説明

壁体及び壁構造体

【課題】 吸音特性を容易に維持することができる壁体及び壁構造体を提供する。
【解決手段】 壁体11は、板状をなす基体12と、気泡を有する吸音部材13とを備えている。吸音部材13は、基体12の少なくとも一方の面に沿って配設されている。基体12には、保持部材14が設けられている。保持部材14は、基体12の外周縁部から立設される支持部14aと、支持部14aから基体12の内側に延びるように設けられる係止部14bとを備えている。吸音部材13は、保持部材14によって基体12に対して着脱可能に保持されている。この壁体11は、音が伝播する経路に配置される。壁構造体は壁体11を、複数配列して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音が伝播する経路に配置される壁体及び壁構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の壁体は、板状をなす基体とその基体の一方の面に配置される吸音部材とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。こうした壁体は、例えばプレス機等の音源に対して吸音部材側を向けて立設される。そして、音源から吸音部材に伝播する音は、吸音部材の吸音性能によって減衰される。
【特許文献1】特開2004−264589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、壁体の設置環境下において吸音部材の汚染が進行すると、所望の吸音特性が発揮されにくくなるため、吸音部材の吸音特性を維持するには、吸音部材を交換する必要がある。しかしながら、従来の壁体における吸音部材は、接着剤等を用いた接着によって基体に接合されているため、基体から吸音部材のみを取り外して交換することは困難である。そこで従来では、壁体一式を交換することによって、壁体の吸音特性を維持していた。こうした壁体一式を交換する作業は煩雑であり、しかも壁体一式の費用を要することになる。特に、壁体が建造物の内壁材や外壁材に使用される際には、複数の壁体が連結された壁構造体として設置されているため、壁構造体を構成する壁体を部分的に交換する作業は極めて煩雑となる。すなわち、こうした壁体及び壁構造体の吸音特性を維持するためには、手間と維持費を要するものとなっており、その改善が切望されていた。
【0004】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸音特性を容易に維持することができる壁体及び壁構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、音が伝播する経路に配置される壁体において、板状をなす基体と、気泡を有する吸音部材とを備え、同吸音部材は前記基体の少なくとも一方の面に沿って配設され、同吸音部材を前記基体に対して着脱可能に保持すべく同基体に保持部材を設けたことを要旨とする。
【0006】
この構成によれば、吸音部材は保持部材によって基体に保持されているため、基体に対して吸音部材のみを交換することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の壁体において、前記保持部材は、前記基体の外周縁部から立設され、前記吸音部材の周壁部を支持する支持部と、同支持部から前記基体の内側に延びるように設けられ、前記吸音部材の外周縁部を係止する係止部と、を備えることを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、吸音部材を取り外す際には、吸音部材を湾曲させて吸音部材の外周縁部を係止部から脱離させることで、吸音部材を容易に取り外すことができる。また一方、吸音部材を取り付ける際には、吸音部材を湾曲させて吸音部材の側壁部を支持部に支持させるとともに吸音部材の外周縁部を係止部に係止させることで、基体に吸音部材を容易に取着することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の壁体において、前記支持部は、前記基体の外周縁部に沿って枠状に設けられることを要旨とする。
この構成によれば、支持部によって吸音部材の周壁部全体を支持することができるため、基体に対して吸音部材を安定して保持させることができる。さらに、支持部によって吸音部材の周壁部全体を保護することができる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の壁体において、前記保持部材は、前記吸音部材に挿入すべく前記基体の少なくとも一方の面から突設される突出部を備えてなることを要旨とする。
【0010】
この構成によれば、吸音部材に対する突設部の挿入及び離脱によって、基体に吸音部材を着脱することができるようになる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の壁体において、前記基体の振動を抑制する制振部材を、前記基体と吸音部材との間において前記基体の少なくとも一方の面に密着した状態で配設したことを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、基体の振動が制振部材に伝播することによって制振部材が変形し、この制振部材の変形に対する抵抗によって振動が減衰される。このため、基体の振動が減衰され、基体の振動に起因する放射音の発生を抑制することができる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の壁体において、前記制振部材よりも弾性率の高い材料から構成される拘束部材を、前記制振部材と吸音部材との間において前記制振部材に密着した状態で配設したことを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、拘束部材によって制振部材の変形が拘束されることにより、制振部材の変形に対する抵抗が増大されるため、制振部材によって基体の振動は一層減衰される。従って、基体の振動に起因する放射音の発生を一層抑制することができる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の壁体を、複数配列して構成されることを要旨とする。
この構成によれば、壁構造体の一部分を構成する壁体の吸音部材のみを交換することができるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、吸音特性を容易に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1及び図2に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、壁体11は四角板状をなす基体12と、気泡を有する吸音部材13とを備えて構成され、吸音部材13は基体12の一方の面に沿って配設されている。
【0017】
基体12には、吸音部材13を同基体12に対して着脱可能に保持する保持部材14が設けられている。保持部材14は、基体12の外周縁部から立設される支持部14aと、支持部14aから基体12の内側に延びるように設けられる係止部14bとを備えている。支持部14aは、基体12の外周縁部に沿って枠状に設けられ、この支持部14aの内面によって吸音部材13の周壁部は全周にわたって支持されている。係止部14bは支持部14aの先端部分から基体12の面に沿って内側に延設され、基体12に対して支持部14aは所定の間隔をおいて離間して設けられている。こうした係止部14bによって吸音部材13の外周縁部が係止されている。さらに、係止部14bは支持部14aの先端部に沿って枠状に設けられることで、この係止部14bによって吸音部材13の外周縁部は全周にわたって係止されている。支持部14a及び係止部14bは、金属材料から基体12と一体に設けられている。基体12、支持部14a及び係止部14bを構成する金属材料としては、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼等が挙げられる。
【0018】
吸音部材13は気泡を有する吸音材料から形成され、吸音部材13に入射した音のエネルギーは吸音材料への衝突や吸音材料中の空気の振動等により減衰される。この吸音部材13は基体12の外周形状と略同形状である四角板状をなしており、基体12の一方の面を覆うように配設されている。吸音部材13を構成する吸音材料の具体例としては、多孔質材料、発泡材料等が挙げられる。多孔質材料の具体例としては、ガラス繊維から構成されるグラスウール、難燃ポリエステル繊維、炭素繊維等の繊維から構成される材料が挙げられる。発泡材料は連続気泡を有する材料や一部又は全体に独立気泡を有する材料をであって、具体例としてはセラミックフォーム、アルミフォーム、エポキシフォーム、ウレタンフォーム、ラバーフォーム等が挙げられる。これらの吸音材料は、単独で使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。本実施形態では、グラスウールを吸音材料とする吸音部材13であって、この吸音部材13における基体12とは反対側の面には、吸音部材13を保護する保護部材としてガラスクロスが積層されている(図示せず)。こうした保護部材を設けることによって、吸音部材13の汚染や破損が抑制されるため、吸音部材13の交換頻度を低減させることができるようになる。
【0019】
基体12と吸音部材13との間には、基体12の振動を抑制する制振部材15が介在されている。この制振部材15は、基体12の一方の面に密着した状態で配設され、基体12から伝播する振動エネルギーを減衰する役割を果たす。すなわち、制振部材15は、基体12の振動に追従するように弾性変形し、こうした弾性変形により、振動エネルギーを熱エネルギーに変換する。制振部材15は、制振部材15を構成する制振材料の自己粘着性等を利用して基体12に接着されている。制振部材15を構成する制振材料は、ポリマー成分を基材として、必要に応じて充填剤、軟化剤等の各種添加剤が配合された材料から構成される。ポリマー成分としては、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂等が挙げられる。合成ゴムの具体例としては、イソブチレン/イソプレン共重合ゴム、スチレン/ブタジエンゴム等が挙げられる。熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン/ブタジエンブロック共重合体、スチレン/イソプレンブロック共重合体等が挙げられる。熱可塑性樹脂の具体例としては、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、石油樹脂等が挙げられる。これらのポリマー成分は、単独で使用してもよく、複数種を組み合わせて使用してもよい。充填剤としては、炭酸カルシウム、マイカ、クレイ、タルク、硫酸バリウム等が挙げられる。軟化剤としては、パラフィン系可塑剤、ポリイソブチレン、ポリブテン等が挙げられる。これらの充填剤及び軟化剤は、それぞれ単独で配合してもよいし、複数種を組み合わせて配合してもよい。本実施形態では、イソブチレン/イソプレン共重合ゴムに対して硫酸バリウム及びポリブテンを配合した制振材料からなる制振部材15を適用している。制振性能を十分に発揮させるという観点から、制振材料の組成は、ポリマー成分100質量部に対し、無機充填剤50〜3000質量部、及び軟化剤10〜300質量部であることが好適である。
【0020】
制振部材15と吸音部材13との間には、制振部材15よりも弾性率の高い材料から構成される拘束部材16が介在されている。この拘束部材16は制振部材15に密着した状態で配設されることで、制振部材15を拘束する作用を有する。すなわち、拘束部材16は制振部材15の変形を拘束することで、制振部材15の変形に対する抵抗を増大させる。拘束部材16は、制振部材15を構成する制振材料の自己粘着性によって制振部材15に密着かつ接合されている。拘束部材16の具体例としては、アルミ箔、各種金属フィルム、ガラスクロス、鋼板等が挙げられる。この拘束部材16は単独の材料から構成してもよいし、複数種の材料から構成してもよい。本実施形態では、拘束部材16としてアルミ箔を適用している。吸音部材13は拘束部材16に対して密接した状態で配設されている。
【0021】
この壁体11はプレス機等を音源として、その音源から発生する音が伝播する経路に配置される。すなわち、プレス機が設置される工場の内壁や外壁として、音源であるプレス機に吸音部材13を向けるようにして配置される。詳述すると、複数の壁体11を準備し、これらの壁体11を構成する基体12を連結具を用いて連結することで、壁体11を横方向及び縦方向に配列し、外壁や内壁等の壁構造体が構築される。
【0022】
さて、プレス機の作動に伴って発生した音は、空気を媒体として吸音部材13に伝播する。そうした音が吸音部材13に入射すると、吸音部材13によって音のエネルギーから熱エネルギーに変換される。すなわち、吸音部材13に入射した音は、吸音部材13によって減衰される。また、吸音部材13を透過することで拘束部材16に到達した音は、拘束部材16によって反射される。その反射音は吸音部材13に再び入射され、そうした反射音も同様に吸音部材13によって減衰されることになる。
【0023】
また、プレス機の振動は、工場の床を媒体として壁体11に伝播し、基体12を振動させることがある。このとき、基体12の振動は制振部材15及び拘束部材16によって減衰され、基体12の振動に基づく音の発生が抑制される。
【0024】
工場内の塵や、プレス機等から発生するオイルミスト等によって、吸音部材13の汚染が進行すると、吸音部材13による所望の吸音性能が発揮されなくなるため、吸音部材13を交換する必要がある。吸音部材13を交換するには、まず吸音部材13を湾曲させて吸音部材13の外周縁部を係止部14bから離脱させることで、吸音部材13を取り外す。次いで、新しい吸音部材13を湾曲させて吸音部材13の側壁部を支持部14aの内側に支持させるとともに吸音部材13の弾力性を利用して外周縁部を係止部14bに係止させる。この吸音部材13の外周縁部は、拘束部材16と係止部14bとに挟持されるようにして係止される。このようにして、基体12は設置された状態で、吸音部材13のみを交換することができる。
【0025】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1) 基体12には支持部14a及び周壁部が設けられ、これら支持部14a及び周壁部によって吸音部材13が着脱可能に保持されている。このため、吸音部材13の交換が必要になった際には、壁体11一式を交換せずに吸音部材13のみを交換することができる。従って、壁体11及び壁体11から構成される壁構造体の吸音特性を容易に維持することができる。さらに、吸音部材13のみを交換することができるため、壁体11一式を交換する場合よりも、維持費を削減することができる。
【0026】
壁体11を複数配列して構成される壁構造体によれば、壁構造体のうち、一部の壁体11について、他の部分とは異なる吸音特性を有する吸音部材13に交換することができる。つまり、壁構造体の一部について、吸音部材13のみを交換するだけで、他の部分との吸音特性を異ならせることが可能となる結果、壁構造体を構築した後であっても、壁構造体の吸音特性を容易に調整することができる。
【0027】
(2) 保持部材14は支持部14a及び係止部14bから構成され、支持部14aによって吸音部材13の周壁部は支持されるとともに、係止部14bによって吸音部材13の外周縁部は係止されている。このように構成した場合、吸音部材13を取り外す際には、吸音部材13を湾曲させて吸音部材13の外周縁部を係止部14bから脱離させることで、吸音部材13を容易に取り外すことができる。また一方、吸音部材13を取り付ける際には、吸音部材13を湾曲させて吸音部材13の周壁部を支持部14aに支持させるとともに吸音部材13の外周縁部を係止部14bに係止させることで、基体12に吸音部材13を容易に取着することができる。従って、交換作業の手間を一層軽減することができるため、壁体11の吸音特性を一層容易に維持することができる。さらに、こうした支持部14a及び係止部14bによれば、壁体11の構造における複雑化を招くことなく、基体12に対して吸音部材13を着脱可能に保持させることができる。
【0028】
加えて、係止部14bによる吸音部材13の係止は、吸音部材13の厚さを規制することになる。このため、非装着状態において厚さが異なる吸音部材13でも、所定の厚さの範囲内であれば、係止部14bと拘束部材16(すなわち基体12)とによって吸音部材13を挟み込むようにして装着することができる。従って、壁体11を複数配列して構成される壁構造体によれば、壁構造体のうち、一部の壁体11について、他の部分とは異なる厚さの吸音部材13に交換することができる。つまり、壁構造体の一部について、吸音部材13のみを交換するだけで、他の部分との吸音特性を異ならせることが可能となる結果、壁構造体を構築した後であっても、壁構造体の吸音特性を容易に調整することができる。
【0029】
(3) 支持部14aは基体12の周縁部に沿って枠状に設けられているため、こうした支持部14aによって吸音部材13の周壁部全体が支持される。このため、基体12に対して吸音部材13を安定して保持させることができる。さらに、支持部14aによって吸音部材13の周壁部全体を保護することができる。
【0030】
(4) 係止部14bは支持部14aに沿って枠状に設けられているため、吸音部材13の外周縁部は全周にわたって係止される。従って、基体12に対して吸音部材13を一層安定して保持させることができる。
【0031】
(5) 基体12と吸音部材13との間には制振部材15が設けられ、この制振部材15は基体12の少なくとも一方の面に密着した状態で配設されている。このように構成した場合、基体12から制振部材15に伝播した振動は、制振部材15によって減衰される。このようにして基体12の振動が減衰されるため、基体12の振動に起因する放射音の発生を抑制することができる。
【0032】
(6) 制振部材15と吸音部材13との間には拘束部材16が設けられ、この拘束部材16は制振部材15に密着した状態で配設されている。このように構成した場合、拘束部材16によって制振部材15の変形が拘束されることにより、制振部材15の変形に対する抵抗が増大されるため、制振部材15によって基体12の振動は一層減衰される。従って、基体12の振動に起因する放射音の発生を一層抑制することができる。
【0033】
また一方、吸音部材13を透過することで拘束部材16に到達した音は、拘束部材16によって反射される。その反射音は吸音部材13に再び入射され、そうした反射音も同様に吸音部材13によって減衰されることになる。従って、壁体11の吸音性能を向上させることができる。さらに、吸音部材13を透過した音は、拘束部材16によって反射されるため、吸音部材13を透過した透過音が基体12まで到達し、その透過音が基体12を振動させるという現象を抑制することができるようになる。
【0034】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・ 前記係止部14bは支持部14aに沿って枠状に設けられているが、係止部14bは支持部14aに沿って部分的に設けられていてもよい。同様に、前記支持部14aは基体12の外周縁部に沿って枠状に設けられているが、例えば図3に示すように支持部14aは基体12の外周縁部に沿って部分的に設けられていてもよい。このように、支持部14aを部分的に設けた場合には、支持部14aに対応して係止部14bを設ければよい。
【0035】
・ 前記支持部14a及び係止部14b以外の代わりに、保持部材14として例えば図4に示す突出部14cを採用してもよい。突出部14cは、基体12の一方の面に突設される。同突出部14cが吸音部材13に設けられる挿入孔13aに挿入されることで、基体12に対して吸音部材13を着脱可能に保持させることが可能である。さらに、保持部材14として、支持部14a、係止部14b及び突出部14cを組み合わせることも可能である。こうした突出部14cは、保持力が十分に得られるという観点から、図4に示すように複数設けることが好ましい。
【0036】
・ 前記支持部14a及び係止部14bは基体12と一体形成されている。この他に、支持部14a及び係止部14bを基体12と別体で形成し、基体12に連結する構成であってもよい。
【0037】
・ 前記支持部14a及び係止部14bを金属以外の材料、例えば合成樹脂から形成してもよい。ただし、壁体11自体の剛性が維持されるとともに、遮音性が良好であることから、基体12は金属材料から形成されることが好ましく、基体12に加えて支持部14a及び係止部14bも金属材料から形成されることがさらに好ましい。
【0038】
・ 拘束部材16を省略してもよい。図4に示すように、前記拘束部材16を省略することに加えて、制振部材15を更に省略してもよい。
・ 基体12と吸音部材13との間に介在される部材は、制振部材15及び拘束部材16の2部材に限定されず、3部材以上の構成であってもよい。例えば、前記拘束部材16と吸音部材13との間に別の制振部材及び拘束部材を更に設けてもよい。
【0039】
・ 前記基体12と吸音部材13との間に別の吸音部材を介在させてもよい。別の吸音部材を介在させた場合、外部に露出している吸音部材13のみを、本明細書でいう吸音部材13として構成する。すなわち、基体12と吸音部材13との間に介在される別の吸音部材は、基体12、制振部材15又は拘束部材16に接着されることで、着脱不能に接合されていてもよい。
【0040】
・ 前記吸音部材13は拘束部材16に対して密接した状態で配設されているが、吸音部材13は拘束部材16に対して離間して配設されていてもよい。この離間した部分は、空気層として吸音性能の向上に寄与する。
【0041】
・ 図5に示すように、基体12の他方の面に吸音部材13を更に配設してもよい。
・ 図6に示すように、基体12の一方の面側と同様に、基体12の他方の面にも制振部材15、拘束部材16及び吸音部材13を配設してもよい。
【0042】
・ 前記吸音部材13には、吸音部材13を保護する保護部材としてガラスクロスが設けられている。こうした保護部材としては、ガラスクロス、アルミ繊維不織布等の不燃性不織布以外に、例えばエキスパンドメタルを設けてもよい。保護部材は、吸音部材13の吸音性能に対する影響を考慮して適宜選択すればよいが、吸音部材13の吸音性能に対する影響も少なく、保護性能に優れることから、ガラスクロスを設けることが好ましく、更にエキスパンドメタルを設けることが好ましい。
【0043】
・ 基体12の形状は、例えば三角板状、六角板状等に変更してもよい。壁体11を設置し易いという観点から、基体12は四角板状であることが好ましい。
・ 前記壁体11は、防音壁として各種発生源から発生される音に対して有効である。すなわち、音の発生源は特に限定されず、プレス機の他にポンプ、コンプレッサ等が挙げられる。
【0044】
・ 壁体11は、例えば工場等の建造物の内部に設置される内壁材として使用してもよく、建造物の外壁を構成する外壁材として使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施形態における壁体の一部を切り欠いた状態を示す分解斜視図。
【図2】一部を切り欠いた壁体を示す斜視図。
【図3】別の壁体を示す分解斜視図。
【図4】別の壁体の一部を切り欠いた状態を示す分解斜視図。
【図5】別の壁体の一部を切り欠いた状態を示す分解斜視図。
【図6】別の壁体の一部を切り欠いた状態を示す分解斜視図。
【符号の説明】
【0046】
11…壁体、12…基体、13…吸音部材、13a…挿入孔、14…保持部材、14a…支持部、14b…係止部、14c…突出部、15…制振部材、16…拘束部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音が伝播する経路に配置される壁体において、板状をなす基体と、気泡を有する吸音部材とを備え、同吸音部材は前記基体の少なくとも一方の面に沿って配設され、同吸音部材を前記基体に対して着脱可能に保持すべく同基体に保持部材を設けたことを特徴とする壁体。
【請求項2】
前記保持部材は、前記基体の外周縁部から立設され、前記吸音部材の周壁部を支持する支持部と、
同支持部から前記基体の内側に延びるように設けられ、前記吸音部材の外周縁部を係止する係止部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の壁体。
【請求項3】
前記支持部は、前記基体の外周縁部に沿って枠状に設けられることを特徴とする請求項2に記載の壁体。
【請求項4】
前記保持部材は、前記吸音部材に挿入すべく前記基体の少なくとも一方の面から突設される突出部を備えてなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の壁体。
【請求項5】
前記基体の振動を抑制する制振部材を、前記基体と吸音部材との間において前記基体の少なくとも一方の面に密着した状態で配設したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の壁体。
【請求項6】
前記制振部材よりも弾性率の高い材料から構成される拘束部材を、前記制振部材と吸音部材との間において前記制振部材に密着した状態で配設したことを特徴とする請求項5に記載の壁体。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の壁体を、複数配列して構成されることを特徴とする壁構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−328763(P2006−328763A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−152826(P2005−152826)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000101905)イイダ産業株式会社 (47)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】