説明

外観検査装置、及び外観検査方法

【課題】透明部品の表面状態を正確に、かつ容易に検査する。
【解決手段】測定対象の表面を撮像する撮像装置10と、測定対象の表面に光を照射する照射部20と、撮像装置10の焦点位置と測定対象の表面の相対位置を制御する制御部30と、撮像装置10が撮像した画像の輝度を検出する検出部40と、を備え、制御部30は、撮像装置10の焦点位置を、測定対象の表面に合わせた第1の焦点位置と、第1の焦点位置とは異なる第2の焦点位置に制御し、検出部40は、第1の焦点位置において検出した輝度と、第2の焦点位置において検出した輝度との差から、測定対象の表面にある異物又はキズを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観検査装置、及び外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の製造工程において、電子部品に異物やキズ等の欠陥が形成されることがある。このため、組み立て工程後には、外観検査を実施することが望ましい。外観状態を認識する方法や、検査する方法として、例えば特許文献1〜3に記載のものがある。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、焦点の合っている複数の画像を合成して、微小な3次元物体の鮮明な全体画像を得るというものである。特許文献2に記載の技術は、測定対象の表面に焦点を合わせた画像と、表面より下側であって内部に形成された異物を認識できる位置に焦点を合わせた画像とを比較するというものである。これにより、測定対象の表面上に形成された異物と、内部に形成された異物を識別することができると記載されている。
【0004】
特許文献3に記載の技術は次のようである。まず測定対象である透明体のカラー画像から明るさ、赤み、及び青みを検出し、それぞれ基準領域と測定領域において差を演算する。次いで、これを白黒映像信号に変換する。その後画像処理等を行うことで、透明体表面にある欠陥を検査するというものである。これにより透明体の背面側に他の部品が存在する場合においても、透明体の外観検査を行うことができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−333271号公報
【特許文献2】特開2005−98970号公報
【特許文献3】特開平9−189664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
透明部品の外観検査では、透明部品の表面状態と同時に透明部品の背面側に存在する他の部品が観察されてしまうため、正確に行うことが難しい。また特許文献3に記載の技術では、検査工数が多く、透明部品の外観検査が複雑となる。よって透明部品の表面状態を正確に、かつ容易に検査することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、測定対象の表面を撮像する撮像装置と、
前記測定対象の前記表面に光を照射する照射部と、
前記撮像装置の焦点位置と前記測定対象の前記表面の相対位置を制御する制御部と、
前記撮像装置が撮像した画像の輝度を検出する検出部と、
を備え、
前記制御部は、
前記撮像装置の焦点位置を、前記測定対象の前記表面に合わせた第1の焦点位置と、前記第1の焦点位置とは異なる第2の焦点位置に制御し、
前記検出部は、
前記第1の焦点位置において検出した前記輝度と、前記第2の焦点位置において検出した前記輝度との差から、前記測定対象の前記表面にある異物又はキズを検知する、外観検査装置が提供される。
【0008】
本発明によれば、測定対象の表面に合わせた第1の焦点位置と、第1の焦点位置とは異なる第2の焦点位置において測定対象の表面を撮像する。そして撮像した2つの画像の輝度の差を検出する。このとき測定対象の表面において異物及びキズが位置する部分にのみ、輝度分布のピークが発生することとなる。このように複雑な処理を要さずに、透明部品の表面状態を正確に、かつ容易に検査することができる。
【0009】
本発明によれば、測定対象の表面に撮像装置の焦点を合わせる工程と、前記撮像装置によって前記測定対象の前記表面を撮像して第1の画像を得る工程と、前記第1の画像の輝度を検出する工程と、前記撮像装置の焦点位置を移動させる工程と、前記撮像装置によって前記測定対象の前記表面を撮像して第2の画像を得る工程と、前記第2の画像の輝度を検出する工程と、前記第1の画像の輝度と前記第2の画像の輝度との差から、前記測定対象の前記表面にある異物及びキズを検知する工程と、を備える外観検査方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、透明部品の表面状態を正確に、かつ容易に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る外観検査装置を示す構成図である。
【図2】本実施形態に係る外観検査方法を示す断面図である。
【図3】図2に示す外観検査方法を示す平面図である。
【図4】図2に示す外観検査方法を示す輝度分布である。
【図5】図2に示す外観検査方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る外観検査装置を示す構成図である。外観検査装置は、撮像装置10と、照射部20と、制御部30と、検出部40とを備えている。外観検査装置は、例えばCAN型レーザダイオード、又はフォトダイオードのガラス部品等の外観検査に用いられる。
【0014】
撮像装置10は、測定対象の表面を撮像する。照射部20は、測定対象の表面に光を照射する。制御部30は、撮像装置10の焦点位置と測定対象の表面の相対位置を制御する。具体的には、制御部30は、撮像装置10の焦点位置を測定対象の表面に合わせた第1の焦点位置(図2参照)に制御する。また制御部30は、撮像装置10の焦点位置を第1の焦点位置とは異なる第2の焦点位置(図2参照)に制御する。撮像装置10は、第1の焦点位置と第2の焦点位置のそれぞれにおいて、撮像する。検出部40は、撮像装置10が撮像した画像の輝度を検出する。検出部40は、第1の焦点位置において検出した輝度と、第2の焦点位置において検出した輝度との差から、測定対象の表面にある異物又はキズを検知する。
【0015】
図1を用いて、本実施形態に係る外観検査装置の構成を詳細に説明する。外観検査装置は、測定ステージ60をさらに備えている。測定ステージ60上には、測定試料が載置されている。測定試料は、例えばCAN型レーザダイオードであり、透明部品70と、ガラスレンズ72と、半導体素子74と、サブマウント76とを備えている。透明部品70は、例えばガラス等である。ガラスレンズ72、半導体素子74、及びサブマウント76は、透明部品70の背面側に位置する。撮像装置10は、透明部品70の表面を上方から撮像するように位置している。
【0016】
照射部20は、透明部品70の表面に光を照射するように位置している。照射部20は、例えば青色の光源を備えている。また、透明部品70による分散等の影響を考慮して他の光源を選択してもよく、例えば赤色の光源を備えていてもよい。また、一般的に波長が短いほど透明部品70による分散等の影響が大きくなり背面側の画像データの明るさ強度が小さくなる。このため画像処理の際に色ごとの処理が可能となるよう、白色の光源を備えていてもよい。
【0017】
図2〜図4を用いて、本実施形態に係る外観検査方法の原理を説明する。図2は、本実施形態に係る外観検査方法を示す断面図である。図3は、図2に示す外観検査方法を示す平面図である。図4は、図2に示す外観検査方法を示す輝度分布である。図4は、図3に示すA−A'位置における、透明部品70の表面を撮像した画像の輝度分布を示している。
【0018】
図2に示すように、透明部品70上には、異物80及びキズ82があることがある。第1の焦点位置は、撮像装置10の焦点位置を表しており、透明部品70の表面に位置している。第2の焦点位置は、撮像装置10の焦点位置を表しており、第1の焦点位置と異なる位置に位置している。第2の焦点位置は、例えば透明部品70以外のいずれにも焦点が合わない範囲で第1の焦点位置からずれた位置に位置する。図2において、第2の焦点位置は第1の焦点位置の下方に位置しているが、上方に位置していてもよい。また第2の焦点位置は、複数存在してもよい。
【0019】
図3は、焦点位置を第1の焦点位置に合わせた場合において、撮像装置10が撮像した透明部品70の表面の画像を示している。図3に示すように、透明部品70の表面状態と同時に、透明部品70の背面側に位置する半導体素子74及びサブマウント76が観察されている。
【0020】
図4(a)では、第1の焦点位置に合わせた場合における輝度分布を示している。図4(a)では、透明部品70の表面に位置する異物80を示す分布と、透明部品70の背面側に位置する半導体素子74及びサブマウント76の分布が示されている。
【0021】
図4(b)では、焦点位置を第2の焦点位置に合わせた場合における輝度分布を示している。第2の焦点位置は、透明部品70の表面に位置しない。よって図4(b)における、透明部品70の表面に位置する異物80を示す分布は、図4(a)と比較して小さいピークを示す。一方、第1の焦点位置と第2の焦点位置は、共に半導体素子74及びサブマウント76に位置しない。よって、図4(b)における、透明部品70の背面側に位置する半導体素子74及びサブマウント76の分布は、図4(a)と比較して大きく変化しない。
【0022】
図4(c)では、図4(a)に示す輝度分布と図4(b)に示す輝度分布の差を示している。透明部品70の表面に位置する異物80の分布は、図4(a)と図4(b)で異なる挙動をしめすため、図4(c)においてピークを生じさせる。一方、透明部品70の背面側に位置する半導体素子74及びサブマウント76の分布は、図4(a)と図4(b)でほぼ等しい挙動を示すため、図4(c)においてピークを生じさせない。このように、図4(c)では、半導体素子74及びサブマウント76によるノイズ成分は除去され、異物80及びキズ82によるピークが明確になる。これにより透明部品70の表面状態を検査することができる。
【0023】
図5を用いて、本実施形態に係る外観検査方法を説明する。図5は、図2に示す外観検査方法を示すフロー図である。まず、図1に示すように、測定ステージ60上に測定試料を載置する。そして図2に示すように、撮像装置10の焦点位置を、第1の焦点位置に合わせる(S10)。撮像装置10の焦点位置を合わせる方法は、例えば次のようなものがある。透明部品70が平坦である場合、例えば透明部品70の周辺部分がファイバ接続部品と接触する箇所に焦点位置を合わせる。また透明部品70が平坦でない場合や透明部品70の周辺部分の観察が困難である場合、例えば透明部品70に異物80やキズ82があるものを使用して焦点位置を合わせる。そして撮像装置10により、透明部品70の表面を撮像する(S20)。その後検出部40により、S20において得た画像の輝度を検出する(S30)。
【0024】
次いで、撮像装置10の焦点位置を透明部品70の下方にずらす。これにより撮像装置10の焦点位置を、第2の焦点位置に合わせる(S40)。そして撮像装置10により、透明部品70の表面を撮像する(S50)。その後検出部40により、S50において得た画像の輝度を検出する(S60)。S30において得た画像の輝度と、S60において得た画像の輝度の差を算出する。そして算出したデータの分析をし、例えば微分値が基準値以上になったときに、透明部品70の表面にある異物80及びキズ82を検知する(S70)。
【0025】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態によれば、透明部品70の表面に合わせた第1の焦点位置と、第1の焦点位置とは異なる第2の焦点位置において透明部品70の表面を撮像する。そして撮像した2つの画像の輝度の差を検出する。このとき透明部品70の表面において異物80及びキズ82が位置する部分にのみ、輝度分布のピークが発生することとなる。このため複雑な処理を要さずに、透明部品の表面状態を正確に、かつ容易に検査することができる。
【0026】
また本実施形態に係る外観検査装置は、制御部30によって、撮像装置10の焦点位置を合わせることができる。そして検出部40によって、透明部品70の表面にある異物及びキズ82を検知することができる。このため、透明部品の外観検査を自動化することができる。従って、透明部品の外観検査が必要な製品の生産性を向上させることができる。
【0027】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0028】
10 撮像装置
20 照射部
30 制御部
40 検出部
60 測定ステージ
70 透明部品
72 ガラスレンズ
74 半導体素子
76 サブマウント
80 異物
82 キズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の表面を撮像する撮像装置と、
前記測定対象の前記表面に光を照射する照射部と、
前記撮像装置の焦点位置と前記測定対象の前記表面の相対位置を制御する制御部と、
前記撮像装置が撮像した画像の輝度を検出する検出部と、
を備え、
前記制御部は、
前記撮像装置の焦点位置を、前記測定対象の前記表面に合わせた第1の焦点位置と、前記第1の焦点位置とは異なる第2の焦点位置に制御し、
前記検出部は、
前記第1の焦点位置において検出した前記輝度と、前記第2の焦点位置において検出した前記輝度との差から、前記測定対象の前記表面にある異物又はキズを検知する、外観検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の外観検査装置において、
前記第2の焦点位置は、前記測定対象以外のいずれにも焦点が合わない範囲で前記第1の焦点位置からずれた位置に位置する外観検査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の外観検査装置において、
前記照射部は、青色、赤色、または白色のいずれかの光源を備えている外観検査装置。
【請求項4】
測定対象の表面に撮像装置の焦点を合わせる工程と、
前記撮像装置によって前記測定対象の前記表面を撮像して第1の画像を得る工程と、
前記第1の画像の輝度を検出する工程と、
前記撮像装置の焦点位置を移動させる工程と、
前記撮像装置によって前記測定対象の前記表面を撮像して第2の画像を得る工程と、
前記第2の画像の輝度を検出する工程と、
前記第1の画像の輝度と前記第2の画像の輝度との差から、前記測定対象の前記表面にある異物及びキズを検知する工程と、
を備える外観検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−13636(P2012−13636A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152740(P2010−152740)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】