説明

多値情報再生方法及び多値情報再生装置

【課題】高価な光学部材を用いることなく、光記録媒体に記録される多値情報の再生を可能とする多値情報再生方法及び多値情報再生装置を提供する。
【解決手段】多値情報再生装置11は、所定の偏光方向を有する直線偏光を出射する光源12と、光源12から出射された直線偏光を用いて、互いに偏光方向が直交する第1直線偏光と第2直線偏光とを発生させて光記録媒体1へと入射させる第1光学系と、光記録媒体1を透過した光について、第1直線偏光と第2直線偏光とを分離した状態で光検出手段23へと導く第2光学系と、光検出手段23で取得した第1直線偏光の光量と第2直線偏光の光量とに基づいて、光記録媒体1に記録される偏光方向を判定する判定部24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多値情報の再生方法及び再生装置に関し、特に記録光として用いられる偏光の偏光方向を多値情報として記録する光記録媒体から多値情報を再生する多値情報再生方法及び多値情報再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テキストや画像などの小さなデータだけではなく、動画情報に代表される大容量のデータを記録する要求がますます強くなっている。これに対応する形で、光記録の分野において、ホログラフィック記録などの高密度光記録の方式について数々の研究開発が行われている。
【0003】
光記録媒体を用いて高密度に情報を記録する方法として、光記録媒体に多値情報を記録する技術があり、例えば特許文献1に紹介されている。特許文献1には、情報ピットの深さに情報ピットの偏光特性が依存することを利用して多値情報を記録できる光記録媒体が紹介されている。そして、この光記録媒体に複数の偏光状態を有する光を照射して、多値情報を再生する技術が紹介されている。
【特許文献1】特開2004−86948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示される多値情報を記録できる光記録媒体は、ピットの深さを変えて多値情報を記録する構成であるために、光ピックアップ装置を用いて情報の記録を行うことが困難であるという問題を有する。
【0005】
このようなことも考慮して、本発明者らは、多値情報を記録できる光記録媒体について、特許文献1に示される光記録媒体と異なる光記録媒体の開発を進めているところである。すなわち、本発明者らは、例えば、偏光照射によって分子に大きな異方性が誘起されるアゾベンゼン系等の材料を光記録媒体の記録材料として用いた光記録媒体の開発を行っている。この光記録媒体においては、記録光として用いる直線偏光の偏光方向を記録情報に応じて変化させることにより、偏光方向が多値情報として記録される。
【0006】
このような光記録媒体を再生する方法として、例えば、偏光ホログラム素子を使用する方法がある。この方法は、円偏光である再生光を光記録媒体に入射し、光記録媒体を通過した光を偏光ホログラム素子によって複数の異なる偏光方向を有する光に分離し、分離された各光の観測強度から光記録媒体に記録された偏光方向を判定して多値情報を再生する方法である。
【0007】
しかしながら、上述の方法で光記録媒体の多値情報を再生する場合、偏光ホログラム素子はその作製が容易ではないといった問題がある。また、そのような偏光ホログラム素子を作製できたとしても、その作製にあたって、コストが非常に高くなるといった問題がある。
【0008】
以上の問題点を鑑みて、本発明の目的は、記録光の偏光方向が多値情報として記録される光記録媒体について、高価な光学部材を用いることなく多値情報の再生を可能とする多値情報再生方法及び多値情報再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、記録光として用いる直線偏光の偏光方向を記録情報に応じて変化させ、前記偏光方向を多値情報として記録する光記録媒体を再生する多値情報再生装置であって、所定の偏光方向を有する直線偏光を出射する光源と、前記光源から出射された前記直線偏光を2つの光に分離する第1光分離手段と、前記第1光分離手段で分離された前記2つの光のうち少なくとも一方について、前記偏光方向を変換するように配置され、前記2つの光を偏光方向が互いに直交する第1直線偏光と第2直線偏光とにする偏光方向変換手段と、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光との光軸を同一とする光軸同一化手段と、前記光軸同一化手段の手前に配置されて、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とについて、両者の光軸が同一とされた時に光が重なり合わないように、それぞれの光の一部を遮光する遮光手段と、前記光軸同一化手段を通過し、前記光記録媒体を透過した光を前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とに分離する第2光分離手段と、前記第2光分離手段で分離された前記第1直線偏光を受光する第1光検出器と、前記第2光分離手段で分離された前記第2直線偏光を受光する第2光検出器と、前記第1光検出器で得られる光量と前記第2光検出器で得られる光量とに基づいて前記光記録媒体に記録される偏光方向を判定する偏光方向判定手段と、を備えることを特徴としている。
【0010】
また、上記目的を達成するために本発明は、記録光として用いる直線偏光の偏光方向を記録情報に応じて変化させ、前記偏光方向を多値情報として記録する光記録媒体を再生する多値情報再生装置であって、所定の偏光方向を有する直線偏光を出射する光源と、前記光源から出射される前記直線偏光を用いて、偏光方向が異なる第1直線偏光と第2直線偏光とを発生させて前記光記録媒体へと入射させる第1光学系と、前記光記録媒体を透過した又は前記光記録媒体で反射された光について、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とを分離した状態で光検出手段へと導く第2光学系と、前記光検出手段で取得した前記第1直線偏光の光量と前記第2直線偏光の光量とに基づいて、前記光記録媒体に記録される偏光方向を判定する偏光方向判定手段と、を備えることを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、上記構成の多値情報再生装置において、前記第1光学系は、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とを同時に前記光記録媒体に入射させることを特徴としている。
【0012】
また、本発明は、上記構成の多値情報再生装置において、前記第1光学系は、前記光源から出射される前記直線偏光を2つの光に分離する第1光分離手段と、前記第1光分離手段で分離された前記2つの光のうち少なくとも一方について、前記偏光方向を変換するように配置され、前記2つの光の一方を前記第1直線偏光、他方を前記第2直線偏光とする偏光方向変換手段と、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光との光軸を同一とする光軸同一化手段と、前記光軸同一化手段の手前に配置されて、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とについて、両者の光軸が同一とされた時に光が重なり合わないように、それぞれの光の一部を遮光する遮光手段と、を備えることを特徴としている。
【0013】
また、本発明は、上記構成の多値情報再生装置において、前記第2光学系は、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とを別々の光路に分離する第2光分離手段を有し、前記光検出手段は、異なる位置に配置される2つの光検出器から成ることを特徴としている。
【0014】
また、本発明は、上記構成の多値情報再生装置において、前記第2光学系は、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とを時間差をつけて前記光検出手段へと導くことを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、上記構成の多値情報再生装置において、前記第2光学系は、液晶と該液晶を挟む2つの透明電極と有する液晶素子と、偏光板と、を備えることを特徴としている。
【0016】
また、本発明は、上記構成の多値情報再生装置において、前記第1光学系は、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とを時間差をつけて前記光記録媒体に入射させることを特徴としている。
【0017】
また、本発明は、上記構成の多値情報再生装置において、前記第1光学系は、液晶と該液晶を挟む透明電極とを有する液晶素子を備えることを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、上記構成の多値情報再生装置において、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とは、偏光方向が互いに直交することを特徴としている。
【0019】
また、本発明は、上記目的を達成するために本発明は、記録光として用いる直線偏光の偏光方向を記録情報に応じて変化させ、前記偏光方向を多値情報として記録する光記録媒体を再生する多値情報再生方法であって、偏光方向が異なる第1直線偏光と第2直線偏光とを、同時に又は時間差をつけて前記光記録媒体に照射する第1ステップと、前記光記録媒体を透過した又は前記光記録媒体で反射された光について、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とを分離した状態で光検出手段に導く第2ステップと、前記光検出手段で取得した前記第1直線偏光の光量と前記第2直線偏光の光量とに基づいて、前記光記録媒体に記録される偏光方向を判定する第3ステップと、を具備することを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の構成によれば、記録光の偏光方向を変化させて偏光方向を多値情報として記録する光記録媒体の再生を、その偏光方向が互いに直交する2つの偏光を用いて行うこととしている。このために、円偏光から所定の偏光を分離する偏光ホログラム素子を設ける必要がなく、精度良く多値情報の再生を行える多値情報再生装置を低コストで製造することが可能である。また、本発明によれば、多値情報再生装置が有する光学系について、電気的な制御が必要な部材を極力低減することが可能となる。
【0021】
また、本発明の第2の構成によれば、記録光の偏光方向を変化させて偏光方向を多値情報として記録する光記録媒体の再生を、偏光方向が異なる2つの偏光を用いて行うこととしている。このために、円偏光から所定の偏光を分離する偏光ホログラム素子を設ける必要がなく、高価な光学部材を用いることなく多値情報の再生を可能とする多値情報再生装置を提供することが可能となる。
【0022】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の多値情報再生装置において、多値情報再生装置を構成する光学系について、電気的な制御が必要な部材を極力低減して多値情報再生装置を構成することが可能となる。
【0023】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の多値情報再生装置において、上記電気的な制御が必要な部材を極力低減する構成の多値情報再生装置の実現が容易である。
【0024】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第3又は第4の構成の多値情報再生装置において、多値情報再生装置を構成する光学系について、電気的な制御が必要な部材を極力低減して多値情報再生装置を構成することが可能となる。
【0025】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第3又は第4の構成の多値情報再生装置において、偏光方向の異なる2つの偏光を時間的に分離して光検出手段へと導く構成であるために、光記録媒体を透過した、又は光記録媒体で反射された光について、2つの方向に分離する必要がない。このために、多値情報再生装置が有する光検出手段の数を1つとすることが可能となり、装置の小型化、低コスト化を実現可能である。
【0026】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第6の構成の多値情報再生装置において、液晶素子と偏光板を用いて2つの偏光を分離する構成であるために、実現容易である。
【0027】
また、本発明の第8の構成によれば、上記第2の構成の多値情報再生装置において、偏光方向の異なる2つの偏光を、時間差をつけて発生させる構成のために、1つの光を2つの方向に分離した後、偏光方向が異なる2つの偏光を発生させる構成よりも、装置サイズを小型にできる。
【0028】
また、本発明の第9の構成によれば、上記第8の構成の多値情報再生装置において、直線偏光を出射する光源から時間差をつけて偏光方向が異なる2つの偏光を得るために、液晶素子を用いる構成としているために実現容易である。
【0029】
また、本発明の第10の構成によれば、上記第2から第9のいずれかの構成の多値情報再生装置において、第1光学系で発生される偏光方向が異なる2つの偏光は、その偏光方向が互いに直交する関係にある。このために、光記録媒体に記録された偏光方向について精度良く読み出し易く、装置の信頼性を向上できる。
【0030】
また、本発明の第11の構成によれば、記録光の偏光方向を変化させて偏光方向を多値情報として記録する光記録媒体の再生を、偏光方向の異なる2つの偏光を用いて行うこととしている。このために、円偏光から所定の偏光を分離する偏光ホログラム素子を設ける必要がなく、低コストで多値情報の再生が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の内容について実施形態を挙げ、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
【0032】
まず、本発明の多値情報再生方法が適用される光記録媒体について説明する。図1は、本発明の多値情報再生方法が適用される光記録媒体の構成を示す概略断面図である。この光記録媒体1は、基板2上に、記録層3及び保護膜4を積層して形成される。
【0033】
基板2は、記録層3を支持するための部材であり、例えばガラスや樹脂で構成される。記録層3は、記録情報に応じて偏光方向を変えて入射される記録光(直線偏光)の偏光方向を多値情報として記録する層である。記録層3は、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール等の高分子固体を主な要素とした高分子膜に、例えばアゾベンゼン系の材料を分散して構成されている。
【0034】
保護層4は、傷や埃などによるデータ損失を防ぐためのもので、記録層3を保護するために設けられる。保護層4を形成する部材としては、例えばポリカーボネート等の透明樹脂が用いられる。
【0035】
このような光記録媒体1について、多値情報を記録して再生できる原理について説明する。図2は、光記録媒体1にその偏光方向(記録角度)を変化させながら複数の位置に記録光(直線偏光)を照射した後に、各記録位置に対して特定の偏光方向を有する(再生角度0°、90°)再生光を照射し、それぞれの場合に得られた透過光量(光記録媒体1を透過する光の光量)をプロットしたグラフである。
【0036】
なお、図2における記録角度及び再生角度は、それぞれ記録光或いは再生光として使用される直線偏光の偏光方向を示す指標で、光記録媒体1の記録面に対して平行な面内において、記録光或いは再生光の偏光面が所定の方向となる場合を記録角度或いは再生角度0°とし(記録角度0°と再生角度0°の位置は同じ)、その位置から所定の方向に回転した角度が相当する。
【0037】
図2に示すように、再生光の再生角度(0°、90°)によって、記録角度に対する透過光量の変化の仕方が異なる。これは、記録光として直線偏光偏を光記録媒体1に照射した場合に、記録光の偏光方向に応じて、光記録媒体1の透過光強度が異なる異方性を示すようになることが原因である。
【0038】
このため、特定の偏光方向を有する記録光が照射された後に、例えば円偏光を光記録媒体1に照射し、光記録媒体1を透過した光(円偏光)について、偏光ホログラム素子を用いて各々異なる偏光方向を有する複数の偏光に分け、これらの光量を検出し、検出された光量の比から記録された偏光方向を読み出すことが可能である。すなわち、光記録媒体1は、記録情報に応じて記録光(直線偏光)の偏光方向を変更して、偏光方向を多値情報として記録し、それを再生できる。
【0039】
しかし、上述の再生方法の場合、先にも述べたように、偏光ホログラム素子が作製困難で、その入手が困難である等の問題を有する。そこで、本発明者らは、高価な光学部材を用いないで上述のホログラム記録媒体1を再生できる方法について検討した。その結果、光記録媒体1に偏光方向が異なる2つの直線偏光を同時に又は時間差をつけて照射し、光記録媒体1から透過される透過光の光量を各偏光について取得し、得られた各光量に基づいて記録光の偏光方向を判定する方法により、光記録媒体1に記録された偏光方向を精度良く読み出せることがわかった。
【0040】
図3は、再生角度0°と再生角度90°との透過光量の差についての記録角度依存性を示したグラフである。なお、再生角度及び記録角度は図2の場合と同じ意味で用いている。図3に示すように、記録角度に応じて透過光量の差(差分値)は、ほぼ線形状に変化している。このため、記録角度と前述の差分値との関係を示す関係式を予め得ておき、この関係式を得るために用いたのと同じ、偏光方向の異なる2つの偏光を光記録媒体1に照射して、そのそれぞれについて透過光強度を測定してその差分値を得れば、先に得ておいた関係式より、光記録媒体1の記録された偏光の偏光方向(記録角度)を読み出すことができる。
【0041】
そして、偏光方向の異なる2つの偏光を用いる構成であるために、1つの偏光のみを光記録媒体1に照射し、その透過光強度から記録角度を判断する(図2を参照すればわかるように、一応可能である)場合に比べて、精度を高いものとできる。
【0042】
なお、以上においては、光記録媒体を透過した2つの偏光について取得される光量の差分値を求めて、記録された偏光方向を判定する方式を示した。しかし、これに限らず、例えば光記録媒体を透過した2つの偏光について取得される光量の比を求めて、記録された偏光方向を判定する方式等としても構わない。
【0043】
また、以上では、再生時に照射する2つの偏光について、互いに直交する偏光(再生角度0°と再生角度90°)の場合について示したが、これに限定される趣旨ではなく、異なる偏光方向を有する2つの偏光が互いに直交しない構成としても良い。ただし、再生精度の面等で、2つの偏光の偏光方向が互いに直交する関係となっているのが好ましい。
【0044】
次に、本発明の多値情報再生方法が適用される多値情報再生装置について、具体的な実施形態を示しながら説明する。
【0045】
(第1実施形態)
図4は、本発明の多値情報再生方法が適用される第1実施形態の多値情報再生装置11の構成を示す概略図である。多値情報再生装置11は、光源12と、第1光学系を構成するコリメータレンズ13、ビームスプリッタ14、1/2波長板15、第1反射ミラー16、第2反射ミラー17、第1遮光部材32、第2遮光部材33、第1偏光ビームスプリッタ18、及び対物レンズ19と、第2光学系を構成する第2偏光ビームスプリッタ20、第1集光レンズ21、及び第2集光レンズ22と、光検出部23と、判定部24と、を備える。
【0046】
光源12は、再生用の直線偏光を出射する半導体レーザで、光源12から出射されるレーザ光の偏光方向は、所定の方向(本実施形態では、上述の再生角度が0°となる方向であるが、この方向は適宜変更可能である。)に設定されている。なお、光源12の波長は、光記録媒体1の記録層3に用いる材料の吸収特性等によって適宜選択される。
【0047】
光源12を出射した再生用の直線偏光は、コリメータレンズ13で平行光に変換され、ビームスプリッタ14で、反射光と透過光との光量比が1:1となるように分けられる。ビームスプリッタ14で反射された直線偏光は、1/2波長板15に入射する。1/2波長板15は、その光軸が入射光に対して45度傾いた状態に配置されているために、1/2波長板15から射出される光は、その偏光方向が90度回転する。すなわち、光源12から出射された再生用の直線偏光の再生角度が0°であるために、1/2波長板15を通過した直線偏光の再生角度は90°となる。以下では、再生角度90°の直線偏光のことを、便宜的に第1直線偏光と表現する。
【0048】
一方、ビームスプリッタ14を透過した直線偏光は第1反射ミラー16及び第2反射ミラー17で反射されるだけで、その偏光方向は一定であり、その再生角度は0°のままである。以下では、再生角度0°である直線偏光のことを便宜的に第2直線偏光と表現する。ここで、第1直線偏光と第2直線偏光とは、互いに直交した関係となっている。
【0049】
なお、本実施形態では、ビームスプリッタ14で分けられた2つの光のうち、一方についてのみ1/2波長板15を用いて偏光方向を回転し、これによりビームスプリッタ14で分けられた2つの光について、偏光方向が互いに直交する関係としている。しかし、これに限定されず、ビームスプリッタ14で分けられた2つの光に両方について1/2波長板を用いて偏光方向を回転して、ビームスプリッタ14で分けられた2つの光について、偏光方向が互いに直交する関係としても構わない。また、偏光方向を回転する方法は必ずしも1/2波長板に限定される趣旨ではなく、他の偏光回転素子等を用いて行っても、もちろん構わない。
【0050】
第1偏光ビームスプリッタ18は、第1直線偏光を透過し、第2直線偏光については反射するように形成されている。そして、第1直線偏光と第2直線偏光とは、第1偏光ビームスプリッタ18によって、その光軸を同一とされる。すなわち、第1偏光ビームスプリッタ18は、第1直線偏光と第2直線偏光との光軸を同一とする光軸同一化手段として機能する。
【0051】
なお、後述するように第1直線偏光と第2直線偏光とは、それぞれ第1遮光部材32又は第2遮光部材33を通過するが、ここでの光軸の同一化は、これら2つの遮光部材32、33がないものと仮定して、両者の光軸が同一となることを意味している。
【0052】
1/2波長板15と第1偏光ビームスプリッタ18との間には第1遮光部材32が、第2反射ミラー17と第1偏光ビームスプリッタ18との間には第2遮光部材33が配置されている。この2つの遮光部材32、33について以下説明する。
【0053】
図5は第1遮光部材32及び第2遮光部材33について説明するための模式図で、図5(a)は、第1遮光部材32の構成を説明するための図、図5(b)は第2遮光部材33の構成を説明するための図、図5(c)は、第1偏光ビームスプリッタ18から出射されてきた光の第1直線偏光と第2直線偏光との分布について示した図である。
【0054】
図5(a)に示すように、第1遮光部材32は第1領域32aと第2領域32bとの2つの領域を有する。第1領域32aは第1直線偏光を透過する領域であり、この領域は半円状に形成されている。一方、第2領域32bは第1直線偏光を透過しない領域で、第1領域32aを取り囲むように形成されている。すなわち、第1遮光部材32は、これを通過する第1直線偏光を全て遮光するわけではなく、その一部を遮光するようになっている。
【0055】
このような第1遮光部材32は、例えば、2つの偏光板を組合せる向きを第1領域32aと第2領域32bとで変えることによって作製できる。また、ガラス板に遮光したい部分に遮光膜を貼り合わせること等によっても作製できる。
【0056】
図5(b)に示すように、第2遮光部材33は第1領域33aと第2領域33bとの2つの領域を有する。第1領域33aは第2直線偏光を透過する領域であり、この領域は第1遮光部材32の第1領域32aと反対の半円状に形成されている。一方、第2領域33bは第2直線偏光を透過しない領域で、第1領域33aを取り囲むように形成されている。すなわち、第2遮光部材33は、これを通過する第2直線偏光を全て遮光するわけではなく、その一部を遮光するようになっている。
【0057】
そして、第1遮光部材32と第2遮光部材33とは、第1直線偏光と第2直線偏光とが第1偏光ビームスプリッタ18を通過した場合に、図5(c)に示すような偏光分布を有する光となるように調整配置されている。これにより、第1偏光ビームスプリッタ18から出射される光について、偏光方向の異なる2つの偏光を有する光とすることができる。
【0058】
なお、第1遮光部材32及び第2遮光部材33によって遮光される部分は、図5に示した構成に限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。すなわち、例えば図6のような構成とすることも可能である。なお、図6は、第1遮光部材32及び第2遮光部材33に関する変形例を示す模式図で、図6(a)は、第1遮光部材32の変形例、図6(b)は第2遮光部材33の変形例、図6(c)は、図6(a)、(b)に示す遮光部材を用いた場合における、第1偏光ビームスプリッタ18から出射されてきた光の第1直線偏光と第2直線偏光との分布について示した図である。
【0059】
第1偏光ビームスプリッタ18から出射された第1直線偏光及び第2直線偏光は、対物レンズ19によって光記録媒体1の記録層3(図1参照)に集光する。光記録媒体1に入射した第1直線偏光及び第2直線偏光は、光記録媒体1に記録されている偏光方向に応じた透過光量で、光記録媒体1を透過する。なお、上述のように第1直線偏光と第2直線偏光とは、互いに直交する直線偏光であるために、光記録媒体1に記録されている偏光方向によって異なる透過特性を与える。
【0060】
第2偏光ビームスプリッタ20は、光記録媒体1を透過してきた第1直線偏光と第2直線偏光とのうち、第1直線偏光を透過し、第2直線偏光を反射するように形成されている。第2偏光ビームスプリッタ20を透過した第1直線偏光は、光検出部23を構成する第1光検出器23aで受光される。一方、第2偏光ビームスプリッタ20で反射された第2直線偏光は、光検出部23を構成する第2光検出器23bで受光される。第1光検出器23a及び第2光検出器23bは、受光した光情報を電気信号に変換する。
【0061】
第1光検出器23aで受光された第1直線偏光の光量、及び第2光検出器23bで受光された第2直線偏光の光量は、電気信号の形で例えばマイコン等から成る判定部24に送られる。判定部24は、取得した第1直線偏光の光量と第2直線偏光の光量とから、その差分値又は比を取得する。そして、予め判定部24と接続されるメモリ25に記憶しておいた情報に基づいて光記録媒体1に記録されている偏光方向がいずれの向きであるかを判定する。
【0062】
なお、上述のメモリ25に予め記憶する情報は、例えば、次のようにして得られる情報である。まず、所定の偏光方向(複数)が記録された、基準光記録媒体を用意する。そして、基準光記録媒体に多値情報再生装置11を用いて再生光を照射して、第1直線偏光及び第2直線偏光の光量を測定する。そして、得られた第1直線偏光と第2直線偏光の光量について、その差分値又は比を求める。得られた差分値又は比と、予めわかっている偏光方向との関係をプロットして、偏光方向と差分値(又は比)との関係式を求める。そして、得られた関係式をメモリ25に記憶しておく。このようにすれば、判定部24によって、取得した第1直線偏光の光量と第2直線偏光の光量とから、光記録媒体1に記録されている偏光方向を求めることができる。
【0063】
また、本実施形態においては、ビームスプリッタ14で分離される2つの光の光量比が1:1となるように構成し、更に、第1遮光部材32及び第2遮光部材33で、第1直線偏光及び第2直線偏光は、それぞれその光量の半分をロスする構成となっている。しかし、この構成に限定される趣旨ではなく、適宜変更可能である。
【0064】
また、本実施形態では、第1直線偏光を再生角度90°、第2直線偏光を再生角度0°としたが、これに限定される趣旨ではない。第1直線偏光と第2直線偏光とが、別の角度で互いに直交する関係となる構成でも構わないし、また、偏光方向が異なる第1直線偏光と第2直線偏光との偏光方向が互いに直交する関係とはならない構成とすることも可能である。
【0065】
以上のように多値情報再生装置11を構成することにより、記録光の偏光方向を多値情報として記録する光記録媒体1について、精度良く再生することができる。また、特に作製にコストがかかるような光学部品等を使用する必要もないので、多値情報再生装置の製造が容易である。
【0066】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の多値情報再生装置について説明する。なお、説明にあたって第1実施形態の多値情報再生装置11と重複する部分については、同一の符号を付し、特に必要がない場合にはその説明を省略する。図7は、第2実施形態の多値情報再生装置41の構成を示す概略図である。
【0067】
第2実施形態の多値情報再生装置41は、第1光学系については第1実施形態の多値情報再生装置11と同じであるが、第2光学系の構成について異なる。また、第2光学系が異なることによって、光検出部23の光検出器(本実施形態では符号を23とする)の数が1つとなっている点でも第1実施形態と異なる。
【0068】
多値情報装置41の第2光学系は、液晶素子42と、偏光板43と、集光レンズ21と、を備える。図8は、第2光学系が備える液晶素子42と偏光板43とについて説明するための模式図である。図8示すように、液晶素子42は液晶44と液晶44を挟む2つの透明電極45とを備える。液晶素子42が備える液晶44は、図示しない配向膜によって光の入射側(図8の左側)と出射側(図8の右側)で分子の配向方向が90°ねじれた状態となっている(TN型液晶)。透明電極45は液晶ドライバ46(図7参照)に電気的に接続されており、この液晶ドライバ46によってオンオフ制御される。
【0069】
透明電極45に電圧が印加されていない場合(液晶素子42がOFFの状態、図8(a)の状態)、液晶44の配向方向は、上述したように入射側と出射側とで90°ねじれた状態である。このため、光記録媒体1を透過してきた第1直線偏光は、液晶44の旋光性によってその偏光方向を90°回転させる。ここで、偏光板43は、液晶素子42に入射する前の第2直線偏光の偏光方向と平行な方向の光を透過し、それ以外の光を透過しないように構成されている。このため、偏光方向が90°回転された第1直線偏光は偏光板43を通過する。なお、光記録媒体1を透過してきた第2直線偏光は、液晶素子42によって遮光されて偏光板43を透過しない。
【0070】
一方、透明電極45に電圧が印加されると(液晶素子42がONの状態、図8(b)の状態)、液晶44は光の進行方向と平行な方向に配向する。このため、光記録媒体1を透過してきた第1直線偏光と第2直線偏光とは、いずれも液晶素子42を透過して偏光板43へと至る。偏光板43は、第2直線偏光と平行な方向の光を透過し、それ以外の光を透過しないように構成されているために、第2直線偏光のみを通過させる。
【0071】
以上に示すように、液晶素子42のオンオフを制御することで、光記録媒体1を透過してきた第1直線偏光と第2直線偏光とのうちの一方だけを、集光レンズ21を介して光検出器23へと導ける。従って、多値情報として記録される偏光方向の読み出しを行う際に、所定のタイミングで液晶素子42のオンオフを行うことで、第1直線偏光と第2直線偏光の光量を光検出器23で分離して得ることが可能となる。
【0072】
このため、所定のタイミングでオンオフ制御される液晶素子42がオンの場合とオフの場合とについて、光検出器23でそれぞれの偏光の光量を取得し、第1実施形態の場合と同様に、各偏光について取得された各光量を用いて、判定部24で演算処理して光記録媒体1に記録された偏光方向の判定を行うことが可能となる。これにより、偏光方向が多値情報として記録された光記録媒体1の再生が可能となる。
【0073】
なお、液晶素子42に印加する電圧がオフとされた状態(図8(a))では、第2直線偏光の一部が液晶素子42及び偏光板43を透過することが起こり得る。この場合、第1直線偏光の光量が実際より増加する。この点を考慮して、予め液晶素子42がオフの状態の時に第2直線偏光が液晶素子42及び偏光板43を透過する割合を調査しておき、これを用いて第1直線偏光の光量を補正するようにしても構わない。すなわち、上述した演算処理に用いる液晶素子42がオンの場合における第2直線偏光の光量と予め調査により得た割合とから、第1直線偏光の光量が第2直線偏光と混ざって実際より増加した量を算出し、この分を光検出器23で取得した光量から差し引いて第1直線偏光の光量を算出しても構わない。
【0074】
また、本実施形態においては、第2光学系に液晶素子42と偏光板43とを配置することによって、第1直線偏光と第2直線偏光とを交互に光検出器23で取り出す構成としたが、この構成に限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。すなわち、第1直線偏光と第2直線偏光とを時間差をつけて(交互に)得られる構成であれば良く、例えば光空間変調器等を用いる構成としても構わない。
【0075】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の多値情報再生装置について説明する。なお、説明にあたって第1実施形態の多値情報再生装置11と重複する部分については、同一の符号を付し、特に必要がない場合にはその説明を省略する。図9は、第3実施形態の多値情報再生装置51の構成を示す概略図である。
【0076】
第3実施形態の多値情報再生装置51は、光源12と、第1光学系を構成するコリメートレンズ13、液晶素子52、及び対物レンズ19と、第2光学系を構成する集光レンズ21と、光検出器23と、判定部24と、を備える。液晶素子52は、図8に示した第2実施形態の液晶素子42と同様の構成である。ただし、液晶素子52は、第2実施形態の液晶素子42を90°回転させた状態で第1光学系に配置されている。また、液晶素子52は、液晶ドライバ53と電気的に接続されてオンオフ制御される。
【0077】
光源12から出射される再生角度0°の直線偏光は、液晶素子52がオフの状態の場合、液晶素子52の液晶分子の配向方向に従って偏光方向が90°回転される。この直線偏光を第1実施形態と同様に第1直線偏光とする。一方、光源12から出射される再生角度0°の直線偏光は、液晶素子52がオンの状態の場合、液晶素子52の液晶分子が光軸方向に配向するために、偏光方向を回転されることなく液晶素子52を通過する。この光源12から出射された直線偏光と同じ偏光方向を有する直線偏光を第1実施形態と同様に第2直線偏光とする。
【0078】
すなわち、第3実施形態の多値情報再生装置51の場合、第1光学系における液晶素子52をオンオフすることにより、対物レンズ19を経て光記録媒体1に入射する光について、互いに直交する第1直線偏光と第2直線偏光とに切り替えられることとなる。
【0079】
このために、液晶素子52のオンオフを制御することで、光記録媒体1を透過し、集光レンズ21を経て光検出器23へと導かれる光について、第1直線偏光と第2直線偏光とを交互とできる。従って、多値情報として記録される偏光方向の読み出しを行う際に、所定のタイミングで液晶素子52のオンオフを行うことで、第1直線偏光と第2直線偏光の光量を光検出器23で分離して得ることが可能となる。
【0080】
そして、この場合、液晶素子52がオンの場合とオフの場合とについて光検出器23でそれぞれ取得される光量に基づいて、第1実施形態の場合と同様に、判定部24で演算処理して光記録媒体1に記録された偏光方向の判定を行うことが可能となる。これにより、偏光方向が多値情報として記録された光記録媒体1の再生が可能となる。
【0081】
なお、本実施形態の場合、第1光学系に液晶素子52を配置し、これにより光源12から出射される直線偏光を用いて第1直線偏光と第2直線偏光とを、時間差をつけて発生させる構成としている。しかし、これに限定される趣旨ではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。すなわち、場合によっては回転可能に設けられる1/2波長板を液晶素子52の代わりに配置する構成等としても構わない。ただし、この方法の場合、再生速度が制限される場合があり、本実施形態のように液晶素子52を配置するのが好ましい。
【0082】
(その他)
なお、以上に示した3つの実施形態においては、いずれも光記録媒体1を透過する透過光を用いて多値情報を再生する方式を示した。しかし、本発明はこれに限定される趣旨ではない。すなわち、光記録媒体1は、上述のように記録光の偏光方向が記録されると、光の吸収強度について異方性を示す。従って、光記録媒体1で反射された反射光を用いて多値情報を再生する方式としても、もちろん構わない。この場合、図1に示す光記録媒体1の基板2と記録層3との間には反射膜が設けられることとなる。
【0083】
図10は、反射光を用いて多値情報を再生する方式の多値情報再生装置を示す図で、第3実施形態の多値情報再生装置51を透過光ではなく反射光を用いる方式としたものである。図10に示すように、光路中にビームスプリッタ54を配置することにより、反射光を光検出器23に導けるようにしている。この構成の場合、ビームスプリッタ54と対物レンズ19とは、第1光学系と第2光学系とに共通の光学部材となる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の多値情報再生方法又は多値情報再生装置によれば、記録光として用いる直線偏光の偏光方向を記録情報に応じて変化させ、偏光方向を多値情報として記録する光記録媒体について、高価な光学部材を用いることなく多値情報の再生が可能となる。従って、本発明は多値情報の再生を行う方法及び装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】は、本発明の多値情報再生方法が適用される光記録媒体の構成を示す概略断面図である。
【図2】は、光記録媒体にその偏光方向を変化させながら複数の位置に記録光を照射した後に、各記録位置に対して特定の偏光方向を有する再生光を照射し、それぞれの場合に得られた透過光量をプロットしたグラフである。
【図3】は、再生角度0°と再生角度90°との透過光量の差についての記録角度依存性を示したグラフである。
【図4】は、第1実施形態の多値情報再生装置の構成を示す概略図である。
【図5】は、第1実施形態の多値情報再生装置が備える2つの遮光部材について説明するための模式図である。
【図6】は、第1実施形態の多値情報再生装置が備える2つの遮光部材の変形例を示す図である。
【図7】は、第2実施形態の多値情報再生装置の構成を示す概略図である。
【図8】は、第2実施形態の多値情報再生装置の第2光学系が備える液晶素子と偏光板とについて説明するための模式図である。
【図9】は、第3実施形態の多値情報再生装置の構成を示す概略図である。
【図10】は、本発明の多値情報再生装置の変形例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0086】
1 光記録媒体
11、41、51 多値情報再生装置
12 光源
14 ビームスプリッタ(第1光分離手段)
15 1/2波長板(偏光方向変換手段)
18 第1偏光ビームスプリッタ(光軸同一化手段)
20 第2偏光ビームスプリッタ(第2光分離手段)
23 光検出部、光検出器(光検出手段)
23a 第1光検出器
23b 第2光検出器
24 判定部(偏光方向判定手段)
32 第1遮光部材(遮光手段)
33 第2遮光部材(遮光手段)
42、52 液晶素子
43 偏光板
44 液晶
45 透明電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録光として用いる直線偏光の偏光方向を記録情報に応じて変化させ、前記偏光方向を多値情報として記録する光記録媒体を再生する多値情報再生装置であって、
所定の偏光方向を有する直線偏光を出射する光源と、
前記光源から出射された前記直線偏光を2つの光に分離する第1光分離手段と、
前記第1光分離手段で分離された前記2つの光のうち少なくとも一方について、前記偏光方向を変換するように配置され、前記2つの光を偏光方向が互いに直交する第1直線偏光と第2直線偏光とにする偏光方向変換手段と、
前記第1直線偏光と前記第2直線偏光との光軸を同一とする光軸同一化手段と、
前記光軸同一化手段の手前に配置されて、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とについて、両者の光軸が同一とされた時に光が重なり合わないように、それぞれの光の一部を遮光する遮光手段と、
前記光軸同一化手段を通過し、前記光記録媒体を透過した光を前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とに分離する第2光分離手段と、
前記第2光分離手段で分離された前記第1直線偏光を受光する第1光検出器と、
前記第2光分離手段で分離された前記第2直線偏光を受光する第2光検出器と、
前記第1光検出器で得られる光量と前記第2光検出器で得られる光量とに基づいて前記光記録媒体に記録される偏光方向を判定する偏光方向判定手段と、
を備えることを特徴とする多値情報再生装置。
【請求項2】
記録光として用いる直線偏光の偏光方向を記録情報に応じて変化させ、前記偏光方向を多値情報として記録する光記録媒体を再生する多値情報再生装置であって、
所定の偏光方向を有する直線偏光を出射する光源と、
前記光源から出射される前記直線偏光を用いて、偏光方向が異なる第1直線偏光と第2直線偏光とを発生させて前記光記録媒体へと入射させる第1光学系と、
前記光記録媒体を透過した又は前記光記録媒体で反射された光について、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とを分離した状態で光検出手段へと導く第2光学系と、
前記光検出手段で取得した前記第1直線偏光の光量と前記第2直線偏光の光量とに基づいて、前記光記録媒体に記録される偏光方向を判定する偏光方向判定手段と、
を備えることを特徴とする多値情報再生装置。
【請求項3】
前記第1光学系は、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とを同時に前記光記録媒体に入射させることを特徴とする請求項2に記載の多値情報再生装置。
【請求項4】
前記第1光学系は、
前記光源から出射される前記直線偏光を2つの光に分離する第1光分離手段と、
前記第1光分離手段で分離された前記2つの光のうち少なくとも一方について、前記偏光方向を変換するように配置され、前記2つの光の一方を前記第1直線偏光、他方を前記第2直線偏光とする偏光方向変換手段と、
前記第1直線偏光と前記第2直線偏光との光軸を同一とする光軸同一化手段と、
前記光軸同一化手段の手前に配置されて、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とについて、両者の光軸が同一とされた時に光が重なり合わないように、それぞれの光の一部を遮光する遮光手段と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の多値情報再生装置。
【請求項5】
前記第2光学系は、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とを別々の光路に分離する第2光分離手段を有し、
前記光検出手段は、異なる位置に配置される2つの光検出器から成ることを特徴とする請求項3又は4に記載の多値情報再生装置。
【請求項6】
前記第2光学系は、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とを時間差をつけて前記光検出手段へと導くことを特徴とする請求項3又は4に記載の多値情報再生装置。
【請求項7】
前記第2光学系は、液晶と該液晶を挟む2つの透明電極と有する液晶素子と、偏光板と、を備えることを特徴とする請求項6に記載の多値情報再生装置。
【請求項8】
前記第1光学系は、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とを時間差をつけて前記光記録媒体に入射させることを特徴とする請求項2に記載の多値情報再生装置。
【請求項9】
前記第1光学系は、液晶と該液晶を挟む透明電極とを有する液晶素子を備えることを特徴とする請求項8に記載の多値情報再生装置。
【請求項10】
前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とは、偏光方向が互いに直交することを特徴とする請求項2から9のいずれかに記載に多値情報再生装置。
【請求項11】
記録光として用いる直線偏光の偏光方向を記録情報に応じて変化させ、前記偏光方向を多値情報として記録する光記録媒体を再生する多値情報再生方法であって、
偏光方向が異なる第1直線偏光と第2直線偏光とを、同時に又は時間差をつけて前記光記録媒体に照射する第1ステップと、
前記光記録媒体を透過した又は前記光記録媒体で反射された光について、前記第1直線偏光と前記第2直線偏光とを分離した状態で光検出手段に導く第2ステップと、
前記光検出手段で取得した前記第1直線偏光の光量と前記第2直線偏光の光量とに基づいて、前記光記録媒体に記録される偏光方向を判定する第3ステップと、
を具備することを特徴とする多値情報再生方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−186565(P2008−186565A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53019(P2007−53019)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】