説明

変速機の潤滑構造

【課題】従来技術と比較して部品点数を増やすことなく潤滑対象部位に供給する潤滑油量を増やして焼付けや摩耗の発生を回避できるコスト低廉な変速機の潤滑構造を提供する。
【解決手段】潤滑油が封入されたケース2と、一部分がケース2の底部に滞留する潤滑油に浸漬され、ケース2に軸承されて回転することにより潤滑油の一部を粘性により引き上げて遠心力により内部空間に放出する回転体(カウンタ軸5)、及び回転体5の上方に配置されて潤滑油が必要とされる潤滑対象部位(同期装置6)を含み、所定の変速機能を有する変速機構部と、を備える変速機の潤滑構造1であって、回転体5、潤滑対象部位6に近接する外周面に軸線AX2方向に外径が徐変する形状(凸形状81、82)を有し、外径が徐変する形状のうち外径が大きい位置の突起先端部83が潤滑対象部位6に正対している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機の潤滑構造に関し、より詳細には、回転体により潤滑油の一部を引き上げて内部空間に放出し潤滑対象部位に到達させる潤滑構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
平行する2つの回転軸に複数の変速ギヤ対を備え、同期装置により一つの変速ギヤ対を選択的に噛合させて所定の変速比を得る常時噛合歯車式変速機がある。この変速機では、軸受部や同期装置などの動作を円滑化し、また摩擦熱による温度上昇を低減して焼付きや摩耗による機能低下を抑制するため、当該部位に潤滑油を供給して油膜を形成する。これを行うために、ケース内に潤滑油を封入して循環させる潤滑構造が採用されている。ケースの底部に滞留する潤滑油に一部分が浸漬された変速ギヤは、回転することによって潤滑油の一部を掻き上げて飛散させるので、これにより潤滑油が潤滑対象部位に到達する。また凹凸を有しない回転体も、潤滑油の一部を粘性により引き上げ、遠心力によって内部空間に放出するので潤滑機能を有する。さらに、潤滑油の供給量を多くするために、飛散する潤滑油を捕集して流下させるオイルレシーバが併用される場合も多い。
【0003】
この種の潤滑油を掻き上げる方式の潤滑構造の技術例が特許文献1〜3に開示されている。特許文献1の変速機の潤滑構造は、カウンタシャフトギヤを回転させることでミッションケース内に溜まった潤滑油を掻き揚げてメインシャフトに設けられた同期装置に供給する潤滑構造において、カウンタシャフトギヤを少なくとも同期装置の径方向外方の位置まで軸方向に延長して形成している。つまり、カウンタシャフトギヤを軸方向に厚く形成して同期装置の近くで潤滑油を掻き揚げる構成としており、潤滑油が同期装置に到達しやすくなっている。
【0004】
また、特許文献2の自動車用変速機の潤滑装置は、シンクロナイザ(同期装置)の直下のカウンタシャフト上にオイル掻き揚げ部材を設けている。オイル掻き揚げ部材は、潤滑油を掻き揚げる専用の別部材であり、実施例でギヤおよび羽根が例示されている。さらに、特許文献3の変速機の潤滑構造は、リバースアイドルギヤまたはこのギヤと一体に回転するシャフトに、潤滑油を掻き揚げるための掻揚手段を設けている。掻揚手段は、特許文献2に類似する潤滑油を掻き揚げる専用の別部材であり、従属請求項で羽根車が例示され、具体的な形状が記載されている。特許文献2および3では、専用の別部材を用いることで、効率的に潤滑油を掻き揚げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−130446号公報
【特許文献2】実開平5−1056号公報
【特許文献3】特開2002−130445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、カウンタシャフトギヤが大形化するので、その分だけ重量が増加し、加工の手間も増加して、変速機のコストが増加する。さらに、ギヤを軸方向に延長する延長範囲には構造上の制約があり、十分な効果を得られない場合もある。また、特許文献2および3では、掻き揚げ専用部材が追加となるため、部品コストおよび組み付け作業コストが増加する。
【0007】
本発明は上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、従来技術と比較して部品点数を増やすことなく潤滑対象部位に供給する潤滑油量を増やして焼付けや摩耗の発生を回避できるコスト低廉な変速機の潤滑構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の変速機の潤滑構造は、潤滑油が封入されたケースと、一部分が前記ケースの底部に滞留する前記潤滑油に浸漬され、前記ケースに軸承されて回転することにより前記潤滑油の一部を粘性により引き上げて遠心力により内部空間に放出する回転体、及び前記回転体の上方に配置されて前記潤滑油が必要とされる潤滑対象部位を含み、所定の変速機能を有する変速機構部と、を備える変速機の潤滑構造であって、前記回転体は、前記潤滑対象部位に近接する外周面に軸線方向に外径が徐変する形状を有し、前記外径が徐変する形状のうち外径が大きい位置の突起先端部が前記潤滑対象部位に正対していることを特徴とする。
【0009】
また、前記回転体は回転軸であり、前記潤滑対象部位は前記回転軸の上方で前記ケースに軸承された別の回転軸の外周に配置された同期装置であってもよい。
【0010】
さらに、前記外径が徐変する形状は、軸線方向の断面が丸みを帯びた三角形状であってもよい。
【0011】
また、前記外径が徐変する形状は、軸線方向の断面が凹形状および凸形状を含んだ凹凸形状であってもよい。
【0012】
また、前記外径が徐変する形状は、軸線方向に沿って前記外径が徐々に増加して前記突起先端部に達しその後前記外径が徐々に減少する勾配形状であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の変速機の潤滑構造では、一部分が潤滑油に浸漬される回転体の外周面に、軸線方向に外径が徐変する形状を有しているので、外径が大きい突起先端部で遠心力が大きくなり、潤滑油を集中的に引き上げて放出することができる。これに対し、外周面に外径差のない従来の回転体では、軸線方向のどの位置においても一様に潤滑油が放出される。したがって、本発明によれば、突起先端部から正対する潤滑対象部位に向けて従来よりも多量の潤滑油を放出させ、供給する潤滑油量を従来よりも増やすことができる。また、本発明は既存の回転体に簡単な加工を施すだけ、あるいは素材形状を変更するだけで実施可能であり、部品点数は増えず、コストは低廉である。
【0014】
また、回転体が回転軸で、潤滑対象部位が同期装置である態様では、同期装置を構成するシンクロナイザリングの摺動面や、スプライン嵌合するハブ、スリーブ、およびシンクロナイザリングなどのスプライン歯面を多量の潤滑油で良好に潤滑できる。
【0015】
さらに、外径が徐変する形状を、軸線方向の断面が丸みを帯びた三角形状、軸線方向の断面凹凸形状、および軸線方向に沿う勾配形状のいずれかとした態様では、回転体の製作工程数や加工の手間があまり変わらないので、製作コストが増加しない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の変速機の潤滑構造を示す側面断面図である。
【図2】実施形態の変速機の潤滑構造の作用を説明する図である。
【図3】従来技術の変速機の潤滑構造の作用を説明する図である。
【図4】回転体の外径が徐変する形状が凹凸形状とされる形態の構造及び作用を説明する図である。
【図5】外径が徐変する形状が単一の勾配形状とされる形態の構造及び作用を説明する図である。
【図6】外径が徐変する形状が2つの勾配形状とされる形態の構造及び作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための実施形態を、図1及び図2を参考にして説明する。図1は、本発明の実施形態の変速機の潤滑構造1を示す側面断面図である。実施形態の潤滑構造1は、車両に搭載された前進5速後進1速の変速機内に構成されており、変速操作方式は手動および自動のどちらでもよい。図示されるように、実施形態の変速機の潤滑構造1は、ケース2、入力軸3、出力軸4、およびカウンタ軸5と、各軸に設けられた変速ギヤと、同期装置6とを備えて構成されており、同期装置6に潤滑油を供給するものである。
【0018】
入力軸3および出力軸4は共通の軸線AX1上に並んで配置されている。入力軸3は中実軸であり、その一端寄り(図1の左方)がケース2に軸承され、かつ一端がケース3外に引き出されて回転駆動される。入力軸3の他端31(図1の右方)は、後述するように出力軸4の内周側に軸承され、回動自在となっている。入力軸3の一端側から他端31側に順番にリバース駆動ギヤ(図略)、4速駆動ギヤ32、2速駆動ギヤ33、3速駆動ギヤ34が固設されている。さらに、1速駆動ギヤ35が、ニードルベアリング351を介して遊転可能に設けられている。1速駆動ギヤ35に隣接して(図1の右方に)、1−5速用同期装置6が設けられている。
【0019】
出力軸4は筒状の中空軸であり、入力軸3に近い側(図1の左側)の一端が拡径されて拡径部43となっている。出力軸4の拡径されていない軸部41の外周とケース2との間にローラベアリング42が配置され、出力軸4は回動自在となっている。出力軸4の拡径部43の内周側にはローラベアリング44が配置され、ローラベアリング44の内周側に入力軸3の他端31が嵌入して軸承されている。さらに、拡径部43の外周側に出力従動ギヤ45が設けられ、拡径部43の端面(図1の左側側端面)内周寄りに5速直結従動部46が設けられている。
【0020】
カウンタ軸5は、入力軸3および出力軸4に平行して、下方の軸線AX2上に配置されている。カウンタ軸5は軸内油路58、59を有する中実軸であり、一端(図1の左方)がケースに軸承され、他端51(図1の右方)がボールベアリング52によってケース2に軸承され、回動自在となっている。カウンタ軸5の一端側から他端51側に順番にリバース従動ギヤ(図略)、4速従動ギヤ53、2速従動ギヤ54、3速従動ギヤ55がそれぞれニードルベアリング531、541、551を介して遊転可能に設けられている。さらに、1速従動ギヤ56が固設され、間隔Lをおいて出力駆動ギヤ57が固設されている。また、リバース従動ギヤと4速従動ギヤ53との間に後進−4速用同期装置(図略)が設けられ、2速従動ギヤ54と3速従動ギヤ55との間に2−3速用同期装置7が設けられている。
【0021】
入力軸3のそれぞれの駆動ギヤ32、33,34、35は、カウンタ軸5の同速度の従動ギヤ53、54、55、56と遊転可能に噛合している。また、カウンタ軸5の出力駆動ギヤ57は、出力軸4の出力従動ギヤ45に噛合している。後進および1〜4速の変速比は、いずれかの同期装置6、7によって駆動ギヤと従動ギヤとがトルクを伝達するように結合されて実現される。また、5速は変速比1であり、1−5速用同期装置6によって入力軸3と出力軸4とが直結されて実現される。
【0022】
1−5速用同期装置6は、ハブ61、スリーブ62、1速用シンクロナイザリング63、5速用シンクロナイザリング64、およびシフトフォーク65などにより、略軸対称に構成されている。入力軸3の外周に環状に突設されたハブ61には、環状のスリーブ62がスプライン嵌合されて軸線AX1方向に移動可能となっている。シフトフォーク65による駆動によって、スリーブ62が1速用シンクロナイザリング63により同期されたのち1速駆動ギヤ35に回転連結されると、1速が実現される。また、スリーブ62が5速用シンクロナイザリング64により同期されたのち出力軸4の5速直結従動部46に回転連結されると、5速が実現される。1−5速用同期装置6の構成には、従来技術を用いることができる。
【0023】
1−5速用同期装置6は、1速用及び5速用シンクロナイザリング63、64の摺動面や、スプライン嵌合するハブ61、スリーブ62、およびシンクロナイザリング63、64などのスプライン歯面を潤滑することが必要である。これに対して、ケースの内部に潤滑油が封入されており、図示されるように、潤滑油の油面OLは停止状態でカウンタ軸5の軸線AX2よりもわずかに高い程度となっている。したがって、1−5速用同期装置6は、油面OLよりも高い位置に配設された潤滑対象部位となり、潤滑油を供給する潤滑構造が必要になる。また、カウンタ軸5は、ケース2に軸承されて回転することにより潤滑油を引き上げて放出する本発明の回転体に相当する。
【0024】
また、カウンタ軸5側に設けられた後進−4速用同期装置及び2−3速用同期装置7の構成にも、従来技術を用いることができる。後進−4速用同期装置及び2−3速用同期装置7も潤滑することが必要であり、カウンタ軸5の軸方向軸内油路58及び径方向軸内油路59を用いて潤滑構造が構成されている。この潤滑構造にも、従来技術を用いることができる。
【0025】
なお、入力軸3、出力軸4、およびカウンタ軸5と、各軸に設けられた変速ギヤと、3つの同期装置とにより変速機構部が構成されている。
【0026】
1−5速用同期装置6を潤滑する潤滑構造として、カウンタ軸5は、1−5速用同期装置6に近接する外周面に軸線方向に外径が徐変する形状を有している。つまり、図1に示されるように、カウンタ軸5の1速従動ギヤ56と出力駆動ギヤ57との間隔Lに、軸線方向の断面が径方向外向きに突出する凸形状81、82が2個設けられている。凸形状81、82はカウンタ軸5を環状に周回しており、軸線方向の断面は外径が徐変する丸みを帯びた三角形状となっている。凸形状81、82の丸みを帯びた三角形状の先端が、外径の最も大きい突起先端部83となる。突起先端部83は、基準外径D1に対して外径差D2だけ突出している。また、2個の突起先端部83はそれぞれ、潤滑対象部位となる1−5速用同期装置6のスリーブ62の軸線AX2方向の両側の端面の外寄り付近に正対している。
【0027】
次に、前述のように構成された実施形態の変速機の潤滑構造1の作用及び効果について、従来技術と比較して説明する。図2は実施形態の変速機の潤滑構造1の作用を説明する図であり、図3は従来技術の変速機の潤滑構造の作用を説明する図である。図2に示されるように、凸形状81の外径は基準外径D1よりも大きく、回転時に相対的に大きな遠心力が発生する。このため、粘性によりカウンタ軸5の外周面に付着した潤滑油は、カウンタ軸5の回転により油面OLから引き上げられると、遠心力によって凸形状81の三角形状の斜面を径方向外向きに移動する(図2の矢印F1参照)。潤滑油は、突起先端部83に集まり、遠心力によって放出される(図2の矢印F2参照)。これにより、潤滑油は、1−5速用同期装置6に向けて集中的に放出される。
【0028】
これに対し、図3に示される従来技術では、カウンタ軸5の外周面に凹凸がなく、軸線AX2方向のどの位置においても一様に潤滑油が放出される(図3の矢印F3参照)。したがって、本実施形態によれば、突起先端部83から1−5速用同期装置6に向けて従来よりも多量の潤滑油を放出させ、供給する潤滑油量を従来よりも増やすことができる。これにより、同期装置6を構成するシンクロナイザリング63、64の摺動面や、スプライン嵌合するハブ61、スリーブ62、およびシンクロナイザリング63、64などのスプライン歯面を多量の潤滑油で良好に潤滑でき、焼付けや摩耗の発生を回避できる。
【0029】
また、カウンタ軸5に簡単な加工を施すだけで実施可能であり、部品点数は増えず、製作工程数や加工の手間があまり変わらないので、部品コストが増加しない。
【0030】
次に、カウンタ軸5に設ける外径が徐変する形状の応用実施形態について、図4〜図6を参考にして、図2に示される実施形態と異なる点を主に説明する。図4は、回転体の外径が徐変する形状が凹凸形状とされる形態の構造及び作用を説明する図である。また、図5は外径が徐変する形状が単一の勾配形状とされる形態の構造及び作用を説明する図であり、図6は外径が徐変する形状が2つの勾配形状とされる形態の構造及び作用を説明する図である。
【0031】
図4で、カウンタ軸5には、3つの凸形部841、845、849と2つの凹形部843、847とが軸線AX2方向に交互に配置された凹凸形状84が構成されている。凸形部841、845、849は基準外径D1の部位で突起先端部に相当し、凹形部843、847は基準外径D1よりも外径差D3だけ小さい部位である。また、隣接する凸形部と凹形部との間はそれぞれ、外径が徐変するテーパ状の斜面部842、844、846、848でつなげられている。
【0032】
図4に示される態様では、斜面部842、844、846、848に付着して油面OLから引き上げられた潤滑油は、遠心力によって斜面部842、844、846、848を径方向外向きに移動する(図4の矢印F4参照)。潤滑油は、凸形部841、845、849に集まり、遠心力によって放出される(図4の矢印F5参照)。これにより、潤滑油は、3箇所から潤滑対象部位に向けて集中的に放出される。
【0033】
また、図5で、カウンタ軸5には、2つの勾配面851、853が軸線AX2方向に並ぶ勾配形状85が構成されている。第1の勾配面851は、軸線AX2方向に沿って図の左から右に向かい外径が徐々に増加して基準外径D1の突起先端部852に達している。第2の勾配面853は、突起先端部852から軸線AX2方向に沿って図の左から右に向かい外径が徐々に減少している。
【0034】
図5に示される態様では、勾配面851、853に付着して油面OLから引き上げられた潤滑油は、遠心力によって勾配面851、853上を突起先端部852に向かって移動する(図5の矢印F6参照)。潤滑油は、突起先端部852に集まり、遠心力によって潤滑対象部位に向けて集中的に放出される(図5の矢印F7参照)。
【0035】
さらに、図6で、カウンタ軸5には、2組の図5に類似した勾配形状86、87が構成されている。この態様では、潤滑油は、遠心力によって勾配面上を突起先端部861、871に向かって移動し(図6の矢印F8参照)、2箇所の突起先端部861、871から潤滑対象部位に向けて集中的に放出される(図6の矢印F9参照)。
【0036】
図4〜図6に示される応用実施形態の効果は、図1および図2で説明した実施形態の効果と同様であり、説明は省略する。
【0037】
なお、本発明は、前述した構成の変速機構部を備える変速機に限定されず、各種の構成の変速機、例えば、入力軸と出力軸とを平行させて上下に配置した変速機でも実施できる。また、潤滑対象部位も同期装置6に限定されない。その他、本発明は、様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1:変速機の潤滑構造
2:ケース 3:入力軸 4:出力軸 5:カウンタ軸(回転体)
6:1−5速用同期装置(潤滑対象部位)
61:ハブ 62:スリーブ 63:1速用シンクロナイザリング
64:5速用シンクロナイザリング 65:シフトフォーク
7:2−3速用同期装置
81、82:凸形状(外径が徐変する形状) 83:突起先端部
84:凹凸形状(外径が徐変する形状)
841、845、849:凸形部(突起先端部)
842、844、846、848:斜面部
843、847:凹形部
85:勾配形状(外径が徐変する形状)
851、853:勾配面
852:突起先端部
86、87:勾配形状(外径が徐変する形状)
861、871:突起先端部
AX1、AX2:軸線 D1:基準外径 D2、D3:外径差 OL:油面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑油が封入されたケースと、
一部分が前記ケースの底部に滞留する前記潤滑油に浸漬され、前記ケースに軸承されて回転することにより前記潤滑油の一部を粘性により引き上げて遠心力により内部空間に放出する回転体、及び前記回転体の上方に配置されて前記潤滑油が必要とされる潤滑対象部位を含み、所定の変速機能を有する変速機構部と、
を備える変速機の潤滑構造であって、
前記回転体は、前記潤滑対象部位に近接する外周面に軸線方向に外径が徐変する形状を有し、前記外径が徐変する形状のうち外径が大きい位置の突起先端部が前記潤滑対象部位に正対していることを特徴とする変速機の潤滑構造。
【請求項2】
前記回転体は回転軸であり、前記潤滑対象部位は前記回転軸の上方で前記ケースに軸承された別の回転軸の外周に配置された同期装置である請求項1に記載の変速機の潤滑構造。
【請求項3】
前記外径が徐変する形状は、軸線方向の断面が丸みを帯びた三角形状である請求項1また2に記載の変速機の潤滑構造。
【請求項4】
前記外径が徐変する形状は、軸線方向の断面が凹形状および凸形状を含んだ凹凸形状である請求項1また2に記載の変速機の潤滑構造。
【請求項5】
前記外径が徐変する形状は、軸線方向に沿って前記外径が徐々に増加して前記突起先端部に達しその後前記外径が徐々に減少する勾配形状である請求項1また2に記載の変速機の潤滑構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−19510(P2013−19510A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154853(P2011−154853)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(592058315)アイシン・エーアイ株式会社 (490)
【Fターム(参考)】