変性澱粉の製造方法

【課題】変性処理が簡単である上に、良好な弾力補強効果を有し、かつ水伸ばしや耐老化性にも優れ、練製品に好適な変性澱粉の製造方法を提供すること。
【解決手段】 変性澱粉の製造方法。乾量基準で原料澱粉に対して特定量のリン酸塩を含有する粉状の澱粉組成物原料を、徐昇温加熱処理する第一工程と定温加熱処理する第二工程を連続的に行うことによりエステル化変性を行なう。第一工程の昇温開始温度は、常温から原料澱粉の糊化開始温度以下とし、かつ、昇温速度を0.2〜1℃/minとして、昇温最終温度を120〜180℃までとする。定温処理は、通常、昇温最終温度で行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル強度が高く、耐老化性などに優れており、水産・畜産練製品に好適な変性澱粉の製造方法に関する。
【0002】
本願明細書および特許請求の範囲において、配合単位を示す「部」および「%」は、特に断らない限り、質量単位である。
【0003】
同じく、澱粉原料、澱粉組成物原料等の「水分」は、「湿量基準含水率」を意味する。
【背景技術】
【0004】
従来、かまぼこ、ちくわ、揚げ蒲鉾などの水産練製品には、通常単なる増量剤としてだけでなく、水産練製品独特の歯切れの良い弾力に富んだ食感、いわゆる“あし”を向上させるために、澱粉が使用されており、またミートボールやハンバーグなどの畜産練製品においては、肉のつなぎに澱粉を配合し、製品の弾力性や結着性を高めることが行われている。
【0005】
このような練製品用澱粉としては、これまで、主として馬鈴薯澱粉と小麦澱粉が使用されている。しかしながら、前者の馬鈴薯澱粉は、水伸ばしが良く、弾力補強効果が高いという長所を有しているが、時間の経過とともに製品が硬くなりやすい上に、製品表面に水が遊離してくる現象、すなわち、老化現象の進行が速いという欠点を有している。これに対し、小麦澱粉は、未変性澱粉としては耐老化性に優れているが、水伸ばしや弾力補強効果に劣るという欠点がある。
【0006】
一方、澱粉の一種類として、コーンスターチは広く知られており、安価でしかも安定した品質を有しているにもかかわらず、前記の練製品に用いた場合には、十分に膨潤せず、このため他の澱粉に比べて弾力補強効果や耐老化性に劣るので、用途の限定を免れず、限られた練製品分野にしか使用できないという致命的な欠陥を有していた。
【0007】
このように、練製品に用いられている未変性澱粉は、弾力補強効果や水伸ばしが良ければ耐老化性に劣るとか、あるいは耐老化性に優れていれば、弾力補強効果や水伸ばしが劣るというように一長一短を有している。特に、コーンスターチの場合、前記の理由で通常の練製品に対して使用することができず、ごく限られた練製品分野にしか使用できないなど、種々の問題を有している。
【0008】
また、麺などにも弾力補強、食感の改良の目的で澱粉が使用されているが、弾力補強効果に劣るという欠点がある。
【0009】
このため、未変性澱粉に対して、高度の化学処理を施してその物性を改良し、この変性澱粉を練製品に用いることがこれまで種々試みられており、例えば変性澱粉として、オキシアルキルエーテル化澱粉(特許文献1)、油脂加工澱粉(特許文献2・3・4)、あるいは、置換度0.005〜0.3の澱粉リン酸エステルや澱粉オクテニルコハク酸ナトリウムや澱粉オクテニルコハク酸アンモニウム(特許文献5)などを使用する方法、リン酸エステル化度が0.001以上0.005未満の範囲になるように変性したことを特徴とする水産及び畜産練製品用澱粉(特許文献6)などが提案されている。
【0010】
しかしながら、これらの変性澱粉は練製品用として、耐老化性、水伸ばし及び弾力補強効果のすべてを必ずしも十分に満足しうるものとはいえず、また、その変性(加工)処理に手間がかかり、経済的にも不利である、などの問題を有している。
【0011】
なお、本発明の特許性に影響を与えるものではないが、本発明と同様に、練製品における品質改良の目的で、湿式処理タピオカ澱粉を含有する「水産練り製品」が特許文献7において、また、リン酸架橋澱粉を含有させた「ちくわぶ用穀粉組成物」が特許文献8において、それぞれ提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特公昭45−31347号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特公昭45−32898号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献3】同56−1920号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献4】同56−46387号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献5】同61−36897号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献6】特開昭63−221103号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献7】特開2010−227084号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献8】特開2010−252716号公報(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、このような問題を解決し、変性処理が簡単である上に、良好な弾力補強効果を有し、かつ水伸ばしや耐老化性にも優れた変性澱粉の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、このような優れた特徴を有する変性澱粉を製造するために鋭意研究を重ねた結果、澱粉に各種リン酸塩を所定量含有させた粉状の澱粉組成物原料を、澱粉糊化開始温度以下から徐昇温加熱処理後、徐昇温加熱処理の最終温度で所定時間定温加熱処理して得た変性澱粉(化工澱粉)が、前記目的に適合しうることを知見して、本発明を完成するに至った。
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
なお、原料澱粉、リン酸塩、pH及び水分等により反応速度・反応機構が異なる。したがって、以下の説明における本発明の製造方法に係る数値的条件範囲は、実施可能な一応の基準を、発明明りょう化のために示したものに過ぎない。
【0017】
本発明の原料として用いられる澱粉としては、例えば、コーンスターチ(CS)、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、馬鈴薯澱粉などが挙げられ、これらの澱粉は1種用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうちで、従来、練製品には前記致命的欠陥を有し使用が困難視されていたCSを原料にすることが望ましい。
【0018】
本発明で使用可能なリン酸塩としては、オルトリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩など、例えばリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウムなどのリン酸塩が挙げられ、これらリン酸塩は1種用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
このリン酸塩の澱粉組成物原料における含有量は、澱粉の種類およびリン酸塩の種類により若干変動するが、乾量基準で澱粉100部に対して、通常、0.1〜8部、望ましくは0.3〜5部、更に望ましくは0.5〜3.5部とする。
【0020】
ここで、リン酸塩の含有量は過少では、本発明の目的であるゲル強度が不足しやすくて、水産練製品に使用した場合の弾力補強効果や水伸ばし、耐老化性が十分に改善され難い。他方、過多になると変性澱粉の色調が茶色味を帯びるようになったり、この変性澱粉を練製品に使用した場合に、製品の切断面に糸を引くようなねばりが生じたり、あるいは練製品独特の歯切れの良い食感をむしろ失ったりする傾向が現われやすくなる。
【0021】
このリン酸塩の添加方法は湿式法、すなわち、原料澱粉を水でスラリー状にしてからリン酸塩を添加混合する方法や;乾式法、すなわち、原料澱粉にリン酸塩溶液を散布混合する方法のいずれも用いられる。
【0022】
このとき、リン酸塩添加後における澱粉のpH値は、用いられる原料澱粉の種類、品質あるいはリン酸塩の種類などに応じて調整することが必要であり、通常pH6〜9の範囲、望ましくは7.5〜8.5の範囲とする。pH値が原料澱粉やリン酸塩の種類に対応していないときは、適宜、汎用のpH調整剤で調整する。
【0023】
次いで、こうして得たリン酸添加澱粉(澱粉組成物原料)が、湿式法の場合、スラリー状や水分過多であるため、通常、加熱乾燥して粉末状の澱粉組成物原料とする。この澱粉組成物原料の水分は、通常10〜25%、望ましくは15〜22%とする。なお、乾式法の場合は、通常、適度な水分を有する粉末状として得られるため、原則的に、加熱乾燥は不要である。
【0024】
なお、この澱粉組成物原料には、リン酸塩と同時添加、又は別時添加して、糖アルコールを、適宜含有させることが望ましい。100℃以上の高温加熱処理を経て得た変性澱粉の着色が少なくなり、白度を向上させることができることを確認している(表2)。
【0025】
糖アルコールの含有量は、要求白度により異なるが、乾量基準で澱粉100部に対して、通常0.01〜5部、望ましくは0.05〜2部、更に望ましくは0.1〜1部とする。
【0026】
糖アルコールの含有量が過少では、白度向上効果を得難い。他方、過多では、練製品に使用するとき、練製品の風味・物性に影響を与えるおそれがあり、本発明の変性澱粉の用途が限定されるおそれがある。
【0027】
糖アルコールとしては、澱粉加水分解物を水素添加したもの、すなわち、水素添加水あめ、マルチトール、ソルビトールなどやキシリトール、マンニットなどが挙げられる。これらは1種を用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
次いで、こうして調製した澱粉組成物原料を、下記徐昇温加熱処理(第一工程)および定温加熱処理(第二工程)を経て変性する。
【0029】
<徐昇温加熱処理(第一工程)>
昇温開始温度、昇温速度および最終温度は下記の如く設定する。
【0030】
昇温開始温度は、常温から原料澱粉の糊化開始温度以下の範囲から、望ましくは、40℃〜(糊化開始温度−5℃)、更に望ましくは通常45℃〜(糊化開始温度−15℃)の範囲から、適宜、選定する。昇温開始温度が低すぎると、昇温加熱処理時間が掛かりすぎて、生産性に劣る。他方、糊化開始温度より高い温度を昇温開始温度とすると、糊化するおそれがある。糊化開始温度は、例えば、CSの場合、66.8℃、馬鈴薯の場合61.0℃である(二國二郎監「澱粉科学ハンドブック」(1977)朝倉書店、p36、「表3.5各種澱粉の糊化温度」から引用)。
【0031】
昇温速度は、0.2〜1℃/min、望ましくは0.4〜0.8℃/minとする。ここで昇温速度が遅すぎると、所定の昇温最終温度に達するのに時間が掛かり、変性澱粉の生産性に劣る。他方、昇温速度が速すぎると、急激な加熱により原料澱粉が糊化するおそれがある。
【0032】
最終温度は、通常120〜180℃、望ましくは130〜150℃の範囲から適宜設定する。昇温最終温度が低すぎると、充分にエステル化反応(実質的にモノエステル化)が進行し難く、置換度(変性度)の高いもの(置換度0.2近く)を得難い。
【0033】
<定温加熱処理(第二工程)>
そして、上記昇温最終温度±10℃、望ましくは、上記昇温最終温度±5℃の範囲で、0.5〜10h、望ましくは1〜5h保持して、定温加熱処理をする。この定温加熱処理により、リン酸エステル化反応(主としてモノエステル化)が完了する。
【0034】
なお、生産性、着色防止等の見地から、徐昇温加熱処理(第一工程)と定温加熱処理(第二工程)との合計加熱処理時間が、2〜15h、更には、3〜8hに収まるように昇温開始温度および最終温度を設定することが望ましい。
【0035】
そして、こうして製造した本発明の変性澱粉(モノリン酸澱粉が殆ど)混合物が下記アミログラム特性を有することが望ましい。
【0036】
糊化粘度特性が澱粉濃度8%(乾量基準)で測定したアミログラムにおいて、(1)アミロ粘度が20BUを示すときの温度が66〜72℃の範囲、(2)75℃の温度におけるアミロ粘度が600BU以上の範囲、(3)アミロ最高粘度が800BU以上の範囲、(4)アミロ最高粘度を示すときの温度が70〜85℃の範囲にあるものが好適である。
【0037】
ここで、(1)における温度が低すぎ、かつ、(4)における温度が低すぎると、耐老化性は改善されて実用的であるものの、弾力補強効果を得難い。他方、(1)における温度が高すぎ、(2)におけるアミロ粘度が低すぎ、(3)におけるアミロ最高粘度が低すぎ、かつ (4)における温度が高すぎると、弾力補強効果、水伸ばし、および耐老化性とともに、上記範囲内のものに比して改良程度が低い。
【0038】
なお、該アミログラムは、ブラベンダー社製アミログラフを用い、昇温速度1.5℃/分、回転速度75rpm、1000ブラベンダーユニツト(BU)=700cm・gの条件で測定を行うものをいう。
【0039】
本発明によると、これまで安価で品質的に安定しているにもかかわらず、使用困難であったCSも練製品用澱粉として使用することができる。
【0040】
また、本発明の方法で製造した変性澱粉は、水産及び畜産練製品用澱粉として好適に使用できる。
【0041】
この際、当該変性澱粉は、単独使用してもよいが、未加工(未変性)澱粉ないし軽度変性澱粉と併用しても、十分に本発明の作用・効果を発揮することが期待できる。
【0042】
上記未変性澱粉ないし軽度変性澱粉としては、特に限定されず、CS、ワキシーCS、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、などの未変性澱粉ないし軽度変性澱粉を使用できる。
【発明の効果】
【0043】
本発明の変性澱粉の製造方法は、澱粉を弾力補強効果が良好である上に、水伸ばしや耐老化性にも優れた商品価値の高いものに変性できる方法であり、畜産練製品、麺などに使用するのに適した変性澱粉の製造方法である。また本発明の変性澱粉の製造方法は、原料として安価で品質的に安定しているにもかかわらず練製品用として使用が困難であつた、CSも馬鈴薯澱粉の代わりとして使用することができるというメリツトを有している。
【実施例】
【0044】
以下、本発明の効果を確認するために行なった実施例および応用例について説明する。
【0045】
A.変性澱粉の調製:
各実施例の変性澱粉は、それぞれ、下記の如く調製した。なお、スラリーpH、澱粉組成物原料の組成・水分を纏めたものを表1に、加熱処理条件を纏めたものを表2にそれぞれ示す。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
<実施例1>
水分13.0%のコーンスターチ1000部を水1200部中にかきまぜながら分散させたのち、これにトリポリリン酸Na70部を添加溶解して澱粉スラリーを調製し、更に、塩基性pH調整剤でpH7.9に調整した。
【0049】
次に、この澱粉スラリーを脱水し水分35%とし、さらに50℃で乾燥し水分19%の乾燥物(澱粉組成物原料)を得た。この澱粉組成物原料に含まれるポリリン酸Naは、乾量基準で澱粉100部に対し2.7部であった。
【0050】
次いで、この澱粉組成物原料を、55℃に保たれた熱風循環乾燥機中に入れ、昇温開始温度を55℃として3hかけて昇温最終温度145℃まで昇温させて(平均昇温速度0.5℃/min)、徐昇温加熱処理(第一工程)に続いて、昇温最終温度145℃で2時間保持して定温加熱処理をした。得られた変性澱粉は白度計により白度を測定したところ81であった。
【0051】
<実施例2>
実施例1において、トリポリリン酸ナトリウムの添加量を75質量部として添加溶解した以外は同様にして、澱粉スラリーを調製した。該澱粉スラリーは、pH8.2であり、pH調整は行なわなかった。
【0052】
次に、この澱粉スラリーを、実施例1と同様に、脱水して水分35%とし、更に、乾燥して水分19%の乾燥物(澱粉組成物原料)を得た。この澱粉組成物原料に含まれるポリリン酸Naは乾量基準で澱粉100部に対し3.0部であった。
【0053】
次いで、この澱粉組成物原料を、50℃に保たれた熱風循環乾燥機中に入れ、昇温開始温度を50℃とし、昇温最終温度140℃まで2.5hかけて昇温させて(平均昇温速度0.6℃/min)、昇温加熱処理を行った。続いて、昇温最終温度140℃を2h保持して、定温加熱処理をした。得られた変性澱粉の白度は82であった。
【0054】
<実施例3>
実施例2において、トリポリリン酸Na75部に加えてマルチトール添加量を5部とした以外は同様にして、pH8.2の澱粉スラリーを調製した。
【0055】
次に、この澱粉スラリーを、実施例1と同様に、脱水して水分35%とし、更に、乾燥して水分19%の乾燥物(澱粉組成物原料)を得た。この澱粉組成物原料に含まれる、ポリリン酸Naおよびマルチトールの含有量は、乾量基準で澱粉100部に対し各々3.0部および0.2部であった。
【0056】
次いで、この澱粉組成物原料を、50℃に保たれた熱風循環乾燥機中に入れ、実施例2と同一条件で、徐昇温加熱処理および定温加熱処理をした。得られた変性澱粉の白度は89であった。
【0057】
<実施例4>
実施例3において、トリポリリン酸Na添加量を25部、マルチトール添加量を15部とした以外は、同様にして、pH8.2の澱粉スラリーを調製した。
【0058】
次に、この澱粉スラリーを、実施例1と同様に、脱水して水分35%とし、更に、乾燥して水分15%の粉状乾燥物(澱粉組成物原料)を得た。当該澱粉組成物原料に含まれるポリリン酸Naおよびマルチトールは、乾量基準で澱粉100部に対し1.0部および0.6部であった。
【0059】
次いで、この澱粉組成物原料を、50℃に保たれた熱風循環乾燥機中に入れ、実施例2と同一条件で、徐昇温加熱処理および定温加熱処理をした。得られた変性澱粉の白度は90であった。
【0060】
なお、上記pH値は、:「pHメータF52」(堀場製作所社製)を用いて測定し、白度は、「白度計NW」(日本電色社製)を用いて測定したものである。
【0061】
<アミログラム試験>
そして、上記で得た各実施例の変性CSについて、澱粉濃度8%(乾量基準)で、前述の条件でブラベンダー社製アミログラフを用いてアミログラムを測定したので、その結果を、表3に示す。
【表3】

【0062】
B.応用実施例(練製品の調製)
本発明の効果を確認するために行なった、上記で調製した各実施例の変性澱粉を使用して製造した練製品(応用実施例)について説明する。
【0063】
<応用実施例1〜4>
スケトウタラ冷凍すり身A級100部を解凍後、擂潰機を用いて荒摺を5分間行い、次いで食塩3部を添加して塩摺を15分間行った。さらにグルタミン酸ナトリウム1部、砂糖3部、ミリン3部、氷水40部及び各実施例で得た変性CS10部を添加し、混合を10分間行ったのち、サランケーシングチユーブに充填し、両端を結束した。この充填物を90℃にて40分間湯煮後、冷却してケーシングかまぼこを得た。
【0064】
<練製品物性試験>
こうして製造した実施例1〜4に対応する各応用実施例(練製品)1〜4の物性を、次のようにして求めた。
【0065】
(1) 押込み強度:
直径3cmのケーシングかまぼこを厚さ3cmの円柱状に切り、この試料をレオメーター〔(株)サン科学製〕を用いて直径5.0mmのプランジヤーにて6cm/分の速度で荷重をかけ、押込み強度及び凹みの大きさを測定した。
【0066】
(2)ゼリー強度:
次の式によりゼリー強度を求めた。
ゼリー強度=押込み強度×凹みの大きさ
【0067】
(3)安定性:
5℃にて貯蔵した各応用実施例(練製品)の試料について、1日後のゼリー強度を1.00として7日後及び14日後のゼリー強度の変化率を安定性とした。
【0068】
なお、応用対照例は、本発明の応用実施例1において変性澱粉に代えて未変性CSを用いた以外は、同様にして、ケーシングかまぼこを調製した。
【0069】
これらのかまぼこの経時による物性変化を求めた。
【0070】
その結果を示す表4から、各実施例の変性CSを用いた場合、押込み強度並びに凹みの大きさが大きいこと、すなわち弾力補強効果が高いことが認められた。また安定性が高く耐老化性に優れていることが認められた。
【0071】
なお、特許文献5において、解凍したスケトウタラ冷凍に同一比で従来のリン酸モノエステルCSを配合し、本発明の応用実施例と同様の処方で調製した実施例1のケーシングかまぼこの10日後のゼリー安定性が、1.14(12.0/10.5)と記載されている(第2表)。即ち、本発明の実施例1の変性澱粉を用いた14日後のゼリー安定性(1.08)が優れていることが伺える。
【0072】
【表4】

【0073】
また、7日後のかまぼこの官能試験を実施した。その評価方法は応用対照例の評価を3点とし、非常に良いものは5点、良いものは4点、同等のものは3点、悪いものは2点、非常に悪いものは1点の5段階評価にて、パネル20名にて評価しその平均点で表わした。それらの結果を表5に示す。
【0074】
これらの結果より、本発明の各実施例の変性CSを用いたかまぼこは、未変性CSを用いたものに比べて、明らかに弾力及び歯切れの良さにおいて優れていることが確認できた
なお、ここでは、水産練製品を例にとったが、畜産練製品でも同様の結果が得られるものと考えられる。
【0075】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾量基準で原料澱粉100部に対してリン酸塩を0.1〜8部含有する粉状の澱粉組成物原料を、
開始温度を常温から原料澱粉の糊化開始温度以下とし、かつ、昇温速度を0.2〜1℃/minとして、最終温度120〜180℃まで徐昇温加熱処理する第一工程、
該第一工程に連続して、前記徐昇温加熱処理における最終温度±10℃以内に1〜10h保持して、定温加熱処理する第二工程、
を経て変性澱粉を製造することを特徴とする変性澱粉の製造方法。
【請求項2】
前記澱粉組成物原料が、乾量基準で前記原料澱粉100部に、更に糖アルコールを0.01〜5部含有することを特徴とする請求項1記載の変性澱粉の製造方法。
【請求項3】
前記原料澱粉をコーンスターチとすることを特徴とする請求項1又は2記載の変性澱粉の製造方法。
【請求項4】
前記澱粉組成物原料の水分が10〜25%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一記載の変性澱粉の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一記載の方法で製造した変性澱粉を含有させてなることを特徴とする練製品。

【公開番号】特開2012−246374(P2012−246374A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118117(P2011−118117)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(391026210)日本コーンスターチ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】