変速機
【課題】変速機の全長を短縮できる軸受け固定構造をもつ変速機を提供することである。
【解決手段】本発明の変速機は、回転軸1と、回転軸1の一端部の外周側に位置する軸受け内周部21と、外周面に周方向に形成された本体部嵌挿溝221をもち軸受け内周部21の外周側に相対回動可能且つ軸方向の移動が規制されるように周設された軸受け外周部22とを備える軸受け2と、本体部嵌挿溝221に挿嵌可能な略C字形状の本体部31と本体部31の周方向の一部で本体部31より外径方向に突出した一以上の係止爪32とをもつスナップリング3と、係止爪31が軸方向に移動可能に周方向の一部が削られた挿入部42と、本体部嵌挿溝221に対向する位置で且つスナップリング3の周方向回転で係止爪31が挿入部42から周方向に嵌挿可能な係止爪嵌挿溝43とが内周面に形成され、軸受け2を径方向移動不能に保持するケース4と、を有することを特徴とする。
【解決手段】本発明の変速機は、回転軸1と、回転軸1の一端部の外周側に位置する軸受け内周部21と、外周面に周方向に形成された本体部嵌挿溝221をもち軸受け内周部21の外周側に相対回動可能且つ軸方向の移動が規制されるように周設された軸受け外周部22とを備える軸受け2と、本体部嵌挿溝221に挿嵌可能な略C字形状の本体部31と本体部31の周方向の一部で本体部31より外径方向に突出した一以上の係止爪32とをもつスナップリング3と、係止爪31が軸方向に移動可能に周方向の一部が削られた挿入部42と、本体部嵌挿溝221に対向する位置で且つスナップリング3の周方向回転で係止爪31が挿入部42から周方向に嵌挿可能な係止爪嵌挿溝43とが内周面に形成され、軸受け2を径方向移動不能に保持するケース4と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機に関し、特に軸受けを固定する構造に特徴を有する変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車用変速機は、車両のコンパクト化に伴い全長の短縮化が求められている。また、低燃費化を目的とした多段化により、変速段が増加した分を別の箇所や工夫で全長が延長しないよう、あるいは、より短縮するような構造が求められているのが現状である。
【0003】
ところで、従来の一般的に使用されている変速機において、回転軸を変速機のケースに回転可能に支承するための軸受けが固定された状態を示す一部断面図を図12に示している(図12は断面を示す斜線が省略してある。)。図12は、市販されているFF自動車用横置き型変速機(非特許文献1)の一部断面図で、回転軸91の一端側(図面左方)に深溝玉軸受け92が使用されている。この軸受け92は、歯車により発生する荷重を受けながら軸を回転させるだけでなく、その軸自体の軸方向の位置決めの機能も併せ持つという重要な役割を担っている。そのため、図13に示されるように、軸受け外周部にスナップリング93が使用され、そのスナップリング93を組み付け後、組み付けのために使用した開口部を蓋94で塞ぎ、蓋94を5本のボルト95で固定している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】日産自動車株式会社、RS5F70A解説書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この構造では軸受けの一端側に、「蓋94の厚み+ボルト95の頭部高さ」が必要となり、変速段の多段化等に伴う延長方向と同じ方向に変速機の全長を延ばしている。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、変速機の全長を短縮できる軸受け固定構造をもつ変速機を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明の構成上の特徴は、回転軸と、
前記回転軸の一端部の外周側に位置する軸受け内周部と、外周面に周方向に形成された本体部嵌挿溝をもち前記軸受け内周部の外周側に相対回動可能且つ軸方向の移動が規制されるように周設された軸受け外周部とを備える軸受けと、
前記本体部嵌挿溝に軸方向に隙間なく挿嵌可能な厚みで略C字形状の本体部と前記本体部の周方向の一部で前記本体部より外径方向に突出した一以上の係止爪とをもつスナップリングと、
前記スナップリングの前記係止爪が軸方向に移動可能に周方向の一部が削られた挿入部と、前記軸受けの前記本体部嵌挿溝に対向する位置で且つ前記スナップリングの周方向回転で前記係止爪が前記挿入部から周方向に嵌挿可能な係止爪嵌挿溝とが内周面に形成され、前記軸受けを径方向移動不能に保持し、前記回転軸、前記軸受け及び前記スナップリングを収納する空間を区画するケースと、
を有することである。
【0008】
また、上記課題を解決するための請求項2に係る発明の構成上の特徴は、回転軸と、
略C字形状の本体部と前記本体部の周方向の一部で前記本体部より内径方向に突出した一以上の係止爪とをもつスナップリングと、
前記回転軸の一端部の外周側に位置する軸受け内周部と、前記スナップリングの前記係止爪が軸方向に移動可能に周方向の一部が削られた挿入部及び外周面に前記スナップリングの周方向回転で前記係止爪が周方向に嵌挿可能な係止爪嵌挿溝をもち且つ前記軸受け内周部の外周側に相対回動可能且つ軸方向の移動が規制されるように周設された軸受け外周部とを備える軸受けと、
前記軸受けの前記係止爪嵌挿溝に対向する位置で前記スナップリングの前記本体部が嵌挿可能な本体部嵌挿溝と、前記軸受けを径方向移動不能に保持し、前記回転軸、前記軸受け及び前記スナップリングを収納する空間を区画するケースと、
を有することである。
【0009】
また請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2において、前記係止爪は周方向に等間隔で形成されることである。
【0010】
また請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1〜3の何れか1項において、前記挿入部に挿入され、一端部が前記本体部嵌挿溝及び前記係止爪嵌挿溝に固定され、前記係止爪が前記係止爪嵌挿溝に嵌挿した前記スナップリングの周方向の回転を規制するクリップを更に有することである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明においては、軸受けとケースとの間に位置するスナップリングが略C字形状の本体部から外径方向に突出した係止爪をもつ。そして、軸受けは外周面にスナップリングの本体部が周方向に嵌挿可能な本体部嵌挿溝が形成され、ケースは内周面にスナップリングの係止爪が軸方向に移動可能な挿入部と、係止爪が挿入部から周方向に嵌挿可能な係止爪嵌挿溝とを有する。このような構成とすることで、係止爪が周方向でケースの挿入部と一致する位置でスナップリングを軸方向にケースに挿入し、周方向に回動させると、係止爪が係止爪嵌挿溝に嵌挿されるため、スナップリングの軸方向の移動が規制される。そして、スナップリングの本体部は、軸受けの本体部嵌挿溝に嵌挿されているため、回転軸を保持している軸受けも軸方向の移動が規制する。結果、回転軸の軸方向の移動が規制され、回転軸の軸方向の位置決めが行われる。本発明の変速機は、スナップリングの本体部より外径側に突出した係止爪を周方向に回動させて、ケースの係止爪嵌挿溝に嵌挿させることで、回転軸の位置決めが行える。従って、スナップリングを組み付けるために、ケースの軸受けが位置する側を開口させ、その開口を蓋で塞ぎ、蓋と蓋を固定するためのボルト等が必要ないため、回転軸方向の短縮が可能になる。
【0012】
請求項2に係る発明においては、軸受けとケースとの間に位置するスナップリングが略C字形状の本体部から内径方向に突出した係止爪をもつ。そして、ケースは内周面にスナップリングの本体部が周方向に嵌挿可能な本体部嵌挿溝が形成され、軸受けは外周面にスナップリングの係止爪が軸方向に移動可能な挿入部と、係止爪が挿入部から周方向に嵌挿可能な係止爪嵌挿溝とを有する。このような構成とすることで、本体部がケースの本体部嵌挿溝に嵌挿している状態で、軸受けの挿入部が係止爪と周方向で一致する位置で軸受けを軸方向にケースに挿入し、軸受けを周方向に回動させると、係止爪が係止爪嵌挿溝に嵌挿されるため、回転軸を保持している軸受けが軸方向の移動が規制される。結果、回転軸の軸方向の移動が規制され、回転軸の軸方向の位置決めが行われる。本発明の変速機は、スナップリングの本体部より内径側に突出した係止爪を係止爪嵌挿溝に周方向に嵌挿するように軸受けを回動させることで、回転軸の位置決めが行える。従って、スナップリングを組み付けるために、ケースの軸受けが位置する側を開口させ、その開口を蓋で塞ぎ、蓋と蓋を固定するためのボルト等が必要ないため、回転軸方向の短縮が可能になる。
【0013】
請求項3に係る発明においては、係止爪を周方向に等間隔に形成することで、係止爪及び係止爪が軸方向に挿入する挿入部をそれぞれ成形しやすい。
【0014】
請求項4に係る発明においては、係止爪が挿入部から挿入後に係止爪嵌挿溝に嵌挿後、クリップを挿入部から挿入して、本体部嵌挿溝及び係止爪嵌挿溝に固定することで、スナップリングの周方向の回転が確実に規制されるため、スナップリングの廻り止めができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は実施形態1の変速機の主要部分を一部断面で表した説明図で、(b)は図1(a)のB−B’断面図である。
【図2】実施形態1の変速機で用いられるスナップリング3を示す正面図である。
【図3】(a)はスナップリング3が回動し係止爪32が係止爪嵌挿溝42に嵌挿している状態を一部断面で表した説明図で、(b)は図3(a)のB−B’断面図である。
【図4】変形形態1の変速機の主要部分を示す一部断面図である。
【図5】実施形態2の変速機で用いられるスナップリング3を示す正面図である。
【図6】実施形態2の変速機の主要部分を示す一部断面図である。
【図7】スナップリング5が回動し係止爪52が係止爪嵌挿溝24に嵌挿している状態を示す説明図である。
【図8】変形形態2の変速機で用いられるスナップリング3を示す正面図である。
【図9】変形形態2の変速機の主要部分を示す一部断面図である。
【図10】スナップリング6が回動し係止爪62が係止爪嵌挿溝222に嵌挿している状態を示す説明図である。
【図11】(a)は実施形態3の変速機の主要部分を一部断面で表した説明図で、(b)は図11(a)のB−B’断面図である。ある。
【図12】従来技術の変速機の一部断面図である。
【図13】従来技術の変速機で用いられるケースの一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
スナップリングは、係止爪を1以上有し、好ましくは2以上で周方向に等間隔又は中心軸の点対称で形成されるのが好ましい。例えば、係止爪が2つの場合は180℃間隔、係止爪が3つの場合は120℃間隔、係止爪が4つの場合に2つの係止爪が60℃の間隔で他の2つの係止爪も60℃間隔で、その2組の係止爪同士が120℃の間隔等が考えられる。係止爪が2以上の場合、係止爪の先端の径(外径側に突出では外径、内径側に突出では内径)は略同径が好ましい。また、係止爪が2以上形成される場合の各係止爪の周方向の幅は、爪毎に異なる長さ又は全爪が同じ長さとすることができる。
【0017】
係止爪が軸方向に挿入される挿入部は、係止爪が周方向で等間隔で各係止爪の周方向の長さが同じ場合、周方向で等間隔で周方向の長さも同じに形成する。つまり、どの爪がどの挿入部に位置しても位相が合うように形成する。係止爪が中心軸の点対称や周方向に不等間隔で周方向の長さも異なる等の場合、周方向で最低一カ所でスナップリングの係止爪が挿入できるように(位相が一致するように)形成される。
【0018】
本体部嵌挿溝は、全周に渡って又は本体部が嵌挿できるC字状に形成されている。係止爪嵌挿溝は、周方向で全周又は一部とすることができる。周方向で一部に形成する場合、周方向で挿入部から挿入される係止爪の全体あるいは一部が嵌挿可能な程度の周方向の幅に断続的に形成することができる。
【0019】
係止爪が内径側に突出している場合の軸受けの挿入部は、軸受け外周部を係止爪の外形に沿う形状あるいは係止爪の先端の径に対しての接線とすることができる。
【0020】
(組み付け方法)
係止爪が外径側に突出している場合、スナップリグは軸受けに保持する。スナップリングの本体部を軸受けの本体部嵌挿溝に嵌挿させる。次に、スナップリングの係止爪をケースの挿入部と位相を合わせ、軸受けをケースに軸方向で挿入する。スナップリングあるいはスナップリングと軸受けとを回動させる。本体部嵌挿溝が周方向で本体部とほぼ同じ程度の溝であれば、スナップリングと軸受けを一緒に回動させる。スナップリングは回動することで、スナップリングの係止爪がケースの係止爪嵌挿溝に嵌挿する。これで、係止爪が軸方向でケースに引っかかり、スナップリングの軸方向の移動が規制され、結果軸受け及び軸受けに保持される回転軸が軸方向で移動規制され、回転軸の位置決めができる。
【0021】
係止爪が内径側に突出している場合、スナップリングはケースに保持する。スナップリングの本体部をケースの本体部嵌挿溝に嵌挿させる。本体部嵌挿溝は、本体部が嵌挿させられる形状として、全周に渡って又はC字状に形成されている。次に、スナップリングの係止爪と軸受けの挿入部との位相を合わせ、軸受けをケースに軸方向で挿入する。そして、軸受けを回動させる。軸受けが回動することで、スナップリングの係止爪が軸受けの係止爪嵌挿溝に嵌挿する。 これで、係止爪が軸方向で軸受けに引っかかり、軸受けの軸方向の移動が規制され、回転軸の位置決めができる。
【0022】
(実施形態1)
本実施形態1の変速機は、図1に示されるように、回転軸1と、軸受け2と、スナップリング3と、ケース4とを有する。
【0023】
回転軸1は、一端側が後述するケース4に軸受け2を介して回転自在に支承される。回転軸1には、図示が省略されているが、一端側から他端側の間に、複数の歯車が同軸で回転自在あるいは一体回転可能に支承されている。
【0024】
軸受け2は、回転軸1の一端側で回転軸1の軸方向の移動を規制するように、回転軸1の外周側でかつケース4の内周側に配設される部材である。つまり、回転軸1の一端側とケース4との間に位置する部材である。軸受け2は、回転軸1の一端部の外周側に固定される軸受け内周部21と、軸受け内周部21より外周側に位置しケース4に接する軸受け外周部22と、軸受け内周部21及び軸受け外周部22の間に位置し回転自在なボール23とを有する。そして、軸受け外周部22は外周面に周方向に形成された本体部嵌挿溝221を有する。本体部嵌挿溝221は、周方向全周に渡り内径方向に窪んでおり、軸方向の幅は後述するスナップリング3が嵌挿できる程度である。
【0025】
スナップリング3は、図2に示されるように、軸受け2の本体部嵌挿溝221に軸方向に隙間なく挿嵌可能な厚みで略C字形状の本体部31と本体部31の周方向の一部で本体部31より外径方向に突出した係止爪32とを有する。本体部31の外周径は、本体部31が本体部嵌挿溝221に嵌挿している状態で、軸受け2の軸受け外周部22より径方向で小さい(内径側に位置する)のが好ましい。係止爪32は、等間隔に周方向に3つ、全て径方向ほぼ同じに突出しており、周方向の幅もほぼ同じである。そして、係止爪32は、本体部31が本体部嵌挿溝221に嵌挿している状態で、軸受け外周部22より外径側に突出する。
【0026】
図1に戻って、ケース4は、回転軸1、軸受け2、スナップリング3及び複数の歯車等の変速を行うための部材が内部に収納される収納空間40をもつ変速機のケースである。ケース4は、軸受け固定部41と、挿入部42、係止爪嵌挿溝43とをもつ。軸受け固定部41と挿入部42とは、周方向で交互に形成される。軸受け固定部41は、軸受け2の軸受け外周部22の外周面を覆う内面形状をもつ。挿入部42は、本体部嵌挿溝221にスナップリング3の本体部31が嵌挿状態で、係止爪32が軸方向に移動できるように、係止爪32と同数で、周方向等間隔に、軸受け固定部41より外径方向に欠けているように形成される。係止爪嵌挿溝43は、軸受け固定部41の内面側の軸受け2の軸受け外周部22の本体部嵌挿溝221に対向する位置で、係止爪32が挿入部42から周方向回転によって嵌挿可能に周方向で挿入部42と挿入部42との間に形成される。
【0027】
次に、本実施形態1の変速機において、回転軸1をケース4に回転自在に支承する方法(軸受け2をケース4に固定する方法)について説明する。
【0028】
まず、回転軸1の一端側を軸受け2の軸受け内周部21に嵌入し、軸受け2を回転軸1に固定する。次に、スナップリング3の本体部31を軸受け2の本体部嵌挿溝221に嵌挿する。本体部31は本体部嵌挿溝22に外径がはみ出ないように嵌め込まれており、係止爪32が軸受け外周部22より突出している。次に、図1(b)において、軸受け2が固定された回転軸1を軸受け2を左側にして、ケース4の右側から左側に挿入する。この時、スナップリング3の係止爪32とケース4の挿入部42との位相を合わせて挿入する。係止爪32はケース4の軸受け固定部41に阻止されることなく、回転軸1と軸受け2とスナップリング3とをケース4に固定される位置まで挿入する。そして、軸受け2とスナップリング3とを周方向、図2において例えば、左回転(矢印L方向)させ、係止爪32をケース4の係止爪嵌挿溝43に嵌挿させる。係止爪32は、図3に示されるように、各挿入部42との間の係止爪嵌挿溝43に全体が嵌挿されるまで挿入される。ここで、係止爪嵌挿溝43が挿入部42と挿入部42との間の全てが形成されているが、係止爪32は周方向全体が係止爪嵌挿溝43に挿入する必要はなく、挿入部42に一部が出ていても良い。
【0029】
本実施形態1の変速機によれば、係止爪32が周方向でケース4の挿入部42と一致する位置でスナップリング3を軸方向にケース4に挿入でき、周方向に回動させると、係止爪32が係止爪嵌挿溝221に嵌挿するため、スナップリング3の軸方向の移動が規制される。そして、スナップリング3の本体部31は、軸受け2の本体部嵌挿溝221に嵌挿されているため、回転軸1を保持している軸受け2も軸方向の移動が規制される。結果、回転軸1の軸方向の移動が規制され、回転軸1の軸方向の位置決めが行われる。本発明の変速機は、スナップリング3の本体部31より外径側に突出した係止爪32を周方向に回動させて、ケース4の係止爪嵌挿溝43に嵌挿させることで、回転軸1の位置決めが行えるため、スナップリング3を組み付けるために、ケース4の軸受け2が位置する側を開口させ、その開口を蓋で塞ぎ、蓋と蓋を固定するためのボルト等が必要ないため、軸方向の短縮が可能になる。つまり、変速段の多段化等に伴う延長方向に対して短縮となる。
【0030】
(変形形態1)
変形形態1は実施形態1と基本的には同様の構成及び同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心に説明する。
【0031】
変形形態1の変速機で用いられるケース4の係止爪嵌挿溝43は、図4に示されるように、挿入部42の周方向の一辺側から隣接する挿入部42との間で周方向の一部に形成される。つまり、係止爪32(スナップリング3)が周方向に一回転できない。1つの係止爪嵌挿溝43は、周方向で係止爪32がすべて嵌挿できる長さから係止爪32の一部が嵌挿できるものとすることができる。
【0032】
本変形形態1の変速機によれば、組み付けの際、ケース4に挿入後のスナップリング3(軸受け2とともにでも)を回転させるにあたり、どこまで回転させれば良いか分かりやすいため、組み付けが行いやすい。
【0033】
(実施形態2)
実施形態2は実施形態1と基本的には同様の構成及び同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心に説明する。
【0034】
スナップリング5は、図5に示されるように、略C字形状の本体部51と本体部51の周方向の一部で本体部51より内径方向に突出した3つの係止爪52とを有する。係止爪52の突出は、本体部51から周方向でほぼ同じ程度突出している。つまり、係止爪52の内径側先端はほぼ同じ径方向に位置する。
【0035】
軸受け2は、図6に示されるように、内周部21、外周部22及びスナップリング5の係止爪52が軸方向に移動可能に周方向の一部が削られた挿入部24を有する。外周部22は、外周面にスナップリング5の周方向回転で係止爪52が周方向に嵌挿可能な係止爪嵌挿溝222を有する。挿入部24は、周方向で係止爪52と同じ数形成される。係止爪嵌挿爪222は、挿入部24から周方向に係止爪52が嵌挿可能に、各挿入部24の間に形成される。
【0036】
ケース4は、収納空間40、軸受け固定部41及び本体部嵌挿溝44をもつ。本体部嵌挿溝44は、周方向全周に渡外径方向に窪んでおり、軸方向の幅はスナップリング5の本体部51が嵌挿できる程度の幅である。
【0037】
スナップリング5は、本体部51が本体部嵌挿溝44に嵌挿されている状態で、本体部51は軸受け固定部41から内径方向にはみ出ず、係止爪52は軸受け固定部41の内径から突出した状態となる。
【0038】
次に、本実施形態2の変速機において、回転軸1をケース4に回転自在に支承する方法(軸受け2をケース4に固定する方法)について説明する。
【0039】
まず、スナップリング5の本体部51をケース4の本体部嵌挿溝44に嵌挿させる。そして、回転軸1の一端側を軸受け2の軸受け内周部21に嵌入し、軸受け2を回転軸1に固定する。次に、回転軸1を保持している軸受け2をケース4の軸受け固定部41に挿入する。この時、スナップリング5の係止爪52と軸受け2の挿入部24との位相を合わせて挿入する。軸受け2を、外周部22が係止爪52に阻止されることなく、ケース4に固定される位置まで挿入する。そして、軸受け2を周方向に回動させ、係止爪52を軸受け2の係止爪嵌挿溝222に嵌挿させる。係止爪52は、図7に示されるように、各挿入部24との間の係止爪嵌挿溝222に全体が嵌挿されるまで嵌挿される。ここで、係止爪嵌挿溝222は挿入部24と挿入部24との間の全てが形成されているが、係止爪52は周方向全体が係止爪嵌挿溝222に挿入する必要はなく、挿入部24に一部が出ていても良い。
【0040】
本実施形態2の変速機によれば、本体部51がケース4の本体部嵌挿溝44に嵌挿している状態で、軸受け2の挿入部24が係止爪52と周方向で一致する位置で軸受け2を軸方向にケース4に挿入し、軸受け2を周方向に回動させると、係止爪51が係止爪嵌挿溝222に嵌挿するため、回転軸1を保持している軸受け2が軸方向の移動が規制される。結果、回転軸1の軸方向の移動が規制され、回転軸1の軸方向の位置決めが行われる。本実施形態2の変速機は、スナップリング5の本体部51より内径側に突出した係止爪52を係止爪嵌挿溝222に周方向に嵌挿するように軸受け2を回動させることで、回転軸1の位置決めが行えるため、スナップリング5を組み付けるために、ケース4の軸受け2が位置する側を開口させ、その開口を蓋で塞ぎ、蓋と蓋を固定するためのボルト等が必要ないため、軸方向つまり変速段の多段化等に伴う延長方向の短縮が可能になる。
【0041】
(変形形態2)
変形形態2は実施形態2と基本的には同様の構成及び同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心に説明する。
【0042】
変形形態2の変速機で用いられるスプリング6は、図8に示されるように、略C字形状の本体部61と本体部61の周方向の一部で本体部61より内径方向の幅が大きい係止爪62とを有する。係止爪62は、内径側先端が直線状で、径方向に対しての接線に相当する。
【0043】
軸受け部2は、図9及び図10に示されるように、内周部21、外周部22及びスナップリング6の係止爪62が軸方向に移動可能に周方向の一部が削られた挿入部25を有する。挿入部25は、外周部22の本体部嵌挿溝222のほぼ底面の接線、つまり直線状に欠けている。図9は、軸受け2の挿入部25をケース4の本体部嵌挿溝44に本体部61が嵌挿されたスプリング6の係止爪62と位相を合わせてケース4に挿入した図である。そして、図10は、軸受け2を回動させ、係止爪62が係止爪嵌挿溝222に嵌挿した状態を示している。
【0044】
本変形形態2の変速機によれば、係止爪62及び係止爪62が軸方向に挿入されるための挿入部25が径方向に対しての接線、つまり一直線状であるため、形成しやすい。
【0045】
(実施形態3)
実施形態3は、実施形態1と基本的には同様の構成及び同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心に説明する。
【0046】
実施形態2の変速機は、図11に示されるように、回転軸1と、軸受け2と、スナップリング3と、ケース4と、クリップ7とを有する。
【0047】
クリップ7は、板状の本体部71と、一端が鍵状に曲がった廻り止め部72とを有する。クリップ7は、廻り止め部72をケース4の係止爪嵌挿溝43及び軸受け2の本体部嵌挿溝221に位置するように挿入される。本実施形態3では、クリップ7は、図11(b)において、ケース4に軸受け2、回転軸1、スナップリング3が挿入された状態で、且つ軸受け2又は軸受け2とスナップリング3を周方向に回転させた後、廻り止め部72を左側にして挿入部42に挿入される。そして、図11(b)に示されるように、廻り止め部72の先端部分の引っ掛かり部721が本体部嵌挿溝221又は係止爪嵌挿溝43に引っかかる状態になるまで挿入する。廻り止め部72から他端までの長さは、クリップ7が挿入部42に挿入されている状態で他端が若干挿入部42から突出している程度である。また、廻り止め部72の周方向の長さは挿入部42より短く、本体部71は必要に応じて挿入部42の周方向の形状に沿って、緩やかにカーブしていることが好ましい。
【0048】
本実施形態3の変速機によれば、ケース4に回転軸1、軸受け2及びスナップリング3が挿入され、スナップリング3によって回転軸1の軸方向の位置決めが行われている状態で、クリップ7が挿入部42に挿入されることで、挿入部42と位相を合わせて挿入されたスナップリング3の周方向の回転を確実に阻止することができる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、係止爪は3つに限られず、1つでも良い。そして、2以上形成し、対向する位置に配置するのが好ましい。また、一つ一つの爪の形状は、同じである必要はないが、位相を合わせやすいため、同じ形状が好ましい。更に、爪を2以上形成する場合は、位相を合わせやすいため、各爪は周方向で均等に形成されることが好ましい。
【0050】
また、クリップ7は、実施形態1の変速機で用いられるだけでなく、実施形態2、変形形態1及び変形形態2でも用いることができる。クリップ7の形状も、上記した形状に限定されるものではなく、挿入部に挿入可能で本体部嵌挿溝及び係止爪嵌挿溝に固定できる形状であればよい。また、クリップ7は一つを用いるだけでなく、2以上、挿入部42の数用いることもできる。
【符号の説明】
【0051】
1…回転軸
2…軸受け
21…内周部 22…外周部 23…ボール 24…挿入部
221…本体部嵌挿溝 222…係止爪嵌挿溝
3、5、6…スナップリング
31、51、61…本体部 32、52、62…係止爪
4…ケース
40…収納空間 41…軸受け固定部 42…挿入部 43…係止爪嵌挿溝
44…本体部嵌挿溝
7…クリップ
71…本体部 72…廻り止め部 721…引っ掛かり部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機に関し、特に軸受けを固定する構造に特徴を有する変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車用変速機は、車両のコンパクト化に伴い全長の短縮化が求められている。また、低燃費化を目的とした多段化により、変速段が増加した分を別の箇所や工夫で全長が延長しないよう、あるいは、より短縮するような構造が求められているのが現状である。
【0003】
ところで、従来の一般的に使用されている変速機において、回転軸を変速機のケースに回転可能に支承するための軸受けが固定された状態を示す一部断面図を図12に示している(図12は断面を示す斜線が省略してある。)。図12は、市販されているFF自動車用横置き型変速機(非特許文献1)の一部断面図で、回転軸91の一端側(図面左方)に深溝玉軸受け92が使用されている。この軸受け92は、歯車により発生する荷重を受けながら軸を回転させるだけでなく、その軸自体の軸方向の位置決めの機能も併せ持つという重要な役割を担っている。そのため、図13に示されるように、軸受け外周部にスナップリング93が使用され、そのスナップリング93を組み付け後、組み付けのために使用した開口部を蓋94で塞ぎ、蓋94を5本のボルト95で固定している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】日産自動車株式会社、RS5F70A解説書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この構造では軸受けの一端側に、「蓋94の厚み+ボルト95の頭部高さ」が必要となり、変速段の多段化等に伴う延長方向と同じ方向に変速機の全長を延ばしている。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、変速機の全長を短縮できる軸受け固定構造をもつ変速機を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明の構成上の特徴は、回転軸と、
前記回転軸の一端部の外周側に位置する軸受け内周部と、外周面に周方向に形成された本体部嵌挿溝をもち前記軸受け内周部の外周側に相対回動可能且つ軸方向の移動が規制されるように周設された軸受け外周部とを備える軸受けと、
前記本体部嵌挿溝に軸方向に隙間なく挿嵌可能な厚みで略C字形状の本体部と前記本体部の周方向の一部で前記本体部より外径方向に突出した一以上の係止爪とをもつスナップリングと、
前記スナップリングの前記係止爪が軸方向に移動可能に周方向の一部が削られた挿入部と、前記軸受けの前記本体部嵌挿溝に対向する位置で且つ前記スナップリングの周方向回転で前記係止爪が前記挿入部から周方向に嵌挿可能な係止爪嵌挿溝とが内周面に形成され、前記軸受けを径方向移動不能に保持し、前記回転軸、前記軸受け及び前記スナップリングを収納する空間を区画するケースと、
を有することである。
【0008】
また、上記課題を解決するための請求項2に係る発明の構成上の特徴は、回転軸と、
略C字形状の本体部と前記本体部の周方向の一部で前記本体部より内径方向に突出した一以上の係止爪とをもつスナップリングと、
前記回転軸の一端部の外周側に位置する軸受け内周部と、前記スナップリングの前記係止爪が軸方向に移動可能に周方向の一部が削られた挿入部及び外周面に前記スナップリングの周方向回転で前記係止爪が周方向に嵌挿可能な係止爪嵌挿溝をもち且つ前記軸受け内周部の外周側に相対回動可能且つ軸方向の移動が規制されるように周設された軸受け外周部とを備える軸受けと、
前記軸受けの前記係止爪嵌挿溝に対向する位置で前記スナップリングの前記本体部が嵌挿可能な本体部嵌挿溝と、前記軸受けを径方向移動不能に保持し、前記回転軸、前記軸受け及び前記スナップリングを収納する空間を区画するケースと、
を有することである。
【0009】
また請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2において、前記係止爪は周方向に等間隔で形成されることである。
【0010】
また請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1〜3の何れか1項において、前記挿入部に挿入され、一端部が前記本体部嵌挿溝及び前記係止爪嵌挿溝に固定され、前記係止爪が前記係止爪嵌挿溝に嵌挿した前記スナップリングの周方向の回転を規制するクリップを更に有することである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明においては、軸受けとケースとの間に位置するスナップリングが略C字形状の本体部から外径方向に突出した係止爪をもつ。そして、軸受けは外周面にスナップリングの本体部が周方向に嵌挿可能な本体部嵌挿溝が形成され、ケースは内周面にスナップリングの係止爪が軸方向に移動可能な挿入部と、係止爪が挿入部から周方向に嵌挿可能な係止爪嵌挿溝とを有する。このような構成とすることで、係止爪が周方向でケースの挿入部と一致する位置でスナップリングを軸方向にケースに挿入し、周方向に回動させると、係止爪が係止爪嵌挿溝に嵌挿されるため、スナップリングの軸方向の移動が規制される。そして、スナップリングの本体部は、軸受けの本体部嵌挿溝に嵌挿されているため、回転軸を保持している軸受けも軸方向の移動が規制する。結果、回転軸の軸方向の移動が規制され、回転軸の軸方向の位置決めが行われる。本発明の変速機は、スナップリングの本体部より外径側に突出した係止爪を周方向に回動させて、ケースの係止爪嵌挿溝に嵌挿させることで、回転軸の位置決めが行える。従って、スナップリングを組み付けるために、ケースの軸受けが位置する側を開口させ、その開口を蓋で塞ぎ、蓋と蓋を固定するためのボルト等が必要ないため、回転軸方向の短縮が可能になる。
【0012】
請求項2に係る発明においては、軸受けとケースとの間に位置するスナップリングが略C字形状の本体部から内径方向に突出した係止爪をもつ。そして、ケースは内周面にスナップリングの本体部が周方向に嵌挿可能な本体部嵌挿溝が形成され、軸受けは外周面にスナップリングの係止爪が軸方向に移動可能な挿入部と、係止爪が挿入部から周方向に嵌挿可能な係止爪嵌挿溝とを有する。このような構成とすることで、本体部がケースの本体部嵌挿溝に嵌挿している状態で、軸受けの挿入部が係止爪と周方向で一致する位置で軸受けを軸方向にケースに挿入し、軸受けを周方向に回動させると、係止爪が係止爪嵌挿溝に嵌挿されるため、回転軸を保持している軸受けが軸方向の移動が規制される。結果、回転軸の軸方向の移動が規制され、回転軸の軸方向の位置決めが行われる。本発明の変速機は、スナップリングの本体部より内径側に突出した係止爪を係止爪嵌挿溝に周方向に嵌挿するように軸受けを回動させることで、回転軸の位置決めが行える。従って、スナップリングを組み付けるために、ケースの軸受けが位置する側を開口させ、その開口を蓋で塞ぎ、蓋と蓋を固定するためのボルト等が必要ないため、回転軸方向の短縮が可能になる。
【0013】
請求項3に係る発明においては、係止爪を周方向に等間隔に形成することで、係止爪及び係止爪が軸方向に挿入する挿入部をそれぞれ成形しやすい。
【0014】
請求項4に係る発明においては、係止爪が挿入部から挿入後に係止爪嵌挿溝に嵌挿後、クリップを挿入部から挿入して、本体部嵌挿溝及び係止爪嵌挿溝に固定することで、スナップリングの周方向の回転が確実に規制されるため、スナップリングの廻り止めができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は実施形態1の変速機の主要部分を一部断面で表した説明図で、(b)は図1(a)のB−B’断面図である。
【図2】実施形態1の変速機で用いられるスナップリング3を示す正面図である。
【図3】(a)はスナップリング3が回動し係止爪32が係止爪嵌挿溝42に嵌挿している状態を一部断面で表した説明図で、(b)は図3(a)のB−B’断面図である。
【図4】変形形態1の変速機の主要部分を示す一部断面図である。
【図5】実施形態2の変速機で用いられるスナップリング3を示す正面図である。
【図6】実施形態2の変速機の主要部分を示す一部断面図である。
【図7】スナップリング5が回動し係止爪52が係止爪嵌挿溝24に嵌挿している状態を示す説明図である。
【図8】変形形態2の変速機で用いられるスナップリング3を示す正面図である。
【図9】変形形態2の変速機の主要部分を示す一部断面図である。
【図10】スナップリング6が回動し係止爪62が係止爪嵌挿溝222に嵌挿している状態を示す説明図である。
【図11】(a)は実施形態3の変速機の主要部分を一部断面で表した説明図で、(b)は図11(a)のB−B’断面図である。ある。
【図12】従来技術の変速機の一部断面図である。
【図13】従来技術の変速機で用いられるケースの一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
スナップリングは、係止爪を1以上有し、好ましくは2以上で周方向に等間隔又は中心軸の点対称で形成されるのが好ましい。例えば、係止爪が2つの場合は180℃間隔、係止爪が3つの場合は120℃間隔、係止爪が4つの場合に2つの係止爪が60℃の間隔で他の2つの係止爪も60℃間隔で、その2組の係止爪同士が120℃の間隔等が考えられる。係止爪が2以上の場合、係止爪の先端の径(外径側に突出では外径、内径側に突出では内径)は略同径が好ましい。また、係止爪が2以上形成される場合の各係止爪の周方向の幅は、爪毎に異なる長さ又は全爪が同じ長さとすることができる。
【0017】
係止爪が軸方向に挿入される挿入部は、係止爪が周方向で等間隔で各係止爪の周方向の長さが同じ場合、周方向で等間隔で周方向の長さも同じに形成する。つまり、どの爪がどの挿入部に位置しても位相が合うように形成する。係止爪が中心軸の点対称や周方向に不等間隔で周方向の長さも異なる等の場合、周方向で最低一カ所でスナップリングの係止爪が挿入できるように(位相が一致するように)形成される。
【0018】
本体部嵌挿溝は、全周に渡って又は本体部が嵌挿できるC字状に形成されている。係止爪嵌挿溝は、周方向で全周又は一部とすることができる。周方向で一部に形成する場合、周方向で挿入部から挿入される係止爪の全体あるいは一部が嵌挿可能な程度の周方向の幅に断続的に形成することができる。
【0019】
係止爪が内径側に突出している場合の軸受けの挿入部は、軸受け外周部を係止爪の外形に沿う形状あるいは係止爪の先端の径に対しての接線とすることができる。
【0020】
(組み付け方法)
係止爪が外径側に突出している場合、スナップリグは軸受けに保持する。スナップリングの本体部を軸受けの本体部嵌挿溝に嵌挿させる。次に、スナップリングの係止爪をケースの挿入部と位相を合わせ、軸受けをケースに軸方向で挿入する。スナップリングあるいはスナップリングと軸受けとを回動させる。本体部嵌挿溝が周方向で本体部とほぼ同じ程度の溝であれば、スナップリングと軸受けを一緒に回動させる。スナップリングは回動することで、スナップリングの係止爪がケースの係止爪嵌挿溝に嵌挿する。これで、係止爪が軸方向でケースに引っかかり、スナップリングの軸方向の移動が規制され、結果軸受け及び軸受けに保持される回転軸が軸方向で移動規制され、回転軸の位置決めができる。
【0021】
係止爪が内径側に突出している場合、スナップリングはケースに保持する。スナップリングの本体部をケースの本体部嵌挿溝に嵌挿させる。本体部嵌挿溝は、本体部が嵌挿させられる形状として、全周に渡って又はC字状に形成されている。次に、スナップリングの係止爪と軸受けの挿入部との位相を合わせ、軸受けをケースに軸方向で挿入する。そして、軸受けを回動させる。軸受けが回動することで、スナップリングの係止爪が軸受けの係止爪嵌挿溝に嵌挿する。 これで、係止爪が軸方向で軸受けに引っかかり、軸受けの軸方向の移動が規制され、回転軸の位置決めができる。
【0022】
(実施形態1)
本実施形態1の変速機は、図1に示されるように、回転軸1と、軸受け2と、スナップリング3と、ケース4とを有する。
【0023】
回転軸1は、一端側が後述するケース4に軸受け2を介して回転自在に支承される。回転軸1には、図示が省略されているが、一端側から他端側の間に、複数の歯車が同軸で回転自在あるいは一体回転可能に支承されている。
【0024】
軸受け2は、回転軸1の一端側で回転軸1の軸方向の移動を規制するように、回転軸1の外周側でかつケース4の内周側に配設される部材である。つまり、回転軸1の一端側とケース4との間に位置する部材である。軸受け2は、回転軸1の一端部の外周側に固定される軸受け内周部21と、軸受け内周部21より外周側に位置しケース4に接する軸受け外周部22と、軸受け内周部21及び軸受け外周部22の間に位置し回転自在なボール23とを有する。そして、軸受け外周部22は外周面に周方向に形成された本体部嵌挿溝221を有する。本体部嵌挿溝221は、周方向全周に渡り内径方向に窪んでおり、軸方向の幅は後述するスナップリング3が嵌挿できる程度である。
【0025】
スナップリング3は、図2に示されるように、軸受け2の本体部嵌挿溝221に軸方向に隙間なく挿嵌可能な厚みで略C字形状の本体部31と本体部31の周方向の一部で本体部31より外径方向に突出した係止爪32とを有する。本体部31の外周径は、本体部31が本体部嵌挿溝221に嵌挿している状態で、軸受け2の軸受け外周部22より径方向で小さい(内径側に位置する)のが好ましい。係止爪32は、等間隔に周方向に3つ、全て径方向ほぼ同じに突出しており、周方向の幅もほぼ同じである。そして、係止爪32は、本体部31が本体部嵌挿溝221に嵌挿している状態で、軸受け外周部22より外径側に突出する。
【0026】
図1に戻って、ケース4は、回転軸1、軸受け2、スナップリング3及び複数の歯車等の変速を行うための部材が内部に収納される収納空間40をもつ変速機のケースである。ケース4は、軸受け固定部41と、挿入部42、係止爪嵌挿溝43とをもつ。軸受け固定部41と挿入部42とは、周方向で交互に形成される。軸受け固定部41は、軸受け2の軸受け外周部22の外周面を覆う内面形状をもつ。挿入部42は、本体部嵌挿溝221にスナップリング3の本体部31が嵌挿状態で、係止爪32が軸方向に移動できるように、係止爪32と同数で、周方向等間隔に、軸受け固定部41より外径方向に欠けているように形成される。係止爪嵌挿溝43は、軸受け固定部41の内面側の軸受け2の軸受け外周部22の本体部嵌挿溝221に対向する位置で、係止爪32が挿入部42から周方向回転によって嵌挿可能に周方向で挿入部42と挿入部42との間に形成される。
【0027】
次に、本実施形態1の変速機において、回転軸1をケース4に回転自在に支承する方法(軸受け2をケース4に固定する方法)について説明する。
【0028】
まず、回転軸1の一端側を軸受け2の軸受け内周部21に嵌入し、軸受け2を回転軸1に固定する。次に、スナップリング3の本体部31を軸受け2の本体部嵌挿溝221に嵌挿する。本体部31は本体部嵌挿溝22に外径がはみ出ないように嵌め込まれており、係止爪32が軸受け外周部22より突出している。次に、図1(b)において、軸受け2が固定された回転軸1を軸受け2を左側にして、ケース4の右側から左側に挿入する。この時、スナップリング3の係止爪32とケース4の挿入部42との位相を合わせて挿入する。係止爪32はケース4の軸受け固定部41に阻止されることなく、回転軸1と軸受け2とスナップリング3とをケース4に固定される位置まで挿入する。そして、軸受け2とスナップリング3とを周方向、図2において例えば、左回転(矢印L方向)させ、係止爪32をケース4の係止爪嵌挿溝43に嵌挿させる。係止爪32は、図3に示されるように、各挿入部42との間の係止爪嵌挿溝43に全体が嵌挿されるまで挿入される。ここで、係止爪嵌挿溝43が挿入部42と挿入部42との間の全てが形成されているが、係止爪32は周方向全体が係止爪嵌挿溝43に挿入する必要はなく、挿入部42に一部が出ていても良い。
【0029】
本実施形態1の変速機によれば、係止爪32が周方向でケース4の挿入部42と一致する位置でスナップリング3を軸方向にケース4に挿入でき、周方向に回動させると、係止爪32が係止爪嵌挿溝221に嵌挿するため、スナップリング3の軸方向の移動が規制される。そして、スナップリング3の本体部31は、軸受け2の本体部嵌挿溝221に嵌挿されているため、回転軸1を保持している軸受け2も軸方向の移動が規制される。結果、回転軸1の軸方向の移動が規制され、回転軸1の軸方向の位置決めが行われる。本発明の変速機は、スナップリング3の本体部31より外径側に突出した係止爪32を周方向に回動させて、ケース4の係止爪嵌挿溝43に嵌挿させることで、回転軸1の位置決めが行えるため、スナップリング3を組み付けるために、ケース4の軸受け2が位置する側を開口させ、その開口を蓋で塞ぎ、蓋と蓋を固定するためのボルト等が必要ないため、軸方向の短縮が可能になる。つまり、変速段の多段化等に伴う延長方向に対して短縮となる。
【0030】
(変形形態1)
変形形態1は実施形態1と基本的には同様の構成及び同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心に説明する。
【0031】
変形形態1の変速機で用いられるケース4の係止爪嵌挿溝43は、図4に示されるように、挿入部42の周方向の一辺側から隣接する挿入部42との間で周方向の一部に形成される。つまり、係止爪32(スナップリング3)が周方向に一回転できない。1つの係止爪嵌挿溝43は、周方向で係止爪32がすべて嵌挿できる長さから係止爪32の一部が嵌挿できるものとすることができる。
【0032】
本変形形態1の変速機によれば、組み付けの際、ケース4に挿入後のスナップリング3(軸受け2とともにでも)を回転させるにあたり、どこまで回転させれば良いか分かりやすいため、組み付けが行いやすい。
【0033】
(実施形態2)
実施形態2は実施形態1と基本的には同様の構成及び同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心に説明する。
【0034】
スナップリング5は、図5に示されるように、略C字形状の本体部51と本体部51の周方向の一部で本体部51より内径方向に突出した3つの係止爪52とを有する。係止爪52の突出は、本体部51から周方向でほぼ同じ程度突出している。つまり、係止爪52の内径側先端はほぼ同じ径方向に位置する。
【0035】
軸受け2は、図6に示されるように、内周部21、外周部22及びスナップリング5の係止爪52が軸方向に移動可能に周方向の一部が削られた挿入部24を有する。外周部22は、外周面にスナップリング5の周方向回転で係止爪52が周方向に嵌挿可能な係止爪嵌挿溝222を有する。挿入部24は、周方向で係止爪52と同じ数形成される。係止爪嵌挿爪222は、挿入部24から周方向に係止爪52が嵌挿可能に、各挿入部24の間に形成される。
【0036】
ケース4は、収納空間40、軸受け固定部41及び本体部嵌挿溝44をもつ。本体部嵌挿溝44は、周方向全周に渡外径方向に窪んでおり、軸方向の幅はスナップリング5の本体部51が嵌挿できる程度の幅である。
【0037】
スナップリング5は、本体部51が本体部嵌挿溝44に嵌挿されている状態で、本体部51は軸受け固定部41から内径方向にはみ出ず、係止爪52は軸受け固定部41の内径から突出した状態となる。
【0038】
次に、本実施形態2の変速機において、回転軸1をケース4に回転自在に支承する方法(軸受け2をケース4に固定する方法)について説明する。
【0039】
まず、スナップリング5の本体部51をケース4の本体部嵌挿溝44に嵌挿させる。そして、回転軸1の一端側を軸受け2の軸受け内周部21に嵌入し、軸受け2を回転軸1に固定する。次に、回転軸1を保持している軸受け2をケース4の軸受け固定部41に挿入する。この時、スナップリング5の係止爪52と軸受け2の挿入部24との位相を合わせて挿入する。軸受け2を、外周部22が係止爪52に阻止されることなく、ケース4に固定される位置まで挿入する。そして、軸受け2を周方向に回動させ、係止爪52を軸受け2の係止爪嵌挿溝222に嵌挿させる。係止爪52は、図7に示されるように、各挿入部24との間の係止爪嵌挿溝222に全体が嵌挿されるまで嵌挿される。ここで、係止爪嵌挿溝222は挿入部24と挿入部24との間の全てが形成されているが、係止爪52は周方向全体が係止爪嵌挿溝222に挿入する必要はなく、挿入部24に一部が出ていても良い。
【0040】
本実施形態2の変速機によれば、本体部51がケース4の本体部嵌挿溝44に嵌挿している状態で、軸受け2の挿入部24が係止爪52と周方向で一致する位置で軸受け2を軸方向にケース4に挿入し、軸受け2を周方向に回動させると、係止爪51が係止爪嵌挿溝222に嵌挿するため、回転軸1を保持している軸受け2が軸方向の移動が規制される。結果、回転軸1の軸方向の移動が規制され、回転軸1の軸方向の位置決めが行われる。本実施形態2の変速機は、スナップリング5の本体部51より内径側に突出した係止爪52を係止爪嵌挿溝222に周方向に嵌挿するように軸受け2を回動させることで、回転軸1の位置決めが行えるため、スナップリング5を組み付けるために、ケース4の軸受け2が位置する側を開口させ、その開口を蓋で塞ぎ、蓋と蓋を固定するためのボルト等が必要ないため、軸方向つまり変速段の多段化等に伴う延長方向の短縮が可能になる。
【0041】
(変形形態2)
変形形態2は実施形態2と基本的には同様の構成及び同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心に説明する。
【0042】
変形形態2の変速機で用いられるスプリング6は、図8に示されるように、略C字形状の本体部61と本体部61の周方向の一部で本体部61より内径方向の幅が大きい係止爪62とを有する。係止爪62は、内径側先端が直線状で、径方向に対しての接線に相当する。
【0043】
軸受け部2は、図9及び図10に示されるように、内周部21、外周部22及びスナップリング6の係止爪62が軸方向に移動可能に周方向の一部が削られた挿入部25を有する。挿入部25は、外周部22の本体部嵌挿溝222のほぼ底面の接線、つまり直線状に欠けている。図9は、軸受け2の挿入部25をケース4の本体部嵌挿溝44に本体部61が嵌挿されたスプリング6の係止爪62と位相を合わせてケース4に挿入した図である。そして、図10は、軸受け2を回動させ、係止爪62が係止爪嵌挿溝222に嵌挿した状態を示している。
【0044】
本変形形態2の変速機によれば、係止爪62及び係止爪62が軸方向に挿入されるための挿入部25が径方向に対しての接線、つまり一直線状であるため、形成しやすい。
【0045】
(実施形態3)
実施形態3は、実施形態1と基本的には同様の構成及び同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心に説明する。
【0046】
実施形態2の変速機は、図11に示されるように、回転軸1と、軸受け2と、スナップリング3と、ケース4と、クリップ7とを有する。
【0047】
クリップ7は、板状の本体部71と、一端が鍵状に曲がった廻り止め部72とを有する。クリップ7は、廻り止め部72をケース4の係止爪嵌挿溝43及び軸受け2の本体部嵌挿溝221に位置するように挿入される。本実施形態3では、クリップ7は、図11(b)において、ケース4に軸受け2、回転軸1、スナップリング3が挿入された状態で、且つ軸受け2又は軸受け2とスナップリング3を周方向に回転させた後、廻り止め部72を左側にして挿入部42に挿入される。そして、図11(b)に示されるように、廻り止め部72の先端部分の引っ掛かり部721が本体部嵌挿溝221又は係止爪嵌挿溝43に引っかかる状態になるまで挿入する。廻り止め部72から他端までの長さは、クリップ7が挿入部42に挿入されている状態で他端が若干挿入部42から突出している程度である。また、廻り止め部72の周方向の長さは挿入部42より短く、本体部71は必要に応じて挿入部42の周方向の形状に沿って、緩やかにカーブしていることが好ましい。
【0048】
本実施形態3の変速機によれば、ケース4に回転軸1、軸受け2及びスナップリング3が挿入され、スナップリング3によって回転軸1の軸方向の位置決めが行われている状態で、クリップ7が挿入部42に挿入されることで、挿入部42と位相を合わせて挿入されたスナップリング3の周方向の回転を確実に阻止することができる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、係止爪は3つに限られず、1つでも良い。そして、2以上形成し、対向する位置に配置するのが好ましい。また、一つ一つの爪の形状は、同じである必要はないが、位相を合わせやすいため、同じ形状が好ましい。更に、爪を2以上形成する場合は、位相を合わせやすいため、各爪は周方向で均等に形成されることが好ましい。
【0050】
また、クリップ7は、実施形態1の変速機で用いられるだけでなく、実施形態2、変形形態1及び変形形態2でも用いることができる。クリップ7の形状も、上記した形状に限定されるものではなく、挿入部に挿入可能で本体部嵌挿溝及び係止爪嵌挿溝に固定できる形状であればよい。また、クリップ7は一つを用いるだけでなく、2以上、挿入部42の数用いることもできる。
【符号の説明】
【0051】
1…回転軸
2…軸受け
21…内周部 22…外周部 23…ボール 24…挿入部
221…本体部嵌挿溝 222…係止爪嵌挿溝
3、5、6…スナップリング
31、51、61…本体部 32、52、62…係止爪
4…ケース
40…収納空間 41…軸受け固定部 42…挿入部 43…係止爪嵌挿溝
44…本体部嵌挿溝
7…クリップ
71…本体部 72…廻り止め部 721…引っ掛かり部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸の一端部の外周側に位置する軸受け内周部と、外周面に周方向に形成された本体部嵌挿溝をもち前記軸受け内周部の外周側に相対回動可能且つ軸方向の移動が規制されるように周設された軸受け外周部とを備える軸受けと、
前記本体部嵌挿溝に軸方向に隙間なく挿嵌可能な厚みで略C字形状の本体部と前記本体部の周方向の一部で前記本体部より外径方向に突出した一以上の係止爪とをもつスナップリングと、
前記スナップリングの前記係止爪が軸方向に移動可能に周方向の一部が削られた挿入部と、前記軸受けの前記本体部嵌挿溝に対向する位置で且つ前記スナップリングの周方向回転で前記係止爪が前記挿入部から周方向に嵌挿可能な係止爪嵌挿溝とが内周面に形成され、前記軸受けを径方向移動不能に保持し、前記回転軸、前記軸受け及び前記スナップリングを収納する空間を区画するケースと、
を有することを特徴とする変速機。
【請求項2】
回転軸と、
略C字形状の本体部と前記本体部の周方向の一部で前記本体部より内径方向に突出した一以上の係止爪とをもつスナップリングと、
前記回転軸の一端部の外周側に位置する軸受け内周部と、前記スナップリングの前記係止爪が軸方向に移動可能に周方向の一部が削られた挿入部及び外周面に前記スナップリングの周方向回転で前記係止爪が周方向に嵌挿可能な係止爪嵌挿溝をもち且つ前記軸受け内周部の外周側に相対回動可能且つ軸方向の移動が規制されるように周設された軸受け外周部とを備える軸受けと、
前記軸受けの前記係止爪嵌挿溝に対向する位置で前記スナップリングの前記本体部が嵌挿可能な本体部嵌挿溝と、前記軸受けを径方向移動不能に保持し、前記回転軸、前記軸受け及び前記スナップリングを収納する空間を区画するケースと、
を有することを特徴とする変速機。
【請求項3】
前記係止爪は周方向に等間隔で形成される請求項1又は2に記載の変速機。
【請求項4】
前記挿入部に挿入され、一端部が前記本体部嵌挿溝及び前記係止爪嵌挿溝に固定され、前記係止爪が前記係止爪嵌挿溝に嵌挿した前記スナップリングの周方向の回転を規制するクリップを更に有する請求項1〜3の何れか1項に記載の変速機。
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸の一端部の外周側に位置する軸受け内周部と、外周面に周方向に形成された本体部嵌挿溝をもち前記軸受け内周部の外周側に相対回動可能且つ軸方向の移動が規制されるように周設された軸受け外周部とを備える軸受けと、
前記本体部嵌挿溝に軸方向に隙間なく挿嵌可能な厚みで略C字形状の本体部と前記本体部の周方向の一部で前記本体部より外径方向に突出した一以上の係止爪とをもつスナップリングと、
前記スナップリングの前記係止爪が軸方向に移動可能に周方向の一部が削られた挿入部と、前記軸受けの前記本体部嵌挿溝に対向する位置で且つ前記スナップリングの周方向回転で前記係止爪が前記挿入部から周方向に嵌挿可能な係止爪嵌挿溝とが内周面に形成され、前記軸受けを径方向移動不能に保持し、前記回転軸、前記軸受け及び前記スナップリングを収納する空間を区画するケースと、
を有することを特徴とする変速機。
【請求項2】
回転軸と、
略C字形状の本体部と前記本体部の周方向の一部で前記本体部より内径方向に突出した一以上の係止爪とをもつスナップリングと、
前記回転軸の一端部の外周側に位置する軸受け内周部と、前記スナップリングの前記係止爪が軸方向に移動可能に周方向の一部が削られた挿入部及び外周面に前記スナップリングの周方向回転で前記係止爪が周方向に嵌挿可能な係止爪嵌挿溝をもち且つ前記軸受け内周部の外周側に相対回動可能且つ軸方向の移動が規制されるように周設された軸受け外周部とを備える軸受けと、
前記軸受けの前記係止爪嵌挿溝に対向する位置で前記スナップリングの前記本体部が嵌挿可能な本体部嵌挿溝と、前記軸受けを径方向移動不能に保持し、前記回転軸、前記軸受け及び前記スナップリングを収納する空間を区画するケースと、
を有することを特徴とする変速機。
【請求項3】
前記係止爪は周方向に等間隔で形成される請求項1又は2に記載の変速機。
【請求項4】
前記挿入部に挿入され、一端部が前記本体部嵌挿溝及び前記係止爪嵌挿溝に固定され、前記係止爪が前記係止爪嵌挿溝に嵌挿した前記スナップリングの周方向の回転を規制するクリップを更に有する請求項1〜3の何れか1項に記載の変速機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−286007(P2010−286007A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137978(P2009−137978)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(592058315)アイシン・エーアイ株式会社 (490)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(592058315)アイシン・エーアイ株式会社 (490)
【Fターム(参考)】
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