説明

外観検査装置

【課題】検査対象の外観を正確に検査可能であるとともに、製造コストの低廉化が可能な外観検査装置を提供する。
【解決手段】本発明の外観検査装置は、複数種類の構成物からなる実装基板7に光を照射可能な液晶カラーモニタ15と、実装基板7を撮影して撮影情報を得るデジタルカメラ17とを備えている。また、この外観検査装置では、液晶カラーモニタ15と実装基板7との間にハーフミラー19が設けられており、ハーフミラー19とデジタルカメラ17との間にはフルミラー18が設けられている。この外観検査装置では、液晶カラーモニタ15はハーフミラー19を透過する光により実装基板7を照射可能な位置に設けられており、デジタルカメラ17は、フルミラー18の反射を介し、ハーフミラー19に反射した実装基板7の画像を撮影可能な位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実装基板は基板上に電子部品が実装されてなる。このような実装基板等の外観を検査する装置として、特許文献1に従来の外観検査装置が開示されている。この外観検査装置は、実装基板等のように、複数種類の構成物からなる検査対象に光を照射可能な光源と、検査対象を撮影して撮影情報を得る撮影手段とを備えている。
【0003】
光源は検査対象の上方から光を照射可能である。撮影手段も検査対象の上方に配置されている。また、この外観検査装置では、検査対象と撮影手段との間に鏡を有する光学手段が配置されている。
【0004】
この外観検査装置では、撮影情報として、検査対象の上方からの画像を撮影することが可能であるとともに、光学手段を利用して撮影対象の斜め方向からの画像も撮影可能である。また、この外観検査装置では、例えば、基板のレジストの色が青緑である場合、青緑に対する補色である赤の光を照射可能になっている。このため、この外観検査装置では、検査対象から不必要な構成物の輝度を低下させて、検査対象となる構成物の抽出を容易に行うことが可能となっている。こうして、この外観検査装置によれば、撮影された画像を基に検査対象の外観を検査することが可能である。
【0005】
また、特許文献2には、他の外観検査装置が開示されている。この外観検査装置も、検査対象に光を照射可能な光源と、検査対象を撮影して撮影情報を得る撮影手段とを備えている。この外観検査装置では、光源と検査対象との間にハーフミラーが設けられている。光源はハーフミラーの反射側に設けられている。また、撮影手段は検査対象の上方側に設けられており、これはハーフミラーの透過側に位置する。
【0006】
この外観検査装置では、光源が照射した光がハーフミラーによって反射され、検査対象を照射する。そして、ハーフミラーを透過して、撮影手段が検査対象の上方からの画像を撮影する。こうして、この外観検査装置でも、撮影された画像を基に検査対象の外観を検査することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-198397号公報
【特許文献2】特開2009-85682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、これらの外観検査装置では、検査対象の外観を正確に検査可能であることが求められている。その一方で、これらの外観検査装置では、より低価格で提供されること、すなわち外観検査装置における製造コストの低廉化も求められている。
【0009】
検査対象の外観を正確に検査するためには、撮影手段がより高精度に検査対象を撮影可能であることが求められる。このため、撮影手段には、詳細に撮影可能な広角レンズが装着されていることが多い。この一方で、検査対象の表面には構成物の大きさの違いによる凹凸が不可避に生じている。そして、このような検査対象を高精度に撮影するためには、撮影手段の焦点距離を長くして、撮影時に焦点を合わせ易くする必要がある。つまり、検査対象の被写界深度を深くする必要がある。このために、これらの外観検査装置では、検査対象と撮影手段との配置位置を可及的に遠隔させる必要がある。
【0010】
しかし、上記の両外観検査装置では、検査対象と撮影手段との配置位置を十分に遠隔させることができない問題がある。つまり、これらの外観検査装置では、いずれも撮影手段が検査対象に対して上方側に配置されていることから、検査対象と撮影手段との配置位置を遠隔させると、不可避的に外観検査装置の外形が高さ方向に拡大してしまう。このため、外観検査装置が大型化し、その製造コストが増大してしまうこととなる。
【0011】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、検査対象の外観を正確に検査可能であるとともに、製造コストの低廉化が可能な外観検査装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の外観検査装置は、複数種類の構成物からなる検査対象に光を照射可能な光源と、該検査対象を撮影して撮影情報を得る撮影手段とを備え、該撮影情報に基づいて該検査対象の外観検査を行う外観検査装置において、
前記光源と前記検査対象との間にはビームスプリッタが設けられ、
該光源は該ビームスプリッタを透過する光により該検査対象を照射可能な位置に設けられ、
前記撮影手段は該ビームスプリッタに反射した該検査対象の画像を撮影可能な位置に設けられていることを特徴とする(請求項1)。
【0013】
本発明の外観検査装置では、撮影手段がビームスプリッタに反射した検査対象の画像を撮影可能であるため、撮影手段と検査対象との配置位置を大きく遠ざけることなく、実質的な焦点距離を長くすることできる。このため、この外観検査装置では、検査対象の被写界深度を深くすることが可能となる。このため、この外観検査装置であれば、検査対象の表面に凹凸が形成され、その凹凸が大きい場合であっても、検査対象を好適に撮影可能であり、検査対象の外観を正確に検査することができる。
【0014】
また、この外観検査装置では、撮影手段と検査対象との配置位置を大きく遠ざけることなく、実質的な焦点距離を長くすることできることから、外形が大型化することを抑制することもできる。
【0015】
検査対象は複数種類の構成物からなる。実装基板は、基板(以下、プリント基板を含む。)と、この基板上に配置された抵抗、コンデンサ、集積回路等の電子部品と、各電子部品を結線する導線等からなるため、本発明に係る検査対象である。また、本発明において、基板上に電子部品を配置しているものの、各電子部品を結線してはいないもの(以下、配置基板という。)も本発明に係る検査対象である。これらの検査対象に対する具体的な検査内容としては、例えば、基板上に配置された電子部品の正否や配置位置やその姿勢等の確認が挙げられる。また、検査対象が実装基板である場合には、導線のフィレットを確認することも含まれる。さらに、異物を含む製品も検査対象であり得る。この場合は製品上の異物を確認することも可能である。
【0016】
ビームスプリッタは、入射した光の一部を反射し、一部を透過する光学手段である。反射光と透過光との強さは1:1である必要はなく、種々のものを採用することが可能である。反射光と透過光との強さがほぼ1:1であるビームスプリッタはハーフミラーと称される。
【0017】
上記の撮影手段と検査対象との配置位置と焦点距離との関係について、図1の(A)及び(B)を基に具体的に説明する。図1の(A)の外観検査装置では、ハーフミラー90の反射側に撮影手段91を設け、ハーフミラー90の透過側に光源92を設けている。この外観検査装置が本発明に相当する。なお、この例では、ハーフミラー90に反射した検査対象93の画像は、フルミラー(鏡)94でさらに反射され、撮影手段91によって撮影されるようになっている。一方、図1の(B)の外観検査装置では、ハーフミラー90の透過側に撮影手段91を設け、ハーフミラー90の反射側に光源92を設けている。この外観検査装置が特許文献2に開示された外観検査装置に相当する。これらの外観検査装置では、いずれも撮影手段91と検査対象93との空間的な距離Hは同じである。
【0018】
しかしながら、図1の(A)の外観検査装置は、撮影手段91からフルミラー94までの距離L1と、フルミラー94からハーフミラー90までの距離L2と、ハーフミラー90から検査対象93までの距離L3との和が撮影手段91の焦点距離となる。一方、図1の(B)の外観検査装置は、撮影手段91から検査対象93までの距離Hがそのまま撮影手段91の焦点距離となる。このため、図1の(A)の外観検査装置は焦点距離が図1の(B)の外観検査装置の焦点距離よりも長くなっている。
【0019】
つまり、撮影手段91と検査対象93との距離Hが同じ場合、ハーフミラー90の透過側に撮影手段91を設けた場合よりも、ハーフミラー90の反射側に撮影手段91を設けた方がより検査対象93の被写界深度を深くすることができる。換言すれば、同じ外形の外観検査装置の場合、図1の(B)の外観検査装置よりも、図1の(A)の外観検査装置の方が撮影時に焦点を合わせ易く、より高精度に検査対象93の画像を撮影することができるといえる。
【0020】
なお、本発明の外観検査装置は、図1の(A)のようなフルミラー94を使用せず、例えば、検査対象93の水平直角方向で距離Hの位置に撮影手段91を設ける構成であっても良い。また、複数のフルミラーを採用し、より焦点距離を長くした構成であっても良い。
【0021】
したがって、本発明の外観検査装置では、検査対象の外観を正確に検査可能であるとともに、製造コストの低廉化が可能となっている。
【0022】
また、逆に、撮影手段91の焦点距離を同じ長さとした場合、図1の(A)の外観検査装置の距離Hは、図1の(B)の外観検査装置の距離Hよりも短くなる。このため、本発明の外観検査装置では、従来の外観検査装置と比較して、その外形をより小型化させることもできる。
【0023】
本発明における撮影手段としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)を用いたカメラ(デジタルカメラ)やネガフィルム方式のカメラを採用することができる。また、撮影手段によって得られる撮影情報は、カラー画像に限定されることなく、モノクロ画像であっても良い。さらに、撮影手段によって得られる撮影情報は、静止画像だけでなく、動画であっても良い。
【0024】
光源としては、例えばLED(Light Emitting Diode)、ハロゲンランプ、蛍光灯等を採用可能である。また、光源は複数備えることも可能である。この場合、各光源毎にその種類を変えることも可能である。
【0025】
特に、本発明の外観検査装置において、光源は異なる波長の光を照射可能であることが好ましい(請求項2)。この場合、例えば、撮影する検査対象における検査不要な構成物の補色となる波長の光を照射することで、その検査不要な構成物の輝度を容易に低下させることができる。また、例えば、検査対象に対し、抽出させる構成物と同系の波長の光を照射することで、当該構成物の輝度を容易に上昇させることもできる。これらにより、この外観検査装置では、検査対象から、検査が必要な構成物の抽出を容易に行うことが可能となる。
【0026】
上記の場合、光源はカラーモニタであることが好ましい(請求項3)。この場合、照射する光の波長を容易に変更可能となる。カラーモニタとしては、例えば、液晶モニタやプラズマモニタ等を採用可能である。また、これらの各モニタについて、一般流通品を採用可能である。このため、外観検査装置の製造コストをより低廉化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】撮影手段と検査対象との距離と焦点距離との関係を示す模式構造図である。図(A)はハーフミラーの反射側に撮影手段を設けた外観検査装置を示しており、図(B)はハーフミラーの透過側に撮影手段を設けた外観検査装置を示している。
【図2】実施例の外観検査装置を示す斜視図である。
【図3】実施例の外観検査装置に係り、撮影室内を示す模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0029】
図2及び図3に示すように、実施例の外観検査装置は、実装基板7の外観を検査するものである。ここで、実装基板7とは、プリント基板7b上に電子部品7aを配置し、かつ、各電子部品7aを結線(実装)しているものをいう。
【0030】
この外観検査装置は撮影室1と搬送装置3と制御部5とを備えている。搬送装置3は、検査対象(図3では実装基板7を示す。)を撮影室1内に搬入可能なローダコンベア9と、検査により異常が発見された際、実装基板7の修理を行うための修理ステーション11とで構成されている。また、ローダコンベア9には、実装基板7を載せる検査テーブル13(図3参照)が設けられている。このローダコンベア9は図示しない制御装置に電気的に接続されている。なお、ローダコンベア9の構成は周知のローダコンベアと同様であるため、構成に関する詳細な説明を省略する。
【0031】
撮影室1は周囲を外壁1aによって覆われている。また、この外観検査装置では、外壁1aの一部について、透明の樹脂板1bが採用されており、外観検査装置の外部から撮影室1内を視認することが可能となっている。
【0032】
撮影室1内には、図3に示すように、実装基板7に光を照射可能な液晶カラーモニタ15と、図示しない制御装置の制御信号に基づき、実装基板7を撮影して撮影情報を得る一眼レフ式のデジタルカメラ17(画素数:2200万)とが備えられている。この液晶カラーモニタ15は、異なる波長の光を照射可能に構成されている。デジタルカメラ17は、カメラ室17a内に配置されている。また、このデジタルカメラ17には、実装基板7を高精度に撮影可能な広角レンズが装着されている。液晶カラーモニタ15及びデジタルカメラ17は、ともに制御装置に電気的に接続されている。この外観検査装置では、これらの液晶カラーモニタ15及びデジタルカメラ17は、いずれも一般市場に流通している商品が採用されている。なお、液晶カラーモニタ15が光源に相当しており、デジタルカメラ17が撮影手段に相当している。
【0033】
また、撮影室1内において、液晶カラーモニタ15と実装基板7との間には、反射光と透過光とが1:1となるように構成されたビームスプリッタ、すなわちハーフミラー19が設けられている。
【0034】
この撮影室1内において、液晶カラーモニタ15はハーフミラー19を透過する光により実装基板7を照射可能な位置、すなわちハーフミラー19の透過側の位置に設けられている。一方、デジタルカメラ17は、ハーフミラー19の反射側の位置に設けられている。また、この撮影室1内には、ハーフミラー19とデジタルカメラ17との間であって、ハーフミラー19の反射側の位置にフルミラー18が設けられている。このフルミラー18は、ハーフミラー19に反射した画像を所定の方向(角度)に向けて反射可能となっている。これらにより、この外観検査装置において、デジタルカメラ17は、フルミラー18の反射を介してハーフミラー19に反射した実装基板7の画像を撮影可能となっている。
【0035】
さらに、撮影室1内には、実装基板7における電子部品7a等の高さや傾きを測定するレーザーセンサ21が設けられている。レーザーセンサ21は制御装置に電気的に接続されている。また、レーザーセンサ21は、ガイドレール21a上を移動可能に構成されており、実装基板7の全域に亘って電子部品7aや導線のフィレットの高さや傾き(導線のフィレットにあっては、その形状を含む)を測定可能となっている。なお、レーザーセンサ21の他の構成は周知レーザーセンサと同様であり、構成に関する詳細な説明を省略する。
【0036】
制御部5は、図2に示すように、液晶モニタ25とキーボード27と図示しない制御装置とによって構成されている。液晶モニタ25とキーボード27とは制御装置に電気的に接続されている。液晶モニタ25には、デジタルカメラ17によって撮影された実装基板7の画像が表示される他、外観検査装置を操作するための各種の情報が表示される。これにより、外観検査装置を操作するオペレータは、液晶モニタ25に表示された情報を基に、キーボード27を介して各種の制御信号を制御装置に向けて送信(入力)し、デジタルカメラ17等の各種装置を制御することが可能となっている。また、この外観検査装置では、収納テーブル29を折り畳むことでキーボード27を収納空間29a内に収納可能となっている。なお、この外観検査装置では、キーボード27に替えて又はキーボード27とともにマウス等の入力装置を別途に採用することもできる。
【0037】
外観検査装置の下部には、制御装置や電源回路(いずれも図示しない)等が収納される電源室31が形成されている。また、この外観検査装置では、電源室31と連通するメンテナンスハッチ31aが設けられており、電源室31内に収納された電源回路等の補修等が容易となっている。さらに、外観検査装置の上端には、外観検査装置によって検査(撮影)が行われていることを示す作業灯33が設けられている。
【0038】
以上のように構成された外観検査装置では、以下の手順によって実装基板7の検査を行う。まず、作業テーブル13(図3参照)上に検査対象となる実装基板7を配置する。次に、ローダコンベア9が駆動し、実装基板7が撮影室1内に搬送される。撮影室1内の所定の位置に実装基板7が搬送された後、オペレータの操作に基づき、デジタルカメラ17による実装基板7の撮影が行われる。
【0039】
ここで、この外観検査装置では、撮影時に液晶カラーモニタ15が各種の異なる波長の光を照射可能である。これにより、実装基板7における検査不要な構成物の色に対し、その補色となる波長の光を照射させることで、その検査不要な構成物の色の輝度を低下させることが可能となる。なお、各色とその補色との関係は、およそ以下の表1に示されるとおりである。
【0040】
【表1】

【0041】
実装基板7における検査不要な構成物がプリント基板7bであり、このプリント基板7bのレジストが青緑であった場合を例に具体的に説明する。この場合、液晶カラーモニタ15に青緑の補色となる赤色の光、すなわち、650nm〜780nmの波長の光を照射させる制御が行われる。これにより、デジタルカメラ17によって撮影された実装基板7の平面画像(より詳細には、図3に示すように、赤い光が照射(破線矢印)された状態の実装基板7がハーフミラー19及びフルミラー18によって反射(実線矢印)されている状態の画像である。)では、プリント基板7bの輝度が低下された状態となる。このため、この外観検査装置では、実装基板7における電子部品7aの正否、配置、姿勢等の各状態及び導線のフィレットを容易に抽出することが可能となっている。
【0042】
また、この外観検査装置では、実装基板7の撮影と同時又は撮影に替えて、レーザーセンサ21による測定も行うことが可能である。なお、上記のように撮影室1の外壁1aの一部が透明な樹脂板1bで形成されているため、オペレータは撮影室1aの外部からレーザーセンサ21の位置を直接視認しながら、レーザーセンサ21による各測定を行うことが可能となっている。
【0043】
こうして撮影等が行われた実装基板7の画像等は、液晶モニタ25に表示される。オペレータは液晶モニタ25に表示された画像等を基に、実装基板7の外観検査を行う。そして、外観検査の結果、オペレータが合格と判断した場合には、撮影室1内から実装基板7を搬出させて外観検査を終了する。一方、外観検査の結果、オペレータが不合格と判断した場合には、撮影室1内から実装基板7を一度搬出させ、補修ステーション11において、実装基板7の不良が発見された箇所の補修を行う。こうして、オペレータは合格と判断するまで、上記の手順により実装基板7の外観を繰り返し検査する。なお、画像によって自動的に合否を判定するように構成することも可能である。
【0044】
この外観検査装置では、実装基板7の外観の検査の間、デジタルカメラ17がフルミラー18の反射を介してハーフミラー19に反射した実装基板7の画像を撮影する。このため、デジタルカメラ17と実装基板7との配置位置を大きく遠ざけることなく、実質的な焦点距離(図3に示す実線矢印)を長くすることが可能となっている。つまり、この外観検査装置では、実装基板7の被写界深度を深くすることが可能となっている。このため、この外観検査装置は、例え、電子部品7aにより、実装基板7の表面に凹凸が形成され、その凹凸が大きい場合であっても、実装基板7を好適に撮影可能であり、実装基板7の外観を正確に検査することができる。
【0045】
また、この外観検査装置では、デジタルカメラ17と実装基板7との配置位置を大きく遠ざけることなく、実質的な焦点距離を長くすることができることから、外観検査装置の外形が大型化することを抑制することもできる。
【0046】
したがって、この外観検査装置では、実装基板7の外観を正確に検査可能であるとともに、製造コストの低廉化が可能となっている。
【0047】
特に、この外観検査装置では、光源として、液晶カラーモニタ15が採用されているため、照射する光の波長を容易に変更可能である。また、この液晶カラーモニタ15は一般流通品であるため、外観検査装置における製造コストの低廉化が可能となっている。
【0048】
さらに、この外観検査装置では、撮影手段として市販のデジタルカメラ17が採用されていることから、外観検査装置では、その製造コストの低廉化が実現可能であるとともに、用途に応じて撮影手段を交換することも容易に可能となっている。
【0049】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0050】
例えば、撮影室1内にフルミラー18を複数設けることもできる。一方、撮影室1内にフルミラー18を設けずに外観検査装置を構成することもできる。この場合、例えば、ハーフミラー19の反射側に対し、その水平方向、すなわち、実装基板7に対して水平直角方向にデジタルカメラ17を配置させても良い。このような配置であっても、デジタルカメラ17と実装基板7との配置位置を大きく遠ざけることなく、実質的な焦点距離を長くすることが可能である。
【0051】
また、実施例の外観検査装置は、実装基板7以外の検査対象に用いることが可能である。例えば、上記の配置基板を検査対象にすることもできる。この場合も、上記の検査方法とほぼ同じ手順によって配置基板の外観を検査することができる。さらに、異物を含む製品を検査対象とし、製品上に異物としての金属微粒子が存在するか否かの検査や、その金属微粒子の種類の特定等の検査について、この外観検査装置を用いることができる。この場合の検査について、アルミニウム微粒子と銅微粒子とを挙げて具体的に説明する。
【0052】
アルミニウムは、およそ360nm〜830nmの波長の光を反射する特性があることから、白色を呈している。一方、銅は、およそ600nm以上の波長の光を反射する特性があることから、赤色を呈している(表1参照)。アルミニウム及び銅の上記の性質を利用し、外観検査装置の撮影室1内において、検査対象に対し、650nm〜780nmの波長の光(赤色の光)を照射すれば、銅微粒子は同系色の光が照射されることにより、より強く赤色で反射することとなる。また、同様にアルミニウム微粒子も赤色を反射することとなる。
【0053】
この外観検査装置では、この状態の検査対象の画像をデジタルカメラ17で撮影させることで、検査対象上に存在するアルミニウム微粒子及び銅微粒子の存在の有無についての検査を容易に行うことができる。また、検査対象上に存在する金属微粒子等の種類が不明な場合も、検査対象に照射する光の波長を変化させ、金属微粒子がより強く反射した色を基にすることで、その金属微粒子等の種類を特定する等が可能となる。
【0054】
このように、この外観検査装置によれば、撮影した画像を基に上記のような検査を行うことが可能である。このため、例えば、リチウムイオン電池を製造する際に、その正極箔上及び負極箔上に異物となる金属微粒子等が存在するか否かの検査を行う装置として、この外観検査装置を用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、撮影された検査対象の外観を基に、各種の検査を行う装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
7…実装基板(検査対象)
7a…電子部品
7b…プリント基板
15…液晶カラーモニタ(光源)
17…デジタルカメラ(撮影手段)
19…ビームスプリッタ(ハーフミラー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の構成物からなる検査対象に光を照射可能な光源と、該検査対象を撮影して撮影情報を得る撮影手段とを備え、該撮影情報に基づいて該検査対象の外観検査を行う外観検査装置において、
前記光源と前記検査対象との間にはビームスプリッタが設けられ、
該光源は該ビームスプリッタを透過する光により該検査対象を照射可能な位置に設けられ、
前記撮影手段は該ビームスプリッタに反射した該検査対象の画像を撮影可能な位置に設けられていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
前記光源は異なる波長の光を照射可能である請求項1記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記光源はカラーモニタである請求項2記載の外観検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−2661(P2012−2661A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137714(P2010−137714)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(510168575)株式会社愛央技研 (1)
【Fターム(参考)】