説明

変形特性を測定する方法及びそのための装置

【課題】小型模型化した供試体に荷重を付加したときの変形特性を、材料の実際状況に即した形で、かつ簡易な装置により、的確に評価する。
【解決手段】供試体の周方向で供試体の中心軸に対し垂直な面内において中心軸から等距離で相互に等間隔の位置において複数台の撮像装置をそれぞれ3次元座標の原点に撮像光軸を向けて配置し、供試体に中心軸方向の荷重を付加していない状態と付加した状態とにおいて複数台の撮像装置により供試体を同期して撮像し、撮像装置で得られた各画像における供試体周面の標点の画像座標を求め、撮像装置で得られた各画像のうち隣接する2台の撮像装置による画像を1組の左右画像としてこの左右画像における供試体の標点の画像座標から標点の3次元座標を求め、これを隣接する2台の撮像装置の全ての組み合わせについて行って、求められた全ての標点の3次元座標の変化量から供試体の変形特性を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形特性を測定する方法及びそのための装置に関し、特に荷重を受けた材料の変形を画像処理により測定する方法及びそのための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設工事を行う上で、地盤の強度、耐久性を調査することが重要であり、特に地盤材料の圧縮性とせん断破壊の状況のような特性について調査することは、地盤材料の評価において大きな意義をもつ。地盤材料に関しては、構成粒子が堅固なもの、脆弱なもの等さまざまであり、同じ密度レベル、拘束圧レベルにおいても、強いダイレタンシーを引き起こすものから負のダイレタンシーとなるものまであり、せん断破壊の生ずる状況も多様である。
【0003】
近年、海砂の採取が困難な状況になり、建設工事に利用する砂質材料の確保が課題となりつつある。このため自然砂質材料の代替材として利用するための人工地盤材料の開発が進められている。人工地盤材料は粒子強度が低く破砕し易いため、力学的に不安定になるのではないかというような懸念もあり、試験施工程度にとどまっているのが現状である。
【0004】
自然砂質材料や人工地盤材料の強度、耐久性を評価する上で、地盤材料の力学的特性を測定することが行われている。これは、地盤材料を小型模型化した圧縮試験により歪み−応力特性を求めることや、水分量を計測して間隙比を求めるというようなことがある。
【0005】
対象物の変形を測定することについて特許文献1,2に記載され、また、地盤を模型化した供試体についてX線CTによる三軸圧縮試験を行い、供試体内部の局所的な間隙比を定量化することについて非特許文献1に記載されている。
【0006】
特許文献1,2においては、岩盤等の対象物の計測点を任意に選び、基準計測点を含む計測対象を複数の位置で撮影して得られた複数の画像から変位計測点の3次元座標を算出して変位を求めることについて記載されている。しかしながら、これはトンネル工事等における対象物の変形状態を計測する上での手法は示しているものの、模型化した材料について、直接的な変形試験を行うのに代えて画像解析により変形特性を測定することを具体的に示すものではなく、そのまま適用できるものではない。
【0007】
非特許文献1に開示される手法は、模型化された試料に対して画像解析により変形特性を求めるものであるが、X線CTの装置を用いるものであり、実施するのに多くの経費を要することが避けられない。
【特許文献1】特開平11−201752号公報
【特許文献2】特開2005−338107号公報
【非特許文献1】Desrues, J., Chambon, R., Mokni, M. & Mazerolle, F. : Void ratio evolutioninside shear bands in triaxial sand specimens studied by computed tomography, Geotechnique46, No. 3, pp. 529~546, 1996.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来において、地盤材料等を小型模型化した供試体を用い圧縮試験を行い変形特性を求める上で、材料の変形試験を直接行うのに代えて画像計測により行い、材料の変形の実際状況に即した形で、かつ簡易な装置により変形試験を行い、変形特性をより的確に評価し得る手法、あるいはそのための計測装置が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述した課題を解決すべくなしたものであり、本発明による変形特性を測定する方法は、周面に標点を有するかまたは標点が付与されている供試体について荷重を付加していない状態及び荷重を付加した状態で撮像した画像を画像処理することにより供試体の変形特性を測定する方法であって、3次元座標の原点を規定することと、前記供試体を中心軸方向の上下端側で前記供試体の中心軸方向に荷重を付加し得るように前記供試体を支持することと、前記供試体の周方向で前記供試体の中心軸に対し垂直な面内において中心軸から等距離で相互に等間隔の位置において1台ずつ計N台の撮像装置をそれぞれ前記3次元座標の原点に撮像光軸を向けて配置することと、前記撮像装置における基準点の位置を測定することと、前記供試体に中心軸方向の荷重を付加していない状態及び付加した状態において前記N台の撮像装置により前記供試体を撮像することと、前記N台の撮像装置で得られた各画像における前記供試体の標点の画像座標を求めることと、前記N台の撮像装置で得られた各画像のうち隣接する2台の撮像装置による画像を1組の左右画像とし該1組の左右画像における前記供試体の標点の画像座標から該標点の3次元座標を求めることを前記隣接する2台の撮像装置の全ての組み合わせについて行って前記供試体の周面の全ての標点の3次元座標を前記供試体に中心軸方向の荷重を付加していない状態及び付加した状態の各段階について求めることと、求められた前記全ての標点の3次元座標の変化量から前記供試体の変形特性を求めることと、からなるものである。
【0010】
前記供試体が可撓性の材料で形成され周面に標点が付与されたメンブレン内に砂質材料を充填し密封してなるもの供試体であり、該供試体を撮像位置に対応したN個の観察窓を有する密閉型の円筒形セル内に間に空間を有するように支持するとともに、前記セル内に圧力を付加した状態の透明流体を充填するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明による変形特性を測定する方法は、周面に標点を有するかまたは標点が付与されている供試体について荷重を付加していない状態及び荷重を付加した状態で撮像した画像を画像処理することにより供試体の変形特性を測定する方法であって、3次元座標の原点を規定することと、前記供試体を中心軸方向の上下端側前記供試体の中心軸方向に荷重を付加し得るとともに中心軸の回りに回転及び停止できるように支持することと、前記供試体の周方向で前記供試体の中心軸に対し垂直な面内において1台の撮像装置を前記3次元座標の原点に撮像光軸を向けて配置することと、前記撮像装置における基準点の位置を測定することと、前記供試体を前記撮像装置により前記供試体を撮像し前記供試体を中心軸の回りに(360/N)度回転した後に再び前記撮像装置により前記供試体を撮像するという操作をN回反復して前記供試体の全周囲を撮像することを中心軸方向の荷重を付加していない状態と荷重を付加した状態とにおいてそれぞれ行うことと、前記撮像装置で得られた各画像における前記供試体の標点の画像座標を求めることと、前記中心軸方向の荷重を付加していない状態と荷重を付加した状態との各状態について前記撮像装置で前記供試体をN回反復して撮像して得られた各画像のうち1回目の撮像と2回目の撮像とにより得られた画像を1組の左右画像とし該1組の左右画像における前記供試体の標点の画像座標から該標点の3次元座標を求め、次いで2回目の撮像と3回目の撮像とにより得られた画像を1組の左右画像とし該1組の左右画像における前記供試体の標点の画像座標から該標点の3次元座標を求めるという操作をN回反復して前記供試体の周面の全ての標点の3次元座標を前記供試体に中心軸方向の荷重を付加していない状態及び付加した状態の各段階について求めることと、求められた前記全ての標点の3次元座標の変化量から前記供試体の変形特性を求めることと、からなるものとしてもよい。
【0012】
前記供試体が可撓性の材料で形成され周面に標点が付与されたメンブレン内に砂質材料を充填し密封してなるもの供試体であり、該供試体を撮像位置に対応した1個の観察窓を有する密閉型の円筒形セル内に間に空間を有しかつ中心軸の回りに回転及び停止できるように支持するとともに、前記セル内に圧力を付加した状態の透明流体を充填するようにしてもよい。
【0013】
前記撮像装置で得られた各画像について求められた前記供試体の標点の画像座標に対し幾何歪みを除去する内部標定を行い、さらに外部標定として画像座標から3次元座標への座標変換を行うようにしてもよい。
【0014】
本発明による変形特性を測定するための装置は、周面に標点を有するかまたは標点が付与されている供試体について荷重を付加していない状態及び荷重を付加した状態で撮像した画像を画像処理することにより供試体の変形特性を測定するための装置であって、前記供試体を3次元座標における所定位置において中心軸の上下端側で支持するとともに中心軸方向の荷重を付加するように操作可能な供試体支持手段と、前記供試体支持手段が前記供試体に中心軸方向の荷重を付加する操作を行い該付加された荷重の大きさの信号を出力する荷重付加手段と、前記供試体の中心軸に垂直な面内において前記供試体の中心軸から等距離で相互に等間隔の位置に前記3次元座標の原点に撮像光軸を向けて支持固定されたN台の撮像装置と、前記荷重付加手段による前記試体への荷重付加と前記撮像装置による前記N台の撮像装置による前記供試体の撮像とを対応づけて行うための撮像制御部と、前記N台の撮像装置で得られた各画像のうち隣接する2台の撮像装置による画像を1組の左右画像として、該1組の左右画像における前記供試体の標点の画像座標から該標点の3次元座標を求めることを前記隣接する2台の撮像装置の全ての組み合わせについて行って前記供試体の周面の全ての標点の3次元座標を前記供試体に中心軸方向の荷重を付加していない状態及び付加した状態の各段階について求め、求められた前記全ての標点の3次元座標の変化量から前記供試体の変形特性を求める画像処理部と、を備えてなるものである。
【0015】
前記供試体が可撓性の材料で形成され周面に標点が付与されたメンブレン内に砂質材料を充填し密封してなるもの供試体であり、前記変形特性を測定するための装置は撮像位置に対応したN個の観察窓を有し前記供試体との間に空間を有する状態で前記供試体支持手段が前記供試体を支持するようにした密閉型のセルと、該密閉型のセル内に圧力を付加した状態の透明流体を充填する圧力付加手段とをさらに備えるようにしてもよい。
【0016】
また、本発明による変形特性を測定するための装置は、周面に標点を有するかまたは標点が付与されている供試体について荷重を付加していない状態及び荷重を付加した状態で撮像した画像を画像処理することにより供試体の変形特性を測定するための装置であって、 前記供試体を3次元座標における所定位置において中心軸の上下端側で支持するとともに中心軸方向の荷重を付加しかつ荷重を付加し前記供試体を支持した状態で前記供試体を(360/N)度ずつ回転及び停止させるように操作可能な供試体支持手段と、前記供試体支持手段が前記供試体に中心軸方向の荷重を付加する操作を行い該付加された荷重の大きさの信号を出力する荷重付加手段と、前記供試体を中心軸に垂直な面内において前記供試体の中心軸から所定の距離をおいた位置に前記3次元座標の原点に撮像光軸を向けて支持固定された1台の撮像装置と、前記荷重付加手段による前記試体への荷重付加と荷重一定の状態での前記供試体支持手段による前記供試体の(360/N)度ずつの回転及び停止の動作と前記撮像装置による前記供試体の撮像とを対応づけて行うための撮像制御部と、前記撮像装置で前記供試体をN回反復して撮像して得られた各画像のうち1回目の撮像と2回目の撮像とにより得られた画像を1組の左右画像とし該1組の左右画像における前記供試体の標点の画像座標から該標点の3次元座標を求め、次いで2回目の撮像と3回目の撮像とにより得られた画像を1組の左右画像とし該1組の左右画像における前記供試体の標点の画像座標から該標点の3次元座標を求めるという操作をN回反復して前記供試体の周面の全ての標点の3次元座標を前記供試体に中心軸方向の荷重を付加していない状態及び付加した状態の各段階について求め、求められた前記全ての標点の3次元座標の変化量から前記供試体における局所歪みを求める画像処理部と、からなるものとしてもよい。
【0017】
前記供試体が可撓性の材料で形成され周面に標点が付与されたメンブレン内に砂質材料を充填し密封してなるもの供試体であり、前記変形特性を測定するための装置は撮像位置に対応した1個の透明な観察窓を有し前記供試体との間に空間を有する状態で前記供試体支持手段が前記供試体を支持するとともに中心軸の回りに回転及び停止できるようにした密閉型のセルと、該密閉型のセル内に圧力を付加した状態の透明流体を充填する圧力付加手段とをさらに備えるようにしてもよい。
【0018】
前記画像処理部が前記撮像装置で得られた各画像について求められた前記供試体の標点の画像座標に対し幾何歪みを除去する内部標定を行い、さらに外部標定として画像座標から3次元座標への座標変換を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
1台または複数台の撮像装置を用いて供試体を撮像して得られた複数の画像について画像処理を行うことにより、供試体の変形特性を測定する三軸圧縮試験を簡易な装置で、より的確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を、地盤の圧縮特性についての測定する例について説明する。地盤の圧縮試験においては、供試体として、図1に示すように、ゴム等の弾性変形可能な材料による円柱形のメンブレンに地盤材料を詰め込んで形成した室内小型模型を用いる。円柱の直径は50mm、高さは100mmであり、メンブレンの周面に縦横に等間隔の標点を記しておく。この供試体を圧縮試験機に載置し、供試体を軸方向に圧縮した状態で撮像装置により供試体を撮像し、PIV(粒子画像流速測定法)による三軸試験を行う。
〔画像計測による三軸試験〕
PIV(粒子画像流速測定法)による測定原理について概説する。PIVでは、対象物に複数の標点を記しておき、対象物に変形を与えながら固定された撮像装置で撮像する。撮像された画像には対象物に記された標点が記録されるが、対象物のある変形状態のときの画像と、それからさらに対象物が変形した状態の画像とを用い、画像上での標点の変位をpixel(画素)で求め、それを実値(mm)に直し計測を行う。標点は個々に動くのであり、それを画像上で追うことにより、対象物の部分的、局所的な変形が求められる。対象物を1台の撮像装置で撮像すれば、画像によって2次元的な変形についての測定がなされることになる。
【0021】
図1のような円柱形の周面に標点を付した供試体に縦軸方向の圧縮荷重を付加した際に供試体がどのように変形するかを見るには、2次元的な測定でなく、3次元的な測定を行う必要がある。3次元の画像計測(三軸試験)では、図2に示すように、供試体の縦軸をZ軸として、XY面内に2台の撮像装置を供試体から等距離に、間隔をおいて配置し、供試体について視差のある画像を撮像する。供試体の同じ標点Pを左側の撮像装置Lで撮像した画像(Im−L)上の点の座標P1L(ξ,η)、右側の撮像装置Rで撮像した画像(Im−R)上の点の座標P1R(ξ,η)、2台の撮像装置と供試体との位置関係から標点の座標P(X,Y,Z)が求められる。図2において、基準点O,Oは撮像レンズの中心位置であり、撮像装置と供試体との距離を固定的に考えれば、このレンズの中心位置を基準点とすることができる。また、撮像装置による画像は基準点の前方に正立した画像として示してある。
【0022】
三軸試験において、直立して支持固定された供試体に縦軸方向に荷重を加えながら供試体を撮像して得られた供試体についての2台1組の撮像装置での画像から標点の座標を求めるのであるが、これを実際に行う上で、次のように撮像装置で得られた画像に対して内部標定、外部標定を行う必要がある。
(a)内部標定
撮像により得られた画像は理想的には平面状になるべきであるが、実際にはレンズの収差、セル内液体等の影響により歪み(幾何歪み)が生じ、平面にならない。歪んだ画像を用いて計測を行うと、誤差が大きくなり、正しい計測が困難になるので、歪みを除去して正しく平面状の画像とするために内部標定として画像の幾何補正を行う。ここでは、複数の標点を設けた円柱をセル内に設置し、その標点を読み取るという手法を用い、対象画像の幾何歪みを除去する補正式の型を決定して行う。幾何補正式については種々考えられているが、
【0023】
【数1】

のような高次多項式変換を用いることにより、高い精度での補正がなされる。ここで、(ξ,η)は補正前の画像座標を、また、(u,v)は補正後の画像座標を表し、また式の形として左右の画像について代表的に示している。
【0024】
決定した補正式の妥当性についての検討は、最小二乗法(RMS)における標点の周りの残差E
【0025】
【数2】

を評価することにより行う。ここで、ξ,ηは幾何補正前の座標、u,vは幾何補正後の座標であり、また、式の形として左右の画像について代表的に示している。残差Eについて検討した結果、補正式が妥当でないと判断される場合には、標点の見直し、新たな補正式の検討を行う。
(b)外部標定
内部標定により画像の歪みを補正した後の画像上の座標(u,v)を3次元絶対座標P(x,y,z)に変換する外部標定を行う。画像座標はpixelを単位とし、絶対座標はmmを単位とするのがよい。基準点を設けた絶対座標が既知の物体(円柱体)を撮像し、この物体表面上に設けた基準点を多点読み取り、幾何補正後の画像座標と絶対座標とで最小二乗法より座標変換係数を求める。左右の画像で座標変換係数が異なるので、左右それぞれの画像に関して座標変換係数を行う必要がある。
【0026】
このように求められた座標変換係数を用いて
【0027】
【数3】

の形で任意の画像上の点(u,v)が絶対座標(x,y,z)に変換される。ここで、(u,v)は撮像装置の光軸と画像との交点位置の座標である。また、式(3)は左側の撮像装置による画像(Im−L)と右側の撮像装置による画像(Im−R)とを代表した形であり、Im−LとIm−R左側とで変換係数は別のものであり、変換の式の内容としても別のものである。
【0028】
左右の画像(Im−L)、(Im−R)のそれぞれについて画像座標(u,v)から絶対座標(x,y,z)への変換を行い、左側の画像(Im−L)での点Pの像P1Lの絶対座標(x,y,z)と右側の画像(Im−R)での点Pの像P1Rの絶対座標(x,y,z)とを求める。左側カメラの基準点Oの絶対座標(x0L,y0L,z0R)と右側のカメラの基準点Oの絶対座標(x0R,y0R,z0R)とを予め求めておき、絶対座標系での直線O1Lを表す式と、直線O1R表す式とを求める。標点Pの絶対座標(X,Y,Z)は直線O1Lと直線O1Rとの交点であると考えられるが、実際的にこの2直線は交わらないことが考えられるので、直線O1LとO1Rとを結ぶ最短の線分、すなわちそれぞれの直線への垂線となる線分の中点として標点Pの絶対座標(X,Y,Z)を求める。
【0029】
図2のように、2台1組の撮像装置による画像を用いて標点の絶対座標を求めることができるが、この2台の撮像装置によっては、供試体の一部が撮像されることになり、変形特性を評価するためには、そのような供試体の一部を撮像した画像だけでは不十分であり、供試体の全周にわたっての画像が必要であるため、より多くの位置での撮像を行うようにする三軸試験装置を用いることになる。
〔三軸試験装置〕
(A)同期撮像型三軸試験装置(TC)
図3(a)〜(c)は8台の同型の撮像装置を配置した画像計測による三軸試験装置の主要部分を上方から見た状態を示し、図3(a)は図3(b)のA−A面で切断して上方から見た図であり、図3(b)は図3(a)のB−B面で切断して示した図である。水平面(X−Y平面)内に配設された下部ペデスタル1の中心位置を通る鉛直方向(Z方向)の直線を中心軸として円筒形のセル2が設けられている。セル2は円柱形壁部を有し密閉型であり、円柱形の供試体の中心軸を試験装置のZ軸と一致させてその両端面を支持する支持部材3,3がセル内に設けられている。
【0030】
図3(a)に示されるように、円筒形のセル2の中心軸を中心として全周を8等分して45度の間隔をおいた方向に透明な観察窓W−1,W−2,・・・,W−8が設けられている。セル2の周囲の同一円周上に透明な観察窓W−1,W−2,・・・,W−8に対応した位置で供試体Sを支持する支持部材3,3の中心軸となるZ軸から等距離でZ軸に対して45度ずつ間隔をおいた設置位置に8台の撮像装置DC−1,DC−2,・・・,DC−8が撮像光軸を供試体Sに向けて取り付けて支持固定されている。
【0031】
セル1の透明な観察窓W−1,W−2,・・・,W−8は、支持部材3,3に支持された供試体Sの全体像をセル2の外部からそれぞれ撮像装置DC−1,DC−2,・・・,DC−8により撮像できる大きさである。観察窓W−1,W−2,・・・,W8は、撮像される画像の変形をなくすことから、平板状の透明部材とするのが好ましい。ただし、セル全体をアクリル等の透明な円筒形の部材で構成するという形態も可能であり、その場合は撮像する箇所でセル壁は平板状でないので、その分の撮像画像の変形は、内部評定により補正する。撮像装置としては、画素数500万程度(1944×2592pixel)のものを用いることができる。
【0032】
支持部材3,3は供試体を支持するとともに、セル2の外部から作用する荷重付加装置4により供試体Sに軸方向の圧縮量を付加するようにしてある。また、セル2内を透明液体(水)で満たし外部の圧力付加装置5により圧力を付加するようにしてある。このようにセル内に圧力を付加するのは、地盤材料をメンブレン内に封入して圧縮試験を行うような場合の供試体に対する拘束圧力として必要なものであるが、供試体として固形材料を用いる場合では、供試体をセル内に保持して拘束圧力を付加することは必要でない。
【0033】
図3(c)では、三軸試験装置における8台の撮像装置DC−1,DC−2,・・・,DC−8の制御系及び画像処理系の部分の概略構成を示している。8台の撮像装置DC−1,DC−2,・・・,DC−8のそれぞれのリモート撮影用端子は撮像装置の撮像動作を制御する撮像制御部11の出力端子に結線され、8台の撮像装置のそれぞれの画像信号出力端子が画像処理部12の入力端子に結線されている。荷重付加装置4は供試体Sに付加する荷重の大きさを示す信号を出力し、この信号は結線により画像処理部12に伝送される。荷重付加装置4はまた供試体Sに荷重付加した状態であることを示す信号を撮像制御部11に送出しこの信号に応じて撮像制御部11が各撮像装置での撮像の制御を行うようにしてもよい。
【0034】
画像処理部11では、8台の撮像装置のうちの隣接する2台1組の撮像装置により得られた画像を左右1組の視差のある画像として、〔画像計測による三軸試験〕において説明した画像処理を行い供試体Sにおける歪みを求め、さらに荷重付加装置4からの付加荷重信号と合わせて供試体Sの変形特性を求める。なお、ここでは、8台の撮像装置を配置した例について説明したが、三軸試験を行うためには円周方向に等間隔に撮像装置を配置するという条件であれば、特に8台に限られることはなく、一般的にN台の撮像装置を配置してもよい。ただし、隣接する2台の撮像装置の間隔は、中心角が30°〜60°であるのが好ましく、それからすれば、6≦N≦12とするのがよい。
図3(a)〜(c)においては、可撓性の円筒形メンブレン内に砂質材料を充填した供試体について変形特性を測定するための同期撮像型三軸試験装置を示しているが、一般的な均一材料としての供試体の場合には、供試体を収納支持して圧力流体を充填するための密閉型のセルを備えることは必要でなく、ペデスタル1の面に垂直に支持部材3,3により供試体を支持して、周面を撮像する形態として供試体の変形特性を測定することができる。
(B)軸・供試体連動回転型三軸試験装置(RTC)
図4は、可撓性の円筒形メンブレン内に砂質材料を充填した供試体について変形特性を測定するための軸・供試体連動回転型三軸試験装置を示しており、セル、ペデスタルの部分を断面で示している。水平面(X−Y平面)内に配設された下部ペデスタル1の中心位置を通る鉛直方向(Z方向)の直線を中心軸として円筒形のセル2が設けられている。セル2は円柱形壁部を有し密閉型であり、円柱形の供試体の中心軸を試験装置のZ軸と一致させてその両端面を支持する支持部材3,3がセル内に設けられる。支持部材3,3はセルの支軸はセル2の上下の中心位置でOリングで枢支されセル外まで延びている。一方の支軸の端側には支持部材3,3に支持された供試体Sに軸方向の荷重を付加する荷重付加装置4が設けられ、他方の支軸の端側には支持部材3,3をそれに支持された供試体Sとともに回転させる回転駆動装置6が設けられている。5はセル2内に外部から圧力を付加する外部の圧力付加装置5である。
【0035】
セルには1つの透明な観察窓Wが設けられ、セル2の外側で観察窓Wに対応した位置に1台の撮像装置DCがセル内で中心軸に光軸を向けて取り付けて支持固定されている。観察窓Wは支持部材3,3に支持された供試体Sの全体像をセル2の外部からそれぞれ撮像装置DCにより撮像できる大きさである。
【0036】
撮像装置DCリモート撮影用端子は撮像装置の撮像動作を制御する撮像制御部11の出力端子に結線され、撮像装置の画像信号出力端子が画像処理部12の入力端子に結線されている。荷重付加装置4は供試体Sに付加する荷重の大きさを示す信号を出力し、この信号は結線により画像処理部12に伝送される。荷重付加装置4はまた供試体Sに荷重付加した状態であることを示す信号を撮像制御部11に送出しこの信号に応じて撮像制御部11が各撮像装置での撮像の制御を行うようにしてもよい。
【0037】
回転駆動装置6は支軸の回転により支持部材3,3とそれに支持された供試体Sとを回転及び停止する動作を行い。支軸の回転角を示す信号は結線を介して撮像制御部11に伝送される。1台の撮像装置DCにより供試体Sの全周を8等分した角度位置で撮像を行うものとして考えると、荷重付加装置4により支持部材3,3に支持された供試体に荷重を付加した状態で撮像装置DCによる撮像と、その後に回転駆動装置により支軸を介して支持部材3,3を45度ずつ逐次回転させ停止して次の撮像を行う、というようにして8回の撮像を供試体に一定の荷重が付加されている状態で行う。このようにモータによる回転軸の動作と撮像装置による撮像とを行うことをプログラム化して動作制御を行う。画像処理部11では、8回の撮像のうちの前後する2回の撮像で得られた画像を左右1組の視差のある画像として、〔画像計測による三軸試験〕において説明した画像処理を行い供試体Sにおける歪みを求め、さらに荷重付加装置4からの付加荷重信号と合わせて供試体Sの変形特性を求める。ここでは等角度間隔で円周方向360°にわたって8回の撮像を行う例について示したが、一般的に円種方向に等角度間隔にN回の撮像を行えばよい。ただし、6≦N≦12とするのがよい。
【0038】
図4においては、可撓性の円筒形メンブレン内に砂質材料を充填した供試体について変形特性を測定するための軸・供試体連動回転型三軸試験装置を示しているが、一般的な均一材料としての供試体の場合には、供試体を収納支持して圧力流体を充填するための密閉型のセルを備えることは必ずしも必要でなく、ペデスタル1の面に垂直に支持部材3,3により供試体を回転及び停止可能に支持して、周面を撮像する形態として供試体の変形特性を測定することができる。
〔三軸試験装置による変形特性の測定〕
前述した三軸試験装置を用いてPIVによる供試体の変形量の測定の形態について、図3に示した8台の撮像装置を等間隔に配置した同期撮像型試験装置により供試体の周面を全周にわたって撮像する場合について説明する。供試体に荷重を付加していない状態において8台の撮像装置で撮像したときに、撮像装置DC−1とDC−2との画像により左右1組の視差のある画像が得られ、DC−2とDC−3との画像により他の左右1組の視差のある画像がえられる、というようにして8台の撮像装置により供試体の周面の全周にわたる8組の視差のある画像が得られる。得られた各組の画像について、画像上での標点の座標を読みとり、それをもとに絶対座標を演算により求める。
【0039】
各画像から標点の画像座標を求める際に、画像における標点が少なければ、目視で標点を追うことができるが、標点が多くなると目視では困難であるため、粒子マスク相関法のアルゴリズムを用いる。粒子マスク相関法は、ガウス分布により標点の画像を基準テンプレートとして作成し、基準テンプレートを画像上でラスタ走査し、逐次相互相関係数を算出して、0.7以上ならば標点として認識する。認識された標点の相互相関係数の分布にガウス分布もしくは2次曲線を適用し、その標点の画像座標をサブピクセル単位(0.1pixel)まで取得する、というアルゴリズムである。
【0040】
直径50mm、高さ100mmの円柱状メンブレン内に地盤材料を充填したものを供試体として、変形特性の測定を行う例について説明する。供試体のメンブレンには、図1のように各格子点を中心として標点が付されている。標点は直径2mm、間隔が5mmである。最初に供試体に荷重が付加されていない初期状態について8台の撮像装置での撮像を行う。8台の撮像装置による各組の視差のある画像をもとにして供試体の格子点の3次元座標を求めたものは、図5(a)のようになる。
【0041】
次に、圧縮荷重を加えて供試体が変形する過程において、逐次8台の撮像装置による撮像を行い、その荷重の状態での供試体の標点の3次元座標を求める。圧縮荷重が増大して供試体に加わる応力がピークに達する前の供試体の変形状は図5(b)のようになり、さらに荷重を増大させ、応力がピークを超えた残留状態において、図(c)のようになる。この図におけるワイヤーフレームは、メンブレンに施された各標点の中心の3次元座標を直線で結ぶことにより構築される。圧縮荷重の各段階において、各標点の3次元座標とその変化量とを求め、これから各標点の位置における歪みが求められる。歪みとしては、軸歪み(ε)、半径歪み(ε)が求められ、これからポアソン比ν=−ε/εが求められる。
【0042】
図5(b)の状態では供試体の上下端近辺で軸歪み(ε)が小さく、中間部分に近づくにしたがって一様に軸歪み(ε)が増大する状況になっている。図5(c)では全体的に歪みが大きくなり、応力の変化が特に一様でなくなるせん断層に対応する箇所が見られるようになる。
【0043】
図5(a)〜(c)に示すような各標点の3次元座標のデータから、せん断層の体積歪み、間隙比を求める。図6は、円柱座標(R,θ,Z)において、せん断層が供試体表面に出現する前と後の変位増分ベクトルを示し、R軸が紙面に垂直な方向であるとしている。Z軸方向を基準として、左右に変位増分ベクトルの分岐が生じている点を結ぶ直線をせん断帯とみなし、この直線を含む要素をせん断層の要素とする。さらに、図7に示すように、せん断層の要素を直線で結んで構成される四角柱状の体積部分を積み上げることにより、せん断層を表現する。最後にこれらの体積を合計し、その初期体積で除すことにより、せん断層の体積歪みを求める。また、間隙比は次式(4)
【0044】
【数4】

により求められる。ここで、esb:せん断層の間隙比、Vsb:せん断層の体積(図7の四角柱状の体積部分の全体積)、V0sb:せん断層の初期体積(図7の四角柱状の体積部分の初期体積)、V:供試体の初期体積、V:供試体に占める土粒子の体積、である。
【0045】
このように、三軸試験装置を用いて供試体の荷重状態を変えつつ撮像装置により周面を撮像して得られた画像から、供試体における歪み、間隙比というような変形特性が求められる。このように三軸試験装置を用いた変形特性の測定をフローで示すと図8のようになる。同期撮像型の三軸試験装置を用いた場合について説明したが、軸・供試体連動回転型の三軸試験装置の場合でも、供試体の周面を等角度間隔で順次撮像することのほかは、同様にしてなされる。
〔三軸試験の実例〕
粒子が硬く破砕しにくい豊浦砂と、粒子が脆弱で破砕を示し易い風化残積土であるまさ土とを、それぞれ可撓性メンブレンに充填し封入したものを供試体として、三軸試験装置を用いた変形特性の測定の実例について示す。
【0046】
豊浦砂は粒径0.075〜0.425mm、土粒子の比重Gs=2.643、最大間隙比emax=0.973、最小間隙比emin=0.635のものであり、空中落下法により供試体を作成した。まさ土は最適含水率w=12.4%に調整して試料を用いて相対密度D=142%(締固め密度D=92%)となるように締固めて作成した。両供試体とも、外形寸法は直径D=50mm、高さH=100mmであり、三軸圧縮試験装置では、有効拘束圧σ=100kPaまで圧密した後、排水条件で0.1mm/minの変位速度一定でせん断を行った。
【0047】
同期撮像型三軸試験装置(TC)及び軸・供試体連動回転型三軸試験装置(RTC)をそれぞれ用いて圧縮荷重を変化させつつ供試体の周面を撮像して得られた画像から供試体におけるそれぞれの応力状態での軸歪み、半径歪み、ポアソン比が求められ、さらに式(4)により間隙比が求められる。
【0048】
図9(a),(b)は、RTCを用いて豊浦砂とまさ土について行った三軸試験の結果の例を示している。図9(a)は全体的な軸歪みに対する軸差応力の関係を豊浦砂とまさ土について示しており、両者ではピーク値が少しずれるがほぼ同じ傾向を示している。図9(b)は全体的な軸歪みに対する間隙比の関係を示しており、eは全体的な間隙比であり、esbは変形の大きいせん断層の間隙比である。参考として、非特許文献1におけるX線CTにより求められている結果を示しており、これは供試体としてHostun RFという砂を用い、供試体の形状等他の条件も異なるものであるが、変形特性としては同様の傾向になっている。
【0049】
以上のように、本発明による変形特性の測定の方法及び装置を、可撓性のメンブレン内に砂質材料を充填して形成され周面に標点を付与した供試体について三軸試験を行う場合に関して説明したが、本発明による変形特性の測定としては、より一般的な固体材料についても行うことができる。供試体としては円柱形に限らず、角柱形状としたものでもよい。また図示した供試体のように標点を付与するのではなく、供試体とする材料において表面の模様等撮像された画像中に識別され得る箇所が存在するものであるような場合でもよい。したがって、本発明は、必ずしも例示したものに限られることはなく、より広範な形態において利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】供試体の外観を示す図である。
【図2】画像を用いた3次元計測法について説明する図である。
【図3】本発明による同期撮像型三軸試験装置の構成を示す図であり(a)(b)のA−A線で切断して上方から見た図、(b)セルの中心を通る断面として側方から見た図、(c)撮像装置と制御・処理回路系を概略的に示す図である。
【図4】本発明による軸・供試体連動回転型三軸試験装置の構成を示す図である。
【図5】画像処理により求めた供試体の格子点の3次元座標を示す図であり、(a)供試体に軸方向の荷重を付加していない状態(b)供試体に応力のピーク点以下の軸方向の荷重を付加した状態(c)供試体に応力のピーク点を超える軸方向の荷重を付加した状態について示すものである。
【図6】円柱座標(R,θ,Z)において、せん断層が供試体表面に出現する前と後の変位増分ベクトルを示す図である。
【図7】せん断層における変形した部分を四角柱状の体積部分を積み上げる形で示す図である。
【図8】本発明による変形特性の測定のフローを示す。
【図9】地盤材料による供試体について測定を行った結果の例を示す図であり、(a)全体的な軸歪みに対する軸差応力の関係(b)全体的な軸歪みに対する間隙比の関係を示したものである。
【符号の説明】
【0051】
1 下部ペデスタル
2 セル
3 支持部材
4 荷重付加装置
5 圧力付加装置
6 回転駆動装置
11 撮像制御部
12 画像処理部
S 供試体
DC;DC−1,DC−2,・・・ 撮像装置
W;W−1,W−2,・・・ 観察窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面に標点を有するかまたは標点が付与されている供試体について荷重を付加していない状態及び荷重を付加した状態で撮像した画像を画像処理することにより供試体の変形特性を測定する方法であって、
3次元座標の原点を規定することと、
前記供試体を中心軸方向の上下端側で前記供試体の中心軸方向に荷重を付加し得るように前記供試体を支持することと、
前記供試体の周方向で前記供試体の中心軸に対し垂直な面内において中心軸から等距離で相互に等間隔の位置において1台ずつ計N台の撮像装置をそれぞれ前記3次元座標の原点に撮像光軸を向けて配置することと、
前記撮像装置における基準点の位置を測定することと、
前記供試体に中心軸方向の荷重を付加していない状態及び付加した状態において前記N台の撮像装置により前記供試体を撮像することと、
前記N台の撮像装置で得られた各画像における前記供試体の標点の画像座標を求めることと、
前記N台の撮像装置で得られた各画像のうち隣接する2台の撮像装置による画像を1組の左右画像とし該1組の左右画像における前記供試体の標点の画像座標から該標点の3次元座標を求めることを前記隣接する2台の撮像装置の全ての組み合わせについて行って前記供試体の周面の全ての標点の3次元座標を前記供試体に中心軸方向の荷重を付加していない状態及び付加した状態の各段階について求めることと、
求められた前記全ての標点の3次元座標の変化量から前記供試体の変形特性を求めることと、
からなることを特徴とする変形特性を測定する方法。
【請求項2】
前記供試体が可撓性の材料で形成され周面に標点が付与されたメンブレン内に砂質材料を充填し密封してなるもの供試体であり、該供試体を撮像位置に対応したN個の観察窓を有する密閉型の円筒形セル内に間に空間を有するように支持するとともに、前記セル内に圧力を付加した状態の透明流体を充填するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の変形特性を測定する方法。
【請求項3】
周面に標点を有するかまたは標点が付与されている供試体について荷重を付加していない状態及び荷重を付加した状態で撮像した画像を画像処理することにより供試体の変形特性を測定する方法であって、
3次元座標の原点を規定することと、
前記供試体を中心軸方向の上下端側前記供試体の中心軸方向に荷重を付加し得るとともに中心軸の回りに回転及び停止できるように支持することと、
前記供試体の周方向で前記供試体の中心軸に対し垂直な面内において1台の撮像装置を前記3次元座標の原点に撮像光軸を向けて配置することと、
前記撮像装置における基準点の位置を測定することと、
前記供試体を前記撮像装置により前記供試体を撮像し前記供試体を中心軸の回りに(360/N)度回転した後に再び前記撮像装置により前記供試体を撮像するという操作をN回反復して前記供試体の全周囲を撮像することを中心軸方向の荷重を付加していない状態と荷重を付加した状態とにおいてそれぞれ行うことと、
前記撮像装置で得られた各画像における前記供試体の標点の画像座標を求めることと、
前記中心軸方向の荷重を付加していない状態と荷重を付加した状態との各状態について前記撮像装置で前記供試体をN回反復して撮像して得られた各画像のうち1回目の撮像と2回目の撮像とにより得られた画像を1組の左右画像とし該1組の左右画像における前記供試体の標点の画像座標から該標点の3次元座標を求め、次いで2回目の撮像と3回目の撮像とにより得られた画像を1組の左右画像とし該1組の左右画像における前記供試体の標点の画像座標から該標点の3次元座標を求めるという操作をN回反復して前記供試体の周面の全ての標点の3次元座標を前記供試体に中心軸方向の荷重を付加していない状態及び付加した状態の各段階について求めることと、
求められた前記全ての標点の3次元座標の変化量から前記供試体の変形特性を求めることと、
からなることを特徴とする変形特性を測定する方法。
【請求項4】
前記供試体が可撓性の材料で形成され周面に標点が付与されたメンブレン内に砂質材料を充填し密封してなるもの供試体であり、該供試体を撮像位置に対応した1個の観察窓を有する密閉型の円筒形セル内に間に空間を有しかつ中心軸の回りに回転及び停止できるように支持するとともに、前記セル内に圧力を付加した状態の透明流体を充填するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の変形特性を測定する方法。
【請求項5】
前記撮像装置で得られた各画像について求められた前記供試体の標点の画像座標に対し幾何歪みを除去する内部標定を行い、さらに外部標定として画像座標から3次元座標への座標変換を行うようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の変形特性を測定する方法。
【請求項6】
周面に標点を有するかまたは標点が付与されている供試体について荷重を付加していない状態及び荷重を付加した状態で撮像した画像を画像処理することにより供試体の変形特性を測定するための装置であって、
前記供試体を3次元座標における所定位置において中心軸の上下端側で支持するとともに中心軸方向の荷重を付加するように操作可能な供試体支持手段と、
前記供試体支持手段が前記供試体に中心軸方向の荷重を付加する操作を行い該付加された荷重の大きさの信号を出力する荷重付加手段と、
前記供試体の中心軸に垂直な面内において前記供試体の中心軸から等距離で相互に等間隔の位置に前記3次元座標の原点に撮像光軸を向けて支持固定されたN台の撮像装置と、
前記荷重付加手段による前記試体への荷重付加と前記撮像装置による前記N台の撮像装置による前記供試体の撮像とを対応づけて行うための撮像制御部と、
前記N台の撮像装置で得られた各画像のうち隣接する2台の撮像装置による画像を1組の左右画像として、該1組の左右画像における前記供試体の標点の画像座標から該標点の3次元座標を求めることを前記隣接する2台の撮像装置の全ての組み合わせについて行って前記供試体の周面の全ての標点の3次元座標を前記供試体に中心軸方向の荷重を付加していない状態及び付加した状態の各段階について求め、求められた前記全ての標点の3次元座標の変化量から前記供試体の変形特性を求める画像処理部と、
を備えてなることを特徴とする変形特性を測定するための装置。
【請求項7】
前記供試体が可撓性の材料で形成され周面に標点が付与されたメンブレン内に砂質材料を充填し密封してなるもの供試体であり、前記変形特性を測定するための装置は撮像位置に対応したN個の観察窓を有し前記供試体との間に空間を有する状態で前記供試体支持手段が前記供試体を支持するようにした密閉型のセルと、該密閉型のセル内に圧力を付加した状態の透明流体を充填する圧力付加手段とをさらに備えてなるものであることを特徴とする請求項6に記載の変形特性を測定するための装置。
【請求項8】
周面に標点を有するかまたは標点が付与されている供試体について荷重を付加していない状態及び荷重を付加した状態で撮像した画像を画像処理することにより供試体の変形特性を測定するための装置であって、
前記供試体を3次元座標における所定位置において中心軸の上下端側で支持するとともに中心軸方向の荷重を付加しかつ荷重を付加し前記供試体を支持した状態で前記供試体を(360/N)度ずつ回転及び停止させるように操作可能な供試体支持手段と、
前記供試体支持手段が前記供試体に中心軸方向の荷重を付加する操作を行い該付加された荷重の大きさの信号を出力する荷重付加手段と、
前記供試体を中心軸に垂直な面内において前記供試体の中心軸から所定の距離をおいた位置に前記3次元座標の原点に撮像光軸を向けて支持固定された1台の撮像装置と、
前記荷重付加手段による前記試体への荷重付加と荷重一定の状態での前記供試体支持手段による前記供試体の(360/N)度ずつの回転及び停止の動作と前記撮像装置による前記供試体の撮像とを対応づけて行うための撮像制御部と、
前記撮像装置で前記供試体をN回反復して撮像して得られた各画像のうち1回目の撮像と2回目の撮像とにより得られた画像を1組の左右画像とし該1組の左右画像における前記供試体の標点の画像座標から該標点の3次元座標を求め、次いで2回目の撮像と3回目の撮像とにより得られた画像を1組の左右画像とし該1組の左右画像における前記供試体の標点の画像座標から該標点の3次元座標を求めるという操作をN回反復して前記供試体の周面の全ての標点の3次元座標を前記供試体に中心軸方向の荷重を付加していない状態及び付加した状態の各段階について求め、求められた前記全ての標点の3次元座標の変化量から前記供試体における局所歪みを求める画像処理部と、
からなることを特徴とする変形特性を測定するための装置。
【請求項9】
前記供試体が可撓性の材料で形成され周面に標点が付与されたメンブレン内に砂質材料を充填し密封してなるもの供試体であり、前記変形特性を測定するための装置は撮像位置に対応した1個の透明な観察窓を有し前記供試体との間に空間を有する状態で前記供試体支持手段が前記供試体を支持するとともに中心軸の回りに回転及び停止できるようにした密閉型のセルと、該密閉型のセル内に圧力を付加した状態の透明流体を充填する圧力付加手段とをさらに備えてなるものであることを特徴とする請求項8に記載の変形特性を測定するための装置。
【請求項10】
前記画像処理部が前記撮像装置で得られた各画像について求められた前記供試体の標点の画像座標に対し幾何歪みを除去する内部標定を行い、さらに外部標定として画像座標から3次元座標への座標変換を行うようにしたことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の変形特性を測定するための装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−96377(P2008−96377A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281251(P2006−281251)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)
【Fターム(参考)】