説明

増殖性疾患及び/又はコンホメーション病の診断方法

本発明は、増殖性疾患又はコンホメーション病の診断及び/又は予後予測及び/又は治療の効力の測定方法、あるいは対象における老化状態を証明する方法を開示する。その様な方法を実施するためのキットも開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト及び/又は他の動物における、コレステロールホメオスタシスの変化、老化過程、並びに増殖性疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症及び新生物)及び/又はコンホメーション病(例えば、アルツハイマー病(AD)及びプリオン関連疾患)の発症の間の因果関係に対する研究に関する。
【0002】
本発明として、上述の増殖性疾患及び/又はコンホメーション病に罹患しているか又はそれらの疾患を発症するリスクがある対象と健康な対象とを区別することを可能にする方法を開示する。
【0003】
更に具体的には、本発明は、末梢血単核球(PBMC)又は皮膚線維芽細胞などの末梢細胞におけるコレステロール輸送及び代謝を評価するための方法を提供する。前記方法は、以下のパラメータ:
i)鑑別診断のために使用され得る血清中の全コレステロール、HDLコレステロール、及びLDLコレステロール;
ii)細胞膜中の遊離コレステロール(FC)及び細胞質中のエステル化コレステロール(EC);
iii)コレステロールの代謝及び細胞内輸送に関与するタンパク質(SREBP2、LDL−R、HMG−CoA−R、MDR1−Pgp、ACAT、nCEH、カベオリン−1、及びABCA−1)並びに関連するmRNA;
iv)特定の増殖性疾患及び/又はコンホメーション病の病理に関与するタンパク質(APP、ネプリライシン(neprilysin)、β−セクレターゼ、PrP、腫瘍抑制タンパク質、癌タンパク質)及び関連するmRNA;
v)炎症性サイトカイン(TNFα、IL−1α、IFNγ)及び関連するmRNA
のレベルを測定することを目的とするin vitroアッセイを包含する。
【背景技術】
【0004】
図1に示すように、細胞内コレステロールは、i)ヒドロキシルメチルグルタリルコエンザイムAレダクターゼ(HMGCoA−R)の活性による小胞体(ER)における内因性の新たな合成(1)、及びii)まずLDL受容体(a)を介して吸収され、次いでリソソームにおいて加水分解処理されて酸コレステロールエステルヒドロラーゼ(aCEH)(b)の活性によって遊離コレステロール(FC)を産生する、循環低比重リポタンパク質(2)に由来する。
【0005】
新たに合成されたFCの大半は、ラフト(c)におけるコレステロールの生理的な代謝回転に関与し、及び/又はER及びゴルジ体における新しい膜ドメインの生合成に関与する。
【0006】
細胞膜のFCがしきい値を超える場合には、過剰なFCは、多剤耐性(MDR1)遺伝子によってコードされるP−糖タンパク質(MDR1−Pgp、はじめは腫瘍細胞からの細胞毒性薬のATP依存性の放出を触媒する機能について開示された)(1−3)によって、急速にER(d)に輸送される。次いで、ERに存在する酵素であるアシルコエンザイムAコレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)(e)が、FCをコレステロールエステル(CE)に変換し、細胞質の小滴に保存される(4−6)。ERにおいて新たに合成されたFCがACATの近傍にあるために効率的にエステル化に用いられ得るが、少ない割合のみが直接的にエステル化される。事実、全てのエステル化FCは、細胞膜に由来する。
【0007】
細胞がコレステロールを必要とする場合は、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ(nCEH)という酵素(f)によって、CEが再びFCに再加水分解され、カベオリン−1によって細胞膜に再送達される。過剰な場合には、FCは、カベオリン−1、ATP−Binding Cassette of the subfamily A,member 1(ABC−A1)、及び血漿HDL(g)が関与するERから細胞膜に通じる排出経路によって細胞から排出される(4−9)。
【0008】
脂質ラフトにおけるコレステロールの役割
最近の研究によって、「均質流動モザイク」よりも「脂質ドメインのモザイク」と見なす、生物学的な膜を考察する新しい方法が導き出された。コレステロールは膜内に均一に分布しているわけではないが、コレステロールに乏しいドメイン及びコレステロールに富んだドメインに分布されるようである。後者では、飽和スフィンゴ脂質を含有するものが脂質ラフトと称され(10)、細胞膜において自由に浮かび、幾つかのパッセンジャータンパク質を運ぶ。パッセンジャータンパク質がリガンドによって活性化される際に、脂質ラフトが融合して、多数の異なるタンパク質が集まった大きなプラットホームを形成し、シグナル伝達、プロセッシング、又は輸送などの特定の機能を実現する(10、11)。
【0009】
ラフトパッセンジャータンパク質の例は、増殖因子受容体、シグナル伝達タンパク質(P21Ras)、ケモカイン受容体、MHCクラスタンパク質、抗原受容体、及びAD及びプリオン関連疾患の各々に関与するアミロイド前駆体タンパク質(APP)及び細胞性プリオンタンパク質(PrPc)などの未知機能の各種のタンパク質である。興味深いことに、これらのドメインに結合するコレステロールの量は、ラフトに存在するタンパク質の機能に対して興味深い効果を奏する。例えば、脂質ラフト中のコレステロールの低いレベルは、細胞増殖促進のための連続的な刺激を生じさせ(12)、APP及び細胞性プリオンタンパク質PrPcを誘導して、それらの対応する病理学的形態:アミロイド生成性のアミロイドベータペプチド及びスクレイピープリオンタンパク質(PrPsc)の各々の産生を生じさせる病理学的プロセスを起こす(13、14)。
【0010】
増殖性疾患におけるコレステロール輸送及び代謝
増殖性疾患におけるコレステロール輸送及び代謝に対する出願人の最初の研究は、i)ラット膵腺房細胞癌及び腹水肝癌(15、16);ii)ヒト充実性新生物及び血液浸生物(17−20)由来の組織生検;iii)各種のヒト及び動物の腫瘍に由来する細胞系(21−23);並びにiv)健康人及びアテローム性動脈硬化症患者に由来する血管組織(24、25)において実施した。
【0011】
これらのin vivo及びin vitroモデルにおいて、出願人は、細胞増殖速度が、i)FCエステル化を生じさせるMDR1−Pgp及びACAT並びに関連するmRNAと正に相関し、ii)細胞内におけるCEの蓄積を生じさせるnCEH及びカベオリン−1並びに関連するmRNAのレベルと負に相関することを実証している(表1)。
【0012】
したがって、健康な対照と比較すると、上述の増殖性疾患に罹患した対象は、より低いFCレベル、有意に高いCEレベル、並びにより低いHDL−コレステロールレベルを有する。
【0013】
【表1A】

【表1B】

【0014】
しかしながら、組織サンプルの分析に基づくその様な実験手法は、増殖性疾患又はコンホメーション病の診断及び/又は予後の容易かつ迅速な試験を作り出すことに容易に応用することができない。出願人は、本発明では、PBMC及び/又は線維芽細胞、好ましくはPBMCが、細胞内のコレステロールホメオスタシスに関与するmRNA及び/又はタンパク質産物の同定を目的とするアッセイを実施するための良好な出発物質であることを開示する。
【0015】
コンホメーション病におけるコレステロールの輸送及び代謝
増大するコンホメーション病として分類される神経変性疾患のうち、AD及びプリオン関連疾患(感染性海綿状脳症、TSEとしても知られている)は、非感染性及び感染性脳アミロイドーシスの各々のプロトタイプであると解されてよい(25−27)。
【0016】
これらの疾患の原因論と発病機序とは明らかに異なるが、細胞内のCEの蓄積は、これらの病理プロセスとコレステロールホメオスタシスの変化の間の関連性を示す共通の顕著な特徴である。
【非特許文献1】Metherall, J.E., Li5 H., and Waugh, K. J Biol Chem 1996; 271, 2634-2640
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【非特許文献4】Brown MS, Ho YK, Goldstein JL. J Biol Chem 1980; 255, 9344-52
【非特許文献5】Lange, Y., Ye, J., and Chin, J. J Biol Chem 1997; 272, 17018-17022
【非特許文献6】Lange, Y., and Steck, T. J Biol Chem 1994; 269, 29371-29374
【非特許文献7】Field, E.J., Born, E., Murthy, S., and Mathur, S.N. J Lipid Res 1998; 39, 1938-1950
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【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
未解決な課題
上述の全ての疾患は、発生率について深刻な割合に達した。しかしながら、AD及びプリオン関連疾患について、診断、治療、又は予防の確実な手段は、いまだ得られていない(28−30)。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、
a)疾患の要因である可能性がある細胞のフェノタイプを同定するために有用であり;
b)兆候及び症状が完全に明らかになる前に、感度の良い試験を提供することによってAD及びTSEの疑いを早期に診断するために寄与し;
c)AD患者の親族の中でADを発症するリスクを評価するツールであり;
d)各種のコンホメーション病及び増殖性疾患において変化するコレステロールの代謝に関与する複数の細胞内及び血漿のパラメータを試験し、次いで治療の有効性の指標として役立つ簡便な方法を提供する。
【0019】
本発明は、ラフト結合タンパク質の機能に影響を与えるCE代謝における変化によって特徴付けられる増殖性疾患及び/又はコンホメーション病に罹患しているか又はその発症リスクがある個体と臨床的に正常な個体とを区別することを可能にする。本発明は、増殖性疾患及び/又はコンホメーション病の診断、予防、治療、及び治療観察のための手段を提供する。
【0020】
加えて、老化プロセス、増殖性疾患、又はコンホメーション病のための、現存するか又は新しい合成又は天然の化合物/有効成分の治療/予防における有用性を予測/確立するための手段を提供する。
【0021】
いずれにしても、単独又は他の試験(すなわち、ApoEハプロタイプ)との併用のいずれかで使用される際に、本発明の方法が、増殖性疾患、コンホメーション病、例えば、AD、又はプリオン関連疾患、例えば、TSEの存在、リスク、又は不在を正確に診断する可能性を改善する。
【0022】
本発明は、血漿、皮膚線維芽細胞、及び/又はPBMCを使用することによって、上記の疾患の疑いがある個体又は上記の疾患を検出するための新規手法を含む。これらの手法は、血漿中の全コレステロール、HDLコレステロール、及びLDLコレステロールレベルの評価、FC及びCE量の評価、並びに非増殖末梢細胞及び増殖末梢細胞の双方におけるコレステロールの輸送及び代謝の指標の評価を含む。
【0023】
疾患又は疾患のリスクの診断は、疑いがある場合における上記のパラメータの相対値を、適当に標準化した年齢にあわせた対照の相対値と比較することにより為される。
【0024】
したがって、本発明の主題は、
a)対象から血液サンプルを回収する工程;
b)血液サンプルから血漿を分離し、末梢血液リンパ球(PBMC)を単離する工程;
c)血漿中のHDLコレステロールレベルを測定する工程;
d)PBMCを培養し、適当な有効量の刺激剤で刺激することによってそれらの増殖を促進し、十分な量の培養PBMCを得る工程;
e)培養PBMCから脂質画分を単離する工程;
f)培養PBMCの単離した脂質画分由来の遊離コレステロール及びエステル化コレステロールの量を測定する工程;
g)培養PBMC中の細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
並びに、任意に
h)培養PBMC中の特定の増殖性疾患又はコンホメーション病の病理に関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
並びに、任意に
i)培養PBMC中の炎症性サイトカインの少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
j)工程c)、f)、g)、h)、i)の結果を、年齢にあった対照のサンプルに由来する標準値と比較する工程
を含む、増殖性疾患又はコンホメーション病の診断及び/又は予後予測及び/又は治療の効力の測定のための方法、あるいは対象における老化状態を証明するための方法である。
【0025】
好ましくは、増殖性疾患は、アテローム性動脈硬化症、血管形成後の再狭窄、血液新生物、固形腫瘍の群から選択される。より好ましくは、血液新生物は、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、急性及び慢性白血病、赤白血病、骨髄腫、又は多血症の群から選択される。更により好ましくは、固形腫瘍は、脳、頭頚、鼻咽頭、胸、肺、胃腸、結腸、腎臓、又は肝臓の腫瘍の群から選択される。
【0026】
更に好ましくは、コンホメーション病は、プリオン関連疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、又は脊髄小脳変性症の群から選択される。より好ましくは、プリオン関連疾患は、クロイツフェルトヤコブ病、新変異型クロイツフェルトヤコブ病、ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー症候群、致死性家族性不眠症、ウシ海綿状脳症、スクレイピー、慢性消耗病、猫海綿状脳症の群から選択される。
【0027】
好ましくは、刺激剤は分裂促進剤である。より好ましくは、分裂促進剤はフィトヘマグルチニン又はコンカナバリンAである。
【0028】
1つの実施態様では、上述の方法の工程d)からj)を以下の工程:
d’)対象から線維芽細胞を単離する工程;
e’)単離した線維芽細胞を培養し、同調させ、任意に刺激して、十分な量の細胞を得る工程;
f’)培養線維芽細胞から脂質画分を単離する
g’)単離した脂質画分又は培養線維芽細胞中の遊離コレステロール及びエステル化コレステロールの量を測定する工程;
h’)培養線維芽細胞中の細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
並びに、任意に
i’)培養線維芽細胞中の特定の増殖性疾患又はコンホメーション病の病理に関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
並びに、任意に
j’)培養線維芽細胞中の炎症性サイトカインの少なくとも1つのmRNA又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
k’)工程c)、g’)、h’)、i’)、及びj’)の結果を、年齢にあった対照サンプルに由来する標準値と比較する工程
に置換する。
【0029】
好ましくは、e’)の線維芽細胞を同調させる工程は、血清枯渇によって実施する。より好ましくは、e’)の線維芽細胞を刺激する工程は、ウシ胎仔血清又は少なくとも1つのマイトジェンの添加によって実施する。好ましくは、マイトジェンはβ−FGFである。
【0030】
更に好ましくは、エステル化コレステロールは、オイルレッドOを用いた細胞染色によって測定する。
【0031】
より好ましくは、細胞内コレステロールホメオスタシスに関与するmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質は、LDL−R、HMGCoA−R、SREBP2、MDR1、ACAT−1、カベオリン−1、nCEH、及びABCA1の群に含まれる。
【0032】
好ましくは、増殖性疾患及びコンホメーション病の病理に関与するmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質は、APP、ネプリライシン、β−セクレターゼ;PrPタンパク質;癌抑制遺伝子、例えば、p16、p53、PTEN、並びに癌遺伝子、例えば、cMyc、サイクリンD1、ErbB2、EGF−R、及びBcl2の群に含まれる。
【0033】
より好ましくは、炎症性サイトカインのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質は、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン−1α(IL−1α)、及びインターフェロンγ(IFNγ)の群から選択される。
【0034】
好ましくは、上述の方法は、ApoEハプロタイプを測定する工程を更に含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の1つの主題は、増殖性疾患又はコンホメーション病の治療効果について薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程:
a)罹患した対象から血液サンプルを回収する工程;
b)血液サンプルから血漿を分離して、末梢血リンパ球(PBMC)を単離する工程;
c)PBMCを培養し、適当な有効量の刺激剤を使用する刺激によって、それらの増殖を促進し、十分な量の培養PBMCを得る工程;
d)適当な条件及び用量で各薬剤とともにPBMCをインキュベートする工程;
e)培養PBMC中の細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
f)培養PBMC中の特定の増殖性疾患又はコンホメーション病の病理に関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
g)培養PBMC中の炎症性サイトカインの少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
h)工程e)、f)、及びg)の結果を、参照薬及び適当な対照と比較する工程
を含む。
【0036】
本発明の更なる1つの主題は、増殖性疾患又はコンホメーション病の治療の効果について薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の工程:
a)対象から線維芽細胞を単離する工程;
b)単離した線維芽細胞を培養し、同調させ、任意に刺激して、十分な量の細胞を得る工程;
c)適当な条件及び用量で各薬剤とともに、培養線維芽細胞をインキュベートする工程;
d)培養線維芽細胞中の細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;、
e)培養線維芽細胞中の特定の増殖性疾患又はコンホメーション病の病理に関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;、
f)培養線維芽細胞中の炎症性サイトカインの少なくとも1つのmRNA又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
g)工程d)、e)、及びf)の結果を、参照薬及び適当な対照と比較する工程
を含む。
【0037】
本発明の他の主題は、増殖性疾患又はコンホメーション病に罹患した患者の薬剤応答プロフィールを評価する方法であって、以下の工程:
a)罹患した対象から血液サンプルを回収する工程;
b)血液サンプルから血漿を分離して、末梢血リンパ球(PBMC)を単離する工程;
c)PBMCを培養し、適当な有効量の刺激剤を使用する刺激によって、それらの増殖を促進し、十分な量の培養PBMCを得る工程;
d)適当な条件及び用量で各薬剤とともにPBMCをインキュベートする工程;
e)培養PBMC中の細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
f)培養PBMC中の特定の増殖性疾患又はコンホメーション病の病理に関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
g)培養PBMC中の炎症性サイトカインの少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
h)工程e)、f)、及びg)の結果を、参照薬、適当な対照、及び試験した対象の間で比較する
を含む。
【0038】
本発明の更なる主題は、増殖性疾患又はコンホメーション病に罹患している患者の薬剤応答プロフィールを評価するための方法であって、以下の工程:
a)対象から線維芽細胞を単離する工程;
b)単離した線維芽細胞を培養し、同調させ、任意に刺激して、十分な量の細胞を得る工程;
c)適当な条件及び用量で各薬剤とともに、培養線維芽細胞をインキュベートする工程;
d)培養線維芽細胞中の細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;、
e)培養線維芽細胞中の特定の増殖性疾患又はコンホメーション病の病理に関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;、
f)培養線維芽細胞中の炎症性サイトカインの少なくとも1つのmRNA又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
g)工程d)、e)、及びf)の結果を、参照薬、適当な対照、及び試験した薬剤の間で比較する工程
を含む。
【0039】
本発明の他の主題は、オイルレッドOで細胞を染色するための手段を含む細胞中のエステル化コレステロールを測定するためのキットである。
【0040】
本発明の更なる1つの主題は、
− 逆転写のための手段;
− LDL−R、HMGCoA−R、SREBP2、MDR1、ACAT−1、カベオリン−1、nCEH、及びABCA1の群に含まれるcDNA又はその断片の特異的な増幅のための手段;
− 検出手段
を含む細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのmRNAの検出のためのキットである。
【0041】
本発明の他の主題は、
− 逆転写のための手段;
− APP、ネプリライシン、β−セクレターゼ、PrPタンパク質、腫瘍抑制遺伝子、例えば、p16、p53、PTEN、及び癌遺伝子、例えば、cMyc、サイクリンD1、ErbB2、EGF−R、及びBcl2の群に含まれるcDNA又はその断片の特異的な増幅のための手段;
− 検出手段
を含む、増殖性疾患又はコンホメーション病の病理に関与する少なくとも1つのmRNAの検出のためのキットである
【0042】
本発明の他の主題は、
− 逆転写のための手段;
− サイトカイン:腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン−1α(IL−1α)、及びインターフェロンγ(IFNγ)の群に含まれるcDNA又はその断片の特異的な増幅のための手段;
− 検出手段
を含む、炎症性サイトカインの少なくとも1つのmRNAの検出のためのキットである。
【0043】
本発明の他の主題は、LDL−R、HMGCoA−R、SREBP2、MDR1、ACAT−1、カベオリン−1、nCEH、及びABCA1の群に含まれるタンパク質の1つに特異的な少なくとも1つのリガンドを含む、細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのタンパク質の検出のためのキットである。
【0044】
本発明の更なる主題は、アルツハイマー病のためのAPP、ネプリライシン、及びβ−セクレターゼ;プリオン関連疾患のためのPrPタンパク質;血液新生物及び固形癌のための腫瘍抑制遺伝子、例えば、p16、p53、PTEN、及び癌遺伝子、例えば、cMyc、サイクリンD1、ErbB2、EGF−R、及びBcl2の群に含まれるタンパク質の1つに特異的な少なくとも1つのリガンドを含む増殖性疾患又はコンホメーション病の病理に関与する少なくとも1つのタンパク質の検出のためのキットである。
【0045】
腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン−1α(IL−1α)、及びインターフェロンγ(IFNγ)の群に含まれるが、それらに限らないサイトカインの少なくとも1つのリガンドを含む、少なくとも1つの炎症性サイトカインの検出のためのキットである。
【0046】
本発明の他の主題は、増殖性疾患又はコンホメーション病に罹患した対象の診断、及び/又は予後予測、及び/又は治療の効力の測定、及び/又は治療効果についての薬剤のスクリーニング、及び/又は薬剤応答プロフィールの評価、あるいは対象の老化状態を証明する診断のプラットフォームであり、請求項22から28に記載の全てのキットを含む。
【0047】
本発明では、増殖性疾患及びコンホメーション病は、表2に示す疾患を含むが、それらに限らない。
【0048】
【表2A】

【表2B】

【実施例】
【0049】
本発明を、添付の図面を参照し、非限定的な実施例によって開示する。
【0050】
原料及び方法
患者及び細胞の供給源
AD(又はTSE)の臨床診断をされた個体又はそのリスクを有する個体。ADの臨床診断は、NINCDS−ADRDA基準によって為された。更なる測定は、MMSE
及びDementia Severity Rating Scale(DSRS)を含む。磁気共鳴画像法を含む標準的な実験を実施して、認識機能障害の他の原因を排除する。Reisberg Global Deterioration Scale(GDS)を使用して、AD患者の認識機能障害の重度を示す。異常なGDSレベルは、レベル3からであり、最大の悪性度はレベル7に相当する。認識衰退していない各種の年齢のAD患者の一等親血縁者を、インフォームドコンセントの後に実験に採用する。認識衰退していない年齢にあった群の対照を、提携病院又は血液ドナーリスト(AVIS)から採用する。
【0051】
末梢血単核球(PBMC)は、末梢血サンプルから回収する。皮膚生検は、2%キシロカインで局所麻酔をした後、2mmパンチによって対象の前腕上部から得る。
【0052】
地域病因において診断された18人の慢性リンパ性白血病(CLL)患者(年齢は45から65歳)及び12人の急性リンパ性白血病(ALL)患者(年齢は40から60歳)を採用する。15人の健康な年齢があった対象も対照として採用する。10人の患者(7人がCLLであり、3人がALLである)をランダムに選択して、動態分析及び分子分析を実施した。病院の施設内倫理委員会の方針によって、実験を開始する前に、全ての患者及び健康な対照からインフォームドコンセントを得た。
【0053】
各種の実験に参加した全ての対象は、血液又はパンチサンプル回収の前に、いずれの薬物治療も受けなかった。
【0054】
睡眠
スクレイピーの疑いがあるARQ/ARQ遺伝子型を有する10匹の自然にスクレイピーに罹ったSarda品種のヒツジ、並びにARQ/ARQ遺伝子型を有する10匹の実験的なスクレイピー感染ヒツジ(全てARQ/ARQ+と名付けた)を使用した。全てのヒツジは、末期的な疾患の臨床病期であった。ヒツジは、バルビツレート、続いて4mlのエンブトラミド(embutramide)及びヨウ化メベンゾニコ(mebenzonico−iodide)(Hoechst Roussel Vet.)を用いて安楽死させた。末梢血液サンプル及び皮膚生検を動物から回収した。脳を回収して、ウエスタンブロットによるPrPSc検出のための切片を得た。同じ操作を、10匹のスクレイピー耐性ARR/ARR遺伝子型ヒツジ及び10匹のARQ/ARQのスクレイピーに罹っていないヒツジ(ARQ/ARQ−)に実施した。
【0055】
PBMC及び線維芽細胞の単離
PBMCを、患者の末梢血液から回収し、Ficoll−Hypaque密度勾配によって分離する。激しく洗浄した後に、10%FCSを含むRPMI−1640に細胞を再懸濁し(1×10細胞/ml)、一晩インキュベートした。アッセイのために、2×10細胞/mlの非接着細胞(リンパ球)を、PHA(フィトヘマグルチニン、10μg/ml、カタログ番号L8902、SIGMA)を加えたRPMI−1640 10%FCS中において37℃でインキュベートする。トリパンブルー排除を用いて細胞を計数することによって一定時間経過後に生存率を評価する。細胞はインキュベートの各種の時点で回収した。
【0056】
線維芽細胞単離のために、生検を6ウェルプレートで2時間に亘って平板培養する。接着させた2時間後に、各組織断片を覆う10%ウシ胎仔血清(FBS)(Sigma)、100U/mlペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma)、及びファンギゾン(Life Technologies,Inc.)を添加したDulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM)(Gibco Lab NY、USA)の数滴を添加する。翌日、組織断片を培養培地で覆って、加湿インキュベーター(37℃、5%CO)中で維持する。2日毎に培地を交換する。5から6日後に、線維芽細胞は、断片の周囲(「細胞のかさ」)から増殖し始め、単層の紡錘状の細胞を形成する。4週間後に、線維芽細胞を、トリプシン処理(トリプシン−EDTA−0.05%/0.02%)を繰り返すことによって精製し、継代して、紡錘細胞の均一な集団を得る。精製した線維芽細胞をPBSで2回洗浄して、遠心分離する。次いで、1×10の細胞を25cm培養フラスコに播種して、コンフルエントになるまで増殖させる。常に、細胞は「in vitro」染色実験に使用するか又は1×10細胞/mlの密度で冷凍保存培地を含有するバイアルに移す。すばやく凍結させた後に、長期保存のためにバイアルを液体窒素に移す。分析が必要な際には、冷凍保存した細胞を液体窒素から取り出して、上記のように培養する。
【0057】
分析のために、皮膚線維芽細胞を6ウェルプレートに5000細胞/cmの密度で平板培養し、次いで、48時間に亘って0.2%FCSを含むMEM199中においてインキュベートし、細胞を休止状態にする。各アッセイの前に、休止細胞を刺激し、FCS(10%)又はβ−FGF(β−線維芽細胞増殖因子)などの強力なマイトジェンの添加によって同調して増殖させ、各種の薬剤の存在下又は非存在下において、12、24、48、及び72時間に亘ってインキュベートする。
【0058】
全てのアッセイは、2回から4回の継代の間の線維芽細胞を用いて実施する。
【0059】
Hチミジン取り込み
細胞増殖は、H−チミジン取り込みによって測定した。細胞は、培養の最後の6時間の間にH−チミジン(2.5μCi/ml)で標識し、図10に示す時点で回収した。細胞を氷冷PBSで2回洗浄し、5%冷TCAで洗浄し、1M NaOHですすいだ。放射活性の量を、Ultima Goldをシンチレーション流体として使用してBechmanβカウンター(Palo Alto,Ca)によって測定した。細胞可溶化物の一定分量はタンパク質含有量について処理をした。いずれの毒素効果についても、トリパンブルー摂取によって排除した。
【0060】
コレステロールエステル化
コレステロールエステル化は、ウシ血清アルブミン(BSA)に結合した[1−14C]オレイン酸(Dupont,NEN 55 mCi/mmol)を含有する培地において6時間に亘って細胞をインキュベートすることによって評価した。インキュベート後に、細胞をPBSで洗浄して、脂質をアセトンで抽出した。脂質サブクラスは、n−ヘプタン/イソプロピルエーテル/蟻酸(60:40:2、v/v/v)を含有する溶液系をkiesegelプレート上で薄層クロマトグラフィー(TLC)によって分離した。コレステロールエステルのバンドは、隣に同時に流し、ヨウ素蒸気のもとで可視化した参照標準と比較することによって同定した。シンチレーションカウントのために、そのバンドを切り取って、10ml Econofluor(DuPont NEN)液体シンチレーション流体を含有するカウント用バイアルに直接加えた。
【0061】
分子生物学的アッセイ
APOEのハプロタイプの分子学的特性決定を、末梢血液サンプルから得られたリンパ球から抽出したDNAに対して実施した。DNAはQiAmp Bloodキットの手法(Quiagen)によって精製し、プライマーセット及び標準的な実験条件を用いるPCRによる増幅を実施する。
【0062】
SREBP2、LDL−R、HMG−CoA−R、MDR1−Pgp、ACAT−1、nCEH、カベオリン−1、ABCA−1、APP、ネプリライシン、β−セクレターゼ、PrP、p16、p53、PTEN、cMyc、サイクリンD1、ErbB2、EGF−R、Bcl2、TNFα、IL−1α、及びIFNγついての相対的なmRNA発現レベルの測定を、マクロアレイシステムによって確立された手法に従ってTRIZOL試薬(GIBCO)を用いて精製した全RNAサンプルに対して実施した。
【0063】
マクロアレイの調製
マクロアレイは、Fast Spotter macroarrayer(Dr,Chip Biotechnologies)を使用して、DR.DiY spotting bufferに懸濁した精製PCR生成物をプリントすることによって調製した。プリントは、アミノシラン処理スライド(例えば、Corning社製のCMT−GAPS(商標))上で実施する。プリント後、スライドを室温で乾燥させ、次いで、UVC 500架橋剤(Hoefer)でUV架橋し、直ぐに使用するか又は室温で乾燥させて保存する。
【0064】
標識cDNAの調製(各々2つの0.5mlエッペンドルフチューブ)
ポリA RNA(サンプル又は対象のいずれか) 2μg
オリゴ−(dT)プライマー(18−20mer) 1μg/μl 2μl
DEPC処理水(10μlまで) Xμl
を10分間に亘って70℃に加熱及び氷上で冷却する;
first strandリアクションミックスの調製
5×first strandバッファー 6μl
dNTPミックス(各々10mM) 1.5μl
DTT(0.1M) 3μl
RNアーゼ out 1μl
DEPC処理水(30μlまで) 18.5μl;
変性mRNAを含有する各チューブに
First strandリアクションミックス 15μl
Cy3又はCy5 dUTP 1mM 3μl
Superscript(商標)II逆転写酵素(200U/μl) 2μl
を添加する。反応物を混合して、チューブをアルミホイルで包み、2時間に亘って42℃でインキュベートする。次いで、チューブをパルススピンして、1.5μlのEDTAを添加して反応を停止させる。
【0065】
プローブクローニング
標識試薬をフィルターカラム(例えば、Microspin(商標)G−50、Amersham Pharmacia)にのせて、製造業者によって提供されたプロトコルに従って洗浄する。溶出したプローブを清浄なチューブに回収し、ホイルで包み、直ぐに使用しない場合には−20℃で保存する。
【0066】
アレイハイブリダイゼーション
等容量(10μl)の2つのプローブを0.5mlエッペンドルフチューブ中において混合し、次いで、
COT1 DNA(20μg/μl) 1μl
Poly A RNA(20μg/μl) 1μl
を添加する。
【0067】
プローブは、3分に亘って95℃で加熱することによって変性し、次いで、等容量のハイブリダイゼーションバッファー(10×SSC、50%ホルムアミド、0.2%SDS)と混合する。
【0068】
使用する直前に、42℃で30分間に亘ってPre−hybバッファー(5×SSC、0.1%SDS、及び1%BSA)を用いてCoplin jar中でスライドをプレハイブリダイズする。
【0069】
スライドをろ過したMilli−Q水に浸け、次いで、イソプロパノールに浸けて、室温で乾燥させる。30μlのプローブミックスをマクロアレイにオーバーレイして、22×60mm疎水性カバースリップで覆う。スライドをハイブリダイゼーションチャンバーにセットし、次いで、蓋をして密封し、42℃の水浴において、暗所で16から20時間に亘ってインキュベートする。ハイブリダイゼーション後に、スライドをペトリ皿に置いて、42%で洗浄バッファー(1×SSC、0.2% SDS)に沈めた。カバースリップをゆっくりと持ち上げて取り除き、スライドをストリンジェンシーバッファー(0.1×SSC、0.2%SDS)に沈め、次いで、ストリンジェンシーバッファーで洗浄する。洗浄後、スライドを室温で乾燥させ、直ぐにGenePix(登録商標)4000B Fluorescent scannerでスキャンして、GenePix Proソフトウェアで分析する。発現の相対レベルは、標準化し且つバックグラウンドを差し引いて、赤:緑のシグナル比で算出する。
【0070】
【表3A】

【表3B】

【表3C】

【0071】
マーカーの評価は、Working Group on Molecular and Biochemical Markers of Alzheimer’s Diseaseによって確立された基準に従って遂行し、(i)感度(疾患を有する患者の実質的な割合を同定するためのバイオマーカーの能力を意味する);(ii)特異性(通常の老化、認識障害及び認知症の他の原因からADを区別するための試験の能力を意味する);(iii)(陽性又は陰性の)予測値(陽性/陰性試験を用いて、検死解剖で疾患を有するか又は有さないことが実質的に判明するヒトの割合を表わす)を評価するために価値がある。
【0072】
血漿脂質試験
ヘパリン化した血漿試料を一晩絶食させた後に脂質試験のために回収し、同日に分析する。全コレステロール(TC)、トリグリセリド(TG)、及びリン脂質(PL)レベルは、酵素を用いて測定する(Boehringer Mannheim Dianostics, Indianapolis,IN)。高密度脂質タンパク質コレステロール(HDL−C)は、塩化マグネシウム及び硫酸デキストランによる粒子を含有するアポリポタンパク質B(Apo−B)の沈殿後に測定する。
【0073】
細胞内脂質含有量
脂質細胞含有量の測定のために、単離した培養PBMC及び皮膚線維芽細胞から冷アセトンを用いて抽出した中性脂質を、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって分離した。遊離コレステロール(FC)、コレステロールエステル(CE)、トリグリセリド(TG)、及びリン脂質(PH)の重量は、酵素を用いた標準アッセイ方法によって測定する。
【0074】
中性脂質染色
中性脂質染色のために、単離したPBMC及び皮膚線維芽細胞を上述のように培養する。異なる時間でインキュベートして、細胞をPBSで三回洗浄し、10%ホルマリンに浸けることによって固定化した。細胞をイソプロピルアルコール(60%)で処理し、洗浄して、次いで、核及び細胞内中性脂質小滴を、マイヤーヘマトキシリン溶液及びオイルレッドOの各々を用いて染色する。次いで、染色した細胞を試験し、光学顕微鏡下で撮影した。脂質結合OROは、Scion image analysisソフトウェア(NIH Image 1.63 Analysis Software program)又は脂質のクロロホルム/メタノール(2:1)抽出後及び520nmにおけるODの読み取りの各々によって無傷細胞又は細胞抽出物において定量する。
【0075】
結果
新生物及びアテローム性動脈硬化症の細胞におけるコレステロールホメオスタシスの変化
表4は、急性及び慢性リンパ性白血病(各々、ALL及びCLL)の初代細胞における脂質含有量、並びに診断時のCLL患者(18人の患者、45から65歳)又はALL患者(12人の患者40から60歳)に由来する血清の脂質プロフィールを示す。年齢にあった健康な対象(n=15)を対照として用いた。出願人は、構成的コレステロールエステルレベルは、対照よりも白血病細胞において高いことを見出した。FC:CEモル比(CLLでは1.1及びALLでは0.85であり、対照では3.6)における大きな低減が、白血病細胞においても認められた。他の細胞性脂質のパラメータにおける顕著な変化は認められなかった。HDL−Cは、年齢にあった健康な対照と比較して、白血病患者において有意に低減(p<0.05)した。全血清コレステロール(TC)LDL−C、TG、及びPLレベルは、対照と腫瘍患者との間の有意な差はなかったが、低コレステロール血症及び高トリグリセリド血症の傾向が、後者の群には認められた(データ示さず)。
【0076】
【表4】

【0077】
これらの結果は、脂質含有量、主に細胞性コレステロールエステル及び血漿HDL−Cのレベルにおける変化が、増殖性疾患を特定することが可能なプロフィールを表わすという概念を支持するものである。
【0078】
これらの結果を補強するために、出願人は、オイルレッドO染色法を用いて、正常なリンパ球及び白血病PBMCにおける細胞質脂質含有量を分析した。
【0079】
図3Aで示すように、0時点においては、白血病PBMCのみが確実に染色され(矢印で示す細胞における赤い領域の存在によって示される)、PHA刺激の24時間及び48時間後では、対照細胞も同様に確実に染色される。染色強度は、コレステロールエステルの量と比例する。図3Aは、脂質蓄積は、考えられる全ての時点において対照細胞よりも白血病細胞において多い。示される結果は、7人の異なる患者及び7人の対照の試料を表わす。さらに、ACAT−1 mRNAレベルはより高かったが、中性コレステロールエステルヒドロラーゼ(nCEH)及びABCA1 mRNAレベルは、健康な対照と比較して白血病患者に由来するPBMCにおいてより低かった(図3B)。
【0080】
同様の結果が、健康な対照に由来する単核球と比較して、アテローム性動脈硬化症患者に由来するマイトジェンで誘導して増殖しているPBMCにおいて得られた(図4)。
【0081】
AD患者の皮膚線維芽細胞におけるコレステロールホメオスタシスの変化
コレステロールの細胞輸送及び代謝に対するin vitro試験(図5及び図5Bis)は、AD患者に由来する皮膚線維芽細胞が、健康なドナー由来の線維芽細胞と比較すると、コレステロールをエステル化し、蓄積する増大した能力を有する事を明らかにする。さらに、出願人は、健康な対照と比較すると、同じAD患者に由来する線維芽細胞におけるnCEH、カベオリン−1、及びABCA1のmRNAのより低いレベルとともに、MDR1−Pgp及びACAT−1のmRNAのより高い細胞内レベルを見出した(図5Bis A)。これは、ACATにおける増大及びカベオリン1タンパク質レベルにおける低減を伴った(図5 Bis B)。APOE対照ハプロタイプは図5Bisの表に示す。
【0082】
AD患者のPBMCにおけるコレステロールホメオスタシスの変化
図6及び図7において報告するデータは、皮膚線維芽細胞における上述のようなコレステロールエステル代謝及び輸送における変化が、AD患者及びその親族から単離したPBMCにも存在することを明らかにする。特に、図7Bで示すように、AD患者(65%)に由来するPBMCの大半は、3と4との間のORO陽性の値を有し、約80%の対照が0の値を有したが、大半のADの親族は1と2の間であった。これらのデータは、AD患者に由来する細胞において、図7Aで示す低レベルのHDL−Cによって証明されるFC排出の低減及び細胞質におけるCE蓄積をもたらすコレステロール代謝における不均衡が存在し、かつ、図8A、B、Cにおいて示すnCEH、Cav−1、及びABCA−1 mRNAの発現レベルの低減が存在することをさらに示す。
【0083】
スクレイピーに感染したヒツジのPBMC及び皮膚線維芽細胞におけるコレステロールホメオスタシスの変化
同様の相関が、スクレイピー耐性遺伝子型(ARR/ARR)を有する対照の非感染動物と比較すると、スクレイピーに感染しやすい遺伝子型ARQ/ARQ(ARQ/ARQ+及びARQ/ARQ−)を有するスクレイピーに感染したヒツジ及びスクレイピーに感染していないヒツジに由来する脳組織(図9B)、血漿(図9A)、及び皮膚線維芽細胞(図10、11)においても認められた。事実、スクレイピーに感染しやすい遺伝子型のヒツジでは、スクレイピー耐性遺伝子型の動物と比較して、コレステロールエステル化速度(図10B)及び細胞内CE含有量(図11)は有意に高く、血漿HDLコレステロールは低かった(図9A)。重要なことに、他の細胞システムにおいて出願人により発見されたように、スクレイピーに感染しやすい遺伝子型の皮膚線維芽細胞において認められたCEレベルの増大は、増殖速度の増大と相関していた(図10A)。
【0084】
結論として、高い細胞内CEレベルの存在及びそれによる低い細胞膜FCの存在は、コンホメーション病における構造が異常なタンパク質の形成及び沈着を含む、幾つかの疾患(図2A、B、C)に罹りやすくする細胞の表現型を示す(図2C)。本実施例の結果は、細胞内CE蓄積をACATインヒビターで阻害することが、ADの細胞モデルにおけるβアミロイドペプチドの精製を妨げ(34)、ADのマウスモデルにおける脳のアミロイド斑の形成を強力に阻害する(35)ことを示す最近の実験によって支持される。
【0085】
加えて、出願人は、上述のパラメータの幾つかが老化現象と相関することも既に示している(36)。事実、ラットモデルを使用して、出願人は、動物の年齢増加として、MDR1−Pgp及びACAT mRNAのレベルが幾つかの器官(肝臓、脳、心臓、腎臓、動脈)において有意に増大する。対照的に、nCEH及びカベオリン−1のmRNAの発現レベルは年齢と共に有意に減少し、低レベルの循環するHDLコレステロールとともに、細胞内CE蓄積及び細胞膜FCのレベルの低減を生じさせる(36)。本実施例の結果は、上述の相関がPBMC及び皮膚線維芽細胞においても認めることができ、上述の加齢に伴う疾患を発症するリスクの迅速な評価を可能にすることを示す。
【0086】
末梢血液サンプルにおける細胞質CEの蓄積量を測定するためのキットの例は、ORO染色法を利用し、
a)以下の手法によって全血サンプルからPBMCを単離する手段:
− 2mlの全血をPBSで1:1に希釈する。
− 15ml遠心管中において、希釈したサンプルを2mlのLymphoprepの上に層にする。
− 2200rpmで15分間に亘って遠心管を遠心分離する。
− 単核球を含有する輪をパスツールピペットで回収し、RPMI 1640で洗浄する。
− 細胞を3−5mlのHank’s Balanced Salt Solution(HBSS)に再懸濁し、計数する。
b)以下の手段に従う、CRO染色による細胞質CEの検出のための手段:
− 1×10の細胞の一定分量を丸底ホウケイ酸ガラス管に移し、10%ホルマリンで30分間に亘って固定化し、500rpmで遠心分離した。
− 細胞ペレットを再懸濁し、1mlのORO(イソプロピルアルコール中で1:200 v/v)で10分間に亘って室温で連続的に攪拌しながら染色する。
− 過剰なORO染色は廃棄し、細胞をMayer’s Hematoxylinで対比染色する。
− 染色した細胞の一定分量(10μl)をガラススライドに置いて、光学顕微鏡によって視察して、撮影する。
c)以下の手法に従って、脂質結合OROの分光学的に定量するための手段:
− 残存する細胞を、三倍容量のクロロホルム/メタノール(2:1 v/v)の混合物で処理し、ボルテックスして細胞の脂質を抽出する。
− 次いで、その管を10分間に亘って500rpm、室温で遠心分離して、回収するクロロホルム相を分離し、石英キュベットに移す。
− 次いで、クロロホルム相の光学吸収を520nmで測定する(OROの最大光学吸収)。
− 吸光度の値は、検量線に対してプロットして、細胞の数あたりのOROのmmolとして表わす。
を含んで良い。
【0087】
細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのmRNAの相対定量のためのキットの例は、cDNA又はその断片からmRNAへの特定の逆増幅のための手段を含んでよい。
【0088】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の反応試薬ミックスの例は、
− MgCl2(2mM)
− 標的cDNA(10μL)
− ジゴキシゲニン−11−2’−デオキシ−ウリジン−5’−トリホスフェート(DIG)(8μM)
− フォワードプライマー及びリバースプライマー(表3に記載した配列ACAT、MDR1、nCEH、カベオリン−1、又はABCA1を含むが、それらに限らない)(0.15μM)及びプライマー標準β−アクチン(0.15μM)
− AmpliTaq Gold(Taqポリメラーゼ:1.25U)
− 1×PCRバッファーII(500mM KCl;100mM TRIS−HCl、pH 8.3)
− HO(一定用量まで)
− PCR産物の精製のための手段
を含む。
【0089】
PCR産物は、フィルターカラム(例えば、Microspin(商標)G−50、Amersham Pharmacia)にのせて、製造業者によって提供されたプロトコルに従って洗浄する。溶出した増幅産物を清浄なチューブに回数して、直ぐに使用しない場合には‐20℃で保存する。
【0090】
マクロアレイの調製:
マクロアレイは、Fast Spotter macroarrayerを使用して、DR.DiYスポッティングバッファーに懸濁した精製したPCR産物をプリントすることによって調製する。プリントは、アミノシラン処理スライド(例えば、Corning社製のCMT−GAPS(商標))に実施する。プリント後、スライドを室温にして、次いで、UVC500crosslinker(Hoefer)を使用してUV架橋し、直ぐに使用するか又は室温で乾燥させて保存する。
【0091】
標識DNAの調製(各々2つの別々の0.5mlエッペンドルフチューブ)
PolyA RNA(サンプル又は対照のいずれかに由来する) 2μg
オリゴ−(dT)プライマー(18−20mer)1μg/μl 2μl
DEPC処理水(10μlまで) Xμl
10分間に亘って70℃で加熱し、氷上で冷却する。
【0092】
first strand反応ミックスの調製
5×first strandバッファー 6μl
dNTPミックス(各々10mM) 1.5μl
DTT(0.1M) 3μl
RNアーゼ out 1μl
DEPC処理水(30μlまで) 18.5μl
【0093】
変性mRNAを含有する各々のチューブに
first strand反応ミックス 15μl
Cy3又はCy5 dUTP 1mM 3μl
Superscript(商標)II逆転写酵素(200U/μl)
を添加する。
【0094】
反応物を混合し、チューブをアルミホイルで包み、42℃で2時間に亘ってインキュベートする。次いで、チューブをパルススピンして、1.5μlのEDTAを添加して、反応を停止させる。
【0095】
標識プローブの洗浄
標識反応は、フィルターカラム(例えば、Microspin(商標)G−50、Amersham Pharmacia)にのせて、製造業者によって提供されたプロトコルに従って洗浄する。
【0096】
溶出したプローブは清浄なチューブに回収して、ホイルで包み、直ぐに使用しない場合は−20℃で保存する。
【0097】
アレイハイブリダイゼーション
等容量(10μl)の2つのプローブを、0.5mlエッペンドルフチューブ内で混合し、次いで、
COT1 DNA(20μg/μl) 1μl
polyA RNA(20μg/μl) 1μl
を添加する。
【0098】
プローブは、3分間に亘って95℃で加熱することによって変性させ、次いで、等容量のハイブリダイゼーションバッファー(10×SSC、50%ホルムアミド、0.2%SDS)と混合する。
【0099】
使用の直前に、42℃で30分間に亘ってPre−hybバッファー(5×SSC、0.1%SDS、及び1%BSA)を用いて、スライドをCoplin jar中でプレハイブリダイズさせる。
【0100】
スライドを濾過したMilli−Q水に浸け、次いで、イソプロパノールに浸け、室温で乾燥させる。
【0101】
30μlのプローブミックスをマクロアレイにオーバーレイして、22×60mm疎水性カバースリップで覆う。
【0102】
スライドをハイブリダイゼーションチャンバーにセットし、次いで、フタで密封して、42℃の水浴に置き、暗所で16から20時間に亘ってインキュベートする。
【0103】
ハイブリダイゼーションスライドをペトリ皿に置いた後に、42%で洗浄バッファー(1×SSC、0.2% SDS)に浸ける。
【0104】
カバースリップをゆっくりと持ち上げて、取り除き、スライドを浸け、次いで、ストリンジェンシーバッファー(0.1×SSC、0.2%SDS)で洗浄する。
【0105】
ハイブリダイズしたマクロアレイの分析及び定量
洗浄後、スライドを室温Tで乾燥させ、GenePix(登録商標) 4000B Fluorescent scannerで直ぐにスキャンして、GenePix Proソフトウェアで分析する。
【0106】
発現の相対レベルは、標準化し且つバックグラウンドを差し引いて、赤:緑のシグナル比で算出する。
(参考文献)


【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】細胞内コレステロールホメオスタシス:細胞内コレステロールは、i)HMGCoA−レダクターゼ(HMGCoA−R)の活性による小胞体(ER)における内因性の新しい合成(1);ii)まずLDL受容体(a)を介して吸収され、次いでリソソームにおいて加水分解処理されて酸コレステロールエステルヒドロラーゼ(aCEH)(b)の活性によって遊離コレステロール(FC)を産生する、循環低比重リポタンパク質(2)に由来する。新しく合成されたFC又はリソソームで放出されたLDL結合FCの大半は、細胞表面カベオラに直ぐに現れ、そこから細胞機能(c)のために使用されてよい。細胞膜FCがしきい値を超える場合には、過剰なFCが、多剤耐性(MDR1)遺伝子によってコードされるP−糖タンパク質(MDR1−Pgp)によって直ぐにER(d)に輸送される。次いで、ERに存在する酵素であるアシル補酵素Aコレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)(e)が、FCをコレステロールエステル(CE)に変換し、細胞質の小滴に保存される。細胞がコレステロールを必要とする場合は、酵素である中性コレステロールエステルヒドロラーゼ(nCEH)(f)によって、CEがFCに再加水分解され、カベオリン−1によって細胞膜に輸送される。過剰な場合は、FCは、カベオリン−1、ABCA1受容体、及び血漿HDL(g)が関与するERから細胞膜に通じる排出経路によって細胞から排出される。
【図2A】病的状態におけるコレステロールホメオスタシスの変化:コレステロールホメオスタシスに変化、例えば、過剰なコレステロール合成及び取り込みが生じた際は、より多くのコレステロールがMDR1−PgpによってERへと輸送される。ERにおけるコレステロール過剰は、ACAT酵素の活性化を生じさせ、次いで、コレステロールをエステル化させる。コレステロールエステル(CE)は、次いで、脂質小滴として細胞質に蓄積し、泡様細胞が形成される(スキーム2A、B、及びC)。一方で、エステル形態のコレステロールの過剰な蓄積は、コレステロールプールを低減させ、排出のためにカベオリン−1によって細胞膜(ラフト)に輸送される。これは、ABCA−1受容体を介するコレステロール排出の低減を生じさせ、かくして、血漿におけるHDL−コレステロールレベル(スキーム2、A、B、及びC)を低下させる。ラフトにおけるFCのレベルの低下は、膜シグナル伝達、タンパク質及び脂質プロセシング及び輸送におけるラフトタンパク質の機能の連続的な活性化を生じさせ、かくして、アテローム性動脈硬化症(図2、スキームA)、腫瘍(図2、スキームB)、並びにAD及びプリオン関連(TSE)疾患(図2bis、スキームC)を含む各種の病的過程を引き起こす可能性がある。コレステロール代謝/輸送の調節因子を用いた処理は、細胞内コレステロールホメオスタシスが再確立することにより正常なラフトタンパク質の機能を回復させる(図2bis、スキームD)。
【図2B】(図2Bis)病的状態におけるコレステロールホメオスタシスの変化:コレステロールホメオスタシスに変化、例えば、過剰なコレステロール合成及び取り込みが生じた際は、より多くのコレステロールがMDR1−PgpによってERへと輸送される。ERにおけるコレステロール過剰は、ACAT酵素の活性化を生じさせ、次いで、コレステロールをエステル化させる。コレステロールエステル(CE)は、次いで、脂質小滴として細胞質に蓄積し、泡様細胞が形成される(スキーム2A、B、及びC)。一方で、エステル形態のコレステロールの過剰な蓄積は、コレステロールプールを低減させ、排出のためにカベオリン−1によって細胞膜(ラフト)に輸送される。これは、ABCA−1受容体を介するコレステロール排出の低減を生じさせ、かくして、血漿におけるHDL−コレステロールレベル(スキーム2、A、B、及びC)を低下させる。ラフトにおけるFCのレベルの低下は、膜シグナル伝達、タンパク質及び脂質プロセシング及び輸送におけるラフトタンパク質の機能の連続的な活性化を生じさせ、かくして、アテローム性動脈硬化症(図2、スキームA)、腫瘍(図2、スキームB)、並びにAD及びプリオン関連(TSE)疾患(図2bis、スキームC)を含む各種の病的過程を引き起こす可能性がある。コレステロール代謝/輸送の調節因子を用いた処理は、細胞内コレステロールホメオスタシスが再確立することにより正常なラフトタンパク質の機能を回復させる(図2bis、スキームD)。
【図3】慢性リンパ性白血病(CLL)を有する患者に由来するPBMC中のコレステロール代謝及び輸送に関与する遺伝子のmRNA発現レベル及び中性脂質含有量:A)PHA刺激の表示された時間後にORO法(矢印によって示す、原料及び方法の欄を参照のこと)によって中性脂質含有量について染色されたCLL患者に由来するPBMC及び健康な個体(対照)に由来するPBMC。B)RT−PCR(原料及び方法の欄を参照のこと)による、CLL患者(P1及びP2)に由来するPBMC及び健康な個体(C1及びC2)に由来するPBMC中の表示された遺伝子のmRNAレベル。β−アクチンを内部標準として使用した。
【図4】アテローム斑を有する患者に由来するPBMC中の中性脂質含有量:PHA刺激後の表示された時間でORO法によって中性脂質含有量について染色されたアテローム性動脈硬化症患者に由来するPBMC及び健康な個体(対照1及び2)に由来するPBMC。
【図5A】AD患者(AD)に由来する皮膚線維芽細胞中の中性脂質含有量:AD患者に由来する皮膚線維芽細胞及び健康な対照の個体に由来する皮膚線維芽細胞を、血清刺激の0(A1、B1)、24(A2、B2)、及び48(A3、B3)時間後にORO法によって中性脂質含有量について染色した。
【図5B】(図5Bis)AD患者(AD)に由来する皮膚線維芽細胞中のコレステロール代謝及び輸送に関与する遺伝子のmRNA及びタンパク質:パネルAは、AD患者(AD)、それらの親族(Rel)、及び対照の健康なドナー(C)由来の皮膚線維芽細胞におけるApoE遺伝子型(表)、並びにACAT−1、nCEH、ABCA−1、MDR1、カベオリン−1、LDL−R、及びβ−アクチン遺伝子のmRNAレベルを示す。パネルBは、AD、それらの親族、及び対照に由来する皮膚線維芽細胞におけるカベオリン−1及びACAT−1のウエスタンブロット分析を示す。
【図6】AD患者、それらの親族、及び対照に由来するPBMC中の脂質小滴:PHA刺激の0(A1、B1、C1)、24(A2、B2、C2)、及び48(A3、B3、C3)時間後にORO法によって中性脂質を染色したAD患者由来のPBMC(A1−A3)、それらの親族由来のPBMC(B1−B3)、及び健康な個体由来のPBMC(C1−C3、対照群)。
【図7】AD患者、それらの親族、及び対照に由来する血漿中のHDLコレステロールレベル及びPBMC中の中性脂質含有量:A)血清中のHCL−Cレベルは、酵素的方法(原料及び方法の欄を参照のこと)によって測定することによってmg/dlで表わされる5つの区分(0−20,21−30、31−40、41−50、>50mg/dl)の増大値に階層化した。B)OROで染色したPBMC中の細胞内中性脂質を、2つの異なる方法によって脂質に結合した赤色の強度に基づいて定量した。その程度は、強度の測定に基づいて、1(0)、2(+)、3(++)、3(+++)、及び4(++++)という5つの種類に類別する。
【図8】アルツハイマー病患者、それらの親族、及び対照に由来するPBMC中のコレステロール代謝及び輸送に関与する遺伝子のmRNA発現レベル:A)nCEH、B)Cav−1、C)ABCA1.オートラジオグラムの定量を、Scion Image software(NIH)によってデンシトメトリー分析によって得た。値は、ハウスキーピング遺伝子であるβ−アクチンの発現レベルに対して標準化し、5つの種類(0かから5)の増大値に階層化した(原料及び方法の欄を参照のこと)。
【図9】スクレイピーに天然又は実験的に感染している(ARQ/ARQ+)か又は感染していない(ARQ/ARQ−)スクレイピーに感染しやすい(ARQ/ARQ)遺伝子型を有するヒツジ、並びにスクレイピー耐性(ARR/ARR)遺伝子型を有するヒツジに由来するA)血漿サンプルにおける脂質プロフィール及びB)脳組織におけるコレステロール含有量。スチューデントのt試験、*P<0.05 vs ARR/ARR。
【図10】スクレイピーに感染している(ARQ/ARQ+)か又は感染していない(ARQ/ARQ−)スクレイピーに感染しやすい(ARQ/ARQ)遺伝子型を有するヒツジ、並びにスクレイピー耐性(ARR/ARR)遺伝子型を有するヒツジに由来するFCS刺激皮膚線維芽細胞における細胞増殖及びコレステロールエステル化。A)DNAへのチミジン取り込み。B)CEへの14Cオレエート取り込み。スチューデントのt試験、*P<0.05 vs ARR/ARR。
【図11】スクレイピーに感染している(ARQ/ARQ+)か又は感染していない(ARQ/ARQ−)スクレイピーに感染しやすい(ARQ/ARQ)遺伝子型を有するヒツジ、並びにスクレイピー耐性(ARR/ARR)遺伝子型を有するヒツジに由来するFCS刺激皮膚線維芽細胞における中性脂質含有量。皮膚線維芽細胞中の細胞内中性脂質をOROで染色し、脂質に結合した赤色の強度に基づく方法によって定量した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
増殖性疾患又はコンホメーション病の診断、及び/又は予後予測、及び/又は治療の効力の測定、あるいは対象における老化状態を証明する方法であって、
a)対象から血液サンプルを回収する工程;
b)前記血液サンプルから血漿を分離して、末梢血リンパ球(PBMC)を単離する工程;
c)前記血漿中のHDLコレステロールレベルを測定する工程;
d)PBMCを培養し、適当な有効量の刺激剤を使用する刺激によって、それらの増殖を促進し、十分な量の培養PBMCを得る工程;
e)前記培養PBMCから脂質画分を単離する工程;
f)前記培養PBMCの単離した脂質画分由来の遊離コレステロール及びエステル化コレステロールの量を測定する工程;
g)前記培養PBMC中の細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程、
並びに、任意に
h)前記培養PBMC中の特定の増殖性疾患又はコンホメーション病の病理に関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
並びに、任意に
i)前記培養PBMC中の炎症性サイトカインの少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
j)工程c)、f)、g)、h)、i)の結果を、年齢にあった対照サンプルに由来する標準値と比較する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記増殖性疾患が、アテローム性動脈硬化症、血管形成後の再狭窄、血液新生物、固形腫瘍の群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記血液新生物が、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、急性及び慢性白血病、赤白血病、骨髄腫、又は多血症の群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記固形腫瘍が、脳、頭頚、鼻咽頭、胸、肺、胃腸、結腸、腎臓、又は肝臓の腫瘍の群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記コンホメーション病が、プリオン関連疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、又は脊髄小脳変性症の群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記プリオン関連疾患が、クロイツフェルトヤコブ病、新変異型クロイツフェルトヤコブ病、ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー症候群、致死性家族性不眠症、ウシ海綿状脳症、スクレイピー、慢性消耗病、猫海綿状脳症の群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記刺激剤が分裂促進剤である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記分裂促進剤がフィトヘマグルチニン又はコンカナバリンAである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程dからj)が、
d’)前記対象から線維芽細胞を単離する工程;
e’)単離した線維芽細胞を培養し、同調させ、任意に刺激して、十分な量の細胞を得る工程;
f’)培養線維芽細胞から脂質画分を単離する工程;
g’)前記単離した脂質画分又は前記培養線維芽細胞中の遊離コレステロール及びエステル化コレステロールの量を測定する工程;
h’)前記培養線維芽細胞中の細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのmRNA及び/又は翻訳されたタンパク質を検出する工程;
並びに、任意に
i’)前記培養線維芽細胞中の特定の増殖性疾患又はコンホメーション病の病理に関与する少なくとも1つのmRNA及び/又は翻訳されたタンパク質を検出する工程;
並びに、任意に、
j’)前記培養線維芽細胞中の炎症性サイトカインの少なくとも1つのmRNA又は翻訳されたタンパク質を検出する工程;
k’)工程c)、g’)、h’)、i’)、及びj’)の結果を、年齢にあった対照サンプルに由来する標準値と比較する工程
によって置換される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記e’)の線維芽細胞を同調させる工程が血清枯渇によって実施される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記e’)の線維芽細胞を刺激する工程が、ウシ胎仔血清又は少なくとも1つのマイトジェンの添加によって実施される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記マイトジェンがβ−FGFである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記エステル化コレステロールが、オイルレッドOを使用する細胞染色によって測定される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞内コレステロールホメオスタシスに関与するmRNA及び/又は翻訳されたタンパク質が、LDL−R、HMGCoA−R、SREBP2、MDR1、ACAT−1、カベオリン−1、nCEH、及びABCA1の群に含まれる、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記増殖性疾患及びコンホメーション病の病理に関与するmRNA及び/又は翻訳されたタンパク質が、APP、ネプリライシン、β−セクレターゼ、PrPタンパク質、腫瘍抑制遺伝子、例えば、p16、p53、PTEN、並びに癌遺伝子、例えば、cMyc、サイクリンD1、ErbB2、EGF−R、及びBcl2の群に含まれる、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記炎症性サイトカインのmRNA及び/又は翻訳されたタンパク質が、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン−1α(IL−1α)、及びインターフェロン−γ(IFNγ)の群から選択される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ApoEハプロタイプを測定する工程を更に含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
増殖性疾患又はコンホメーション病の治療の効果について薬剤をスクリーニングする方法であって、
a)罹患している対象から血液サンプルを回収する工程;
b)前記血液サンプルから血漿を分離して、末梢血リンパ球(PBMC)を単離する工程;
c)PBMCを培養し、適当な有効量の刺激剤を使用する刺激によって、それらの増殖を促進し、十分な量の培養PBMCを得る工程;
d)適当な条件及び用量で各薬剤とともにPBMCをインキュベートする工程;
e)前記培養PBMC中の細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
f)前記培養PBMC中の特定の増殖性疾患又はコンホメーション病の病理に関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
g)前記培養PBMC中の炎症性サイトカインの少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
h)工程e)、f)、g)の結果を、参照薬及び適当な対照と比較する工程
を含む、方法。
【請求項19】
増殖性疾患又はコンホメーション病の治療の効果について薬剤をスクリーニングする方法であって、
a)対象から線維芽細胞を単離する工程;
b)単離した線維芽細胞を培養し、同調させ、任意に刺激して、十分な量の細胞を得る工程;
c)適当な条件及び用量で各薬剤とともに培養線維芽細胞をインキュベートする工程;
d)前記培養線維芽細胞中の細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのmRNA及び/又は翻訳されたタンパク質を検出する工程;
e)前記培養線維芽細胞中の特定の増殖性疾患又はコンホメーション病の病理に関与する少なくとも1つのmRNA及び/又は翻訳されたタンパク質を検出する工程;
f)前記培養線維芽細胞中の炎症性サイトカインの少なくとも1つのmRNA及び/又は翻訳されたタンパク質を検出する工程;
g)工程d)、e)、f)の結果を、参照薬及び適当な対照と比較する工程
を含む、方法。
【請求項20】
増殖性疾患又はコンホメーション病に罹患している対象の薬剤応答プロフィールを評価する方法であって、
a)罹患した対象から血液サンプルを回収する工程;
b)前記血液サンプルから血漿を分離し、末梢血リンパ球(PBMC)を単離する工程;
c)PBMCを培養し、適当な有効量の刺激剤を使用する刺激によって、それらの増殖を促進し、十分な量の培養PBMCを得る工程;
d)適当な条件及び用量で各薬剤とともに培養PBMCをインキュベートする工程;
e)前記培養PBMC中の細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
f)前記培養PBMC中の特定の増殖性疾患又はコンホメーション病の病理に関与する少なくとも1つのmRNA及び/又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
g)前記培養PBMC中の炎症性サイトカインの少なくとも1つのmRNA又はその翻訳されたタンパク質を検出する工程;
h)工程e)、f)、g)の結果を、参照薬、適切な対照、及び試験した薬剤の間で比較する工程
を含む、方法。
【請求項21】
増殖性疾患又はコンホメーション病に罹患している対象の薬剤応答プロフィールを評価する方法であって、
a)前記対象から線維芽細胞を単離する工程;
b)単離した線維芽細胞を培養し、同調させ、任意に刺激して、十分な量の細胞を得る工程;
c)適当な条件及び用量で各薬剤とともに培養線維芽細胞をインキュベートする工程;
d)前記培養線維芽細胞中の細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのmRNA及び/又は翻訳されたタンパク質を検出する工程;
e)前記培養線維芽細胞中の特定の増殖性疾患又はコンホメーション病の病理に関与する少なくとも1つのmRNA及び/又は翻訳されたタンパク質を検出する工程;
f)前記培養線維芽細胞中の炎症性サイトカインの少なくとも1つのmRNA又は翻訳されたタンパク質を検出する工程;
g)工程d)、e)、f)の結果を、参照薬、適切な対照、及び試験した薬剤の間で比較する工程
を含む、方法。
【請求項22】
オイルレッドOで細胞染色する手段を含む、細胞中のエステル化コレステロールを測定するためのキット。
【請求項23】
細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのmRNAの検出のためのキットであって、
− 逆転写のための手段;
− LDL−R、HMGCoA−R、SREBP2、MDR1、ACAT−1、カベオリン−1、nCEH、及びABCA1の群に含まれるcDNA又はそのフラグメントの特異的な増幅のための手段;
− 検出手段
を含む、キット。
【請求項24】
増殖性疾患又はコンホメーション病の病理に関与する少なくとも1つのmRNAの検出のためのキットであって、
− 逆転写のための手段;
− APP、ネプリライシン、β−セクレターゼ、PrPタンパク質、腫瘍抑制遺伝子、例えば、p16、p53、PTEN、及び癌遺伝子、例えば、cMyc、サイクリンD1、ErbB2、EGF−R、及びBcl2の群に含まれるcDNA又はそのフラグメントの特異的な増幅のための手段;
− 検出手段
を含む、キット。
【請求項25】
炎症性サイトカインの少なくとも1つのmRNAを検出するためのキットであって、
− 逆転写のための手段;
− サイトカイン:腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン−1α(IL−1α)、及びインターフェロン−γ(IFNγ)の群に含まれるcDNA又はそのフラグメントの特異的な増幅のための手段;
− 検出手段
を含む、キット。
【請求項26】
LDL−R、HMGCoA−R、SREBP2、MDR1、ACAT−1、カベオリン−1、nCEH、及びABCA1の群に含まれるタンパク質の1つに特異的な少なくとも1つのリガンドを含む、細胞内コレステロールホメオスタシスに関与する少なくとも1つのタンパク質の検出のためのキット。
【請求項27】
アルツハイマー病のためのAPP、ネプリライシン、及びβ−セクレターゼ;プリオン病のためのPrPタンパク質;血液新生物及び固形腫瘍のための腫瘍抑制遺伝子、例えば、p16、p53、PTEN、及び癌遺伝子、例えば、cMyc、サイクリンD1、ErbB2、EGF−R、及びBcl2の群に含まれるタンパク質の1つに特異的な少なくとも1つのリガンドを含む、増殖性疾患又はコンホメーション病の病理に関与する少なくとも1つのタンパク質の検出のためのキット。
【請求項28】
腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン−1α(IL−1α)、及びインターフェロン−γ(IFNγ)の群に含まれるが、それらに限らない、サイトカインの少なくとも1つのリガンドを含む、少なくとも1つの炎症性サイトカインの検出のためのキット。
【請求項29】
請求項22から28に記載のキットの全てを含む、増殖性疾患又はコンホメーション病に罹患している対象を診断し、及び/又は予後予測し、及び/又は治療の効力を測定し、及び/又は治療の効果について薬剤をスクリーニングし、及び/又は薬剤応答プロフィールを評価するか、あるいは対象における老化状態の証明をする診断プラットフォーム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−526991(P2009−526991A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554915(P2008−554915)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【国際出願番号】PCT/IT2007/000110
【国際公開番号】WO2007/094027
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508248025)
【出願人】(508248036)
【出願人】(508248047)
【Fターム(参考)】