説明

増殖性疾患の処置のためのタンパク質キナーゼPLK1の阻害剤として有用な4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−F]プテリジン

本発明は、タンパク質キナーゼの阻害剤として有用な式(I)の化合物に関する。本発明はまた、該化合物を含む薬学的に許容される組成物、および種々の疾患、状態または障害の処置において該組成物を使用する方法も提供する。本発明はまた、本発明の化合物の製造方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2006年4月12日に出願された米国特許出願第60/791,327号および2006年8月18日に出願された米国特許出願第60/838,720号の優先権を主張し、双方とも引用により本明細書中に包含される。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、タンパク質キナーゼの阻害剤として有用な化合物に関する。本発明はまた、本発明の化合物を含む薬学的に許容される組成物、および種々の障害の処置における該組成物の使用方法も提供する。本発明はまた、本発明の化合物の製造方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
新しい治療剤の探索は、近年、疾患に関連する酵素および他の生体分子の構造のよりよい理解に大いに助けられてきた。集中的研究の対象となった酵素の1つの重要なクラスがタンパク質キナーゼである。
【0004】
タンパク質キナーゼは細胞内の種々のシグナル伝達プロセスの制御を担う構造的に関連のある酵素の一大ファミリーを構成している(Hardie, G and Hanks, S. The Protein Kinase Facts Book, I and II, Academic Press, San Diego, CA: 1995参照)。タンパク質キナーゼは、それらの構造および触媒機能が保存されているために、共通の先祖遺伝子から進化したと考えられる。ほとんど全てのキナーゼが類似の250〜300アミノ酸の触媒ドメインを含んでいる。キナーゼはそれらがリン酸化する基質によりいくつかのファミリーに分類することができる(例えば、タンパク質−チロシン、タンパク質−セリン/スレオニン、脂質など)。一般にこれらのキナーゼファミリーの各々に相当する配列モチーフが確認されている(例えば、Hanks, S.K., Hunter, T., FASEB J. 1995, 9, 576−596; Knighton et al., Science 1991, 253, 407−414; Hiles et al, Cell 1992, 70, 419−429; Kunz et al, Cell 1993, 73, 585−596; Garcia−Bustos et al, EMBO J 1994, 13, 2352−2361参照)。
【0005】
一般に、タンパク質キナーゼは、ヌクレオシド三リン酸からシグナル伝達経路に関与するタンパク質アクセプターへのリン酸基の転位を行うことによって細胞内のシグナル伝達を仲介する。これらのリン酸化事象は、標的タンパク質の生物学的機能を調節または制御することができる分子オン/オフスイッチとして働く。これらのリン酸化事象は、最終的に、種々の細胞外刺激およびその他の刺激に応答して誘発される。このような刺激の例としては、環境および化学ストレスシグナル(例えば、ショック、熱ショック、紫外線、細菌内毒素およびH)、サイトカイン(例えば、インターロイキン−1(IL−1)および腫瘍壊死因子α(TNF−a)ならびに増殖因子(例えば、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)および繊維芽細胞増殖因子(FGF))が挙げられる。細胞外刺激は、細胞増殖、移動、分化、ホルモンの分泌、転写因子の活性化、筋肉収縮、グルコース代謝、タンパク質合成の制御、生存および細胞周期の制御に関連する1以上の細胞応答に影響を与え得る。
【0006】
多くの疾患が上記のようなタンパク質キナーゼ仲介事象により誘発される異常な細胞応答と関連している。これらの疾患として、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝疾患、神経性および神経変性疾患、心血管疾患、アレルギーおよび喘息、アルツハイマー病およびホルモン関連疾患が含まれるが、これらに限定されない。従って、治療剤として有効なタンパク質キナーゼ阻害剤を見出すため、医化学分野で相当な努力がなされてきた。
【0007】
Polo−様キナーゼ(Plk)は、酵母からヒトまでの種でよく保存されているセリン/スレオニンキナーゼファミリーに属する(Lowery DM et al., Oncogene 2005, 24;248−259に総説)。これらのPlkキナーゼは、有糸分裂への導入および進行の制御を含め、細胞周期において複数の役割を有する。
【0008】
Plk1はPlkファミリーメンバーの最も特徴づけられたものである。Plk1は広範囲で発現し、高い有糸分裂指数を有する組織に最も多い。Plk1のタンパク質レベルは有糸分裂中に上昇し、極大となる(Hamanaka, R et al., J Biol Chem 1995, 270, 21086−21091)。報告されているPlk1の基質は全て、有糸分裂への導入および進行を制御することが知られている分子であり、CDC25C、サイクリンB、p53、APC、BRCA2およびプロテアソームを含む。Plk1は多くの癌種で上昇制御され、それらの発現レベルは疾患の重篤度と相関がある(Macmillan, JC et al., Ann Surg Oncol 2001, 8, 729−740)。Plk1は癌遺伝子であり、NIH−3T3細胞を形質転換することができる(Smith, MR et al., Biochem Biophys Res Commun 1997, 234, 397−405)。siRNA、アンチセンス、抗体のマイクロインジェクションまたはPlk1のドミナントネガティブ構築物の細胞へのトランスフェクションによるPlk1の枯渇または阻害は、in vitroにおいて腫瘍細胞の増殖および生存力を低下させる(Guan, R et al., Cancer Res 2005, 65, 2698−2704; Liu, X et al., Proc Natl Acad Sci U S A 2003, 100, 5789−5794, Fan, Y et al., World J Gastroenterol 2005, 11, 4596−4599; Lane, HA et al., J Cell Biol 1996, 135, 1701−1713)。Plk1が枯渇された腫瘍細胞は紡錘体のチェックポイントが活性化されており、紡錘体形成、染色体アライメントおよび分離、ならびに細胞質分裂に欠陥がある。生存力の低下はアポトーシスの誘導の結果であることが報告されている。これに対して、正常な細胞はPlk1が枯渇しても生存力を維持することが報告されている。siRNAまたはドミナントネガティブ構築物の使用によるPlk1のin vivoノックダウンは異種移植モデルにおいて腫瘍の増殖阻害または退縮をもたらす。
【0009】
Plk2は主として細胞周期のG1期に発現し、間期細胞の中心体に局在する。Plk2ノックアウトマウスは正常に発達し、繁殖可能であり、正常な生存率を示すが、野生型マウスよりも20%前後小さい。ノックアウト動物由来の細胞は、正常マウスよりも細胞周期の進行が遅い(Ma, S et al., Mol Cell Biol 2003, 23, 6936−6943)。siRNAまたはキナーゼ不活性変異体の細胞へのトランスフェクションによるPlk2の枯渇は、中心小体の複製を遮断する。Plk2の下方制御はまた、1つにはp53応答の抑制により、腫瘍細胞をタキソール感受性とし、有糸分裂の破綻を促す(Burns TF et al., Mol Cell Biol 2003, 23, 5556−5571)。
【0010】
Plk3は細胞周期を通じて発現し、G1期から有糸分裂まで増加する。発現は高増殖性卵巣腫瘍および乳癌で上方制御され、予後の悪さと関連している(Weichert, W et al., Br J Cancer 2004, 90, 815−821; Weichert, W et al., Virchows Arch 2005, 446, 442−450)。有糸分裂の制御に加えて、Plk3は細胞周期中のゴルジ断片化およびDNA損傷応答に関与すると考えられている。ドミナントネガティブ発現によるPlk3の阻害は、DNA損傷後にp53依存性のアポトーシスを誘発し、腫瘍細胞によるコロニー形成を抑制すると報告されている(Li, Z et al., J Biol Chem 2005, 280, 16843−16850)。
【0011】
Plk4は他のPlkファミリーメンバーとは構造的に異なっている。このキナーゼの枯渇は、癌細胞においてアポトーシスを引き起こす(Li, J et al., Neoplasia 2005, 7, 312−323)。Plk4ノックアウトマウスはE7.5で停止しており、有糸分裂期の細胞画分が多く、染色体が部分的に分離している(Hudson, JW et al., Current Biology 2001, 11, 441−446)。
【0012】
タンパク質キナーゼファミリーの分子は腫瘍細胞の成長、増殖および生存に関連づけられている。よって、タンパク質キナーゼの阻害剤として有用な化合物を開発する大きな必要性がある。Plkキナーゼを細胞分裂に不可欠なものとする強い証拠がある。細胞周期の遮断は腫瘍細胞の増殖および生存力を阻害するための臨床上有効なアプローチである。従って、特に、癌の新規な処置法を開発するための強い医学的必要があることから、腫瘍細胞の増殖を阻害し、生存力を低下させるタンパク質キナーゼのPlkファミリー(例えば、Plk1、Plk2、Plk3およびPlk4)の阻害剤として有用な化合物を開発することが望ましい。
【発明の開示】
【0013】
発明の概要
本発明は式I:
【化1】


[式中、
環Aは、5員ヘテロアリール環であり、ここで、該環はC1−6ハロアルキル、ハロ、NO、−OH、−CNまたは所望により置換されていてよいC1−6アルキルで所望により置換されていてよく;
は、結合、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−または−S(O)−であり;
は、H、C1−10脂肪族、C3−10シクロ脂肪族、C6−10アリール、5〜10員ヘテロアリール、または3〜10員ヘテロシクリルであり、ここで該Rは0〜5個のJで所望により置換されていてよく;
およびRは、各々独立して、H、C1−10脂肪族またはC3−10シクロ脂肪族であり、RおよびRは各々、所望によりかつ独立して、それぞれ0〜5個のJおよびJで置換されていてもよいか、またはRおよびRは、それらが結合する炭素原子と一体となって、O、NおよびSから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含む3〜8員の飽和または部分不飽和単環式環を形成し、上記RおよびRにより形成される単環式環は0〜4個のJ23で所望により置換されていてよく;
はH、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NRR’、C1−10脂肪族、C3−10シクロ脂肪族、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、3〜10員ヘテロシクリル、(C1−6脂肪族)−(C3−10シクロ脂肪族)、(C1−6脂肪族)−(C6−10アリール)または(C1−6脂肪族)−(5〜10員ヘテロアリール)であり、ここで、該Rは0〜5個のJで所望により置換されていてよく;
【0014】
は、H、C1−6脂肪族、C3−8シクロ脂肪族、−C(O)R、−C(O)ORまたは−C(O)NRR’であり;
は、各々独立して、C1−6ハロアルキル、ハロ、NO、CN、Qまたは−Z−Qであるか、または2個のJが一体となって任意に=Oを形成していてよく;
Zは、各々独立して、C1−6脂肪族であり、ここで、該C1−6脂肪族の0〜3個の−CH−単位は−NR−、−O−、−S−、−C(O)−、−C(=NR)−、−C(=NOR)−、−S(O)−または−S(O)−で所望により置換されていてよく、ここで、該C1−6脂肪族のいずれの非置換−CH−単位も0〜2個のJで所望により置換されていてよく;
Qは、各々独立して、H、C1−6脂肪族、O、NおよびSから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員芳香族もしくは非芳香族単環式環、またはO、NおよびSから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員芳香族もしくは非芳香族二環式環系であり、ここで、Qは各々0〜5個のJで所望により置換されていてよく;
およびJは、各々独立して、C1−6脂肪族、C3−6シクロ脂肪族または−(C1−4アルキル)−V〔式中、
nは0または1であり、
は、各々独立して、ハロ(C1−4脂肪族)、−O(ハロC1−4脂肪族)、ハロ、NO、CN、OH、OR”SH、SR”、NH、NHR”、N(R”)、COH、COR”、COH、COR”、CONH、CONHR”、CONR”、OCOR”、OCONH、OCONHR”、OCON(R”)、NHCOR”、NR”COR”、NHCOR”、NR”COR”、NHCOH、NR”COH、NHCONH、NHCONHR”、NHCON(R”)、SONH、SONHR”、SON(R”)、NHSOR”、NR”SOR”であるか、または
はC3−6シクロ脂肪族、フェニル、5〜6員ヘテロアリール、または3〜6員ヘテロシクリルから選択される環式基であり、該環式基は0〜3個のJで所望により置換されていてよく;
R”は独立して、非置換C1−4脂肪族であるか、または同じ原子に結合している同じ2つのJおよびJが一体となって任意に=Oを形成していてよい。〕
であり;
およびJは独立して、ハロ、C1−6脂肪族、C3−6シクロ脂肪族、NO、CN、OH、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、−O(C1−4脂肪族)、−COH、−CO(C1−4脂肪族)、−O(ハロC1−4脂肪族)またはハロ(C1−4脂肪族)であり;
、JおよびJ23は、各々独立して、−Mまたは−Y−Mであり;
Yは、各々独立して、非置換C1−6脂肪族であり、該C1−6脂肪族の0〜3個の−CH−単位は任意に−NR−、−O−、−S−、−C(O)−、−S(O)−または−S(O)−で置換されていてよく;
Mは、各々独立して、H、C1−6脂肪族、C3−6シクロ脂肪族、ハロ(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、3〜6員ヘテロシクリル、ハロ、NO、CN、OH、OR’、SH、SR’、NH、NHR’、N(R’)、COH、COR’、COH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’、OCOR’、OCONH、OCONHR’、OCON(R’)、NHCOR’、NR’COR’、NHCOR’、NR’COR’、NHCOH、NR’COH、NHCONH、NHCONHR’、NHCON(R’)、SONH、SONHR’、SON(R’)、NHSOR’またはNR’SOR’であり;
Rは、各々独立して、Hまたは非置換C1−6脂肪族であり;かつ
R’は各々非置換C1−6脂肪族であるか、または2つのR’基が、それらが結合する原子と一体となって、O、NおよびSから独立して選択される0〜1個のヘテロ原子を有する非置換3〜8員の飽和または部分不飽和単環式環を形成する。]
で示される化合物に関する。
【0015】
本発明の化合物およびその薬学的に許容される組成物は、タンパク質キナーゼの阻害剤として有用である。いくつかの態様では、これらの化合物はPLKタンパク質キナーゼの阻害剤として有用であり、いくつかの態様では、PLK1タンパク質キナーゼの阻害剤として有用である。これらの化合物は本明細書で定義される式Iであるか、またはその薬学的に許容される塩である。
【0016】
これらの化合物およびその薬学的に許容される組成物は、限定されるものではないが、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患または過増殖性疾患、神経変性疾患、免疫仲介疾患を含む種々の疾患、障害または状態を処置または予防するのに有用である。本発明により提供される化合物はまた、生物学的現象および病理学的現象におけるキナーゼの研究、かかるキナーゼにより仲介される細胞内シグナル伝達経路の研究および新規なキナーゼ阻害剤の比較評価にも有用である。
【0017】
本発明の化合物としては本明細書に記載のものを含み、さらに本明細書に開示されているクラス、サブクラスおよび種により示される(例えば、態様1〜22参照)。本明細書において、特に断りのない限り下記の定義を適用すべきである。本発明では、化学元素は元素周期表, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Edに従って示される。さらに、有機化学の一般原理は、“Organic Chemistry”, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999, and “March's Advanced Organic Chemistry”, 5th Ed., Ed.: Smith, M.B. and March, J., John Wiley & Sons, New York: 2001に記載されており、これらの全開示内容は引用により本明細書の一部とされる。
【0018】
本明細書に記載されるように、原子の具体的な数の範囲はその間のいずれの整数も含む。例えば、1〜4個の原子を有する基は1個、2個、3個または4個の原子を有し得る。
【0019】
本明細書に記載されるように、本発明の化合物は、一般に上記に示されているもの、または本発明の特定のクラス、サブクラスおよび種により例示されるものなどの、1以上の置換基で所望により置換されていてよい。語句「所望により置換されていてよい」とは、語句「置換または非置換」と互換的に用いられるものと考えられる。一般に、用語「置換されている」とは、用語「所望により」が前にあるかないかに関わらず、所定の構造の水素基が特定の置換基の基で置換されていることを現す。特に断りのない限り、所望により置換されていてよい基は、その基の置換可能な各位置に置換基を有してよく、所定の構造の2以上の位置が特定の基から選択される2以上の置換基で置換され得る場合、その基は全ての位置で同じであっても異なっていてもよい。本発明により意図される置換基の組合せは好ましくは、安定な、または化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。
【0020】
本明細書で用いる用語「安定な」とは、それらの製造、検出、回収、精製および本明細書に開示されている1以上の目的のための使用、を可能とする条件下に置いた場合に実質的に変化しない化合物を意味する。いくつかの態様では、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物は、40℃以下の温度、水分の不存在下、または他の化学反応性条件で少なくとも1週間維持した際に実質的に変化しないものである。
【0021】
本明細書で用いる用語「脂肪族」または「脂肪族基」とは、完全に飽和しているか、または分子の残りの部分とただ1つの結合点を有する1以上の不飽和単位を含む、直鎖(すなわち、非分枝型)または分枝鎖の置換または非置換炭化水素鎖を意味する。
【0022】
特に断りのない限り、脂肪族基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの態様では、脂肪族基は1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。他の態様では、脂肪族基は1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の態様では、脂肪族基は1−6個の脂肪族炭素原子を含み、なおさらに他の態様では、脂肪族基は1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。適当な脂肪族基としては、直鎖または分枝型の置換または非置換アルキル、アルケニルまたはアルキニル基が挙げられるが、これらに限定されない。具体例としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、sec−ブチル、ビニル、n−ブテニル、エチニルおよびtert−ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
用語「シクロ脂肪族」(または「炭素環」または「カルボシクリル」または「シクロアルキル」)とは、完全に飽和している、または1以上の不飽和単位を含むが、芳香族でなく、分子の残りの部分とただ1つの結合点を有する単環式C−C炭化水素または二環式C−C12炭化水素(この二環式環系の個々の環は3〜7員を有する。)を意味する。適当なシクロ脂肪族基としては、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基が挙げられるが、これらに限定されない。具体例としては、シクロヘキシル、シクロペンテニルおよびシクロブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で用いる用語「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」または「ヘテロ環式」は非芳香族、単環式、二環式または三環式環系を意味する(ここで、1以上の環員は独立して選択されるヘテロ原子である。)。いくつかの態様では、「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」または「ヘテロ環式」基は3〜14環員を有し、ここで、1以上の環員は酸素、硫黄、窒素またはリンから独立して選択されるヘテロ原子であり、この系の各環は3〜7環員を有する。
【0025】
適当なヘテロ環としては、3−1H−ベンズイミダゾール−2−オン、3−(1−アルキル)−ベンズイミダゾール−2−オン、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリノ、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノ、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−テトラヒドロピペラジニル、2−テトラヒドロピペラジニル、3−テトラヒドロピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、1−ピラゾリニル、3−ピラゾリニル、4−ピラゾリニル、5−ピラゾリニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、2−チアゾリジニル、3−チアゾリジニル、4−チアゾリジニル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、5−イミダゾリジニル、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾチオラン、ベンゾジチアンおよび1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−オンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
環式基(例えば、シクロ脂肪族およびヘテロ環)は、直線的に縮合していてもよく、架橋していてもよく、またはスピロ環式であってもよい。
【0027】
用語「ヘテロ原子」とは、酸素、硫黄、窒素、リンまたはケイ素(窒素、硫黄、リンまたはケイ素の任意の酸化形態、塩基性窒素の第四級形態、またはヘテロ環式環の置換可能な窒素、例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルの場合)、NH(ピロリジニルの場合)またはNR(N−置換ピロリジニルの場合))の1種以上を意味する。
【0028】
本明細書で用いる用語「不飽和」とは、ある部分が1以上の不飽和単位を有することを意味する。
【0029】
本明細書で用いる用語「非芳香族」とは、飽和または部分不飽和のいずれかの環を現す。
【0030】
本明細書で用いる用語「アルコキシ」または「チオアルキル」とは、酸素原子(「アルコキシ」)または硫黄原子(「チオアルキル」)を介して結合した、上記に定義したようなアルキル基を意味する。
【0031】
用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロ脂肪族」および「ハロアルコキシ」とは、場合によって1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル、アルケニルまたはアルコキシを意味する。「ハロゲン」、「ハロ」および「ハル」とは、Cl、BrまたはIを意味する。
【0032】
単独で用いられる、または「アラルキル」、「アラルコキシ」もしくは「アリールオキシアルキル」の場合など、より大きな部分の一部として用いられる用語「アリール」とは、全部で5〜14環員を有する単環式、二環式および三環式環系を意味する(この系の少なくとも1つの環は芳香族であり、この系の各環は3〜7環員を含む。「アリール」は、「アリール環」と互換的に使用できる。
【0033】
単独で用いられる、または「へテロアラルキル」もしくは「ヘテロアリールアルコキシ」の場合など、より大きな部分の一部として用いられる用語「ヘテロアリール」とは、全部で5〜14環員を有する単環式、二環式および三環式環系を意味する(この系の少なくとも1つの環は芳香族であり、この系の少なくとも1つ環は1個以上のヘテロ原子を含み、この系の各環は3〜7環員を含む。用語「ヘテロアリール」は、「ヘテロアリール環」または「ヘテロ芳香族」と互換的に使用できる。適当なヘテロアリール環としては、2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、N−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、ピリダジニル(例えば、3−ピリダジニル)、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、テトラゾリル(例えば、5−テトラゾリル)、トリアゾリル(例えば、2−トリアゾリルおよび5−トリアゾリル)、2−チエニル、3−チエニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル(例えば、2−インドリル)、ピラゾリル(例えば、2−ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、プリニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、キノリニル(例えば、2−キノリニル、3−キノリニル、4−キノリニル)、およびイソキノリニル(例えば、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル、または4−イソキノリニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書で用いる用語「保護基(protecting group)」および「保護基(protective group)」は互換的であり、複数の反応部位を有する化合物の1以上の所望の官能基を一時的に遮断するために用いる薬剤を意味する。ある特定の態様では、保護基は以下の特徴の1以上、または好ましくは全てを有する:a)保護された基質を得るために良好な収率で官能基に選択的に付加されること、b)他の1以上の反応性部位において起こる反応に対して安定であること、およびc)再形成され、脱保護された官能基に作用しない試薬により良好な収率で選択的に除去されること。当業者が理解しているように、いくつかの場合で、これらの試薬はその化合物の他の反応性基に作用しない。他の場合では、これらの試薬はまた、その化合物の他の反応性基と反応し得る。保護基の例は、Greene, T.W., Wuts, P. G in “Protective Groups in Organic Synthesis”, Third Edition, John Wiley & Sons, New York: 1999 (およびこの書籍の他の版)に詳しく述べられており、この全開示内容は引用により本明細書の一部とする。本明細書で用いる用語「窒素保護基」とは、多官能性化合物の1以上の所望の窒素反応性部位を一時的に遮断するために用いる薬剤を意味する。好ましい窒素保護基はまた、上記で例示された特徴を有し、窒素保護基の特定の例は、Greene, T.W., Wuts, P. G in “Protective Groups in Organic Synthesis”, Third Edition, John Wiley & Sons, New York: 1999の第7章に詳しく述べられており、その全開示内容は引用により本明細書の一部とする。
【0035】
いくつかの態様では、アルキルまたは脂肪鎖は別の原子または基で所望により置換することができる。これは、そのアルキルまたは脂肪鎖のメチレン単位が該他の原子または基で所望により置換されてよいことを意味する。このような原子または基の例としては、−NR−、−O−、−C(O)−、−C(=N−CN)−、−C(=NR)−、−C(=NOR)−、−S−、−SO−または−SO−が挙げられるが、これらに限定されない。これらの原子または基は一体となってより大きな基を形成することができる。このような基の例としては、−OC(O)−、−C(O)CO−、−CO−、−C(O)NR−、−C(=N−CN)、−NRCO−、−NRC(O)O−、−SONR−、−NRSO−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−および−NRSONR−(ここで、Rは本明細書で定義されている)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
特に断りのない限り、任意の置換は、化学的に安定な化合物を形成する。任意の置換は、鎖内または鎖のいずれかの末端の双方、すなわち、結合点および/または末端の双方で起こり得る。2つの任意の置換は、それが化学的に安定な化合物をもたらす限り、鎖内で互いに隣接していてもよい。任意の置換はまた、鎖の炭素原子の全てと完全に置き換わることもできる。例えば、C脂肪族は−NR−、−C(O)−および−NR−で所望により置換されて、−NRC(O)NR−(尿素)を形成することができる。
【0037】
特に断りのない限り、置換が末端で起こる場合、その置換原子は末端においてHと結合している。例えば、−CHCHCHが−O−で所望により置換された場合、得られる化合物は−OCHCH、−CHOCHまたは−CHCHOHであり得る。
【0038】
特に断りのない限り、本明細書で示される構造は、全ての異性体(例えば、その構造の鏡像異性体形態、ジアステレオ異性体形態、幾何異性体形態、配座異性体形態および回転異性体形態)を含むことを意味する。例えば、本発明には、各不斉中心に関するRおよびS配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)配座異性体が含まれる。当業者に理解されているように、置換基は回転可能な結合の周りを自由に回転することができる。例えば、
【化2】


で示される置換基はまた
【化3】


も現す。
【0039】
よって、本発明の化合物の単一の立体化学異性体ならびに鏡像異性体、ジアステレオ異性体、幾何異性体、配座異性体または回転異性体混合物は、本発明の範囲内にある。
【0040】
特に断りのない限り、本発明の化合物の全ての互変異性形も本発明の範囲内にある。
【0041】
さらに、特に断りのない限り、本明細書で示される構造はまた、1以上の同位元素に富む原子の存在のみが異なる化合物を含むことを意味する。例えば、水素の重水素またはトリチウムによる置換または炭素の13C−もしくは14C富化炭素による置換以外は、本構造を有する化合物が本発明の範囲内にある。このような化合物は例えば分析ツールまたは生物アッセイにおけるプローブとして有用である。
【0042】
本発明の化合物は、処置用に遊離形態で、または適当であれば薬学的に許容される塩として存在し得る。
【0043】
本明細書で用いる用語「薬学的に許容される塩」とは、意図する使用に適当な化合物の塩を意味する。いくつかの態様では、これらの塩は、過度な毒性、刺激性、アレルギー反応などなく、ヒトおよび下等動物の組織と接触して用いるのに好適であり、合理的な利益/リスク比で釣り合っている。他の態様では、これらの塩はin vitroアッセイ、動態研究、結晶学研究などに用いるのに好適であり得る。
【0044】
薬学的に許容される塩は当技術分野で公知である。例えば、S. M. Berge et al.は、引用により本明細書の一部とされるJ. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1−19で薬学的に許容される塩を詳しく記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、適当な無機および有機の酸および塩基から得られるものを含む。これらの塩は化合物の最終的な単離および精製の際にin situで製造し得る。酸付加塩は、1)精製化合物をその遊離塩基形態で適当な有機酸または無機酸と反応させ、2)このようにして形成された塩を単離することにより製造できる。
【0045】
薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸と形成されたか、またはイオン交換などの当技術分野で用いられる他の方法を用いて形成されたアミノ基の塩がある。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パルモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸などが挙げられる。適当な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1−4アルキル)塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書で開示される化合物の塩基性窒素含有基の四級化を意図する。このような四級化により水溶性もしくは油溶性または分散性製品が得られる。
【0046】
塩基付加塩は、1)精製化合物をその酸形態で適当な有機塩基または無機塩基と反応させ、2)このようにして形成された塩を単離することにより製造することができる。塩基付加塩としては、アルカリまたはアルカリ土類金属塩が含まれる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に許容される塩としては、適当なとき、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、およびハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸、硫酸、リン酸、硝酸、低級スルホン酸アルキルおよびスルホン酸アリールなどの対イオンを用いて形成されるアミン陽イオンが挙げられる。他の酸および塩基は、それら自体薬学的に許容されるものではないが、本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される酸付加塩または塩基付加塩を得る際の中間体として有用な塩の製造に使用可能である。
【0047】
次の略語を用いる。
【表1】

【0048】
発明の詳細な説明
いくつかの局面では、本発明は、タンパク質キナーゼ阻害剤として有用な、式I
【化4】


[式中、
環Aは、5員ヘテロアリール環であり、ここで、該環はC1−6ハロアルキル、ハロ、NO、−OH、−CNまたは所望により置換されていてよいC1−6アルキルで所望により置換されていてよく;
は結合、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−または−S(O)−であり;
はH、C1−10脂肪族、C3−10シクロ脂肪族、C6−10アリール、5〜10員ヘテロアリール、または3〜10員ヘテロシクリルであり、ここで該Rは0〜5個のJで所望により置換されていてよく;
およびRは、各々独立して、H、C1−10脂肪族またはC3−10シクロ脂肪族であり、RおよびRは各々、所望によりかつ独立して、それぞれ0〜5個のJおよびJで置換されていてもよいか、またはRおよびRは、それらが結合する炭素原子と一体となって、O、NおよびSから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含む3〜8員の飽和または部分不飽和単環式環を形成し、前記RおよびRにより形成される単環式環は0〜4個のJ23で所望により置換されていてよく;
はH、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NRR’、C1−10脂肪族、C3−10シクロ脂肪族、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、3〜10員ヘテロシクリル、(C1−6脂肪族)−(C3−10シクロ脂肪族)、(C1−6脂肪族)−(C6−10アリール)または(C1−6脂肪族)−(5〜10員ヘテロアリール)であり、ここで、該Rは0〜5個のJで所望により置換されていてよく;
【0049】
はH、C1−6脂肪族、C3−8シクロ脂肪族、−C(O)R、−C(O)ORまたは−C(O)NRR’であり;
は、各々独立して、C1−6ハロアルキル、ハロ、NO、CN、Qまたは−Z−Qであるか、または2個のJが一体となって任意に=Oを形成していてよく;
Zは、各々独立して、C1−6脂肪族であり、ここで、該C1−6脂肪族の0〜3個の−CH−単位は−NR−、−O−、−S−、−C(O)−、−C(=NR)−、−C(=NOR)−、−S(O)−または−S(O)−で所望により置換されていてよく、ここで、該C1−6脂肪族のいずれの非置換−CH−単位も0〜2個のJで所望により置換されていてよく;
Qは、各々独立して、H、C1−6脂肪族、O、NおよびSから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員芳香族もしくは非芳香族単環式環、またはO、NおよびSから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員芳香族もしくは非芳香族二環式環系であり、ここで、Qは、各々独立して、0〜5個のJで所望により置換されていてよく;
およびJは、各々独立して、C1−6脂肪族、C3−6シクロ脂肪族または−(C1−4アルキル)−V〔式中、
nは0または1であり、
は、各々独立して、ハロ(C1−4脂肪族)、−O(ハロC1−4脂肪族)、ハロ、NO、CN、OH、OR”、SH、SR”、NH、NHR”、N(R”)、COH、COR”、COH、COR”、CONH、CONHR”、CONR”、OCOR”、OCONH、OCONHR”、OCON(R”)、NHCOR”、NR”COR”、NHCOR”、NR”COR”、NHCOH、NR”COH、NHCONH、NHCONHR”、NHCON(R”)、SONH、SONHR”、SON(R”)、NHSOR”、NR”SOR”であるか、または
はC3−6シクロ脂肪族、フェニル、5〜6員ヘテロアリール、または3〜6員ヘテロシクリルから選択される環式基であり、該環式基は0〜3個のJで所望により置換されていてよく;
R”は独立に非置換C1−4脂肪族であるか、または同じ原子に結合している同じ2つのJおよびJが一体となって任意に=Oを形成していてよい。〕
であり;
およびJは独立にハロ、C1−6脂肪族、C3−6シクロ脂肪族、NO、CN、OH、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、−O(C1−4脂肪族)、−COH、−CO(C1−4脂肪族)、−O(ハロC1−4脂肪族)またはハロ(C1−4脂肪族)であり;
、JおよびJ23は、各々独立して、−Mまたは−Y−Mであり;
Yは、各々独立して、非置換C1−6脂肪族であり、該C1−6脂肪族の0〜3個の−CH−単位は任意に−NR−、−O−、−S−、−C(O)−、−S(O)−または−S(O)−で置換されていてよく;
Mは、各々独立して、H、C1−6脂肪族、C3−6シクロ脂肪族、ハロ(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、3〜6員ヘテロシクリル、ハロ、NO、CN、OH、OR’、SH、SR’、NH、NHR’、N(R’)、COH、COR’、COH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’、OCOR’、OCONH、OCONHR’、OCON(R’)、NHCOR’、NR’COR’、NHCOR’、NR’COR’、NHCOH、NR’COH、NHCONH、NHCONHR’、NHCON(R’)、SONH、SONHR’、SON(R’)、NHSOR’またはNR’SOR’であり;
Rは、各々独立して、Hまたは非置換C1−6脂肪族であり;かつ
R’は各々非置換C1−6脂肪族であるか、または2つのR’基が、それらが結合する原子と一体となって、O、NおよびSから独立して選択される0〜1個のヘテロ原子を有する非置換3〜8員の飽和または部分不飽和単環式環を形成する。]
で示される化合物、または薬学的に許容される塩を提供する。
【0050】
いくつかの態様では、環AはC1−6ハロアルキル、ハロ、NO、OH、CNまたは所望により置換されていてよいC1−6アルキルで所望により置換されていてよいトリアゾール環である。
【0051】
ある特定の態様では、環AはC1−6ハロアルキル、ハロ、NO、OH、CNまたは所望により置換されていてよいC1−6アルキルで所望により置換されていてよいイミダゾール環である。
【0052】
いくつかの態様では、Xは−O−、−NR−または−S−である。
【0053】
他の態様では、Xは−NR−である。
【0054】
いくつかの態様では、RはHまたは−C(O)ORであり、ここで、RはC1−6アルキルであり、例えば、Rは−C(O)OCHである。
【0055】
ある特定の態様では、RはH、所望により置換されていてよいC6−10アリール、所望により置換されていてよいアラルキルまたは所望により置換されていてよいC5−10ヘテロアリールである。
【0056】
いくつかの態様では、Rは−O−Q、ハロ、−C(O)N(R)−QまたはQで所望により置換されていてよく、ここで、Q、−C(O)N(R)−Qおよび−O−QのQは、各々独立して、0〜5個のJで所望により置換されていてよい。
【0057】
いくつかの態様では、Rは、パラ位において−C(O)N(R)−Qで、さらに残りの任意の位置において−O−Q、ハロまたはQで所望により置換されていてよいフェニルである(ここで、Q、−C(O)N(R)−Qおよび−O−QのQは、各々独立して、0〜5個のJで所望により置換されていてよい。)。
【0058】
いくつかの態様では、JはC3−6シクロ脂肪族、ハロ(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)または3〜6員ヘテロシクリルで所望により置換されていてよいC1−6脂肪族である。
【0059】
いくつかの態様では、Rは−C(O)N(R)−Qで、さらに残りの任意の位置において−O−QまたはQで置換されたヘテロアリールである(ここで、Q、−C(O)N(R)−Qおよび−O−QのQは、各々独立して、0〜5個のJで所望により置換されていてよい。)。
【0060】
いくつかの態様では、−C(O)N(R)−QのQはH、C1−4脂肪族、C1−4ハロ脂肪族、C3−7シクロ脂肪族、C3−7ヘテロシクロ脂肪族、C1−6アルコキシ、(C1−6アルコキシ)C1−6アルキルまたはC1−6ハロアルコキシである。
【0061】
いくつかの態様では、Rはパラ位においてQで置換されたフェニルであり、このフェニルは残りの任意の位置においてハロ、C1−4脂肪族、C1−4ハロ脂肪族、C3−7シクロ脂肪族、C3−7ヘテロシクロ脂肪族、C1−6アルコキシ、(C1−6アルコキシ)C1−6アルキルまたはC1−6ハロアルコキシで所望により置換されていてよい。
【0062】
いくつかの態様では、−C(O)N(R)−QのQは、メチル、エチル、1−メチルピペリジン−4−イル、シクロプロピル、シクロペンチル、3−フラニル、3−フルオロピロリジン−1−イルまたは3,3−ジフルオロシクロブチルである。
【0063】
いくつかの態様では、Rは所望により置換されていてよいC1−6アルキルまたはC3−7シクロアルキルである。
【0064】
ある特定の態様では、Rはそのフェニルのパラ位において少なくとも1つのQで置換されたフェニルであり、Qはフルオロ、カルボキシ、トリフルオロメチル、4−メチルピペラジン−1−イル、ジフルオロメトキシ、モルホリン−1−イル、ピラゾール−1−イルまたはピロリジン−1−イルである。
【0065】
いくつかの場合、Rは−C(O)N(R)−Qで、さらに残りの任意の位置において−O−QまたはQで置換されたヘテロアリールである(ここで、Q、−C(O)N(R)−Qおよび−O−QのQは、各々独立して、0〜5個のJで所望により置換されていてよい。)。
【0066】
いくつかの態様では、−C(O)N(R)−QのQはH、C1−4脂肪族、C1−4ハロ脂肪族、C3−7シクロ脂肪族、C3−7ヘテロシクロ脂肪族、C1−6アルコキシ、(C1−6アルコキシ)C1−6アルキルまたはC1−6ハロアルコキシである。
【0067】
なおさらなる態様では、−C(O)N(R)−QのQはメチル、エチル、1−メチルピペリジン−4−イル、シクロプロピル、シクロペンチル、3−フラニル、3−フルオロピロリジン−1−イルまたは3,3−ジフルオロシクロブチルである。
【0068】
いくつかの場合、Rは所望により置換されていてよいC1−6アルキルまたはC3−7シクロアルキルである。なおさらなる場合では、RはH、エチル、シクロプロピルまたはシクロペンチルである。
【0069】
いくつかの態様では、Rはパラ位においてQまたは−ZQで置換されたフェニルである。いくつかの場合、このパラ位における置換基はフルオロ、カルボキシ、トリフルオロメチル、4−メチルピペラジン−1−イル、ジフルオロメトキシ、モルホリン−1−イル、ピラゾール−1−イルまたはピロリジン−1−イルである。
【0070】
いくつかの態様では、Rはチオフェン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、または6−トリフルオロメチルピリジン−3−イルである。
【0071】
ある特定の態様では、RおよびRは、各々独立して、Hまたは所望によりかつ独立して0〜5個のJおよびJで置換されたC1−3アルキルである。いくつかの場合、RはHであり、RはエチルなどのC1−3アルキルである。
【0072】
他の態様では、RおよびRは、それらが結合する炭素原子と一体となって、O、NおよびSから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含む3〜8員の飽和または部分不飽和単環式環を形成し、ここで、RおよびRにより形成される単環式環は0〜4個のJ23で所望により置換されていてよい。
【0073】
いくつかの場合、J23はH、ハロ、C1−4アルキル、OH、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシまたはアミノである。
【0074】
ある特定の態様では、JおよびJは、各々独立して、C1−6脂肪族、C3−6シクロ脂肪族、または−(C1−4アルキル)−Vであり、ここで、
nは0または1であり、
は、各々独立して、ハロ(C1−4脂肪族)、−O(ハロC1−4脂肪族)、ハロ、NO、CN、OH、OR”、SH、SR”、NH、NHR”、N(R”)、COH、COR”、COH、COR”、CONH、CONHR”、CONR”、OCOR”、OCONH、OCONHR”、OCON(R”)、NHCOR”、NR”COR”、NHCOR”、NR”COR”、NHCOH、NR”COH、NHCONH、NHCONHR”、NHCON(R”)、SONH、SONHR”、SON(R”)、NHSOR”、NR”SOR”であるか、または
はC3−6シクロ脂肪族、フェニル、5〜6員ヘテロアリール、または3〜6員ヘテロシクリルから選択される環式基であり、ここで、該環式基は0〜3個のJで所望により置換されていてよく;かつ
R”は、各々独立して、非置換C1−4脂肪族であるか、または同じ原子に結合している2つの同じJおよびJは一緒になって=Oを任意に形成していてもよい。
【0075】
いくつかの場合、JおよびJは、各々独立して、C1−6脂肪族、C3−6シクロ脂肪族、または−(C1−4アルキル)−Vであり、ここで、
nは0または1であり、
は、各々独立して、ハロ(C1−4脂肪族)、−O(ハロC1−4脂肪族)、ハロ、NO、CN、OH、SH、NH、COH、COH、CONH、OCONH、NHCOH、NHCONH、SONHであるか、またはVはC3−6シクロ脂肪族、フェニル、5〜6員ヘテロアリール、または3〜6員ヘテロシクリルから選択される環式基であり、ここで、該環式基は0〜3個のJで所望により置換されていてよく;かつ、
R”は、各々独立して、非置換C1−4脂肪族であるか、または同じ原子に結合している2つの同じJおよびJは一緒になって=Oを任意に形成していてもよい。
【0076】
他の態様では、JまたはJは、各々独立して、アミノ、アミド、CN、OH、C1−4アルコキシ、またはC1−4ハロアルコキシであり、VはH、ハロ、C1−4アルキル、OH、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシまたはアミノである。
【0077】
いくつかの態様では、Rは各々0〜5個のJで所望により置換されていてよいC1−6脂肪族、C3−10シクロ脂肪族、C3−10ヘテロシクロ脂肪族、C6−14アリールまたはC5−14ヘテロアリールである。
【0078】
いくつかの態様では、Rはシクロペンチルである。
【0079】
いくつかの態様では、J、JおよびJ23は、各々独立して、−Mまたは−Y−Mである。
【0080】
ある特定の態様では、Yは、各々独立して、非置換C1−6脂肪族であり、ここで、C1−6脂肪族における0〜3個の−CH−単位は−NR−、−O−、−S−、−C(O)−、−S(O)−または−S(O)−で所望により置換されていてよい。
【0081】
他の態様では、Mは、各々独立して、H、C1−6脂肪族、C3−6シクロ脂肪族、ハロ(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、3〜6員ヘテロシクリル、ハロ、NO、CN、OH、OR’、SH、SR’、NH、NHR’、N(R’)、COH、COR’、COH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’、OCOR’、OCONH、OCONHR’、OCON(R’)、NHCOR’、NR’COR’、NHCOR’、NR’COR’、NHCOH、NR’COH、NHCONH、NHCONHR’、NHCON(R’)、SONH、SONHR’、SON(R’)、NHSOR’またはNR’SOR’である。
【0082】
他の場合では、Mは、各々独立して、H、C1−6脂肪族、C3−6シクロ脂肪族、ハロ(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、3〜6員ヘテロシクリルである。
【0083】
いくつかの態様では、本発明の化合物は式II:
【化5】


[式中、X、R、R、RおよびRは上記の通りであり、JはH、C1−4アルキルまたはOHである。]
で示すことができる。
【0084】
いくつかの態様では、本発明の化合物は表1で示される。
【表2】


【表3】


【表4】

【0085】
【表5】


【表6】

【0086】
一般的合成法
本発明の化合物は、一般に、下記の一般的スキームおよびその後の製造例に示されるものなどの方法によって製造することができる。特に他に断りのない限り、下記のスキームの全ての変数は本明細書で定義される通りである。
【0087】
【化6】

【0088】
上記スキーム1は以下に示される一連の反応のための出発点1aを得るための合成経路を示す(US20040176380参照)。化合物Aの4位のクロロをアセトン(またはヘキサン)中でアミノエステルに置換してBを得る。ニトロ基を還元し、次いでin situ分子内環化を行い、化合物1aを得る。
【0089】
【化7】

【0090】
上記スキーム2は本発明の化合物を製造するための一般的合成経路を示す。1のラクタム官能基(US20040176380参照)(LGは適当な脱離基である。)を公知の条件下で活性化させて化合物2(Xは、限定されるものではないが、ハロ、アルコキシおよびリン酸基であり得る。)を得る。次に、化合物2を(環Aに応じて)1〜2の一連の工程で結合させ、化合物4を得る。あるいは、1のカルボニルアミドをチオカルボニルへ変換し、チオラクタム3を得ることができる。その後、化合物3を化合物2(X=アルキルチオ)へ変換するか、または(環Aに応じて)1〜2の一連の工程で直接結合させ、化合物4を得る。LGは最終的に式Iの化合物の製造のためのハンドルとして使用することができる。この最終工程で、LGを例えばアミンで置換するか、または例えば、鈴木、StilleまたはBuchwald反応など、パラジウムにより助長される公知のカップリング反応で結合させることができる。
【0091】
【化8】

【0092】
上記スキーム3は、環Aがトリアゾールである本発明の化合物を製造するための一般的合成経路を示す。2A(X=Cl)のクロロイミデートまたは2Aのリン酸基(X=OP(O)(OEt)2)をヒドラジンと反応させて中間体5を得る。5とオルトエステルJC(OR)の反応は、環Aがトリアゾールである化合物4Aをもたらす。あるいは、2Aのクロロイミデートまたはリン酸基(X=OP(O)(OEt)2)をアシルヒドラジンJC(O)NHNHと反応させ、環Aがトリアゾールである化合物4Aを直接得ることができる。LGは最終的に式IAの化合物の製造のためのハンドルとして使用することができる。この最終工程で、LGを例えばアミンで置換するか、または当業者に公知のパラジウムにより助長されるカップリング反応(例えば、鈴木、StilleまたはBuchwald反応)で結合させることができる。
【0093】
アミドR−NH−CO−RをR−トリアゾール−Rへ変換するための類似のアプローチが、例えば
・Trends in Het Chem, 8, 49−60, 2002
・J Org Chem, 70(7), 2878−2880, 2005
・Bioorg Med Chem Lett, 15(19), 4359−4362, 2005
などの文献で報告されている。
【0094】
【化9】

【0095】
上記スキーム4は、環Aが、限定されるものではないが、イミダゾール1Bまたはイミダゾリン1Cであり得る本発明の化合物を製造するための一般的合成経路を示す。
【0096】
アミドR−NH−CO−RをR−イミダゾール−Rへ変換するための類似のアプローチが、例えば
・Afinidad, 45 (417), 443−446, 1988
・J Org Chem, 59 (7), 5084−5087, 1994
・Hev. Chim. Acta, 80 (3), 979−987, 1997
・US2004132708
・Bioorg Med Chem Lett, 12 (21), 3219−3222, 2002
などの文献で報告されている。
【0097】
アミドR−NH−CO−RをR−イミダゾリン−Rへ変換するための類似のアプローチが、例えば
・Afinidad, 45 (417), 443−446, 1988
・J Het Chem, 19 (1), 193−200, 1982
・J Org Chem, 50 (13), 2220−2224, 1985
・Indian J Chem, 12 (3), 263−269, 1974
・Heterocycles, 60 (6), 1425−1432, 2003
などの文献で報告されている。
【0098】
アミドR−NH−CO−RをR−テトラヒドロピリミジン−Rへ変換するための類似のアプローチが、例えば
・J Am Chem Soc, 126 (7), 1971−1979, 2004
・Angew Chemie, 43 (4), 478−482, 2004
・J Am Chem Soc, 103 (14), 4186−4194, 1981
・Indian J Chem, 12 (3), 263−269, 1974
などの文献で報告されている。
【0099】
本発明の一態様は、式I:
【化10】


(式中、X、R、R、R、Rおよび環Aは本明細書で定義される通りである。)
の化合物の製造方法を提供する。
【0100】
本明細書で用いる用語「カップリング反応」とは、金属触媒の助けで炭素−炭素結合が形成される反応を意味する。通常、一方の炭素原子が官能基(「架橋基」)に結合され、他方の炭素原子がハロゲンに結合される。カップリング反応の例としては、限定されるものではないが、鈴木カップリング、Stilleカップリング、NegishiおよびBuchwaldカップリングが挙げられる。
【0101】
本明細書で用いる用語「カップリング基」とは、炭素−炭素(「C−C」)結合または炭素−窒素(「C−N」)結合を形成するためのカップリング反応において別の官能基(例えば、ハロ)と反応し得る官能基を意味する。いくつかの態様では、C−C結合は2つの芳香基の間で形成される。
【0102】
本明細書で用いる用語「カップリング条件」とは、カップリング反応を生じさせるために必要な化学的条件(例えば、温度、反応時間の長さ、必要溶媒量)を意味する。
【0103】
カップリング基およびそれらの個々のカップリング条件の例としては、限定されるものではないが、鈴木カップリング条件を用いる場合のボロン酸およびホウ素エステル、Stilleカップリング条件を用いる場合のSnBu、および根岸カップリング条件を用いる場合のZnXが挙げられる。
【0104】
これら3つのカップリング条件は全て、一般に触媒、適当な溶媒および任意の塩基の使用を含む。鈴木カップリング条件は、パラジウム触媒、適当な塩基および適当な溶媒の使用を含む。適当なパラジウム触媒の例としては、限定されるものではないが、PdCl(PPh、Pd(PhおよびPdCl(dppf)が挙げられる。適当な塩基としては、限定されるものではないが、KCOおよびNaCOが挙げられる。適当な溶媒としては、限定されるものではないが、テトラヒドロフラン、トルエンおよびエタノールが挙げられる。
【0105】
Stilleカップリング条件は、触媒(通常はパラジウムであるが、ニッケルの場合もある。)、適当な溶媒および他の任意の試薬の使用を含む。適当な触媒の例としては、限定されるものではないが、PdCl(PPh、Pd(PhおよびPdCl(dppf)が挙げられる。適当な溶媒としては、限定されるものではないが、テトラヒドロフラン、トルエンおよびジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0106】
根岸カップリング条件は、触媒(パラジウムまたはニッケル)および適当な溶媒の使用を含む。適当な触媒の例としては、限定されるものではないが、Pd(dba)、Ni(PPhCl、PdCl(PPhおよびPd(Phが挙げられる。適当な溶媒としては、限定されるものではないが、テトラヒドロフラン、トルエンおよびジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0107】
鈴木、Stilleおよび根岸の条件は当業者に公知であり、“March's Advanced Organic Chemistry”をはじめとする種々の参考文献により詳しく記載されている。
【0108】
Buchwaldカップリング条件は、パラジウム触媒、適当な塩基および適当な溶媒の使用を含む。適当なパラジウム触媒の例としては、限定されるものではないが、キサントホスを伴うPd(OAc)、PdCl2(PPh、Pd(PhおよびPdCl(dppf)が挙げられる。適当な塩基としては、限定されるものではないが、CsCO、KCOおよびNaCOが挙げられる。適当な溶媒としては、限定されるものではないが、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエンおよびエタノールが挙げられる。
【0109】
当業者に理解されるように、カップリング基はカップリング基前駆体から形成される。カップリング基前駆体は、架橋基を形成するために用いられる試薬または試薬群である。例としては、限定されるものではないが、根岸カップリング反応において、ボロン酸エステルの形成のためのビス(ピナコラト)ジボラン、ボロン酸の形成のためのトリメチルボレート、スタンナンの形成のためのBuSnClおよび亜鉛酸塩の形成のためのZnClが挙げられる。適当なカップリング基形成条件の例としては、限定されるものではないが、パラジウムにより仲介される触媒作用によるボロン酸エステルの形成;ボロン酸エステルの加水分解によるボロン酸の形成;1)ハロゲン金属交換と、その後の2)BuSnClを用いたトランスメタル化の二段階法によるスタンナンの形成;ならびに、1)ハロゲン金属交換と、その後の2)ZnClの添加の二段階法による亜鉛酸塩の形成が挙げられる。
【0110】
本発明の別の局面は、タンパク質キナーゼの阻害剤であり、従って、本明細書に記載される他の使用とともに疾患、障害および状態の処置に有用な化合物を提供する。本発明の別の局面では、薬学的に許容される組成物が提供され、これらの組成物は本明細書に記載されるいずれかの化合物を含み、任意に薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビークルを含んでもよい。ある特定の態様では、これらの組成物は任意にさらに1以上の付加的治療剤を含んでもよい。
【0111】
本発明は、タンパク質キナーゼの阻害剤として有用な化合物および組成物を提供する。いくつかの態様では、タンパク質キナーゼはPLKである。いくつかの態様では、PLK1である。
【0112】
タンパク質キナーゼの阻害剤として、本発明の化合物および組成物は、タンパク質キナーゼが疾患、状態または障害に関連する場合に、その疾患、状態または障害を処置する、またはその重篤度を軽減するために特に有用である。一局面において、本発明は、タンパク質キナーゼが疾患、状態または障害に関連する場合に、その疾患、状態または障害を処置する、またはその重篤度を軽減する方法を提供する。別の局面において、本発明は、酵素活性の阻害が疾患の処置に関連する場合に、キナーゼ疾患、状態または障害を処置する、またはその重篤度を軽減する方法を提供する。別の局面において、本発明は、タンパク質キナーゼとの結合により酵素活性を阻害する化合物を用いて、疾患、状態または障害を処置する、またはその重篤度を軽減する方法を提供する。別の局面は、タンパク質キナーゼ阻害剤でキナーゼの酵素活性を阻害することによりキナーゼ疾患、状態または障害を処置する、またはその重篤度を軽減する方法を提供する。
【0113】
いくつかの態様では、該タンパク質キナーゼ阻害剤はPLK阻害剤である。
【0114】
本発明の一局面は、患者においてタンパク質キナーゼ活性を阻害する方法に関し、その方法は、その患者に式Iの化合物または該化合物を含む組成物を投与することを含む。
【0115】
いくつかの態様では、該方法は、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性および過増殖性疾患、免疫仲介疾患、骨疾患、代謝疾患、神経性および神経変性疾患、心血管疾患、ホルモン関連疾患、アレルギー、喘息およびアルツハイマー病から選択される状態を処置または予防するために用いられる。いくつかの態様では、該タンパク質キナーゼはPLKである。他の態様では、該条件は増殖性障害および神経変性疾患から選択される。
【0116】
処置または予防される特定のタンパク質キナーゼ仲介状態に応じて、その状態を処置または予防するために通常投与される付加的薬剤を本発明の阻害剤とともに投与してもよい。例えば、化学療法剤または他の抗増殖剤を本発明のタンパク質キナーゼ阻害剤と組み合わせて増殖性疾患を処置することができる。
【0117】
このような付加的薬剤は、タンパク質キナーゼ阻害剤含有化合物または組成物とは別に多回投与量レジメンの一部として投与してもよい。あるいは、このような薬剤は単一の組成物中にタンパク質キナーゼ阻害剤と一緒に混合した単一投与量形の一部であってもよい。
【0118】
タンパク質キナーゼの阻害剤として、本発明の化合物および組成物はまた、生物学的サンプルにおいて有用である。本発明の一局面は、生物学的サンプルにおいてタンパク質キナーゼ活性を阻害することに関し、その方法はその生物学的サンプルを式Iの化合物または該化合物を含む組成物と接触させることを含む。本明細書で用いる用語「生物学的サンプル」とは、限定されるものではないが細胞培養物またはその抽出液;哺乳動物から得られた生検材料またはその抽出液;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙もしくは他の体液またはその抽出液をはじめとするin vitroまたはex vivoサンプルを意味する。
【0119】
生物学的サンプルにおけるタンパク質キナーゼ活性の阻害は、当業者に公知の種々の目的で有用である。このような目的の例としては、限定されるものではないが、輸血、臓器移植および生物検体貯蔵が挙げられる。
【0120】
本発明の別の局面は、生物学的現象および病理学的現象におけるタンパク質キナーゼの研究、このようなタンパク質キナーゼにより仲介される細胞内シグナル伝達経路の研究および新規なキナーゼ阻害剤の比較評価に関する。このような使用の例としては、限定されるものではないが、酵素アッセイおよび細胞に基づくアッセイなどの生物アッセイが含まれる。
【0121】
タンパク質キナーゼ阻害剤としての化合物の活性は、in vitro、in vivoまたは細胞系統でアッセイすることができる。in vitroアッセイは、キナーゼ活性または活性化されたキナーゼのATPase活性のいずれかの阻害を決定するアッセイを含む。別のin vitroアッセイでは、その阻害剤のタンパク質キナーゼとの結合能を定量し、結合の前に阻害剤を放射性標識し、阻害剤/キナーゼ複合体を単離し、結合している放射性標識の量を測定することにより、または新規な阻害剤を、公知の放射性リガンドと結合させたキナーゼとともにインキュベートする競合実験を行うことにより測定することができる。本発明においてPLK1、PLK2、PLK3およびPLK4の阻害剤として使用される化合物をアッセイするための詳細な条件は以下の実施例で示す。
【0122】
本発明の一局面は、過剰な、または異常な細胞増殖を特徴とする疾患、障害および状態の処置に有用な化合物を提供する。このような疾患としては、増殖性または過増殖性疾患および神経変性疾患が挙げられる。
【0123】
増殖性および過増殖性疾患の例としては、限定されるものではないが、癌が挙げられる。
【0124】
用語「癌」としては、限定されるものではないが、次の癌が含まれる:乳癌;卵巣癌;子宮頸癌;前立腺癌;精巣癌、尿生殖器系癌;食道癌;喉頭癌、膠芽腫;神経芽腫;胃癌;皮膚癌、角化棘細胞腫;肺癌、類表皮癌腫、大細胞癌腫、小細胞癌腫、肺腺癌腫;骨癌;結腸癌;腺腫;膵臓癌、腺癌腫;甲状腺癌、濾胞性癌腫、未分化癌腫、乳糖癌腫;精上皮腫;黒色腫;肉腫;膀胱癌腫;肝臓癌腫および胆道癌;腎臓癌;骨髄性障害;リンパ性障害、ホジキン腫、ヘアリー細胞腫;口腔および咽頭(口内)癌、口唇癌、舌癌、口腔癌、咽頭癌;小腸癌;結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌;脳癌および中枢神経系癌;慢性骨髄性白血病(CML)および白血病が挙げられる。
【0125】
神経変性疾患の例としては、限定されるものではないが、アルツハイマー病が挙げられる。
【0126】
本発明の別の局面は、増殖性または過増殖性疾患、または神経変性疾患から選択される疾患を処置する、またはその重篤度を軽減する方法であって、有効量の、化合物または化合物を含む薬学的に許容される組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0127】
ある特定の態様では、化合物または薬学的に許容される組成物の「有効量」は、前記疾患を処置するために有効な量である。本発明の方法に従う化合物および組成物は、前記疾患を処置する、またはその重篤度を軽減するのに有効な任意の量および任意の投与経路を用いて投与することができる。
【0128】
いくつかの態様では、かかる疾患はタンパク質キナーゼ仲介状態である。いくつかの態様では、前記疾患はPLK仲介疾患である。
【0129】
本明細書で用いる用語「タンパク質キナーゼ仲介状態」とは、タンパク質キナーゼが役割を果たしている疾患または他の有害な状態を意味する。このような状態としては、限定されるものではないが、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性および過増殖性疾患、免疫仲介疾患、骨疾患、代謝疾患、神経性および神経変性疾患、心血管疾患、ホルモン関連疾患、アレルギー、喘息およびアルツハイマー病が挙げられる。
【0130】
本明細書で用いる用語「PLK仲介状態」としては、PLKが役割を果たしている疾患または他の有害な状態を意味する。このような状態としては、限定されるものではないが、増殖性もしくは過増殖性疾患、または神経変性疾患が挙げられる。
【0131】
本発明の別の局面において、薬学的に許容される組成物が提供され、これらの組成物は本明細書に記載される化合物のいずれかを含む、任意に薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビークルを含む。
【0132】
任意の態様では、これらの組成物は任意にさらに1以上の付加的治療剤を含む。
【0133】
増殖性疾患および癌を処置するため、例えば、化学療法剤または他の抗増殖剤を本発明の化合物と組み合わせてもよい。
【0134】
公知の化学療法剤の例としては、限定されるものではないが、Gleevec(商標)、アドリアマイシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、トポテカン、タキソール、インターフェロンおよび白金誘導体が挙げられる。
【0135】
また、本発明の阻害剤を組み合わせることができる他の薬剤例としては、限定されるものではないが、Aricept(登録商標)およびExcelon(登録商標)などのアルツハイマー病の治療剤;L−DOPA/カルビドパ(carbidopa)、エンタカポン(entacapone)、ロピンロール(ropinrole)、プラミペキソール(pramipexole)、ブロモクリプチン(bromocriptine)、ペルゴリド(pergolide)、トリヘキセフェンジル(trihexephendyl)およびアマンタジン(amantadine)などのパーキンソン病の処置薬;βインターフェロン(例えば、Avonex(登録商標)およびRebif(登録商標))、Copaxone(登録商標)およびミトキサントロン(mitoxantrone)などの多発性硬化症(MS)を処置するための薬剤;アルブテロール(albuterol)およびSingulair(登録商標)などの喘息の処置薬;ジプレキサ(zyprexa)、リスパダール(risperdal)、セロクエル(seroquel)およびハロペリドール(haloperidol)などの統合失調症を処置するための薬剤;コルチコステロイド、TNF遮断薬、IL−1 RA、アザチオプリン(azathioprine)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)およびスルファサラジン(sulfasalazine)などの抗炎症剤;シクロスポリン(cyclosporin)、タクロリムス(tacrolimus)、ラパマイシン(rapamycin)、ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil)、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリンおよびスルファサラジンなどの免疫制御剤および免疫抑制剤;アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、MAO阻害剤、インターフェロン、抗痙攣薬、イオンチャネル遮断薬、リルゾール(riluzole)および抗パーキンソン薬などの神経栄養因子;β遮断薬、ACE阻害剤、利尿薬、ニトレート、カルシウムチャネル遮断薬およびスタチンなどの心血管疾患を処置するための薬剤;コルチコステロイド、コレスチラミン(cholestyramine)、インターフェロンおよび抗ウイルス剤などの肝臓疾患を処置するための薬剤;コルチコステロイド、抗白血病薬および増殖因子などの血液疾患を処置するための薬剤;ならびにγグロブリンなどの免疫不全疾患を処置するための薬剤が挙げられる。
【0136】
本明細書に記載されるように、薬学的に許容される本発明の組成物は薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビークルをさらに含み、それは本明細書において、所望の特定の投与量形に適合する限り、溶媒、希釈剤または他の液体ビークル、分散剤または懸濁助剤、界面活性剤、等張化剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固体結合剤、滑剤などのいずれか、また全てを含む。Remington's Pharmaceutical Sciences, Sixteenth Edition, E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)は、薬学的に許容される組成物の製剤に用いられる種々の担体およびその製造のための公知の技術を開示している。常套の担体媒体が、望ましくない生物学的作用をもたらすか、そうでなければ薬学的に許容される組成物の他のいずれかの成分と有害な様式で相互作用することによるなど、本発明の化合物に不適合である場合以外は、その使用が本発明の範囲内にあると考えられる。
【0137】
薬学的に許容される担体として作用し得る材料のいくつかの例として、限定されるものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(ヒト血清アルブミンなど)、緩衝物質(例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸またはソルビン酸カリウムなど)、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、羊毛脂、糖類(ラクトース、グルコースおよびスクロースなど);コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロースおよびその誘導体(カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなど);粉末状トラガカントガム;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤;落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油などの油;プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質不含有水;等張生理食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝溶液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の無毒な適合性滑剤が挙げられ、また、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および香料、防腐剤および抗酸化剤も製剤者の判断に従って当該組成物中に存在してもよい。
【0138】
タンパク質キナーゼ阻害剤またはその薬学的塩は、動物またはヒトに投与するための医薬組成物として製剤することができる。タンパク質キナーゼ仲介状態の処置または予防に有効な量のタンパク質阻害剤と薬学的に許容される担体とを含むこれらの医薬組成物は、本発明のもう1つの局面である。いくつかの態様では、該タンパク質キナーゼ仲介状態はPLK仲介状態である。
【0139】
処置に必要な化合物の正確な量は、その種、齢および対象の全般的状態、感染の重篤度、特定の薬剤、その投与様式などによって対象ごとに異なり得る。本発明の化合物は、投与の簡便性および投与量の均一性のために単位投与量形で製剤するのが好ましい。本明細書で用いる語句「単位投与量形」とは、処置すべき患者に適当な薬剤の物理的に別個の単位を意味する。しかしながら、本発明の化合物および組成物の一日使用総量は妥当な医学的判断の範囲内で担当医により決定される。特定の患者または生物に特定の有効投与量レベルは、処置される障害およびその障害の重篤度;用いる特定の化合物の活性;用いる特定の組成物;患者の齢、体重、健康状態、性別および食習慣;用いる特定の化合物の投与時間、投与経路および排泄速度;処置の期間;用いる特定の化合物と併用される、または並行使用される薬剤および医学分野で周知の因子を含む種々の因子によって異なる。本明細書で用いる用語「患者」とは、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0140】
本発明の薬学的に許容される組成物はヒトおよび他の動物に、処置される感染の重篤度に応じて、経口投与、直腸投与、非経腸投与、嚢内投与、腟内投与、腹腔内投与、局所投与(粉末、軟膏または滴剤による)、頬側投与、経口または鼻腔スプレーとして投与することができる。ある特定の態様では、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るために、1日当たり約0.01mg/kg〜約50mg/kg、好ましくは約1mg/kg〜約25mg/kg対象体重の投与量レベルで1日1回以上、経口または非経腸投与することができる。
【0141】
経口投与用の液体投与量形は、限定されるものではないが、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。これらの液体投与量形は、有効化合物の他、例えば、水または他の溶媒などの当技術分野で汎用される不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルならびにその混合物などの可溶化剤および乳化剤を含み得る。不活性希釈剤の他、これらの経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、香味剤および香料などのアジュバントも含むことができる。
【0142】
注射製剤、例えば、滅菌注射水溶液または油性懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用い、公知の技術に従って製剤することができる。滅菌注射製剤はまた、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液など、無毒な非経腸的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液、懸濁液またはエマルジョンであってもよい。使用可能な許容されるビークルおよび溶媒としては水、リンゲル溶液、U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌固定油も溶媒または懸濁媒体として通常使用される。この目的で、合成モノグリセリドまたはトリグリセリドを含む、いずれの銘柄の固定油も使用可能である。さらに、オレイン酸などの脂肪酸も注射剤の製造に用いられる。
【0143】
注射製剤は、例えば、細菌保持フィルターによる濾過、または使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射媒体に溶解または分散させることができる滅菌固形組成物の形態の滅菌剤を配合することにより滅菌することができる。
【0144】
本発明の化合物の作用を延長するために、皮下注射または筋肉注射からの化合物の吸収を緩慢にすることが望ましい場合が多い。これは、水溶性の低い結晶性または非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成することができる。この化合物の吸収速度はその溶解速度に依存し、ひいては、それは結晶の大きさおよび結晶形に依存し得る。あるいは、非経腸投与される化合物形態の吸収の遅延は、化合物と油状ビークルに溶解または懸濁させることにより達成される。注射デポー形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中で化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより製造される。ポリマーと化合物の比および使用する特定のポリマーの性質によって、化合物の放出速度が制御できる。他の生分解性の例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)がある。デポー注射製剤はまた、身体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に化合物を捕捉することによっても製造される。
【0145】
直腸または膣投与用組成物は好ましくは、周囲温度では固体であるが、体温では液体であり、従って、直腸または膣腔内で融解し、有効化合物を放出するカカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの適当な非刺激性賦形剤または担体と本発明の化合物を混合することにより製造することができる坐剤である。
【0146】
経口投与用の固体投与量形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤が挙げられる。このような固体投与量形では、有効化合物を、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1種類の不活性な、薬学的に許容される賦形剤または担体、および/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロースおよびアラビアガムなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイトクレーなどの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびその混合物などの滑剤と混合する。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、投与量形はまた緩衝剤を含んでもよい。
【0147】
類似の種の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用い、ゼラチン軟カプセルおよび硬カプセル中の充填剤として使用することができる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固体投与量形は、腸溶コーティングおよび製薬分野で周知の他のコーティング剤などのコーティングおよびシェルを用いて製造することができる。それらは任意に不透明化剤を含んでもよく、また、それらが有効成分のみを、または任意に遅延型の様式で、好ましくは腸管の特定の部分に放出する組成物であってもよい。使用可能な包理組成物の例としては、重合物質およびワックスを含む。類似の種の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用い、ゼラチン軟カプセルおよび硬カプセル中の充填剤として使用することができる。
【0148】
有効化合物はまた、上記のような1以上の賦形剤を用いてマイクロカプセル化した形態であってもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固体投与量形は、腸溶コーティング、徐放性コーティング製薬分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて製造することができる。このような固体投与量形では、有効化合物を、スクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1種類の不活性希釈剤と混合すればよい。このような投与量形はまた、通常の実践と同様に、不活性希釈剤以外の付加的物質、例えば、錠剤化滑剤ならびにステアリン酸マグネシウムおよび微晶質セルロースなどの他の錠剤補助剤を含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、これらの投与量形はまた緩衝剤も含み得る。それらは任意に不透明化剤を含んでもよく、また、それらが有効成分のみを、または任意に遅延型の様式で、好ましくは腸管の特定の部分に放出する組成物であってもよい。使用可能な包理組成物の例としては、重合物質およびワックスを含む。
【0149】
本発明の化合物の局所投与または経皮投与用の投与量形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入薬またはパッチ剤が挙げられる。有効成分を滅菌条件下で、必要に応じて、薬学的に許容される担体および必要とされる任意の防腐剤または緩衝剤と混合する。眼用製剤、点耳薬および点眼薬も本発明の範囲内あると考えられる。さらに、本発明は、身体への化合物の制御送達を提供する付加的利点を有する経皮パッチの使用を意図する。このような投与量形は、化合物を適切な媒体に溶解または分散させることにより製造することができる。また、皮膚への化合物の流入を高めるために、吸収促進剤を使用することもできる。この速度は、速度制御膜を設けるか、または化合物をポリマーマトリックスまたはゲル中に分散させることによって制御することができる。
【0150】
上記で示した障害を処置または予防するためにはまた、本発明の化合物の他、本発明の化合物の薬学的に許容される誘導体またはプロドラッグを組成物に用いることもできる。
【0151】
本発明の化合物はまた、薬学的に許容される誘導体として存在することもできる。
【0152】
「薬学的に許容される誘導体」は、必要とする患者に投与した際に、本明細書に他に記載がなければ、化合物またはその代謝産物または残基を直接的または間接的にもたらし得る付加物または誘導体である。薬学的に許容される誘導体の例としては、限定されるものではないが、エステルおよびそのようなエステルの塩が挙げられる。
【0153】
「薬学的に許容される誘導体またはプロドラッグ」とは、レシピエントに投与した際に本発明の化合物またはその阻害活性代謝産物または残基を直接的または間接的にもたらし得る、本発明の化合物の薬学的に許容されるエステル、エステルの塩またはその他の誘導体のいずれをも意味する。特に好ましい誘導体またはプロドラッグは、そのような化合物を患者に投与した際に本発明の化合物のバイオアベイラビリティを高めるもの(例えば、経口投与化合物を血中へより容易に吸収させることによる)、または親種に比べて、ある生物学的コンパートメント(例えば、脳またはリンパ系)へのその親化合物の送達を高めるものである。
【0154】
本発明の化合物の薬学的に許容されるプロドラッグとしては、限定されるものではないが、エステル、アミノ酸エステル、リン酸エステル、金属塩およびスルホン酸エステルが挙げられる。
【0155】
これらの医薬組成物において使用可能な薬学的に許容される担体としては、限定されるものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(ヒト血清アルブミンなど)、緩衝物質(リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムなど)、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。
【0156】
本発明の組成物は経口投与、非経腸投与、吸入スプレーによる投与、局所投与、直腸投与、鼻腔投与、口腔内投与、膣内投与または埋め込み型リザーバーによる投与が可能である。本明細書で用いる用語「非経腸」とは、限定されるものではないが、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液包内、胸骨内、くも膜下腔内、肝臓内、病変内および頭蓋内注射または注入技術を含む。好ましくは、当該組成物は経口投与、腹腔内投与または静脈内投与される。
【0157】
本発明の組成物の滅菌注射形態は水性または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用い、当技術分野で公知の技術に従って製剤することができる。この滅菌注射製剤はまた、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液など、無毒な非経腸的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁液であってもよい。使用可能な許容されるビークルおよび溶媒としては水、リンゲル溶液および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌固定油も溶媒または懸濁媒体として通常使用される。この目的で、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む、いずれの銘柄の固定油も使用可能である。オレイン酸などの脂肪酸およびそのグリセリド誘導体も、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の薬学的に許容される油、特にそれらのポリオキシエチル化型と同様、注射剤の製造に有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、エマルジョンおよび懸濁液を含む薬学的に許容される投与量形の製剤に汎用されるカルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤などの長鎖アルコール希釈剤または分散剤も含み得る。Tween系、Span系およびその他の乳化剤などの汎用される他の界面活性剤、または薬学的に許容される固体、液体または他の投与量形の製造に汎用されるバイオアベイラビリティ増強剤もまた、製剤に使用可能である。
【0158】
本発明の医薬組成物は、限定されるものではないが、カプセル剤、錠剤、水性懸濁液または溶液を含む、いずれかの経口的に許容される投与量形で経口投与することができる。経口使用のための錠剤の場合、汎用される担体としは、限定されるものではないが、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤も一般に添加される。カプセル形態での経口投与では、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。経口使用のために水性懸濁液が必要とされる場合には、有効成分を乳化剤および懸濁化剤と合わせる。所望により、特定の甘味剤、香味剤または着色剤を加えてもよい。
【0159】
あるいは、本発明の医薬組成物は直腸投与用の坐剤の形態で投与してもよい。これらは、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、従って、直腸で融解して薬剤を放出する、適当な非刺激性賦形剤とその薬剤を混合することにより製造することができる。このような材料としては、限定されるものではないが、カカオバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0160】
本発明の医薬組成物はまた、特に治療標的が眼、皮膚または下方腸管の疾患を含む、局所適用により容易に接近可能な領域または臓器を含むとき、局所投与するができる。これらの領域または臓器の各々について適当な局所製剤が容易に製造される。
【0161】
下方腸管に対する局所適用は、直腸坐剤製剤(上記参照)または適当な浣腸製剤で達成することができる。局所的経皮パッチも使用可能である。
【0162】
局所適用では、当該医薬組成物は1以上の担体に懸濁または溶解させた有効成分を含有する適当な軟膏として製剤することができる。本発明の化合物の局所投与用の担体としては、限定されるものではないが、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられる。あるいは、当該医薬組成物は、1以上の薬学的に許容される担体に懸濁または溶解させた有効成分を含有する適当なローションまたはクリームとして製剤することができる。適当な担体としては、限定されるものではないが、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられる。
【0163】
眼用としては、当該医薬組成物は等張pH調整滅菌生理食塩水中の微粉化懸濁液として、好ましくは、または塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤を含む、もしくは含まない、等張pH調整滅菌生理食塩水中の溶液として製剤することができる。あるいは、眼用として、当該医薬組成物はワセリンなどの軟膏として製剤してもよい。
【0164】
本発明の医薬組成物はまた、鼻腔エアロゾールまたは吸入により投与してもよい。このような組成物は医薬製剤の分野で周知の技術に従って製造され、ベンジルアルコールまたは他の適当な防腐剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、フルオロ炭素および/または他の通常の可溶化剤または分散剤を用い、生理食塩水中の溶液として製造することができる。
【0165】
単回投与量形態を製造するために担体材料と組み合わせることができるタンパク質キナーゼ阻害剤の量は、処置される宿主、特定の投与様式によって異なる。好ましくは、当該組成物は阻害剤0.01〜100mg/kg体重/日の間の投与量がこれらの組成物を受容する患者に投与することができるように製剤すべきである。
【0166】
また、特定の患者に対する特定の投与量および処置レジメンは、用いる特定の化合物の活性、年齢、体重、健康状態、性別、食習慣、投与時間、排泄速度、薬剤の組合せ、および処置する医師の判断および処置される特定の疾患の重篤度を含む種々の因子によって異なると理解すべきである。また、阻害剤の量は組成物中の特定の化合物によっても異なり得る。
【0167】
別の態様によれば、本発明は、タンパク質キナーゼ仲介状態(いくつかの態様では、PLK仲介状態)を処置または予防する方法であって、患者に上記の医薬組成物の1つを投与する工程を含む方法を提供する。本明細書で用いる用語「患者」とは、動物、好ましくはヒトを意味する。
【0168】
いくつかの態様では、該方法は、癌などの増殖性障害、神経変性疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患および免疫仲介障害から選択される状態を処置または予防するために使用される。いくつかの態様では、該方法は、乳癌、結腸癌、前立腺癌、皮膚癌、膵臓癌、脳癌、尿生殖器系癌、リンパ系癌、胃癌、喉頭癌および肺癌(肺腺癌腫および小細胞肺癌を含む)などの癌、脳卒中、糖尿病、骨髄腫、肝肥大、心肥大、アルツハイマー病、嚢胞性繊維症およびウイルス疾患または上記のいずれかの特定の疾患から選択される状態を処置または予防するために使用される。
【0169】
本発明の化合物は、一般に当業者に公知の方法によって製造することができる。これらの化合物は、限定されるものではないが、LCMS(液体クロマトグラフィー質量分析)およびNMR(核磁気共鳴)を含む公知の方法によって分析することができる。本発明の化合物はまた、これらの例に従って試験することができる。以下に示される特定の条件は単なる例示であり、本発明の化合物を製造、分析または試験するために使用することができる条件の範囲を限定するものではないと理解すべきである。実際、本発明はまた、本発明の化合物を製造、分析または試験するために当業者に公知の条件も含む。
【実施例】
【0170】
本明細書において、「Rt(分)」とは、化合物に関するHPLC保持時間(分)を意味する。特に他に断りのない限り、報告されている保持時間を得るために使用したHPLC法は次の通りである。
カラム:ACE C8カラム、4.6×150mm
勾配:0〜100%アセトニトリル+メタノール60:40(20mM トリスリン酸)
流速:1.5mL/分
検出:225nm
【0171】
質量スペクトルサンプルは、エレクトロスプレーイオン化法を用い、単一MSモードにて作動するMicroMass Quattro Micro質量分光計で分析した。サンプルはクロマトグラフィーを用い、この質量分光計に導入した。
【0172】
H−NMRスペクトルはBruker DPX 400装置を用いて400MHzで記録し、ppm δで報告した。下記の式Iの化合物を製造し、次のように分析した。
【0173】
実施例1:
4−((R)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−3−メトキシ−N−メチルベンズアミド(I−1)
【化11】

【0174】
方法A:(R)−7−クロロ−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン
【化12】


(R)−2−クロロ−8−シクロペンチル−7−エチル−7,8−ジヒドロプテリジン−6(5H)−オン(100mg、0.357mmol)をオキシ塩化リン(3.0ml)中、110℃で3時間撹拌した後、減圧下で濃縮した。残渣を無水ジクロロメタンに溶解し、THF中1.0Mのヒドラジン(3.6ml、3.57mmol)中に滴下した。この混合物を室温で一晩撹拌し、酢酸エチルに取り、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。この粗ヒドラジドの残渣をオルトギ酸トリメチル(2.0ml)に溶解し、110℃で90分間撹拌した。この混合物を減圧下で濃縮し、酢酸エチルで溶出するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーのより精製し、(R)−7−クロロ−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン(68mg、63%)を淡褐色固体として得た。
1H NMR (DMSO D6) 0.75 (3H, t), 1.50−1.64 (2H, m), 1.80−2.08 (8H, m), 4.22−4.33 (1H, m), 5.28−5.35 (1H, m), 8.68 (1H, s), 9.35 (1H, s); MS (ES+) 305。
【0175】
方法B:4−((R)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−3−メトキシ−N−メチルベンズアミド(I−1)
【化13】


エタノール/水混合物(1/4、5mL)中、(R)−7−クロロ−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン(80mg、0.263mmol)の溶液に、4−アミノ−3−メトキシ−N−メチルベンズアミド(72mg、0.394mmol)、次いで触媒量の濃HCl(0.04mL)を加えた。この反応混合物を90℃で24時間撹拌した後、室温まで冷却し、飽和NaHCO水溶液で塩基性とした。この混合物を酢酸エチルで抽出した後、有機層を乾燥させ(MgSO)、残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物を無色の固体として得た(92mg、収率78%)。
遊離塩基として示す。
1H NMR (DMSO D6) 0.75 (3H, t), 1.43−1.60 (4H, m), 1.80−2.07 (6H, m), 2.80 (3H, d), 3.88 (3H, s), 4.19 (1H, m), 5.38 (1H, m), 7.50 (1H, d), 7.59 (1H, s), 7.83 (1H, d), 8.47 (1H, m), 8.67 (1H, s), 9.31 (1H, s), 9.40 (1H, br s); MS (ES+) 449。
【0176】
実施例2:
4−((R)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−3−メトキシ−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)ベンズアミド(I−2)
【化14】


方法Bを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR (DMSO D6) 0.73 (3H, t), 1.52−2.11 (15H, m), 2.25 (3H, s), 2.80−2.92 (2H, m), 3.27−3.32 (1H, m), 3.72−3.82 (1H, m), 4.37−4.47 (1H, m), 5.16−5.22 (1H, m), 7.46−7.51 (2H, m), 7.94 (1H, s), 8.12 (1H, d), 8.27 (1H, d), 8.61 (1H, s), 9.25 (1H, s); MS (ES+) 532。
【0177】
実施例3:4−((R)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−3−クロロ安息香酸(I−3)
【化15】


方法Bを用いて製造、遊離塩基として示す。
MS (ES+) 440; (ES) 438。
【0178】
実施例4
方法C:4−((R)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3]プテリジン−7−イルアミノ)−3−クロロ−N−メチルベンズアミド(I−4)
【化16】


4−((R)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−3−クロロ安息香酸(I−3)(27mg)をDMF(0.4ml)に溶解し、カルボニルジイミダゾール(12mg、0.077mmol)で処理し、この混合物を室温で90分間撹拌した。この溶液を氷浴中で冷却し、メチルアミンガスを2分間通じた。この混合物を室温で2時間撹拌し、減圧下で蒸発させ、クロマトグラフィーにより精製し、4−((R)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−3−クロロ−N−メチルベンズアミド(15mg)を無色の固体として得た。
遊離塩基として示す。
1H NMR (DMSO D6) 0.71 (3H, t), 1.37−2.05 (10H, m), 2.80 (3H, s), 4.12−4.25 (1H, m), 5.20−5.31 (1H, m), 7.88 (1H, d), 8.00 (1H, d), 8.05 (1H, s), 8.50−8.55 (1H, m), 8.60 (1H, s), 8.97 (1H, br s), 9.35 (1H, s); MS (ES+) 453, (ES) 451。
【0179】
実施例5:
4−((R)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3]プテリジン−7−イルアミノ)−N,N,3−トリメチルベンズアミド(I−5)
【化17】

【0180】
方法D:N,N,3−トリメチル−4−ニトロベンズアミド
【化18】


DMF(30mL)中の3−メチル−4−ニトロ安息香酸(3.0g、16.56mmol)をカルボニルジイミダゾール(3.22g、1.2当量)とともに90分間撹拌した。この反応混合物を氷浴で冷却し、ジメチルアミン(THF中2M、25mL、3当量)を加えた。次に、この混合物を室温まで温め、2時間撹拌した。この混合物を氷水(200ml)に注ぎ、EtOAcで抽出した(6回)。合わせた抽出液をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。エーテルでトリチュレートした後、濾過し、N,N,3−トリメチル−4−ニトロベンズアミド(2.6g、無色の固体)を得た。MS (ES+) 209。
【0181】
方法E:4−アミノ−N,N,3−トリメチルベンズアミド
【化19】


メタノール中のN,N,3−トリメチル−4−ニトロベンズアミド(0.6g、2.88mmol)を、H−キューブ装置を用いて水素化した(1.2mL/分、室温、大気圧)。45分後に反応が完了した。真空下で溶媒を除去し、4−アミノ−N,N,3−トリメチルベンズアミドを無色の固体として得た(定量的)。MS (ES+) 179。
【0182】
4−((R)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3]プテリジン−7−イルアミノ)−N,N,3−トリメチルベンズアミド(I−5)
【化20】


方法Bを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR (DMSO D6) 0.69 (3H, t), 1.25−1.45 (4H, m), 1.70−2.05 (6H, m), 2.27 (3H, s), 2.97 (6H, s), 4.08−4.15 (1H, m), 5.30−5.37 (1H, m), 7.29 (1H, d), 7.36 (1H, s), 7.46 (1H, d), 8.62 (1H, s), 9.33 (1H, s), 9.75 (1H, br s); MS (ES+) 447, (ES) 445。
【0183】
実施例6:
4−((R)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3]プテリジン−7−イルアミノ)−N,3−ジメチルベンズアミド(I−6)
【化21】

【0184】
N,3−ジメチル−4−ニトロベンズアミド
【化22】


方法Dを用いて製造。
【0185】
4−アミノ−N,3−ジメチルベンズアミド
【化23】


方法Eを用いて製造、遊離塩基として示す。
【0186】
4−((R)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3]プテリジン−7−イルアミノ)−N,3−ジメチルベンズアミド(I−6)
【化24】


方法Bを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR (DMSO D6) 0.68 (3H, t), 1.15−1.35 (4H, m), 1.65−2.05 (6H, m), 2.26 (3H, s), 2.78 (3H, s), 4.03−4.17 (1H, m), 5.36−5.43 (1H, m), 7.52 (1H, d), 7.76 (1H, d), 7.90 (1H, s), 8.52−8.57 (1H, m), 8.74 (1H, s), 9.39 (1H, s), 10.13 (1H, s); MS (ES+) 433, (ES) 431。
【0187】
実施例7:
4−((R)−5−シクロペンチル−6−エチル−5,6−ジヒドロイミダゾ[1,2)プテリジン−3−イルアミノ)−3−メトキシ−N−メチルベンズアミド(I−7)
【化25】

【0188】
方法F:(R)−2−クロロ−8−シクロペンチル−7−エチル−7,8−ジヒドロプテリジン−6−アミン
【化26】


POCl(6mL)中、(R)−2−クロロ−8−シクロペンチル−7−エチル−7,8−ジヒドロプテリジン−6(5H)−オン(200mg、0.714mmol)を100℃まで4.5時間加熱した。真空下で溶媒を除去し、乾燥トルエンとともに2回共沸した。残渣を乾燥CHCl(1.5mL)に溶解し、THF(5mL)および液体NH(4.2g)中に滴下した。この反応混合物を室温で週末にかけて撹拌した。反応混合物を氷水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。合わせた有機抽出液を真空濃縮し、(R)−2−クロロ−8−シクロペンチル−7−エチル−7,8−ジヒドロプテリジン−6−アミンを褐色油状物として得た(181mg)。MS (ES+) 280, (ES) 278。
【0189】
方法G:(R)−3−クロロ−5−シクロペンチル−6−エチル−5,6−ジヒドロイミダゾ[1,2−f]プテリジン
【化27】


MeOH(1.5mL)中、(R)−2−クロロ−8−シクロペンチル−7−エチル−7,8−ジヒドロプテリジン−6−アミン(177mg、0.64mmol)を50%クロロアセトアルデヒド水溶液(131μL、1.3当量)で処理し、この反応混合物を6時間、加熱還流した。さらなる50%クロロアセトアルデヒド水溶液(400μL、3.0当量)を追加し、この反応混合物を68℃まで一晩加熱した。NaHCO(飽和水溶液)およびEtOAcを加え、水溶液をさらにEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出液をMgSOで乾燥させ、真空濃縮した。
MS (ES+) 304。
【0190】
4−((R)−5−シクロペンチル−6−エチル−5,6−ジヒドロイミダゾ[1,2)プテリジン−3−イルアミノ)−3−メトキシ−N−メチルベンズアミド(I−7)
【化28】


方法Bを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR (DMSO D6) 0.66 (3H, t), 1.55−2.13 (10H, m), 2.79 (3H, d), 3.94 (3H, s), 4.35−4.48 (1H, m), 4.98−5.07 (1H, m), 7.13 (1H, s), 7.45−7.53 (2H, m), 7.79 (1H, s), 7.86 (1H, s), 8.25−8.38 (2H, m), 8.45 (1H, s); MS (ES+) 448, MS (ES) 446。
【0191】
実施例8:
(R)−4−(5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−N−シクロプロピル−3−メトキシベンズアミド(I−8)
【化29】


方法Bを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.56−0.59 (2H, m), 0.68−0.73 (5H, m), 1.55−2.10 (10H, m), 2.82 (1H, m), 3.92 (3H, s), 4.42 (1H, m), 5.21 (1H, m), 7.46−7.48 (2H, m), 7.95 (1H, s), 8.26 (1H, d), 8.35 (1H, d), 8.59 (1H, s), 9.25 (1H, s); HPLC rt(分): 8.91; MS (ES+) 475, (ES) 474。
【0192】
実施例9:
4−((R)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−3−メトキシ−N−((R)−テトラヒドロフラン−3−イル)ベンズアミド(I−9)
【化30】


方法Bを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.71 (3H, t), 1.55−2.20 (12H, m), 3.60 (1H, dd), 3.72 (1H, m), 3.87 (2H, m), 3.94 (3H, s), 4.40−4.53 (2H, m), 5.22 (1H, m), 7.51−7.54 (2H, m), 7.96 (1H, s), 8.30 (1H, m), 8.42 (1H, d), 8.60 (1H, s), 9.25 (1H, s); HPLC rt(分): 8.63; MS (ES+) 505。
【0193】
実施例10:
(R)−N−シクロペンチル−4−(5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−3−メトキシベンズアミド(I−10)
【化31】


方法Bを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.71 (3H, t), 1.48−1.65 (6H, m), 1.67−2.09 (12H, m), 3.93 (3H, s), 4.21−4.26 (1H, m), 4.42 (1H, quin), 5.20−5.22 (1H, m), 7.49−7.51 (2H, m), 7.95 (1H, s), 8.16 (1H, d), 8.29 (1H, d), 8.59 (1H, s), 9.25 (1H, s); HPLC rt(分): 9.76; MS (ES+) 503, (ES) 501
【0194】
実施例11:
(R)−4−(5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−N−シクロプロピルベンズアミド(I−11)
【化32】


方法Bを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.53−0.57 (2H, m), 0.63−0.73 (5H, m), 1.59−1.99 (9H, m), 2.06−2.15 (1H, m), 2.79−2.83 (1H, m), 4.48−4.55 (1H, m), 5.21 (1H, dd), 7.737.80 (4H, m), 8.26 (1H, d), 8.60 (1H, s), 9.25 (1H, s), 9.65 (1H, s); HPLC rt(分): 8.36; MS (ES+) 445, (ES) 443。
【0195】
実施例12:
(4−((R)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−3−メトキシフェニル)((S)−3−フルオロピロリジン−1−イル)メタノン(I−12)
【化33】


方法Bを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.70 (3H, t), 1.50−1.62 (2H, m), 1.69−2.23 (10H, m), 3.53−3.84 (4H, m), 3.90 (3H, s), 4.38 (1H, t), 5.20 (1H, dd), 5.40 (1H, dd), 7.15 (1H, d), 7.20 (1H, d), 7.99 (1H, s), 8.20 (1H, s), 8.57 (1H, s), 9.25 (1H, s); HPLC rt(分): 8.94; MS (ES+) 507, (ES) 505。
【0196】
実施例13:
(R)−4−(5−シクロペンチル−4−エチル−1−メチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−N−シクロプロピル−3−メトキシベンズアミド(I−13)
【化34】


方法Bを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.55−0.60 (2H, m), 0.69−0.78 (5H, m), 1.55−2.10 (10H, m), 2.68 (3H, s), 2.82 (1H, m), 3.93 (3H, s), 4.48 (1H, quint), 5.01 (1H, dd), 7.46−7.49 (2H, m), 7.94 (1H, s), 8.30 (1H, d), 8.35 (1H, d), 8.45 (1H, s); HPLC rt(分): 9.12; MS (ES+) 490, (ES) 488。
【0197】
実施例14:
(R)−4−(5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−N−シクロプロピル−3−フルオロベンズアミド(I−14)
【化35】


方法Cを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.55−0.59 (2H, m), 0.67−0.73 (5H, m), 1.46−1.95 (10H, m), 2.84 (1H, m), 4.30 (1H, quint), 5.18 (1H, dd), 7.64−7.70 (2H, m), 7.91 (1H, t), 8.41 (1H, d), 8.55 (1H, s), 9.02 (1H, s), 9.24 (1H, s); HPLC rt(分): 8.58; MS (ES+) 464, (ES) 462。
【0198】
実施例15:
(R)−5−(5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−N−シクロプロピルチオフェン−2−カルボキサミド(I−15)
【化36】


方法Bを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.48−0.54 (2H, m), 0.63−0.74 (5H, m), 1.65−1.95 (10H, m), 2.74 (1H, m), 4.83 (1H, br s), 5.24 (1H, dd), 7.58 (1H, d), 7.47 (1H, d), 8.14 (1H, d), 8.63 (1H, s), 9.24 (1H, s), 10.83 (1H, br s); HPLC rt(分): 8.17; MS (ES+) 452, (ES) 450。
【0199】
実施例16:
(R)−4−(5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−3−フルオロ−N−メチルベンズアミド(I−16)
【化37】


方法Cを用いて製造、メシル酸塩として示す。
【0200】
方法H:メシル酸塩の形成
遊離塩基(38.2mg、0.088mmol)を温メタノール(3ml)に溶解し、メタンスルホン酸(5.68μL、0.088mmol)で処理し、減圧下で蒸発させ、ジエチルエーテルとともに3回共沸した。残渣をエーテルでトリチュレートし、濾過し、メタンスルホン酸塩(50.4mg)を得た。
1H NMR DMSO D6 0.69 (3H, t), 1.35−1.55 (4H, m), 1.70−2.0 (6H, m), 2.33 (3H, s), 2.79 (3H, d), 4.24 (1H, quint), 5.25 (1H, dd), 7.69−7.73 (2H, m), 7.84 (1H, t), 8.48 (1H, q), 8.57 (1H, s), 9.28 (1H, s), 9.39 (1H, s); HPLC rt(分): 8.07; MS (ES+) 438, (ES) 436。
【0201】
実施例17:
(R)−4−(5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−N−(3,3−ジフルオロシクロブチル)−3−メトキシベンズアミド(I−17)
【化38】


法Bを用いて製造、メシル酸塩として示す(方法H)。
1H NMR DMSO D6 0.70 (3H, t), 1.42−1.70 (4H, m), 1.75−2.04 (6H, m), 2.33 (3H, s), 2.70−2.85 (2H, m), 2.90−3.20 (2H, m), 3.92 (3H, s), 4.32 (2H, m), 5.33 (1H, dd), 7.52−7.56 (2H, m), 7.99 (1H, d), 8.59 (1H, s), 8.78 (1H, d), 8.98 (1H, br s), 9.30 (1H, s); HPLC rt(分): 9.35; MS (ES+) 526, (ES) 524。
【0202】
実施例18:
(R)−4−(5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−N−エチル−3−メトキシベンズアミド(I−18)
【化39】


方法Bを用いて製造、メシル酸塩として示す(方法H)。
1H NMR DMSO D6 0.70 (3H, t), 1.14 (3H, t), 1.45−1.67 (4H, m), 1.77−2.30 (6H, m), 2.31 (3H, s), 3.31 (2H, quint), 3.91 (3H, s), 4.32 (1H, quint), 5.32 (1H, dd), 7.52 (1H, dd), 7.56 (1H, d), 7.98 (1H, br d), 8.47 (1H, t), 8.58 (1H, s), 8.85 (1H, br s), 9.29 (1H, s); HPLC rt(分): 8.94; MS (ES+) 463, (ES) 461。
【0203】
実施例19:
(R)−4−(5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−N−エチル−3−フルオロベンズアミド(I−19)
【化40】


方法Cを用いて製造、メシル酸塩として示す(方法H)。
1H NMR DMSO D6 0.70 (3H, t), 1.13 (3H, t), 1.38−1.55 (4H, m), 1.75−2.00 (6H, m), 2.32 (3H, s), 3.29 (2H, quint), 4.23 (1H, quint), 5.27 (1H, dd), 7.70−7.77 (2H, m), 7.83 (1H, t), 8.51 (1H, t), 8.57 (1H, s), 9.29 (1H, s), 9.45 (1H, br s); HPLC rt(分): 8.64; MS (ES+) 452, (ES) 450。
【0204】
実施例20:
(R)−5−シクロペンチル−4−エチル−N−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−20)
【化41】


方法Bを用いて製造、メシル酸塩として示す(方法H)。
1H NMR DMSO D6 0.69 (3H, m), 1.35−1.45 (4H, m), 1.73−2.00 (6H, m), 2.38 (3H, s), 4.16 (1H, quint), 5.31 (1H, dd), 7.63 (1H, d), 7.81 (1H, d), 7.91 (1H, t), 8.62 (1H, s), 9.34 (1H, s), 9.85 (1H, br s); HPLC rt(分): 10.44; MS (ES+) 448, (ES) 446。
【0205】
実施例21:
方法I:(R)−4−(5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−N−メチル−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(I−21)
【化42】


ジオキサン(4ml)中、(R)−7−クロロ−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン(100mg、0.329mmol)、4−アミノ−3−トリフルオロメチル−N−メチルベンズアミド、パラジウムアセテート(6mg)、炭酸セシウム(214mg、0.658mmol)およびキサントホス(20mg)の混合物をマイクロ波にて150℃で1時間撹拌した。この混合物を酢酸エチルで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。残渣を、0〜12%メタノール/酢酸エチルで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製し、4−((R)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−3−トリフルオロメチル−N−メチルベンズアミドを無色のガラス質として得た(70mg、46%)。
メシル塩として示す(方法H)。
1H NMR DMSO D6 0.67 (3H, t), 0.96−1.35 (4H, m), 1.60−2.00 (6H, m), 2.34 (3H, s), 2.83 (3H, d), 3.90−4.03 (1H, m), 5.25−5.32 (1H, m), 7.82 (1H, d), 8.19 (1H, d), 8.26 (1H, s), 8.57 (1H, s), 8.75 (1H, d), 9.30 (1H, s), 9.46−9.66 (1H, br s); HPLC rt(分): 8.94; MS (ES+) 487。
【0206】
実施例22:
(R)−5−シクロペンチル−4−エチル−N−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−22)
【化43】


方法Bを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.69−0.73 (3H, m), 1.59 (2H, m), 1.66−1.91 (7H, m), 2.06 (1H, m), 4.48 (1H, m), 5.18 (1H, m), 6.94 (1H, m), 7.25−7.28 (2H, m), 7.69−7.71 (2H, m), 8.55 (1H, s), 9.23 (1H, s), 9.37 (1H, s); HPLC rt(分): 9.75; MS (ES+) 362, (ES) 360。
【0207】
実施例23:
(R)−5−シクロペンチル−4−エチル−N−(ピリジン−4−イル)−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−23)
【化44】


方法Iを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.70−0.74 (3H, m), 1.62−1.63 (2H, m), 1.72−1.93 (7H, m), 2.11 (1H, m), 4.54 (1H, m), 5.23 (1H, m), 7.72 (2H, d), 8.33 (2H, d), 8.64 (1H, s), 9.27 (1H, s), 9.83 (1H, s); HPLC rt(分): 8.70; MS (ES+) 363, (ES) 361。
【0208】
実施例24:
(R)−4−(5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−3−(ジフルオロメチル)−N−メチルベンズアミド(I−24)
【化45】


方法Iを用いて製造、メシル酸塩として示す(方法H)。
1H NMR DMSO D6 0.69 (3H, t), 1.17−1.34 (4H, m), 1.71−1.89 (6H, m), 2.33 (3H, s), 2.81 (3H, d), 4.07−4.11 (1H, m), 5.27−5.29 (1H, m), 7.25 (1H, t), 7.70 (1H, d), 8.04 (1H, d), 8.15 (1H, s), 8.59 (1H, s), 8.63−8.65 (1H, m), 9.31 (1H, s), 9.60−9.64 (1H, m); HPLC rt(分): 8.28; MS (ES+) 469, (ES) 467。
【0209】
実施例25:
(R)−5−シクロペンチル−4−エチル−N−(ピリジン−3−イル)−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−25)
【化46】


方法Iを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.69−0.73 (3H, m), 1.57−1.58 (2H, m), 1.71−1.90 (7H, m), 2.07 (1H, m), 4.48 (1H, m), 5.20 (1H, m), 7.30 (1H, m), 8.113−8.15 (2H, m), 8.58 (1H, m), 8.87 (1H, d), 9.25 (1H, s), 9.55 (1H, s); HPLC rt(分): 8.50; MS (ES+) 363, (ES) 361。
【0210】
実施例26:
方法J:(R)−5−シクロペンチル−N−シクロプロピル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−26)
【化47】


密閉試験管内で、BuOH(2ml)中、(R)−7−クロロ−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン(70mg、0.23mmol)、シクロプロピルアミン(0.5ml、7.18mmol)、DIPEA(0.16ml、0.918mmol)を、マイクロ波で140℃にて90分間加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、逆相分取HPLC[Waters Sunfire C18、10□M、100Åカラム、勾配25mL/分で16分にわたって10%〜95%B(溶媒A:水中0.05%TFA;溶媒B:CHCN)により精製し、標題化合物を灰白色粉末として得た。この遊離塩基を重炭酸樹脂を用いて生成し、凍結乾燥させ、標題化合物を無色の固体として得た(25.6mg、収率34%)。
遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.46 (2H, m), 0.62−0.63 (2H, m), 0.67−0.71 (3H, m), 1.49 (2H, m), 1.60−2.00 (8H, m), 2.64 (1H, m), 4.22 (1H, br s), 5.11 (1H, m), 7.17 (1H, m), 8.38 (1H, s), 9.16 (1H, s); HPLC rt(分): 9.15; MS (ES+) 326, (ES) 324。
【0211】
実施例27:
方法K:(R)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−27)
【化48】


水酸化アンモニウム(10ml)中、(R)−7−クロロ−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン(500mg、1.64mmol)の溶液をマイクロ波照射下、140℃で30分間加熱した。減圧下で溶媒を除去し、冷水(5mL)を加えた。得られた明褐色固体を真空下で濾過し、冷水で洗浄し、標題化合物を得た(170mg、収率36%)。
遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.69 (3H, t), 1.48−2.01 (10H, m), 4.40 (1H, dt), 5.06 (1H, dd), 6.40 (2H, s), 8.35 (1H, s), 9.15 (1H, s); HPLC rt(分): 7.43; MS (ES+) 286。
【0212】
実施例28:
方法L:(R)−5−シクロペンチル−4−エチル−N−(ピリジン−3−イル)−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−28)
【化49】


0℃にて、DMF(1ml)中、(R)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(50mg、0.175mmol)に水素化ナトリウム(鉱油中60%、7.7mg、0.193mmol)を加えた。この反応混合物を10分間撹拌した後、クロロギ酸メチル(13.6μL、0.175mmol)を加えた。この反応物を室温まで温め、18時間撹拌した。塩化アンモニウム(5ml、飽和水溶液)を加え、EtOAcで抽出した(3×10ml)。合わせた有機液をブライン(10ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で溶媒を除去した。粗生成物を逆相分取HPLC[Waters Sunfire C18、10□M、100Åカラム、勾配25mL/分で16分にわたって10%〜95%B(溶媒A:水中0.05%TFA;溶媒B:CHCN)]により精製し、標題化合物を灰白色粉末として得た(25mg、31%)。
トリフルオロ酢酸塩として示す。
1H NMR DMSO D6 0.69 (3H, t), 1.47−1.63 (2H, m), 1.78−2.18 (8H, m), 3.70 (3H, s), 4.28 (1H, dt), 5.30 (1H, dd), 8.58 (1H, s), 9.34 (1H, s), 10.69 (1H, br s); HPLC rt(分): 7.62; MS (ES+) 344, (ES) 342。
【0213】
実施例29:
(R)−4−(5−シクロブチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−3−メトキシ−N−メチルベンズアミド(I−29)
【化50】


方法Bを用いて製造、メシル酸塩として示す(方法H)。
1H NMR DMSO D6 0.72 (3H, t), 1.63−1.87 (4H, m), 2.10−2.50 (4H, m), 2.31 (3H, s), 2.80 (3H, d), 3.92 (3H, s), 4.47 (1H, quint), 5.32 (1H, dd), 7.50−7.55 (2H, m), 8.11 (1H, br d), 8.43 (1H, br q), 8.59 (1H, s), 8.82 (1H, br s), 9.30 (1H, s); HPLC rt(分): 8.32; MS (ES+) 435, (ES) 433
【0214】
実施例30:
(R)−4−(5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−イルアミノ)−3−(メトキシメチル)−N−メチルベンズアミド(I−30)
【化51】


方法Iを用いて製造、メシル酸塩として示す(方法H)。
1H NMR DMSO D6 0.69 (3H, t), 1.31−1.50 (4H, m), 1.72−2.03 (6H, m), 2.33 (3H, s), 2.79 (3H, d), 3.32 (3H, s), 4.09−4.20 (1H, m), 4.52 (2H, s), 5.28−5.35 (1H, m), 7.80−7.87 (2H, m), 7.90 (1H, s), 8.41−8.49 (1H, m), 8.58 (1H, s), 9.20−9.35 (1H, br s), 9.30 (1H, s); HPLC rt(分): 8.39; MS (ES+) 463, (ES) 461。
【0215】
実施例31:
(R)−N−ベンジル−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−31)
【化52】


方法Jを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.65−0.69 (3H, m), 1.48 (2H, m), 1.64−1.89 (8H, m), 4.10 (1H, m), 4.45 (2H, m), 5.07 (1H, m), 7.20 (1H, m), 7.28 (4H, m), 7.57 (1H, br s), 8.38 (1H, s), 9.14 (1H, s); HPLC rt(分): 9.77; MS (ES+) 376, (ES) 374。
【0216】
実施例32:
(R)−5−シクロペンチル−4−エチル−N−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−32)
【化53】


方法Iを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.70−0.72 (3H, m), 1.56 (2H, m), 1.74−2.02 (8H, m), 2.23 (3H, s), 2.50 (4H, m), 3.06 (4H, m), 4.43 (1H, m), 5.15 (1H, m), 6.86 (2H, d), 7.50 (2H, d), 8.49 (1H, s), 9.10 (1H, s), 9.20 (1H, s); HPLC rt(分): 9.02; MS (ES+) 460, (ES) 458。
【0217】
実施例33:
(R)−5−シクロペンチル−N−(4−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−33)
【化54】


方法Iを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.75 (3H, m), 1.59 (2H, m), 1.76−1.89 (8H, m), 2.07 (1H, m), 4.48 (1H, m), 5.18 (1H, m), 7.11 (2H, d), 7.72 (2H, d), 8.55 (1H, s), 9.23 (1H, s), 9.44 (1H, s); HPLC rt(分): 9.70; MS (ES+) 428, (ES) 426。
【0218】
実施例34:
(R)−5−シクロペンチル−4−エチル−N−(4−モルホリノフェニル)−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−34)
【化55】


方法Iを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.69−0.72 (3H, m), 1.57 (2H, m), 1.71−1.89 (7H, m), 2.00 (1H, m), 2.54 (4H, m), 3.72−3.75 (4H, m), 4.43 (1H, m), 5.16 (1H, m), 6.87 (2H, d), 7.52 (2H, d), 8.50 (1H, s), 9.12 (1H, s), 9.21 (1H, s); HPLC rt(分): 9.12; MS (ES+) 447, (ES) 445。
【0219】
実施例35:
(R)−5−シクロペンチル−4−エチル−N−(4−フルオロフェニル)−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−35)
【化56】


方法Iを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.69−0.72 (3H, m), 1.60 (2H, m), 1.73−1.90 (7H, m), 2.06 (1H, m), 4.46 (1H, m), 5.19 (1H, m), 7.09 (2H, m), 7.67−7.70 (2H, m), 8.54 (1H, s), 9.23 (1H, s), 9.38 (1H, s); HPLC rt(分): 9.78; MS (ES+) 380, (ES) 378。
【0220】
実施例36:
方法M:(R)−5−シクロペンチル−4−エチル−N−メチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−36)
【化57】


(R)−7−クロロ−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン(70mg、0.23mmol)の入ったバイアルにて、エタノール中、メチルアミンの溶液(2mL、2M溶液)を加えた。この容器を密閉した後、50℃で18時間加熱した。冷却した後、減圧下で溶媒を除去し、粗生成物を逆相分取HPLC[Waters Sunfire C18、10□M、100Åカラム、勾配25mL/分で16分にわたって10%〜95%B(溶媒A:水中0.05%TFA;溶媒B:CHCN)]により精製した。アセトニトリル/水中のこのTFA塩をカーボネートカートリッジに通すことにより遊離塩基を得、標題化合物を白色粉末として得た(42mg、収率61%)。
遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.68 (3H, t), 1.47−2.03 (10H, m), 2.77 (3H, d), 4.24−4.32 (1H, m), 5.09 (1H, d), 6.86 (1H, bs), 8.38 (1H, s), 9.15 (1H, s); HPLC rt(分): 8.57; MS (ES+) 300, (ES) 298。
【0221】
実施例37:
(R)−5−シクロペンチル−N,4−ジエチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−37)
【化58】


方法Mを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.69 (3H, t), 1.10 (3H, t), 1.47−1.99 (10H, m), 3.26 (2H, dt), 4.27 (1H, br s), 5.09 (1H, d), 6.94 (1H, br s), 8.37 (1H, s), 9.15 (1H, s); HPLC rt(分): 9.14; MS (ES+) 314, (ES) 312
【0222】
実施例38:
(R)−N,5−ジシクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−38)
【化59】


方法Jを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.69 (3H, t), 1.43−2.00 (18H, m), 4.07−4.17 (1H, m), 4.17−4.34 (1H, m), 5.08 (1H, bs), 6.98 (1H, bs), 8.36 (1H, s), 9.14 (1H, s); HPLC rt(分): 10.2; MS (ES+) 354, (ES) 352
【0223】
実施例39:
(R)−N−(4−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−5−シクロペンチル−4−エチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−39)
【化60】


方法Iを用いて製造、トリフルオロ酢酸塩として示す。
1H NMR DMSO D6 0.70 (3H, m), 1.58−1.59 (2H, m), 1.75−2.07 (7H, m), 2.33 (1H, m), 4.48 (1H, m), 5.22 (1H, m), 6.52 (1H, s), 7.71−7.81 (5H, m), 8.42 (1H, m), 8.58 (1H, s), 9.26 (1H, s), 9.64 (1H, s); HPLC rt(分): 9.32; MS (ES+) 428, (ES) 426。
【0224】
実施例40:
(R)−5−シクロペンチル−4−エチル−N−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−40)
【化61】


方法Iを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.70 (3H, m), 0.70−0.74 (3H, m), 1.60−1.63 (2H, m), 1.71−1.92 (7H, m), 2.08 (1H, m), 4.51 (1H, m), 5.22 (1H, m), 7.82 (1H, d), 8.42 (1H, d), 8.64 (1H, s), 9.03 (1H, m), 9.27 (1H, s), 9.98 (1H, s); HPLC rt(分): 9.70; MS (ES+) 431, (ES) 429。
【0225】
実施例41:
(R)−5−シクロペンチル−4−エチル−N−(6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−41)
【化62】


方法Iを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.68−0.72 (3H, m), 1.53 (2H, m), 1.69−1.97 (8H, m), 2.23 (3H, s), 2.42 (4H, m), 3.40 (4H, m), 4.35 (1H, m), 5.14 (1H, m), 6.80 (1H, d), 7.79 (1H, m), 8.32 (1H, m), 8.48 (1H, s), 9.04 (1H, s), 9.20 (1H, s); HPLC rt(分): 8.70; MS (ES+) 461, (ES) 459。
【0226】
実施例42:
(R)−5−シクロペンチル−4−エチル−N−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−f]プテリジン−7−アミン(I−42)
【化63】


方法Iを用いて製造、遊離塩基として示す。
1H NMR DMSO D6 0.69−0.72 (3H, m), 1.54 (2H, m), 1.60−1.81 (8H, m), 1.89−1.94 (4H, m), 3.19 (4H, m), 4.38 (1H, m), 5.13 (1H, m), 6.47−6.52 (2H, m), 7.42 (2H, d), 8.46 (1H, s), 8.91 (1H, s), 9.19 (1H, s); HPLC rt(分): 10.44; MS (ES+) 431, (ES) 429。
【0227】
実施例43:PLK1アッセイ
本発明の化合物は、次のアッセイを用い、ヒトPLKキナーゼの阻害剤として評価することができる。
【0228】
Plk1阻害アッセイ:
放射性リン酸組み込みアッセイを用い、化合物をそれらのPlk1阻害能に関してスクリーニングした。アッセイは25mM HEPES(pH7.5)、10mM MgClおよび1mM DTTの混合物中で行った。最終の基質濃度は50μM[γ−33P]ATP(136mCi 33P ATP/mmol ATP、Amersham Pharmacia Biotech / Sigma Chemicals)および10μMペプチド(SAM68タンパク質Δ332−443)とした。アッセイは15nM Plk1(A20−K338)の存在下、25℃で行った。ATPおよび対象とする試験化合物を除く、上記の全ての試薬を含むアッセイバッファー原液を作製した。この原液30μLを96ウェルプレートに入れた後、試験化合物の連続希釈液(一般に終濃度10μMから始まり、2倍の連続希釈)を含むDMSO原液2μLをデュプリケートで加えた(DMSO終濃度5%)。このプレートを25℃で10分間プレインキュベートし、8μL[γ−33P]ATP(終濃度50μM)を加えることにより反応を開始させた。
【0229】
60分後、100μLの0.14Mリン酸を加えることにより反応を停止した。マルチスクリーンホスホセルロースフィルター96ウェルプレート(Millipore、カタログ番号MAPHN0B50)を100μLの0.2Mリン酸で前処理した後、125μLの停止アッセイ混合物を加えた。プレートを4×200μLの0.2Mリン酸で洗浄した。乾燥させた後、100μLのOptiphase「SuperMix」液体シンチレーションカクテル(Perkin Elmer)をウェルに加えた後、シンチレーション計数を行った(1450 Microbeta液体シンチレーションカウンター、Wallac)。
【0230】
全てのデータ点に関して平均バックグラウンド値を除いた後、Prismソフトウエアパッケージ(Macintosh用GraphPad Prismバージョン3.0cx、GraphPad Software, San Diego California, USA)を用い、初速データの非線形回帰分析からKi(app)データを算出した。
【0231】
Plk1阻害アッセイ:
放射性リン酸組み込みアッセイを用い、化合物をそれらのPlk1阻害能に関してスクリーニングした。アッセイは25mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、0.1%BSAおよび2mM DTTの混合物中で行った。最終の基質濃度は150μM(1nM未満の値を測定する場合は350μM)[γ−33P]ATP(115mCi 33P ATP/mmol ATP、Amersham Pharmacia Biotech / Sigma Chemicals)および300μM(1nM未満の値を測定する場合は450μM)ペプチド(KKKISDELMDATFADQEAK)配列番号1とした。アッセイは4nM(1nM未満の値を測定する場合は1nM)Plk1の存在下、25℃で行った。ATPおよび対象とする試験化合物を除く、上記の全ての試薬を含むアッセイバッファー原液を作製した。この原液30μLを96ウェルプレートに入れた後、試験化合物の連続希釈液(一般に終濃度10μMから始まり、2倍の連続希釈)を含むDMSO原液2μLをデュプリケートで加えた(DMSO終濃度5%)。このプレートを25℃で10分間プレインキュベートし、8μL[γ−33P]ATP(終濃度150μM(1nM未満の値を測定する場合は350μM))を加えることにより反応を開始させた。
【0232】
90分(1nM未満の値を測定する場合は240分)後、100μLの0.14Mリン酸を加えることにより反応を停止した。マルチスクリーンホスホセルロースフィルター96ウェルプレート(Millipore、カタログ番号MAPHN0B50)を100μLの0.2Mリン酸で前処理した後、125μLの反応停止したアッセイ混合物を加えた。プレートを4×200μLの0.2Mリン酸で洗浄した。乾燥させた後、100μLのOptiphase「SuperMix」液体シンチレーションカクテル(Perkin Elmer)をウェルに加えた後、シンチレーション計数を行った(1450 Microbeta液体シンチレーションカウンター、Wallac)。
【0233】
全てのデータ点に関して平均バックグラウンド値を除いた後、Prismソフトウエアパッケージ(Macintosh用GraphPad Prismバージョン3.0cx、GraphPad Software, San Diego California, USA)を用い、初速データの非線形回帰分析からKi(app)データを算出した。
【0234】
一般に、本発明の化合物をPlk1の阻害に有効である。次の化合物は放射性組み込みアッセイで10nM未満のKiを示した:I−1、I−2、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、I−11、I−12、I−13、I−14、I−15、I−16、I−17、I−18、I−19、I−20、I−21、I−22、I−23、I−24、I−25、I−29、I−30、I−32、I−33、I−34、I−35、I−39、I−41、I−42。次の化合物は放射性組み込みアッセイで10nM〜100nMの間のKiを示した:I−31、I−40。次の化合物は放射性組み込みアッセイで100nM〜4μMの間のKiを示した:I−26、I−27、I−28、I−36、I−37、I−38。
【0235】
Plk2阻害アッセイ:
放射性リン酸組み込みアッセイを用い、化合物をそれらのPlk2阻害能に関してスクリーニングした。アッセイは25mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、0.1%BSAおよび2mM DTTの混合物中で行った。最終の基質濃度は200μM[γ−33P]ATP(57mCi 33P ATP/mmol ATP、Amersham Pharmacia Biotech / Sigma Chemicals)および300μMペプチド(KKKISDELMDATFADQEAK)配列番号2とした。アッセイは25nM Plk2の存在下、25℃で行った。ATPおよび対象とする試験化合物を除く、上記の全ての試薬を含むアッセイバッファー原液を作製した。この原液30μLを96ウェルプレートに入れた後、試験化合物の連続希釈液(一般に終濃度10μMから始まり、2倍の連続希釈)を含むDMSO原液2μLをデュプリケートで加えた(DMSO終濃度5%)。このプレートを25℃で10分間プレインキュベートし、8μL[γ−33P]ATP(終濃度200μMを加えることにより反応を開始させた。
【0236】
90分後、100μLの0.14Mリン酸を加えることにより反応を停止した。マルチスクリーンホスホセルロースフィルター96ウェルプレート(Millipore、カタログ番号MAPHN0B50)を100μLの0.2Mリン酸で前処理した後、125μLの停止アッセイ混合物を加えた。プレートを4×200μLの0.2Mリン酸で洗浄した。乾燥させた後、100μLのOptiphase「SuperMix」液体シンチレーションカクテル(Perkin Elmer)をウェルに加えた後、シンチレーション計数を行った(1450 Microbeta液体シンチレーションカウンター、Wallac)。
【0237】
全てのデータ点に関して平均バックグラウンド値を除いた後、Prismソフトウエアパッケージ(Macintosh用GraphPad Prismバージョン3.0cx、GraphPad Software, San Diego California, USA)を用い、初速データの非線形回帰分析からKi(app)データを算出した。
【0238】
Plk3阻害アッセイ:
放射性リン酸組み込みアッセイを用い、化合物をそれらのPlk3阻害能に関してスクリーニングした。アッセイは25mM HEPES(pH7.5)、10mM MgClおよび1mM DTTの混合物中で行った。最終の基質濃度は75μM[γ−33P]ATP(60mCi 33P ATP/mmol ATP、Amersham Pharmacia Biotech / Sigma Chemicals)および10μMペプチド(SAM68タンパク質Δ332−443)とした。アッセイは5nM Plk3(S38−A340)の存在下、25℃で行った。ATPおよび対象とする試験化合物を除く、上記の全ての試薬を含むアッセイバッファー原液を作製した。この原液30μLを96ウェルプレートに入れた後、試験化合物の連続希釈液(一般に終濃度10μMから始まり、2倍の連続希釈)を含むDMSO原液2μLをデュプリケートで加えた(DMSO終濃度5%)。このプレートを25℃で10分間プレインキュベートし、8μL[γ−33P]ATP(終濃度75μM)を加えることにより反応を開始させた。
【0239】
60分後、100μLの0.14Mリン酸を加えることにより反応を停止した。マルチスクリーンホスホセルロースフィルター96ウェルプレート(Millipore、カタログ番号MAPHN0B50)を100μLの0.2Mリン酸で前処理した後、125μLの停止アッセイ混合物を加えた。プレートを4×200μLの0.2Mリン酸で洗浄した。乾燥させた後、100μLのOptiphase「SuperMix」液体シンチレーションカクテル(Perkin Elmer)をウェルに加えた後、シンチレーション計数を行った(1450 Microbeta液体シンチレーションカウンター、Wallac)。
【0240】
全てのデータ点に関して平均バックグラウンド値を除いた後、Prismソフトウエアパッケージ(Macintosh用GraphPad Prismバージョン3.0cx、GraphPad Software, San Diego California, USA)を用い、初速データの非線形回帰分析からKi(app)データを算出した。
【0241】
Plk4阻害アッセイ:
放射性リン酸組み込みアッセイを用い、化合物をそれらのPlk4阻害能に関してスクリーニングした。アッセイは8mM MOPS(pH7.5)、10mM MgCl、0.1%BSAおよび2mM DTTの混合物中で行った。最終の基質濃度は15μM[γ−33P]ATP(227mCi 33P ATP/mmol ATP、Amersham Pharmacia Biotech / Sigma Chemicals)および300μMペプチド(KKKMDATFADQ)配列番号3とした。アッセイは25nM Plk4の存在下、25℃で行った。ATPおよび対象とする試験化合物を除く、上記の全ての試薬を含むアッセイバッファー原液を作製した。この原液30μLを96ウェルプレートに入れた後、試験化合物の連続希釈液(一般に終濃度10μMから始まり、2倍の連続希釈)を含むDMSO原液2μLをデュプリケートで加えた(DMSO終濃度5%)。このプレートを25℃で10分間プレインキュベートし、8μL[γ−33P]ATP(終濃度15μM)を加えることにより反応を開始させた。
【0242】
180分後、100μLの0.14Mリン酸を加えることにより反応を停止した。マルチスクリーンホスホセルロースフィルター96ウェルプレート(Millipore、カタログ番号MAPHN0B50)を100μLの0.2Mリン酸で前処理した後、125μLの停止アッセイ混合物を加えた。プレートを4×200μLの0.2Mリン酸で洗浄した。乾燥させた後、100μLのOptiphase「SuperMix」液体シンチレーションカクテル(Perkin Elmer)をウェルに加えた後、シンチレーション計数を行った(1450 Microbeta液体シンチレーションカウンター、Wallac)。
【0243】
全てのデータ点に関して平均バックグラウンド値を除いた後、Prismソフトウエアパッケージ(Macintosh用GraphPad Prismバージョン3.0cx、GraphPad Software, San Diego California, USA)を用い、初速データの非線形回帰分析からKi(app)データを算出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


[式中、
環Aは、5員ヘテロアリール環であり、ここで、該環はC1−6ハロアルキル、ハロ、NO、−OH、−CNまたは所望により置換されていてよいC1−6アルキルで所望により置換されていてよく;
は、結合、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−または−S(O)−であり;
は、H、C1−10脂肪族、C3−10シクロ脂肪族、C6−10アリール、5〜10員ヘテロアリール、または3〜10員ヘテロシクリルであり、ここで該Rは0〜5個のJで所望により置換されていてよく;
およびRは、各々独立して、H、C1−10脂肪族またはC3−10シクロ脂肪族であり、ここで、RおよびRは各々、所望によりかつ独立して、それぞれ0〜5個のJおよびJで置換されていてもよいか、またはRおよびRは、それらが結合する炭素原子と一体となって、O、NおよびSから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含む3〜8員の飽和または部分不飽和単環式環を形成し、ここで該RおよびRにより形成される単環式環は0〜4個のJ23で所望により置換されていてよく;
は、H、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NRR’、C1−10脂肪族、C3−10シクロ脂肪族、C6−10アリール、5〜10員ヘテロアリール、3〜10員ヘテロシクリル、(C1−6脂肪族)−(C3−10シクロ脂肪族)、(C1−6脂肪族)−(C6−10アリール)または(C1−6脂肪族)−(5〜10員ヘテロアリール)であり、ここで、該Rは0〜5個のJで所望により置換されていてよく;
は、H、C1−6脂肪族、C3−8シクロ脂肪族、−C(O)R、−C(O)ORまたは−C(O)NRR’であり;
は、各々独立して、C1−6ハロアルキル、ハロ、NO、CN、Qまたは−Z−Qであるか、または2個のJが一体となって任意に=Oを形成していてよく;
Zは、各々独立して、C1−6脂肪族であり、ここで、該C1−6脂肪族の0〜3個の−CH−単位は、−NR−、−O−、−S−、−C(O)−、−C(=NR)−、−C(=NOR)−、−S(O)−または−S(O)−で所望により置換されていてよく、ここで、該C1−6脂肪族のいずれの非置換−CH−単位も0〜2個のJで所望により置換されていてよく;
Qは、各々独立して、H、C1−6脂肪族、O、NおよびSから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員芳香族もしくは非芳香族単環式環、またはO、NおよびSから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員芳香族もしくは非芳香族二環式環系であり、ここで、Qは、各々独立して、0〜5個のJで所望により置換されていてよく;
およびJは、各々独立して、C1−6脂肪族、C3−6シクロ脂肪族または−(C1−4アルキル)−V〔式中、
nは0または1であり、
は、各々独立して、ハロ(C1−4脂肪族)、−O(ハロC1−4脂肪族)、ハロ、NO、CN、OH、OR”、SH、SR”、NH、NHR”、N(R”)、COH、COR”、COH、COR”、CONH、CONHR”、CONR”、OCOR”、OCONH、OCONHR”、OCON(R”)、NHCOR”、NR”COR”、NHCOR”、NR”COR”、NHCOH、NR”COH、NHCONH、NHCONHR”、NHCON(R”)、SONH、SONHR”、SON(R”)、NHSOR”、NR”SOR”であるか、または
はC3−6シクロ脂肪族、フェニル、5〜6員ヘテロアリール、または3〜6員ヘテロシクリルから選択される環式基であり、該環式基は0〜3個のJで所望により置換されていてよく;
R”は独立して、非置換C1−4脂肪族であるか、または同じ原子に結合している同じ2つのJおよびJが一体となって任意に=Oを形成していてよい。〕
であり;
およびJは独立して、ハロ、C1−6脂肪族、C3−6シクロ脂肪族、NO、CN、OH、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、−O(C1−4脂肪族)、−COH、−CO(C1−4脂肪族)、−O(ハロC1−4脂肪族)またはハロ(C1−4脂肪族)であり;
、JおよびJ23は、各々独立して、−Mまたは−Y−Mであり;
Yは、各々独立して、非置換C1−6脂肪族であり、該C1−6脂肪族の0〜3個の−CH−単位は任意に−NR−、−O−、−S−、−C(O)−、−S(O)−または−S(O)−で置換されていてよく;
Mは、各々独立して、H、C1−6脂肪族、C3−6シクロ脂肪族、ハロ(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、3〜6員ヘテロシクリル、ハロ、NO、CN、OH、OR’、SH、SR’、NH、NHR’、N(R’)、COH、COR’、COH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’、OCOR’、OCONH、OCONHR’、OCON(R’)、NHCOR’、NR’COR’、NHCOR’、NR’COR’、NHCOH、NR’COH、NHCONH、NHCONHR’、NHCON(R’)、SONH、SONHR’、SON(R’)、NHSOR’またはNR’SOR’であり;
Rは、各々独立して、Hまたは非置換C1−6脂肪族であり;かつ
R’は、各々非置換C1−6脂肪族であるか、または2つのR’基が、それらが結合する原子と一体となって、O、NおよびSから独立して選択される0〜1個のヘテロ原子を有する非置換3〜8員の飽和または部分不飽和単環式環を形成する。]
で示される化合物。
【請求項2】
環Aが、C1−6ハロアルキル、ハロ、NO、OH、CNまたは所望により置換されていてよいC1−6アルキルで所望により置換されていてよいトリアゾール環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
環Aが、C1−6ハロアルキル、ハロ、NO、OH、CNまたは所望により置換されていてよいC1−6アルキルで所望により置換されていてよいイミダゾール環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が−O−、−NR−または−S−である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が−NR−である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
がHまたは−C(O)ORである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
がHである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が−C(O)OC1−6アルキルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
が−C(O)OCHである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
がH、所望により置換されていてよいC6−10アリール、所望により置換されていてよいアラルキルまたは所望により置換されていてよいC5−10ヘテロアリールである、請求項1〜9に記載の化合物。
【請求項11】
がHである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が各々所望により置換されていてよいC6−10アリールである、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
が所望により置換されていてよいC5−10ヘテロアリールである、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
が0〜3個の−O−Q、ハロ、−C(O)N(R)−QまたはQで所望により置換されていてよく、ここで、Q、−C(O)N(R)−Qおよび−O−QのQは独立して0〜5個のJで所望により置換されていてよい、請求項12または13に記載の化合物。
【請求項15】
6−10アリールがパラ位において−C(O)N(R)−Qで、さらに残りの任意の位置において−O−Q、ハロまたはQで所望により置換されていてよいフェニルである(ここで、Q、−C(O)N(R)−Qおよび−O−QのQは、各々独立して、0〜5個のJで所望により置換されていてよい。)、請求項12に記載の化合物。
【請求項16】
ヘテロアリールが−C(O)N(R)−Qで、さらに残りの任意の位置において−O−QまたはQで置換されている(ここで、Q、−C(O)N(R)−Qおよび−O−QのQは、各々独立して、0〜5個のJで所望により置換されていてよい。)、請求項13に記載の化合物。
【請求項17】
−C(O)N(R)−QのQがH、C1−4脂肪族、C1−4ハロ脂肪族、C3−7シクロ脂肪族、C3−7ヘテロシクロ脂肪族、C1−6アルコキシ、(C1−6アルコキシ)C1−6アルキルまたはC1−6ハロアルコキシである、請求項15または16に記載の化合物。
【請求項18】
フェニルが残りの任意の位置においてハロ、C1−4脂肪族、C1−4ハロ脂肪族、C3−7シクロ脂肪族、C3−7ヘテロシクロ脂肪族、C1−6アルコキシ、(C1−6アルコキシ)C1−6アルキルまたはC1−6ハロアルコキシで所望により置換されていてよい、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
−C(O)N(R)−QのQがメチル、エチル、1−メチルピペリジン−4−イル、シクロプロピル、シクロペンチル、3−フラニル、3−フルオロピロリジン−1−イルまたは3,3−ジフルオロシクロブチルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
が所望により置換されていてよいC1−6アルキルまたはC3−7シクロアルキルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項21】
がH、エチル、シクロプロピルまたはシクロペンチルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
がフェニルであり、フェニルのパラ位における一置換基がQまたは−Z−Qである、請求項14に記載の化合物。
【請求項23】
パラ位における置換基がフルオロ、カルボキシ、トリフルオロメチル、4−メチルピペラジン−1−イル、ジフルオロメトキシ、モルホリン−1−イル、ピラゾール−1−イルまたはピロリジン−1−イルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
がチオフェン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、または6−トリフルオロメチルピリジン−3−イルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項25】
およびRの各々が所望により置換されていてよいC1−3アルキルである、請求項1〜24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
がHであり、Rが所望により置換されていてよいC1−3アルキルである、請求項1〜24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
がエチルである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
およびRが、それらが結合する原子と一体となって、0〜4個のJ23で所望により置換されていてよい3〜7員シクロアルキル環を形成する、請求項1〜24のいずれか一項に記載に記載の化合物。
【請求項29】
が0〜5個のJで各々所望により置換されていてよいC1−6脂肪族、C3−10シクロ脂肪族、C3−10ヘテロシクロ脂肪族、C6−14アリールまたはC5−14ヘテロアリールである、請求項1〜28のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
が0〜5個のJで所望により置換されていてよいC3−10シクロ脂肪族である、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
がシクロペンチルである、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
式II:
【化2】


[式中、
は、所望により置換されていてよいC6−10アリールまたは所望により置換されていてよい5〜10員ヘテロアリールであり;
およびRは、各々独立して、H、C1−10脂肪族またはC3−10シクロ脂肪族であり、ここで、RおよびRは各々それぞれ0〜5個のJおよびJで所望により置換されていてよいか、または
およびRは、それらが結合する炭素原子と一体となって、所望により置換されていてよい3〜6員の飽和または部分不飽和単環式環を形成していてよく;そして、
はHまたはC1−4アルキルである。]
で示される、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
下記の群:
【化3】

【化4】


【化5】


【化6】


【化7】


から選択される、化合物。
【請求項34】
請求項1〜33のいずれか一項に記載の化合物、および薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビークルを含む、医薬組成物。
【請求項35】
患者においてタンパク質キナーゼ活性を阻害する方法であって、請求項1〜33のいずれか一項に記載の化合物または請求項34に記載の医薬組成物を該患者に投与することを含む、方法。
【請求項36】
生物学的サンプルにおいてタンパク質キナーゼ活性を阻害する方法であって、該生物学的サンプルと請求項1〜33のいずれか一項に記載の化合物または請求項34に記載の医薬組成物を接触させることを含む、方法。
【請求項37】
前記タンパク質キナーゼがPLKである、請求項35または請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記タンパク質キナーゼがPLK1である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
患者において増殖性障害、神経変性障害、自己免疫性障害、炎症性障害または免疫仲介障害を処置する方法であって、患者に請求項1〜33のいずれか一項に記載の化合物または請求項34に記載の医薬組成物を投与する工程を含む、方法。
【請求項40】
患者に化学療法剤または抗増殖剤、抗炎症剤、免疫制御剤または免疫抑制剤、神経栄養因子、心血管疾患を処置するための薬剤、骨破壊疾患を処置するための薬剤、肝疾患を処置するための薬剤、抗ウイルス剤、血液障害を処置するための薬剤、糖尿病を処置するための薬剤、または免疫不全障害を処置するための薬剤から選択される付加的治療剤を投与することを含み、
a)該付加的治療剤が処置される疾患に適当であり、かつ、
b)該付加的治療剤が上記組成物と共に単回投与量形態として、または上記組成物とは別に多数回投与量形態の一部として投与される、
請求項39に記載の方法。
【請求項41】
患者において黒色腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫、神経芽腫、または結腸癌、乳癌、胃癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、中枢神経系(CNS)癌、腎臓癌、前立腺癌、膀胱癌もしくは膵臓癌から選択される癌を処置する方法であって、該患者に請求項1〜33のいずれか一項に記載の化合物または請求項34に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項42】
患者において癌を処置する方法であって、該患者に請求項1〜33のいずれか一項に記載の化合物または請求項34に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項43】
請求項1〜33のいずれか一項に記載の化合物または請求項34に記載の医薬組成物を用いてPLKを阻害することにより、癌細胞の有糸分裂を妨げる工程を含む、請求項42に記載の方法。

【公表番号】特表2009−536155(P2009−536155A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505472(P2009−505472)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/009006
【国際公開番号】WO2007/120752
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】