%のアンモニア溶液で中和した。6‐ベンゾイルTGSを含む中和されたマスは濾過されて、懸濁物は珪藻土とともに除去された。反応の間、二酸化硫黄の発生は非常に穏やかで、突発的な気体の増加は見られなかった。投入されたスクロース‐6‐ベンゾアートからの6‐ベンゾイルTGSの全収率は68%であることが分かった。
【実施例10】
【0091】
[添加順序を変更する、例えば、スクロース‐6‐エステルに塩素化剤を添加する、塩化チオニルを使用したスクロース‐6‐ベンゾアートの塩素化]
DMF2100mlを丸底反応フラスコに入れ、炭80gをそれに加えて撹拌した。DMFに溶解したスクロース‐6‐ベンゾアート(340g)溶液1000mlを撹拌しながら添加した。窒素散布をフラスコ内で開始した。温度は25℃に保ち、塩化チオニル1040mlを添加漏斗を介して滴下添加した。温度は30℃未満に制御した。塩化チオニルの添加完了後、反応マスを25〜30℃で3.5時間撹拌した。その後、反応マスを85℃まで加熱して1時間保ち、100℃まで再び加熱し6時間保ち、さらに115℃まで加熱し2.5時間保った。
【0092】
次に、反応マスを60℃まで冷却し、7%のアンモニア溶液で中和した。6‐ベンゾイルTGSを含む中和した反応マスを濾過し、懸濁物を炭とともに除去した。反応の間、二酸化硫黄の発生は非常に穏やかで、突発的な気体増加は見られなかった。投入されたスクロース‐6‐ベンゾアートからの6‐ベンゾイルTGSの全収率は、分析の結果48%となった。
【実施例11】
【0093】
[窒素散布を行わない、珪藻土存在下において塩化チオニルを使用したスクロース‐6‐アセテートの塩素化]
DMF1000mlを丸底反応フラスコに入れ、珪藻土40gを加えて撹拌した。温度は25℃に保ち、塩化チオニル480mlを滴下漏斗を介して滴下添加した。温度は30℃未満に制御した。塩化チオニルの添加完了後、反応マスを25〜30℃で60分間撹拌し、0℃まで冷却した。DMFに溶解したスクロース‐6‐アセテート(180g)溶液1050mlを撹拌しながら添加した。温度は5℃未満に制御した。スクロース‐6‐アセテート溶液の添加後、反応マスは室温にされ、3時間撹拌した。その後、反応マスを85℃まで加熱して1時間保ち、100℃まで再び加熱し6時間保ち、さらに115℃まで加熱し2.5時間保った。
【0094】
次に、反応マスを60℃まで冷却し、7%のアンモニア溶液で中和した。6‐アセチルTGSを含む中和した反応マスを濾過し、懸濁物を珪藻土とともに除去した。反応の間、二酸化硫黄の発生は穏やかで、突発的な気体増加は見られなかった。投入されたスクロース‐6‐アセテートからの6‐アセチルTGSの全収率は、分析の結果55%となった。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1(a)は塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウムクロロ亜硫酸塩試薬の構造式を示す図、図1(b)は塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウムクロロ硫酸塩試薬の構造式を示す図、図1(c)は塩化チオニル及び塩化スルフリルから生成されるビルスマイヤー試薬の構造式を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応条件下において、反応物に対して不活性で且つ安定な、気体の大量発生を制御して安全に放出させ得る物質の粉末を、反応物の最初の溶液を反応器に加えた後に、突発的で制御不能にガスを急増させないように、前記大量発生を制御するのに十分な量ほど反応混合物に添加することにより、反応における気体の副生成物の前記大量発生を制御する方法であって、前記反応は、
(A)硫黄含有無機酸塩化物と第3級アミドとの間で生成される付加物を含む第1の反応混合物をもたらす、前記無機酸塩化物と前記第3級アミドとの反応、
(B)前記付加物を前記第1の反応混合物から単離した後に反応させることにより、糖又は部分的に保護された糖との塩素化反応の進行に適している溶媒中において行われる、塩素化反応、
(C)塩素化糖誘導体を生成するための、前記第1の反応混合物における原位置試薬として存在する前記付加物と糖又は部分的に保護された糖との反応を含む塩素化反応、
(D)前記第1の反応混合物を加熱して、原位置の前記付加物の分解を含む第2の反応混合物の生成を行って、一般式[XClC=N]Cl(式中、Rはアルキル基、一般的にメチル又はエチル基を表し、Xは水素原子またはメチル基を表す)のビルスマイヤー試薬を生成すること、及び任意で、生成される固体の前記ビルスマイヤー試薬を単離すること、
(E)塩素化糖誘導体を生成するための、前記第2の反応混合物と原位置生成するビルスマイヤー試薬との反応による、部分的に保護された糖との塩素化反応、又は
(F)DMFに溶解した糖又は部分的に保護された糖と、硫黄含有無機酸塩化物との反応による、さらに任意で、前記塩素化糖誘導体の単離、又は前記塩素化糖誘導体の脱アシル化による、トリクロロガラクトスクロース(TGS)を生成するための塩素化反応
を含む1つ又は複数の反応
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
(a)前記気体の副生成物は、二酸化硫黄又は三酸化硫黄を含む硫黄酸化物であり、
(b)(i)放出気体に対して化学変化しない、物理的吸着力又は低化学的親和性、又はその両方を持ち得る物質を含み、(ii)前記1つ又は複数の反応の条件下において安定であり、且つ(iii)前記反応の前記反応物の構成成分に対して不活性である、前記粉末は、炭、珪藻土、シリカ、ケイ酸アルミニウムカルシウム等から成る、1つ又は複数の吸着剤又は不活性物質を含み、
(c)添加される前記粉末量は、前記酸塩化物の重さの約5〜15重量%、好ましくは5〜5重量%であり、
(d)無機酸塩化物を含む前記硫黄は、塩化チオニル、塩化スルフリル等の1つ又は複数から成り、
(e)前記第3級アミドは、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド等の1つ又は複数から成り、
(f)前記付加物は、その生成に使用される前記酸塩化物が塩化チオニルの場合、塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウムクロロ亜硫酸塩(N,N‐dimethylformiminium chloride chlorosulphite)(クロロ亜硫酸塩試薬)を含み、又はその生成に使用される前記酸塩化物が塩化スルフリルの場合、塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウムクロロ硫酸塩(N,N‐dimethylformiminium chloride chlorosulphate)(クロロ硫酸塩試薬)を含み、
(g)塩素化反応の進行に適している前記溶媒は、DMF、ジメチルスルホキシド、ペルクロロエチレン、トルエン、ピリジン、キシレン等の1つ又は複数を含む有機溶媒であり、
(h)前記糖はラフィノースを含み、
(i)前記部分的に保護される糖は、スクロース又は6‐保護スクロースのペンタエステルを含み、6‐保護スクロースはさらに、スクロース‐6‐エステル、スクロース‐6‐エーテル、又はスクロース‐6‐ジエステルを含み、さらにスクロース‐6‐アセテート、スクロース‐6‐ベンゾアート、スクロース‐6,4’ジエステル、2,3,6,3’,4’‐ペンタエステル、スクロース‐6‐グルタラート、スクロース‐6‐プロピオナート、スクロース‐6‐ラウラート、スクロース‐6‐フタラート、スクロース‐6‐メチルエーテル、スクロース‐6‐エチルエーテル等を含み、
(j)精製及び単離の前記方法は、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィ、逆浸透、結晶化等の1つ又は複数を備える
方法。
【請求項3】
請求項2に記載の、塩素化剤の生成のために好適な硫黄含有酸塩化物として塩化チオニル又は塩化スルフリルを使用することを含む、TGSの生成方法であって、
前記方法はさらに以下の逐次ステップを含む:
(G)好適な第3級アミドとしてDMFを反応器に取り、任意で好適な不活性ガスとして窒素を前記反応混合物中に散布し、
(H)そこに、気体発生を制御する好適な粉末として、炭粉末を加え、
(I)前記反応混合物に、酸塩化物を含む前記好適な硫黄を、温度を好ましくは35℃〜40℃に保ちながら長時間に亘り徐々に添加し、
(J)DMFとの付加物の生成を完了させるために、好ましくは撹拌した前記反応マスを、好ましくは約60分間保った後、温度を好ましくは約0℃まで冷却し、その結果前記付加物を含む反応混合物を生成し、
(K)好適な、部分的に保護された糖として、溶液中のスクロース‐6‐アセテートを、前記溶液を数時間に亘り徐々にステップJの前記反応混合物に添加することにより塩素化し、温度を好ましくは5℃未満に制御し、その後温度を好ましくは約30℃の室温にして好ましくは約60分間撹拌し、より高温に、好ましくは約100℃まで加熱してその温度を好ましくは約6時間保ち、さらにより高温に、好ましくは約114℃まで加熱してその温度を好ましくは約1.5時間保ち、それにより塩素化TGS‐6‐アセテートを含む反応混合物を生成し、
(L)塩素化TGS‐6‐アセテートを含む前記反応混合物を、より低温に、好ましくは約60℃に冷却し、好適なアルカリとして約7%のアンモニア溶液を添加することにより約pH7に中和し、好ましくは濾過して懸濁物を除去し、
(M)好適な樹脂としてThermaxから得られるADS600樹脂等の、イオンの官能基を持たない架橋ポリスチレンから好ましくは合成される樹脂を含む、TGS‐6‐アセテートを選択的に吸着可能な吸着剤を含む親和性クロマトグラフィカラムに濾液を通過させることにより、単離すると同時にTGS‐6‐アセテートをTGSに脱アシル化することを含む好適な方法でTGSを回収し、TGS‐6‐アセテートを前記樹脂に吸着させて、溶離すること及び好ましくは水で前記カラムを洗浄することにより、前記樹脂から無機塩類とともにDMFを除去し、前記カラムを洗浄するためにメタノールに溶解した好ましくは約10%のアンモニア溶液を用いて、TGS‐6‐アセテートを脱着すると同時に脱アシル化し、アンモニアメタノール溶液中のTGS溶液を希塩酸の添加により中和し、メタノールを蒸留してシロップを得、前記シロップを、好適な溶媒の組み合わせであるエチルアセテート及びメタノールで処理することにより、好ましくはTGSを固体の形で単離して、TGS粉末を得る
方法。
【請求項4】
請求項3に記載の、単離及び精製の方法の1つ又は複数を用いて、請求項3のステップLの反応混合物からTGS‐6‐アセテートを単離及び精製することを含む、好適なTGS‐6‐エステルとしての前記TGS‐6‐アセテートの生成方法であって、
前記単離及び精製の方法は、好ましくは、
(i)Thermaxから得られる好適な吸着剤として、ADS600樹脂等のイオンの官能基を持たない架橋ポリスチレンから好ましくは合成される樹脂を含むTGS‐6‐アセテートを選択的に吸着可能な吸着剤を含む親和性クロマトグラフィカラムに濾液を通過させ、
(ii)TGS‐6‐アセテートを前記樹脂に吸着させて、溶離すること及び好ましくは水で前記カラムを洗浄することにより前記樹脂から無機塩類とともにDMFを除去し、
(iii)TGS‐6‐アセテートを脱着及び溶離可能な、メタノール水溶液を含む溶離剤を使用してTGS‐6‐アセテートを脱着して、カラムを洗浄し、
(iv)溶離した洗浄液を濃縮し、
(v)溶液結晶化の方法を含む、TGS‐6‐アセテートを前記溶媒から回収する方法で、固体としてTGS‐6‐アセテートを単離する
ことを含む、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の、好適な硫黄含有酸塩化物として塩化チオニルを使用することを含む、ビルスマイヤー試薬の生成方法であって、
前記方法はさらに以下の逐次ステップを含む:
(N)好適な第3級アミドとしてDMFを反応器に取り、任意で好適な不活性ガスとして窒素を前記反応混合物中に散布し、
(O)そこに、気体発生を制御する好適な粉末として、炭粉末を加え、
(P)前記反応混合物に、塩化チオニルを、温度を好ましくは35℃〜40℃に保ちながら長時間に亘り徐々に添加し、
(Q)クロロ亜硫酸塩試薬の生成を完了させるのに十分な時間、好ましくは約5時間、前記反応マスを撹拌し、
(R)二酸化硫黄が完全に除去されるまで、前記温度を徐々に、好ましくは5時間に亘り、好ましくは70℃まで上昇させ、
(S)反応マスを好適には約15℃まで冷却して、ビルスマイヤー試薬を固体として沈殿させ、
(T)前記沈殿物を、好ましくは濾過により、好ましくは不活性雰囲気下で、さらに好ましくは窒素下で収集する
方法。
【請求項6】
好適な硫黄含有酸塩化物として塩化スルフリルを使用することを含む、ビルスマイヤー試薬の生成を行う、請求項3に記載の方法であって、
前記方法はさらに以下の逐次ステップを含む:
(N)好適な第3級アミドとしてDMFを反応器に取り、任意で好適な不活性ガスとして窒素を前記反応混合物中に散布し、
(O)そこに、気体発生を制御する好適な粉末として、炭粉末を加え、
(P)前記反応混合物に、塩化チオニルを、温度を好ましくは35℃〜40℃に保ちながら長時間に亘り徐々に添加し、
(Q)クロロ硫酸塩試薬の生成を完了させるのに十分な時間、好ましくは約5時間、前記反応マスを撹拌し、
(R)塩素化試薬としてのその後の使用のために室温で生成されたクロロ硫酸塩の固体を単離し、又は、三酸化硫黄が完全に除去されるまで、長時間に亘り、好ましくは9時間、徐々に温度を好ましくは85℃まで上昇させ、
(S)反応マスを好適な温度である約15℃まで冷却してビルスマイヤー試薬を沈殿させ、長時間、好ましくは約3時間、沈殿が完了するのを待ち、
(T)前記沈殿物を、好ましくは濾過により、好ましくは不活性雰囲気下で、さらに好ましくは窒素下で収集する
方法。
【請求項7】
請求項2、3、4、5、又は6に記載の、塩素化試薬を生成するための、部分的に保護された糖の溶液に塩素化試薬を添加することを含む、好適な硫黄含有酸塩化物として塩化チオニル又は塩化スルフリルを使用することを含むTGSの生成方法であって、
前記方法はさらに以下の逐次ステップを含む:
(vi)好適な第3級アミドとしてDMFを反応器に取り、任意で好適な不活性ガスとして窒素を前記反応混合物中に散布し、
(vii)そこに、気体発生を制御する好適な粉末として、炭粉末を加え、
(viii)前記反応混合物に、好適な硫黄含有酸塩化物として塩化チオニル又は塩化スルフリルの溶液を、温度を好ましくは35℃〜40℃に保ちながら長時間に亘り徐々に添加し、
(ix)DMFによる付加物の生成を完了させるために、好ましくは約60分間、前記反応マスを好適に撹拌し続けた後、温度を好ましくは約0℃まで冷却し、それにより前記付加物を含む反応混合物を生成し、
(x)好適な部分的に保護された糖としてのDMF中のスクロース‐6‐アセテートを、前記溶液を数時間に亘り徐々にステップQの前記反応混合物に添加することにより塩素化し、温度を好ましくは5℃未満に制御し、その後温度を好ましくは約30℃の室温にして好ましくは約60分間撹拌し、より高温に、好ましくは約100℃まで加熱してその温度を好ましくは約6時間保ち、さらにより高温に、好ましくは約114℃まで加熱してその温度を好ましくは約1.5時間保ち、それにより塩素化TGS‐6‐アセテートを含む反応混合物を生成し、
(xi)塩素化TGS‐6‐アセテートを含む前記反応混合物を、より低温に、好ましくは約60℃に冷却し、好適なアルカリとして約7%のアンモニア溶液を添加することにより約pH7に中和し、好ましくは濾過して懸濁物を除去し、
(xii)好適な樹脂としてThermaxから得られる、ADS600樹脂等のイオンの官能基を持たない架橋ポリスチレンから好ましくは合成される樹脂を含むTGS‐6‐アセテートを選択的に吸着可能な吸着剤を含む親和性クロマトグラフィカラムに濾液を通過させることにより、単離すると同時にTGS‐6‐アセテートをTGSに脱アシル化することを含む好適な方法でTGSを回収し、TGS‐6‐アセテートを前記樹脂に吸着させて、溶離すること及び好ましくは水で前記カラムを洗浄することにより、前記樹脂から無機塩類とともにDMFを除去し、前記カラムを洗浄するためにメタノールに溶解した好ましくは約10%のアンモニア溶液を用いて、TGS‐6‐アセテートを脱着すると同時に脱アシル化し、アンモニアメタノール溶液中のTGS溶液を希塩酸の添加により中和し、メタノールを蒸留してシロップを得、前記シロップを、好適な溶媒の組み合わせであるエチルアセテート及びメタノールで処理することにより、好ましくはTGSを固体の形で単離して、TGS粉末を得る
方法。
【請求項8】
反応の液体溶媒となり得る、ジメチルホルムアミド(DMF)以外の1つ又は複数の有機溶媒における、単離した塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウムクロロ硫酸塩試薬で、部分的に保護される糖を塩素化する方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
a.前記部分的に保護される糖は、スクロース又は6保護スクロースのペンタエステルを含み、6保護スクロースはさらに、スクロース‐6‐エステル、スクロース‐6‐エーテル、スクロース‐6‐ジエステル、スクロース‐6‐アセテート、スクロース‐6‐ベンゾアート、スクロース6,4’ジエステル、2,3,6,3’,4’‐ペンタエステル、スクロース‐6‐グルタラート、スクロース‐6‐プロピオナート、スクロース‐6‐ラウラート、スクロース‐6‐フタラート、スクロース‐6‐メチルエーテル、又はスクロース‐6‐エチルエーテルを含み、
b.前記反応に対して液体溶媒となり得る前記有機溶媒は、ジメチルスルホキシド、ペルクロロエチレン、トルエン、ピリジン、キシレンの1つ又は複数を含む
方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
(A)好適なビルスマイヤー試薬としての、単離された固体の塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウム塩を好ましくはガラスライン反応器に取り、0℃に冷却されたペルクロロエチレンを好適な有機溶媒として反応マスに添加し、温度を0℃に保ちながら、好ましくは撹拌し続け、任意で好適な不活性ガスとして窒素を反応中散布し、
(B)好適な有機溶媒としてのペルクロロエチレンに溶解された、長時間好ましくは10〜15時間、温度を好ましくは5℃未満に制御しながら前記反応マスに添加される、好適な保護された糖として、スクロース‐6‐アセテートを添加し、
(C)前記反応マスを約30℃の室温にして好ましくは60分間撹拌し、
(D)前記反応マスを、長時間、好ましくは約3時間、好ましくは約85℃まで徐々に加熱し、長時間、好ましくは60分間保ち、
(E)さらに、好ましくは100℃まで加熱して6時間保ち、
(F)さらに、好ましくは約114℃まで加熱して好ましくは1.5時間保って、好ましくは60℃まで冷却し、
(G)前記マスを、好適なアルカリとして7%のアンモニア溶液で好ましくはpH7.0まで中和する
方法。
【請求項11】
第3級アミドを、硫黄含有無機酸塩溶液に逆添加することにより、5℃〜約50℃、好ましくは35℃〜50℃で行われる反応における気体の副生成物の大量発生を制御する方法であって、好適な不活性ガスとしての窒素の散布を伴う、硫黄含有無機酸塩化物と第3級アミドとの反応をさらに含み、その反応の結果、前記酸塩化物及び前記第3級アミド間に生成される付加物を含む第1の反応混合物が生成され、前記反応は、
(A)硫黄含有無機酸塩化物と第3級アミドとが反応し、前記無機酸塩及び前記第3級アミド間に生成される付加物を含む第1の反応混合物を生成する反応、
(B)前記第1の反応混合物からの単離後も、前記付加物の反応により、糖又は部分的に保護された糖との塩素化反応の進行に適した溶媒で行われる、塩素化反応、
(C)塩素化糖誘導体の生成のための、前記第1の反応混合物において原位置試薬として存在する前記付加物と糖又は部分的に保護された糖との反応を含む塩素化反応、
(D)一般式[XClC=N]Cl(式中、Rはアルキル基、典型的にはメチル基又はエチル基を表し、Xは水素原子又はメチル基を表す)のビルスマイヤー試薬を生成するための、原位置の前記付加物の分解を含む、第2の反応混合物を生成するために前記第1の反応混合物を加熱すること、及び任意で、固体の前記ビルスマイヤー試薬を単離すること、
(E)塩素化糖誘導体を生成するため、前記第2の反応混合物と原位置生成されたビルスマイヤー試薬と部分的に保護された糖とを反応させることによる塩素化反応、又は
(F)トリクロロガラクトスクロース(TGS)を生成するため、DMFに溶解した糖又は部分的に保護された糖と硫黄含有無機酸塩化物とを反応させることによる、その後任意で、前記塩素化糖誘導体を単離すること、又は前記塩素化糖誘導体を脱アシル化することによる、塩素化反応
を含む反応の1つ又は複数を含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
k.前記気体の副生成物は、二酸化硫黄又は三酸化硫黄を含む硫黄酸化物であり、
l.無機酸塩化物を含む前記硫黄は、塩化チオニル、塩化スルフリル等の1つ又は複数を含むか、又は臭化チオニルを含むハロゲン化物を含む少なくとも1つの等価な硫黄も含み、
m.前記第3級アミドは、ジメチルホルミアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド等の1つ又は複数を含み、
n.前記付加物は、その生成に使用される前記酸塩化物が塩化チオニルの場合、塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウムクロロ亜硫酸塩(クロロ亜硫酸塩試薬)を含み、又は、その生成に使用される酸塩化物が塩化スルフリルの場合、塩素化N,N‐ジメチルホルムイミニウムクロロ硫酸塩(クロロ硫酸塩試薬)を含み、
o.塩素化反応の進行に適した前記溶媒は、DMF、ジメチルスルホキシド、ペルクロロエチレン、トルエン、ピリジン、キシレン等の1つ又は複数を含み、
p.前記糖はラフィノースを含み、
q.前記部分的に保護された糖は、スクロース又は6保護スクロースのペンタエステルを含み、6保護スクロースはさらに、スクロース‐6‐エステル、スクロース‐6‐エーテル、スクロース‐6‐ジエステル、スクロース‐6‐アセテート、スクロース‐6‐ベンゾアート、スクロース6,4’ジエステル、2,3,6,3’,4’‐ペンタエステル、スクロース‐6‐グルタラート、スクロース‐6‐プロピオナート、スクロース‐6‐ラウラート、スクロース‐6‐フタラート、スクロース‐6‐メチルエーテル、スクロース‐6‐エチルエーテル等を含み、
r.前記精製及び単離の方法は、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィ、逆浸透、結晶化等の、1つ又は複数を含む、
方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、好適な硫黄含有酸塩化物として塩化チオニルを取り、前記方法はさらに以下の逐次ステップを含む:
(G)50℃を超えないように好ましくは能動冷却して3時間に亘って撹拌しながら、好ましくは約35〜40℃を保って、DMFを前記反応マスに滴下添加し、任意で好適な不活性ガスとして窒素をDMF添加の間散布し、
(H)二酸化硫黄を完全に除去することを促進するため、前記反応マスを好ましくは45〜50℃で好ましくは約3時間保持し、
(I)前記反応マスを約0〜5℃まで冷却し、DMFに溶解する好適な保護された糖としてスクロース‐6‐アセテート溶液を、好ましくは5℃未満に保ち、撹拌しながら滴下添加し、
(J)前記反応マスを室温にして好ましくは約60分間保ち、
(K)前記反応マスを、好ましくは約85℃まで、好ましくは約3時間に亘って徐々に加熱し、その温度を約60分間保ち、次に約100℃の好適な温度まで加熱して約6時間保ち、そしてさらに、好ましくは約114℃まで加熱して好ましくは約1.5時間保ち、60℃の好適な温度まで冷却し、
(L)TGS‐6‐アセテートを得るために、アルカリで、好ましくは7%のアンモニア溶液で、好ましくはpH約7.0まで中和し、
(M)TGSを得るために脱アシル化する
方法。
【請求項14】
請求項11に記載の、1つ又は複数の単離及び精製の方法によって請求項3のステップ(L)の反応混合物から前記TGS‐6‐アセテートを単離及び精製することを含む、好適なTGS‐6‐エステルとしてTGS‐6‐アセテートを生成する方法であって、前記1つ又は複数の単離及び精製の方法は、好ましくは、
(i)好適な樹脂としてThermaxから得られるADS600樹脂等のイオンの官能基を持たない架橋ポリスチレンから好ましくは合成される樹脂を含むTGS‐6‐アセテートを選択的に吸着可能な吸着剤を含む親和性クロマトグラフィカラムに濾液を通過させ、
(ii)TGS‐6‐アセテートを前記樹脂に吸着させて、溶離すること及び好ましくは水で前記カラムを洗浄することにより前記樹脂から無機塩類とともにDMFを除去し、
(iii)メタノール水溶液を含むTGS‐6‐アセテートを脱着及び溶離可能な溶離剤を使用することによりTGS‐6‐アセテートを脱着して、カラムを洗浄し、
(iv)溶離した洗浄液を濃縮し、
(v)固体としてのTGS‐6‐アセテートを、溶液結晶化の方法を含む、前記溶液から回収する方法で単離する
方法。
【請求項15】
請求項11に記載の、好適な硫黄含有酸塩化物として塩化チオニルを使用することを含むビルスマイヤー試薬の生成方法であって、前記方法はさらに以下の逐次ステップを含む:
(G)反応器に塩化チオニルを取り、好適な不活性ガスとして窒素を反応混合物中に散布し、
(H)そこにジメチルホルムアミドを、好ましくは約35〜40℃を保ちながら長時間に亘り徐々に添加し、
(I)反応マスを、クロロ亜硫酸塩試薬が完全に生成されるのに十分なさらなる時間、好ましくは約5時間撹拌し、
(J)二酸化硫黄が完全に除去されるまで、好ましくは5時間、温度を好ましくは70℃まで徐々に上昇させ、
(K)反応マスを好ましくは約15℃まで冷却し、ビルスマイヤー試薬を固体として析出させ、
(L)好ましくは不活性ガス雰囲気下で、さらに好ましくは窒素下で、析出物を濾過により収集する
方法。
【請求項16】
請求項11に記載の、好適な硫黄含有酸塩化物として塩化スルフリルを使用することを含む、ビルスマイヤー試薬の生成方法であって、前記方法はさらに以下の逐次ステップを含む:
(G)反応器に塩化スルフリルを取り、任意で、好適な不活性ガスとして窒素を反応混合物中に散布し、
(H)前記反応混合物中にジメチルホルムアミドを、好ましくは約35〜40℃を保ちながら長時間に亘り徐々に添加し、
(I)反応マスを、クロロ硫酸塩試薬が完全に生成されるのに十分なさらなる時間、好ましくは約5時間撹拌し、
(J)その後、塩素化試薬として後に使用するため、室温で生成されるクロロ硫酸塩試薬の固体を単離するか、又は三酸化硫黄が完全に除去されるまで、好ましくは9時間に亘って、好ましくは85℃まで徐々に温度を上昇させ、
(K)反応マスを好ましくは約15℃まで冷却し、ビルスマイヤー試薬を固体として析出させ、好ましくは3時間析出が完了するまで待ち、
(L)好ましくは不活性ガス雰囲気下で、さらに好ましくは窒素下で、析出物を濾過により収集する
方法。
【請求項17】
請求項11に記載の、塩素化試薬を生成するために、好適な硫黄含有酸塩化物としての塩化チオニル又は塩化スルフリルを使用することを含む、TGSの生成方法であって、前記方法はさらに以下の逐次ステップを含む:
(G)塩化チオニル又は塩化スルフリルを反応器に取り、
(H)任意で、好適な不活性ガスとして窒素を反応混合物中に散布し、
(I)好適な第3級アミドとしてジメチルホルムアミドを、好ましくは約35〜40℃に保ちながら長時間に亘り徐々に添加し、
(J)DMFの付加物の生成を完成させるため、好ましくは約60分間好ましくは前記反応マスを撹拌し、次に好ましくは約0℃まで冷却し、その結果前記付加物を含む反応混合物を生成し、
(K)ステップJの前記反応混合物に、溶液を数時間に亘って徐々に添加することにより、好適な部分的に保護された糖であるスクロース‐6‐アセテートを前記溶液中で塩素化し、温度を好ましくは5℃未満に制御し、その後、温度を好ましくは約30℃の室温にし、好ましくは約60分間撹拌し、さらに、好ましくは約100℃まで加熱し、その温度を好ましくは約6時間保ち、さらに、好ましくは約114℃まで加熱し、その温度を約1.5時間保ち、その結果、塩素化TGS‐6‐アセテートを含む反応混合物を生成し、
(L)塩素化TGS‐6‐アセテートを含む前記反応混合物を好ましくは約60℃まで冷却し、好適なアルカリとして約7%のアンモニア溶液を添加することにより、pH約7に中和し、好ましくは濾過により懸濁物を除去し、
(M)好適な樹脂としてThermaxから得られるADS600樹脂等の、イオンの官能基を持たない架橋ポリスチレンから好ましくは合成される樹脂を含むTGS‐6‐アセテートを選択的に吸着可能な吸着剤を含む親和性クロマトグラフィカラムに濾液を通過させることにより、単離すると同時にTGS‐6‐アセテートをTGSに脱アシル化することを含む好適な方法でTGSを回収し、TGS‐6‐アセテートを前記樹脂に吸着させて、溶離すること及び好ましくは水で前記カラムを洗浄することにより前記樹脂から無機塩類とともにDMFを除去し、前記カラムを洗浄するためにメタノールに溶解した好ましくは約10%のアンモニア溶液を用いて、TGS‐6‐アセテートを脱着すると同時に脱アシル化し、アンモニアメタノール溶液中のTGS溶液を希塩酸の添加により中和し、メタノールを蒸留してシロップを得、前記シロップを、好適な溶媒の組み合わせであるエチルアセテート及びメタノールで処理することにより、好ましくはTGSを固体の形で単離して、TGS粉末を得る
方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2009−528342(P2009−528342A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556914(P2008−556914)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【国際出願番号】PCT/IN2007/000076
【国際公開番号】WO2007/099557
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(508261208)ヴイ ビー メディケア プライヴェート リミテッド (2)
【Fターム(参考)】