説明

変性ZnOナノ粒子

変性酸化亜鉛ナノ粒子を製造する方法であって、反応が溶剤および水の全体量に対して水5質量%未満の含量の際に行なわれるという条件で、溶剤中に溶解された酸化亜鉛ナノ粒子を、アンモニアまたはアミンの存在下でテトラアルキル−オルトケイ酸塩および場合によりオルガノシランと反応させることを特徴とする、変性ZnOナノ粒子を製造する上記方法。前記製造方法によって得られた、Si−O−アルキル基を有しかつ有機溶剤中で可溶性である変性酸化亜鉛ナノ粒子。変性ZnOナノ粒子を含有する液状または固体の配合物。変性ZnOナノ粒子を含有する、無生命の有機材料、例えばプラスチックまたは塗料。無生命の有機材料を光、ラジカルまたは熱の作用に抗して安定化するための方法、その際、この材料には、場合により他の添加剤としてUV吸収剤および/または安定剤を含有する変性ZnOナノ粒子が添加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性酸化亜鉛ナノ粒子の製造法に関する。更に、本発明の対象は、変性酸化亜鉛ナノ粒子である。同様に、本発明の対象は、プラスチックの仕上げ加工においても、殊にUV吸収剤として変性酸化亜鉛ナノ粒子を使用することである。更に、本発明の対象は、前記方法により製造された変性酸化亜鉛ナノ粒子または変性酸化亜鉛ナノ粒子を含有する材料、および変性酸化亜鉛ナノ粒子の添加によって材料を安定化する方法である。
【0002】
更に、本発明の実施態様は、特許請求の範囲、明細書および実施例から確認することができる。前記した、次になお説明することができる、本発明の対象の特徴は、それぞれ具体的に記載された組合せで使用可能であるだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく別の組合せでも使用可能である。全ての特徴が好ましい意味または特に好ましい意味を有する、本発明の実施態様は、有利であるかまたは特に有利である。
【0003】
UV線からの保護のために金属酸化物、例えば二酸化チタン(TiO2)または酸化亜鉛(ZnO)を使用することは、公知技術水準から既に久しく公知である。有機UV吸収剤と比較して、公知技術水準に記載されたような無機UV吸収剤は、種々の好ましい技術的特徴、例えば高められた移行安定性、高い熱安定性または光作用による分解に対する安定性を有する。しかし、金属酸化物を包囲するマトリックス、例えばポリマーマトリックスの分解を促進するという、金属酸化物の光触媒作用による金属酸化物の性質は、しばしば不利である。この場合、対応策として、例えば酸化珪素または酸化アルミニウムを含有する非晶質層を提供することができ、この非晶質層は、UV吸収性金属酸化物粒子上に施される。
【0004】
WO 90/06874A1には、ZnOと例えばSiO2およびAl23から形成された塗膜とからなる粒子を含有する、UV吸収性の化学的に不活性の組成物が記載されている。この粒子は、水性スラリー中で製造される。
【0005】
WO 93/22386A1には、非晶質シリカ(SiO2)から形成された緻密な塗膜によって包囲された粒子を製造する方法が記載されている。この場合には、水溶液中で懸濁された粒子は、アルカリ金属珪酸塩と7〜11のpHで反応される。
【0006】
欧州特許出願公開第0998853号明細書A1には、0.1〜100nmの緻密なシリカ塗膜で包囲された金属酸化物粉末が記載されている。シリカが塗布された金属酸化物粉末は、水溶液中で珪酸を用いて製造される。シリカが塗布されたTiO2粒子は、欧州特許出願公開第0998853号明細書A1の記載によれば、減少された光触媒活性を有する。欧州特許出願公開第1167462号明細書A1には、シリカ塗膜を有する金属酸化物粉末が記載されており、この金属酸化物粉末は、さらになお疎水化剤で処理される。シリカ塗膜は、テトラアルコキシシランにより水溶液中で形成される。疎水化剤としてアルキルアルコキシシランが使用される。
【0007】
欧州特許出願公開第1284277号明細書A1には、二酸化珪素が塗布された金属酸化物粒子およびその製造方法が記載されている。更に、欧州特許出願公開第1284277号明細書A1には、日焼け止め組成物中での前記粒子の使用が記載されており、この場合塗布された金属酸化物粉末は、塗膜なしの金属酸化物粉末と比較して減少された光触媒活性を有する。
【0008】
H.Wang,他(Chemistry Letters,2002,630−631)は、2工程の手段によりシリカが塗布されたZnOナノ粒子を記述している。最初に、テトラエトキシシラン、エタノールおよびアンモニア水溶液からなる混合物が製造される。その後に、この溶液には、ZnOナノ粒子が添加される。約20nmのシリカ塗膜を備えたZnO粒子は、減少された光触媒活性を示す。
【0009】
WO 03/104319A1には、シリカ塗膜を有するZnO微細粒子を含有する粉末ならびに係る粒子を含有する熱可塑性樹脂が記載されている。塗布されたZnO粒子は、WO 03/104319A1の記載によれば、減少された光触媒活性ならびに亜鉛イオンの減少された逃出を有する。
【0010】
WO 2007/134712A1の記載によれば、ナノ粒子は、前駆体とシロキシ化合物との反応によって得られる。このナノ粒子は、特にSiO2塗膜および/または有機官能性シランを含めてさらなる官能化を有する。シリカが塗布されたZnO粒子は、WO 2007/134712A1の記載によれば、減少された光触媒活性を有する。
【0011】
一般的に、シリカで変性された、上記の酸化物粒子は、水溶液中で製造される。この方法で製造された変性酸化亜鉛粒子は、一般的に数多くの有機溶剤中または疎水性ポリマー中で不満足な溶解性を有する。更に、公知技術水準と比較してなおさらに減少された光触媒活性を有する、変性ZnOナノ粒子に対する要求が課された。
【0012】
従って、本発明は、有機溶剤中および疎水性ポリマー中で良好に溶解性である変性酸化亜鉛粒子を提供するという課題に基づくものである。更に、本発明の課題は、減少された光触媒活性を有する変性酸化亜鉛粒子を提供することであった。
【0013】
この課題および別の課題は、本発明の開示内容から明らかなように、本発明による方法および酸化亜鉛ナノ粒子(ZnOナノ粒子)の種々の実施態様によって解決され、この実施態様は、以下に記載される。
【0014】
意外なことに、この課題は、反応が溶剤および水の全体量に対して水5質量%未満の含量の際に行なわれるという条件で、
a.溶剤中に溶解された酸化亜鉛ナノ粒子を、アンモニアまたはアミンの存在下で
b.テトラアルキル−オルトケイ酸塩および
c.場合によりオルガノシランと反応させることにより、変性ZnOナノ粒子を製造する方法によって解決されることが見い出された。
【0015】
a−Cbの形の表現は、本発明の範囲内で一定数の炭素原子を有する化合物または置換基に帰因する。炭素原子の数は、aおよびbを含めてa〜bの全体範囲から選択されてよく、aは、少なくとも1であり、bは、aより大きい。更に、化合物または置換基は、Ca−Cb−Vの形の表現によって規定される。この場合、Vは、化合物種または置換基種、例えばアルキル化合物またはアルキル置換基を表わす。
【0016】
詳細には、種々の置換基に対して記載された全体的な概念は、次の意味を有する:
1〜C20アルキル:20個までの炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の炭化水素基、例えばC1〜C10アルキルまたはC11〜C20アルキル、有利にC1〜C10アルキル、例えばC1〜C3アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはC4〜C6アルキル、n−ブチル、第二ブチル、第三ブチル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、2−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、またはC7〜C10アルキル、例えばヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニルまたはデシルならびにこれらの異性体。
アリール:6〜14個の炭素環員を含有する単核ないし三核の芳香族環系、例えばフェニル、ナフチルまたはアントラセニル、有利に単核ないし二核、特に有利に単核の芳香族環系。
【0017】
1〜C20アルコキシは、酸素原子(−O−)を介して結合した、1〜20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基(前記したような)、例えばC1〜C10アルコキシまたはC11〜C20アルコキシ、有利にC1〜C10アルキルオキシ、殊に有利にC1〜C3アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ。
【0018】
"ナノ粒子"は、本発明の範囲内で1nm〜500nmの粒度を有する粒子である。
【0019】
ナノ粒子の粒度、また殊にナノ粒子状の変性ZnOを測定するために、当業者には、一連の種々の方法が提供され、これらの方法は、粒子の組成に依存し、および粒度に関連して部分的に互いにずれた結果を生じうる。例えば、粒度は、透過電子顕微鏡(TEM)、動的光散乱(DLS)またはUV吸収波長の測定により測定されてよい。粒度は、本発明の範囲内で可能な場合にはTEMにより測定され、または他の選択可能な方法によれば、DLSを測定することによって測定される。ナノ粒子の理想的な球状の形状の場合には、粒度は、粒径に相当するであろう。勿論、最初に生じた一次粒子の場合によりナノ粒子の近位の結果として形成される凝集塊(二次粒子)は、500nmを上廻ってもよい。一次粒子および二次粒子は、異なる形、例えば球状の形、針状の形または不規則な形を有することができる。
【0020】
"酸化亜鉛ナノ粒子"または"ZnOナノ粒子"の概念は、本質的に酸化亜鉛からなる粒子に関連し、この場合この粒子は、当業者に公知技術水準から公知であるように、それぞれの環境条件に依存して粒子の表面上に或る程度の水酸化物濃度を有することができる(学位論文、B.Rohe,"Charakterisierung und Applikation von unbeschichteten,silan−beschichteten und UV−modifizierten Nano−Zinkoxiden",Universitaet Duisburg−Essen,2005,第49、90頁,Synthese)。従って、ときどきZnOナノ粒子は、ZnO/水酸化亜鉛/酸化亜鉛水和物粒子である。更に、例えば製造に依存して、亜鉛塩の陰イオン、例えばZn(OAc)2またはZn(OAc)2二水和物を使用する際の酢酸塩基は、ZnO表面上に存在していてよい(Sakohara et al.,J.Chem.Eng.Jap.2001,34,15−21;Anderson et al.,J.Phys.Chem.B 1998,102,10169−10175,Sun et al.,J.Sol−Gel Sei.Technol.2007,43,237−243参照)。好ましくは、ZnOナノ粒子は、一次粒子として500nm未満、特に有利に200nm未満、殊に10〜100nmの粒径を有する。ZnOナノ粒子は、凝集塊として存在してもよい。この二次粒子は、一般的に50nm〜1000μm、有利に80nm〜500μm、殊に100〜1000nmの粒径を有する。
【0021】
"変性酸化亜鉛ナノ粒子"の概念は、珪素および酸素を含有する塗膜、例えば珪酸塩を含有する塗膜と相互作用するZnOナノ粒子を示す。この場合、相互作用の種類は、原則的に任意である。しかし、好ましくは、相互作用は、ZnOナノ粒子に対する塗膜成分の化学結合を介して生じる。更に、この相互作用は、イオンの相互作用(クーロン相互作用)、水素架橋による相互作用および/または双極子/双極子の相互作用でもある。勿論、相互作用は、上記方法の組合せであってもよい。好ましくは、変性ZnOナノ粒子は、500nm未満の粒径、特に有利に200nm未満の粒径を有し、殊に、変性ZnOナノ粒子の粒径は、10〜100nmである。
【0022】
"溶剤"の概念は、本発明の範囲内で希釈剤の代表例としても使用される。溶剤中に溶解された化合物は、溶剤中に分子状で溶解された形、懸濁された形、分散された形または乳化された形であるか、または溶剤との接触状態で存在する。勿論、溶剤は、溶剤の混合物でもよい。
【0023】
溶剤中に"溶解された"(変性)ZnOナノ粒子は、本発明の範囲内で溶剤中に懸濁されたかまたは分散された粒子である。
【0024】
変性ZnOナノ粒子の"液状の配合物"は、変性ZnOナノ粒子の溶液、分散液または懸濁液である。
【0025】
変性ZnOナノ粒子の"固体の配合物"は、変性ZnOナノ粒子、例えば変性ZnOナノ粒子の分散液をポリマーマトリックス中、例えばポリマー、オリゴマーオレフィン、ワックス、例えばLuwax(登録商標)中またはマスターバッチ中に有する固体相混合物である。
【0026】
酸化亜鉛ナノ粒子は、商業的に入手可能であるか、または当業者に公知の方法、例えばいわゆる乾式法または湿式法によって製造されてよい。乾式法は、金属亜鉛の燃焼を含む。微粒状の酸化亜鉛は、特に湿式化学的に沈殿法によって製造される。
【0027】
酸化亜鉛ナノ粒子は、本発明による方法の工程a.において使用され、および溶剤中に存在する。好ましくは、これは、溶剤流の酸化亜鉛ナノ粒子の分散液または懸濁液である。殊に有利には、酸化亜鉛ナノ粒子は、溶剤中に懸濁されて存在する。酸化亜鉛ナノ粒子は、インサイチュー(in−situ)で工程a.において溶剤中で製造されてもよい。 酸化亜鉛ナノ粒子の溶液は、液体中の酸化亜鉛粒子の溶液、分散液または懸濁液を製造するための当業者に公知の方法により製造される。
【0028】
工程a.の溶液中の酸化亜鉛ナノ粒子の含量は、例えば分散液または懸濁液の安定性に依存して幅広い範囲内で変動することができる。一般的に、溶剤の量に対して酸化亜鉛ナノ粒子0.1〜50質量%が使用される。好ましくは、溶剤の量に対して酸化亜鉛ナノ粒子1〜30質量%、殊に酸化亜鉛ナノ粒子10〜30質量%である。
【0029】
溶剤として、有利に極性溶剤またはその混合物が使用される。極性溶剤として、本発明による方法の範囲内で10を上廻る、有利に15を上廻る誘電率を有する全ての溶剤が適している。極性溶剤として、好ましくはアルコール、エーテル、アミド、アミンが使用される。アミンは、本発明による方法の工程a.におけるアミンと同一でも異なっていてもよい。特に好ましくは、溶剤としてメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、THF、DMF、ピリジンまたはエタノールアミンが使用される。殊に、極性溶剤としてメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールがこれに該当する。
【0030】
溶剤中の水の含量は、反応の際に本発明による方法の範囲内で、溶剤および水の全体量に対して水5質量%未満である。好ましくは、溶剤は、水2質量%未満、特に有利に水1質量%未満を含有する。殊に、水0.5質量%未満、殊に水0.2質量%未満の場合には、本質的に無水で作業される。
【0031】
本発明による方法の工程a.において使用されるアミンは、有利に第1アミンである。好ましくは、第1アミンとして、アミノアルコール、例えばエタノールアミン、プロパノールアミン、エーテル含有アミン、例えば2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、ポリエチレングリコールアミン、C1〜C20アルキルアミン、例えばメチルアミン、ブチルアミンまたはオクタデシルアミンが使用される。殊に好ましいのは、エタノールアミン、メチルアミンまたはブチルアミンである。
【0032】
好ましくは、工程a.においてアンモニアが使用される。
【0033】
工程a.の溶液中のアンモニアまたはアミンの含量は、例えばアンモニアまたはアミンの溶解性に依存して、幅広い範囲内で変動することができる。一般的にZnOに対してアンモニアまたはアミン0.01〜10モル当量が使用される。好ましくは、ZnOに対してアンモニアまたはアミン0.1〜3モル当量、殊にアンモニアまたはアミン0.2〜2モル当量である。
【0034】
本発明による方法の1つの好ましい実施態様において、工程a.の溶液の製造のために、酸化亜鉛ナノ粒子は、最初に溶剤中に溶解され、次にこの溶液には、ガスとしてのアンモニアまたはアミンが供給される。他の選択可能な方法によれば、酸化亜鉛ナノ粒子は、既にアンモニアまたはアミンが導入された溶剤中に溶解されてよい。更に、酸化亜鉛ナノ粒子およびガス状のアンモニアまたはアミンを同時に溶剤中に導入することも可能である。
【0035】
本発明による方法の1つの好ましい実施態様において、工程c.でオルガノシランが添加される。
【0036】
本発明による方法のもう1つの好ましい実施態様において、酸化亜鉛ナノ粒子とアンモニアまたはアミンは、別々に無関係に溶剤中に溶解される。好ましくは、酸化亜鉛ナノ粒子およびアンモニアまたはアミンは、同じ溶剤中に溶解される。工程a.の溶液を製造するために、液体を混合するための当業者に公知の通常の方法により酸化亜鉛ナノ粒子の溶液およびアンモニアまたはアミンの溶液は、互いに混合される。この場合、混合は、1つの工程で、個々の工程で、または連続的に行なうことができる。好ましくは、酸化亜鉛ナノ粒子の溶液が装入され、アンモニアまたはアミンの溶液が添加される。
【0037】
本発明による方法の範囲内で、工程b.およびc.において、工程a.からの溶液には、テトラアルキル−オルトケイ酸塩および場合によりオルガノシランが添加され、溶解された酸化亜鉛ナノ粒子は、アンモニアまたはアミンの存在下で工程b.およびc.からの化合物と反応される。
【0038】
テトラアルキル−オルトケイ酸塩のアルキル基は、互いに無関係に有利にC1〜C20アルキル基である。本発明による方法の工程b.において、テトラアルキル−オルトケイ酸塩として有利にテトラメチルオルトケイ酸塩、テトラエチルオルトケイ酸塩、テトラプロピルオルトケイ酸塩またはテトラブチルオルトケイ酸塩が使用される。殊に好ましくは、テトラメチルオルトケイ酸塩またはテトラエチルオルトケイ酸塩が使用される。
【0039】
本発明による方法におけるテトラアルキル−オルトケイ酸塩の含量は、例えば珪酸塩の反応性、または望ましい塗膜の厚さまたは密度に依存して幅広い範囲内で変動することができる。一般的にZnOに対してテトラアルキル−オルトケイ酸塩0.01〜1.0モル当量が使用される。好ましくは、ZnOに対してテトラアルキル−オルトケイ酸塩0.05〜0.5モル当量、殊にテトラアルキル−オルトケイ酸塩0.1〜0.3モル当量である。
【0040】
本発明による方法の工程c.において、場合によりオルガノシランとして、有利にモノ−、ジ−、トリ−C1〜C20アルキルシラン、C1〜C20アルコキシシラン、C1〜C20トリアルコキシ−C3〜C18アルキルシラン、アミノアルキルシラン、エステル含有シランまたはポリアルコキシシランが使用される。殊に、トリエトキシオクタデシルシラン、トリエトキシイソオクチルシラン、トリエトキシイソブチルシラン、トリエトキシプロピルシラン、トリメトキシヘキサデシルシラン、PEG−シラン、トリエトキシ−メタクリロイルオキシプロピルシラン、アミノプロピルシランが使用される。特に有利に、C1〜C20トリアルコキシ−C3〜C18アルキルシランが使用される。また、予め縮合されたオリゴマーのシラン、例えばEvonik社のDynasilan(登録商標) 9896が使用される。
【0041】
本発明による方法における場合によりオルガノシランの含量は、例えばシランの反応性、または望ましい塗膜の厚さまたは密度に依存して幅広い範囲内で変動することができる。一般的にZnOナノに対してオルガノシラン1〜50モル%が使用される。好ましいのは、ZnOの量に対してオルガノシラン2〜30モル%、殊にオルガノシラン5〜20モル%である。
【0042】
テトラアルキル−オルトケイ酸塩およびオルガノシランは、そのまま、または溶液として溶剤中に溶解された酸化亜鉛ナノ粒子にアンモニアまたはアミンの存在下で添加されてよい(工程b.およびc.)。好ましくは、溶剤として、存在する場合には、酸化亜鉛ナノ粒子および/またはアンモニアおよびアミンと同じ溶剤が使用される。
【0043】
本発明による方法の工程a.、b.および場合によりc.の順序は、一般的に任意である。
【0044】
オルガノシランの添加は、テトラアルキル−オルトケイ酸塩の添加前、添加中または添加後に行なうことができる。好ましくは、最初にテトラアルキル−オルトケイ酸塩および次にオルガノシランが添加される。
【0045】
本発明による方法の実施態様において、最初にテトラアルキル−オルトケイ酸塩およびオルガノシランは、溶剤中に装入され、その後に酸化亜鉛ナノ粒子およびアンモニアまたはアミンが添加される。
【0046】
本発明による方法のもう1つの実施態様において、最初に酸化亜鉛ナノ粒子およびアンモニアまたはアミンは、溶剤中に装入され、その後にテトラアルキル−オルトケイ酸塩およびオルガノシランが添加される。
【0047】
本発明による方法のもう1つの実施態様において、最初に酸化亜鉛ナノ粒子、テトラアルキル−オルトケイ酸塩およびオルガノシランは、溶剤中に装入され、その後にアンモニアまたはアミンが添加される。
【0048】
温度は、本発明による方法の範囲内で、例えば使用された溶剤に依存して幅広い範囲内で変動することができる。本発明による方法の好ましい実施態様において、反応は、0〜200℃の範囲内の温度で行なわれる。好ましくは、反応は、30〜150℃、殊に50〜100℃の範囲内の温度で行なわれる。
【0049】
圧力は、本発明による方法の実施にとってあまり重要ではない。一般的に全ての工程は、外部圧力で常圧(1気圧)に相当するが、しかし、過圧下または弱い低圧下で実施されてもよい。
【0050】
変性酸化亜鉛ナノ粒子の形成後に、好ましくは、DLSにより本質的にモノ分散性の寸法分布を有する一次粒子が得られる。しかし、溶剤および使用される濃度に依存して、比較的大きな凝集塊が生じてもよい。
【0051】
変性酸化亜鉛ナノ粒子の形成後、反応が行なわれた後に場合により他の工程d.において極性溶剤は、除去される。極性溶剤の除去は、任意の方法により行なうことができ、この場合変性酸化亜鉛ナノ粒子を含有する残留物が得られる。好ましくは、極性溶剤は、蒸留、濾過、遠心分離、傾瀉または噴霧乾燥によって部分的または完全に除去される。特に好ましいのは、蒸留である。
【0052】
もう1つの場合により工程e.において、変性酸化亜鉛ナノ粒子は、乾燥工程に掛けられる。乾燥は、当業者に公知の方法、例えば乾燥キャビネットの使用によって、場合により高められた温度および/または低圧で行なわれる。
【0053】
しかし、好ましくは、反応が行なわれた後に場合により他の工程d.において、極性溶剤は、完全に除去されず、得られた濃縮された溶液、分散液または懸濁液は、例えばワックス中への混入によって直接に後加工される。この方法は、完全に分離され、および/または乾燥された変性酸化亜鉛ナノ粒子を再分散する際の困難が回避されるという利点を有する。
【0054】
本発明による方法のもう1つの実施態様において、工程a.で溶剤中でのZnOナノ粒子の分散液の安定性を上昇させる、場合により界面活性剤が添加されていてよい。
【0055】
場合により界面活性剤として、本発明による方法の範囲(工程a.)内で有利に0〜9、殊に0.5〜5のHLB値(グリッフィン(Griffin)による)を有する物質が使用される。特に有利には、界面活性剤としてイオン系、非イオン系、ベタイン系、両性イオン系、殊に陰イオン系界面活性剤が使用される。界面活性剤は、一般的に商業的に入手可能であるが、しかし、混合物として使用されてよい。
【0056】
界面活性剤の量は、例えばそれぞれ溶剤に依存して幅広い範囲内で変動することができる。好ましくは、本発明による方法の範囲内で、酸化亜鉛ナノ粒子の量に対して界面活性剤が1〜100質量%、特に有利に5〜60質量%、殊に10〜30質量%使用される。
【0057】
本発明による方法の実施態様において、界面活性剤として有利に10〜30個の炭素原子を有するカルボン酸、特に有利に不飽和脂肪酸および飽和脂肪酸が使用される。殊に好ましいのは、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、リシンオレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、マルガリン酸である。
【0058】
更に、本発明の対象は、反応が溶剤および水の全体量に対して水5質量%未満の含量の際に行なわれるという条件で、
a.溶剤中に溶解された酸化亜鉛ナノ粒子をアンモニアまたはアミンの存在下で
b.テトラアルキル−オルトケイ酸塩および
c.場合によりオルガノシランと反応させることによって得られた、Si−O−アルキル基を有しかつ有機溶剤中で可溶性である変性酸化亜鉛ナノ粒子である。
【0059】
好ましいのは、反応が水2質量%未満、特に有利に水1質量%未満の含量で行なわれる係る変性酸化亜鉛ナノ粒子である。殊に好ましいのは、水0.5質量%未満、殊に水0.2質量%未満の場合に本質的に無水で作業される係る変性ZnOナノ粒子である。
【0060】
例えば、上記の本発明による方法により製造することができる変性酸化亜鉛ナノ粒子は、公知技術水準の酸化亜鉛ナノ粒子と比較して組成の点で明らかな差異を有する。本発明による変性酸化亜鉛ナノ粒子は、製造後に使用されたテトラアルキル−オルトケイ酸塩、例えばSi−OCH3基に応じてSi−O−アルキル基を有する。好ましくは、本発明による粒子は、元来存在するSi−O−アルキル基に対して0.1〜50%の含量を有する。特に有利には、本発明による粒子は、元来存在するSi−O−アルキル基に対して1〜30%、殊に5〜15%の含量を有する。
【0061】
更に、また、本発明による粒子は、(非極性または極性の)有機溶剤中、有利に2〜50の誘電率を有する溶剤中、特に有利に3〜40、殊に10〜40の誘電率を有する溶剤中で可溶性であり、他方、公知技術水準の粒子は、前記溶剤中で非可溶性である。
【0062】
本発明による粒子の溶解性は、上記に既述したように、粒子が一般的に沈殿の僅かな傾向を有し、一般的に透明であり、かつ可視光線を僅かにのみ散乱する懸濁液を意味すると解釈されるべきである。
【0063】
更に、本発明による変性酸化亜鉛ナノ粒子は、例えば欧州特許出願公開第1167462号明細書A1、欧州特許出願公開第1284277号明細書A1またはWO 03/104319A1に記載されているように、緻密または結晶性のSiO2塗膜を示さない。酸化亜鉛から形成された核の周囲で、本発明による変性酸化亜鉛ナノ粒子は、非晶質の塗膜を有し、この塗膜は、SiO2と共に別の不完全に反応されたかまたは加水分解された珪酸塩構造またはシラン構造も有する。この塗膜の正確な組成は、公知ではない。塗膜構造の不均一性は、テトラアルキル−オルトシランおよび/またはオルトシランの部分的な加水分解のみに帰因すると思われる。それというのも、微少量の水だけが反応の際に添加されるからである。
【0064】
本発明のもう1つの対象は、変性ZnOナノ粒子または本発明により製造された変性ZnOナノ粒子を含有する、無生命の有機材料、殊にプラスチック、塗料またはペイントである。好ましいのは、酸化亜鉛ナノ粒子0.001〜50質量%を含有するもの、特に有利に酸化亜鉛ナノ粒子0.01〜10質量%を含有するもの、殊に酸化亜鉛ナノ粒子0.1〜5質量%を含有するものである。
【0065】
好ましくは、無生命の有機材料としてプラスチック(ポリマー)を挙げることができる。
【0066】
ポリマーは、有利にポリオレフィン、殊にポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリアミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレンまたはメチルスチレンとジエンおよび/またはアクリル誘導体とのコポリマー、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、ポリウレタン、ポリ尿素、エポキシ樹脂またはポリステルである。有機ポリマーは、上記のポリマーのコポリマー、混合物またはブレンドであってもよい。特に好ましいポリマーは、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリ尿素、エポキシ樹脂、ポリアミド、殊にポリエチレンまたはポリプロピレンである。
【0067】
プラスチックは、任意の成形体として存在することができる。好ましくは、プラスチックは、シートまたはフィルムの形で存在する。好ましくは、成形体は、プラスチックフィルム、プラスチックシートまたはプラスチックバッグである。
【0068】
更に、本発明の対象は、本発明による変性酸化亜鉛ナノ粒子または本発明により製造された変性酸化亜鉛ナノ粒子を含有する成形体である。好ましいのは、酸化亜鉛ナノ粒子0.001〜50質量%を含有するもの、特に有利に酸化亜鉛ナノ粒子0.01〜10質量%を含有するもの、殊に酸化亜鉛ナノ粒子0.1〜5質量%を含有するものである。
【0069】
更に、本発明の対象は、農業において、包装材料として、殊に化粧品において、または自動車産業において、本発明による成形体を使用することである。
【0070】
好ましくは、変性ZnOナノ粒子は、400〜200nm、特に有利に370〜200nmの範囲からの波長を有する光を吸収する。一般的に、変性ZnOナノ粒子の吸収は、200nm未満の範囲にも広がっている。
【0071】
従って、本発明のもう1つの対象は、無生命の有機材料中のUV吸収剤としての、変性酸化亜鉛ナノ粒子または本発明による方法により製造された変性酸化亜鉛ナノ粒子の使用である。
【0072】
本発明のもう1つの対象は、無生命の有機材料のための安定剤としての変性酸化亜鉛ナノ粒子または本発明による方法により製造された変性酸化亜鉛ナノ粒子の使用である。
【0073】
好ましくは、無生命の有機材料がプラスチック、塗料またはペイントである場合、変性酸化亜鉛ナノ粒子または本発明による方法により製造された変性酸化亜鉛ナノ粒子が使用される。特に好ましいのは、プラスチックである。この場合、さらに有利には、プラスチックは、シートまたはフィルムの形で存在する。
【0074】
無生命の有機材料中への変性ZnOナノ粒子の混入は、係る材料中へZnOナノ粒子を混入するための公知方法と同様に行なわれる。この場合には、例えば押出工程中での酸化亜鉛でのポリマー(プラスチック)の仕上げ加工、または酸化亜鉛を含有する、固体または液状の化粧用配合物の製造が挙げられる。
【0075】
本発明のもう1つの対象は、本発明による変性ZnOナノ粒子または本発明により製造された変性ZnOナノ粒子と共に他の添加剤を含有する、無生命の有機材料、殊にプラスチック、塗料またはペイント、殊にプラスチックである。
【0076】
他の添加剤として、例えばUV吸収剤がこれに該当する。他の添加剤は、一般的に無生命の有機材料の量に対して0.0001〜30質量%が使用される。好ましくは、この添加剤は、無生命の有機材料の量に対して0.1〜10質量%、殊に0.1〜5質量%が使用される。プラスチック、塗料またはペイントの場合には、他の添加剤は、当業者に公知の通常の量で使用することができる。
【0077】
UV吸収剤は、しばしば市販製品である。この市販製品は、例えばBASE SE社のUvinul(登録商標)またはCiba社のTinuvin(登録商標)の商品名で購買することができる。UV吸収剤は、次の種類の化合物を含む:ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、シアノアクリレート、桂皮酸エステル、パラ−アミノベンゾエート、ナフタルイミド。更に、他の公知の発色団、例えばヒドロキシフェニルトリアジンまたはオキサールアニリドが使用される。このような化合物は、例えば単独かまたは別の光安定剤との混合物で化粧品の用途、例えば日焼け止め組成物に使用されるか、または有機ポリマーの安定化に使用される。UV吸収剤の他の例は、次の通りである:
置換アクリレート、例えばエチル−またはイソオクチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート(主に2−エチルヘキシル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート)、メチル−α−メトキシカルボニル−β−フェニルアクリレート、メチル−α−メトキシカルボニル−β−(p−メトキシフェニル)アクリレート、メチル−またはブチル−α−シアノ−β−メチル−β−(p−メトキシフェニル)アクリレート、N−(β−メトキシカルボニル−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン、オクチル−p−メトキシシンナメート、イソペンチル−4−メトキシシンナメート、ウロカニン酸またはその塩またはエステル;
p−アミノ安息香酸の誘導体、殊にそのエステル、例えば4−アミノ安息香酸エチルエステルまたはエトキシル化4−アミノ安息香酸エチルエステル、サリチレート、置換桂皮酸エステル(シンナメート)、例えばオクチル−p−メトキシシンナメートまたは4−イソペンチル−4−メトキシシンナメート、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸またはその塩、
2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、例えば4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、4−オクチルオキシ−、4−デシルオキシ−、4−ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ−、4,2’,4’−トリヒドロキシ−、2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノンならびに4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン−スルホン酸−ナトリウム塩;
4,4−ジフェニルブタジエン−1,1−ジカルボン酸のエステル、例えばビス−(2−エチルヘキシル)エステル;
2−フェニルベンゾイミダゾール−4−スルホン酸ならびに2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸またはこれらの塩;
ベンゾオキサゾールの誘導体;
ベンゾトリアゾールの誘導体または2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、例えば2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3−((1,1,3,3−テトラメチル−1−)(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)−プロピル)−フェニル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−第三ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−第三ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−第三ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンズトリアゾール、2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンズトリアゾール、2−(3’−第二ブチル−5’−第三ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−第三アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンズトリアゾール、2−[3’−第三ブチル−5’−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−5−クロロベンズトリアゾール、2−[3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンズトリアゾール、2−[3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−第三ブチル−5’−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンズトリアゾール−2−イル−フェノール]、ポリエチレングリコール 300、Rが3’−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5’−2H−ベンズトリアゾール−2−イル−フェニルである[R−CH2CH2−COO(CH2)3−]2で完全にエステル化された、2−[3’−第三ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールの生成物、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(α,α−ジメチルベンジル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5’−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール;
ベンジリデンカンファーまたはその誘導体、これは例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第3836630号明細書中に挙げられている、例えば3−ベンジリデンカンファー、3−(4’−メチルベンジリデン)d−1−カンファー;
α−(2−オキソボルン−3−イリデン)トルエン−4−スルホン酸またはその塩、N,N,N−トリメチル−4−(2−オキソボルン−3−イリデンメチル)アニリニウム−メトスルフェート;
ジベンゾイルメタン、例えば4−第三ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;
2,4,6−トリアリールトリアジン化合物、例えば2,4,6−トリス−{N−[4−(2−エチルヘキシ−1−イル)オキシカルボニルフェニル]アミノ}−1,3,5−トリアジン、4,4’−((6−(((第三ブチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)イミノ)ビス(安息香酸−2’−エチルヘキシルエステル);
2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、例えば2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2.4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス−(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)P−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−{2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0078】
他の適当なUV吸収剤は、刊行物Cosmetic Legislation,第1巻,Cosmetic Products,European Commission 1999,第64−66頁から推察することができ、この刊行物は本願明細書に援用される。
【0079】
更に、適当なUV吸収剤は、欧州特許出願公開第1191041号明細書A2の第6頁第14〜30行([0030])に記載されている。この刊行物に関しては、内容全体が参照され、この刊行物の記載は、本明細書の開示内容の一部分を形成する。
【0080】
従って、本発明によれば、変性ZnOナノ粒子および他の添加剤としてUV吸収剤を含有する、無生命の有機材料、殊にポリマー(プラスチック)、塗料またはペイントは、UV光の作用に抗して安定化することができる。
【0081】
本発明のもう1つの対象は、無生命の有機材料、殊にポリマーを光、ラジカルまたは熱の作用に抗して安定化する方法であり、その際、前記材料、殊にポリマーには、変性ZnOナノ粒子が添加され、この変性ZnOナノ粒子は、場合によっては他の添加剤として光吸収性化合物、例えばUV吸収剤および/または安定剤、例えばHALS化合物を含有する。更に、こうして塗料またはペイントは、光、ラジカルまたは熱の作用に抗して安定化することができる。
【0082】
他の添加剤として、殊に無生命の有機プラスチックがポリマーである場合には、同様にポリマーのための安定剤がこれに該当する。安定剤は、酸素、光(可視光、赤外光および/または紫外光)または熱の作用の際の分解に抗して有機ポリマーを安定化する化合物である。この安定剤は、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤または光安定剤とも呼称される(Ullmanns, Encyclopedia of Industrial Chemistry,第3巻,629−650(ISBN−3−527−30385−55)および欧州特許出願公開第1110999号明細書、第2頁第29行〜第38頁第29行参照)。
【0083】
このような安定剤を用いて、実際に全ての有機ポリマーを安定化することができる(欧州特許出願公開第1110999号明細書、第38頁第30行〜第41頁第35行参照)。この刊行物の個所の記載は、本明細書の開示内容の一部分を形成する。前記欧州特許出願に記載された安定剤は、ピラゾール、有機ホスファイトまたはホスホナイト、立体障害フェノールおよび立体障害アミンの化合物種(いわゆるHALSタイプまたはHALS安定剤、Roempp,第10版、第5巻、4206〜4207頁参照)に属する。
【0084】
更に、他の添加剤としては、有利にHALS安定剤がこれに該当する。
【0085】
HALS安定剤は、しばしば市販製品である。このHALS安定剤は、例えばBASF SE社のUvinul(登録商標)またはTinuvin(登録商標)の商品名で購買することができる。例えば、Tinuvin 770(CAS−No.52829−07−9)、Uvinul 4050 H(CAS−No.124172−53−8)またはUvinul 5050(CAS−No.93924−10−8)を挙げることができる。
【0086】
HALS安定剤は、式IIaまたは式IIb
【化1】

で示される基を含有する化合物を含み、
上記式中、この変数は、次のように定義されている:
1、R2、R3およびR4は、同一かまたは異なり、互いに無関係にC1〜C12アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、第二ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、第二ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、特に有利にC1〜C4アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第二ブチルおよび第三ブチルであり、殊にR1、R2、R3およびR4は、それぞれ同一かつそれぞれメチル、
3〜C12シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシルおよびシクロドデシルであり、好ましくは、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルであり、
5は、酸素原子、硫黄原子、NH基、N−(C1〜C4アルキル)基、カルボニル基であり、
2は、単結合またはスペーサーである。スペーサーA2の例は、パラ−フェニレン、メタ−フェニレン、有利にC1〜C20アルキレン、分枝鎖状または非分枝鎖状であり、その際、場合により6個までの隣接していないCH2−基は、それぞれ1個の硫黄原子によって酸化されていてもよいし、1個の酸素原子によって置換されていてもよい。例示的に次のスペーサーが挙げられる:
−CH2−、−CH2−CH2−、−(CH23−、−(CH24−、−(CH25−、−(CH26−、−(CH27−、−(CH28−、−(CH29−、−(CH210−、−(CH212−、−(CH214−、−(CH216−、−(CH218−、−(CH220−、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH(C25)−、−CH2−CH(CH[CH32)−、−CH2−CH(n−C37)−、−[CH(CH3)]2−、−CH(CH3)−CH2−CH2−CH(CH3)−、−CH(CH3)−CH2−CH(CH3)−、−CH2C(CH32−CH2−、−CH2−CH(n−C49)−、−CH2−CH(イソ−C37)−、−CH2−CH(tert−C37)−、
−CH2−O−、−CH2−O−CH2−、−(CH22−O−(CH22−、−[(CH22−O]2−(CH22−、−[(CH22−O]3−(CH22−、
−CH2−S−、−CH2−S−CH2−、−(CH22−S−(CH2)−、−[(CH22−S]2−(CH22−、−[(CH22−S]3−(CH22−、−CH2−SO−CH2−、−CH2−SO2−CH2−、
好ましいスペーサーA2は、C2〜C10アルキレン基であり、分枝鎖状または非分枝鎖状であり、例えば−CH2−CH2−、−(CH23−、−(CH24−、−(CH25−、−(CH26−、−(CH27−、−(CH28−、−(CH29−であり、
nは、零または1であり、
6は、水素、酸素、O−C1〜C19アルキル、有利にC1〜C6アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、第二ブトキシ、第三ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ、n−ヘキソキシおよびイソヘキソキシ、特に有利にメトキシまたはエトキシ、
1〜C2アルキル、有利にメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、第二ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、第二ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル;特に有利にC1〜C4アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第二ブチルおよび第三ブチル、
2〜C18アシル、例えばアセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル、ステアリル、
または7〜12個のC原子を有するアリールオキシカルボニル、例えばC65−OCOである。
【0087】
特に好適なHALSの例は、
4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−アミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、
4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、
4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、
4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、
4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、
4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、
4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシトキシピペリジン、
4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシトキシピペリジン、
4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチル−1−オクトオキシピペリジン、
4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−アリールオイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−ベンズオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンおよび
4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンである。
【0088】
同様に、好ましいHALSは、次の通りである:
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オキサレート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−ピペリジル)セバケート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、
1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、
ビス(1−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ジペリジル)アジペートおよび
トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート。
【0089】
更に、好ましいのは、高分子量ピペリジン誘導体、例えばブタン二酸ジメチルエステルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールまたはポリ−6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ−1,6−ヘキサンジイル(2,2,6,6−テトラメチル−14−ピペリジニル)イミノとのポリマー、およびジメチルスクシネートと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとからの重縮合物であり、この重縮合物は、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケートと同様に特に好適である。
【0090】
4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルおよび4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルは、特に好適である。
【0091】
更に、有効な物質としてポリマー用の助剤がこれに該当する。ポリマー用の助剤とは、例えばプラスチック製のシートまたは成形部材の曇りを少なくとも十分に防止する物質、いわゆる防曇剤であると解釈されるべきである。更に、ポリマー添加剤として、殊にシートまたはフィルムが製造される有機ポリマーのための防曇剤が適している。このようなポリマー添加剤は、例えばF.Wylinによって、Plastics Additives Handbooks.第5版,Hanser社刊,ISBN 1−56990−295−X,第609−626頁中に記載されている。従って、本発明によれば、他の有効な物質として助剤を含有する変性ZnOナノ粒子は、防曇剤として使用することができる。
【0092】
更に、適当な助剤は、滑剤、例えば酸化ポリエチレンワックスならびに有機ポリマー用の静電防止剤である。静電防止剤の例は、上記の刊行物F.Wylin,Plastics Additives Handbook,第627−645頁の記載を参照のこと。
【0093】
適当な他の添加剤は、例えばRoempp,第10版,第1352および1353頁ならびにUllmanns,Encyclopedia of Industrial Chemistry,第14版,53−71中に記載されている。従って、本発明によれば、他の有効な物質として難燃剤を含有する変性ZnOナノ粒子は、ポリマー用の難燃剤として使用することができる。
【0094】
市販の安定剤および助剤は、例えばBASF社またはCiba社のUvinul(登録商標)、Tinuvin(登録商標)、Chimassorb(登録商標)およびIrganox(登録商標)、Cytec社のCyasorb(登録商標)おおびCyanox(登録商標)、Chemtura社のLowilite(登録商標)、Lowinox(登録商標)、Anox(登録商標)、Alkanox(登録商標)、Ultranox(登録商標)およびWeston(登録商標)、およびClariant社のHostavin(登録商標)およびHostanox(登録商標)の商品名で販売されている。安定剤および助剤は、例えばPlastics Additives Handbook,第5版,Hanser社刊,ISBN 1−56990−295−Xに記載されている。
【0095】
別の他の添加剤は、光を可視光範囲内で吸収する有機染料、または蛍光増白剤である。このような染料及び蛍光増白剤は、先行技術に記載されたWO−A−99/40123の第10頁14行〜第25頁25行に詳細に記載されていて、この箇所も本願明細書に明確に援用される。有機染料は、400〜850nmの波長領域において1つの吸収極大を有し、蛍光増白剤は、250〜400nmの範囲内で1つ又は複数の吸収極大を有する。蛍光増白剤は、公知のようにUV光が照射された際に、可視領域の蛍光放射線を放射する。蛍光増白剤の例は、ビススチリルベンゼン、スチルベン、ベンゾオキサゾール、クマリン、ピレンおよびナフタレンの種類からなる化合物である。市販されている蛍光増白剤は、Tinopal(登録商標)(Ciba)、Ultraphor(登録商標)(BASF SE)およびBlankophor(登録商標)(Bayer)の商品名で販売されている。蛍光増白剤は、さらにRoempp,第10版,第4巻,3028−3029(1998)およびUllmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry,第24卷,363−386(2003)に記載されている。従って、本発明によれば、他の有効な物質として有機染料または蛍光増白剤を含有する変性ZnOナノ粒子は、ポリマーの着色または蛍光増白のために使用することができる。
【0096】
適当な他の添加剤は、IR染料であり、これは、例えばLumogen(登録商標)IRとしてBASE SEから購買することができる。Lumogen(登録商標)染料は、ペリレン、ナフタルイミドまたはクアテリレンの種類の化合物を含む。
【0097】
勿論、本発明による変性ZnOナノ粒子は、事後に公知技術水準から公知の方法によりさらに当該ZnOナノ粒子の表面上で変性することができる。
【0098】
更に、本発明の対象は、変性ZnOナノ粒子または本発明による製造された、変性ZnOナノ粒子を含有する液状の配合物である。
【0099】
本発明による液状の配合物または本発明により製造された溶液、殊に分散液または懸濁液は、それ自体として使用されてよいか、または濃縮または希釈の後にそのまま使用されてよい。更に、本発明による液状の配合物は、なお通常の添加剤、例えば粘度を変える添加剤(増粘剤)、消泡剤、殺菌剤、凍結防止剤および/または保護コロイドを含有することができる。保護コロイドは、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、ならびに両性イオンの性質を有することができる。
【0100】
それと共に、本発明による液状の配合物または本発明により製造された懸濁液は、常用の結合剤、例えば水性ポリマー分散液、水溶性樹脂またはワックスと一緒に配合されてよい。
【0101】
本発明による変性ZnOナノ粒子は、液状の配合物中に含有されており、前記の液状の配合物から液相の揮発性成分を除去することによって粉末の形で取得することができる。粉末中で、本発明による粒子は、個々に存在してもよいし、凝集された形で存在してもよいし、部分的にフィルムの形で存在してもよい。この場合、本発明による粉末は、例えば液相の蒸発、凍結乾燥または噴霧乾燥によって取得することができる。
【0102】
しばしば、本発明による液状の配合物は、例えば非極性溶剤中に本発明による粉末を再分散させることによって取得される。
【0103】
更に、本発明の対象は、変性ZnOナノ粒子または本発明による製造された変性ZnOナノ粒子を含有する固体の配合物である。
【0104】
本発明による固体の配合物は、異なる濃度での使用に応じて変性ZnOナノ粒子を含有する。一般的に変性ZnOナノ粒子の割合は、固体の配合物の全質量に対して0.1〜80質量の範囲内、殊に0.5〜50質量の範囲内にある。
【0105】
例えば、固体の配合物は、ポリマーのキャリヤー材料中、例えばポリオレフィン(例えば、低密度または高密度のポリエチレン、ポリプロピレン)、スチレンホモポリマーまたはスチレンコポリマー、塩素化アルケンのポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル)、ポリアミド、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート)、ポリカーボネートまたはポリウレタン中の本発明による変性ZnOナノ粒子の混合物である。
【0106】
また、本発明による固体の配合物は、変性ZnOナノ粒子と比較的低分子量のマトリックス、例えばポリエチレンワックスとからなる混合物である。
【0107】
固体の配合物を製造するために、変性ZnOナノ粒子は、例えば比較的高い温度で溶融マトリックス中に分散させることによって導入されることができ、この場合冷却の際に固体の配合物が生じる。
【0108】
固体の配合物は、固体のマトリックス中での変性ZnOナノ粒子の分布を改善する助剤をなお含有することができる(分散剤)。このために、例えばワックスを使用することができる。
【0109】
固体の配合物は、希釈せずに使用されることができるか、または使用濃度への希釈後に使用されることができる。
【0110】
固体の配合物は、例えば上記の液状の配合物の揮発性成分の除去後に得られる配合物である。これは、一般的に変性ZnOナノ粒子と粉末またはワックスとして存在するポリマーまたはオリゴマー(マスターバッチ中、ワックス中、例えばBASF SE社のLuwax(登録商標))との混合物であるか、または粉末またはワックスとして存在するポリマーまたはオリゴマー(マスターバッチ中、ワックス中、例えばBASF SE社のLuwax(登録商標))中の変性ZnOナノ粒子の分散液である。
【0111】
固体または液状の配合物または粉末の形での本発明による変性ZnOナノ粒子は、有利に有機ポリマーの仕上げ加工、例えば殊にUV線に対する安定化のために使用される。粒子は、この目的のために固体または液状の配合物として、ならびに粉末として常法により有機ポリマー中に混入することができる。この場合には、例えば押出工程前または押出工程中の粒子と有機ポリマーとの混合を挙げることができる。
【0112】
この場合、有機ポリマーとは、任意のプラスチック、有利に熱可塑性プラスチック、殊に任意の形状のフィルム、繊維または成形体であると解釈されるべきである。この有機ポリマーは、本発明の範囲内で簡単に有機ポリマーとも呼称される。更に、有機ポリマーをポリマー添加剤で仕上げ加工または安定化するための例は、Plastics Handbook,第5版,Hanser Verlag,ISBN 1−56990−295−Xの記載から確認することができる。有機ポリマーは、有利にポリオレフィン、殊にポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリアミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレンまたはメチルスチレンとジエンおよび/またはアクリル誘導体とのコポリマー、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルまたはポリエステルである。有機ポリマーは、上記のポリマーのコポリマー、混合物またはブレンドであってもよい。特に好ましいポリマーは、ポリオレフィン、殊にポリエチレンまたはポリプロピレンである。
【0113】
熱可塑性ポリマーをUV作用に対して安定化するために、例えば、ポリマーを最初に押出機中で溶融し、本発明により製造された変性ZnOナノ粒子を含有する粒子粉末をポリマー溶融物中に例えば180〜200℃(ポリエチレン)または例えば約280℃(ポリカーボネート)の温度で混入し、そこから顆粒を製造し、その後そこから、公知の方法により、UV線の作用に対して安定化されているフィルム、繊維または成形体を製造するというようにして行なうことができる。
【0114】
ポリマーの安定化のために十分である、有機ポリマー中の変性ZnOナノ粒子の量は、例えば使用目的に応じて幅広い範囲に亘って変動することができる。好ましくは、安定化されたポリマーは、混合物の全体量に対して変性ZnOナノ粒子を0.1〜10質量%含有する。殊に好ましくは、0.5〜5.0質量%である。
【0115】
本発明による変性ZnOナノ粒子の製造法は、粒子に対して極めて効率的で制御された利用を可能にする。本発明による変性ZnOナノ粒子は、例えば液状の配合物または粉末の成分として存在し、簡単に有機ポリマー中に混入することができる。本発明による変性ZnOナノ粒子は、減少された光触媒活性を有機ポリマー中で示し、ひいてはポリマーマトリックスの望ましくない早期の分解を回避させる。
【0116】
本発明による変性ZnOナノ粒子は、殊にUV光または照明の作用に抗する有機ポリマーの仕上げ加工のために適している。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】比較試験3のための200〜800nmの波長(λ)の関数として測定された相対的な透過率を示す略図。
【図2】実施例3のための200〜800nmの波長(λ)の関数として測定された相対的な透過率を示す略図。
【0118】
次の実施例は本発明を説明するが、しかし、それにより本発明は制限されるものではない。
【実施例】
【0119】
実施例:
略符号1当量=1モル当量
酸化亜鉛製造のための一般的な規定−"粒子10nm"("10nm"):
イソプロパノール約2 l中に酢酸亜鉛二水和物78.8gを装入した。懸濁液を撹拌下に75℃に昇温させた。水酸化カリウム30.29gをイソプロパノール1 l中に溶解し、そして75℃に加熱した。水酸化カリウム溶液を懸濁液に添加した。懸濁液を75℃で約1時間、攪拌した。
【0120】
懸濁液を冷却し、反応混合物を一晩中放置した。上方にある溶剤を吸い取り、残留物をイソプロパノール1 lで洗浄した。残留物を全部で3回イソプロパノールで洗浄した。ナノ粒子状(直径10nm)の酸化亜鉛をイソプロパノール中の懸濁液として貯蔵した。
【0121】
酸化亜鉛製造のための一般的な規定−"粒子90nm"("90nm"):
メタノール約205ml中に酢酸亜鉛二水和物135gを装入した。懸濁液を撹拌下に59℃に昇温させた。水酸化カリウム58.9gをメタノール205ml中に溶解し、50℃に加熱した。水酸化カリウム溶液を懸濁液に添加した。懸濁液を50℃で約5時間、攪拌した。
【0122】
懸濁液を冷却し、反応混合物を一晩中放置した。上方にある溶剤を吸い取り、残留物をメタノール1 lで洗浄した。残留物を全部で3回メタノールで洗浄した。
【0123】
ナノ粒子状(直径約90nm)の酸化亜鉛をメタノール中の懸濁液として貯蔵した。
【0124】
Luwax(登録商標)中への混入のための一般的な規定:
Luwax(登録商標)A 0.9g(エチレンホモポリマー、BASF SE社)をトルエン30ml中に懸濁させた。その後に、(変性)ZnO(溶液中、ZnO0.1gを含有する)をLuwax溶液に添加し、ロータリーエバポレーター上で75℃(真空なし)で、均質な分散液が生じるまで溶解した。引続き、75℃/1ミリバールで溶剤を取り出した。均質な無色のワックスが生じた。
【0125】
同様に、別のワックス中への混入を行なった。
【0126】
混入:ZnOナノ粒子に対する10質量%。
【0127】
比較例1:
水酸化カリウム1g(1.6当量、Znに対して)をエタノール中に溶解し、したがって6質量%の溶液が得られた。その後に、乾燥した酸化亜鉛1g(1当量、"10nm")を添加し、トルエン中に懸濁させた。引続き、オクタデシルトリエトキシシラン5.1g(1当量、Znに対して)を添加し、還流温度に加熱した。この温度で3時間の後、均質で弱く混濁した黄色の溶液が生じた。冷却後、変性酸化亜鉛をメタノールで沈殿させた。引続き沈殿物を遠心分離し、メタノールで洗浄した。残留物を真空乾燥キャビネット中で乾燥した。
【0128】
固体の一部分をLuwax(登録商標)EVA 1(Luwax(登録商標)中への混入参照)中に混入した。
【0129】
比較例2:
酸化亜鉛懸濁液43.48g(イソプロパノール中で約2.5質量%;ZnO1当量、"10nm")およびアンモニア水溶液2.52ml(NH33当量、ZnOに対して;25%のアンモニア溶液を使用した)を装入し、撹拌下に50℃に加熱した。その後に、オクタデシルトリエトキシシラン0.77g(0.15当量、ZnOに対して)を添加した。懸濁液を50℃で5時間攪拌した。反応の終結後に、懸濁液の一部分をLuwax(登録商標)A(Luwax(登録商標)中への混入参照)中に混入した。
【0130】
比較試験3:
酢酸亜鉛二水和物21.9g(1当量)を35%でメタノール中に装入し、50℃に加熱した。水酸化カリウム11.2g(2当量、Znに対して)を24%でメタノール中に50℃で溶解した。この溶液を酢酸亜鉛懸濁液に添加し、30分間さらに攪拌した。引続き、メタノール中に5%で溶解した、テトラメチルオルトケイ酸塩0.68g(0.045当量、Znに対して)を添加し、50℃で1時間攪拌した。この懸濁液をオクタデシルトリエトキシシラン6.37g(0.15当量、ZnOに対して)を添加し、さらにこの温度で5時間維持した。反応の終結後、沈殿した沈殿物を沈殿させ、上に存在するメタノールを吸い取った。この沈殿および吸い取りの工程をなお2回繰り返した。残留物をジクロロメタン中に溶解した。安定した均質な懸濁液が生じた。懸濁液の一部分をLuwax(登録商標)A(Luwax(登録商標)中への混入参照)中に混入した。
【0131】
分析:元素分析は、乾燥した生成物中で亜鉛69質量%の含量をもたらした。これは、ZnO86質量%に相当した。
【0132】
比較試験4:
懸濁液としての酸化亜鉛0.718g(イソプロパノール中で約2.5質量%;ZnO1当量、"10nm")およびアンモニア水溶液1.81ml(NH33当量;25%のアンモニア溶液を使用した)を装入し、撹拌下に50℃に加熱した。その後に、テトラメチルオルトケイ酸塩0.27g(0.2当量、ZnOに対して)を添加した。懸濁液を50℃で1時間攪拌した。反応の終結後に、懸濁液の一部分をLuwax(登録商標)A(Luwax(登録商標)中への混入参照)中に混入した。
【0133】
元素分析のために、懸濁液の一部分を遠心分離し、3回イソプロパノールで洗浄した。引続き、白色の残留物を真空乾燥キャビネット中で乾燥した。
【0134】
比較試験5:
懸濁液としての酸化亜鉛0.5g(イソプロパノール中で約2.5質量%;ZnO1当量、"10nm")およびメタノール系アンモニア2.65ml(NH33当量;7Nのアンモニア溶液を使用した)を撹拌下に50℃に加熱し、その後になおこの温度で15分間維持した。混濁しているが、しかし、均質な溶液が生じた。溶液の一部分をLuwax(登録商標)A(Luwax(登録商標)中への混入参照)中に混入した。
【0135】
実施例1:
懸濁液としての酸化亜鉛1g(イソプロパノール中で約2.5質量%;ZnO1当量、"10nm")およびメタノール系アンモニア5.29ml(NH33当量、ZnOに対して;7Nのアンモニア溶液を使用した)を装入し、撹拌下に50℃に加熱した。その後に、オクタデシルトリエトキシシラン0.77g(0.15当量、ZnOに対して)を添加した。透明な溶液を50℃で5時間攪拌した。反応の終結後、過剰量のアンモニアおよびメタノールをロータリーエバポレーター上で除去した。懸濁液の一部分をLuwax(登録商標)A(Luwax(登録商標)中への混入参照)中に混入した。
【0136】
実施例2〜5:テトラアルキル−オルトケイ酸塩量の変法
懸濁液としての酸化亜鉛1g(イソプロパノール中で約2.5質量%;ZnO1当量、"10nm")およびメタノール系アンモニア5.29ml(NH33当量、7Nのアンモニア溶液を使用した)を装入し、撹拌下に50℃に加熱した。その後に、テトラメチルオルトケイ酸塩xg(y当量、ZnOに対して)および引続きオクタデシルトリエトキシシラン0.77g(0.15当量、ZnOに対して)を添加した。透明な溶液を50℃で5時間攪拌した。反応の終結後、過剰量のアンモニアおよびメタノールをロータリーエバポレーター上で除去した。溶液の一部分をLuwax(登録商標)A(Luwax(登録商標)中への混入参照)中に混入した。
【0137】
実施例2:x=0.094、y=0.05;実施例3:x=0.188、y=0.1;実施例4:x=0.376、y=0.2;実施例5:x=0.94、y=0.5。
【0138】
実施例6〜9:オルガノシランの変法
懸濁液としての酸化亜鉛1g(イソプロパノール中で約2.5質量%;ZnO1当量、"10nm")およびメタノール系アンモニア5.29ml(NH33当量、ZnOに対して;7Nのアンモニア溶液を使用した)を装入し、撹拌下に50℃に加熱した。その後に、テトラメチルオルトケイ酸塩0.188g(0.1当量、ZnOに対して)および引続きオルガノシラン(0.15当量、ZnOに対して)を添加した。生じた透明な溶液を50℃で5時間攪拌した。反応の終結後、過剰量のアンモニアおよびメタノールをロータリーエバポレーター上で除去した。溶液の一部分をLuwax(登録商標)A(Luwax(登録商標)中への混入参照)中に混入した。
【0139】
実施例6:トリエトキシイソブチルシラン;実施例7:トリエトキシプロピルシラン;実施例8:トリエトキシヘキサデシルシラン;実施例9:Dynasilan(登録商標) 9896(Evonik社)
【0140】
実施例10および11:テトラアルキル−オルトケイ酸塩量の変法
懸濁液としての酸化亜鉛1g(イソプロパノール中で約2.5質量%;ZnO1当量、"10nm")およびメタノール系アンモニア5.29ml(NH33当量、ZnOに対して;7Nのアンモニア溶液を使用した)を装入し、撹拌下に50℃に加熱した。その後に、テトラメチルオルトケイ酸塩xg(y当量、ZnOに対して)および引続き2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]−トリエトキシシラン0.972g(0.15当量、ZnOに対して)を添加した。透明な溶液を50℃で20時間攪拌した。溶液の一部分をLuwax(登録商標)A(Luwax(登録商標)中への混入参照)中に混入した。
【0141】
実施例10:x=0.188、y=0.1;実施例11:x=0.376、y=0.2。
【0142】
実施例12:エタノールアミン
エタノールアミン0.375g(0.5当量、ZnOに対して)をイソプロパノール中に装入し、ZnO懸濁液1g(イソプロパノール中約2.5質量%で;ZnO1当量、"10nm")を添加した。引続き、混合物を50℃に加熱し、この温度を20時間維持した。反応時間の終結後、透明な溶液にテトラメチルオルトケイ酸塩0.94g(0.5当量、ZnOに対して)を添加し、反応混合物をさらに50℃で5時間維持した。溶液の一部分をLuwax(登録商標)A(Luwax(登録商標)中への混入参照)中に混入した。
【0143】
実施例13:
有機溶剤中、例えばジクロロメタン、トルエン、イソプロパノールまたはこれらの混合物中の実施例1〜12の本発明より製造された変性酸化亜鉛ナノ粒子の溶解性は、良好であり、一方、同様にアンモニア水溶液を用いて製造された本発明によらない酸化亜鉛ナノ粒子は、前記のよう在中で不溶性である。
【0144】
実施例14:
Lupolen(登録商標)は、Basell社のポリエチレン(LDPE)のための商品名である。実施例および比較例のLuwax(登録商標)調製物を、小型の押出機を用いてLupolen(登録商標)中に混入し、厚さ100μmのフィルムに加工した。濃度は、ワックスおよびポリエチレンの全体量に対してZnO1質量%であった。混入後、フィルムを露光し(人工の太陽光)、UV吸収スペクトルを測定した。フィルムの透明度の基準として、透過率を測定した。露光による透明度の減少は、ZnOの光触媒作用に基づいて生じ、この減少は、ポリマーマトリックスの分解という結果をまねいた。露光中の透過率が高ければ高いほど、含有されたZnOの光触媒活性は、ますます少なくなる。
【0145】
Croda社のSolasorb(登録商標)UV200(ZnO、プラスチック用のUV吸収剤として、固体含量60質量%を有する分散液)およびShowa Denko社のMaxlight ZS(登録商標)(SiO2が塗布された30nmのZnO粒子)を同様に比較のために測定した。
【0146】
【表1】

【0147】
本発明を複数の図によって詳説するが、これらの図は、本発明の対象を制限するものではない。
【0148】
図1および2は、比較試験3および実施例3のフィルムに対して記録された透過スペクトルを示す。この結果は、比較試験3(図1)に対して約350〜800nmの波長範囲内の透過率が既に7日(曲線7)後に明らかに初期の状態(曲線:0)と比較して明らかに減少していることを示す。それというのも、このフィルムは、ポリマーマトリックスの分解によって混濁し、一方で、実施例3(図2)のフィルムについては、15日後(曲線:15)ならびに50日後(曲線:50)に開始状況と比較して全く変化を観察することができなかったからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性酸化亜鉛ナノ粒子を製造する方法であって、反応が溶剤および水の全体量に対して水5質量%未満の含量の際に行なわれるという条件で、
a.溶剤中に溶解された酸化亜鉛ナノ粒子を、アンモニアまたはアミンの存在下で
b.テトラアルキル−オルトケイ酸塩および
c.場合によりオルガノシランと反応させることを特徴とする、変性酸化亜鉛ナノ粒子を製造する上記方法。
【請求項2】
反応は、本質的に水の排除下に行なわれる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程c.においてオルガノシランを使用する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
工程b.を工程c.の前に行なう、請求項1または3記載の方法。
【請求項5】
酸化亜鉛ナノ粒子は、極性溶剤中の懸濁液として存在する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
アミンは、第1アミンである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程a.において酸化亜鉛ナノ粒子を含有する懸濁液を、アンモニアまたはアミンを含有する溶液と混合する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
工程b.におけるテトラアルキルオルトケイ酸塩は、テトラメチルオルトケイ酸塩、テトラエチルオルトケイ酸塩、テトラプロピルオルトケイ酸塩、テトラブチルオルトケイ酸塩から選択される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程c.におけるオルガノシランは、モノ−、ジ−、トリ−アルキルシラン、アルコキシシラン、アミノアルキルシラン、エステル含有シラン、ポリアルコキシシランから選択される、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
反応が溶剤および水の全体量に対して水5質量%未満の含量の際に行なわれるという条件で、a.溶剤中に溶解された酸化亜鉛ナノ粒子をアンモニアまたはアミンの存在下でb.テトラアルキル−オルトケイ酸塩およびc.場合によりオルガノシランと反応させることによって得られた、Si−O−アルキル基を有しかつ有機溶剤中で可溶性である、変性酸化亜鉛ナノ粒子。
【請求項11】
請求項10記載の変性ZnOナノ粒子または請求項1から9までのいずれか1項に記載の本発明により製造された変性ZnOナノ粒子を含有する、液状または固体の配合物。
【請求項12】
請求項10記載の変性ZnOナノ粒子または請求項1から9までのいずれか1項に記載の本発明により製造された変性ZnOナノ粒子を含有する、無生命の有機材料。
【請求項13】
無生命の有機材料がプラスチックまたは塗料である、請求項12記載の材料。
【請求項14】
プラスチックが成形体としてシートまたはフィルムの形で存在する、請求項13記載の材料。
【請求項15】
農業において、包装材料として、または自動車産業においての、請求項14記載の成形体の使用。
【請求項16】
無生命の有機材料中のUV吸収剤としての、請求項10記載の変性酸化亜鉛ナノ粒子または請求項1から9までのいずれか1項の記載により製造された変性酸化亜鉛ナノ粒子の使用。
【請求項17】
無生命の有機材料のための安定剤としての、請求項10記載の変性酸化亜鉛ナノ粒子または請求項1から9までのいずれか1項の記載により製造された変性酸化亜鉛ナノ粒子の使用。
【請求項18】
無生命の有機材料は、プラスチック、塗料またはペイントである、請求項16または17記載の使用。
【請求項19】
プラスチックは、シートまたはフィルムの形で存在する、請求項18記載の使用。
【請求項20】
無生命の有機材料を光、ラジカルまたは熱の作用に抗して安定化する方法であって、その際、前記材料には、請求項10記載の変性ZnOナノ粒子または請求項1から9までのいずれか1項に記載の本発明により製造された変性ZnOナノ粒子が添加され、前記の変性ZnOナノ粒子は、場合によっては他の添加剤としてUV吸収剤および/または安定剤を含有する、無生命の有機材料を光、ラジカルまたは熱の作用に抗して安定化する上記方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2012−530671(P2012−530671A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516694(P2012−516694)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058798
【国際公開番号】WO2010/149646
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】