説明

変流器の出力変換回路

【課題】一次電流が0Aの場合に変流器の出力電流が所定の電流を出力する出力変換回路を簡単な構成で実現する。
【解決手段】出力変換回路5は電源6と変流器1の出力線間に接続され、電源6に接続されて一定の電流I3を出力する定電流回路7と、定電流回路7に接続されて回路を開閉するスイッチング素子8とで構成し、変流器1の出力が0Aであることを監視回路4が検出すると、監視回路4は出力変換回路5に信号を出力してスイッチング素子8をオンし、出力変換回路5から一定の電流I3を出力する。変流器1が正常な場合はレベル変換回路2の抵抗R1と変流器1の巻き線の抵抗R2との合成抵抗に電流が流れ、変流器1が異常な場合はレベル変換回路2の抵抗R1だけに電流が流れるので、監視回路4に入力される電圧が変化する。監視回路4は入力される電圧の大きさから変流器1が正常かどうかを判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変流器の一次電流が0Aの場合に一定の電流を出力をする出力変換回路に関する。
【背景技術】
【0002】
変流器11は出力電流I12が0Aの場合、変流器11が故障しているのか、接続が不完全なのか、配線が断線しているのか、といった変流器11の異常なのか、それとも、変流器11は正常だが、単に一次電流I11が0Aなので出力電流I12が0Aであるのか判別ができない。そこで出力電流I12が0Aの場合、変流器11から一定の出力をするようにして変流器11の状態が判別できるようになっている。その構成としては、変流器11の出力電流I12を4mA〜20mAに変換する出力変換回路15を備え、変流器11の出力電流I12が0Aの場合でも4mAを出力するようになっている。そして、図2に示すように変流器11から出力された電流I12は、出力変換回路15により変換されて出力電流I13が出力され、抵抗R11とオペアンプOP11とで成るレベル変換回路12で電圧に変換されてA/D変換回路13の入力レベルに合わせて出力され、A/D変換回路13でアナログ信号からデジタル信号に変換されて監視回路14に出力され、監視回路14において変流器11の出力を監視している。変流器11の出力が4mAであれば一次電流I11が流れておらず、出力が0Aであれば変流器11に異常があり、出力が4mAより大きければ正常な状態として監視回路14は判別している。出力変換回路15は多数の半導体素子により構成されていた(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【非特許文献1】株式会社ユー・アール・ディー、「電流センサ応用機器2007カタログ、Ver.23」、2007年5月発行、p.88、(4〜20mA電流変換回路)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の変流器の出力変換回路は、多数の部品で構成され、回路が複雑であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、変流器の出力電流を監視回路により監視し、変流器の出力電流が0Aのときに監視回路の出力により変流器の出力線に接続された定電流回路を開閉するスイッチング素子をオンし、監視回路に所定の電流を出力するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、一次電流が0Aの場合に変流器の出力電流が所定の電流を出力する出力変換回路を簡単な構成で実現できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
出力変換回路は電源と変流器の出力線間に接続され、電源に接続されて一定の電流を出力する定電流回路と、定電流回路に接続されて回路を開閉するスイッチング素子とで構成し、変流器の出力が0Aであることを監視回路が検出すると、監視回路は出力変換回路に信号を出力してスイッチング素子をオンし、出力変換回路から一定の電流を出力する。変流器が正常な場合はレベル変換回路の抵抗と変流器の巻き線の抵抗との合成抵抗に電流が流れ、変流器が異常な場合はレベル変換回路の抵抗だけに電流が流れるので、監視回路に入力される電圧が変化する。監視回路は入力される電圧の大きさから変流器が正常かどうかを判別する。
【実施例1】
【0008】
本発明に係る変流器の出力変換回路の実施例1を図1の添付図面に基づいて説明する。
【0009】
変流器1は、一次電流I1が流れたときに変流器1から出力される出力電流I2を電圧に変換し、A/D変換回路の入力レベルに合わせて出力するための抵抗R1とオペアンプOP1とで成るレベル変換回路2と、レベル変換回路2から入力された電圧をアナログ信号からデジタル信号に変換して出力するA/D変換回路3と、A/D変換回路3から出力された電圧値が入力されて監視を行う監視回路4と、変流器1の出力電流I2が0Aのときに監視回路4の制御により所定の電流I3を出力する出力変換回路5とを備えている。
【0010】
出力変換回路5は電源6と変流器1の出力線間に接続され、電源6に接続されて一定の電流を出力する定電流回路7と、定電流回路7に接続されて回路を開閉するスイッチング素子8とで成り、定電流回路7として電界効果トランジスタが用いられ、スイッチング素子8にはソースを定電流回路7に接続し、ゲートを監視回路4に接続した電界効果トランジスタが用いられている。
【0011】
そして、変流器1は出力線が正常に接続されていて一次電流I1が流れている場合、レベル変換回路2により電圧に変換してA/D変換回路3に出力し、A/D変換回路3はアナログ信号からデジタル信号に変換して監視回路4に出力し、監視回路4は変流器1から正常に出力があったことを確認してデータを出力するようになっている。
【0012】
また、監視回路4において変流器1の出力が0Aであることが確認された場合は、監視回路4は出力変換回路5に信号を出力してスイッチング素子8をオンし、出力変換回路5から一定の電流I3を出力するようになっている。このとき、変流器1に異常がない場合はレベル変換回路2の抵抗R1と変流器1の巻き線R2の抵抗との合成抵抗に電流I3が流れるため、レベル変換回路2から出力される電圧VI1はR1×R2/(R1+R2)×I3となり、変流器1自体の故障や変流器1の接続不良等により変流器1に異常がある場合はレベル変換回路2の抵抗R1だけに電流I3が流れるのでレベル変換回路2から出力される電圧VI2はR1×I3となり、電圧の大きさはVI1<VI2となる。そこで、監視回路3は入力された電圧がVI1の場合は変流器1が正常であると判定し、VI2の場合は変流器1に異常があると判定する。
【0013】
このように、変流器1は簡単な回路構成で一次電流が0Aの場合に所定の電流I3を出力することができ、一次電流I1が0Aの場合に変流器1が正常かどうか判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る変流器の出力変換回路を説明する回路図である。
【図2】従来の変流器の出力変換回路を説明する回路図である。
【符号の説明】
【0015】
1 変流器
2 レベル変換回路
3 A/D変換回路
4 監視回路
5 出力変換回路
6 電源
7 定電流回路
8 スイッチング素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変流器の出力電流を監視回路により監視し、前記変流器の出力電流が0Aのときに前記監視回路の出力により前記変流器の出力線に接続された定電流回路を開閉するスイッチング素子をオンし、前記監視回路に所定の電流を出力するようにしたことを特徴とする変流器の出力変換回路。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−25055(P2009−25055A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186406(P2007−186406)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】