説明

壁構造物及びその構築方法

【課題】施工が容易で安定した強度を有する壁構造物及びその構築方法を実現する。
【解決手段】地表から地中に杭材2とパネル材3とからなる複数の壁部材1を斜めに埋設して形成した連続壁Wの前面側の地盤を取り除き、連続壁Wの傾斜前面22側のパネル材3を露出させることで、壁構造物100を容易に構築することができるので、この壁構造物100を構築するにあたり、掘削する壁面が崩れないように土留壁を仮設する土留め工が不要となるメリットがある。また、杭材2の傾斜前面22側に取り付けられているパネル材3の自重が、杭材2の傾斜背面21を地盤に向けて押さえつける押圧力となって作用するので、壁構造物100の強度を向上させて、安定した強度で地盤の傾斜面を覆う剛性を有する壁構造物100とすることを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁構造物及びその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、護岸築造工法として、河川を仮締切りし、法面を整地し、その法面にコンクリートブロックを積上げるかコンクリートを現場打ちして護岸構造体を築造し、その後に河川の仮締切りを解除する工法が知られている。
【0003】
また、地表から掘削装置を河川の法面に沿って斜めに挿入して地中を掘削しつつ、その掘削溝の内部にソイルセメントを壁状に施すとともに、柔らかい状態のソイルセメント中にプレキャストコンクリート部材を連続的に施工することにより、地中に連続壁を形成する地中構造体築造工法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−104248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の護岸築造工法の場合、河川を仮締切りする必要があるので、増水期の施工が困難であり、渇水期などに施工時期が制限されるという問題や、その工法における締切り工や土留め工、水替え工など作業工程が煩雑であるという問題があった。
【0005】
また、上記特許文献1の場合、現況河川に近い位置に地中構造体である連続壁を形成するために、その河川の河床近傍を掘削した場合に、地盤土質によっては掘削溝に水がしみ出るなどして、その掘削溝が脆くなり崩れるなどしてしまうことがあり、安定した連続壁を形成できないことがあるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、施工が容易で安定した強度を有する壁構造物及びその構築方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、壁構造物(100)であって、例えば、図1から図3に示すように、
地中に傾斜した状態で埋入されて、その傾斜背面(21)側が地盤を覆う杭材(2)と、
前記杭材の傾斜前面(22)側を被覆し、その杭材の前記傾斜背面を地盤に向けて押さえつけるパネル材(3)とが、それぞれ連設されて壁面状に形成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、壁構造物は、杭材とその杭材の前面側を被覆するパネル材とがそれぞれ連設されて壁面状に形成されて地中に傾斜した状態で埋入されるので、杭材の重量が杭背面に作用する土圧に抵抗する。また、壁構造物における杭材の傾斜背面側に作用する地盤からの土圧は比較的小さい圧力であり、垂直な直壁などに用いる杭材に比べて、その杭材の剛性を低減することが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の壁構造物であって、例えば、図2に示すように、
前記パネル材は、前記杭材の上端側であって、少なくとも前記杭材が地中に埋入されない範囲を被覆することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、壁構造物において、杭材の上端側であって少なくとも杭材が地中に埋入されない範囲をパネル材が被覆するので、そのパネル材は化粧パネルとして壁構造物の表面を覆い、その壁構造物に装飾性を付与したり、パネル材が有する機能性を壁構造物に付与したりすることが可能になる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の壁構造物(103)であって、例えば、図7、図8に示すように、
前記パネル材(33)は、前記杭材が地中に埋入される方向に沿った貫通孔(33a)を有することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、壁構造物を構成するパネル材には、杭材が地中に埋入される方向に沿った貫通孔が形成されているので、例えば、ウォータジェットを併用してパネル材を地中に埋入する際の排土口として作用し、埋入を容易にする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の壁構造物であって、例えば、図1、図3、図6、図7に示すように、
前記パネル材は、前記杭材に一体的に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、壁構造物を構成するパネル材は杭材に一体的に設けられているので、設置の手間を省くことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、壁構造物の構築方法であって、例えば、図4、図5、図8に示すように、
地表から地中に複数の杭材(1、31)を斜めに埋設し、前記杭材が地中で複数連なる連続壁(W)を形成し、次いで、前記連続壁の前面側の地盤を取り除き、前記連続壁の傾斜前面側を露出させて、壁構造物(100、103)を構築することを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、地表から地中に複数の杭材を斜めに埋設して形成した連続壁の前面側の地盤を取り除き、連続壁の傾斜前面側を露出させて、壁構造物を構築することができるので、この壁構造物を構築するにあたり、掘削する壁面が崩れないように土留壁を仮設する土留め工が不要となるメリットがある。具体的には、複数の杭材を地中に埋設して形成した連続壁が土留壁としての機能を有しており、また、その連続壁の傾斜前面側の地山を取り除くことによって、その連続壁が壁構造物となるので、仮設の土留壁を撤去する作業を要しない。
よって、この壁構造物を施工する構築方法は、土留壁を仮設する場合に比べて、大幅な工期の短縮や工費の節減が可能になるメリットがあり、壁構造物を容易に施工し構築することを可能にする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、壁構造物は、地中に傾斜した状態で埋入された杭材が連設されて壁面状に形成されており、その壁構造物を構成する杭材の傾斜背面側が地盤を覆うようになっているので、壁構造物における杭材の傾斜背面側に作用する地盤からの土圧は比較的小さい圧力であり、垂直な直壁などに用いる杭材に比べて、その杭材の強度を低減することが可能となる。
つまり、杭材を地中に傾斜した状態で埋入するという容易な施工で構築可能な壁構造物に地盤の傾斜面から作用する土圧は比較的小さいので、その壁構造物を構成する杭材の強度を低減することが可能である。換言すれば、従来使用していたような直壁用の強度を有する杭材など一般的な杭材を用いて構築した壁構造物が傾斜地盤面を覆う見かけ上の強度を、直壁の強度より相対的に向上させることができ、安定した強度で傾斜面を覆う壁構造物とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の壁構造物及びその壁構造物の構築方法を、図を参照して説明する。
【0019】
壁構造物100は、図1に示す壁部材1が複数連結されて構成される。
壁部材1は、図1(a)、(b)に示すように、杭材2と、杭材2に取り付けられたパネル材3とを備えている。
【0020】
杭材2は、図1(a)(b)に示すように、例えば、ハット形の鋼矢板であって、その矢板本体2aの両側に継手2bが設けられている。
パネル材3は、図1(a)(b)に示すように、例えば、矢板本体2aの凹部に一体的に設けられたコンクリート製の化粧パネルであり、杭材2の上端側に固定されている。このパネル材3は、図2に示すように、壁部材1が壁構造物100として構築された際に、少なくとも杭材2が地中に埋入されない範囲を被覆するように、杭材2の上端側に配設されている。そして、パネル材3は、壁構造物100の前面に配されるように、壁部材1の一部を成している。
【0021】
この杭材2とパネル材3とからなる壁部材1を、図2、図3に示すように、施工箇所である護岸などにおいて、傾斜した状態で地中に埋入させる際に、杭材2の継手2bを介して複数の壁部材1を連結させて、それら壁部材1を並設することによって、杭材2とパネル材3とがそれぞれ連設されて壁面状に形成された壁構造物100が構築されるようになっている。
そして、地中に傾斜した状態で埋入された壁部材1における杭材2の傾斜背面21側が地盤を覆うようになっており、その杭材2の傾斜前面22側がパネル材3によって被覆されるようになっている。また、このパネル材3は、その自重によって杭材2の傾斜背面21を地盤に向けて押さえつける押圧力を作用させるようになっている。
【0022】
この壁部材1を斜めに地中に埋入して構築した壁構造物100における杭材2の傾斜背面21側に作用する地盤からの土圧は、略垂直に杭材を埋入した直壁の側面に作用する土圧より小さいので、傾斜した壁構造物100を構成する杭材2の剛性を直壁のものより低減することを可能とし、また、直壁の擁壁を構成する杭材と同じ強度のものを傾斜させる杭材2に適用した場合には、壁構造物100の剛性を向上させることを可能とする。
また、壁部材1における杭材2の傾斜前面22側を覆うコンクリート製のパネル材3の自重が、杭材2の傾斜背面21側から地盤に向かって作用して土圧に抵抗するので、そのパネル材3の自重を利用することによって、杭材2の剛性を低減したり、壁構造物100の剛性を向上させたりすることが可能になる。
【0023】
次に、壁部材1を用いた壁構造物100の構築方法について説明する。
【0024】
例えば、図4(a)に示す現況河川(旧河川)の川幅を広げ、その川岸を補強する護岸工事において、その護岸に本発明に係る壁構造物100を構築する場合、図4(b)に示すように、護岸の施工箇所となる所定の位置に、壁部材1を地表から地中に所定の角度で斜めに埋設する。
そして、複数の壁部材1を連続的に埋設する際に、杭材2の継手2bを介して壁部材1を連結させて、複数の壁部材1を並設し、地中で複数の壁部材1が連なる連続壁Wを形成する。
【0025】
ここで、壁部材1を地中に埋設する手法としては、例えば、クレーンなどを装備する大型杭打ち機により、壁部材1を施工箇所で所定の角度となる配置に支持したうえで、その壁部材1を地中に圧入することによって、壁部材1を所定の角度で傾斜した状態に埋設することができる。
そして、壁部材1の埋設を繰り返して連続壁Wを形成することができる。
また、前述のように、幾つかの壁部材1を傾斜した状態で地中に埋設した後、既設の杭の上端部に設置されてその既設杭から反力をとって、その既設杭に並設する杭を圧入する周知の杭圧入装置を使用して、複数の壁部材1を埋設し連続壁Wを形成するようにしてもよい。
【0026】
そして、構築予定の壁構造物100に相当する範囲に連続壁Wを形成した後、その連続壁Wの前面側の地盤であって、壁部材1のパネル材3側の地山や土砂をパワーショベルなどにより掘削して取り除き、杭材2の傾斜前面側である壁部材1のパネル材3を露出させることによって、図4(c)に示すように、壁構造物100を構築することができる。
そして、図4(c)に示すように、川岸の護岸に沿って、柵や遊歩道等を敷設するなどして、護岸整備が完了する。
【0027】
以上のように、本発明に係る壁構造物100は、杭材2とパネル材3とからなる壁部材1が地中に傾斜した状態に埋入されて複数連設されてなり、その壁部材1の杭材2の傾斜背面21が地盤を覆うようになっているので、壁構造物100における杭材2の傾斜背面21側に作用する地盤からの土圧は比較的小さいため、垂直な直壁の擁壁などに用いる杭材に比べて、壁部材1の杭材2の剛性を低減することができる。
特に、壁部材1の杭材2の傾斜前面22側に取り付けられているパネル材3の自重が、杭材2の傾斜背面21を地盤に向けて押さえつける押圧力となって作用するので、そのパネル材3の自重を利用することによって、杭材2の剛性をより低減することができる。
つまり、所定の強度を有する壁構造物100を構築する場合に、壁部材1を傾斜した姿勢で地中に埋入する構築方法をとることによって、壁構造物100を構成する個々の杭材2の剛性を低減することができる。
【0028】
また、傾斜した姿勢で地中に埋入された壁部材1が連設されてなる壁構造物100に地盤の傾斜面から作用する土圧は比較的小さいので、従来使用していたような直壁用の強度を有する杭材2を用いることによって、壁構造物100の強度を向上させることができ、安定した強度で傾斜面を覆う剛性を有する壁構造物100とすることができる。
【0029】
また、この壁構造物100を構築するにあたり、掘削する壁面が崩れないように土留壁を仮設する土留め工が不要となるメリットがある。
つまり、複数の壁部材1を地中に埋設して形成した連続壁Wが土留壁としての機能を有しており、また、その連続壁Wの傾斜前面側の地山を取り除くことによって、その連続壁Wが壁構造物100となるので、仮設の土留壁を撤去する作業を要しない。
よって、この壁構造物100を施工する構築方法は、土留壁を仮設する場合に比べて、大幅な工期の短縮や工費の節減が可能になるメリットがあり、壁構造物100を容易に施工し構築することを可能にする。
【0030】
このように、杭材2とパネル材3とからなる壁部材1を傾斜した姿勢で連設させて構築した壁構造物100は、その施工が容易であって、傾斜面(地盤)からの土圧に対して安定した強度を有するというメリットを有している。
【0031】
なお、本発明に係る壁構造物100を施工する構築方法では、土留壁を仮設する土留め工が不要であるので、例えば、図5に示すように、旧河川と壁構造物100を構築する間に、地山がなく、土留壁を仮設する箇所がないような場合であっても、その護岸に壁構造物100を構築することができる。
この場合、旧河川の川岸における直壁と、新河川の護岸となる壁構造物100とが交差するので、連続壁Wの土留壁としての機能を十分なものとするために、壁部材1における杭材2の下端側が長いものを用いて、その根入れ長を長くすることが好ましい。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
前述の壁構造物100を構成する壁部材1の杭材2は、ハット形の鋼矢板をベースにしたものであったが、例えば、図6に示すように、鋼管杭をベースにした杭材12であってもよく、その杭材12の一方の面(前面)をパネル材13で被覆した壁部材11を用い、その壁部材11を連設してなる壁構造物101を構築するようにしてもよい。
【0033】
(実施形態2)
次に、本発明に係る壁構造物及びその壁構造物の構築方法の実施形態2について説明する。
なお、実施形態1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0034】
壁部材31は、図7、図8に示すように、鋼矢板をベースにした杭材32と、杭材32の矢板本体32aの凹部に固定されたパネル材33とを備えている。
杭材32の矢板本体32aの前面側には、パネル材33が杭材32からずれないように支持する支持突起32cが設けられている。
パネル材33には、杭材32が地中に埋入される方向に沿った貫通孔33aが形成されている。
そして、この壁部材31は、その長手方向に連結可能になっており、壁構造物103を構築する傾斜面の高さなどに応じて、幾つかの壁部材31を連結して、所望する長さに調整することができるようになっている。
【0035】
次に、壁部材31を用いた壁構造物103の構築方法について説明する。なお、本実施形態2では、3つの壁部材31を縦方向に連結させて壁構造物103を構築する例を挙げて説明する。
【0036】
まず、図8(a)に示すように、護岸の施工箇所となる所定の位置に、第一の壁部材31を地表から地中に所定の角度で斜めに埋設する。
そして、この壁部材31を地中に埋設する際に、パネル材33の貫通孔33aからウォータジェットで水を送り込み、泥状の排土をバキュームにより汲み出すようにして、壁部材31の地中への圧入を補助することによって、擁壁としての壁部材31の埋設を好適に行うことを可能にしている。
また、パネル材33に形成された貫通孔33aによって、壁部材31(杭材32)の圧入方向に垂直なパネル材33の断面積が縮小されることとなって、パネル材33が杭材32とともに地中に圧入される際にそのパネル材33に作用する抵抗が低減するので、擁壁としての壁部材31の埋設をより好適に行うことを可能にしている。
なお、最初に地中に向かって埋設する第一の壁部材31の杭材32の下端側は根入れ部分として長く形成されている。
【0037】
次いで、図8(b)に示すように、第一の壁部材31の上端に、第二の壁部材31を連結して、第二の壁部材31で第一の壁部材31を押し込むように、第一の壁部材31と第二の壁部材31とを地中に所定の角度で斜めに埋設する。
なお、同様にパネル材33の貫通孔33aからウォータジェットで水を送り込み、泥状の排土をバキュームによって汲み出すようにして、壁部材31の圧入の補助を行う。
【0038】
更に、図8(c)に示すように、第二の壁部材31の上端に、第三の壁部材31を連結して、第三の壁部材31で第二、第一の壁部材31を押し込むように、第一の壁部材31と第二の壁部材31と第三の壁部材31とを地中に所定の角度で斜めに埋設する。なお、同様にパネル材33の貫通孔33aからウォータジェットで水を送り込み、泥状の排土をバキュームによって汲み出すようにして、壁部材31の圧入の補助を行う。
そして、この第一から第三の壁部材31を連続的に並べて埋設する際に、杭材32の継手32bを介して壁部材31を横方向に連結させて、複数の壁部材31を並設し、地中で複数の壁部材31が連なる連続壁Wを形成する。
【0039】
そして、図8(d)に示すように、第一から第三の壁部材31を一組とする壁材を横方向に複数連設して、構築予定の壁構造物103に相当する範囲に連続壁Wを形成した後、その連続壁Wの前面側の地盤であって、壁部材31のパネル材33側の地山や土砂をパワーショベルなどにより掘削して取り除き、杭材32の傾斜前面側である壁部材31のパネル材33を露出させることによって、図8(e)に示すように、壁構造物103を構築することができる。
【0040】
このように、杭材32とパネル材33とからなる擁壁としての壁部材31を縦方向に連結するとともにそれらを横方向に連設させて構築した壁構造物103も、土留め工などを要せずに容易に施工し構築することができ、その構築した壁構造物103は安定した強度を有する護岸として機能する。
【0041】
なお、以上の実施の形態においては、壁部材における杭材とパネル材とが一体的に固定されているものとし、杭材とパネル材とを一体に地中に埋設するとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、杭材とパネル材とは着脱可能であって、地中に埋設する施工前に杭材にパネル材を取り付けたり、地中に埋設する施工中に杭材にパネル材を取り付けたり、地中に埋設後の杭材に対してパネル材を取り付けるようにしたりするようにしてもよい。
【0042】
また、以上の実施の形態においては、壁構造物を河川の護岸として構築する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、壁構造物を傾斜面の擁壁として構築するなど、その構築箇所や用途は任意である。
【0043】
また、壁部材を連結したり連設したりする数は任意であって、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】壁部材を示す側面図(a)と、図1(a)のb−b線における断面図である。
【図2】本発明に係る壁構造物を示す説明図である。
【図3】図2におけるIII−III線における断面図である。
【図4】壁構造物の構築方法を示す説明図であり、壁構造物を構築する旧河川(a)と、旧河川に対して形成された連続壁(b)と、新河川の護岸に構築された壁構造物(c)と、を示している。
【図5】旧河川に対して地山のない位置に形成された連続壁を示す説明図である。
【図6】鋼管杭タイプの壁部材によって構成される壁構造物を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態2における壁部材(壁構造物)を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態2における壁構造物の構築方法を示す説明図であり、第一の壁部材の埋設(a)、第二の壁部材の埋設(b)、第3の壁部材の埋設(c)、連続壁の形成(d)、壁構築物の構築(e)、を示している。
【符号の説明】
【0045】
1 壁部材
2 杭材
21 傾斜背面
22 傾斜前面
2a 矢板本体
2b 継手
3 パネル材
100 壁構造物
11 壁部材
12 杭材
13 パネル材
101 壁構造物
31 壁部材
32 杭材
33 パネル材
33a 貫通孔
103 壁構造物
W 連続壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に傾斜した状態で埋入されて、その傾斜背面側が地盤を覆う杭材と、
前記杭材の傾斜前面側を被覆し、その杭材の前記傾斜背面を地盤に向けて押さえつけるパネル材とが、それぞれ連設されて壁面状に形成されたことを特徴とする壁構造物。
【請求項2】
前記パネル材は、前記杭材の上端側であって、少なくとも前記杭材が地中に埋入されない範囲を被覆することを特徴とする請求項1に記載の壁構造物。
【請求項3】
前記パネル材は、前記杭材が地中に埋入される方向に沿った貫通孔を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の壁構造物。
【請求項4】
前記パネル材は、前記杭材に一体的に設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の壁構造物。
【請求項5】
地表から地中に複数の杭材を斜めに埋設し、前記杭材が地中で複数連なる連続壁を形成し、次いで、前記連続壁の前面側の地盤を取り除き、前記連続壁の傾斜前面側を露出させて、壁構造物を構築することを特徴とする壁構造物の構築方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−13608(P2009−13608A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174150(P2007−174150)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000141521)株式会社技研製作所 (83)
【Fターム(参考)】