説明

変異原性複素環

本発明は、化合物、ならびに化合物を抗ウイルス剤および抗癌化学療法剤として使用する方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2003年12月19日に出願された米国特許出願第60/530,934号に対して優先権を主張する。米国特許出願第60/530,934号はその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究または開発によってなされた発明に対する権利の記載
該当なし
【0003】
発明の背景
AIDS、肝炎、気道のライノウイルス感染、インフルエンザ、麻疹、ポリオなど、人類の最大の医学的脅威の一部はウイルスによって引き起こされる。RNAウイルスまたはRNA中間体を介して複製するDNAウイルスによって引き起こされる慢性持続性疾患は、B型肝炎およびC型肝炎ならびにHIVなど数多くあり、治療が難しい。ヒトの多くの一般的な病気はRNAウイルスによって引き起こされる。RNAウイルスはウイルスがコードするRNAレプリカーゼによって複製する。このグループには、インフルエンザ(Zurcher, et al., J. Gen. Virol. 77: 1745 (1996))、デング熱(Becker, Virus-Genes 9: 33 (1994))、およびライノウイルス感染(Horsnell, et al.,J. Gen. Virol., 76: 2549 (1995))が含まれる。動物もまた、ネコの白血病および免疫不全症、ヒツジのビスナ・マエディ(Visna maedi)、ウシのウイルス性下痢、ウシの粘膜病、ならびにウシの白血病を含む、多種多様なRNAウイルス性疾患に罹患する。ワクチンの中にはDNAウイルスに使用できるものもあるが、B型肝炎などの疾患は依然として蔓延している。B型肝炎は、RNA中間体を介してゲノムを複製するDNAウイルスによって引き起こされる (Summers and Mason,Cell 29 : 4003 (1982))。予防薬として有効なワクチンが存在するが、慢性持続性B型肝炎ウイルス(HBV)感染は治療を行っても、少数の患者しか治癒しない。
【0004】
DNAウイルスおよびレトロウイルスによる感染の治療のために、鎖終結(chain terminating)ヌクレオシド類似体が広範囲に用いられている。これらの類似体は、DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素によってDNAに組み込まれるように設計されている。類似体は組み込まれるとこれ以上伸長することができず、従って、DNA合成を終結する。残念なことに、このような鎖終結類似体に対する耐性が生じるように直ぐに選択圧がかかり、これによって、ウイルスポリメラーゼにヌクレオシド類似体の組み込みを阻止する変異が生じる。
【0005】
別の方法は、ウイルスゲノムに優先的に組み込まれる変異原性デオキシリボヌクレオシド(MDRN)または変異原性リボヌクレオシド(MRN)を使用する方法である。MDRNは、ウイルス逆転写酵素またはDNAポリメラーゼ酵素によってDNAに組み込まれる。MRNは、ウイルスRNAレプリカーゼによってウイルスRNAに組み込まれる。結果として、ウイルスゲノムに変異が生じるので、不活性型ウイルスタンパク質が産生されることで、全てのウイルスタンパク質が影響を受ける。これらの変異は存続し続け、ウイルスの複製サイクルごとに蓄積する。最終的に、非常に多くの変異によって、ウイルスの機能、複製、またはトランスフェクションに必要な遺伝子が不活化し、これによってウイルスの生活環が止まる。MDRNおよびMRNは特定のウイルスタンパク質を標的としないので、耐性が生じる可能性は低い。
【0006】
注目すべきMDRNの1つは、5-アザ-2'-デオキシシチジン(5-アザ-dC)である。この抗新生物剤は白血病患者において試験されており、優先的にDNAを脱メチル化することによって作用すると考えられている。メチル化は、腫瘍増殖抑制遺伝子および分化遺伝子を抑制すると考えられている。興味深いことに、5-アザ-dCは他の標的に影響を及ぼす。例えば、5-アザ-dCはインビトロでHIV複製を阻害することが示されたが、その作用機序は突き止められなかった(例えば、Bouchard et al, Antimicrob. Agents Chemother. 34: 206-209 (2000)参照)。5-アザ-dCから5-アザ-2'-デオキシウリジン(5-アザ-dU)へ脱アミノすると、抗新生物活性が失われることが示されている(例えば、Momparler, et al., Leukemia. 11: 1-6 (1997)参照)。
【0007】
MDRNである5-アザ-dC、そのMRN類似体である5-アザシチジン(5-アザ-C)、およびその変異体はウイルス性疾患および癌の治療に期待が持てるが、これらの化合物は不安定でもあり、再構成の際に急速に分解する。例えば、pH7.0において、5-アザ-dCは、25℃の温度で5時間後に、50℃の温度で0.5時間後に10%分解する(例えば、Van Groeningen et al., Cancer Res. 46: 4831-4836 (1986)参照)。従って、これらの化合物の治療用途は限られている。
【0008】
従って、MDRNまたはMRNとして作用する新たな化合物クラスが必要とされている。本発明は、いくつかの新たな化合物クラスを提供する。
【発明の開示】
【0009】
発明の簡単な概要
本発明は、MDRNまたはMRNの新たな化合物クラス、ならびにこれらの新たな化合物クラスを抗ウイルス剤および抗癌化学療法剤として使用する方法を提供する。従って、第1の局面では、本発明の化合物は、プリン様ピリミジンおよび尿素誘導体、三環式プリン、開環プリン、ピリミジン様オンエンドプリン(pyrimidine-like on-end purine)、ならびに二環式プリン-ピリミジンから選択されるメンバーである。
【0010】
第2の局面において、本発明の化合物は、治療有効量の化合物をウイルス性疾患の治療を必要とする患者に投与することによって、ウイルス性疾患を治療するのに用いられる。
【0011】
本発明の第3の局面において、本発明の化合物は、治療有効量の化合物を癌の治療を必要とする患者に投与することによって、癌を治療するのに用いられる。
【0012】
第4の局面において、本発明は、薬学的に許容される担体および本発明の化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0013】
本発明のこれらのおよび他の局面、目的、ならびに利点は、以下の詳細な説明から明らかであろう。
【0014】
発明の詳細な説明
I.序論
本発明は、5種類の化合物クラス:プリン様ピリミジンおよび尿素誘導体、三環式プリン、開環プリン、ピリミジン様オンエンドプリン、ならびに二環式プリン-ピリミジンに関する。これらの化合物クラスは、細胞培養におけるウイルス複製の阻害に有用であり、ならびに動物およびヒトにおける抗ウイルス治療において有用である。1つの態様において、本発明の化合物および方法は、RNAウイルス(RNAゲノムを有するウイルス)、ならびにレトロウイルスまたはRNA中間体によって複製される他のウイルスを標的化するのに用いられた時に有利である。別の態様において、本発明の化合物および方法は、DNAウイルス(DNAゲノムを有するウイルス)(例えば、 B型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、およびパピローマウイルス)を標的化するのに有利である。1つの態様において、化合物は、ウイルスによってコードされるウイルスゲノムポリヌクレオチド配列と、細胞によってコードされるウイルスゲノムポリヌクレオチド配列の両方に組み込まれ、それによって、塩基誤対合を可能にするミスコーディングを(例えば、互変異性によって)ゲノムウイルスの子孫コピーに引き起こす(例えば、Moriyama et al., Nucleic Acids Symp. Ser. 42: 131-132 (1999); Robinson et al., Biochemistry 37: 10897-10905 (1998); Anensen et al., Mutat. Res. 476: 99-107 (2001); Lutz et al.,Bioorg. Med. Chem. Lett. 8: 499- 504 (1998); およびKlungland et al., Toxicology Lett. 119: 71-78(2001)参照)。
【0015】
本発明の化合物は、細胞培養における癌細胞の増殖を阻害するのに有用であり、ならびに動物およびヒトにおける癌治療において有用である。例示的な態様において、癌は、白血病またはリンパ腫などの造血癌である。ある態様では、化合物は、動物またはヒトの血流に効率的に取り込まれ、その後に、癌細胞のポリヌクレオチド配列(DNAまたはRNAのいずれか)に組み込まれる。本発明の化合物は塩基対合特性が変化しており、このために、変異が癌細胞のゲノムに組み込まれ、ゲノムを効率的に複製する癌細胞の能力が劇的に弱められる。別の態様において、変異はmRNA分子またはtRNA分子などの転写産物に組み込まれ、それによって、活性タンパク質をコードする癌細胞の能力が劇的に弱められる。これらの変異の結果として、癌細胞は死滅するか、増殖速度が遅くなるか、増殖も転移もすることができない。
【0016】
II.定義
置換基は左から右に書かれる従来の化学式によって表記された場合、構造を右から左に書くことによって得られる化学的に同一の置換基を等しく含む。例えば、-CH2O-は-OCH2-も示していることが意図され、-NHS(O) 2-も-S(O) 2HN-を示していることが意図される。
【0017】
用語「アルキル」はそれ自体で、または別の置換基の一部として、特別の定めのない限り、直鎖もしくは分枝鎖または環式炭化水素ラジカル、あるいはその組み合わせを意味し、完全に飽和していてもよく、一不飽和または多価不飽和でもよく、指定された数の炭素原子を有する、二価および多価のラジカルを含んでもよい(すなわち、C1-C10は1〜10個の炭素を意味する)。飽和炭化水素ラジカルの例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、その同族体および異性体(例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル)などの基が挙げられるが。これに限定されない。不飽和アルキル基は、1つまたはそれ以上の二重結合または三重結合を有するアルキル基である。不飽和アルキル基の例として、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-および3-プロピニル、3-ブチニル、およびそれより高級の同族体および異性体が挙げられるが。これに限定されない。用語「アルキル」はまた、特別の定めのない限り、「ヘテロアルキル」などの以下でさらに詳細に定義されるアルキルの誘導体を含むことが意図される。
【0018】
用語「アルキレン」はそれ自体で、または別の置換基の一部として、アルカンから誘導された二価ラジカルを意味し(-CH2CH2CH2CH2-で例示されるが、これに限定されない)、「ヘテロアルキレン」として以下で説明される基をさらに含む。一般的に、アルキル(またはアルキレン)基は1〜24個の炭素原子を有し、本発明では10個以下の炭素原子を有する基が好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、一般的に、8個以下の炭素原子を有する、さらに短い鎖のアルキル基またはアルキレン基である。
【0019】
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、および「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)は従来の意味で用いられ、それぞれ、酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して分子の残りの部分に取り付けられているアルキル基を意味する。
【0020】
「アシル」は、カルボン酸から酸素原子が取り除かれた残りである部分(すなわち、-C(O)R) を意味する(式中、Rは、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである)。
【0021】
用語「ヘテロアルキル」はそれ自体で、または別の用語と組み合わせて、特別の定めのない限り、決まった数の炭素原子と、O、N、S、およびSiからなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子からなる、安定した直鎖もしくは分枝鎖または環式炭化水素ラジカル、あるいはその組み合わせを意味する(ここで、窒素原子および硫黄原子は、任意に、酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は、任意に、四級化されていてもよい)。1つまたはそれ以上のヘテロ原O、N、S、およびSiは、ヘテロアルキル基のどの内部位置に配置されてもよく、分子の残りの部分にアルキル基が取り付けられている位置に配置されてもよい。例として、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O) 2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3) 3、-CH2-CH=N-OCH3、および-CH=CH-N(CH3)-CH3が挙げられるが、これに限定されない。2個までのヘテロ原子が連続してもよい(例えば、-CH2-NH-OCH3および-CH2-O-Si(CH3) 3)。同様に、用語「ヘテロアルキレン」はそれ自体で、または別の置換基の一部として、ヘテロアルキルから誘導された二価ラジカルを意味する(-CH2-CH2-S-CH2-CH2-および-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-で例示されるが、これに限定されない)。ヘテロアルキレン基の場合、ヘテロ原子はまた鎖末端の一方または両方を占有してもよい(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。なおさらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基の場合、連結基の方向は、連結基の式が書かれている方向で示されない。例えば、式-C(O) 2R'-は-C(O) 2R'-と-R'C(O) 2-の両方を表している。
【0022】
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、それ自体で、または別の用語と組み合わせて、特別の定めのない限り、それぞれ、「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環式バージョンを示す。さらに、ヘテロシクロアルキルについては、ヘテロ原子は、分子の残りの部分にヘテロ環が取り付けられている位置を占有してもよい。シクロアルキルの例として、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、これに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例として、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0023】
用語「アリール」は、特別の定めのない限り、多価不飽和(一般的に、芳香族)炭化水素置換基を意味し、1つの環でもよく、一緒に縮合しているか共有結合している複数の環(3環まで)でもよい。用語「ヘテロアリール」は、N、O、およびSから選択される0〜4個のヘテロ原子を含むアリール基(または環)を意味する(ここで、窒素原子および硫黄原子は、任意に、酸化されていてもよく、1つまたはそれ以上の窒素原子は、任意に、四級化されていてもよい)。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残りの部分に取り付けられてもよい。アリール基およびヘテロアリール基の非限定的な例として、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、および6-キノリルが挙げられる。前記のアリールおよびヘテロアリール環構造のそれぞれの置換基は、以下で説明する許容可能な置換基の群から選択される。
【0024】
簡潔にするために、用語「アリール」は他の用語と組み合わせて用いられる場合(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)、前記のアリール環とヘテロアリール環の両方を含む。従って、用語「アリールアルキル」は、アリール基がアルキル基に取り付けられているラジカル(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)を含むことが意図される(炭素原子(例えば、メチレン基)が、例えば、酸素原子で置換されているアルキル基(例えば、フェノキシメチル、2-ピリジルオキシメチル、3-(1-ナフチルオキシ)プロピルなど)を含む)。
【0025】
用語「ハロ」または「ハロゲン」はそれ自体で、または別の置換基の一部として、特別の定めのない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことが意図される。例えば、用語「ハロ(C1-C4)アルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含むが、これに限定されないことが意図される。
【0026】
アルキルおよびヘテロアルキルラジカル(多くの場合、アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと呼ばれる基を含む)の置換基は、0〜(2m'+1)の数で(式中、m'は、このようなラジカルにおける炭素原子の総数である)、-OR'、=O、=NR'、=N-OR'、-NR'R''、-SR'、-ハロゲン、-SiR'R''R'''、-OC(O)R'、-C(O)R'、-CO2R'、-CONR'R''、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR'-C(O)NR''R'''、-NR''C(O) 2R'、-NR-C(NR'R''R''')=NR''''、-NR-C(NR'R'')=NR'''、-S(O)R'、-S(O) 2R'、-S(O) 2NR'R''、-NRSO2R'、-CN、および-NO2から選択されるが、これに限定されない様々な基の1つまたはそれ以上でもよい。R'、R''、R'''、およびR''''はそれぞれ、好ましくは、独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール(例えば、1〜3個のハロゲンで置換したアリール)、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を意味する。本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合、例えば、R基はそれぞれ独立して、これらの基の2つ以上が存在する時にそれぞれR'、R''、R'''、およびR''''基となるように選択される。R'およびR''が同じ窒素原子に取り付けられる場合、窒素原子と組み合わせて、5員環、6員環、または7員環を形成してもよい。例えば、-NR'R''は、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むが、これに限定されないことが意図される。置換基の前記の議論から、当業者であれば、用語「アルキル」は、ハロアルキル(例えば、-CF3および-CH2CF3)およびアシル(例えば、-C(O)CH3、-C(O)CF3、-C(O)CH2OCH3など)などの、水素基以外の基に結合している炭素原子を含有する基を含むことが意図されることを理解するだろう。
【0027】
アルキルラジカルについて説明した置換基と同様に、アリール基およびヘテロアリール基の置換基は多種多様にあり、例えば、0から芳香環構造上のオープンバレンス(open valence)の総数の数で、ハロゲン、-OR'、=O、=NR'、=N-OR'、-NR'R''、-SR'、-ハロゲン、-SiR'R''R'''、-OC(O)R'、-C(O)R'、-CO2R'、-CONR'R''、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR'-C(O)NR''R'''、-NR''C(O) 2R'、-NR-C(NR'R'')=NR'''、-S(O)R'、-S(O) 2R'、-S(O) 2NR'R''、-NRSO2R'、-CNおよび-NO2、-R'、-N3、-CH(Ph) 2、フルオロ(C1-C4)アルコキシ、およびフルオロ(C1-C4)アルキルから選択される。R'、R''、R'''、およびR''''はそれぞれ、好ましくは、独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール(例えば、1〜3個のハロゲンで置換したアリール)、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を意味する。本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合、例えば、R基はそれぞれ独立して、これらの基の2つ以上が存在する時にそれぞれR'、R''、R'''、およびR''''基となるように選択される。
【0028】
アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子にある置換基のうちの2つは、式-T-C(O)-(CRR') q-U-の置換基で置換されていてもよい。式中、TおよびUは、独立して、-NR-、-O-、-CRR'-、または単結合であり、qは0〜3の整数である。または、アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子にある置換基のうちの2つは、式-A-(CH2) r-B-の置換基で置換されていてもよい。式中、AおよびBは、独立して、-CRR'-、-O-、-NR-、-S-、-S(O)-、-S(O) 2-、-S(O) 2NR'-、または単結合であり、rは1〜4の整数である。このように形成された新たな環の単結合のうちの1つは二重結合で置換されていてもよい。または、アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子にある置換基のうちの2つは、式-(CRR') S-X-(CR''R''') d-の置換基で置換されていてもよい。式中、sおよびdは独立して0〜3の整数であり、Xは、O-、-NR'-、-S-、-S(O)-、-S(O) 2-、または-S(O) 2NR'-である。置換基R、R'、R''、およびR'''は、好ましくは、独立して、水素または置換もしくは非置換(C1-C6)アルキルから選択される。
【0029】
本明細書で使用する用語「ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、およびケイ素(Si)を含む。
【0030】
「部分」は、別の構造に取り付けられている分子のラジカルを意味する。
【0031】
記号「R」は、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、および置換または非置換ヘテロシクリル基から選択される置換基を表す一般的な略語である。
【0032】
本明細書で使用する「反応性官能基」は、オレフィン、アセチレン、アルコール、フェノール、エーテル、オキシド、ハライド、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、アミン、ヒドラジン、ヒドラゾン、ヒドラジド、ジアゾ、ジアゾニウム、ニトロ、ニトリル、メルカプタン、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、スルホン酸、スルフィン酸、アセタール、ケタール、無水物、サルフェート、スルフェン酸、イソニトリル、アミジン、イミド、イミダート、ニトロン、ヒドロキシルアミン、オキシム、ヒドロキサム酸、チオヒドロキサム酸、アレン、オルトエステル、スルフィット、エナミン、インアミン(ynamine)、尿素、シュードウレア(pseudourea)、セミカルバジド、カルボジイミド、カルバメート、イミン、アジド、アゾ化合物、アゾキシ化合物、およびニトロソ化合物を含むが、これに限定されない基を意味する。反応性官能基はまた、バイオコンジュゲートを調製するのに用いられる反応性官能基(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミドなど)を含む。これらの官能基のそれぞれを調製する方法は当技術分野において周知であり、ある特定の目的に使用すること、またはある特定の目的のために改良することは、当業者の能力の範囲内である(例えば、Sandler and Karo, eds. ORGANIC FUNCTIONAL GROUP PREPARATIONS, Academic Press, San Diego,1989参照)。
【0033】
本明細書で使用する「保護基」は、ある特定の反応条件下で実質的に安定であるが、異なる反応条件下では基材から切断される基材の一部である。保護基はまた、本発明の化合物の芳香環成分の直接酸化に加わるように選択することができる。有用な保護基の例については、例えば、Greene et al., PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS, John Wiley & Sons, New York, 1991参照。
【0034】
記号

は、結合として用いられても、結合に対して直角方向に表示されても、表示された部分が、分子の残りの部分、固体支持体などに取り付けられている点を表す。
【0035】
用語「本発明の化合物」は、疎水性プロドラッグならびに疎水性プロドラッグの改変されていない親化合物を含む。
【0036】
用語「プロドラッグ」は、化学基の付加によって改変されている、活性薬物の誘導体を含む。この化学基は、通常、薬物の生物学的活性を下げるか、または無くすのと同時に、薬物に他の特性を付与する。加水分解、還元、酸化、光、熱、キャビテーション、圧力、および/または周囲の環境にある酵素によって、化学基がプロドラッグから切断されると、活性薬物が生成される。プロドラッグを可逆的薬物誘導体として設計し、部位特異的組織への薬物輸送を促進するモディファイアー(modifier)として使用することができる。プロドラッグは、当技術分野において、例えば、R. L.Juliano (ed.), BIOLOGICAL APPROACHES TO THE CONTROLLED DELIVERY OF DRUGS, Annals of the New York Academy of Sciences, Vol 507 (1998); Hans Bundgaard (ed.), DESIGN OF PRODRUGS, Elsevier Science, (1986)およびKenneth Sloan (ed.),PRODRUGS : TOPICAL AND OCULAR DRUG DELIVERY, Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 53 (1992)において説明されている。
【0037】
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書に記載の化合物に見られる特定の置換基に応じて、比較的無毒の酸または塩基を用いて調製された活性化合物の塩を含む。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含む場合、中性型のこのような化合物と十分な量の望ましい塩基を、適切な不活性溶媒の近くで、または適切な不活性溶媒の中で接触させることによって、塩基添加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基添加塩の例として、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩、もしくはマグネシウム塩、または類似の塩が挙げられる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、中性型のこのような化合物と十分な量の望ましい酸を、適切な不活性溶媒の近くで、または適切な不活性溶媒の中で接触させることによって、酸添加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸添加塩の例として、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸一水素、ヨウ化水素酸、またはホスホン酸などのような無機酸から得られた酸添加塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などのような比較的無毒の有機酸から得られた酸添加塩が挙げられる。アルギナートなどのアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸などの有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge et al., 「Pharmaceutical Salts」, Journal of Pharmaceutical Science 66: 1-19 (1997)参照)。本発明のある特定の化合物は、化合物を塩基添加塩または酸添加塩に変換することができる塩基性官能基と酸性官能基の両方を含む。
【0038】
中性型の化合物は、好ましくは、塩と塩基または酸を接触させ、従来の方法で親化合物を単離することによって再生される。親型の化合物は、極性溶媒における溶解度などの、ある特定の物理的性質の点で様々な塩形態と異なるが、他の点では、塩は本発明の目的で親型の化合物と等価である。
【0039】
塩の形態に加えて、本発明はプロドラッグ形態の化合物を提供する。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で化学的変化を容易に受けて、本発明の化合物を生じる化合物である。さらに、プロドラッグは、エクスビボ環境において、化学的方法または生化学的方法によって本発明の化合物に変換することができる。例えば、プロドラッグを、適切な酵素または化学試薬を含む経皮パッチリザーバーの中に入れると、本発明の化合物にゆっくりと変換することができる。
【0040】
本発明のある特定の化合物は、非溶媒和形態ならびに溶媒和形態(水和形態を含む)で存在してもよい。一般的に、溶媒和形態は非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲に含まれる。本発明のある特定の化合物は、複数の結晶形態または非結晶形態で存在してもよい。一般的に、本発明によって意図される用途にとって、全ての物理的形態が等価であり、本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0041】
本発明のある特定の化合物は互変異性形態で存在してもよい。一般的に、全ての互変異性形態が等価であり、本発明の範囲に含まれる。
【0042】
本発明のある特定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有する。ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、および個々の異性体は本発明の範囲に含まれる。
【0043】
本発明の化合物は、1種類の異性体(例えば、鏡像異性体、シス−トランス異性体、位置異性体、ジアステレオマー)として調製されてもよく、異性体の混合物として調製されてもよい。例示的な態様において、化合物は、実質的に1種類の異性体として調製される。実質的に異性的に純粋な化合物を調製する方法は当技術分野において公知である。例えば、鏡像異性的に濃縮されている混合物および純粋な鏡像異性化合物は、鏡像異性的に純粋である合成中間体と、キラル中心の立体配置を変えないか、または完全に反転させる反応を併用することによって調製することができる。または、最終生成物または合成経路に沿った中間体を分離して、1種類の立体異性体にすることができる。ある特定の立体中心を反転させる技法、またはある特定の立体中心を変えない技法、および立体異性体の混合物を分離する技法は当技術分野において周知であり、ある特定の状況のために当業者が方法を選択および使用する能力に十分収まっている。概要については、Furniss et al. (eds. ), VOGEL's ENCYCLOPEDIA OF PRACTICAL ORGANIC CHEMISTRY 5TH ED. , Longman Scientific and Technical Ltd. , Essex, 1991, pp. 809-816;およびHeller, Acc. Chem. Res. 23: 128 (1990)参照。
【0044】
本発明の化合物はまた、このような化合物を構成する原子の1つまたはそれ以上で、自然にはない比率の原子同位体を含んでもよい。例えば、化合物は、放射性同位体(例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)、または炭素-14(14C))で放射標識されてもよい。本発明の化合物の全ての同位体バージョンは、放射性でも放射性でなくても、本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0045】
用語「ウイルス性疾患」は、ウイルスによって引き起こされる病気を意味する。ウイルス性疾患は、DNAウイルス、RNAウイルス、またはレトロウイルスによって引き起こされる。
【0046】
本明細書で使用する用語「塩基」は、糖部分に共有結合することができるアリール構造およびヘテロアリール構造を含む。例として、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルなどの天然塩基が挙げられる。「塩基」はまた、ニトロインドール、5-アザ-シトシン、およびジヒドロ-5-アザ-シトシンなどの非天然塩基を含む。
【0047】
本明細書で使用する用語「ヌクレオシド」は、天然ヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン、およびウリジン)、ならびにその修飾を含む。修飾として、ヌクレオシドに、さらなる変化、分極、水素結合、および静電相互作用を組み込む化学基をもたらすものが挙げられるが、これに限定されない。このような修飾として、ペプチド核酸(PNAs)、2'位の糖修飾、5位のピリミジン修飾、8位のプリン修飾、環外アミンでの修飾、4-チオウリジンの置換、5-ブロモまたは5-ヨード-ウラシルの置換;バックボーン修飾、メチル化、イソ塩基(isobase)(例えば、イソシチジンおよびイソグアニジン)などが挙げられるが、これに限定されない。「ヌクレオシド」はまた、例えば、ニトロインドール、5-アザ-シチジン、5-アザ-2'-デオキシシチジン、およびジヒドロ-5-アザ-2'-デオキシシチジンなどの非天然塩基を含んでもよい。修飾はまた、クエンチャー、フルオロフォア、または別の部分による誘導体化を含んでもよい。「ヌクレオチド」はヌクレオシドのリン酸エステルである。ヌクレオシドに用いられる化学反応の多くはヌクレオチドにも使用することができる。
【0048】
本明細書で使用する「核酸」は、塩基、ヌクレオシド、およびヌクレオチド、ならびにこれらの修飾を含む。修飾の例は、前記の「ヌクレオシド」の定義に列挙されている。
【0049】
「ポリヌクレオチド配列」は、一本鎖型または二本鎖型いずれかのデオキシリボヌクレオチド重合体またはリボヌクレオチド重合体である。特別の限定のない限り、「ポリヌクレオチド配列」は天然ヌクレオチドの類似体を含む。
【0050】
「ゲノムポリヌクレオチド配列」は、ウイルス粒子によってパッケージングされている天然ポリヌクレオチド配列(RNAまたはDNA)と相同なヌクレオチド重合体である。一般的に、パッケージングされているポリヌクレオチド配列は、ウイルス複製に必要な成分の一部または全てをコードしている。ゲノムポリヌクレオチド配列は、任意に、ヌクレオチド類似体を含む。ポリヌクレオチド配列は、共通配列を有するポリヌクレオチド配列(「先祖」ポリヌクレオチド配列)の天然の修飾または人為的な修飾によって、先祖ポリヌクレオチド配列から得られた時に相同である。任意に、レトロウイルスゲノムポリヌクレオチド配列は、レトロウイルス粒子によってパッケージングされる能力のあるRNAをコードする。このようなポリヌクレオチド配列は、パッケージング部位と、えり抜きのポリヌクレオチド配列を組換えによって結合することによって構築することができる。
【0051】
「ウイルスに感染した細胞」は、ウイルスポリヌクレオチド配列が形質導入された細胞である。ポリヌクレオチド配列は細胞ゲノムに組み込まれてもよく、エピソームでもよい。
【0052】
ウイルスまたはポリヌクレオチド配列の「変異率」は、(例えば、ポリメラーゼによって)ポリヌクレオチド配列のコピーを作る際に生じる変化の数を意味する。一般的に、これは経時的に測定される。すなわち、ウイルスのコピー作成間または世代間に生じる変化の数が測定される。
【0053】
「ポリメラーゼ」は、既存のポリヌクレオチドテンプレート(DNAまたはRNA)に相補的なポリヌクレオチド配列(DNAまたはRNA)を生成する酵素を意味する。例えば、RNAポリメラーゼはRNAポリメラーゼ(ウイルス性または細胞性)でもよく、レプリカーゼでもよい。ポリメラーゼは天然のものでもよく、人工的に(または組換えにより)生成されたものでもよい。
【0054】
「細胞培養物」は、動物の外側に存在する細胞集団である。これらの細胞は、任意に、初代細胞(細胞バンク、動物、または血液銀行から単離されたもの)でもよく、二次細胞(前記の供給源の1つから培養されたもの)でもよく、寿命が長く人為的に維持されたインビトロ培養物でもよい。
【0055】
「生存能力の漸進的な喪失」は、経時的な、または本発明の化合物による治療に応答した、ウイルス集団の複製能力または感染能力の測定可能な低下を意味する。
【0056】
「ウイルス粒子」は、RNAウイルスまたはRNA中間体を有するウイルス(例えば、BVDV、HCV、またはHIV)によって実質的にコードされる遺伝物質である。粒子における非ウイルス成分または細胞成分の存在は、一般的に細胞膜からの出芽を含むウイルス複製プロセスのよくある結果である。
【0057】
「HIV粒子」は、HIVによって実質的にコードされるレトロウイルス粒子である。粒子における非HIVウイルス成分または細胞成分の存在は、一般的に細胞膜からの出芽を含むHIV複製プロセスのよくある結果である。ある応用例では、結果として生じるレトロウイルス粒子の宿主域を広げるために、2種類以上のウイルス(多くの場合、HIVおよび水疱性口内炎ウイルス(VSV))に由来するウイルスタンパク質を同時発現させることによって、レトロウイルス粒子のシュードタイプが故意に作成される。HIV粒子における非HIV成分の有無によって粒子の本質的な性質は変わらない。すなわち、粒子は依然としてHIV複製の一次産物として産生される。
【0058】
本明細書で使用する「癌」は、固形腫瘍および血液学的悪性腫瘍を含む。前者は、乳癌、結腸癌、および卵巣癌などの癌を含む。後者は、白血病、リンパ腫、および骨髄腫を含む造血悪性腫瘍を含む。本発明は、様々なタイプの癌を治療および/または予防するための新しい有効な方法および組成物を提供する。
【0059】
用語「患者」は、マウス、ラット、イヌ、またはヒトなどの任意の温血動物を意味する。
【0060】
「薬学的に許容される」成分は、妥当なベネフィット/リスク比と釣り合った、過度の副作用(例えば、毒性、刺激、およびアレルギー反応)のない、患者において使用するのに適した成分である。
【0061】
「安全有効量」または「治療有効量」は、過度の副作用(例えば、毒性、刺激、またはアレルギー反応)なく、望ましい治療応答を生じるのに十分な成分量を意味する。ある態様では、望ましい治療応答は、ウイルス変異誘発の促進、ウイルスが活性タンパク質を産生する能力の低下、ウイルス複製の阻害、ウイルスが感染粒子を産生する能力の消失もしくは低下、またはウイルスもしくはウイルスに感染した細胞の死滅である。他の態様では、治療応答は、癌の増殖の停止もしくは遅延、または癌の縮小もしくは転移阻止である。特定の安全有効量または治療有効量は、治療している特定の病気、患者の身体状態、治療している患者のタイプ、治療期間、併用治療の種類(もしあれば)、使用する特定の処方物、および化合物またはその誘導体の構造などの要因によって異なる。
【0062】
III.化合物
本発明の化合物クラスを以下のA〜Eの項で説明する。各項には2つのパートがある。パートi)では、各クラスの化合物が説明される。パートii)では、各クラスの合成が説明される。本発明の化合物は市販の出発材料および試薬から容易に合成される。
【0063】
A.プリン様ピリミジンおよび尿素誘導体
i)化合物
ある態様では、化合物は以下の式:

を有する。式中、R1およびR2は、HおよびOR5から独立して選択されるメンバーである。R5は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、およびP(O)(R6)(R7)から選択されるメンバーである。記号R6およびR7は、OR8、NR8R9、OCH2CH2CN、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヌクレオシド、および置換または非置換アミノ酸から独立して選択されるメンバーである。R8およびR9は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーである。記号R3およびR3aは、H、OR10、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーである。R10は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、ヒドロキシル、およびハロゲンから選択されるメンバーである。Xは、N、CR11、S、およびOから選択されるメンバーである。記号R11は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、ヒドロキシル、およびハロゲンから選択されるメンバーである。記号R4は、

から選択されるメンバーである。X1は、N、S、およびOから選択されるメンバーである。X1には以下の条件がある。X1がOおよびSから選択されれば、pは0である。また、X1がNであれば、pは1であり、R15は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。記号R12およびR13は、H、ハロゲン、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、NHR16、NR16NHR17、NR16およびOR17から独立して選択されるメンバーである。化合物IIの場合、R12はハロゲンでない。R16およびR17は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから独立して選択されるメンバーである。記号R14は、H、置換または非置換アルキル、アルケニルまたはアルキニル、OR18、COR18、NHR19、およびハロゲンから選択されるメンバーである。R18は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。記号R19は、HおよびOR20から選択されるメンバーである。記号R20は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。記号R4aは、H、ハロゲン、ヒドロキシル、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、CHO、C(O)NHR21、およびCNから選択されるメンバーである。R21は、置換または非置換アルキルおよび置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。最後に、記号nは、0および1から選択される整数である。
【0064】
ii)合成
本発明は、プリン様ピリミジンおよび尿素誘導体を作成する2種類の合成法を提供する。
【0065】
a)方法I
プリン様ピリミジンおよび尿素誘導体は以下の方法で合成することができる。

【0066】
五炭糖1と一級アミン2を反応させて、化合物3を形成する。酸性条件でアセトンを添加することによって、2'および3'の五炭糖ヒドロキシル基を保護して、化合物4を形成する。化合物4を化合物5と反応させることによって、化合物6に変換する。次いで、化合物6にあるニトロ置換フェノキシ基を化合物7と反応させることによって除去して、化合物8を生成する。酸後処理によって化合物8から保護基を除去して、化合物9を得る。
【0067】
b)方法2
プリン様ピリミジンおよび尿素誘導体は以下の方法でも合成することができる。

【0068】
この方法では、化合物4と置換イソシアナート10を反応させて、化合物8を生成する。酸後処理によって化合物8から保護基を除去して、化合物9を得る。
【0069】
c)方法3
プリン様ピリミジンおよび尿素誘導体は以下の方法でも合成することができる。

【0070】
この方法では、化合物3と化合物11を反応させて、化合物12を生成する。置換アミン7を化合物12に添加して、化合物13を生成する。次いで、化合物13とメトキシドイオンを反応させて、化合物14を生成する。ヨウ素トリメチルシリル(trimethylsilyl iodine)と反応させ、その後に酸後処理を行うことによって、化合物15が得られる。
【0071】
d)方法4
プリン様ピリミジンおよび尿素誘導体は以下の方法でも合成することができる。

【0072】
この方法では、化合物13と一級アミン16を反応させて、化合物17を得る。酸後処理によって化合物17から保護基を除去して、化合物18を得る。
【0073】
B.三環式プリン
i)化合物
別の態様において、化合物は以下の式:

を有する。式中、R1およびR2は、HおよびOR5から独立して選択されるメンバーである。R5は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、およびP(O)(R6)(R7)から選択されるメンバーである。記号R6およびR7は、OR8、NR8R9、OCH2CH2CN、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヌクレオシド、および置換または非置換アミノ酸から独立して選択されるメンバーである。R8およびR9は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーである。記号R3およびR3aは、H、OR10、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーである。記号R10は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。R4は、

から選択されるメンバーである。記号Y、Y1、およびY2は、C、N、O、およびSから独立して選択されるメンバーである。記号s、tおよびvは、0および1から独立して選択される整数である。
【0074】
式VIIおよびVIIIの破線は、それぞれの環内原子の原子価条件を満たすように適切な結合を表す。「適切な結合」は、破線が二重結合系のうちの1つの結合を表しているか、または単結合系において余分な結合が無いことを表していることを意味する。例えば、記号s、t、およびvが1であり、R23、R24、およびR25がHであり、YがNであり、Y1がCであり、Y2がCであれば、YおよびY1は単結合を介して共有結合しており、Y1およびY2は二重結合を介して共有結合している。この例では、YとY1の間の破線は単結合系において余分な結合が無いことを表し、Y1とY2の間の破線は二重結合系のうちの1つの結合を表している。
【0075】
R68は、(=O)、(=NH)、および(=NR27)から選択されるメンバーである。R69は、H、置換または非置換アルキル、(-OH)、(-NH2)、(-NHR27)、-CN、アジド、およびハロゲンから選択されるメンバーである。R22、R23、R24およびR25は、H、置換または非置換アルキル、OR26、NHR27、NHOR27、(=O)、(=NH)、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーである。R26は、H、および置換または非置換アルキルから選択されるメンバーである。R27は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
【0076】
この態様はまた以下の条件も含んでいる。YがNである化合物では、R23はハロゲンでない。Y1がNである化合物では、R24はハロゲンでない。Y2がNである化合物では、R25はハロゲンでない。YがOまたはSである化合物では、s=0である。Y1がOまたはSである化合物では、t=0である。Y2がOまたはSである化合物では、v=0である。R4が式VIIである化合物では、Y、Y1、Y2の少なくとも1つはNでない。
【0077】
ii)合成
三環式プリンは以下の方法で合成することができる。

【0078】
7-デアザ-ヒポキサンチン20を硝酸と反応させることによって、化合物21に変換する。化合物21のカルボニル基をPOCl3と反応させることによって、塩素に変換する。保護されているリボシル基を化合物22に添加して、化合物23を生成する。次いで、化合物23とアンモニアを反応させて、化合物24を生成する。パラジウム触媒による触媒水素添加によって化合物24のニトロ基をアミノ基に還元して、化合物25を生成する。次いで、化合物25と亜硝酸ナトリウムを反応させて、化合物26を生成する。または、化合物25とトリエトキシメタンを反応させて、化合物27を生成する。
【0079】
C.開環プリン
i)化合物
別の態様において、化合物は、以下の式:

を有する。式中、X2は、CHおよびNから選択されるメンバーである。R1およびR2は、HおよびOR5から独立して選択されるメンバーである。記号R5は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、およびP(O)(R6)(R7)から選択されるメンバーである。R6およびR7は、OR8、NR8R9、OCH2CH2CN、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヌクレオシド、および置換または非置換アミノ酸から独立して選択されるメンバーである。記号R8およびR9は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーである。R3およびR3aは、H、OR10、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーである。記号R10は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。R29およびR30は、H、置換または非置換アルキル、(=O)、(=NH)、OR70、NHR71、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーである。
【0080】
この態様はまた以下の条件も含んでいる。R29が(=O)または(=NH)である化合物では、R30は(=O)でも(=NH)でもない。R30が(=O)または(=NH)である化合物では、R29は(=O)でも(=NH)でもない。R70は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。R71は、H、NHR72、およびOR72から選択されるメンバーである。R72は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。R31は、H、(=O)、(=NR32)、N3、NR32R33、アルキル、アルケニル、およびアルキニルから選択されるメンバーである。最後に、R32およびR33は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、C(O)NH2、およびハロアルキルから独立して選択されるメンバーである。
【0081】
ii)合成
本発明は、開環プリンを作成する2種類の合成法を提供する。
【0082】
a)方法1
開環プリンは以下の方法で合成することができる。

【0083】
化合物28のアセチル基を臭素基に変換して、化合物29を形成することができる。イソシアン酸銀を使用して、化合物29の臭素基をイソシアナート基に変換して、化合物30を生成することができる。次いで、化合物30とNH2NHCHOを反応させて、化合物31を生成する。化合物31は分子内環化を受けて、化合物32を形成する。次いで、P-ニトロフェニルクロロホルメートを化合物32に添加して、化合物33を生成する。最後に、化合物33とアンモニアを反応させて、化合物34を生成する。
【0084】
b)方法2
開環プリンは以下の方法でも合成することができる。

【0085】
化合物28のアセチル基を臭素基に変換して、化合物29を形成することができる。アジ化ナトリウムと混合することによって、化合物29の臭素基をアジド基に変換して、化合物35を生成することができる。化合物35をトリフェニルホスフィンと反応させることによって、化合物36に変換する。化合物36とN-アルキルイソシアナート37と反応させて、化合物38を生成する。次いで、化合物38とNH2NHCHOを反応させて、化合物39を生成する。化合物39は分子内環化を受けて、化合物40を形成する。次いで、P-ニトロフェニルクロロホルメートを化合物40に添加して、化合物41を生成することができる。最後に、化合物41とアンモニアを反応させて、化合物42を生成する。
【0086】
D.ピリミジン様オンエンドプリン
i)化合物
ある態様では、化合物は、以下から選択されるメンバーである式を有する:

式中、R1およびR2は、HおよびOR5から独立して選択されるメンバーである。
【0087】
破線の円は、環を構成する6個の原子一つ一つの原子価条件を満たすように、環の中の適切な結合を表す。「適切な結合」は、破線が二重結合系のうちの1つの結合を表しているか、または単結合系において余分な結合が無いことを表していることを意味する。ある態様では、破線の円は芳香族系を表す。他の態様では、破線の円は芳香族系を表さない。
【0088】
破線は、ZおよびZ1の原子価条件を満たすように適切な結合を表す。「適切な結合」は、この段落ならびに段落66において、先に述べたものと同じ意味を有する。
【0089】
記号R5は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、およびP(O)(R6)(R7)から選択されるメンバーである。R6およびR7は、OR8、NR8R9、OCH2CH2CN、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヌクレオシド、および置換または非置換アミノ酸から独立して選択されるメンバーである。記号R8およびR9は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーである。R3およびR3aは、H、OR10、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーである。R10は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。記号Zは、NおよびCから選択されるメンバーである。ZがCである化合物において、Zは、Z1、Ca、およびCbから選択されるメンバーと二重結合を形成する。Z1、Z2、Z3、およびZ5は、N、O、CR36a、およびNR36bから独立して選択されるメンバーである。記号R36aは、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキル、(=O)、(=NH)、およびハロゲンから選択されるメンバーであり、R36bは、H、アルキル、NH2、OH、およびOMeから選択されるメンバーである。Z4は、NおよびCR37から選択されるメンバーである。記号R37は、H、置換または非置換アルキル、OR38、NR38R39、(=O)、(=NH)、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーである。R38は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。R39は、H、NH2、C(O)NH2、およびOR40から選択されるメンバーである。R40は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。記号R34およびR35は、H、ハロゲン、(=O)、(=NH)、置換または非置換アルキル、およびNR41R42から独立して選択されるメンバーである。R41およびR42は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから独立して選択される。式Xに従う構造を有する化合物において、Z、Z1、Z2、およびZ3の少なくとも1つはNでない。また、式XIに従う構造を有する化合物において、Z、Z1、Z2、およびZ3の少なくとも1つはNでなく、かつZ1、Z2、Z3およびZ5の少なくとも1つはNでない。言い換えると、この環構造は、互いに隣接する窒素原子を3個を超えて含むことができない。また、Z、Z1、Z2、Z3およびZ5の2つまたはそれ以上がOであれば、窒素原子と隣接しないOは1個以下という条件もある。言い換えると、化合物は、環構造において、Nと隣接しないOを1個を超えて有することができない。
【0090】
ii)合成
本発明は、ピリミジン様オンエンドプリンを作成する2種類の合成法を提供する。
【0091】
a)方法1
ピリミジン様オンエンドプリンは以下の方法で合成することができる。

【0092】
この方法では、化合物43と塩化トリメチルシリルを反応させ、次いで、チオホスゲンと反応させて、化合物44を生成する。アンモニアを化合物44に添加して、化合物45を生成する。最後に、化合物45および化合物46を反応させて、化合物47を生成する。
【0093】
b)方法2
ピリミジン様オンエンドプリンは以下の方法で合成することができる。

【0094】
この方法では、化合物43と塩化トリメチルシリルを反応させ、次いで、p-ニトロフェニルクロロホルマートと反応させて、化合物48を生成する。アンモニアを化合物48に添加して、化合物49を生成する。最後に、化合物49および化合物50を反応させて、化合物51を生成する。または、化合物49と1,1'-カルボニルジイミダゾールと反応させて、化合物52を生成する。
【0095】
E.二環式プリン-ピリミジン
i)化合物
別の態様において、化合物は以下の式を有する:

式中、R1およびR2は、HおよびOR5から独立して選択されるメンバーである。R5は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、およびP(O)(R6)(R7)から選択されるメンバーである。記号R6およびR7は、OR8、NR8R9、OCH2CH2CN、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヌクレオシド、および置換または非置換アミノ酸から独立して選択されるメンバーである。記号R8およびR9は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーである。R3およびR3aは、H、OR10、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーである。R10は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。R4は、以下:

から選択されるメンバーである。式中、破線は、原子価条件を満たすように単結合または二重結合のいずれかを表す。X2は、N、C、およびCHから選択されるメンバーである。X3、X4、およびX5は、O、S、N、およびCR11から選択されるメンバーである。R11は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、OR57、NR57R58、(=O)、(=NH)、およびハロゲンから選択されるメンバーである。R57は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。R58は、H、NH2、C(O)NH2、およびOR59から選択されるメンバーである。R59は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。R50、R51、R52、R53、およびR56は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、OR60、NR60R61、(=O)、(=NR60)、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーである。R60は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。R61は、H、NH2、C(O)NH2およびOR62から選択されるメンバーである。R62は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。R54は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、OR63、およびNR63R64から選択されるメンバーである。R63は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。R64は、H、NH2、C(O)NH2およびOR65から選択されるメンバーである。R65は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。X6は存在しないか、またはH、置換もしくは非置換アルキル、CONH2、およびC(=NH)NH2から選択されるメンバーである。
【0096】
ii)合成
本発明は、二環式プリン-ピリミジンを作成する2種類の合成法を提供する。
【0097】
a)方法1
二環式プリン-ピリミジンは以下の方法で合成することができる。

【0098】
この方法では、化合物30とN-エトキシカルボニルグアニジン(化合物53)を反応させて、化合物54を生成する。次いで、化合物54とN,O-bis(トリメチルシリル)アセトアミド(化合物55)を反応させて、化合物56を生成する。次いで、化合物56を、水酸化ナトリウムと一緒にグアニジン(化合物57)と反応させて、化合物58を生成する。次に、化合物58と水素化ホウ素ナトリウム(化合物59)を反応させて、化合物60を生成する。最後に、化合物60と1,1-カルボニルジイミダゾール(化合物61)を反応させて、化合物62を生成する。
【0099】
b)方法2
二環式プリン-ピリミジンは以下の方法でも合成することができる。

【0100】
この方法では、化合物30と2-メチル-2-チオシュードウレア(化合物63)を反応させて、化合物64を生成する。次いで、化合物64と(MeO) 3CH(化合物65)を反応させて、化合物66を生成する。次いで、化合物66と水素化ホウ素ナトリウム(化合物67)を反応させて、化合物68を生成する。次に、化合物68とラネーニッケル(化合物69)を反応させて、化合物70を生成する。最後に、化合物70とNH4OH(化合物71)を反応させて、化合物72を生成する。
【0101】
IV.ウイルス
本発明の化合物は抗ウイルス活性を有する。これらのウイルスの一部は、ウイルスゲノムを細胞ゲノムに組み込むことができる。この能力を有するウイルスの例として、レトロウイルスが挙げられるが、これに限定されない。例示的な態様において、ウイルスは、HIVおよびその変異株(例えば、HIV-1、HIV-2、HTLV-1、HTLV-II、およびSIV)である。別の態様において、ウイルスは、DNAウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV))、天然痘ウイルス、またはヒトパピローマウイルス(例えば、HPV))である。または、ウイルスゲノムはエピソームでもよい。これらは、多くのヒト病原体および動物病原体:フラビウイルス(例えば、デング熱ウイルス、西ナイルウイルス、および黄熱病ウイルス);ペスチウイルス(例えば、ウシウイルス性下痢(BVD)ウイルス)およびヘパシウイルス(例えば、C型肝炎ウイルス);フィロウイルス(例えば、エボラウイルス);パラインフルエンザウイルス(呼吸器合胞体ウイルスを含む);ルブラウイルス(例えば、おたふくかぜウイルス);麻疹ウイルス属(例えば、麻疹ウイルス);ピコルナウイルス(エコーウイルスを含む);コクサッキーウイルス;ポリオウイルス;トガウイルス(脳炎ウイルスを含む);コロナウイルス(重症急性呼吸器症候群(SARS)を含む);風疹ウイルス;ブニアウイルス;レオウイルス(ロタウイルスを含む);ラブドウイルス;アレナウイルス(例えば、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)、ならびにヒトおよび動物の他のRNAウイルスを含む。
【0102】
標的とすることができるレトロウイルスとして、HTLVウイルス(例えば、HTLV-1およびHTLV-2)、成人T細胞白血病(ATL)、HIV-1およびHIV-2、ならびにSIVが挙げられる。ある態様では、HIVウイルスは、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤に対して耐性である。ある態様では、ウイルスはA型肝炎ウイルスまたはB型肝炎ウイルスである。Knipe et al. FIELDS VIROLOGY, 4th ed. Lippincott, Williams, and Wilkins (2001)参照。ウイルス性疾患およびウイルス複製に関するさらなる情報は、White and Fenner, MEDICAL VIROLOGY, 4th ed. Academic Press (1994)およびZuckerman, Banatvala and Pattison (ed. ), PRINCIPLES AND PRACTICE OF CLINICAL VIROLOGY, John Wiley and Sons (1994)において見つけることができる。
【0103】
V.ウイルス性疾患を治療する方法
本発明の化合物、方法、および薬学的組成物はウイルス性疾患の治療において有用である。1つの局面において、本発明は、ウイルス性疾患の治療を必要とする被検体に治療有効量の本発明の化合物を投与する工程を含む、ウイルス性疾患を治療する方法を提供する。例示的な態様において、ウイルス性疾患は、RNAウイルスまたはDNAウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス)から選択されるメンバーであるウイルスによって引き起こされる。別の例示的な態様において、ウイルスはレトロウイルスおよびリボウイルスから選択される。さらに別の例示的な態様において、レトロウイルスはHIVである。さらに別の例示的な態様において、リボウイルスはC型肝炎ウイルスである。
【0104】
ウイルス性疾患の治療の1つの態様において、本発明の化合物は、患者(例えば、マウス、ラット、イヌ、またはヒト)の血流に効率的に送達され、その後に、関心対象のウイルスのゲノムに組み込まれる。本発明の化合物はホスホジエステル結合を有するか、またはホスホジエステル結合を獲得するので、ポリメラーゼによってウイルスゲノムに組み込まれる。ある態様では、本発明の化合物は塩基対合特性が変化しているので、ウイルスゲノムに変異が組み込まれ、それによって、変異の総数が増加する。変異の総数が増加すると、ウイルス集団の増殖速度が遅くなり、子孫ウイルスの生存率が低下する。
【0105】
HIVを治療する方法
本発明の化合物は、HIV感染症および他のレトロウイルス感染症を治療するのに有用である。本発明の化合物は、鎖終結ヌクレオシド耐性のHIV株を治療するのに特に適している。1つの態様において、本発明の化合物は、鎖終結ヌクレオシド耐性のHIV株を治療するのに用いられる。
【0106】
鎖終結ヌクレオシド耐性のHIV株は公知であり、耐性の原因となっている逆転写酵素(RT)酵素の変異が分析されている。鎖終結ヌクレオシドに対する2つのウイルス耐性機構が説明されている。第1の機構では、ウイルスは鎖終結ヌクレオシドと天然ヌクレオシドを区別し、それによって、鎖終結ヌクレオシドがウイルスゲノムに組み込まれないようにしている。例えば、鎖終結ヌクレオシド耐性ウイルス株は、一部の鎖終結ヌクレオシドに存在する特徴である3'-OH基の欠如を認識する種類のHIV-RTを含んでいる(例えば、Sluis-Cremer et al.,Cell. Mol. Life Sci. 57: 1408-1422 (2000)参照)。第2の機構では、鎖終結ヌクレオシドがウイルスゲノムに組み込まれた後に、ウイルスは、ヌクレオチドの存在下でのピロリン酸関与分解反応(pyrophosphorolysis)によって鎖終結ヌクレオシドを切断する(例えば、Isel et al.,J. Biol. Chem. 276: 48725-48732 (2001)参照)。ヌクレオチド逆重合とも知られるピロリン酸関与分解反応では、ピロリン酸は、鎖終結ヌクレオシドを除去するためのアクセプター分子として働く。鎖終結ヌクレオシドが除去されると、RTは天然ヌクレオチド基質を組み込み、正確なウイルス複製を維持する。ATPも鎖終結ヌクレオシドを除去するためのアクセプター分子として提言されさおり、プライマーアンブロッキング(primer unblocking)と呼ばれる(例えば、Naeger et al.,Nucleosides Nucleotides Nuclei Acids 20: 635-639 (2001)参照)。
【0107】
本発明の化合物は、前記の第1の機構によるウイルス耐性を弱めることができる。本発明の化合物は3'位にヒドロキシルを有する糖を含むので、HIV-RTは本発明の化合物と天然ヌクレオシドを区別することができないはずである。
【0108】
一般的に、本発明の化合物は、鎖終結ヌクレオシドによる治療を比較してウイルス耐性を弱める。現在認可されている鎖終結ヌクレオシドは、ウイルスの増殖サイクルの1つの局面である複製を標的としており、鎖終結によって複製を止めようと即座に試みる。この抗ウイルス効果は厳密に標的が定められ、かつ急激であるので、耐性ウイルス株が発生する選択圧は大きい。本発明の化合物は異なる方法によって作用する。本発明の化合物は、ウイルスゲノムにランダム変異を徐々に蓄積することによって作用する。これは、潜在的に任意のウイルスタンパク質が徐々に不活化されることと一致する。本発明の化合物の効果は標的が広く定められ、段階的であるので、耐性ウイルス株が出現する選択圧は小さい。
【0109】
鎖終結ヌクレオシドと本発明の化合物との間の交差耐性は、野生型HIV株および1種類またはそれ以上の鎖終結ヌクレオシドに対して耐性のHIV株における本発明の化合物のEC50を求めることによって試験することができる。本発明の化合物のEC50が野生型株より鎖終結ヌクレオシド耐性株において高ければ、交差耐性が生じている。実験から、鎖終結ヌクレオシドと本発明の化合物との間で交差耐性が発生する可能性は低いことが証明されている。
【0110】
VI.
本発明の化合物は抗癌活性を有する。ある態様において、本発明の化合物は抗造血悪性腫瘍活性を有する。白血病およびリンパ腫などの造血悪性腫瘍は、造血細胞の異常な増殖および成熟を特徴とする病気である。
【0111】
白血病は、一般的に、造血幹細胞の新生物疾患であり、成人および小児の急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、毛様細胞性白血病、および続発性白血病を含む。骨髄性白血病は、造血系の新生細胞による血液、骨髄、および他の組織への浸潤を特徴とする。CLLは、成熟したように見えるリンパ球の末梢血における蓄積、およびこれらの成熟したように見えるリンパ球の骨髄、脾臓、およびリンパ節への浸潤を特徴とする。
【0112】
特定の白血病として、急性非リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞性白血病、非白血病性白血病(aleukemic leukemia)、非白血病性白血病(aleukocythemic leukemia)、好塩基球性白血病(basophylic leukemia)、芽球性白血病、ウシ白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、胎生細胞性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、毛様細胞性白血病、幹細胞性白血病(hemoblastic leukemia)、幹細胞性白血病(hemocytoblastic leukemia)、組織球白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病(lymphatic leukemia)、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ性白血病(lymphogenous leukemia)、リンパ性白血病(lymphoid leukemia)、リンパ肉腫細胞性白血病、マスト細胞白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄性白血病、骨髄性顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞性白血病、形質球性白血病、前骨髄球性白血病、リーダー細胞性白血病、シリング白血病、幹細胞白血病、亜白血性白血病、および未分化細胞性白血病が挙げられる。
【0113】
リンパ腫は、一般的に、主にリンパ組織に存在する細胞の癌化(neoplastic transformation)である。リンパ腫の中には、2つの主要な別個のグループ:非ホジキンリンパ腫(NHL)およびホジキン病がある。リンパ腫は免疫系の腫瘍であり、一般的に、T細胞とB細胞の両方が関与している。リンパ腫は、一般的に、骨髄、リンパ節、脾臓、および循環系に認められる。治療法は、患者から骨髄を取り出して、骨髄から腫瘍細胞を除去し(多くの場合、腫瘍細胞タイプに存在する抗原に対する抗体を使用する)、その後に、骨髄を保存することを含む。患者に毒性量の放射線または化学療法を与えた後に、患者の造血系を再形成するために、腫瘍細胞が除去された骨髄を再注入する。
【0114】
他の造血悪性腫瘍として、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性症候群(MPS)、および骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫および孤立性骨髄腫)が挙げられる。多発性骨髄腫(形質細胞骨髄腫とも呼ばれる)は骨格系に影響を及ぼし、骨格系全体に散らばった新生物性形質細胞の複数の腫瘍塊を特徴とする。これはまたリンパ節および他の部位(例えば、皮膚)に広がることもある。孤立性骨髄腫は、多発性骨髄腫と同じ位置に発生する傾向のある孤立病変を含む。
【0115】
本発明の化合物はまた他の癌に向けられる。このような癌として、固形腫瘍を特徴とする癌が挙げられる。関心のある他の癌の例は、黒色腫、基底細胞癌、および扁平上皮癌を含む皮膚癌である。頭部および頚部の上皮性癌も本発明に含まれる。これらの癌は、一般的に、頭部および頚部の粘膜から生じ、唾液腺腫瘍を含む。
【0116】
本発明はまた肺癌も含む。肺癌として、扁平上皮癌または類表皮癌、小細胞癌、腺癌、および大細胞癌が挙げられる。乳癌も含まれる。
【0117】
本発明はまた胃腸管癌も含む。胃腸管癌として、食道癌、胃腺癌、原発性胃リンパ腫、結腸直腸癌、小腸腫瘍、および肛門癌が挙げられる。膵臓癌および肝臓に影響を及ぼす癌(肝細胞癌を含む)も関心対象である。本発明はまた膀胱癌および腎細胞癌の治療も含む。
【0118】
本発明はまた前立腺癌および精巣癌も含む。
【0119】
婦人科学的悪性腫瘍も本発明に含まれ、卵巣癌、ファローピウス管の癌、子宮癌、および子宮頚癌を含む。
【0120】
骨および軟部組織の肉腫の治療が本発明に含まれる。骨の肉腫として、骨肉腫、軟骨肉腫、およびユーイング肉腫が挙げられる。
【0121】
本発明はまた、乳頭状癌、濾胞状癌、および未分化癌を含む、甲状腺の悪性腫瘍も含む。
【0122】
VII.癌を治療する方法
本発明の化合物、方法、および薬学的組成物は癌の治療において有用である。1つの局面において、本発明は、癌の治療を必要とする被検体に治療有効量の本発明の化合物を投与する工程を含む、癌を治療する方法を提供する。例示的な態様において、癌は、白血病、リンパ腫、または他の造血癌である。
【0123】
癌治療の1つの態様において、本発明の化合物は、患者(例えば、マウス、ラット、イヌ、またはヒト)の血流に効率的に送達され、その後に、癌細胞のポリヌクレオチド配列(DNAまたはRNA)に組み込まれる。ある態様において、本発明の化合物はホスホジエステル結合を有するか、またはホスホジエステル結合を獲得することができるので、ポリメラーゼによって癌細胞のゲノムに組み込まれる。ある態様では、本発明の化合物は塩基対合特性が変化しており、癌細胞ゲノムに組み込まれる。組み込まれると、その後、癌細胞における変異の数が増加する。別の態様において、変異は転写産物(例えば、タンパク質をコードするmRNA分子またはタンパク質翻訳に有用なtRNA分子)に組み込まれる。変異した転写産物はアミノ酸配列が変化しており、これによって、多くの場合、不活性タンパク質が生じる。導入方法にかかわらず、癌細胞における変異の数が増加すると、集団の増殖速度が遅くなり、子孫細胞の生存率が低下し、増殖能力または転移能力が弱まり、癌細胞が死滅する。
【0124】
当業者は、癌治療における化合物の有効性を試験する方法を知っている。例えば、関心対象の癌細胞を培養で増殖させ、様々な濃度の本発明の化合物の存在下でインキュベートすることができる。細胞生存および細胞増殖を測定するために、MTTなどのウイルス染料の取り込みが頻繁に用いられる。細胞増殖の阻害が見られる場合、化合物のIC50を求めることができる。当業者であれば、動物モデルにおいて本発明の化合物を試験する方法も知っているだろう。例えば、本発明の化合物を、形質転換した癌細胞と共にヌードマウスに注射する。当業者であれば、組織培養モデルおよび動物モデルにおいて集められたデータを、ヒト患者において使用するために推定することができる。
【0125】
VIII.本発明の化合物を検出するアッセイ法
A.変異原性核酸のアッセイ法
核酸は、約0.1%の効率でウイルスまたは細胞のゲノムに組み込まれる。場合によっては、組み込みは少なくとも約5%であり、最も好ましくは、天然の相補ポリヌクレオチド配列と等しい(インビトロアッセイ法において等量で比較した場合)。従って、約1/1000塩基またはそれ以上の誤り率(error rate)がウイルスの変異誘発を高めるのに十分である。核酸が間違った塩基対合を引き起こす能力は、本発明の化合物がDNAまたはRNAに組み込まれることによって生じる変異の頻度および種類を試験および調査することによって求めることができる。これらの変異率は大きく異なることがある。例えば、溶解性RNAウイルス(例えば、インフルエンザA)における変異率はDNAウイルスの約300倍高いことが報告されている(Drake, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 4171-4175 (1993))。しかしながら、レトロウイルスの変異率は、平均して、溶解性RNAウイルスより1桁低い。
【0126】
改変ヌクレオチドの組み込み率のアッセイ法は、DNAポリメラーゼによるデオキシヌクレオシド三リン酸の組み込みに用いられるものと同様である(Boosalis, et al., J. Biol. Chem. 262: 14689-14698 (1987))。当業者であれば、このようなアッセイ法は、化合物が細胞ポリメラーゼを阻害する能力を測定するか、または改変ヌクレオチドで処理されているウイルスの複製能力を測定すると理解するだろう。選択された状況において、ウイルスゲノムに導入される変異の頻度を直接求めることができる(Ji and Loeb, Virol., 199: 323-330 (1994))。
【0127】
例えば、HIVの場合、ウイルスRNAまたは組み込まれたHIV DNAを単離し、次いで、逆転写酵素PCR(RT-PCR)を用いてコピーする。コピーされたゲノム領域は、逆転写酵素遺伝子の600ヌクレオチドセグメントに相当する。70回のRT-PCRの後に、コピーされたDNAまたはRNAを制限酵素で処理し、プラスミドに連結する。プラスミドを大腸菌にトランスフェクトした後に、クローン1つ1つを入手し、プラスミド内の増幅セグメントを配列決定する。個々の配列と、RNA類似体の非存在下で同じウイルスを並行して培養することによって得られた対照ウイルス配列を比較するコンピュータ援用分析によって、この領域内にある変異を測定する。それぞれのヌクレオチドについて、10回連続してウイルスを継代した後に、またはウイルス検出が消滅した時点で、測定が行われる。関心対象の他のウイルスに同様の手順が有効であり、当業者に容易に明らかであろう。
【0128】
ヌクレオチド組み込みの「マイナス」シーケンシングゲルアッセイ法の改良を用いて、本発明の化合物の組み込みを関心対象のポリメラーゼ間で比較することができる。4種類のヌクレオシド三リン酸のうち3種類と、三リン酸エステルの形をした本発明の化合物を含む反応において、5'-32P標識プライマーを伸長する。テンプレートは、適宜、RNAでもDNAでもよい。この反応から除外されているヌクレオチドに相補的なテンプレートヌクレオチドを通り過ぎてプライマーが伸長するのは類似体の組み込みに依存し、かつ比例する。類似体の組み込みの程度は、シーケンシングゲル上で、ある位置から次の位置まで伸長されるオリゴヌクレオチドのパーセントの関数として計算される。組み込みは、オートラジオグラフィーの後に、デンシトメトリーを行うか、またはそれぞれのバンドを切り出し、液体シンチレーション分光法によって放射能をカウントすることによって求められる。当業者であれば、癌細胞のポリヌクレオチド配列への本発明の化合物の組み込みを測定するために、同様の実験が可能なことを理解するだろう。
【0129】
ウイルス感染した細胞に本発明の化合物がインビトロまたはインビボで投与されると、複製された相同なウイルスポリヌクレオチド配列の非常に多様性のある集団を含む、細胞の集団が産生される。この非常に多様性のある細胞の集団は、ウイルス感染した細胞に本発明の変異原性化合物を投与し、ウイルス集団の変異率を高めたことに起因している。従って、この非常に多様性のあるウイルス集団は、本発明の化合物の投与によってウイルスの変異率が上昇したという指標である。この集団の多様性を測定すると、ウイルス集団の生存能力が評価される。そしてまた、ウイルス集団の生存能力は、細胞集団の健康状態の予後指標である。例えば、ヒト患者におけるHIV集団の生存能力の低さは、患者の予後の改善と対応している。
【0130】
ある態様において、本発明の変異原性化合物は水溶性であり、標的細胞に迅速に入る能力を有する。脂溶性類似体も本発明に含まれる。必要に応じて、本発明の化合物は細胞キナーゼによってリン酸化され、RNAまたはDNAに組み込まれる。
【0131】
B.ウイルス複製のアッセイ法
当業者であれば、ウイルスの複製または感染力が、ウイルスが疾患を引き起こす能力と相関関係にあることを理解する。すなわち、感染力の高いウイルスは、感染力の低いウイルスより疾患を引き起こす可能性が高い。好ましい態様において、本発明の化合物による処置の結果としてゲノムに変異を組み込んだウイルスは、非処置ウイルスと比較してウイルス感染力が弱まっている。当業者は、ウイルスの感染力をアッセイする方法を知っている(例えば、Condit, Principles of Virology, in FIELDS VIROLOGY, 4th Ed. 19-51 (Knipe et al., eds. , 2001)参照)。
【0132】
例えば、プラーク形成アッセイ法を用いて、ウイルスの感染力を測定することができる。簡単に述べると、ウイルス試料を適切な培地に添加し、連続希釈液を、コンフルエント細胞単層にプレートする。それぞれのプラークが1つのウイルス感染から発生するように、感染細胞を半固形培地で覆う。インキュベーションの後、プラークを視覚化および計数できるように、プレートを適切な色素で染色する。
【0133】
ウイルスの中には細胞を死滅するのではなく、細胞をトランスフォームするものもある。トランスフォーメーション表現型は、例えば、接触阻止消失後のフォーカス形成によって検出することができる。ウイルスを連続希釈し、接触阻止されている細胞の単層の上にプレートする。フォーカスを適切な色素で検出し、計数して、ウイルスの感染力を求めることができる。
【0134】
ウイルス感染力を求める別の方法はエンドポイント法(endpoint method)である。この方法は、プラークもフォーカスも形成しないが、培養細胞、孵化鶏卵、または動物において検出可能な病変または細胞変性効果(CPE)を有するウイルスに適している。円形化、縮小、光屈折性の増大、融合、合胞体形成、凝集、付着性の消失、または溶解を含む多くの表現型をCPEとして測定することができる。ウイルスの連続希釈液を適切なアッセイ系に適用し、インキュベーション後に、CPEをアッセイする。細胞の50%に感染するのに必要な正確なウイルス希釈液を求めるために、統計学的手法を使用することができる(例えば、Spearman, Br. J. Psychol. 2: 227-242 (1908);およびReed and Muench, Am. J. Hyg. 27: 493-497 (1938)参照)。
【0135】
ウイルスの培養が難しいという理由で、ウイルス複製の測定を間接的に行うこともできる。例えば、自己複製性遺伝因子の阻害を測定するレプリコンアッセイ法を用いて、ウイルス複製の程度を求めることができる。HIVウイルス複製はp24抗原の濃度を測定することによって測定することができる。抗ウイルス活性を求める例示的な手段の1つは、CEM-SS細胞およびウイルス(例えば、HIV-1RF)(MOI=0.01)と、XTT(2,3-bis[2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル]-5-[(フェニルアミノ)カルボニル]-2H-テトラゾリウムヒドロキシド)細胞保護アッセイ法を使用するものである(例えば、 Weislow, et al, J. Natl. Canc. Inst. 81: 577-586 (1989); Rice PNAS 90: 9721-9724 (1993);および Rice Antimicrob. Agent Chemother. 41: 419-426 (1997)参照)。簡単に述べると、本発明の化合物の様々な希釈液の存在下で、細胞にHIV-1RF(または試験しようとする他のウイルス)を感染させる。培養物を7日間インキュベートする。この間、保護化合物(すなわち、抗ウイルス活性を有する化合物)を使用しない対照培養はウイルスを複製し、合胞体を誘導し、約90%の細胞死をもたらす。細胞死は、XTT色素の還元によって測定される。XTTは、ミトコンドリアのエネルギー力を測定する、MTTに似た可溶性テトラゾリウム色素である。デキストラン硫酸(付着阻害剤)、3'-アジド-2'-3'-ジデオキシチミジン、またはAZT(逆転写酵素阻害剤)を含む正の対照を、それぞれのアッセイに添加する。シスタープレート法(sister plate method)を用いて、個々のアッセイを2回繰り返して行う。
【0136】
薬物がウイルスの複製または感染を阻害する能力は、薬物のEC50、すなわち、ウイルス複製の50%を阻止する有効濃度で表される。薬物のEC50を求めるために、ウイルスの感染力を求める前記の方法が有用である。
【0137】
薬物が細胞を死滅する能力は、IC50、すなわち、細胞増殖を阻害する薬物の濃度で表される。薬物のIC50を求める方法は当業者に公知であり、ある範囲の濃度の薬物とインキュベートした後に細胞生存率を求めることを含む。
【0138】
IX.本発明の薬学的組成物
本発明は、ウイルス複製および癌細胞増殖を阻害する薬学的組成物を提供する。これらの薬学的組成物は、本発明の化合物および薬学的に許容される担体を含む。
【0139】
本発明の薬学的組成物、またはその薬学的に許容される添加塩もしくは水和物は、多種多様な投与経路または投与方法を用いて患者に送達することができる。適切な投与経路として、経口投与、経皮投与、経粘膜投与(例えば、鼻腔内投与または腟内投与)、および非経口投与(筋肉内注射、皮下注射、および静脈内注射を含む)が挙げられるが、これに限定されない。例示的な態様において、本発明は、化合物を経口投与することによって、ウイルス性疾患を治療する方法または癌を治療する方法を提供する。
【0140】
A.経口投与
経口投与の場合、化合物は、1つまたはそれ以上の活性化合物と当技術分野において周知の薬学的に許容される担体を組み合わせることによって容易に処方することができる。このような担体を使用すると、本発明の化合物を、治療しようとする患者が経口摂取するための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁剤などとして処方することができる。経口で使用するための製剤は、組成物と適切な固相賦形剤を混合し(任意に、結果として生じる混合物を粗砕し)、錠剤または糖衣錠のコアを得るために(所望であれば、適切な添加剤を添加した後に)混合物を顆粒に加工することによって入手することができる。適切な賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ポリマー(例えば、ポリ(エチレンオキシド))、増量剤(例えば、糖(ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む));セルロース調製物(例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、バレイショデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP))である。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)などの崩壊剤を添加してもよい。
【0141】
糖衣錠のコアには適切なコーティングが設けられる。この目的のために、濃縮糖液を使用してもよい。濃縮糖液は、任意に、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポール(carbopol)ゲル、ポリ(エチレンオキシド)、および/または二酸化チタン、ラッカー液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合物を含んでもよい。様々な組み合わせの活性化合物用量を特定または特徴付けるために、色素または顔料を錠剤または糖衣錠のコーティングに添加してもよい。
【0142】
経口で使用することができる製剤として、ゼラチンで作られた押込みばめカプセル(push-fit capsule)、ならびにゼラチンと可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)で作られた密封軟カプセルが挙げられる。押込みばめカプセルは、活性成分を、増量剤(例えば、ラクトース)、結合剤(例えば、デンプン)、および/または潤滑剤(例えば、タルクもしくはステアリン酸マグネシウム)、任意に、安定剤と混合して含んでもよい。軟カプセルでは、活性化合物は、適切な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール)に溶解または懸濁してもよい。さらに、安定剤を添加してもよい。経口投与用の処方物は全て、このような投与に適した投与量であるべきである。
【0143】
B.非経口投与
化合物は、注射(例えば、大量瞬時投与または連続注入)による非経口投与用に処方することができる。注射用処方物は、単位剤形(例えば、添加防腐剤を含む、アンプルまたは複数回分の服用量を含む容器(multi-dose container))にすることができる。組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクルに溶解した懸濁液、溶液、またはエマルジョンなどの形をとってもよく、処方剤(formulatory agent)(例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)を含んでもよい。注射の場合、本発明の薬剤は、水溶液(好ましくは、生理学的に適合する緩衝液(例えば、ハンクス液、リンガー液、または生理食塩緩衝液))に溶解して処方してもよい。経粘膜投与の場合、透過する障壁に適した浸透剤が処方物に用いられる。このような浸透剤は当技術分野において一般に知られている。
【0144】
非経口投与用の薬学的組成物として、水に溶ける形をした活性化合物の水溶液が挙げられる。さらに、活性化合物の懸濁液を適切な油性注射用懸濁液として調製することができる。適切な親油性溶媒またはビヒクルとして、脂肪油(例えば、ゴマ油)または合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリド)、あるいはリポソームが挙げられる。水性注射用懸濁液は、懸濁液の粘性を高める物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストラン)を含んでもよい。任意に、懸濁液は、適切な安定剤、または化合物の溶解度を高めて高濃縮溶液の調製を可能にする薬剤を含んでもよい。
【0145】
全身投与は経粘膜手段または経皮手段によるものでもよい。経粘膜投与または経皮投与の場合、透過する障壁に適した浸透剤を処方物に使用することができる。このような浸透剤は当技術分野において一般に知られており、例えば、経粘膜投与の場合、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体を含む。さらに、浸透を促進するために、界面活性剤を使用することができる。経粘膜投与は、例えば、点鼻薬によるものでもよく、坐剤を使用してもよい。
【0146】
局所投与の場合、薬剤は、軟膏、クリーム、膏薬、散剤、およびゲルに処方される。1つの態様において、経皮送達薬剤はDMSOでもよい。別の態様において、経皮送達薬剤は経皮パッチでもよい。化合物は、例えば、適切な高分子材料または疎水性材料を用いて(例えば、許容される油に溶解したエマルジョンとして)処方されてもよく、イオン交換樹脂を用いて処方されてもよく、わずかに溶ける誘導体として(例えば、わずかに溶ける塩として)処方されてもよい。
【0147】
経粘膜薬物送達用の処方物に使用することができる水溶液の例として、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ハンクス液、リンガー液、デキストロース/食塩水、グルコース液などが挙げられる。処方物は、安定性、送達性、または溶解度を高めるために薬学的に許容される補助物質(例えば、緩衝剤、張性調節剤、湿潤剤、界面活性剤など)を含有してもよい。添加剤はまた、さらなる活性成分(例えば、殺菌剤または安定剤)を含んでもよい。例えば、この溶液は、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、またはオレイン酸トリエタノールアミンを含んでもよい。これらの組成物は従来の周知の滅菌法によって滅菌されてもよく、滅菌濾過されてもよい。結果として生じる水溶液は、そのままで使用するために包装されれてもよく、凍結乾燥されてもよい。凍結乾燥された製剤は、投与前に滅菌水溶液と混合される。
【0148】
本発明の化合物と同時に投与することができる治療剤の選択は、部分的に、治療されている病気によって左右される。例示的な態様において、癌治療を受けている患者に投与される場合、化合物は、抗癌剤および/または補助増強剤などの他の生物活性剤を含むカクテルの状態で投与することができる。別の例示的な態様において、HIV感染治療を受けている患者に投与される場合、化合物は、プロテアーゼインヒビター、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、融合阻害剤、および/または補助増強剤などの他の生物活性剤を含むカクテルの状態で投与することができる。別の例示的な態様において、C型肝炎感染治療を受けている患者に投与される場合、化合物は、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、インターフェロン、および/または補助増強剤などの他の生物活性剤を含むカクテルの状態で投与することができる。さらに別の例示的な態様において、B型肝炎感染治療を受けている患者に投与される場合、化合物は、ヌクレオシド類似体、インターフェロン、および/または補助増強剤などの他の生物活性剤を含むカクテルの状態で投与することができる。化合物はまた、制吐薬、放射線保護剤などの、放射線療法の副作用を治療する薬剤を含むカクテルの状態で投与することができる。
【0149】
他の適切な生物活性剤として、例えば、抗新生物薬(例えば、白金化合物(例えば、スピロプラチン、シスプラチン、およびカルボプラチン)、メトトレキセート、アドリアマイシン、タキソール、マイトマイシン、アンサマイトシン、ブレオマイシン、シトシンアラビノシド、アラビノシルアデニン、メルカプトポリリジン、ビンクリスチン、ブスルファン、クロランブシル、メルファラン(例えば、PAM、L-PAMまたはフェニルアラニンマスタード)、メルカプトプリン、ミトタン、塩酸プロカルバジン、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、マイトマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、アミノグルテチミド、エストラムスチンリン酸ナトリウム、フルタミド、酢酸ロイプロリド、酢酸メゲストロール、クエン酸タモキシフェン、テストラクトン、トリロスタン、アムサクリン(m-AMSA)、アスパラギナーゼ(L-アスパラギナーゼ)エルウィナ(Erwina)アスパラギナーゼ、エトポシド(VP-16)、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、テニポシド(VM-26)、硫酸ビンブラスチン(VLB)、硫酸ビンクリスチン、ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、メトトレキセート、アドリアマイシン、およびアラビノシル);血液製剤(例えば、非経口鉄、ヘミン、ヘマトポルフィリン、およびこれらの誘導体);生物学的応答調節物質(例えば、ムラミルジペプチド、ムラミルトリペプチド、微生物細胞壁成分、リンホカイン(例えば、細菌エンドトキシン(例えば、リポ多糖)、マクロファージ活性化因子)、細菌(例えば、マイコバクテリアおよびコリネバクテリア)のサブユニット、合成ジペプチドN-アセチル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン);抗真菌薬(例えば、ケトコナゾール、ナイスタチン、グリセオフルビン、フルシトシン(5-fc)、ミコナゾール、アンホテリシンB、リシン、ならびにβ-ラクタム系抗生物質(例えば、スルファゼシン));ホルモンおよびステロイド(例えば、成長ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、エストラジオール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン、およびベタメタゾンリン酸ナトリウム、ヴェタメタゾンリン酸二ナトリウム(vetamethasone disodium phosphate)、ヴェタメタゾンリン酸ナトリウム、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、フランソリド(flunsolide)、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシピオネート、ヒドロコルチゾンリン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾンコハク酸ナトリウム、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンコハク酸ナトリウム、酢酸パラメタゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、プレドニゾロンテブテート、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンジアセテート、トリアムシノロンヘキサセトニド(triamcinolone hexacetonide)、および酢酸フルドロコルチゾン);ビタミン(例えば、シアノコバラミンネイノン酸(cyanocobalamin neinoic acid)、レチノイドおよび誘導体(例えば、パルミチン酸レチノール)、ならびにα-トコフェロール);ペプチド(例えば、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ);酵素(例えば、アルカリホスファターゼ);抗アレルギー剤(例えば、アメレザノックス(amelexanox));抗凝血剤(例えば、フェンプロクーモンおよびヘパリン);循環薬(例えば、プロプラノロール);代謝増強剤(例えば、グルタチオン);抗結核薬(例えば、パラアミノサリチル酸、イソニアジド、硫酸カプレオマイシン、シクロセリン、塩酸エタンブトール、エチオナミド、ピラチナミド、リファンピン、および硫酸ストレプトマイシン);抗ウイルス剤(例えば、アシクロビル、アマンタジン、アジドチミジン(AZTまたはジドブジン)、リバビリン、アマンタジン、ビダラビン、およびビダラビン一水和物(アデニンアラビノシド、ara-A));プロテアーゼ阻害剤(例えば、アンプレナビル(アゲネラーゼ(Agenerase))、インジナビル(クリキシバン(Crixivan))、ロピナビル/リトナビル(カレトラ(Kaletra))、リトナビル(ノルビル(Norvir))、サキナビル(ホルトベース(Fortovase))、およびネルフィナビル(ヴィラセプト(Viracept))、ホスアンプレナビル(fosamprenavir)(レキシーバ(Lexiva))、ならびにアタザナビル(レイアタッツ(Reyataz)));非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(例えば、エファビレンツ、ネビラピン、ロビリド(loviride)、およびデラビルジン);ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤;融合阻害剤;ヌクレオシド類似体;インターフェロン、リバビリン;抗狭心症薬(例えば、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル、四硝酸エリトリチル、二硝酸イソソルビド、ニトログリセリン(三硝酸グリセリン)、および四硝酸ペンタエリスリトール);抗凝固薬(例えば、フェンプロクーモンおよびヘパリン);抗生物質(例えば、ダプソン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セフラジン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、アモキシシリン、アンピシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、ジクロキサシリン、シクラシリン、ピクロキサシリン(picloxacillin)、ヘタシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、チカルシリン、リファンピン、およびテトラサイクリン);抗炎症薬(例えば、ジフィニザール(diffinisal)、イブプロフェン、インドメタシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、アスピリン、およびサリチラート);抗原虫薬(例えば、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、メトロニダゾール、キニーネ、およびアンチモン酸メグルミン);抗リウマチ薬(例えば、ペニシラミン);麻酔薬(例えば、アヘン安息香チンキ);アヘン剤(例えば、コデイン、ヘロイン、メサドン、モルヒネ、およびアヘン);強心配糖体(例えば、デスラノシド、ジギトキシン、ジゴキシン、ジギタリン、およびジギタリス);神経筋遮断薬(例えば、ベシル酸アトラクリウム、ガラミントリエチオダイド、臭化ヘキサフルオレニウム、ヨウ化メトクリン、臭化パンクロニウム、塩化スクシニルコリン(塩化スキサメトニウム)、塩化ツボクラリン、および臭化ベクロニウム);鎮静薬(催眠薬)(例えば、アモバルビタール、アモバルビタールナトリウム、アプロバルビタール、ブタバルビタールナトリウム、抱水クロラール、エトクロルビノール、エチナメート、塩酸フルラゼパム、グルテチミド、塩酸メトトリメプラジン、メチプリロン、塩酸ミダゾラム、パラアルデヒド、ペントバルビタール、ペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタールナトリウム、セコバルビタールナトリウム、タルブタール、テマゼパム、およびトリアゾラム);局所麻酔薬(例えば、塩酸ブピバカイン、塩酸クロロプロカイン、塩酸エチドカイン、塩酸リドカイン、塩酸メピバカイン、塩酸プロカイン、および塩酸テトラカイン);全身麻酔薬(例えば、ドロペリドール、エトミデート、クエン酸フェンタニールとドロペリドール、塩酸ケタミン、メトヘキシタールナトリウム、およびチオペンタールナトリウム);ならびに放射性粒子またはイオン(例えば、ストロンチウム、ヨウ化レニウム、およびイットリウム)が挙げられる。ある特定の好ましい態様において、生物活性剤は、モノクローナル抗体(例えば、黒色腫抗原に結合することができるモノクローナル抗体)である。
【0150】
本明細書に記載の治療用組成物の投与頻度ならびに投与量は個体間で異なり、標準的な技法を用いて容易に確かめることができる。好ましくは、1〜100回分の用量を、52週間にわたって投与することができる。ウイルス性疾患を治療している場合、適切な用量は、前記のように投与されている時にウイルスを死滅することができる、またはウイルスの感染力を制限することができる化合物の量である。癌を治療している場合、適切な用量は、前記のように投与されている時に、癌もしくは癌細胞を死滅することができる、または癌もしくは癌細胞の増殖を遅くすることができる化合物の量である。当業者は、薬物の経口投与または他の任意の投与方法(例えば、静脈内投与もしくは非経口投与)による、治療を必要とする患者に適切な投与量範囲が得られる日常的な実験法を知っている。当業者はまた、インビトロまたはインビボの実験モデルによって得られた結果を用いて、治療を必要とする患者に適切な投与量を推定できることを知っている。
【0151】
一般的に、適切な投与量および治療レジメは、治療上および/または予防上の利益をもたらすのに十分な量の薬学的組成物を提供する。治療を受けていない患者と比較して、治療を受けた患者での改善された臨床アウトカム(例えば、長期の無ウイルス性疾患生存期間、あるいは、癌患者の場合では、頻繁な寛解または完全な、部分的な、もしくは長期の無病生存期間)を確かめることによって、このような応答をモニタリングすることができる。
【0152】
本明細書において言及される参考文献および特許刊行物は全て参照により本明細書に組み入れられる。前記の開示から理解できるように、本発明には多種多様な用途がある。従って、以下の実施例は例示の目的で示され、いかようにも本発明を限定するものと解してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明の代表的な化合物の構造を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式に従う化合物:

式中、R1およびR2は、HおよびOR5から独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R5は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、およびP(O)(R6)(R7)から選択されるメンバーであり、ここで、
R6およびR7は、OR8、NR8R9、OCH2CH2CN、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヌクレオシド、および置換または非置換アミノ酸から独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R8およびR9は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーである。
R3およびR3aは、H、OR10、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R10は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
Xは、N、CR11、S、およびOから選択されるメンバーであり、ここで、
R11は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、ヒドロキシル、およびハロゲンから選択されるメンバーである。
R4は、

から選択されるメンバーであり、
式中、X1は、N、S、およびOから選択されるメンバーであり、ここで、
pは、0および1から選択される整数であり、
X1がOおよびSから選択されれば、pは0であり、X1がNであれば、pは1であり、R15は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
R12aは、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、NHR16、NR16NHR17、SR16およびOR17から選択されるメンバーである。
R12およびR13は、H、ハロゲン、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、NHR16、NR16NHR17、SR16およびOR17から独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R16およびR17は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから独立して選択されるメンバーである。
R14は、H、置換または非置換アルキル、アルケニルまたはアルキニル、OR18、COR18、NHR19、およびハロゲンから選択されるメンバーであり、ここで、
R18は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーであり、
R19は、HおよびOR20から選択されるメンバーであり、ここで、
R20は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
nは、0および1から選択される整数である。
R4aは、H、ハロゲン、ヒドロキシル、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、CHO、C(O)NHR21、およびCNから選択されるメンバーであり、ここで、
R4aがOまたはSである場合、nは0であり、
R21は、置換または非置換アルキルおよび置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
【請求項2】
以下の式に従う化合物:

式中、R1およびR2は、HおよびOR5から独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R5は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、およびP(O)(R6)(R7)から選択されるメンバーであり、ここで、
R6およびR7は、OR8、NR8R9、OCH2CH2CN、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヌクレオシド、および置換または非置換アミノ酸から独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R8およびR9は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーである。
R3およびR3aは、H、OR10、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R10は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
R4は、

から選択されるメンバーであり、
式中、Y、Y1、およびY2は、C、N、O、およびSから独立して選択されるメンバーである。
s、tおよびvは、0および1から独立して選択される整数である。
破線の結合は、それぞれの環内原子の原子価条件を満たすように単結合および二重結合から独立して選択される。
R68は、(=O)、(=NH)、および(=NR27)から選択されるメンバーである。
R69は、H、置換または非置換アルキル、(-OH)、(-NH2)、(-NHR27)、-CN、アジド、およびハロゲンから選択されるメンバーである。
R22、R23、R24およびR25は、H、置換または非置換アルキル、OR26、NHR27、NHOR27、(=O)、(=NH)、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーである。
R26は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
R27は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーであり、ここで、
YがNである場合、R23は、ハロゲンでもなく、=Oでもなく、=Nでもなく、
Y1がNである場合、R24は、ハロゲンでもなく、=Oでもなく、=Nでもなく、
Y2がNである場合、R25は、ハロゲンでもなく、=Oでもなく、=Nでもなく、
YがOまたはSである場合、s=0であり、
Y1がOまたはSである場合、t=0であり、
Y2がOまたはSである場合、v=0であり、
R4が式VIIである場合、Y、Y1、Y2の少なくとも1つはNでない。
【請求項3】
式IXに従う構造を有する化合物:

式中、X2は、CHおよびNから選択されるメンバーである。
R1およびR2は、HおよびOR5から独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R5は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、およびP(O)(R6)(R7)から選択されるメンバーであり、ここで、
R6およびR7は、OR8、NR8R9、OCH2CH2CN、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヌクレオシド、および置換または非置換アミノ酸から独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R8およびR9は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーである。
R3およびR3aは、H、OR10、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R10は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
R29およびR30は、H、置換または非置換アルキル、(=O)、(=NH)、OR70、NHR71、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R29が(=O)または(=NH)である場合、R30は(=O)でも(=NH)でもなく、
R30が(=O)または(=NH)である場合、R29は(=O)でも(=NH)でもなく、
R70は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーであり、
R71は、H、NHR72、およびOR72から選択されるメンバーであり、ここで、
R72は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
R31は、H、(=O)、(=NR32)、N3、NR32R33、アルキル、アルケニル、およびアルキニルから選択されるメンバーであり、ここで、
R32およびR33は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、およびC(O)NH2から独立して選択されるメンバーである。
【請求項4】
以下から選択されるメンバーである式を有する化合物:

式中、破線の円は、環を構成する5個または6個の原子それぞれの原子価条件を満たすように、環の中の単結合または二重結合を表す。
破線は、ZおよびZ1の原子価条件を満たすように単結合または二重結合のいずれかを表す。
R1およびR2は、HおよびOR5から独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R5は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、およびP(O)(R6)(R7)から選択されるメンバーであり、ここで、
R6およびR7は、OR8、NR8R9、OCH2CH2CN、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヌクレオシド、および置換または非置換アミノ酸から独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R8およびR9は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーである。
R3およびR3aは、H、OR10、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R10は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
Zは、NおよびCから選択されるメンバーであり、ここで、
ZがCである場合、Zは、Z1、Ca、およびCbから選択されるメンバーと二重結合を形成する。
Z1、Z2、Z3、およびZ5は、N、O、CR36a、およびNR36bから独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R36aは、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキル、(=O)、(=NR38)、OR38、NR38R39、およびハロゲンから選択されるメンバーであり、
R36bは、H、置換または非置換アルキル、NH2、(=O)、OH、およびOMeから選択されるメンバーである。
Z4は、NおよびCR37から選択されるメンバーであり、ここで、
R37は、H、置換または非置換アルキル、OR38、NR38R39、(=O)、(=NR38)、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R38は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーであり、ならびに、
R39は、H、NH2、C(O)NH2、およびOR40から選択されるメンバーであり、ここで、
R40は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
R34およびR35は、H、ハロゲン、(=O)、(=NH)、置換または非置換アルキル、OR41、およびNR41R42から独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R41およびR42は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから独立して選択される。
式Xに従う構造を有する化合物において、Z、Z1、Z2、およびZ3の少なくとも1つはNでない。
式XIに従う構造を有する化合物において、Z、Z1、Z2、およびZ3の少なくとも1つはNでなく、かつZ1、Z2、Z3およびZ5の少なくとも1つはNでない。
但し、Z、Z1、Z2、Z3およびZ5の2つまたはそれ以上がOであれば、窒素原子と隣接しないOは1個以下である。
【請求項5】
以下の式を有する化合物:

式中、R1およびR2は、HおよびOR5から独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R5は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換アシル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、およびP(O)(R6)(R7)から選択されるメンバーであり、ここで、
R6およびR7は、OR8、NR8R9、OCH2CH2CN、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヌクレオシド、および置換または非置換アミノ酸から独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R8およびR9は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーである。
R3およびR3aは、H、OR10、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R10は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
R4は、

から選択されるメンバーであり、
式中、破線は、原子価条件を満たすように単結合または二重結合のいずれかを表す。
X2は、N、C、およびCHから選択されるメンバーである。
X3、X4、およびX5は、O、S、N、およびCR11から選択されるメンバーであり、ここで、
R11は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、OR57、NR57R58、(=O)、(=NH)、およびハロゲンから選択されるメンバーであり、ここで、
R57は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーであり、ならびに、
R58は、H、NH2、C(O)NH2、およびOR59から選択されるメンバーであり、ここで、
R59は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
R50、R51、R52、R53、およびR56は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、OR60、NR60R61、(=O)、(=NR60)、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーであり、ここで、
R60は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーであり、ならびに、
R61は、H、NH2、C(O)NH2およびOR62から選択されるメンバーであり、ここで、
R62は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
R54は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、OR63、(=O)、およびNR63R64から選択されるメンバーであり、ここで、
R63は、H、置換または非置換アルキル、および置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーであり、ならびに、
R64は、H、NH2、C(O)NH2およびOR65から選択されるメンバーであり、ここで、
R65は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
X6は存在しないか、またはH、置換もしくは非置換アルキル、CONH2、およびC(=NH)NH2から選択されるメンバーである。

【図1】
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【公表番号】特表2007−537999(P2007−537999A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545768(P2006−545768)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/041555
【国際公開番号】WO2005/065150
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(504070033)コローニス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】