説明

外観が改善された被覆金属ストリップを製造する方法

本発明は、腐食防止金属コーティングを有する金属ストリップを製造する方法に関し、方法は、金属ストリップを、2から8重量%のアルミニウム、0から5重量%のマグネシウム、および0.3重量%以下の合金元素を含み、残部は亜鉛および不可避の不純物を含み、350から700℃の温度で維持された溶融金属浴に浸漬することと、被覆金属ストリップを、ストリップの両面にノズルがガスを噴霧することによって乾燥することと、コーティングの完全な凝固まで、制御された方法でコーティングを冷却し、前記冷却は、乾燥後の温度とコーティングの凝固開始との間で15℃/s未満の速度で行われ、次いで、コーティングの凝固の開始と終了との間で15℃/s以上の速度で行われることとからなるステップを含む。本発明は、また、前記方法を使用することによって得ることが可能な金属ストリップ、および前記ストリップの変形によって得られた金属部品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観が改善された金属ストリップを製造する方法に関し、より詳しくは、陸用自動車用のスキン(外板)部品の製造のために使用されることを目的とする金属ストリップを製造する方法に関するが、それに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
陸用自動車部品の製造を対象とした鋼板は、一般的に、腐食防止のために亜鉛系金属コーティングで被覆されており、亜鉛系金属コーティングは、亜鉛系流体浴中での溶融めっきによって、または亜鉛イオンを含む電解槽中での電着によって蒸着される。
【0003】
スキン(外板)部品の製造を対象とする亜鉛鋼板は、次いで、ホワイトボディを成形するように成形されるとともに組み立てられ、ボディは、次いで少なくとも1つの塗装コートで被覆され、それによってより大きな腐食防止および良好な表面外観をもたらす。
【0004】
この目的のために、従来、自動車メーカーは、まず、ホワイトボディに電気泳動コートを適用し、次いでプライマー塗装コート、ベース塗装コート、および任意にラッカーコートを行う。満足な塗装された表面外観を得るために、90から120μmの全体塗装厚さが一般的に適用され、例えば、20から30μmの厚みの電気泳動コート、40から50μmの厚みのプライマー塗装コート、および30から40μmのベース塗装コートから構成されている。
【0005】
ある自動車メーカーは、塗装系の厚さを90μm未満に限定するために、電気泳動ステップを省略する、または生産性を向上させるために塗装コートの数を限定することを提案している。しかしながら、現在のところ、この塗装系の厚さの低減は、常に、部品の最終塗装された表面外観にとって不利となり、工業生産において実行されていない。
【0006】
これは、ベース基材としての役割をする亜鉛系コーティングがうねり状表面を有するからであり、それらは、現在、塗装の厚いコートによってのみ補われることができ、そうでなければ、ボディ部品は容認できない「ミカン肌」の外観を有する。
【0007】
表面のうねり(waviness)Wは、粗さRと区別されかなり長波長(0.8から10mm)の穏やかで、疑似周期的で、幾何学的な凹凸であり、短波長(<0.8mm)の幾何学的な凹凸に相当する。
【0008】
本発明では、うねりプロファイルの算術平均Waは、μmで表されて、板の表面うねりを特徴づけるために使用され、0.8mmのカットオフしきい値を使用するうねり測定は、Wa0.8で示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、腐食防止コーティングで被覆された金属ストリップを製造する方法を提供し、そのうねりWa0.8は、先行技術のストリップに比較して小さく、このようにして、先行技術の部品に比較して小さい全体塗装厚さを必要とする塗装金属部品を製造することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明の第1の主題は、金属腐食防止コーティングを有する金属ストリップを製造する方法からなり、方法は:
金属ストリップを、2から8重量%のアルミニウム、0から5重量%のマグネシウム、および0.3重量%以下の添加元素を含み、残部は亜鉛および不可避の不純物であり、350から700℃の温度で維持された溶融金属浴を通過させること、次いで、
被覆金属ストリップを、ストリップの両面にノズルがガスを噴霧することによってワイピングすること、次いで、
コーティングが完全に凝固するまで、制御された方法でコーティングを冷却し、前記冷却は、ワイピングユニットを出るときの温度と凝固開始との間で15℃/s未満の速度で行われ、次いで、その凝固の開始と終了との間で15℃/s以上の速度で行われることからなるステップを含む。
【0011】
好ましい実施形態では、本発明による方法は、さらに、個々にまたは組み合わせて取られる次の特徴を含んでいてもよい:
冷却は、ワイピングユニットを出るときの温度と凝固開始との間で10℃/s未満の速度で行われ、次いで、その凝固の開始と終了との間で15℃/s以上の速度で行われる、
冷却は、ワイピングユニットを出るときの温度と凝固開始との間で10℃/s未満の速度で行われ、次いで、その凝固の開始と終了との間で20℃/s以上の速度で行われる、
ワイピングラインと最終加工との間で少なくとも10cm高く位置するストリップの一部が、4体積%の酸素および96体積%の窒素からなる雰囲気より低い酸化力を有する雰囲気に接するように、被覆金属ストリップはワイピングされる、
金属ストリップは鋼ストリップである。
【0012】
本発明の他の主題は、本発明による方法によって得られることができる、溶融めっきされているが調質されていない冷間圧延金属ストリップであって、その金属コーティングは、2から8重量%のアルミニウム、0から5重量%のマグネシウム、および0.3重量%以下の添加元素を含み、残部は亜鉛および不可避の不純物からなり、前記コーティングは0.5μm以下、好ましくは0.45μm以下のうねりWa0.8を有する。
【0013】
好ましい実施形態では、本発明による金属ストリップは、さらに、個々にまたは組み合わせて取られる次の特徴を含んでいてもよい:
金属コーティングは、マグネシウムを含まない、
金属コーティングは、1から4重量%のマグネシウムを含む、
金属ストリップは、鋼からなる。
【0014】
本発明の他の主題は、そのコーティングは0.48μm以下、好ましくは0.43μm以下のうねりWa0.8を有する、調質されていない金属ストリップの変形によって得られた金属部品である。
【0015】
本発明のさらに他の主題は、さらに、変形前に調質操作を受け、そのコーティングは0.35μm以下、好ましくは0.32μm以下、または0.31μm以下のうねりWa0.8を有する金属ストリップの変形によって得られた金属部品である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の特徴および利点は次の説明にわたってよりはっきりと明らかになり、その説明は限定しない実施例によって付与される。
【0017】
本発明による方法の第1のステップは、鋼ストリップなどの金属ストリップを、るつぼに含まれる、溶融金属を含むコーティング浴に連続的に通すことにある。
【0018】
工業ライン上のストリップの走行速度は、一般的に、40m/分から200m/分であり、例えば、120m/分より速いことが好ましく、または150m/分より速い。
【0019】
本発明による方法で使用されるコーティング浴の組成は、亜鉛ベースであり、2から8重量%のアルミニウムを含み、したがって、アルミニウムは、コーティングの必須元素である。本発明者らは、2重量%未満のアルミニウムを含むコーティングが、本発明による方法がうねりを改善することを可能にしないことを発見した。同様に、8重量%より多いアルミニウムを含むコーティングも、本発明によるこの所望の結果をもたらすことができない。この元素は、また、耐食性が改善されることを可能にする。
【0020】
コーティング浴は、また、亜鉛めっきされたコーティングの耐食性、特にその耐赤錆性を改善するために、5重量%以下のマグネシウムを含んでいてもよい。耐食性に対するかなりの効果を得るために、少なくとも0.1重量%、または0.2重量%、好ましくは少なくとも1重量%の量でマグネシウムを添加することが好ましい。コーティング浴中のマグネシウムの含有量は、得られたコーティングが、より高い含有量の場合に後の成形操作中に脆性の問題および接着性の問題を有する可能性があるので、5重量%または4重量%に限定される。さらに、発明者らは、この元素の添加が、アルミニウムの添加によってうねりについて得られる結果を落とさないことを発見した。
【0021】
コーティング浴の組成は、また、Si、Sb、Pb、Ti、Ca、Mn、Sn、La、Ce、Cr、Ni、ZrまたはBiなどの添加元素を、0.3重量%以下の量で任意に含んでいてもよい。これらの様々な元素は、特に、例えば、コーティングの耐食性またはその脆性またはその接着性を改善することを可能にする。当業者は、コーティングの特性に対するそれら元素の影響が分かり、所望のさらなる目的に応じて、それら元素を使用する方法が分かる。これらの元素は、うねりが本発明による方法によって制御される方法を妨げないことも確認された。しかしながら、ある状況では、チタン含有量を0.01%未満に、または0.005%未満に限定することが好ましく、この元素が、自動車メーカーによって使用される脱脂浴およびリン酸処理浴内で汚染の問題を引き起こす可能性があるからである。
【0022】
最後に、コーティング浴は、るつぼ供給インゴットに起因する、またはコーティング浴を通るストリップに起因する不可避の不純物を含んでいてもよい。このように、コーティング浴は、特に、鉄などを含んでいてもよい。
【0023】
コーティング浴は、液相の温度+10℃と700℃との間の温度で維持され、液相の温度は、その組成に応じて変化する。したがって、本発明で使用されるコーティングの範囲については、この温度は、350から700℃にある。液相温度は、合金が完全に溶融状態である温度より高い温度であり、固相温度は、合金が完全に固体状態である温度より低い温度であることが思い出される。ある組成については、液相の温度は、固相の温度に等しい。
【0024】
るつぼを通った後、金属ストリップは、その両面が被覆され、次いで、ストリップの両面に設置されるノズルによってワイピング操作を施され、ノズルは、ストリップの表面上に、空気や不活性ガスなどのガスを噴霧する。この慣例の操作は、当業者に知られており、コーティングの厚みが正確に調節されることを可能にし、その間にコーティングは未だ凝固しない。
【0025】
ワイピング操作後に、本発明による方法の絶対不可欠なステップは、コーティングが完全に凝固するまでのコーティングの制御された冷却である。
【0026】
特に、本発明者らは、凝固開始前のコーティングを、凝固後と異なって冷却することが必要であることを発見した。
【0027】
このように、冷却は、ワイピングユニットを出るときの温度と、凝固開始との間で(つまり、コーティングが液相温度より低い範囲にまさに収まる場合)、15℃/s未満の速度で、好ましくは10℃/s未満の速度で、さらに特に好ましくは5℃/s以下の速度で、次いで、その凝固の開始と終了との間で(つまり、コーティングが固相温度に達する場合)、15℃/s以上の速度で、好ましくは20℃/sより大きい速度で行なわれなければならない。
【0028】
これらの設定を留意することによって、下に示されたテストが実証するように、問題のコーティングのうねりの驚くべき著しい完全が観察される。
【0029】
約5℃/sを超えない速度で冷却することが望まれる場合、凝固の開始までの冷却は、自然対流によって得られてもよい。この速度より上では、例えば、冷却ガスを吹き付けることによってなど、任意の適切な技術的手段を使用して、急速冷却を用いることが一般的に必要である。
【0030】
同様に、凝固の開始からの冷却は、通常、急速冷却によって行われる。
【0031】
被覆板が完全に冷却される場合、被覆板は調質操作を受けてもよく、その後の成形操作を容易にする組織が付与されることを可能にする。特に、調質操作は、成形される前に、板に適用された油の良好な保持を促進することによって、適切に成形されるために十分な板の表面に粗さを移すことを可能にする。
【0032】
この調質操作は、陸用自動車用ボディ部品の製造を対象とした金属板に一般的に行われる。本発明による金属板が、例えば、家庭用電気器具の製造を対象とする場合、このさらなる操作は行われない。
【0033】
板は、次いで、調質されていてもされていなくても、例えば、次いで塗装されることができる部品を成形するために、延伸、曲げ、またはプロファイリング、好ましくは延伸によって成形操作を受ける。家庭用電気器具用部品の場合には、この塗装コートは、また、それ自体知られている物理的手段および/または化学的手段を使用して、アニール操作を任意に受けてもよい。この目的のために、塗装された部品は、誘導炉または熱風炉を通される、またはUVランプ下もしくは電子線散乱装置下を通されることができる。
【0034】
自動車部品の製造については、自動車部品は、電気泳動浴に浸漬され、プライマー塗装コート、ベース塗装コート、および任意にトップラッカーコートが、連続して適用される。
【0035】
電気泳動コートを部品に適用する前に、部品は、電気泳動処理の接着性を確実にするために、まず脱脂され、次いで、リン酸で処理される。電気泳動コートは、部品にさらなる腐食防止を備えさせる。プライマー塗装コートは、スプレーガンによって一般的に適用され、部品の最終外観をもたらし、砂利およびUVから部品を保護する。ベース塗装コートは、部品にその色およびその最終外観を付与する。ラッカーコートは、部品の表面に良好な機械的強度、攻撃的化学薬品に対する抵抗性および良好な表面外観を付与する。
【0036】
亜鉛めっきされた部品の最適な表面外観を保護するとともに保証するために使用される塗装コート(または塗装系)は、例えば、10から20μmの厚みの電気泳動コート、30μmのプライマー塗装アンダーコート、および40μmのベース塗装アンダーコートを有する。
【0037】
塗装系がさらにラッカーコートを含む場合には、様々な塗装コートの厚さは一般的に以下である:
電気泳動コート:10から20μm未満、
プライマー塗装コート:20μm未満、
ベース塗装コート:20μm未満、有利には10μm未満、
ラッカーコート:好ましくは30μm未満。
【0038】
また、塗装系は、電気泳動コートを含まないことも可能であり、プライマー塗装コート、ベース塗装コート、および任意にラッカーコートのみを含んでいてもよい。
【0039】
さらに、補完的な研究が、コーティングがワイピングされるゾーンにおいて特別の対策を取ることによって、本発明による板および部品のうねりレベルをさらに改善した。
【0040】
具体的に、本発明者らは、このゾーンでの雰囲気が4体積%の酸素および96体積%の窒素からなる雰囲気の酸化力未満の酸化力を有することを確実にすることによって、本発明によって冷却された板のうねりレベルがさらに低減されることを発見した。
【0041】
低レベルの酸化で維持されなければならないゾーンは、少なくとも、ワイピングライン真上をスタートし、少なくとも10cm高い位置で停止し、走行ストリップをその両面で囲むものである。用語「ワイピングライン」は、ノズルを板に接続する最短の部分を意味し、次にワイピングガスが通る最小経路に対応することが本明細書では理解される。
【0042】
このようにして、酸化レベルは、例えば、ワイピングゾーンを覆い、窒素などの不活性ガスが供給される運搬ボックスなどの任意の適切な手段によって制御されてもよい。ワイピングガスとして、酸素欠乏ガスを使用することも可能であり、特に不活性ガスをボックスに供給しないことも可能であり、前記ボックスは、次いで、ワイピングガスの流れが単に供給される。
【0043】
ストリップを囲む雰囲気の酸化力を決定するために、平衡でのその等価酸素分圧が測定される。
【0044】
存在する唯一の酸化ガスが、Oであり、不活性ガス(窒素またはアルゴン)と混合される場合には、この圧力は、このとき、Oの体積含有量に等しく、Oの体積含有量は、適切なセンサーによってリアルタイムで測定されることができる。
【0045】
OやCOなどの他の酸化ガスが存在し、例えば、HまたはCOなどの還元ガスと混合される場合には、等価酸素分圧は、問題のガスの温度で質量作用の法則によって計算される。
【0046】
例えば、H/HO対については、反応は以下のように書くことができる:
+1/2O←→H
熱力学平衡では、ガスの分圧は、次の式に従う:
【数1】

ここで、Rは理想気体定数であり、Tはケルヴィンでのガス温度であり、ΔGは反応に関連する自由エネルギーの変化であり、それは、熱力学表において、定数Rに関して取られた値に応じて、カロリー/モルまたはジュール/モルで確認することができる。
【0047】
問題のガス混合物について、pOの値、つまり平衡での等価酸素分圧は、上記の式から引き出される。
【0048】
本発明の状況では、pOは、0.0015から0.04でなければならない。
【0049】
さらに、ワイピングする前にいかなる酸化も限定するように、コーティング浴の表面まで、またはコーティング浴とワイピングラインとの間の中間位置まで、任意の閉じ込めボックスを拡大することが望ましい場合がある。具体的に、板の表面が自由大気にされられる場合には、そのような酸化層は、自動的に生じるが、大体の場合、取り除かれ、ワイピングジェットのインパクト下でコーティング浴に戻される。したがって、そのような閉じ込めは、コーティング浴の酸化物の量を低減することを可能にし、ストリップが走行するとき、酸化物はストリップによって取り込まれ、このようにして、容認できない欠陥を生成する可能性がある。
【0050】
しかしながら、閉じ込めは、コーティング浴からの亜鉛の気化を促進する欠点を有し、そのとき、その蒸気は閉じ込めボックスを汚す可能性がある。
【0051】
すべての種類のワイピングノズルは、本発明による方法を実行するために使用されることができるが、被覆されるストリップの幅を超える幅を有する板の形態で、開口部を有するノズルを使用することがより特に好ましい。この種のノズルは、ワイピングゾーンの底部が適切に閉じ込められることを可能にする。
【0052】
試験
冷間圧延された非侵入型チタン鋼からなる金属板に試験が行われ、アルミニウムおよびマグネシウムを可変比率で含む亜鉛系金属浴を含むるつぼを通された。亜鉛系金属浴は、組成の液相より70℃低い温度で維持された。
【0053】
亜鉛系金属浴を出るとすぐに、得られたコーティングは、2つの従来のノズルによって窒素でワイピングされ、約7μmのコーティング厚さを得た。
【0054】
上に設置されたこれらのワイピングノズルは、ストリップの両面で、強制対流によってコーティングを凝固するために、空気を吹き込むための一連の冷却ボックスであった。流量、吹き込みガスの温度、および使用されるボックスの数に応じて、冷却速度は、5から50℃/sで調節されることができた。
【0055】
これらのパラメーターおよび使用されたボックスの位置を変化させることによって、液相温度が到達される前、およびこの温度と固相温度との間で様々な冷却速度で制御された冷却を得るために、一連の試験が行なわれた。すべてのボックスが接続を断たれた場合には、コーティングは、約5℃/sの速度で自然対流を受けただけであった。
【0056】
また、試験(参照17)は、ワイピングラインおよび仕上げが10cm高いゾーン開始レベルで、酸素含有量が4体積%に限定された閉じ込めボックス内で窒素でワイピングすることによって行われた。
【0057】
最後に、得られた試料は、3.5%等二軸(マーシニャク)変形モードで延伸された。いくつかの試料は、1.5%の伸長で調質操作を予め施された。
【0058】
試験が進むとともに、うねり値Wa0.8が測定される。この測定は、圧延方向に対して45°で測定された、長さが50mmである板のプロファイルを得るために、ランナーなしで、機械的フィーラーゲージを使用することにある。少なくとも5次多項式によるその一般的形態の近似値が、得られた信号から引かれた。うねりWaは、次いで、0.8mmのカットオフしきい値で、ガウスフィルタによって粗さRaから分離される。
【0059】
得られた結果は、次の表に付与される:
【表1】

【0060】
試験1から3は、15℃/s以上の凝固の間の冷却速度より上で、調質されていない状態で劇的に低減されたうねりが得られることを示す。
【0061】
さらに、本発明者らは、試験4から6が実証するように、第1の冷却相で急激すぎる冷却速度が、液相に到達する前に、コーティングの外観に有害であることを発見し、ここで、15℃/sのしきい値が超えられる場合には、うねりは相当に悪化し、冷却速度が10から15℃/sに進む場合には、0.47から3.01μmを通る。
【0062】
したがって、この第1の冷却ステップが所望の表面外観を得るために重要であると述べることができ、全冷却プロセスが制御されなければならないという結論に結びつく。
【0063】
試験7から12は、また、うねり平滑化効果が、いかなる亜鉛めっきされたコーティングに関して得られないが、本発明によって定義された範囲を満足する組成を有するコーティングに関してのみ得られることを示す。
【0064】
試験4、10から13および16は、調質され、延伸された板に関し、うねりレベルの驚くべき改善を示し、一方、同時に比較試験1、7および15は、延伸後に得られた結果の低下を示し、うねりが、調質された板から製造された部品用の0.35μmのしきい値より小さくなることを防ぐ。
【0065】
最後に、ワイピングについて特別の予防なしで、同一条件下で行われた試験17の結果を試験4のものと比較することによって、うねりレベルの低減は、すべての具体的な場合に観察される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属腐食防止コーティングを有する金属ストリップを製造する方法であって、
金属ストリップを、2から8重量%のアルミニウム、0から5重量%のマグネシウム、および0.3重量%以下の添加元素を含み、残部が亜鉛および不可避の不純物であり、350から700℃の温度で維持された溶融金属浴を通過させることと、次いで、
被覆金属ストリップを、ストリップの両面にノズルがガスを噴霧することによってワイピングすることと、次いで、
コーティングが完全に凝固するまで、制御された方法でコーティングを冷却し、前記冷却が、ワイピングユニットを出るときの温度と凝固開始との間で15℃/s未満の速度で行われ、次いで、その凝固の開始と終了との間で15℃/s以上の速度で行われることとからなるステップを含む、方法。
【請求項2】
前記冷却が、ワイピングユニットを出るときの温度と凝固開始との間で10℃/s未満の速度で行われ、次いで、その凝固の開始と終了との間で15℃/s以上の速度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記冷却が、ワイピングユニットを出るときの温度と凝固開始との間で10℃/s未満の速度で行われ、次いで、その凝固の開始と終了との間で20℃/s以上の速度で行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ワイピングラインと最終加工との間で少なくとも10cm高く位置するストリップの一部が、4体積%の酸素および96体積%の窒素からなる雰囲気より低い酸化力を有する雰囲気に接するように、被覆金属ストリップがワイピングされる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
金属ストリップが鋼ストリップである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法によって得られることができる、溶融めっきされているが調質されていない冷間圧延金属ストリップであって、その金属コーティングが、2から8重量%のアルミニウム、0から5重量%のマグネシウム、および0.3重量%以下の添加元素を含み、残部が亜鉛および不可避の不純物からなり、前記コーティングが0.5μm以下のうねりWa0.8を有する、冷間圧延金属ストリップ。
【請求項7】
金属コーティングが、マグネシウムを含まない、請求項6に記載の金属ストリップ。
【請求項8】
金属コーティングが、1から4重量%のマグネシウムを含む、請求項6に記載の金属ストリップ。
【請求項9】
鋼からなる、請求項6から8のいずれか一項に記載の金属ストリップ。
【請求項10】
コーティングが0.48μm以下のうねりWa0.8を有する、請求項6から9のいずれか一項に記載の金属ストリップの変形によって得られた金属部品。
【請求項11】
さらに、変形前に調質操作を受け、そのコーティングが0.35μm以下のうねりWa0.8を有する、請求項6から9のいずれか一項に記載の金属ストリップの変形によって得られた金属部品。

【公表番号】特表2011−521103(P2011−521103A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508972(P2011−508972)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000560
【国際公開番号】WO2009/147309
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(510215651)
【Fターム(参考)】