説明

変性パーフルオロポリマーシート材料およびこれを製造するための方法

コーテッド布は、強化材と、強化材上に配置された第1の皮膜と、第1の皮膜上に配置された第2の皮膜とを含む。第1の皮膜は、パーフルオロポリマーを含む。第2の皮膜は、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとを2重量%〜30重量%の範囲の量で含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、エラストマー変性パーフルオロポリマーシート材料に関する。
【背景技術】
【0002】
多岐にわたる産業で、布強化ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)複合材料が用いられている。通常、このような複合材料は、埃や汚れが蓄積しにくく、摩擦係数が小さいことが周知である。しかしながら、従来の強化PTFE複合材料は一般に、手触りと腰がかたい。言葉をかえると、従来の強化PTFE複合材料は、ごわごわして弾力があり、リンクル(wrinkle)やクリーズ(crease)を作らずに合成物や二重曲線の形状に成形することができないものである。さらに、このような従来の複合材料では音波減衰力が小さいことがあり、変形時にガラガラしたり音が鳴ったりすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の他の解決策として、強化PTFE複合材料にエラストマーを被覆する試みがなされている。しかしながら、このような解決策は費用がかさみ、プロセスが複雑になる。また、このような解決策では一貫した品質での製造が困難である。
【0004】
したがって、改善されたシート材料が望ましいであろう。
【0005】
添付の図面を参照することで、本開示を一層よく理解でき、その多数の特徴および利点が当業者らに自明になろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】例示的なシート材料の図を含む。
【図2】例示的なシート材料の図を含む。
【図3】例示的なシート材料の図を含む。
【図4】例示的なシート材料の図を含む。
【図5】例示的な自動車用HVACシステムの図を含む。
【図6】例示的な自動車用HVACシステムの図を含む。
【0007】
異なる図面で同じ参照符号を使用している部分については、類似の項目または同一の項目を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
特定の実施形態では、シート材料が、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとのブレンドを含む。シリコーンポリマーは、ブレンドの約2重量%〜約30重量%を占める。このシート材料には、追加の層を含めることができる。たとえば、シート材料は強化材層を含むことができる。強化材層は、PTFE被覆繊維ガラス材料などの繊維性材料を含むことができる。もうひとつの例では、シート材料が、追加の層または強化材のない単独のシート材料である。
【0009】
一実施形態では、キャリアにポリマー分散液を被覆してシート材料を形成可能である。分散液は、分散液中の固体の総重量に対して2重量%〜30重量%の量のシリコーンポリマーとパーフルオロポリマーとを含む。分散液は、水性分散液であってもよい。キャリアに分散液を被覆したら、皮膜を乾燥させて焼結または融合させることが可能である。一例では、キャリアが、皮膜の焼結または融合時にシート材料に取り込まれる強化材料を含む。もうひとつの例では、皮膜材料で形成されるシート材料からキャリアを剥離可能であり、強化材のないシート材料が得られる。
【0010】
一実施形態では、シート材料が、強化材のない単独のシート材料である。たとえば、図1に示すシート材料100は、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとのブレンドで形成される層102を含む。図示のように、材料100には強化材がない。あるいは、層102のいずれかの主面に追加の層を配置してもよい。
【0011】
一例では、ブレンドがフッ素化ポリマーを含む。フッ素化ポリマーは、フッ素置換モノマーのホモポリマーであってもよいし、少なくとも1種のフッ素置換モノマーを含むコポリマーであってもよい。例示的なフッ素置換モノマーとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VF2)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、パーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、パーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)があげられる。フッ素化ポリマーの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、VF2またはHFPとのTFEコポリマーがあげられる。特に、ブレンドは、PTFEなどのパーフルオロポリマー、ポリヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルキルビニル(PFA)またはこれらの任意の組み合わせを含む。特定の例では、パーフルオロポリマーがポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む。一実施形態では、パーフルオロポリマーが、水性分散液などの分散液由来である。
【0012】
シリコーンポリマーは、ポリシロキサンを含むものであってもよい。たとえば、シリコーンポリマーは、ポリアルキルシロキサン、フェニルシリコーン、フルオロシリコーンまたはこれらの任意の組み合わせを含むものであってもよい。一例では、ポリアルキルシロキサン(polyalkysiloxane)が、ポリジメチルシロキサン、ポリジプロピルシロキサン、ポリメチルプロピルシロキサンまたはこれらの任意の組み合わせを含む。特に、シリコーンポリマーは、予備硬化シリコーンポリマーの水性分散液由来のものであってもよい。一例では、シリコーンポリマーが、水性分散液由来のものであってもよく、乾燥時に縮合反応を生じる末端基を有する予備硬化シリコーンを含むものであってもよい。特に、シリコーンポリマーは、乾燥されると縮合反応が生じる末端基あるいは架橋剤などの添加剤を含む予備硬化シリコーンの水性分散液由来のものであってもよい。たとえば、シリコーンポリマーは、Wacker CT27Eシリコーンゴム分散液などのWacker−Chemie GmbH、(Munchen、Germany)から入手可能なシリコーンポリマー分散液、Additive 84などのDow Corningから入手可能なシリコーンポリマー分散液、Polon MF 56などの信越シリコーンから入手可能なシリコーンポリマー分散液から選択可能なものである。
【0013】
ブレンドは、融合ブレンドの総重量に対して2重量%〜30重量%の範囲の量でシリコーンポリマーを含むものであってもよい。たとえば、ブレンドは、10重量%〜30重量%の範囲または15重量%〜20重量%の範囲といった5重量%〜30重量%の範囲の量で、シリコーンポリマーを含むものであってもよい。また、ブレンドは、75重量%〜90重量%の範囲または80重量%〜85重量%の範囲といった70重量%〜98重量%の範囲の量で、パーフルオロポリマーなどのフルオロポリマーを含むものであってもよい。
【0014】
任意選択により、ブレンドはフィラーを含むものであってもよい。たとえば、ブレンドは、フィラー、光安定剤、顔料、結合助剤を含むものであってもよい。例示的なフィラーとしては、タルク、シリカ、炭酸カルシウムがあげられる。例示的な吸光添加剤および顔料としては、TiO、Fe、カーボンブラック、焼成混合金属酸化物があげられる。このようなフィラーは、40重量%以下、15重量%以下、5重量%以下といった60重量%以下の量で、ブレンドに含ませることが可能なものである。
【0015】
もうひとつの実施形態では、シート材料が強化材を含むものであってもよい。たとえば、図2に示すように、シート材料200は強化材層202を含む。上述したブレンドなどのパーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとのブレンドで形成される層204が、強化材層202の上に配置される。たとえば、層204は、接着剤などの介在層または表面処理なしで強化材層202と直接接触可能である。
【0016】
強化材層202は、織布または不織布の繊維性強化材などの繊維性強化材を含むものであってもよい。たとえば、繊維性強化材は、不織布または繊維糸が無作為に交絡したものであってもよい。例示的な一実施形態では、布帛がガラス織布である。他の実施形態では、強化材が特に、セラミック、プラスチックまたは金属材料のメッシュまたは複合材料のシートを含むものであってもよい。あるいは、強化材層202が、一般にシートである基材の形を取るものであってもよい。実施形態では、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテル−エーテルケトン、ポリアリールケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミドなどの高融点熱可塑性物質;熱硬化性プラスチック、特にポリイミドなどの高温可能熱硬化性樹脂;上記の熱可塑性物質または類似の熱的に安定した樹脂および熱的に安定した強化材(繊維ガラス、グラファイト、ポリアラミドなど)を主成分とする被覆または積層テキスタイル;プラスチック被覆金属箔;金属化または金属箔積層プラスチックフィルムで形成された支持体を使用可能である。また、例示的な実施形態は、アラミド、フッ素化ポリマー、繊維ガラス、グラファイト、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリケトン、ポリエステルまたはこれらの組み合わせから選択される繊維で形成される織布および不織布材料を含む。特に、繊維性強化材は、熱で前処理またはクリーニングされた繊維ガラス強化材を含む。あるいは、繊維性強化材は、被覆繊維ガラス強化材であってもよい。特定の例では、繊維ガラスの各繊維に対して、フルオロポリマー皮膜、たとえば、PTFEなどのポリマー皮膜を個々に被覆可能である。
【0017】
層204は、図1の層102に関して上述したブレンドを含むものであってもよい。層204は、少なくとも1.5osyの量で適用可能なものである。織布繊維性強化材が波のようにうねることのできるものであるとすれば、層の量は面積あたりの重量(オンス/平方ヤード(osy))で与えられる。たとえば、少なくとも2.0osy、少なくとも4.0osy、少なくとも4.5osyまたは少なくとも6.0osyなど、少なくとも1.8osyの量で層を適用可能である。通常、皮膜は50osy以下の量で適用される。
【0018】
別の実施形態では、パーフルオロポリマーとシリコーンエラストマーとのブレンドを、被覆した強化材上に適用可能である。たとえば、図3に示すように、シート材料300は、層304が被覆された強化材層302を含むものであってもよい。層304はさらに、上述したブレンドなどのパーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとのブレンドを含む層306で被覆可能なものである。
【0019】
強化材層302は、図2の層202に関して上述したように、織布または不織布の繊維性強化材料であってもよい。繊維性強化材には、PTFE、FEP、PFAまたはこれらの任意の組み合わせなどのパーフルオロポリマーの層を被覆してもよい。たとえば、層304を、少なくとも0.5osyの量で適用可能である。たとえば、層304を、0.5osy〜2.0osy、0.5osy〜1.5osyまたは0.5osy〜1.0osyなどの0.5osy〜2.5osyの範囲の量で適用可能である。
【0020】
層304の上に、層306を適用してそこに配置してもよい。特に、層306は、接着剤などの介在層または表面処理なしで層304と直接接触可能である。層306は、図1の層102に関して説明したブレンドなど、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとのブレンドを含む。一例では、層306が、少なくとも1.8osyまたは少なくとも2.0osyといった少なくとも1.5osyの量で適用される。特定の例では、層306が、少なくとも6.0osyなどの少なくとも4.0osyの量で適用可能なものであるが、それぞれの場合において、層306の量は50osy以下である。
【0021】
別の実施形態では、ブレンドの上にトップコートを適用可能である。たとえば、図4に示すシート材料400は、パーフルオロポリマー層404(これにはポリマーブレンド層406が被覆される)が被覆された強化材402をはじめとして、図3に関連して説明したものと類似の構造を含み得る。
【0022】
たとえば、ポリマーブレンド層406の上に、介在層なしで層406と直接接触させて別の層408を適用し、そこに配置してもよい。別の層408は、PTFE、FEP、PFAまたはこれらの任意の組み合わせなどのパーフルオロポリマーで形成可能である。特に、別の層408は、0.5osy〜2.0osyの範囲、0.5osy〜1.5osyの範囲または0.5osy〜1.0osyの範囲など、0.5osy〜2.5osyの範囲の量で適用可能なものである。
【0023】
あるいは、層408は、ショアAスケールで測定したデュロメータが少なくとも約90、またはショアDスケールで測定した場合で少なくとも約20のシリコーン皮膜などの硬質のシリコーン皮膜を含むものであってもよい。結果として、層408は、所望の非粘着性および低摩擦特性を備えるシート材料400の表面になる。たとえば、層408は、硬度がショアAスケールで少なくとも約100など、少なくとも約95のものであればよい。通常、層408は、層406よりも比較的硬質である。さらに、架橋密度の調整、フィラーの採用、あるいはこれらの任意の組み合わせなどによって、硬度を調整することも可能である。
【0024】
また、シート材料に表面の機能性を付与できる追加の層を1つ以上設けてもよい。図2〜図4に示す上記の実施形態はいずれも強化材層を中心に対称であるが、複数の層を非対称な形で交互に適用してもよく、この場合、これらの層のうちの1つ以上が一方の側に欠如していてもよいし、各々の層を異なる側に異なる厚さで適用してもよい。層は、融合層または半融合層として適用可能なものである。半融合層は、他のフィルム、基材、布帛またはシートの半融合層と接着可能であり、融合してシート材料を他の材料に結合可能でもある。
【0025】
一例では、コーテッド布の総重量が少なくとも4.0osyであればよい。たとえば、コーテッド布の総重量は、少なくとも6.0osyまたは少なくとも10osyなど、少なくとも4.5osyであればよい。また、布帛の総厚が、少なくとも5.0ミルまたは少なくとも9ミルなど、少なくとも3.5ミルであればよい。通常、布帛の総重量は60osy以下であり厚さは100ミル以下である。
【0026】
特に、シート材料は、所望の曲げ剛性を呈するとともに、縦方向および幅方向に対して顕著に等方性を示す手触りを呈する。たとえば、シート材料は、縦方向のGurley曲げ剛性が550以下であればよい。特に、縦方向のGurley曲げ剛性が、500以下など525以下であればよい。幅方向では、Gurley曲げ剛性が600以下または500以下など、800以下である。特に、コーテッド布は、幅方向のGurley曲げ剛性と縦方向のGurley曲げ剛性との比として定義されるGurley縦横比が、1.3以下であればよい。たとえば、Gurley縦横比が、1.0以下など1.1以下であればよい。
【0027】
さらに、シート材料は、縦方向と幅方向の両方に望ましいトラペゾイド法による引裂強さを呈する。Gurley曲げ剛性の場合と同様に、縦方向および幅方向の両方でのトラペゾイド法による引裂強さも、かなり近くなっている。たとえば、縦方向のトラペゾイド法による引裂強さは、少なくとも16lbs、少なくとも22lbsまたは少なくとも25lbsなど、少なくとも13lbsであればよい。別の例では、シート材料のトラペゾイド法による引裂強さは、幅方向では少なくとも13lbs、少なくとも16lbsまたは少なくとも20lbsなど、少なくとも11lbsであればよい。トラペゾイド法による引裂強さは、D4969で修正したASTM D751に従って測定される。幅方向のトラペゾイド法による引裂強さと縦方向のトラペゾイド法による引裂強さとの比として定義される引裂縦横比が、少なくとも0.77である。たとえば、引裂縦横比が、少なくとも0.85など少なくとも0.81であればよい。
【0028】
Gurley曲げ剛性およびトラペゾイド法による引裂強さの値がどの強化材層を選択するかに影響される場合もあるが、このシート材料は、類似の強化材およびPTFE単独で形成される、似たような重量の布帛に比して、Gurley曲げ剛性またはトラペゾイド法による引裂強さが想定外かつ望ましい変化を呈する。たとえば、Gurley曲げ剛性は、PTFEコーテッド布と比較して、少なくとも18%小さい、少なくとも25%小さい、あるいは少なくとも30%小さいなど、少なくとも10%小さくできるものである。PTFEだけを被覆した強化材に対するGurley曲げ剛性の減少率は、Gurleyインデックスとして定義される。さらに、トラペゾイド法による引裂強さは、PTFEコーテッド布と比較して、少なくとも50%大きい、少なくとも70%大きい、あるいは少なくとも90%大きいなど、少なくとも25%大きくできる。PTFEだけを被覆した強化材に対するトラペゾイド法による引裂強さの増加は、比引裂強さとして定義される。
【0029】
さらに、シート材料は、正反射率を、ASTM E424に準じて測定した場合に0.2%以下など0.5%以下にできるものである。また、表面の摩擦係数を0.2以下にすることが可能である。
【0030】
シート材料は、2分ほど加熱押圧して被検試料を形成し、幅1インチの試料で試験を行うよう変更したASTM D4851−88で求めた場合に、望ましい皮膜密着性を有する一体構造を提供できるものである。たとえば、皮膜密着性は、少なくとも2.0lb/インチ、少なくとも2.5lb/インチ、少なくとも3.0lb/インチ、少なくとも3.5lb/インチ、少なくとも4.0lb/インチまたは少なくとも4.5lb/インチなど、少なくとも1.8lbs/インチであればよい。
【0031】
もうひとつの例では、シート材料の経糸破壊強度(縦方向の破壊強度)が、少なくとも290lb/インチ、少なくとも300lb/インチまたは少なくとも350lb/インチなど、少なくとも270lb/インチであればよい。また、シート材料は、少なくとも230lb/インチ、少なくとも250lb/インチまたは少なくとも270lb/インチなど、少なくとも200lb/インチという望ましい緯糸破壊強度(幅方向の)破壊強度を呈する。強度は、ASTM D3751に準じて求められる。
【0032】
都合のよいことに、このシート材料は、類似の強化材で形成され、同等の厚さのパーフルオロポリマー(PTFEなど)で被覆された同様のシート材料に比して、経糸または縦方向の破壊強度が改善されている。同様のシート材料に対する経糸破壊強度の増加率として定義される経糸強度指数が、少なくとも10%、少なくとも12%または少なくとも15%など、少なくとも8%である。
【0033】
さらに、シート材料は、クリーズを寄せたり折り畳んだりして応力が加わった場合に、破壊強度が望ましい状態で保持される。ASTM D3751に準じて10lbのローラを用いるFlex Fold試験によれば、このシート材料では、その経糸破壊強度のパーセンテージが保たれる。シート材料は、Flex Fold試験実施後に試料で保たれる経糸破壊強度(撓める前のもとの経糸破壊強度のパーセンテージで表される)として定義される強度保持率が、少なくとも35%または少なくとも40%など、少なくとも25%であり得るものである。
【0034】
別の例では、シート材料は、凝集と破壊強度とが望ましい組み合わせになる。凝集性(皮膜密着性として測定)と破壊強度とがトレードオフ関係である他の材料とは対照的に、このシート材料は、破壊強度と皮膜密着性の両方を改善可能なものである。したがって、シート材料は、経糸破壊強度を皮膜密着性で割って定義される凝集比を、100以下、85以下または75以下など、142.5以下にできるものである。
【0035】
別の例では、シート材料は浸透性が低い。特に、シート材料は多孔性ではなく、パーフルオロポリマー/シリコーンブレンドを含む層など多孔性であり得る層でも、実質的に相互連結されていないか、その層だけに局在した孔を含む。たとえば、シート材料は、測定装置の感度内で浸透性が約0キュービックインチ/分など、ASTM D737に準じて測定した場合の浸透性が0.001キュービックインチ/分以下であり得るものである。したがって、シート材料は不透過性であってもよい。特定の例では、強化材層を含むシート材料と、上述したフルオロポリマー/シリコーンブレンドを含む層の浸透性が、0.001キュービックインチ/分以下である。
【0036】
別の例では、炭化水素および溶媒に曝露した場合のシート材料の浸透性が低い。たとえば、燃料Bへの曝露下でASTM D814に準じて測定した場合の蒸気透過率(VTR)の浸透性が、1.5mg/s*m以下、1.0mg/s*m以下、0.5mg/s*m以下または0.3mg/s*m以下など、2.0mg/s*m以下である。
【0037】
シート材料を形成するには、パーフルオロポリマー粒子と予備硬化シリコーンエラストマー粒子とのブレンドを含む分散液を調製すればよい。たとえば、分散液は水性分散液であってもよい。特定の例では、PTFEなどのパーフルオロポリマーの分散液を、予備硬化シリコーンポリマーの分散液と混合する。シリコーンポリマーは、分散液の固体に対して2重量%〜30重量%を占めることができるものである。たとえば、シリコーンポリマーは、分散液の固体の10重量%〜30重量%、10重量%〜25重量%または15重量%〜20重量%など、分散液の固体の5重量%〜30重量%を占めることができるものである。パーフルオロポリマーは、分散液の固体の残りの部分を占めることができるものである。たとえば、パーフルオロポリマーは、分散液の固体の75重量%〜90重量%または80重量%〜85重量%など、分散液の固体の70重量%〜98重量%を占めることができるものである。あるいは、分散液に固体フィラーを含ませるようにしてもよい。たとえば、固体フィラーは、分散液中の固体の40重量%以下、15重量%以下または5重量%以下など、60重量%以下を占めることができるものである。
【0038】
キャリアには、ディップコーティング、ナイフコーティングまたはキャスティングなどのプロセスで分散液を被覆可能である。余分な材料を拭き取って、皮膜を乾燥させて焼結、または融合が可能である。たとえば、キャリアは、シート材料から分離可能な固体材料であってもよい。このような場合、まずはキャリアを被覆し、材料を乾燥および焼結させ、この材料をキャリアから分離してシート材料を形成することで、ブレンドの層を含むシート材料を形成可能である。このような例では、シート材料には強化材層を含まない。
【0039】
別の実施形態では、キャリアが、分散液を被覆可能な強化材料であってもよい。強化材料は、繊維性強化材であればよく、特に、被覆繊維性強化材であればよい。特定の実施形態では、水性分散液を通して繊維ガラスなどの繊維性強化材を引き取り可能である。ブレンドを被覆する前に任意選択による皮膜を形成するには、水性分散液が、シリコーンを含まないパーフルオロポリマーの分散液であればよい。たとえば、PTFEの水性分散液を通して強化材料を引き取り可能である。水性分散液を被覆した繊維性強化材を、拭取構造に通して余分なパーフルオロポリマー分散液を除去し、オーブンに通す。オーブンは、たとえば、3ゾーンタワーオーブンであってもよい。特に、3ゾーンタワーオーブンは、被覆後の材料を融合可能である。たとえば、第1のゾーンでは200°F〜300°Fの範囲の温度で分散液を乾燥させることが可能である。第2のゾーンでは、成膜されたパーフルオロポリマーを加熱して界面活性剤および他の添加剤を除去可能である。特に、第2のゾーンでは、成膜されたパーフルオロポリマーを、500°F〜600°Fの範囲の温度で加熱可能である。第3のゾーンでは、パーフルオロポリマーを溶融、焼結または融合可能である。たとえば、第3のゾーンでは、パーフルオロポリマーを、680°F〜700°Fの範囲の温度で融合可能である。
【0040】
もうひとつの例において、被覆材料を半融合するよう3ゾーンタワーを設定可能である。たとえば、第1のゾーンでは、200°F〜300°Fの範囲の温度で分散液を乾燥させることが可能である。第2のゾーンでは、成膜されたパーフルオロポリマーを加熱して界面活性剤および他の添加剤を除去可能である。特に、第2のゾーンでは、成膜されたパーフルオロポリマーを、500°F〜600°Fの範囲の温度で加熱可能である。第3のゾーンについては、パーフルオロポリマーの融点未満の温度に設定可能である。たとえば、第3のゾーンは、550°F〜600°Fの範囲の温度に設定可能なものである。
【0041】
パーフルオロポリマーおよびシリコーンエラストマーを含むブレンド後の分散液を成膜するには、このプロセスを繰り返せばよい。たとえば、未被覆の繊維性強化材または被覆繊維性強化材などの繊維性強化材を、パーフルオロポリマーとシリコーンエラストマーとのブレンドを含む水性分散液の浴を通して引き取り可能である。余分な分散液については、メタリングバー、バードバー、巻線型メタリングバー、Kバーまたは他の類似の機器またはこれらの組み合わせなどの拭取構造を用いて除去すればよい。ブレンド後の分散液が被覆された強化材料を加熱する。たとえば、分散液を加熱して分散液を乾燥させ、界面活性剤または他の添加剤を除去した後、パーフルオロポリマーを溶融させて予備硬化シリコーンポリマーを硬化させることが可能である。特に、被覆強化材料を、200°F〜300°Fの範囲の温度で分散液を乾燥させる第1のゾーンを含む3ゾーンタワーオーブンに通すことが可能である。オーブンの第2のゾーンでは、成膜されたブレンド皮膜から、500°F〜600°Fの範囲の温度で界面活性剤および他の添加剤を除去できる。第3のゾーンは、ブレンドを融合、たとえばパーフルオロポリマーを溶融させるよう設定可能であるか、あるいは半融合層を形成するよう設定可能である。たとえば、第3のゾーンについては、材料を融合させるために680°F〜700°Fの範囲の温度に設定可能である。もうひとつの例では、第3のゾーンが、層を半融合させるために550°F〜600°Fの範囲の温度に設定可能なものである。あるいは、1ゾーン、2ゾーンまたはそれより多くを含むオーブンで皮膜を加熱してもよい。特定の例では、皮膜を二段階で乾燥および焼結させることが可能である。
【0042】
また、特に外側の層が半融合層である場合、シート材料を押圧またはカレンダー処理してもよい。一例では、カレンダーのドラムを275°F〜400°Fの範囲の温度に設定し、ドラム間の圧力を500psi〜4000psiに範囲可能である。その後、半融合層を含むカレンダー処理済みのシート材料を、680°F〜700°Fの範囲内の温度などの融合条件下におくことが可能である。
【0043】
さらに、シート材料は、冷却プレナムを通過可能であり、ここから後段の浸漬パンに送って別のフィルム層の形成を開始するか、ストリッピング装置または貯蔵用ロールに送ってもよい。もうひとつの実施形態では、複合材料のシートを形成した後、強化材料に積層する。これらのシートをさらに処理し、強化材料に結合させてもよい。たとえば、材料のシートを強化材料に積層可能である。
【0044】
特定の例では、強化材料を、PTFEなどのパーフルオロポリマーのエマルションに通して融合させることが可能である。たとえば、強化材料をエマルションに1回通すことが可能である。もうひとつの例では、強化材料を2回または任意選択により3回通して融合させてもよい。1回通すごとに、本明細書でパスと呼ぶ厚さが追加される。パーフルオロポリマー層の適用後、シート材料を、パーフルオロポリマーとシリコーンとのブレンドを含むエマルションに通してもよい。シート材料を、ブレンドのエマルションに少なくとも1回通すことが可能である。特に、シート材料を、ブレンドのエマルションに2回通してもよく、あるいは、エマルションに3回以上通してもよい。シート材料にブレンドを被覆した後、このブレンド層を融合させることが可能である。あるいは、上述したようにブレンド層を半融合させてもよく、カレンダー処理し、押圧またはさらに処理した後、融合させてもよい。
【0045】
任意選択により、追加の層を適用してもよい。たとえば、シート材料を別のエマルションに通して追加の層をシート材料に被覆してもよい。一例では、別のエマルションが、パーフルオロポリマーエマルションであってもよい。もうひとつの例では、別のエマルションがシリコーンエマルションであってもよい。追加の層の下にあるパスについては、追加の層を被覆した際に融合または半融合可能である。追加の層は、融合または半融合可能なものである。追加の層をカレンダー処理したり、あるいは処理したりしてもよい。
【0046】
特定の例では、ブレンド層または追加の層のいずれかである半融合層を押圧して、もうひとつのシート材料またはフィルムの別の半融合層と接触させることが可能である。一例では、コンストラクトを融合させ、シート材料同士またはシート材料とフィルムとを一緒に結合することが可能である。たとえば、別の半融合PTFE外側層を押圧またはカレンダー処理して、第2のシート材料またはフィルムの半融合PTFE層と接触させた後、融合させることが可能である。もうひとつの例では、半融合ブレンド層を、第2のシート材料またはフィルムの半融合ブレンド層または半融合パーフルオロポリマー層と接触させて配置した後、融合させることが可能である。
【0047】
特定の実施形態では、シート材料が、少なくとも1パス、多くの場合は2パスのブレンドで被覆されたPTFEなどのパーフルオロポリマーの単一パスで被覆された強化材料を含む。それぞれの層を融合可能である。あるいは、ブレンドのパスを半融合させ、カレンダー処理した後、融合させてもよい。もうひとつの実施形態では、シート材料が、強化材料と、融合されたパーフルオロポリマー1パス、融合されたブレンド2パス、少なくとも1パスのポリマー(パーフルオロポリマーまたはシリコーンポリマーなど)で形成される外側の層を含む。一例では、外側の層が融合される。もうひとつの例では、外側の層が半融合される。
【0048】
別の実施形態では、半融合層または半融合されたブレンド層である外側の層を、パーフルオロポリマーまたはシリコーンを含むフィルムなどのフィルムと接触させて配置可能である。一例では、フィルムが、欠陥のないパーフルオロポリマーフィルム(PTFEフィルムなど)である。一例では、フィルムが、皮膜より均一なコンシステンシーを有し、特性のばらつきも少ない。フィルムの一例として、スカイブフィルム、キャストフィルムまたは押出フィルムがあげられる。
【0049】
注目すべきことに、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとのブレンドを含む分散液を用いると、1回のパスで適用される皮膜を厚くできることが発見された。たとえば、1回のパスで、ブレンドの分散液を被覆して、重量が少なくとも1.8osy、少なくとも2.0osyまたは少なくとも2.4osyなど、少なくとも1.5osyの皮膜を形成可能である。通常、PTFEの皮膜を被覆して重量が1.0osyを超える層を形成すると、複数回のパスで被覆しないかぎり、亀裂、変形、あるいは表面のでこぼこが生じてしまう。
【0050】
このようなプロセスによって、図1〜図4に関して上述したようにして形成されるコーテッド布は、自動車用HVACフィルムバルブに使用するのに特に適している。たとえば、図5および図6に示すように、上述したようにして形成されるシート材料502は、フィルムバルブとして特に適したものとなり得る。たとえば、図5に示す自動車用HVACシステム500では、フィルムバルブをローラ504間に延在させることが可能である。フィルムバルブ502をローラ504間で引っ張り、図6に示すように、穴608、610、612をベント508と整列配置させることが可能である。穴608、610、612とベント508との整列具合に応じて、ファンなどの空気源でフィルムバルブ502を介して空気を送り出し、1つ以上のベント508に供給することが可能である。
【0051】
都合のよいことに、上述したシート材料の実施形態は、望ましい可撓性および手触りならびに、シート材料を自動車用HVACシステムで使用するのに特に適したものにする他の望ましい特性を呈する。また、シート材料の実施形態は、同じ強化材を有するPTFEコーテッド布よりも吸音性が高い。
【0052】
特定の例では、シート材料が、破壊強度、クリーズおよび引裂強さ耐性ならびに、追随性(いずれも材料の有効寿命を延ばす)を含む望ましい特性を呈する。したがって、シート材料は、工業用途において高温剥離シートまたはベルトとして使用するのに特に適している。
【0053】
たとえば、光起電性積層では、剥離布(シート状かベルト状かを問わない)を、真空または機械的な圧力によって光電池の不規則な輪郭に、強制的にある程度沿わせる。このように強制的に合わせることで、光起電性材料が歪曲することがあり、それが原因でクリーズが生じる場合もあって、製造対象となる光電池に欠陥が生じかねない。また、従来の材料では押圧サイクルが繰り返されることで大幅に弱くなることがあり、不具合の結果として、破損または破裂する可能性もある。本シート材料は、機械的な不具合のためではなく、剥離特性が失われるまで、押圧サイクルの繰り返しに耐えるものである。物性が改善されることで、この剥離布は一層長期間適所に保たれ、早期の不具合がゆえに交換する頻度を減らすことができる。
【0054】
また、剥離用途は、強化材の物性だけでなくパーフルオロポリマーの非粘着特性にも左右される。このような応用例としては、テキスタイル、自動車、一般産業用途などにおける他の積層または押圧作業があげられる。電池容器などの硬質の形状であるか、トイレットペーパーやペーパータオルを強める薄い可撓性フィルムであるかを問わず、プラスチックパッケージングのシーリングは、本シート材料の改善された高引張強度、高めのクリーズおよび引裂耐性強度ならびに、改善された追随性の利益を得るものであり、これらの材料を形成または封止する目的で熱を加えるのに用いられる剥離シートおよびベルト製品が、さまざまな硬度の不規則な形状および材料(すなわち、トイレットペーパー自体に対してトイレットペーパーの芯またはペーパータオルの芯など)に合わせられる。また、接着剤で裏打ちした感圧テープ製品が同様の用途で用いられ、不規則なヒートシールジョー、ワイヤまたは金型などの形に合わせられることも多い。従来のシート材料とは対照的に、本シート材料は、剥離布またはテープが平面形状に保たれていない用途において有用である。このような用途では、本シート材料の有効剥離寿命が長くなる。
【0055】
別の例では、本シート材料は、絶縁ジャケット、空気袋での用途、伸縮継手、HVAC制御フィルム、光起電性剥離シート、浮き屋根シールにおいて有用なものとなり得る。食品等級のシリコーンを含む実施形態も、たとえば、他の食品加工装置のなかでも特にスピルマットまたは工業用調理ベルトとして、食品および食品サービス業で有用なものとなり得る。
【実施例】
【0056】
実施例1
工業用1080繊維ガラス布の試料、生繊維材料仕上げ、ヒートクリーニング後の重量1.38オンス/平方ヤード(osy)、厚さ2.1ミルを、PTFE水性分散液、DuPont TE−3859(比重1.25になるまで水で薄める)の浴に通して引き取ることで、融合PTFE樹脂で軽く被覆する。コーテッド布を拭取構造に通して余分なPTFE分散液を除去し、3ゾーンタワーオーブンに通す。そこで、第1のゾーンでは200°F〜300°Fの範囲の温度で分散液を乾燥させ、第2のゾーンでは成膜されたPTFE樹脂を500°F〜600°Fの範囲の温度で加熱し、第3のゾーンでPTFEを680°F〜700°Fの範囲の温度で溶融させる。コーテッド布の重量は約2.02osyである。
【0057】
DuPont TE−3859 PTFE分散液とシリコーンゴム分散液Wacker Silicones Finish CT27E(Wacker Silicones、(Adrian、MI))の分散液混合物からの第2の皮膜を、コーテッド布を分散液に通して余分な分散液をコーテッド布から拭き取ることで、コーテッド布に被覆する。分散液混合物は、約131重量部(pbw)のDuPont TE−3859と約31pbwのWacker CT27Eとを単に攪拌して組み合わせて生成される。この混合物については、水で薄めない。
【0058】
拭取構造を変更してさらに大きな重量の皮膜配合物を適用できるようにしたこと以外は上述したプロセスを用いて、約80重量パーセントのPTFEと20重量パーセントのシリコーンゴムとを含む皮膜を適用する。コーテッド布の後の総重量は4.24osyであり、厚さ0.0035インチである。
【0059】
類似の2ステッププロセスを用いて、工業用2116繊維ガラス布、生繊維材料仕上げ、ヒートクリーニング後の重量3.13osy、厚さ3.7ミルで第2の試料を調製する。中間PTFE−コーテッド布は、重量が約3.79osyであり、最終製品は重量が約6.24osyである。最終製品は約0.0052インチ厚である。
【0060】
2種類の試料の仕上がり厚、仕上がり重量、摩擦係数を測定する。また、表1に示すように、2種類の試料の破壊強度、荷重、トラペゾイド法による引裂強さ、皮膜密着性を試験する。
【0061】
【表1】

【0062】
実施例2
実施例1で説明した方法を用いて別の試料を調製する。基布は、クリーニング後の標準重量5.94osyの工業用7628繊維ガラス布である。PTFEの初期皮膜を、実施例1に関して説明したようにして適用する。上述したブレンド皮膜組成物を、3パスで適用する。ブレンド皮膜適用前の布帛の重量は7.3osy、3パス各々での適用後はそれぞれ、9.06osy、11.57osy、12.39osyである。フィルムの最終厚は0.0103インチである。
【0063】
試料(試料3)を、同じ基布をベースにする標準的な10ミルのPTFEフィルム(PTFE CF210)と比較する。試料と比較試料のGurley曲げ剛性、トラペゾイド法による引裂強さ(ASTM D751)、正反射率(ASTM E424)を試験する。
【0064】
【表2】

【0065】
比較試料に比して両方向でGurley曲げ剛性が低くなることに加えて、ブレンド試料では、縦方向と幅方向との曲げ剛性の差が小さくなる。特に、Gurley縦横比が1.0未満すなわち0.97であるのに対し、比較試料のGurley縦横比は1.0を大きく上回る。同様に、試料の引裂強さは比較試料の場合より大きく、方向間の比がより一層1に近い。ブレンド試料の正反射率は低くなる。別の皮膜を用いて、反射率を操作するようにしてもよい。
【0066】
Gurley曲げ剛性およびトラペゾイド法による引裂強さの値は7628繊維ガラス布に影響されることがあるが、PTFEコーテッド布に対する変化および縦横比には、想定外かつ望ましい改善が認められる。
【0067】
実施例3
工業標準の1528繊維ガラス布を用いて試料および比較試料を調製する。融合されたパスで試料に被覆をほどこす。縦方向のトラペゾイド法による引裂強さ、幅方向のトラペゾイド法による引裂強さ、経糸(縦方向)破壊強度、緯糸(幅方向)破壊強度、強度保持率、皮膜密着性をはじめとして、試料および比較試料の機械的特性を試験する。
【0068】
1528繊維ガラス布をPTFEエマルションに通すパスを繰り返して比較試料(比較試料1および2)を調製し、重量13.5osyのシート材料を形成する。PTFE皮膜を融合させる。
【0069】
透明なPTFEの単一の融合されたパスを1528繊維ガラス布に適用した後、実施例1に関して説明したようにして形成されたPTFEと20重量%シリコーンとのブレンドの半融合された2パスを適用して、第1の試料(試料4)を調製する。半融合されたパスの適用後、ブレンド層を融合させる。1パスの融合されたPTFEをブレンド層の上に適用する。
【0070】
第2の試料(試料5)は、10%シリコーンを含む3パスの半融合ブレンドで被覆された、1528繊維ガラス布と、1パスの融合された透明なPTFEを含む。半融合されたパスを融合させ、後に融合された透明なPTFE層で被覆されるブレンド層を形成する。
【0071】
第3の試料(試料6)は、20%シリコーンを含む2パスの半融合ブレンドで被覆された、1528繊維ガラス布と、2パスの融合された透明なPTFEを含む。半融合されたパスをカレンダー処理し、融合させて、後に融合された透明なPTFE層で被覆されるブレンド層を形成する。
【0072】
第4の試料(試料7)は、20%シリコーンを含む2パスの半融合ブレンドで被覆された、1528繊維ガラス布と、2パスの融合された透明なPTFEを含む。半融合されたパスをカレンダー処理し、融合させて、後に融合された透明なPTFE層で被覆されるブレンド層を形成する。試料をさらに追加でカレンダー処理する。
【0073】
第5の試料(試料8)は、20%シリコーンを含む2パスの半融合ブレンドで被覆された、1528繊維ガラス布と、1パスの融合された透明なPTFEを含む。半融合されたパスを半融合された透明なPTFE層で被覆する。材料をカレンダー処理した後、融合させる。別の透明なPTFEパスを材料に融合させる。
【0074】
表3は、試料および比較試料の重量と機械的特性を示す。図示のように、試料には、破壊強度の望ましい改善が認められる。また、試料には、望ましい結合比および強度保持率が認められる。
【0075】
【表3】

【0076】
実施例4
工業標準の7628繊維ガラス布を用いて試料および比較試料を調製する。融合されたパスで試料に被覆をほどこす。縦方向のトラペゾイド法による引裂強さ、幅方向のトラペゾイド法による引裂強さ、経糸(縦方向)破壊強度、緯糸(幅方向)破壊強度、強度保持率、皮膜密着性をはじめとして、試料および比較試料の機械的特性を試験する。
【0077】
7628繊維ガラス布をPTFEエマルションに通すパスを繰り返して比較試料(比較試料3および4)を調製し、重量12.7osyのシート材料を形成する。PTFE皮膜を融合させる。
【0078】
融合された2パスの透明なPTFEを7628繊維ガラス布に適用した後、PTFEと20重量%シリコーンの半融合された3パスのブレンドを適用して、第1の試料(試料9)を調製する。半融合されたパスの適用後、ブレンド層を融合させる。1パスの融合されたPTFEをブレンド層の上に適用する。
【0079】
第2の試料(試料10)は、20重量%シリコーンを含む2パスの半融合ブレンドで被覆された、7628繊維ガラス布と、1パスの融合された透明なPTFEを含む。半融合されたパスを融合させ、後に融合された透明なPTFE層で被覆されるブレンド層を形成する。半融合されたパスを半融合された透明なPTFE層で被覆し、カレンダー処理する。カレンダー処理後のシート材料を融合させた後、融合された透明なPTFEパスを適用する。
【0080】
表4は、試料および比較試料の重量と機械的特性を示す。図示のように、試料には、破壊強度の望ましい改善が認められる。また、試料には、望ましい結合比および強度保持率が認められる。
【0081】
【表4】

【0082】
実施例5
7628繊維ガラス布または1564繊維ガラス布を用いて試料を調製する。繊維ガラス布に、透明なPTFE皮膜を適用して融合させた後、20重量%シリコーンおよびPTFEを含むブレンドの1パスの皮膜を適用し、半融合させる。1ミルのPTFEフィルムを半融合ブレンド層に積層し、構築物を融合させる。
【0083】
実施例6
7628繊維ガラス布または1528繊維ガラス布を用いて試料を調製する。繊維ガラス布に、透明なPTFE皮膜を適用して融合させた後、5重量%または10重量%のいずれかのシリコーンとPTFEとを含むブレンドの2パスの皮膜を適用し、これを後に融合させる。1パスの透明なPTFEをブレンド層の上に適用し、融合させる。
【0084】
実施例7
実施例5に従って試料を形成する。試料11は、7628生繊維材料繊維ガラス布を含み、試料12は1564生繊維材料繊維ガラス布を含む。試料の特性を、いずれもSaint−Gobainから入手可能なCPI−10 42.5」(C5)およびCPI−18 42.5」(C6)のものと比較する。表5に特性を示す。
【0085】
【表5】

【0086】
表5に示すように、試料11および12は、燃料Bに曝露されたときの浸透性が低い。また、試料11および12は、比較資料に比して望ましい機械的特性を呈する。
【0087】
特定の実施形態では、コーテッド布が、強化材と、強化材上に成膜される第1の皮膜と、第1の皮膜上に成膜される第2の皮膜とを含む。第1の皮膜は、パーフルオロポリマーを含む。第2の皮膜は、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとを2重量%〜30重量%の範囲の量で含む。一例では、シリコーンポリマーの範囲が、15重量%〜20重量%など10重量%〜25重量%である。
【0088】
一例では、コーテッド布が、第2の皮膜上に第3の皮膜を含むものであってもよい。第3の皮膜は、パーフルオロポリマーなどのフルオロポリマーを含むものであってもよい。もうひとつの例では、第3の皮膜がシリコーンを含むものであってもよい。
【0089】
別の例では、コーテッド布の縦方向におけるGurley曲げ剛性が、525以下または500以下など、550以下である。別の例では、コーテッド布の幅方向におけるGurley曲げ剛性が、600以下または500以下など、800以下である。また、コーテッド布のGurley縦横比が、1.1以下または1.0以下など、1.3以下であってもよい。
【0090】
別の例では、コーテッド布の縦方向のトラペゾイド法による引裂強さが、少なくとも16lbs、少なくとも20lbs、少なくとも22lbsまたは少なくとも25lbsなど、少なくとも13lbsである。もうひとつの例では、コーテッド布の幅方向のトラペゾイド法による引裂強さが、少なくとも13lbs、少なくとも16lbsまたは少なくとも20lbsなど、少なくとも11lbsである。また、コーテッド布は、引裂縦横比が、少なくとも0.81または少なくとも0.85など、少なくとも0.77であってもよい。さらに、コーテッド布は、比引裂強さが少なくとも25%であってもよい。
【0091】
別の例では、コーテッド布の正反射率が、0.2%以下など0.5%以下である。さらに、コーテッド布は、摩擦係数が0.2以下であってもよい。また、コーテッド布は、皮膜密着性が、少なくとも2.0lb/インチまたは少なくとも2.5lb/インチなど、少なくとも1.8lb/インチであってもよい。
【0092】
もうひとつの例では、コーテッド布の経糸破壊強度が、少なくとも290lb/インチなど、少なくとも270lb/インチであってもよい。さらに、緯糸破壊強度は、少なくとも200lb/インチであってもよい。コーテッド布の強度保持率、少なくとも35%など、少なくとも25%であってもよい。また、コーテッド布の結合比は、100以下など、142.5以下であってもよい。
【0093】
一例では、パーフルオロポリマーが、PTFE、HFP、FEP、PFAまたはこれらの組み合わせを含む。特定の例では、パーフルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレンを含む。別の例では、シリコーンポリマーが、縮合重合化シリコーンなどの予備硬化シリコーンポリマー分散液由来である。
【0094】
特定の例では、第1の皮膜が、少なくとも0.5osyの量で適用される。もうひとつの例では、第2の皮膜が、少なくとも1.8osy、少なくとも2.0osyまたは少なくとも2.4osyなど、少なくとも1.5osyの量で適用される。コーテッド布の総重量は、少なくとも4.5osyまたは少なくとも6.0osyなど、少なくとも4.0osyであればよい。
【0095】
もうひとつの実施形態では、シート材料が、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとのブレンドを含む。このブレンドは、シリコーンポリマーを2重量%〜30重量%の範囲の量で含む。シート材料は、Gurley縦横比が1.3以下である。
【0096】
別の実施形態では、シート材料が、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとのブレンドを含む。このブレンドは、シリコーンポリマーを2重量%〜30重量%の範囲の量で含む。シート材料は、引裂縦横比が少なくとも0.77である。
【0097】
追加の実施形態では、シート材料が、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとのブレンドを含む。このブレンドは、シリコーンポリマーを2重量%〜30重量%の範囲の量で含む。シート材料は、総厚が少なくとも9ミルであり、Gurley曲げ剛性が550以下である。
【0098】
もうひとつの実施形態では、換気系が、各々開口を有する複数のコンジットを含み、複数の開口を有するフィルムを含む。このフィルムは、少なくとも1つの開口を、複数のコンジットの少なくとも1つのコンジットの開口と整列配置させるよう移動可能である。フィルムは、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとのブレンドを含む。このブレンドは、シリコーンポリマーを2重量%〜30重量%の範囲の量で含む、
【0099】
別の実施形態では、シート材料の形成方法が、強化材に、パーフルオロポリマーを含む第1の皮膜を被覆して第1の中間物品を形成し、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとを含み、かつ、ポリマー分散液の固体の総重量に対してシリコーンポリマーを2重量%〜30重量%の範囲の量で含むポリマー分散液を含む第2の皮膜を、第1の中間物品に被覆して、第2の中間物品を形成し、第2の中間物品を焼結させることを含む。ポリマー分散液は、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとを含む。分散液は、ポリマー分散液の固体の総重量に対してシリコーンポリマーを2重量%〜30重量%の範囲の量で含む。
【0100】
一例では、第1の中間物品に第2の皮膜を被覆することが、第1の中間物品に少なくとも2.0osyの第2の皮膜を単一ステップで被覆することを含む。別の例では、第1の中間物品に第2の皮膜を被覆することが、第1の中間物品に少なくとも2.4osyの第2の皮膜を単一ステップで被覆することを含む。
【0101】
追加の実施形態では、シート材料の形成方法が、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとを含む少なくとも2.0osyのポリマー分散液をキャリアに被覆することを含む。シリコーンポリマーは、分散液の固体含有量の2重量%〜30重量%を占める。この方法は、ポリマー分散液を乾燥させ、乾燥ポリマー分散液を焼結させることをさらに含む。
【0102】
一例では、キャリアは、シート材料に取り込まれるキャリアウェブ強化材を形成する。別の例では、キャリアは繊維性強化材料を含む。別の例では、キャリアはパーフルオロポリマーが被覆された繊維性強化材料を含む。もうひとつの例では、キャリアが皮膜から分離可能な支持体であり、方法が、皮膜をキャリアから剥離させることをさらに含む。
【0103】
別の実施形態では、シート材料が、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとを含むポリマーブレンドを含む。ポリマーブレンドは、シリコーンポリマーを2重量%〜30重量%の範囲の量で含む。一例では、シート材料が、強化材層と、強化材層の上に成膜されるポリマーブレンドとをさらに含む。別の例では、強化材層が繊維性強化材料を含む。さらに、強化材層は、パーフルオロポリマーが被覆された繊維性強化材料を含むものであってもよい。
【0104】
別の実施形態では、コーテッド布が強化材料を含み、皮膜が強化材料の上に配置される。この皮膜は、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとを2重量%〜30重量%の範囲の量で含む。コーテッド布は、浸透性が0.001キュービックインチ/分以下である。一例では、コーテッド布が実質的に不透過性である。
【0105】
一例では、シリコーンポリマーの範囲が、15重量%〜20重量%など、10重量%〜25重量%である。もうひとつの例では、コーテッド布の縦方向のトラペゾイド法による引裂強さが少なくとも13lbsである。別の例では、コーテッド布の皮膜密着性が少なくとも1.8lb/インチである。別の例では、コーテッド布の強度保持率が少なくとも25%である。
【0106】
特定の例では、パーフルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、これらの組み合わせを含む。たとえば、パーフルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む。シリコーンポリマーは、予備硬化シリコーンポリマー分散液由来のものであってもよい。特に、シリコーンは、縮合重合化シリコーンであってもよい。
【0107】
もうひとつの実施形態では、シート材料が単層を含む。単層は、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとを含むポリマーブレンドを含む。ポリマーブレンドは、シリコーンポリマーを2重量%〜30重量%の範囲の量で含む。
【0108】
追加の実施形態では、コーテッド布を形成する方法が、布帛を分配供給し、第1のエマルション皮膜を布帛に適用することを含む。第1のエマルションはパーフルオロポリマーを含む。この方法は、第1のエマルション皮膜を融合させて第1の層を形成し、第2のエマルション皮膜を第1のエマルション皮膜上に適用することも含む。第2のエマルション皮膜は、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとのブレンドを、2重量%〜30重量%の範囲の量で含む。この方法は、第2のエマルション皮膜を融合させて第2の層を形成することも含む。
【0109】
一例では、この方法が、第2のエマルション皮膜の適用後かつ第2のエマルション皮膜の融合前に、第2のエマルション皮膜を半融合させることをさらに含む。また、この方法は、第2のエマルション皮膜の半融合後に第2のエマルション皮膜をカレンダー処理することをさらに含むものであってもよい。さらに、この方法は、第2のエマルション皮膜の半融合後に第2のエマルション皮膜をパーフルオロポリマーフィルムと接触させることをさらに含み、第2のエマルション皮膜の融合が、パーフルオロポリマーフィルムと接触させたまま第2のエマルション皮膜を融合させることを含む。
【0110】
もうひとつの例では、この方法が、第3のエマルション皮膜を第2のエマルション皮膜の上に適用することをさらに含む。一例では、第3のエマルション皮膜がパーフルオロポリマーを含む。もうひとつの例では、第3のエマルション皮膜がシリコーンを含む。
【0111】
さらに、この方法は、第3のエマルション皮膜を半融合させ、第3のエマルション皮膜をフィルムと接触させ、第3のエマルション皮膜をフィルムと接触させたまま融合させることをさらに含むものであってもよい。また、この方法は、第3のエマルション皮膜を半融合させ、第3のエマルション皮膜をカレンダー処理し、第3のエマルション皮膜を融合させることをさらに含むものであってもよい。また、第3のエマルション皮膜を適用することが、第2のエマルション皮膜を半融合状態に保ったまま第3のエマルション皮膜を第2のエマルション皮膜に適用することを含むものであってもよい。
【0112】
本明細書で使用する場合、「上に(over)」または「上に配置(overlie)」という表現は、場所に関連して用いられる場合、強化材料がある場合にそこから離れて移動する際に、比較的シート材料の外面に近い場所を示す。
【0113】
概要でまたは実施例で上述した行為のすべてが必要であるとはかぎらず、特定の行為の一部が不要な場合もあり、1つ以上のさらなる行為を上述したものに加えて実施してもよい点に留意されたい。さらに、行為を列挙した順序は、必ずしもそれらを実施する順序ではない。
【0114】
上記の明細書では、所定の実施形態に関連して概念について説明した。しかしながら、以下の特許請求の範囲に示す本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな改変および変更をほどこし得る旨は、当業者であれば理解できよう。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきであり、こうした改変はいずれも、本発明の範囲に含まれることが想定される。
【0115】
本明細書で使用する場合、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」といった表現あるいは、そのさまざまな変形は、非排他的包含を含むことが意図される。たとえば、特徴のリストをなすプロセス、方法、物品または装置が、必ずしもそれらの特徴だけに限定されるものではなく、明示的には列挙されない、あるいは上記のプロセス、方法、物品または装置に固有の他の特徴も含むことがある。さらに、逆のことを明示的に述べる場合を除いて、「または」は、包含的な「または」を示し、排他的な「または」を示すものではない。たとえば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる。Aが真(または存在する)かつBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)かつBが真(または存在する)、AおよびBの両方が真(または存在する)である。
【0116】
また、「a」または「an」の使用は、本明細書に記載の要素および構成要素を説明するために用いられる。これは、単に便宜上かつ本発明の範囲の一般的な意味を与えるためになされるものにすぎない。この記載は、1つまたは少なくとも1つを含むものとして読むべきであり、それ以外のことを意味する旨が明白でないかぎり、単数形が複数形も含む。
【0117】
以上、特定の実施形態に関連して、利益、他の利点、課題に対する解決策について説明した。しかしながら、その利益、利点、課題に対する解決策ならびに、利益、利点または解決策を引き起こし得るまたは一層顕著にできる特徴も、特許請求の範囲のいずれかもしくは全部における重大かつ必要または本質的な特徴として解釈されるべきでない。
【0118】
本明細書では、明確にするために特定の特徴を別々の実施形態と結び付けて説明したが、単一の実施形態において組み合わせて提供してもよいことは、本明細書を読了後の当業者であれば理解できるであろう。逆に、簡潔にするために単一の実施形態と結び付けて説明したさまざまな特徴も、別個またはサブコンビネーションのいずれかで提供できるものである。さらに、範囲で記載した値については、その範囲内のあらゆる値を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化材と、
前記強化材上の第1の皮膜であって、パーフルオロポリマーを含む前記第1の皮膜と、
前記第1の皮膜上の第2の皮膜であって、パーフルオロポリマーおよびシリコーンポリマーを2重量%〜30重量%の範囲の量で含む前記第2の皮膜と、を含む、コーテッド布。
【請求項2】
シリコーンポリマーの前記範囲が10重量%〜25重量%である、請求項1に記載のコーテッド布。
【請求項3】
シリコーンポリマーの前記範囲が15重量%〜20重量%である、請求項2に記載のコーテッド布。
【請求項4】
前記第2の皮膜上に第3の皮膜をさらに含む、請求項1に記載のコーテッド布。
【請求項5】
前記第3の皮膜がフルオロポリマーを含む、請求項4に記載のコーテッド布。
【請求項6】
前記フルオロポリマーがパーフルオロポリマーを含む、請求項5に記載のコーテッド布。
【請求項7】
前記第3の皮膜がシリコーンを含む、請求項4に記載のコーテッド布。
【請求項8】
前記コーテッド布の縦方向におけるトラペゾイド法による引裂強さが少なくとも13lbsである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項9】
前記縦方向における前記トラペゾイド法による引裂強さが少なくとも16lbsである、請求項8に記載のコーテッド布。
【請求項10】
前記縦方向における前記トラペゾイド法による引裂強さが少なくとも20lbsである、請求項9に記載のコーテッド布。
【請求項11】
前記縦方向における前記トラペゾイド法による引裂強さが少なくとも22lbsである、請求項10に記載のコーテッド布。
【請求項12】
前記コーテッド布の幅方向におけるトラペゾイド法による引裂強さが少なくとも11lbsである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項13】
前記幅方向における前記トラペゾイド法による引裂強さが少なくとも13lbsである、請求項12に記載のコーテッド布。
【請求項14】
前記幅方向における前記トラペゾイド法による引裂強さが少なくとも16lbsである、請求項13に記載のコーテッド布。
【請求項15】
前記コーテッド布の引裂縦横比が少なくとも0.77である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項16】
前記引裂縦横比が少なくとも0.81である、請求項15に記載のコーテッド布。
【請求項17】
前記引裂縦横比が少なくとも0.85である、請求項16に記載のコーテッド布。
【請求項18】
前記コーテッド布の比引裂強さが少なくとも25%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項19】
前記コーテッド布の皮膜密着性が少なくとも1.8lb/インチである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項20】
前記皮膜密着性が少なくとも2.0lb/インチである、請求項19に記載のコーテッド布。
【請求項21】
前記皮膜密着性が少なくとも2.5lb/インチである、請求項20に記載のコーテッド布。
【請求項22】
前記コーテッド布の経糸破壊強度が少なくとも270lb/インチである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項23】
前記経糸破壊強度が少なくとも290lb/インチである、請求項22に記載のコーテッド布。
【請求項24】
前記コーテッド布の緯糸破壊強度が少なくとも200lb/インチである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項25】
前記コーテッド布の強度保持率が少なくとも25%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項26】
前記強度保持率が少なくとも35%である、請求項25に記載のコーテッド布。
【請求項27】
前記コーテッド布の結合比が142.5以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項28】
前記結合比が100以下である、請求項27に記載のコーテッド布。
【請求項29】
前記コーテッド布の縦方向のGurley曲げ剛性が550以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項30】
前記縦方向の前記Gurley曲げ剛性が525以下である、請求項29に記載のコーテッド布。
【請求項31】
前記縦方向の前記Gurley曲げ剛性が500以下である、請求項30に記載のコーテッド布。
【請求項32】
前記コーテッド布の幅方向のGurley曲げ剛性が800以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項33】
前記幅方向の前記Gurley曲げ剛性が600以下である、請求項32に記載のコーテッド布。
【請求項34】
前記幅方向の前記Gurley曲げ剛性が500以下である、請求項33に記載のコーテッド布。
【請求項35】
前記コーテッド布のGurley縦横比が1.3以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項36】
前記Gurley縦横比が1.1以下である、請求項35に記載のコーテッド布。
【請求項37】
前記Gurley縦横比が1.0以下である、請求項36に記載のコーテッド布。
【請求項38】
前記コーテッド布のGurleyインデックスが少なくとも10%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項39】
前記コーテッド布の正反射率が0.5%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項40】
前記正反射率が0.2%以下である、請求項39に記載のコーテッド布。
【請求項41】
前記コーテッド布の摩擦係数が0.2以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項42】
前記パーフルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、これらの組み合わせを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項43】
前記パーフルオロポリマーがポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、請求項42に記載のコーテッド布。
【請求項44】
前記シリコーンポリマーが予備硬化シリコーンポリマー分散液由来である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項45】
前記シリコーンが縮合重合化シリコーンである、請求項44に記載のコーテッド布。
【請求項46】
前記第1の皮膜が、少なくとも0.5osyの量で適用される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項47】
前記第2の皮膜が、少なくとも1.5osyの量で適用される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項48】
前記第2の皮膜が、少なくとも1.8osyの量で適用される、請求項47に記載のコーテッド布。
【請求項49】
前記第2の皮膜が、少なくとも2.0osyの量で適用される、請求項48に記載のコーテッド布。
【請求項50】
前記コーテッド布の前記総重量が少なくとも4.0osyである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項51】
前記コーテッド布の前記総重量が少なくとも4.5osyである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項52】
前記コーテッド布の前記総重量が少なくとも6.0osyである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項53】
総重量が同一で、PTFEだけが被覆された同一の強化材で形成されるコーテッド布よりも、前記コーテッド布のほうが、吸音性が高い、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項54】
前記コーテッド布の浸透性が、ASTM D737に準じて測定した場合に0.001キュービックインチ/分以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項55】
前記コーテッド布の浸透性が、ASTM D814に準じて燃料Bへの曝露下で測定した場合に1.5mg/s*m以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項56】
強化材料と、
前記強化材料の上に設けられた皮膜であって、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとを、2重量%〜30重量%の量で含む前記皮膜と、を含むコーテッド布であって、
前記コーテッド布の浸透性が0.001キュービックインチ/分以下である、コーテッド布。
【請求項57】
前記コーテッド布が実質的に不透過性である、請求項56に記載のコーテッド布。
【請求項58】
シリコーンポリマーの前記範囲が10重量%〜25重量%である、請求項56に記載のコーテッド布。
【請求項59】
シリコーンポリマーの前記範囲が15重量%〜20重量%である、請求項58に記載のコーテッド布。
【請求項60】
前記コーテッド布の縦方向におけるトラペゾイド法による引裂強さが少なくとも13lbsである、請求項56〜59のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項61】
前記コーテッド布の皮膜密着性が少なくとも1.8lb/インチである、請求項56〜59のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項62】
前記コーテッド布の強度保持率が少なくとも25%である、請求項56〜59のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項63】
前記パーフルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、これらの組み合わせを含む、請求項56〜59のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項64】
前記パーフルオロポリマーがポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、請求項63に記載のコーテッド布。
【請求項65】
前記シリコーンポリマーが予備硬化シリコーンポリマー分散液由来である、請求項56〜59のいずれか1項に記載のコーテッド布。
【請求項66】
単層を含むシート材料であって、前記単層が、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとを含むポリマーブレンドを含み、前記ポリマーブレンドが、前記シリコーンポリマーを2重量%〜30重量%の範囲の量で含む、シート材料。
【請求項67】
コーテッド布を形成する方法であって、
布帛を分配供給し、
パーフルオロポリマーを含む第1のエマルション皮膜を前記布帛に適用し、
前記第1のエマルション皮膜を融合させて第1の層を形成し、
パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとのブレンドを2重量%〜30重量%の範囲の量で含む第2のエマルション皮膜を、前記第1のエマルション皮膜上に適用し、
前記第2のエマルション皮膜を融合させて第2の層を形成することを含む、方法。
【請求項68】
前記第2のエマルション皮膜の適用後かつ前記第2のエマルション皮膜の融合前に、前記第2のエマルション皮膜を半融合させることをさらに含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記第2のエマルション皮膜の半融合後に前記第2のエマルション皮膜をカレンダー処理することをさらに含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記第2のエマルション皮膜の半融合後に前記第2のエマルション皮膜をパーフルオロポリマーフィルムと接触させることをさらに含み、前記第2のエマルション皮膜の融合が、前記パーフルオロポリマーフィルムと接触させたまま前記第2のエマルション皮膜を融合させることを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
第3のエマルション皮膜を前記第2のエマルション皮膜の上に適用することをさらに含む、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
前記第3のエマルション皮膜がパーフルオロポリマーを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記第3のエマルション皮膜がシリコーンを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記第3のエマルション皮膜を半融合させ、
前記第3のエマルション皮膜をフィルムと接触させ、
前記第3のエマルション皮膜を前記フィルムと接触させたまま融合させることをさらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記第3のエマルション皮膜を半融合させ、
前記第3のエマルション皮膜をカレンダー処理し、
前記第3のエマルション皮膜を融合させること、をさらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項76】
前記第3のエマルション皮膜を適用することが、前記第2のエマルション皮膜を半融合状態に保ったまま前記第3のエマルション皮膜を前記第2のエマルション皮膜に適用することを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとのブレンドを含むシート材料であって、前記ブレンドが、前記シリコーンポリマーを2重量%〜30重量%の範囲の量で含み、前記シート材料のGurley縦横比が1.3以下である、シート材料。
【請求項78】
パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとのブレンドを含むシート材料であって、前記ブレンドが前記シリコーンポリマーを2重量%〜30重量%の範囲の量で含み、前記シート材料の引裂縦横比が少なくとも0.77である、シート材料。
【請求項79】
パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとのブレンドを含むシート材料であって、前記ブレンドが前記シリコーンポリマーを2重量%〜30重量%の範囲の量で含み、前記シート材料の総厚が少なくとも9ミルであり、Gurley曲げ剛性が550以下である、シート材料。
【請求項80】
各々開口を有する複数のコンジットと、
複数の開口を含むフィルムであって、少なくとも1つの開口を、複数のコンジットの少なくとも1つのコンジットの開口と整列配置させるよう移動可能な前記フィルムと、を備え、前記フィルムが、パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとのブレンドを含み、前記ブレンドが前記シリコーンポリマーを2重量%〜30重量%の範囲の量で含む、換気系。
【請求項81】
シート材料の形成方法であって、
強化材に、パーフルオロポリマーを含む第1の皮膜を被覆して第1の中間物品を形成し、
パーフルオロポリマーとシリコーンポリマーとを含み、かつ、ポリマー分散液の固体の総重量に対して前記シリコーンポリマーを2重量%〜30重量%の範囲の量で含む前記ポリマー分散液を含む第2の皮膜を、前記第1の中間物品に被覆して、第2の中間物品を形成し、
前記第2の中間物品を焼結させることを含む、方法。
【請求項82】
前記第1の中間物品に前記第2の皮膜を被覆することが、前記第1の中間物品に少なくとも2.0osyの前記第2の皮膜を単一ステップで被覆することを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記第1の中間物品に前記第2の皮膜を被覆することが、前記第1の中間物品に少なくとも2.4osyの前記第2の皮膜を単一ステップで被覆することを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
シート材料の形成方法であって、
パーフルオロポリマーと、ポリマー分散液の固体含有量の2重量%〜30重量%を占めるシリコーンポリマーとを含む少なくとも2.0osyの前記分散液をキャリアに被覆し、
前記ポリマー分散液を乾燥させ、
前記乾燥ポリマー分散液を焼結させることを含む、方法。
【請求項85】
前記キャリアが、前記シート材料に取り込まれるキャリアウェブ強化材を形成する、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記キャリアが繊維性強化材料を含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記キャリアが、パーフルオロポリマーが被覆された繊維性強化材料を含む、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記キャリアが、前記皮膜から分離可能な支持体であり、前記方法が、前記皮膜を前記キャリアから剥離させることをさらに含む、請求項84に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−511454(P2012−511454A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540985(P2011−540985)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/068730
【国際公開番号】WO2010/075210
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(500149223)サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション (64)
【Fターム(参考)】