説明

増粘毛髪染色剤及び脱色組成物

本発明は、カーボネートイオンの供給源、少なくとも1つの酸化剤及び特定のゲル網状組織増粘系を含み、ラジカルスカベンジャー類の供給源を含まない、毛髪染色及び毛髪脱色組成物に関する。該組成物は、意外にも、傷みをを最小化しつつ、改良された色落ち、明るさ及び色送達を送達し、製造が容易で、長い貯蔵寿命における安定性を有する、改良された毛髪染色剤及び脱色組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪染色及び毛髪脱色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン性繊維、特にヒトの毛髪の色を毛髪染料の塗布により永続的に変えることは周知である。消費者に所望の毛髪の色及び色の強度を提供するために、非常に複雑な化学的プロセスが使用される。永続的な毛髪染色配合物は典型的には酸化毛髪染料前駆体を含み、これは角皮を通して毛髪中及び皮質中に拡散することができ、そこで次に互いに好適な酸化剤と反応して最終的な染料分子を形成することができる。結果として得られるこれらの分子のサイズがより大きいため、それらは水及び/又は洗剤によるその後の洗浄の間に毛髪から容易に拡散できないため消費者の所望する色の永続性を与える。この反応は典型的には、アルカリ化剤の存在下及び酸化剤の存在下における、pHおよそ10の過激な環境において起こる。更に、消費者はこのプロセスを、所望の毛髪の色及び色相及び色の強度を維持するため、並びに新しい発毛の被覆を包含する毛髪の連続的で均一な被覆を確実にするために定期的に繰り返す。
【0003】
このような製品の製造者はまた、多数の制約内で作業することを必要とされる。これらの製品は消費者の皮膚に直接接触するように設置されるため、染色プロセス中、偶発的に(例えば)目に入ったり、若しくは口に入ったりする可能性が起こり得る。そのため、処方は厳格な安全基準を満たさなければならず、いかなるアレルギー反応も起こしてはならない。これらの必要条件を満たすことに加えて、製品はまた、視覚的及び嗅覚的に消費者を満足させなければならない。特に、該製品は、消費者の衣服、特に毛髪の流れに沿った皮膚又は他の物体を不用意に染色することなく、その製品が消費者によって容易に毛髪に塗布されることができ、所望の効果を提供できることを確実にするために、特定の物理的パラメータを満たす必要もある。
【0004】
製造業者はまた、毛髪染色の消費者に、広範囲の異なった色を得るように要求される。消費者には、ただ毛髪の天然の色を際立たせることを望む者もいるが、他に灰色を覆うこと又は毛髪色を完全に変えて、異なる自然に見える毛髪色又は人工のものに見える毛髪色にすることを望む者もいる。従って、製造業者は、色や色相が異なる20種類以上の異なる処方を提供して、消費者の一連の特定の要求に対応してよい。これらの配合物は個々に処方されることが必要であり、及び典型的には異なる染料化合物の混合物を含有する複雑な処方である。結果として、このような製品範囲の製造は、費用がかかり、複雑になる可能性がある。
【0005】
しかしながら、商業的毛髪染色製品は長年の間利用されてきたという事実にもかかわらず、その製品はなお消費者に関連する多くの欠陥を示している。
【0006】
典型的には、永続的毛髪染料製品は、アルカリ、典型的にはアンモニア供給源を含有する。これが毛髪を膨潤させるという目的を果たし、これによって染料前駆体分子が毛髪内に入ることを可能にし、酸化剤(典型的には、過酸化水素)の明るくする効果も向上させる。しかし、アンモニアはまた揮発性であり、特に、このような毛髪染料製品が鼻部に近いところで使用される場合、それに伴う臭気はこのような製品の消費者にとって非常に不快である。それ故、消費者が要求する明るさの程度及び色を提供するが、感知可能なアンモニア臭を低減又は除去した酸化的毛髪染色及び/又は脱色組成物を提供することが極めて望ましい。
【0007】
実際は、現在の毛髪染色製品の別の問題は、必要とされる毛髪を明るくする効果を送達する毛髪染色製品の提供である。必要な明るさの程度を送達することは、消費者が要求するあらゆる種類の色相(特に、ブロンドの色相及び灰色の適用範囲)を提供するために、特に重要である。このような製品は、通常、要求されただけの明るくする効果を送達するために、高濃度の酸化剤及びアンモニアの使用を必要とするするため、製造業者に特定の困難を課す。しかし、これらの製品内の高濃度のアンモニアの存在に伴う問題に加えて、本明細書中にて上述した如く、アンモニア及び/又は酸化剤のこれら高濃度の存在は、更に毛髪の状態に影響を与え、場合によっては頭皮に軽い皮膚刺激を引き起こす場合がある。特に、毛髪表面の親水性が染色プロセス中に増加し、これが染色中及び直後、その後の洗浄中及び次の染色塗布までの整髪サイクル中の毛髪の感覚認知及びその全体的な扱い易さを変化させる。それ故、必要とされる明るさ及び/又は色を、不必要な毛髪損傷をすることなく提供する、酸化的毛髪染色及び/又は脱色組成物を提供することも極めて望ましい。
【0008】
少なくとも上述の確認された改善領域のいくつかに対処するために、多数の試みが文献に記載されている。例えば、カーボネートの使用が、次の毛髪染色技術に記載されている。
【0009】
欧州特許第435012号は、必要とする染色時間が短く、毛髪への損傷がほどんど無く、染色後のカーボネートによる刺激臭が無く、臭いを発生しないアルカリ過酸化水素及び緩衝液を含む毛髪染色組成物について記載している。同様に、欧州特許第1106166号は、アンモニア、カーボネート(アンモニア塩以外)、遷移金属塩及びキレート剤を含有し、刺激臭を発せず、皮膚への刺激が少なく且つ毛髪色を短時間でより明るい色調に変えることができる毛髪染料組成物について記載している。PCT国際公開特許WO01/28508は、緩衝剤、pH調整剤又は毛髪膨潤剤を必要とせずに、臭いと毛髪損傷を低減させ、改善された染色及び脱色を提供する、酸化剤及び炭酸アンモニウム及び/又はカルバミン酸アンモニウムを含む毛髪染色処方について記載している。日本国特許第01206825号は、アンモニア、アンモニウム塩及びカーボネートを含む低刺激性毛髪染色組成物について記載している。米国特許第2004/0083557号は、良好な色落ち及び低臭気性を提供するための、酸化的毛髪染料前駆体、金属シアネート、アルカリ化剤及び酸化剤、好ましくは金属重炭酸塩を含む毛髪染色組成物について記載している。
【0010】
PCT国際公開特許WO04/014328は、過酸化物酸化剤、特定の酸化剤及びより効果的に染色させる、水溶性カーボネートを放出する塩類の少なくとも1つを含有し、2〜60分間、塗布されるワンステップ毛髪染色組成物について記載している。米国特許第2004/0098814号は、毛髪を継続的な短い処理にさらし、該処理がシャンプー又はコンディショナーベース内の染料中間体、塩を放出する水溶性カーボネート及び水溶性アンモニウム塩から構成される、永続的毛髪染色方法について記載している。米国特許第2004/0098816号は、毛髪を規定の時間間隔がある多数の処理に付し、処理組成物がキレート剤と組み合わされた炭酸アンモニウムを含む、段階的永続的毛髪染色方法についても記載している。
【0011】
しかし、過酸化水素及びカーボネート毛髪着色剤系の使用は、製造が困難であることが現在判明している。この問題は、高い色落ちを提供するためには望ましい、高濃度の過酸化物及びカーボネートを有する組成物について特に顕著である。更に、消費者が皮膚、衣服又は浴室回りの表面上に液だれさせることなく容易に毛髪に塗布できる製品を提供するために、毛髪染色製品は、組成物が一定の要求される粘度を有するように設計される。これは、混合時に濃縮される又は少なくとも1つの成分(染料組成物若しくは酸化組成物のいずれか、好ましくは染料組成物)が混合時に、組成物全体を増粘する濃縮処方として提供されるいわゆる薄−薄型液体製剤としての染料組成物及び酸化組成物を提供することによって実現される。
【0012】
本明細書の当該技術分野における上記カーボネート系は、増粘に適した多数の物質について記載する。しかし、これらの物質は、高濃度のカーボネートを含む組成物を十分に増粘せず、その結果として製品が不安定性となり、不十分な粘度にしかならないことが明らかになっている。それ故、製品の安定性又は製造の容易性で妥協することなく、高濃度のカーボネートを組み込む毛髪染色組成物を提供するのが好ましい。
【0013】
消費者にとって特に重要な別の性能領域は、所望の色が得られること、及び効果的な白髪適用範囲も得られることである。実際、染色される白髪の量は消費者によって大幅に変化するが、消費者が求める染色された毛髪の全体的外見の結果が、頭上の生来の有色素の毛髪及び白髪に対して、初めの均一、及び均等な色の適用範囲が染色後の洗浄及び乾燥サイクルの間に保持されるという追加的要求とほぼ同一でなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
それ故、消費者に、改良された色落ち及び明るくすること及び改良された色の送達、吸収性、及び耐久性、及び製造し易さ、必要な粘度の送達及び貯蔵寿命における安定性を提供する毛髪染色剤を提供することが更に望ましい。
【0015】
意外にも、酸化剤、カーボネートイオン供給源、及び本明細書中下記で定義する様な特定のゲル網状組織増粘系(ラジカルスカベンジャー供給源を含まず、好ましくはpH9.5以下で利用する)を含む酸化的毛髪染色組成物が、安定増粘系として処方可能であることが判明している。更に、該組成物は少ない臭いを示し、現在利用されているアンモニア/過酸化物系に匹敵する高い色落ち及び明るさを送達し、一方で、過酸化物濃度を低減し、毛髪繊維損傷を低減する。更に、本発明の組成物は、現在の染料及び染料前駆体系と適合性があり、ブロンドの色相に色落ち及び明るさを改善し、優れた染料付着及び色及び改良された灰色の適用範囲が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、(i)少なくとも約0.25モル/Lの、カーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオン又はペルオキシモノカーボネートイオンの供給源、(ii)少なくとも1つの酸化剤及び(iii)本明細書中下記にて定義され、該組成物がラジカルスカベンジャー類の供給源を含まない、ゲル網状組織増粘系を含む毛髪染色及び毛髪脱色組成物に関する。
【0017】
本発明の更なる観点は、(i)少なくとも約0.25モル/Lの、カーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオン又はペルオキシモノカーボネートイオン及びこれらの混合物の供給源、(ii)少なくとも1つの酸化剤と、(iii)6以下のHLB及び少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質を含む少なくとも1つのゲル網状組織増粘系が、1〜5個、好ましくは1〜3個のエチレンオキシド単位を有する少なくとも1つのアルキルエーテルホスフェートを含むものを含む毛髪染色又は脱色組成物に関する。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、(i)個別包装された、少なくとも1つの酸化剤を含む酸化用成分及び(ii)個別包装された、少なくともカーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオンの供給源及び本明細書で定義するゲル網状組織増粘系を含む第2成分より成る毛髪染色及び脱色用キットに関する。ここで、混合時に該組成物は、少なくとも約0.25モル/Lの、カーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオン、ペルオキシモノカーボネートイオン及びこれらの混合物を含み、該キットがラジカルスカベンジャー類の供給源を含まない。
【0019】
本発明は更に、(i)少なくとも1つの酸化剤及び本明細書で定義する様なゲル網状組織増粘系を含む個別包装された酸化用成分並びに(ii)カーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオン、ペルオキシモノカーボネートイオン、及びこれらの混合物の供給源を含む個別包装された第2成分を含む毛髪染色及び脱色用キットに関する。ここで、混合時に前記組成物は、少なくとも0.25モル/Lの、カーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオン、ペルオキシモノカーボネートイオン、及びこれらの混合物の該供給源を含み、該キットがラジカルスカベンジャー類の供給源を含まない。
【0020】
本発明は更に、(i)少なくとも1つの酸化剤並びに6以下のHLB及び少なくとも約30℃の融点を有する少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質を含む少なくとも1つのゲル網状組織増粘系であって、1〜5個、好ましくは1〜3個のエチレンオキシド単位を有する少なくとも1つのアルキルエーテルホスフェートを更に含むものを含む個別包装された酸化用成分並びに(ii)カーボネートイオン、カーボネートイオン、炭酸水素イオンの供給源を少なくとも1つ含む、個別包装された第2成分より成る毛髪染色又は脱色用キットに関する。ここで、該成分が、混合時に、少なくとも約0.25モル/Lの、カーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオン又はペルオキシモノカーボネートイオン及びこれらの混合物の供給源を含む。
【0021】
本発明は更に、少なくとも約0.25モル/Lの、カーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオン又はペルオキシモノカーボネートイオン、少なくとも1つの酸化剤及びゲル網状組織増粘系を含む組成物を塗布する工程から成る毛髪処理方法に関する。ここで、該組成物が、ラジカルスカベンジャー供給源を含まず、該組成物を毛髪に約2〜60分間塗布し、引き続き、該組成物を毛髪からすすぎ洗いする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本明細書は、本発明を詳しく指摘し明確に請求する特許請求の範囲でまとめられるが、本発明は、以下の説明からより良く理解されるものと考えられる。
【0023】
本明細書中で用いる場合、処理される「毛髪」という用語は、「生体の」、即ち生きている体上にあるか、あるいは「非生体の」、即ちかつら、ヘアピース又は非生体性ケラチン性繊維のその他集合体である。哺乳類、好ましくはヒトの毛髪が好ましい。しかしながら、羊毛、毛皮及びその他のケラチン含有繊維は、本発明の組成物に適した基質である。
【0024】
特に記述されない限り、すべての百分率は、総組成物の重量によるものである。処理時に1つ以上の組成物が使用される場合、考慮されるべき総重量は、特に指示がない限り、毛髪に同時に塗布される全組成物の総重量(即ち、「頭上に」ある重量)である。特に記載のない限り、すべての比率は重量比である。すべてのモル濃度は、総組成物の容量によるものであり、該組成物1リットル中の成分(単数又は複数)のモル数、又は「モル/L」として表現される。処理時に2つ以上の組成物が使用される場合、考慮されるべき総容量は、特に指示がない限り、毛髪に同時に塗布される全組成物の総容量(即ち、「頭上に」ある容量)である。
【0025】
カーボネートイオン供給源
本発明によると、該組成物は少なくとも約0.25モル/Lの、カーボネートイオン、カルバメートイオン又は炭酸水素イオン又はペルオキシモノカーボネートイオンの供給源又はこれらの任意の混合物を含む。この量は、例えば少なくとも約2.40%(容積百分率)の炭酸アンモニウム(分子量は、96.09g/モルに相当する)を本発明の組成物に追加することにより、又は例えば約1.0%(容積百分率)の炭酸アンモニウム及び少なくとも約1.46%(容積百分率)の炭酸水素カリウム(分子量は、100.12g/モルに相当する)を追加することによって達成することができる。本発明の組成物は、好ましくは約0.4モル/L〜約2.0モル/L、より好ましくは約0.5モル/L〜約1.5モル/Lの、該イオン供給源を含む。
【0026】
本発明の組成物を、個別包装された酸化用成分及び個別包装された第2成分(例えば、脱色又は染色用成分)を含む毛髪染色又は脱色用キットとして使用する場合、該イオン供給源の濃度が、該脱色又は染色用成分中で、成分の混合比に比例して増加し、毛髪に塗布する組成物を提供するために、該成分の混合時に少なくとも約0.25モル/Lの濃度に到達することもまた理解すべきである。
【0027】
これらのイオンのいかなる供給源を利用してもよい。本明細書に用いるのに好適な供給源には、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、カーボネートイオン、カルバメートイオン及び炭酸水素イオンのアンモニウム塩類並びにこれらの混合物、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及びこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
炭酸イオン及び酸化剤の双方の供給源を得るために、過炭酸塩も使用してもよい。カーボネートイオン、カルバメートイオン及び炭酸水素イオンの好ましい供給源は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、カルバミン酸アンモニウム及びこれらの混合物である。
【0029】
本発明の特に好ましい実施形態において、アンモニウムイオン供給源及びカーボネートイオン供給源は、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム又はこれらの混合物等の単一供給源によって提供される。
【0030】
酸化剤
従って、本発明の組成物は、ペルオキシモノカーボネートイオンを形成する。これらのイオンは典型的には、過酸化水素の供給源とカーボネートイオンとの間の反応からその場で形成される。従って、本発明の組成物は、少なくとも1つの酸化剤供給源を含む組成物を含むか又はそれとの組み合わせで使用される。本明細書に用いるのに好ましい酸化剤は、水溶性過酸素酸化剤である。本明細書で定義される時、「水溶性」とは、標準状態で、少なくとも0.1g、好ましくは1g、より好ましくは10gの前記酸化剤が1リットルの脱イオン水に溶解され得ることを意味する。酸化剤は、初期可溶化及びメラニンの脱色(脱色)にとって有益であり、並びに毛幹中での酸化染料前駆体の酸化(酸化染色)を促進する。
【0031】
本発明では、当該技術分野において既知のいずれの酸化剤も使用してよい。好ましい水溶性酸化剤は、水溶液中に過酸化水素を生じさせることができる無機過酸素物質である。水溶性過酸素酸化剤は当該技術分野において周知であり、過酸化水素、無機アルカリ金属過酸化物、例えば過ヨウ素酸ナトリウム及び過酸化ナトリウム、並びに有機過酸化物、例えば過酸化尿素、メラミン過酸化物、及び無機過水和物塩の脱色化合物、例えば過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、過硫酸塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。これらの無機過水和物塩は、一水和物、四水和物などとして組み込まれてもよい。アルキル及びアリール過酸化物、並びに/又はペルオキシダーゼを用いてもよい。所望であれば、2つ以上のこうした酸化剤の混合物を用いることができる。酸化剤は、水溶液で、又は使用前に溶解される粉末として提供されてもよい。本発明の組成物内で使用するのに好ましいのは、過酸化水素、過カーボネート(酸化剤及びカーボネートイオンの両方の供給源を提供するために使用される)、過硫酸塩及びこれらの組み合わせである。
本発明によると、組成物は、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約1重量%〜約7重量%、最も好ましくは約2重量%〜約5重量%の酸化剤を含む。
【0032】
ゲル網状組織増粘剤
本発明によると、毛髪染色及び脱色組成物は、ゲル網状組織増粘系より成る。本発明のゲル網状組織増粘系は、低HLB界面活性剤又は高融点を有する両染性物質の少なくとも1つ、及び以下で述べる追加の第2界面活性剤の少なくとも1つから成る増粘系として定義される。
【0033】
当業者は、該ゲル網状組織増粘系が、網状ラメラ二重膜及び/又は小胞及びしばしば結晶の複雑な構造を通常有していることを理解するであろう。これらの系は通常、クリーム状の外観と手触りを有し、従って特に望ましい。
【0034】
理論に束縛されるものではないが、ゲル網状組織増粘系内での膨潤及び増粘は典型的に、イオン性界面活性剤の静電反発力、又は二重膜に組み込まれた非イオン性界面活性剤のエチレンオキシド鎖の立体反発の結果として達成されると考えられている。しかし、これらの両メカニズムは、高濃度炭酸塩類の存在下で抑制される。意外にも、ゲル網状組織増粘系内の界面活性剤先端基の構造に、必要な特定のものを選択することで、該膨潤、及びその結果増粘効率が達成されることが明らかとなっている。
【0035】
理論に束縛されるものではないが、本発明にて記載のゲル網状組織増粘系界面活性剤は、ゲル網状組織ラメラ二重膜内に適切な幾何学的配置を有し、二重膜の脱膨潤を抑制し、従って粘性損失を避けるものと考えられている。更に、ある種の実施例では、カーボネートの追加が実際に、より大規模なゲル網状組織系の形成を促進して、塩による漸次的増粘をもたらしてもよい。
【0036】
本発明で使用される界面活性剤(類)のHLB(親水性−親油性バランス)は、グリフィン(Griffin)が出版物、化粧品化学会誌(J. Soc. Cosm. Chem.)(第5巻、1954年、249頁)(その開示は本発明において参考として組み込まれる)にて定義した、標準的なHLBである。
【0037】
本発明で使用される界面活性剤(類)の融点は、米国薬局方(US Pharmacopeia)、USP−NFジェネラル・チャプター「溶融温度範囲」に記載されている標準融点法によって測定できる。
【0038】
本発明によれば、低HLBの界面活性剤又は両染性物質は、6以下のHLB及び少なくとも約30℃の融点を有する。代表的実施例は、次の化合物(下記実施例において、「固形」とは、30℃未満の温度での物質の状態を意味する)含む:固形脂肪族アルコール類、固形オキシエチレン脂肪族アルコール類、固形グリコールエステル類、固形オキシエチレンアルキルフェノール類、固形ソルビタンエステル類、固形糖エステル類、固形メチルグルコシドエステル類、固形ポリグリセリンエステル類、固形アルキルグリセリルエーテル類、固形プロピレングリコール脂肪酸エステル類、コレステロール及びセラミド類。
【0039】
好ましくは、該低HLB界面活性剤類は、約14〜30個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖脂肪族アルコール類、約16〜30個の炭素原子及び約2単位以下のエチレンオキシドを含むオキシエチレン脂肪族アルコール類、及び約16〜30個の炭素原子を含む脂肪酸類のグリセロールモノエステル類から選択される。最も好適には、低HLB界面活性剤として、セチル、ステアリル、セトステアリル又はベヘニルアルコール類、ステアレス−2及びグリセロールモノステアレートが挙げられる。
【0040】
ゲル網状組織増粘系の第2界面活性剤は、アニオン性、非イオン性又はカチオン性であってよい。
【0041】
アニオン性界面活性剤は、式RnmYMに従う界面活性剤(式中、Rは、8〜30個の炭素原子を有する、アルキル基、アルケニル基又はアルキルアリール基であり、Xは、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの酸素原子又は窒素原子とを含む極性基であり、Yは、カルボキシレート類、サルフェート類、スルホネート類又はホスフェート類から選択されるアニオン基であり、n及びmは、独立して1又は2であり、Mは、水素又はカチオンを形成する塩である)及びこれらの混合物から選択される。
【0042】
アニオン性界面活性剤の代表的実施例としては、次の化合物の塩類(例えば、ナトリウム塩類、アンモニウム塩類、アミン塩類、アミノアルコール塩類及びマグネシウム塩類のようなアルカリ塩類)が挙げられる:アルキルエーテルカルボキシレート類、アルキルエーテルサルフェート類、アルキルグリセリルスルホネート類、アルキルアミドエーテルサルフェート類、アルキルアリールポリエーテルサルフェート類、アルキルモノグリセリドサルフェート類、アルキルエーテルスルホネート類、アルキルアミドスルホネート類;アルキルサクシネート類、アルキルスルホサクシネート類、アルキルエーテルスルホサクシネート類、アルキルアミドスルホサクシネート類、アルキルスルホサクシナメート類;アルキルスルホアセテート類、アルキルエーテルホスフェート類;アシルサルコシネート類、N−アシルメチルアミノプロピオネート;アシルイセチオネート類、N−アシルタウレート類;アシルレクチレート類;アルキルポリグルコシド類のカルボキシアルキルエーテル;アルキルレシチン誘導体類。これら各種化合物全てのアルキル又はアシルラジカルは、例えば、8〜30個の炭素原子を含み、且つ該アリールラジカルは、例えば、フェニル基及びベンジル基から選択される。
【0043】
好ましくは、該アニオン性界面活性剤は、アルキルエーテルホスフェート類、アルキルエーテルサルフェート類、アルキルグリセリルスルホネート類、N−アシルサルコシネート類、N−アシルタウレート類;アシルレクチレート類及びアルキルポリグルコシド類のカルボキシアルキルエーテルから選択される。更により好ましい界面活性剤類は、平均で1〜20個、好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜3個のエチレンオキシド単位を有するアルキルエーテルホスフェート類から選択される。
【0044】
該ゲル網状組織増粘系にて用いるのに好適な非イオン性界面活性剤としては、7以上のHLBを有し、且つ1つ以上のポリエチレンオキシド鎖であって、ここで、各ポリエチレンオキシド鎖が平均して少なくとも約50個のエチレンオキシド単位を有するものが挙げられる。
【0045】
非イオン性界面活性剤として使用するには、7以上のHLBを有し、ポリエチレンオキシド鎖を含まないものも好適である。ポリエチレンオキシド鎖を含まない非イオン性界面活性剤の代表的実施例としては、ポリグリセロレート化脂肪酸類、ポリグリセロレート化脂肪族アミド類、ポリグリセロレート化アルキルフェノール類、ポリグリセロレート化α−ジオール類、ポリグリセロレート化アルコール類、アルキルポリグルコシド類及び糖エステル類が挙げられる。好ましくは、ポリエチレンオキシド鎖を含まない非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグルコシド類、糖エステル類、ポリグリセリル脂肪酸エステル類、アルキルポリグリセリルエーテル類及びこれらの混合物から選択される。
【0046】
1つ以上のポリエチレンオキシド鎖(ここで、各ポリエチレンオキシド鎖が、平均で少なくとも約50個のエチレンオキシド単位を含有する)を含む非イオン性界面活性剤の代表的実施例としては、次の化合物が挙げられる:ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪族アミド類並びにそれらのモノエタノールアミン及びジエタノールアミン誘導体類並びにポリエトキシレート化脂肪族アミン類(ここで、少なくとも約50個の多数のエチレンオキシド基を有する)及びこれらの混合物。
【0047】
1つ以上のポリエチレンオキシド鎖を含む好ましい非イオン性界面活性剤としては、少なくとも約50個、好ましくは約100〜200個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル類(例えば、ステアレス−100及びステアレス−150)が挙げられる。
【0048】
ゲル網状組織増粘系にて用いるのに好適なカチオン性界面活性剤は、少なくとも約20個の炭素原子を含む脂肪鎖を少なくとも1つ有する、四級アンモニウム塩類又はアミドアミン類、から選択されるカチオン性界面活性剤及びこれらの混合物である。
【0049】
該四級アンモニウム塩類は、一般式N+(R1234)X-
(式中、R1は、約20〜30個の炭素原子を含む直鎖及び分岐ラジカル類から選択され、R2は、約20〜30個の炭素原子又は同一基であるR3〜R4ラジカルを含む直鎖及び分岐ラジカル類から選択され、R3〜R4のラジカルは、同一でも異なっていてもよく、約1〜4個の炭素原子を含む直鎖及び分岐脂肪族ラジカル並びに芳香族ラジカル類例えば、アリール及びアルキルアリールから選択され、該脂肪族ラジカルは、少なくとも1つのヘテロ原子例えば、酸素、窒素、硫黄及びハロゲン元素を含むことができ、該脂肪族ラジカル類は、例えば、アルキル、アルコキシ及びアルキルアミドラジカル類から選択され、式中、X−はハロゲン化合物類(塩化物、臭化物及びヨウ化物など)、(C2〜C6)アルキルサルフェート類(メチルサルフェート、ホスフェート類、アルキル及びアルキルアリールスルホネート類など)から選択されるアニオン、並びに有機酸(アセテート及びラクテートなど)から誘導されるアニオン類である)を有する。カチオン性界面活性剤は、好ましくは例えば、ベヘントリモニウムクロライド、ベヘンアミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、ステアラミドプロピルトリモニウムクロライド、アラキドトリモニウムクロライド及びこれらの混合物から選択される。
【0050】
該アミド−アミンは、一般式R’1−CONH(CH2)nNR’2R’3
(式中、R’1は、約20〜30個の炭素原子を含む直鎖及び分岐ラジカル類から選択され、R’2〜R’3のラジカルは、同一でも異なっていてもよく、水素、約1〜4個の炭素原子を含む直鎖及び分岐脂肪族ラジカル並びに芳香族ラジカル類例えば、アリール及びアルキルアリールから選択され、該脂肪族ラジカルは、少なくとも1つのヘテロ原子例えば、酸素、窒素、硫黄及びハロゲン元素を含むことができ、該脂肪族ラジカル類は、例えば、アルキル、アルコキシ及びアルキルアミドラジカル類から選択され、式中、nは、1〜4の整数である)を有する。該アミド−アミンは、好ましくは例えば、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジエチルアミン(arachidamido-propyidiethylamine)、アラキドアミドエチルジエチルアミン(arachidamidoethyidiethylamine)、アラキドアミドエチルジメチルアミン(arachidamidoethyidimethylamine)、及びこれらの混合物から選択される。
【0051】
本発明の特に好ましいゲル網状組織増粘系としては、約16〜30個の炭素原子及び約2個以下のエチレンオキシドを含むオキシエチレン脂肪族アルコール類並びに少なくとも約50個、好ましくは約100〜150個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル類の組み合わせが挙げられる。本発明の特に好ましい別のゲル網状組織増粘系としては、約14〜30個の炭素原子を含む脂肪族アルコール類及びアルキルエーテルホスフェート類の組み合わせが挙げられる。
【0052】
1つの特に好ましいゲル網状組織増粘系の実施例(本明細書中にて上述した如く、塩による漸次的増粘をもたらす)は、6以下のHLB及び少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1つの低HLB界面活性剤又は両染性物質を含むゲル網状組織増粘系であって、ここで、好ましくはセチル若しくはステアリルアルコール又はこれらの混合物、及び約14〜18個の炭素原子を含み、且つ平均で約1〜5個、好ましくは約1〜3個のエチレンオキシド単位を有するアルキルエーテルホスフェートの少なくとも1つを含む。
【0053】
上述した特定の種別の界面活性剤の2つ以上又は該界面活性剤のあらゆる組み合わせを使用することが可能である。本発明の組成物は、総量で約0.5%〜約30%、好ましくは約1%〜約15%、さらにより好ましくは約2%〜約10%の、ゲル網状組織を形成する界面活性剤類を含んでよい。該低HLB界面活性剤対特定の第2界面活性剤の重量比は、約100:1〜約1:10、好ましくは20:1〜1:2、さらにより好ましくは10:1〜1:1である。
【0054】
ラジカルスカベンジャー
本発明によれば、該組成物は典型的にはラジカルスカベンジャー供給源を含まない。本明細書で使用する時、用語「含まない」とは、ラジカルスカベンジャー供給源を3%未満、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、さらにより好ましくは0.1%、更に一層より好ましくは0.01%、及び更に一層より好ましくは0.001%含み、最も好ましくはこれを実質的に含まない組成物を意味する。
【0055】
本明細書で使用する時、用語「ラジカルスカベンジャー」とは、次の一般式に従う化合物を意味する。(i):R1−Y−C(H)(R3)−R4−(C(H)(R5)−Y−R6n
式中、YはNR2、O、又はS、好ましくはNR2であり、nは0〜2であり、R4は一価又は二価であると共に、(a)置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル系、モノ不飽和若しくはポリ不飽和アルキル系、ヘテロアルキル系、脂肪族系、ヘテロ脂肪族系、又はヘテロオレフィン(heterololefinic)系、(b)置換若しくは非置換の単環式若しくは多環式脂肪族系、アリール系、又は複素環式系、あるいは(c)置換若しくは非置換のモノフルオロ、ポリフルオロ若しくはペルフルオロアルキル系から選択され、(a)、(b)、及び(c)の系は、1〜12個の炭素原子、並びにO、S、N、P、及びSiから選択される0〜5個のヘテロ原子を含み、R4はR3又はR5と結合して5、6、若しくは7員環を作り出すことができ、R1、R2、R3、R5、及びR6は一価であると共に、上述の(a)、(b)、及び(c)、又はHから独立して選択される。
【0056】
好ましくは、R4は、(a)置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル系、ヘテロアルキル系、脂肪族系、ヘテロ脂肪族系、又はヘテロオレフィン系、(b)置換若しくは非置換の単環式若しくは多環式脂肪族系、アリール系、又は複素環式系、あるいは(c)置換若しくは非置換のモノフルオロ、ポリフルオロ若しくはペルフルオロアルキル系から選択され、より好ましくは、R4は、(a)置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル系、ヘテロアルキル系、脂肪族系、又はヘテロ脂肪族系、(b)置換若しくは非置換のアリール系、又は複素環式系、あるいは(c)置換若しくは非置換のモノフルオロ、ポリフルオロ若しくはペルフルオロアルキル系から選択され、より好ましくは、置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル系又はヘテロアルキル系から選択される。
【0057】
好ましくは、本明細書で上述した(a)、(b)、及び(c)のR4系は、1〜8個の炭素原子、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜4個の炭素原子、及び0〜3個のへテロ原子、好ましくは0〜2個のへテロ原子、最も好ましくは0〜1個のへテロ原子を含む。前記系がへテロ原子を含む場合、前記系が1個のへテロ原子を含むのが好ましい。好ましいへテロ原子としては、O、S、及びNが挙げられ、より好ましいのはO及びNであり、最も好ましいのはOである。
【0058】
好ましくは、R1、R2、R3、R5、及びR6は、上記のR4について定義された系のいずれかから、及びHから独立して選択される。
【0059】
別の実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6基のいずれかは置換されている。好ましくは、置換基(類)は、(a)(i)置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル系、モノ不飽和若しくはポリ不飽和アルキル系、ヘテロアルキル系、脂肪族系、ヘテロ脂肪族系、又はヘテロオレフィン系、(ii)置換若しくは非置換の単環式若しくは多環式脂肪族系、アリール系、又は複素環式系、あるいは(iii)置換若しくは非置換のモノフルオロ、ポリフルオロ若しくはペルフルオロアルキル系から成るC結合型の一価の置換基の群であって、前記(i)、(ii)、及び(iii)の系は、1〜10個の炭素原子、並びにO、S、N、P、及びSiから選択される0〜5個のヘテロ原子を含むC結合型の一価の置換基の群、(b)SA1、SCN、SO21、SO31、SSA1、SOA1、SO2NA12、SNA12、及びSONA12から成るS結合型の一価の置換基の群、(c)OA1、OCN及びONA12から成るO結合型の一価の置換基の群、(d)NA12、(NA123+、NC、NA1OA2、NA1SA2、NCO、NCS、NO2、N=NA1、N=NOA1、NA1CN、NA1NA23から成るN結合型の一価の置換基の群、(e)COOA1、CON3、CONA12、CONA1COA2、C(=NA1)NA12、CHO、CHS、CN、NC、及びXから成る一価の置換基の群、並びに(f)1〜12個の炭素原子及び0〜4個のヘテロ原子を含むモノフルオロ、ポリフルオロ若しくはペルフルオロアルキル系から成るフルオロアルキルの一価の置換基から成る群から選択される。
【0060】
上述の(b)〜(e)の群では、A1、A2及びA3は一価であり、(1)H、(2)置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル系、モノ不飽和若しくはポリ不飽和アルキル系、ヘテロアルキル系、脂肪族系、ヘテロ脂肪族系、又はヘテロオレフィン系、(3)置換若しくは非置換の単環式若しくは多環式脂肪族系、アリール系、又は複素環式系、あるいは(4)置換若しくは非置換のモノフルオロ、ポリフルオロ若しくはペルフルオロアルキル系から独立して選択され、前記(2)、(3)、及び(4)の系は、1〜10個の炭素原子、並びにO、S、N、P、及びSiから選択される0〜5個のヘテロ原子を含み、XはF、Cl、Br及びIから成る群から選択されるハロゲンである。
【0061】
本明細書に用いるのに好ましい置換基には、ハメット・シグマ・パラ(Hammett Sigma Para)(σp)値−0.65〜+0.75、好ましくは−0.4〜+0.5を有するものが挙げられる。ハメット・シグマ値(Hammett Sigma Values)は、「上級有機化学−反応、機構、及び構造(Advanced Organic Chemistry−Reactions,Mechanisms and Structure)」(ジェリー・マーチ(Jerry March)著、第5版、2001年、368〜375ページ)に記載されている。理論に制限されるものではないが、その選択された範囲のシグマパラ値を有する置換基は、R1及び/又はR2上に置換された場合に、分子の毛幹浸透能を妨げることのある好ましくないない分子量の増加を過度に加えることなく、化合物の毒物学的特性を改善することがあると考えられている。いくつかの好ましい置換基及びそれらのハメット・シグマ・パラ値を次の表Aに示す。追加の置換基及びそれらの値は、マーチ(March)による書籍、370頁に示されている。
【0062】
【表1】

【0063】
好ましくは、上記で定義したラジカルスカベンジャーは、窒素のプロトン化を防止するために、7を超えるpKaを有する。
【0064】
好ましくは、更に、本発明は次の一般式(ii):
【0065】
【化1】

(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ、H、COO-+、Cl、Br、SO3-+、NO2、OCH3、OH、又はC1〜C10の一級若しくは二級アルキルから独立して選択され、MはH又はアルカリ金属のいずれかである)に従うラジカルスカベンジャー類を含まない。好ましくは、ヒドロキシ基(hydroxy goup)のプロトン化を確実にするために、上述したラジカルスカベンジャーは、8.5超のpKaを有する。
【0066】
好ましくは、更に、本発明は(iii)ベンジルアミン、イミダゾール、ジ−tert−ブチルヒドロキシトルエン、ハイドロキノングアニン、ピラジン、ピペリジン、モルホリン、メチルモルホリン、2−メチルオキシエチルアミン(2methyoxyethylamine)、及びこれらの混合物の群から選択されるようなラジカルスカベンジャー類を含まない。
【0067】
更に一層好ましくは、本発明は炭酸塩ラジカルと反応して、その炭酸塩ラジカルを一連の速い反応によって、より反応性の低い種、即ち炭酸塩ラジカルスカベンジャーへと変換させることのできる種として定義されたラジカルスカベンジャーを含まない。
【0068】
理論に束縛されるものではないが、ラジカルスカベンジャーが炭酸塩ラジカルを変換する能力(上述の通り)は、以下に示す電荷移動反応のエネルギーに依存すると考えられている。(電荷移動反応のエネルギー計算については、詳細に後述する。)
スカベンジャー+CO3* → スカベンジャー*-+CO32-
式中、反応エネルギーは、次によって定義される。
【0069】
ΔHr=ΔHf(生成物)−ΔHf(反応体)
=ΔHf(スカベンジャー*+)+ΔHf(CO32-)−ΔHf(スカベンジャー)−ΔHf(CO3*-
本発明によれば、該組成物は、約0kcal/モル〜約14kcal/モル、好ましくは約1.5kcal/モル〜約9kcal/モルの反応エネルギーを有するラジカルスカベンジャーを含まない。
【0070】
追加成分
本発明の組成物としては、毛髪染色剤例えば、酸化染料前駆体等、非酸化的の予め形成された染料、追加の増粘剤及び/又はレオロジー調整剤、溶剤、酵素、追加の界面活性剤、コンディショニング剤、担体類、酸化防止剤、安定剤、キレート剤、パーマ用活性物質、香料、還元剤(チオ乳酸)、毛髪膨潤剤類及び/又はポリマー類を更に含む追加成分が挙げられるが、これらに限定するものではない。これら追加成分のいくつかについては、後で詳細に述べる。
【0071】
アルカリ化剤供給源
本発明によれば、組成物は任意に少なくとも1つのアルカリ化剤供給源、好ましくはアンモニウムイオン供給源及び/又はアンモニアを含んでもよい。特に好ましいアルカリ化剤は、アンモニウムイオンの供給源をもたらすものである。いずれのアンモニウムイオン供給源も本明細書で用いるのに好適である。好ましい供給源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、過炭酸塩、アンモニア、及びこれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、アンモニア、及びこれらの混合物である。本発明の組成物は、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.5重量%〜約5重量%、最も好ましくは約1重量%〜約3重量%のアルカリ化剤、好ましくはアンモニウムイオンを含んでもよい。
【0072】
好ましくは、存在する場合は、アンモニウムイオン及びカーボネートイオンは、該組成物中に3:1〜1:10、好ましくは2:1〜1:5の重量比で存在する。
【0073】
好ましくは、本発明の組成物は、約9.5〜約7.5、より好ましくは約9.5〜約8.4、最も好ましくは約9.4〜約8.5、更に一層好ましくは約9.0のpHを有する。
【0074】
該組成物のpHは、メトラートレド社(Mettler Toledo)製MP220又はMP225pH装置(実験室用標準pH電極を装着)を使用して測定できる。該装置は、各回使用前に、較正用標準緩衝剤及び標準較正手順を使用して較正される。
【0075】
毛髪染料
本発明の毛髪染色組成物は、好ましくは、酸化染色組成物を含む毛髪染色組成物である。こうした組成物は、多様な毛髪の色を毛髪に送達する酸化毛髪染料前駆体(一次中間体としても知られる)を含む。これらの小さい分子は酸化剤により活性化され、更なる分子と反応してより大きい染色錯体を毛幹中に形成する。
【0076】
前駆体は、単独で又は他の前駆体と組み合わせて用いることができ、1つ以上の前駆体を1つ以上のカップラーと組み合わせて用いることもできる。カップラー(色調整剤又は二次中間体としても知られる)は、一般に、活性化された前駆体類の存在下で色を形成できる無色の分子類であり、特定の色の効果を生成するため又は色を安定化させるために、他の前駆体類又はカップラー類と共に使用される。前駆体及びカップラーの選択は、所望の染色の色、色相及び強度により決定される。前駆体及びカップラーを、本明細書において、単一で又は組み合わせにより用いて、灰色がかったブロンド色(blondee)から黒までの範囲の多様な色相を有する染料を提供することができる。
【0077】
これらの化合物は、当該技術分野において周知であり、芳香族ジアミン類、アミノフェノール類、芳香族ジオール類及びこれらの誘導体が挙げられる(酸化的染料前駆体の代表的ではあるが非包括的なリストは、「化粧品の科学及び技術(Cosmetic Science and Technology)」(サガリン(Sagarin)著、インターサイエンス(Interscience)、特別版、第2巻、308〜310頁)に見出すことができる)。以下に述べる前駆体は、例示のためだけのものであり、本明細書の組成物及びプロセスを限定する目的でないことを理解すべきである。以下のものが挙げられる。
【0078】
1,7−ジヒドロキシナフタレン(1,7−ナフタレンジオール)、1,3−ジアミノベンゼン(m−フェニレンジアミン)、1−メチル−2,5−ジアミノベンゼン(トルエン−2,5−ジアミン)、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,3−ジヒドロキシ−4−クロロベンゼン(4−クロロレゾルシノール)、1−ヒドロキシ−2−アミノベンゼン(o−アミノフェノール)、1−ヒドロキシ−3−アミノベンゼン(m−アミノフェノール)、1−ヒドロキシ−4−アミノ−ベンゼン(p−アミノフェノール)、1−ヒドロキシナフタレン(1−ナフトール)、1,5−ジヒドロキシナフタレン(1,5−ナフタレンジオール)、2,7−ジヒドロキシナフタレン(2,7−ナフタレンジオール)、1−ヒドロキシ−2,4−ジアミノベンゼン(4−ジアミノフェノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)、1−ヒドロキシ−4−メチルアミノベンゼン(p−メチルアミノフェノール)、6−ヒドロキシベンゾ−モルホリン(ヒドロキシベンゾモルホリン)、1−メチル−2−ヒドロキシ−4−アミノベンゼン(4−アミノ−2−ヒドロキシ−トルエン)、3,4−ジアミノ安息香酸(3,4−ジアミノ安息香酸)、1−メチル−2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン(2−メチル−5−ヒドロキシ−エチルアミノ−フェノール)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(1,2,4−トリヒドロキシベンゼン)、1−フェノール−3−メチルピラゾール−5−オン(フェニルメチルピラゾロン)、1−(2’−ヒドロキシエチルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン(2,4−ジアミノフェノキシ−エタノールHCl)、1−ヒドロキシ−3−アミノ−2,4−ジクロロベンゼン(3−アミノ−2,4−ジクロロ−フェノール)、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン(2−メチルレゾルシノール)、1−アミノ−4−ビス−(2’−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン(N,N−ビス(2−ヒドロキシ−エチル)−p−フェニレン−ジアミン、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン(HCレッド16)、1−ヒドロキシ−3−メチル−4−アミノベンゼン(4−アミノ−m−クレゾール)、1−ヒドロキシ−2−アミノ−5−メチルベンゼン(6−アミノ−m−クレゾール)、1,3−ビス−(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン(1,3−ビス−(2,4−ジアミノ−フェノキシ)−プロパン)、1−(2’−ヒドロキシエチル)−2,5−ジアミノベンゼン(ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミンサルフェート)、1−メトキシ−2−アミノ−4−(2’−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン(2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール)、1−ヒドロキシ−2−メチル−5−アミノ−6−クロロベンゼン(5−アミノ−6−クロロ−o−クレゾール)、1−ヒドロキシ−2−アミノ−6−メチルベンゼン(6−アミノ−o−クレゾール)、1−(2’−ヒドロキシエチル)−アミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン(ヒドロキシエチル−3,4−メチレンジオキシ−アニリンHCl)、2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン(2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン)、3,5−ジアミノ−2,6−ジメトキシピリジン(2,6−ジメトキシ−3,5−ピリジンジアミン)、5,6−ジヒドロキシインドール(5,6−ジヒドロキシ−インドール)、4−アミノ−2−アミノメチルフェノール(2−アミノエチル−p−アミノ−フェノールHCl)、2,4−ジアミノ−5−メチルフェネトール(2,4−ジアミノ−5−メチル−フェネトールHCl)、2,4−ジアミノ−5−(2’−ヒドロキシエチルオキシ)トルエン(2,4−ジアミノ−5−メチルフェノキシエタノールHCl)、5−アミノ−4−クロロ−2−メチルフェノール(5−アミノ−4−クロロ−o−クレゾール)、4−アミノ−1−ヒドロキシ−2−(2’−ヒドロキシエチルアミノメチル)ベンゼン(ヒドロキシエチルアミノメチル−p−アミノフェノールHCl)、4−アミノ−1−ヒドロキシ−2−メトキシメチルベンゼン(2−メトキシメチル−p−アミノフェノールHCl)、1,3−ビス(N(2−ヒドロキシエチル)−N−(4−アミノ−フェニル)アミノ)−2−プロパノール(ヒドロキシプロピル−ビス−(N−ヒドロキシ−エチル−p−フェニレンジアミン)HCl)、6−ヒドロキシインドール(Hydorxyindole)(6−ヒドロキシ−インドール)、2,3−インドリンジオン(イサチン)、3−アミノ−2−メチルアミノ−6−メトキシピリジン(HCブルー7号)、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン−2,4−ジヒドロ−5,2−フェニル−3H−ピラゾール−3−オン、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン(2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン)、5−アミノ−サリチル酸、1−メチル−2,6−ビス(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)ベンゼン(2,6−ヒドロキシエチルアミノ−トルエン)、4−ヒドロキシ−2,5,6−トリアミノピリミジン(2,5、6−トリアミノ−4−ピリミジノールサルフェート)、2,2’−[1,2−エタンジイル−ビス−(オキシ−2,1−エタンジイルオキシ)]−ビス−ベンゼン−1,4−ジアミン(PEG−3,2’,2’−DI−p−フェニレンジアミン)、5,6−ジヒドロキシインドリン(ジヒドロキシインドリン)、N,N−ジメチル−3−ウレイドアニリン(m−ジメチル−アミノ−フェニル尿素)、2,4−ジアミノ−5−フルオロトルエンサルフェート水和物(4−フルオロ−6−メチル−m−フェニレンジアミンサルフェート)及び1−アセトキシ−2−メチルナフタレン(1−ヒドロキシエチル(HYDROXYYETHYL)−4,5−ジアミノピラゾールサルフェート)。これらは、分子形態又は過酸化物適合性塩の形態で使用することができる。
【0079】
本発明の毛髪染色組成物としては、非酸化的毛髪染料即ち、単独で又は上述した酸化的染料と組み合わせて使用してもよい直接染料も挙げられる。好適な直接染料には、アゾ又はアントラキノン染料、及びベンゼン系のニトロ誘導体及び/又はメラニン前駆体、及びこれらの混合物が挙げられる。このような直接染料は、色相改質又はハイライトを送達するのに特に有用である。特に好ましいものは、塩基性赤51、塩基性橙31、塩基性黄87及びこれらの混合物である。
【0080】
本発明の毛髪染料組成物は、一般的に、約0.001%〜約10%の染料を含む。例えば、低強度の染色、例えば自然な金髪から薄茶色の毛髪の色合いを提供する組成物は、一般に染色組成物の約0.001重量%〜約5重量%、好ましくは約0.1重量%〜約2重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約1重量%の前駆体及びカップラーを含む。より暗い色相、例えば茶色及び黒は、典型的には、0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.05重量%〜約7重量%、より好ましくは約1重量%〜約5重量%の前駆体及びカップラーを含む。
【0081】
界面活性剤
本発明の組成物は、少なくとも約0.01%のゲル網状組織増粘系内にて利用される追加の界面活性剤を1つ以上更に含んでよい。本明細書に用いるのに適した界面活性剤は、一般に、約8〜約30個の炭素原子の親油性の鎖長を有し、且つアニオン性、非イオン性、両性及びカチオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物から選択されることができる。
【0082】
ポリマー
本発明の組成物は、所望により、少なくとも約0.01%のポリマーを更に含んでよい。該ポリマーは、例えば結合ポリマー、架橋アクリル酸ホモポリマー、(メタ)クリル酸及び(C1〜C6)アルキルアクリレートの架橋コポリマー又はポリサッカライドから選択されることができる。該ポリマーは、下記のように、コンディショニング剤として使用してもよい。該ポリマーは、一般に組成物の、約0.01重量%〜約20.0重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の濃度で用いられる。
【0083】
コンディショニング剤
本発明の組成物は、コンディショニング剤を含む組成物を含んでもよく、又はそれとの組み合わせにおいて用いられてもよい。本明細書に用いるのに好適なコンディショニング剤は、シリコーン物質、アミノシリコーン類、脂肪族アルコール類、ポリマー樹脂類、ポリオールカルボン酸エステル類、カチオン性ポリマー類、カチオン性界面活性剤、不溶性の油及び油に由来する物質、並びにこれらの混合物から選択される。追加の物質としては、鉱油類及びその他の油類、例えばグリセリン及びソルビトールが挙げられる。
【0084】
コンディショニング剤は、一般に組成物の約0.05重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約15重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約10重量%、更により好ましくは約0.2重量%〜約2重量の濃度で用いられる。
【0085】
特に有用なコンディショニング物質は、カチオン性ポリマー類及びシリコーン類である。カチオン性ポリマー型のコンディショナーは、化粧品組成物で処理されたケラチン繊維の化粧品特性の少なくとも1つを改善するものとして当業者に既知のものから選択されてもよい。カチオン性ポリマーは、一級、二級、三級及び四級アミン基であって、ポリマー主鎖の一部を形成するか又はポリマー主鎖に直接結合する側鎖置換基に含まれる場合のあるアミン基から選択される少なくとも1つのアミン基の単位を含むものから選択することができる。
【0086】
シリコーン類は、ポリアルキルシロキサン油類、トリメチルシリル又はヒドロキシジメチルシロキサン末端基を含有する直鎖ポリジメチルシロキサン(polydiemthylsiloxane)油類、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルフェニルシロキサン又はポリジメチルジフェニルシロキサン油類、シリコーン樹脂類、その一般的構造中に、1つ又は多数の有機官能基(類)(同一又は異なり、該シロキサン鎖に直接結合している)を有する有機官能シロキサンから選択されることができる。該有機官能基(類)は、:ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロプレンオキシ基、(ペル)フルオロ基、チオール基、置換又は非置換のアミノ基、カルボキシレート基、ヒドロキシル化された基、アルコキシル化された基、クオタニウムアンモニウム基、両性及びベタイン(betain)基から選択される。該シリコーンは、ニート流体又は予め形成されたエマルションの形態のどちらか一方にて使用することができる。
【0087】
キレート剤
本発明によると、組成物はキレート化剤を含んでよい。キレート剤は、当該技術分野において周知であり、各々が金属イオンとキレートを形成できる分子又は異なった分子の混合物を指す。キレート化剤は、当該技術分野において周知であり、その非包括的なリストは、AE・マーテル(AE Martell)及びRM・スミス(RM Smith)著、「臨界安定度定数(Critical Stability Constants)」(第1巻、プレナム出版社(Plenum Press)(ニューヨーク&ロンドン(1974年))、並びにAE・マーテル(AE Martell)及びRD・ハンコック(RD Hancock)著、「水溶液中の金属錯体(Metal Complexes in Aqueous Solution)」(プレナム出版社(Plenum Press)(ニューヨーク&ロンドン)、1996年刊)に見出すことができ、両者共、本明細書に参考として組み込まれる。
【0088】
本明細書に用いるのに適したキレート剤の例には、EDDS(エチレンジアミン二コハク酸)、カルボン酸(特に、アミノカルボン酸)、ホスホン酸(特に、アミノホスホン酸)及びポリリン酸(特に、直鎖ポリリン酸)、それらの塩及び誘導体が挙げられる。
【0089】
キレート剤は、本発明の組成物中に安定剤及び/又は防腐剤として組み込まれてもよい。加えて、キレート剤は、毛髪繊維の損傷について効果を提供し、従ってそれらは本発明の毛髪損傷の様相を更に改善するために使用されてもよいことが判明している。本発明のキレート化剤の濃度は、ジアミン−N,N’−ジポリ酸及びモノアミンモノアミド−N,N’−ジポリ酸キレート化剤(例えばEDDS)のような最も有効なキレート化剤を例として、約0.1%、好ましくは少なくとも約0.25%、より好ましくは約0.5%の低さであってもよい。より有効でないキレート剤は、キレート剤の有効性によって、より好ましくは、組成物の少なくとも約1重量%、更により好ましくは約2重量%を超える濃度で用いられる。約10重量%の高さの濃度を用いることもできるが、この濃度を超えると、著しい処方の問題が生じる場合がある。
【0090】
溶媒
本発明の組成物にて使用するのに適した適した溶剤としては、水、ブトキシジグリコール、プロピレングリコール、アルコール(変性)、エトキシジグリコール、イソプロピルアルコール、ヘキシレングリコール、ベンジルアルコール及びジプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定するものではない。最後に、本発明の組成物は、従って典型的には、水性組成物として提供される。本発明の組成物は、典型的には溶媒の少なくとも約10重量%、好ましくは約20重量%、より好ましくは約30重量%、最も好ましくは約50重量%で含まれる。
【0091】
使用方法
本明細書に記載される方法の実施例及び実施形態の使用は、単に例示することが目的であり、本発明の範囲から逸脱することなくその種々の変更又は変形が当業者に提示されることは理解される。
【0092】
酸化毛髪染料組成物は、別個の容器など、個別包装された成分において、酸化染料、前駆体、及び典型的には適したキャリア中のアンモニアであるアルカリ化剤を含む染料成分(エマルションは「染料クリーム」又は溶液は「染料液」とも呼ばれる)、並びに酸化剤(通常は、過酸化水素)を含む過酸化水素成分(同様にエマルションは「過酸化水素クリーム」又は溶液は「過酸化水素液」とも呼ばれる)を含むキットにおいて通常販売される。消費者は、染料成分及び過酸化水素成分を、使用直前に混合し、毛髪上へ塗布する。
【0093】
同様に、脱色組成物もまた、典型的には2個又は3個の別個の容器の中に個別包装された2つ又は3つの成分を含むキットとして通常販売される。第1の成分はアンモニウムイオン供給源(例えば、アンモニア)を含み、第2の成分は酸化剤を含み、及び第3(任意)の成分は第2の酸化剤を含む。脱色組成物は、上記の組成物を使用直前に混合することにより得られる。
【0094】
(毛髪全てへの均一な塗布を保証するため)数分間混合物を処理した後、染色が起きるために十分な量で酸化染料組成物を毛髪上に残留させる(通常、約2〜60分、典型的には約30〜45分)。次に、消費者は、彼/彼女の毛髪を水で完全にすすいで、それを乾燥させる。毛髪が元の色から所望する色に変化したことを確認できる。
【0095】
酸化染料組成物及び脱色組成物中に存在する時、任意のコンディショニング剤が第3の容器において提供され得る。後者の場合、すべての3つの組成物は使用直前に混合され共に塗布されることができるか、又は第3の容器中の内容物は、他の容器の混合の結果として得られる酸化染料組成物又は脱色組成物の直後の後処置として、(任意のすすぎ工程の後に)塗布され得る。
【0096】
酸化的毛髪染料組成物の場合、該ゲル網状組織増粘系は染料成分内若しくは過酸化水素成分内又は両方の成分内に含まれてもよい。
【0097】
従って、得られる本発明の毛髪染色又は脱色組成物は、1Pa・s(1,000cPs)〜60Pa・s(60,000cPs)、好ましくは2Pa・s(2,000cPs)〜30Pa・s(30,000cPs)、最も好ましくは3Pa・s(3,000cPs)〜25Pa・s(25,000cPs)の粘度を有する。更に、混合に先だって、該毛髪染料成分(成分2)は、1Pa・s(1,000cPs)未満の粘度を有してもよく、このような組成物はしばしば「薄−薄」又は「液体」着色剤と言われる。得られる、酸化性成分及び染料成分(i)及び(ii)(換言すれば、毛髪染色又は脱色組成物)の混合物の粘度は、1Pa・s(1,000cPs)〜60Pa・s(60,000cPs)、好ましくは2Pa・s(2,000cPs)〜30Pa・s(30,000cPs)、より好ましくは3Pa・s(3,000cPs)〜25Pa・s(25,000cPs)である。粘度は、円錐及びプレートを装備したブルックフィールド(Brookfield)粘度計を使用して測定する。0Pa・s(0cPs)〜12Pa・s(12,000cPs)の範囲内の粘度の場合は、S42プレート装備のブルックフィールド(Brookfield)DV−11粘度計を使用する。該組成物の2mL試料を、26.7℃にて3分間平衡に保ってから、0.1rad/s(1rpm)単位で値を読み取る。12Pa・s(12,000cPs)〜50Pa・s(50,000cPs)の範囲内の粘度の場合は、S52プレート装備のブルックフィールド(Brookfield)DV−1粘度計を使用する。該組成物の0.5mL試料を、26.7℃にて1分間平衡に保った後、0.1rad/s(1rpm)単位で値を読み取る。
【0098】
本発明は更に、毛髪の着色又は脱色の該方法が、少なくとも1つの酸化剤、カーボネートイオン、カルバメートイオン、又は炭酸水素イオン、及びこれらの混合物の供給源の少なくとも1つ、並びに上記で定義したようなゲル網状組織増粘系を含み、ラジカルスカベンジャー類を含まない組成物を塗布することから成る実施形態も含み、該組成物を毛髪に塗布する時間の少なくとも約50%については、該組成物は好ましくは9.5以下のpHを有する。
【0099】
本発明によれば、毛髪を染色又は脱色する方法は、該組成物を毛髪に塗布し、好ましくは該混合物を2〜3分間作用させる(毛髪全体に均一に塗布するため)実施形態も含む。次に、色を発現させるために、約20分未満、好ましくは約15分未満、より好ましくは約5分から約10分、最も好ましくは約10分の時間、該組成物を毛髪上に残留させる。消費者は、その後、彼/彼女の毛髪を水で完全にすすいで、乾燥させ、毛髪を通常通り整髪する。このような方法は、より短時間での染色又は脱色プロセスを可能にすることで、消費者に更なる利便性を提供する。
【0100】
本発明の代替的実施形態によれば、毛髪の染色及び/又は脱色方法は、酸化的毛髪染色又は毛髪脱色を順次行う方法であり、少なくとも2つの酸化的毛髪染色又は毛髪脱色処理を順次行い、各処理間の時間が1〜60日、好ましくは1〜40日、より好ましくは1〜28日、更により好ましくは1〜14日、最も好ましくは1〜7日である工程を含む。このような実施形態においては、頭上に組成物を保持するのは約20分未満の時間でもよく、好ましくは約10分未満、最も好ましくは約2分〜約5分である。本方法により、消費者は、従来の毛髪洗浄又はコンディショニングプロセスに類似した形で、染色又は脱色プロセスを実施することができる。
【0101】
以上に記載されたキットは、当該技術分野において周知であり、各容器内の組成物は、標準的手法のいずれか1つを使用して製造でき、これらには、a)「水中油型」プロセス、b)「転相」プロセス、及びc)「1ポット」プロセスが挙げられる。例えば、「水中油型」プロセスを使用する場合、本発明の界面活性剤は約90℃にて、組成物の水の総量の約50%まで加え、15〜30分間かけて均質化させ、次に室温まで冷却し、これによってゲル網状組織増粘剤プレミックスを形成する。次に、このプレミックスを冷却されたまま残りの水、他の任意的成分及び酸化剤又はカーボネートイオン、カルバメートイオン若しくは炭酸水素イオンと混合し、これによって上述の脱色又は着色用キットの第1又は第2部分を形成する。
【0102】
本発明は、各種のパッケージ用及び小出し用器具にて実施されてもよい。これらの小出し用器具は、独立して又は互いに組み合わせて使用できる個別の器具の形態で実現できる。典型的には、該毛髪染色又は脱色組成物は、使用前に組成物を別々に保存できるように、分離した単独又は複数の区画容器に収納される。該組成物は、次に、混合手段によって一緒に混合され、次に塗布手段によって消費者の毛髪に塗布される。
【0103】
本発明で使用することが可能である最も一般的なパッケージング用器具は、顕色剤を、ボトル、チューブ、エアゾール、又は袋のような容器内に保存すること、及び染料ローションを顕色剤容器内の追加の区画内に、又は同一であることができる別個の容器(例えば、2つの部分からなる小袋又はエアゾールシステム)又はボトル及びチューブシステムのような異なる別個の容器内に個別に保存することを含む。
【0104】
消費者は、顕色剤ローション及び染料ローションを任意の手段にて混合してよい。これには、単純に混合用ボウルを使用して、その中へローションを分配し、好ましくは器具などの混合手段を用いて混合することが含まれる。あるいは、他のローションの容器内へローションの1つを追加して(典型的には、染料ローションは顕色剤ローションへ追加される)、次に手で振って混合するか、又は器具を使って混合してもよい。別のシステムは、単独の容器又は袋内の染料及び顕色剤ローションの分離隔室間にあるシールの穿孔又は変位と、続いて容器内又は別個及び/又は追加の容器内にて手動で混合することも含む。
【0105】
このような器具の一例は、いわゆる「ツイスト&ゴー(twist and go)」器具である。これらの器具によって、消費者は、染料を含む容器の底をひねって、連結部分を開き、染料を含むボトルの底と顕色剤を含むボトルの最上部を接触させることができる。2つの成分は混合され、消費者は分配用のボトルの可撓性最上部を絞って、製品を分配する。
【0106】
あるいは、ローションが分配の動きによって混合される、より複雑な器具を利用してもよい。このような複雑なシステムの例は、2つの部分からなるエアゾールシステム例えば、缶入りの袋(bag-in-can)又はピストンである。染料及び顕色剤は、1個の器具の中にある2個のエアゾール缶に別々に保管され、噴射剤を使って缶又は缶の中のバッグ又はピストン内の内容物に圧力を加え、バルブが分配をコントロールする。消費者がバルブを動かすと、染料及び顕色剤が同時に缶から分配され、製品を毛髪上に分配する直前に静的ミキサーによって共に混合される。染料対顕色剤の比は、製品の粘度、缶圧力、又はバルブを通る流路寸法の変更によって操作できる。更に、製品は泡立て、ムース状で送り出すことができる。
【0107】
このような複雑なシステムの別の実施例は、デュアルピストンスクリューシステムを利用する。染料及び顕色剤は、システム内の別個のピストンシリンダーシステムに保持され、消費者がボタンを作動させると、2個のスクリューが回転し、内部のデュアルピストンがシリンダー内の液体に圧力を加え、従って製品が混合ステーションに移動させられて、分配用ノズルから出る。染料対顕色剤の比は、包装容器の円筒直径によって操作できる。更に、混合を手助けするため、直列型静的ミキサーを使用することが可能であり、このようなシステムは完全に使い捨て又は完全に詰め替え可能であることができる。
【0108】
更に別のシステムは、1つ以上の手動ポンプを利用する。製品は、折り畳み可能な袋の中で予め混合してもよい。消費者がポンプを作動させると、ポンプ内の液体が分配される。手動で作動させたポンプが直立位置に戻ると、それは製品を折り畳み可能な袋から押し出す。あるいは、染料及び顕色剤ローションを毛髪に送達するために2個の袋及び2個のポンプを使用するデュアルシステムを取り付けることができる。あるいは、2個の袋に接続された単一ポンプが、ポンプ内に混合箇所を組み込むことによって、製品を送達することができる。他の実施例は、製品をポンプシステムに接続するために、剛性ボトル及びディップチューブを使用する。最終的に、ボトル内層がボトル外層から分離してボトル内容物を空にすることができる、層状に剥離するボトルを手動ポンプと組み合わせてを使用することが可能である。
【0109】
典型的には、これらの複雑なシステムは、製品の配置とは独立して、製品を塗布できるという利点がある。
【0110】
本明細書中にて上述した器具は、毛髪上への製品塗布を手助けするための、製品送出及び/又は塗布用具と組み合わせて使用することもできる。又、これらの器具は、容器又は櫛やブラシのような別個のアプリケーター器具の1つにノズルが取り付けられているという非常に単純な性質のものであってもよい。このような櫛及びブラシは、素早くむらのない適用範囲又は根元/生え際のタッチアップ又はハイライト又はストリークにするかどうかという特定の効果を得るために、用いることができる。あるいは、容器又は容器の1つには、櫛を取り付けてもよく、又は分配用ノズルの代わりに櫛を取り付けてもよく、製品は中空の櫛の歯及び櫛の歯に設けられた分配用開口部を通って分配される。櫛の歯は、製品塗布及び特に根元から先端への均一性を向上させるため、櫛の歯に沿った単一又は複数の開口部と共に提供されてもよい。製品の分配は、例えば、層状剥離ボトル又は上述した任意のメカニズムによって容器に加えられた機械的圧力によって行うことができる。該櫛は、例えば、塗布を更に容易にするために容器上に取り付けられてもよく、垂直に配置されてもよく(いわゆるバーティコーム(verticomb))又は消費者があらゆる領域に届くような角度で取り付けられてもよい。全ての器具は、消費者に毛髪への塗布のための一連の異なった用具を提供できるように、互いに交換可能になるように設計されてもよい。
【0111】
塗布するための器具は、特定の効果例えば、ハイライト、例えば、ハイライト用の櫛、ブラシ、及び用具並びにハイライト用キャップの手助けを実現するための器具も含んでよい。
【0112】
更なる器具の技術を、製品が毛髪内に浸透するのを手助けするために使用することができる。このような技術の例としては、加熱器具、紫外線器具及び超音波器具が挙げられる。
【実施例】
【0113】
次の例は、本発明の酸化的染料組成物を示す。本明細書に記載される実施例及び実施形態は、単に例示することが目的であり、本発明の範囲から逸脱することなくその種々の変更又は変形が当業者に提示されることは理解される。
【0114】
実施例1〜10(混合組成物)
【0115】
【表2】

【0116】
これらの組成物の粘度は、1Pa・s(1,000cPs)〜60Pa・s(60,000cPs)の範囲内である。
【0117】
実施例11〜12
次の毛髪染色組成物が調製される(パートA):
【0118】
【表3】

【0119】
実施例11(パートA)の組成物の粘度は、1Pa・s(1,000cPs)未満であり、即ちそれはパート06の「薄−薄」組成物である。実施例12(パートA)の組成物の粘度は、1Pa・s(1,000cPs)〜60Pa・s(60,000cPs)の範囲内であり、即ちそれは「薄−薄」組成物である。
【0120】
次の顕色剤組成物が調製される(パートB):
【0121】
【表4】

【0122】
パートA及びパートBは、毛髪上への塗布前に混合され、混合剤の粘度は、1Pa・s(1,000cPs)〜60Pa・s(60,000cPs)の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪染色又は脱色組成物であって、
(i)少なくとも0.25モル/Lの、カーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオン又はペルオキシモノカーボネートイオン及びこれらの混合物の供給源、
(ii)少なくとも1つの酸化剤及び
(iii)6以下のHLB及び少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質を含む少なくとも1つのゲル網状組織増粘系であって、次から選択される少なくとも1つの界面活性剤を更に含むもの:
(a)式RnmYMに従うアニオン性界面活性剤(式中、Rは独立して8〜30個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基又はアルキルアリール基から選択され;Xは、独立して、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの酸素原子又は窒素原子とを含む極性基から選択され、Yは、カルボキシレート類、サルフェート類、スルホネート類又はホスフェート類から選択されるアニオン基であり、n及びmは、独立して1又は2であり、Mは、水素又はカチオンを形成する塩である)及びこれらの混合物;
(b)7以上のHLBを有し、且つ1つ以上のポリエチレンオキシド鎖を含む非イオン性界面活性剤であって、ここで、各ポリエチレンオキシド鎖が平均して少なくとも50個のエチレンオキシド単位を有するもの及びこれらの混合物;
(c)7以上のHLBを有する非イオン性界面活性剤であって、ポリエチレンオキシド鎖を含まないもの及びこれらの混合物;
(d)少なくとも20個の炭素原子を含む脂肪鎖を少なくとも1つ有する、四級アンモニウム塩類又はアミドアミン類から選択されるカチオン性界面活性剤及びこれらの混合物;
を含み、且つ
ここで前記組成物が、ラジカルスカベンジャー類の供給源を含まない、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、少なくとも1つのアンモニウムイオン供給源を更に含む、請求項1に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項3】
前記組成物が、7.5〜9.5のpHを有する、請求項1に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項4】
6以下のHLBを有する前記少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質が、14〜30個の炭素原子を含む脂肪族アルコール類、16〜30個の炭素原子及び2単位以下のエチレンオキシドを含むオキシエチレン脂肪族アルコール類、14〜30個の炭素原子を含むグリセロール脂肪酸エステル類及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項5】
前記アニオン性界面活性剤が、アルキルエーテルホスフェート類、アルキルエーテルサルフェート類、アルキルグリセリルスルホネート類、N−アシルアミノ酸誘導体類、N−アシルタウレート類;アシルレクチレート類、アルキルポリグルコシド類のカルボキシアルキルエーテル及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項6】
7以上のHLBを有する前記非イオン性界面活性剤が、アルキルポリグルコシド類、糖エステル類及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項7】
7以上のHLBを有する前記非イオン性界面活性剤が、ポリグリセリル脂肪酸エステル類、アルキルポリグリセリルエーテル類及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項8】
7以上のHLBを有する前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類又は少なくとも50個、好ましくは100〜150個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール脂肪酸エステル類及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項9】
6以下のHLBを有する前記少なくとも1つの界面活性剤又は前記両染性物質が、14〜30個の炭素原子を含む脂肪族アルコール類から選択され、且つ前記アニオン性界面活性剤が、C8〜C30アルキルエーテルホスフェート類から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項10】
6以下のHLBを有する前記少なくとも1つの界面活性剤又は前記両染性物質が、16〜30個の炭素原子及び2モル以下のエチレンオキシドを含むオキシエチレン脂肪族アルコール類から選択され、且つ7以上のHLBを有する前記非イオン性界面活性剤が、少なくとも50個、好ましくは100〜150個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル類から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項11】
毛髪染色又は脱色組成物であって、
(i)少なくとも0.25モル/Lの、カーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオン又はペルオキシモノカーボネートイオン及びこれらの混合物の供給源、
(ii)少なくとも1つの酸化剤及び
(iii)6以下のHLB及び少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質を含む少なくとも1つのゲル網状組織増粘系であって、1〜5個、好ましくは1〜3個のエチレンオキシド単位を有する少なくとも1つのアルキルエーテルホスフェートを更に含むもの
を含む、組成物。
【請求項12】
前記組成物が、1Pa・s(1000cPs)〜60Pa・s(60000cPs)、好ましくは2Pa・s(2000cPs)〜30Pa・s(30000cPs)、最も好ましくは3Pa・s(3000cPs)〜25Pa・s(25000cPs)の粘度を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項13】
前記組成物が、少なくとも1つの酸化性染料前駆体及び/又は少なくとも1つの予備形成された染料を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項14】
毛髪染色又は脱色用キットであって、
(i)少なくとも1つの過酸化水素供給源を含む、個別包装された酸化用成分
(ii)カーボネートイオン、カルバメートイオン、又は炭酸水素イオン及びこれらの混合物の供給源と、6以下のHLB及び少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質を含む少なくとも1つのゲル網状組織増粘系とを含む、個別包装された第2成分であって、ゲル網状組織増粘系が次から選択される少なくとも1つの界面活性剤を更に含むもの:
(a)式RnmYMに従うアニオン性界面活性剤(式中、Rは独立して、8〜30個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基又はアルキルアリール基から選択され、Xは、独立して、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの酸素原子又は窒素原子とを含む極性基から選択され、Yは、カルボキシレート類、サルフェート類、スルホネート類又はホスフェート類から選択されるアニオン基であり、n及びmは、独立して1又は2であり、Mは、水素又はカチオンを形成する塩である)及びこれらの混合物;
(b)7以上のHLBを有し、且つ1つ以上のポリエチレンオキシド鎖を含む非イオン性界面活性剤であって、ここで、各ポリエチレンオキシド鎖が平均して少なくとも50個のエチレンオキシド単位を有するもの及びこれらの混合物;
(c)7以上のHLBを有する非イオン性界面活性剤であって、ポリエチレンオキシド鎖を含まないもの及びこれらの混合物;
(d)少なくとも20個の炭素原子を含む脂肪鎖を少なくとも1つ有する、四級アンモニウム塩類又はアミドアミン類から選択されるカチオン性界面活性剤及びこれらの混合物
から成り、且つ
ここで前記成分がラジカルスカベンジャー供給源を含まず、且つ混合時に少なくとも0.25モル/Lの、カーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオン又はペルオキシモノカーボネートイオン及びこれらの混合物の前記供給源を含む、キット。
【請求項15】
毛髪染色又は脱色用キットであって、
(i)少なくとも1つの過酸化水素供給源と、6以下のHLB及び少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1つ界面活性剤又は両染性物質を含む少なくとも1つのゲル網状組織増粘系とを含む、個別包装された酸化用成分であって、ゲル網状組織増粘系が次のものから選択される界面活性剤の少なくとも1つを更に含むもの:
(a)式RnmYMに従うアニオン性界面活性剤(式中、Rは独立して、8〜30個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基又はアルキルアリール基から選択され、Xは、独立して、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの酸素原子又は窒素原子とを含む極性基から選択され、Yは、カルボキシレート類、サルフェート類、スルホネート類又はホスフェート類から選択されるアニオン基であり、n及びmは、独立して1又は2であり、Mは、水素又はカチオンを形成する塩である)及びこれらの混合物;
(b)7以上のHLBを有し、且つ1つ以上のポリエチレンオキシド鎖を含む非イオン性界面活性剤であって、ここで、各ポリエチレンオキシド鎖が平均して少なくとも50個のエチレンオキシド単位を有するもの及びこれらの混合物;
(c)7以上のHLBを有する非イオン性界面活性剤であって、ポリエチレンオキシド鎖を含まないもの及びこれらの混合物;
(d)少なくとも20個の炭素原子を含む脂肪鎖を少なくとも1つ有する、四級アンモニウム塩類又はアミドアミン類から選択されるカチオン性界面活性剤及びこれらの混合物;及び
(ii)カーボネートイオン、カルバメートイオン又は炭酸水素イオン及びこれらの混合物の供給源と、所望により、上記で定義した少なくとも1つのゲル網状組織増粘系とを含む、個別包装された第2成分
から成り、
ここで前記成分はラジカルスカベンジャー供給源を含まず、且つ混合時に少なくとも0.25モル/Lの、カーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオン又はペルオキシモノカーボネートイオン及びこれらの混合物の前記供給源を含む、キット。
【請求項16】
毛髪染色又は脱色用キットであって、
(i)少なくとも1つの過酸化水素供給源と、6以下のHLB及び少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質を含む少なくとも1つのゲル網状組織増粘系とを含む、個別包装された酸化用成分であって、ゲル網状組織増粘系が1〜5個、好ましくは1〜3個のエチレンオキシド単位を有する少なくとも1つのアルキルエーテルホスフェートを更に含むもの、
(ii)カーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオンの供給源と、所望により、少なくとも1つのゲル網状組織増粘系とを含む、個別包装された第2成分
から成り、
ここで前記成分は混合時に少なくとも0.25モル/Lの、カーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオン又はペルオキシモノカーボネートイオンの供給源及びこれらの混合物を含む、キット。
【請求項17】
毛髪染色又は脱色用キットであって、
(i)少なくとも1つの過酸化水素供給源を含む、個別包装された酸化用成分及び
(ii)カーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオンの供給源と、6以下のHLB及び少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質を含む少なくとも1つのゲル網状組織増粘系とを含む、個別包装された第2成分であって、ゲル網状組織増粘系が1〜5個、好ましくは1〜3個のエチレンオキシド単位を有する少なくとも1つのアルキルエーテルホスフェートを更に含むもの
から成り、
ここで前記成分は混合時に少なくとも0.25モル/Lの、カーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオン又はペルオキシモノカーボネートイオン及びこれらの混合物の供給源を含む、キット。
【請求項18】
前記成分(ii)の粘度が1Pa・s(1000cPs)未満であり、且つ前記成分(i)及び前記成分(ii)から得られる混合物の粘度が1Pa・s(1000cPs)〜60Pa・s(60000cPs)、より好ましくは2Pa・s(2000cPs)〜30Pa・s(30000cPs)である、請求項15又は16に記載の毛髪染色又は脱色用キット。
【請求項19】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物を毛髪に塗布し、前記組成物を毛髪上に2〜60分間放置し、引き続き前記組成物を毛髪からすすぎ落とす工程を含む毛髪処理方法。
【請求項20】
前記組成物が、20分未満の時間毛髪上に保持される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも2つの連続的な酸化的毛髪染色又は酸化的毛髪脱色処理工程を含む連続的な酸化的毛髪染色又は酸化的毛髪脱色の方法であって、ここで、各処理間の期間が1日〜60日であり、且つ各処理が、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物を提供し、該組成物を毛髪に塗布し、該組成物を毛髪上に20分未満の時間保持し、引き続き該組成物を毛髪からすすぎ落とす工程を含む、方法。

【公表番号】特表2008−521923(P2008−521923A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544505(P2007−544505)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/043461
【国際公開番号】WO2006/060568
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】