説明

増粘毛髪染色剤及び脱色組成物

本発明は、カーボネートイオンの供給源、少なくとも1つの酸化剤、及び特定の3成分界面活性剤系を含む特定のゲル網状組織増粘系を含む毛髪染色及び毛髪脱色組成物に関する。驚くべきことに、該組成物は、傷みを最小化しつつ、改善された色落ち、明るさ及び色送達を送達し、製造し易く、及び長い貯蔵寿命における安定性を有する、改善された毛髪染色及び脱色組成物を送達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪染色及び毛髪脱色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン性繊維、特にヒトの毛髪の色を毛髪染料の適用により永続的に変えることは周知である。消費者に所望の毛髪の色及び色の強度を提供するために、非常に複雑な化学プロセスを利用される。永続的な毛髪染色製剤は、典型的には酸化的毛髪染料前駆体を含み、これは角皮を通じて毛髪中及び毛皮質中に拡散することができ、そこで続いて互いに、及び好適な酸化剤と反応して、最終的な染料分子を形成することができる。これらの得られる分子のサイズがより大きいため、それらは水及び/又は洗剤によるその後の洗浄の間に毛髪から容易に拡散できず、そのため消費者の所望する色の永続性を送達する。この反応は典型的には、アルカリ化剤の存在下及び酸化剤の存在下における、pH約10の過激な環境において起こる。更に、消費者は、所望の毛髪の色及び色相及び色の強度を維持するため、並びに新しい発毛の被覆を含む毛髪の連続的で均一な被覆を確実にするために、このプロセスを定期的に繰り返す。
【0003】
また、このような製品の製造者は、多数の制約内で作業することを求められる。これらの製品は、消費者の皮膚と直接接触するように配置されるため、染色プロセス中、偶発的に(例えば)目に入ったり、又は口に入ったりする可能性が起こり得る。そのため、製剤は厳格な安全基準を満たさなければならず、いかなるアレルギー反応も生じてはならない。また製品は、これらの必要条件を満たすことに加えて、視覚的及び嗅覚的にも消費者を満足させなければならない。特に、製品はまた、消費者の衣類、特に毛髪の流れに沿った皮膚又は他の物体を不用意に染色することなく、その製品が消費者によって容易に毛髪に適用することができ、所望の効果を提供できることを確実にするために、特定の物理的パラメータを満たす必要もある。
【0004】
製造業者はまた、毛髪染色の消費者に、広範囲の種々の色を提供するよう求められる。消費者には、単に毛髪の天然の色を際立たせることを望む者もいるが、他に灰色を覆うこと又は毛髪色を完全に変えて、異なる自然に見える毛髪色又は人工のものに見える毛髪色にすることを望む者もいる。従って、製造業者は、色や色相が異なる20種類以上の異なる製剤を提供して、一連の消費者の特定の要望に対応してよい。これらの配合物は、個々に処方することが必要であり、典型的には異なる染料化合物の混合物を含有する複雑な製剤である。結果として、このような製品範囲の製造は、費用がかかり、複雑になる可能性がある。
【0005】
しかしながら、商業的毛髪染色製品は長年の間利用されてきたという事実にもかかわらず、その製品はなお消費者に関連する多くの欠陥を示している。
【0006】
典型的には、永続的毛髪染料製品は、アルカリ、典型的にはアンモニア供給源を含有する。これが毛髪を膨潤させるという目的を果たし、これによって染料前駆体分子が毛髪内に入ることを可能にし、且つ、酸化剤(典型的には過酸化水素)の明るくする効果も向上させる。しかし、アンモニアはまた揮発性であり、特に、このような毛髪染料製品が鼻部に近いところで使用される場合、それに伴う臭気はこのような製品の消費者にとって非常に不快である。それ故、消費者が要求する明るさの程度及び色を提供するが、感知可能なアンモニア臭を低減又は除去した酸化的毛髪染色組成物及び/又は酸化的脱色組成物を提供することが極めて望ましい。
【0007】
実際、現在の毛髪染色製品の別の問題は、必要とされる毛髪を明るくする効果を送達する毛髪染色製品の提供である。必要な程度の明るさの程度を送達することは、消費者が要求するあらゆる種類の色相(特に、ブロンドの色相及び白髪の被覆(grey coverage)を提供するために、特に重要である。このような製品は、通常、要望される明るくする効果を送達するために、高濃度の酸化剤及びアンモニアの使用を必要とするため、製造業者に特定の困難を課す。しかし、これらの製品内における高濃度のアンモニアの存在に伴う問題に加えて、本明細書中にて上で議論したように、これら高濃度のアンモニア及び/又は酸化剤の存在は、更に毛髪の状態に影響を与え、場合によっては頭皮に軽い皮膚刺激を引き起こす場合がある。特に、毛髪表面の親水性が染色プロセス中に増加し、これが染色中及び直後、その後の洗浄中及び次の染色適用までの整髪サイクル中の毛髪の感覚認知及びその全体的な扱いやすさを変化させる。それ故、必要とされる明るさ及び/又は色を、不必要に毛髪を損傷することなく送達する酸化的毛髪染色組成物及び/又は酸化的脱色組成物を提供することも極めて望ましい。
【0008】
少なくとも上述の確認された改善領域のいくつかに対処するために、多数の試みが文献に記載されてきた。例えば、カーボネートの使用が、次の毛髪染色技術に記載されている。
【0009】
欧州特許第435 012号には、必要とする染色時間が短く、毛髪への損傷がほどんどなく、染色後の刺激臭がない炭酸塩、においを発生しないアルカリ過酸化水素、及び緩衝液を含む毛髪染色組成物について記載されている。同様に、欧州特許第1 106 166号は、アンモニア、炭酸塩(アンモニア塩以外)、遷移金属塩及びキレート剤を含み、刺激臭を発せず、皮膚への刺激が少なく、毛髪色を短時間でより明るい色調に変えることができる毛染組成物について記載されている。PCT国際公開特許WO01/28508には、緩衝剤、pH調整剤又は毛髪膨潤剤を必要とせずに、においと毛髪損傷を低減させ、脱色及び染色が改善された酸化剤及び炭酸アンモニウム、又はカルバミン酸アンモニウムを含む毛髪染色製剤ついて記載されている。JP01206825には、アンモニア、アンモニウム塩、及び炭酸塩を含む低刺激性毛髪染色組成物について記載されている。US2004/0083557には、良好な色落ち及び低臭気性を提供するための、酸化的毛髪染料前駆体、金属シアネート、アルカリ化剤、及び酸化剤、好ましくは金属重炭酸塩を含む毛髪染色組成物について記載されている。
【0010】
PCT国際公開特許WO04/014328には、過酸化物酸化剤、特定の酸化剤、及び塩を放出する少なくとも1つの水溶性炭酸塩を含み、より効果的に色を送達し、該組成物の適用時間が2〜60分であるワンステップ毛髪染色組成物が記載されている。US2004/0098814には、毛髪を多数の連続した短い処理に付する毛髪の永続的な染色方法が記載されており、該処理は、シャンプー又はコンディショナー基材中の染料中間体、塩を放出する水溶性炭酸塩、及び水溶性アンモニウム塩を含む。またUS2004/0098816には、毛髪に規定の時間間隔がある多数の処理を施し、処理組成物がキレート剤と組み合わせた炭酸アンモニウムを含む段階的永続的毛髪染色方法についても記載されている。
【0011】
しかし、過酸化水素及びカーボネート毛髪染色剤系の使用は、製造が困難であることが現在判明している。この問題は、高い色落ちを提供するためには望ましい、高濃度の過酸化物及びカーボネートを有する組成物において特に顕著である。更に、消費者が皮膚、衣類又は浴室回りの表面上に液だれさせることなく容易に毛髪に適用できる製品を提供するために、毛髪染色製品は、組成物が一定の必要な粘度を有するように設計される。これは、混合時に濃縮される又は少なくとも1つの構成成分(染料組成物若しくは酸化組成物のいずれか、好ましくは染料組成物)が濃縮製剤(混合時に、組成物全体を増粘する)として提供されるいわゆる薄−薄型液体製剤としての染料組成物及び酸化組成物を提供することによって実現する。
【0012】
本明細書の当該技術分野における上記カーボネート系は、増粘に適した多数の物質について記載する。しかし、これらの物質は、高濃度のカーボネートを含む組成物を十分に増粘せず、その結果として製品が不安定性となり、不十分な粘度にしかならないことが明らかになっている。それ故、製品の安定性又は製造の容易性で妥協することなしに、高濃度のカーボネートを組み込む毛髪染色組成物を提供するのが好ましい。
【0013】
消費者にとって特に重要な別の性能領域は、所望の色が得られること、且つ効果的な白髪の被覆も得られることである。実際、染色する白髪の量は消費者によって大幅に変化するが、消費者が求める染色された毛髪の全体的な外見の結果が、頭上の生来の有色素の毛髪及び白髪に対して、最初の均一且つ均等な色被覆が染色後の洗浄及び乾燥サイクルの間に保持されるという追加的要求とほぼ同一でなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
それ故、消費者に、改善された色落ち及び明るくすること及び改善された色の送達、持ち上げ及び耐久性及び製造し易さ、必要な粘度の送達及び貯蔵寿命における安定性を提供する毛髪染色剤を提供することが更に望ましい。
【0015】
意外にも、酸化剤、カーボネートイオン供給源、及び本明細書で後に定義されるような特定のゲル網状組織増粘系(好ましくはpH9.5以下で利用される)を含む酸化的毛髪染色組成物は、安定増粘系として処方可能であることが判明している。更に、該組成物は少ない臭いを示し、現在利用されているアンモニア/過酸化物系に匹敵する高い色落ち及び明るさを送達し、一方で、過酸化物濃度を低減し、且つ毛髪繊維損傷を低減する。更に、本発明の組成物は、現在の染料及び染料前駆体系と適合性があり、ブロンドの色相について色落ち及び明るさを改善し、優れた染料付着及び色及び改善された白髪の被覆が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、毛髪染色及び毛髪脱色組成物に関し、該組成物は、毛髪へ適用する前に混合される構成成分部分(i)及び(ii)を含み、
構成成分部分(i)は、少なくとも1つの酸化剤の供給源を含み、
構成成分部分(ii)は、カーボネートイオン、カルバメートイオン、又は炭酸水素イオン及びこれらの混合物の供給源と、以下に定義する少なくとも1つのゲル網状組織増粘系とを含む。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、i)少なくとも1つの酸化剤が含まれている個別包装の酸化構成成分、並びにii)カーボネートイオン、カルバメートイオン、又は炭酸水素イオン、及びこれらの混合物の供給源、並びに以下に定義する少なくとも1つのゲル網状組織増粘系を含む個別包装の第2の構成成分を含む毛髪染色又は脱色キットに関する。
【0018】
本発明はまた、構成成分部分i及びiiを混合し、該混合済み組成物を2〜60分間毛髪に適用し、次に該組成物を毛髪から洗い流す工程を含む毛髪処理の方法にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本明細書は、本発明を詳しく指摘し明確に請求する特許請求の範囲でまとめられるが、本発明は、以下の記載からより良く理解されるであろうと考えられる。
本明細書で使用する時、処理される「毛髪」という用語は、「生体」、即ち、生物の体の上にあるか、あるいは「非生体」、即ち、かつら、ヘアピース、又は非生体性ケラチン性繊維のその他の集合体である。哺乳類、好ましくはヒトの毛髪が好ましい。しかしながら、羊毛、毛皮、及び他のケラチン含有繊維が、本発明による組成物に適した基質である。
【0020】
特に別段の記述のない限り、すべての百分率は、組成物全体の重量によるものである。処理時に1つ超過の組成物が用いられる場合、考慮すべき総重量は、特に指示がない限り、毛髪に同時に適用する全組成物の総重量(即ち「頭部に」ある重量)である。特に記載のない限り、全ての比率は重量比である。すべてのモル濃度は、総組成物の容量によるものであり、且つ、該組成物1リットル中の構成成分のモル数、又は「モル/L」として表現される。処理時に1つ超過の組成物を用いられる場合、考慮されるべき総容量は、特に指示がない限り、毛髪に同時に適用される総組成物の総容量(即ち「頭上に」ある容量)である。
【0021】
カーボネートイオン供給源
本発明によると、組成物は、混合時に、カーボネートイオン、又はカルバメートイオン、又は炭酸水素イオン、又はペルオキシモノカーボネートイオン、又はこれらの混合物の供給源を、好ましくは少なくとも約0.1モル/L、より好ましくは少なくとも約0.25モル/L含む。この量は、例えば少なくとも約2.40%(容積百分率)の炭酸アンモニウム(分子量は、96.09g/モルに相当する)を本発明の組成物に追加することにより、又は例えば約1.0%(容積百分率)の炭酸アンモニウム及び少なくとも約1.46%(容積百分率)の炭酸水素カリウム(分子量は、100.12g/モルに相当する)を追加することによって達成することができる。本発明の組成物は、更により好ましくは該イオンの供給源を約0.4モル/L〜約2.0モル/L、最も好ましくは約0.5モル/L〜約1.5モル/L含む。
【0022】
本発明の組成物が、個別包装の酸化構成成分及び個別包装の第2の構成成分(例えば脱色又は染色構成成分)を含む毛髪染色又は脱色キットとして使用される場合、構成成分の混合時に所望の濃度に到達するように、イオンの供給源の濃度が、脱色又は染色構成成分中で、構成成分の混合比に比例して増加することも理解すべきである。
【0023】
これらのイオンのあらゆる供給源を利用してもよい。本発明で用いるのに適切な供給源としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、カーボネートイオン、カルバメートイオン、及び炭酸水素イオンのアンモニウム塩並びにこれらの混合物、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。炭酸イオンと酸化剤の双方の供給源を提供するために、過炭酸塩も使用してもよい。カーボネートイオン、カルバメートイオン、及び炭酸水素イオンの好ましい供給源は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、カルバミン酸アンモニウム、及びこれらの混合物である。
【0024】
本発明の特に好ましい実施形態では、アンモニウムイオン供給源及びカーボネートイオン供給源は、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、又はこれらの混合物の単一供給源によって提供される。
【0025】
酸化剤
従って、本発明による組成物は、ペルオキシモノカーボネートイオンを形成する。これらのイオンは典型的には、酸化剤供給源、好ましくは過酸化水素とカーボネートイオンとの間の反応からその場で形成される。従って、本発明による組成物は、少なくとも1つの酸化剤供給源を含む組成物を含むか、又はそれとの組み合わせで使用される。本発明で用いるのに好ましい酸化剤は、水溶性過酸素酸化剤である。本明細書で定義する時、「水溶性」とは、標準状態で、少なくとも0.1g、好ましくは1g、より好ましくは10gの該酸化剤が1リットルの脱イオン水に溶解され得ることを意味する。酸化剤は、初期可溶化及びメラニンの脱色(漂白)にとって有益であり、並びに毛幹中での酸化的染料前駆体の酸化(酸化的染色)を促進する。
【0026】
本発明では、当該技術分野において既知のいずれの酸化剤も使用されてもよい。好ましい水溶性酸化剤は、水溶液中で過酸化水素を生じることができる無機の過酸素物質である。水溶性過酸素酸化剤は当該技術分野において周知であり、過酸化水素、無機アルカリ金属過酸化物、例えば過ヨウ素酸ナトリウム及び過酸化ナトリウム、並びに有機過酸化物、例えば過酸化尿素、過酸化メラミン、及び無機過水和物塩の脱色化合物、例えば過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、過硫酸塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。これらの無機過水和物塩は、一水和物、四水和物などとして組み込んでもよい。アルキル及びアリール過酸化物、並びに/又はペルオキシダーゼも用いてもよい。所望に応じて、2つ以上のそのような酸化剤の混合物を用いることができる。酸化剤は、水溶液で、又は使用前に溶解される粉末として提供されてもよい。本発明による組成物内で使用するのに好ましいのは、過酸化水素、過カーボネート(酸化剤及びカーボネートイオンの両方の供給源を提供するために使用する)、過硫酸塩及びこれらの組み合わせである。
【0027】
本発明によると、組成物は、酸化剤が約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約1重量%〜約7重量%、最も好ましくは約2重量%〜約5重量%を含む。
【0028】
ゲル網状組織増粘剤
本発明によると、毛髪染色及び脱色組成物は、ゲル網状組織増粘系を含む。本発明のゲル網状組織増粘系は、組成物の構成成分部分ii)に組み込まれるとともに、カーボネートイオン、又はカルバメートイオン、又は炭酸水素イオン、又はこれらいずれかの混合物の供給源を含む。本発明のゲル網状組織増粘系は、a)HLBが6以下であるとともに、融点が少なくとも30℃である少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質、b)式RnmYMに従うアニオン性界面活性剤(式中、Rは、8〜30個の炭素原子を有する、アルキル基、アルケニル基、又はアルキルアリール基から独立して選択され、Xは、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの酸素原子又は窒素原子とを含む極性基から独立して選択され、Yは、カルボキシレート、サルフェート、スルフォネート、又はホスフェートから選択したアニオン基であり、n及びmは独立して1又は2であり、Mは、水素又は塩を形成するカチオン)及びこれらの混合物、又は少なくとも約20個の炭素原子を含む脂肪鎖を少なくとも1つ有する、第四級アンモニウム塩又はアミドアミンから選択されたカチオン性界面活性剤、及びそれらの混合物から選択された少なくとも1つの界面活性剤、及びc)7以上のHLBを有し、且つ1つ以上のポリエチレンオキシド鎖を含む少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が含まれている3成分界面活性剤系を含む増粘系と定義する。
【0029】
当業者は、該ゲル網状組織増粘系が、網状ラメラ二重膜及び/又は小胞及びしばしば結晶の複雑な構造を通常有していることを理解するであろう。これらの系は通常、クリーム状の外観と手触りを有し、従って特に望ましい。
【0030】
理論に束縛されるものではないが、ゲル網状組織増粘系内での膨潤及び増粘は典型的に、イオン性界面活性剤の静電反発力、又は二重膜に組み込まれた非イオン性界面活性剤のエチレンオキシド鎖の立体反発の結果として達成されると考えられている。しかし、これらの両メカニズムは、高濃度炭酸塩の存在下で抑制される。驚くべきことに、3つの特定のクラスの界面活性剤(それぞれの界面活性剤先端基の構造により特に選択されたものである)を含むゲル網状組織系の選択により、該系が、構成成分部分i(即ち酸化剤又は顕色剤)との容易な混合性をもたらし、優れた膨潤性と増粘効率が達成できることが今では判明している。特に、本発明のゲル網状組織系は、過酸化水素供の供給源を含む組成物の構成成分部分iと、構成成分部分iiとの混合を容易に且つ効率的にできるようにする。更に、ゲル網状組織系は、顕色剤組成物自体とその混合前の粘度とは無関係に、所望する混合時粘度レベルを送達する。後者の性質は、例えばヘアサロンでの業務用ヘアカラー用途において特に有用であり、様々な顕色剤組成物、及び又は粘度を利用する柔軟性を付与することが、特に望ましい場合が多い。
【0031】
理論に束縛されるものではないが、本発明に記載のゲル網状組織増粘系界面活性剤は、ゲル網状組織ラメラ二重膜内に適切な幾何学的配置を有し、二重膜の脱膨潤を抑制し、従って粘性損失を避けるものと考えられている。更に、ある種の実施例では、カーボネートの追加が実際に、より大規模なゲル網状組織系の形成を促進して、塩による漸次的増粘をもたらしてもよい。更に、本発明の非イオン性界面活性剤は、組成物の部分ii)の中のイオン強度がより高いために膨潤がより抑えられており、従って、イオン性界面活性剤により安定性がもたらされるのに対し、部分ii)で希釈後、顕色剤のイオン濃度が減少し、必要な追加の増粘をもたらすため、非イオン性界面活性剤の再膨潤に至ると考えられる。
【0032】
本発明で使用される界面活性剤のHLB(親水性−親油性バランス)は、グリフィン(Griffin)が出版物、化粧品化学会誌(J.Soc.Cosm.Chem.)(第5巻、1954年、249頁)(その開示は本発明において参考として組み込まれる)で定義した標準的なHLBである。
【0033】
本発明で使用される界面活性剤の融点は、米国薬局方(US Pharmacopeia)、USP−NFジェネラルチャプター<741>「溶融温度範囲」に記載されている標準融点法によって測定できる。
【0034】
本発明によると、本発明のゲル網状組織系は、第1の界面活性剤として、6以下のHLB及び少なくとも約30℃の融点を有する低HLB界面活性剤又は両染性物質を含む。代表的な実施例としては、固形脂肪族アルコール、固形オキシエチレン脂肪族アルコール、固形グリコールエステル、固形オキシエチレンアルキルフェノール、固形ソルビタンエステル、固形糖エステル、固形メチルグルコシドエステル、固形ポリグリセリンエステル、固形アルキルグリセリルエーテル、固形プロピレングリコール脂肪酸エステル、コレステロール及びセラミドといった化合物(上記の例において、「固形」とは、30℃未満の温度での物質の状態を意味する)が挙げられる。
【0035】
好ましくは、低HLB界面活性剤は、約14〜30個の炭素原子を含む直鎖又は分岐脂肪族アルコール、約16〜30個の炭素原子及び約2単位のエチレンオキシドを含むオキシエチレン脂肪族アルコール、約14〜30個の炭素原子を含むグリセロール脂肪酸エステル、及びそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、低HLB界面活性剤としては、セチル、ステアリル、セトステアリル、又はベヘニルアルコール、ステアレス−2及びグリセロールモノステアレートが挙げられる。
【0036】
ゲル網状組織増粘系の第2の界面活性剤は、アニオン性又はカチオン性であってよい。アニオン性界面活性剤は、式RnmYMに従う界面活性剤(式中、Rは、8〜30個の炭素原子を有する、アルキル基、アルケニル基、又はアルキルアリール基であり、Xは、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの酸素原子又は窒素原子とを含む極性基であり、Yは、カルボキシレート、サルフェート、スルフォネート、又はホスフェートから選択されるアニオン基であり、n及びmは独立して1又は2であり、Mは水素又は塩を形成するカチオンである)及びそれらの混合物から選択される。
【0037】
アニオン性界面活性剤の代表的実施例としては、アルキルエーテルカルボキシレート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルグリセリルスルフォネート、アルキルアミドエーテルサルフェート、アルキルアリールポリエーテルサルフェート、アルキルモノグリセリドサルフェート、アルキルエーテルスルフォネート、アルキルアミドスルフォネート;アルキルサクシネート、アルキルスルホサクシネート、アルキルエーテルスルホサクシネート、アルキルアミドスルホサクシネート;アルキルスルホサクシナメート;アルキルスルホアセテート;アルキルエーテルホスフェート;アシルサルコシネート、N−アシルメチルアミノプロピオネート;アシルイセチオネート、N−アシルタウレート;アシルレクチレート;アルキルポリグルコシドのカルボキシアルキルエーテル;アルキルレシチン誘導体といった化合物の塩(例えば、ナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩、及びマグネシウム塩のようなアルカリ塩)が挙げられる。これら各種化合物の全てのアルキル又はアシルラジカルは、例えば、8〜30個の炭素原子を含み、該アリールラジカルは、例えば、フェニル基及びベンジル基から選択される。
【0038】
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルグリセリルスルフォネート、N−アシルアミノ酸誘導体、N−アシルタウレート、アシルレクチレート及びアルキルポリグルコシドのカルボキシアルキルエーテルから選択される。更により好ましい界面活性剤は、平均で1〜20個、好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜3個のエチレンオキシド単位を有するアルキルエーテルホスフェートから選択される。
【0039】
ゲル網状組織増粘系中で用いるのに適しているカチオン性界面活性剤は、少なくとも約20個の炭素原子を含む脂肪鎖を少なくとも1つ有する第四級アンモニウム塩又はアミドアミン及びそれらの混合物から選択される。
【0040】
第四級アンモニウム塩は、一般式N+(R1234)X-を有し、
式中、R1は、約20〜30の炭素原子を含む直鎖及び分岐ラジカルから選択され、R2は、約20〜30の炭素原子を含む直鎖及び分岐ラジカル、又はラジカルR3〜R4と同じ群から選択され、ラジカルR3〜R4は、同一でも異なっていてもよく、約1〜4の炭素原子を含む直鎖及び分岐脂肪族ラジカル、並びにアリール及びアルキルアリールのような芳香族ラジカルから選択され、脂肪族ラジカルは、酸素、窒素、硫黄、及びハロゲンのような少なくとも1つのヘテロ原子を有してもよく、脂肪族ラジカルは、例えば、アルキル、アルコキシ、及びアルキルアミドラジカルから選択され、式中、Xは、塩素、臭素、及びヨウ素のようなハロゲン化物、硫酸メチル、ホスフェート、アルキル及びアルキルアリールスルフォネートのような(C2〜C6)アルキルサルフェート、並びに、酢酸塩及び乳酸塩のような有機酸由来のアニオンから選択されたアニオンである。カチオン性界面活性剤は好ましくは、例えば、ベヘントリモニウムクロライド、ベヘンアミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、ステアラミドプロピルトリモニウムクロライド、アラキドトリモニウムクロライド、及びそれらの混合物から選択される。
【0041】
アミドアミンは、一般式R’1−CONH(CH2)nNR’2R’3を有し、
式中、R’1は、約20〜30個の炭素原子を含む直鎖及び分岐ラジカルから選択され、ラジカルR’2及びR’3は、同一でも異なっていてもよく、水素、約1〜4個の炭素原子を含む直鎖及び分岐脂肪族ラジカル、並びにアリール及びアルキルアリールなどの芳香族ラジカルから選択され、脂肪族ラジカルは、酸素、窒素、硫黄、及びハロゲンなどの少なくとも1つのヘテロ原子を含んでもよく、脂肪族ラジカルは、例えば、アルキル、アルコキシ、及びアルキルアミドラジカルから選択されて、nは1〜4の整数である。アミドアミンは好ましくは、例えば、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジエチル−アミン、ベヘンアミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミド−プロピルジエチルアミン(arachidamido-propyidiethylamine)、アラキドアミドエチルジエチルアミン(arachidamidoethyidiethylamine)、アラキドアミドエチルジメチルアミン(arachidamidoethyidimethylamine)、及びそれらの混合物から選択される。
【0042】
ゲル網状組織増粘系の第3の界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。ゲル網状組織増粘系で用いるのに適している非イオン性界面活性剤は、7以上のHLBを有し、且つ1つ以上のポリエチレンオキシド鎖を含む非イオン性界面活性剤から選択される。
【0043】
1つ以上のポリエチレンオキシド鎖を含む非イオン性界面活性剤の代表例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、及びそれらのモノエタノールアミン(momoethanolamine)及びジエタノールアミン誘導体、及びポリエトキシレート化脂肪酸アミンといった化合物が挙げられる。
【0044】
好ましい非イオン性界面活性剤としては、少なくとも約25個、好ましくは約50〜200個、最も好ましくは約100〜200個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリエチレングリコール脂肪酸エステル、例えばセテアレス−25、ステアレス−100、ステアレス−150、及びステアレス−200が挙げられる。
【0045】
本発明による特に好ましいゲル網状組織増粘系としては、14〜30個の炭素原子を含む脂肪族アルコール、1〜20個、好ましくは2〜10個のエチレンオキシド単位を有するC8〜C30アルキルエーテルホスフェートから選択されるアニオン性界面活性剤、及び少なくとも25個、好ましくは100〜200個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルから選択される非イオン性界面活性剤の3成分混合物が挙げられる。
【0046】
各々の上記の特定のタイプの界面活性剤のうち1つ以上の界面活性剤を本発明で使用することができる。本発明の組成物は、ゲル網状組織を形成する界面活性剤の総量を、約0.5%〜約30%、好ましくは約3%〜約20%、さらにより好ましくは約6%〜約15%含んでもよい。組成物には、低HLB界面活性剤を0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、イオン性(即ちアニオン性及び又はカチオン性界面活性剤)を0.1〜15重量%、好ましくは1〜5重量%、及び非イオン性界面活性剤を0.1〜15重量%、好ましくは0.1〜5重量%含んでもよい。低HLB界面活性剤又は両染性物質対イオン性界面活性剤対非イオン性界面活性剤の好ましい重量比は、約10:1:0.1〜約10:10:10である。
【0047】
追加の構成成分
本発明の組成物は追加成分を更に含んでもよく、追加成分としては、酸化的染料前駆体のような染毛剤、非酸化的な予備形成された染料、追加の増粘剤及び/又はレオロジー変性剤、溶媒、ラジカルスカベンジャー、酵素、追加の界面活性剤、コンディショニング剤、キャリア、酸化防止剤、安定化剤、キレート剤、パーマ活性化剤、香料、還元剤(チオ乳酸)、毛髪膨張剤、及び/又はポリマーが挙げられるが、これらに限らない。これらの追加構成成分の一部について、後で詳細に述べる。
【0048】
ラジカルスカベンジャー
本発明によると、本組成物はラジカルスカベンジャーの供給源を含んでもよい。本明細書で使用する時、用語ラジカルスカベンジャーは、以下の一般式による化合物を意味する。
【0049】
(I):R1−Y−C(H)(R3)−R4−(C(H)(R5)−Y−R6n
式中、YはNR2、O、又はS、好ましくはNR2であり、nは0〜2であり、R4は一価又は二価であるとともに、(a)置換若しくは非置換の、直鎖若しくは分岐の、アルキル系、モノ−若しくはポリ−不飽和アルキル系、ヘテロアルキル系、脂肪族系、ヘテロ脂肪族系、又はヘテロオレフィン(heterolefinic)系、(b)置換若しくは非置換の、単環式−若しくは多環式−脂肪族系、アリール系、又は複素環式系、あるいは(c)置換若しくは非置換の、モノ−、ポリ−若しくはペル−フルオロアルキル系から選択され、(a)、(b)、及び(c)の系は、1〜12個の炭素原子、並びに、O、S、N、P、及びSiから選択される0〜5個のヘテロ原子を含み、R4はR3又はR5と結合して5、6、若しくは7員環を作り出すことができ、R1、R2、R3、R5、及びR6は一価であるとともに、上述した(a)、(b)、及び(c)、又はHから独立して選択される。
【0050】
好ましくは、R4は、(a)置換若しくは非置換の、直鎖若しくは分岐の、アルキル系、ヘテロアルキル系、脂肪族系、ヘテロ脂肪族系、又はヘテロオレフィン系、(b)置換若しくは非置換の、単環式−若しくは多環式−脂肪族系、アリール系、又は複素環式系、あるいは(c)置換若しくは非置換の、モノ−、ポリ−若しくはペルフルオロアルキル系から選択され、より好ましくは、R4は、(a)置換若しくは非置換の、直鎖若しくは分岐の、アルキル系、ヘテロアルキル系、脂肪族系、又はヘテロ脂肪族系、(b)置換若しくは非置換のアリール系、又は複素環式系、あるいは、(c)置換若しくは非置換の、モノ−、ポリ−若しくはペル−フルオロアルキル系から選択され、より好ましくは、置換若しくは非置換の、直鎖若しくは分岐の、アルキル系又はヘテロアルキル系から選択される。
【0051】
好ましくは、本明細書で上述した(a)、(b)、及び(c)のR4系は、1〜8個の炭素原子、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜4個の炭素原子、及び0〜3個のへテロ原子、好ましくは0〜2個のへテロ原子、最も好ましくは0〜1個のへテロ原子をを含む。前記系がへテロ原子を含む場合、それらは、好ましくは、1個のへテロ原子を含む。好ましいへテロ原子としては、O、S、及びNが挙げられ、より好ましいのはO及びNであり、最も好ましいのはOである。
【0052】
好ましくは、R1、R2、R3、R5、及びR6は、上記のR4について定義した系のいずれか、及びHから独立して選択される。
【0053】
別の実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6基のいずれかが置換されている。好ましくは、置換基は、(a)(i)置換若しくは非置換の、直鎖若しくは分岐の、アルキル系、モノ−若しくはポリ−不飽和アルキル系、ヘテロアルキル系、脂肪族系、ヘテロ脂肪族系、又はヘテロオレフィン系、(ii)置換若しくは非置換の、単環式若しくは多環式脂肪族系、アリール系、又は複素環式系、あるいは(iii)置換若しくは非置換の、モノ−、ポリ−若しくはペル−フルオロアルキル系から成るC結合型の一価の置換基の群であって;該(i)、(ii)、及び(iii)の系は、1〜10個の炭素原子、並びにO、S、N、P、及びSiから選択される0〜5個のヘテロ原子を含むC結合型の一価の置換基の群、(b)SA1、SCN、SO21、SO31、SSA1、SOA1、SO2NA12、SNA12、及びSONA12から成るS結合型の一価の置換基の群、(c)OA1、OCN、及びONA12から成るO結合型の一価の置換基の群、(d)NA12、(NA123+、NC、NA1OA2、NA1SA2、NCO、NCS、NO2、N=NA1、N=NOA1、NA1CN、NA1NA23から成るN結合型の一価の置換基の群、(e)COOA1、CON3、CONA12、CONA1COA2、C(=NA1)NA12、CHO、CHS、CN、NC、及びXから成る一価の置換基の群、並びに、(f)1〜12個の炭素原子及び0〜4個のヘテロ原子を含むモノ−、ポリ−若しくはペル−フルオロアルキル系から成るフルオロアルキルの一価の置換基から成る群から選択される。
【0054】
上述の(b)〜(e)の群では、A1、A2、及びA3は一価であり、(1)H、(2)置換若しくは非置換の、直鎖若しくは分岐の、アルキル系、モノ−若しくはポリ−不飽和アルキル系、ヘテロアルキル系、脂肪族系、ヘテロ脂肪族系、又はヘテロオレフィン系、(3)置換若しくは非置換の、単環式−若しくは多環式−脂肪族系、アリール系、又は複素環式系、あるいは(4)置換若しくは非置換の、モノ−、ポリ−若しくはペル−フルオロアルキル系から独立して選択され、(2)、(3)、及び(4)の該系は、1〜10個の炭素原子、並びにO、S、N、P、及びSiから選択される0〜5個のヘテロ原子を含み、XはF、Cl、Br及びIから成る群から選択されるハロゲンである。
【0055】
本明細書に用いるのに好ましい置換基としては、ハメットシグマパラ(σp)値が、−0.65〜+0.75であり、好ましくは−0.4〜+0.5であるものが挙げられる。ハメットシグマ値(Hammett Sigma Values)は、「上級有機化学−反応、機構、及び構造(Advanced Organic Chemistry-Reactions,Mechanisms and Structure)」(ジェリーマーチ(Jerry March)、第5版(2001年)、368〜375頁)に記載されている。理論に束縛されるものではないが、選択範囲のシグマパラ値を有する置換基がR1及び/又はR2を置換すると、分子の毛幹への浸透能力を阻害する分子量の好ましくない過度の増大をすることなく、化合物の毒性特性が改善されると考えられている。いくつかの好ましい置換基及びそれらのハメットシグマパラ値を次の表Aに示す。追加の置換基及びそれらの値は、マーチ(March)による書籍の370頁に示されている。
【0056】
【表1】

【0057】
好ましくは、窒素のプロトン化を防止するために、上記で定義したラジカルスカベンジャーは7を超えるpKaを有する。
【0058】
好ましくは、本発明は、次の一般式(II)に従うラジカルスカベンジャーを更に含む

【0059】
【化1】

(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ、H、COO-+、Cl、Br、SO3-+、NO2、OCH3、OH、又はC1〜C10の1級若しくは2級アルキルから独立して選択される。)、MはH又はアルカリ金属のいずれかである。好ましくは、ヒドロキシ基のプロトン化を確実にするために、上記のラジカルスカベンジャーは8.5を超えるpKaを有する。
【0060】
好ましくは、本発明はまた、群(III)ベンジルアミン、イミダゾール、ジ−ter
t−ブチルヒドロキシトルエン、ハイドロキノングアニン、ピラジン、ピペリジン、モルホリン、メチルモルホリン、2−メチルオキシエチルアミン(2methyoxyethylamine)、及びそれらの混合物から選択されるもののようなラジカルスカベンジャーを更に含んでもよい。
【0061】
更に一層好ましくは、本発明には、炭酸塩ラジカルと反応して、その炭酸塩ラジカルを一連の速い反応によって、より反応性の低い種、即ち炭酸塩ラジカルスカベンジャーへと変換することのできる種として定義されるラジカルスカベンジャーを含んでもよい。
【0062】
理論に束縛されるものではないが、ラジカルスカベンジャーが炭酸塩ラジカルを変換する能力(上述の通り)は、以下に示す電荷移動反応のエネルギーに依存すると考えられている。(電荷移動反応のエネルギー計算については、詳細に後述する。)
スカベンジャー+CO3*-→スカベンジャー*++CO32-
式中、反応エネルギーは以下によって定義する。
ΔHr=ΔHf(生成物)−ΔHf(反応体)
=ΔHf(スカベンジャー*+)+ΔHf(CO32-)−ΔHf(スカベンジャー)−ΔHf(CO3*-
【0063】
本発明によれば、組成物は、約0kcal/モル〜約14kcal/モル、好ましくは約1.5kcal/モル〜約9kcal/モルの反応エネルギーを有するラジカルスカベンジャーを含んでもよい。本発明の組成物は、好ましくは、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約1重量%〜約7重量%のラジカルスカベンジャーを含む。
【0064】
アルカリ化剤供給源
本発明によれば、組成物には任意に少なくとも1つのアルカリ化剤供給源、好ましくはアンモニウムイオン及び/又はアンモニア供給源を含んでもよい。特に、好ましいアルカリ化剤は、アンモニウムイオンの供給源を提供するものである。いずれのアンモニウムイオン供給源も本発明で用いるのに適している。好ましい供給源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、過炭酸塩、アンモニア、及びこれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、アンモニア、及びこれらの混合物である。本発明の組成物は、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.5重量%〜約5重量%、最も好ましくは約1重量%〜約3重量%のアルカリ化剤、好ましくはアンモニウムイオンを含んでもよい。好ましくは、存在する場合、アンモニウムイオン及び炭酸イオンは、組成物中に3:1〜1:10、好ましくは2:1〜1:5の重量比で存在する。
【0065】
好ましくは、本発明の組成物は、pH約9.5〜約7.5、より好ましくは約9.5〜約8.4、最も好ましくは約9.4〜約8.5、更により好ましくはpH約9.0を有する。
【0066】
組成物のpHは、実験室用標準pH電極を装着するメトラートレド(Mettler Toledo)MP220又はMP225pH装置を使用して測定できる。装置は、毎回使用前に、標準較正緩衝溶液及び標準較正手順を使用して較正される。
【0067】
毛髪染料
本発明の毛髪染色組成物は、好ましくは、酸化的染色組成物を含む毛髪染色組成物である。こうした組成物は、毛髪に多様な毛髪の色を送達する酸化的毛髪染料前駆体(一次中間体としても知られている)を含む。これらの小さい分子は酸化剤により活性化され、更なる分子と反応してより大きい染色錯体を毛幹中に形成する。
【0068】
前駆体は、単独で又は他の前駆体と組み合わせて用いることができ、1つ以上の前駆体を1つ以上のカップラーと組み合わせて用いることもできる。カップラー(色変性剤又は二次中間体としても知られている)は、一般に、活性化させた前駆体の存在下で色を形成できる無色の分子であり、特定の色の効果を生成するため又は色を安定化するために、他の前駆体又はカップラーとともに用いられる。前駆体及びカップラーの選択は、所望される染色の色、色合い、及び強度によって決められる。本発明において、前駆体及びカップラーを単独又は組み合わせにより用いて、灰色がかったブロンド色(blondee)から黒までの範囲の多様な色相を有する染料を提供することができる。
【0069】
これらの化合物は、当該技術分野において周知であり、芳香族ジアミン、アミノフェノール、芳香族ジオール、及びこれらの誘導体が挙げられる(酸化染料前駆体の代表的ではあるが非包括的なリストは、「化粧品の科学及び技術(Cosmetic Science and Technology)」(サガリン(Sagarin)著、インターサイエンス(Interscience)、特別版、第2巻、308〜310頁)に見ることができる)。以下に述べる前駆体は、例示のためだけのものであり、本発明における組成物及びプロセスを限定する目的でないことを理解すべきである。以下のものが挙げられる。
1,7−ジヒドロキシナフタレン(1,7−ナフタレンジオール)、1,3−ジアミノベンゼン(m−フェニレンジアミン)、1−メチル−2,5−ジアミノベンゼン(トルエン−2,5−ジアミン)、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,3−ジヒドロキシ−4−クロロベンゼン、(4−クロロレゾルシノール)、1−ヒドロキシ−2−アミノベンゼン、(o−アミノフェノール)、1−ヒドロキシ−3−アミノベンゼン(m−アミノフェノール)、1−ヒドロキシ−4−アミノ−ベンゼン(p−アミノフェノール)、1−ヒドロキシナフタレン(1−ナフトール)、1,5−ジヒドロキシナフタレン(1,5−ナフタレンジオール)、2,7−ジヒドロキシナフタレン(2,7−ナフタレンジオール)1−ヒドロキシ−2,4−ジアミノベンゼン(4−ジアミノフェノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)、1−ヒドロキシ−4−メチルアミノベンゼン(p−メチルアミノフェノール)、6−ヒドロキシベンゾ−モルホリン(ヒドロキシベンゾモルホリン)、1−メチル−2−ヒドロキシ−4−アミノベンゼン(4−アミノ−2−ヒドロキシ−トルエン)、3,4−ジアミノ安息香酸(3,4−ジアミノ安息香酸)、1−メチル−2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン(2−メチル−5−ヒドロキシ−エチルアミノ−フェノール)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(1,2,4−トリヒドロキシベンゼン)、1−フェノール−3−メチルピラゾール−5−オン(フェニルメチルピラゾロン)、1−(2’−ヒドロキシエチルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン(2,4−ジアミノフェノキシ−エタノールHCL)、1−ヒドロキシ−3−アミノ−2,4−ジクロロベンゼン(3−アミノ−2,4−ジクロロ−フェノール)、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン(2−メチルレゾルシノール)、1−アミノ−4−ビス−(2’−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン(N,N−ビス(2−ヒドロキシ−エチル)−p−フェニレン−ジアミン)、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン(HC赤16)、1−ヒドロキシ−3−メチル−4−アミノベンゼン(4−アミノ−m−クレゾール)、1−ヒドロキシ−2−アミノ−5−メチルベンゼン(6−アミノ−m−クレゾール)、1,3−ビス−(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン(1,3−ビス−(2,4−ジアミノ−フェノキシ)−プロパン)、1−(2’−ヒドロキシエチル)−2,5−ジアミノベンゼン(ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミンサルフェート)、1−メトキシ−2−アミノ−4−(2’−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン、(2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール)、1−ヒドロキシ−2−メチル−5−アミノ−6−クロロベンゼン(5−アミノ−6−クロロ−o−クレゾール)、1−ヒドロキシ−2−アミノ−6−メチルベンゼン(6−アミノ−o−クレゾール)、1−(2’−ヒドロキシエチル)−アミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン(ヒドロキシエチル−3,4−メチレンジオキシ−アニリンHCl)、2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン(2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン)、3,5−ジアミノ−2,6−ジメトキシピリジン(2,6−ジメトキシ−3,5−ピリジンジアミン)、5,6−ジヒドロキシインドール(,ジヒドロキシ−インドール)、4−アミノ−2−アミノメチルフェノール(2−アミノエチル−p−アミノ−フェノールHCl)、2,4−ジアミノ−5−メチルフェネトール(2,4−ジアミノ−5−メチル−フェネトールHCl)、2,4−ジアミノ−5−(2’−ヒドロキシエチルオキシ)トルエン(2,4−ジアミノ−5−メチルフェノキシエタノールHCl)、5−アミノ−4−クロロ−2−メチルフェノール(5−アミノ−4−クロロ−o−クレゾール)、4−アミノ−1−ヒドロキシ−2−(2’−ヒドロキシエチルアミノメチル)ベンゼン(ヒドロキシエチルアミノメチル−p−アミノフェノールHCl)、4−アミノ−1−ヒドロキシ−2−メトキシメチルベンゼン(2−メトキシメチル−p−アミノフェノールHCl)、1,3−ビス(N(2−ヒドロキシエチル)N(4−アミノ−フェニル)アミノ)−2−プロパノール(ヒドロキシプロピル−ビス−(N−ヒドロキシ−エチル−p−フェニレンジアミン)HCL)、6−ヒドロキシインドール(Hydorxyindole)(6−ヒドロキシ−インドール)、2,3−インドリンジオン(イサチン)、3−アミノ−2−メチルアミノ−6−メトキシピリジン(HC青7号)、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン−2,4−ジヒドロ−5,2−フェニル−3H−ピラゾール−3−オン、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン(2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン)、5−アミノ−サリチル酸、1−メチル−2,6−ビス(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)ベンゼン(2,6−ヒドロキシエチルアミノ−トルエン)、4−ヒドロキシ−2,5,6−トリアミノピリミジン(2,5,6−トリアミノ−4−ピリミジノールサルフェート)、2,2’−[1,2−エタンジイル−ビス−(オキシ−2,1−エタンジイルオキシ)]−ビス−ベンゼン−1,4−ジアミン(PEG−3,2’,2’−ジ−p−フェニレンジアミン)、5,6−ジヒドロキシインドリン(ジヒドロキシインドリン)、N,N−ジメチル−3−ウレイドアニリン(m−ジメチル−アミノ−フェニル尿素)、2,4−ジアミノ−5−フルオロトルエンサルフェート水和物(4−フルオロ−6−メチル−m−フェニレンジアミンサルフェート)及び1−アセトキシ−2−メチルナフタレン(1−ヒドロキシエチル(HYDROXYYETHYL)−4,5−ジアミノピラゾールサルフェート)。これらは、分子形態又は過酸化物適合性塩の形態で使用することができる。
【0070】
本発明の毛髪染色組成物はまた、非酸化的毛髪染料を含んでもよい。即ち、直接染料は単独で又は上述した酸化的染料と組み合わせて使用されてもよい。適した直接染料としては、アゾ又はアントラキノン染料及びベンゼン系のニトロ誘導体及び又はメラニン前駆体、及びこれらの混合物が挙げられる。このような直接染料は、色合いの改質又はハイライトを送達するのに特に有用である。特に好ましいものは、塩基性赤色51、塩基性橙色31、塩基性黄色87、及びこれらの混合物である。
【0071】
本発明の毛髪染料組成物は、一般的に、約0.001%〜約10%の染料を含む。例えば、低強度の染色、例えば自然な金髪から薄茶色の毛髪の色合いを提供する組成物は、一般に染色組成物の約0.001重量%〜約5重量%、好ましくは約0.1重量%〜約2重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約1重量%の前駆体及びカップラーを含む。より暗い色合い、例えば茶色及び黒は、典型的には、0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.05重量%〜約7重量%、より好ましくは約1重量%〜約5重量%の前駆体及びカップラーを含む。
【0072】
界面活性剤
本発明による組成物は、少なくとも約0.01%のゲル網状組織増粘系内にて利用される追加の界面活性剤を1つ以上更に含んでもよい。本明細書に用いるのに適した界面活性剤は、一般に、約8〜約30個の炭素原子の親油性の鎖長を有し、アニオン性、非イオン性、両性及びカチオン性界面活性剤、並びにそれらの混合物から選択されることができる。
【0073】
ポリマー
本発明の組成物は、任意に、少なくとも約0.01%のポリマーを更に含んでもよい。該ポリマーは、例えば結合ポリマー、架橋アクリル酸ホモポリマー、(メタ)クリル酸及び(C1〜C6)アルキルアクリレートの架橋コポリマー又はポリサッカライドから選択されることができる。該ポリマーはまた、後述するように、コンディショニング剤として役立つ場合もある。該ポリマーは、一般に組成物の、約0.01重量%〜約20.0重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の濃度で用いられる。
【0074】
コンディショニング剤
本発明の組成物は、コンディショニング剤を含む組成物を含んでもよく、又はそれとの組み合わせにおいて用いられてもよい。本明細書で用いるのに好適なコンディショニング剤は、シリコーン物質、アミノシリコーン、脂肪族アルコール、ポリマー樹脂、ポリオールカルボン酸エステル、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、不溶性の油、及び油に由来する物質、並びにそれらの混合物から選択される。追加の物質としては、鉱油及びその他の油、例えばグリセリン及びソルビトールが挙げられる。
【0075】
コンディショニング剤は、一般に組成物の約0.05重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約15重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約10重量%、更により好ましくは約0.2重量%〜約2重量の濃度で用いられる。
【0076】
特に有用なコンディショニング物質は、カチオン性ポリマー及びシリコーンである。カチオン性ポリマー型のコンディショナーは、化粧品組成物で処理されるケラチン繊維の化粧品特性の少なくとも1つを改善するものとして当業者に既知のものから選択されてもよい。カチオン性ポリマーは、ポリマー主鎖の一部を形成するか又はポリマー主鎖に直接結合する側鎖置換基によって生じる場合のある1級、2級、3級及び第四級アミン基から選択される少なくとも1つのアミン基の単位を含むものから選択することができる。
【0077】
シリコーンは、ポリアルキルシロキサン油、トリメチルシリル又はヒドロキシジメチルシロキサン末端基を含む直鎖ポリジメチルシロキサン(polydiemthylsiloxane)油、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルフェニルシロキサン又はポリジメチルジフェニルシロキサン油、シリコーン樹脂、その一般的構造中に、1つ又は多数の有機官能基(同一又は異なり、該シロキサン鎖に直接結合している)を有する有機官能シロキサンから選択されることができる。該有機官能基は、ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基、(ペル)フルオロ基、チオール基、置換又は非置換のアミノ基、カルボキシレート基、ヒドロキシル化された基、アルコキシル化された基、クオタニウムアンモニウム基、両性及びベタイン基から選択される。該シリコーンは、ニート流体又は予備形成されたエマルションの形態のどちらか一方にて使用されることができる。
【0078】
キレート剤
本発明によると、組成物はキレート剤を含んでもよい。キレート剤は、当該技術分野において周知であり、各々が金属イオンとキレートを形成できる分子又は異なる分子の混合物を指す。キレート剤は、当該技術分野において周知であり、それらの非包括的なリストは、AEマーテル(AE Martell)及びRMスミス(RM Smith)著、「臨界安定度定数(Critical Stability Constants)」(第1巻、プレナム出版社(Plenum Press)(ニューヨーク&ロンドン(1974年))、並びにAEマーテル及びRDハンコック(RD Hancock)著、「水溶液中の金属錯体(Metal Complexes in Aqueous Solution)」(プレナム出版社(ニューヨーク&ロンドン、(1996年))に見出すことができ、両者共、本明細書に参考として組み込まれる。
【0079】
本明細書において用いるのに適したキレート剤の例としては、EDDS(エチレンジアミン二コハク酸)、カルボン酸(特に、アミノカルボン酸)、ホスホン酸(特に、アミノホスホン酸)及びポリリン酸(特に、直鎖ポリリン酸)、それらの塩及び誘導体が挙げられる。
【0080】
キレート剤は、本発明の組成物中に安定剤及び/又は防腐剤として組み込まれてもよい。加えて、キレート剤は、毛髪繊維の損傷について効果を提供し、従ってそれらは本発明の毛髪損傷の様相を更に改善するために使用されてもよいことが見出されてきてもいる。本発明のキレート剤の濃度は、ジアミン−N,N’−ジポリ酸及びモノアミンモノアミド−N,N’−ジポリ酸キレート化剤(例えばEDDS)のような最も有効なキレート剤を例として、約0.1%、好ましくは少なくとも約0.25%、より好ましくは約0.5%の低さであってもよい。有効性が低いキレート剤は、キレート剤の有効性によって、より好ましくは、組成物の少なくとも約1重量%、更により好ましくは約2重量%を超える濃度で用いられる。約10重量%の高さの濃度を用いることもできるが、この濃度を超えると、著しい製剤の問題が生じる場合がある。
【0081】
溶媒
本発明の組成物にて使用するのに適した適した溶剤としては、水、ブトキシジグリコール、プロピレングリコール、アルコール(変性)、エトキシジグリコール、イソプロピルアルコール、ヘキシレングリコール、ベンジルアルコール及びジプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定するものではない。最後に、本発明による組成物は、従って、典型的には、水性組成物として提供される。本発明の組成物は、典型的には溶媒の少なくとも約10重量%、好ましくは約20重量%、より好ましくは約30重量%、最も好ましくは約50重量%を含む。
【0082】
使用方法
本明細書に記載される使用方法の実施例及び実施形態は、単に例示することが目的であり、本発明の範囲から逸脱することなくそれらの種々の修正又は変更が当業者に提示されることは理解される。
【0083】
酸化的毛髪染料組成物は、別個の容器など、個別包装された構成成分において、酸化的染料、前駆体、及び典型的には適したキャリア中のアンモニアであるアルカリ化剤を含む染料構成成分(エマルションは「染料クリーム」又は溶液は「染料液」とも呼ばれる)、並びに酸化剤(通常は、過酸化水素)を含む過酸化水素構成成分(同様にエマルションは「過酸化水素クリーム」又は溶液は「過酸化水素液」とも呼ばれる)を含むキットにおいて通常販売される。消費者は、染料構成成分及び過酸化水素構成成分を、使用直前に混合し、それを毛髪上へ適用する。
【0084】
同様に、脱色組成物もまた、典型的に2個又は3個の別個の容器の中に個別包装された2つ又は3つの構成成分を含むキットとして通常販売される。第一の構成成分はアンモニウムイオン供給源(例えば、アンモニア)を含み、第二の構成成分は酸化剤を含み、及び第三(任意)の構成成分は第二の酸化剤を含む。脱色組成物は、上記の組成物を使用直前に混合することにより得られる。
【0085】
(毛髪すべてへの均一な適用を保証するため)数分間混合物を処理した後、染色が起きるために十分な量で酸化的染料組成物を毛髪上に残留する(通常、約2〜60分、典型的には約30〜45分)。次に、消費者は、彼/彼女の毛髪を水で完全にすすいで、それを乾燥させる。毛髪が元の色から所望の色に変化したことが確認できる。
【0086】
酸化的染料組成物及び脱色組成物中に存在する時、任意のコンディショニング剤は、第三の容器内に提供されることができる。後者の場合、すべての3つの組成物は、使用直前に混合され、ともに適用されることができるか、又は第三の容器中の内容物は、他の容器の混合の結果として得られる酸化的染料組成物又は脱色組成物の直後に後処置として、(任意のすすぎ工程の後に)適用されることができる。
【0087】
従って、得られる本発明による毛髪染色又は脱色組成物は、1〜60Pa.s(1000〜60000cPs)、好ましくは2〜30Pa.s(2000〜30000cPs)、及び最も好ましくは3〜25Pa.s(3000〜25000cPs)の粘度を有する。粘度は、円錐及びプレートを装備したブルックフィールド(Brookfield)粘度計を使用して測定する。0〜12Pa.s(0〜12000cPs)の範囲内の粘度の場合は、S42プレートを装備したブルックフィールドDV−11粘度計が使用される。組成物の試料2mLは、26.7℃で3分間平衡に保ってから、1rpm単位で値が読み取られる。12〜50Pa.s(12,000〜50,000cPs)の範囲内の粘度の場合は、S52プレートを装備したブルックフィールドDV−1粘度計が使用される。組成物の試料0.5mLを、26.7℃で1分間平衡に保ってから、1rpm単位で値が読み取られる。
【0088】
本発明はまた、毛髪染色又は脱色の方法が、少なくとも1つの酸化剤、カーボネートイオン、カルバメートイオン、又は炭酸水素イオンの少なくとも1つの供給源、及びそれらの混合物、並びに、上記で定義されるようなゲル網状組織増粘系を含み、該組成物を毛髪に適用する時間の少なくとも約50%については、該組成物は好ましくは9.5以下のpHを有する実施形態を含む。
【0089】
本発明によれば、毛髪を染色又は脱色する方法はまた、該組成物を毛髪に適用し、好ましくは該混合物を2〜3分間作用させる(毛髪全体に満遍なく適用するため)実施形態も含む。次に、色を発現させるために、約20分未満、好ましくは約15分未満、より好ましくは約5分〜約10分、最も好ましくは約10分の時間、該組成物を毛髪上に残留させる。次に、消費者は、彼/彼女の毛髪を水で完全にすすぎ、通常通り毛髪を乾燥及び/又は整髪する。そのような方法は、より速い染色又は脱色プロセスを可能にすることで、消費者に更なる利便性を提供する。
【0090】
本発明の代替的実施形態によれば、毛髪の染色及び/又は脱色方法は、酸化的毛髪染色又は酸化的毛髪脱色を順次行う方法であり、少なくとも2つの酸化的毛髪染色又は酸化的毛髪脱色処理を順次行い、各処理間の時間が1〜60日、好ましくは1〜40日、より好ましくは1〜28日、更により好ましくは1〜14日、最も好ましくは1〜7日である工程を含む。そのような実施形態においては、頭上に組成物を保持する時間は約20分未満でもよく、好ましくは約10分未満、最も好ましくは約2分〜約5分である。この方法により、消費者は、従来の毛髪洗浄又はコンディショニングプロセスに類似した方法で、染色又は脱色プロセスを実施することができる。
【0091】
以上に記載されているキットは、当該技術分野において周知であり、各容器内の組成物は、標準的手法のいずれか1つを使用して製造でき、これらには、a)「水中油型」プロセス、b)「転相」プロセス、及びc)「ワンポット(One-pot)」プロセスが挙げられる。例えば、「水中油型」プロセスを使用する場合、本発明の界面活性剤を約90℃で、組成物の水の総量の約50%まで加え、15〜30分間かけて均質化させ、次に室温まで冷却し、これによってゲル網状組織増粘剤プレミックスを形成する。次に、このプレミックスを冷却された状態で残りの水、他の任意の構成成分及び酸化剤又はカーボネートイオン、カルバメートイオン若しくは炭酸水素イオンの供給源と混合して、これによって上述の脱色又は染色用キットの第2の構成成分部分を形成する。
【0092】
本発明は、各種の包装及び分与装置で実施されてもよい。これら分与装置は、独立して又は互いに組み合わせて使用してもよい別個の装置の形態で実現することができる。典型的には、該毛髪染色又は脱色組成物は、使用前に互いに別個に貯蔵することができるように、別々の単一又は複数の区画の容器の中に収容される。該組成物は、次に、混合手段によって一緒に混合され、次に適用手段によって消費者の毛髪に適用される。
【0093】
本発明で使用することが可能である最も一般的なパッケージング用器具は、顕色剤を、ボトル、チューブ、エアゾール、又は袋のような容器内に保存すること、及び染料ローションを顕色剤容器内の追加の区画内に、又は同一であることができる別個の容器(例えば、2つの部分から成る小袋又はエアゾールシステム)又はボトル及びチューブシステムのような異なる別個の容器内に個別に保存することを含む。
【0094】
消費者は、顕色剤ローション及び染料ローションを任意の手段で混合してよい。これには、単純に混合用ボウルを使用して、その中へローションを分配し、好ましくは器具などの混合手段を用いて混合することが含まれる。あるいは、他のローションの容器内へローションの1つを追加して(典型的には、染料ローションは顕色剤ローションへ追加される)、次に手で振って混合するか、又は器具を使って混合してもよい。別のシステムは、単独の容器又は袋内の染料及び顕色剤ローションの分離隔室間にあるシールの穿孔又は変位と、続いて容器内又は別個及び/又は追加の容器内にて手動で混合することも含む。
【0095】
このような器具の一例は、いわゆる「ツイストアンドゴー(twist and go)」器具である。これらの器具によって、消費者は、染料を含む容器の底をひねって、連結部分を開き、染料を含むボトルの底と顕色剤を含むボトルの最上部を接触させることができる。2つの構成成分は混合され、消費者は分配用のボトルの可撓性最上部を絞って、製品を分配する。
【0096】
あるいは、ローションが分配の動きによって混合される、より複雑な器具を利用してもよい。このような複雑なシステムの例は、2つの部分から成るエアゾールシステム例えば、缶入りの袋(bag-in-can)又はピストンである。染料及び顕色剤は、1個の器具の中にある2個のエアゾール缶に別々に保管され、噴射剤を使って缶又は缶の中のバッグ又はピストン内の内容物に圧力を加え、バルブが分配をコントロールする。消費者がバルブを動かすと、染料及び顕色剤が同時に缶から分配され、製品を毛髪上に分配する直前に静的ミキサーによってともに混合される。染料対顕色剤の比は、製品の粘度、缶圧力、又はバルブを通る流路寸法の変更によって操作できる。更に、製品を泡立て、ムース状で送達することができる。
【0097】
このような複雑なシステムの別の実施例は、デュアルピストンスクリューシステムを利用する。染料及び顕色剤は、システム内の別個のピストンシリンダーシステムに保持され、消費者がボタンを作動させると、2個のスクリューが回転し、内部のデュアルピストンがシリンダー内の液体に圧力を加え、従って製品が混合ステーションに移動させられて、分配用ノズルから出される。染料対顕色剤の比は、包装容器の円筒直径によって操作できる。更に、混合を手助けするため、直列型静的ミキサーを使用することができ、そのようなシステムは完全に使い捨て又は完全に詰め替え可能であり得る。
【0098】
更に別のシステムは、1つ以上の手動ポンプを利用する。製品を、折り畳み可能な袋の中で予め混合してもよい。消費者がポンプを作動させると、ポンプ内の液体が分配される。手動で作動させたポンプが直立位置に戻ると、それは製品を折り畳み可能な袋から押し出す。あるいは、染料及び顕色剤ローションを毛髪に送達するために2個の袋及び2個のポンプを使用するデュアルシステムを取り付けることができる。あるいは、2個の袋に接続された単一ポンプを、ポンプ内に混合箇所を組み込むことによって、製品を送達することができる。他の実施例は、製品をポンプシステムに接続するために、剛性ボトル及びディップチューブを使用する。最終的に、ボトル内層をボトル外層から分離してボトル内容物を空にすることができる、層状に剥離するボトルを手動ポンプと組み合わせて使用することができる。
【0099】
典型的には、これらの複雑なシステムは、製品の配置とは独立に、製品を適用できるという利点がある。
【0100】
本明細書中にて上述した器具は、毛髪上への製品適用を手助けするための、製品送達及び/又は適用用具と組み合わせて使用することもできる。また、これらの器具は、容器又は櫛やブラシのような別個のアプリケーター器具の1つにノズルが取り付けられているという非常に単純な性質のものであってもよい。このような櫛及びブラシを、素早く、むらのない被覆、又は根元/生え際のタッチアップ又はハイライト又はストリークにするかどうかという特定の効果を達成するために、用いることができる。あるいは、容器又は容器の1つに、櫛を取り付けてもよく、又は分配用ノズルの代わりに櫛を取り付けてもよく、製品は中空の櫛の歯及び櫛の歯に設けられた分配用開口部を通って分配される。櫛の歯は、製品適用及び特に根元から先端への均一性を向上させるため、櫛の歯に沿った単一又は複数の開口部とともに提供されてもよい。製品の分配は、例えば、層状剥離ボトル又は上述した任意のメカニズムによって容器に加えられた機械的圧力によって行うことができる。該櫛は、例えば、適用を更に容易にするために容器上に取り付けられてもよく、垂直に設置されてもよく(いわゆるバーティコーム(verticomb))又はあらゆる領域に届くことを消費者に可能にするような角度で取り付けられてもよい。全ての器具は、消費者に毛髪への適用のための一連の異なった用具を提供できるように、互いに交換可能になるように設計されてもよい。
【0101】
適用するための器具は、特定の効果例えば、ハイライト、例えば、ハイライト用の櫛、ブラシ、及び用具並びにハイライト用キャップの手助けを実現するための器具も含んでよい。
【0102】
更なる器具の技術を、製品が毛髪内に浸透するのを手助けするために使用することができる。このような技術の例としては、加熱器具、紫外線器具及び超音波器具が挙げられる。
【実施例】
【0103】
以下の実施例は、本発明による毛髪染色又は脱色組成物を例示する。本明細書に記載されている実施例及び実施形態は、単に例示することが目的であり、本発明の範囲から逸脱することなくその種々の修正又は変更が当業者に提示されることは理解される。
【0104】
以下の毛髪染色又は脱色組成物(部分ii)を調製する。
【0105】
(実施例1〜10)(部分ii)
【0106】
【表2−1】

【0107】
【表2−2】

【0108】
以下の顕色剤組成物(部分i)を調製する。
【0109】
【表3】

【0110】
部分i)及び部分ii)は、毛髪上へ適用する前に混合し、混合製剤の粘度は、1〜60Pa.s(1000〜60000cPs)の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪へ適用する前に混合される2つの構成成分部分(i)及び(ii)を含む毛髪染色又は脱色組成物であって、
構成成分部分(i)は、少なくとも1つの酸化剤の供給源、好ましくは過酸化水素を含み、
構成成分部分(ii)は、カーボネートイオン、カルバメートイオン、又は炭酸水素イオン及びこれらの混合物の供給源と、少なくとも1つのゲル網状組織増粘系とを含有し、前記ゲル網状組織増粘系が、
a)6以下のHLB及び少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質と、
b)式RnmYMに従うアニオン性界面活性剤(式中、Rは、8〜30個の炭素原子を有する、アルキル基、アルケニル基、又はアルキルアリール基から独立して選択され、Xは、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの酸素原子又は窒素原子とを含む極性基から独立して選択され、Yは、カルボキシレート、サルフェート、スルフォネート又はホスフェートから選択されるアニオン基であり、n及びmは独立して1又は2であり、Mは、水素又は塩を形成するカチオンである)及びこれらの混合物、又は少なくとも約20個の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪鎖を有する、第四級アンモニウム塩又はアミドアミンから選択されるカチオン性界面活性剤及びこれらの混合物、から選択される少なくとも1つの界面活性剤と、
c)7以上のHLBを有し、且つ1つ以上のポリエチレンオキシド鎖を含む少なくとも1つの非イオン性界面活性剤とを含む、毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項2】
前記構成成分部分i及びiiが混合時に少なくとも0.1モル/L、好ましくは少なくとも0.25モル/Lの、カーボネートイオン、カルバメートイオン、炭酸水素イオン又はペルオキシモノカーボネートイオン及びこれらの混合物の前記供給源を含む、請求項1に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項3】
前記組成物は、少なくとも1つのラジカルスカベンジャーの供給源を更に含む、請求項1に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項4】
前記組成物は、少なくとも1つのアルカリ化剤の供給源、好ましくはアンモニウムイオン又はアンモニアの供給源を更に含む、請求項1に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項5】
前記組成物が、7.5〜9.5のpHを有する、請求項1に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項6】
6以下のHLBを有する前記少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質が、14〜30個の炭素原子を含む脂肪族アルコール、16〜30個の炭素原子及び2単位以下のエチレンオキシドを含むオキシエチレン脂肪族アルコール、14〜30個の炭素原子を含むグリセロール脂肪酸エステル及びそれらの混合物から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアニオン性界面活性剤が、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルグリセリルスルフォネート、N−アシルアミノ酸誘導体、N−アシルタウレート、アシルラクチレート、アルキルポリグルコシドのカルボキシアルキルエーテル及びそれらの混合物から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項8】
7以上のHLBを有する前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又は少なくとも25個、好ましくは100〜200個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール脂肪酸エステル及びそれらの混合物から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項9】
前記ゲル網状組織増粘系が、14〜30個の炭素原子を含む脂肪族アルコールから選択される6以下のHLBを有する少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質と、1〜20個、好ましくは2〜10個のエチレンオキシド単位を有するC8〜C30アルキルエーテルホスフェートから選択される少なくとも1つのアニオン性界面活性剤と、少なくとも25個、好ましくは100〜200個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルから選択される7以上のHLBを有する少なくとも1つの非イオン性界面活性剤とを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項10】
6のHLBを有する前記少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質と、少なくとも1つのアニオン性又はカチオン性界面活性剤と、7以上のHLBを有する少なくとも1つの非イオン性界面活性剤との部分ii)中の重量比が、10:1:0.1〜10:10:10である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項11】
前記組成物が、少なくとも1つの酸化性染料前駆体及び/又は少なくとも1つの予備形成された染料を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の毛髪染色組成物。
【請求項12】
前記組成物が、構成成分部分i及びiiを混合した後に、1〜60Pa・s(1000〜60000cPs)、好ましくは5〜50Pa・s(5000〜50000cPs)、及び最も好ましくは8〜30Pa・s(8000〜30000cPs)の粘度を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項13】
前記構成成分部分i)の粘度が、1Pa・s(1000cPs)未満、好ましくは0.1Pa・s(100cPs)未満である、請求項12に記載の毛髪染色又は脱色組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の構成成分部分i及びiiを混合し、続いて混合された組成物を適用し、前記組成物を毛髪上に2〜60分間放置し、次に前記組成物を毛髪から洗い流す工程を含む、毛髪処理の方法。
【請求項15】
前記組成物が、20分未満の時間毛髪上に保持される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも2つの連続的な酸化的毛髪染色又は酸化的毛髪脱色処理の工程を含む連続的な毛髪の酸化的毛髪染色又は酸化的毛髪脱色の方法であって、各処理間の時間が1日〜60日であり、且つ各処理が、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物を提供し、前記構成成分部分iとiiを混合し、前記混合された組成物を毛髪に適用し、前記組成物を毛髪上に20分未満の時間保持し、次に前記組成物を毛髪から洗い流す工程を含む、毛髪の酸化的染色又は酸化的脱色の方法。
【請求項17】
毛髪染色又は脱色キットであって、
i)少なくとも1つの酸化剤を含む個別包装の酸化構成成分と、
ii)カーボネートイオン、カルバメートイオン、又は炭酸水素イオン及びこれらの混合物の供給源と、少なくとも1つのゲル網状組織増粘系とを含む個別包装の第2構成成分とを含み、前記ゲル網状組織増粘系が、
a)6以下のHLB及び少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1つの界面活性剤又は両染性物質と、
b)式RnmYMに従うアニオン性界面活性剤(式中、Rは、8〜30個の炭素原子を有する、アルキル基、アルケニル基、又はアルキルアリール基から独立して選択され、Xは、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの酸素原子又は窒素原子とを含む極性基から独立して選択され、Yは、カルボキシレート、サルフェート、スルフォネート又はホスフェートから選択されるアニオン基であり、n及びmは、独立して1又は2であり、Mは、水素又は塩を形成するカチオンである)及びこれらの混合物、又は少なくとも20個の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪鎖を有する第四級アンモニウム塩又はアミドアミンから選択されるカチオン性界面活性剤及びこれらの混合物、から選択される少なくとも1つの界面活性剤と、
c)7以上のHLBを有し、且つ1つ以上のポリエチレンオキシド鎖を含む少なくとも1つの非イオン性界面活性剤とを含む、毛髪染色又は脱色キット。

【公表番号】特表2009−526836(P2009−526836A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554904(P2008−554904)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050722
【国際公開番号】WO2007/102119
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】