説明

外周体の周期構造体加工方法と外周体の周期構造体加工装置

【課題】外周体に特化して周期構造(微細周期性溝やディンプル溝)の規則性形状を狂わせることなく高精度に整列加工できるようにした外周体の周期構造加工方法とその装置を提供する。
【解決手段】直線偏光のフェムト秒レーザを回転可能に設けられた第一回転筒体41内に導き、第一回転筒体内に配置したλ/2板により直線偏光の偏光方向を変化させるとともに、第一回転筒体に対して軸芯O2を合わせて回転可能に設けられた第二回転筒体49内に配置された集光レンズR3と反射ミラーMとによりフェムト秒レーザを集光しつつ外径方向に進ませ、反射ミラーの外周囲にチャック手段7で把持された外周体Wの外周面W1を対面させてフェムト秒レーザを照射させ、反射ミラーを備えた第二回転筒体の回転1回転に対してλ/2板を備えた第一回転筒体を1/2回転させ、外周体の外周面に周期性溝を同一方向に整列加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェムト秒レーザ加工機で丸棒体または円筒体または多角体または球体の外周面に周期構造体(ナノ単位の微細周期性溝やディンプル)を加工する加工方法とその装置に係り、特に、外周面(例えば、エンジンにおけるクランクシャフト外周面、ベアリング内輪の外周等)に対する周期構造体の規則性形状を狂わせることなく合理的に整列加工できるようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止策の最も重要課題として大気汚染の低減を図ることが掲げられている。特に、大気汚染を起している主原因が自動車から出る排気ガスにあることが知られており、国際的な協定が結ばれる中で自動車メーカは競って低公害車を開発している。その行き着くところは、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車等の開発と実用化による世界的普及が期待されている。このような状況の中で、自動車の燃費改善対策とエンジンの性能・耐久性の向上対策として、エンジンにおけるクランクシャフトの摩擦低減、ベアリングの回転摩擦低減、ギアの噛合い摩擦の低減等の摩擦抵抗を極限まで減らすことが望まれている。上記エンジンの摺動部(摩擦面)又は回転部(転がり面)の表面の摩擦抵抗を極限まで減らす加工方法には、刃具の機械的な外力により表面に微細な凹凸筋の溝加工を施すものと、フェムト秒レーザ加工機でナノ周期構造体(連続した微細周期性溝、不連続のディンプルの窪み)を施す加工技術が注目を集め旺盛に開発されている。また、上記ナノ周期構造体が正しく生成されているか・否か・を判定する観測装置も開発されている。
【0003】
上記フェムト秒レーザ加工機において、周期構造体(例えば微細周期性溝)を加工する加工方法は、固体材料表面に、低フルーエンスの超短パルスレーザ(フェムト秒レーザ)を偏光制御して照射することで、照射したレーザの波長より小さいサイズの微細構造を形成する。そして、超短パルスレーザを直線偏光させて固体材料表面に照射することで、偏光方向とは直交する方向に沿って細長い微細構造を形成でき、また、円偏光させて照射することで微細構造体が形成される。こうした微細構造のサイズは、照射するレーザの波長と正の相関関係があり、波長を選択することで微細構造のサイズを制御するものが提供されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
また、フェムト秒レーザがレーザ駆動部から入射されたとき、レーザを複数の光束に分離する回折格子3と、回折格子3によって分離された光束を互いに干渉させるための凸レンズ4,5と、光束が互いに交差し干渉する干渉領域と凸レンズ5との間に配設された円柱レンズ6と、レーザによって加工するため、加工用基材7を干渉領域に配設することができるXYZステージ8を備え、円柱レンズ6が、干渉領域を扁平な領域に整形するとともにエネルギ密度を集中し、加工用基材7と該干渉領域の物質レーザ相互作用によって微細加工することができるものが提供されている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0005】
更に、互いに干渉したフェムト秒レーザ・パルスを、基材に照射することにより、最小平均寸法5〜200nmを有する周期微細構造を基材中に作成するフェムト秒レーザの照射による一次元及び/または二次元周期微細構造の作成方法であり、特に近赤外領域の発振波長で、0.1TW/cm2以上の高密度エネルギーを有し、互いに干渉した2つのフェムト秒レーザ・パルスをシリカガラスに照射することにより、シリカガラス中に、平均幅5〜50nmを有する周期溝を作成するフェムト秒レーザの照射による一次元周期微細構造の作成方法が提供されている(例えば、特許文献3を参照。)。
【0006】
また、更には、溶接ヘッドの旋回駆動機構に、ロータリエンコーダからなる位置センサを取り付け、他方、各層毎の溶接工程におけるアークスタートおよびアークエンドの位置をあらかじめラップすることがないように設定できる位置決めユニットを設け、この位置決めユニットに前記位置センサを接続し、位置決めユニットには、前記各層毎の溶接工程を順に制御するシーケンスコントローラを接続し、前記位置センサからの検出信号に基いて位置決めユニットおよびシーケンスコントローラを介して多層溶接により継手溶接を行うようにしたものが提供されている(例えば、特許文献4を参照。)。
【0007】
そして、本発明の目的により近い技術として、金属対象表面の摩擦抵抗を現状以上に低減することを可能としたものが提供されている。この金属摺動面表面処理装置によると、金属対象物の摺動面にフェムト秒レーザを照射して微細周期構造を形成し、これにより当該摺動面の摩擦抵抗を低減させる構成となっているので、その性質上、加工サイズの均一性が大きく制御性も高いことから、金属対象物の摺動面の摩擦抵抗を現状以上に低減することが可能になる。また、どのような大きさ、形状、材質の金属対象物であってもその摺動面の摩擦抵抗を低減させることが可能であることから、摺動面を有する機械部品の性能を向上させる上で大きなメリットがある。(例えば、特許文献5を参照。)。
【0008】
【特許文献1】特開2003−211400号公報
【特許文献2】特開2003−334683号公報
【特許文献3】特開2003−57422号公報
【特許文献4】特開平6−320270号公報
【特許文献5】特開2004−360011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記各公知例において、フェムト秒レーザによる周期構造体(例えば微細周期性溝)の加工方法は、一次元の平面板の表面にフェムト秒レーザを照射して上記微細周期性溝を生成させる技術内容であるから、三次元形状をしているシリンダ内壁面やベアリングの内輪・外輪の摺動面に対する上記微細周期性溝を生成させることはできない。また、他の公知例(特開平6−320270)は、鉄筋の継手溶接を多層溶接により自動溶接する方法であって、各層毎の溶接アークのスタート位置およびエンド位置がラップすることがないように制御するものであり、溶接ヘッドを旋回駆動機構により円柱状ワークの周り、即ち、外周を旋回移動させるものであるから、本願発明のように比較的細い軸径からなる外筒面に微細周期性溝を加工する省スペースを要求される加工ヘッドには、直ちに適用できないという問題点がある。
【0010】
そして、上記フェムト秒レーザ発振器の出力が高くなれば加工点での集光スポット径を大きくすることができ、ナノ単位の微細周期性溝を一度に広範囲に加工できる。しかし、上記微細周期性溝に替えて、ディンプル加工など一点を集中的に加工しようとすれば、通常の加工方法では機械軸や光学系がその都度加工したい位置に集光点が届くように移動する必要がある。この方法では、加工時間が長くなって加工を短縮させることが困難になる。更に、金属摺動面表面処理装置では、平面状の金属板の表面に微細周期構造を成形させるに止まっている。これがために、外周体となるクランクシャフトの軸部、丸棒やカム、ベアリングの外周面のような三次元曲面に周期構造体を成形させることが出来ない。
【0011】
本発明の課題は、上記従来のフェムト秒レーザにより周期構造体を加工する加工方法やその装置、更には金属摺動面表面処理装置が持つ問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、特に、三次元曲面を持つ丸棒体または円筒体または多角体または球体の外周面に特化し、これに周期構造体(ナノ単位の微細周期性溝やディンプル)の規則性形状(溝の同一方向性)を狂わせることなく高精度・高効率に整列加工できるようにした加工方法とその装置を提供するものである。より具体的には、丸棒状の外周面となるクランクシャフトや内筒体となるベアリング内輪の外周面のような三次元曲面に微細な周期構造体(ナノ単位の微細周期性溝やディンプル)を成形させる方法と装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1の外周体の周期構造体加工方法は、フェムト秒レーザ発振器から発射される直線偏光のフェムト秒レーザを回転可能に設けられた第一回転筒体内に導き、第一回転筒体内に配置されたλ/2板により直線偏光の偏光方向を変化させるとともに、上記第一回転筒体に対して軸芯を合わせて回転可能に設けられた第二回転筒体内に配置された集光レンズと反射ミラーとによりフェムト秒レーザを集光しつつ外径方向に進ませ、上記反射ミラーの外周囲にチャック手段で把持された外周体の外周面を対面させて上記フェムト秒レーザを照射させ、上記反射ミラーを備えた上記第二回転筒体の回転1回転に対して上記λ/2板を備えた上記第一回転筒体を1/2回転させ、上記両筒体の回転に同期させながら上記外周体を上記反射ミラーの外周囲に自転停止状態で公転させて上記外周体の外周面に周期性溝を同一方向に整列加工することを特徴とするものである。
【0013】
請求項2の外周体の周期構造体加工方法は、請求項1記載の外周体の周期構造体加工方法において、上記外周体が把持されたチャック手段をZ軸駆動手段により外周体の軸芯方向に連続移動または間欠移動させ、上記フェムト秒レーザを上記外周体の外周面に所定幅だけ照射することを特徴とするものである。
【0014】
請求項3の外周体の周期構造体加工方法は、請求項1または2記載の外周体の周期構造体加工方法において、上記反射ミラーに向かうフェムト秒レーザを第二回転筒体内であって集光レンズの前側に配置されたディンプル加工用ホモジナイザーまたは混合加工用ホモジナイザーに入射させることにより、上記外周体の外周面にディンプルまたは混合の周期構造体を形成することを特徴とするものである。
【0015】
請求項4の外周体の周期構造体加工方法は、請求項1または2または3記載の外周体の周期構造体加工方法において、上記外周体は、丸棒体または円筒体または多角体または球体である。
【0016】
請求項5の外周体の周期構造体加工装置は、フェムト秒レーザ発振器と、上記フェムト秒レーザ発振器からの直線偏光のフェムト秒レーザを導入する回転可能な第一回転筒体と、上記第一回転筒体内に配置され上記フェムト秒レーザの偏光方向を変化させるλ/2板と、上記第一回転筒体に回転軸芯を合わせて配置される第二回転筒体と、上記第二回転筒体内に配置されフェムト秒レーザを集光させる集光レンズと、上記第二回転筒体筒の先端に配置されフェムト秒レーザを外径方向に屈折させる反射ミラーと、上記第二回転筒体の回転1回転に対して上記第一回転筒体を1/2回転させる回転駆動手段と、外周体を所定位置に把持するチャック手段と、上記チャック手段に設けられ外周体を上記反射ミラーの周りに公転駆動するY軸駆動手段及びX軸駆動手段と、を具備したことを特徴とするものである。
【0017】
請求項6の外周体の周期構造体加工装置は、請求項5記載の外周体の周期構造体加工装置において、上記チャック手段を軸芯方向に進退させるZ軸駆動手段を具備したことを特徴とするものである。
【0018】
請求項7の外周体の周期構造体加工装置は、請求項5または6記載の外周体の周期構造体加工装置において、上記第二回転筒体内であって集光レンズの前側にディンプル加工用ホモジナイザーまたは混合加工用ホモジナイザーを配置したことを特徴とするものである。
【0019】
請求項8の外周体の周期構造体加工装置は、請求項5または6または7記載の外周体の周期構造体加工装置において、上記外周体は、丸棒体または円筒体または多角体または球体である。
【0020】
請求項9の外周体の周期構造体加工方法は、フェムト秒レーザ発振器から発射される直線偏光のフェムト秒レーザを筒体内へ導き、筒体内の集光レンズと反射ミラーとによりフェムト秒レーザを集光しつつ外径方向に進ませ、上記反射ミラーの外周囲にチャック手段で把持された外筒体の外周面を対面させて上記フェムト秒レーザを照射させ、上記外周体を回転させてこの外周面に周期性溝を同一方向に整列加工することを特徴とするものである。
【0021】
請求項10の外周体の周期構造体加工方法は、請求項9記載の外周体の周期構造体加工方法において、上記外周体が把持されたチャック手段をZ軸駆動手段により上記外周体の軸芯方向に連続移動または間欠移動させ、上記フェムト秒レーザを上記外周体の外周面に所定幅だけ照射させることを特徴とするものである。
【0022】
請求項11の外周体の周期構造体加工方法は、請求項9または10記載の外周体の周期構造体加工方法において、上記反射ミラーに向かうフェムト秒レーザを筒体内であって集光レンズの前側に配置されたディンプル加工用ホモジナイザーまたは混合加工用ホモジナイザーに入射させることにより、上記外周体の外周面にディンプルまたは混合の周期構造体を形成することを特徴とするものである。
【0023】
請求項12の外周体の周期構造体加工方法は、請求項9または10または11記載の外周体の周期構造体加工方法において、上記外周体は、丸棒体または円筒体または多角体または球体であることを特徴とするものである。
【0024】
請求項13の外周体の周期構造体加工方法は、請求項4または12記載の外周体の周期構造体加工方法において、上記外周体が球体であって、上記球体に対するフェムト秒レーザの照射ポイントを、球体の頂点から次第に旋回径を大きくするスパイラル状の加工軌跡としたことを特徴とする。
【0025】
請求項14の外周体の周期構造体加工方法は、請求項4または12記載の外周体の周期構造体加工方法において、上記外周体が球体であって、上記球体に対するフェムト秒レーザの照射ポイントを、球体の片側縁から始まり他側縁へと1ピック送りしつつ球体の外径方向に往復移動させる往復移動軌跡としたことを特徴とするものである。
【0026】
請求項15の外周体の周期構造体加工装置は、フェムト秒レーザ発振器と、上記フェムト秒レーザ発振器からの直線偏光のフェムト秒レーザを導入する筒体と、上記筒体内に配置され直線偏光のフェムト秒レーザを集光させる集光レンズと、上記筒体先端側に配置されフェムト秒レーザを外径方向に屈折させる反射ミラーと、上記外周体を所定位置に把持するチャック手段と、上記チャック手段に設けられ外周体を回転駆動させるワーク回転駆動部と、を具備したことを特徴とするものである。
【0027】
請求項16の外周体の周期構造体加工装置は、請求項15記載の外周体の周期構造体加工装置において、上記チャック手段を外周体の軸芯方向に進退させるZ軸駆動手段を具備したことを特徴とするものである。
【0028】
請求項17の外周体の周期構造体加工装置は、請求項15または16記載の外周体の周期構造体加工装置において、上記筒体内であって集光レンズの前側にディンプル加工用ホモジナイザーまたは混合加工用ホモジナイザーを配置したことを特徴とするものである。
【0029】
請求項18の外周体の周期構造体加工装置は、請求項15または16または17記載の外周体の周期構造体加工装置において、上記外周体は、丸棒体または円筒体または多角体または球体であることを特徴とするものである。
【0030】
本発明の外周体の周期構造体加工方法とその装置は上記構成要件からなり、以下のように作用する。
第1に、請求項1〜8において、外周体の三次元曲面にナノ単位の周期構造体を加工する方法と装置は、フェムト秒レーザ発振器から発射される直線偏光のフェムト秒レーザは、第一回転筒体内に導かれ、これに備えた第一回転筒体内の光学偏光素子となるλ/2板で上記フェムト秒レーザが直線偏光され、更に、上記第一回転筒体に回転可能とした第二回転筒体内の集光レンズと反射ミラーとによりフェムト秒レーザを集光しつつ外径方向に進むフェムト秒レーザとなる。これで、フェムト秒レーザは、上記反射ミラーの外周にチャック手段で把持された外周体に照射される。ここで、上記第一回転筒体を上記第二回転筒体の1/2の回転量で両筒体を回転駆動手段により回転駆動させ、上記外周体を上記反射ミラーの外周囲に自転停止状態で公転させると、上記外周体の外周面に微細周期性溝(例えば、溝幅=数百nm)が同一方向に整列加工される。
更に、上記加工において、外周体を把持するチャック手段をZ軸駆動手段により第二回転筒体の軸芯方向へ連続移動または間欠移動させることにより、上記フェムト秒レーザが外周体に所定幅だけ照射される。これで、外周体(丸棒体または円筒体または多角体等の加工対象物の意味)には、微細周期性溝が同一方向に所定幅だけ整列加工されることになる。また、その加工方法も簡単な加工装置で実行される。
【0031】
第2に、特に、請求項3と7において、上記第1の周期構造体を加工する方法と装置において、反射ミラーよりも光源側にディンプル用ホモジナイザーまたは混合加工用ホモジナイザーを介在させることで、フェムト秒レーザの直線偏光を複数のスポット状に補正して集光させることができるから、微細周期性溝に替えてディンプル(例えば、穴径=数十μm)または両溝が混合した周期構造体が任意寸法の加工幅に多数加工される。また、その加工も簡単な加工装置で実行される。更には、上記外周体は、丸棒体または円筒体または多角体または球体等の加工対象物とすることができるから、これらの各外周面に、所望の周期構造体を加工することができる。
【0032】
第3に、請求項9〜18において、外周体の三次元曲面にナノ単位の周期構造体を加工する方法と装置は、フェムト秒レーザ発振器から発射される直線偏光のフェムト秒レーザは、固定された筒体内へ導かれ、この筒体内に備えた集光レンズで集光されつつ先端部の反射ミラーにより外径方向に進むフェムト秒レーザとなる。そして、上記フェムト秒レーザは、上記反射ミラーの外周囲にチャック手段で把持された外周体に向けて照射される。ここで、上記チャック手段で把持した外周体を反射ミラーの外周囲の所定位置で自転(回転)させると、反射ミラーから外周体に照射される直線偏光の向きが変化せず、外周体に微細周期性溝(例えば、溝幅=数百nm)が同一方向に整列加工される。
更に、上記加工において、外周体をチャック手段で把持し、このチャック手段をZ軸駆動手段により軸芯方向へ連続移動または間欠移動させると、上記フェムト秒レーザが外周体に所定幅だけ照射される。これで、外周体には、微細周期性溝が同一方向に所定幅だけ整列加工されることになる。また、その加工方法も簡単な加工装置で実行される。
更に、球体の加工において、球体に対するフェムト秒レーザの照射ポイントの移動は、球体を、球体の片側縁から始まり他側縁へと1ピック送りしつつ球体の外径方向に往復移動させたり、球体の頂部から外周に向けて渦巻き状に円周径を広げる旋回移動させることにより、球体が加工される。尚、レーザ加工ヘッドを移動させても良い。
【0033】
第4に、特に、請求項11と17において、上記周期構造体を加工する方法と装置は、反射ミラーよりも光源側にディンプル用ホモジナイザーまたは混合加工用ホモジナイザーを介在させることで、フェムト秒レーザの直線偏光を複数のスポット状に補正して集光させることができるから、微細周期性溝に替えてディンプル(例えば、穴径=数十μm)または両溝が混合した周期構造体が任意寸法の加工幅に多数加工される。また、その加工も簡単な加工装置で実行される。更には、上記外周体は、丸棒体または円筒体または多角体または球体等の加工対象物とすることができるから、これらの各外周面に、所望の周期構造体を加工することができる。
【0034】
かくして、上記外周体には、微細周期性溝またはディンプル及びこれらを混合した周期構造体が効率良く加工させられる。これにより、上記外周体が、例えば、クランクシャフトの軸であれば、この軸に周期構造体が形成される。この周期構造体を施したエンジンにおけるクランクシャフトとピストンコンロッドとの接触面には、多数の凹溝に潤滑油が溜まってクランクシャフトとピストンコンロッド間の摩擦抵抗を極限まで減らすことが可能になり、自動車の燃費改善が最大限に図られる。勿論、その他の各種機器・部品の外周体に対する加工が行なえる。
【発明の効果】
【0035】
請求項1〜8によると、第一回転筒体と第二回転筒体とが回転駆動手段により回転軸線を軸芯にして1回転されるに際して、上記λ/2板を、上記反射ミラーの1/2の回転量で両筒体を回転させることで、上記フェムト秒レーザを各種の外周体に対する外面に照射回転して微細周期性溝が同一方向に整列加工できる。しかして、エンジンにおける摩擦抵抗をはじめとして、ベアリングの回転摩擦抵抗を極限まで減らすことができる。
【0036】
更に、λ/2板と反射ミラーとの間に配置したディンプル用ホモジナイザーまたは混合加工用ホモジナイザーにより,フェムト秒レーザの直線偏光を集光させられるから、各種の周期構造体を外周体に効率良く加工でき、多数の溝に潤滑油が溜まってエンジンにおける摩擦抵抗を極限まで効率良く減らすことができる。
【0037】
請求項9〜18によると、筒体を固定しλ/2板を使用することなく、チャック手段を備え、これを回転させるワーク回転駆動部とZ軸駆動手段の進退移動だけの制御で良いから、極めて簡単な装置と加工方法となり、外周体のような三次元曲面に各種形状の周期構造体を加工することができる。特に、球体に対する加工も円滑に実施できる。その他の効果は、上記第1の実施の形態となる外周体の周期構造体加工方法とその装置と同様な効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明による外周体の周期構造加工方法とその装置について、図示の第1の実施の形態により説明する。図1は外周体に対する周期構造体の加工装置の全体構成図、図2は反射ミラー部の概要断面図、図3と図4はレーザ加工ヘッドの断面図と要部拡大図、図5はλ/2板の拡大写真図、図6はλ/2板と反射ミラーとの作用図、図7は微細周期性溝を加工するレーザ加工ヘッドの構成図、図8はディンプルを加工するレーザ加工ヘッドの構成図、図9はホモジナイザーの構成図、図10は進退駆動手段による移動方法と加工軌跡の説明図、図11は微細周期性溝の拡大写真図、図12はディンプルの拡大写真図である。
【0039】
図1〜図3により、本発明の第1の実施の形態(位相板を備えた形態)の外周体の周期構造体加工装置100の概要を説明する。その構成は、直線偏光のフェムト秒レーザLOを発振するフェムト秒レーザ発振器10と、加工装置の中枢部となるレーザ加工ヘッド20と、外周体のワークを把持するとともに三次元方向(X軸,Y軸,Z軸の三方向)に移動させるワーク制御テーブル3と、からなる。尚、外周体とは、外周をレーザ加工する丸棒体または円筒体または多角体等の加工対象物を意味する。まず、上記フェムト秒レーザ発振器10とレーザ加工ヘッド20とは、防振台1の基盤2上に水平姿勢の横向きに搭載されている。上記フェムト秒レーザ発振器10は、公知なものであるから詳細構成を省略して概要説明すれば、発振源となるレーザ発振部10Aとこの発振を調整するファイバーレーザ発振器10Bとパルスストレッチャー10CとTi:sapphire再生増幅器10Dとパルスコンプレッサー10Eとレーザパワー減衰器10Fと励起用パルスグリーンレーザ10Gと電源制御部10Hと筐体温度安定化用冷却装置10Iとにより構成されている。上記レーザ加工ヘッド20は、その入力側にフェムト秒レーザLOを受け入れ任意に出力遮断(出力制御)する電磁式のシャッターSTを装備したレーザ出力部20Aが繋がれている。また、上記レーザ加工ヘッド20の出力側には、外筒49Aと内筒49Bとを備え、外周体(例えば、エンジンにおけるクランクシャフト外周面、ベアリング内輪の外周面等)Wを外側から被せている。
【0040】
上記外周体Wは、上記レーザ加工ヘッド20に対して別設したワーク制御テーブル3上のチャック手段7に把持されている。上記ワーク制御テーブル3は、チャック手段7に着脱自在に把持された外周体WをX軸方向(図示の前後方向)に移動させるX軸駆動手段30と、これに搭載されて外周体WをZ軸方向(図示の左右方向)に移動させるZ軸駆動手段9と、このZ軸駆動手段9上のコラム9Aに搭載されてY軸方向(図示の上下方向)に移動させるY軸駆動手段5と、この前面壁に搭載したワーク回転駆動部5Aと、この前部に配置したチャック手段7とからなる。しかして、上記外周体Wは、上記レーザ出力部20Aの軸芯(回転中心)O1に対してその軸芯(回転中心)O2を一致させるべく、Y軸駆動手段5と、これを左右X軸の方向に移動させるX軸駆動手段30との合成された微動送りで位置合わせが行われる。また、上記レーザ出力部20Aに対する外周体Wの挿入深さ位置ZAは、上記X軸駆動手段30に搭載されたZ軸駆動手段9を前後方向となる−Z軸方向(図示の左側方向)又は+Z軸方向(図示の右側方向)へ微動させて行う。更に、上記外周体Wを、上記レーザ加工ヘッド20の先端における内筒49Bの外周でフェムト秒レーザLOの照射を受けながら回転ROさせるには、Y軸駆動手段5上のワーク回転駆動部5Aでチャック手段7を回転制御モータMMにより回転駆動させて行われる。上記上下のY軸と左右のX軸と前後のZ軸の各駆動は、ガイドレール部材G1, G2, G3とY軸送りのモータM1及びZ軸送りのモータM2,X軸送りのモータM3により行われる。
【0041】
また、上記外周体の周期構造体加工装置100には、上記各モータM1,M2,M3,MMやシャッターST及び後記する回転駆動手段SDの駆動モータMO等を駆動制御する制御手段200を備えている。この制御手段200の概要構成と機能につてい説明する。まず、周期構造体加工装置100の全体を総括的にコンピュータ管理するとともに装置全体の運転制御を支配する中央制御部CPUと、この中央制御部CPUからの指令で各モータMO,M1, M2,M3,MMやSTの駆動制御をプログラム及び運転させるPC制御機能を備えたNC制御部NCと、NC制御部NCからの指令を受けて各モータMO,M1, M2,M3,MMやSTを駆動する駆動部DDとからなる。これらの機能を備えた上記制御手段200の制御のもとに、各ユニット3,5,9,10,20,30,M1,M2,M3,MMやSTの駆動部DDを作動させる。これで、上記光学偏光素子となるλ/2板Pが設けられた第一回転筒体41を、反射ミラーMが設けられた第二回転筒体49に対して1/2の回転量で回転駆動させる回転駆動手段SD(詳細は後記する)が駆動モータMOで駆動される。これで、フェムト秒レーザLOの直線偏光の偏光方向の向きを変えることなく外周体Wの内周面W1に照射して周期性溝KMが同一方向に整列加工される。更に、上記外周体Wは、これを把持具7で支持するY軸駆動手段5を乗せたZ軸駆動手段9により第二回転筒体49の軸芯方向O1に外周体Wの軸芯方向O2を移動させることで、上記フェムト秒レーザLOを外周体の外周面に所定幅だけ照射させ、微細周期性溝が所定幅だけ整列加工される。更には、Y軸駆動手段5や第一回転筒体41及び第二回転筒体49とを、一定の関係の基に回転させることも可能であるし、Z軸駆動手段9の進退制御と絡めての三次元形状の外周体の外周面に倣う制御運転が可能である。
【0042】
続いて、上記レーザ加工ヘッド20について、図3と図4でその中枢部となる第一回転筒体41を第二回転筒体49の1/2の回転量で両筒体を回転駆動させる回転駆動手段SDと、両筒体内に設けた光学系を説明する。先ず、上記防振台1の基盤2上には、上記レーザ加工ヘッド20を水平姿勢に支持する支持体40がその回転軸芯O1を水平方向にして、座板40AをボルトBにより固着されている。上記支持体40内の後端側(図示の右端)には、短身で回転自在な第一回転筒体41が軸受手段を介して支持されており、この第一回転筒体41のレーザ光源側が軸受手段を介した連絡筒42によりレーザ出力部20Aに繋がれている。上記連絡筒42には、光学系となる平凹レンズR1を備え、上記第一回転筒体41の筒内先端には、平凸レンズR2・光学偏光素子となるλ/2板Pが取り付けられている。更に、上記支持体40内の先端側(図示の左端)には、第二回転筒体49が軸受手段を介して支持されており、第一回転筒体41と第二回転筒体49とは、回転駆動手段SDにより回転される。即ち、第一回転筒体41の外周にプーリー43を備え、これが駆動モータMOの回転軸47に取り付けたプーリー44(プーリー43の1/4の歯数)と確動ベルトKB1で繋がれている。尚、上記駆動モータMOは、支持体40から突設したフランジ46に保持され、回転軸47が上記支持体40に取り付けた軸受体48に回転自在に支持されている。上記支持体40内の先端側(外周体W側)には、短身で回転自在な第二回転筒体49が軸受手段を介して支持されている。上記第二回転筒体49の外周にプーリー50を備え、これが駆動モータMOの回転軸47に取り付けたプーリー51(プーリー50の1/2の歯数)と確動ベルトKB2で繋がれている。これにより、第二回転筒体49は第一回転筒体41の1/2の回転量で両筒体が回転駆動される。上記第二回転筒体49の筒内の後端側には、光学系のアイリスA2・三連スライド式のホモジナイザーH(エネルギー効率を改善する周期性溝用ホモジナイザーH1とディンプル加工用ホモジナイザーH2と両者の混合加工用ホモジナイザーH3の三種類に切替え選択される)・平凸レンズR3が順次に配置されている。また、上記第二回転筒体49の先端部には、外筒49Aとこの軸芯O1方向にスライドする内筒49Bとが連設され、この内筒49Bの先端には、反射ミラーMがフェムト秒レーザLOを外径方向へ屈折するようにダイアル取付具Dにより角度調節可能に配置されている。しかして、上記反射ミラーMは、外周体Wの外周面に向けた外径方向にフェムト秒レーザLOを直線偏光として照射される。尚、外筒49Aに対してスライドする内筒49Bは、反射ミラーMに対するフェムト秒レーザLOの焦点距離を調節させる機能を持たせている。
【0043】
上記レーザ加工ヘッド20において、光学系の全体構成の概要を説明する。まず、上記外周体Wの外周面W1に微細周期性溝KMを加工する場合は、図3と図6と図7に示すように、フェムト秒レーザ発振器10のレーザ出力部20Aからのフェムト秒レーザLOは、アイリスA1・シャッターST・平凹レンズR1を介して進み、更に、レーザ加工ヘッド20の第一回転筒体41内の平凸レンズR2とλ/2板PとアイリスA2を介して進み、更に、第二回転筒体49内の周期性溝用ホモジナイザーH1から平凸レンズ(集光レンズ)R3を介して先端の反射ミラーMに至る。上記周期性溝用ホモジナイザーにする理由は、上記フェムト秒レーザ光LOのエネルギー波形は、図9(b )に示す山形の二次曲線のもので両裾のエネルギーが利用されない。そこで、図9(c )に示すように、その特性を改善する周期性溝用ホモジナイザーH1によりエネルギー分布を矩形に整形し、エネルギー効率を限り無く100%にすることが可能だからである。従って、エネルギー効率を問題にしなければ、上記周期性溝用ホモジナイザーH1は省略することも可能である。続いて、反射ミラーMで外径方向に曲げられたフェムト秒レーザLOは、外周体Wの周面W1に直線偏光の形(直径2mm前後)で照射される。即ち、フェムト秒レーザ光LOによる微細周期性溝KMの溝方向と加工面積は、フェムト秒レーザの偏光方向とフル−エンス(レーザ出力のエネルギー)に依存されるから、これらを制御しなければならない。従って、本発明の周期構造体加工装置100のように、三次元形状の外周体Wの外周面W1を加工するに際して、フル−エンス(レーザ出力のエネルギー)が一定した状態では、フェムト秒レーザ光LOの直線偏光の方向を反射ミラーMの回転に伴って制御しなければならない。具体的には、上記第一回転筒体41の光学経路上に入れた上記λ/2板Pを、第二回転筒体49内の反射ミラーMとの回転位置の調節により、フェムト秒レーザLOの直線偏光の方向が制御される。即ち、図6に示すように、反射ミラーMの1回転(θh )に対して、λ/2板Pを半回転θp
させることで外周体Wの外周面に一様な方向(図示では、外周体Wの軸芯方向にほぼ向けて整列させた方向)に微細周期性溝KMが加工される。(図6と図7を参照)
【0044】
上記λ/2板Pの追記説明をすれば、上記フェムト秒レーザLOは、光束に直交する方向の偏光成分(S成分とP成分)を持っている。この偏光成分に位相差(1/4波長と1/2波長分に変化)を与えるものが位相板である。位相差π/2(90°)を与えるものをλ/4板と言い、直線偏光を円偏光に、逆に円偏光を直線偏光に変換する。また、位相差π(180 °)を与えるものをλ/2板と言い、直線偏光の偏光方向のみを90°方向の向きに変える。本発明では、λ/2板Pが使用される。このλ/2板Pは、例えば、図5の拡大写真に示すように、平面ガラス板Gの一部分に屈折率、厚さの等方性の透明薄膜G1を付けたもの、または透明薄膜の付いた部分と付かない部分とを透過する光の間に位相差ができるようにしたものである。従って、上記直線偏光のフェムト秒レーザLOが、λ/2板Pと反射ミラーMを通過して外周体Wの外周面W1に照射される直線偏光との関係を図6で説明する。フェムト秒レーザ光LOの偏光方向に対して、λ/2板Pを回転させることでこのλ/2板Pを通過するフェムト秒レーザ光LOの偏光方向をその回転角量だけ変えられる。従って、反射ミラーMを回転させて、外周体Wの外周面W1を加工するには、図6に示すように、反射ミラーMの2回転(θh )に対して、λ/2板Pを1回転(θp )させることで外周面に一様な方向に整列された微細周期性溝KMが加工される。
【0045】
次に、上記外周体Wの外周面にW1にディンプルDPを加工する場合は、図3と図6と図8に示すように、フェムト秒レーザ発振器10のレーザ出力部20Aからのフェムト秒レーザ光LOは、アイリスA1・シャッターST・平凹レンズR1を介して進み、更にレーザ加工ヘッド20の第一回転筒体41内の平凸レンズR2とλ/2板P、アイリスA2・ディンプル加工用ホモジナイザーH2を介して進み、更に第二回転筒体49内の平凸レンズ(集光レンズ)R3を介して先端の反射ミラーMに至る。この後、反射ミラーMで外径方向に曲げられたフェムト秒レーザ光LOは、外周体Wの外周面W1に照射される。即ち、フェムト秒レーザLOによるディンプルDPは、外周体Wの外周面を加工するに際して、光学経路上の第二回転筒体49内にディンプル加工用ホモジナイザーH2を入れたフェムト秒レーザLOにより、ディンプルDPが加工される。上記ディンプル加工用ホモジナイザーH2は、図9(a)に示すように、一種のホログラムであり、集光部のエネルギー分布を制御する。即ち、ディンプル加工用ホモジナイザーH2は、その表面に微細な凹凸があり、この凹凸を通過するフェムト秒レーザLOの光が回折し、多数のエネルギー分布(エネルギー密度の高い複数のスポットS1〜S6)を生じさせる。このエネルギー分布により、図8に示すようなディンプルDPが加工される。尚、微細周期性溝KMとディンプルDPとを混合加工する混合加工用ホモジナイザーH3に切替えれば、図9(d)に示すように、均一なエネルギー分布SOとエネルギー密度の高い複数のスポットS1〜S6とが存在し、微細周期性溝KMとディンプルDPとが混在した複合加工ができる。
【0046】
しかして、再度、レーザ加工ヘッド20の構成を簡潔に説明すれば、図7(a)に示すように、外周体Wの外周面に一様な方向に微細周期性溝KMを整列加工するには、図7(b)に示すレーザ加工ヘッド20の光学系の構成とする。また、図8(a)に示すディンプルDPを一様な方向に整列加工するときは、図8(b)に示すレーザ加工ヘッド20の光学系の構成とする。尚、上記ディンプル加工用ホモジナイザーH2無しでの実施時は、フェムト秒レーザLOのエネルギー分布を一点に集中させ、1つづつのディンプルDPの加工も可能だが、加工能率が悪いので実用的とは言えない。
【0047】
本発明の外周体の周期構造体加工方法とその装置は、上記構成要件からなり、以下のように作用する。
先ず、上記外周体Wの周期構造体加工方法は、レーザ加工ヘッド20において、λ/2板PとホモジナイザーH1と反射ミラーMとの作用を受けて外周体Wに向けてフェムト秒レーザLOを照射して微細周期性溝KMが加工される。即ち、図2〜図4,図7に示すように、レーザ出力部20Aは、支持体40に第一回転筒体41と第二回転筒体49とを備え、第一回転筒体41のλ/2板Pにフェムト秒レーザ光LOを通過させホモジナイザーH1でエネルギー分布が改善された制御可能な直線偏光となる。続いて、上記第二回転筒体49の反射ミラーMによりフェムト秒レーザLOが回転軸線O1の方向から外径方向の外周に向けて進み、外周体Wの外周面W1に向けて照射される。このとき、上記第一回転筒体41と第二回転筒体49とが回転駆動手段SDにより回転θ3(θp,θh)される。即ち、図6の作用説明図に示すように、第二回転筒体49が1回転θ3されるに際して、上記λ/2板Pを上記反射ミラーの1/2の回転量で両筒体を回転させるとともに、上記チャック手段に把持された外周体Wは、Y軸駆動手段5及びX軸駆動手段30で合成移動されることで、上記反射ミラーの外周囲の一定の半径位置に自転停止状態で公転θ2させる。これで、上記フェムト秒レーザLOは、上記外周体Wが上記反射ミラーの外周囲を公転するとき、その外周面W1の全周に照射してナノ周期構造の微細周期性溝KMを同一方向に整列加工する。
【0048】
また、上記加工において、外周体をチャック手段で支持するY軸駆動手段5を乗せたZ軸駆動手段9を軸芯方向O2へ連続移動または間欠移動させると、上記フェムト秒レーザが外周体に所定幅だけ照射される。これで、外周体に、微細周期性溝が同一方向に所定幅だけ整列加工されることになる。その加工結果は、図7に示すものとなる。即ち、フェムト秒レーザLOは、円形状(2mm前後のビーム幅L)をなし、これを外周体Wの外周面W1に向けて照射するとともに、上記λ/2板Pを上記反射ミラーの1/2の回転量で両筒体を回転させることで、連続した周期性の微細周期性溝(2mm前後の加工幅L)KMが同一方向に整列加工される。尚、上記作用において、外周体Wの軸芯O2方向への微細周期性溝KMの加工幅は、該外周体Wを支持するチャック手段をZ軸駆動手段9によりその+Z軸方向へ前進させた幅に一致する。
【0049】
しかして、外周体Wの外周面W1には、図10に示すように、Z軸駆動手段9の2通りの移動方法とその加工軌跡K1,K2による加工が行なわれる。即ち、図10(a)は、第二回転筒体49の一回転θ3及び外周体Wの一公転θ2毎に、Z軸駆動手段9を所定量毎の1ピック送りを繰り返した間欠移動の加工軌跡K1により、外周面W1に対して周期構造体を所定幅に加工するものである。また、図10(b)は、第二回転筒体49の一回転θ3及び外周体Wの一公転θ2毎に、Z軸駆動手段9を所定量の1ピック送りをネジ棒送りのように連続移動したスパイラル状の加工軌跡K2で加工するものである。これにより、外周面W1に対して周期構造体を所定幅に加工される。しかして、任意寸法の加工幅にナノ周期構造の微細周期性溝KMやディンプルDPが加工される。尚、上記微細周期性溝KMの加工幅Lは、フェムト秒レーザ光LOの出力に比例的に広くなる。図11に微細周期性溝KMの拡大した顕微鏡写真を示している。
【0050】
続いて、上記外周体の周期構造体加工方法とその装置100は、図2,図3,図8に示すように、λ/2板Pと反射ミラーMとの間にホモジナイザーH2を配置した実施例とすることができる。この時のフェムト秒レーザ光LOのエネルギー断面は、図8に示すように、エネルギー密度の高いスポットS1〜S6が数点見られる。ここで、上記と同様に、第二回転筒体49が1回転θ3されるに際して、上記λ/2板Pを上記反射ミラーの1/2の回転量で両筒体を回転させるとともに、上記外周体を上記反射ミラーの外周囲の一定の半径位置に自転停止状態で公転θ2させると、上記フェムト秒レーザLOを外周体の外周面の全周に照射回転して周期構造体のディンプルDPが同一方向に整列加工される。更に、上記加工において、外周体を支持するチャック手段7とこれを回転させるワーク回転駆動部5AとこのY軸駆動手段5とを乗せたZ軸駆動手段9が軸芯方向O2へ連続移動または間欠移動されると、上記フェムト秒レーザが外周体に所定幅だけ照射される。これで、外周体に、ディンプルDPが同一方向に所定幅だけ整列加工されることになる。その加工結果は、図8に示すものとなる。
【0051】
これにより、上記微細周期性溝KM以外のディンプルDPが外周体Wに効率良く加工される。上記外周体Wの軸芯方向へのディンプルDPの加工幅は、該外周体Wを把持チャック手段をワーク回転駆動部5Aによる回転状態において、Z軸駆動手段9を+Z軸方向へ前進させた幅に一致する。しかして、外周体Wの外周面W1には、任意寸法の加工幅にディンプルDPが並べられて間欠移動又はネジ送りのようにスパイラル状に加工される。図10に、進退テーブル9の二つの移動方法と加工軌跡加工方法を説明する。図12にディンプルDPの一つを拡大した顕微鏡写真を示している。
【0052】
従って、上記外周体Wが、例えば、クランクシャフトであれば、軸状の軸の外周面に微細周期性溝MK(2mm前後の加工幅L、一本の溝幅は数百nm)やディンプルDPが別個に加工される。更には、両者の混合加工用のホモジナイザーH3に切替えれば、図9(d)に示すように、均一なエネルギー分布SOとエネルギー密度の高い複数のスポットS1〜S6とが存在し、微細周期性溝KMとディンプルDPとが混在した形態に複合的に加工される。上記微細周期性溝MKやディンプルDPを、外周体Wの一つの形態であるクランクシャフトに加工すれば、ピストロッドとの接触面積の低減及び多数の凹溝に潤滑油が溜まってエンジンにおける摩擦抵抗を極限まで減らすことが可能になり、自動車の燃費改善が最大限に図られる。
【0053】
以上、本発明の第1の実施の形態となる外周体の周期構造体加工方法とその装置によれば、下記のような効果が発揮される。即ち、第一回転筒体と第二回転筒体とが回転駆動手段により一回転されるに際して、上記λ/2板PとホモジナイザーHを上記反射ミラーの1/2の回転量で両筒体を回転させることで、上記フェムト秒レーザLOを各種の外周体Wに対する外面に照射回転して周期構造体(微細周期性溝KM)が同一方向に整列加工できる。しかして、外周体となるエンジンにおけるクランクシャフト等の軸摩擦抵抗をはじめとして、ベアリングの回転摩擦抵抗を極限まで減らすことができる。
【0054】
更に、λ/2板と反射ミラーとの間に配置したホモジナイザーH2や混合加工用ホモジナイザーH3によりフェムト秒レーザの直線偏光を集光させることができるから、周期構造のディンプルDPや混合加工を外周体Wに効率良く加工でき、多数の溝に潤滑油が溜まってエンジンにおける摩擦抵抗を極限まで効率良く減らすことができる。
【0055】
続いて、図13〜図16により、本発明の第2の実施の形態となる外周体の周期構造体加工方法とその装置100´を説明する。この周期構造体加工方法と装置100´は、筒体49と反射ミラーM側を固定し、外周体Wを回転させて、上記λ/2板Pを省略したものである。その全体構成は、フェムト秒レーザ発振器10と、上記フェムト秒レーザ発振器10から発射される直線偏光のフェムト秒レーザLOを導入するレーザ加工ヘッド20を備える。上記レーザ加工ヘッド20には、これに導入されたフェムト秒レーザをホモジナイザーH(H1,H2,H3の一つ)を介して集光レンズR3で集光させ先端部の反射ミラーMで外径方向に進ませる筒体49を備え、上記反射ミラーで外径方向に向けたフェムト秒レーザを上記反射ミラーの外周囲にチャック手段に把持された外周体Wに照射する機能を有する。更に、上記レーザ加工ヘッド20における上記反射ミラーの外周囲にチャック手段7に着脱自在に把持した外周体Wを配置し、その位置制御を行うワーク制御テーブル3を備える。
上記ワーク制御テーブル3は、上記第1の実施の形態と同一であるが、再度説明をする。即ち、上記ワーク制御テーブル3は、外周体Wをチャック手段7で把持または解放しX軸方向(図示の前後方向)に移動させるX軸駆動手段30と、これに搭載されて外周体WをZ軸方向(図示の左右方向)に移動させるZ軸駆動手段9と、このZ軸駆動手段9上のコラム9Aに搭載されてY軸方向(図示の上下方向)に移動させるY軸駆動手段5と、この前壁面に配置され上記チャック手段7を回転するワーク回転駆動部5Aとからなる。しかして、上記外周体Wは、上記レーザ出力部20Aの軸芯(回転中心)O1に対してその軸芯(回転中心)O2を一致させるべく、Y軸駆動手段5と、これを左右X軸の方向に移動させるX軸駆動手段30との合成された微動送りで位置合わせが行われる。また、上記レーザ出力部20Aに対する外周体Wの挿入深さ位置ZAは、上記X軸駆動手段30に搭載されたZ軸駆動手段9を前後方向となる−Z軸方向(図示の左側方向)又は+Z軸方向(図示の右側方向)へ微動させて行う。更に、上記外周体Wを、上記レーザ加工ヘッド20の先端における内筒49Bの外周でフェムト秒レーザLOの照射を受けながら回転ROさせるには、ワーク回転駆動部5A内の回転制御モータMMによりチャック手段7を回転駆動させて行われる。上記上下のY軸と左右のX軸と前後のZ軸の各駆動は、ガイドレール部材G1, G2, G3とY軸送りのモータM1及びZ軸送りのモータM2,X軸送りのモータM3により行われる。上記ワーク制御テーブル3やその他のユニット10,20,等は、上記制御手段200により制御される。尚、その他の部材の詳細構成は、上記第1の実施の形態の周期構造体加工装置100と、同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
本発明の第2の実施の形態となる外周体の周期構造体加工装置100´は、上記構成からなり、以下のように外周体の周期構造体加工方法が実施される。即ち、筒体49を回転させず、λ/2板を使用することなく、外周体のような三次元曲面にナノ周期構造体を成形させる方法と装置においては、フェムト秒レーザ発振器10から発射されるフェムト秒レーザLOは、レーザ加工ヘッド20へ導かれ、この筒体49に導入されるフェムト秒レーザは、ホモジナイザーH1を介して集光レンズR3で集光されつつ先端部の反射ミラーMで外径方向に進むフェムト秒レーザとなる。上記反射ミラーの外周囲にワーク回転駆動部5Aで支持された外周体Wの外周面W1に向けて照射される。この状態で外周体Wをワーク回転駆動部5Aによるチャック手段7で回転させれば、連続した周期性の微細周期性溝KMが同一方向に整列加工される。ここで、上記外周体をワーク回転駆動部5Aにより回転θ1させつつZ軸駆動手段9で軸芯方向O2へ移動させると、フェムト秒レーザが外周体Wの外周面W1に所定幅照射される。この結果、外周体W1には、微細周期性溝MKが同一方向に所定幅だけ整列加工され、簡単な加工装置で実行される。即ち、図10(a)に示すように、ワーク回転駆動部5Aによる外周体Wの一回転θ1毎に、Z軸駆動手段9を所定量毎の1ピック送りを繰り返した間欠移動により、外周面W1に対して周期構造体が所定幅に加工される。また、図10(b)のように、ワーク回転駆動部5Aの一回転θ1毎に、Z軸駆動手段9を所定量の1ピック送りをネジ棒送りのように連続移動すればスパイラル状に加工される。これにより、外周面W1に対して周期構造体が所定幅に加工される。しかして、任意寸法の加工幅にナノ周期構造の微細周期性溝KMが加工される。尚、上記微細周期性溝KMは、図11に微細周期性溝KMの拡大した顕微鏡写真を示している。
【0057】
また、上記ナノ周期構造体を成形させる方法と装置100´においては、筒体49内のホモジナイザーH1を、別のディンプル加工用ホモジナイザーH2に切替えれば、外周体Wの外周面W1には、任意寸法の加工幅にナノ周期構造のディンプルDPが加工させられる。更に、別の混合加工用ホモジナイザーH3に切替えれば、外周体Wの外周面W1には、任意寸法の加工幅に微細周期性溝MKとディンプルDPとの混合加工が行なわれる。
【0058】
本発明の第2の実施の形態となる外周体の周期構造体加工方法とその装置100´によれば、下記のような効果が発揮される。即ち、筒体49を回転させず、λ/2板を使用することなく、ワーク回転駆動部5Aによる外周体Wの回転とZ軸駆動手段9による進退移動だけの制御で良く、極めて簡単な装置と加工方法により、外周体のような三次元曲面に各種形状の周期構造体を加工することができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態となる外周体の周期構造体加工方法とその装置100と同様な効果が期待できる。
【0059】
ところで、上記第1及び第2の実施の形態となる外周体の周期構造体加工方法とその装置100,100´は、その外周体Wの対象ワークを丸棒体(クランクシャフトやローラーベアリングのローラー)及びリング体であるベアリングの内輪( 円筒体) 等に限定されない。ここで、更なる具体的な部品となる多角体(ロータリーエンジンのローターやカムシャフトのカム等)、球体(ボールベアリングのボール等)について、その加工例を、図17〜図20により説明する。
【0060】
先ず、多角体(ロータリーエンジンのローターやカム等)W2の加工例を、図17と図18に示す。図17は、上記第2の実施の形態となる外周体の周期構造体加工方法とその装置100´によるもので、筒体49を固定してフェムト秒レーザLOが一定方向に向けて発射される。即ち、ワーク回転駆動部5Aのチャック手段7に支持された多角体W2の外周面に一定の照射距離r1 のもとに照射される。上記多角体W2は、このワーク回転駆動部5Aによるチャック手段7の回転θ1とX軸駆動手段30とY軸駆動手段5とによる合成移動で、0°〜360°までの一回転θ1で外周面を加工するとともに、Z軸駆動手段9によるZ軸方向への連続移動したスパイラル状の加工軌跡K2(勿論、間欠移動の加工軌跡K1でも良い)で、多角体W2の全幅が加工される。
【0061】
続く、図18は、上記第1の実施の形態となる外周体の周期構造体加工方法とその装置100によるもので、フェムト秒レーザLOを回転θ3させながら発射し、この先端のワーク回転駆動部5Aのチャック手段7に把持された多角体W2の外周面に一定の照射距離r1 のもとに照射される。即ち、多角体W2はワーク回転駆動部5Aの固定で回転が止められ、X軸駆動手段30とY軸駆動手段5とによる合成移動で、0°〜360°までの一回転θ1で外周面を加工するとともに、Z軸駆動手段9によるZ軸方向への連続移動したスパイラル状の加工軌跡K2(勿論、間欠移動の加工軌跡K1でも良い)で、多角体W2の全幅が加工される。
【0062】
続く、図19は、上記第2の実施の形態となる外周体の周期構造体加工方法とその装置100´によるもので、筒体49を固定してフェムト秒レーザLOを一定方向に発射し、この先端のワーク回転駆動部5Aのチャック手段7に把持された球体(ベアリングのボールやその他)W3の外周面に一定した照射距離r1 のもとに照射される。即ち、球体W3をワーク回転駆動部5Aによるチャック手段7の回転θ1とX軸駆動手段30とY軸駆動手段5とによる合成移動(円移動)で、0°〜360°の一回転を繰り返して外周面を加工する。即ち、その外径を次第に大きくしながらZ軸駆動手段9によるZ軸方向への連続移動したスパイラル状の加工軌跡(次第にその半径r3を大きくする)K3(勿論、間欠移動の加工軌跡K4でも良い)で、球体W3の上半分幅が加工される。尚、下半分幅を加工するには、球体W3の上下を入れ替えて加工される。勿論、球体W3を転がしながら全面を加工させても良い。
更に、図20は、図19の球体W3の加工において、上記球体に対するフェムト秒レーザLOの照射ポイントPOを、球体の片側縁e1から始まり他側縁e2へと1ピック送りしつつ球体の外径方向に往復移動させるべく、球体またはレーザ加工ヘッドを往復移動軌跡K5で移動させるこにより加工される。その制御は、球体W3を移動させる時は、ワーク回転駆動部5Aに備えるチャック手段7をX軸駆動手段30とY軸駆動手段5とによる合成移動で実施される。尚、上記フェムト秒レーザLOの焦点深度を長く・深く採ることにより、反射ミラーから球体表面までの照射距離r1が変化しても、正確な周期構造体が加工される。また、球体を固定し、レーザ加工ヘッド20を移動させても良い。尚、図21に加工された球体の写真を示す。加工面から光屈折による虹が確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の外周体の周期構造体体加工方法とその装置は、外周体の各種の加工例で説明した。その具体例は、自動車の燃費改善対策として、エンジンにおけるクランクシャフトやカム、ベアリングの外輪に対する加工を施すことで、摩擦低減がなされるもので説明した。しかし、上記ワークに限定されず、その他の回転機器や摺動機器の回転・摺動摩擦抵抗を極限まで減らすために加工を施すことが可能である。更に、本発明の方法とその装置において、発明の要旨内での各部の設計変更や構成部材の変更・置換も自由に行え得るものである。具体的には、上記各実施の形態では、横型の周期構造体加工装置100,100´として説明したが、フェムト秒レーザ発振器10を上部に配置して下向きにレーザを発射し、この下部に配置したワークを加工する縦型の周期構造体加工装置としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示し、外周体の周期構造体加工装置の全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示し、反射ミラー部の概要断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示し、レーザ加工ヘッドの詳細な断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示し、レーザ加工ヘッドの駆動系の側面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態を示し、λ/2板の拡大写真図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態を示し、λ/2板の作用図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態を示し、微細周期性溝を加工するレーザ加工ヘッドの構成図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態を示し、ディンプルを加工するレーザ加工ヘッドの構成図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態を示し、ホモジナイザーの構成図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態を示し、Z軸駆動手段の移動方法と加工軌跡の説明図である。
【図11】微細周期性溝の拡大写真図である。
【図12】ディンプルの拡大写真図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態を示し、外周体の周期構造体加工装置の全体構成図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態を示し、レーザ加工ヘッドの詳細な断面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態を示し、微細周期性溝を加工するレーザ加工ヘッドの構成図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態を示し、ディンプルを加工するレーザ加工ヘッドの構成図である。
【図17】具体的ワークの実施形態を示し、多角体の加工例の斜視図である。
【図18】具体的ワークの実施形態を示し、多角体の加工例の斜視図である。
【図19】具体的ワークの実施形態を示し、球体の加工例の斜視図である。
【図20】具体的ワークの実施形態を示し、球体の加工例の斜視図である。
【図21】球体の拡大写真図である。
【符号の説明】
【0065】
1 防振台
2 基盤
3 ワーク制御テーブル
5 Y軸駆動手段
5A ワーク回転駆動部
7 把持具
9 Z軸駆動手段
9A 垂直台
10 フェムト秒レーザ発振器
10A レーザ発生部
10B ファイバーレーザ発振器
10C パルスストレッチャー
10D Ti:sapphire再生増幅器
10E パルスコンプレッサー
10F レーザパワー減衰器
10G 励起用パルスグリーンレーザ
10H 電源制御部
10I 筐体温度安定化用冷却装置
20 レーザ加工ヘッド
20A レーザ出力部
30 X軸駆動手段
40 支持体
41 第一回転筒体
42 連絡筒
43 プーリー
44 プーリー
45 保持体
46 フランジ
47 回転軸
48 軸受体
49A 外筒
49B 内筒
49 第二回転筒体(筒体)
50 プーリー
51 プーリー
A1,A2 アイリス
CPU 中央制御部
DD 駆動部
DP ディンプル
e1 片側縁
e2 他側縁
NC NC制御部
MK 微細周期性溝
LO フェムト秒レーザ
G1,G2,G3 ガイドレール部材
KB1,KB2 確動ベルト
K1〜K5 加工軌跡
M1,M2,M3 モータ
MM 回転制御モータ
MO 駆動モータ
M 反射ミラー
H ホモジナイザー
H1 微細周期性溝用のホモジナイザー
H2 ディンプル用のホモジナイザー
H3 混合加工用のホモジナイザー
O1,O2 軸芯(回転中心)
P λ/2板
PO 照射ポイント
RO 回転
R1 平凹レンズ
R2,R3 平凸レンズ(集光レンズ)
r1 照射距離
ST シャッター
SD 回転駆動手段
SO 均一なエネルギー分布
S1〜S6 スポット
W 外周体
W1 外周面
W2 多角体
W3 球体
θh 反射ミラーの回転
θp 位相板の回転
θ1 多角体の回転
θ2 多角体の公転
θ3 フェムト秒レーザの旋回動
ZA 挿入深さ位置
−Z、+Z Z軸方向
100 周期構造体加工装置
100´ 周期構造体加工装置
200 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェムト秒レーザ発振器から発射される直線偏光のフェムト秒レーザを回転可能に設けられた第一回転筒体内に導き、第一回転筒体内に配置されたλ/2板により直線偏光の偏光方向を変化させるとともに、上記第一回転筒体に対して軸芯を合わせて回転可能に設けられた第二回転筒体内に配置された集光レンズと反射ミラーとによりフェムト秒レーザを集光しつつ外径方向に進ませ、上記反射ミラーの外周囲にチャック手段で把持された外周体の外周面を対面させて上記フェムト秒レーザを照射させ、上記反射ミラーを備えた上記第二回転筒体の回転1回転に対して上記λ/2板を備えた上記第一回転筒体を1/2回転させ、上記両筒体の回転に同期させながら上記外周体を上記反射ミラーの外周囲に自転停止状態で公転させて上記外周体の外周面に周期性溝を同一方向に整列加工することを特徴とする外周体の周期構造体加工方法。
【請求項2】
上記外周体が把持されたチャック手段をZ軸駆動手段により外周体の軸芯方向に連続移動または間欠移動させ、上記フェムト秒レーザを上記外周体の外周面に所定幅だけ照射することを特徴とする請求項1記載の外周体の周期構造体加工方法。
【請求項3】
上記反射ミラーに向かうフェムト秒レーザを第二回転筒体内であって集光レンズの前側に配置されたディンプル加工用ホモジナイザーまたは混合加工用ホモジナイザーに入射させることにより、上記外周体の外周面にディンプルまたは混合の周期構造体を形成することを特徴とする請求項1または2記載の外周体の周期構造体加工方法。
【請求項4】
上記外周体は、丸棒体または円筒体または多角体または球体である請求項1または2または3記載の外周体の周期構造体加工方法。
【請求項5】
フェムト秒レーザ発振器と、上記フェムト秒レーザ発振器からの直線偏光のフェムト秒レーザを導入する回転可能な第一回転筒体と、上記第一回転筒体内に配置され上記フェムト秒レーザの偏光方向を変化させるλ/2板と、上記第一回転筒体に回転軸芯を合わせて配置される第二回転筒体と、上記第二回転筒体内に配置されフェムト秒レーザを集光させる集光レンズと、上記第二回転筒体筒の先端に配置されフェムト秒レーザを外径方向に屈折させる反射ミラーと、上記第二回転筒体の回転1回転に対して上記第一回転筒体を1/2回転させる回転駆動手段と、外周体を所定位置に把持するチャック手段と、上記チャック手段に設けられ外周体を上記反射ミラーの周りに公転駆動するY軸駆動手段及びX軸駆動手段と、を具備したことを特徴とする外周体の周期構造体加工装置。
【請求項6】
上記チャック手段を軸芯方向に進退させるZ軸駆動手段を具備したことを特徴とする請求項5記載の外周体の周期構造体加工装置。
【請求項7】
上記第二回転筒体内であって集光レンズの前側にディンプル加工用ホモジナイザーまたは混合加工用ホモジナイザーを配置したことを特徴とする請求項5または6記載の外周体の周期構造体加工装置。
【請求項8】
上記外周体は、丸棒体または円筒体または多角体または球体である請求項5または6または7記載の外周体の周期構造体加工装置。
【請求項9】
フェムト秒レーザ発振器から発射される直線偏光のフェムト秒レーザを筒体内へ導き、筒体内の集光レンズと反射ミラーとによりフェムト秒レーザを集光しつつ外径方向に進ませ、上記反射ミラーの外周囲にチャック手段で把持された外筒体の外周面を対面させて上記フェムト秒レーザを照射させ、上記外周体を回転させてこの外周面に周期性溝を同一方向に整列加工することを特徴とする外周体の周期構造体加工方法。
【請求項10】
上記外周体が把持されたチャック手段をZ軸駆動手段により上記外周体の軸芯方向に連続移動または間欠移動させ、上記フェムト秒レーザを上記外周体の外周面に所定幅だけ照射させることを特徴とする請求項9記載の外周体の周期構造体加工方法。
【請求項11】
上記反射ミラーに向かうフェムト秒レーザを筒体内であって集光レンズの前側に配置されたディンプル加工用ホモジナイザーまたは混合加工用ホモジナイザーに入射させることにより、上記外周体の外周面にディンプルまたは混合の周期構造体を形成することを特徴とする請求項9または10記載の外周体の周期構造体加工方法。
【請求項12】
上記外周体は、丸棒体または円筒体または多角体または球体である請求項9たは10または11記載の外周体の周期構造体加工方法。
【請求項13】
上記外周体が球体であって、上記球体に対するフェムト秒レーザの照射ポイントを、球体の頂点から次第に旋回径を大きくするスパイラル状の加工軌跡としたことを特徴とする請求項4または12記載の外周体の周期構造体加工方法。
【請求項14】
上記外周体が球体であって、上記球体に対するフェムト秒レーザの照射ポイントを、球体の片側縁から始まり他側縁へと1ピック送りしつつ球体の外径方向に往復移動させる往復移動軌跡としたことを特徴とする請求項4または12記載の外周体の周期構造体加工方法。
【請求項15】
フェムト秒レーザ発振器と、上記フェムト秒レーザ発振器からの直線偏光のフェムト秒レーザを導入する筒体と、上記筒体内に配置され直線偏光のフェムト秒レーザを集光させる集光レンズと、上記筒体先端側に配置されフェムト秒レーザを外径方向に屈折させる反射ミラーと、上記外周体を所定位置に把持するチャック手段と、上記チャック手段に設けられ外周体を回転駆動させるワーク回転駆動部と、を具備したことを特徴とする外周体の周期構造体加工装置。
【請求項16】
上記チャック手段を外周体の軸芯方向に進退させるZ軸駆動手段を具備したことを特徴とする請求項15記載の外周体の周期構造体加工装置。
【請求項17】
上記筒体内であって集光レンズの前側にディンプル加工用ホモジナイザーまたは混合加工用ホモジナイザーを配置したことを特徴とする請求項15または16記載の外周体の周期構造体加工装置。
【請求項18】
上記外周体は、丸棒体または円筒体または多角体または球体である請求項15または16または17記載の外周体の周期構造体加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図11】
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【図12】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−200699(P2008−200699A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37964(P2007−37964)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000121202)エンシュウ株式会社 (25)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(591114803)財団法人レーザー技術総合研究所 (36)
【Fターム(参考)】