説明

変速ケーブルのノイズ低減装置

【課題】マスダンパーのような過度な重量体を用いることなく、車両の静粛性と乗車感を向上できるようにした変速ケーブルのノイズ低減装置を提供する。
【解決手段】本発明は、変速ケーブルのインナーケーブルに一体に備えらえたストッパーと、 前記インナーケーブルとは離隔し、前記ストッパーとは接触できるように前記インナーケーブルの周囲に備えられて、振動を吸収および絶縁する防振部材と、 前記防振部材の外側を囲んで支持するダンパーハウジングと、を備えて構成され、ダンパーハウジングの内部には、前記防振部材によって互いに絶縁された状態で二つの連結パイプが備えられ、前記二つの連結パイプの端部には、外径が拡張した形状のフランジが備えられて、前記二つのフランジが互いに対向して位置しており、前記二つの連結パイプの少なくとも一つは、前記変速ケーブルのアウターケーブルに連結されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速ケーブルのノイズ低減装置に係り、より詳しくは、自動変速機付き車両のギア・ホワイン・ノイズ(gear whine noise)が変速ケーブルを通じて車両の室内に伝えられることを絶縁するのに用いられる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された変速装置は、手動変速機でも、自動変速機でも、いずれも室内の操作部に相当する変速レバーを備え、該変速レバーの操作力が変速ケーブルを通じて変速機に伝えられる基本的な構造を有している。
したがって、前記のような変速機で発生するギアのホワイン・ノイズは、前記変速ケーブルを通じて車両の室内に伝達されるため、従来は前記のようなノイズを遮断するために変速ケーブルにマスダンパーを装着する方法が主に用いられていた。
しかし、前述したように、変速ケーブルにマスダンパーを装着する方法は、マスダンパーによる重量の増加を避けることができず、その所要費用においても、相当な問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−182807号公報
【特許文献2】特開平07−127742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記のような問題点を解決するためになされたものであって、マスダンパーのような過度な重量体を用いることなく、変速機から変速ケーブルを通じて、室内に伝達されるノイズを効果的に吸収および絶縁できるようにすることにより、車両の静粛性と乗車感を向上できるようにした変速ケーブルのノイズ低減装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記のような目的を達成するために案出された本発明の変速ケーブルのノイズ低減装置は、変速ケーブルのインナーケーブルに一体に備えらえたストッパーと、 前記インナーケーブルとは離隔し、前記ストッパーとは接触できるように前記インナーケーブルの周囲に備えられて、振動を吸収および絶縁する防振部材と、 前記防振部材の外側を囲んで支持するダンパーハウジングと、を備えて構成されることを特徴とする。
【0006】
前記ダンパーハウジングの内部には、前記防振部材によって互いに絶縁された状態で二つの連結パイプが備えられ、前記二つの連結パイプの端部には、外径が拡張した形状のフランジが備えられて、前記二つのフランジが互いに対向して位置しており、前記二つの連結パイプの少なくとも一つは、前記変速ケーブルのアウターケーブルに連結されることを特徴とする。
【0007】
前記ストッパーは、前記インナーケーブルの周囲へ半径が拡張する形状に形成され、前記防振部材は、前記二つの連結パイプのフランジの間で前記ストッパーと接触できるように、前記二つのフランジの間で半径が狭くなる小径部を備えることを特徴とする。
【0008】
前記ストッパーは、前記インナーケーブルがDレンジ状態に引っ張られた状態で、前記防振部材の小径部に接触するように前記インナーケーブルに装着されることを特徴とする。
【0009】
前記ストッパーは、変速レバー側に向かって、徐々に直径が小さくなる形態に形成され、前記防振部材の小径部は、前記ストッパーの形状に相応して、前記変速レバー側に向かって、徐々に開口された直径が狭くなるように形成されることを特徴とする。
【0010】
前記ダンパーハウジングは、前記二つの連結パイプのフランジの間が互いに広がるのを制限できるように、前記二つのフランジを囲む形状に形成されることを特徴とする。
【0011】
前記二つの連結パイプは、各々フランジが先端に備えられたT字型の断面に形成されて、前記二つのフランジが互いに向き合うように配置され、前記ダンパーハウジングは、U字型の断面が前記二つの連結パイプの周囲で回転する形状に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マスダンパーのような過度の重量体を用いることなく、変速機から変速ケーブルを通じて、室内に伝達されるノイズを効果的に吸収および絶縁することにより、車両の静粛性と乗車感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る変速ケーブルのノイズ低減装置の構造を説明した図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示す通り、本発明の実施形態は、変速ケーブルのインナーケーブル1に一体に備えられたストッパー3と、インナーケーブル1とは離隔し、ストッパー3とは接触できるようにインナーケーブル1の周囲に備えられて、振動を吸収および絶縁する防振部材5と、防振部材5の外側を囲んで支持するダンパーハウジング7とから構成される。
ダンパーハウジング7の内部には、防振部材5によって互いに絶縁した状態で二つの連結パイプ9が備えられ、また、二つの連結パイプ9の端部には、外径が拡張した形状のフランジ11が備えられて、二つのフランジ11が互いに対向して位置しており、二つの連結パイプ9の少なくとも一つは、変速ケーブルのアウターケーブルに連結される。
【0015】
すなわち、連結パイプ9は、アウターケーブルに連結されてアウターケーブルの役割を代行するものであって、アウターケーブルの中間の部分にダンパーハウジング7およびストッパー3が位置する場合には、二つの連結パイプ9がいずれもアウターケーブルにスウェージングなどの方法で連結される構造を有する。
図2に示す通り、変速レバー側の連結パイプ9は、変速レバーマウンティングブラケットに装着されるマウンティングソケット13に連結される構造を有し、この場合、マウンティングソケット13と連結される連結パイプ9は、図示したように、両端が互いに対称となる構成で形成されるのが好ましい。
【0016】
ストッパー3は、インナーケーブル1の周囲へ半径が拡張する形状に形成され、防振部材5は、二つの連結パイプ9のフランジ11の間でストッパー3と接触できるように、二つのフランジ11の間で半径が狭くなる小径部15を備えた構造である。
ストッパー3は、インナーケーブル1がDレンジ状態に引っ張られた状態で、防振部材5の小径部15に接触するようにインナーケーブル1に装着される。
すなわち、変速レバーがP、R、Nレンジ状態にある間は、ストッパー3が相対的に弱く引っ張られた位置にあるため、ストッパー3が防振部材5に接触せず、変速機からのノイズが最も大きなDレンジ状態でストッパー3が防振部材5に接触することにより、インナーケーブル1を通じて伝えられる振動およびノイズが防振部材5によって吸収および絶縁され、車両の室内静粛性と乗車感の向上をもたらすようにしたのである。
【0017】
ストッパー3は、変速レバー側に向かって徐々に直径が小さくなる形態に形成され、防振部材5の小径部15は、ストッパー3の形状に相応して、変速レバー側に向かって徐々に開口された直径が狭くなるように形成される。
したがって、インナーケーブル1がDレンジ状態に引っ張られるに伴い、ストッパー3が防振部材5となるべく広い接触面を形成しながら安定した接触状態を確保できるようになる。
【0018】
二つの連結パイプ9は、各々フランジ11が先端に備えらえたT字型の断面に形成されて、二つのフランジ11が互いに向き合うように配置され、ダンパーハウジング7は、U字型の断面が二つの連結パイプ9の周囲で回転する形状に形成され、ダンパーハウジング7が二つの連結パイプ9のフランジ11の間が互いに広がるのを制限できるように二つのフランジ11を囲む形状となっている。
一方、防振部材5には、主にゴム材質が用いられれが、その他にも効果的に振動を吸収および遮断することができ、ダンパーハウジング7と連結パイプ9などの構成が互いに機械的に安定した位置関係を維持することができる材質であれば、どんなものでも使用可能である。
【符号の説明】
【0019】
1:インナーケーブル
3:ストッパー
5:防振部材
7:ダンパーハウジング
9:連結パイプ
11:フランジ
13:マウンティングソケット
15:小径部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速ケーブルのインナーケーブルに一体に備えらえたストッパーと、
前記インナーケーブルとは離隔し、前記ストッパーとは接触できるように前記インナーケーブルの周囲に備えられて、振動を吸収および絶縁する防振部材と、
前記防振部材の外側を囲んで支持するダンパーハウジングと、
を備えて構成されることを特徴とする変速ケーブルのノイズ低減装置。
【請求項2】
前記ダンパーハウジングの内部には、前記防振部材によって互いに絶縁された状態で二つの連結パイプが備えられ、
前記二つの連結パイプの端部には、外径が拡張した形状のフランジが備えられて、前記二つのフランジが互いに対向して位置しており、
前記二つの連結パイプの少なくとも一つは、前記変速ケーブルのアウターケーブルに連結されることを特徴とする請求項1に記載の変速ケーブルのノイズ低減装置。
【請求項3】
前記ストッパーは、前記インナーケーブルの周囲へ半径が拡張する形状に形成され、
前記防振部材は、前記二つの連結パイプのフランジの間で前記ストッパーと接触できるように、前記二つのフランジの間で半径が狭くなる小径部を備えることを特徴とする請求項2に記載の変速ケーブルのノイズ低減装置。
【請求項4】
前記ストッパーは、前記インナーケーブルがDレンジ状態に引っ張られた状態で、前記防振部材の小径部に接触するように前記インナーケーブルに装着されることを特徴とする請求項3に記載の変速ケーブルのノイズ低減装置。
【請求項5】
前記ストッパーは、変速レバー側に向かって、徐々に直径が小さくなる形態に形成され、
前記防振部材の小径部は、前記ストッパーの形状に相応して、前記変速レバー側に向かって、徐々に開口された直径が狭くなるように形成されることを特徴とする請求項3に記載の変速ケーブルのノイズ低減装置。
【請求項6】
前記ダンパーハウジングは、前記二つの連結パイプのフランジの間が互いに広がるのを制限できるように、前記二つのフランジを囲む形状に形成されることを特徴とする請求項3に記載の変速ケーブルのノイズ低減装置。
【請求項7】
前記二つの連結パイプは、各々フランジが先端に備えられたT字型の断面に形成されて、前記二つのフランジが互いに向き合うように配置され、
前記ダンパーハウジングは、U字型の断面が前記二つの連結パイプの周囲で回転する形状に形成されることを特徴とする請求項6に記載の変速ケーブルのノイズ低減装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−38631(P2011−38631A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249932(P2009−249932)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】